がんこに平和。げんきに福祉。 2001 参議院選挙政策集 社民党

がんこに平和。げんきに福祉。
2001 参議院選挙政策集
社民党
はじめに
社民党は「政策フロンティア宣言」
21 世紀が始まりました。
今の日本に必要なのは、大胆な発想の転換であり、未来の構想であり、その構想に沿っ
た政策の実行です。社民党は 21 世紀で初めての国政選挙となる第 19 回参議院選挙におい
て、弱者切り捨てと談合政治そのものの小泉・自公保政権とは正反対の、すべての人に安
心と安全、豊かさと公正を約束する政策を提案します。
新しい時代と変化に対応しきれず、自らの腐敗の中で朽ち果てた森政権に続いて小泉政
権が発足しても、日本の政治は一向に変わりません。小泉総理は「改革派」を自称してい
ますが、政治家を家業とする世襲政治家であり、憲法改正問題をはじめ、靖国神社公式参
拝や集団的自衛権の容認など、きわめてタカ派的で危険な性格の持ち主です。また、小泉
自公保政権の政策合意は政権の枠組みを維持するためだけに作られた何の新味もないもの
でした。「表紙」が変わっても「守旧派」政権の実態は変わりません。
社民党は「政策フロンティア宣言」を行います。「がんこに平和、げんきに福祉」を基調
にしたこの政策集をごらんいただけば、社民党が政策の先見性と現実処理能力を持った政
党であることがわかっていただけるでしょう。
社民党は、「政策第一党」として国民のみなさんに支持を訴えます。
元気に福祉
政治が大きな構想力を持って知恵を絞らなければ国民の将来不安を解消することはでき
ません。社民党は誰かが犠牲にならなければならないような社会をつくることに同意しま
せん。少子化、高齢化などに伴う労働人口の減少を理由にして国民に一方的に負担増と公
共サービスの低下を強いる自公保政権の発想はあまりにも貧困です。社民党は現在の日本
のような不況下や本当に困ったときにこそ、「あってよかった」と思える社会保障制度を実
現します。
社民党は、これまでの世帯を単位とする社会保障システムから、個人を基軸とした社会
保障システムを再構築し、男女平等社会の実現を目指します。高齢化、出生率の変化、経
済成長の変動などに耐えうる社会保障制度の設計を行い、変動が予想を上回った場合の安
全・安定装置をも組み込んだ社会保障システムを確立します。
たしかな雇用
社民党は、景気の安定・回復のためには雇用こそが重要だと考えています。自公保政権
のようにその場しのぎの対症療法的、つぎはぎ的な政策ばかりを打ち出しても、砂漠に水
を流すようなことにしかなりません。
社民党の雇用労働政策は、「柔軟な発想」と「少しの工夫」があれば実現できる 実際に
効く 施策に絞られています。①中高年の誇りと持てる力を引き出す仕組み(ワーカーズ・
コープなど「協同労働」に対する EU 諸国並みの助成)②女性と若者が安心して働ける環境
整備(家族的責任と仕事の両立確保法や、適職選択を支援するインターン雇用制度の創設)
③労働条件の切り下げ、解雇、配転・出向の強要等の防止(「雇用継続保障法」の制定)④
1
働く者の主体性が確立された労働移動(能力・技能向上のための機会等の完全保障) ――
などに、政策と財政を総動員します。
地球に緑
社民党は、脱原発政策を進める日本で唯一の政党です。循環型社会をめざすために、主
要エネルギーを原子力や化石燃料から再生可能な自然エネルギーに転換します。また、フ
ロンや環境ホルモンなど有害化学物質の規制、地球温暖化対策、廃棄物リサイクル対策、
ダイオキシン対策、野生生物保護対策等を進めます。公共事業については、そのあり方の
見直しを徹底的に進めるとともに戦略的環境アセスメントを制定して計画段階からチェッ
クしていきます。企業の情報公開と市民参加を基礎に環境行政の機能と権限を強化します。
いきいき女性
社民党は日本で初めて男女同数の国会議員を実現した政党です。社民党はいち早く女性
を政党リーダーを選出し、女性候補者の擁立・支援を積極的に行い、女性の声を政治に反
映させるよう努めてきました。これまでにも「男女雇用機会均等法」
「育児・介護休業法」
「子ども買春・子どもポルノ禁止法」「男女共同参画社会基本法」などの成立・改正に中心
的な役割を果たしてきました。固定的な性別役割分業を前提にした諸制度はすでに行き詰
まっています。社民党は、政治、経済、社会、あらゆる場面に女性が参画することで、一
人ひとりが尊重され、女性も男性もいきいきと暮らせる社会づくりを目指しています。
子どもに希望
すべての子どもにあこがれを贈るために学ぶ者が主人公となる教育(学校)再生を実現
します。これが社民党が目指す「教育改革」です。その根幹にあるのは、子どもたちの「個
性」と「夢」をどこまでも尊重し、21 世紀を「競争の世紀」ではなく「共生の世紀」に変
事するとの決意です。一人ひとりの子どもの顔が見える教育環境の実現へ、教育予算を「世
界標準」である GDP5%水準に引き上げます(日本は 3.8%)。同時に、「教育は最大の安全
保障である」という立場から、①30 人以下学級の早期達成 ②快適な学校生活を保障する
ための教室・保健室・給食室・トイレ等の改善・整備などを進める「子どもルネッサンス
10 ヵ年計画」を策定し、その推進に全力をあげます。
政治にけじめ
社民党は、これまでの自民党型政治、利益誘導型政治による腐敗した政治の土壌を、ク
リーンさと聡明さの圧倒的なパワーですべての人がいきいきと参加できる新しい政治文化
の土壌につくりかえていきます。
汚職・スキャンダルまみれの政治をクリーンにするため、あっせん利得処罰法案を強化
改正するとともに、政党への企業・団体からの献金を禁止します。死票をなくし民意を反
映する公正な選挙制度への改革に取り組みます。国民の多元的な意思をより良く国会に反
映するという観点から、参議院への改革を進めます。みんなの手に政治を取り戻すため、
洋上投票の改善、18 歳選挙権の実現、公職休暇復職制度の導入、供託金の引き下げ等に取
り組みます。
社民党は開かれた政党として、市民の政治参加を得ることによって新しい課題に不断に
対応する能力を研鑚することを怠りません。
社会民主主義はイギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパの政権における主流です。
社民党は、自公保という巨大保守勢力、中間政党である民主党に対し、社会民主主義の旗
を高く掲げ、日本の政治の第三極を担います。
がんこに平和
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「人類の全歴史の中でもっとも暴力的な世紀」だった 20 世紀が終わり、新たな新世紀が
始まりました。朝鮮半島でも緊張緩和が進み、東西対立を前提とした従来の安全保障体制
は役割を終えつつあります。軍備なき世界を目指す日本国憲法の理念は 21 世紀にこそ光り
輝くものです。社民党は、これまでの発想を転換し、経済開発、環境保全、人権など「人
間の安全保障」を確立するためにも、自衛隊の縮減、在日米軍基地の整理・縮小や日米地
位協定の改訂、思いやり予算の大幅削減などを提案しています。また、日米安保条約につ
いても、平和友好条約に転換させるとともに、アジア・太平洋の多国間安全保障対話の促
進のための「北東アジア総合安全保障機構」の設立も提唱し、核兵器のない 21 世紀を目指
します。
しかし、日本では自公保政権では、有事法制立法化の動きや憲法九条に照準を定めた「改
憲」の動きなど、世界の流れに逆行する危険な論議が横行しています。これらは周辺事態
法や盗聴法などの制定に続く一連の危険な動きであり、憲法体制を転換させようとするも
のです。近隣諸国から厳しい批判を受けている「教科書問題」とともに社民党は「だめな
ものはだめ」という姿勢を貫き、「がんこに平和」を実現します。
2001 参議院選挙政策集
CONTENTS
「希望の世紀」のための 7 大政策
元気に福祉
●安心で健全店活力ある福祉社会を実現します
たしかな雇用
●
実際に効く
施策を
地球に緑
●循環型社会を構築し、自然に優しい科学技術先進国日本をつくります
しきいき女性
●―人ひとりがいきいきと輝く男女平等の社会へ
子どもに希望
●21 世紀にすべての子どもたちによりよき人主への
"あこがれ"を贈ろうではありませんか?
政治にけじめ
●きれいで信頼される公正な政治を実現します
がんこに平和
●平和憲法の理念を世界に拡げ、軍事力によらない平和を実現します
12 の重点政策
経済政策
●やさしさ、やすらぎ、やる気をつなぐために
税財政改革
●安心を構築するための財政構造の「改革」
●時代の課題に挑戦する税制改革
金融政策
●国民生活を守り、向上させるために、不断の改革を
産業政策
●暮らしに身近な産業社会を実現
人権政策
●すべての人びとが、わけへだてなく生きてゆける平等社会を実現します
3
農林水産
文化政策
●消費する文化から創造する文化へ
行政改革
●国民本位の開かれた公正な行政を
住宅政策
●安全、安心、ゆとりの住宅先進国を
国土・災害政策
●災害に強い国土を築きます
自治・分権
●住民の参加と決定で地域から新しい民主主義をつくろう
交通
●いのちとくらしと夢を運びます
2001 参議院選挙政策集
「希望の世紀」のいための 7 大政策
元気に福祉
≪安心で健全な活力ある福祉社会を実現します≫
1. 創造的福祉社会を実現します
(1)創造的福祉社会とは
社民党が 21 世紀に目指すのは「創造的福祉社会」の実現です。創造的福祉社会は、
個人のすべてのライフステージと地域社会を、温もりと健全な活力と安心で結びま
す。やさしさで「生まれ・育ち」を包み込み、やる気が「働き・産み・育て」を応
援し、やすらぎの「老い」を保障します。
(2)自公保政権では将来不安は解決しません
自公保政権の社会保障政策は、年金は給付削減、介護は選挙目当てのバラマキ、
医療は改革先送りと見事にバラバラです。社会保障のあるべき姿を考えもせず、利
益誘導と財政対策ばかりの施策では、国民の将来不安を増大するばかりです。
現在、わが国では少子化、高齢化が世界に例を見ない、スピードで進んでいます。
労働力人口の減少や女性の社会進出による家族および就労構造の変化、経済の低成
長傾向など、社会構造は大きく変化しているのです。
既存のシステムに対して、その場しのぎではない抜本的な改革が求められている
のです。「福祉はお荷物だ」といった発想では、「弱者切り捨て」を正当化するだけ
です。少子化、高齢化の時代に対応できなくなった制度や人々の意識こそ改革しな
ければなりません。
社民党は、安心できるセーフティネット社会を実現し、活力ある福祉社会を築き
ます。産業経済を福祉・環境配慮型に転換し、新たな雇用の創出や産業の発展を支
援するとともに、タテ割り行政の弊害をなくし、これまでの狭い社会保障の枠を越
えて、雇用、街づくりや住宅、教育などを含めた総合的で利用しやすい制度改革を
行います。
(3)一緒に社会を変えましょう
分権型で住民が主体の、一人ひとりが参加することによって支え合う、生活に密
着した福祉社会に変えていかなければなりません。
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住民は、選択し、創造する主体として、政府・自治体・民間などの企画・運営や、
実施されるサービスの質の評価などに参画し、社会サービスが本人の自由な選択に
よって受けられ、すべての人がゆとりと生き甲斐を持って自立・自助の生活を送る
ことができる社会。そんな社会は夢ではありません。一人ひとりの想像力が社会を
変えるのです。
社民党と一緒に変えてみませんか。
2. 年金・医療・福祉の総合的な抜本改革を図り、国民の権利を保障することを基本に、
公正・公平を貫く社会保障の構造改革を実現します
(1)福祉は投資です
福祉は、経済成長の足を引っ張るものではありません。現在の未曾有の長期不況
は、国民の将来不安が根底にあります。福祉への投資こそが、雇用創出など、すそ
野の広い経済波及効果をもたらし、老後や子育てなどの不安を一掃しうるのです。
公的年金などの所得保障の拡充は安定した購買力を確保します。また、高齢者・
子ども・障害者などへの社会サービスの充実は健全な内需と労働力を創出します。
これらは、福祉機器の開発やサービス事業の育成などを通じて福祉型の産業構造へ
の転換を促し、住民や NPO などとの連携によって地域社会の連帯を強固にします。
社会保障の充実という社会民主主義の原点こそが、住民の将来不安を解消すると
同時に、現下の経済情勢に対する最大の解決策となるのです。
(2)住民参加で「大きな社会」を実現します
「大きな政府」「小さな政府」論はすでに破綻しています。政府をはじめとする公
共部門が独占的な地位を占める福祉国家ではなく、いうならば、新しい国家理念
としての「大きな社会」を実現します。
地域住民などの「個人」や、協同労働組織や民間団体など「NPO・NGO」、そして
「公共部門」を含む、さまざまな社会構成体がそれぞれに参加・参画し、役割を分
担するネットワーク型の福祉社会=「大きな社会」こそが時代の要請です。
また、自治体へ税財源を抜本的に移譲して財政基盤を確立し、自治体を福祉のカ
ナメとします。医療や介護、育児支援などといった「現物給付」は大きく豊かな自
治体(地方政府)を主体に、そして、年金や子ども手当などの「現金給付」の充実
は小さくやさしい政府(中央政府)中心に拡充を進めます。
さらに、住民に身近なサービスについては、日常の生活圏でサ ―ビ ス提供が行わ
れるコミュニティ福祉を主軸とした分権型福祉システムを確立します。
(3)一般財源と消費税のミックス方式で福祉を充実させます
社会保障の充実は、国民の納得できる負担により実現し、福祉の財滞は、一般財
源と消費税のミックス方式とします。
無駄な公共事業の見直しを進め、外形標準課税や環境税の創設、扶養控除の縮小
などにより、一般財源を優先的に充当します。高額所得者を優遇する所得控除方式
よりも、直接給付できる歳出措置に転換して再配分機能を強化します。
また、消費税については、飲食料品にかかる消費税額戻し金制度の創設など、実
効性ある逆進性緩和策を講じます。
(4)税方式と保険方式をわかりやすく整理します
年金・医療・福祉という日本の社会保障は、すでに「保険と税」という異なる財
源が渾然一体の形で投入されています。高齢者の疾病のように発生リスクの高い分
野は税方式とするなど、社会保障全般にわたり整理します。
(5)低所得者などへの徹底支援を行います
社会的に支援を必要とする低所得者、障害者、難病患者、高齢者をはじめとした
方々には、社会保障の給付と負担の両面において徹底的に配慮します。
(6)社会保障制度を世帯単位から個人単位に変えていきます
社会保障の基本は、個人です。一人ひとりの生活を保障するためには、現在の世
5
帯単位ではなく、個人単位に転換し、個人の多様なライフスタイルに合わせた社会
保障制度を構築します。
(7)新たな福祉 3 大プランを策定します
利用しやすいサービスの確保のために、インフラ整備やヒューマンパワー(人的
資源)の養成・拡充、地域のシステムづくりはもとより、徹底した情報公開とサー
ビスの質の向上や評価システムの確立を図っていきます。
目標を大幅に拡充した新たな福祉 3 大プランとして「スーパー・ゴールドプラン」
(仮称)、
「スーパー・エンゼルプラン」
(同)、
「新・障害者プラン」
(同)を策定し、
すべての自治体に数値目標を盛り込んだ基本計画の策定を義務づけ、基盤整備を進
めます。
3. 誰もが安心して「暮らせる」年金制度を実現します
(1)2005 年には基礎年金の保険料は全額国庫負担にします
2005 年には、基礎年金を税でまかなう税方式に移行し、すべての方に受給資格を
認める年金にします。保険料徴収のためにかかっているコスト問題や、空洞化の問
題、第 3 号被保険者制度の矛盾も解消します。
基礎年金は、一人で暮らす年金生活者が基礎的生活費をまかなえるレベルにしま
す。年金といった現金給付だけではなく、高齢者の生活保障、医療、介護など現物
給付とバランスのとれた社会保障制度を構築して、社会全体で安心できる年金生活
を支えます。
企業の社会的責任として応分の負担を求めるため、外形標準課税などを導入し財
源とするほか、必要な財源は、所得税や法人税等の直接税を含んだ一般財源と目的
税のミックス方式とします。
(2)税方式への全面的移行までに、基礎年金を改革します
①税方式への全面移行に向けて、まず、基礎年金の国庫負担を早急に 2 分の 1 に引
き上げます。とりわけ、基礎年金は実際の受給額に大きな開きがあり、早急に低
年金を解消することが求められます。(2004 年まで国庫の追加は、2 分の 1 引き上
げで約 2.4 兆円、低年金の解消で約 3.2 兆円、合計で約 5.6 兆円/年)
②定住外国人を含む無年金者や第 3 号被保険者の届出漏れ等について、福祉施策と
して救済策を講じます。無年金障害者についても救済します。
③保険料が免除されている現在の第 3 号被保険者制度を含め、女性に不利な制度を
是正します。また、育児をしている人や介護をしている人の保険料を免除する制
度を導入するなど、アンペイドワークを評価します。
④個人単位の年金制度へ転換するため、税方式への転換までの移行措置として、共
働き世帯などの第 2 号被保険者の保険料を軽減します。
(3)報酬比例の年金の充実を進めます
将来的には、税方式の基礎年金とは切り離し、パート労働などの方にも報酬比例
の年金の充実を進めます。第 3 号被保険者の実態を見ると、現実にはパートや派遣
労働が 130 万円の壁(所得課税における配偶者控除)により労働抑制を行っており、
税制面も合わせて見直します。
①世帯単位という制度設計を、ライフスタイルにより中立な年金制度にするための
制度設計に見直します。
②パートタイマーや派遣労働者も負担に応じ年金を持てるようにします。
③離婚した配偶者に対して、報酬比例部分の年金の 2 分の 1 を婚姻期間に応じて分
割できるようにします。
④高齢者の働く意欲をそがないよう、複雑になっている高齢者雇用継続給付を見直
し、在職老齢年金制度を改めます。
(4)給付削減を許しません
与党の数の力で押し切られた、給付削減の 2000 年「年金改悪」を改めさせます。
6
期待権を保障し、高齢者の可処分所得を考慮して、賃金スライドを加味した方式に
戻します。また、65 歳現役社会が現実的にとらえられていない現時点では、厚生年
金の報酬比例部分を 60 歳支給開始に戻します。
(5)女性の年金権を確立します
第 3 号被保険者制度は、女性に有利な制度ではありません。離婚時の年金分割や
遺族年金の見直しなどを通じて、転職・退職や子育て、離婚、死別といった多様な
女性のライフサイクルや性に中立的な制度を構築して、女性の年金権を確立します。
(6)アンペイドワークを評価し、学生の保険料猶予を充実させます
育児や介護、家事などを無償労働(アンペイドワーク)として評価し、加入期間
の加算など制度上確立します。また、20 歳以上の学生に対して、猶予要件の緩和な
ど保険料納付特例制度を拡充して負担を軽減します。
(7)無年金障害者問題を解消します
定住外国人を含めた無年金障害者への救済策を一刻も早く確立するとともに、基
礎年金を税方式とすることで未加入による無年金を解消します。
(8)積立金を奨学金などに活用し、情報公開を徹底させます
年金積立金を原資とする奨学金の導入や住宅融資の拡充など、若年層に現在的な
意味を持つ年金制度にするとともに、積立金の運用に当たっては、徹底した情報公
開と責任体制を明確にします。
さらに、住宅などの資産を担保に、老後の生活に必要な資金の融資を受けるリバ
ース・モーゲージ(住宅資産活用年金制度)を積極的に進めます。
4. 住民本位の介護保険を実現し、安心の老後を保障します
(1)高齢者の自立支援と介譲の社会化を実現します
介護保険制度は、高齢者の「自立支援」と「介護の社会化」を実現するうえで、
重要な一歩となるものです。しかし、十分な準備がなされないままに、制度を出発
させたため、住民も自治体や介護事業者も、多くの矛盾や問題、悩みを抱え、今後
の事業実施に破綻をきたす恐れも出てきています。
保険料の値上げが避けられない状況となった中で、必要なのは保険料凍結といっ
たバラマキの対策ではありません。制度の見直しを大胆に行い、地方分権の確立、
国の積極的支援、介護福祉施策の充実など、円滑な実施と不安解消に向けた積極的
な施策が不可欠です。
保険制度の理念は、だれでも、どこでも、いつでもサービスが受けられること、
費用が払えないことを理由にサービスを断ることのないようにすることです。
①きめ細かな自立支援を応援するため、地方分権を確立します
高齢者の実態は各自治体によってさまざまであり、家族構成・住宅の状況・地
理的条件・介護に対する要望など、かなりの格差があります。高齢者の実態を最
もよく理解している自治体が、計画の立案、介護認定、サービスの決定、費用負
担、請求事務など、すべての業務ができるようにします。また、その際、住民の
意向を十分に反映するべきです。特に介護認定は、全国一律に決めるのではなく、
その地域の実情、介護を受ける側の実態、要望を十分に調査したうえで自治体が
決定します。
②国の役割も明確にします
直接の介護サービス以外にかかる経費(事務的経費・交通費・各施設との連絡
調整費など)は、国の負担とします。
③介護保険の基盤整備は早急に進めます
制度開始以来、当初の予定より施設入所の要望が倍増し、基盤整備が遅れてい
ます。早急に基盤整備の充実が必要です。
④自治体の役割も明確にします
介護に関する実態調査や介護計画は、事業者に委託するのでなく、住民の声に
7
十分に耳を傾け自治体自らが実施します。また、ケア・マネジャーは、各事業所
が設置するのでなく、自治体が責任を持って採用し、介護を受ける高齢者と家族
が納得のいく介護プランをたてるべきです。さらに、在宅介護支援センターの役
割を十分に果たすことで、各事業所との連絡をとり、介護に関する問題解決にあ
たることが必要です。
⑤居宅介護事業者を充実・強化します
居宅介護事業者を充実・強化するため、国から一定の経営補助金を交付します。
NPO など地域で生まれた小規模の事業者に対して、金融機関からの融資ができる
ようにし、運営のための一部に補助をします。また、介護報酬単価を引き上げる
とともに、身体介護と家事の介護に単価の格差を解消し、交通費や事務費は別途
事務費として交付します。
⑥自立支援に向けたサービス施設を整備します
訪問リハビリや痴呆リハビリなどにより、自立支援が可能となるようなサービ
スを実施する施設が圧倒的に少ないのが現実です。医療機関と連携をとりながら、
人的な支援を整備する必要があります。
(2)ホームヘルパー100 万人の雇用機会と身分保障を確立します
ホームヘルパーやケア・マネジャー、保健婦、看護婦、理学療法士など、人的な
確保を十分に図り、特に正規職員を充実することは、不安を抱えた高齢者にとって
将来への安心を保障することにつながります。
①身分保障と雇用条件の確立を進めます
人員の確保については、現状のような低賃金、恒常的な長時間労働、サービス
残業が当たり前となっているような労働条件では、どんなに補充しても辞めてし
まうか、意欲をなくしてしまいます。
介護労働に関する最低基準(賃金や労働時間等)を設定し、抜き打ち監査を含
め、配置基準の遵守を義務づけ、未達成の事務所には現有介護労働従事者に賃金
の上積みを行うなど、労働条件の向上や身分保障の確立を図ることを目指します。
②雇用機会の確保など基盤整備を推進します
介護サービスの基盤整備を進めるため「ゴールドプラン 21」を前倒し実施し、
ケア付き住宅やグループホームなどを含む在宅サービス基盤を飛躍的に整備する
ため、目標を拡充した「スーパー・ゴールドプラン」
(仮稀)を策定・実施します。
特に、福祉・保健分野の創業・開業を促進して、ホームヘルパー100 万人(2006
年までに 60 万人、2010 年までに 100 万人とする。政府は、2010 年までに 56 万人
に達すると見込んでいるが、スウェーデンでは日本の人口に換算すると、すでに
約 100 万人がヘルパーとして雇用されている)などの雇用機会を確保するととも
に、同性介護を基本とするためにも、男性ヘルパーを大幅に増員します。
(3)地域保健を拡充します
介護保険制度を十分に機能させるためには、なんといっても地域保健を各自治体
で充実・強化させなければなりません。高齢者に限らず地域に生活しているすべて
の住民の保健サービスが十分に行われていれば、在宅で自立した生活が高齢になっ
ても可能になります。
そのためには、自治体での保健婦の数を増やし(少なくとも人口 3,
000 人に 1 人)、
保健・医療・福祉の連携を密にしながら、住民の保健サービスを徹底して行います。
(4)地域での高齢者福祉を充実します
生活支援や配食サービス、移動サービスなど地域での支援は、高齢者の自立を助
けるためには欠かせない施策として抜本的に充実します。
一人暮らしの高齢者が増加する中で、地域で孤立化や精神的な不安を解消するた
め、少なくとも小学校単位に空き教室の活用も含め、高齢者向けのコミュニティセ
ンターの設置を進め、地域の交流の場として積極的に参加を進めます。
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(5)オンブズパーソン制度や情報公開制度を整備します
住民の立場に立った迅速な苦情解決体制(第三者機関によるオンブズパーソン制
度)の整備、介護事業者などの情報公開やサービスの質の評価制度、自治体独自の
総合的な介護・福祉条例を制定し、自治体の公的責任を明らかにしながら、住民参
加と利用者保護の確立を目指します。
(6)バリアフリーの住宅建設と道路整備を促進します
介護を含め高齢者の生活支援にとって欠かせないのが、住宅問題であるとの明確
な認識に立ち、公的年金などの所得保障とともに住宅保障を充実します。要介護者
向けの住宅増改築費に係る税額控除(年 35 万円を 6 年間)
などを創設するとともに、
安価な家賃でバリアフリー型の高齢者向け住宅を大幅に増設します。
また、現状の道路状況では、車椅子で歩行することなどおよそ不可能であること
から、歩道の整備を先行して実施するなど、総合的な生活保障を整備します。
(7)保険料と利用料負担を軽減します
新たな負担となっている介護保険料や利用料は国の負担で軽減します。保険料基
準額の上限を全国一律に据え置き、保険料・利用料減免など、低所得者への対策を
徹底して行います。
(8)2005 年見直しは利用者本位で進めます
介護認定をはじめ多くの問題を抱えている制度の見直しを絶えず進めるとともに、
2005 年の見直しに向けて、若年障害者の問題や第 2 号被保険者の保険料負担・徴収
問題(低所得者対策の徹底、個人単位化)などの課題についても、早急に検討を進
め、不安の解消を図ります。
5. 安心して子どもが育ち、学ぶことができる環境づくりを進めます
(1)子どもと女性の権利を確立します
安心して子育て・子育ちできる社会とは、子どもや女性の権利が確立された社会
です。「子どもの権利条約」の理念を具体化することが大前提です。
(2)スーパー・エンゼルプランを策定します
子育て・子育ちへの総合的な公的支援システムを構築します。「新・エンゼルプラ
ン」を前倒し実施し、目標を大幅に拡充した「スーパー・エンゼルプラン」(仮稀)
を策定して、保育所などの基盤整備を進めます。
(3)保育所や学童保育を充実します
乳児・病児・障害児など保育を必要とするすべての子どもが受け入れられるよう、
保育所・学童保育などの拡充を行い、十分な保育士・指導員の雇用を確保します。
病後児保育の対象拡大と制度の周知徹底、低年齢保育の待機児童の完全解消、延長
保育の一般化や認可外保育所などへの支援を強化し、保育環境を整備します。
(4)子ども手当を創設します
子育て世帯の負担を軽減し、先進国に比べ、圧倒的に低い水準にある現行の児童
手当制度を抜本的に見直します。
18 歳末満の児童を対象にして支給額を倍増にした、全額国庫負担の「子ども手当」
(仮稀)を創設し、安心して子育て・子育ちができる社会をつくります。(現行の個
人所得課税における 16 歳末満の扶養控除を停止し、少なくとも約 1 兆円分の税収増
分を財源とする)
(5)ひとり親家庭を支援します
児童扶養手当の支給額引き上げや支給要件の緩和などで所得保障を拡充するとと
もに、施設の新増改築や専門の相談員の大幅増員などにより、ひとり親家庭への生
活支援を強化します。
(6)出産費用を保障します
出産育児一時金の拡充や国庫負担金の引き上げにより、出産費用を公的に保障し
ます。(出産 1 子に対し、現行の医療保険による一時金 30 万円。プラスー般財源か
9
ら 30 万円で、国庫の追加は約 3,600 億円/年)
(7)地域での子育て支援と子ども病院を整備します
学童保育(放課後児童健全育成事業)を拡充し、指導員の身分保障・労働条件を
確立して、福祉と教育の連携を強化します。また、育児不安についての相談・助言・
支援を行う地域子育て支援センターなどを拡充して、地域全体で子育てを支援しま
す。
複雑・多様化する子どもの問題に対応する児童相談所や児童家庭支援センターを
利用しやすいものに拡充するとともに、全国に子ども病院を整備するなどして小児
救急医療を充実します。
(8)家庭と仕事の両立を支援します
子育てと連動・両立した就業形態や給与体系を構築します。男女共通の労働条件
やアンペイドワーク評価の確立を進め、育児・介護休業給付の拡充や家族看護休暇
制度の法制化、時間外・休日労働、深夜労働等の実効ある規制、などに取り組みま
す。
6. ノーマライゼーション(共生)の理念と「完全参加と平等」を達成し、障害者の政治
的・市民的・経済的・社会的・文化的権利を確立します
(1)利用契約制度における公的責任を明らかにします
社会福祉はこれまでの措置から、2003 年には利用契約制が導入されます。十分な
サービス確保、所得保障、雇用確保、さらに苦情処理まで含めた、福祉における公
的責任を明確にしながら、社会福祉の充実を進めます。
(2)障害者基本法を見直します
障害者の権利確立と当事者参加を明確にして、障害者基本法に差別禁止規定を明
記し、これに連動させて身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法を
改正します。
また、差別的な障害者観に基づく「欠陥」
「心身の故障」等の用語を撤廃し、また、
「援護」「更生」といった用語から「支援」「自立」等、自立を促す用語に変更する
など、法制度を見直します。
(3)新・障害者プランを策定します
十分な介護・福祉サービスを保障するため、「障害者プラン」の早期完全実施と、
すべての自治体に数値目標を盛り込んだ「障害者基本計画」策定を義務づけ、「新・
障害者プラン」(仮称)を策定します。
(4)欠格条項を全面撤廃させます
障害者の権利・行動を制限する欠格条項については、全面撤廃に向け取り組み、
資格取得に必要な要件を希望者が満たしているか否かのみで判断します。また、資
格試験において手話通訳や点字試験用紙を準備するなど、試験における障壁をなく
します。
(5)必要とするすべてのニーズを満たす介護を保障、介助犬を支援します
2005 年の介護保険制度見直しにあたっては、質と量の引き下げがあってはなりま
せん。①必要なだけのサービス量を確保、②全国どこでも利用、③自分で介助者を
選択、④全障害種別で利用、の 4 原則を基本に、介護保険を見直し、自立支援を進
めます。
また、盲導犬の育成を拡充するとともに、肢体障害者の生活介助をするよう訓練
された介助犬や聴導犬の法整備を進め、これら「介助犬」の普及を推し進めて障害
者の自立を支えます。
(6)無年金や低年金を解消し、雇用環境を整備します
定住外国人を含めた無年金障害者の救済策を早期に確立するとともに、障害基礎
年金を抜本的に拡充して、「暮らせる」障害年金を確立します。また、精神障害者を
含めた法定雇用率の設定と達成を促し、援助付き雇用など雇用環境を整備し、最低
10
賃金制度の適用除外を撤廃します。
(7)共に学ぶ教育と、共に暮らす街づくりを進めます
世界の潮流であるインクルーシブ教育を実現し、障害を持つ子どもと、持たない
子どもが共に学び育つ統合教育と統合保育に取り組みます。また、移動制約者のた
めの交通条件をはじめ、縦割り行政の弊害を排したバリアフリーの街づくりに向け
た法整備や自治体の取り組みを支援します。
(8)EYE マークなど情報保障を確立します
視覚障害者などの読書権を保障するため、著作物の音訳を制限する著作権法を改
正するとともに、著作権者があらかじめ著作権の開放を許可したことを明らかにす
る「EYE マーク」運動を進めます。
障害者の情報・コミュニケーションを保障するため、手話通訳や点字保障を確立
するとともに、障害者に使いやすい情報機器の開発や導入補助など、デジタルデバ
イド(情報格差)を解消して IT 保障を進めます。
7. 信頼される医療制度を確立し、国民本位・患者本位の抜本改革を実現します
(1)「患者の権利基本法」を制定します
患者本位の医療を確立するため、「患者の権利基本法」(仮称)を制定します。
患者や家族が、①医療行為に関し医療従事者から十分な説明と報告を受ける権利
であるインフォームド・コンセント、②カルテなど医療情報の閲覧や謄写請求、医
療費明細書などの交付請求権、③医療行為について選択し、同意し、拒否すること
ができる自己決定権、といった患者の権利を基本法に明記するとともに、患者の権
利擁護について、国や自治体、医療機関や医療従事者の責務を明らかにします。
特に、カルテ開示の法制化を早急に進めるため、「医療記録法」(仮称)を制定し
て、医療機関に対してカルテなどの作成や保管、開示等を義務づけます。
(2)保険者機能を強化、苦情処理制度を整備します
患者の諸権利を実現し擦護に資するため、保険者機能を抜本的に強化し、患者や
被保険者代表を加え、広域的な再編と独立性確保で患者・被保険者の代理人機能を
確立します。
また、保健所や医療機関などに相談窓口を設置するとともに、都道府県単位にオ
ンブズパーソンを配置するなど、医療機関に対する評価機能、調査権、勧告改善権
などを付与した第三者機関としての苦情処理制度を整備します。
(3)医療機関の情報公開と評価システムを確立します
患者が十分な情報に基づいて医療機関の選択ができるよう、医療機関における治
療や成果についての情報公開や実績に応じた質の評価システムの確立を進めます。
続発する医療ミスや事故を防止する安全対策やチェック体制を徹底するとともに、
医療品被害を未然に防止するため、審査・承認制度の透明化や医薬分業の推進、情
報提供システムの構築、コメディカル・スタッフの十分な配置と過密労働の解消な
どを進めます。また、患者と医療従事者双方の意識改草を進めるための権利教育を
確立します。
(4)医療被害の救済制度を確立します
薬害ヤコブ病問題などでの政府の責任を追及するとともに、医療被害を受けた患
者の迅速かつ円滑な救済を図り、薬害や副作用の被害者救済制度を確立するため、
「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法」を改正します。
(5)薬価基準制度と診療報酬制度を見直します
高齢化などに伴う医療費の当然増は不可避です。しかし、「薬漬け・検査漬け」や
「乱診乱療」といったムダで危険な医療を是正し、医療の質を重視した効率化を進
め、青天井といわれる医療費に徹底的にメスを入れます。
ムダな薬剤や高価な薬剤が使用されがちな現在の薬価基準制度を見直し、公設の
医薬品市場で公開競争入札による価格形成システムを導入します。
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また、過剰な診療を招く誘因となっている出来高払い中心の診療報酬制度を見直
し、慢性疾患などに対しても定額払いを導入して、不必要な入院期間の短縮や社会
的入院を解消するとともに、「もの」より「技術」を重視します。
(6)新たな高齢者医療制度を創設します
高齢者医療制度の改革は、公費負担の拡充により患者負担増を回避し、低所得者
へ徹底した配慮を行います。将来的には、高齢者の疾病リスク(若年者の 5 倍)に
かんがみ、介護保険制度との連携や地域ごとの全保険者統合による地域保険制度、
税方式化などを検討します。
(7)健康政策としての予防医療を確立します
生涯を通じた健康づくりを目指し、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病など生活習慣
病の原因となる生活習慣の改善や早期発見・根絶を図るため、予防医療を確立しま
す。予防医療への保険適用を進めるとともに、看護婦や保健婦などを欧米並みに配
置基準を引き上げて、十分に配置しながら、医療・保健・福祉の連携にきめ細やか
な体制を整備します。
(8)高度先端医療を拡充します
高度先端医療を拡充し、ゲノム技術等を用いた画期的な治療技術や医薬品、医療
機器の研究開発・普及への圧倒的に少ない予算を増額し、基盤を整備します。
また、難病に苦しむ方々への対策を充実し、治療法の確立を図るため調査研究費
を増やすとともに、療養環境を向上させ、特定患者の対象を拡大して患者の負担軽
減を図ります。
(挿絵:がんこに平和!元気に福祉!
自公保を倒してパーフェクトな政治に!
憲法九チャン)
たしかな雇用
《 実際に効く
施策を》
社民党の雇用労働政策は、「柔軟な発想」と「少しの工夫」があれば実現できる、 実際
に効く 施策に絞られています。雇用不安の克服こそが着実な景気回復の特効築になりま
す。迅速かつ強力な雇用対策の推進へ、政策と財政を総動員します。
1. 「自己実現の場」としてのコミュニティの再生を通じた雇用創出などを行います
ただ 喰い扶持さえあればいい といった政府・与党の手法の対極にあるものを目指
します。このため、自立した地域づくり、地域に密着した仕事起こしを支援できる「協
同労働」の理念に基づく仕組みづくりなどを積極的に進めます。また、労働者の利益お
よび権利の確立を図るための新法制定に取り組みます。
(1)ワーカーズ・コープ法の制定
地域を再生し、住民が主体となる「創造的福祉社会」を実現します。このため、
市民自身が担う福祉・雇用関係のない働き方としての協同労働・多様なネットワー
クによる地域経営を 3 本柱 とする「ワ一カーズ・コープ法」(協同労働による協
同組合法)を制定します。
(2)ESOP 制度の導入
倒産に瀕する企業などの労働者所有をはじめ労働者のイニシアティブ(主導性)
発揮が可能となる新法の制定に取り組みます。このため、低利融資や債務保証など、
EU で一般化している ESOP 制度(Employee Share Ownership Program)を導入するな
ど、体制整備を進めます。
(3)働く者が自立し、働き続けられる仕組みづくり
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倒産や不採算部門の一方的切り捨て手法(Management Buy Out)への対案として「従
業員による買取制度」(Employee Buy Out)を設けます。
また、企業の組織再編などから労働者の権利を守ります。賃金その他の労働条件
の切り下げ、解雇、配転・出向の強要などを防止するため、「雇用継続保障法」を制
定します。
2. 働く者の主体性確立へ――能力・技能向上のための機会などの完全保障を進めます
(1)世代を問わない能力開発等の推進
中高年だけでなく、若年層のいわゆるフリーターも含め、世代を問わない能力開
発等の機会・場の提供に万全を期します。
(2)NPO や協同労働組織などの多様な「就業の場」の拡充強化
NPO や協同労働組織などへの支援を進め、新たな雇用の場としての拡大を図りま
す。多様な年齢層の自発的な参加意識に合致した働き甲斐のある「就業の場」とし
て、NPO、協同労働組織などの成長を促す施策を強化します。
(3)緊急地域雇用特別交付金の拡充によるフリーター等の雇用促進
緊急地域雇用特別交付金の拡充、延長を行います。
このことを通じ、例えば、④IT 学習の受講機会を国民に完全(十分)に保障する
ための夜間・休日等の開講 ⑥「社会参加型」学習等の拡充やエコスクール(自然
と環境について親も子も学ぶことができる体験学校)の設置などに不可欠な「指導
員」の創設―な どを積極的に進め、フリーターや中高年離職者等の雇用促進につな
げます。
(4)有給のインターン雇用制度の創設
学卒未就職者やフリーターの適職選択を支援する有給の「インターン雇用制度」
を創設します。とりわけ第 1 次、第 2 次産業への積極的な適用を図るとともに、採
用事業主に対する手厚い助成措置を講じます。
3. 終身雇用制度を再構築します
①終身雇用制度の維持に努める事業主などに対する特別助成制度を創設します。
②終身雇用制度の活性化と併せて、現在横行する 超青田買い 状況を解消するた
め、新しい「就職協定」制度を創設します。
③生涯労働を望む者の就労機会の確保へ、定年後の雇用継続給付制度の普及促進を
図ります。
4. 労働者の「家族的責任と仕事の両立を保障する制度」の確立などを行います
①時間外・休日労働、深夜労働等の実効ある規制に取り組みます(ペナルティー税
制、割増し賃金率の引き上げなどの検討)。
②労働者本位のワークシェアリングの実現に向けた体制整備などを進めます。
③均等待遇原則を確立し、パート労働者に対する賃金・福利厚生などの「比例原則」
の適用を進めるとともに、フルタイム労働とパート労働との「双方向転換制度」
の定着を図ります。
④人間らしい生活と働き方の前提として、家族に対する看護休暇制度を創設し(他
党に先駆け、93 年 7 月にすでに家族看護休業法案として提案ずみ)、現行の育児、
介護休業制度の抜本改革を実現します。さらに、ポジティブ・アクション(暫定
的平等推進措置)として家族的責任を有する男性に対する「強制的」育児休業制
度を奨励する措置や利用者への不利益取扱いの禁止などを盛り込んだ「家族的責
任と仕事の両立を確保する法律」の制定に取り組みます。
⑤育児・介護雇用安定助成金を拡充します。(中小企業 40 万円→100 万円)
5. 非正規雇用(パート、派遣、フリーターなど)に対するセーフティネットの拡充・強
化を行います
①パートや派遣、フリーターなどの雇用形態で働く「非正規(雇用期間に定めのあ
る)雇用労働者」の権利を保障するために、均等待遇原則の確立に取り組みます。
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②非正規雇用労働者に対する社会保険、雇用保険制度などの改善を図ります。
③正規雇用労働者を「一時的・臨時的派遣」に切り替えることや、「新卒派遣」など
による正規雇用の形骸化を防止するために、実効ある規制を行います。
6. 「意味ある」失業対策の強化へ――あるべき集中(特化)を行います
積極的な財政出動をテコに、失業・倒産などの生活不安に的確に対処するための 安
全網 の整備を図ります。
①「労働者が変化に適応して雇用され、雇用され続けうる」ために不可欠な能力開
発プログラム・体制等の抜本拡充と結合した、失業給付に係る最長 2 年の訓練延
長給付の積極適用を進めます。
②未払賃金立替払の支給額の引き上げおよび解雇予告手当の支払い対象化などに取
り組みます。
③内職等の従事者および建築職人等の手間請け従事者に対する「倒産時の見舞金制
度」を創設します。
④日雇労働者の失業手当などに係る受給要件の緩和を図ります。
7. 実効ある障害者の就業機会の増大を図ります
(1)ジョブコーチ制、保護雇用制度など雇用環境の整備
障害を持ちながら労働に従事する人を労働者の一人として位置づけるために、ジ
ョブコーチ制や保護雇用制度など雇用環境の整備を図ります。また、最低賃金制度
の適用除外を撤廃します。
(2)障害者の就業機会の増大および就業率の向上
就職の困難性が高い知的障害者や精神障害者に対する支援の一環として、就業お
よび生活支援を一体的に行う障害者就業・生活支援センターの早期設置を図るとと
もに、障害者の就業機会の増大および就業率の向上(定着化)のために、抜本的な
助成措置などを講じます。
8. (ないのが不思議)失業者の採用企業に対する支援税制を創設します
雇用吸収力を本来的に有するのは収益企業です。したがって、失業者の積極的な採用
企業に対する優遇税制の創設は、改善がみられない失業情勢などを見ても、もっとも実
際的で、時宜にかなったものといえます。
具体的には、失業者を常用労働者として 50%以上、または 25%以上、かつ 20 人以上
の水準で雇い入れた事業主に対して、法人税等の軽減・免除措置を講じます。雇用創出
の可能性が高いベンチャー企業などに、使い勝手がよい内容となっている点にも特長が
あります。
9. 公的関与による雇用創出を進めます
福祉・環境(森林の育成、保全など)・教育分野に関する「雇用創出基本計画」を策定
し、公的関与による雇用創出を促進します。(2006 年までに、約 70 万人規模)
地球に緑
《循環型社会を構築し、自然に優しい科学技術先進国日本をつくります》
地球はひとり人類だけの財産ではありません。
「宇宙船地球号」の豊かな自然の中で地球
と自然にやさしい技術を開発することは最先端技術立国を目指す日本の人類史的責務です。
そのための大胆な研究開発投資を実行し、自然にやさしい科学技術先進国・日本を建設し
ます。
21 世紀の最大の環境問題は、核廃棄物、放射能汚染の問題です。社民党は脱原発政策を
推進する日本で唯一の政党です。原子力発電は、毎年 1 兆円もの財政的な手当を 30 数年に
もわたり注ぎ込んでいながら、核廃棄物の処理問題をはじめ山積みする課題を解決できな
い未完成な技術体系です。
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エネルギーの安定供給は避けて通れない 21 世紀の重要課題です。社民党は、原子力発電
に依存した電力政策を放棄し、風力など再生可能な自然エネルギーに基礎をおく科学先進
国日本を築くため、自然エネルギーの活用・推進を提言します。太陽光や太陽熱、風力発
電や潮力発電、地熱発電など既存の再生可能自然エネルギーの利用技術は既に十分に成熟
しています。これらの技術の積極的な活用を進め脱原発を推進します。
昨年、政府提出の循環型社会形成促進基本法が成立しました。この法律は、廃棄物・リ
サイクルに限定されたものであり、社民党や市民が求めている循環型社会基本法とは根本
的に異なります。循環型社会基本法は、何よりも循環型社会を構築していくためのもので
なくてはなりません。当然エネルギー政策や、生態系保護、自然循環、有害物質の発生回
避などの点が明記されるべきです。
社民党は循環型社会の構築を目指すために、有害化学物質の規制、自動車の総量規制、
地球温暖化対策の推進、フロンの回収の徹底、拡大生産者責任の導入、ゴミの減量・リサ
イクルの促進、環境ホルモン対策の推進、野生生物保護法の制定、環境アセスメントの徹
底、食品衛生法の改正・食の安全の確保などの課題に取り組みます。
1. 原発・化石燃料から脱却し、自然エネルギーの開発を推進します
社民党の目指す循環型社会とは、まず何よりも自然に還元しない(還元しにくい)
物質やエネルギーが使用されることのない社会です。今、私たちの主要エネルギーは
原子力や化石燃料ですが、こうした主要エネルギーからの転換を図り、再生可能な自
然エネルギーに転換していかなければなりません。地域独占 9 電力会社による電力の
発電、送電、配電の独占経営を見直し、統合、分割を含む再編成に着手し、電力買取
り法の充実を目指します。再生可能な自然エネルギーの開発を促進し、脱原子力発電
へ向けた政策づくりを推進します。
2. 原子力関係予算を削減します
原子力関係予算を削減して、再生可能な自然エネルギーの効率的利用技術の向上に
振り向けます。科学技術先進国日本は、いち早く自然エネルギー利用先進国として、
21 世紀の世界に貢献する先進国となれます。世界の発展途上国は、それぞれの国情に
見合った計画の中で、身の丈に合った技術体系を求めています。社民党が提起してい
る自然エネルギーの利用技術体系の確立の加速化は、日本のみならず、経済援助等を
通じて援助国・被援助国双方に限りない経済効果をもたらします。これが地球の自然
にやさしい科学技術立国への道です。
3. 地球温暖化対策を進めます
2000 年 11 月、オランダのハーグで地球温暖化を防止するための会議、COP6(気候
変動枠組み条約第 6 回縮約国会議)が開催されました。この COP6 は『京都議定書』を
2002 年から発効させるための最終的会議として注目されていましたが、日米と EU・途
上国の対立が調整できず合意には至りませんでした。
COP6 での日本の主張は、①森林による二酸化炭素吸収の算定率を高くする(3.7%)、
②京都メカニズムの利用に制限を設けない、③途上国への植林を先進国の削減分とし
てカウントする、④原発建設を温暖化ガス削減事業と認め、途上国への原発建設を先
進国の削減分としてカウントする、⑤目標未達成国に対して厳しい遵守措置は取らな
いこと等です。アメリカも同様の主張です。これに対して EU は、①吸収の削減量への
カウントに上限を設ける、②京都メカニズムの利用に制限を設ける、③途上国での植
林は先進国の削減分としてカウントしない、④途上国で建設する原発建設は削減事業
と認めない、⑤目標未達成国に拘束力のある遵守措置を設けることを主張しています。
EU は抜け穴を小さくして、排出源対策による削減目標の達成を目指しています。どち
らが温暖化対策に熱心であるかは明白です。日本政府は自説に固執せず、排出源対策
による温暖化対策を進めるべきです。社民党は環境税の導入、自動車関係諸税の大幅
改正により、温暖化対策を推進します。
4. 自動車の総量を規制し、きれいな空気を取り戻します
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尼崎公害訴訟に続いて名古屋南部公害訴訟判決においても、排出ガスの差し止めと
国・企業に対する賠償を命じる判決が下されました。2 つの判決では、ディーゼル車の
早急な総量規制を求めるとともに、これまで排出ガス抑制対策を講じてこなかった国
の怠慢について厳しく断罪しています。もはやこの判決の流れが後戻りすることはあ
りません。排気ガスは大気を汚染して人の健康を蝕むばかりでなく、地球温暖化の大
きな原因ともなっています。ディーゼル車の規制はもちろん、クルマの総量規制は避
けられません。排気ガス対策は待ったなしです。すでに東京都は、独自の排気ガス基
準を策定してディーゼル車の走行規制を行おうとしていますが、国の対策が遅れるよ
うなことがあってはなりません。
①ガソリン車・ディーゼル車に走行税(環境税)を導入します
社民党は、ガソリン車・ディーゼル事の総量規制を促進していくために、走行
税(環境税)を導入します。将来はディーゼル車の生産規制を行い、ディーゼル
車を生産する事業者からは生産台数に応じてディーゼル車生産税を徴収します。
また喫緊の対策として公共バスからディーゼル車を暫時削減し、電気自動車化を
進めます。
また都市部での交通量を規制するためにパーク&ライドの実施を普及します。
同時にできるだけマイカーを利用しない運動も進めます。
②交通体系を見直します
さらにトラックが主流になっているさまざまな物品の輸送を、鉄道や海運へ転
換します。市街地の交通はバス輸送ではなく、新しい路面電車 LRT(軽快電車)
を導入します。道路中心の公共事業も見直します。マイカーは生活に密着し大変
便利ですが、公共交通機関を充実し、公共交通を利用する方がマイカーよりも経
済的で快適となる施策を進めます。
③低燃費車・低公害車の普及を推進します
同時に電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッドカー、メタノール自動車な
ど低公害車を普及するための施策も今以上に推し進めます。
政府のグリーン税制は、低公害事の自動車税(地方税)を 50〜13%軽減する一
方、登録して 11 年(ディーゼル車)から 13 年(ガソリン車)経ったクルマに 10%
の重税を行うというものです。しかし重税の対象となる車は、約 350 万台で全体
の 6.75%にすぎず、グリーン化とは程遠いものです。
また低公害車を普及するのであれば、購入助成を大胆に行うべきです。
5. フロン、環境ホルモン、有害化学物質を規制します
フロンや環境ホルモン、有害化学物質などの人工化学物質の生産や使用から脱却す
る必要があります。
(1)フロンの回収・破壊を徹底します
フロンによるオゾン層の破壊は、皮膚ガンや白内障、免疫力の低下など私たちの
健康被害を増加させるだけでなく、農作物の収穫減少や生態系の破壊などにも繋が
ることが予測されています。またフロンは温室効果が二酸化炭素の 1 千倍から 1 万
倍以上もあり、地球温暖化の大きな原因ともなっています。
①フロン法を制定します
社民党はフロン法を制定し、フロンの製造と使用の規制を図るとともに、フロ
ンの回収・破壊を事業者に義務づけ、将来におけるフロンの全廃を目指します。
②回収・破壊税を創設――納入者は生産者
社民党のフロン対策の特徴は、第 1 に拡大生産者責任制を導入し、フロンの製
造者、フロン含有製品の製造者に対して、回収・破壊に係るすべての費用を負担
させることにしていることです。回収・破壊税を新たに創設し、事業者が回収・
破壊に係る負担金を税の形で国に納めます。事業者は税金負担分を製品価格に上
乗せしますから、最終的には製品を購入する消費者が回収・破壊のための費用を
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負担することになります。
③フロンの流れを把握するために PRTR 制度を活用します
第 2 の特徴は、フロン対策に PRTR 制度を活用し、フロンの流れを正確に把握で
きる仕組みとしていることです。事業者は製造量、使用量、保有量、移動量、排
出量、受取量、引渡量、最大保有量を都道府県知事に届け出ることを義務づけら
れます。何かむずかしいことのようですが、要は事業者に伝票の開示をお願いす
るだけです。
フロン回収・破壊にあたっては、回収・破壊の管理責任者を置くことにしてあ
りますが、回収・破壊が確実に行われることを保証するため、管理責任者は従業
員であってはならないことにしました。これが第 3 の特徴です。雪印乳業の例で
もわかるように、会社の従業員に管理を任せるだけでは信頼性は確保できません。
なお回収・破壊に係る費用の受け渡し業務をはじめ、フロンに関する管理の主
体は都道府県です。
(2)環境ホルモン対策を進めます
①おもちゃ、食器、容器、哺乳瓶に環境ホルモンはいりません
私たちの身の回りには、プラスチック製品、食器、哺乳瓶、洗剤、塗料、接着
剤、ラップ、殺虫剤、合成繊維など、環境ホルモン(内分泌攪乱物質)作用を引
き起こす化学物質を使用した商品や製品であふれています。化学物質に対してい
たずらに不安を煽るようなことは戒めなければなりませんが、人の健康に影響が
あるもの、疑わしいものは、できるだけ早く私たちの日常の生活の中から取り除
いていかなければなりません。子どものおもちゃ、学校給食の食器、哺乳瓶、ラ
ップなどについては、環境ホルモンを使用した製品は直ちに規制が必要です。ま
た食べ物にも安全基準が必要です。
②PRTR 法を早期に改正します
昨年(2000 年)の通常国会で化学物質の移動・排出を把握する、政府提出の PRTR
法が成立しました。残念ながらこの法律では、環境ホルモンに対して効果のある
対策は期待できません。国民の不安を解消し、実効ある制度にするためには、次
のような施策が必要です。
第 1 に、有害性が判明していない環境ホルモンも対象とすることです。国民の
不安は、今の時点で健康や生態系への影響が未解明であっても、将来にわたって
安心できるのかという点にあります。何らかの異常が判明した時点で対処すると
いうやり方では、被害の未然防止はできません。だからこそ危険性のある物質は
もちろん、有害性が判明していない化学物質についても、流れを常時把握してお
くことが必要です。第 2 は、事業者の届出事項を排出量と移動量だけでなく、製
造量、受入量、引渡量なども届出事項に含めることです。化学物質の流れの把握
は、正確のうえにも正確を期すことが重要です。第 3 は、消費者への表示を事業
者に義務づけることです。消費者が、日常的に使用する商品にどのような化学物
質が含まれているかを知ることは、健康と安全を守るうえでも大切なことです。
第 4 は、届出された情報を、誰もが、いつでも自由に利用できるようにすること
です。請求や手数料をなくし、即時開示とします。第 5 は、非点源(家庭等から
の廃棄物、排気ガス)の排出量と移動量を推計することです。これによって、流
れや状況がより正確に把握できます。なお、化学物質に対する間違った知識、流
言や風評などから、国民がいたずらに不安感を抱かないようにするためにも、企
業・行政・市民のリスク・コミュニケーションが必要です。このことを通して国
民は化学物質に対する正確な知識を身につけることができますし、誤った知識も
是正できます。企業への信頼も生まれるものと確信します。
(3)生活環境における有害化学物質を規制します
私たちの生活の中ではさまざまな化学物質が使用されています。その化学物質に
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よる影響で、シックハウス症候群と呼ばれているさまざまな健康被害、化学物質過
敏症、アレルギー、あるいは有機リン中毒など多くの被害が発生しています。
除草剤、ゴキブリ駆除剤、防カビ剤、シロアリ駆除剤、害虫防止剤、ペンキ、ワ
ックスなどは日常的に使用されているものですが、なかには毒物や劇薬を含んでい
る製品もあります。
①有害化学物質は自分だけでは防げません
化学物質による被害で最大の問題点は、自分が使用しなくても、自分以外の身近
な他者、隣家、あるいは業者が使用することによって被害が発生するということで
す。例えば隣の家で芝生や花に除草剤を散布すれば、その影響は自分の家に及びま
す。行政が行う街路樹への散布や農薬の空中散布も同様です。
②現行法では規制できません
しかし現行の法律(農築取締法、薬事法、建築基準法、大気汚染防止法等)では
これらが規制できません。例えば農薬取締法は、A という作物に使用する農築を他の
作物に使用してはならないことを規定しているだけであり、農業以外への農薬の使
用を禁ずるものではありません。薬事法も同じであり医薬業務以外への使用は野放
しです。建築基準法は、シロアリ駆除剤の建築資材への使用を義務づけていますが、
使用する物質の規制はありません。大気汚染防止法は自動車の排気ガスや事業活動
に伴うばい煙などを規制する法律です。したがって現状では化学物質による被害を
受けても、被害者は泣き寝入りするほかない状況に置かれています。
③有害化学物質規制法を制定します
社民党はこの状況を一日も早く改善し、有害化学物質による健康被害をこれ以上
拡大させないために、市民と共同で「有害化学物質規制法」をつくります。
6. 拡大生産者責任制度を導入します
企業に対して拡大生産者責任制を課し、廃棄物・リサイクルに関わるすべての費用
は生産者が負担するようにします。
(1)拡大生産者責任制度を導入し、ごみのない街づくりを進めます
社民党は、深刻化する廃物問題に対処するため、拡大生産者責任制度を導入しま
す。廃棄物処理にあたっては、リデュース(抑制、減量)、リユース(再使用)、リ
サイクル(再利用)の優先順位を明確にします。拡大生産者責任(EPR=Extended
Producer Responsibility)とは、生産から廃棄にいたるあらゆる過程で発生する環境へ
の影響について、生産者がすべての責任を負うという考え方です。
工業製品は業務用文書から自動車にいたるまで、すべて EPR の対象とします。と
くに OA 機器、自動車、コピー機、家電リサイクル 4 製品、包装容器は早急に対象と
します。
拡大生産者責任の原理を適用することによって生産者は、①製品や廃棄物を回
収・リサイクル・処理する責任、②何度でも繰り返し使用でき、耐用年数が長く、
使用後はリサイクルに適し、かつ環境を損なわずに処理が可能な製品を開発する責
任、③再資源を優先的に使用する責任、④リサイクルや処理の過程で有害物質が発
生するものを制限したり使用しない責任、⑤製品にどのような物質が含まれている
か表示するなどの責任が課せられます。
つまり EPR を制度として確立すると、企業はこれまでの生産のあり方を根本から
変えざるをえなくなります。いわば企業に対して、「あらゆる過程で環境に負荷をか
けない製品を生産させるインセンティブ」となりうるものです。環境先進国ドイツ
では、この EPR をあらゆる工業製品に適用し、2020 年には最終処分場をゼロにする
という目標を立てています。ドイツでできることが、日本でやれないはずがありま
せん。
(2)ごみの減量・リサイクルを促進し、ダイオキシンを抑制します
昨年「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立しました。この法律は、汚染地域
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の指定や改善命令、罰則が伴う排出規制、汚染除去対策が主な内容です。住民参加
の道も開かれました。不安が高まっていたダイオキシン類への対策が、これで一歩
前進しました。
①排出基準だけでなく、焼却の規制を行います
しかしこれで安心できるかというと、まだ不十分な点がたくさんあります。こ
の法律ではダイオキシンの濃度基準や排出基準が定められます。いわば「出口」
でダイオキシンを規制するものです。しかし、発生の 9 割はごみの焼却に起因し
ており(発生抑制には高温焼却が有効だといわれていますが、それだけでは抑制
はできません。集塵機入口の温度を低く抑えるなどの燃焼管理、バグフィルター
の設置等が必要です)、ダイオキシンを抑制するには、発生原因であるごみを減量
していくこと、すなわち焼却する前の「入口」も規制する必要があります。物を
大量生産し、大量消費し、大量廃棄するという構造がある中で、排出基準を厳格
にするだけではダイオキシン類の根本的削減はできません。
社民党は、国の施策としてごみの減量とリサイクルを推進するために、発生原
因となる化学物質の焼却規制、使用規制を視野に入れた法律をつくります。また
焼却処分中心の廃棄物行政を見直し、基本的にごみを出さない生活習慣への転換
を図ります。
②食べ物にも安全基準を設けます
さらにこの法律では、耐容一日摂取量(TDI)が 4 ピコ以下とされましたが、胎
児や乳幼児の感受性を考慮すれば、早い時期に 1 ピコ以下にすることが必要です
(アメリカの基準=環境保護庁 0.01 ピコグラム、食品医療局 0.006 ピコグラム)。
さらに TDI を基準にして、魚介類、乳製品、農作物など食品の基準を設定する
こと、ダイオキシン類の発生する業務の従事者、従事したことのある人々の健康
被害の発生防止対策や健康管理を進めること、生産者等に対する実害や風評被害
への国の補償制度を確立すること等が必要です。
7. 野生生物を守るために、「野生生物保護法」を制定します
このかけがえのない地球は人類だけのものではなく、野生生物との共生(生物多様
性の維持)を図らなければなりません。人間と野生生物との共生とは、人間の諸活動
が野生生物に一方的に負担を強いることのないよう、野生生物の生態系が再生できる
範囲内にとどまるようにすることです。森林の育成や保全はもちろん、農薬や有害化
学物質、工場のばい煙、排気ガス、ダイオキシン、地球温暖化等の被害から野生生物
を守ることが必要です。
開発による河川や森林の破壊、大気汚染、化学物質による水質汚染などさまざまな
要因によって、多くの希少野生生物が絶滅の危機に瀕しています。それだけではあり
ません。メダカのように、一昔前にはどんな小川でも目にすることのできた生きもの
さえ絶滅しようとしています。これは人間のあらゆる活動の結果だということを、私
たちは謙虚に、かつ厳粛に受けとめる必要があります。
野生生物を絶滅の危機から救うためには、単に野生動物の捕獲や採取を禁止したり、
保護するだけでは不可能であり、野生生物の永続的な再生産が可能な環境こそが必要
です。すなわち森林の保全・育成や湿地・干潟の保全はもちろん、農薬や有害化学物
質、工場のばい煙、排気ガスなどの被害から野生生物を守ることを通して、人間と野
生生物が共生できる環境をつくりあげていくことが必要なのです。
人間の活動が野生生物に一方的に負担を強いることのない環境を実現し、野生生物
を守るということは、とりもなおさず人間の健康や生命を守ることでもあります。社
民党は、野生生物が生息できる環境をつくるために、また光輝く太陽の中で子どもた
ちが野生の生物と生き生きと向き合えるように、「野生生物保護法」(仮称)を制定し
ます。
8. 「戦略的環境アセスメント法」を制定します
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あらゆる公共事業に計画の段階から環境アセスメントを徹底し、水源の乱開発や森
林の乱伐を防止します。
中海干拓や吉野川可動堰などの公共事業が環境破壊や無駄な事業の典型として焦点
化し、見直しの必要性が大きく取り上げられていますが、社民党はどの党よりも早く
から、環境保全や住民参加の視点から公共事業を見直すべきことを提起してきました。
①「戦略的環境アセスメント法」を制定し、公共事業を厳しくチェックします
社民党はすべての公共事業をチェックするために「戦略的環境アセスメント法」
を制定することを訴えています。
現在のアセスメント法(環境影響評価法)は、いわゆる事業アセスメントとよ
ばれるもので、計画が実行に移された段階で、その事業の環境に及ぼす影響を判
定するものです。たとえ環境に悪影響が及ぶという評価がされても、それに対す
る措置が施されれば、事業は継続されます。戦略的環境アセスメントとは、事業
計画を策定する段階から、環境へ与える影響をチェックするものであり、計画が
環境に悪影響を及ぼすと判定されれば計画は実施されません。現在、諌早干拓や
中海干拓事業がクローズアップされていますが、環境へ悪影響を及ぼす事業が、
事前になんのチェックもなく実施されてしまうという事態はこれで防止できます。
②市民参加と徹底した情報公開を行います
また公共事業の決定過程を透明にするため、市民参加と情報の公開を徹底させ
ることも必要です。ある公共事業が、どのような審査や論議の経過を経て決定さ
れるのか、これまではあまりに不透明な部分が多すぎました。事業が実施される
地域の住民が理解し納得するためには、参加と情報の公開は不可欠です。さらに
住民の参加によって事業をチェックできるシステムをつくることです。いったん
着手された事業であっても、中止や計画の変更ができるようにしなければなりま
せんし、完成後も環境への影響調査など厳しいチェックが可能でなければなりま
せん。
9. 環境省の機能と権限を強化し、情報公開の徹底と参加型社会を確立します
こうした施策を推進していくためには国の機構や制度、法律を改めなければなりま
せん。すなわち環境省の機能と権限を強化するとともに、環境行政をあらゆる行政の
最上位におき、国の産業・経済政策を環境の観点からチェックできるようにします。
環境省の機能と権限の強化は、企業の情報公開の徹底や参加型社会の確立と一体の
ものです。公的部門、企業、市民運動、NPO、個人のすべてが環境保全のための企画、
立案、実施、評価に参加できるシステムを確立します。
10. 食品衛生法を改正し、食の安全を確保します
雪印乳業のズサンな衛生管理による大量食中毒や輸入が禁止されている遺伝子組み
換え作物 B t コーンの加工食品への混入、安全性が未審査のスターリンクコーンの流入
といった事件が後を絶ちません。スターリンクは日本では安全性が未審査となってい
ますが、アメリカでは安全性に疑問があるとして 2000 年度産はすでに 98%が回収され、
2001 年からは生産中止が決定されているものです。いま食品の安全性に対する信頼が
大きく揺らいでいます。消費者は果たして「食品衛生法」によって守られているので
しょうか。
(1)食品衛生法に消費者の視点を導入します
実は「食品衛生法」には、消費者の立場がどこにも位置づけられていません。食
品に何か問題があったとき、被害を受けるのは必ず消費者なのですが、この法律は
あくまで行政と業者の関係を規定したものです。
(2)消費者の権利を法律に明記します
社民党は頻発する事件を教訓とし、この点を早急に改正して、消費者の知る権利、
消費者が安心して食物を口にできる権利を法律に盛り込みます。消費者の権利を法
的に位置づけるということは、食品の製造過程や製品に対する検査に消費者が直接
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参加するということです。
知識がない消費者に検査は無理だという意見がありますが、そんなことはありま
せん。消費者参加の基礎は企業の情報公開です。情報の公開がなければ、雪印の事
件を見ても明らかなように、専門の行政官であれチェックなどできません。また遺
伝子組み換え食品の混入が判明したのは行政の検査ではなく、消費者団体による検
査でした。緊張感や使命感がなければ行政宮であれ管理者であれ専門家であれ、厳
格な検査やチェックなど望むべくもありません。
11. 海洋開発に挑みます
海洋国日本の地理的特性を活かし人類のフロンティア・海洋開発に挑みます。深海
6500 の先端技術と運用のノウハウを活かし、深海級の潜水艇を複数備えた国際深海研
究センターを創設し、世界の研究者を養成し、人類のフロンティアに挑戦します。産
学共同・交流を進め、眠っている有効な先端技術を活かし、発展途上国も利用できる
多様な技術システムを開発します。技術と社会の最適フィットのシステムアップ、規
制の強化と緩和のバランスを追求します。
いきいき女性
《一人ひとりがいきいきと輝く男女平等の社会へ》
21 世紀を迎えて、日本の女性政策は大きく動いています。1999 年には「男女共同参画社
会基本法」が施行され、各自治体においても男女平等参画条例(名称は自治体によって異
なる)が次々に成立しています。今後は、女性差別撤廃条約と同基本法をテコとして、現
行法や社会保障制度等を点検、改正していくことが課題となります。
特に、雇用の分野における男女平等の実現は重要な課題です。1997 年に改正された「男
女雇用機会均等法」は、雇用におけるすべての男女差別を禁止しました。しかし、男女の
賃金格差が示すように、その実効性はまだ不十分です。さらに雇用形態が多様化し、女性
は非正規雇用に追いやられています。「同一労働同一賃金」原則の実現、雇用形態による差
別禁止の法制化は急務です。
いま、政府は、 仕事と家庭の両立支援策 として「育児・介護休業法」に関する改正案
を準備しています。社民党は政府案よりも内容を充実し、パート・派遣なども対象労働者
とするよう求めています。
この 4 月には、超党派の女性議員の尽力で「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護
に関する法律」(DV 防止法)が成立しました。今後も、社民党は、夫やパートナーからの
暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)防止など、女性への暴力の根絶に向けて取り
組みます。
ライフスタイルが多様化する中で、固定的な性別役割分業を前提に、企業社会で働く男
性をモデルとした諸制度は行き詰まっています。この不安感、閉塞感を打開するには、男
女平等の推進こそが鍵となります。
社民党は日本で初めて男女同数の国会議員を実現した政党です。社民党は、「男女雇用機
会均等法」「育児・介護休業法」「子ども買春・子どもポルノ禁止法」「男女共同参画社会基
本法」などの成立・改正に中心的な役割を果たしてきました。また、いち早く女性の政党
リーダーを選出し、女性候補者の擁立・支援を積極的に行い、女性の声を政治に反映させ
るよう努めています。
私たちは、政治、経済、社会、あらゆる場面に女性が参画することで、一人ひとりが尊
重され、女性も男性もいきいきと暮らせる社会づくりを目指しています。
1. 女性議員を増やします
①女性議員ゼロ議会をなくし、男女の議員比率を定めた割り当て制(クォータ制)
の導入を検討します。
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②小選挙区制、非拘束名簿式比例代表制等を見直し、女性が出やすい選挙制度の実
現に努力します。
③政治倫理の確立を徹底し、供託金の引き下げなど、お金のかからない選挙制度を
検討します。
2. 女性の参画を応援します
①国や地方の委員会・審議会の構成メンバーをチェックし、女性委員ゼロの状態を
なくします。女性の比率は 40%以上(国の目標は 30%)を目指します。
②公務員への女性の採用を増やし、管理職への登用を促進します。
③企業に、女性の採用・昇進・昇格・昇給などについて、積極的な取り組みをする
よう働きかけます。
④女性の起業家を支援する基金制度をつくります。
⑤農山漁村、自営で働く女性たちの労働を正当に評価し、経済的な保障、年金権の
確立など、地位向上に努めます。
3. 女性差別撤廃条約の実現に努力します
①世界の女性たちが積み上げてきた女性差別撤廃条約、1995 年北京女性会議行動綱
領、国連女性 2000 年会議成果文書などを国内の法制度に積極的に活かし、実効性
のあるものにします。
②ILO156 号条約(家族的責任をもつ男女労働者の権利保障)の定着と、ILO175 号条
約(パートタイム労働者の均等待遇保障)の早期批准を目指します。
③女性差別撤廃条約選択議定書(個人への人権侵害を国際機関によって救済するた
めの個人通報制度などを含む)の早期批准を目指します。
4. 男女共同参画社会基本法の実効性を求めます
①女性差別撤廃条約の理念に則り、男女共同参画社会基本法の具体化を促進します。
②同基本法に基づいて、固定的性別役割分業を前提とした各法律や雇用・社会保障
制度などの見直しに着手します。
③各自治体において、地域実態を反映させた男女平等参画条例(仮称)と基本計画
の制定を促進します。
5. 女性が個人として尊重される法律・制度をつくります
①選択的夫婦別姓の導入、婚外子への相続差別是正、婚姻年齢の男女同一化、女性
のみの待婚(再婚禁止)期間の見直しなど、民法改正を早期に実現します。
②世帯単位の賃金、年金、保険、税制度を個人単位へ見直し、女性が自立して生活
できる公平な制度に変えます。
③女性に多くの負担がかかっているアンペイド・ワーク(家事、育児、介護などの
無償労働)を男女が共に担えるように法・制度を整えます。アンペイド・ワーク
を社会的・経済的に評価し、年金などに反映させる仕組みを検討します。
6. 女性に対するあらゆる暴力をなくします
①社民党は関係者の意見を聞きながら、どの政党よりも早く、夫やパートナーから
の暴力(ドメスティック・バイオレンス)防止に関する立法化に取り組んできま
した。その努力が土台となって、第 151 国会において、「配偶者からの暴力の防止
及び被害者の保護に関する法律」
(DV 防止法)が超党派で成立しました。今後も、
同法の運用状況を踏まえながら、DV をなくしていくための施策を強化します。
②米軍基地周辺で多発する女性に対する暴力の根絶に向け、基地の整理・縮小・撤
去に取り組みます。
7. 雇用差別をなくします
①賃金差別、間接差別、セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)など、雇用
における差別を解消し、男女同一価値労働・同一賃金原則を実現します。
②パート・派遣労働者と正社員との均等待遇原則を立法化し、働く権利を保障しま
す。
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③新卒女性について就職支援を行うとともに、雇用の門戸を広げるよう企業に働き
かけます。
④中高年の再就職を支援し、雇用における年齢差別をなくします。
8. 家庭と仕事の両立を応援します
①育児・介護休業法を発展させ、看護休暇制度などを加えた「家族的責任を有する
男女労働者の仕事と家族的責任の両立を保障する法律」をつくります。
②育児・介護休業中の所得保障(2000 年は 25%、2001 年から 40%)をさらに引き
上げ、男女ともに育児・介護休業を取りやすくします。
③男女共通の労働時間の短縮、時間外・休日労働、深夜業の規制に取り組みます。
9. 子育て支援を充実します
①子どもへの暴力・虐待をなくし、子どもたちの健やかな成長を保障する環境整備
に取り組みます。
②育児の不安に応える相談所を地域につくり、親・保護者と保健婦・医師・カウン
セラーらが連携を取れるよう支援体制を整えます。
③保育園、学童保育所の待機児をなくし、地域の保育ニーズに合わせた子育て支援
施策を拡充します。
④ひとり親家庭への支援を充実します。
⑤地域の子育て経験者を活用し、子育てを支え合う柔軟な制度を検討します。
10. 女性の健康支援に取り組みます
①生涯を通じた女性の健康と自己決定権(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)を
保障する新しい法律をつくります。
②刑法の堕胎罪を撤廃し、母体保護法を見直します。
③若い世代をはじめ誰もが利用しやすい、性やからだに関する相談所を各自治体に
つくり、幅広い情報の提供とカウンセリングを行います。
④健康保険からの出産育児一時金に加え、国の一般財源からも出産手当を支出して
出産費への補助を倍増させます。
⑤乳幼児医療に対する国庫負担を増額します。
11. 男女平等教育をあらゆる横会を通じて実現します
①ジェンダー・フリーの学校づくりを進めます。男女混合名簿を定着させ、平等実
現に向けた教育実成を支援します。
②公務員・企業の研修等に男女平等の視点を徹底させます。
③マスメディアによって、女性差別や偏見・女性への暴力が助長されないよう、マ
スメディアの啓発を行います。
12. 女性の視点から平和をつくります
①憲法を生活に活かすとともに、第 9 条を世界に発信し、武力に頼らない平和貢献
を追求します。
②アジア太平洋地域の女性たちとの交流を通じて平和外交を進めます。
③アジア太平洋戦争時、日本軍による性奴隷制の被害者となった元従軍「慰安婦」
に対して謝罪と補償の法律をつくります。
子ともに希望
《21 世紀にすべての子どもたちによりよき人生への
あこがれ を贈ろうではありませんか?》
1. 21 世紀の出発に当たって、世界の子どもの憲法といわれる「子どもの権利条約」を中
心に、日本国憲法・教育基本法を、あらゆる教育の場に根づかせ、具現化していきます
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20 世紀は(戦争と平和)に人類が苦悩した世紀でもありました。第 1 次世界大戦・
第 2 次世界大戦のあと、戦争という「最悪の利益」を子どもたちに与えてきたことを
反省し、「児童の権利宣言」を発しました。
1989 年 11 月 20 日に国連で採択した「子どもの権利条約」を、日本政府は 1994 年に
やっと批准し、今年は 7 年目を迎えます。しかし、子どもの権利に関する状況は一向
によくならず、むしろ悪化の一途をたどっているかのようにも見えます。
子どもの権利条約には、第 3 条「子どもの最善の利益」、第 12 条「子どもの意見表
明権」、第 31 条「休息、余暇、遊び、文化的、芸術の権利」等が謳われています。
「一人ひとりは違い、かけがえのない存在として平等である」。これが憲法・教育基本
法・子どもの権利条約を貫く「子どもの最善の利益」です。
社民党は、この理念が実現できる教育を保障します。
2. 大切な地域の教育力を回復するため、地域独自の民主的教育改革を子どもと大人の共
同作業でつくります
いわゆる「17 歳問題」「いじめ」「不登校」など、子どもをめぐる問題の根底には、
とめどない市場経済の流入で、家族と地域社会(共同体)が壊れつつあることが要因
の 1 つになっていると指摘されています。人と人、人と自然、自然と自然の関係性(か
かわり合い)の知恵を子どもに育む原点が「地域共同体」であるにもかかわらずです。
私たちは、この豊かな地域教育力の回復を教育改草の大切な柱と考え、地域の保護
者・教育関係者・住民、そして子どもの声を取り入れた民主的な教育改革を進めます。
教育の改草は、誰がどのように行うのかという「プログラム的改革」が重要なのです。
3. 豊かな教育環境を保障するため、教育予算 GDP(国内総生産)5%水準の達成に向け、
「10 カ年計画」をつくります
「お金をかけない教育改草」、これが現在の政府のやり方です。日本の教育予算は GDP
のわずか 3.7%にすぎません。一人ひとりの子どもの顔が見える教育環境をつくるため
の条件整備には、思い切った教育のための財政出動が必要です。アメリカの教育予算
は GDP の 5.1%です。私たちは、教育予算を「世界標準」といえる GDP5%水準とする
ための「10 ヵ年計画」をつくり、着実な実行を図ります。
(1)2002 年完全学校 5 日制を学校ルネッサンスの出発点にします
2002 年から 120 年間続いた週 6 日制の学校登校日が、週 5 日制になります。5 日
制のメリットを最大限発揮させる観点から、「仲間のいる楽しい学校」と「ゆとりと
真の学力」の 2 点で学校ルネッサンスを図ります。
そのため、①学習指導要領の一層の大綱化(基本的に教えなければならない最低
限の内容にする)と地域カリキュラムセンターの設置 ②評価手法の改善 ③内申
書の本人・保護者に対する公開制度の創設 ④活力ある職員室 ――などを進めます。
(2)共に学び、共に生きる学校をつくります
「一人ひとりは違い、かけがえのない存在として平等」が実現できる教育を保障
します。このため、人権、平和教育を推進します。学校のバリアフリー化を図り、
障害を持つ子と持たない子との「共生教育」に積極的に取り組みます。また、社会
的、文化的につくられた性別役割分業意識などにとらわれないジェンダー・フリー
の学校をつくります。
(3)地域社会の「きずな」としての学校にします
学校は、地域社会の情報と文化のセンターです。このためにも「社会の最善のも
の」が完備された施設水準の達成に取り組みます。
教育の地方分権と情報公開を進め、「学校協議会」を創設するなど、地域の人びと
と子どもたちが一緒になって、未来を切り拓く学校づくりを進めます。また、24 時
間子どもサポートシステムを確立します。
教育委員会の民主化(公選制)を進め、地域の優れた人材の教育への参加を求め
ます。
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(4)地域合同総合制高校を中心に高校教育の準義務化を進めます
「15 の春」の選抜適格者主義が子どもたちの心に大きな影を落としています。高
校間格差を見直すために地域合同総合制高校をつくることを進めます。
また、定時耐高校、通信教育、夜間中学校の役割を重視し、そのために必要な財
政支出を積極的に行います。
(5)生涯輝くための豊かな生涯学習体系を重視します
市場万能経済の下で階層格差が拡大しており、教育機会の不平等が広がりつつあ
ります。すべての学ぶ者に豊かな生涯学習を保障するため、「生涯学習推進 5 ヵ年計
画」を進めます。
(6)「子どもルネッサンス 10 カ年計画」を策定します
21 世紀の希望であり、民主社会の主権者である子どものために、
「教育と平和は最
大の安全保障である」という考えによる「子どもルネッサンス 10 ヵ年計画」を策定
します。
①防衛予算を大幅に削減し、子どものための教育予算に振り向けます。
②学校の生徒定員を 800 人以下(中規模校)に押さえ、学級生徒数は 20 人以下とし
ます。(当面、30 人以下学級を目指す)
③海外からも含め教職員を 1.6 倍に増やします。事務・栄養職員(栄養教諭制度の創
設を含む)の国庫負担を堅持します。また、教職員の権利保障に努めます。
④校舎・教室・保健室(子どもの心身の健康を守る養護教諭の増員および複数配置
の推進を含む)・給食室・トイレ等の教育環境の改善・整備を進めます。
⑤すべての市町村に「エコスクール」(自然と環境について親も子も学ぶことのでき
る体験学校)を設置します。
⑥IT 格差をなくし、メディア(媒体)
・リテラシー(メディアが提供する情報等を批
判的に読み解き、活用する能力)を育てます。
(7)教員・住民参加の教科書採択制度を確立します
教科書は、子どもたちの正確な情報認識と判断力を養うための重要な糧です。子
どもたちに適した教科書を選ぶことができるのは、日々子どもたちと深くかかわっ
ている教員だと考えます。教科書採択に当たっては、教員の意向が反映されるため
の条件整備を図るともに、父母・住民参加の制度的保障なども積極的に進めます。
この前提のもとに、教科書検定制度の廃止に取り組みます。
(8)高等教育の質の充実のために GDP1%投資を行います
アメリカの高等教育への財政支出は、GDP1.1%であるのに対し、日本は 0.8%です。
高等教育の基礎研究の立ち遅れを改善するために、早期の 1%水準達成を実現します。
(9)多様な価値(観)を育むために一層の私学助成を進めます
公教育を担う車の両輪が、公立学校と私立学校です。
しかし、そこでの教育条件には、容認しがたい格差が存在します。公私同格差の
是正を積極的に進めるため ①授業料減免制度の抜本拡充 ②私学における 30 人以
下学級実現のための補助 ③バリアフリー化のための特別助成 ④私大等の教育・
研究の充実へ経常経費に対する 2 分の 1 助成の実現――などに取り組みます。
(10)機会均等を保障できる奨学金・育英制度を充実させます
奨学金制度の抜本的な充実は、教育の機会均等を保障するための不可欠の前提で
す。国公私関係なく奨学金・育英制度を充実させます。無利子奨学金の拡充を図る
とともに、選考基準については経済的条件のみとする改善も行います。同時に、給
費奨学金制度創設に向けた検討も進めます。また、アジアを中心に留学生 30 万人の
奨学制度を設立します。
(11)子育て支援と子育ち支援の統合、保育の−元化を推進します
子どもたちが地域でゆっくり育つ時間・場所を保障するための保育一元化(幼稚
園と保育園の機能の一元化)を進めます。
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(12)「学社融合」による豊かな校外生活の充実を図ります
学校教育と社会教育を融合した教育プログラムを充実させるために、図書舘・博
物館の学芸員、スポーツ指導者、市民ボランティアなど、人的、物的条件を整備し
ます。
(13)教育の地方分権を推進します
教育の地方分権を一層推進します。そのために地方教育委員会に予算権を付与し、
地域の実態を反映した教育計画の推進を可能とさせます。
(挿絵:だいじなものは!
平和憲法
憲法九チャン)
政治にけじめ
《きれいで信頼される公正な政治を実現します》
古関 KSD 理事長の背任事件から端緒が開かれた KSD 問題は、村上・小山の両参議院議
員が逮捕されることなどによって、単に古関被告個人の問題ではなく、政府・自民党中枢
にまで及ぶ重大事件であることがはっきりしました。KSD 疑獄は、自民党総ぐるみの構造
汚職であり、政・官・業の癒着の典型です。不況にあえぐ中小企業を喰い物にした、古関
被告の行動と自民党の錬金術は許せません。私設秘書を対象に加えるなどあっせん利得処
罰法を強化改正します。また、政治家個人への企業・団体献金が禁止されましたが、「政党
支部経由政治家個人行」などの抜け道が多く、政治資金規正法附則第 10 条の趣旨にかんが
み、政党に対する企業・団体献金も禁止すべきです。とりわけ、ゼネコンや公的資金導入
を求めた銀行、公益法人からの政治献金・迂回献金を即刻禁止すべきと考えます。
民意の反映を弱め、得票率と議席率の乖離、死票の増加、一票の価値の格差の拡大など、
小選挙区比例代表並立制度の欠陥は明らかであり、衆議院の選挙制度を死票をなくし民意
を反映する公正な制度とするため、中選挙区複数連記制、完全比例代表制、小選挙区餅用
型比例代表制の 3 つの案を基本に選ぶ側である有権者の立場で検討します。また、女性や
現場の活動家の立候補の機会を制限することにつながる党利党略の参議院比例区への非拘
束名簿式導入には大きな問題があり、参議院の機能強化・活性化の議論と合わせて、議院
内閣制の弱点を補完して衆議院および内閣に対するチェック・アンド・バランスを発揮し、
国民の多元的な意思をよりよく国会に反映するという観点から、民主主義を強化する新し
い二院制としての参議院にふさわしい選挙制度への見直しを進めます。
すべての人の選挙権を保障する立場で、洋上投票の改善、外国人住民に対する地方選挙
権の付与、在外選挙制度の改善、青年の政治参加の推進、選挙のバリアフリー化などに取
り組みます。また、誰もが立候補する権利を保障されるように、供託金制度を見直すとと
もに、会社などを退職しなくても立候補できる制度として、「公職休暇復職制度」を導入し
ます。
1. 政治倫理の確立と政治腐敗の防止を進めます
(1)政治とお金の関係は有権者が判断します
政治家とお金の関係は、しっかりオープンにして有権者の判断を仰ぐべきです。
私設秘書を対象に加えるなどあっせん利得処罰法を強化改正するとともに、
「政治倫
理委員会」を常任委員会として設置します。
(2)国会も国民にオープンにします
国民の不断の監視と批判を進めるため、「国会情報公開法」を制定するとともに、
国会議員の資産公開の内容の改善、IT を活用した公開の実施を進めます。
(3)企業・団体献金は禁止します
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営利団体である企業が企業利益を目的としない政治献金を行うのは、株主に対す
る背信行為です。①政治に対する国民の不信の解消を図る、②企業と政治家の不透
明な関係が政治腐敗の温床である、③政・官・業の癒着構造を断ち切る、④全国民
の代表である政治家が特定の利益の実現を求めて公共の利益を損なうことがないよ
うにするなどの理由で、社民党は企業・団体献金の禁止を訴えています。政治家個
人への企業・団体献金が禁止されましたが、「政党支部経由政治家個人行」などの抜
け道が多く、政治資金規正法附則第 10 条の趣旨にかんがみ、「政治の構造改革」と
して政党に対する企業・団体献金も禁止すべきです。とりわけ、大幅な赤字決算に
陥っている建設会社や公的資金導入を求めた銀行などが政治献金を行っていますが、
それら企業の政治献金は国民を裏切ることであり、即刻中止すべきと考えます。あ
わせて KSD 事件の反省を踏まえ、各種の優遇措置を受けている公益法人による任意
団体を使った政治献金(迂回献金、党費立て替え・肩代わりを含む)も禁止します。
(4)政党助成法を見直します
政党助成制度は、議会制民主主義を担う政党が利権を媒介にしたアンフェアな資
金に依存することがないよう、活動資金の一部を民主政治のコストとして国民が負
担するものであり、基本的には、将来ともに育成すべき制度であると考えます。中
島洋次郎元衆議院議員の政党助成法違反事件を踏まえ、政党内における交付金の交
付先を限定・透明化します。穏健な多党制を志向する立場から、①算定基礎を人口
ではなく有権者数にすること、②死票が大きく得票率と議席率が乖離している並立
制の下では、議員数割ではなく得票数割を重くすべきこと、③スウェーデンやイギ
リスのように野党に手厚い配分をすべきこと、などについて検討のうえ制度を見直
します。
2. 腐敗防止と民意の反映が選挙制度改革の原点です
(1)民意の反映する公正な選挙制度にします
民意の反映を弱め、得票と議席率の乖離、死票の増加、一票の価値の格差の拡大
など、小選挙区並立制の欠陥は明らかです。衆議院の選挙制度を死票をなくし民意
を反映する公正な制度とするため、中選挙区複数連記制、完全比例代表制、小選挙
区併用型比例代表制の 3 つの案を基本に選ぶ側である有権者の立場で検討していま
す。
(2)参議院を強化します
女性や現場の活動家の立候補の機会を制限することにつながる参議院比例区への
党利党略の非拘束名簿式導入には大きな問題があります。参議院の機能強化・活性
化の論議と合わせて、議院内閣制の弱点を補完して衆議院および内閣に対するチェ
ック・アンド・バランスを発揮し、国民の多元的な意思をよりよく国会に反映する
という観点から、民主主義を強化する新しい二院制としての参議院にふさわしい選
挙制度への見直しを進めます。
(3)民主主義に反する議員定数削減に反対します
選挙制度や議員の定数を、経済行為や効率性と一緒に取り扱うべきではなく、「公
務員の定数削減や民間における経営の合理化、組織全体の変革」を理由として与党
が強行した定数削減は、民主主義の理念・方法と全く相容れないと考えます。特に
比例区の定数削減は、小選挙区部分の欠陥を拡大し、民意の反映を弱めることにな
り、反対です。
(4)「地方自治の日」を制定します
地方自治の振興、自治体選挙への関心の増大、世論の喚起、投票率の向上の観点
から、自治体選挙の期日を年 1 回「地方自治の日」に統一します。
(5)諮問的国民投票制度を導入します
国政を二分するような重要な問題は、主権者に直接判断を求め、その意思を尊重
することが大切です。憲法との整合性を踏まえ、諮問的国民投票制度の導入を検討
27
3.
します。
みんなが選んで選ばれるようにします
(1)洋上投票を改善します
長期航海中の日本人船員のファックスによる洋上投票が実現しましたが、対象選
挙・対象船舶の拡大などの残された課題の解決に努力します。
(2)「外国人も住民」―地方選挙権の付与を行います
「外国人も住民」という観点から、定住外国人が自治体の行政に対して意見を表
明することは当然の権利です。最高裁判所の判断も踏まえ、在日団体などの意見を
承りつつ、地方選挙権を付与するための法改正に努力します。
(3)在外選挙制度の充実を進めます
在外選挙制度が実現しました。実施状況の反省を検証し、登録方法や投票方法を
簡略化、簡便化するなど在外選挙人にとって利用しやすい制度となるよう改正しま
す。
(4)青年の政治参加を促進します
青年の政治参加を進めるため、選挙権を行使できる年齢を 18 歳へ引き下げるとと
もに、被選挙権を 20 歳へ引き下げます。
(5)「選挙のバリアフリー化」を進めます
投票所案内はがきの点字化や点字名簿の設置、郵便投票方式の活用、車椅子用記
載台の設置や出入口のスロープ化等、投票方法や投票所の環境改善などを積極的に
検討するとともに、選挙公報や選挙放送のあり方を見直し、障害者の方がより簡便
に選挙に参加することができるようにします。また、公正・平等な選挙運動を保障
する観点から、選挙費用の上限の弾力化など障害者の立候補者の選挙運動に対する
支援措置を検討します。
(6)戸別訪問の自由化を行います
本来、選挙運動は自由であるべきであり、戸別訪問の自由化、立会演説会の開催
など、有権者との対話を重視する観点から、選挙運動のあり方を見直します。また、
連座制による立候補制限の対象を、当該選挙以外の他の種類の選挙にも拡大します。
(7)「選挙の IT 化」を進めます
政党や政治家の情報を入手する機会を拡大するため、インターネットを利用した
選挙広報活動を解禁します。なお、プライバシー保護やセキュリテイ、データの信
頼性に疑問が残る電子投票については慎重に対応します。
(8)みんなが議員になれるようにします
誰もが立候補する権利を保障されるように、会社などを退職しなくても立候補で
きる制度として、「公職休暇復職制度」を導入します。また、世襲候補者による親と
同じ選挙区からの立候補の制限を検討します。有為の人材や少数政党の進出の障壁
となっている供託金制度を見直します。
がんこに平和
《平和憲法の理念を世界に拡げ、軍事力によらない平和を実現します》
1.
安全保障のビジョンを転換します
2000 年 6 月 13 日、ピョンヤン空港に降り立った大韓民国の金大中大統領は朝鮮民主
主義人民共和国の金正日総書記と堅い握手をかわしました。朝鮮半島の緊張緩和を象
徴する場面でした。東西冷戦崩壊後も対立の構造が根深く残されていた北東アジアの
状況は、今や急速に変化しています。東西対立を前提とした安全保障体制はその役割
を終えました。
28
2.
3.
4.
5.
これまで、社民党は日本国憲法に掲げられた軍備なき世界を目指し、この理念を世
界に拡げながら、軍事力によらない安全保障体制を築くことを党の主要な目標として
きました。冷戦下では理想にすぎなかった平和憲法の理念は、今、ようやく現実的な
可能性を持ちうる課題となりつつあります。21 世紀の平和と安定はこれまでのように
国家間の力関係や軍事力の均衡からだけ考えるべきではありません。安全保障に関す
る発想を転換し、経済開発、環境保全、人権など「人間の安全保障」の観点を中心に
据え、政府間だけではなく民間や自治体間の交流、NGO の活動などを、21 世紀の国際
社会の主要な構成要素として位置づけていくことが求められます。
世界は、軍事ブロック間の対立と均衡のシステムから、多国間の信頼と協調に基づ
く新しい安全保障体制の構築に向かって模索を続けています。ヒロシマ・ナガサキの
悲惨な体験を持ち、世界に誇る平和憲法を持つ日本こそが、新しい平和な 21 世紀を築
くためにリーダーシップを発揮することを求められているのではないでしょうか。
憲法第 9 条の理念を世界に拡げます
①社民党は平和憲法の精神を世界に発信しながら、一切の暴力がない平和な世界
をつくるために努力を続けます。
②憲法第 9 条の規定を国家の意思として世界に知らしめるために「非核不戦国家」
を宣言する国会決議を行い、国連に「非核不戦国家の地位」の承認を求めます。
③国民の基本的人権を侵害する有事法制の立法化に反対します。また、周辺事態
法を発動させない取り組みを進め、地方自治体や民間、国民への戦争協力の強
制に反対します。
自衛隊の縮小と平和憲法の理念の実現を進めます
①憲法第 9 条の下に「平和基本法」を制定し、肥大化した自衛隊の規模や装備を
必要最小限の水準にまで縮小します。将来的にはあくまで武力のない日本を目
指します。
②防衛関係費の最大限の縮減を目指します。防衛調達をめぐる不祥事の再発防止
のためにも、自衛官の天下りなどの「軍産癒着」の構造を解体し、防衛予算の
透明化を図ります。
③軍事組織の独走を許さないために、文民が自衛隊の統制権・指揮権を持つ「シ
ビリアン・コントロール」の理念を実質化し、非核 3 原則、武器輸出禁止 3 原
則を厳格に守ります。
④専守防衛の範囲を超えることが明らかなイージス艦、空中給油機、空母等の装
備の保持には断固反対します。
⑤多国籍軍等への自衛隊の参加は、憲法が禁じる武力行使そのものであり、強く
反対します。
⑥多数の自殺事件に表れている自衛隊内部での人権侵害を防ぐために、自衛官の
基本的人権を保障する制度を創設します。
日米安保体制を転換し、基地のない日本に
①最も過重な負担を押しつけられている沖縄を最優先に、全国の在日米軍基地の
整理・縮小を進め、地域住民の負担を軽減します。
②在日米軍の使用施設・区域・裁判管轄権・経費の分担などを規定している日米
地位協定を改訂し、早期にドイツの「NATO 軍地位協定」並みの国内法優位の原
則を確立します。在日米軍の駐留経費の負担について定めた特別協定を見直し、
本来負担する必要がない「思いやり予算」を大胆に削減します。
③基地を縮小・閉鎖するために「基地基本法」を制定し、雇用対策や跡地利用、
汚染対策などを計画的に行います。
④将来的に日米安保条約の軍事同盟の側面を弱めながら、その役割を終わらせ、
経済や文化面での協力を中心にした平和友好条約への転換を目指します。
非軍事の国際協力の推進
29
6.
7.
①海外の大規模災害に国際緊急援助隊、発展途上国のために青年海外協力隊など
を積極的に派遣し、平和協力を推進します。
②国連平和維持活動(PKO)への参加にあたっては、PKO5 原則を遵守し、平和維
持軍本体業務への参加凍結を維持し、人道的な国際救援活動などに徹します。
③政府開発援助(ODA)を社会開発、人権、女性支援、環境保全など「人間の安
全保障」重視に転換します。そのためにも ODA の基本原則を定めた「ODA 基
本法」を制定して、国会への報告を義務づけると同時に、計画実施前後のアセ
スメント、評価に NGO、相手国民などが参加できる援助システムを確立します。
日米二国間同盟への依存から多国間安全保障システムの構築へ
①日米二国間関係への過度の依存を改め、アジア・太平洋の多国間安全保障対話
を推進させなければなりません。「ASEAN 地域フォーラム」
(21 ヵ国・1 機関)
など地域的な安全保障対話の回路を拡充し、地域の信願醸成、予防外交を促進
します。
②ARF や OSCE(欧州安保協力機構)にならって、北東アジア地域に「北東アジ
ア総合安全保障機構」の設立を目指します。
③北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との団交正常化を早期に実現し、朝鮮半島
の南北和解と統一への努力が後戻りすることがないよう支援します。
北東アジアに非核地帯を創設し、核も戦争もない 21 世紀へ
①すべての核兵器国による先制不使用宣言を呼びかけ、非核兵器国が結束して条
約化を目指します。また核兵器の核を大幅に削減すると同時に、CTBT の発効や
カットオフ条約や武器輸出禁止条約の具体化を図り、核兵器禁止条約の実現を
目指します。
②すでに地球の南半分を覆った非核地帯を、北東アジア地域にも広げます。日本、
韓国、北朝鮮、モンゴルの非核保有国 4 ヶ国による「北東アジア非核地帯」を
創設し、核兵器国にその承認を求めます。
③安全保障理事会のあり方を見直すなど、国連の民主的改革を推進し、大国主義
ではない民主的な国連を目指します。国連の紛争予防能力を高めるなど、世界
平和への国連の役割を強化します。
(挿絵)
2001 参議院選挙政策集
12 の重点政策
経済政策
《やさしさ、やすらぎ、やる気をつなぐために》
1993 年以来、累次の経済政策・対策が打ち出されてきたにもかかわらず、日本経済は、
力強い回復軌道を歩めずにいます。原因はいうまでもなく、「その場しのぎ」の対策にとど
まってしまったからです。
そろそろ学習効果を発揮し、中長期にわたる望ましい社会・経済のあり方などを見据え
た有効需要創出の観点から、「何が必要か」に政策目標が収斂されなくてはなりません。
社民党が提唱する「やさしさ(温もり)、やすらぎ(安心)、やる気(健全な活力)」を結
ぶ ―― ほっとする 「経済政策」の眼目は、人間を効率化という美名の下に使い捨てにす
るような自公保連立政権の手法の対極にある、
「人間の顔」をした経済再生を進めることに
30
尽きます。またそれは、社民党が「依拠すべき」額に汗して働く労働者や社会的な支援を
必要とする方々に届く、 国民総ぐるみ の経済政策としての集大成でもあります。
社民党の存在価値は、質の高い福祉サービス等を、いかに提供できるかにあります。歳
出部門でこそ政策能力が問われる政党といえます。この目的意識が社民党の経済政策を貫
く「背骨」です。
ほっとする 「経済政策」は、労働が支える福祉社会の創造へ「構造改革」を進め、そ
の成果の公平な享受を通じ、生き甲斐が持てる生活を保障する「再分配政策」の構築など、
21 世紀を展望した優れた構想力が基調となっています。
この土台のうえに、
(1)システム・人材づくりのための財政シフト
「時代の要請」に応えうる分野への適切な資源配分を進める観点から、職業能力
開発、福祉、教育・文化・スポーツ、安全な水・食料の確保、リサイクル(リサイ
クル商品の流通市場の形成・活性化策を含む)などの充実、強化に向けた「システ
ムづくり」「人材養成」に重点を置いた財政投入。
(2)働く者の誇りや権利が大切にされる雇用
中高年世代などの「誇り」と「持てる力」を引き出せる仕組みの確立。とりわけ、
「協同による自立」(起業・創業など)を強力に応援するための法制度の制定(ワー
カーズ・コープ法)や、税制・融資・再訓練などの施策の体系的整備。
また、男女の「家族的責任(育児・介護・看護など)と仕事の両立」を確保する
ための支援策等の拡充強化。
(3)ライフラインとしての TV 電話の貸与など
「暮らしの安心と安全」を支えるとともに、地域過疎だけではなく、福祉過疎・
情報過疎(独居老人等の情報疎外)をなくすなど、生き甲斐レベル向上の 決め手
となりうるライフラインとしての福祉・生活関連の情報ネットワーク網(TV 電話の
貸与など)の全国的整備。
(4)地域のやる気を応援する日本版「地域再投資法」の制定
自立を目指す地域の「元気」
「やる気」を支援するため、中低所得者層や女性、中
小ビジネス・ベンチャー企業などへの公正な融資を金融機関に義務づけ、「地域全体
の需要」に応えていくことを目的とする日本版「地域再投資法」の制定。
(5)「地域再生交付金」の創設および市民公募の「福祉地方債」の発行
ベンチャー企業の支援、地域雇用の創出、地場産業の育成など、地域を基盤とし
た景気対策を行うための「地域再生交付金」(仮称)の創設。
また、地域産業の振興、まちづくり、雇用の確保などの実現に向けて、公平性・
中立性を保ちつつ「市場の失敗」を補完する役割を持った政府系金融機関の効率的
な活用で、金融ビッグバンに伴う地域(金融)の不安を解消。
同時に、福祉のセーフティネットを整備するとともに、地域の資金還流を進める
ための、市民公募の「福祉地方債」の発行。
(6)「高齢者・障害者対応型」公共住宅の大量供給など
介護機器の公的リース制度の整備や、「高齢者・障害者対応型」公共住宅の大量供
給。また、介護問題は「住宅問題」に行き着くとの明確な認識に基づく、納税者の
主体的な取り組みに対する助成(要介護者向け住宅の増改築費に係る税額控除制度
の創設)。
(7)高コスト構造の是正
わが国の基礎的「生活財」の高コスト構造の影響を強く受けている高齢者などの
生活費を軽減する総合的な経済・社会政策の推進。とりわけ、公共料金制度の抜本
的な見直しなど。
(8)交通手段等の早期オールバリアフリー化
高齢社会の急速な進展に対処していくうえで不可欠な交通弱者などの移動制約の
31
解消を図る観点から、駅舎などをはじめとする「交通起点」や交通手段の迅速なオ
ールバリアフリー化の早期達成――等々、
社民党の「経済政策」には、
「先行きの生活不安」解消へ 実際に効く 中身が網
羅されています。
新たな世紀の扉が開かれましたが、雇用不安に象徴される「市場万能主義」の矛
盾の激化は収まりそうもありません。
社民党の経済政策は、この克服のための処方箋として ほっとする という「こ
とば」に、不退転の決意を込めたのです。
税財政改革
《安心を構築するための財政構造の「改革」》
社民党は老後や雇用などの将来不安を解消し、生活の質的向上に直結する歳出の重点
化・効率化に取り組みます。
職業能力開発や雇用安定策、福祉、環境分野など 21 世紀を展望する「社会的セーフティ
ネット」の構築や「最上、最高」の教育実現のための政策を強力に進めます。
「国民自らが選ぶ」サービスの提供に伴う費用については、まずは歳出構造の効率化によ
って賄います。しかし、足らざる部分は「公平性が確保された負担」を前提に、「Pay−as
−you−go の原則」(歳出増に見合う、厳格な財源手当を講じる)に基づき、国民的な合意
形成に取り組みます。
なぜなら、この選択は、自らの政策に責任をもつ政党である限りは自明でもあるからで
す。
1. 何のための財政構造の「改革」か――わが党の基本的考え
(1)数字合わせの財政均衡でなく、「構造」自体の改革を行います
帳尻合わせに終始し、負担増と公共サービスの低下という、痛みを国民に一方的
に強いる手法・選択は容認できません。財政危機を生み出した「構造」そのものを
徹底的かつ集中的に見直します。
(2)人間と環境優先の「未来への歳出」を行います
「しがらみと惰性の歳出」を、
「未来への歳出」
(投資)へと大胆に切り替えます。
とりわけ、雇用安定や子育て・介護などの社会サービス、 宝の山 となるべき教育・
科学研究や環境保全などに、財政ベクトルを集中します。
(3)国民本位の改革の実現で、「創造的福祉社会」を実現します
国民の負担を、一人ひとりの「安心とゆとり、豊かさ」に活かすことができる、
21 世紀を展望した「創造的福祉社会」を実現します。
2. 鮮明な「改革原則」を提示します
(1)徹底した情報公開(国民監視)を行います
予算の査定、配分過程などの情報開示を進めるとともに、目的に沿った形で予算
が執行されているかを点検できるシステムを構築し、透明でわかりやすい財政制度
を確立します。
地方財政においても、中央依存から脱却し、住民ニーズに合う事業・施策への精
査・重点化を図るため、情報公開や住民参加を進めます。
(2)地方への財源移譲と「現物給付」を拡充します
国庫補助金を縮小し、自治体への税財源移譲を進め、市民福祉の担い手である自
治体の「歳入の自治」を確立します。
現在の連立与党に顕著な現金バラマキ手法を大転換します。介護や育児支援など
の福祉、「社会の最善のもの」が整備された教育・学校施設、交通(生活バス路線な
どの維持・拡充) ――等々、生活密着型サービスについては、自治体の創意工夫や
32
個性の発揮が可能となり、また、サービス水準・内容などの向上のために受益者の
「意思反映の回路」が確保できる「現物給付」を重視します。
(3)有名無実な公債政策に幕を下ろします
費用対効果の追求を前提とする「意味ある」公債政策を実行します。
時代の要請に応えうる分野への適切な資源配分を進める観点から、職業能力開発、
福祉、教育、環境はもとより、安全な水・食料の確保などに不可欠な「人材養成」
「シ
ステムづくり」に集中的な財政投入が可能となる公債政策を再構築します。
財政法の現行規定をよいことに、建設国債の対象事業をいたずらに優先する自公
保政権流の景気刺激手法ではなく、国民全体で経済成長の恩恵を共有できる「生活
再建型」の経済対策が必要とされています。
建設は善玉、赤字は悪玉 という公債政策は完全に時代遅れです。
家計重視の政策転換を鮮明にするためにも、建設国債と赤字国債の垣根を払い、
「単年度当たりの公債発行額を GDP の一定割合とする」といった形に一本化する取
り組みを進めます。この改革は、将来不安から生まれる「生活収縮」という、悪循
環に陥っているわが国の現状からも当然の選択です。
(4)公共事業の実効あるコントロールを行います
便益の普遍化(国民全体の利益)につながる公共事業へ、そのシェイプアップを
進めます。
①同種・同一目的の事業については、統合、一本化を大胆に進めるとともに、環境
アセスメントの強化により、現在のニーズに適合しない大規模プロジェクトの見
直しを積極的に行います。
②公共事業を対象に外部監査の制度を導入します。
〔発注者(国、自治体)と施工者(建設会社)に、外部監査人が新しく加わるこ
とで、客観的な立場から、事業の整合性や合理性などを検証することが可能とな
る。このことを通じて、毎年度の執行状況がチェックされ、問題点も洗い出され
る〕
③公共事業の決定過程の透明性を確保するとともに、事業の中止、変更を可能とす
る「手続」を確立します。
このための必須の要件として、「公共事業基本法」を制定します(環境などのア
セスメントに関する条項を含む)。
④「公共事業基本法」の適正な発動を促していく観点から、限定的な費用効果分析
の枠にとらわれない、環境への負荷の数値化などを含めた「費用便益分析」方式
を採用します。
〔状況変化に応じた代替案の提示等に有効に機能するだけでなく、時間的な遅れ
や費用増の観点から、問題となる公共事業自体の続行の正当性についての判断基
準にもなりうる〕
⑤硬直した公共事業の配分を改めるため、縦割りの特別会計・特定財源制度を抜本
的に見直します。
⑥地域の実情に応じた公共事業にするため、住民参加の公共事業チェック機構を創
設します。
⑦公共事業は、官主導行政の象徴であるだけでなく、中央集権の てこ ともなっ
ています。補助金の大胆な改革を断行し、自治体が地域に責任をもって事業を実
施できるよう、公共事業の分権化を進めます。
3. 国民の側に立つ、財政健全化プログラムを推進します
財政破綻が追っているという「脅しの論理」に屈する必要はありません。
国民(の生活)あっての国です。いたわりが確保された財政再建は可能です。
もとより、安易な借金の積み上げで、仮にある程度の経済成長率が見込めたとして
も、それに見合った税収増が望みがたいことは財務省(旧大蔵省)も認めています。
33
とりわけ自公保流の成長政策は、限られた業界・階層にとっての喜ばしい状況をもた
らすだけに終わってきました。大多数の国民には、近い将来の増税不安が大きくなる
だけであり、財布の紙がゆるむどころではなかったのです。
国民全体で経済成長の恩恵を共有できる「生活再建重視型」の財政健全化プログラ
ムが、何より求められる所以です。
財政健全化の速度は、生活や経済への影響に配慮しながら、しかし、惰性にも陥ら
ないという要請に応えるために、7 年〜8 年間程度を目安とすることが、現状において
は妥当です。
第一段階(助走期間)としては、防衛費の削減や公共事業の効率化などを推進し、
当面 3 年間、国債発行額を対前年度比 5%〜10%の幅で削減します(補正含む)。
この達成ベースのうえに、国民生活の現状や経済動向も勘案しつつ、残りの期間で、
利払いなどの国債費を除く歳出と歳入(税収)が見合う、いわゆるプライマリー・バ
ランスを確保します。
《時代の課題に挑戦する税制改革》
税制が担う最大の役割は富の再分配機能にあります。
したがって、新保守主義に顕著な所得税等の半減構想などによる「帰結としての」消費
課税シフト路線に与することは、国民本位の選択とはなりえません。
社民勢力の根幹理念は、安心と豊かな福祉社会構造のための政策にあり、そのための「社
会的な会費」ともいえる税金が安ければよいとする思想とは、決して相容れることはあり
ません。
社民党は、歳出部門でこそ政策能力が問われるべき政党として、自らの存在価値を高め
ていきたいと考えます。
1. 国民本位の消費税改革を進めます
(1)消費税の「命(生存のための)の税化」を行います
社民党は、「将来不安」払拭の 切り札 として消費税の「命の税化」を実現しま
す。
国民生活の向上のためにこそ使われるべきだという消費税の「あるべき性格」を
明確にします。その第一歩として、消費税の使途を、年金や介護、雇用などの「生
活の安定と安心」に結びつく分野に限定するなど、消費税の「命の税化」を積極的
に進めます。
しかし、消費税の「命の税化」イコール税率アップという安易な発想はとりませ
ん。持続可能な経済成長を確かなものにすることで税収増を図りつつ、歳出の効率
的な運用のあり方として、福祉や教育、職業能力開発などを優先する――。
社民党は、いま求められている「選択順位」の明確化に取り組みます。
(2)実現できる逆進性緩和策 ――「飲食料品にかかる消費税額戻し金制度」を創設しま
す
社民党は食べ物の消費税負担をゼロにします(当面、世帯収入 1 千万円までは最
高 5 万円を払い戻す)。
社民党が提起する「飲食料品にかかる消費税額戻し金制度」は、逆進性緩和理念
に適う・単純明快・自治体財政に影響なし・事業者に迷惑をかけないなど、いま望
まれる逆進性緩和の 道具建で としては、満点の出来といえます。
また、歳出措置であるために、実現性が飛躍的に高まるとともに(あの地域振興
券ですら行えたのですから)、将来的には軽減税率との併用も可能となります。
その圧倒的なメリットは、次のとおりです。
第 1 に、消費意欲が強いにもかかわらず可処分所得の低下に悩む低所得者に対し
ては、払戻し超過になるほどの効果を発揮するため〈注〉
、低迷する個人消費の活性
化対策としても最も有効な手段となりうること(年収 400 万円以下の世帯には 1.5 万
34
円の払戻し超過に)。
〈注〉1 年間の飲食料品支出が約 70 万円といわれる年収 400 万円以下の世帯でも、
5 万円が支給される。このため、ゼロ税率が適用されたときよりも、大きな効
果が生まれることに。
従来から、逆進性緩和効果はゼロ税率が最も大きいといわれてきた(ゼロ
税率適用の効果とは、通常であれば税負担が生じる 70 万円×5%=3.5 万円が
かからないことをさす)
。しかし、それでも 3.5 万円であり、
「戻し金」の 5 万
円には及ばない。
第 2 に、所得制限の採用により、恩恵が及ぶ範囲を「真に必要とする層」
〈注〉に
限定できたこと(必要な予算は 1.4 兆円規模ですむ)。
〈注〉本来的には(政策的な整合性からすれば)、95 年から実施されている所得税
等の減税額が、消費税率の 2%アップに伴う負担額を上回る年収 600 万円以上の
層にまで、適用する必要はないことになる。なお、この政府試算(損得計算)
では、400 万円の増減税収支は減税よりも消費税負担の方が 2.2 万円上回る結果
となっている(夫婦子 2 人の標準モデル世帯)。
第 3 に、低所得者重視の給付制度であるため、「新しい型の社会保障」としての意
義を持つこと。
第 4 に、地方分権の推進やきめ細かな福祉サービス等を提供するために導入され
た地方消費税の減収を招かなくてすむこと。
第 5 に、事業者に一切の負担を強いることなく運営できるため、中小零細業者な
どにとりわけ配慮した手法となっていること――などです。
2. 時代の要請にかなう「目的明確な」改革を行います
社民党は、税制に対する信頼を回復します。
(1)総合課税化を推進します
ただ取りやすい という「徴税の論理」を優先する利子所得などに係る一律分
離課税〈注〉を解消し、総合課税化を推進します。なお、個人所得課税の最高水準
との兼ね合いから、分離課税を当面選択せざるをえないとしても、分離課税内にお
ける適正な累進性を確保します(税率刻みの設定)。
〈注〉現行の分離課税は、税金を納めなくてもよい課税最低限以下の層にも 20%
の負担を一律に求める方式であるため、不公平税制の最たるものとなってい
る。
(2)公平番号制度の早期導入を図ります
社会保障などにおいて、今後追求せざるをえない「必要な人に、より十分な措置」
の実現には、所得の適正把握は不可欠です。このため「公平番号制度」(納税者番号
制度)の早期導入を図ります。
(3)所得控除方式の歳出化などを進めます
高額所得者を優遇する結果に終わらざるをえない、細分化された各種所得控除の
統合化を図るとともに、「直接給付できる制度」(歳出措置)への転換を進めます。
また、現行の世帯単位中心の課税体系の見直しも進めます。
(4)課税最低限引き下げ論は拙速です
課税最低限の水準は、あくまで望ましい累進構造の再構築の後の結果であって、
引き下げ自体が最終日的にはなりえません。何より、財源手当もないまま 99 年に強
行された所得税などの最高税率の引き下げによる金持ち優遇減税との比較からも、
低所得者層に負担増を強いる課税最低限の引き下げが、いま許されるタイミングに
ないことは確かです。
また、社民党が与党時代に行った「94 年抜本税制改革」において、わが党が強く
主張した結果、中堅所得階層に焦点を当てた税率区分の緩和による 2 兆円規模の大
幅制度減税が初めて実現できました。そのメリットは現時点でも十分発揮されてい
35
ます。
したがって、いくら 中堅向け という美名を掲げようが、景気浮揚に「冷水」
をかけてまで、引き下げを行う必然性があるとは思えません(消費性向が最も高い
低所得者層への増税)。
3. 「社会的引き継ぎ」可能な資産課税の適正化を行います
超高齢化に伴うストック社会の進展により、貧富の格差は広がりつつあります。
他方、主に若い世代が増大する社会保障費を負担することで(扶養の社会化)、高齢
者の資産維持に寄与する一方、最終的な相続の際には、ほとんどの場合が負担を求め
られず、資産は「私的に移転」している状況も顕著になっています。
資産の「社会的引き継ぎ」を確保できる相続税など、資産課税のあるべき機能の適
正化に積極的に取り組みます。
4. 自動車の総量規制を主軸とする環境税(炭素税)を導入します
政府の進める自動車税のグリーン化は、低燃費自動車の普及を促進するためのもの
であり、ディーゼル車など自動車の総量規制にはまったく役立ちません。いくら低燃
費とはいえ、総台数の増加をもたらすことになれば排出ガスの抑制は不可能となりま
す。
したがって、基本は自動車の総量規制におき、環境税(炭素税)の導入に取り組み
ます。排出ガスによる環境への負荷の責任は自動車の所有者や使用者にあり、負荷を
低減していくための社会的費用は、自動車の所有者などが負担することが最もふさわ
しいのです。
社民党は、新たな世紀にふさわしい、時代を展望する力を持った税制改革を実現し
ます。世代を問わず生き甲斐を持って生活を営むための「再分配機能」の適正化、つ
まりは「払い甲斐、受取り甲斐のある」税制度を確立します。
(挿絵)
金融政策
《国民生活を守り、向上させるために、不断の改革を》
1.
不良債権の国民本位かつ迅速な処理を進めます
経済活動の基盤・血液である金融システムの安定は、産業の再生はもとより、国民
生活を守るためにも欠くことのできない要素となります。したがって、このための対
策は積極、果断に行います。
とりわけ、力強い景気浮揚の 足かせ となっている金融機関の不良債権の抜本的
処理を促進するために、直接償却(具体的には、債権放棄、更生法や再生法の適用な
どの法的整理、売却など)の手法も有効に活用します。なお、直接償却の適用にあた
っては、国民生活優先の立場から、以下の点に留意します。
①国民が納得、安心できるセーフティネットの構築
イ.融資先企業の活動停止と市場からの撤退に伴う痛みや混乱を緩和するための措置
ロ.その結果生まれる雇用問題への強力な対策
②善良な中小企業の原則的除外
98 年と 99 年の二度にわたって行われた公的資金注入の目的の一つが、社民党の
主張により、善意かつ善良な借り手保護、とりわけ中小企業向け資金貸付枠の増
大に見出されたことは忘れられてはならない。この主旨からも、原則として、善
意かつ善良な中小企業は除外されること。
③流通市場への整備
金融機関の体力(経営基盤)の消耗を防ぎ、また適正な売却価格を形成する観
36
点からも、不良債権を第三者が買い取るための流通市場づくりなどの早急な整備。
公取委型の金融庁への再改革を行います
金融の検査および監督については、行政指導など従来の保護主義的で不透明な金融
行政と「制度的」に決別しなければならない――。 これが、社民党が主導して実現し
た「財金分離」(財政と金融の完全な分離)の核心、つまりは企画立案部門も含めて担
当・所掌する金融庁創設の目的でした。
この理念の一層の明確化と、中立性や公平性確保などのグローバル・スタンダード
(世界標準)達成へ、政治家をトップに戴かない公正取引委員会型の行政組織を目指
します(再改革を進めます)。
3. 名実あわせ持つ金融サービス法の制定を目指します
社民党の永年の提案が実って、日本型金融サービス法(の第一段階)ともいえる金
融商品販売法が 2000 年に成立しました(2001 年 4 月から施行)。
これに先立って成立した消費者契約法の規定に比べても、金融商品の販売業者は顧
客保護の観点から、「顧客の正確な理解等を形成するための 十分な説明 をしなけれ
ばならない」という説明義務が課されるなど(契約法は努力義務)、実効性はかなり期
待できます。
ただし、簡易保険や商品先物取引などが除かれたことは課題として残っています。
あらゆる金融取引に関し、国民の権利と義務を定めた英国のような「金融行政の憲
法」としての 名実備わった 金融サービス法の制定を進めます。
4. 「金融警察」の確立など、証券市場の透明性確保を優先します
約 1,400 兆円にものぼる個人金融資産の多くが現金・預金にとどまっている現状を
(現金・預金が 53.4%、株式は 9.4%)、証券市場にも活用するための方策に取り組み
ます。
ただし、原理原則もなく、ただ「数打ちゃ当たる」方式の現連立政権の対極にある
ものを目指します。
例えば、与党側が導入を目論む金庫株〈注〉の解禁は、需給関係に直接訴えて、株
価の値崩れを防ごう(評価損の回避を図ろう)というものです。しかし、このような
対症療法的な対策が用をなさなかったのは、日本経済の現在の有様が如実に物語って
います。何より、自由な価格形成を歪めることによって、投資家の見送り気分を強め、
かえって売買高が減少する可能性すら否定できないともいえます。
〈注〉会社が発行した株式を買い戻し、保有し続ける自社株のこと。現行の商法
規定では、自社株取得は買入償却や社員を対象とするストックオプション(自
社株購入権)などに限られており、保有期間に限定がない金庫株は禁止されて
いる。なお、米国で認められている金庫株は敵対的買収からの防衛を主な目的
とする。与党が考えるような株価対策に使うという発想はない。
証券市場の活性化メニューとしての税制の整備・支援などの検討を進めます。しか
し、あくまで副次的な役割にとどまることも事実です。
優先されるべきは、市場で提供される商品の違法行為を取り締まる公正なルールに
かかわる執行体制(アンパイア)の抜本的な強化です。要するに証券取引(市場)の
一層の透明化などが図られない限り、活性化の 鍵を握る ビギナー投資家が増える
はずはありません。
米国の SEC(証券監視委員会)の成果に学び、わが国の証券取引等監視委員会が「金
融警察」あるいは「金融 G メン」としての機能を十分に果たしていくための、体制整
備および権限強化を積極的に進めます。
2.
(挿絵)
37
産業政策
《暮らしに身近な産業社会を実現》
1. 商店街や町工場など地域でがんばる中小企業を応援します
(1)中小企業は街づくりの中心です
生活者としての視点や発想をいかした商品・サービスには、地域で高いニーズが
あります。
商店街や町工場など地域でがんばる中小企業や、地域の住民が創業・経営するス
モールビジネスは、健全で活力ある地域社会・魅力ある街づくりの中心です。
環境や福祉、情報など 21 世紀を展望する新規産業分野における創業・開業に対し
て、とりわけ、女性や中高年、障害者の方々に対する総合的な支援を行います。
(2)下請いじめを解消し、取引を適正化します
戦後最大級の不況は中小企業を直撃し、さまざまなしわ寄せを受けています。と
りわけゼネコンによる下請いじめは激化しています。罰則の創設などによる建設業
法の強化と、縦割行政の弊害を排して公正取引委員会や中小企業庁などによる体制
づくりを進めます。
(3)分野法と官公需法を見直します
中小企業事業分野調整法を改正して運用を強化し、また、政府・自治体に中小・
零細企業への官公需の発注を義務づけ、適格組合の法律化や発注枠拡大などを図り、
圧倒的な規模の格差を前提とせざるをえない中小企業の経営基盤を強化します。
(4)小規模・個人事業者に徹底した配慮を行います
資金調達・技術商品開発・人材確保・市場調査など、さまざまな段階で中小企業
に対する支援を行い、小規模企業や個人・零細事業者など業種・業態に応じた実態
に見合うきめ細かな施策を実施します。
(5)地場産業を確立し、事業継承を円滑にします
ものづくり基本法の着実な実施や熟練工の育成など地域が一体となった地場産業
の確立を支援します。また、中小企業の後継者が円滑な事業継承を行える税制とす
るとともに、外形標準課税については中小企業に徹底的に配慮することが不可欠で
あり、未曾有の長期不況にある現在、何よりも、中小企業政策の抜本的拡充を優先
します。
(6)創業・開業を総合的に支援します
創業者研修や指導員などによる経営相談の拡充、起業家をサポートするスタッフ
の育成・派遣の充実、優先的な融資と債務保証、個人投資家(エンジェル)支援を
はじめ税制上の優遇措置などを創設・拡充します。
2. 中小企業にやさしい金融環境を整備します
(1)日本版「地域再投資法」を創設します
地域経済活性化と起業家支援に向け、低所得者やスモールビジネス、ベンチャー
企業に対する公正で優先的な融資を金融機関に促し、地域社会への貢献義務を定め
る日本版「地域再投資法」(仮称)を創設します。
(2)貸し渋りを許しません
金融機関本来の使命を放棄したともいえる「貸し渋り」「貸しはがし」には厳しく
対処します。貸し渋り対策として、政府系金融機関を通じた融資や信用保証を拡充、
手続の簡素化・迅速化を進め、また、破綻金融機関の被害にあった中小企業を救済
します。
(3)中小企業向け融資・保証を充実させます
政府系金融機関における中小企業向け融資と債務保証を一層拡充するとともに、
信用金庫や信用組合など民間金融機関を育成し、積極的な中小企業支援を求めます。
また、審査体制を拡充し、物的担保中心の融資・保証審査を経営能力や技術力な
38
どを総合的に評価するシステムに転換します。
(4)罰則金利を引き下げます
銀行から商工ローンヘの多額の融資を規制します。問題が多発している商工ロー
ンヘの対策として、政府は罰則金利を 29.2%に引き下げました。
しかし、これは現状の営業金利を追認したにすぎず、被害の発生防止には効果が
ありません。引き続き、罰則適用金利の利息制限法までの引下げ、グレーゾーンの
廃止など、出資法改正に取り組みます。
3. 住民本位の魅力ある街づくりを支援します
(1)「商店いきいき」の街づくりを進めます
街は、生活の場です。「職・住・遊・学」が揃い、子ども・高齢者・女性・中小企
業など地域を支える住民が夢を語る空間です。
「シャッター通り」からいきいきした
魅力ある商店街へ。赤ちょうちんや屋台、いきいきした横丁、人間味あふれる商店
街、安心して歩ける街づくりを支援します。
(2)街づくり三法を拡充します
街づくり三法を積極的に活用します。改正都市計画法で大型店の郊外開発を抑え
るなど、地域の自主的な利用規制を行い、大店立地法に基づき、交通や騒音などか
らの生活環境の保全策を万全にします。また、市街地活性化法の支援措置を拡充し、
大型量販店の進退出で衰退した商店街の復権、市街地を活性化します。
(3)街づくり条例の制定を進めます
大型店に対する自治体独自の出店規制を定めるとともに、従業員や下請業者に影
響の甚大な退店に関するルールも含め、大型店の社会的責任を明らかにするととも
に、商業や交通、都市計画を総合的に展開し、住民参加による街づくりを目的にし
た街づくり条例を各地で制定します。
お年寄りにやさしい商店街づくり、福祉や文化施設づくりと結合し地域性をいか
して、自治体・中小業者・住民の三者が連携した住民本位の街づくりを進めます。
4. 生活基盤型の情報通信ネットワークを整備します
(1)テレビ電話を各地に完備します
高齢社会のライフラインとしで情報通信網を整備します。在宅で行政サービスや
医療診断、教育相談などに利用できるよう、自治体内の各世帯へ通信端末としてテ
レビ電話やケーブルテレビなどの無償貸与、完備を進めます。
(2)SOHO で起業家を支援します
コンピュータひとつで新規事業を展開でき、環境・福祉型の創開業につながる
SOHO(在宅でパソコン等の情報端末を活用したスモールビジネス)やサテライトオ
フィス(都市近郊に設置される職住接近の遠隔型オフィス)など、情報通信を活用
した起業家を積極的に支援します。
このため情報提供・相談窓口の拡充や、小規模オフィスの低料金での提供など環
境整備、情報ネットワークづくりへの助成・優遇措置など、支援策を講じます。
5. 契約・商品トラブルから消費者を守ります
(1)消費者契約法と PL 法を積極運用します
業者と交わすすべての契約ルールを定める「消費者契約法」を着実に実施し、強
引な勧誘や不当な契約内容から消費者を守ります。また、PL 法(製造物責任法)を
積極的に運用し、欠陥の推定について明確にするなど、さらに充実します。
(2)消費生活センターを充実させます
各地の苦情処理委員会を活性化して、トラブル解決の受け皿となる ADR(裁判外
紛争処理機関)を整備します。
特に、各地の消費生活センターを積極的に支援します。厳しい財政事情から消費
者行政を縮小する自治体が多く、国として専門家の派遣や PIO−NET(全国消費生活
情報ネットワークシステム)の拡充などを進め、同時に不安定な身分に置かれてい
39
る消費生活相談員の待遇改善や養成研修を充実します。
(挿絵)
人権政策
《すべての人びとが、わけへだてなく生きてゆける平等社会を実現します》
1. 人権政策を推進するために行政機構、法制度改革・整備を進めます
(1)「人権教育・啓発推進法」を見直します
人権教育・啓発を推進するため、2000 年に制定され多くの問題点を抱える「人権
教育・啓発推進法」を見直します。
民間団体や NPO・NGO などと十分な連携をとり、基本計画の策定をはじめ、あら
ゆる場で当事者や住民の参加を保障し、国・自治体が行う教育・啓発の充実を目指
します。
人権教育・啓発は、政府全体で取り組むべき課題ですので、法律の所管を法務・
文部科学省共管から内閣府に移管します。内閣府に、
「人権教育・啓発推進会議」
(仮
称)と「人権局」(同)を設置し、人権政策を専任で対応する大臣を配置します。
将来的には、人権擁護に関する施策および調整全般を所管する「人権省」
(仮称)
の設置を目指します。さらに国会の常任委員会として、新たに「人権委員会」(同)
の設置も目指します。
(2)実効性ある人権救済機関を創設します
人権擁護委員制度を抜本的に見直し、行政から独立し真に実効性ある救済機関を
構築します。人権侵害を受けた場合の新たな人権救済機関として、労働委員会や公
害等調整委員会なども参考にしながら、「中央人権委員会」(仮称)と「地方人権委
員会」(同)創設します。
地方人権委員会は、都道府県単位に設置して人権侵害の申立を受理し、地域での
迅速な解決を目指します。また、委員の構成は、人権問題に取り組む民間団体や市
民団体、地域労働組合のナショナルセンターなど、また実際に人権侵害や差別を受
けた当事者が参加、選出されるものにします。
(3)公安調査庁を廃止します
これまでの法務行政を徹底的に見直し、その存在が時代にそぐわなくなっている
公安調査庁を廃止します。
(4)盗聴法を廃止させます
通信の秘密という重大な人権を侵害し、警察によって恣意的に運用される危険性
が高い通信傍受法(盗聴法)を廃止します。
2. 人権と差別に関わるあらゆる問題を解決するための政策を推進します
(1)被差別部落
部落差別を解消するために「部落解放基本法」の制定を目指します。また、部落
問題の解決に大きな役割を果たしてきた隣保舘を地域社会における人権総合センタ
ーとして位置づけ、その機能を充実します。
(2)アイヌ民族
アイヌ民族の先住民族としての権利を保障するため、「アイヌ文化振興法」を改正
します。
(3)日本に在住する外国人
在日外国人に対する差別を解消するため、外国人学校卒業生に国立大学の受験資
格を付与できるよう外国人学校を日本の学校と同等に扱い、また、管理職への登用
を含む公務員への採用を進めるとともに、人類・民族差別禁止の立法化や、定住外
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国人の地方選挙権の実現などに取り組みます。
(4)女性
男女平等社会を実現するために、法、制度、慣行を点検し、改善します。
(5)高齢者
尊厳ある老後と安心できる生活、活力ある高齢化を実現し、高齢者の生活・人権
保障を確立します。
(6)子ども
子どもの人権を確立するために、「子どもの権利条約」の理念を具体化する視点か
らの施策を推進します。
(7)障害者
ノーマライゼーション(共生)の理念や「完全参加と平等」を達成し、障害者の
政治的・経済的・社会的・文化的権利を確立します。
(8)患者・感染者など
患者・感染者などのプライバシー保護をはじめとする人権保障を確立します。
(9)外国人労働者
外国人労働者の人権を確立するためにその支援を行うとともに、入国管理法など
について再検討します。
(10)犯罪被害者
犯罪被害者の救済制度を充実させます。また修復的司法の要素を取り入れた、新
しい司法制度のあり方を追求します。
(11)被疑者・受刑者
いわゆる代用監獄制度を廃止するなど、被疑者・受刑者の人権確立に取り組みま
す。さらに国際潮流を踏まえ、死刑の廃止を含めた刑罰制度の見直しを行います。
(12)性的指向
ゲイ・レズビアンなど性的指向による差別の撤廃に取り組みます。
3. 国際潮流を産まえ「人権先進国」を目指します
(1)国際人権関連条約を批准し、国内法を整備します
生命の尊重、身体の自由、思想・良心・表現の自由、居住・移転・出国の自由、
少数民族の権利などを定めた国際人権規約 B 規約の選択議定書、死刑廃止条約など、
いまだに日本が批准していない国際人権関連条約の批准を急ぐとともに、条約の理
念を踏まえた国内法整備を進めます。
(2)「人権教育のための国連 10 年」を推進します
「人権教育のための国連 10 年」を、これまでの同和教育の実績、世界的に展開さ
れている多文化教育などを踏まえ推進します。また「人権教育国際会議」を日本で
開催します。
(3)戦後補償法を制定し、侵略の過去を清算します
過去に日本が行った植民地支配と侵略戦争を真摯に反省し、戦後補償問題の解決
に向けて、「戦争被害者の補償等に関する法律案」をはじめとした新たな立法を目指
します。また、その前提となる歴史事実の真相調査を進めるために、
「戦争被害調査
会法」の成立を目指します。
農林水産
1. 農産物の需給調整と価格安定対策を確立します
(1)政府のコメ需給調整は機能していません
コメの生産者価格は 2 年連続して急激な値崩れを起こしました。このような事態
が毎年続くようなことになれば、わが国の稲作農業は完全に崩壊します。生産者は
41
すでに全水田面積の 3 分の 1 以上に達する 96 万 3000 ㌶もの生産調整を 3 年間にも
わたって実施してきました。それにもかかわらず、このような価格暴落が起こると
いうことは、政府の需給調整政策がまったく機能していないということであり、失
敗以外のなにものでもありません。
(2)生産者の生産調整は限界です
しかも政府は「コメの生産調整は拡大しない」と明言してきたにもかかわらず、
平成 12 年 10 月に実施した緊急対策の一環として、生産調整を 101 万㌶にまで拡大
しました。これは総水田面積の 4 割弱に相当します。生産者が過去において、これ
ほど大規模の生産調整を実施したことはありません。しかし国内における生産調整
をいくら強化しても、一方でコメが過剰となる構造がつくられており、そのうえ 72
万トンにも及ぶミニマムアクセス米の輸入が存在する以上、コメ過剰 ―米価暴落の
悪循環は毎年繰り返されることになります。このような状況が続けば、日本の農業
は早晩崩壊します。
(3)コメ過剰―米価暴落の悪循環を断ち切ります
社民党は日本の稲作農業を守るとともに、コメ過剰 ―米価暴落という悪循環を断
ち切るために、農産物の需給調整や価格を安定させる制度を確立します。
①コメ過剰在庫については、海外援助や飼料等に転用するとともに、政府米買い入
れを行う制度を確立します。
②政府備蓄については全量を回転備蓄とするのではなく、棚上げ備蓄も併用して市
場から隔離する制度とします。
③国内産米の需給に影響を与える SBS(売買同時入札制度)は廃止し、ミニマムア
クセス米は廃止を含めた削減に取り組みます。
④基準数量を超える輸入、基準価格を下回る輸入があった場合には機動的にセーフ
ガードを発動します。
⑤量販店の安売り、乱売、格上げ混米など不当表示や買いたたきを防ぐため、産地
銘柄表示の厳格な計画外米の流通ルートの適正化を政府の責任で実施させます。
⑥稲作経営安定対策を改善・拡充し、補てん基準価格を見直し、生産者米価を下支
えします。
⑦大豆や小麦、飼料作物(エサ米、エサ稲、稲ワラを含む)など主要農産物の生産
拡大を図り、コメ並みの所得補償を行います。
2. 環境保全型農業を推進し、直接支払い制度を拡大します
(1)大規模農業は地域と環境を破壊します
政府が目指す農業とは大規模農業であり、少数の生産者に農業経営を集中させる
ことです。消費者に農産物を安く提供するため、単一商品を大量生産することを基
礎に置く考え方であり、このやり方を推し進めていけば、地域農業が破壊されるだ
けでなく、環境も破壊されます。また消費者が最も懸念している農薬漬け農業や遺
伝子組み換え作物の生産に道を開くことになりかねません。少数の生産者が農産物
を安く大量に提供しようとすれば、農作物を工業製品並みに生産する以外にはなく、
必然的に農薬の大量使用や遺伝子組み換え作物の生産に依存せざるをえません。
(2)家族農業を基礎とした集落営農を活性化させます
社民党の考えは、政府の政策とは根本的に異なります。これからの農業は、消費
者が安心して食べられる食料を安定的に供給することはもちろんですが、それ以外
に国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全、良好な景観の保全など、環境を保全
する役割が期待されています。この期待に応えるには、細心の注意を払うきめ細か
な作業が必要であり、これを可能とするのは家族農業を基盤とした集落営農以外に
はありません。少数の生産者による大規模農業では絶対に不可能です。
(3)環境保全型農業を推進します
環境保全型農業とは、単一の農産物ではなく、それぞれの農地に適した多種類の
42
農産物を生産することであり、コメを含め畜産や果樹、野菜栽培などを含め多様な
生産を集落内で実現していくことです。社民党はこのような農業を目指すために、
家族農業を基礎とした集落営農を活性化させることを基本に、農業生産法人などの
生産組織も強化し、また加工・流通・販売をも取り込んだ地域農業を実現します。
さらに自然生態系の保全につながる環境保全型農業、平坦地の有機農業に直接支払
い制度を導入します。
3. 遺伝子組み換え農産物の輸入と国内生産を禁止します
(1)輸入が禁止されている遺伝子組み換え食品が混入・流入しています
いま、わが国で輸入が解禁されている遺伝子組み換え食物は、大豆やトウモロコ
シ、トマト、じゃがいもなど 6 作物 20 品目ですが、輸入が禁止されている遺伝子組
み換え食品が混入・流入していることが確認され、遺伝子組み換え作物や食品に対
する消費者の不安は一層高まっています。市民団体の検査によると、4 社 5 種頸のお
菓子で遺伝子組み換えコーンが使用され、そのうちの 3 社 3 種類から厚生省の安全
性評価を受けていない遺伝子組み換えコーンが確認されました。コーン・スターリ
ンクが流入していたことが発覚したのは最近のことです。私たちは知らず知らずの
うちに遺伝子組み換え食品を口にしていることになります。
(2)遺伝子組み換え食品は安全性に不安があります
東京都の遺伝子組み換え食品についてのアンケート調査によると、
「食べることに
抵抗を感じる」と答えた人が 90%にも達しました。最近アメリカの研究グループが、
蛾を駆除する遺伝子を組み込んだ Bt コーンが、実は蛾だけではなく、蝶など他の虫
にも有害であるという研究結果を発表しました。遺伝子組み換え食品が生態系に影
響を与えるというのはもはや確定的です。現状では、人など哺乳類には影響しない
といわれていますが、組み換え食品を長期に摂取することによる人体への影響が解
明されたわけではありませんし、摂取による長い年月が経過しない限り、どういう
影響があるかなどわかるはずがありません。
(3)安全性が確認されない限り輸入・生産を禁止します
WTO の遺伝子組み換え食品に対する認識は、有害性が実証されない限り安全だと
いうものですが、とんでもありません。
社民党は、消費者が安心して食物を口にできるよう、遺伝子組み換え作物の輸入
を禁止します。また安全性が確認されるまでは国内における生産も全面的に禁止し
ます。
4. 食品の安全表示を徹底します
(1)誰もがわかる表示にします
2001 年 4 月から遺伝子組み換え食品の表示が開始されました。表示は、遺伝子組
み換えが明らかなものについては「遺伝子組み換え」として表示されます。遺伝子
組み換え作物の混入率が製品の 5%以下の場合には「不分別」と表示されます。しか
し「不分別」という表示では、消費者は何のことか理解できません。
しかも 5%以下なら原材料である遺伝子組み換え作物が何種類入っていても表示
しなくともいいことになっています。表示には、前提となる審査の透明さと正確さ、
わかりやすさが求められます。しかもこれからの表示は、
「消費者の選択に委ねる」
というレベルではなく、食品が安全かどうか消費者が的確に判断できることが重要
です。そのためには具体的な表示でなくてはなりません。
(2)消費者の参加で安全性をチェックします
社民党は国民が安心して食生活ができるように国内農産物、輸入食品などすべて
の食品について安全検査を徹底できる制度をつくります。この制度の基礎となるの
は消費者の食品検査や安全審査への直接参加です。
(3)国際基準よりも厳しい基準を設けます
また有機食品、無農薬・減農薬農産物については、国際基準よりも厳しい基準を
43
設定し、国・公的機関による認証・表示制度を確立します。
5. 耕作者主義を厳守するため、農業委員会の機能を強化します
(1)農地法の否定につながる法改正には反対です
農地法の一部を改正する法律が成立しましたが、この改正農地法は株式会社の農
業への参入に途を開くものであり、
「耕作者主義」に立つ農地法の否定につながるも
のです。農地法の目的である耕作者主義が否定されれば、農地の他の用途への転用
も容易となり、農地の減少にもつながりかねません。
(2)自給率向上の前提は農地の確保です
政府は食料・農業・農村基本計画で、自給率の向上や食料の安定供給を掲げてい
ますが、自給率向上の前提は農地の確保です。改正農地法では、たしかに株式会社
一般の農業参入は認められておらず、農業生産法人と農業者などによる株式会社に
限られています。また農地の転用などの懸念される事態に対しては、株式の譲渡制
限をはじめ農業委員会による審査、勧告、立入調査、斡旋などの防止策が講じられ
ています。しかしこのような措置は、これを遂行する農業委員会の機能強化があっ
てはじめて可能ですが、現状はそのようにはなっていません。
(3)農業委員会の機能の強化を行います
社民党は、農業委員会がその任務を的確かつ円滑に遂行できるよう、農業委員会
の資質の向上、専門的職員の養成確保等、その機能の充実を図るとともに、農業委
員会系統組織ならびに国および地方公共団体の支援体制を整備します。
(4)バブル時の土地投機を繰り返しません
かつてバブル経済が日本列島を覆い土地投機が猛威を振るったとき、私たちは「耕
作者主義」に立つ農地法の役割を知りました。この法律がなければ、バブル時の土
地投機は際限もなく行われ、日本経済が受けた打撃は想像を絶するものになったで
あろうことは間違いありません。21 世紀はまぎれもなく食料と環境の世紀です。私
たちが選択しなければならないのは、農地や環境を商品化の波にさらす道ではあり
ません。その意味で農地の「耕作者主義」の否定に繋がる株式会社の農業参入に途
を開くことがあってはなりません。市場万能経済にはバブル化はつきものであり、
そのバブルがいつ再燃するかわからないということを私たちは忘れてはなりません。
6. 農業者年金制度を改革し、安心して働ける環境をつくります
(1)あるべき農業者年金の改革を行います
農業者年金利度は、農業者人口の減少に伴い、年金の加入者(29 万人)よりも受
給者(75 万人)の数が多いという逆転した状況が続いており、年金改革なくしては、
もはや存続は不可能な事態になっています。
(2)政策年金としての性格を維持し、魅力あるものにします
社民党は、生き甲斐のある農業、働き甲斐のある農業を確立するために、年金改
革にあたっては、あくまで政策年金としての性格を堅持します。
そのうえで、①加入者の掛けた保険料を基本額経営移譲年金の水準で保証し、掛
け損が生じないようにすること、②受給者の年金水準は国が支えることを基本とし、
やむをえない場合の受給者負担は最小限に圧縮すること、③新制度は、政策支援対
象者の拡大(制度の性格を食料・農業・農村基本法に基づく農村定住年金的なもの
に転換し、対象者を農村定住者に拡大するなど。)や保険料補助を引き上げるなど、
加入者にとって魅力のあるものにすることが必要です。
(3)女性独自年金、退職金制度の創設を行います
94 年の改正で家族経営協定に基づいて加入してきた女性農業者の独自年金を創設
するとか、懸案事項である遺族年金の導入なども考えられます。農業者退職金制度
の創設も検討されるべきです。
7. 「食・農教育」を実施し、日本の食生活を取り戻します
(1)日本の伝統的な食生活の大切さを見直します
、
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戦後の日本の食生活は、学校給食にパン食が導入されたことに典型的に表れてい
るように、政府の主導で洋風化が進められてきました。米が主食で魚が副食という
伝統的な食習慣は、その過程で肉やパンに取って代わられました。食の洋風化が日
本人の健康増進や体力向上に果たした役割は大きなものがありますが、最近では肥
満や生活習慣病などの原因として指摘されており、日本の伝統的な食生活の大切さ
が見直されています。
(2)伝統的な食生活を復活させます
社民党は、日本型の食生活を推進するため、学校給食をはじめ各種給食事業での
米飯給食を実現します。また自治体主導(地域主権)による総合学習教育に「食・
農教育」を取り入れるとともに、農業実習教育の拡充など社会教育活動を進め、地
場生産、地場消費を積極的に推進します。
8. 食料・農業分野で国際貢献を果たします
(1)世界は飢えに苦しんでいます
いま、地球の砂漠化、温暖化などの異常気象、耕地の減少によって食料生産が停
滞する中、アジア・アフリカを中心に 8 億人もの人びとが飢えと栄養不足に苦しん
でいます。一方、世界の人口は 2030 年には現在の 57 億人から 89 億人に増加すると
予想され、世界の食料危機が指摘されています。こうした中で、1992 年の世界環境
会議では「世界の食料ブロック備蓄構想」が提唱され、1996 年の世界食料サミット
では 2015 年までに世界の飢えを半減させる「ローマ宣言・行動計画」が採択されま
した。
(2)食料の安全保障を進めます
世界の飢えからの解放、食料の安全保障は、世界から戦争と核兵器をなくす安全
保障とともに、人間の生存にとって緊急の課題です。
(3)「東アジア食料安全保障機構」を設立します。
社民党は、世界環境会議、世界サミットの提唱を受けて、わが国が世界の食料安
全保障に果たす役割として「東アジア食料安全保障機構」を設立し、政府間による
穀物の長期貸借を行う相互協定を提唱しています。この社民党の提唱は中国や韓国
など諸外国から高く評価されています。「東アジア食料安全保障機構」の概要は、次
のとおりです。
①地域=韓国、北朝鮮、中国、モンゴル、日本、加盟を希望するアジア諸国。
②対象穀物=米、麦、トウモロコシ、大豆、加盟国が必要とする穀物。
③貸借手法=加盟国が豊作時に備蓄した穀物を、災害や異常気象などによる穀物不
足国に長期貸与する。返済は米だけでなく、麦、トウモロコシ、大豆でも可能と
する。
④農業支援=加盟国は政府間協定に基づき、農業生産振興、食料自給向上のため農
業技術支援、資金援助を行う。
9. ミニマム・アクセス(MA)米は廃止ないし削減を実現します
(1)ミニマム・アクセス(MA)米は国内産米への過剰圧力となっています
わが国は、7 年前の UR 農業合意の際、米の関税化を受け入れない特例措置として、
1995 年から 2000 年まで MA(最低限義務輸入)米を国内消費の 4%(約 42 万トン)
から 8%(約 85 万トン)まで受け入れました。しかし 1999 年 4 月には、わが国は関
税化に移行しました。2 次税率は 341 円/kg です。協定によって途中から関税化に
移行しても MA 米の輸入は継続されることになっていますので、2000 年の MA 米は
7.2%(72 万トン)となっています。この MA 米の輸入が過剰圧力に拍車をかけてい
ます。
(2)農業交渉に当たっては毅然とした主張をすべきです
わが国が WTO 農業交渉にあたって、「自国の食料は自国で生産する」、「食料の安
全保障」、「農業の多面的機能の発揮」を基本姿勢とするなら、わが国の主食である
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米、水田農業の果たす多面的機能を強く主張し、「MA 米の廃止または削減」を実現
すべきです。
削減の基準ですが、すでにわが国は関税化に移行し、かつ米の大量輸入という代
償まで支払っているのですから、基本基準である 3%〜5%までは引き下げるよう主
張すべきです。また関税引き下げには絶対に応じるべきではありません。
10. 豊かな自然や資源を守るため、森林・林業・木材産業を活性化します
政府の調査によると、山地災害危険区域数は全国で 22 万 2,000 地区にも及んでい
ます。最近では集中豪雨が起きると、必ず洪水や土砂崩れなどによる被害が発生しま
す。山の手入れが不十分なためで森林そのものが脆弱化しているのが原因です。
この背景には、山村の過疎化や林業の担い手の減少・高齢化が進行する中で、外国
産材に国産材が圧迫され、林業そのものが採算ベースにのらないという現状がありま
す。
自然の生態系を守り持続可能な森林経営の下で、森林の持つ機能を高度に発揮させ、
国土の保全や環境の保全を図るためには、森林を国民共有の財産として位置づけ、国
の責任で森林整備を推進する必要があります。同時に流域管理システムを活かしなが
ら自治体による公的管理を強めていくことが必要です。とりわけ 300 万ヘクタールに
のぼる所有者不在の森林・放棄林は公的管理下に置くべきです。公共事業の配分の見
直しやグリーン税の創設など税財源の確保も必要です。
(1)21 世紀に向け新たな林政を確立します
①森林・林業・林産業と山村の衰退要因となっている構造問題を打開し、森林の持
つ環境保全機能と森林資源の充実を図ることで、国民生活に寄与する林政を確立
します。
②国産材の需要拡大を含む木材自給率の目標設定など、総合的な森林整備と林業振
興に向けた「森林・林業基本法」
(仮称)を制定し、国の管理責任を明確にします。
(2)流域管理システムの推進を図り、森林資源を有効に活用します
①森林を公共財(国民の共有財産)として位置づけ、民有林と国有林、川上から川
下を一体化した流域管理システムの一層の推進を図り、間伐などの森林整備計画
の促進と雇用の創出、地産地消による森林資源の積極的な有効活用策など、諸対
策を取り入れます。
②森林・林業の担い手である林業労働力を現在から将来にわたって安定的に確保す
るため、他産業並みの労働条件の改善、新規就労者の確保、山村の定住化策を一
体的に進め、人材を育成し後継者を確保します。そのために所得補償等の直接支
払い制度を導入します。
③森林整備と合わせて、治山・治水事業を拡充・強化し、水資源の確保・国土保全
等の森林の諸機能の充実を図ります。特に急を要する山地災害の予防対策を充実
させます。
(3)民国一体の支援措置を拡充します
拡充国有林や事業については、林野庁における一元的一体的管理を行い、改革を
進めるにあたっては、新たな森林・林業基本法の下で、関係団体、地域住民などの
意見を踏まえ、真に国有林の役割が発揮できるよう、民国一体の支援措置を拡充し
ます。
11. 水産業の振興を図り、漁場の環境を守ります
漁業者は総じて資源状態の悪化、水産物価格の低迷・暴落に苦しんでおり、資源の
再生と再生産が可能な価格の回復を切望しています。
特に零細な漁船漁業においては、漁船への設備投資が多額であるため漁船建造資金
の償還に追われているのが実状です。こうした現状から漁業者は漁獲量を増やさなけ
ればならず、それが資源の乱獲につながっています。同時に漁船員の労働環境悪化、
労働強化、低賃金が労働力不足と高齢化を招いています。
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海洋資源の再生と再生産可能な漁獲と価格の回復は、徹底した資源保護政策と輸入
の適正化なしには実現できません。そのために乱獲を戒め、資源の状況に見合った漁
獲能力の調整と維持、そのための補償を明確にした水産資源保護法の機動的発動が求
められています。
社民党は、漁業と漁業者の置かれている現状を解決し、持続可能な産業として発展
させるために「水産基本法」(仮称)の制定に努力します。
(1)沿岸漁業
①海洋環境の改善に取り組み、浅海の生態系を守り資源の再生に努めます。
②密漁や違反船の取締りを強め、乱獲による資源の枯渇防止に取り組みます。
③資瀕の保護と再生のため漁獲制限を行う場合には、それに伴う補償措置を講ずる
制度を創設します。
④輸入制限を検討する中で、浅海養殖産物の価格維持に努めます。
(2)漁船漁業
①漁船員の福利厚生、特に社会保障制度の充実に努めます。
②資源を枯渇させる恐れのある魚体選別機などの搭載を禁止する措置を講じます。
③国際的な資源保護措置を損なう便宜置籍船の廃絶に取り組みます。
文化政策
《消費する文化から創造する文化へ》
1.
「平和な生活・文化の国」を目指します
21 世紀の日本を「経済中心の国」から「平和な生活・文化の国」につくり変える。
これが社民党の大目標であり、政策の基本的な視点です。政治問題にも経済問題にも
社会問題にも、常に市民による市民のための「文化」を念頭に置いて政策を進めます。
「より豊かな生活」「よりよい市民社会」を実現するためには、「競争原理」から「共
生原理」への転換が不可欠です。
2. 市民の創造力が発揮できる社会にします
文化(カルチャー)は「精神を培い耕す」営みで、それは衣・食・住の充足、さら
には健康や豊かさの実現など人間の生活に根ざしています。ところが、戦後日本が目
指した「文化国家」「平和国家」は、「経済国家」最優先の政策の下で、それはタテマ
エ化し、影の薄いものになってしまいました。
経済最優先の社会では、日々、私的利益や欲望が追求され、大量生産・大量消費に
よる画一化が進むため、広告や簡単な情報操作で、欲望がコントロールされることに
もなりかねません。そこでは、個人の創造的表現や独自性を発揮する垣は閉ぎされ、
市民が生活の中から、公共性や普遍的価値を生み出すための回路は分断されたままで
す。生活の「豊かさ」や「ぬくもり」が感じられなくなってきました。
生活に根ざした「市民文化」は、無名の個人や集団から生み出される優れた文化を
発見し、日常生活の中でみんなが豊かさと喜びを感じ合うことが第一歩です。
社民党はこういう「市民」の感性にいちばん近いところにいる政党です。
全国にある無数の市民運動・文化確動などと連携を強め、それらに学び、21 世紀の
日本を「力強く、楽しい社会」に発展させることが社民党の文化政策の基本です。
3. 「ハコモノ」づくりは終わりです
全国各地にある国立・公立の公民館、図書館、劇場、美術館、音楽ホール、博物館
などは、本来、一流の文化・芸術を招致するばかりでなく、無名や未知の人びとの業
績を紹介しつつ、市民生活を豊かにし、社会をいきいきとさせるための施設となるは
ずでした。ところが、明治以来の行政主導の「お上文化」によって、これらの施設は、
自発的な市民のための文化的共有財産にはなりえていません。また、従来の文化行政
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は、いわゆる「ハコモノ」づくりを優先したことで、結果的には、国や地方自治体の
赤字財政の元凶の一つとなるなど、市民の批判の対象にすらなっています。
社民党は、このような反省と批判を踏まえて、すべての生活・文化政策を国から市
民生活の場である地方・地域へ取り戻すために、以下のような政策を進めます。
(1)「生活と文化を変える文化基金」を創設します
文化の創造と継承・伝達には、お金がかかります。
社民党は、国と民間資金による「生活と文化を変える文化基金」をつくります。
この基金は、徹底した情報公開を前提に、優れた生活・文化活動や芸術家などを発
掘し、それらを発展、継承させます。
そのために必要な予算措置は積極的に行います。
(2)「楽しい生涯学習」で「豊かな地球文化」をはぐくみます
経済活動と自然環境保護のバランスのとれた発展は、いま世界中の人びとが考え
ている「地球文化」形成の基本命題です。経済中心の社会は、階層格差や地域格差
を拡大したばかりか、文化格差も生んでいます。
情報の地域格差や生涯学習の不公平なども日常的な支障をもたらしています。個
性的な地域文化を生み出すとともに、「世界を考え、地域で行動しよう」を実践し、
豊かな「地球文化」を目指します。
そのために学校や図書館などの地域文化施設を多面的に活用します。学校や図書
館を地域の生活情報の広場として、あるいは健康づくりの場として積極的に活用す
れば、そこはおのずと市民の「文化活動センター」になるでしょう。
(3)「共同体」再生へ、民衆文化の振興や「歴史的環境」の保存・再生を進めます
暮らしの場を「共同体」として再生させ、民衆文化を蘇らせることは、21 世紀の
私たちの大切な課題です。それを実現するために、文化財保護の予算を大幅に増や
し、有形・無形の文化財保護に必要な経費は国が負担するようにします。
また、地域社会全体の財産としての「歴史的環境」
(優れた「町並み」や「景観」
など)を守り、再生させるための経費を確保します。
①民謡・民話・生活技術など民衆文化を正しく継承し、発展させます。そのために、
民衆文化の担い手たちに対する助成・育成策を強化します。また、一般の市民も
その活動に積極的に参加できる環境を、ハード(施設や設備)とソフト(資金援
助や休暇制度の導入など)の両面から整備します。
②住民の生活権を守りながら、
「歴史的環境」や埋蔵文化財・史跡などを保存します。
③埋蔵文化財・史跡などの学術調査にあたっては十分な予算措置を講じます。また、
宮内庁所管の天皇陵・参考地などに対する自由な学術調査を保証します。
④放置すれば埋もれてしまう恐れのある民芸品や玩具などを保護し、それらの制作
活動などに住民が積極的に参加できるようにします。
(4)インターネット情報は市民の監視下に置きます
インターネットは、私的な情報発信の巨大なプールとして文化「革命」の契機と
なりうる可能性を持っています。それを今後の文化活動や市民運動に活用すること
が必要です。同時に、ここから発信される露骨な差別的言辞やポルノ的表現などの
規制のあり方については、「市民の監視と批判」によって解決を図ります。
(5)「映画の日」「演劇の日」を設け、市民交流を進めます
映画、アニメ、大衆演劇、ロック・コンサートなど、あらゆるサブ・カルチャー
と市民の接点づくりを推進します。例えば「映画の日」「演劇の日」を設定し、この
日は子供や老人に全館無料開放します。
また、記録映像づくり、生活記録出版、地域演劇祭、市民祭りなどを積極的に支
援し、都市と農村の交流を深めます。自発的・創造的市民の活動などから学び、交
流を進めます。
(6)平等の実現は世界共通のテーマです
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女性や少数民族などの差別を撤廃し、平等な社会を築くことは、21 世紀の世界的
課題です。社民党は、差別や不条理と闘っている人びととの一層の交流を深め、連
帯を進めます。
行政改革
《国民本位の開かれた公正な行政を》
最近生じた雪印問題の背景には、価格破壊の行き過ぎ、コスト削減に伴う安全性の軽視
の問題があり、政府の進める規制緩和・行革路線の徹底の帰結の一つの証明ともいえます。
巨大官庁をつくることだけの「はじめに、いれものありき」の改革や、公務員いじめ・数
減らしでは真の改革とはいえません。行政改革の目標は、国民・住民の視点で、真にゆと
りと豊かさを実感できるように、新時代に合う政治行政制度へのモデルチェンジを行うこ
とにあると考えます。分権・自治の推進による地域の自己決定や透明な新しい社会ルール
を確立し、明治以来の中央集権、官主導の行政から、地方分権、情報公開での徹底を通し
て、主権在民にふさわしい市民主導の開かれた民主的公正な行政への質的な改革を重視し
ます。
1. 行政改革の基本的考え方
(1)地方分権こそ、国の行政のスリム化です
国の行政で、民間に任せても国民生活に支障がないもの、業者の利益の温床とな
っているものについての見直しを行い、国民生活への影響に着目しつつ社会的規制
をきちんと行うように重点を移します。また、地域の実情を反映した行政の実現の
観点から国の持つ事務・事業の権限、財源を自治体に移譲します。
(2)あるべき役割分担を創造します
何でも政府や自治体に依存すればいいというのも、何でも資本の利益の対象とし
ようというのも誤りです。国民・住民の自主性・自発性を大切にし、NPO や各種の
協同組合をはじめとする国民・住民の自主的・自発的な活動と、公共サービスの担
い手である「公」との「協働」を進めるべきであると考えます。その際、まず住民
がやれることは自分たちでやり、できないことを地方政府が、さらにできないこと
を中央政府が担うという「補完性の原則」が大切です。そうすることによって、お
のずから中央政府、地方政府、市民の役割分担が決まってきます。「大きな政府」か
「小さな政府」かも、その帰結です。
(3)巨大官庁を監視します
2001 年 1 月から 1 府 12 省庁の新省庁体制になりました。本来、分権・自治の推進
による地域の自己決定権の確立と、業界擁護の不透明な規制の改革を踏まえて、中
央省庁の行政自体の見直しを行い、そのことを通じて中央政府の行政の役割とはど
ういうものか、どういう省庁体制がよいのかという改革の進め方であるべきでした。
国土交通省や総務省など中央省庁再編に伴う、巨大利権官庁のはらむ問題について
きちんと監視していきます。
(4)機密費の減額と改革を進めます
外務官僚による機密費流用疑惑については、わが国の政と官の恥ずべき膿を徹底
的に出し切らなければなりません。この事件は外務省の元要人外国訪問支援室長に
よる個人的な公費流用や横領などではない、外務省の体質、システムに深く深く刻
み込まれた構造的なものであることは明らかです。
国民はこの問題について、官邸、外務省、否、政と官全体に対し、厳しい目を向
けています。機密費は国民の税金です。疑惑をもたれるような執行は許されません。
社民党は、機密費(報償費)の使途の限定と徹底した見直し、減額に取り組み、第
151 回通常国会において、官房機密費を 4 分の 1、外交機密費を 2 分の 1 にすること
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を提案しています。
2. 国民の行政への参加を推進します
(1)「知る権利」を保障します
2001 年 4 月から情報公開法が施行されましたが、国民の「知る権利」を行使する
観点から、情報公開法を充実し、誰もが利用しやすい情報公開を進めます。特殊法
人、認可法人、各種公益法人の情報公開を進めます。また、行政の決定過程に国民
が参画できるようにするため、パブリックコメント制度やパブリックインボルブメ
ント制度を活用します。
(2)NPO 活動を支援します
社会サービスの提供について、行政と市民との協働を進めるため、NPO 法を充実
させ、税制優遇措置を実現するとともに、より簡便に法人格を取得でき自由な活動
が保障されるようにします。また、天下りと利権の温床とも批判されている公益法
人について、情報公開や指導監督の強化を進めつつ真の公益性の観点からそのあり
方を見直します。
(3)審議会をオープンにします
各種審議会の委員について、国民参加の視点から、審議の公開や委員の公正な選
出、官僚 OB の排除など、運営の改革を進めます。
3. 公務員は国民全体の奉仕者です
(1)現場重視の改革を進めます
国民全体の奉仕者である公務員の削減は、国民へのサービス低下につながります。
21 世紀の公共サービスのあり方を踏まえ、国民生活に奉仕する新しい公務員像を描
くとともに、公務員制度や特殊法人等の改草にあたっては、事務・事業のきちんと
した評価を通じた見直しや国民との接点である現場からの発想を大事にします。特
に雇用問題について現揚の労働者に不安を与えることがないよう、労使の理解と納
得を得て行われるようにします。
(2)労働基本権の全面回復を求めます
労働基本権の全面回復は公務労働者の積年の課題であり、国民の理解を得つつ労
働基本権の確立と民主的な公務員制度改革の実現に取り組みます。行政の公平性、
中立性を確保するため、中立・第三者機関としての人事院の役割を維持します。ま
た、公務員の採用に当たっては、省庁別採用や試験区分を見直し、クォータ制の導
入で女性の登用を図ります。任用時における昇任差別をなくすとともに、高級官僚
の天下りに対する規制を強化します。
(3)国民・住民ニーズに合致した事業にします
財政危機の原因や、財政赤字をここまで増やす運営をしてきた幹部の責任を不問
に付した議論は誤りです。財政危機を口実とした、公務員の賃金・一時金削減や人
員削減攻撃、福祉の抑制・市民負担の増加を許しません。国民・住民のニーズに合
致した事業・施策への重点化を図るようにします。
4. 国会改革を推進します
(1)国会の機能を強めます
国会がその機能を十分に発揮し、活発かつ実質的な議論を行い、国民の負託によ
り一層応えることができるようにするため、まず国の唯一の立法機関である国会の
政策立案機能が十分発揮できるようにします。両院の常任委員会調査室、議院法制
局、国会図書館の機能、各会派の政策スタッフなど立法府にふさわしい補佐機関の
質量両面の充実・権限強化を図るとともに、質問主意書制度や一般質疑、フリート
ーキング方式、常時の公聴会の開催等の活用、議員立法の提出要件の引き下げなど
の改革を進めます。
(2)「党首討論」を面白くします
国家基本政策委員会について、十分な党首討論を実現するため、少数会派に不利
50
な時間配分を見直すとともに、週 1 回開催を定例とすることを求めます。
(3)行政優位に拍車をかけ、危険な政治につながる首相公選制には反対します
主権者としての国民の声をリーダー選出に直接反映させることができるようにす
るとともに、人びとの政治参加を進める点で、首相公選をデモクラシーの実質化の
一つの手段であるとする主張が強まっています。しかし、他方で首相公選制には、
議院内閣制を形骸化させ、行政優位の官僚政治や「リーダーシップ」に名を借りた
危機管理対策をますます強めたり、国民に犠牲と負担を強いる「構造改革」の推進
に利用されたりする恐れがあります。特に現在の政治情勢の下では、首相公選が英
雄待望論と結びつくことによって、かえって人びとの政治への責任を放棄させ、民
主主義の空洞化をもたらし、危険な政治状況をつくり出すことにつながります。い
ま求められているのは、国権の最高機関である国会の行政府に対する監視・統制機
能の強化であり、官僚優位の「官僚内閣制」から国民本位の「国会内閣制」への改
革です。行政優位に拍車をかけ、強権政治を推進することにつながる首相公選制に
は賛成できません。「制度改革頼み」ではなく、まずなによりも、議院内閣制の下に
おける首相の選出過程の透明化や国民の意思の反映を目指します。
住宅政策
《安全、安心、ゆとりの住宅先進国を》
ライフステージの変化に対応し、自由に住み替えのできる、大量の、そして良質の賃貸
公共住宅を核にした、住宅先進国・日本を築きます。
住み替え、または買い替えが自由にできない、単身赴任が当たり前になっている今日の
住宅市場のあり様は不健全です。健全な住宅市場を形成するには、すでに形成されている
日本の住宅資産を質量ともに是正・改善すること、つまり住宅資産の質と量と地域的偏在
を改革し、日本の自然の良さを活かし、豊かでみんなが満足して生活を楽しむことができ
る住宅政策に切り替えます。つまり 21 世妃の住宅政策は日本の自然条件にフィットした「居
住の権利を確立する」ことを目標に据え、住宅先進国・日本を目指します。
戦後日本の農村人口の都市部への大移動、大都市近郊での地域社会の激変、核家族化の
進行という社会変化に対応した住宅政策・制度が欠けていました。バリアフリー住宅、省
エネルギー住宅などの質的向上のための施策を充実するとともに、大量で良質の公共賃貸
住宅の建設を加速し、21 世紀にふさわしい住宅市場の形成を促進し、併せて自然災害に強
い居住環境の整備を急ぎます。
1. 優良な公共賃貸住宅の建設を加速します
優良な公共賃貸住宅の大量建設を加速します。質の面では優良住宅の水準を満たし
た集合賃貸住宅の供給を重点化します。国際的にウサギ小屋と笑われた低水準を脱す
るため、ライフステージ、ライフスタイルの変化に対応した住宅の質の向上と、住み
替え、買い替えが容易となる健全な住宅取引市場の形成を促進、住宅先進国・日本を
目指します。
2. 都市基盤整備公団の運営を改善します
都市基盤整備公団の運営の改善を加速化します。都市政策、住宅政策の先導者とし
て、またリニューアルの拠点として公団を積極的に活用します。公団、自治体、居住
者、周辺住民、関係企業の制度的参画(住民参加システム)の導入のための法律、政
省令の整備を推進します。
3. 各種家賃補助制度を拡充します
各種家賃補助制度を拡充します。標準世帯、高齢者世帯、単身赴任者を抱える世帯、
高齢単身者世帯、別世帯複合家族の同一団地内居住、在日外国人留学生など、住宅弱
者への家賃補助制度の創設・充実に努めます。
51
4.
都市公園の整備を促進します
低水準の都市公園の整備を促進します。虫喰い状態の土地を積極的に買い上げ、都
市公園緑地として活用します。電線の地中化、共同溝を整備し、緑の都市づくりを加
速します。中心市街地の再開発、住宅密集地の再開発でも都市公園整備、緑の空間の
確保を優先課題として取り組みます。
(挿絵)
国土・災害政策
《災害に強い国土を築きます》
21 世紀にふさわしく、災害に強い日本の国土を築きます。自然の豊さに着目し、最先端
の科学的知見を活かした自然災害に強い国土利用を促進し、日本の自然の豊さを国民全体
が共有して生きる日本を築きます。
1. 未来に責任を持つ公共事業を進めます
子や孫に伝えていく財産=国土を築くため、社会的な費用対効果など厳密な評価シ
ステムを確立し、未来に責任を持った公共事業に再編します。公共事業は市場経済に
任せているだけでは、本当の公平・平等は生まれません。公共事業は計画立案から完
成まで長期の懐胎期間があるとはいえ、計画の有効性は時々の状況変化に対応して見
直し、検証していきます。
①国土の均衡ある発展に配慮しつつ、道路特定財源もその歴史的使命を検証して一
般財源化を推進し、公共事業全体を見直す起爆剤とします。
②新しい世紀を迎えて、公共事業のあり方を抜本的に見直し、公共事業を再編して
21 世紀日本の礎を築きます。
③中央行政官庁の縦型縄張り行政の悪弊を排除し、教育行政と福祉行政関連施設な
ど公共施設の一体的整備を推進します。
2. 安心・安全の国土計画、防災計画を進めます
新全国総合開発計画など公共事業の各種長期計画を見直し、国会での審議を強化し
て不要不急な事業を計画から排除します。首都機能移転問題についても国会審議を強
化し検討を進めます。
災害列島日本から防災先進国日本へ、災害救助法はじめ防災、救援、復旧・復興関
係法令の抜本的再編成を促進します。
①地方自治体へ大幅に権限を移譲し、救貧行政思想から脱却し、被災自治体、関係
住民の使い勝手のよい防災・復興行政へ転換します。危険地域の住宅地(急傾斜
地、水害常襲地など)を買い上げ、公園化します。河川災害多発地域の農地を買
い上げ、公園緑地へ転換します。
②災害関係予算(救援、復旧、復興、防災)の透明化、簡素化、自治体などへの権
限移譲と防災マップの普及と住民参加の防災・救援計画の策定を促進します。
自治・分権
《住民の参加と決定で地域から新しい民主主義をつくろう》
2000 年 4 月から、中央集権体制の象徴であった機関委任事務制度を廃止する「地方分権
一括法」が施行され、分権・自治は新しい段階に入りました。しかしこの分権改革は、「未
完のもの」にすぎません。これを完成させていくか否かは、市民が傍観者であり続けるの
か、それとも創造の担い手となるかにかかっています。
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一方、分権・自治の基盤であり、福祉の基盤である地方財政は、深刻な危機的状況にあ
ります。福祉や環境、バリアフリーといった分野への事業の内容の重点化を図ることや、
地域の内発的な経済の振興に資する対策への切り替えを行うべきです。抜本的な地方税財
政制度の改革や条例制定権の拡大、自治体議会の権限強化などによって地域から実りある
新しい民主主義を目指します。
1. 多元・共生の豊かな自治を築きます
(1)「住民憲法」の制定――まちづくりの主人公は住民です
市民は官僚の「善政」の受け手でも、行政サービスの顧客でもなく、自治の主体
です。市民自らが考え行動することが自治の原点です。自治体における計画・実施・
評価のあらゆる段階に住民が参加することなくして、住民の自己決定権の保障はあ
りえません。そのため、市民の参加権や対案提案権をはじめとする市民の権利と責
任、まちづくりの基本原則、自治体の責務等を規定した自治基本条例を「住民憲法」
として制定します。
(2)住民投票制度の確立を進めます
間接民主主義の問題点を解消するとともに、自治体の重要事項について直接住民
の意思を確認するため、住民投票を制度化します。その際、住民投票の対象や方法、
内容、効力等について自治体の自主性を尊重するものとします。なお、議会と住民
投票を求める住民の意思を調整するため、有権者の 3 分の 2 以上の署名で直接請求
がなされた場合、議会の反対にかかわらず投票を行うものとするとともに、過半数
以上の署名で直接請求がなされた場合には住民投票に付するかどうかを問う予備的
投票を行う制度を導入します。そのほか、多様な住民自治制度の創設、直接請求制
度の改善(人口段階別に要件を定めて実施しやすいようにする)、審議会・委員会等
の人事への市民参加を進めます。
(3)市民参加の政策評価条例の制定を進めます
自治体の施策・事業の社会的有効性を判定し、今後にフィードバックするため、
住民代表、サービスの受益者、職員、有識者を加えた政策評価システムを確立しま
す。自治体共同の外部監査機構の創設、主要な行政別のオンブズパーソン制度の導
入に取り組みます。自治体の政策法務能力を向上させるなど、「政策自治体」づくり
を進めます。
(4)NPO、ボランティアとの協働を進めます
自治体を「市民の政府」として、市民の自発性に依拠し、NPO やボランティアを
はじめとする市民との連帯と協働を推進するコーディネート機関に転換します。
(5)あらゆる情報は住民のものです
住民が自治体に関わる情報(議会・警察・外郭団体も対象に拡大、広報だけでは
なく政策情報も)の提供を受け、取得する権利と自治体の説明責任のうえに立って、
自治体情報の全面公開を進めます。予算書・決算書を住民にわかりやすくするとと
もに、自治体の条例・規則集(要綱・内規も含む)を使いやすくします。行政過程
を市民にオープンにするため、会議の公開を進めます。
2. 誰もが議員になれる自治体議会へと改革を進めます
(1)市民に開かれた活動する市民の議会にします
自治体議会が行政をきちんとチェックするとともに、地域住民の意思を反映し、
市民立法機能を発揮できるようにします。法令解釈能力や調査能力を向上させるた
め、議会事務局に専門の政策調査スタッフを設置するなど、「活動する市民の議会」
へと改革します。議員定数や選挙制度等は自治体が自由に条例で定めるようにしま
す。多様な階層が反映される議会となるよう、サラリーマンや女性をはじめ普通の
市民が立候補しやすい制度に改めます。市民に「開かれた自治体議会」とするため、
委員会の公開、議会情報公開条例の制定、「夜間議会」、「休日議会」、
「出前議会」の
実施、会議録の作成・公開、ケーブルテレビの活用などを進めます。
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(2)外国人参加による文化的多様性ある議会にします
豊かな自治を築くには、これまでのように国籍のある者だけに政治参加を限定す
る閉鎖的政治から、多様な市民による共生と連帯の開かれた政治に変えていかなけ
ればなりません。外国人住民も街づくりに参画する権利は平等です。定住外国人の
権利保障や、
「外国人会議」などの自治体独自の参加制度を重視するとともに、定住
外国人の地方選挙権の実現に取り組みます。職員採用における国籍条項をなくし、
定住外国人の公務員採用を推進します。
(3)青少年も、子どもたちも主人公です
青少年も子どもたちも街づくりの主人公であり、それぞれの年齢にふさわしい街
づくりへの参加権を保障します。選挙権を 18 歳からに、被選挙権を 20 歳からに引
き下げます。青年の声を議会に反映させるため、発言権は持つが表決権を有しない
「準議員」制度を検討するとともに、子どもたちが自治体議会に親しみ自治体への
関心を引き起こすため、学校への「出前議会」を行います。
3. 国・地方の制度改革を進めます
(1)「地方自治基本法」を制定します
法定受託事務を縮小するとともに、自治事務への国の関与に対する是正改善義務
など、地方分権一括法において国の権限が強化された側面の制度改革に取り組みま
す。新たな段階の分権・自治を推進するため、
「地方自治基本法」の制定に取り組み
ます。
(2)事務の多様な共同処理体制の推進――創造的広域行政を推進します
都道府県・市町村の現行の二層制の地方制度を堅持します。総務省(旧自治省)
の指導に基づき各都道府県の市町村合併の要綱が策定されましたが、合併は単に地
域の選択肢の一つであり、万能の解決策ではありません。住民不在の国・県主導の
強制合併には反対します。広域的な事務の処理に当たっては、広域連合や一部事務
組合、自治体間協力、都道府県による支援・代行など多様な手段を活用すべきです。
なによりも自治体のあり方を決定するのは、そこに暮らす住民自身の権利であり、
住民の決定と地域社会の選択を尊重して対応することとし、最終的には住民投票で
決定すべきであると考えます。合併問題は幅広い住民議論にさらされることが必要
であり、なぜ合併しなければならないのか、合併すると地域や自治体行政はどうな
るのかなどについて、正確な情報と将来展望を明らかにさせます。
(3)コーディネーターとしての自治体職員の役割を強化します
自治体と市民をつなぐ核である公務員は、コーディネーターとしての役割が求め
られており、政策形成能力や法制執務能力等の向上を図ります。新たな公務員像を
つくるためにも公務員の身分保障は重要です。短時間公務員制度の導入、身分が不
安定な臨時公務員・期間公務員の処遇改善など、身分保障を図りつつ、新しい地方
公務員制度のあり方を検討します。地方公務員倫理条例の制定を進めます。旧地方
事務官については、地方自治法附則を足掛かりとして今後とも地方公務員とする方
向で見直しを行うよう、粘り強く働きかけます。
(4)強権政治に反対します
強権政治の与党体制の下において、国家的危機管理の面が強調されている住民基
本台帳のコード化・ネットワーク化は、国民総背番号制につながりかねず、廃止な
ど根本的な見直しを今後とも粘り強く求めていきます。また、政府提案の個人情報
保護法案は、官に甘い一方、メディア等の規制を狙うなどの問題があります。社民
党は、高度情報化社会に対応した個人情報保護制度を確立するため、自己情報コン
トロール権としてのプライバシーの保護に実効性ある包括的個人情報保護法の制定
を目指します。
4. 市民福祉の財政基盤を確立します
(1)税源の抜本的移譲を行います
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税財政を通じた中央政府のコントロールが温存される限り、分権・自治は成り立
ちえません。地方税収入と地方における歳出規模との乖離をできるだけ縮小する(中
央 7:自治体 3 の税滞配分を中央 3:自治体 7 の歳出状況に合うように)という観点
に立って、補助金を縮小し、国税から地方税への税源移譲を進め、市民福祉のため
の財政基盤を確立します。
(2)所得税・個人住民椀の統合――「地方所得税」を創設します
国税である所得税と個人住民税を統合し、おおむね課税所得 3,000 万円未満の所得
者の課税については地方税とします。
(3)法人事業税の外形標準課税を実現します
都道府県の基幹税目は法人事業税と消費・流通課税を中心とします。税収の安定
を図る意味で資本金 1 億円以上の規模の法人に対する事業税について外形標準課税
に転換するとともに、地方消費税の配分割合を拡充します。特に国・地方の税財政
構造の抜本改革を展望し、各都道府県の条例による法人事業税の外形標準課税への
転換を追求します。
(4)国・地方の制度改革につながる自主課税権を推進します
各自治体で独自課税の動きが盛んですが、自主課税権を尊重しつつも、安易な財
源探しではなく、住民の理解と納得を得ながら、政策目的、税としての公平性等の
基準で真剣な論議を進めるべきであり、国・地方の制度改革につながる自主課税権
の行使を推進します。また、税率、税目、課税ベースを条例で地域の実情に応じて
定められるようにするとともに、住民が税制に関して意思表示できるよう、「地方税
調」の開催や地方税条例に関する直接請求権の回復に取り組みます。
(5)地方交付税制度の改革を進めます
基幹税目の改革によって自治体の自主財源は充実され、地方交付税の交付団体も
減少します。地方交付税については、算定基準・算定方法・配分のあり方を見直す
とともに、自治体代表、有識者、総務省で構成する「地方財政委員会」の創設など
の改革を行います。
(6)地方債の改革を行います
①地方債発行制度の改草
地方債発行については、総務(旧自治)大臣の許可制度の廃止を前倒し実施し
ます。公営企業債の改善、現行の公営企業金融公庫を自治体銀行に拡充すること
を検討します。
②「福祉地方債」の発行
福祉のセーフティネットを整備するとともに、地域の資金環流を進めるため、
市民公募の「福祉地方債」を発行します。
(7)国庫補助負担金の改革を行います
国庫補助負担金については、中央政府が全国的に実施しなければならない事業を
除き、廃止・一般財源化あるいは統合補助金化を進め、財政のひも付きを排除しま
す。
(8)自治体の歳出構造の改革を行います
財政危機を打開するため、不要不急の大型開発事業の見直しや第三セクター・出
資法人の見直しを進め、自治体の歳出構造自体を真に住民が必要とする事業へ転換
させます。
(9)地方公営企業の充実を進めます
住民に対する公共サ←ビスを提供している公営交通や公立病院を維持するため、
財政支援を充実します。また、上下水道の民営化には反対します。
5. 安心で安全な市民生活を保障します
(1)自治体は「セーフティネットの砦」です
内外の市場競争が激化するほど、市民の社会的・公共的安全システムを支える自
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治体の役割は重要です。自治体を「セーフティネットの砦」とし、医療介護、障害
者等の福祉などシビルミニマムを保障するため、総合的な「福祉基本条例」を制定
します。
(2)生活の足を確保します
規制緩和の進展に伴って、バスや鉄道の撤退が容易になりますが、地域の住民の
足の確保は自治体の重要な責務です。各自治体における自主的・主体的な交通政策
の企画立案機能を高めるようにします。特に生活交通の維持、交通への投資は、単
に交通分野にとどまらず立派な福祉サービスでもあり、地域活性化策でもあり、街
づくりの基本でもあります。市民の移動の権利を保障し、自治体の交通に対する責
務を定めた「地域公共交通基本条例」(仮称)を制定します。
(3)市民の目で警察をチェック――「警察監視委員会」を設置します
神奈川県警問題をはじめとして各地で露呈した警察の不祥事が今なお相次いでい
ます。警察内部の腐敗の深刻さ、特別監察など警察内部による改革の限界、公安委
員会制度自体の形骸化という実態を踏まえ、警察でも公安委員会でもない外部の第
三者による監視機構として、「市民の眼」で警察の監視・改革を図るための「警察監
視委員会」を設置します。また、公安委員会の抜本的改革、徹底した情報の公開、
キャリア制度の見直し、警備公安警察偏重の是正、警察官への団結権の付与等の人
権確立など、「聖域」に深く切り込み、「市民に開かれた市民のための警察」を目指
して抜本的な制度改革に取り組みます。
(4)犯罪被害者対策を強化します
地下鉄サリン事件などの無差別殺傷事件を契機に、犯罪被害者の置かれた悲惨な
状況が広く社会に認識されるようになりました。犯罪被害者給付金を増額するとと
もに、生活全般にわたる支援や長期的なカウンセリングを担う各地の民間援助団体
への支援など、犯罪被害者に対する総合的な支援対策を強化します。
(5)消防団を活性化します
消防団員の待遇改善を図るなど、消防団の活性化に努力します。
(挿絵)
交通
《いのちとくらしと夢を運びます》
20 世紀の行き過ぎた「クルマ社会」は、激増する交通事故、慢性化する交通渋滞、大気
汚染・騒音等の交通公害といった社会的外部負経済をもたらすとともに、貴重な人命を損
ない、交通弱者の移動の権利を奪ってしまいました。21 世紀を人間優先の社会とするため、
社民党は、誰もが、いつでも、どこからでも、どこへでも、安全、安心、平等、快適に移
動できる権利としての、新しい人権「交通権」を保障することが交通政策の基本であり、
公共交通の充実が必要であると考えます。特に弱い立場にある人たち、高齢者・障害者・
子どもの移動の自由を保障することが必要です。
21 世紀は、高齢社会に対応する交通システム、限られた資源、地球環境を守る交通が求
められており、転換すべきは、「クルマ社会」の行き過ぎです。交通は「公共性」の問題で
あり、公共交通を基盤に置いた人と地球にやさしい総合交通体系の確立が必要です。国・
自治体の施策の中で地域文化、街づくり、地域振興、地域福祉、教育等の重要な柱と位置
づけ、必要な社会的規制と十分な公的財源の投入で公共交通の復権を目指します。
1. Mobirity Rights:衣・食・住・交通――交通権を保障します
(1)「交通基本法」を制定します
フランスの「国内交通基本法」にならい、「交通権憲章」運動を進め、交通権の保
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障、交通社会資本の基準、生活交通機関の位置づけ、生活交通に対する補助、総合
交通会計制度、交通運輸労働者の労働環境の保護、安全輸送の確保などを盛り込ん
だ「交通基本法」を制定します。
(2)「総合交通会計制度」を創設します
国土交通省への統合の趣旨を活かし、各局の縦割りを排し、横断的・体系的な総
合的交通政策を推進するため、交通整備財源を一本化した「総合交通会計」制度を
創設します。そして、これらの財源を活用して生活交通の維持や環境対策を進めま
す。
(3)自治体の交通政策の確立を進めます
各自治体における自主的・主体的な交通政策の企画立案機能を高めるようにしま
す。特に生活交通の維持は立派な福祉サービスであり、まちづくりに不可欠な施策
としてきちんと位置づけ、地域の社会的共通資本として生活交通を捉え、公共交通
を街づくりの中心と位置づけた政策への転換を目指します。
2. Barrier Free & Unversal Design:すべての人が利用しやすい交通を目指します
(1)車両のユニバーサルデザイン化を進めます
車いすスペース付鉄道車両の整備やホームとの段差の解消、車高が低く車内の段
差がない、誰もが乗り降りしやすい超低床車(ノンステップバス)の導入を進めま
す(購入補助の充実)。また車椅子対応ユニバーサルタクシーや介護タクシーの普及
を推進し、移動制約者に個人的な輸送を提供する交通サービス(STS)を進めます。
(2)駅のユニバーサルデザイン化を進めます
開放式エレベーターや車椅子対応型エスカレーター、スロープの設置、段差の解
消、誘導・警告ブロック、音声や接触・発光ダイオード方式による情報提供装置や
見やすくわかりやすい案内表示の整備、ホームでの転落防止のためのホームドアや
転落検知マットの導入、改札口の拡幅、バリアフリー型トイレの整備等を進め、鉄
道駅を誰もが安心して利用しやすくします。相当数以上の乗客が見込まれる駅に加
え、高齢者、身体障害者等の利用が多いと見込まれる駅等についても、改良工事の
推進や人的サポートを含め必要な措置を講ずるようにします。また、鉄道駅以外の
バス、旅客船、空港のターミナルもすべての人に使いやすくします。
(3)乗換えをもっと楽にします
鉄道とバス、鉄道相互間の乗換えを円滑にするとともに、駅前広場や周辺道路、
駅ビル等を含め関係方面と連携して交通ターミナル施設の改良を進めます。公共性
の高いコミュニティ空間である駅に人の集う場所をつくります。
(4)当事者の声を反映させます
交通バリアフリー法が施行されましたが、一番状況がわかっている当事者の意見
を計画や事業に生かしていくべきであり、市町村の基本構想策定の段階において、
当事者の声を反映させる仕組みを設けるようにします。
(5)バリアフリー投資を推進します
バリアフリー化は、ローカル線活性化対策、観光活性化についても意義があり、
バリアフリー投資へのインセンティブを充実するようにします。
(6)ソフト面の施策を充実させます
シルバーパスを充実させるとともに、障害者割引に対する公費負担制度を創設し、
生活交通を誰もが利用しやすくします。また、公共交通機関への介助犬の同伴を広
げます。
(7)楽しく歩ける歩道にします
歩道と車道の完全分離、通行区分の明確化、スクールゾーンやコミュニティ道路
の充実、「抜け道」の禁止、都心部への自動車の乗り入れ規制を強化し、にぎわい楽
しく歩ける街をつくります。また、歩道橋や地下道への小型エレベーターの設置を
推進します。
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3. Ecology & Modal Shift:環境にやさしい交通を目指します
(1)脱「クルマ社会」を目指します
脱「クルマ社会」を展望した交通需要マネジメントを推進し、自動車の都心部乗
り入れ規制や台数割当制度、ロードプライシングを導入するなど、中心市街地の自
動車の総量規制に踏み出すとともに、パーク・アンド・ライドなど自動車・自転車
と生活交通の連携を進めます。違反駐車防止条例の制定を推進します。
(2)クリーンな自転車を推進します
クリーンな乗り物である自転車の活用を進めていくため、非常に遅れている自転
車道や自転車通行帯、自転車駐輪場の整備を推進するとともに、サイクル・アンド・
バスライドや生活に密着した循環型自転車活用制度(レンタサイクル)を広げます。
(3)モーダルシフトを進めます
幹線物流における貨物鉄道輸送や内航船舶輸送の強化、各交通機関相互のアクセ
ス向上、共同配送拠点の整備を進め、自動車輸送からの移転(モーダルシフト)を
促進します。貨物鉄道に対する支援措置を強化します。
(4)低公害バスを推進します
ハイブリッドバスや電気自動車等低公害バスの導入を推進します。また、条件に
応じてバスのトロリー化を検討します。
(5)地球温暖化対策を推進します
地球温暖化、オゾン層の破壊等地球的規模の環境問題等に対応するため、観測・
監視・予報体制の充実・強化を図ります。また、交通公害の防止を推進するととも
に、海洋汚染防止対策を充実します。
4. Rural & Community:電車・バスの走る風景を大切にします
(1)路面電車の復権――「トランジットモデル都市」を目指します
人と環境にやさしい生活交通体系として、超低床車両を使用した新しい路面電車
である LRT(軽快電車)を強力に支援します。
そのため、軌道・車両に対する税財政上の支援を拡充するとともに、軌道の専用
化を進めます。また、歩行者専用のショッピングモールに公共交通を運行させた商
業空間(トランジットモール)を広げ、街ににぎわいと魅力を取り戻し、「トランジ
ットモデル都市」を目指します。
(2)生活交通の維持−クロスセクターベネフィットを進めます
規制緩和によって、クルマ社会に取り残された人をはじめとするあらゆる移動制
約者の交通手段がなくなろうとしています。通勤、通学、通院、買物の「足」を確
保するため、
「公共交通は赤字でも福祉など他の分野で便益を生む」というクロスセ
クターベネフィットの考え方で、地方の生活バス路線やコミュニティバス、福祉バ
スヘの財政措置を強化する(道路特定財源を活用した「生活交通維持交付金制度」
(仮
称)など新たな運行欠損補助制度の創設等)とともに、自治体、住民、バス会社の
三位一体の連携プレーで生活交通の維持を図ります。将来的には、道路目的財源の
総合交通財源化を行い、バスの維持・復権のための財源を国・自治体の責任できち
んと手当てすることを目指します。
(3)「オムニバスタウン構想」を推進します
魅力ある車両の導入や、バス停の高度化、バス専用レーンの拡充、情報案内シス
テムや運行管理システムの整備を行いつつ、バスの多様な意義を十分に活かした街
づくり(「オムニバスタウン構想」)を進めます。
(4)地域に交通問題の協議の場を設けます
生活交通維持のための地域協議会を地域の関係者が一体となって交通問題を考え
る場とするため、利用者、住民、交通労働者も参加するように働きかけ、将来的に
は「交通委員会」への発展を目指します。
(5)地域交通に関する自治体の責務を明確にします
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「公共交通の確保及び経営調整に関する特別措置法」
(仮称)を制度するとともに、
住民の移動の権利、自治体の交通政策に関する責務等を規定する「地域公共交通基
本条例」(仮称)を制定します。また、国の持っている交通行政の権限を自治体に移
譲し、地域交通に対する自治体の決定権を拡充することで、住民・利用者の声を交
通政策に反映されるとともに、交通問題に関する自治体間の協力や広域連合制度の
活用を進めます。
(6)地方鉄道路線を維持します
規制緩和による地方鉄道の廃線計画が各地で浮上し、生活に密着した鉄道路線の
維持が大きな問題となっています。ドイツの「公共近距離旅客輸送の地域に関する
法律」にならい、「公共交通の根幹をなす鉄道を守る」立場に国・自治体の交通政策
を転換させます。
(7)鉄道を核とした地域振興を推進します
鉄道を地域住民の共同の社会資本と位置づけ、駅を拠点とした街づくり、アクセ
スや利便性の向上、駅周辺整備の推進や「ルーラルレイルウェイツーリズム」など、
鉄道を核とした地域振興を進めます。過疎地の鉄道を維持するため、基盤保有と運
行を分離する「上下分離」方式の活用を検討します。
(8)JR の公共性を確保します
国鉄から公共交通としての鉄道を引き継いだ JR が「社会的責任」を果たすよう、
安全性やローカル線対策をはじめとする公共の福祉の増進の観点からチェックしま
す。
(9)離島の足を守ります
離島航路の運航確保、離島の航空輸送の確保に必要な施策を充実します。
5. Safety & Comfortable:安全で快適な交通を目指します
(1)交通に関する社会的規制を強化します
需給調整規制の廃止に伴う労働条件・雇用への影響を防止するため、産業別最低
賃金制などの最低労働基準を確立します。同時に、責任の所在の明確化、事業者の
資質の向上、不適格事業者の排除、違反者への罰則強化等の社会的規制を強化しま
す。
(2)公共交通としてのタクシーを応援します
タクシーの運転者資格制度の創設、タクシー適正化事業実施のための機関の設置
を検討します。高齢者・障害者等の非営利の福祉移送については、安全面の確保を
重視しつつ道路運送事業法に位置づけることとし、公的助成の創設などによる福祉
タクシー事業の推進と合わせて対応します。
(3)高速交通体系を整備します
整備新幹線に対する厳しい意見も真摯に受け止め、貨物鉄道のあり方や地域の重
要な足である並行在来線の維持・確保に努力するとともに、財源の重点的・効率的
使用や総合交通体系確立の観点からの公共投資の内容全体の見直しを行うなどの残
された課題の解決を図ります。
(4)「通勤地獄」を解決します
通勤ラッシュを緩和するため、新線建設、車両増備、ホーム延長、信号の高度化、
時差通勤、職住近接を進めるとともに、踏切を解消していくため、高架化・地下化
を推進します。
(5)交通安全対策を推進します
歩車道の完全分離を推進するとともに通行区分の明確化を徹底し、スクールゾー
ンの増設やコミュニティ道路の充実を図っていきます。交差点における歩行者優先
の原則を徹底するとともに、信号機の高度化を進めるなど「人にやさしい」視点で
歩行者安全策を追求します。踏切の歩道設置や、踏切への点字ブロック設置を進め
るなど、人に優しい踏切にします。自転車事故や歩行者への傷害事故を防止するた
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め、非常に遅れている自転車道の整備や自転車通行帯の充実を推進していくととも
に、交通安全教育の一層の充実や自動車教習の強化などの運転者対策を進めます。
(6)交通事故被害者の気持ちを大切にします
交通犯罪を重罰化するとともに、行政制裁金制度の導入に反対します。自賠責再
保険制度の見直しにあたっては、営利目的の保険会社が本当に救済されるべき被害
者の立場に立つことができるのか疑問があり、現在の再保険制度の透明化・民主化
を進めつつ、すべて営利企業に委ねるのではなく、政府がきちんと関与するように
します。また、自賠責再保険制度の運用益については保険料の引き下げよりも遺族・
被害者救済事業をもっと充実させるために用いるようにします。
(7)安心して乗れる鉄道にします
新幹線トンネル事故、営団日比谷線脱線事故、京福電鉄正面衝突事故などの鉄道
事故や、ホームからの乗客の転落事故が続発していますが、公共交通機関にとって
乗客の安全は最優先の課題です。安心して鉄道に乗れるよう、「運輸安全基本法」の
制定を検討するとともに、国も経済効率のみで鉄道を位置づける発想をやめ、環境・
地域への鉄道の貢献を重視し、鉄道の安全対策への国の支援を強化します。
(8)鉄道事故調査委員会の設置を行います
社民党が他党に先駆けて提唱した鉄道分野の事故調査機関が、信楽高原鉄道事故
から 10 年を迎え、ようやく航空事故調査委員会を改組した航空・鉄道事故調査委員
会として設置されることになりました。
今後は同委員会が独立した調査活動ができるようにするとともに、将来的にはア
メリカの NTSB(国家運輸安全委員会)にならい、あらゆる交通モードを対象とする
「国家運輸安全委員会」の創設を目指します。
(9)船員の安全を確保します
船舶輸送に従事する船員の命を守るため、海水脱塩式造水装置の普及を進めます。
(10)空の安全を確保します
最近、航空機の整備不良事故やニアミス事故が多発しています。整備の委託や新
会社の参入によって、安全に対する信頼が揺らいでいます。事故が起きれば経済的
損失をもたらすから事故は起きないようにするはずだという「規制緩和=安全論」
に与することはできません。空の安全確保に万全策を講じるよう要求します。
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