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News
JIKEN CENTER
自研センターニュース
11
November 2007
平成19年11月15日発行 毎月1回15日発行(通巻386号)
昭和51年5月27日 第三種郵便物認可
C
O
N
T
E
N
T
S
テクノ情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
レクサス LS600h・LS600hL
後方プリクラッシュセーフティシステム
輸入車インフォメーション ・・・・・・・・・・・7
ダイムラークライスラー メルセデスベンツ
S350(221056)の合成樹脂部品の補給形態
リペアリポート ・・・・・・・・・・・・・・・・8
Audi A4のバンパ構造について
リペアインフォメーションS ・・・・・・・・・・10
ホンダモビリオスパイク脱着作業のほんの一部です!
2007年RCAR年次総会、ブラジルで開かれる!
! ・・13
「構造調査シリーズ」新刊のご案内 ・・・・・・・15
新発売!
! 新・事故車修理費見積りシステム
「アウダセブン」・・・・・・・・・・・・・・16
リサーチング ザ スケルトンズ ・・・・・・・・・18
日産 エクストレイル(T31系)
別冊 新型車情報
1 ∼□
12
ニッサン エクストレイル(T31系) ・・・・・・□
1 ∼□
12
eマツダ デミオ(DB##S系) ・・・・・・・・□
付録
自研センターニュース平成17年度(通巻367∼378号)総目次
TECHNO INFORMATION
テクノ情報
レクサス LS600h・LS600hL
後方プリクラッシュセーフティシステム
2007年5月、レクサスブランドのフラッグシップサルーンとして登場したレクサスLS600h・LS600hL。
最先端技術を満載した車種ですが、今回は各メーカともに積極的に取組んでいる予防安全技術にあた
る、「後方プリクラッシュセーフティシステム」の概要と、同車の後部損傷修理時における注意点を紹
介いたします。(参考資料:LEXUS
ボデー修理書およびLS電子技術マニュアル)
1.後方プリクラッシュセーフティシステム概要
世界初となる後方からの危険に備えるプリクラッシュセーフティシステムを採用しています。
後方車両への対応機能として、ボデーロワバックパネル後部中央に設置されたミリ波*1レーダセンサ
にて後続車両との距離、相対速度、方向を検知し、追突の可能性を判断します。
追突される可能性が高いと判断された場合、まずハザードランプを点滅させ、後続車両に注意を喚起しま
す。その後、追突の可能性が更に高まると、プリクラッシュインテリジェントヘッドレストを作動させます。これ
により、前席のヘッドレストが前方に移動し、追突された際のむち打ち障害を軽減します。
プリクラッシュインテリジェントヘッドレストには乗員の頭部とヘッドレストの距離を測定するセン
サを内蔵しており、追突される前にヘッドレストを適切な位置に待機させます。
尚、後方プリクラッシュセーフティシステムはLS600hL“後席セパレートシートpackage”に標準装備。
その他グレードおよびLS460ではオプション設定となります。
*1 ミリ波:ミリ波とは、30GHz∼300GHzまでの非常に高い周波数帯で、真空中での波長が1∼10mmと極めて短い電波を指す。
ミリ波は雨や霧、雪などの状況下でも影響を受けにくく、物体認識に優れた性能を発揮する。ミリ波レーダセンサで
は76GHz帯の電波を使用している。
図1
プリクラッシュインテリジェント
ヘッドレスト作動
衝突判断
レーダ検知エリア
プリクラッシュ
インテリジェント
ヘッドレスト
自車
後続車
衝突不可避
ミリ波レーダセンサ(リヤ)
ハザードウォーニングランプ
2
自研センターニュース 2007年 11月号
TECHNO INFORMATION
2.後方プリクラッシュセーフティシステム作動・非作動条件について
各機能の作動・非作動条件は下記のとおりとなります。
(構造調査シリーズより抜粋。詳細は構造調査シリーズを参照願います)
(a)後続車両への警報(ハザードランプ点滅)作動条件
・ドライビングサポートコンピュータが、追突の可能性が高いと判断した場合
・追突する車両との相対速度が30km/h以上の時
・停止中、また前進中でブレーキ操作時
・ハザードスイッチ、ウインカ(方向指示器)非作動時
(b)プリクラッシュインテリジェントヘッドレスト作動条件
・ドライビングサポートコンピュータが追突される可能性が高いと判断した場合
・追突する車両との相対速度が15km/h以上の時
(c)後方プリクラッシュセーフティシステム非作動条件
・エンジンスイッチOFF時およびACC時
・車両が後退している時
・マルチインフォメーションディスプレイに“PCSシステムチェック”または“PCS現在使用できま
せん”が表示されている場合
・ミリ波レーダセンサが被衝突物として検知しない場合(安定して検知できないもの:オートバイ、
自転車など)
(d)後続車両の警報システム非作動条件
・追突する車両との相対速度が30km/h未満の時
・前進時でブレーキ操作時
・ハザードスイッチ、ウインカ(方向指示器)操作時
(e)むち打ち傷害軽減システム非作動条件
・追突する車両との相対速度が15km/h未満の時
3.リヤバンパカバー補修に関する注意事項
ミリ波レーダセンサ(リヤ)が発信した電波の授受はリヤバンパカバーを透過して行われるため、リヤバン
パカバーの塗装膜厚がその性能に影響します。
図2
ただし、リヤバンパカバーに損傷が発生した場合、
一律に「補修不可」
となるわけではなく、図2の範囲
における補修において、注意事項を厳守することに
よって補修可能となります。
(メタリック系塗色におい
ては補修制限あり)
25cm
尚、補修塗装時のカラーベース膜厚は55μm以下
になるように塗装する必要があります。
(一般的普通車の補修塗装の上塗り塗装におい
て、メタル系カラーベースで膜厚は30μm前後です
ので、膜厚55μmはカラーベース塗装としてはかな
30cm
中央部左右 約150mm
上下 約250mm
(上部アクセントラインから下方へ約250mm)
り厚めの塗装になります)
自研センターニュース 2007年 11月号
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図2の範囲内での補修可否について(○:補修可 △:条件付補修 ×:補修否)
項目
補修可否
パテ
×
プラサフ
○
カラーベース
1F2、4T1、6V0
△
他7色
○
クリヤ
○
注意事項
パテ補修禁止
【注意①】
1F2、4T1、6V0を補修塗装する場合は、後述の点検フローに
沿って補修可否を判断する
(図3)。
【注意②】
ただし、2回目以降の補修は塗色を問わず後述の点検フローに
沿って修理可否を判断する。
図3
メタリック系塗色(1F2、4T1、6V0)のリヤバンパカバー塗装時の点検フロー
YES
NO
YES・NO問わず
点検スタート
リヤバンパ中心部から50cmの
範囲に損傷があるか?
リヤバンパカバーが補修できるか?
(バンパ新品交換など補修しない場合は「No」を選択)
リヤバンパカバー
交換実施
リヤバンパカバーを取外し、
リヤボデーやリヤバンパ
リインホースメントに
損傷があるか?
リヤボデー補修実施
リヤミリ波レーダセンサ
Assyに損傷があるか?
リヤミリ波レーダセンサ
Assy交換実施
リヤミリ波レーダセンサ
Assyの上下軸調整を実施
リヤバンパカバーの
「色合わせ作業」が必要か?
リヤバンパカバーに上塗り塗装による
補修履歴があるか?
(補修歴不明の場合は「YES」を
選択)
リヤバンパカバー
「色合わせ作業」
実施
リヤバンパカバー
取付実施
リヤバンパカバー
「上塗り塗装」実施
リヤミリ波レーダセンサAssy検査実施
・STT(TaSCAN)の測定値がすべて134未満の場合は
「YES」
・STT(TaSCAN)の測定値が1つでも134以上の場合は
「NO」
作業完了
リヤミリ波レーダセンサAssyの交換や取外しを
実施した場合は、センサの水平軸調整を実施
4
自研センターニュース 2007年 11月号
リヤバンパカバー取付実施
TECHNO INFORMATION
4.リヤミリ波レーダセンサASSY調整・検査方法(LS電子技術マニュアルより抜粋)
(a)リヤミリ波レーダセンサASSY上下軸調整
i. 地面が平らな場所で、車両後方約5m、幅6mに金属物や反射物がない場所に移動する。
(図4)
ii. 車両の荷物を降ろす。
iii.タイヤ空気圧を規定値に調整する。
iv.リヤバンパカバーを取外す。
v. 水準器をセンサの上面に設置する。
vi.水準器の気泡が中心にくるように、上下軸調整用ボルトをソケットレンチでまわす。(図5)
vii.リヤバンパカバーを取付ける。
図5
図4
約5m
約6m
軸調整用ボルト
(b)リヤミリ波レーダセンサASSY左右軸調整
i. SST(レーザレーダアジャスティングリフレクタ)のリフレクタを地面から54±1cmの位置(リ
ヤミリ波レーダセンサASSY取付け高さ)に設置する。(図6)
ii. 図7の位置に、SST(レーザレーダアジャスティングリフレクタ)を設置する。
iii.SST(TaSCAN)を車両に接続し、IG ONにする。
iv.テールランプを点灯させる。
v. SST(TaSCAN)の画面上で“作業サポート→プリクラッシュ1→後方レーダ光軸調整”の順に選
択し“開始”を押す。
vi.約2秒で光軸調整は完了する。このときSST(TaSCAN)の“光軸ズレ左右”の表示が6.3を表示
する場合は、センサがリフレクタを認識していないため、リフレクタの向きを確認する。
図6
図7
車両中心
リヤミリメータウェブ
レーダセンサAssy
54±1cm
280±2cm
レーザレーダアジャス
ティングリフレクタ
自研センターニュース 2007年 11月号
5
TECHNO INFORMATION
(c)リヤミリ波レーダセンサASSY検査(電波減衰検査)
・リヤバンパカバーに雪や泥などの付着物がないにも関わらず、何度もPCSインジケータが点灯し、
マルチインフォメーションディスプレイに“PCS現在使用できません”が表示される場合は、リヤ
バンパカバーを取外した上でこの検査を実施する。
・SST(TaSCAN)の測定値4箇所のうち、1つでも“26”未満の場合、リヤバンパカバーを交換する
(厚塗り補修された可能性がある)。
・SST(TaSCAN)の測定値4箇所のうち、すべてが“26”以上の場合、リヤミリ波レーダセンサASSY
を交換する。
①事前準備
図8
i. 地面が平らな場所で、車両後方約5m、幅6mに金属物
約5m
や反射物がない場所に移動する。(図8)
ii. 車両の荷物を降ろす。
約6m
iii.タイヤ空気圧を規定値に調整する。
iv.リヤバンパが濡れている場合は十分に拭き取る。
v. リヤバンパの汚れを拭き取る。
②SST(TaSCAN)を車両に接続し、IG ONにする。
図9
③SST(TaSCAN)の画面上で“作業サポート→プリクラッシ
ュ1→後方レーダセンサチェック”の順に選択する。
④SST(レーザレーダアジャスティングリフレクタ)のリフ
54±1cm
レクタを地面から54cm±1cmの位置(リヤミリ波レーダセ
ンサASSYの取付け高さ)に設置する。(図9)
⑤図10の設置ポイント1にSST(レーザレーダアジャスティン
グリフレクタ)を設置し、SST(TaSCAN)の画面に従って、
設置ポイント1、2、3、4の測定値を読み取る。
図10
車両右側で測定する場合
(測定パターン:右)
【注意】
SST(レーザレーダアジャスティングリフ
4
3
2
レクタ)を設置する時は、リフレクタの
1
設置ポイント
車両左側で測定する場合
(測定パターン:左)
設置ポイント
1
2
3
4
向きをリヤミリ波レーダセンサASSYへ向
5±2cm
けること。
【参考】
50±2cm
5±2cm
280±2cm
50±2cm
車両の右側もしくは左側でどちらか一方
の検査でよい。
60±2cm
60±2cm
リヤミリメータ
ウェブレーダセンサ
Assy
リヤミリ波レーダーセンサーASSY検査お
よび調整に使用するSST
車両中心
09870-60000
レーザレーダアジャス
ティングリフレクタ
車両中心
09991-70300
TaSCANセット
(研修部/藤井大介)
6
自研センターニュース 2007年 11月号
輸入車インフォメーション
ダイムラークライスラー メルセデスベンツ
S350(221056)の合成樹脂部品の補給形態
メルセデスベンツ S350(221056)の合成樹脂部品の材質と補給形態情報をお知らせします。
なお、2007年11月発行予定の「No.J−489構造調査シリーズ」メルセデスベンツ S350にも他の情報と
共に掲載されていますので是非ご利用ください。
合成樹脂部品の使用個所
8.パネリング(ミラーカバー)
(外板色)
2.ラジエータグリルパネリング
(メッキ)
6.ハンドル(フロントドア)
(外板色)
1.フロントバンパパネリング
(外板色)
5.サイドメンバパネリング
(外板色)
3.トーイングアイカバーリング
(外板色)
9.タンクフラップパネリング (外板色)
4.ヘッドランプワイパカバー
(外板色)
10.リヤバンパパネリング
(外板色)
7.ハンドル(リヤドア)
(外板色)
11.トーイングアイカバーリング
(外板色)
番号
部品名
材質記号
材質
補給形態
PP-EPDM TV10
ポリプロピレン-EPDMゴム
プラサフ済
1
フロントバンパパネリング
2
ラジエータグリルパネリング
PA6 GF15
ポリアミド ガラス繊維
メッキ
3
トーイングアイカバーリング
PC/PBT
ポリカーボネート/PBT樹脂
塗装済
4
ヘッドランプワイパカバー
PC/PBT
ポリカーボネート/PBT樹脂
塗装済
5
サイドメンバパネリング
PUR-RRIM/MF MSPH
ポリウレタン/ガラス繊維
プラサフ済
6
ハンドル(フロントドア)
PA-GF
ポリアミド−ガラス繊維
塗装済
7
ハンドル(リヤドア)
PA-GF
ポリアミド−ガラス繊維
塗装済
8
パネリング(ミラーカバー)
ABS
ABS樹脂
未塗装
9
タンクフラップパネリング
PA/PPE MD18
ポリアミド/ポリフェニレンエーテル
プラサフ済
10
リヤバンパパネリング
PP-EPDM TV10
ポリプロピレン−EPDMゴム
プラサフ済
11
トーイングアイカバーリング
PC/PBT
ポリカーボネート/PBT樹脂
塗装済
*EPDMは、エチレンプロピレンジエン三元共重合体のことで、耐老化性、耐オゾン性、耐寒性、熱安定性に優れる合成ゴムです。
エチレンプロピレンゴムとも言われます。
(指数部/高地公子)
自研センターニュース 2007年 11月号
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REPAIR REPORT
リペア リポート
Audi A4のバンパ構造について
Audi A4は2005年2月にフルモデルチェンジで発売され、2007年1月のマイナーチェンジでフロントの
バンパ構造が変更になりました。
フルモデルチェンジ車
マイナーチェンジ車
今回は、バンパカバーの脱着時にバンパブラケットが絡む部分の変更点に特徴がありますので紹介します。
フルモデルチェンジ車は、バンパカバー脱着の際にバンパブラケット
(レインホース)がバンパカバーと一
体で脱着ができます。マイナーチェンジ車はバンパカバーが先に外れ、バンパブラケットがバンパブラケット
ホルダに残る構造になっています。
バンパカバーを外したボデー側の写真です。
フルモデルチェンジ車
バンパブラケットホルダ
マイナーチェンジ車
バンパブラケットホルダ
1-b
1-a
ボルト
8
自研センターニュース 2007年 11月号
バンパブラケット
サポート
REPAIR REPORT
バンパカバー裏側の写真です。
フルモデルチェンジ車
マイナーチェンジ車
バンパカバー
バンパカバー
バンパブラケット
2-b
2-a
「2-a」バンパブラケット
各構造は以下のようになります。
☆フルモデルチェンジ車
「1-a」バンパブラケットホルダ
「2-a」バンパブラケット下側の工具差込み穴か
らボルトを締め込むことで「1-a」部と「2-a」部
バンパカバー
が固定されます。
ボルト
☆マイナーチェンジ車
工具差込み穴
サイドメンバ
バンパカバー上側の工具差込み穴から「1-b」サ
ポートを締め込む(写真参考)ことで「2-b」部と
「1-b」部が固定されます。
「2-b」バンパカバー
「1-b」サポート
サイドメンバ
写真6
右図のサポート部分はバンパ
カバー上部の穴から工具を差
込み、締め込む。
バンパブラケットホルダ
バンパブラケット
(技術調査部/小松 靖)
自研センターニュース 2007年 11月号
9
REPAIR Information S
リペア インフォメーション S
ホンダモビリオスパイク
脱着作業のほんの一部です!
2002年9月17日にホンダモビリオスパイク(型式:GK1)が発売され、2004年2月と2005年12月にマイ
ナチェンジがされました。
今回はマイナチェンジ前(年式:2004年・平成16年)の車種を中心に自研センターで行った下記の作
業について紹介します。
1.フロントフェンダの脱着作業
2.サイドシルガーニッシュの取外し作業
3.サイドシルガーニッシュの取付作業
4.ボンネットヒンジの脱着作業
1.フロントフェンダの脱着作業(写真1)
(1)カウルトップサイドの下にフェンダ取付けボルトがあるため、カウルトップフロント(写真2は
取外し状態)およびカウルトップサイド(取外すフロントフェンダ側のみ)の取外しが必要にな
ります。
(写真2)
*フロントバンパおよびヘッドランプ取外し状態。
写真1
写真2
カウルトップサイド
(2)写真3黄色○部にもフロントフェンダ取付けボ
ルトがありますが、サイドシルガーニッシュ
の裏側にあるため、サイドシルガーニッシュ
写真3
の取外しも必要になります。
(写真3)
サイドシルガーニッシュ
10
自研センターニュース 2007年 11月号
REPAIR Information S
2.サイドシルガーニッシュの取外し作業
(1)サイドシルガーニッシュ前側(写真4 黄色○部)のスクリュおよび下部のバンパクリップAを取
外します。(写真4)
(2)サイドシルガーニッシュを前方にスライドさせるとサイドシルガーニッシュを取外すことができ
ます。(写真5)
写真4
写真5
スクリュ
スライド
バンパクリップA
(3)サイドシルガーニッシュ取外し状態。
(写真6)
(4)サイドシルガーニッシュを取外すとサイドシルにフロントフェンダロアクリップが残った状態になり
ます。フロントフェンダロアクリップは45度程度回転させると取外すことができます。
(写真7)
写真6
写真7
フロントフェンダロアクリップ
3.サイドシルガーニッシュの取付作業
(1)サイドシルから取外したフロントフェンダロアクリップをサイドシルガーニッシュへ取付けます。
(写真8)
(2)サイドシルガーニッシュをボデーに取付け、サイドシルガーニッシュ前側のスクリュおよび下部
のバンパクリップAを取付けるとサイドシルガーニッシュの取付けが終了となります。(写真9)
写真8
写真9
スクリュ
バンパクリップA
自研センターニュース 2007年 11月号
11
REPAIR Information S
4.ボンネットヒンジの取外し作業
(1)一般的にボンネットヒンジの取付部がフロントフェンダの裏側に隠れている構造が多く、それら
の車種ではボンネットヒンジ取外し作業の際、フロントフェンダを取外す必要があります。
この車両はカウルトップを取外すことで、ボンネットヒンジの取外し作業を行うことができます。
(写真10)
写真10
ボンネット
ヒンジ
取付部
(2)カウルトップの作業手順
カウルトップはカウルトップAssy(フロントガラス下側)とフロントサイドカウルトップ(ボンネッ
トヒンジ取付部周辺)に分かれる3分割構造ですが、取付構造によりカウルトップAssyを先に外してから
フロントサイドカウルトップを取外します。(写真11・12)
写真11
写真12
カウルトップ
カウルトップ
ボンネット
ヒンジ
取付部
フロントサイ
トサイ
ドカウル
ウルト
トッ
フロン
ドカ
ップ
プ
カウルトップAssy
(技術開発部/島田東一)
12
自研センターニュース 2007年 11月号
2007年RCAR年次総会、
ブラジルで開かれる!
!
去る9月23日∼28日にブラジル、サルバドール市にてRCAR(Research Council for Automobile Repairs)の
年次総会が開かれた。今年は、CESVIブラジルがホストであるためブラジルでの開催であった。会議は、
サルバドール市郊外のホテルで行われた。
今年は、17ヶ国22センターから43名が参加し6日間活発な討議、意見交換が行われた。不参加は、
スウェーデンの2センターおよびマレーシア、中国の計4センターであった。当センターからは、鈴木代
表取締役、小林総務企画部長、河合主幹研究員の3名が参加した。
1.総会では、一般報告事項として下記4点が決議された。
(1)次期事務局長の選任手続きの決定
2008年3月の任期満了をもって退任するスミス事務局長の後任選定のため、今秋以降に選挙が行われる。
(2)ステアリングコミッティ(いわゆる理事会)の理事数の増加(7→8)
現在、理事は合計で7名いるが、欧州理事を2名から3名とすることとした。
(3)RCARの将来像を検討するための特別作業部会の新設
各種自動車アセスメント基準のグローバル化、自動車メーカ対応力の国別バラツキの解消などを
背景に、各種改善活動の一層の強化のためにも現行の各国センター中心型からRCAR主導型へ移行
すべき時期に来ているのではないか、とのセンターの問題意識から、望ましい仕組みの導入の可
否について検討が今後進められることとなった。
(4)各センターの情報データ収集の実施
各センター所在国の基本データ・保険マーケット情報・自動車関連データなどをまとめた総合データ表
を作成し情報の共有を図っていくこととなった。
自研センターニュース 2007年 11月号
13
2.技術的プレゼンテーション
20センターから合計42の技術的なテーマに関するプレゼンテーションがなされた。修理性に関するも
のが、約40%ともっとも多く、RCAR発足の原点である修理技術の情報交換に関して強いニーズがある。
その中の内訳も車体補修に関するものが半分弱で多く、最近、VOC低減の環境対策で話題の水性塗料を
含めた塗装の話題が1/4を占めた。テーマ全体としては、2番目に多いのが衝突試験評価に代表される
損傷性や乗員保護であった。どのテーマも、各センターの特色がある報告であった。
当センターからは、カーメーカへの改善活動の事例として、ボデー修理書の改善と損傷性デザインガ
イドの作成を報告し、各センターからかなりの興味をもたれた。また、デザインガイドの作成は、前述
の作業部会への協力要請もあり、バンパテストの意見反映と合わせ当センターは、プレゼンスを如何な
く発揮した。
3.作業部会報告
RCARにはテーマ別に現在4つの作業部会があるが、各々次の通り、欧米の主要センターが部会長を務
めている。
(1)バンパテスト部会長;独国アリアンツ
(2)損傷性&修理性部会長;英国サッチャム
(3)むち打ち部会長;米国IIHS(Insurance Institute of Highway Safety)
(4)予防安全部会長;英国サッチャム
作業部会報告の、今回の目玉は、バンパテストの試験方法の動向であり、前面に衝突させるバンパテ
ストの試験方法を確定した。(試験方法は下記を参照)
バンパテストの概要
試験条件
バリア地上高
前面衝突 455±3mm
後面衝突 405又は455±3mm
(各国独自に決定)
衝突速度
10+/-0.5km/h
静的形状要件
バンパREINF高さ100mm以上
かつ合理的結果が予測される場合
又は、バリアラップ75mm以上
動的試験性能目標
前面衝突試験の状況風景
バリア形状
14
自研センターニュース 2007年 11月号
各国にて決定
バリアラップ定義
ただし、バンパコーナ部の試験方法は継続検討される。当センターはバンパテスト作業部会において、
研究成果を提案したところ、当センターの意見も試験方法に反映されるなど、プレゼンスを発揮した。
また、損傷性&修理性作業部会では、RCARとしての統一的なデザインガイドの作成を検討しているが、
当社からプレゼンテーションしたデザインガイドも折りこむよう事務局長および作業部会長から要請さ
れた。当センターでは、今後この作業部会にも協力して行くことになった。
開催期間中には、CESVIブラジルが用意してくれた、いかにもラテンの陽気があふれる黄色のユニフォー
ムを着て、サルバドール市内観光に行った。天気もよく街はラテンらしく、陽気に溢れていた。
2008年は、フランスパリで9月14日∼9月19日の日程で行われる予定である。フェアウェルパーティでは、
ブラジルからフランスに引継ぎが行われ、6日間の幕を閉じ、翌日、皆、母国に帰って行った。また、今回の
総会で、スミス事務局長や独国アリアンツテクニカルセンター社長であったアンセルム氏などのメンバーが引
退することになっており、お疲れ様と言いたい。
(主幹研究員/河合 洋)
「構造調査シリーズ」新刊のご案内
自研センターでは新型車について、損傷した場合の復元修理
の立場から見た車両構造、部品の補給形態、指数項目とそ
No.
車 名
型 式
489
ダイムラー クライスラー
メルセデス・ベンツSクラス
221056
490
トヨタ ヴァンガード
491
スズキ SX4 セダン
ACA33W、GSA33W系
の作業範囲、ボデー寸法図など諸データを掲載した「構造調
査シリーズ」を発刊しておりますが、今月は右記新刊をご案内
YC11S系
いたしますので、是非ご利用ください。定価は1,120円です
(税込み、送料別)
。ただし、J-489のみは、2,160円(税込み、
送料別)です。
お申し込みは自研センター総務企画部までお願いします。
TEL
047-328-9111
FAX
047-327-6737
自研センターニュース 2007年 11月号
15
新発売!
!
新・事故車修理費見積りシステム
「アウダセブン」
2007年10月より、日本アウダテックス株式会社より事故車修理費見積りシステム「アウダセブン」の発売が
開始されました。
わかりやすい操作は前作「アウダネオ2」を継承。新たに、株式会社自研センター発行の「構造調査シリー
ズ」
(図解指数テーブル・構造図・寸法図)
をデータ化して収録、その他「作業項目確認機能」、
「カラーコード
一覧(イメージ色表示)」等、見積り作成に役立つ機能が追加され、新OS WindowsVistaへも対応しました。
今後、アウダネオ2は全てアウダセブンへ移行される予定の為、新たな鈑金修理システムのスタンダート
として注目されています。
PICKUP! 新機能「構造調査シリーズ」
新型自動車に関する調査をもとに、構造上の特徴、
修理上の留意点、指数の作業範囲等をイラストで
判り易く示して好評な
「構造調査シリーズ」
(
(株)自研センター発行)を
完全データ化して収録。
新機能
1
指数ヘルプ機能を拡充!
作業範囲が図解で一目瞭然
指数テーブルの作業項目ごとに指数の作業内容を図解表示。
目次もついて
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自研センターニュース 2007年 11月号
アウダネオ2
指数ヘルプ画面
新機能
2
車体構造図等のデータを新収録
エンジンルーム概要や防錆など構造に関する情報を視覚的に確認出来るため、
見積り作業だけではなく修理現場でも役立つ情報を収録。
※車種により掲載内容が異なります。
例:トヨタ ブレイドの構造編目次画面
画像① 高張力鋼板
←画像①
画像② 損傷診断
←画像②
←画像③
画像③ エンジンルーム
画像④ 防錆剤塗布箇所
画像⑤ 樹脂部品材質一覧
画像⑥ 外板色
←画像④
←画像⑤
←画像⑥
この他、役立つ情報を満載!!
新機能
3
作業時に便利なボデー寸法図は、印刷も可能!!
修理作業に欠かせないボデー寸法のデータも収録。
印刷もできるので修理現場で活用できます。
PDF形式でも
印刷可能!
お問い合わせは:日本アウダテックス株式会社 電話:03-5351-1900(代表) http://www.audatext.co.jp
自研センターニュース 2007年 11月号
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Researching The Skeletons
リサーチング ザ スケルトンズ
日産 エクストレイル
(T31系)
この「Researching The Skeletons」では外部からは確認することができないフロントサイドメンバおよびリヤサイドメンバ内側のリインホースメント等
の位置や板厚を分かり易く紹介していくもので、データは実際に自研センターで調査した内容をまとめたものです。
今回は2007年8月に発売された日産エクストレイル(T31系)を取り上げます。
ィングメンバブラケット部と一体補給の構造
概要
サイドフロントメンバの後部(ダッシュロアと
で、内部のリーンホースメントは1ヶ所に取付
の取付け部)に超高張力鋼板が使用されています。
けられています。左側は4ヶ所にリーンホース
(日産自動車株式会社発行の車体修復要領書より)
メントが取付けられています。
⑤車体修復要領書によるサイドフロントメンバの
フロント
①ラジエータコアサポートAssyは鋼鉄製で、左右フ
半裁作業カット指示位置です。
ードレッジレインフォースメントおよび左右サイドフ
ロントメンバの先端にボルトで取付けられています。
②左右フロントサイドメンバ先端部にはクラッシ
ュボックスと一体型のフロントバンパプロテク
タが取付く構造となっています。
③サイドフロントメンバはストレート型の四角断
面形状となっており、取替作業はダッシュロア
e
下部までの作業になります。
④右側サイドフロントメンバはエンジンマウンテ
サイドフロントメンバ左外側
1.4mm
サイドフロントメンバ右外側
1.4mm
1.4mm
1.4mm
2.4mm
サイドフロントメンバ左内側
サイドフロントメンバ右内側
1.7mm
レーザ溶接
超高張力鋼板
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自研センターニュース 2007年 11月号
1.7mm
カット位置
カット位置
2.1mm
レーザ溶接
超高張力鋼板
Researching The Skeletons
リヤ
⑥リヤパネルはリヤアッパパネルおよびリヤメンバAssyリヤクロスの2つのパネルで構成され、補給は
それぞれ単体補給となります。
⑦リヤメンバAssyリヤクロスはセンタ部単独の取替作業が可能です。
⑧サイドメンバリヤエクステンションは単体補給が設定されています。
リヤアッパパネル取付状態
リヤアッパパネル取外し状態
リヤメンバAssyリヤクロス
リヤアッパパネル
リヤアッパパネル
リヤリヤフロア取付状態
リヤリヤフロア取外し状態
サイドメンバリヤ
エクステンション1.3mm
2.4mm
リヤ下部
サイドメンバリヤ
エクステンション
(指数部/伊藤秀孝)
自研センターニュース 2007年 11月号
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http://jikencenter.co.jp/
自研センターニュース 2007.11(通巻386号)平成19年11月15日発行 昭和51年5月27日 第三種郵便物認可 発行人/鈴木 稔 編集人/小林吉文 C 発行所/株式会社自研センター 〒272-0001 千葉県市川市二俣678-28 Tel(047)328-9111(代表) Fax(047)327-6737
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