大学生の性感染症に関する意識調査

大学生の性感染症に関する意識調査―性行動、社会環
境、行動経済学的意思決定を中心に―
小川一仁
大阪産業大学経済学部・准教授
大阪府大東市中垣内 3-1-1
[email protected]
1. はじめに
性感染症の我が国の罹患者は 2000 年代の 10 年間で、尖圭コンジローマと梅毒を除いて
減少している 1 。いっぽう、HIV、AIDSは 10 年の間に漸増しており 2 、特に若年世代での
増加が深刻である。この背景には若年世代の性行動が開放的になっている 3 ことやAIDSに
代表される性感染症に関する知識の希薄さ、不正確な認識があげられる。実際にクラミジ
ア感染によるエイズの感染可能性増加という事実は、60%の人に知られていない 4 。
一方で、厚生労働省や地方自治体の保健所は性感染症の予防や知識啓発事業を盛んに行
っている。例えばエイズ検査は無料かつ匿名で実施されている。民間レベルでもエイズ予
防財団が API-NET を立ち上げ(厚労省委託事業)、様々な啓発事業を実施している。音楽業
界を中心に 1993 年に立ち上げられた AAA(Act Against Aids)も 2010 年に至るまで継続的
1厚生労働省・性感染症報告数年次推
移http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html (2011 年 3 月 4 日閲覧)、
http://idsc.nih.go.jp/idwr/ydata/report-Jb.html(2011 年 3 月 4 日閲覧)。このデータは感染
症報告ベースであるため、感染しても症状が出ない場合がある淋病やクラミジアは増加し
ているかもしれない。
2厚生労働省・年齢階級別年次推移(HIV
感染者、AIDS 患者)
http://api-net.jfap.or.jp/status/2009/09nenpo/hyo_06_01.pdf (2011 年 3 月 4 日閲覧)
3
傍証としてコンドームの出荷数は減少傾向にある。
4
内閣府(2000)参照。
1
な活動を続けている。木原(木原, 2006)たちの活動にも見られるように、現代の若者により
即した形の性教育・性感染症教育を進めることで予防教育を施し、性感染症の感染を減ら
そうという動きもある。
しかし、冒頭でも述べたように、HIVやAIDSの感染者は日本において増加の一途をたど
っている。UNAIDSによると、東アジアおよびオセアニアが現在、世界で最も新規感染増
加の勢いが強い地域であるという 5 。こういった事実からは、わが国のHIV対策が期待通り
の成果を上げられていないことが分かる。政府が支出するエイズ対策費も減少の一途をた
どっている 6 。
そこで、本研究では東大阪市に設置されている私立大学の大学生を対象に性感染症の意
識調査を実施することで、現状や課題を確認し、より有効な検査・相談・啓発事業のあり
方を検討する。特に、性感染症は性行動の範囲が広く冒険的な人間ほど罹患確率が高いと
考えられる。よって、奔放な性行動をとりやすい(とりにくい)人間に特有の性格的特徴、意
思決定面に関する特徴を今回の調査で明らかにする。
冒険的な性行動がどのような要因と関連しているかについて多くの研究が存在する。こ
こでは、Cooper(2002)と Chesson et al. (2006)を取り上げる。Cooper(2002)は飲酒と冒険
的性行動(複数のパートナーや一時的なパートナーと性行動を行うこと)の関係について調
査し、両者が緊密な関係にあることを示した。そのため、潜在的に性行動が起きうる状況
において飲酒を減らす努力が、冒険的性行動を抑制すると結論づけた。Carpenter (2005)
は若者の間の飲酒行動と危険を伴う性行動(ここでは淋病罹患率を指標としている)の関連
について、飲酒運転処罰法で摘発された未成年男性をターゲットに分析を試みた。その結
果、飲酒運転処罰法の厳格化によって、未成年(15-19 歳)および白人男性の淋病罹患率が有
意に低下したことが明らかになった。これは、若年男性の冒険的性行動と飲酒が関係して
いることを示唆している。
Chesson et al. (2006)は、大学のキャンパスで時間選好 7 に関する簡単な質問紙調査を行
http://www.aidssti.com/m_004.html (2011 年 3 月 4 日閲覧)、特に中国、台湾、韓国でも
HIV/AIDSの感染者が急増している。
5
朝日新聞 2010 年 11 月 30 日
http://www.asahi.com/science/update/1129/TKY201011290401.html
6
A 円と 1 年後の A 円では価値が違う」という考え方を基礎にして
いる。例えば今日の 1000 円と 1 年後の X 円の価値が同じになるように X を記入するよう
な問題があったとする。このとき、1200 円と書いた人と、1500 円と書いた人では年間利子
率がそれぞれ 20%と 50%で異なる。この金利のことを時間選好率と呼び、この値が高い場
合には、今のお金を相対的に重要視していることになる。すなわち、現在重視型である。
また、時間選好率は我慢強さとも関連づけられることがあり、この場合は時間選好率が大
きいほど我慢強くないことになる。
7時間選好とは、
「今日の
2
い 8 、時間選好率の高さ(将来よりも現在を重要視する)と性経験を有していること、過去半
年間における複数の性的パートナーの存在可能性に強い関係があることを明らかにした。
また、Lammers and Wijnbergen(2008)は南アフリカ共和国の学生を被験者に経済実験を行
い、リスクと時間選好を測定した。実験結果からはHIVポジティブである被験者(163 名中
16 名)の時間選好率が感染していないグループに比べて統計的に有意な形で低い(忍耐強い)
こと、HIVポジティブの感じる死亡リスクおよびリスク回避度 9 を考慮して修正してもなお
時間選好率が非感染グループに比べて低いが、その違いが統計的に有意ではなくなること
を示した。
喫煙と性行動の関係についてはZabin (1984)やBiglan et al.(1990)が検討している。
Zabin(1984)は女性にターゲットを絞り、性交初体験年齢と喫煙水準の間に負の相関関係を
見いだした。つまり、喫煙水準が高いと性交初体験年齢が早いのである。また、Biglan et
al.(1990)は冒険的性行動と喫煙の関連性を指摘している。国内では厚生労働省が喫煙とリ
スクの高い性行動との関連について触れている 10 。
よって、性行動を調査する際には、回答者の時間選好率、リスクの程度、飲酒、喫煙を
考慮する必要がある。本研究ではこれらの要因を考慮して調査を設計する。
本稿では、依田・後藤・西村(2009)、Ida and Goto (2009a, 2009b)、依田(2010)が開発し
た分析手法を用いる。これらの研究では喫煙を手がかりに、時間選好率とリスク水準の同
時推定を行う手法を開発し、ギャンブルや飲酒といった嗜癖が個人の時間選好率とリスク
態度にどのような影響をもたらすかを検討した。
分析の結果、喫煙については、喫煙者の方が非喫煙者よりもリスクを好むこと、禁煙し
た者は最もリスクを好まないことをみいだした。また、喫煙と飲酒、ギャンブルの関係性
については、喫煙行為と飲酒行為の間には正の相関関係があること、パチンコと競馬の間
の正の相関関係、喫煙とパチンコの間の正の相関関係、飲酒と競馬の間の正の相関関係を
見いだした。また、時間選好率が高い者、危険回避度が低い者は喫煙やパチンコ、競馬を
選択する確率が高いことも見いだした。
本稿は以下のように構成される。第 2 節ではどのように質問紙調査が作成されたかを説
明する。第 3 節では回答者のプロファイルを説明する。第 4 節では質問紙調査の分析結果
を解説する。最初に性感染症に関する知識がどのような状況下を説明する。次に性感染症
対策に関する要望がどのようなものかを説明する。次に回答者の特性と性行動を探り、最
8Chesson
et al.(2006)は他にも性感染症専門の病院や 10 代専門の病院、一般の病院でも同
じ調査を行っているが、ここでは大学キャンパス内の結果のみを紹介する。
9
主体がリスクを好むかどうかの態度を表現する指標のこと。
http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-02-006.html(2011 年 3 月 1
日閲覧)
10
3
後に結果をまとめる。第 5 節で結論を述べる。
2. 質問紙調査の作成と配布
性行動および性感染症に関する質問項目については日本性教育協会 (2007)、内閣府
(2000)を利用した。後に述べる一般的信頼度と功利主義水準に関しては Yamagishi T. and
M. Yamagishi(1994)の質問を利用した。リスク回避と時間専攻については、依田・後藤・
西村(2009)、依田(2010)を参考に質問紙を作成した。付録の質問紙には、どの質問項目がど
の先行研究を使用・参考したかについて明記してある。
調査実施の手順と倫理的配慮について述べる。本研究は東大阪市に拠点を置き、東大阪
市保健所と日常的な共同作業がある各大学の担当者に実施の可否を尋ねることから始まっ
た。筆者および東大阪市保健所保健師・叶滋、能勢友里氏が各大学の学生課を訪れ、研究
計画を説明し、各大学で実施の可否について決済をとってもらうように要請した 11 。倫理委
員会を通して研究を進めることが考えられるが、今回実施に協力していただいたほとんど
の大学は倫理委員会を持たなかった。そのため、このような方法で調査実施の正当性を担
保した。
調査は大阪産業大学、大阪商業大学、東大阪大学、近畿大学の 4 大学で実施した。実施
にあたっては、大阪産業大学、近畿大学、東大阪大学のケースでは筆者か叶・能勢両氏の
どちらかが少なくとも立会い、実施した。調査は質問紙の形で行い、実施前に口頭と書面
で,調査目的・内容,回答は統計的に処理して公表するため個人が特定されないこと,本
研究以外に使用しないこと,途中辞退の自由と不利益のなさ、調査協力者には 500 円相当
のQUOカードとAIDS予防啓発グッズ 12 を進呈することなどを説明した。調査依頼の説明を
行った後,退出したい学生の退出を促した(結果的に誰もいなかった)。このため、この調査
では自由意志にて同意を得た学生が回答者となる.質問紙の回答は、回答者によって厳封
され、回収箱に提出された。回答時間はおおむね 25 分だった。
大阪商業大学のケースでは、学生課に調査実施を一任した。体育会に所属する学生に質
問紙を配布し、回答を学生課に持参することで、謝礼の QUO カードを進呈したケースと、
講義中に依頼された教員が配布し、匿名性を保った上で回収したケースの二通りで実施さ
れた。
実施に協力していただいた 4 大学のうち、大阪産業大学・東大阪大学では学長決裁に基
づき調査が実施された。また、他の 2 大学でも学生部長やそれに相当する地位の人物の許
可を得て調査が実施された。
11
12
パンフレットとコンドームなど。
4
今回収集したデータの共通点として、近畿大学はやや趣を異にするが、他の 3 大学はい
わゆる偏差値的序列が必ずしも高くないという点が挙げられる。こういった大学を中心に
収集されたデータはほとんど存在しない。その意味で、今回のデータセットが興味深いと
言えよう。
3. 回答者の概要
本調査は、表 1 に見られる 4 つの大学の協力を得て行われた。筆者が所属する大阪産業
大学の回答者が最も多く、次いで大阪商業大学、近畿大学、東大阪大学の順になった。
表 2 が性別から見た回答者プロファイルである。大阪産業大学や大阪商業大学で女性の
データをほとんど収集できなかったために、男性が大多数を占めている 13 。表 3 は年齢から
見た回答者プロファイルである。1-2 年生に相当する 18-19 歳の回答者数が非常に多い。
表 4 は居住形態から見た回答者プロファイルで、一人暮らしが 1/4 を占めている。表 5 は 1
週間当たりのアルバイト時間についての回答結果である。約 1/3 の回答者が調査時点でアル
バイトをしていない。アルバイトをしている回答者の中では、週 10-20 時間と答えた者が
最も多かった。
表 6 は一日当たりに送信する携帯電話を用いた電子メールの数である。一桁台の回答者
は半数を占めている。これは、日本性教育協会編(2007)の結果とほとんど同じである。表 7
は同性の友人の数についての回答結果であり、1-6 人のところに多くの回答者が位置して
いる。この結果も日本性教育協会編(2007)とほぼ同じである 14 。表 8 は異性の友人の数につ
いての回答結果であり、1-3 人のところに約半数が位置している。全くいないという回答
者も 2 割程度存在している 15 。
喫煙状況について尋ねたのが、表 9 から 11 である。表 9 では調査時点での喫煙率が明ら
かであり、それは 20%である。平成 21 年度の 20 代喫煙率は、
JT調査によると男性 40.3%、
女性 15.9%であり、今回の結果はJT調査よりは低いと考えられる。また、流通科学大学生
を対象とした調査(中島, 2011)では、喫煙率が 29.4%とされているので、今回のデータはこ
れよりも低い。喫煙率として近いのは茨城大学調査(荒井ほか, 2008)であり、17.2%(男
13
ただし、両大学とも元々女性比率が少ない。
14日本性教育協会編(2007)とは回答の選択肢が異なるため、単純な比較は出来ない。ただし、
日本性教育協会編(2007)において同性の友人が数人いると答えた割合は 60%台だった。「数
人」の定義にもよるが、我々の回答結果において 1-6 人を「数人」と定義すると、この結
果と我々の回答はパラレルである。
15日本性教育協会編(2007)においては、異性の友人が「数人いる」と答えた割合が男女とも
60%台だった。同性友人数と同じように、1-6 人を「数人」と定義すると、この結果と我々
の回答はパラレルである。
5
子学生)であった。表 10 では初めてたばこを吸った年齢について尋ねており、116 人中 83
人が中学・高校時代に喫煙を開始している。表 11 はファーガストローム ニコチン依存度
指数(FTND)テスト 16 の結果である。このテストはニコチン依存度を判定するために開発
されたものである。現在喫煙中の回答者の半数以上が低度依存であるが、高度依存の者も 4
名見られた。
表 12,13 は飲酒に関する状況である。70%以上の回答者が酒を飲むと答えている。ただ
し、飲酒習慣があると言っても飲酒量は軽微であった。飲酒初体験年齢について尋ねた表
13 からは、18 歳で初めて酒を飲んだという回答者が最も多い。これは大学入学前後に行わ
れる一連の行事-新入生勧誘活動や新歓コンパ-で経験するからであろう。一方で、27%
の回答者が高校時代に初めて酒を口にしている。大学生の飲酒に関する包括的データがあ
まりないのだが、未成年喫煙に比べて、未成年飲酒を行うことは非常に容易であると考え
られる。
4. 分析
4-1. 性感染症に関する知識について
16FTND
テストは以下の 6 問から構成される。
問 1 朝起きてからどのくらいで最初のたばこを吸いますか。
1.5 分以内(3 点)
2.6~30 分(2 点) 3.31~60 分(1 点) 4.60 分以上(0 点)
問 2 寺院や図書館、映画館など、喫煙を禁じられている場所で禁煙することは、あなた
にとって難しいことですか?
1. はい(1 点) 2. いいえ(0 点)
問 3 一日の喫煙の中で、どちらが一番やめにくいですか?
1. 朝の最初の一本(1 点) 2. その他(0 点)
問 4 あなたは一日に何本たばこを吸いますか?
1.10 本以下(0 点) 2.11-20 本(1 点)
3.21-30 本(2 点) 4.31 本以上(3 点)
問 5 一日のうち、起きてから数時間のほうが、他の時間帯に比べて多く喫煙しますか?
1.はい(1 点) 2.いいえ(0 点)
問 6 あなたは、病気でほとんど一日中寝込んでいるようなときも、喫煙しますか?
1.はい(1 点) 2.いいえ(0 点)
6 問の回答の合計得点が 0〜3 点であればニコチン依存度が弱く、4〜6 点であればニコチ
ン依存度が中程度であり、7 点以上であればニコチン依存度が強いと規定される。
6
最初に、エイズに関する知識を回答者に問うた(表 14--19)。エイズを名前として認知して
いる割合 (表 14)は非常に高かった。この結果は内閣府が実施した調査(内閣府, 2000)と同じ
傾向である。エイズが患者や感染者との性行為を通じて感染することを知っている回答者
も非常に多く(表 15)、内閣府調査と同じ傾向である。しかし、統計的には有意な違いがあ
った。患者や感染者とのカミソリ・歯ブラシの共用が感染する可能性を高めること(表 16)
については今回の回答者は内閣府調査に比べて認知率が低かった。患者や感染者との注射
器の回し打ちが感染可能性を高めること(表 17)、患者や感染者の授乳による感染(表 18)、
患者や感染者の出産による感染(表 19)についても、すべて内閣府調査よりも認知率が低か
った(統計的に有意な違いがある 17 )。
以上から、今回の質問紙調査の回答者は、平均的に見て、内閣府の調査に比べてエイズ
に関する知識が不足していると言える。
表 20 では、クラミジアなどの性感染症の感染可能性に関する知識を問うた。これらの性
感染症がエイズ感染の促進要因となることを知っているかどうか(表 20)については、約 3
割の回答者が知っていた。この結果は、内閣府(2000)の結果と同じである(統計的に有意な
差があるとは言えなかった)。とはいえ、やはり知識不足であるという印象はぬぐい去れな
い。
表 21 から 23 では、クラミジアなどの性感染症がもたらす害悪について知識を問うた。
このようなエイズ以外の性感染症に関する知識を問う質問は国内では殆どなされておらず、
残念ながら比較対象がない。しかしながら、これらの表から、クラミジアなどの性感染症
に関する知識を持った回答者が少数であることが分かる。
性感染症に関する知識について小括を行う。内閣府が行った調査と比較すると、今回の
調査回答者は、平均的にみて、エイズやクラミジアといった性感染症についての知識が不
足していると言える。性感染症に罹患することのデメリットを理解し、性感染症を予防す
るには、今回の回答者の母集団たる 4 つの大学で様々な形で性感染症に関する教育を施す
必要がある。
4-2. 性感染症対策に関する要望
今回の調査の回答者が性感染症対策として何を望んでいるかを尋ねた結果が表 24 から
27 である。
表 24 はエイズについて入手したい情報についての回答結果である(複数回答可)。
この表から、今回の調査の回答者は「治療方法」、「感染予防法」、「病気の内容」、「感染状
況」、
「エイズ検査」の順で知りたいと考えていることが明らかになった。1 位から 4 位まで
17
有意水準を 10%に設定している。
7
は 200 人以上が知りたいと答えている。エイズに関する情報提供を行う際の一助になると
考えられる。この設問は内閣府(2000)を利用しているので比較が可能である。内閣府(2000)
の結果では 1 位が「感染予防法」,2 位が「治療方法」で、以下「感染状況」、
「病気の内容」、
「エイズ対策」の順となっている。2 つの調査では、1 位から 5 位まではほとんど同じ項目
が上がっているが、順序が異なっている(統計的に有意な違いがある)。今回の調査ではエイ
ズ検査について知りたいという要望が 5 位に上がっているのが特徴である。
表 25 はエイズに関する情報をどのようなとこから入手するのがよいかに関する回答結果
である。今回の調査の回答者は、「テレビ」、「学校教育」、
「インターネット」、「本や雑誌」、
「新聞」の順で入手するのがよいと答えている。内閣府(2000)の調査では、同じ質問の順位
(1-5 位)は「テレビ」、「学校での教育」、「新聞」、「本や雑誌」、「広報誌(紙)」であった。
1 位と 2 位は両者で同じであったが、
3 位以降の両者の違いは統計的に有意な違いがあった。
この結果は、大学生向けにエイズに関する情報を発信する場合、どの媒体を用いるべきか
を決める一助となろう。
表 26 はエイズ検査についてどれだけのことを知っているかを問う設問で、正解である「無
料かつ匿名」を選んだ回答者は約 30%だった。特に「無料で受けられること」が周知されて
いないことが分かる(「無料かつ匿名」と「無料」を加えても約 37%である)。「無料」も「匿
名」と並んで非常に大事で、この事実を知らない場合、エイズに感染したかもしれないとい
う不安があっても検査を受けるのに躊躇する可能性がある。内閣府(2000)の同じ設問と比べ
ると、この回の調査では「知らない」と答えた回答者の割合が小さいことが特徴的である(統
計的に有意な違い)。「無料」で受けられる割合については内閣府(2000)の調査で 5.1%とほ
とんど変わらない。
表 27 はエイズ検査に関してどのような要望を持っているかを尋ねた設問で、複数回答を
許している。1 位から順に、「プライバシー保護」、「保健所の場所の周知徹底」、
「十分な説
明」、
「適切な対応」、
「夜間検査の実施」となった。表から分かるとおり、「夜間検査の実施」
と「検査日の増加」、
「休日検査の実施」はほぼ同数だった。内閣府(2000)の同じ設問の順位
(1-5 位)は、
「プライバシーの保護」、
「十分な説明」、
「適切な対応」、
「休日検査の実施」、
「適
切な医療機関の情報提供」だった。1位は両者で同じだったが、以下の順位については統
計的に有意な差が見られた。特に、エイズ検査を受ける際に最も重要な保健所の場所を周
知徹底する必要があると思われる。
以上から、今回の回答者は性感染症について「テレビ」
、
「学校教育」、
「インターネット」、
「本や雑誌」、「新聞」といった媒体を用いて「治療方法」、「感染予防法」、「病気の内容」、
「感染状況」、「エイズ検査」を知らせてほしいことが分かった。また、「エイズ検査」につ
いては特に「無料」で受けられること、「保健所の場所」を周知徹底する必要があることが分
かった。
8
4-3. 回答者の特性と性行動
本節では今回の回答者の性行動がどのような要因で規定されるかを統計学的に検討する。
第 1 節で述べたように、若年者の性行動には飲酒や喫煙がかかわっていると考えられる。
そこで、そういった要因を考慮し、どのような要因が若年者、特に大学生の性行動に意味
のある影響をもたらしているかを検討する。
最初に回答者の性行動に関する基礎データを紹介する。表 28 はこれまでに性交経験があ
るかどうかを尋ねた問であり、「ある」と答えた割合が半数を超えた。日本性教育協会(2007)
の調査では大学生の性交経験率は約 61%であるので、今回の結果は 6 ポイントほど小さい
ことになる。日本性教育協会(2007)の調査における性交経験率と今回の調査のそれの間には、
統計的に有意な差が見られた。この結果が出たのは本調査では大学 1-2 年生が多く回答し
たからだと考えられる。
表 29 は性交初体験年齢について尋ねた結果である。平均初体験年齢は 16.69 歳で標準偏
差は 1.87 である。性交初体験年齢の分布については、日本性教育協会(2007)のそれと統計
的に有意な違いがあるとは言えなかった。
表 30 および 31 は性交初体験時の避妊について尋ねたものである。性体験を持つ回答者
のうち 8 割以上が初体験時に避妊を行ったと答えている。日本性教育協会(2007)の結果と比
べて統計的に有意な差があるとは言えない結果である。表 31 の避妊方法はほとんどがコン
ドーム使用であり、これも日本性教育協会(2007)の結果と違うとは言えない。
表 32 はこれまでの性交人数について尋ねている。0 人を含めた場合の平均は 1.99 人で、
標準偏差は 4.73、0 人を含めない場合の平均は 3.92 人、標準偏差は 6.05 である。ほとんど
の回答者は 1-3 人までに収まるが、非常に多くのパートナーと性交を行った回答者もいる。
表 33 は本節で使用する変数を説明した表である。この中で聞き慣れない用語は、一般的
信頼、功利主義水準、リスク回避度、時間選好率であろうか。山岸(1999)によると、信頼は、
社会的不確実性が高い状況下で発現する。山岸(1999)では「相手が自分を搾取する意図をも
っていないという期待の中で,相手の人格や相手が自分に対してもつ感情についての評価
にもとづく部分」を信頼と呼び、さらに一般的信頼を、他者一般に対する信頼の初期値と
定義した。山岸(1999)によると、一般的信頼は通常、「ほとんどの人は信用できる」、「ほと
んどの人は他人を信頼している」、「ほとんどの人は基本的に正直である」、「ほとんどの人
は基本的に善良で親切である」、「私は、人を信頼する方である」の5つの質問についての
平均点で表現される。今回の調査でもこれらの質問を実施し、各個人について平均点を計
算した。
また、功利主義水準は、ある個人が、他者がどれだけ利己的に振る舞うかを測る指標で
あり、値が高いほど他者が利己的に振る舞うと感じている。「世の中には偽善者が多い」、
9
「人には皆邪悪な傾向があると考え
「人々はいつも自分だけの利益ばかり考えている」、
ておけば,困った目に遭わないで済む」、
「人々は,他人を蹴落としても自分の利益を得
ようとする」、
「人々は,普通,口で言っているほどには他人を信用していない」、
「この
社会では,気をつけていないと,誰かに利用されてしまう」、
「ほとんどの人は,本心で
は他人のために骨を折ることを嫌がっている」、
「この社会では,多くの人が,自分の利
益のために人をだまそうとしている」、
「ほとんどの人は良心に基づいて正直であるわけ
ではない.捕まることを恐れているだけだ」という質問の平均点から構成される。
リスク回避度と時間選好率については、依田(依田・後藤・西村, 2009、Ida and Goto 2009a,
2009b、依田, 2010)の一連の研究で採用された形の効用関数を用いて推定し、その結果を用
いて分析を行う。
回答者は以下の効用関数を持つと仮定しよう。
U
e
p
y
ここで e は自然対数の底、d は日数、p は確率、y は利得を意味する。αは時間選好率であ
り、1
1
βは相対的リスク回避度を示す。αが大きいと現在をより重視すると解釈される。
βが大きいとよりリスク回避的であるとされる。この効用関数の両辺を対数変換すると、
lnU
αd
p
β lny
となる。以下ではαとβの値を推定する。推定方法はランダム・パラメータ・ロジット法を
用いる 18 。「今すぐ確実に 10 万円もらえる選択肢(1)と 7 日後(=1 週間後)に 60%の確率で
30 万円もらえる選択肢(2)」といった二つの選択肢を比較させる一連の質問の結果を用いて、
推定を行った。質問では選択肢(2)のもらえるタイミング、確率、金額をそれぞれ、
「1 週間
後、1 ヶ月後、半年後、1 年後、5 年後,10 年後」、
「90%、60%、30%」、
「15 万円、30 万
円、45 万円、60 万円」と変更し、実験計画法に基づいて 20 問の質問を作った。
分析結果は表 34 に示されている。時間選好率は 1 ヶ月当たり 0.042 である 19 。質問項目
が異なるので注意が必要であるが、依田・後藤・西村(2009)の結果 20 と比べると妥当な値で
あると考えられる。一方、リスク回避度については依田・後藤・西村(2009) 21 とはかなり異
なる結果が得られた。やはり質問項目の違いを考慮せねばならないが、今回調査の回答者
はかなりリスク回避的である。
技術的な方法については依田・後藤・西村(2009)や Hensher et al.(2003)を参照のこと。
また、推定には NLOGIT4.0 を用いた。
18
19
30 倍した。
表 1 の結果からは、全喫煙者の月当たり時間選好率
は 0.066、全非喫煙者のそれは 0.045 である。
20たとえば依田・後藤・西村(2009)p.68
前注と同じく p.68 表 1 を見ると、全喫煙者の相対的リスク回避度は 0.09 で、全非喫煙
者のそれは 0.300 である。
21
10
時間選好率については男女で差があるとは言えなかった 22 。性交未経験者と既経験者の間
では、10%水準で差があった。時間選好率は、絶対値で見て大きくなるほど現在を重視する
ので、性交未経験者の方が現在を重視する傾向がある。リスク回避度については性差があ
るとは言えなかった。性交未経験者と既経験者の間では性交既経験者の方がリスク回避的
ではないという結果が得られた。若年時代に性交を早めに行う人間は、リスク回避的では
ないというのは直観とも合致する。
ここで用いたランダム・パラメータ・ロジット分析では表 34 で示された全体のデータだ
けでなく、個人のαおよびβを推定できる。この個人あたり推定値を用いてより進んだ分析
を行う。
最初にたばこを吸い始めた年齢と性交初体験年齢の関係について確認する。というのは、
「たばこを吸い始めた年齢」を独立変数の一つに含めてよいかどうか、喫煙初体験が性交
経験に先立つものかどうかを確認する必要があるからである。
表 35 は喫煙者の中でたばこを初めて経験した年齢と性交を初めて経験した年齢のどちら
が早いかを示したものである。この結果、半数以上がたばこを性行為より先に経験してい
ることが分かるが、一方で 30%弱が性交初体験の方が早いと回答している。表 36 は性交初
体験年齢を従属変数、喫煙初体験年齢を独立変数とした単回帰分析の結果を示している。
ここから、喫煙初体験年齢 16.43 歳を分岐点として、それ以上の年齢であれば、性行為を
先に経験しており、それ以下の年齢であれば、喫煙を先に経験していることが分かる 23 。以
上の分析から、特に低年齢での喫煙経験が性行為に先立っているとしてよいだろう。
次に、非喫煙者も含めて、FTND テストの得点と性交初体験年齢について分析したのが
表 37 である。非喫煙者は FTND スコアを 0 として分析した。ここから分かることは、高
度喫煙者(FTND 高)は統計的に有意な形で性交初体験年齢が低いことが分かる。ただし、
高度喫煙者は今回の調査では 4 名しかいなかったため、結論づけるのは慎重でなければな
らない。
表 38 および 39 は従属変数を「性交経験の有無」としたロジット回帰の結果を示してい
る。表 38 の結果から、一人暮らしだと性交を経験している確率が高いこと、異性の友人の
数が多いと性交を経験している確率が高いこと、たばこを吸っていると性交を経験してい
る確率が高いこと、酒を飲んでいると性交を経験している確率が高いこと、一般的信頼度
が高いと性交を経験している確率が低いことが分かる。喫煙と飲酒に関しては先行研究の
結果を踏襲している。一般的信頼については解釈が必要だろう。一般的信頼が高いことは
他者のことをよく観察し、本当に信頼できるかどうかを見極めた上で行動することを意味
する。そのため、人生の中で転換点の一つである性行為に対して慎重になると考えられる。
22
本段落での分析は全て Welch の t 検定を用いている。
23
推定された式と 45 度線の交わるところが喫煙と性行為を同時に経験する年齢である。
11
性別を外して分析すると、リスク回避度が高いほど性交を経験する確率が低いことが分か
る。
表 39 は喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合のロジット分析の結果を示している。年齢が
高いと性交を経験している確率が高いこと、異性の友人の数が多いと性交を経験している
確率が高いこと、功利主義水準が高いと性交を経験している確率が低いことが分かる。功
利主義水準が高いと他者のことを信用しない。そのため、自らも利己的に振る舞う可能性
がある。このような人は周りの人間からの評判を落としてしまうので、性行為を行いにく
いと考えられる 24 。
表 40 および表 41 は従属変数を「性交初体験年齢」とした場合の重回帰分析の結果を示
している。ここでは性交未経験者は分析から除外してある。表 40 からは、年齢が高いと性
交初体験年齢が高いこと、たばこを吸うと性交初体験年齢が低いこと、時間選好率が高い、
すなわち将来よりも現在を重視すればするほど性交初体験年齢が高いことが分かる。最後
の時間選好率と性交初体験年齢の関連については直観に反するが、潜在的な変数が他に介
在している可能性を示唆している 25 。表 41 は喫煙者および飲酒者にデータを絞って分析を
行った結果である。この表からは、年齢が高いと性交初体験年齢が高いこと、たばこを吸
い始めた年齢が高い(低い)ほど性交初体験年齢が高い(低い)こと、一般的信頼が高いほど性
交初体験年齢が高いことが分かる。たばこの早期体験が性交初体験を早めるという結果が
得られている。また、前述のように、一般的信頼が高い人は慎重になるのか、性交初体験
年齢が高くなる傾向がある。
表 42 および 43 は従属変数を「性交人数」とした場合の重回帰分析の結果である。この分
析では成功未経験者の成功人数を 0 として分析に使用している。表 42 からは、年齢が高い
と性交人数が多くなること、一人暮らしであると性交人数が多くなること、異性の友人の
数が多くなると性交人数が多くなること、たばこを吸うと性交人数が多くなること、一般
的信頼度が高いと性交人数が少なくなること、功利主義水準が高くなると性交人数が多く
なることが分かる。一般的信頼度については他人をよく見極めた上で行動すると考えれば
説得的である。功利主義水準が高いことは他人が利己的に振る舞っていると予想すること
を意味するので、この指標が高い人は自らも利己的に振るまいがちになると考えられる。
そのため、交際が長続きしないといった問題が生じる結果、性交人数が多くなるのかもし
れない。
24
功利主義水準が高い人は他者のことを信用していないため、そもそも異性友人が少なく、
その結果性行為を行いにくいとも考えられる。確認のために異性友人数を従属変数、功利
主義水準を独立変数とした回帰分析を行ったが、功利主義水準の係数は統計的に有意では
なかった。
25
たとえば、中高生の時点で出会った恋人と結婚したいと思っている人物は将来を重視し
ていると考えられるが、性交経験が早くなる可能性がある。
12
表 43 では、喫煙者かつ飲酒者を対象として分析している。この表からは、年齢が高いと
性交人数が多くなること、異性の友人の数が多くなると性交人数が多くなること、たばこ
を吸い始めた年齢が高い(低い)ほど性交人数が少なく(多く)なることが分かる。
4-4.まとめ
4-1 節から分かったことは以下の通りである。
z
内閣府が行った調査と比較すると、今回の調査回答者はエイズやクラミジアといった性
感染症についての知識が不足している。
4-2 節から分かったことは以下の通りである。
z
「テレビ」、
「学校教育」
、
「インターネット」
、
「本や雑誌」、
「新聞」を使用することで
エイズに関する情報が伝わる。
z
伝える情報は「治療方法」、
「感染予防法」
、
「病気の内容」
、
「感染状況」、
「エイズ検査」
にするとよい。
z
伝える情報の中で、「エイズ検査」については「無料」で受けられることを周知徹底する
とよい。
z
「保健所の場所」を周知徹底する必要がある。
既存の調査と同じ結果があるだけでなく、新たな結果も得られた。インターネットや保
健所の場所は全年代を対象にした場合には余り上位には上がってこなかった。
ただし、情報伝達媒体で 3 位に選ばれた「インターネット」についてはどのような形で
情報を発信するかは難しい。現在でも、例えば、厚生労働省その他のサイトではエイズに
関する情報を発信しているが、これらの情報は自ら探し求めないと入手することができな
い。より容易にエイズに関する情報を見られるようにするには、Yahoo!や google といった
ポータルサイトのトップページに掲載してもらうとか、各大学が設けているインターネッ
ト上の個人掲示板に強制的に表示させ、一定時間が経過して初めて次の画面に遷移すると
いったこれまでとは異なる方法をとる必要があろう。
13
4-3 節から分かったことは以下の通りである。なお、年齢や異性友人数など、自明と思わ
れる結果については言及しない。
z
喫煙、飲酒が性交経験率を高める。
z
一般的信頼度の高さ、リスク回避度の高さが性交経験率を低める。
z
喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合、功利主義水準の高さが性交経験率を低める。
z
年齢が高いと性交初体験年齢を高める。
z
喫煙、飲酒は性交初体験年齢を低める。
z
時間選好率が高いと性交初体験年齢を高める。
z
喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合、年齢が高いと性交初体験年齢を高める
z
喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合、たばこを初めて吸った年齢が低いと性交初体験年齢を低める
z
喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合、一般的信頼が高いと性交初体験年齢を高める
z
喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合、時間選好率が高いと性交初体験年齢が高まる。
z
たばこを吸うと性交人数が多くなる。
z
一般的信頼度が高いと性交人数が少なくなる。
z
功利主義水準が高いと性交人数が多くなる。
z
喫煙者かつ飲酒者を対象にした場合、たばこを初めて吸った年齢が低いと性交人数が多くなる。
このように、性行動に影響を与える要因には様々なものがあることが改めて明らかにな
った。これまで指摘されているとおりの喫煙や飲酒だけでなく、一般的信頼や功利主義水
準といった性格特性、リスク態度、時間選好も性行動に影響を与えている。
しかし、これまでの調査で初体験年齢やこれまでの性交人数がどのような要因に影響を
うけているかを様々な要因で分析したものは少ない 26 。その意味で、今回の調査の結果はこ
れまで余り分析されてこなかった点に踏み込んだと言える。
これまでの結果、また今回の結果を受けて、政策的にはたばこや酒の不法利用を抑える
Zabin(1984)は、女性を対象に初めてたばこを吸った年齢、現在吸っているたばこの本数、
性交初体験年齢の関係を分析している。
26
14
ことで、冒険的性行動を抑制できると考えられる。しかし、事はそう簡単ではない。たば
こや酒は本人だけの問題ではなく、家庭、友人、地域といった本人を取り巻く環境まで考
慮した対策を立てる必要がある。
5. 結論
本調査では、東大阪市内に設置されている大学生の性感染症に関する意識調査を行った。
調査では大学生が性感染症に対してどのような知識を持っているか、どのような媒体を通
じて、どのような情報を欲しているかを明らかにした。次いで、大学生の性行動がどのよ
うな要因で規定されるのかを計量経済学的に分析した。
本研究の結果は性感染症に対する対策を実施するために用いられるという政策的意義を
持つ。今回の調査は特に現代の大学生に対して性感染症の情報提供や検査情報の周知のた
めにどのような働きかけが必要かという点で有益である。
しかし、本研究の貢献はこれだけにとどまらず、新しく意味のある結果も提示した。性
行動に関するこれまでの行動経済学的成果を踏まえ、より多様な要因によって性行動が規
定されていることを明らかにした。
もちろん、収集した回答の偏り(女子学生のデータ数不足)や質問紙設計の不備の可能性
(Big Five 等の 5 因子性格尺度をデータとして収集する必要もあろう)を考慮すると、より多
くのデータを加えたり、経年データを収集することで今回の研究結果が頑健であるかどう
かを検討せねばならない。これらは今後の課題である。
参考文献
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2006
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・依田高典, 『行動経済学-感情に揺れる経済心理』,中公新書, 2010
・依田高典,後藤励,西村周三,『行動健康経済学』,日本評論社,2009
・荒井
信成,上地
勝,富樫
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15
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・中島孝子 (2011)「2010 年における流通科学大生の喫煙行動」流通科学大学論集-経済・
経
営
情
報
編
-
第
19
巻
第
2
号
pp.121-133http://www.umds.ac.jp/kiyou/k/K19-2/121-133.pdf (2010 年 3 月 1 日閲覧)
・忠津佐和代,長尾憲樹,進藤貴子,梶原京子,高見千恵 (2009)「大学生の性感染症予防
行動および避妊行動に対する意識・態度の実態調査-青年期ピアカウンセリングの基礎資
料として-」川崎医療福祉学会誌
vol.19 No.1 pp.93-103
・山岸俊男(1999)『安心社会から信頼社会へ』中公新書
・LAURIE SCHWAB ZABIN (1984) “The Association between Smoking and Sexual
Behavior among Teens in US Contraceptive Clinics”. PUBLIC HEALTH BRIEFS, 74
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・Yamagishi T. and M. Yamagishi, (1994)“Trust and commitment in the United States
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・Hensher, A. D., Rose J. M., and Greene, W. H., "Applied Choice Analysis A Primer",
Cambridge University Press, 2005
・Ida, T. and R. Goto (2009a) "Simultaneous Measurement of Time and Risk Preferences:
Stated Preference Discrete Choice Modeling Analysis Depending on Smoking Behavior,"
International Economic Review vol. 50.4: 1169-1182
・ Ida, T. and R. Goto (2009b) "Interdependency among Addictive Behaviors and
Time/Risk Preferences: Discrete Choice Model Analysis of Smoking, Drinking, and
Gambling," Journal of Economic Psychology vol.30.4: 608-621.
・C. Carpenter (2005) “Youth alcohol use and risky sexual behavior: evidence from
underage drunk driving laws”, Journal of Health Economics vol.24 613–628
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Intertemporal Choice” working paper
・M. LYNNE COOPER (2002) “Alcohol Use and Risky Sexual Behavior among College
Students and Youth: Evaluating the Evidence”, JOURNAL OF STUDIES ON
ALCOHOL / SUPPLEMENT NO. 14, pp.101-117
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Bernstein, and
Kenneth H. Fife (2006) “Discount rates and risky sexual behaviors
among teenagers and young adults” Journal of Risk and Uncertainty vol.32:217–230
・Anthony Biglan, Carol W. Metzler, Roger Wirt, Dennis Ary, John Noell, Linda Ochs,
Christine French and Don Hood (1990) “Social and behavioral factors associated with
16
high-risk sexual behavior among adolescents”, Journal of Behavioral Medicine, Volume
13, Number 3, 245-261,
付表
大学名
大阪産業大学
東大阪大
大阪商業大
近畿大学
人数
185
30
111
80
406
割合(%)
45.57
7.39
27.34
19.70
100
表 1:調査協力大学と回答者数
性別
女性
男性
不明
人数
63
341
2
406
割合(%)
15.52
83.99
0.49
100
表 2:性別
年齢
人数
割合(%)
18
19
20
21
22
23
24
105
148
73
59
15
1
2
403
26.05
36.72
18.11
14.64
3.72
0.25
0.50
100
表 3:年齢
17
居住形式
一人暮らし
親と同居
寮
友人と
恋人と
親戚と
その他
不明
人数
108
274
4
2
4
6
5
3
406
割合(%)
26.60
67.49
0.99
0.49
0.99
1.48
1.23
0.74
100
表 4:学生の居住形態
週あたりバイト時間
バイトをしていない
1-5 時間
6-10 時間
11-15時間
16-20時間
21-25時間
26-30時間
31時間以上
人数
156
20
36
59
65
39
12
18
405
割合(%)
38.52
4.94
8.89
14.57
16.05
9.63
2.96
4.44
100
表 5:アルバイト時間(週当たり)
一日あたり送信メール数
0通
1-9通
10-19通
20-29通
30-39通
40通以上
携帯電話を持っていない
人数
13
210
74
41
25
41
1
405
割合(%)
3.21
51.85
18.27
10.12
6.17
10.12
0.25
100
表 6:一日当たり送信メール数
同性友人の数
全くいない
1-3 人
4-6 人
7-9 人
10 人以上
人数
12
113
132
49
99
405
表 7:同性友人の数
18
割合(%)
2.96
27.9
32.59
12.1
24.44
100
異性友人の数
その他
全くいない
1-3 人
4-6 人
7-9 人
10 人以上
人数
1
96
190
64
18
36
405
割合(%)
0.25
23.7
46.91
15.8
4.44
8.89
100
表 8:異性友人の数
喫煙について
はい
いいえ
吸っていたが禁煙した
人数
81
285
39
405
割合(%)
20
70.37
9.63
100
表 9:喫煙状況
「いたずら」も含めて,たば
こを初めて吸った年齢
3
5
6
7
8
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
人数
割合(%)
1
1
1
1
1
5
1
4
13
21
10
12
11
16
11
7
116
0.86
0.86
0.86
0.86
0.86
4.31
0.86
3.45
11.21
18.1
8.62
10.34
9.48
13.79
9.48
6.03
100
表 10:たばこ初体験年齢
FTNDテスト
低度喫煙者
中度喫煙者
高度喫煙者
人数
45
27
4
76
表 11:FTND テストの結果
19
割合(%)
59.21
35.53
5.26
100
飲酒について
はい
いいえ
飲んでいたが禁酒した
人数
291
109
5
405
割合(%)
71.85
26.91
1.23
100
表 12:飲酒状況
「いたずら」も含めて,酒を
初めて飲んだ年齢
1
3
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
人数
割合(%)
1
2
6
5
4
5
2
17
2
16
27
29
26
32
21
59
10
22
286
0.35
0.7
2.1
1.75
1.4
1.75
0.7
5.94
0.7
5.59
9.44
10.14
9.09
11.19
7.34
20.63
3.5
7.69
100
表 13:飲酒初体験年齢
エイズという病気のことを
今までに見聞きしたことが
ありますか.
はい
いいえ
わからない
人数
割合(%)
392
4
10
406
96.55
0.99
2.46
100
表 14:エイズ認知率
20
エイズは,「患者や感染者
との性行為」によって感染
する可能性があることを
知っていますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
382
18
5
405
94.32
4.44
1.23
100
表 15:エイズと性行為
エイズは,「患者や感染
者とのかみそりや歯ブラ
シの共用」で感染する可
能性があることを知って
いますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
193
193
17
403
47.89
47.89
4.22
100
表 16:エイズ患者とのカミソリなどの共用
エイズは,「患者や感染者
との注射器の回し打ち」で
感染する可能性があること
を知っていますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
341
52
10
403
84.62
12.9
2.48
100
表 17:エイズ患者と注射器の共用
エイズは,「患者や感染者
の授乳」によって感染する
可能性があることを知って
いますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
178
207
18
403
44.17
51.36
4.47
100
表 18:エイズと授乳
21
エイズは,「患者や感染者
の出産」で感染する可能性
があることを知っています
か.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
245
140
18
403
60.79
34.74
4.47
100
表 19:エイズと出産
クラミジアや淋病などの性
感染症にかかると,エイズ
にも感染しやすいことを
知っていますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
124
239
41
404
30.69
59.16
10.15
100
表 20:性感染症とエイズの感染について
クラミジアなどの性感染症
の感染者数が,10代から
20代を中心に増加してい
ることを知っていますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
168
213
20
401
41.9
53.12
4.99
100
表 21:性感染症と若年感染率について
クラミジアなどの性感染症
は,オーラルセックスに
よっても感染することを
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
110
238
53
401
27.43
59.35
13.22
100
表 22:性感染症とオーラルセックス
22
クラミジアは特に女性では
無症状で経過することが
多く,その間に感染を広め
る可能性があることを知っ
ていますか.
知っている
知らない
わからない
人数
割合(%)
121
252
28
401
30.17
62.84
6.98
100
表 23:クラミジアと女性の感染
エイズに関して入手したい
情報(複数回答)
病気の内容
感染の状況
感染の予防方法
治療方法
相談窓口
エイズ検査
医療機関
民間協力団体(NGO・ボラ
ンティア)の活動
エイズに関する研究
エイズ対策
その他
わからない
人数
順位
214
213
237
252
74
170
77
3
4
2
1
8
5
7
27
10
64
64
146
11
8
8
6
11
表 24:エイズについて入手したい情報
23
エイズに関する情報を得る
には,どのような方法がよ
いと思いますか(複数回答)
テレビ
ラジオ
新聞
本や雑誌
広報誌(紙)
ポスター
パンフレット
インターネット
講演や集会
学校での教育
民間協力団体(NGO・ボラ
ンティア)の活動
その他
わからない
人数
順位
235
44
103
150
51
84
78
196
85
211
1
11
5
4
10
7
8
3
6
2
57
9
5
15
13
12
人数
割合(%)
101
25
29
7.18
123
30.45
136
15
404
33.66
3.71
100
表 25:エイズに関する情報入手方法
エイズ検査は,全国の保健
所において,匿名で,ま
た,無料で受けることがで
きますが,このことを知って
いますか
匿名で受けることができる
ことを知っている
無料で受けることができる
ことを知っている
匿名と無料で受けられる
ことを知っている
知らない
わからない
表 26:エイズ検査に関する知識
24
保健所におけるエイズ検査に
ついて,どのような要望があ
りますか(複数回答)
保健所のある場所の周知
プライバシーの保護
受付時間の延長
検査日の増加
夜間検査の実施
休日検査の実施
適切な対応
十分な説明
講演や集会
適切な医療機関の情報提供
その他
わからない
人数
順位
177
231
58
85
87
83
164
169
24
72
3
52
2
1
9
6
5
7
4
3
11
8
12
10
表 27:エイズ検査についての要望
性交経験
ある
ない
人数
217
182
399
割合(%)
54.39
45.61
100
表 28:性交経験について
初体験年齢
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
人数
3
4
23
28
38
37
49
21
6
2
2
213
割合(%)
1.41
1.88
10.8
13.15
17.84
17.37
23
9.86
2.82
0.94
0.94
100
表 29:性交初体験年齢について
初体験時の避妊
した
しなかった
覚えていない・
分からない
人数
178
27
割合(%)
82.79
12.56
10
4.65
25
表 30:性交初体験時の避妊について
初体験時の避妊
コンドーム
ピル(経口避妊
月経からの日数
を数える(オギノ
基礎体温を測る
膣外射精法
その他
わからない
人数
173
0
3
0
0
3
0
表 31: 性交初体験時の避妊方法について
体験人数
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
13
15
20
50
60
不明
人数
182
66
47
28
13
15
8
5
5
1
5
7
1
1
2
1
1
18
406
割合(%)
44.83
16.26
11.58
6 .9
3 .2
3.69
1.97
1.23
1.23
0.25
1.23
1.72
0.25
0.25
0.49
0.25
0.25
4.43
100
表 32:これまでの性交人数
26
変数
年齢
性別
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸う
酒を飲む
たばこを吸い始めた年齢
酒を飲み始めた年齢
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率(1日当たり)
変数の説明
年齢
「男性=1」をとるダミー変数
「一人暮らし=1」をとるダミー変数
異性の友人の数
「たばこを吸う=1」をとるダミー変数
「酒を飲む=1」をとるダミー変数
たばこを吸わない人は欠損値
酒を飲まない人は欠損値
値が高いと一般的信頼が高い
値が高いと功利主義的
値が高いとリスク回避的
値が高いとより将来を重視する(我慢強い)
表 33:分析に使用した変数とその説明
α 時間選好率(一日あたり)
-0.0014 (0.00015)
-0.0148 (0.0001)
-0.00149 (0.00005)
-0.00141 (0.00006)
-0.0016 (0.00 006)
全体
男性
女性
性交既経験者
性交未経験者
表 34:ランダム・パラメータ・ロジット分析による、時間選好率とリスク回避度
たばこを吸い始めた年齢と初体験年齢の関係
たばこのほうが遅い
同じ年齢
たばこのほうが早い
人数
26
13
48
87
割合(%)
29.89
14.94
55.17
100
表 35:喫煙開始年齢と性交初体験年齢の関係について
従属変数=性交初体験年齢
喫煙初体験年齢
切片
修正済み決定係数
N=87
係数
0.2484
12.36
0.1705
標準偏差
0.057
0.889
F(1,85) =
P>|t|
0
0
18.68
表 36: 喫煙開始年齢と性交初体験年齢に関する回帰分析
従属変数=性交初体験年齢
FTND低
FTND中
FTND高
切片
修正済み決定係数
N=213
係数
-0.46926
-0.42304
-3.51828
16.85161
0.0436
標準偏差
0.346931
0.425989
1.067874
0.147147
F(3, 209) =
27
P>|t|
0.178
0.322
0.001
0
4.22
1-β リスク回避度
0.791 (0.051)
0.825(0.039)
0.810(0.086)
0.740 (0.049)
0.911 (0.05)
表 37:FTND テストと性交初体験年齢についての回帰分析
従属変数=性交経験の有無
年齢
性別
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸う
酒を飲む
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率
切片
疑似決定係数
係数
0.19
-0.13
0.59
0.34
1.24
0.66
-0.29
0.06
-0.34
120.39
-4.28
0.148
N=296
標準偏差
0.12
0.37
0.30
0.12
0.38
0.32
0.15
0.16
0.21
136.69
2.45
LR chi2(10)
P>|z|
0.11
0.72
0.05
0.01
0.00
0.04
0.05
0.70
0.11
0.38
0.08
=60.56
係数
0.19
0.58
0.35
1.2 1
0.6 7
-0.29
0.04
-0.36
98.99
-4.35
0.147
N=298
標準偏差
0.12
P>|z|
0.11
0.30
0.12
0.37
0.32
0.15
0.15
0.21
135.52
2.39
LR chi2(9)
0.05
0.00
0.00
0.03
0.05
0.80
0.09
0.47
0.07
= 60.84
係数
-0.25
-0.01
-0.32
150.18
1.21
0.03
N=335
標準偏差
P>|z|
0.12
0.13
0.18
116.86
0.58
LR chi2(4)
0.04
0.94
0.07
0.20
0.04
= 11.71
表 38:性交経験の有無についてのロジット分析(1)
従属変数=性交経験の有無
年齢
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸い始めた年齢
酒を飲み始めた年齢
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率
切片
疑似決定係数
係数
0.61
0.05
0.78
-0.17
-0.01
0.27
-0.69
0.25
445.01
-7.69
0.17
N=81
標準偏差
P>|z|
0.28
0.03
0.74
0.945
0.37
0.034
0.12
0.162
0.09
0.947
0.30
0.362
0.32
0.03
0.40
0.536
371.61
0.231
5.21
0.14
LR chi2(9)=16.10
係数
0.59
0.21
0.80
-0.17
-0.03
0.22
-0.65
0.31
532.77
-7.00
0.169
N=84
標準偏差
P>|z|
0.28
0.036
0.71
0.766
0.36
0.026
0.12
0.165
0.09
0.737
0.30
0.453
0.31
0.037
0.39
0.434
370.40
0.15
5.15
0.174
LR chi2(9)= 16.30
表 39:性交経験の有無についてのロジット分析(2).男性のみのデータなので、性別は分析か
ら外してある。
従属変数=性交初体験年齢
年齢
性別
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸う
酒を飲む
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率
切片
修正済み決定係数
係数
0.48
-0.15
0.26
-0.13
-0.89
-0.69
0.18
-0.20
0.06
-388.72
8.42
0.11
N=146
標準偏差
0.13
0.46
0.33
0.14
0.37
0.44
0.16
0.17
0.24
155.25
2.77
F(10, 135)
P>|t|
0.001
0.741
0.432
0.332
0.017
0.116
0.276
0.232
0.81
0.013
0.003
=2.78
係数
0.49
0.24
-0.13
-0.94
-0.67
0.17
-0.21
0.06
-389.27
8.10
0.12
N=147
標準偏差
0.13
0.32
0.13
0.34
0.43
0.16
0.16
0.24
153.29
2.61
F(9,137)
表 40:性交初体験年齢に関する回帰分析(1)
28
P>|t|
0
0.46
0.348
0.006
0.12 3
0.28
0.175
0.809
0.012
0.002
=3.16
係数
0.10
-0.14
-0.11
-251.16
16.81
-0.0001
N=172
標準偏差
0.15
0.15
0.22
144.38
0.61
F(4, 167)
P>|t|
0.525
0.336
0.641
0.084
0
= 1.00
従属変数=性交初体験年齢
年齢
性別
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸い始めた年齢
酒を飲み始めた年齢
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率
切片
修正済み決定係数
係数
0.44
-1.35
0.61
0.00
0.20
0.00
0.52
-0.18
-0.01
-436.60
4.59
0.1822
N=62
標準偏差
0.23
1.19
0.57
0.22
0.08
0.07
0.27
0.26
0.36
266.37
4.38
F( 10, 51)
P>|t|
0.061
0.262
0.285
0.993
0.023
0.948
0.056
0.479
0.969
0.107
0.3
= 2.27
係数
0.40
標準偏差
0.23
0.66
0.02
0.20
-0.01
0.47
-0.14
0.04
-405.22
4.13
0.1676
N=62
0.57
0.22
0.08
0.07
0.26
0.25
0.36
265.66
4.37
F(9,52) =
P>|t|
0.085
0.248
0.938
0.022
0.848
0.081
0.576
0.906
0.133
0.349
2.36
表 41: 性交初体験年齢に関する回帰分析(2)
従属変数=性交人数
年齢
性別
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸う
酒を飲む
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率
切片
修正済み決定係数
係数
0.69
-0.23
1.46
0.36
2.08
0.44
-0.46
0.54
0.40
128.25
-14.31
0.138
N=301
標準偏差
0.21
0.67
0.53
0.21
0.63
0.57
0.25
0.28
0.37
243.82
4.32
F( 10, 290)
P>|t|
0.001
0.737
0.006
0.089
0.001
0.444
0.073
0.052
0.272
0.599
0.001
= 5.79
係数
0.68
1.47
0.37
2.04
0.46
-0.45
0.51
0.39
115.00
-14.30
0.139
N=302
標準偏差
0.21
0.52
0.21
0.60
0.56
0.25
0.27
0.36
241.36
4.20
F( 9, 293)
P>|t|
0.001
0.005
0.076
0.001
0.416
0.076
0.06
0.284
0.634
0.001
= 6.43
係数
-0.51
0.46
0.14
220.75
1.59
0.0133
N=340
標準偏差
0.24
0.26
0.34
230.72
1.12
F(4,335)
表 42:性交人数に関する回帰分析その(1)
従属変数=性交人数
年齢
性別
一人暮らし
異性友人の数
たばこを吸い始めた年齢
酒を飲み始めた年齢
一般的信頼
功利主義水準
リスク回避度
時間選好率
切片
修正済み決定係数
係数
1.79
2.38
3.62
0.26
-0.59
0.00
-0.64
0.92
0.96
-356.56
-29.76
0.1391
N=86
標準偏差
0.64
3.91
1.70
0.64
0.25
0.20
0.74
0.73
0.97
777.81
12.37
F( 10,71)
P>|t|
0.006
0.545
0.037
0.689
0.02
0.991
0.389
0.209
0.327
0.648
0.019
=2.37
係数
1.84
3.53
0.22
-0.59
0.02
-0.58
0.88
0.87
-404.23
-28.40
0.1462
N=86
表 43:性交人数に関する回帰分析その(2)
29
標準偏差
0.63
P>|t|
0.005
1.69
0.04
0.64
0.733
0.25
0.02
0.20
0.934
0.73
0.43
0.72
0.227
0.96
0.368
770.65
0.601
12.11
0.022
F(9, 76) = 2.62
P>|t|
0.036
0.075
0.684
0.339
0.158
= 2.15