松山市吉藤環境保全会

「松山市吉藤地区における取組事例」
松山市吉藤農村環境保全会 代表 能田 雅雄
松山市吉藤地区は、松山市北部、国道196号線の東側の郊外緩傾斜地に広
がる果樹生産適地の一つであり、伊予柑を中心とした柑橘類の栽培が盛んな地
域です。
しかし、昨今の農産物価格の低迷による農家所得の減少や農業従事者の高齢
化、後継者不足による農業労働力の低下等で地域農業は弱体化し、農地や農業
用水等の健全な保全が難しくなってきており、さらに、これまで地域住民を育
み培ってきた地域の風景や自然環境も農業の衰退とともに荒廃が危惧される状
況となっていました。
そこで、平成19年度から「農地・水・環境保全向上対策」に取り組み、遊
休農地の発生防止を図るとともに農道・水路、ため池等の農業生産資源や農村
環境の安定的な保全に努めているところです。なかでも、生態系保全として実
施しているホタルの生息環境に配慮した草刈や泥上等の施設管理活動は吉藤川
のホタルの復活につながり、水質保全として地域住民が一体となって行ってい
る水路清掃や土壌流出を防止する開水路法面のリュウノヒゲ植栽活動等は、世
代間や農家・非農家間の交流が促進され、住民の連携強化による地域の活性化
をもたらすなど、地域として大きな成果が得られています。
今後当地区では、自分たちの住んでいる地域の現在、そして将来ビジョンを
自主的・主体的に考え、一体となって地域の発展に向けた活動を持続的に展開
できるよう活動組織の NPO 法人化に取り組むことにしています。現在、準備委
員会の発足、先進地視察の実施、設立総会を終えており、平成21年度の法人
認証・法人登記を経て「特定非営利(NPO)法人松山市吉藤農村環境保全会」
が立ち上がる見込みです。当地区では、この NPO 法人を中心に地域農業だけで
なく地域の財産である農村環境のすばらしさや、自然とのふれあいの重要性を
住民にPRし、理解を深めながら地域を守り育てる様々な活動を効果的に進め
ていきたいと考えています。
ホタルの生息に配慮した水路管理作業
リュウノヒゲ植栽活動
<NPO法人化申請手続きの流れ>
設立
公告
総会 → 申請 → 審査 → 縦覧
→
認証
→
登記
完了
→ 届
1 設立総会を開催し、NPO法人の設立、定款、役員、事業計画・収支予算等
を決定。
2 県庁県民活動推進課等に設立認証申請。
3 申請のあった内容を2か月間、市民に情報公開される。(公告・縦覧)
4 活動組織は認証後、2週間以内に法務局において設立の登記を行なう。
登記によりNPO法人が成立。
5 登記後、速やかに設立登記完了届出書を県庁県民活動推進課等に提出。