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2-(2) 現代舞台芸術の公演 - 独立行政法人 日本芸術文化振興会

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2-(2)
現代舞台芸術の公演
○中期計画
(1) 現代舞台芸術の公演
ア 国際的に比肩しうる高い水準のオペラ、バレエ等の現代舞台芸術を自主制作により公演するものと
し、中期目標の期間中おおむね以下のとおり現代舞台芸術の公演を行う。
① オペラ公演
年間15公演程度
② バレエ公演
年間6公演程度
③ 現代舞踊公演 年間4公演程度
④ 演劇公演
年間9公演程度
イ 新作と再演のバランス、邦人作品の上演、レパートリーシステムの充実などに努める。なお、演劇
については、我が国で創作された作品の再評価とともに、地方で活躍する劇団等との交流に努める。
(2) 青少年等を対象とした現代舞台芸術の公演
オペラを中心に青少年等を対象とした鑑賞教室を年間1公演程度実施し、新たな観客層の育成を図る
とともに、現代舞台芸術の普及理解を図る。
(3) 現代舞台芸術の公演の実施に際しては、次のことに留意する。
ア 個々の実施目的、演目、過去の鑑賞者数の状況等を踏まえた適切な鑑賞者数の目標を設定し、その
達成に努める。
イ 観劇者に対するアンケート調査を適宜実施するとともに、その調査結果及び外部専門家等の意見を
公演事業に反映させる。
ウ 外部団体との連携協力等に努める。
エ 制作した作品の地方の劇場での実施に努める。
○年度計画
(1) 現代舞台芸術の公演
① オペラ10公演
② バレエ7公演
③ 現代舞踊4公演
④ 演劇10公演
(2) 青少年等を対象とした現代舞台芸術の公演
高校生のためのオペラ鑑賞教室「カヴァレリア・ルスティカーナ」 7月10日∼7月15日
こどものためのオペラ劇場 7月29日∼7月31日
(3) アンケート調査・外部専門家等の意見聴取
自主公演において、観劇者に対するアンケートを実施し、その結果の分析とともに、外部専門家等の
意見を公演事業に反映させる。
(4) 外部団体との連携協力
① 芸術祭主催公演の実施等、外部団体との連携協力による現代舞台芸術の公演を行う。
(演 劇)「シラノ・ド・ベルジュラック」「オイディプス王/イワーノフ」
新国立劇場中劇場・小劇場、11月 共催:(財)静岡県舞台芸術センター
② 外部団体からの求めに応じ、受託による現代舞台芸術の公演に努める。
(5) 地方における上演
(バレエ)「ライモンダ」梅田芸術劇場メインホール、10月15日
「シンデレラ」新潟県民会館大ホール、1月7日
(演 劇)「Into the Woods」兵庫県立芸術文化センター大ホール、7月1日∼7月2日
○実績
1.公演実績
公演名
公演数
回数
日数
入場者数
目標入場者数
オペラ
10公演
46回
46日
58,420人(76.3%)
57,600人(75.0%)
バレエ
7公演
36回
36日
48,603人(79.7%)
42,700人(70.0%)
現代舞踊
4公演
12回
12日
5,438人(77.9%)
4,900人(70.0%)
演劇
10公演
163回
144日
51,800人(80.3%)
43,300人(70.0%)
小 計
31公演
257回
238日
164,261人(78.6%)
148,500人(71.9%)
青少年等鑑賞教室
2公演
12回
9日
15,118人(94.2%)
12,200人(75.0%)
合 計
33公演
269回
247日
179,379人(79.7%)
160,700人(72.2%)
2.外部団体との連携・協力、地方における上演
① 平成18年度(第61回)文化庁芸術祭主催2公演、協賛6公演を実施した。
② 平成18年度文化庁舞台芸術国際フェスティバル主催公演1公演を実施した。
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③
④
地域団体との連携2公演(オペラ1公演、演劇1公演)を実施した。
全国で9公演(オペラコンサート4公演・バレエ2公演・現代舞踊1公演・演劇1公演・演劇関係
イベント1回)を実施した。
3.外部専門家等の意見
上演機会の少ないオペラ・バレエの新制作、実験的な現代舞踊・演劇作品、収支の均衡や集客が困難
な公演等、民間では着手しにくい公演に前向きに取り組み、高い水準で上演している点を評価したい。
また、若年層への観劇の働きかけや、観客が劇場空間を楽しむ多彩な工夫も行われており、舞台制作
以外での努力についても評価したい。
新国立劇場以外でも全国で多彩な活動を行っており、更に新国立劇場の公演を全国で鑑賞できるよう、
引き続き努力してほしい。
4.アンケート調査
すべての公演で実施。入場時にステージノート、プログラム(鑑賞教室)に挟み込み配布。
(オ ペ ラ)回答数1,598人、概ね満足76.4%(1,221人)
(バ レ エ)回答数1,546人、概ね満足78.5%(1,213人)
(現代舞踊)回答数209人、概ね満足71.3%(149人)
(演
劇)回答数1,810人、概ね満足72.8%(1,317人)
(鑑賞教室)回答数4,511人、「高校生のためのオペラ鑑賞教室」:概ね満足63.0%(2,032人)
「こどものためのオペラ劇場」:概ね満足85.1%(1,094人)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
各部門とも総じて高水準な舞台成果を上げ、入場者数に関しても、昨年度、目標入場者数に達しなか
ったオペラ公演も目標を達成し、全部門で目標を達成することができた。
18年度は新国立劇場以外での全国的な活動にも力を入れた。オペラ公演はできなかったものの、新国
立劇場オペラ研修所修了生等によるコンサート形式の公演を各地で行った。また、他の部門でも全国公
演等を実施し、各地で高い評価を得た。
【見直し又は改善を要する点】
予算的な問題はあるが、オペラ公演の全国公演を実現できるよう努める。
【17年度評価への対応】
「適切な入場者数の目標値を設定」という意見については、より適切な目標値の設定について見直し
を検討した結果、19年度は努力目標分を上乗せ(1%増)した目標入場者数とすることとした。また、
目標入場者数を達成できなかった公演については、その原因を検討し、以後の公演の集約に役立てるよ
う努めた。
「幅広い立場から総合的に点検し、一層の発展に資する」という意見については、開場10周年にあた
り、新国立劇場の果たすべき使命、任務、役割等を再認識し、引き続き観客や外部識者による専門委員
等の多くの意見を聴取するとともに、自己点検評価と並行して総合的に各種業務の点検を行い、発展に
努める。
「アンケート結果について細やかな記述と分析」という意見については、アンケート項目や回収方法
の見直し等を行い、多様な評価軸から意見の集約に努めるとともに、アンケートの分析結果の報告書へ
の記載については、今後検討を行う。
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2-(2)-①
オペラ
○制作方針
① スタンダードな作品の上演
名作と呼ばれるような代表的な作品を上演し、それをレパートリーとして蓄積し、繰り返し上演して
いくことで、オペラを市民生活に定着させていく。
② 上演機会の少ない優れた作品の上演
優れた作品ながら、さまざまな理由で日本では上演される機会の少なかった作品にも積極的に取り組む。
③ 日本の作曲家の作品の上演
欧米の名作ばかりでなく、日本の作曲家のオリジナル作品の上演にも積極的に取り組み、レパートリーと
して蓄積していく。
○実績
(1) カヴァレリア・ルスティカーナ(全1幕)/道化師(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
4月5日(水)∼11日(火)
4回
4日
5,367人(74.9%)
5,400人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
SS
S
A
B
C
D 7,350円、
○ 入場料 ○21,000円、○18,900円、○15,750円、○13,650円、○10,500円、○
E
F
Z
○ 6,300円、○ 3,150円、○ 1,500円
○ 制作意図
2004/2005シーズンの開幕を飾ったヴェリズモ・オペラの傑作2本のレパートリー作品を上演する。
指揮は、若いながら今や巨匠の域に達したファビオ・ルイージ、ガブリエーレ・シュナウトとアル
ベルト・クピードの2大歌手による「カヴァレリア・ルスティカーナ」、クリスティアン・フランツ
と大村博美のベテランと新鋭が競演する「道化師」と、アーティストの魅力を全面的に享受できる公
演とする。
○ 外部専門家等の意見
「カヴァレリア・ルスティカーナ」の演出において、ローラの下着姿は疑問であり、決闘シーンは
迫力不足であった点は残念であった。歌手陣においては、高音にやや不満のある歌手はいたものの、
クピードはベルカントをたっぷり聞かせてくれたし、山下は役柄を巧みに掴んでいた。また、小林は
今後に期待を抱かせてくれた。
「道化師」については、キャラクターの歌の表現はまずまずで、大村はじめ日本人歌手は好演であ
った。指揮者のルイージは、上等の出来であり、再登場を期待したい。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。回収時粗品進呈。
回答数226人。回答者の89.4%が概ね満足と答えた(202人)。
【特記事項】
イタリア語上演により字幕を使用した。
オペラプロローグを実施した。
3月25日(土)13:00、オペラ劇場ホワイエ、入場無料、入場者数83人
講師:ダリオ・ポニッスィ、オペラ広報担当者
(2) こうもり(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
6月14日(水)∼28日(水)
6回
6日
8,415人(78.3%)
8,100人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
SS
S
A
B
C
D 7,350円、
○ 入場料 ○21,000円、○18,900円、○15,750円、○13,650円、○10,500円、○
E 6,300円、○
F 3,150円、○
Z 1,500円
○
○ 制作意図
ヨハン・シュトラウスⅡ世の傑作オペレッタ。主要な役を4役演じ、この作品を知り尽くしたウィ
ーン宮廷歌手ハインツ・ツェドニクの初演出を、シュトラウスの権威ヨハネス・ヴィルトナーの指揮
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が彩り、世界各国の歌手陣が、この陽気でウィットに富んだ物語を華やかに艶やかに歌い上げ、洗練
されたウィーンの雰囲気を舞台に表現する。
○ 外部専門家等の意見
ツェドニクの初演出は、歌手としての経験と洞察力が活かされたなかなかの出来で、オペレッタの
生命である役者の演技を邪魔しない演出を評価したい。ツェドニク演出による今後の作品も期待した
い。また、舞台美術や衣裳のアイデア・色調も作品に相応しい、軽く洒落た感じに仕上がっていた。
音楽もまとまっており、出演者ではアデーレ役の中嶋に拍手を贈りたい。
バレエ「こうもり」との連携公演は企画としてもユニークで大いに評価できる。この演目は、毎年
の年末年始に取り上げられても良いのではないか。
歌詞の内容と共に会話の妙が重要であるオペレッタで、字幕の転換のズレがあった点は残念であった。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。回収時粗品進呈。
回答数:251人。回答者の71.3%が概ね満足と答えた(179人)。
【特記事項】
ドイツ語上演により字幕を使用した。
バレエ「こうもり」との連携企画として上演した。バレエ「こうもり」のチケットと同時購入をする
と10%割引になる「こうもりプラン」を実施した(195件269枚)。また、オペラとバレエの「こうもり」
を比較した展示をオペラ劇場ホワイエで実施するとともに、シャンパンを多種販売した。
アカデミック・プランを実施し、163人の入場者を得た。
オペラトークを実施した。
5月27日(土)11:00、オペラ劇場ホワイエ、入場料500円、入場者数109人
登壇者:ヨハネス・ヴィルトナー(指揮)、ハインツ・ツェドニク(演出)、
トーマス・ノヴォラツスキー(芸術監督)
劇場スタッフによるオペラビギナーを対象にしたストーリー解説を行った。
5月27日(土)10:30、オペラ劇場プロムナード、入場無料、入場者数約100人
クラブ・ジ・アトレ会員20名をゲネプロに招待し、感想をホームページに掲載した。
(3) ドン・カルロ(全4幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
9月7日(木)∼21日(木)
6回
6日
8,207人(76.3%)
8,100人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
ノヴォラツスキー芸術監督の最後のシーズンのオープニングを飾る作品。ヴェルディ円熟期の最高
傑作をマルコ・アルトゥーロ・マレッリの演出、ミゲル・ゴメス=マルティネスの指揮、ミロスラフ
・ドヴォルスキーのタイトルロール、大村博美のエリザベッタ、ヴィタリ・コワリョフのフィリッポ
二世、マーティン・ガントナーのロドリーゴ、マルゴルツァータ・ヴァレヴスカのエボリ公女、加え
て妻屋秀和、長谷川顯という2人のバス歌手も出演し、充実したスタッフ・キャストで上演する。
○ 外部専門家等の意見
ドラマを中心とし、指揮、演出、歌唱のスタイルが統一された典型的なドイツ型のヴェルディであ
るが、これまで日本ではこういうスタイルで上演されておらず、意味のある上演であった。
マルティネスのかっちりとまとめた指揮の下、歌のスタイルが整っていた。歌手については、エリ
ザベッタ役の大村やドン・カルロ役のドヴォルスキーが健闘しており、ロドリーゴ役のガントナーも
代役ながら良く歌っていた。オーケストラの演奏において、お粗末な部分が見受けられたことは残念
であった。
演出については、シラーの原作とヴェルディの音楽の両面からメッセージを読み取り、それを明確
な形で舞台に表した美術、衣裳、照明のコラボレーションが、形骸化した宗教や腐敗した権力への嫌
悪、批判、そして弱者や虐げられた者の自由への希求等の演出意図を明確に伝えていた。舞台スタッ
フの緊密な仕事ぶりが窺える舞台進行でもあった。一方、冒頭、ドン・カルロがステージに寝ている
等、疑問点も何箇所かあり、舞台も立体パズルのようで無味な感じもした。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
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回答数270人。回答者の68.9%が概ね満足と答えた(186人)。
【特記事項】
レクサス、東海旅客鉄道株式会社の特別協賛とブラザー工業株式会社の協賛を得た。
イタリア語上演につき字幕を実施した。
アカデミック・プランを実施し、106人の入場者を得た。
オペラトークを実施した。
(8月26日(土)11:30、オペラ劇場ホワイエ、入場料500円、入場者数97人)
登壇者:ミゲル・ゴメス=マルティネス(指揮)、マルコ・アルトォーロ・マレッリ(演出)、
トーマス・ノヴォラツスキー(芸術監督)
オペラビギナーを対象にした「ものがたり説明会」を行った。
(8月26日(土)11:00、オペラ劇場ホワイエ、入場無料、入場者数80人)登壇者:三澤洋史
クラブ・ジ・アトレ会員をゲネプロ(9月4日)に招待し、感想をホームページに掲載した。
シーズンオープニングイベントとして、劇場入り口に赤のパンチカーペットを敷設し、演劇研修生に
よる出迎えを行った。また、ブリッジ下において、オペラ研修生によるウェルカムミニコンサートを実
施した。
期間中、ホワイエにおいて「新国立劇場のヴェルディ・オペラ」と題し、開場から現在までのヴェル
ディ・オペラの公演写真や上演資料と、情報センター所蔵品からNHKが招聘したイタリア歌劇団の公演
プログラムやヴェルディ・オペラの初期上演資料を展示した。
NHKの収録があった。(9/16収録、1/7NHK教育テレビ「芸術劇場」にて放送)
ロドリーゴ役で出演予定であったルドルフ・ローゼンが健康上の理由により来日できなくなったの
で、マーティン・ガントナーにキャスト変更を行い、希望者には払い戻しを行った。(払い戻し104枚)
(4) イドメネオ(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
10月20日(金)∼30日(月)
5回
5日
6,929人(77.3%)
6,700人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
何曲もの素晴らしい美しい旋律のアリアがありながら、上演機会の少ないモーツァルトのオペラ・
セリアの傑作を、グリシャ・アサガロフの演出、ダン・エッティンガーの指揮、ジョン・トレレーヴ
ェン、藤村実穂子、エミリー・マギーらの素晴らしい歌手と若手実力派の日本人歌手の競演で新制作
し、上演する。
○ 外部専門家等の意見
ダン・エッティンガーのメリハリの効いた指揮は、良くこのオペラをまとめ上げており、イダマン
テを歌った藤村実穂子は、役作りを徹底させていた。エミリー・マギーも適役であった。音楽的な水
準は全体として高かったが、目覚ましい演奏とまではいかず、このオペラの難しさを感じた。
演出については、「台本と音楽に沿ったもので無理がなく、美術、衣裳、照明も無駄を廃し、簡潔
で美しいモーツァルトの音楽をゆっくりと聞くことができた。」という肯定的な意見と、「新鮮さがな
く、焦点がぼんやりしていると感じた。きちんとそつなく仕立てたオペラ・セリアに現代の聴衆が関
心を持つとは思えない。悪い上演ではないが、時流と無関係に上演するのはいかがなものだろうか。」
という否定的な意見があった。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数215人。回答者の79.1%が概ね満足と答えた(170人)。
【特記事項】
平成18年度(第61回)文化庁芸術祭主催公演
イタリア語上演により字幕を実施した。
オペラトークを実施した。(10月7日(土)11:30、オペラ劇場ホワイエ、料金500円、入場者数63人)
登壇者:ダン・エッティンガー(指揮)、グリシャ・アサガロフ(演出)、
トーマス・ノヴォラツスキー(芸術監督)
オペラビギナーを対象にした「ものがたり説明会」を実施した。
(10月7日(土)11:00、オペラ劇場ホワイエ、入場無料、入場者数63人)
解説:岡本和之(新国立劇場音楽ヘッドコーチ)
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アカデミック・プランを実施し35人の入場者を得た。
モーツァルト・イヤー・シールラリーを実施した。
クラブ・ジ・アトレ会員をゲネプロに招待し、感想の一部をホームページに掲載した。
(5) フィデリオ(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
11月30日(木)∼12月9日(土)
4回
4日
4,151人(57.9%)
5,400人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
ベートーヴェンの理想主義を音楽が雄弁に語り、オラトリオ的な大合唱やシンフォニーを想わせる
管弦楽による最終場面等、神聖で感動的な音楽に圧倒されるベートーヴェン唯一のオペラ作品である。
2005年5月、音楽を建築的に視覚化した舞台と巧みな照明効果で好評を博したマルコ・アルトゥーロ
・マレッリ演出のプロダクションを、新国立劇場初登場となるドイツ出身の新進気鋭の指揮者コルネ
リウス・マイスターとハルト・ムート・ヴェルカー、ステファン・グールド、エヴァ・ヨハンソン等
の歌手陣により再演する。
○ 外部専門家等の意見
ワーグナー・テノールとして活躍中のグールドを期待して聴いた。これは、聴衆の側から見た「レ
パートリーシステム」の一つの達成ではないか。レパートリー物を、歌手を中心にして聴く聴き方が
日本で可能になったという意味においても注目すべきであろう。ただ、会場にそのような客は少ない、
あるいはいないように見受けられた。
演出は初演より分かりやすくなってはいたが、微妙なところが失せていた。だが何とか維持できて
いるということだろう。指揮者の音楽創りは、テンポ感の統一性を欠き、緊張感の乏しい音楽へ流れ
てしまっており、オーケストラ共々、これでは音楽ファンの支持を得るまでではない。日本人歌手た
ちは、前回の公演同様、良くその役柄に合致した歌と演技であった。年ごとに日本人歌手層の厚みが
感じられることは心強い限りである。しかし、全体的に歌手の水準は高かったとはいえない。
グールドが歌うとはいえ、くすんだ印象の公演であった。公演のどこに魅力があるのか、企画も宣
伝もポイントをはっきりさせた方が良いと思う。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数116人。回答者の68.1%が概ね満足と答えた(79人)。
【特記事項】
平成18年(第61回)文化庁芸術祭協賛公演
ドイツ語上演により字幕を実施した。
同一期間内に「セビリアの理髪師」と日替わり上演を行った。
アカデミック・プランを実施し、71人の入場者を得た。
全日程において、オペラ劇場ホワイエに臨時ボックスオフィスを開設しチケットを販売するとともに、
プロムナードに設置した65インチプラズマディスプレイやホワイエ展示で次回公演バレエ
「シンデレラ」
の広報活動を行った。
(6) セビリアの理髪師(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
12月1日(金)∼10日(日)
4回
4日
5,724人(79.9%)
5,400人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
軽快でスピード感溢れる音楽、馴染みのある名曲の数々、小気味よいテンポで繰り広げられるコミ
カルなストーリー等、ロッシーニのオペラ・ブッファの最高傑作を、2005年11月、ポップでカラフル
な色彩に溢れた舞台にして好評を博したヨーゼフ・E・ケップリンガー演出のプロダクションを再演
する。
○ 外部専門家等の意見
69
全体のアンサンブルがとても良く、レパートリー作品を聴く楽しみが、申し分なく提供された公演
だった。同時に一人の目立つスター級歌手がいることの意味が大変良く分かった。外国勢は演出意図
の拡大解釈なのか、よりマンガチックに歌いかつ演じ、日本勢は生真面目な歌と演技というなんとも
チグハグなところがあるが、逆にそれが変な面白さとなっていた。バルチェッローナの健康優良児的
におおらかなキャラクターと確かな歌唱力による表現は、大変にチャーミングであった。ブラウンリ
ーはひょうきんな演技で、今までのアルマヴィーヴァ役のイメージを払拭してしまった。この2人の
不思議なコンビネーションは、また新しい魅力といえよう。弱点は指揮とオーケストラか。
ただ、再演までのインターバルが短いような気がする。できれば2年以上空けた方がより新鮮味が
感じられるのではなかろうか。
平日午後の公演では、会場はほぼ埋まっていて、上演を楽しんでいるようだった。これからのオペ
ラの聴衆は年輩者なのだと定めた方が良いのかもしれない。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数100人。回答者の51.0%が概ね満足と答えた(51人)。
【特記事項】
イタリア語上演につき字幕を実施した。
同一期間内に「フィデリオ」と日替わり上演を行った。
アカデミック・プランを実施し、25人の入場者を得た。
全日程において、オペラ劇場ホワイエに臨時ボックスオフィスを開設しチケットを販売するとともに、
プロムナードに設置した65インチプラズマディスプレイやホワイエ展示で次回公演バレエ
「シンデレラ」
の広報活動を行った。
(7) さまよえるオランダ人(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
2月25日(日)∼3月10日(土)
5回
5日
7,438人(83.0%)
6,700人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
「愛による救済」が謳歌されるワーグナー初期の傑作。バイロイトでの演出助手歴15年というワー
グナーを知り抜いたマティアス・フォン・シュテークマンの初演出が期待される。指揮は「フィデリ
オ」に続き2回目のミヒャエル・ボーダー。独唱陣は、ゼンタ役のアニヤ・カンペをはじめ新国立劇
場初出演の実力派を揃えた。合唱の聴きどころも多く、迫力のある作品を、若々しく新鮮なカンパニ
ーで新制作し上演する。
○ 外部専門家等の意見
歌手陣について、皆役柄に合った声質とキャラクターであり、ユハ・ウーシタロ、松位浩、竹本節
子等、出色の歌手の陣容だったと言える。合唱はいつものことながら圧巻であり、男声合唱の声の充
実度には満足できた。しかし「劇場の大きさを考えない声で、歌が怒鳴り声に聞こえた。」という指
摘もあったことは事実である。指揮については、序曲がもたつき、第1幕が少し叙情的に流れすぎた
きらいがあったが、第2幕からは、指揮者の音楽性とも相俟って、メリハリの利いたダイナミックな
表現となった。
演出については「全体として良くドラマトゥルギーを咀嚼してあり、ワーグナーの理念である『永
遠の愛と救済』が根底を支えていた。」という肯定的な意見と、「着想や解釈がどうのと言う以前に、
全体を通した演出のコンセプトが見られなかったので、散漫な舞台となった。舵輪と糸巻きのつなが
りも、オランダ人がゼンタを残して旅立つという解釈もきちんと示して欲しかった。」という否定的
な意見があった。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数176人。回答者の90.3%が概ね満足と答えた(159人)。
【特記事項】
ドイツ語上演につき字幕を実施した。
日本ワーグナー協会の協力を得た。
オペラトークを実施した。(2月12日(月・祝)12:00∼14:00中劇場、入場料500円、入場者数166人)
70
登壇者:ミヒャエル・ボーダー(指揮)マティアス・フォン・シュテークマン(演出)
トーマス・ノヴォラツスキー(オペラ芸術監督)
、久保敦彦(司会、日本ワーグナー協会理事)
アカデミック・プランを実施し、74人の入場者を得た。
(8) 運命の力(全4幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
3月15日(木)∼24日(土)
4回
4日
4,875人(68.0%)
5,400人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
ヴェルディ中期の作品で、比較的公演機会は少ないが、良く知られた序曲をはじめ観客を魅了させ
るドラマティックで美しい旋律に溢れた作品。新国立劇場初登場のマウリツィオ・バルバチーニが指
揮し、レオノーラ役には若手ヴェルディ・ソプラノのインドラ・トーマス、ドン・アルヴァーロ役に
はヨーロッパ各地で絶賛されている水口聡、カルロ役には現代を代表するバリトン、ウラディーミル
・チェルノフを起用。エミリオ・サージの演出は、シンプルな舞台で登場人物の心情を際立たせ、時
代設定を20世紀に変えることで差別と憎悪の酷さをよりリアルに観客に訴え、重厚な人間ドラマを創
り上げる。
○ 外部専門家等の意見
再演演出についてサージの演出をもう少し保持する努力があって然るべき。レパートリー物として
もくすんだ印象がある。必ず何か「チャームポイント」があったほうが良いのではないか。
少しゆるいロッシーニ風に表現した指揮者のマウリツィオ・バルバチーニについては、異論もある
かもしれないが悪くなかった。この作品の劇的表現力を見事にオーケストラと歌手から引き出してい
た。インドラ・トーマスは独特の音色でその役柄を表現し、前回の同役と遜色のない出来栄えであっ
た。水口聡は日本人としては珍しいドラマティック・テノールの音質を持っている希少な歌手で、前
半は音程に不安があったが後半持ち直してきた。チェルノフは、軽めのバリトン故か対決場面に迫力
不足を感じたが、表現力と美しい響きを持った歌に魅力があった。林美智子は、良くキャラクターを
自分のものにして好演であったが、適役ではないと感じた。妻屋秀和もバス特有の味を表現していた。
重要な劇的効果をもたらす合唱もその素晴らしいハーモニーは特筆されて良い。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数83人。回答者の83.1%が概ね満足と答えた(69人)。
【特記事項】
イタリア語上演につき字幕を実施した。
オペラプロローグを実施した。(日本ヴェルディ協会との共催)
2月24日(土)14:00∼16:00、オペラ劇場ホワイエ、入場料500円、入場者数55人
講師:永竹由幸(音楽評論家)
前後に初演(2006年3月)の記録映像の中からのハイライトシーンのビデオ上映会(ハイビジョン、
解説付)を行った。
アカデミック・プランを実施し、51人の入場者を得た。
(9) 蝶々夫人(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
3月22日(木)∼31日(土)
4回
4日
6,232人(86.9%)
5,400人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A
B
C 6,300円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○21,000円、○15,750円、○10,500円、○
○ 制作意図
次期新国立劇場オペラ芸術監督、若杉弘が音を綴るプッチーニの世界的人気を誇る名作。ほぼ毎シ
ーズン上演してきた作品だが、今回はピンカートン役に当代随一のドラマティック・テノールのジュ
ゼッペ・ジャコミーニ、蝶々さん役には、これが実質的な日本デビューとなる新星岡崎他加子を迎え、
栗山民也の演出でドラマティックな艶のある美しい舞台を創る。新国立劇場に新たな名演の歴史を刻
む作品としたい。
71
○
外部専門家等の意見
新制作時よりも演出が落ち着き練られていると感じた。新しさはないとしても隙のないきちんとし
た「蝶々夫人」であった。舞台中央で上演中ずっとはためいているアメリカ国旗のインテンポな動き
が音楽に合わず煩わしい。自殺場面は唐突すぎの感じはあった。円筒状の構成舞台風装置は、音響的
には反響板として効果的であり、また従来のジャポニズムを前面に出し続けたプロダクションからの
脱却という意味では評価できる。
若杉の音楽作りは、穏やかだが弱々しく、平板で盛り上がりに欠けていたとも思えたが、全体とし
てのまとまりがあって、間違いなく「若杉の蝶々夫人」になっている。しかし、歌手がこの演奏と演
出に合っていない。歌手とオーケストラのずれがあった。歌手は、岡崎、ジャコミーニ、ロバートソ
ンがそれぞれの個性と経験、キャリアに基づいた歌唱と演技でそれなりに存在感を示したが、岡崎の
蝶々さんは言葉にニュアンスはなく絶叫型で、一流劇場では困るソプラノであり、全盛期に絶叫型の
テノールとして名を馳せたジャコミーニは頑張ってはいたが、大時代的歌唱に鼻白むところがあり、
一部のファン向きであろう。歌手の低調が気になった。その中で、大林が情のあるしっとりとした役
作りをしており好感が持てた。間奏部分のハミング・コーラスは抑えすぎで、もう少しハミング・コ
ーラスの美しさが際立たせられたら良かった。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数70人。回答者の85.7%が概ね満足と答えた(60人)。
【特記事項】
イタリア語上演につき字幕を実施した。
(10) フラ・ディアヴォロ(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
2月15日(木)∼18日(日)
4回
4日
1,082人(84.0%)
1,000人(75.0%)
○ 会場
小劇場
Z 1,500円
○ 入場料 5,250円、○
○ 制作意図
上演機会の少ない作品に意欲的な手法で臨む小劇場オペラシリーズの16作目は、19世紀前半に活躍
したフランスの作曲家オベールの作品を取り上げる。イタリア南部の旅館を舞台に、盗賊団の首領フ
ラ・ディアヴォロと間抜けな手下たちがくり広げる喜劇である。1919年日本初演、浅草オペラが華や
かな頃の代表作品で田谷力三等人気テノール歌手が歌う「ディアヴォロの歌」が流行した。今回の「フ
ラ・ディアヴォロ」の舞台は昭和40年代の日本の温泉宿に設定し、上演する。
○ 外部専門家等の意見
小劇場におけるオペラ公演はいつも楽しみにしているが、期待はずれになることも少なくない。若
い演出家、指揮者を使えば良いというものでなく、大きな劇場では得られない新しい試みを見てみた
いというのが観客の気持ちであろう。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数91人。回答者の72.5%が概ね満足と答えた(66人)。
【入場者数の達成状況】実績58,420人/目標57,600人(達成度101.4%)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
17年度は目標入場者数を達成することができなかったが、18年度は、目標入場者数を達成することが
できた。
企画制作面においては、技術部と舞台マネージメントのチームワークが更に向上し、一つ一つの問題
解決を確実に行い、円滑な舞台作りを行うことができた。再演作品については、演出補が初演を上回る
演技指導を行い、極めて優れた作品に磨き上げた。急病等のキャスト変更についても、準備と臨機応変
な対応により、観客の期待を裏切らない体制を構築しつつある。財政面においても、公演水準の維持に
努めつつ、全体のプランを見直し、制作費の削減に努めた。
営業面においては、シーズンセット券のバリエーションやサービス内容を充実させ、売上全体の25%
72
以上を確保することができた。若年層向けには、アカデミックプランを実施し、将来の新国立劇場のコ
ア層の拡大に努めた。また、
「オペラトーク」や「オペラ・プロローグ」、ホワイエでの公演資料の展示、
シールラリー、ブッフェでの作品に因んだメニューの開発等、観客の作品への理解や興味の増進に繋が
るような取組みを行った。
【見直し又は改善を要する点】
ヨーロッパで活躍している演出家等を起用し、観客の世代層に捉われない幅広い作品作りを意識し、
水準の高い公演を目指したが、公演によっては、観客のニーズとのギャップにより、入場者数が振るわ
ないものもあった。また、「フィデリオ」や「運命の力」のように、知名度が低く、初演時からの上演
間隔が短い再演作品については、入場者数が伸び悩む結果になった。新シーズンの上演計画においては、
再演までの期間をある程度延ばす等の考慮をした。
【17年度評価への対応】
「レパートリーの定着のため、さらなる努力」「再演の時期及び出演者について一考を望みたい」「他
のオペラ公演との演目等の重複、演出のあり方など、今後配慮すべき問題点も残されている」という意
見については、レパートリー作品の再演について検討を行うとともに、他団体のオペラ公演における演
目との重複に配慮した計画となるように努め、次シーズンのラインアップについては、再演の時期につ
いて検討を行い決定した。また、スタッフ・キャストの選考については、国内外で実力のある実演家を
選考するとともに、観客からの要望も加味する等、常に上質な公演を提供し続けるように努めた。
73
2-(2)-②
バレエ
○制作方針
① バレエ・レパートリーの充実
多様化する観客のニーズに対応するレパートリーの充実に努めながら、海外の有数劇場と比肩する芸
術的水準での舞台制作を目指す。同時に、再演の要望の高いスタンダードな演目を多彩なキャストで上
演してバレエファン層の拡大を図る。
② 国内外の振付家による創作バレエの上演
質の高い創作バレエを企画、上演して、新国立劇場オリジナル作品のレパートリー化を図る。
○実績
(1) ローラン・プティのこうもり(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
5月19日(金)∼28日(日)
6回
6日
7,532人(70.1%)
7,500人(70.0%)
○ 会場
オペラ劇場
SS
S 9,240円、○
A 7,980円、○
B 6,930円、○
C 5,880円、○
D 4,830円、
○ 入場料 ○10,500円、○
E
F
Z
○ 3,780円、○ 3,150円、○ 1,500円
○ 制作意図
2002年に新国立劇場版オリジナル衣裳・装置で新制作されたローラン・プティの「こうもり」は、
同名オペレッタを自在に解釈して、壮大な舞台展開とパリ風エスプリのきいた洒落た演出により大成
功を収めた作品。この度は、現代バレエの傑作として要望が高い同バレエを再演する。ゲストにアレ
ッサンドラ・フェリを迎えるほか、新国立劇場バレエ団のソリストの活躍も期待する。
○ 外部専門家等の意見
3度目の上演であるが、プティの良く練られた振付は洗練され無駄がなく、かつ観客を楽しませる
点においても一級品で、何度見ても飽きない。また、空間構成、色彩、空間の陰影等、舞台美術等の
完成度の高さも、この演目の素晴らしさに寄与していると思われる。この演目は、観客にとって、音
楽が楽しく、踊りが格好良く、物語が分かりやすい、しかもサプライズもあり、古典とは違う新国立
劇場ならではの売り物になるであろう。今回もゲストダンサーの公演日から売れたようであるが、日
本人キャストでも観客は十分に楽しんでいた。是非、この作品の魅力と楽しさをPRして、国内だけで
はなく、東アジアのバレエファンを引きつけて欲しい。
ダンサーについては、主役の外国人ペアと日本人ペアに技術やスタイルの違いはあるが、それぞれ
に特徴があった。演技については、日本人の方が説得力があり、共感できる表現で親しみが持てた。
また、外国人ゲストと新国立劇場バレエ団とのバランスの良い仕上がりになっていた。これは、ゲス
トダンサーをある程度固定し、繰り返し招聘することで、ゲストダンサーと新国立劇場バレエ団の関
係が密接となったためであろう。準主役のウルリック役のボニーノの怪我のため、急遽代役として小
嶋と八幡が出演することとなったが、小島の演技は感動的なほど素晴らしかった。八幡は小嶋と比較
すると歴然たる差はあったものの、ひとつひとつを丁寧に踊る姿勢は、今後の努力により、さらに大
きな踊りのできる資質を感じさせた。コールドもタキシードを着た男性たちが、統一性ではすでに定
評のある女性たちとウィンナワルツを見事に踊り、この作品の魅力を高めていた。
オペラ「こうもり」とのチケットのセット販売は良いアイディアであった。何枚売れたかではなく、
新国立劇場ではオペラ公演だけではなく、劇場付きバレエ団が存在することを国民が普通に知ること
が大事ではないだろうか。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。回答数287人。
回答者の83.6%が概ね満足と答えた(240人)。
【特記事項】
ウルリック役は出演予定の吉本泰久、代役ルイジ・ボニーノが怪我のため降板し、小嶋直也と八幡顕
光が代わり出演することとなった。払い戻しは行わなかった。
バレエ「こうもり」との連携企画として上演した。オペラ「こうもり」のチケットと同時購入をする
と10%割引になる「こうもりプラン」を実施した(195件269枚)。また、オペラとバレエの「こうもり」
を比較した展示をオペラ劇場ホワイエで実施するとともに、シャンパンを多種販売した。
74
アカデミックプランを実施し、72人が来場した。
過去の記録映像をもとに、作品プロデューサーが解説を行う「予告編上映会」を実施した。
4月27日・28日19:00、中劇場ホワイエ、入場無料、入場者数64人
27日と28日の公演時に来場者向けサービスとして、オペラ劇場ホワイエにおいて「新国立劇場バレエ
団クイズ」を実施した。
(2) ジゼル(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
6月24日(土)∼7月2日(日)
5回
5日
6,299人(70.3%)
6,300人(70.0%)
○ 会場
オペラ劇場
SS 9,450円、○
S 8,400円、○
A 7,350円、○
B 6,300円、○
C 5,250円、○
D 4,200円、
○ 入場料 ○
E 3,570円、○
F 3,150円、○
Z 1,500円
○
○ 制作意図
2005/2006シーズンの最後の舞台として、世界中で愛されているロマンティックバレエの最高峰「ジ
ゼル」を上演する。第1幕の牧歌的な村の風景と第2幕の精霊の棲む幻想的な世界が対照的な舞台を
描き出し、死してもなお恋人への一途な愛を貫く主人公ジゼルの姿は、多くの人々の心を打つ。新国
立劇場では、3年ぶりの全幕上演である。
○ 外部専門家等の意見
東京ではこの期間「ジゼル」がかなり集中して上演されたが、新国立劇場の「ジゼル」は、質量的
に充実したコール・ド・バレエや音楽・美術を含めたプロダクションとしてのまとまりとレベルの高
さにおいて、バランスのとれた見応えのある舞台であった。特にバレエ研修所出身の若い2人のダン
サーがそれぞれ個性的なパフォーマンスを示し、将来への期待を大きくした。オスタが出演出来なく
なったことが、若手にとっては不幸中の幸いになったのではないか。第2幕のウィリたちの統一性は、
世界的にも最高レベルであることは間違いない。どんなに多くの台詞よりもはるかにこの悲しい物語
のドラマを伝え、力強く美しく幻想的な舞台空間を作り上げていた。
一方で、統一感があり安定した美しい舞台に仕上がっていたものの、それが感動に結びつかなかっ
た。それは、恐らく初演時にドゥジンスカヤから直伝されたロシア・スタイルが変化を遂げてきたの
であろう。ロシア特有のドラマティックな感情表現は影を潜め、だからといって新国立劇場バレエ団
ならではの表現法は確立されていない。「どう見せたい」というバレエ団の主張が見えてこない。開
場から10年、新国立劇場バレエ団は予想以上のスピードで発展し、ダンサーも充実し、オリジナリテ
ィも身につけた。だから初期の「ロシアのお手本」がそぐわなくなってきたように思う。今後の課題
として、斬新である必要はないが、新国立劇場ならではの素晴らしさを堪能できる新ヴァージョンを
求めたい。そして、山本隆之に続くダンスール・ノーブルの育成も課題である。
また、プログラムにおいて、そろそろ一般的な解説だけでなく、バレエ団に関する読み物があって
も良いのではないだろうか。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数195人。回答者の71.3%が概ね満足と答えた(139人)。
【特記事項】
アカデミックプランを実施し、77人の入場者を得た。
ジゼル役で出演予定だったレティシア・ピュジョル、代役クレールマリ・オスタともに出演できなく
なったため、6月30日は西山裕子、7月2日は本島美和にキャスト変更を行い、希望者には払い戻しを
行った。(払い戻し386枚)
(3) ライモンダ(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
10月5日(木)∼9日(月・祝)
5回
5日
6,065人(67.7%)
6,300人(70.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S 9,450円、○
A 7,350円、○
B 5,250円、○
C 4,200円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○
○ 制作意図
2004年10月に新制作した牧阿佐美改訂振付「ライモンダ」を上演する。中世十字軍時代の物語で、
75
プティパ最後の傑作といわれる同バレエは、世界的にみて全幕上演の成功例が少ない作品であるが、
新国立劇場版は、繊細優雅でスピード感のある振付演出、透明感あふれる美しい衣裳装置、舞台を際
立たせるクリアな照明によって高く評価され、その年の朝日舞台芸術賞を受賞している。今回は好評
に応えての再演で、新国立劇場ダンサーに加えて、初演に続きスヴェトラーナ・ザハロワが再登場する。
○ 外部専門家等の意見
前回に比べ、振付・演出と物語の流れが快く、完成度の高さを感じた。2日目は一部の踊りが削除
されたのか少し短く、全体に流れがスムーズになったように感じた。改めて舞台は生き物で、同演目
でも日々手を加え、より完成度の高い公演にするための演出をしていることを知った。
2年ぶりの舞台は、かなりレベルが上がり内容もより充実していた。初日に日本人コンビを起用し
たのには驚いたが、大変良いことで成功したといって良い。ソリストのレベルも高く、ヴァリエーシ
ョンはそれぞれ楽しめた。ただ、第3幕のグラン・パ・クラシックでの男性は、もう少し統一性とタ
イミングが必要である。時々、ポアントの音と跳躍の時床に着く音が気になった。「クール&エレガ
ンス」という点からも、音はできるだけしない方が良い。コール・ドはレベルを保っていた。「レベ
ルを保つ」ことは非常に厳しいことであり、高く評価したい。コールドを世界一に育て、ソリスト陣
を充実させたので、次は新国立劇場のプリマ誕生を期待したい。
「ライモンダ」そのものが馴染みの薄い作品であるためか空席が目立った。このような作品をより
多くの観客に伝えていく手段を考えることも、新国立劇場の役割ではないかと思う。その意味でも、
プログラムに解説を加えたのは良い試みだと思う。
非日常の時間・空間を楽しむ「劇場」の役割として、オープニングイベントはシーズンの始まりを
演出する素晴らしい洒落た企画であった。回を重ねれば自然に定着するだろうが、事前の観客への宣
伝や、ガラとして、客席も華やかにする工夫なども必要ではないか。レストラン等も含め、さらに工
夫を加え継続してほしい。
○ アンケート調査
入場時にステージノート挟み込み配布。
回答数247人。回答者の78.5%が概ね満足と答えた(194人)。
【特記事項】
平成18年度(第61回)文化庁芸術祭協賛公演
シリーズ協賛:花王株式会社
シーズンオープニングイベントとして、劇場入口に赤のパンチカーペットを敷設し、演劇研修生によ
る劇場入口での出迎えや、オペラ研修生によるウェルカムミニコンサートを開催した。
ホワイエにて、2006/2007シーズン契約ダンサーのプロフィール写真を展示した。特に主役について
は過去の舞台写真も掲示した。
セット券「フライデー」購入者に、抽選で、当該日に出演したダンサーのサイン入り写真のプレゼン
トを行った。
梅田芸術劇場メインホールにて、地方公演を実施した。(10月15日)
2008年2月、米国・ワシントンのケネディセンターの招待により、同演目を上演する予定。
アカデミックプランを実施し、62人の入場者を得た。
ライモンダ役で出演予定であったアナスタシア・チェルネンコ、ジャン・ド・ブルエンヌ役で出演予
定であったアンドレイ・ウヴァーロフ及びデニス・マトヴィエンコが出演できなくなったため、ライモ
ンダ役をダリア・パヴレンコに、ジャン・ド・ブルエンヌ役をダニラ・コルスンツェフにキャスト変更
を行い、希望者には払い戻しを行った。(払い戻し216枚)
(4) 白鳥の湖(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
11月12日(日)∼19日(日)
5回
5日
8,082人(90.2%)
6,300人(70.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S
A 8,400円、○
B 6,300円、○
C 4,200円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○10,500円、○
○ 制作意図
クラシックバレエの定番「白鳥の湖」は、チャイコフスキーの叙情的な音楽と物語が持つ清新な魅
力も手伝って、観たいバレエの筆頭にあげられている。世代を越えた多くの観客にアピールする同バ
レエを、新国立劇場では1998年5月にマリインスキー劇場から往年の名花ドゥジンスカヤ女史を招い
て新制作し、原振付の神髄を今に伝えるセルゲーエフ版で上演してきた。今回は牧阿佐美改訂振付・
76
演出で新制作する。セルゲーエフ版を基にしながら全編を通じた演出に工夫を凝らし、古典の品格を
損ねることなく、より現代的なスピード感と説得力のある物語性を付加し、高いテクニックと個性の
光るダンサーたちの競演で、新国立劇場オリジナルの「白鳥の湖」を目指す。
○ 外部専門家等の意見
古典作品でも「新国立劇場オリジナル」を作ることが望ましく、セルゲーエフ版がドラマツルギー
からみて欠点の多い物であったので、再演出・振付は大賛成で、牧阿佐美版に大いに期待していた。
今回はなんといっても、上演時間を短縮したところが特徴といえる。休憩を減らし上演時間を短縮し、
全体を通してスピーディな進行にしたことは、時代に即した改訂であった。4幕仕立て、プロローグ
の付加、第3幕の踊り、花嫁候補の扱いは納得できる。ただ、ドラマ自体をハッピーエンドにするの
はどうかという批判も出ると思われる。また、いくつか修正してほしい部分もある。装置・衣裳の色
彩とデザインは格調高く素晴らしい。オーソドックスな魅力=様式美はそのままに、新国立劇場=日
本を代表するバレエ団の個性を生かし新鮮さを感じさせた。
主役たちはそれぞれにその特色を発揮して踊った。新国立劇場のダンサーたちは、日本人が踊って
いることを忘れてしまうほどロシア、あるいはヨーロッパの香りが出ていた。ただ、寺島が32フェッ
テを充分に果たせなかったのは残念。ルースカヤはどのキャストも緩急のメリハリがあって良かった。
小さい白鳥は、統一性だけでなくその醸し出す雰囲気から、4幕を通して最大の見せ場になっていた。
研修生の小野・井倉がナポリを踊ったが、先輩たちに比し見劣りしなかったのは頼もしい。研修所の
修了生、研修生がしっかりと役を果たしているのは嬉しいことである。コール・ドは良く揃い、アー
ムスの動きが一層しなやかで、ダンサーのレベルの向上とともに指導の的確さが伺われた。第3幕の
フォーメーションは良い意味でメカニックになり、変化する構図の面白さが楽しめた。この中に研修
生が3人加わり踊っていたが、彼女たちにも団員にとっても刺激となり、良いことだと思った。
休憩を1回に集約したことは、公演全体の流れがスピーディになるとともに、ロビーが賑やかで活
気のある休憩時間になったように感じた。ロビーにおける次回公演のビデオ上映や中央に配置したボ
ックスオフィスなど積極的な情報発信は、観客の質を向上させ、さらなる観客動員へのアピールにな
る。公演の回を重ねるごとに、舞台制作や管理運営に関わるそれぞれの部門のエネルギーがお互いの
力を出し合って大きな流れを作り出し、劇場全体が動き始めたように思う。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数190人。回答者の75.8%が概ね満足と答えた(144人)。
【特記事項】
平成18年度(第61回)文化庁芸術祭主催公演
シリーズ協賛:花王株式会社
ホワイエにて、2006/2007シーズン契約ダンサーのプロフィール写真を展示した。
セット券「フライデー」購入者に、抽選で、当該日に出演したダンサーのサイン入り写真のプレゼン
トを行った。
アカデミックプランを実施し、36人の入場者を得た。
ジークフリート王子役で出演予定だったアンドレイ・ウヴァーロフが出演できなくなったため、デニ
ス・マトヴィエンコにキャスト変更を行い、希望者には払い戻しを行った。(払い戻し140枚)
(5) シンデレラ(全3幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
12月15日(金)∼24日(日)
7回
7日
11,274人(89.9%)
8,800人(70.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S 9,450円、○
A 7,350円、○
B 5,250円、○
C 4,200円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○
○ 制作意図
クリスマスシーズンに合わせレパートリー作品を上演する。世界中の人々に親しまれている名作童
話をプロコフィエフの流麗な音楽にのせて贈る、華やかでメルヘンチックな舞台。アシュトン版なら
ではの軽妙な振付によるユーモアたっぷりの登場人物、豪華絢爛、気品と華やかさ、ユーモアと演劇
性が絶妙にブレンドされたこの作品は1999年の初演から大変好評を得ており、今回も家族揃って過ご
すクリスマス行事として一層の定着を図りたい。英国ロイヤルバレエ団からのゲストダンサーも加え、
7回公演を行う。
○ 外部専門家等の意見
77
「シンデレラ」は年末に相応しい作品で、「くるみ割り人形」と隔年に上演するという方法は適切
である。
今回のシンデレラは、本家の英国ロイヤルバレエ団のそれに比し、さほど遜色は無くなった。新国
立劇場の舞台をフルに活かした演出は圧巻で、観客を中世ヨーロッパの物語の中に引き込んでしまう
ほどの力を感じる公演だった。今後は、ドラマの組み立てがしっかりとした感動的な新国立劇場版も
期待したい。
コジョカルは、スタイル、動きともに大袈裟でないが存在感と品格があり、舞台にも溶け込んでい
て、音楽性ともにパーフェクトに近い。他のダンサーたちに良い刺激と参考になったのではないか。
義理の姉妹はどのペアも達者な演技で楽しませてくれた。マイレン・トレウバエフはシャープで端正
なスタイルと動きで、新国立バレエ団の男性の中でも大きな進歩をみせている。コール・ドは前回よ
り抜群に良くなっており、衣装の美しさと相俟ってバレエ芸術の美しさを堪能させるに十分な踊りを
見せてくれた。星の精の群舞をあれだけメカニックに美しくチャーミングに踊りきるのは新国立劇場
バレエ団のほかにはないと思う。宮廷人の踊りも良好。舞台上には、研修所修了生のソロや、現役の
研修生の姿も見ることができ、新国立劇場バレエ団の力と役割を遺憾なく発揮した公演内容だった。
開場10年目、劇場は親しまれるとても温かい雰囲気になってきた。劇場周りのイルミネーション、
ロビーのツリー、バルコニーのキャンドルなど、劇場自体の「演出」が前向きにされていると思った。
職員の笑顔も嬉しい。当日の配役コピーが無料配布されていたのも優しい心遣い。飲食コーナーの充
実等、観劇に加え、休憩時間を楽しむアイテムが増えてきた。ホワイエの丸テーブルや長椅子等の設
置は、休憩時間を楽しむ観客にとって、また近年、中高年層の観客の増加する中、素早い積極的な対
応だと感心した。
○ アンケート調査
入場時にステージノート挟み込み配布。
回答数242人。回答者の86.4%が概ね満足と答えた(209人)。
【特記事項】
開演前に新国立劇場スタッフによるストーリーやステージに関するミニ・レクチャー「バレエ・ライ
ブ」を実施した。(12月16日(土)14:00、19日(火)13:00)
12月24日には、来場者に対するクリスマスプレゼントとして、協賛企業製品をプレゼントした。
シリーズ協賛:花王株式会社
アカデミックプランを実施し、103人の入場者を得た。
新潟県民会館大ホールにて、地方公演を実施した。(1月7日)
新潟公演並びに今後のツアー公演に備え、音源録音を行った(12月18日)
オペラ劇場ホワイエにおいて、次回公演「眠れる森の美女」の資料展示や前売り券の販売を行った。
セット券「フライデー」購入者に、抽選で、当該日に出演したダンサーのサイン入り写真のプレゼン
トを行った。
(6) 眠れる森の美女(全3幕・プロローグ・アポテオーズ付き)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
2月1日(木)∼4日(日)
4回
4日
6,238人(87.0%)
5,000人(70.0%)
○ 会場
オペラ劇場
S 9,450円、○
A 7,350円、○
B 5,250円、○
C 4,200円、○
D 3,150円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○
○ 制作意図
「眠れる森の美女」は、シャルル・ペローの有名な童話をもとに創られたファンタジックなバレエ
である。新国立劇場の舞台は、97年にオープニングを飾った大変格調の高いマリインスキー劇場版で、
再演のたびに舞台の精度が高まり 観客の声リサーチ でも上演要望が高い。このグランドバレエは
華やかな数々の踊りにあふれているため、新国立劇場バレエ団の活力やダンサーの個性を発揮するた
めにうってつけの舞台でもある。
○ 外部専門家等の意見
セルゲーエフ版の「眠れる森の美女」は、いささか長いことを別にすると、しっかり古典的に組み
立てられており、大きな疑問点もなく見応えのあるバージョンである。新国立劇場のもつ特徴が十分
発揮される大きな売り物となっている作品である。率直に言って、「眠れる森の美女」は、古典の名
作バレエのなかで、最も日本人にとって「似合わない」作品かもしれない。それは舞台がヨーロッパ
ということだけではない。「白鳥の湖」や「ジゼル」なら、日本人ならではの繊細な表現や叙情で見
78
せることもできるし、「くるみ割り人形」なら、日本人の感性を加味したファンタジーとして仕上げ
ることもできる。しかし、「眠れる森の美女」はその余地はない。中でも新国立劇場バレエがレパー
トリーとしているセルゲイエフ版は、全編オーソドックスな演出のため、日本風のアレンジは不可能
だ。10年目の「眠れる森の美女」は、新国立劇場の実力アップをそのまま示す公演となった。個々の
ダンサーのテクニックが強固になったことはもちろん、衣裳やかつらが、とても似合うようになって
きた。それは体型云々のことではなく、バレエダンサーとして洗練されてきたということだ。日本人
にとって「似合わない」作品を、正攻法で上演し、ここまで華やかに上品にみせることができるバレ
エ団は、新国立劇場バレエ団だけだと思う。その仕上がりは海外の大バレエ団と比較しても遜色なく、
開場以来10年間がいかに充実していたかを物語る公演だった。
今回もプロローグから、たとえばリラの妖精たち(群舞)をみても、スタイルや動きの統一性など、
バレエ団の層の厚さは他に類をみない。そのなかでも女性の多彩さは特筆すべき。将来のエトワール
クラスが続々登場して、ますます見所が増えた。プロローグの妖精に寺田亜沙子が、女官に堀口純が
出て、研修所2期出身者がデビューしてきたことはまことに嬉しい。男性も量的には増えてきたが、
将来の主役というとやや層が薄い。また、主役に今回のように新しい顔を起用するのは大変良いこと
だが、ここにとどまらずにいかに将来につないでいくかが重要だと思う。
○ アンケート調査
入場時にステージノート挟み込み配布。
回答数194人。回答者の72.7%が概ね満足と答えた(141人)。
【特記事項】
ホワイエにて、新シーズンのラインアップ紹介、
『オルフェオとエウリディーチェ』の衣裳画、
『椿姫』
の舞台装置の絵を展示した。
オペラ劇場ホワイエにおいて、オペラ・バレエ公演前売券の販売を行った。
セット券「フライデー」購入者に、抽選で、当該日に出演したダンサーのサイン入り写真のプレゼン
トを行った。
オペラ劇場プロムナードに設置した65インチプラズマディスプレイにおいて、新シーズンのプロモー
ションを行った。
(7) オルフェオとエウリディーチェ(全2幕)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
3月21日(水)∼25日(日)
4回
4日
3,113人(85.0%)
2,500人(70.0%)
○ 会場
中劇場
S 7,350円、○
A 4,200円、○
B 3,130円、○
Z 1,500円
○ 入場料 ○
○ 制作意図
2004/2005シーズンに始まった『エメラルド・プロジェクト』は、劇場が日本を含む世界の振付家
にストーリーのある創作バレエを提案、新国立劇場オリジナルのレパートリー化を計るもの。登場す
る振付家に 多くの観客を引きつけるバレエをいかに創り出すか を問いながら、リスクを恐れず、
よい意味で思い切ったことができる場として中劇場での新制作を提示している。今回は、ダンサーと
しての輝かしいキャリアに加えて、現在は自らバレエ団を結成し、オリジナル作品の振付において才
能を発揮し、欧米でも作品を委嘱される等、注目されているアメリカ人振付家ドミニク・ウォルシュ
を起用して、グルック作曲のオペラ作品「オルフェオとエウリディーチェ」に挑む。
○ 外部専門家等の意見
ドミニク・ウォルシュを起用した新国立としての「冒険」は、成功だったといえるだろう。まず評
価したいのは、
「エメラルド・プロジェクト」自体に対してだ。ダンサーにとっても観客にとっても、
世界初演の現場に立ち会える大きな「冒険」。「発信」の意義も、「発見」の意味も大きい。今回、起
用したドミニク・ウォルシュは、まだ振付家としての評価が定まりきってない若手。まず、その起用
が成功した。おそらくダンサーと年齢差も少ない彼は、ダンサーの「やる気」を引きだしたのだろう。
舞台には、「新しいものを作り上げる」という熱気が渦巻いていた。
この公演については、作品そのものの価値と、出演者の出来栄えの両方を考える必要がある。結論
を先に言うと、物語性のある、古典とは違う現代的な感覚をもつ、しかも親しみのもてる見応えある
作品となっていた。基本的にはとくに第2幕が素晴らしく、第1幕はそれに比しやや不明瞭な点がみ
られた。第2幕の魂の住む場での2人の出会い、そしてとくに迷路の道行きは、上からの撮影、投射
を含めてきわめてクリエイティブであり、刺激的であった。最初と最後のシーン以外はすべてオルフ
79
ェオの見た夢と解釈した。最後にバス・ルームから「え」と顔をのぞかせたエウリディーチェを見て、
ほっとした。これはどうも夢に違いない、夢でありますようにと思いながらまだ夢の中にいることも
あり、醒めてまさしく夢だったのを認識して、良かった良かったとほっとすることがあるので、この
ウォルシュの作品には共感できる。ただ、所々の演出は面白いものが有るのに、二幕を見終わって心
に訴えかけるものが足りない感じもあった。元々グルックの曲は平坦に流れ、波打つような演出は難
しいのは分かっているが、ストーリーを展開していく上での振付のボキャブラリーの少なさが、曲に
起伏をもたらすことへまで行かなかったことが、物足りなさを感じてしまう原因ではなかったかと思
う。出演者たちの好演は特筆できる。初日の酒井はな、山本隆之、そしてアムールの湯川麻美子のト
リオは秀逸であった。第2幕1場の「エリュシオンの園」の場における男女のダンサーの群舞は、ま
さに空中をさまよう精霊のようにスモークのなかで見え隠れし、人間の体の動きが地球の引力から開
放され遊泳しているかのごとく幻想的で優麗に表現された見事な振付であり、その振付に応え踊り演
じたダンサーの踊りに改めて新国立劇場バレエ団のレベルの高さを感じ取った。
このタイプの公演は、特に日本人の好みに合うし、世界的にも十分通用すると思う。ウォルシュ自
身はとくに日本を意識したものではないと語っているが、いい意味できわめて日本的で、日本人、日
本のバレエ団に向いており、それはつまり世界に通用するものであると言える。これからもぜひこの
再演を含めて世界に通用する創作作品に力を入れて欲しい。創作はすべてがこのように成功するとは
いかないかもしれないが、古典の自家版、現代の著名作品、そして独自の創作をレパートリーとする
のが、世界の国立劇場の条件であろう。今後このような作品が新国立劇場発の作品として、国内だけ
ではなく海外でも発表できるシステムの確立を望む。
○ アンケート調査
入場時にステージノート挟み込み配布。
回答数191人。回答者の76.4%が概ね満足と答えた(146人)。
【特記事項】
ホワイエにて、『オルフェオとエウリディーチェ』『コッペリア』『Life Casting』に関する写真を展
示した。
セット券「フライデー」購入者に、抽選で、当該日に出演したダンサーのサイン入り写真のプレゼン
トを行った。
【入場者数の達成状況】実績48,603人/目標42,700人(達成度113.8%)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
企画制作面では、牧阿佐美芸術監督の指揮・監督のもと、古典バレエから現代舞踊家の作品まで多岐
に富んだ舞台を上演した。牧阿佐美改訂振付・演出により、新制作されたバレエ「白鳥の湖」は、「現
代的スピード感」溢れる演出と一新された舞台装置・衣裳が高い評価を得た。また、新進のアメリカ人
振付家に創作バレエを委嘱したエメラルド・プロジェクト「オルフェオとエウリディーチェ」は、オペ
ラとバレエのコラボレーションを目指す意欲的な舞台となった。レパートリー作品の再演においても、
「ライモンダ」の演出面の見直しを行うとともに、「シンデレラ」では監修者を招聘しての指導を行い
更に完成度を高めた。新国立劇場バレエ団は、ソリスト、コール・ド・バレエともに、一層の充実を示
した。バレエ研修所出身者の活躍も続いた。18年度バレエ公演全体としては、有料入場者が48,603人(有
料入場率79.7%)となり、目標入場者数42,700人(目標入場率70.0%)を上回った。
新国立劇場における本公演に連動する形で、全国公演も実施した。バレエでは、「ライモンダ」を梅
田芸術劇場(大阪)で、「シンデレラ」を新潟県民会館で、いずれも管弦楽の録音音源を用いて上演し
たが、どの公演も各地の期待に応え成果を挙げた。厳しい財政状況の中、バレエ公演も制作費の節約を
図るため、演出面の見直しや効率的な舞台製作方法の追求などの予算のスリム化を徹底した。
営業面においては、シーズンセット券に日本人ダンサーが主役の日の公演から好みの5公演以上を組
み合わせる「マイ・ダンサー」セットを新たに設け、バリエーションやサービス内容を充実させた。若
年層向けには、アカデミックプランを実施し、将来の新国立劇場のコア層の拡大に努めた。また、「バ
レエ入門講座」、ホワイエでの公演資料の展示、バレエ団クイズ等、観客の作品への理解や興味の増進
に繋がるような取組みを行った。
【見直し又は改善を要する点】
作品に一層重みを出していくために、今後は、良質の男性ダンサーをより多く確保することが課題で
ある。
80
18年度の前半のバレエ公演では、怪我等の理由による出演者の交代が続いたが、迅速・適切に代役を
立てることができた。今後も不測の事態に対応できる制作体制を維持していくことが求められる。
【17年度評価への対応】
「新制作をもう少し増やすこと」「平成15年度の「スペインの燦き」のような試みも期待」という意
見については、古典バレエ等のレパートリーの定着を図るとともに、創造的な新制作作品についても意
欲的に取り組んだ。18年度は、新制作「白鳥の湖」、「オルフェオとエウリディーチェ」を上演した。19
年度は、「ローラン・プティのコッペリア」と「椿姫」を新制作として上演する。
81
2-(2)-③
現代舞踊
○制作方針
現代舞踊プロデュース公演の更なる充実
特徴あるスタイルを持つ振付家による新国立劇場ならではの斬新な企画で、ダンスが持つ自由な発想や
身体表現の可能性を追求して、現代舞踊の裾野を広げる。
○実績
(1) ダンスプラネットNo.20「きらめく背骨」
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
6月16日(金)∼18日(日)
3回
3日
830人(79.5%)
700人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
実力あるアーティストに依頼してプロデュース公演を続けている現代舞踊部門に、ジャズダンスか
らコンテンポラリーダンスまで幅広い表現でミュージカルや演劇も手がけている前田清実を初起用す
る。東京タワーに自身の舞踊姿勢を見出す振付家の発想豊かな舞台を期待する。
○ 外部専門家等の意見
冒頭のエアリアルは非常に楽しめ、ダンスにおけるエアリアルの可能性も感じることができた。ダ
ンサーも各パートが気を入れて努めていたようで大変好感が持て、爽快感が心に残る作品であった。
能美・三枝の二人の男性ダンサーの無駄のないエネルギッシュな踊りは、これこそがコンテンポラリ
ーダンスと思わせる美しさで印象深く心に残るシーンを見せてくれた。演劇的ともいえるダンスパフ
ォーマンス、金子飛鳥のヴァイオリンとの共演も成功し、完成度の高い破綻のない公演だった。巨大
な東京タワーが鎮座したアリーナステージで、ダンサーの動きは限定され、見下ろすように観ている
観客にとって舞台上の踊りは少し窮屈に感じた。空間演出にもう一工夫あっても良かったのではない
か。群舞に関しては物足りなさを感じた。全体のモティーフは別として、個々の出演者の役割・記号
性についての作者の意図は明確には見えなかった。
今回の公演は、宣材がわかりやすく、プログラムに書かれた作者のメッセージも非常に明確で共感
を覚えた。『難解』よりはこのくらいの親切心があっても良い。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。回答数15人。
回答者の26.7%が概ね満足と答えた(4人)。
(2) ダンスプラネットNo.21「DANCE EXHIBITION 2006」
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
9月15日(金)∼19日(火)
4回
4日
1,063人(78.2%)
1,000人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
個性溢れる現代舞踊振付家及びダンサーによる幅広いダンススタイルを披露する。新国立劇場で初
演され、好評だった作品の再演を含むAプロ・Bプロ2つのプログラムで変化を持たせ、現代舞踊に
親しんでもらえる公演で、2006/2007シーズンを開幕する。
○ 外部専門家等の意見
Aプロ・Bプロとも、様々なスタイルで活動しているダンサーが一堂に会し、華やかで極めてバラ
エティに富んだ魅力的な作品で、タイトルに相応しいプログラムだった。若い人々も多く来場してお
り、観客の多様性は喜ばしいことである。中でも特に川野眞子と平山素子の作品の踊りは、人間の五
感に語りかけてくる明確なテーマを持ち、それぞれの表現手法で美しく、楽しく、時には激しくコン
テンポラリーダンスの意味を観る者に伝えてくれた。川野の作品は、モダンダンスの中では貴重なス
トーリー性のある作品であり、作品の完成度は非常に高く上演価値は大きかった。平山の作品は、エ
ネルギッシュで刺激的な男女のデュオの秀作であり、ダンサーの中川が昨年より飛躍的にダンサーと
82
して成長していて見応えもアップし、全てのフレーズに感銘を受けつつ観ることができ、また観たい
と思わせる作品であった。初演、再演の機会を彼らに与えた新国立劇場の果たした役割は大きい。
「新国立劇場の現代舞踊」としてみた場合どのようなアイデンティティ、基本方針があるのかとい
う疑問もなくはない。日本のモダンダンスを創造する姿勢、そのための振付者、ダンサーの育成も必
要ではないだろうか。長期的な方向についての検討も必要だと思う。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数64人。回答者の71.9%が概ね満足と答えた(46人)。
【特記事項】
平成18年度文化庁舞台芸術国際フェスティバル主催公演として実施した。
富山オーバード・ホールにて、本公演で上演した演目から数演目を抜粋した地方公演を実施した。
(11月18日)
(3) ダンステアトロンNo.14「ガラスノ牙」(Glass Tooth)
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
12月15日(金)∼17日(日)
3回
3日
2,071人(75.4%)
1,900人(70.0%)
○ 会場
中劇場
S
A
B
Z
○ 入場料 ○6,300円、○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
徹底した美意識と比類ないダンスが、国際的に絶大な評価と支持を受ける勅使川原三郎の新作を世
界初演する。 振付家に1年おきに2作品を委嘱して創造の軌跡を追う企画 として、2005年の「KAZ
AHANA」に続く第2弾。舞台美術を含むトータルな舞踊世界を表出すべく制作する。
○ 外部専門家等の意見
新国立劇場主催のコンテンポラリーダンス公演は、ある意味やはり「国の顔」であるべきだ。今回
はそういう意味では「新国立劇場主催」に相応しい公演だった。勅使川原三郎というダンサーが、既
に「国の顔」になり得るキャリアを持っていて、安心して見ることができた。
舞台美術、設定にも様々のアイディアを凝らす勅使川原の今回の素材はガラス。もう一つの要点は、
彼と佐東が口に咥え顔につけた2本のマイクによる意識、無意識の深い心の呻きと、ガラスがこすれ
合い砕ける無機的な音の対照的な効果である。美術、照明、音響効果は素晴らしかった。
不思議な時間と空間を体感し、新たな思考を誘発する時間を感じる素晴らしい舞台だったが、安心
からかけ離れたショック(=感動)も同時に期待していたのだが、そこには至らなかった。第1部の
ソロ、第2部のデュオなど面白い部分はあったのだが、冗長に思える箇所もあった。上演時間を短く
して密度の濃い作品に仕上げても良かったのではないかと思う。勅使川原の踊りの動きには変化も多
く、しかも細かい動きの踊りを汗をかいて真剣にやっていることで感心するが、いま一つ感激するま
でには至らなかった。
舞台と観客席とそのヴォリュームの関係、場所という空間の意味を知り、その場の意味を演出でき
る人が構築した舞台空間を体感できた公演で、中劇場を満席にするには至っていなかったことは残念
であり、対策を練るべきだろう。
プログラムにもう少し情報を入れて欲しい。今回のプログラムに載った文章は、ダンスの助けにな
っていたかというと疑問が残る。この国で市民権を得るためには、当たり前と思えることでも、丁寧
に情報発信をしていくことも活動の一つと考える。
現代芸術は、ある程度評価の定まっているものは別として、観客や評価の面でのリスクは大きい。
しかし、新国立劇場として創造という視点を欠かしてはならない。実績のあるものを登場させること
も必至だが、埋もれた才能を発掘することや育てていくこともさらに重要である。言い換えれば、新
国立劇場のコンテンポラリーダンスの確立を目指して、長期的な視点で手を打っていくことが望まれ
る。その過程として「主体的」に勅使川原三郎、平山素子を選び、それを触媒として新国立スタイル
を追求するのは一つの有効な方法である。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数94人。回答者の77.7%が概ね満足と答えた(73人)。
【特記事項】
「ガラスノ牙」で勅使川原三郎は平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。
83
NHKの収録があった。(12/17収録、3/11NHK教育テレビ「芸術劇場」にて放送)
アカデミックプランを実施し、18人の入場者を得た。
(4) ダンステアトロンNo.15「如風∼inside of the wind∼」
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
2月10 日(土)∼11日(日)
2回
2日
1,474人(80.5%)
1,300人(70.0%)
○ 会場
中劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
「伝統と前衛」をテーマに、人間の根源や自然とのかかわりを「舞う」ことからその発展である前
衛コンテンポラリーダンスまで一堂に披露する中で、人間の過去、現在、未来を浮かび上がらせよう
とする新企画。能楽囃子大倉流大鼓の大倉正之助が構成・演出、音楽はネイティブ・アメリカンのロバ
ート・ミラバルと大倉正之助、振付は野坂公夫、武元賀寿子、内田香が担当して創造性あふれる舞台
を目指す。
○ 外部専門家等の意見
休憩なしで90分に及ぶ力作であり、振り返れば長丁場であったのだが、製作者・振付者・出演者全
員のエネルギーの結集に圧倒され、それほどの時間とは感じなかった。このスケールの作品を高い水
準で上演できるのは、新国立劇場だけだと思うので、この試みは有意義だったと思う。大鼓など、日
本の伝統音楽は、一般人には触れる機会も少ないので、こういう場でのコラボレートは意義深い。
中劇場を十分に使いきった空間は大変な広がりを持ち、特に照明や美術の力もあって舞台奥は永久
に続いているかのような深みを感じさせる。そこで繰り広げられるパフォーマンスも遠近感に富み、
大宇宙の自然のなかの人間の営みを描くにふさわしい。踊りの面でも、中心的なダンサーは個性的で、
空間に負けないインパクトの強さを持っていた。大倉正之助とロバート・ミラバルの音楽はこの作品
のために作られたものであり、踊りとはよく合っている。
しかし、大倉があまり存在感を発揮できなかったし、特にロバート・ミラバルの役割は一体何だっ
たのだろうか疑問が残る。意外性は面白かったが、それによって削がれたもの(緊張感等)もあった。
伝統に対する前衛のシンボルでも、もちろん東洋のなかの西洋でもない。彼のアーティストとしての
大きさは分かるが、吹く笛も、第2景のさまざまな衣装のダンサーたちとのからみも、その意味を理
解することができなかった。振付者として3人の名前が挙がっていたが、どの箇所をとは書いていな
いが、一章ずつということだろうか。それぞれに個性も見え、面白い箇所もあったが、全体を改めて
考えると、まとまり的には今ひとつか。ダンサーとしては、新上裕也、内田香らが光っていた。粒の
そろったダンサーを集めることができるのは、新国立劇場だけなのだから、骨太の「現代舞踊公演」
を期待したい。
また、舞台と観客という「間合い」を埋める、きめ細かな情報もサービスの一つではないかと思う。
そのために有料にしてでも内容の充実したパンフレットを配布し、さらにコンテンポラリーダンスを
もっと理解する場を作るべきではないか。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数36人。回答者の72.7%が概ね満足と答えた(26人)。
【入場者数の達成状況】実績5,438人/目標4,900人(達成度111.0%)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
企画制作面においては、現代舞踊では、従来のコンテンポラリーダンスの枠を越えた異ジャンル(現
代音楽、伝統芸能、パフォーマンス等)とのコラボレーション、海外からの特色あるアーティストの招
聘、国際的に活躍する日本人振付家による世界初演作品のプロデュース、過去の作品の再演による一層
の練り上げなど、新国立劇場ならではの意欲的な取り組みが多面的に展開され、総じて高評価を得た。
また、新国立劇場における本公演に連動する形で、「DANCE EXHIBITON 2006」を富山オーバードホール
で本公演のプログラムを再構成し、観客の期待に応えた上演を行い成果を挙げた。
収支についても4演目全てについて計画より改善が図られた。
【見直し又は改善を要する点】
84
広報面の改善や公演内容の理解促進を図る努力を行い、現代舞踊公演の観客層を拡大する必要がある。
【17年度評価への対応】
「時代の進展を反映して行うこと」という意見については、国内外の現代舞踊の現状を把握し、新国
立劇場でなければできない公演を行った。今後も、その方針を維持しつつ、更に時代の進展を色濃く反
映した公演を行うよう努める。
85
2-(2)-④
演劇
○制作方針
① 新作の上演
現代舞台芸術とは常に時代と向き合うという視点から、独自な新作上演を積極的に企画発信していく。
② 海外の才能との積極的な交流
広く才能ある内外の演劇人や集団との共同作業により、現代演劇として意義ある優れた作品を企画・
上演していく。
③ シリーズ「われわれは、どこへいくのか。」の上演
「未来と記憶」をテーマに激動する時代の中で、「われわれはどこへいくのか」というタイトルで、
われわれが未来へと継承すべきものを4つの新しい物語を通じて提示していく。
④ 全国公演の積極的な展開
○実績
(1) カエル
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
4月1日(土)∼13日(木)
12回
12日
1,727人(42.3%)
2,700人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
2004年4月に世界初演を行ったアリエル・ドーフマン作「THE OTHER SIDE/線の向こう側」に続く、
海外劇作家との共同作業である。シリーズ「われわれは、どこへいくのか」の第1弾として、1999
年7月に新国立劇場で上演した「棋人」の作者で、現代の中国演劇界を代表する過士行と組み、ア
ジアの視点から世界の未来を問う。中国の現代劇作家の作品を紹介する機会は、欧米の作品ほどに
は恵まれてはいないが、今回の企画を通して、アジアの作品への理解がより深まることを期待する。
○ 外部専門家等の意見
本シーズンの企画は、作家達に、現在という「時代」の方向性をどう捉えるのかという根本的な
問題への直面を求めるものであり、力量のある作家にとっても容易な仕事であるとは思われない。
しかし、観客にとっては大変興味深い試みであり、しかも中国国家話劇院の脚本家が加わったこと
で企画の視界と興味が大きく拡がり、まさに新国立劇場に期待される試みだと思われる。これは新
国立劇場が他劇場と差別化を図るひとつの根拠になるだろう。今後もこのような企画を期待したい。
4人の出演者は非写実劇を無理なく生き生きと公演していた。「われわれは、どこへいくのか」と
素朴に交わしたテーマに応える意味で「カエル」は幾多の示唆を与えてくれた。この舞台の散髪屋
をめぐる人間のモノガタリがとてもリアルであり、4人の出演者は非写実劇を無理なく生き生きと
演じており、人間の存在が際だっていた。現代文明批判など多義的な内容を含み意欲的であること
は伝わってくるが、芝居の芯がない。演出も戸惑ったまま、消化不良のままで終わってしまい、作
家の不条理でナンセンスな世界を生かしきれていない。役者も手探りのまま演技しているとしか思
えなかった。意欲的な試みは評価できても、残念ながら作品の出来は評価できない。
○ アンケート調査
劇場受付ロビー常置、出口回収又は郵送回収。回答数68人。
回答者の55.9%が概ね満足と答えた(38人)。
【特記事項】
シアター・トークを実施した。
4月5日(水)公演終了後、小劇場、入場者150人
登壇者:千葉哲也、有薗芳記、宮本裕子、今井朋彦(出演者)、堀尾正明(司会)
(2) マテリアル・ママ
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
4月19日(水)∼5月4日(木)
20回
○ 会場
小劇場
日数
14日
入場者数
3,054人(86.5%)
86
目 標
2,100人(70.0%)
Z
○ 入場料 5,250円、○1,500円
○ 制作意図
シリーズ「われわれは、どこへいくのか」第2弾として、劇作家・演出家・俳優として多彩に活
躍する岩松了の4年ぶりの新作を上演する。
物質文明が猛スピードで進み便利なモノが生活の中に溢れていく一方で、家族という確固とした
単位が崩壊し、人間関係が希薄になっている現在。血のつながりのない赤の他人同士が、ひとつの
地域社会で新しい人間関係を築き生きていく様子を、岩松了が独自の世界の中に描いていく。
○ 外部専門家等の意見
どの面から観ても、シーズンテーマの期待を満たすものではなかった。倉野の安定した演技が辛
うじてばらばらになる舞台をつなぎ止めていたが、それと作家・演出の意図する存在の不連続性と
の間に落差が開き、またイクオとトキエの演技には不連続性の中の連続性が見えてこなかった。家
の中で車の世話をする女というのが物質文明の中に生きる人間存在を象徴していても、ドラマにな
っていないので、それが観念と作者のアイデアで終わってしまっている印象を持った。作家の意図、
何をしたかったのか、作品としての面白さが一向に伝わってこない作品だった。イクオとトキエの
からみに、日頃観ている舞台役者の演技力等というものとは異質の、「マテリアル・ママ」に生きる
存在を認識した。観客との関係においても経験したことのない距離があり、その風景そのものがこ
の舞台の意味するところではないかと思った。満たされることのない空虚な時間を過ごしたことは
確かだが、これも演劇かと思った。
○ アンケート調査
劇場ロビー常置、出口回収又は郵送回収。回答数137人。
回答者の61.3%が概ね満足と答えた(84人)。
【特記事項】
好評につき、4月29日(土)と5月3日(水)に追加公演を2回実施した(両日とも18:00開演)。
(3) Into the woods
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
5月19日(金)∼6月6日(火)
20回
17日
16,722人(83.4%) 14,000人(70.0%)
○ 会場
中劇場
S
A
B
Z
○ 入場料 ○6,300円、○4,200円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
2005年読売演劇大賞優秀作品賞を受賞し、「月刊ミュージカル」誌において、2004年ミュージカル
・ベストテン第1位に選ばれる等、作品の評価も高く、再演を望む声も多かったブロードウェイ・ミ
ュージカル「Into the Woods」を再演する。高度なソンドハイムの音楽を十分に表現できる初演の
キャストがほぼ揃い、さらに実力を備えた新しいキャストを加え、大人も子どもも楽しく感動でき
る作品を、より豊かで深くグレードアップして上演する。
○ 外部専門家等の意見
新国立劇場の演劇部門が、ミュージカルを演目として取り上げることは、新国立劇場の分野を偏狭な
ものにしないという意味でも、もはやストレート・プレイだけには安住できない現代演劇の行き先を探
るうえでも、大いに意味のあることだと思われる。ソンドハイムの音楽が出演者たちの体に一層しみ込
み、その分だけミュージカルとしての幅が拡がり、再演ならではの実りがあったことは事実であるが、
依然として「ミュージカル」を全体の路線の中でどう位置づけるかが課題であろう。
小堺・高畑の歌唱力の進歩は目を見張るものがあった。ごく一部の出演者を除いては歌の魅力が感じ
られなかった。無難ではあっても聴衆を酔わせる力がない。特に今回は前半で歌の固さが目立った。
待望の再演ではあったが、何か足りなかった原因は「観客」かもしれない。もし老若男女様々の
観客が新国立劇場に集まりこの舞台に集中したら全然違う舞台になったであろう。
○ アンケート調査
劇場ロビー常置、出口回収又は郵送回収。回答数561人。
回答者の76.5%が概ね満足と答えた(429人)。
【特記事項】
兵庫県立芸術文化センター大ホールにて、地方公演を実施した。(7月1、2日)
シアター・トークを実施した。
5月25日(木)公演終了後、中劇場、入場無料、入場者300人
87
登壇者:宮本亜門(演出・振付)、山下康介(音楽監督)、堀尾正明(司会)、ほか
過去の記録映像をもとに、作品プロデューサーが解説を行う「予告編上映会」を実施した。
4月27日・28日19:00、中劇場ホワイエ、入場無料、入場者数64人
赤ずきんちゃん役のオーディションを実施した(2005年7月)。
アカデミックプランを実施し、283人が来場した。
キリンビール株式会社の協賛を得た。また、同社によるチケットプレゼントを行った。
千葉駅ビル「ペリエ会員」向けのチケットプレゼントキャンペーンに取り上げられた。
(4) やわらかい服を着て
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
5月22日(月)∼6月11日(日)
20回
19日
6,179人(87.7%)
4,500人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
無気力・無責任・無感動、日本の若者を批判する言葉はすっかり定着し、いつしか若者は駄目な
存在の代名詞になった感の現代。しかし、果たしてそうなのか。ここでは、現代日本の、そして世
界の未来を担おうとする若者たちの風景が展開される。戦争と平和、人権、開発、環境問題など、
地球規模の難題に取り組むNGOの若者たち。決して己一人の幸福に安住することなく、他者との共生
を求めて活動する日本の若者たちは、どんな日々を送っているのか。高い理想を掲げながら、瑣末
な人間関係に苦しむこともある。恋愛、アルバイト、周囲の無理解など、青春特有の悩みや珍事件
も多い。そんな若者たちのハードな日々を永井愛が丁寧に描く青春群像劇、永井版「われわれは、
どこへいくのか」を上演する。
○ 外部専門家等の意見
「未来」への出発点として「現在」の在り方を問いかける本企画は、優れて演劇的なテーマ設定
だ。そのテーマに真正面から応えて、イラク戦争という至近の時期を扱い、様々の立場の青年男女
の群像を巧みに描く。その人物間の対立と葛藤、そこに生じる「討論」を描いた点、社会的な問題
を巡る「討論劇」の系譜に連なり、本作品は日本近代劇のよき伝統を忠実に受け継いでいた。
反面そうした方法ゆえの限界が見られたことも事実である。戦争に異を唱えるNGOの若者たちの活
動と個人的な恋愛感情のねじれが絡み合い、面白い作品であり、非戦に対する作者の願いや祈りに
好感は持てたが、前半が説明的で、全体に甘い気がした。つまりみんないい人で物足りなく、もっ
と辛口の永井作品を期待していたので少々物足りなかった。NGOの活動が、我々の身近にないことも
影響しているのかもしれない。
いずれにせよ、イラク戦争についての政府の政策を根本的に批判する本作品が、新国立劇場で問
題なく上演されたことは、もとより当然のこととはいえ、新国立劇場の独立性、さらには日本の民
主主義の成熟度をも示す事実として、高く評価されてしかるべきだろう。
○ アンケート調査
劇場ロビー常置、出口回収又は郵送回収。回答数242人。
回答者の74.4%が概ね満足と答えた(180人)。
【特記事項】
シアター・トークを実施した。
5月31日(水)公演終了後、小劇場、入場無料、入場者数290人
登壇者:永井愛(作・演出)、吉田栄作、小島聖(出演)、堀尾正明(司会)
小劇場ホワイエにおいて、本公演にご協力いただいたNGO団体の活動を紹介する展示を行った。
(5) 夢の痂
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
6月28日(水)∼7月23日(日)
25回
21日
7,046人(89.1%)
5,500人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
2001年、シリーズ企画「時代と記憶」の1作として、東京裁判を紙芝居屋の目から見るという発
88
想から、音楽入りの叙情詩劇にするという表現を得て誕生した第1部「夢の裂け目」
。2003年、補佐
弁護人としてA級戦犯の裁判に関わった弁護士夫婦に焦点をあて、「人道と平和に対する罪」等の東
京裁判の核心に迫った第2部「夢の泪」に続く第3部として、風化させてはならない日本の記憶を
庶民の目線で見つめ、笑いと音楽をふんだんに盛り込んだ井上ひさしならではの重喜劇として、と
りわけ今回は市ヶ谷での東京裁判に不在の人々に焦点をあて、戦争責任の問題を考える作品として
制作する。
○ 外部専門家等の意見
新国立劇場への最初の書き下ろしが「紙屋町さくらホテル」であったことは、現代演劇と国立の
劇場との関係でいわば象徴的な出来事であり、日本演劇史に語り継がれる事件であった。国と演劇
の関係が文字通り「文化立国」の事実を証明したものである。今回の「夢の痂」まで、井上は戯曲
の方法、舞台の形象まで見事に一貫したスタイルを保持してきた。まさに命のすべてをそこにぶつ
けてきたという感じがする。このような持続を可能にしたものは、新国立劇場という場へのこだわ
りであり、作者の時代に向かうまなざしそのものである。この政治性の強いシリーズを独自の視点
でまとめ、高い水準を維持したことを高く評価したい。ある意味では栗山芸術監督との共同作業で
あり、国立と名の付く劇場で完成させた意義は大きい。中心的に支えた俳優・スタッフにも拍手を
贈りたい。
しかし、作者の問題意識や日本人論、主張が色濃く投影された作品であったものの、それが全面
に出過ぎて芝居としては未消化だったと思う。やはり今回も脱稿の遅れが、演出・演技とも間に合
わせたという感は拭いきれず残念だ。作者の日本人、日本という国に対するきちんとした姿勢と考
え方があるからこそ、もっと戯曲として、舞台として練り上げたものを見たかった。このままでは
井上にとっても、企画した新国立劇場にとっても不本意だと思う。ぜひこの3部作にしっかり手を
入れ、一挙上演し、汚名を返上してほしい。
○ アンケート調査
劇場ロビー常置とともに配布、出口回収又は郵送回収。
回答数172人。回答者の69.8%が概ね満足と答えた(120人)。
(6) アジアの女
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
9月28日(木)∼10月15日(日)
20回
16日
5,595人(85.8%)
4,000人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
新国立劇場2006/2007シーズン演劇の幕開けに、演劇界若手の旗手・長塚圭史を配し、新作を依頼
する。新国立劇場初登場の長塚は自らのプロデュースユニット・阿佐ヶ谷スパイダースをはじめ、
外部公演や翻訳劇の作・演出、また俳優としても舞台、映画等に出演し、各界から注目されている。
その長塚に、これまでの作品群とは異なる新国立劇場小劇場の空間に合う台詞劇、さらにモノが溢
れる一方で人間関係の危機が叫ばれる現代の私たちへ、同時代ならではの作風、かつ一石を投じる
ような作品を期待する。
○ 外部専門家等の意見
長塚圭史が新国立劇場に書き下ろし、演出もかねて登場する、そのタイミングに頷き、期待する
ものがあった。今が旬の作家・演出家の起用は、新国立劇場の活動に若い世代の観客を引きつける
ばかりではなく、
「演劇の現在」に触れる機会を保守的な現在の新国立劇場の観客層に提供した点で、
大いに意味のある試みだった。また、若い作家に一般的な上演の場合より恵まれた各種の条件・サ
ポートを用意して、その演劇的志向を妥協なく実現し得る機会を提供することも、公的支援に大き
く支えられる新国立劇場にこそ期待される使命だといえよう。
舞台については、前半の兄妹の間に漂う日常的に見えながら切なく高まっていく緊張は、それぞ
れの心の揺らぎを正確に表現する2人の俳優の好演と相まって見る者を強く引きつけ、作・演出家
の実力を遺憾なく示した。しかし、題名「アジアの女」が示唆している終極までには遙かに行き着
かず、なぜ近未来の時間軸を取り、大震災後の東京という設定の中で物語を展開しようとしたのか
を納得させるものがなかった。出演者はそれぞれ熱演ではあったが、演技の質はばらばらで、岩松
の一人舞台となってしまった感もある。逆にいえば、岩松の突出した存在感を制御できなかった点
では、演出家の力量不足ということもできる。
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未知数の新人を起用する場合は、少なくとも1年前に作品を提出させることを前提に企画を進め
るべきではないだろうか。そうしないと、せっかくの新人の登用も不幸なことになってしまう。一
つの提案として、書き下ろしではなく、むしろ若手の劇作家や演出家に、定評のある既存の舞台を
再演する機会を与えてみてはどうだろうか。
○ アンケート調査
劇場ロビー常置とともに配布、出口回収又は郵送回収。
回答数320人。回答者の74.4%が概ね満足と答えた(238人)。
【特記事項】
平成18年度(第61回)文化庁芸術祭協賛公演
好評完売につき、10月7日(土)と10月14日(土)に追加公演を実施した(両日とも18:00開演)。
シアタートークを実施した。(10月1日(日)終演後、小劇場、入場者数270人)
登壇者:長塚圭史(演出)、富田靖子、近藤芳正、菅原永二、峯村リエ、岩松了、堀尾正明(司会)
NHKの収録があった。(10/7収録、1/22NHK・BS2「ミッドナイトステージ館」にて放送)
(7) シラノ・ド・ベルジュラック
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
11月2日(木)∼12日(日)
7回
7日
3,675人(77.8%)
3,500人(70.0%)
○ 会場
中劇場
S
A
Z
○ 入場料 ○5,250円、○53,150円、○1,500円
(8) イワーノフ / オイディプス王
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
11月4日(土)∼12日(日)
7回
7日
1,841人(85.2%)
1,600人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
制作方針の一つ「広く才能ある演劇人との共同作業」として、日本を代表する演出家の一人で1960
年代から第一線で活躍し、その独自の演技メソッドとともに広く海外にもその名を知られている鈴
木忠志の現在の活動を「劇的な情念をめぐって」−世界の名作より−と題し、3作品の同時上演を
通して紹介する。あわせて、演劇の多様性、様式性などの魅力を紹介することを意図とする。
○ 外部専門家等の意見
鈴木忠志演出作品が初めて登場した。3舞台同時並行上演は、個々の舞台の評価を越えて、全体
として大変鮮烈な印象を与える企画だった。栗山芸術監督の配慮と努力を孝としたい。
3本同時上演というところにSPACのスタイルと路線が明瞭だったが、このことを含めて舞台作り
が極めて特殊であることを再確認した。演劇の多様性を示すものではあるが、特殊性もまた際だっ
た公演といわざるを得ない。3作に共通するのは、鈴木が西欧の作品を使う時に、まずはその構造
の骨格(ドラマの核となるもの)を取り出し、それを「叙事の衣」で覆うという手法だ。その手法
が、この3本でも見事に使いこなされ、しかもその独自の身体論を駆使することで極めて水準の高
い舞台を見せてくれた。グローバル+ローカル。世界に通用する演劇の在り方、その方法の一つを
如実に示した舞台だったということができる。
「シラノ・ド・ベルジュラック」では、中劇場の巨大な暗黒の空間に浮かび上がった障子に接し、
時空が止まったような衝撃に襲われた。1960年代に早稲田のあの小さな劇空間で受けたショックに
重なった。そして、中劇場の空間が自在に動き、一分の隙も見せない芝居に久しぶりに出会った。
小劇場での「イワーノフ/オイディプス王」も刺激的な配置であった。たくさんの「オイディプス
王」を見てきた中でも、今回の作品は際立って分かりやすく、想像力をかきたて、しかも国の垣根
を軽々と飛び越えた人間のドラマといった感じがした。鈴木メソッドに埋められた役者の居る風景
に魅入られながら、鈴木の40年を越えようとする芸術家の在り方に感動を覚えた。
今回の企画には2つ、通常の企画とは違う点があるかもしれない。まず全体が新国立劇場独自の
制作ではなく、静岡県舞台芸術センターとの共同制作であり、更に小劇場の2本は既に完成した舞
台の再上演である。もし新国立劇場が自らの責任において現代の演劇を生むべき責務を負っている
と考えるなら、そこに多少の疑義があるかもしれない。だが、新国立劇場で優れた刺激的な舞台が
見られることを期待する一観客の立場からいえば、鈴木忠志演出の舞台を(東京で)3本連続して
90
見ることができたことは、大変嬉しいことだった。
アンケート調査
劇場ロビー常置とともに配布、出口回収又は郵送回収。
「シラノ・ド・ベルジュラック」
回答数49人。回答者の61.2%が概ね満足と答えた(30人)。
「イワーノフ/オイディプス王」
回答数20人。回答者の55.0%が概ね満足と答えた(11人) 。
【特記事項】
平成18年度(第61回)文化庁芸術祭協賛公演
ドイツ語が混じる上演につき、字幕を実施した。
静岡県舞台美術センター(SPAC)との共同制作
出演者のオーディションを実施し、ロクサアヌ役と娘芸者役5人を選んだ。(6月)
シアタートークを実施した。(11月3日(金・祝)終演後、中劇場、入場者280人)
登壇者:鈴木忠志(演出)、堀尾正明(司会)
鈴木忠志スペシャルトーク「演劇を語る」を実施した。
(11月4日∼12日「イワーノフ/オイディプス王」各公演日の幕間)
アカデミックプランを実施し、59人の入場者を得た。
2公演(3作品)が1000円の割引になる特別割引通し券を設定した。
「イワーノフ/オイディプス王」についてNHKの収録があった。(11/11収録、3/19NHK・BS2「ミッ
ドナイトステージ館」にて放送)
○
(9) エンジョイ
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
12月7日(木)∼23日(土・祝)
15回
15日
2,493人(83.8%)
1,600人(70.0%)
○ 会場
小劇場
Z
○ 入場料 4,200円、○1,500円
○ 制作意図
小劇場をさらに緊密な空間にすることで、これまでの日本の名作戯曲の復活や、新しい可能性を
探る「THE LOFT」シリーズの一つとして、若手の中で注目を集めている岸田戯曲賞受賞劇作家・岡
田利規に新作を依頼する。岡田は、現代の若者を象徴するような日本語や振付と仕草の中間にある
ような動きなど、独自の身体性をもって、現代社会とりわけ都市に生きる人間を描いてきた。
新国立劇場で上演することで、岡田のこれまでの観客である若者とは違う様々な年代、環境にい
る観客が、新しい価値観 生産的な摩擦 に出会える機会を提供し、また逆に新国立劇場をあまり
訪れない観客に足を運んでもらうというクロスオーバーな体験を目指す。
○ 外部専門家等の意見
新国立劇場の重要な任務の一つが、新しい世代の才能を発見し、それに光を当てることにあると
すれば、本公演の脚本は、その期待に見事に応えるものだったといえよう。そこにはまさに「現在」
にしか書かれ得ないものがあり、旧世代の観客の一人としては、大変新鮮かつ刺激的な体験となっ
た。今現在の若者の身体性と日本社会の風俗と精神状態の一面を映し出した舞台であることは確か
である。
しかし、「脱力系」といわれる独特のメソッドはそれなりに理解できるが、この方法の舞台を続け
て、期待をもって次の公演も見たいとは思わない。作品のスケールは小さく、表現に深みがないの
も確かだ。日常会話を延々と続ける「独白」舞台は、相手に語りかけているようで、実はもう一歩
踏み込んで互いの「葛藤」を取り出し突き詰めることを作者自身が回避している舞台ということも
できる。もちろん背後に込められた「フラストレーション」の存在は容易に察知できる。が、それ
を丸投げするだけでは本当の訴求力(普遍性)、作品としての力は生じない。意図的に身体を揺らす
演技も、客観的に見れば舞台に立った俳優の過剰な自意識を分散化する基本技法に過ぎず、方法と
いうにはあまりに幼稚だ。いずれにせよ、岡田が今という時代を生きる若者を通して何かを伝えよ
うとするなら、自己満足の方法ではなく、異世代にも訴求力を発揮するもう一つ踏み込んだ方法の
模索が必要だろう。
新国立劇場において、今後もこうしたニューウェーブの紹介には力を入れてほしいと思う。新国
立劇場への若手の登場は、いわばフリンジで活動する彼らに、自分たちのやっていることの位置と
91
より広い社会の存在を関知させることになるからだ。それは見る側にとっての刺激となることはい
うまでもない。
○ アンケート調査
劇場ロビー常置とともに配布、出口回収又は郵送回収。
回答数115人。回答者の68.7%が概ね満足と答えた(79人)。
【特記事項】
一部出演者についてワークショップ形式のオーディションを実施した。
NHKの取材・収録があった。(1/14教育テレビ「芸術劇場」にて放送)
(10) コペンハーゲン/COPENHAGEN
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
3月1日(木)∼18日(日)
17回
16日
3,468人(62.6%)
3,800人(70.0%)
○ 会場
小劇場
A
B
Z
○ 入場料 ○5,250円、○3,150円、○1,500円
○ 制作意図
2001年度の読売演劇大賞の優秀作品賞、演出家賞、男優賞、紀伊國屋演劇賞の団体賞、演出家賞
に輝き、その年の演劇界の話題をさらった作品。更に1998年イブニング・スタンダード賞、2000年
トニー賞ベスト・プレイ賞をはじめ各賞に輝いた世界的話題作が、世界で唯一の被爆国である日本
の舞台に初登場を果たした2001年の秋、あの9・11、アメリカ同時多発テロの直後であった。それ
から4年。「戦争」という言葉が、我々の生活に更に侵食し、日本が世界各国とどう向き合っていく
のかが、より深刻に問われている今、この『コペンハーゲン』の再演には新たな深い意義がある。
今回はボーア役に新たに村井国夫を迎え、実力派のスタッフ・キャスト陣により、初演時の興奮を
更に超える、新国立劇場ならではの、本格的な深い台詞劇、そして人間劇(ドラマ)を目指す。
○ 外部専門家等の意見
優れた戯曲・舞台の再演は、上演する側だけでなく、見る観客にとっても、いろいろな問題を再
考する機会となって、たいへん得るものが多い。「コペンハーゲン」の再演は、その意味でも期待さ
れる企画だった。いいドラマであり、いい舞台であることを再認識させてくれた意義のある再演。
一部キャストが初演時と変わったが、高いレベルまでしのぎを削るいいアンサンブルが形成された。
装置と照明のよさも再認識した。
初演時、ボーアを演じたのは江守徹。同じ文学座の後輩に当たるハイゼンベルグ役の今井朋彦と
の丁々発止の演技はいまも目に残る。初演は、この2人と、マルグレーテ役の新井純との3人のア
ンサンブルで、まるで推理小説を読むように舞台を堪能させてくれたものだ。今度の再演でボーア
を演じたのは村井国夫だが、初演から6年という歳月をほとんど感じさせない充実した舞台だった
といっていい。芝居に惹き付けられ残った 印象 はハイゼンベルクを演じた今井朋彦の演技だっ
た。1941年にハイゼンベルクがボーア夫妻をたずねる。その入りからして、再演は大きく違うので
ある。芝居のセリフ等々どこがどう変ったか、変えたかはわからない。物理学者、原子、第二次世
界大戦、原爆といったキーワードとなる言葉が背景に去り、ボーアとその妻と弟子の 世話芝居
といったおかしさが伝わってきたのである。村井国夫と新井純の夫婦像の作り方に初演と大きな違
いがあるように感じた。再演の面白さ、意味は実はこんな所にもあるのではないだろうか。より我
々の身近にあの「コペンハーゲン」が近づいてきたように思えた。
これほどの重いテーマを抱えた作品を上演、あまつさえ再演までできるところは新国立劇場以外
にはないだろう。演じる者も、見る者も問われる舞台。今後も、こうした重厚な舞台の再演を継続
してほしい。こういう舞台が新国立のスタンダードになるべきだろう。
○ アンケート調査
実施方法:劇場ロビー常置とともに配布、出口回収又は郵送回収
回答数126人。回答者の85.7%が概ね満足と答えた(108人)。
【特記事項】
シアタートークを実施した。(3月7日(水)終演後、小劇場、入場者250 人)
登壇者:鵜山 仁(演出)
、村井国夫(出演)
、新井 純(出演)
、今井朋彦(出演)
、堀尾正明(司会)
【入場者数の達成状況】実績51,800人/目標43,300人(達成度119.6%)
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○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
企画制作面では、栗山芸術監督の下、シリーズシリーズ「われわれは、どこへいくのか」と題して、
「未来の記憶」に焦点をあて上演を行った。中国現代演劇を代表する劇作家・過士行と演出家・鵜山仁
との組み合わせによる書き下ろし作品「カエル」
、岩松了の独自の世界感から時代を切り取った作品「マ
テリアル・ママ」、永井愛の骨太な青春群像劇「やわらかい服を着て」、作・井上ひさしと演出・栗山民
也による東京裁判三部作の完結篇「夢の痂」の新作4作品をシリーズ企画として上演した。平成16年6
月に初演し、再演の要望も高く好評であったブロードウェイ・ミュージカル「Into the Woods」を再演
し、全国公演において兵庫公演を実施した。また、新シーズンのオープニング公演は、今最も旬な演劇
人・長塚圭史を起用し、異色のキャストとの組み合わせで「アジアの女」を上演した。続いて、世界の
演劇界をリードする鈴木忠志による16年ぶりの東京公演を『劇的な情念をめぐって』と題し、静岡県舞
台芸術センターとの共同制作により「シラノ・ド・ベルジュラック」
、「イワーノフ/オイディプス王」
を上演し、それぞれ話題を呼んだ。好評のシリーズ企画「THE LOFT−小空間からの提案」には、独特な
センスで現代社会や都市に生きる若い世代を切り取り、提示を続ける岡田利規による「エンジョイ」を
上演し、日本初演となった平成13年に各演劇賞に輝き話題をさらった「コペンハーゲン」の再演をした。
意欲的な作品を上演し、新国立劇場に来場する観客層の幅を広げるとともに、多岐に富んだ演目を上演
し、高い評価を得た。昨年以上に厳しい財政状況の中、舞台水準を維持しながら、予算のスリム化を徹
底し、制作費の削減を行った。収支は、10演目中8演目において計画と比べ改善された。
営業面では、終演後に出演者、スタッフ等と観客との身近な交流を目指すため「新国立シアター・ト
ーク」を積極的に実施し、作品に関する理解の増進を図った。「イワーノフ/オイディプス王」では、
幕間に演出家・鈴木忠志によるスペシャルトークを毎公演実施した。学生当日半額券を充実し、空席の
ある場合に限り、事前に半額で予約できるアカデミックプランを開発し、将来の新国立劇場のコア層と
なる若年層の観客増加を昨年に引き続き実施した。シリーズ「われわれはどこへいくのか」では、3作
品割引通し券を販売し、シリーズの作品を組み合わせセット販売した。チケットの発売直後に売り切れ
になった公演「マテリアル・ママ」
、「アジアの女」については、迅速に追加公演を計画・実施し、お客
様のニーズに対応するよう努め、各演目とも2公演の追加公演を実施した。
【見直し又は改善を要する点】
台本完成の遅れは、演劇界全体の問題として検討していきたい。
【17年度評価への対応】
「演出家、俳優の起用にさらに慎重に」という意見については、スタッフ・キャストの選考について
は従来から慎重に行ってきたが、一部舞台成果に課題が残った作品もあったことを謙虚に受け止め、今
後の意欲的な企画が期待通りの結果に繋がるように努めた。
「商業ベースでは実施困難な優れた海外劇団の招聘は、劇場の役割の一つとして継続されたい」とい
う意見については、国立の劇場として海外団体や芸術家との交流は重要な役割であると認識しており、
共同作業等も視野に入れ、交流を拡大するとともに、可能な範囲で海外団体の公演が実現するように努
めた。
「ミュージカルの上演を望む」という意見については、これまでも公演実績はあるが、ミュージカル
ファンの期待に応えるべく、引き続き上演に向けて検討を行う。18年度は、ブロードウェイ・ミュージ
カル「Into the woods」を新国立劇場と兵庫県立芸術文化センターで上演した。
93
2-(2)-⑤
青少年を対象とした現代舞台芸術の公演
○制作方針
オペラを中心に青少年等を対象とした鑑賞教室を実施し、新たな観客層の育成を図るとともに、現代
舞台芸術の普及理解を図る。
○実績
(1) 高校生のためのオペラ鑑賞教室「カヴァレリア・ルスティカーナ」
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
7月10日(月)∼15日(土)
6回
6日
10,408人(98.0%)
8,100人(75.0%)
○ 会場
オペラ劇場
○ 入場料 2,100円、一般4,200円(当日券のみ)
○ 制作意図
ヴェリズモオペラの傑作を演出、装置、衣裳、合唱などを通常公演と同様にし、日頃オペラに接す
る機会の少ない高校生に本格的なオペラ鑑賞の場を提供し、より豊かな感受性の醸成の一助とすると
ともに、オペラという舞台芸術の認知と普及を目指す。
○ 外部専門家等の意見
高校生と一緒に聴く面白さを発見できた。高校生たちの反応の変化が大変面白く感動的ですらある。
物語の展開と音楽の持つ劇的な効果が相まって、ステージに集中していく様子が感じられた。岡本和
之は明確な指揮で適任。歌手の誇張された演技は辛く、演出が制作時より歌手の表現においてかなり
崩れていた。高校生だからこれで十分、これくらいが良いと考えることもできるが、もう少し質を高
くしても良いように思う。情感の希薄なこの時代に、この企画は是非継続してもらいたい。
○ アンケート調査
入場時にステージノートに挟み込み配布。
回答数3,226人。回答者の63.0%が概ね満足と答えた(2,032人)。
【特記事項】
イタリア語上演につき字幕を実施した。
プログラムの無料配布を行った。
ホームページに本公演のブログを掲載した。
ローム株式会社の特別協賛、株式会社損害保険ジャパンの協賛を得た。
(2) こどものためのオペラ劇場「スペース・トゥーランドット」
○ 期間、回数、日数及び入場者数
期
間
回数
日数
入場者数
目 標
7月28日(金)∼30日(日)
6回
3日
4,710人(86.6%)
4,100人(75.0%)
○ 会場
中劇場
○ 入場料 2,100円
○ 制作意図
小学生や就学前の児童に優れた生の舞台芸術を鑑賞する機会を提供することにより、芸術文化の普
及理解に資する企画として、今回で3回目を迎える。今回は、「トゥーランドット」を大胆に換骨奪
胎し、話題の名曲アリア「誰も寝てはならぬ」を聞かせることにより、親しみを感じさせたい。
○ 外部専門家等の意見
「トゥーランドット」ブームにタイムリーに合わせたのは良いアイデアであった。「愛のテーマ」
は外さず筋立ては分かりやすかったものの、台本や音楽は稚拙であり、オペラと呼ぶには難しい内容
であった。このプロダクションの目的は、何だったのだろうか。オペラとは、生の声に魅力があるの
であり、オーケストラを越えて聞こえる肉声の魅力と驚きを伝えてこそ、オペラに親しんでもらえる
のではないだろうか。昨年の「ジークフリートの冒険」の方がオペラとして素直に鑑賞できた。大人
も子供も楽しめるエンターテインメントを作れるよう、制作が現場をチェックし、満足できる作品が
できるまで何度も作っては壊すという体制を整備することが必要なのかもしれない。
このような催しについては作品を委嘱やコンクール形式で競わせてみてはどうだろうか。また、夏
以外の時期の実施や、教育委員会とも提携して、近郊の地区からも鑑賞できる機会を作って欲しいと
94
思う。
アンケート調査
入場時にプログラムに挟み込み配布。
回答数1,285人。回答者の85.1%が概ね満足と答えた(1,094人)。
【特記事項】
朝日新聞社の共催、渋谷区など4つの区の教育委員会の後援、トヨタ自動車株式会社など3社の特別協賛、
株式会社ベネッセコーポレーションなど7社の協賛、ヤマハエレクトーンシティ渋谷の協力を得た。
○
【入場者数の達成状況】実績15,118人/目標12,200人(達成度123.9%)
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
毎年恒例の「高校生のためのオペラ鑑賞教室」においては、「カヴァレリア・ルスティカーナ」を上
演した。また、「こどものためのオペラ劇場」を「アーツシャワー2006∼オペラシティの夏祭り∼」の
開催期間とあわせて、「スペース・トゥーランドット」を創作・上演した。「高校生のためのオペラ鑑賞
教室」は事業開始以来、着実に公演回数を増やし、平成18年度は全6回を実施し、昨年に引き続き、1
万人を超える集客を達成した。「こどものためのオペラ劇場」は、「アーツシャワー2006∼オペラシティ
の夏祭り∼」の催しと連動し、「スペース・トゥーランドット」と関連性のあるスタンプラリーを実施
するなど、多くのこどもたちで賑わいをみせた。若い観客に対する普及公演として、年々その意義は広
く認められており、新国立劇場の主催公演の通常の観客層と異なる将来のお客様が多数来場し、反響も
良好であった。
【見直し又は改善を要する点】
両事業とも、昨年に引き続き、多数の協賛企業等の支援を受けることができたが、事業継続のために
は民間からの支援が不可欠であるため、今後も支援を得られるよう努める。
また、オペラ以外のジャンルの鑑賞教室については、引き続き実施の可能性について検討を行う。
【17年度評価への対応】
「新世代の観客を育てるためにも、こうした公演(こどものためのオペラ劇場)は重要」という意見
については、新世代の観客を育成するため、今後も企画内容を充実させ、多くの子供に鑑賞する機会を
提供できるよう努める。18年度は、話題のアリア「誰も寝てはならぬ」で知られる「トゥーランドット」
を翻案した「スペース・トゥーランドット」を上演した。
「高校生のためのオペラ鑑賞教室は今後さらに拡充」という意見については、入場率も高く、来場し
た高校生にも好評であるので、予算と学校関係者の要望を勘案し、より多くの高校生が鑑賞する機会を
持てるよう努める。18年度は「カヴァレリア・ルスティカーナ」を上演した。
「他ジャンルにも鑑賞教室を拡大」という意見については、バレエや演劇については、オペラとは異
なり、子供の頃から本公演を鑑賞できる環境が整っているため、より多くの若年層が本公演を鑑賞でき
るよう努める。鑑賞機会という点では恵まれていない首都圏以外に在住する若年層については、バレエ
や演劇の普及の観点から、全国の地方公共団体等の要望を踏まえ、公演の実現に向け検討を行う。
95
2-(2)-⑥
外部団体との連携・協力、地方における上演
○方針
① 芸術祭主催公演の実施等、外部団体との連携協力による現代舞台芸術の公演を行う。
(演 劇) 「シラノ・ド・ベルジュラック」、「オイディプス王/イワーノフ」
新国立劇場中劇場・小劇場、11月 共催:(財)静岡県舞台芸術センター
② 外部団体からの求めに応じ、受託による現代舞台芸術の公演に努める。
③ 地方における上演
(バレエ) 「ライモンダ」 梅田芸術劇場メインホール、10月15日
「シンデレラ」 新潟県民会館大ホール、1月7日
(演 劇) 「Into the Woods」 兵庫県立芸術文化センター大ホール、7月1日∼7月2日
○実績
1.平成18年度(第61回)文化庁芸術祭
主催公演
(オペラ) 「イドメネオ」
(バレエ) 「白鳥の湖」
(オペラ) 「フィデリオ」
地域招聘公演「フィガロの結婚」
協賛公演
(バレエ) 「ライモンダ」
(演劇)
「アジアの女」
「シラノ・ド・ベルジュラック」
「イワーノフ/オイディプス王」
2.平成18年度文化庁舞台芸術国際フェスティバル
主催公演(現代舞踊)ダンスプラネットNo.21「DANCE EXHIBITION 2006」
9月15日∼9月19日、4回、小劇場
3.外部団体との連携協力
(オペラ) 「フィガロの結婚」(10月15日、1回、中劇場)、共催:ひろしまオペラルネッサンス
(演 劇) 「シラノ・ド・ベルジュラック」(11月2日∼12日、7回、中劇場)
「イワーノフ/オイディプス王」(11月4日∼12日、7回、小劇場)
共催:財団法人静岡県舞台芸術センター
4.全国における上演
(オペラ) 「モーツァルト生誕250周年記念レクチャーコンサート」
9月23日、1回、三重大学講堂(三翠ホール)、主催:三重大学附属図書館
「国立新美術館プレ・イベントオペラコンサート2006」
11月30日、1回、国立新美術館1階エントランス、主催:国立新美術館
「第5回東京国立近代美術館コンサート新国立劇場の若手歌手によるクリスマスコンサート」
12月11日、2回、東京国立近代美術館エントランスホール、主催:東京国立近代美術館
「新国立劇場の若手歌手によるクリスマスコンサートin京都国立博物館」
12月22日・23日、2回、京都国立博物館特別展示館中央ホール、
主催:京都国立博物館、京阪電気鉄道株式会社
(バレエ) 「ライモンダ」
10月15日、1回、梅田芸術劇場、主催:梅田芸術劇場
「シンデレラ」
1月7日、1回、新潟県民会館大ホール、主催:財団法人新潟県文化振興財団
(現代舞踊)「DANCE EXHIBITION 2006 in TOYAMA」
11月18日、1回、富山オーバード・ホール舞台上特設シアター、
主催:財団法人富山市民文化事業団、富山市
(演 劇) ブロードウェイ・ミュージカル「Into the Woods」
11月15日∼11月20日、2回、兵庫県芸術文化センター大ホール、
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
96
○自己点検評価
【良かった点・特色ある点】
全国各地で上演される優れたオペラを新国立劇場で上演する地域招聘公演の第2回目として、広島よ
りひろしまオペラルネッサンスを招聘し「フィガロの結婚」を共催で上演した。全国で行われるオペラ
の活性化に貢献するとともに、観客からも高い支持を得た。
18年度は、様々な形態の公演を実施した。舞踊部門では、バレエ「ライモンダ」を大阪で、バレエ「シ
ンデレラ」を新潟で、現代舞踊「DANCE EXHIBITION 2006」を富山でそれぞれ上演し、いずれも観客の
評判は高く、上演の成果が表れる舞台となった。演劇部門は、ブロードウェイ・ミュージカル「Into t
he Woods」を兵庫で上演し、お客様の反応は高く、チケットが発売直後に完売したなど作品の評判は高
かった。また、静岡県舞台美術センター(SPAC)との共同制作により、
「シラノ・ド・ベルジュラック」
及び「イワーノフ/オイディプス王」を上演し、鈴木忠志演出作品の16年ぶりの東京公演を果たした。
全国公演の事業は、これら以外にもオペラ研修生等によるコンサートを全国各地で実施し、国立新美術
館の開館プレ・イベントや昨年に引き続き実施した京都国立博物館クリスマス・コンサート等、昨年以
上に積極的に取組んだ。
今後とも全国公演等の事業を推進し、新国立劇場公演等の鑑賞機会を全国に拡げ、一層充実を図って
いきたい。
【見直し又は改善を要する点】
18年度は、オペラの全国公演の実施は無かった。予算の問題はあるが、オペラ公演についても、全国
公演の実施に向けて、引き続き検討を行う。
【17年度評価への対応】
「(地域招聘公演について)今後も継続」という意見については、地域招聘公演として、18年度はひ
ろしまオペラルネッサンスによるモーツァルト作曲「フィガロの結婚」を上演した。
「地方におけるオペラ上演がゼロであったことは残念」「全国の施設との連携」という意見について
は、新国立劇場制作の公演を実施した実績のある劇場等との連携を一層強化するとともに、共同制作や
実施先の団体・劇場の増加を図り、地方公共団体等とも連携してオペラを含めた各分野の公演が全国で
上演できるよう引き続き努力する。18年度は、静岡県舞台芸術センター(SPAC)との共同制作により演劇
「シラノ・ド・ベルジュラック」「オイディプス王/イワーノフ」を上演した。また、バレエ「ライモ
ンダ」(梅田芸術劇場メインホール)、バレエ「シンデレラ」(新潟県民会館大ホール)、現代舞踊「DANC
E EXHIBITION 2006 in TOYAMA」(オーバード・ホール)、演劇「Into the Woods」(兵庫県立芸術文化セ
ンター大ホール)を各地で上演し、研修生等による「三重大学レクチャーコンサート」、「国立新美術館
開館プレイベントオペラコンサート2006」
、「第5回東京国立近代美術館コンサート」
、「京都国立博物館
クリスマスコンサート」のコンサートを全国で行なった。
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