ゼミ卒業論文 障害者の雇用 ―国・企業・国民の責務

ゼミ卒業論文
障害者の雇用
―国・企業・国民の責務―
2008 年度
高千穂大学
経営学部
経営学科
長谷川万希子ゼミナール
M05A038
芝本
0
寛
目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p1
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p3
1.障害者雇用の現状と、法定雇用率の変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p4
(1) 現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p4
①企業規模別の雇用状況
②法定雇用率達成企業の割合と実雇用率の推移
③産業別の雇用状況
④障害種別雇用状況
⑤国・地方公共団体における雇用状況
(2) 法定雇用率の変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p9
2.法律・制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p10
(1)障害者基本法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p10
(2)障害者雇用促進法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p10
①雇用義務制度
②納付金・調整金制度
③職業リハビリテーションの実施
3.未だ不十分な日本の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p12
(1)アメリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p13
①雇用
②公共的施設
(2)イギリス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p14
(3)日本(諸外国との比較) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p14
4.調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p15
(1)調査概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p15
(2)結果及び考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p16
①実雇用率
②採用試験の方法・採用基準
③雇用・勤務条件
④企業人気
⑤有利障害条件の存在
1
(3)企業の取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p18
①各種ネットワーク作り
②採用先行戦略
5.問題の所在と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p20
(1)障害者雇用に対する企業の認識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p20
(2)利益重視型の企業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p21
(3)法制度の問題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p21
①障害者雇用促進法の問題点
②バリアフリー新法
(4)バリアフリー化の問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p22
(5)心のバリアーの存在・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p23
6.障害者雇用が促進されるために・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p23
(1) 国ができること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p23
①法制度の整備
②障害者雇用の PR
(2) 企業ができること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p24
①各種ネットワーク作り
②採用先行戦略
③障害者雇用担当者の裁量権の拡大
④障害者採用後フォローアップ
⑤多様な障害条件を受容する
⑥多様な勤務形態を可能にする
⑦障害者のためのインターン制度
(3)国民ができること・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p26
①ノーマライゼーションの普及
②法定雇用率未達成企業への圧力
(4)新たなシステム構築としての「企業名逆公表」の提言・・・・・・・・・・・・p27
おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p29
引用資料 URL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p30
参考資料 URL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・p31
2
はじめに
障害者の雇用というテーマを選定した理由は、私が大学二年次にゼミナールの研究テー
マとして取り扱っていたことに由来する。このテーマについて一年弱研究・調査したこと
により、障害者の雇用という世界を僅かだが見ることができた。その世界は私たちの生活
に密接に関わっており、いたって日常的なことながら世間にあまり知られていないという
現実があった。私は、障害者の雇用が抱える問題は世間に広めていくべき事柄の一つだと
認識するとともに、更にこの事柄について深く追求したいという欲求に駆られた。
私はこの研究を進めていく上で、次の言葉を聞いた。
「人間は誰しも社会と繋がっていた
い、働きたい、という欲求を持っている。それが障害を持っているということだけで制限
されてしまうのはおかしい。」私はこの言葉から、障害者と企業の間には、何か目に見えな
い壁があるように感じた。実際に研究を進めていくと、明らかに目に見える壁まで存在し
ていることも認識できた。私は、障害者を取り巻く社会の壁を少しでも多く取り除き、障
害者の雇用が促進されていくことの助けになれば、と考えこの論文の執筆に当たった。
日本には障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、障害者雇用促進法)がある。この法
律によると民間企業、国、地方公共団体は、それぞれ一定の割合に相当する数以上の障害
者を雇用しなければならないこととされている。その一定の割合は法定雇用率と呼ばれ、
民間企業は 1.8%、国や地方公共団体は 2.1%の障害者を雇用しなければならない。つまり
法定雇用率を達成できない企業は、法の規定を満たしていないことになる。法制度や、実
雇用率に関する問題等については以下で述べるが、多くの企業が法定雇用率を達成できて
いないという状況は、ニュースや新聞等で報じられている。障害者の雇用率(以下、実雇用
率)が悪く、一定の条件を達成できていないと、厚生労働省がその企業名を公表することも
ある。
本論では、障害者雇用の現状、主要な法制度、調査の概要、調査結果及び考察、雇用が
進まない要因と今後の展望等について述べていく。
3
1.障害者雇用の現状と、法定雇用率の変遷
(1)障害者雇用の現状
厚生労働省が発表した資料によると、平成 19 年 6 月 1 日現在における民間企業の障害
者の実雇用率は 1.55%である。また、法定雇用率達成企業の割合は 43.8%と、過半数に
達していない。雇用されている障害者の数は前年に比べて 6.7%(約 1 万 9 千人)増加し、
約 30 万 3 千人になった。法定雇用率が導入された当初の昭和 54 年には約 13 万人であっ
たのに対し、2 倍以上に増加している。
①企業規模別の雇用状況
中小企業の実雇用率は低い水準にあり、特に 100~299 人規模の企業においては、実雇
用率が 1.30%と、企業規模別で最も低くなっている(表 1)。1,000 人以上規模の企業に
おいては、実雇用率は 1.74%と高い水準にあるものの、法定雇用率達成企業の割合が
40.1%と企業規模別で最も低くなっている。
企業規模別で最も低水準であった 100~299 人規模の企業だが、最大でも 6 人雇用すれ
ば法定雇用率を達成できることになる。それに対し 1,000 人以上規模の企業の中には、
50 人以上もの雇用が不足している企業もあり、そうなると納付金(後述)は年間で 3,000
万円を超える。どちらにしろ、障害者の雇用は企業にとって急務である。
表 1.企業規模別の雇用状況
法定雇用率達成
規模(人)
企業数(企業)
実雇用率(%)
企業の割合(%)
56~99
26,746
1.43
44.8
100~299
31,967
1.30
44.4
300~499
5,808
1.49
40.8
500~999
3,968
1.57
40.4
1,000 以上
2,735
1.74
40.1
71,224
1.55
43.8
計
厚生労働省 2007 年 11 月報道発表資料 1):芝本改編
4
②法定雇用率達成企業の割合と実雇用率の推移
実雇用率の変動は、過去から緩やかな上昇の傾向を辿っている(図 1)。一方で法定雇
用率達成企業の割合は、近年ではやや回復したものの、平成 11 年以降は 50%を切る値
で推移している(図 1)。
図 1. 法定雇用率達成企業の割合と実雇用率の推移
厚生労働省 2007 年 11 月報道発表資料 1):芝本改編
実雇用率が上昇しているのに対し、法定雇用率達成企業が増加しない理由として考え
られるのは、障害者の雇用が進む企業と、そうでない企業の二極化が進んだということ
である。障害者の雇用に消極的な企業は、最も重い罰則である企業名公表を避ける程度
の雇用を目標とし、障害者の雇用に積極的な企業は、調整金(後述)目当て、または社会
的評価の向上に繋がることもあり、できるだけ多くの障害者を雇用していることが考え
られる。
また、近年では CSR(社会的責任)が注目されており、CSR の構成比の中に、環境問題等
と並び障害者の雇用を重視する場合が多くなってきている。CSR が注目されてきたこと
も、一つの企業が多くの障害者を雇用する理由の一つに成り得る。また、SRI ファンド
5
といって、障害者雇用や地域貢献等に積極的な企業の株等に投資する投資信託もあり、
障害者を多く雇用することは、企業にとって SRI ファンドへの PR 策として有効である。
③産業別の雇用状況
一番多く障害者が雇用されている産業は製造業である(表 2)。実は製造業では法定雇
用障害者数の算定の基礎となる労働者数が他の産業よりも多く、よってそこまで大きく
偏って多くの障害者が雇用されているとは言い難い。しかし、製造業では障害の程度に
応じた業務も可能な場合が多いことに加え、特例子会社制度(後述)を採用する企業も製
造業の場合が多いことから、他の産業と比べると比較的雇用されやすいという点を指摘
することができる。
実雇用率は医療・福祉系が 1.90%と一番高くなっている。医療・福祉系の雇用が優れ
ていることに関しては当然と考えられる。何故ならば、障害者自身が病院やリハビリテ
ーションセンターに通院していた場合、その病院から仕事の斡旋を受ける場合や、医療・
福祉関係の仕事に従事したいと考える障害者も少なくないからである。更には医療・福
祉系の業種は、障害者と密接に関わっている場合が多く、良いイメージを保たねばなら
ない。
6
表 2.産業別の雇用状況
法定雇用障害者数
法定雇用率
障害者の数
実雇用率
(人)
(%)
の算定の基礎とな
達成企業の
る労働者数(人)
農、林、漁業
割合(%)
20,007
354.0
1.77
54.2
7,373
108.0
1.46
48.8
建設業
559,693
8,189.5
1.46
44.7
製造業
6,428,236
111,110.0
1.73
54.6
188,400
3,501.0
1.86
43.1
情報通信業
1,133,043
13,578.5
1.20
20.4
運輸業
1,087,722
18,564.0
1.71
51.1
卸売・小売業
3,428,725
44,820.0
1.31
31.6
金融・保険・不動産業
1,356,965
20,085.5
1.48
28.7
492,846
7,066.5
1.43
38.2
1,391,606
26,453.5
1.90
56.2
教育・学習支援業
323,714
4,195.5
1.30
37.8
複合サービス事業
296,585
4,148.0
1.40
40.9
2,788,731
40,528.5
1.45
36.5
鉱業
電気ガス・熱供給・水道業
飲食店・宿泊業
医療・福祉
サービス業
厚生労働省 2007 年 11 月報道発表資料 1):芝本改編
注①「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」とは、常用労働者総数から除外
率相当数(身体障害者及び知的障害者が就業することが困難であると認められる職
種が相当の割合を占める業種について定められた率を乗じて得た数)を除いた労働
者数である。
②重度身体障害者及び重度知的障害者についてはダブルカウントした数を掲載する。
③精神障害者である短時間労働者については法律上、一人を 0.5 人としてカウントす
るものとされており、上図表の作表に当たっては法律に則る。
④障害種別雇用状況
雇用状況を障害種別にみると、身体障害者が全体の 83%という大きなウェイトを占め
7
るが、全国の障害者数でも身体障害者が一番多く、雇用される比率は、身体・知的障害
者ともに全国の障害者数に対する割合を反映していると考えられる(図 2、表 3)。精神障
害者においては平成 18 年度から実雇用率に算定されるようになったため、これまではほ
とんど雇用されていないが、障害者数が全国で多いことを反映してこれからの雇用に期
待が持てる。
いずれの障害にしろ、障害者の 10 人に 1 人以下の割合でしか雇用されていないこの現
状を打開することが必要である。
図 2.障害種別雇用状況
厚生労働省 2007 年 11 月報道発表資料 1):芝本改編
注:表 3 の注①~③同様
表 3.全国障害者数
総数(万人)
在宅者(万人)
施設入所者(万人)
身体障害児・者
366.3
357.6
8.7
知的障害児・者
54.7
41.9
12.8
302.8
267.5
35.3
精神障害者
『平成 20 年版障害者白書』2)
⑤国・地方公共団体における雇用状況
国・地方公共団体では、ほとんどの機関が法定雇用率を達成している。自らが制定し
8
た法定雇用率であるから、率先して達成しなければならないことは言うまでもない。こ
れからは全ての機関が法定雇用率以上に多くの障害者を雇用して、民間企業のお手本の
役目を果たしてもらいたいものである。参考までに、国・地方公共団体の実雇用率
1)
を
以下に述べる。
イ)国の機関
国の機関(法定雇用率 2.1%)に在職している障害者の数は 6,542 人であり、実雇用率
は 2.17%であった。国の機関は法定雇用率を全て達成している。
ロ)都道府県の機関
都道府県の機関(法定雇用率 2.1%)に在職している障害者の数は 8,094 人であり、実
雇用率は 2.42%である。知事部局は全て達成しており、知事部局以外は 116 機関中 104
機関が達成している。
ハ)市町村の機関
市町村の機関(法定雇用率 2.1%)に在職している障害者の数は 22,112 人であり、実雇
用率は 2.28%である。市町村の機関は 2,585 機関中 2,097 機関が達成している。
ニ)都道府県等の教育委員会
2.0%の法定雇用率が適用される都道府県等の教育委員会に在職している障害者の数
は 10,067 人であり、実雇用率は 1.55%である。都道府県教育委員会は 47 機関中 2 機関
が達成し、市町村教育委員会は 106 機関中 85 機関が達成している。
(2)法定雇用率の変遷
一部の企業において以前から障害者雇用はなされていたが、今日ほど積極的な雇用は
なされてこなかった。障害者側も求人情報を探し、就職窓口を見つけ就職に至ることは
極めて難しかった。このような状況が長く続いた後、障害者法定雇用率が制定されたこ
とは障害者雇用における歴史的転機となった。一般の民間企業、国等における法定雇用
率の変遷は次の通りである(表 4)。
9
表 4.民間企業、国等における法定雇用率の変遷
年
民間企業
国等
1976 年~
1.3%
1.5%
1980 年~
1.5%
1.7%
1992 年~
1.6%
2.0%
1998 年~
1.8%
2.1%
『障害者政策の国際比較』3)
2.法律・制度
障害者の雇用を論ずる上で、法制度は重要なポイントとなる。ここでは障害者に関する
法律、ならびに障害者雇用に関する重要な法律、施策を示す。障害者に関する法律は改正
が多いため、要点を絞ってまとめて記す。
(1)障害者基本法
障害者基本法とは、前身である心身障害者対策基本法が大幅に改正され、名称を新た
に障害者基本法とした法律である。
この法律は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本的理念を
定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会
参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び
社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進し、もつて障害者の福祉を増
進することを目的とする⁴)。公布、施行ともに昭和 45 年である。
また、同法では障害者週間を定めており、12 月 3 日から 12 月 9 日までの一週間を障
害者週間としている。国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとと
もに、障害者があらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるために、国及び地
方公共団体は、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならな
い、とされる。しかし、障害者週間の認知度がどの程度高いのかが疑問視される。
(2)障害者雇用促進法
正式には「障害者の雇用の促進等に関する法律」という。
この法律は、身体障害者又は知的障害者の雇用職務等に基づく雇用の促進等のための
10
措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこ
と等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、
もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする⁵)。公布、施行ともに昭和 45 年であ
り、その背景には世論の高まり、更には ILO の勧告もあり、障害者雇用の差別撤廃が世
界的な流れとなっていたことがある。要点を以下にまとめる。
①雇用義務制度
障害者の雇用を促進するため事業主に対し従業員数の一定比率(法定雇用率)を障害者
とするように義務づける。民間企業においては 1.8%、国や地方公共団体、特殊法人に
おいては 2.1%、都道府県等の教育委員会では 2.0%と定めている。民間企業では常用雇
用労働者数が 56 人以上の事業主を対象としている。これまで身体障害者と知的障害者を
算定数としてきたが、平成 17 年の法改正により精神障害者も雇用率に算定できるように
なった。なお、重度障害者については一人雇用につき二人分として算定する(ダブルカウ
ント)。
法定雇用率を達成できない場合は納付金が発生する。詳しくは下記で述べるが、雇用
率が達成できない事業主に対しては納付金のみならず企業名公表という制度もある。こ
れは、雇用率の低い事業主に対し、厚生労働大臣が障害者雇用の充足を図るために、障
害者雇入れ計画作成命令及び雇入れ計画の適正実施勧告の発出を行い、当該勧告に従わ
ないときは、その旨を公表することができることとしている。これにより企業名が公表
されると、世間から批判を浴びることや、イメージの低下、株主総会で経営陣交代を発
議された例もあり、事業主にとっては痛手となる。雇入れ計画作成命令の対象範囲は以
下の通りである 1)。
・全国平均実雇用率未満かつ不足数 5 人以上
・法定雇用数が 3~4 人(167~277 人規模の企業)であって、0 人雇用の企業
・不足数 10 人以上の企業
雇入れ計画作成命令は 3 年計画とされ、2 年目に入っても計画の実施状況が悪い企業
に対しては、雇入れ計画の適正実施勧告がなされる。それでも計画実施状況に改善が見
られない場合は、計画終了後に企業名公表を前提に 9 か月間の特別指導が入り、企業名
が公表される。
なお大企業等において、障害者を多数雇用する等一定の要件を満たす会社(特例子会
11
社)を設立した場合、企業グループでの雇用率適用も認めている。また法改正により、平
成 21 年 4 月からは特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で雇用率を算定
するグループ適用制度が創設される。
②納付金・調整金制度
法定雇用率を達成できないときは、事業主は障害者雇用納付金を支払わなければなら
ない。不足人数一人につき月額 5 万円である。一方、法定雇用率を超えて障害者を雇用
する事業主には、超過一人月額 2 万 7 千円の調整金が支給される。いずれも常用労働者
301 人以上の企業が対象である。なお、300 人以下の事業主については報奨金制度があり、
報奨金制度では納付金はなく、法定雇用超過一人月額 2 万 1 千円が報奨金として支給さ
れる。しかし法改正により、常用雇用労働者 101 人以上の中小企業も将来は納付金の徴
収、調整金の支給が適用されるようになる。101 人以上企業への拡大については平成 27
年 4 月 1 日を予定している。
上記のほか、在宅就業障害者に仕事を発注する事業主に対する特例調整金・特例報奨
金の制度がある(在宅就業障害者支援制度)。
また、障害者を雇い入れるための施設の設置、介助者の配置等に助成金の支給がある。
その種類としては、障害者作業施設設置等助成金、障害者介助等助成金、重度障害者多
数雇用事業所施設設置等助成金等がある。
③職業リハビリテーションの実施
上記の雇用義務制度と納付金制度は事業主に対する措置であったのに対し、職業リハ
ビリテーションは障害者本人に対する措置といえる。具体的にはハローワーク(全国 558
か所)で障害者の態様に応じた職業紹介や、職業指導、求人開拓等を行っている。また、
地域障害者職業センター(全国 47 か所)では専門的な職業リハビリテーションサービス
の実施を行う。障害者就業・生活支援センター(全国 205 か所)では就業・生活両面にわ
たる相談や支援を行っている。
3.未だ不十分な日本の現状
2 で挙げた法制度は一見、障害者のために整備されている。しかし、法律で雇用率を定
めてしまうこと(割当雇用制度)自体が差別だという声もある。以下では、海外との比較を
12
していく。
(1)アメリカ
アメリカでは ADA(障害をもつアメリカ人法)が 1990 年に連邦法として制定された時、
世界に衝撃を与えた。ADA は差別禁止法と呼ばれるもので、名前の通り障害者の差別を
絶対的に禁止している。差別禁止法はアメリカに次いでイギリスでも制定され、日本に
おいても同法を参考として制定したと考えられる法律がいくつかある。
ADA 遵守のためには経済的負担がかかるが、米国では平等思想から企業の公共性や、
社会的責任が厳しく問われる。ADA の障害の定義は次の通りである。
「生活する上で重要なことのひとつあるいは複数について、重大な制約を与えるよう
な肉体的、精神的な損傷がある」。そして、同法で差別が認定され救済の対象となるには、
「合理的な便宜があれば、あるいは合理的な便宜がなくても、仕事の本質的な機能を遂
行できる」必要がある⁶)。
以下に ADA の内容の重要部分をまとめる。
①雇用
従業員 15 人以上の事業所は「有資格の(職務能力のある)障害者」に対し、障害を理由
に採用を拒めない
7)
。さらに、有資格の障害者、または障害者に関わる有資格者に対し
て合理的配慮をしないことを差別であると定めている。例えば、障害児をもつ母親が、
その児童のために欠勤が多くなるといった理由で使用者に雇用拒否されることは、子ど
もの障害を理由とした差別であるとみなされるのである。
なお、解雇、報酬、昇進、その他雇用条件に関しては差別を禁止している。
②公共的施設
公共施設やホテル、飲食店、小売店、娯楽施設など、障害者が自由に出入りできず、
サービスが制限されることは違法行為とされる。出入り口が段差になっていればスロー
プに改良、トイレも車いすで使用できなければ営業許可がおりない
7)
。また、交通機関
も同様で、車いす使用者を含む障害者が容易に利用できなければならないと定められて
いる。ただし、企業負担の緩和のために改善実施までの猶予期間が設けられ、一部には
免除規定もある。
13
(2)イギリス
イギリスではアメリカに次いで差別禁止法である DDA(1995 年障害者差別禁止法)が制
定された。勤労年齢人口の 18%が同法の定義による障害者であり、うち何らかの形で就
業しているのは 46%である(2000 年現在)。DDA により、従来の割当雇用制度は廃止され
たが、同法が定義した障害者の実雇用率は 8%を超えている。イギリスの DDA 制定には、
障害者の雇用がなかなか進まなかった背景がある。DDA が制定される前のイギリスは、
障害者の法定雇用率を 3%と定めていた。しかし、障害者として別枠で採用されるのを
嫌う人が多く、職業安定所に登録されている障害者の人数では、法定雇用率を満たせな
いと判断し、DDA 制定に踏み切ったのである。
イギリスでの障害の定義は次の通りである。
DDA第一条において障害は「通常の日常生活を送るために必要な能力に対し、重大な悪
影響を長期間にわたり与えるような肉体的または精神的な機能障害」と定義されており、
個々の事例が規定に適合するか判断するための判定基準の設定は、国務大臣が制定する
実務規則に委任されている。それらによると、「長期間」は少なくとも12ヶ月継続する
かその見込みがあるか、またはその人の残り終生にわたり影響があることを意味する。
また、「機能障害」は四肢に障害のある者のほか、視覚や聴覚のような感覚に影響を及
ぼす身体的機能障害、学習障害や自閉症・躁鬱病などの精神的機能障害、また喘息や糖
尿病のような疾病を持つ患者などが含まれる。「通常の日常生活」は、移動や排泄、学
習もしくは理解する能力、身体的な危険を認識する能力など、定期的に多くの人が行う
通常の活動を指すが、労働は含まれないこととされている。なお、同法第二条において、
過去に上記定義に基づく障害者であった人も、同法の適用を受けることとされている8)。
DDAは制定当時、学習障害や過去に障害をもっていた人を障害者として定義していなか
った。しかし障害者団体の粘り強い運動により、障害と定める範囲を拡大していき、何
らかの形で就業している障害者が46%にもなったのである。
(3)日本(諸外国との比較)
割当雇用制度を定める諸外国と比べると、日本の法定雇用率は著しく低いことが分か
る。また、実雇用率についても同様である(表 5)。
ドイツ、フランス、オーストリア、ルクセンブルグは日本と同じ様に、使用者に割当
雇用制度が強制的に適用され、達成できなかった場合には納付金を納める必要がある 10)。
14
表 5.我が国と諸外国の企業における法定雇用率と実雇用率
国名(制度の対象)
法定雇用率
ドイツ(1998 年)
実雇用率
6%
3.6%
6%
4.11%
(20 人以上雇用企業及び公的
機関)
フランス(1994 年)
(20 人以上の事業所)
オーストリア
4%
(25 人以上の事業所)
ルクセンブルグ
従業員 25 人以上 1%
(25 人以上の事業所)
従業員 50 人以上 2%
従業員 300 人以上 4%
オランダ
3~7%
(民間企業の業種別に設定)
日本(2007 年)
1.8%
1.55%
(民間企業)
労働資料館 HP9)及び『障害者政策の国際比較』10)(芝本加筆)
4.調査
(1)調査概要
企業における障害者雇用の実態と問題点を把握するために、調査を実施した。具体的
には、法定雇用率遵守の状況、障害の種類や程度、企業側が工夫・努力している点等を
調べた。
調査方法は、企業の障害者雇用担当責任者に対する訪問面接調査を主にし、補足的に
電話調査を実施した。さらに、障害者就職支援事業を展開する企業により提供されてい
る障害者採用情報ならびに各社ホームページ情報も利用した。なお、訪問面接調査では、
許可を得られた対象企業においては雇用されている一部の障害者に対する面接も実施し
た。
対象となる企業の抽出条件は、ホームページ等で障害者の雇用を行っていること、ま
15
たは障害者のための就職説明会等を行っている企業としてランダムに抽出した。
最終的な分析対象は、従業員数 1 万人以上規模の企業が 17 社、5,000 人以上~1 万人
未満が 7 社、1,000 人以上~5,000 人未満が 10 社、200 人以上~1,000 人未満が 10 社の
計 44 社で(表 6)、以下では企業規模に基づいて結果及び考察をしていく。なお、44 社の
うち訪問面接調査を実施したのは 4 社である(表 7)。
表 6.分析対象企業
企業規模(従業員数)
企業数
1 万以上
17
5,000~1 万未満
7
1,000~5,000 未満
10
200~1,000 未満
10
計
44
表 7.訪問面接調査を実施した企業の詳細
企業規模(従業員数)
実雇用率(%)
特例子会社の有無
製造業 S 社
1 万以上
2.17
有り
製造業 N 社
1 万以上
1.80
有り
サービス業 B 社
5000~1 万未満
1.70
無し
小売業 W 社
5000~1 万未満
未達成
無し
(2)結果及び考察
①実雇用率
従業員数 1 万人以上で、一部上場ないし、大学生による人気企業ランキング上位の企
業(以下、人気企業)では、大きい企業ほど、法定雇用率は遵守されていることが明らか
になった。しかし、それは単独企業で換算した場合であり、連結企業においては法定雇
用率が満たされていない場合が多く、本社が法定雇用率未達成の連結企業への研修、指
導を強化している実態が明らかになった。また、製造業においては特例子会社制度を利
16
用する例も複数件確認された。知名度の低い大企業、中小企業においては法定雇用率遵
守が難しい状況が明らかになった。
②採用試験の方法・採用基準
企業規模に関わらず、採用試験の方法・採用基準には企業の採用方針による影響が強
く影響していることが明らかになった。
人気企業においては、健常従業員と同一の採用試験・採用基準が設けられている企業
も見られたが、そのような企業においても障害者の採用方法に今後工夫を加えていかな
いと、従来通りの健常者同様の厳格な基準では、法定雇用率の遵守は難しくなっている
との意見が聞かれた。
全体的には企業規模に関わらず、健常従業員と異なる採用試験・採用基準を設けてい
る企業が多く見られた。ただし、規模が大きい企業ほど、健常従業員の採用試験・採用
基準との差は小さく、規模が小さい企業ほど健常従業員とは異なる採用の仕組みを設定
せざるを得ない状況が分かった。
健常従業員の採用とは異なる工夫として、採用窓口を一年中設置し、応募者の都合に
あわせて採用試験の機会を設け、面接回数を健常従業員採用よりも少なくするなどの例
が多く見られた。
また、欠員が生じている部署への配属以外にも、当該部署が一時的に過剰人員になる
としても、応募障害者の職務能力に合わせて配属を進める等の工夫は、企業規模に関わ
らず障害者雇用に積極的な企業において見られる方法として抽出された。
③雇用・勤務条件
人気企業においては雇用・勤務条件は健常従業員と全く同一であることが明らかにな
った。したがって、人気企業に就職する障害者は、健常従業員に劣らない気力、体力、
身体機能、職務能力等が求められていることになる。一方、人気企業の健常従業員の中
から中途障害者が出現した場合には、その企業内で就業し続けることが困難となる場合
も少なくない実態が浮き彫りになった。
また企業規模が小さくなるほど雇用条件、勤務条件に特別な配慮をすることや環境を
整える余裕がない、と考えている企業が多いことが分かった。
17
④企業人気
障害者雇用においても社会全般の企業人気及び、大学生による企業人気の影響が大き
く存在することが確認された。その一方で、障害者に特有な人気条件が存在することも
分かった。
障害者に特有な人気条件の主なものは、まずは通勤しやすいこと(自宅から近距離にあ
る)である。支社や事業所を多く抱えていて勤務地が選びやすい企業が、障害者の人気を
集めることに繋がっていることが分かった。また、社内バリアフリー化への設備投資を
積極的に実施している企業も、当然ながら人気が高かった。
⑤有利障害条件の存在
障害者雇用においては、障害者売り手市場である傾向が各企業人事担当者から指摘さ
れたが、ある人気企業(表 6.製造業 N 社)においては、
「雇用可能な障害者の潜在数は既
に掘り起こされてしまい、このままではいずれの企業においても法定雇用率を満たせな
い状況になっている。」との発言が確認された。この「雇用可能な障害者の潜在数」は、
健常従業員と同一の採用基準、雇用条件で働くことができる障害者の数を意味しており、
私はこのような障害者の条件を「有利障害条件」と定義することにした。
「有利障害条件」とは、障害の程度がきわめて軽く、障害の種類も身体障害(主に下肢
の軽度の障害、口語でのコミュニケーション可能な聴覚障害等)におおむね限定されるも
のである。企業規模が大きい程、
「有利障害条件」の障害者を雇用できるが、企業規模が
小さくなるほど障害の程度が重く、障害の種類によって業務内容が限定される障害者
(「有利障害条件」に対して「不利障害条件」とも言えよう)を雇用せざるを得なくなっ
ていることが調査から明らかになった。このような「不利障害条件」の障害者を雇用す
るためには、就業環境の整備投資が必要となる場合が少なくない。そのため、企業規模
が小さい企業が障害者雇用率を向上させるためには、企業規模が大きい企業よりも一層
困難な条件を強いられていると言えよう。
(3)企業の取り組み
以下では、障害者雇用に積極的かつ、成功していると考えられた企業の取り組みを紹
介する。
18
①各種ネットワーク作り
障害者雇用促進を成功させている企業は、雇用のためのネットワークづくりを機能的
に実現させていることが分かった。このネットワークは大きく 3 種類に分けられ、第一
が障害者とのネットワーク、第二が障害者雇用支援を行う機関・企業とのネットワーク、
第三が企業間ネットワークである。
第一の障害者とのネットワークは、養護学校、地域作業所をはじめとする授産施設、
障害者職業リハビリテーション施設に企業の障害者採用担当者が出向き、情報収集を行
うのと同時に、リクルーターとしての機能を発揮することで、能力を有する多くの障害
者を発掘することに繋がるものである。
調査対象障害者からの情報では、一般に障害者同士のネットワークは比較的小さく情
報交換が密である特徴を持ち、ある企業が障害者雇用に熱心に取り組んでいるという情
報が流れると正の連鎖を形成して、その企業に集中して障害者が応募するという現象を
起こしやすいことが分かった。これは、消費者の口コミによる購買行動と類似しており、
市場調査のように採用担当者が障害者の社会に積極的に入っていき情報交換を行うこと
で、応募者数を増加させるメカニズムが成立することを物語っている。
第二の障害者雇用支援を行う機関・企業とのネットワークは、ハローワークや民間の
障害者雇用支援業務を行う企業のサービスを利用することにより、就職希望の障害者と
の出会いの場を多く作り出す効果が期待できるものである。
このネットワークは、維持に注意を払うことも大切である。求人情報を流しきりにせ
ずに頻繁に足を運び、直接障害者と面接を実施して相談に当たる担当者に対して、企業
の説明を丁寧に行うだけでも、ハローワーク経由で応募してくる障害者数は増加すると
の情報が得られた。他のネットワークも同様であるが、ネットワークの形成と維持の両
方が成立することで、はじめてネットワークは良好に機能することが再確認できた。
第三の企業間ネットワークは、他の企業の障害者雇用担当者とのネットワークで、同
じハローワークの所管内の企業がハローワークの主催によって障害者対象の合同企業説
明会を実施することや、勉強会、特例子会社の見学会を実施するような例も含む。この
ような機会を通じて近接地域内の障害者雇用担当者間の情報のやり取りが実現されてい
ることが、本調査から明らかになった。しかしながら、企業間の情報交換を望みながらそ
れが実現していないと語る障害者雇用担当者も多く、ハローワークや民間の障害者雇用
支援企業がこの種のネットワークづくりに今後貢献できる分野であると推察される。
19
②採用先行戦略
障害者雇用が円滑に進んでいない企業に共通していた意見として、人事担当者が障害
者雇用を進めたくても障害者が配属される各部署や現場が乗り気でないというものが多
くあった。一方で、障害者雇用が比較的円滑に進んでいる企業では、まず障害者を採用
してから配属を決め、その後現場の協力を得ながら受け入れ態勢を整えていくという、
採用を先行して現場を巻き込んでいく戦略を採っている例が少なからず見られた。現場
が障害者を拒む大きな要因として、障害者や障害に対する知識や理解の不足が挙げられ
る。
採用先行戦略を採る企業では、実際に障害者と共に働く中で、同一部署の従業員らの
障害者に対する偏見や先入観が解消され、現実的な解決課題を発見でき、課題解決を通
して部署内の結束が強化されていくという建設的な循環が起こることが複数件報告され
た。
5.問題の所在と課題
ここでは調査から明らかになった問題及び、法制度等多様な面から障害者雇用の壁とな
っているものを明らかにしていくとともに、課題にも触れていく。
(1)障害者雇用に対する企業の認識
人気企業に限らず、どの企業においても障害者雇用においては障害者売り手市場であ
る傾向が各企業人事担当者から指摘された。ある人気企業(表 6.製造業 N 社)からは、
「雇
用可能な障害者の潜在数は既に掘り起こされてしまい、このままではいずれの企業にお
いても法定雇用率を満たせない状況になっている。」との発言が確認された。しかし、こ
の雇用可能な障害者の潜在数は、健常従業員と同一の採用基準、雇用条件で働くことが
できる障害者の数を意味しており、企業が求めているものは、健常者と全く変わらない
労働力であった。これでは重度の障害者は働くことができず、どうすることもできない。
障害の種類は、障害者の人数だけあるといっても過言ではない。企業には、障害者の
立場にたって歩み寄ることが必要とされる。
(2)利益重視型の企業
ある人気企業(表 6.製造業 S 社)の障害者雇用担当者に上層部から課せられた命題は、
20
「法定雇用率未達成継続による企業名公表を回避せよ」というものであった。言い換え
れば、法定雇用率ぎりぎりで達成し、障害者はできるだけ雇用するなということと同義
である。これは利益重視というよりも差別に等しく、このような消極的な企業をどのよ
うに動かすかが今後の課題でもある。
また、重度の障害者を雇用するためには、就業環境の整備費用が必要となる場合が少
なくない。そのため、企業規模が小さい企業ほど整備費用が大きな経済的負担となり、
実雇用率を向上させるためには、一層困難な条件を強いられる。
階段昇降機を一台設置するにしても、およそ 50 万円から 100 万円ものコストがかかり、
またメンテナンスや定期検査も必要となるためにランニングコストも捻出せねばならな
いことから、企業は重い腰を上げられないのである。
(3)法制度の問題
①障害者雇用促進法の問題点
現行の障害者雇用促進法は、法定雇用率未達成の企業からの納付金を財源として、障
害のある人を雇用している企業への調整金・報償金を支払う仕組みのために、未達成企
業が存在しないと制度自体が成り立たないという矛盾した欠陥を有する。また、法定雇
用率を満たせばよいという法制度だけでは、採用における個々の障害のある人に対する
差別的取り扱いをなくす方法や、職場において、例えば施設改良を行うこと、具体的な
環境整備の方法が明らかにならない。
また、企業名公表という罰則規定にしても、他企業への見せしめとして行う程度の件
数しかなく、平成 19 年までにわずか 12 社しか企業名公表がされていない 11)。これはど
ういうことかというと、大半の企業が法定雇用率を満たせずに法を犯しているにも関わ
らず、納付金を支払うという抜け道を利用し、なかなか実雇用率が向上しない現状に繋
がっている。一度として、民間企業の実雇用率の平均が法定雇用率を上回ったことがな
いのであるから、制度自体の見直しが必要と思われる。
②バリアフリー新法
正式名称を「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下、バリ
アフリー新法)といい、平成 18 年 6 月 21 日に公布、同年 12 月 20 日に施行された。
21
バリアフリー新法は従来の、「高齢者・身体障害者等の公共交通機関を利用した移動
の円滑化の促進に関する法律」と、「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建
築物の建築の促進に関する法律」を統合、拡充した法律である。同法により、床面積 2,000
平方メートル以上の「特別特定建築物注 1)」を建築(用途変更をして特別特定建築物にす
ることを含む)しようとする場合は、「建築物移動等円滑化基準」に適合させなければな
らない 12)。また、条例で追加基準を設けることもできる。
問題は、特別特定建築物に含まれない建物は、建築物移動等円滑化基準に適合するよ
う努力義務に留まるということである。また、努力義務も適応されない建築物もあり、
これらの建物をバリアフリー化させていくことが今後の課題ともなる。
なお、同法では関係者の責務として、国及び国民に心のバリアフリーの促進も定めて
いる。従って、同法をいかに多くの国民に理解、浸透させるかも重要な課題である。
(4)バリアフリー化の問題点
障害者のために用意された専用設備は、障害の種類や程度によっては、逆に物理的障
害となる場合がある。例えば歩道や駅でよく設置されている視覚障害者誘導用ブロック
(以下、点状ブロック)だが、車いすを利用する人にとってはその凸凹が逆に物理的障害
となる。アスファルトに埋もれてしまった点状ブロックや中途半端に剥がれてしまった
ものまで存在している。
障害者用トイレの斜めに設置された鏡も改善の余地がある。トイレは車いす専用では
なく、あらゆる人が使用することを想定してから作るべきである。車いす使用者専用の
斜めの鏡があると、車いす使用という障害を差別する要素に成り得る。鏡は縦長に設置
すれば子供も大人も、あらゆる人が使用できるので、斜めに設置して特別感を醸し出す
必要性はない。
障害者手帳も、障害者に障害者だということを強く自覚させる差別的効果の可能性が
あり、また周囲に障害者であるということも分かってしまうために、ノーマライゼーシ
ョン注 2)を目指す上ではそぐわない存在ともいえる。手帳を作っておけば障害の程度に応
じたサービスが受けられ、社会保障制度を活用する上で便利であるが、負の側面への考
慮も必要である。ちなみに障害者手帳を採用している国は日本を含めアジアの一部地域
でしかない。
22
(5)心のバリアーの存在
バリアフリー新法で、国及び国民に心のバリアフリーの促進が責務となっているよう
に、心のバリアーは実在する。
国連で採択された障害者権利条約というものがある。2007 年 4 月 4 日までに 83 か国
が署名したが、日本は国内法の整備を理由に署名を遅らせた。同年 9 月に署名したもの
の、批准には至っていない(2008 年 4 月現在)。
こうした世界各国に対する日本の遅れは、
国民に心のバリアーを生む一因になりかねない。
また、日本はアメリカやイギリスと違い差別禁止法が制定されておらず、障害者に対
して特別視した発想を基盤としている例が少なくない。例えば、障害者基本法をはじめ
とする多くの法律である。このことから障害者と健常者との間に、少なからず目に見え
ないバリアーを作り上げてしまったと考えられる。
6.障害者雇用が促進されるために
(1)国ができること
①法制度の整備
日本での法定雇用、実雇用率を諸外国と比較すると、その低さは明らかである(表 5)。
企業の逃げ道として用意されている納付金制度、年に数社しか公表されない企業名公表、
どちらをとっても国が企業をかばっている、と捉えることもできる。現在の障害者数と
実雇用率から考えるならば、法定雇用率の引き上げは未だ余地を残している。
障害者に対する施策が遅れがちな日本では、一刻も早く大胆な法制度の改革が必要で
あり、差別禁止法を取り入れることが、障害者雇用を促進する一番の手助けになると考
えられる。
②障害者雇用の PR
厚生労働省や地方公共団体は、障害者雇用優良事業所等の表彰等を行っているが、こ
れを世間に PR していく必要性がある。何故ならばその表彰自体が、世間にあまり知られ
ていない可能性があるからである。障害者雇用の表彰を PR していき、その実態が世間に
周知されれば、障害者雇用を率先して行う企業は、イメージの向上や有用な人材の確保
23
にも繋がる。これら一連の流れが障害者雇用を促進していくと考えられ、また世間の風
当たりも強くなり、障害者雇用がなかなか進まなかった企業にも有効に働きかけること
が予想される。
(2)企業ができること
障害者の雇用が促進されていくために、以下の提案を企業側にしたい。
①各種ネットワーク作り
4-(3)で挙げた①各種ネットワーク作りだが、企業がこのネットワーク作りに励むこ
とは、障害者の雇用を円滑に進めるための第一歩である。障害者からの応募を待つ受け
身の姿勢ではなく、攻めの姿勢で企業側からネットワーク作りを率先して行うことが重
要である。
②採用先行戦略
4-(3)で挙げた②採用先行戦略だが、まだ行っていない企業は、直ちに行動に移しそ
の有効性を確かめてもらいたい。障害者を雇用することで、以前と比べて他の社員の他
者への配慮する気持ちを向上させることができる。また、多くの障害者を雇用し売上が
向上した企業の例もみることができた。
③障害者雇用担当者の裁量権の拡大
上記(2)の①と②を行う上で欠かせないのが、人事部における障害者雇用担当者の裁量
権の拡大である。製造業を営む人気企業の場合でも、障害者雇用担当者は多くて 3 人で
あった。加えて、障害者の雇用は副次的位置付けにあり、主たる位置付けの通常の業務
もある。これでは様々なネットワークの構築を行うこともままならず、障害者から会社
に出向いてくれるのを待つ消極的な体制が変わらない。従って、障害者雇用担当者の裁
量権を拡大、もしくは担当人数を増やすことが、障害者雇用を円滑化する最初の手段と
いえる。
④障害者採用後フォローアップ
障害者の採用者数が増加しているのに、採用後に退職する障害者が多く、常に障害者
24
採用に多くの労力を裂かなければならない企業が見受けられた。この様な事態を解決す
るためには、障害者の採用に力を注ぐだけでは障害者の雇用は成功せず、採用後にも障
害者が抱えている問題を解決することが必要となる。具体的には定期的に相談に応じる
こと、バリアフリーの完備した部署への配属見直し、また当然のことながら周りの従業
員の配慮も必要となる場合もある。採用だけでなく、採用後も継続的に力を注げば良い
循環が生まれるのではなかろうか。
⑤多様な障害条件を受容する
調査の結果、規模が大きい企業間で「有利障害条件」障害者の取り合いが起きていて、
「有利障害条件」障害者だけでは法定雇用率が満たされない企業が出現しつつあること
が明らかである。今後、規模が大きい企業においても、障害者の採用基準を見直すこと、
障害者側の条件に歩み寄る姿勢が必要となる。
また、企業規模が小さくなるほど「有利障害条件」障害者を雇用することは難しくな
る。従って、企業が連携して雇用格差がなくなるよう問題解決に当たる方策も考えてみ
るべきである。一例としては、複数企業が合同出資することで、合同特例会社のような
形態の会社を新設することが考えられる。しかしそのためには制度の改革が必要となり、
まずは制度の改革を行政に訴えていく必要がある。
⑥多様な勤務形態を可能にする
在宅勤務や情報ネットワーク等の利用により、必ずしも通勤せずに実施可能な業務を、
移動困難であっても職務能力を有する障害者等に当てて、障害者雇用を促進する方法も
考えられる。多くの企業では、企業の機密情報や顧客の個人情報の管理が困難なために、
在宅勤務の選択肢はあり得ないと回答したが、作業ルーチンの中の一部でも抽出するこ
とにより、在宅で可能な業務を検討する余地は残されているのではなかろうか。
⑦障害者のためのインターン制度
インターン制度を導入している企業においても、障害者は対象となっていないと回答
する企業が多く見られた。健常者と同様の採用方法・基準を設定している企業において
は、インターン制度の広報の中で障害者も受け入れ可能であることを示すことが求めら
れる。
25
また、健常者と異なる採用方法・基準を設定している企業においては、応募希望の障
害者のためのインターン制度を導入することにより、障害者と企業側の相互の理解が深
まり、採用後の対応も迅速に進むと考えられる。
(3)国民ができること
①ノーマライゼーションの普及
ノーマライゼーションといっても、抽象的であってなかなかイメージすることが難し
い人も少なくないだろう。例えば電車に設置してあるシルバーシートであるが、これを
撤廃してしまうことがノーマライゼーションに繋がる。何故ならシルバーシートという
限定的な空間を作り出してしまうことで、シルバーシートのみを譲ることでしか健常者
と障害者の共生ができなくなってしまうからである。
シルバーシートを撤廃することで、普通のシートにおいてもシルバーシート同様の心
遣いができることが理想であるが、現状はシルバーシートでさえ若者やサラリーマンで
埋まってしまっている。中には目に見えない障害をもった人もいることから、目に見え
る障害を有する人にだけシートを譲る現在の方法には大きな問題がある。また現状を見
る限りシルバーシート撤廃は遠い先の話になりそうだ。しかし、このシルバーシート撤
廃の考え方が国民全体でできるようになれば、自然とノーマライゼーションが国民レベ
ルで根付いていくのではなかろうか。
②法定雇用率未達成企業への圧力
2001 年 10 月に、DPI(障害者インターナショナル)日本会議の金政玉氏が開示請求人と
なり、東京労働局長に対して障害者雇入れ計画の実施状況報告書と雇用率未達成企業一
覧について、情報公開法に基づきそれぞれの全面開示請求を行った。しかし、東京労働
局長はほとんどの部分を不開示とする決定をしたため、2002 年 2 月に厚生労働大臣に対
し審査請求を行った。この申立を受けて、情報公開審査会は、
「雇用率未達成企業一覧に
つき、障害種別の一部を除いて企業名などは開示すべきこと、また、障害者雇入れ計画
の実施状況報告書については、企業名以外の雇入れを予定する障害者の数、雇用の状況
及び計画の実施状況は開示すべきである」と答申し、同年 12 月に厚生労働大臣も同じ裁
決をした 13)。この一件により、法定雇用率未達成企業が分かるようになった(2000 年度
26
データ)。
国民一人でも訴訟は起こせなくはないが、難しいことが予想される。そこで比較的容
易に何ができるのかというと、企業の監視である。国民一人一人が法定雇用率未達成企
業を監視し、それがやがて株主総会での障害者雇用を促す発議、改善運動の発端、また
はマスメディアに取り上げられる等の動きになり、障害者の雇用に世間の目がより一層
向いていくのではなかろうか。
また、国民皆が障害者の雇用に関心をもってすれば、障害者雇用が進んでいる世界各
国に引けをとらない政策、法制度、企業が出来上がっていくはずである。
(4)新たなシステム構築としての「企業名逆公表」の提言
既存の障害者雇用を円滑に進める具体策は、企業名公表、納付金という罰則、あるい
は報奨金制度である。障害者雇用に積極的な企業は、障害者雇用優良事業所等の表彰を
受けることがあるが、なかなか障害者雇用に関して優良な企業の情報が目立つというこ
とは多くはない。そこで必要となるのが新たなシステムの構築であり、私は「企業名逆
公表」というシステムを提言したい。
このシステムは、既存の企業名公表を逆手に取ったシステムで、実雇用率が高い企業
から順にランキングし、公表していくといったものである。実雇用率が高い企業の公表
だけなら各新聞記事に掲載されていることもあるが、このシステムでは企業名の公表の
他に、特典をつける。その内容は、企業名逆公表を行う機関によって考えられる特典が
変わってくる。以下の表に機関と特典の内容をまとめる(表 8)。
マスメディアが企業名逆公表を行う場合は、何社かで提携して行った方が規模の拡大
が図れ、人目に触れやすくなる。また、テレビ、ラジオ、新聞など、様々な媒体で行う
ことでより効果を発揮するはずである。
第三者機関が行う場合は、活動資金の捻出が大変だが、企業の利益を度外視して活動
できるため、障害者の雇用というスローガンを基に一致団結して、システムの円滑な運
用が図れる。また誰でも第三者機関に入会できるようにしておけば、機関の透明性の確
保に繋がり、社会的に評価され得ることが期待できる。
参考として、2006 年の障害者雇用優良企業ランキングを、
以下の表にまとめる(表 9)。
27
表 8.企業名逆公表を行う機関の想定と、予想される特典
機関名
特典の内容
厚生労働省
優良企業をモデル化し、全国の企業の障害者雇用のレベル
向上に役立てる。モデル企業は企業イメージが向上する。
(独)高齢・障害者
徴収した納付金を、雇用率ランキングに応じて再分配(本機
雇用支援機構
関が納付金の徴収、助成金等の給付を行っているため)。
マスメディア
企業ブランドを向上させるための、優良企業の特集の制作、
または企業広告を無料で掲載。マスメディア自体のイメー
ジも向上する。
第三者機関
NPO やボランティア団体が行う。優良企業の広報誌を制作、
加えて優良企業への寄付活動も行う。
作成:芝本
表 9.2006 年 6 月時点の障害者雇用率ランキング
順位
企業名
実雇用率(%)
1
ユニクロ
7.42
2
日本マクドナルド
2.94
3
しまむら
2.83
4
すかいらーく
2.82
5
パナソニックエレクトロニックデバイス
2.79
6
ダイキン工業
2.63
7
日本たばこ産業
2.56
8
松下電工
2.44
9
東京急行電鉄
2.43
10
オムロン
2.40
読売新聞 14)
28
おわりに
日本では障害者の法定雇用率が引き上げられるとともに、実雇用率も年々微増してきた。
しかし、諸外国と比較すると未だ低い水準であり、アメリカ、イギリスなどは障害者差別
禁止法を制定し、法定雇用率という雇用割当制度を撤廃し、一歩先を進んでいる。
日本はこれまで実雇用率が法定雇用率を上回ったことがなく、納付金と調整金の制度は、
実雇用率が法定雇用率を上回ってしまったら制度として成り立たなくなってしまう。また、
障害者雇用促進法の本来の目的である障害者の雇用促進に関して、使用者が納付金を支払
うことで済ませてしまっては、法律を制定した意味がなくなってしまうのではなかろうか。
障害者雇用促進法の制度的欠陥の是正及び、障害者の雇用を円滑化させるには、障害者差
別禁止法を制定することが一番の近道になる。また障害者に対する差別、偏見を取り除く
力も一番効果的だと考えられる。国内のインターネット掲示板を見ていると、障害者に対
する潜在的な差別は根強く存在していることが分かる。現行の法制度のままであると、有
利条件障害者の取り合いが更に激化することは容易に想定できる。それが障害者間のラン
ク付けに繋がってしまうようなことだけは避けなければいけない。一刻も早く障害者差別
禁止法が制定され、障害者、健常者も、一人一人の人間としてお互いが支え合って生きて
いく国になって欲しい。
私は企業の調査を終えて、企業の障害者雇用担当者全員に共通した熱意を感じた。どう
にかして障害者を多く雇用したいという気持ちである。それは、仕事だからという理由も
あるであろうが、障害者の雇用という世界を深く知っている担当者は、人としての社会的
責任を負っているという印象であった。しかし、そのような雇用担当者の気持ちも企業レ
ベルで見てしまうと、企業はいやいや障害者を雇っているのではないかという印象を受け
る場合がある。何故なら、法定雇用率を満たしている企業が過半数もない上に、法律によ
って企業が障害者を雇用する目標が 1.8%と決められているからである(実際には 1.8%を
超えて雇用可能であるが)。
企業の立場で考えると、バリアフリー化にかかる諸費用や人件費を考慮したら、来る者
(障害者雇用)を拒まずといった状況はまず考えられない。ましてや現在は、サブプライム
ローンを発端とした世界的不況の真っただ中である。リストラや内定取り消しのニュース
が連日飛び交う中、新たに雇用を増やす企業は多くはない。そのような状況下にあっても
企業にはできることがある。それは、次世代のための支援活動並びに障害者雇用の啓蒙活
29
動である。例えば、障害者雇用支援を行う機関や障害者、または企業間でのネットワーク
作りに励むことや、HP 上で障害者の雇用について啓蒙することである。障害者の雇用とい
う世界を知れば、誰しも現状を打開したくなるはずである。一人でも多くの人がその世界
を知り、後世へと伝えていく。その流れは自然とノーマライゼーションを形成し、目に見
えない心のバリアーも取り除いていくこととなるであろう。
<脚注>
注 1)
不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する建築物であ
って、バリアフリー新法の施行令第五条に掲げる建築物のこと。特別支援学校、病院、診
療所、劇場、映画館、集会場、百貨店、マーケット、その他物品販売業を営む店舗、遊技
場、ホテル、旅館、老人ホーム、飲食店、郵便局、銀行、博物館、美術館、図書館等 7)。
注 2)
ノーマライゼーションとは、高齢者や障害者などを施設に隔離せず、健常者と一緒に助
け合いながら暮らしていくのが正常な社会のあり方であるとする考え方のこと 11)。
<引用資料・URL>
1)厚生労働省発表資料,2007.11.20.
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/11/dl/h1120-1a.pdf
2)「障害児・者の状況 1 全体状況」,『平成 20 年版障害者白書』,P226,内閣府,2008.
3)「第 2 章日本の障害者政策と課題 3 雇用の現状」,『障害者政策の国際比較』,p55,
竹前栄治/障害者政策研究会,明石書店,2002.
4)障害者基本法 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO084.html
5)障害者の雇用の促進等に関する法律 http://www.houko.com/00/01/S35/123.HTM
6)障害をもつアメリカ人法(ADA)とは
http://www32.ocn.ne.jp/~everydayimpress/New_Folder/explain4.htm
7)アメリカ障害者法(ADA 法)
http://members.jcom.home.ne.jp/wheel-net/america.htm
8)イギリスの障害者制度改革,p10,
http://www.clair.or.jp/j/forum/c_report/pdf/214.pdf
9)労働資料館 HP http://www.bengodan.net/data/opi/r9.html
10)「第 3 章雇用をめぐる諸政策」,
『障害者政策の国際比較』,p285,
30
竹前栄治/障害者政策研究会,明石書店,2002.
11)労働調査会 http://www.chosakai.co.jp/news/n07-07-06-4.html
12)バリアフリー新法について
http://www.pref.kagoshima.jp/infra/kentiku/yudou/barrierfree/barrierfree.html
13)DPI(障害者インターナショナル)日本会議 http://www.dpi-japan.org/
14)読売新聞.2007.4.27.
15)大辞泉増補・新装版(デジタル大辞泉) SHOGAKUKAN 2006
<参考資料・URL>
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CSR で会社を守れ」,日経ビジネス 8 月 22 日号,2005.
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