Microsoft Flight Simulator 98 フライトテクニック

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Chapter 1
飛行前点検−コンピュータの燃料補給
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
グラフィックスとハードウェアの問題 …………………………2
Flight Simulator 98 インストールのコツ ……………………3
コントロールパトロール …………………………………………4
コントローラ設定のコツ …………………………………………8
設定の方法 …………………………………………………………14
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航空の世界ではプロップウォッシュとか圧心といった専門用語が山積みで、予備知識がなければ、航
空学における本来の意味とかけ離れた意味を想像してしまいがちです。たとえば前者はプロペラの回転
による後方への空気流(プロペラ後流)のことを指すのであって、プロペラ用洗剤のことではありませ
ん(ちなみに後者も米連邦航空局の筆記試験会場のような心理的プレッシャーがかかる場所という意味
ではありません)
。逆に「計器だけを頼りに飛行(計器飛行の本質)」すると言っても深い意味はなく、
精密飛行という言葉と同義で使われます。
正確に飛行する能力は、普通はパイロットの飛行技術と知識のレベルにかかっています(本書ではこ
の両方を取り扱います)。しかし、航空機自体の果たす役割というのは意外に見過ごされがちです。たと
えば航空機が安定しており、指示に従ってくれるのであれば(操縦操作に適宜迅速に反応してくれるの
ならば)、自然とうまく飛行できるものです。この反対に、航空機の調子が悪くて墜落しないよう全神経
を集中しなければならない場合、航路に従ったり高度を保持するのはそれだけ大変な仕事になります。こ
の関係は本物の航空機で飛行していてもシミュレータを使っていても変わりません。
本章では、Flight Simulator 98 のコンピュータ上の航空機とプレイヤーをとりもつ要素について検証
することにしましょう。具体的には Flight Simulator 98 の設定オプションとコントローラのセットアッ
プについて解説します。この両者は、コンピュータがどうフィードバックを返しプレイヤーの操縦操作
にどう反応するかに影響するのです。本書で紹介する計器飛行の技術が高度になるにしたがって、それ
が成功するかどうか、またFlight Simulator98 を楽しめるかどうかは、コンピュータの設定に拠るところ
が大きくなっていきます。ほんの数分を割いて本章を読むことで、プレイの楽しみが増大し、フラスト
レーションを防ぐことにもつながるのです。
1.1 グラフィックスとハードウェアの問題
コンピュータゲームとシミュレーションで一番古くからある問題点は、ルックス(見た目)とフィー
ル(反応)のジレンマです。あなたが、ハードウェアのアップグレードに関して、お金に糸目をつけな
い人でない限り、見た目は良いけれど反応の鈍いシミュレーションと、反応は良いけれど見た目のみす
ぼらしいシミュレーションの、どちらかを選ばざるを得ないことも少なくありません。
幸いFlight Simulator 98 と計器飛行シミュレーションには2 つの特徴があり、このジレンマを切り抜け
ることができます。
1.
Flight Simulator 98 にはグラフィックス関係のオプションが多数あり、処理速度の遅いコンピュ
ータを使うプレイヤーにも適する中間設定が選べる。
2.
本書で解説されている飛行では計器飛行が焦点となっているため、地上の表現などのグラフィッ
ク上の「飾り」はあまり重要ではない。
反応速度が十分かどうかは個人の好みにもよりますが、それにしても極端に操作感触が悪い場合には、
「飛行モデリングがお粗末」だとか「プログラミングの欠陥」といった見当外れな批判さえされる場合が
2
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Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
あります。実際には、シミュレータのパフォーマンスが悪いのはハードウェアに問題があるか、設定が
適切でないかのどちらかです。どちらが原因でも、結果的に航空機が飛行不能になったり、精密計器飛
行には失格とみなされてしまいます。こうした状況を防ぐためにも、Flight Simulator 98 のパフォーマ
ンスを最適化することに集中し、計器飛行の感触を楽しみましょう。説明しなければならないことは山
ほどありますが、まずは一番最初の段階から始めます。
1.2 Flight Simulator 98 インストールのコツ
Flight Simulator 98 をプレイする場合、あたりまえですがゲームをインストールをする必要がありま
す。しかし時間をかけてインストール作業を一段階ずつ解説するのではなく、ここでは通常あまり気が
付かないような事項に注目し、計器飛行にかかわる部分によりスペースを割いてあります。インストー
ルとセットアップ方法の詳細については、同じくMicrosoft Press より出版されている『Microsoft Flight
Simulator 98:inside moves』(ISBN 1-57231-635-7)を参照してください。日本語版はアスキーより出版
されています(ISBN 4-7561-1948-4)。
システムの最低要件
Flight Simulator 98 をインストールする前に、自分のシステムが最低要件を満たしているかを確認し
てください。下記の要件を満たしていない場合、Flight Simulator 98 はうまく作動せず、どんなにオプ
ションの最適化作業を行っても、問題発生を防ぐことはできません。ちなみにお金やハードディスク容
量がいくらあってもありすぎということがないのと同様、Flight Simulator 98 をプレイするのにコンピュ
ータの処理速度が速すぎるということはあり得ません。
Flight Simulator 98 をインストールするコンピュータの最低要件は、次のとおりです。
基本ソフトウェア
コンピュータ本体に対応した Windows 95、または Windows NT Workstation 4.0 Service Pack 3
上記基本ソフトウェアに対応したコンピュータ システムコンピュータ本体
Pentium/90Mhz 以上を搭載し、解像度 640 × 480、256 色以上の表示が可能なパーソナル コンピュー
タ(Pentium/133MHz 以上、解像度 800 × 600 以上を推奨)
メモリ
■
Windows 95/24MB 以上(32MB 以上を推奨)
■
Windows NT Workstation 4.0 Service Pack 3/32MB 以上
ハードディスク
■
セットアップ時に150MB 以上の空き容量が必要(実行時には100MB 以上の空き容量が別途必要)
ディスク装置
■
CD-ROM ドライブ(倍速以上のもの)
3
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ディスプレイ
解像度 640 × 480、256 色以上の表示が可能なディスプレイ(解像度 800 × 600 以上を推奨)
その他
マウスまたは互換性のあるポインティングデバイス(ノート型コンピュータのキーボードで操作する
場合には、別途テンキーパッドが必要です)
オプション
■
Sound Blaster と互換性のあるサウンドカード
■
スピーカーまたはヘッドフォン
■
ジョイスティック(Microsoft SideWinder Force Feedback Pro を推奨)
■
3D アクセラレータカード
マルチプレイヤーモードの必要システム
モデム(28,800bps 以上)またはネットワークカード
一般的なインストールのコツ
[Flight Simulator 98]フォルダの[Readme.txt]ファイルと、ゲームマニュアルのインストールの項
を読んでください。ここではそれに加えて Flight Simulator 98 のインストールを行う上でのコツをいく
つか紹介します。
■
Flight Simulator 98 のインストールを開始する前に、実行中のアプリケーションをすべて終了し
てください。セットアップ処理中にほかのアプリケーションがシステムファイルや共有ファイル
を使用していると、このようなファイルをインストールすることができません。
■
Flight Simulator 98 では DirectX のバージョン 5.0 かそれ以降が必要で、これがインストールされ
■
ハードディスクの容量が 4 ギガバイト以上あると Flight Simulator 98 はインストールできません。
ていなければ、セットアップでインストールを行うことができません。
この問題の対策として、Microsoft 社ではFlight Simulator 98 のアップグレードパッチをリリース
しています。 このパッチでは、 同時に DirectX 5.0 の DirectPlay 機能もアップグレードし、
Internet Gaming Zone でのパフォーマンスが向上されます。入手希望の方は、Microsoft Flight
Simulator ウェブサイト http://www.microsoft.com/games/fsim/news.htm からダウ
ンロードできます。
1.3 コントロールパトロール
1997 年 5 月 30 日、連邦航空局(FAA)は勧告文書(AC61-126)を発行し、PC-ATD(パーソナルコン
ピュータ航空訓練デバイス)を計器トレーニング用に認可する際のガイドラインを設定しました。この
文書によると、学生パイロットはフライトインストラクタの指導の下、公認 PC-ATD 使用のトレーニン
グ飛行を 10 時間までフライト記録に含めることが認められています。
4
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Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
FAA は計器飛行の訓練では PC-ATD の使用を承認しましたが、本書出版時点においては、主流である
PC ベースのフライトシミュレータはPC-ATD として1 つも認可されていません。PC-ATD は新しいカテゴ
リの FAA 承認訓練デバイスです。Flight Simulator 98 のような PC ベースのプログラムが登場する以前
は、飛行単位として認可を受けていたのは、高価で用途の限られたフライトシミュレータや FTD と呼ば
れる飛行訓練デバイスだけでした。
PC-ATD として認可されるには、セルフセンタリングのヨークなどのコックピット操縦装置といった特
定のハードウェアが必要になり、こうしたハードウェアは訓練パッケージの欠かせない一部とみなされ
ます。Flight Simulator 98 をキーボード(またはマウス)だけでプレイすることも可能ですが、真のリ
アルさを追及するファンとしてはジョイスティックやフライトヨークと呼ばれるコントローラ(FAA は
こちらを推奨)を使い、プライマリコントロール(エルロン〈補助翼〉とラダー〈方向舵〉)を直接シミ
ュレートしてみないと気が済まないでしょう。FAA の理由付けや要件はさておき、単に見栄えがすると
いう以上にこうしたコントローラを手に入れた方がいい理由は山ほどあります。
Flight Simulator 98 をキーボードでプレイする場合、活用できない要素の一例としてエレベータトリ
ムが挙げられます。飛行機を飛ばすのを単純に楽しみ、精密飛行や着陸のことは考えないというのであ
れば、キーボードやマウスだけでも十分かもしれません。しかしゴールを精密操作がカギになる計器飛
行におく以上、キーボードとマウスでは対応しきれません。エレベータやエルロンのコントロールはマ
ウスやキーボードでも十分できますが、これを同時に入力する必要が生じたとき(対角動作)、フライト
コントローラのような精密操作はできません。
ヨークに挑戦
新米デスクトップパイロットで
も、一般にジョイスティックやフ
ライトヨークの操作には簡単に慣
れてしまうようです。確かに
Flight Simulator 98 でモデルとし
て使用された航空機の本物は、マ
ウスやキーボードではなくすべて
操縦桿とフライトヨークを使って
操縦します。もっと厳密に言えば、
すべての航空機(ソッピーズキャ
メル、シュワイツァー2-32 セイル
プレーン、エクストラ300 を除く)
が現実にはフライトヨークを使っ
ているのです。
図 1-1 CH Products 社製の Virtual Pilot Pro という手頃の価格で高性能のフラ
イトヨーク。スロットルコントロールとエレベータトリムホイール、およびボ
タン 6 つとハットスイッチ 2 個を装備。
5
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スティックでの操作
これに対し、実際のベル206B ジェットレンジャーヘリコプターは、サイクリックスティックを使って
います。ヘリコプター飛行にはジョイスティックだけでも十分でしょう。マウスやキーボードを使って
ジェットレンジャーを飛ばそうとしても、まず不可能です。ヘリコプターを飛ばすのは簡単なことでは
なく(3 軸の同時制御)、コントロール上でハンディがなくても非常に困難なのですから、ヘリコプター
を飛ばしてみたいと真剣に思っているのなら、ジョイスティックを用意しましょう。
注意:ヘリコプター飛行には、バネが固くて動かしにくいジョイスティックや人が加える圧力に反応
して抵抗感を与えるジョイスティックのものは避けましょう。飛行機と同様ヘリコプター飛行には緻密
な制御が必要です。ホバリングしているヘリコプターをコントロールするには、一方向から別の方向へ
とすばやく移れるような滑らかなスティックの動きが必要とされます。実際のヘリコプターに装備され
ているサイクリックスティックは、自動的に中央には戻りません。ジョイスティックがあまり固いと、制
御動作(非センタリング型では容易)を正確に行うことが難しくなってしまいます。
Microsoft 社のSideWinder 3D Pro はプログラマブルで、スロットルスライダ、ツイストアクションラ
ダーコントロール、ハットスイッチといった機能をスマートなパッケージに収めています。
スティックを握れ
Flight Simulator 98 では、DirectX 5.0 を通じてフォースフィ
ードバック型ジョイスティックをサポートしています。しかし現
在のところ Microsoft 社の SideWinder Force Feedback Pro 用
のドライバしか用意されていません(本項執筆時点で、CH
Products Force F/X 用のドライバのベータ版が http://www.
force-feedback.com から入手可能です)。Flight Simulator
98 に登場する航空機の中には、フライトヨークとジョイスティ
ックの違いを頭の中で克服する必要がある場合もあるかもしれま
せんが、フォースフィードバック型ジョイスティックを使えば、
Flight Simulator 98 のフライト経験の楽しみが倍増します。
フォースフィードバック機能を使えば、失速を起こしかけてい
図 1-2 Microsoft 社の SideWinder 3D Pro は、ジョ
イスティックの中でも人気の高い機能を選りすぐって
1 つのボディに収めている。
る状態の機体の揺れや乱気流での衝撃、加速の際の操縦桿の硬
直、それと対称的な減速時の緩みなどが文字どおり手に伝わって
きます。コンピュータの前に座っているときは、Flight
Simulator の機体の動きを体で感じることはできませんが、フォ
ースフィードバック機能を使えばこの欠陥を補ってくれます。Flight Simulator 98 でフォースフィード
型ジョイスティックを使うのは、まさに喜びと言えるでしょう。
6
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Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
ペダルプッシャー
ラダーペダルやラダーコントローラが
必要かどうかは、PC ベースの航空機を
飛ばす際の2 つの基準によります。まず
は[航空機の設定]での[フライトの
リアリティ]設定と、
[エルロンとラダ
ーの連動]チェックボックスが選択され
ているかにかかっています。あまり難易
度を上げないで Flight Simulator 98 の
航空機を飛行させる場合は、ラダーの
制御はキーボードで十分です。
しかしジェットレンジャーを操縦しよ
図 1-3
ThrustMaster 社の RCS は頑丈な作りのラダーペダル。
うと思ったら、ジョイスティックが必須
であるのはもちろんのこと、キーボード
でアンチトルク制御を行うのは大変困難
なことです。ヘリコプター操縦は、チュ
ーインガムをかみながら頭のてっぺんを
叩いて、お腹をなでながら歩くというこ
とを全部同時に行うようなものだと言わ
れます。実際のところホバリングはそれ
よりも難しく、それをコンピュータ上で
やるのはさらに困難になります。このた
めヘリコプター飛行を行う場合は、ラ
ダーペダルを購入するか、最低限ラダ
ー制御用にツイストアクションができる
ジョイスティックを求めることをお勧め
します。
図 1-4 CH Products 社の Pro Pedals はドライブゲームとフライトシ
ミュレーションの両用。
2 番目の基準はあくまで心理的で個人
の好みの問題です。ラダーペダルを実際の飛行機で使ったり、アンチトルク用ペダルをヘリコプターで
使用するのは、飛行経験の一部と言えます。人によってはペダルの代わりにツイスト型ジョイスティッ
クを使うのは、リアル感に欠けていると感じるかもしれません。これは自分の好みをよく考えて決めて
ください。
やはりペダルが必要だという場合、ThrustMaster 社とCH Products 社が優れたラダーペダル型のコン
トローラを製造しています。ThrustMaster 社のRCS はアルミとプラスチック製で、頑丈な製品です。CH
Products 社のPro Pedals は、車の運転と航空機の操縦の両方のシミュレーションに対応できるデュアル
ペダルアクション機能を搭載しています。
7
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スロットルジョッキー
Flight Simulator 98 ではキーボード、マウス、スロットルコントローラ(専用のスロットルコントロ
ーラもしくはジョイスティックのスロットルホイール)を使い、スロットルやヘリコプターのコレクテ
ィブを制御できるようになっています。飛行機のスロットル制御にはキーボードで十分ですが、これを
ヘリコプターのコレクティブ制御に使うのには物足りま
ヒント:[航空機の設定]は各々のフラ
イト内でしか保存されません。ラダー用
ペダルをフライト中に使用したり、保存
してある場面で[フライトのリアリティ]を上げて
飛行したい場合は、各場面を開いて設定し直す必要
があります。その状態を保ちたければ、それぞれを
新しい設定で保存しなければなりません。
せん。飛行機ではスロットルをすばやく調節する必要は
ありませんが、ヘリコプターをホバリングさせるには、
キーボードでは役不足です。こうした頭の中での違いは
さておき、ジョイスティックの中にはスロットルホイー
ル機能がコレクティブ制御に非常に向いている製品もあ
ります。
1.4 コントローラ設定のコツ
ジョイスティック、フライトヨーク、ラダー用デバイス、またはスロットル用デバイスを
Flight Simulator 98 で使用するには、Windows 95 の[コントロールパネル]でインストー
ルして調整を行う必要があります。DirectX 5.0 をインストールしてあると、[コントロール
パネル]内にはお馴染みの[ジョイスティック]アイコンの代わりに[ゲームコントローラ]
図 1-5 [コントロ
ールパネル]内の
[ジョイスティック]
アイコンは、DirectX
5.0 では[ゲームコン
トローラ]アイコン
に変更されている。
アイコンが表示されます。見かけは変わりましたが、操作方法はほとんど[ジョイスティッ
ク]と同じです。
コントローラ設定上のヒントを次に示します。
■
各々のコントローラをインストールする方法については、Windows 95 マニュアルとジ
ョイスティックメーカーの説明書を参照してください。
■
正しいコントローラドライバがインストールできたら、次にジョイスティックを調整する必要が
あります。調整には[ゲームコントローラ]アイコンをクリックし、表示される[ゲームコント
ローラのプロパティ]タブ内で行います。
■
ラダー用コントローラを持っている場合は、忘れずに[ラダー/ペダル]チェックボックスをオン
にしてペダルを有効にします。
調節(キャリブレーション)時の問題
今日市場に出回っているコンピュータは、大部分がゲームポートを搭載しており、マザーボードに組
み込まれているか、マルチファンクションカードやサウンドカードに付属しています。残念なことに高
速なコンピュータの中には、こうしたポートが正常に動作しないものがあり、調整上の問題を起こす場
8
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Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
合があります。もし調整上の問題が発生したら、ゲームカードが原因である可能性を見過ごさないでく
ださい。今日のPC 環境におけるハイエンドゲーム用には速度可変の専用ゲームカードが最適ですが、こ
れが必ずしも必要だったり、すべてのジョイスティックでうまく動作するというわけではありません。
コントローラの感度
コントローラのインストールと調整が終わると、今度は Flight Simulator 98 の中からコントローラを
有効にする必要があります。Flight Simulator 98 でのコントローラの構成は、
[オプション]メニューの
[コントローラの設定]コマンドで行います。
[感度]タブの左上角には[ジョイスティックを使用]というチェックボックスがありますから、これ
をオンにしてキーボードとマウス以外のコントローラを有効にします(コックピットで操縦中には、K
キーを押せばジョイスティックをオンにしたりオフにしたりできます)。[ジョイスティックを使用]チ
ェックボックスがオンになっていると、マウスとキーボードではフライト制御ができなくなります。
[ジョイスティックを使用]チェックボックスの下には[コントローラ]リストボックスがあり、イン
ストールされているコントローラがすべて表示
されています。この右には[軸]ドロップダウ
ンリストボックスがあり、
[コントローラ]リス
トボックスで選択したコントローラに応じて使
用可能な軸が決定されます。
[軸]ドロップダウンボックスのすぐ下には 2
本のスライダがあり、1 つはフライト制御の
[感度]を、もう1 つは[あそび]をコントロー
ルします。名前の示すとおり、[感度]は制御
操作がどれだけ敏感であるかを示します。この
スライダを[高]の方へ寄せると飛行機が制御
操作に敏感に反応するようになり、[低]の方
へ寄せるとその反対になります。[あそび]ス
ライダは、[コントローラ]リストボックスで選
んだコントローラによっては使用できなくなり
ます。これは[あそび]はジョイスティックの
軸にのみ適用されるからです。いずれにしても
[軸]ボックスの下にあるスライダは、現在選
択されている軸に対するコントローラのオプシ
ョンを反映しています。
9
図 1-6 調整で問題が発生したら、ゲームカードを疑ってみる
のを忘れずに。高速なコンピュータでは、ThrustMaster 社の
ACM のような速度可変の専用ゲームカードがふさわしいこと
も多い。
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ジョイスティックのトラブルシューティング
Windows 95 がジョイスティックを認識しなかったり、ジョイスティックが調整できない場合は、以下の解決方法
をお試しください。
システムにゲームカードやゲームポートが複数インストールされている場合、そのうち 1 つだけを有効にする
必要があります。余分なゲームカードやゲームポートを無効にする方法については、それぞれのゲームカード
やサウンドカードのマニュアルを参照してください。
■ ゲームポートのうちどれかがプラグアンドプ
レイ型である場合、Windows 95 はどちらを
有効にしておくかを決定できない場合があり
ます。1 つの解決法としては、システムをパ
ワーダウンしてゲームカードを全部取り外
し、自分が使用したいものだけをいったんイ
ンストールして Windows 95 でセットアップ
します。次にシステムを再度終了し、残りの
カードを再インストールし、新しく加えられ
たゲームポートをすべて無効にするよう設定
します。
■ Windows 95 用のジョイスティックドライバ
がないか、正しくインストールされていない
場合があります。適切なインストール方法に
ついては、Windows 95 のマニュアルかジョ
イスティック製造元の説明書を参照してくだ
さい。
■ Window 95 のゲームコントローラ構成が正
しく選択されていない場合があります。選択
図 1-7 Windows 95[ゲームコントローラのプロパティ]の[テスト]
したジョイスティックが、設定どおりの数の
タブでコントローラを調整できない場合、Flight Simulator 98 ででも調
軸を持っていることを確認してください。構
整できない。
成が「4 ボタン型スロットル付フライトヨー
ク」となっていれば、ボタンが 4 つとアナログスロ
ットルが付いているジョイスティックで作動します。
ヒント:コントローラの問題の多くはハ
チェックボックスをオンにすると、ラダー用ペダル
ードウェア関連ではありません。実はほ
が有効になります。
とんどの場合コントローラの設定が誤っ
■ Windows 95 用ドライバが正しく調整されていない
ているのです。ThrustMaster 社の FLCS のようなプ
場合があります。Windows 95[ゲームコントロー
ログラマブルなジョイスティックをお持ちで、ハッ
ラのプロパティ]の[テスト]タブでコントローラ
トスイッチやボタンをデジタル操作にプログラムし
を調整できない場合、Flight Simulator 98 を実行し
てある場合(キーを押した場合の信号を真似る)、
ても調整は不可能です。正しいドライバとジョイス
コントロールパネルの[設定]や[テスト]は、こ
ティックが選択されているのであれば、ジョイステ
れらのスイッチやボタンをジョイスティックのボタ
ィックかゲームカードが故障していることが考えら
ンとは認識しません。
れます。これを確認するには正しく作動しているも
のと交換し、調整できるかどうか試してください。
■
10
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Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
当然のことですが、今まで
飛行した経験がなかったり、
操縦経験が浅い場合には、感
度の設定が自分に合っている
かどうかを知る由もありませ
ん。とりあえず設定を変更し
ないで、変更が必要と思われ
るまでそのままにしておいて
もいいでしょう。感度が悪い
と感じたり制御不能と思うの
も、個人の好みに左右される
からです。旋回や離陸ができ
ないようであれば、問題の軸
の感度を上げてみましょう。
また逆に、ジョイスティック
をほんの少し動かしただけで
図 1-8 [コントローラの設定]ボックスでは、コントローラを有効にしたり構成
を行う。
飛行機が過剰反応するようで
あれば、問題の軸の感度を下げましょう。
[あそび]とはコントローラのニュートラル位
置周辺の、操作に反応しない「デッドスペース」
のことを指します。コントローラがニュートラ
ル位置にある(ジョイスティックが中央にある)
にもかかわらず、わずかな制御動作で航空機が
思わぬマニューバーを見せるようであれば、
[あ
そび]を大きくとってみてください。こうした
ヒント:マウスをフライト制御用として
有効にし、右ボタンをクリックして[マ
ウスを操縦桿として使用]を選択すると、
マウスとジョイスティックを同時に使うことができ
ます。これでマウスをフライト制御に使用できます
が、ジョイスティックを動かすとマウスによる制御
入力は無効になります。
問題は通常ジョイスティックやゲームカード自
体の問題であることが多いのですが、こうした調節を行うことでハ
ードウェア上の問題をソフトウェアで緩和できます。ちなみに[コ
ントローラの設定]画面の[あそび]設定ではコントローラ軸すべ
ての調節を行い、また、すべてのフライトに影響するので注意して
ください。
スライダの下には[軸の反転]チェックボックスがあり、このオ
プションをオンにすると選択された軸の操作が反転されます。これ
は標準外のコントローラ操作で役立つだけでなく、スロットルコン
トローラの操作をヘリコプターのコレクティブレバーと同じ方向に動
かせるように簡単に変更できます(ヘリコプターのコレクティブは手
前に引くと揚力が増し、これと反対に飛行機のスロットルコントロ
11
図 1-9 マウスの右ボタンをクリック
するとポップアップメニューが表示さ
れ、[マウスを操縦桿として使用]オ
プションが選べる。
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ヒント:[コントローラの設定]画面の左下に
ある[標準設定に戻す]ボタンを押すと、
[感度]
および[あそび]設定がすべて標準設定位置に
戻りますが、[ジョイスティックを使用]設定もオフになる
ので気を付けましょう。
ーラは向こうに押すと推力が増します)
。しかし
このオプションはグローバルで設定されますから
(すべてのフライトに影響)
、飛行機のスロットル
を使用する際には元に戻すことを忘れないでくだ
さい。
より進んだ調節
ここで紹介するヒントはFlight Simulator 98 の計器飛行で用いられる航空機全部にあてはまりますが、
解説を簡単にするためにセスナ182S を例として使います。182S では、スロットル制御ノブのすぐ左にコ
ントロール位置指示器があります。本物の 182S(ならびに非フライバイワイヤー方式の航空機全部)で
は、このような指示器は基本的に必要ないため付いていません。フライトコントローラは舵面に直結さ
れています。しかしコンピュータ上では、プレイヤーの制御動作が仮想航空機の制御動作に対応してお
り、これらは接続されていません。つまり仮想航空機の制御はソフトウェアを通じて管理されており、そ
のソフトウェアの設定によってはコントロールが適切にも不適切にもなり得るのです。コントロール位
置指示器という名前が示すように、これは舵面が作動範囲内でどこに位置しているかをグラフィックで
表示するものです。中央の垂直インデックスはエレベータを表し、上側の水平インデックスはエルロン
(補助翼)を、下側の水平インデックスはラダー(方向舵)を示しています。
勝手がわかるまではコントローラのパラメータを調節する必要はほとんどないと前述しましたが、コ
ックピットに入ったら、調節を始めてください。まずはスティックが中央にあるとき、ポインタも中央
にあるかを確かめます。中央にない場合は、ジョイスティックのトリムホイール(トリムホイール装備
機種に限る)を調節するか、問題のコントローラを再調整します。
次に、両方の軸の動きと方向を調べます。コントローラを動かしてみて、制御動作のインデックスを
観察します。ここで確認するのはエルロン制御でエルロンインデックスが
動くか、といったことです。また制御動作を行った際に、対応するインデ
ックスが正しい方向に動いているかを確認することも忘れてはなりません。
エルロンとラダーについては、インデックスが左に動けばコントローラが
左に動かされたことを示します。エレベータインデックスはエレベータコ
ントローラを上に動かした場合に上に動き、下に動かした場合に下に動く
ことになっています。ここで問題が発生した場合、
[コントローラの設定]
の[軸の反転]ボックスがオンになっていることがあります。
次は、コントローラの作動量を確認します。コントロール位置指示器の
ボックスの長さは、コントローラの両方向への動きを100 %表しており、中
央がニュートラル位置になります。計器パネルでインデックスを見ながら、
制御軸の1 つをゆっくりと動かしてみます。インデックスが位置インジケー
図 1-10 C-182S ではコントロール位置
指示器はスロットル制御ノブの左にある。
タボックスの端まで届かない場合、好みに応じてわざとこの軸の感度を下
げていない限り、その軸の感度を上げる必要があります。
12
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Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
反対に、コントローラをいっぱいに動かすよりも早くインデックスがインジケータボックスの端に届
いてしまうようであれば、その軸は感度が高すぎます。軸の感度が高すぎると、航空機は操作に過敏に
なってしまい、制御が難しくなります。感度が低すぎるとマニューバーが困難になり、まるでぬかるみ
を歩いているような感じを受けるでしょう。
言うまでもありませんが、コントローラの感度は好みの問題であり、1 人1人異なっています。まず
初めは、コントローラをいっぱいに動かしたと同時にインデックスも振り切るという感度設定にしてお
くのが安全でしょう。こうすれば各軸の制御を 100 %カバーでき、死点がありません。例外はラダー操
作で、ラダー感度設定はインジケータの動きの 100 %より少なくなるように設定するのを好む人が多い
ようです。
[あそび]調節に関しては、飛行中に行うのが適しています。しかし、大きな問題は飛行前点検の際に
発見対処できます。コントローラがニュートラル位置にあるときに、スパイクがあるかどうか確認して
ください。スパイクとはプレイヤーの意図に反する不規則な制御入力のことで、コントローラのポテン
ショメータが汚れている、ゲームカードに問題があるといったハードウェア関連のトラブルで発生する
ことが多いのです。それにしてもやはり[あそび]調節は役に立ちます。どうせタダなのですから一度
試してみましょう。
ここまでの解説で、コントローラは正しく設定されたはずです。これは重要なことで、有能なパイロ
ットであればコントローラの調整がまずくても、どこか変だと感じながらも飛行を行うことができます。
しかし悲しいかな、新米パイロットでは何か変だなどとは気が付かず、自分のパフォーマンスやパイロ
ット技量不足のせいにしてしまいます(実際にはコントローラの設定が不適切である可能性があるにも
かかわらず)。幸いコントローラは一度正しく調節してしまえば、コントローラを変えるか、[Flight
Simulator 98]フォルダの[Fltsim98.cfg]ファイルをバックアップせずに Flight Simulator 98 を再イン
ストールしない限り、二度と再調整する必要はありません。
コントローラの配置
フライトシミュレーションで無視されがちなコントローラ設定の1 つに、コントローラの配置が挙げら
れます。これはプレイヤーがどの位置で何に座っているかに対して各コントローラをどのように配置す
るかということです。飛行中の飛行機のコックピットに座っている場合、機体を正確に制御するには、
機体が振動しても手だけはしっかりと安定していることが必要です。このような条件下で手の安定を保
つには、腕やひじを何かの上に休めるか支えることです。ひじを何かしっかりしたもので支えれば、手
が安定して機体がうまく制御できます。
当然のことながら、コンピュータの前に座っている間は乱気流のような振動の心配をする必要はあり
ませんが、実際の飛行機で使われるテクニックを習得しておくのはよいことです。操縦桿を正確な位置
に動かすことは、手が安定していなければ非常に困難です。体を安定させる方法としては、がっしりと
した椅子に背中を付ける、手のひらの端や手首をジョイスティックの台に乗せて操作するなどいろいろ
考えられます。
13
chap01** 99.7.14 6:59 PM ページ 14
コックピットでは安全ベルトで座席にしっかり体を固定されているため、ひじを体にあてれば安定が
保てます。ひじを脇腹にしっかり押さえ付ければ十分サポートできますが、この姿勢を長く保つのは疲
れるかもしれません。もう1 つのひじの支え場所としてはコックピットのひじ掛けがあります。もちろん
どちらをとるかは個人の好みですが、ひじ掛けを好むパイロットが多いようです。これで考慮すべき点
は説明しましたから、自分にはどのポジションが合っているかを探してみてください。
ヘリコプターの操縦士は、ヘリコプターハンチという姿勢を身に付けます。サイクリックスティック
を足の間に置いてひじ掛けをひじ支えに使うというのは、現実には無理があります(ひじから手首まで
が異様に長い人の場合は別ですが)
。前腕を足の上に乗せて安定をとるというのが一般的のようです。こ
れがヘリコプターハンチという姿勢なのです。
これは実際の航空機操縦での話ですが、コンピュータのジョイスティックは足の間にはさんで使うよ
うにはできていません。飛行機の項で前述した方法で体の安定を図ってください。繰り返しますが、た
とえ外界の力でコントローラの安定が崩される心配はないとしても、手を安定させればコントローラ操
作の正確度は確実に増します。
1.5 設定の方法
設定をどうするかは個人の好みの問題であることが多いのですが、常にそうであるとは限りません。前
述のとおり、Flight Simulator 98 でプレイしてみたい内容によって、どのような設定が適しているかが
左右されます。設定を行うことにより何を表示してどの音を出すかだけでなく、こうした情報をどの程
度まで見せたり感じさせたりするかを決めることができます。
グラフィックスの感触
シミュレーションを最高の解像度かつ滑らかなフレームレートで楽しみたいとは、誰もが当然思うこ
とです。グラフィックスの質と量の重要度は、プレイヤーが Flight Simulator 98 で何をしたいかによっ
て変わってきます。背景画像を楽しみたいのであれば、少々フレームレートが遅くても、美しい風景が
見れれば問題ないでしょう。ここでは計器飛行を行うわけですから、グラフィックス(見た目)と反応
速度のどちらかを選択しなければならない場合は(ほとんどの人がこれにあてはまるはずです)
、計器表
示の速度を優先して風景は諦めた方が正解です。
「フレームレート」とは、1 秒あたりに画面(フレーム)が描き直される回数を指しています。画面の
描き直し速度が早ければ早いほど、アニメーション、フライト、風景などが滑らかに表示されます。し
かしシミュレーションに関しては、フレームレートが低いとシミュレーション感触までが影響されます。
たとえば画面更新が遅すぎると快適飛行するにはコマ送りが荒すぎ、制御入力も遅れたり不正確になっ
たりします。
これも結局は個人の好みしだいの主観的な領域で、ある人が快適と感じる設定が、別の人にも快適で
あるとは限りません。ここではガイドラインを示すにとどめます。
14
chap01** 99.7.14 6:59 PM ページ 15
Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
Flight Simulator 98 で表示の設定を行うと必ずグラフィックスのパフォーマンスに影響が生じます。こ
れにはディテール量の指定、画面解像度、航空交通量、天候、ウィンドウの数およびサイズなどが含まれ
ています。景色を楽しむのではなく精密飛行を追及する以上、飛行機が操作に敏感に反応して計器表示更
新もスムーズにすばやく行われるよう、ディテールと解像度を下げて、フレームレートを確保します。デ
ィテールおよび解像度設定に対しシステムの能力が不足している場合、常時「やっとの思い」でプレイす
ることになり、決してうまく飛行することはできないでしょう。
フレームレートに関しては人によって意見はまちまちで
すが、1 秒あたり 15 フレームを下回ると、高度なフライ
トにはコマ送りが荒すぎると感じる人が多いようです。
Flight Simulator 98 ではフレームレート表示があり、自分
が快適に感じる設定を見つけてグラフィックスのディテー
ルとバランスをとれるようになっています。キーボードで
s + Z キーを押すと、そのとき使用しているウィン
図 1-11 s + Z キーを押すと航空機位置を示
す座標とフレームレートのカウンタが切り替わる。
ドウの左上の表示が、航空機位置を示す座標とフレーム
レートのカウンタで切り替わります。
表示設定
以上で自分がどのような設定を望んでいるか
がわかったはずですから、それを達成するため
に実際に設定を変更してみましょう。表示の
ヒント:[設定]ウィンドウや[画面表
示オプション]サブウィンドウで任意の
表示オプションを調節すると、[パフォ
ーマンスモード]ボックスの表示は自動的に[ユー
ザ設定]に切り替わります。
[設定]ウィンドウは、[オプション]メニュー
で[設定]を選択すると現れます。表示設定は
グローバルであり、ここで行っ
た変更内容はすべてのフライト
に影響を及ぼします。前にも述
べましたが、画面表示オプショ
ンはグラフィックスのパフォー
マンスを左右します。この時点
でまだ画面表示オプションを自
分で選ぶ自信がない場合、[表
示]タブの[パフォーマンスモ
図 1-12 [パフォーマンスモード]ドロップダウンボックスでは、マシンタイ
プ、パフォーマンス設定、グラフィックス解像度に基づいた推奨標準構成が挙げ
てある。
ード]というドロップダウンボ
ックス(ウィンドウの一番上)に推奨される標準構成が挙げてありますから、フレームレート表示と照
らし合わせた上で、そこから自分の必要に応じた設定を選ぶことができます。
推奨標準構成にはマシンタイプ、パフォーマンス設定、グラフィックス解像度という 3 つの基準が使
われています。グラフィックスとプレイ感触を完璧に設定するには、次の事項を参考にしてください。
15
chap01** 99.7.14 6:59 PM ページ 16
■
自分のマシンタイプかそれ以下の設定
をまず選択します。
■
より高度な飛行には[速度優先]を、
景観を楽しんだり処理速度の速いマシ
ンで Flight Simulator 98 をプレイする
場合には[画質優先]を選びます。
■
フレームレートのパフォーマンスに基
づいて[高解像度]か[低解像度]を
選びます。
PC 上での 3D
DirectX 5.0 の仕様には Direct3D(D3D)
が含まれており、主要なグラフィックスボ
図 1-13 [ハードウェアアクセラレーション]タブでは、Flight Simulator 98
のフルスクリーンデバイスを選択構成する。
ードベンダのすべてがサポートしています。
このため Flight Simulator 98 は、D3D を通
じてほとんどの3D アクセラレータカードで
作動します。しかし3D の機能(ぼやかし効果など)やD3D の全体的パフォーマンスは、チップセットや
メーカーによってまちまちです。こうしたカードの購入をお考えの際は、大枚をつぎ込む前にじっくり
検討しましょう。3D グラフィックスをサポートしたカードがあれば、2D のビデオカードに対し明らかな
性能向上が実感できるでしょう。またディテールやフレームレートを上げて Flight Simulator 98 を楽し
むことができます。
3D グラフィックスカードを購入、装着、構成する際のヒントとコツを次に示します。
■
Flight Simulator 98 で効果を表すには D3D 互換性が必要ですが、これはほとんどのカードが満た
しています。
■
3D モードで雲が透けて見えるようにするには、[雲の厚さを表示]オプションをオフにしてくだ
さい([オプション]−[設定]−[表示]タブ−[画面表示オプション]ボタン−[風景]タ
ブ−[雲の厚さを表示])。
■
3Dfx Voodoo ベースのカードは、フルスクリーンモード以外では3D アクセラレーションをサポー
トしません。3Dfx 社の Voodoo および Voodoo2 グラフィックスチップを用いた 3D アクセラレー
タカードでは、フルスクリーンモード以外でハードウェアアクセラレーションを利用できません。
しかし、Voodoo Rush チップを用いた製品では、ウィンドウ状態でのアクセラレーションも可能
です。また、3Dfx ドライバをフルスクリーンデバイスとして有効にする必要があります。これに
は[オプション]−[設定]−[表示]−[画面表示オプション]−[ハードウェアアクセラレ
ーション]で[ハードウェアアクセラレーションを使用]をオンにします。それから[フルスク
リーンデバイス]のところで[3Dfx Interactive DirectX Driver (Direct3D)]を選択し、フルス
16
chap01** 99.7.14 6:59 PM ページ 17
Chapter 1 飛行前点検−コンピュータの燃料補給
クリーンモードを 800 × 600 × 16 以下の解像度に設定します。フルスクリーンモードに入るには、
a + v キーを押してください。
■
3Dfx Voodoo ベースのグラフィックスカードでD3D モードにあるとき、
(つまりフルスクリーンモ
ード時)、Flight Simulator 98 のメニューバーは表示できません。
■
ウィンドウ状態でハードウェア3D アクセラレーションを利用するには、スクリーンモードが16 ビ
ットカラーに設定されていなければなりません。
■
3Dfx Voodoo ベースのグラフィックスカード使用時に起こる滑走路照明の「バブル化」現象は、
最新版のドライバを使用することで解消されます。http://www.3dfx.com からダウンロード
できる Voodoo ドライバを使えば大丈夫です。
サウンド設定
サウンド設定は、画面表示の設定ほどはグラフィックスのパフォーマンスに影響を及ぼしませんが、コ
ンピュータの処理速度によってはサウンド設定をし直す必要が出てくるでしょう。ほとんどの場合はサ
ウンド設定を変えてもパフォーマンスは大して向上せず、Flight Simulator 98 のリアルな音響効果を犠
牲にするほどの価値はありません。またサウンドオプションの中には、計器飛行の手順を助けてくれる
ものもあることを覚えておいてください。
全般的サウンド操作
サウンド設定もグローバルに適用されますが、音を出すかどうか(オンにするかオフにするか)はシ
チュエーションベース(各フライトごとに保存)です。この全体的なサウンド設定はフライトを保存す
る際に一緒に保存されるため、この設定を活用することも、無視することも、また上書きすることもで
きます。
キーボードで Q キーを押せば、全サウンドをオンやオフにできます。[設定]の[一般]タブ([オ
プション]をクリックして[設定]を選択)で、[起動時]オプションウィンドウのまん中には[サウン
ド]というドロップダウンボックスがあります。このドロップダウンボックスで[オフ]
、[オン]
、[飛
行の設定を使用]の 3 つの選択肢から設定します。
[オフ]を選ぶと全サウンドがデフォルトでオフになります。こ
れはFlight Simulator 98 の起動時はいつでも、保存した飛行での
設定に関係なく音がまったく聞こえなくなるということを示して
います。逆に、
[オン]では飛行の設定にかかわらず音が聞こえ
ます。[飛行の設定を使用]オプションでは、保存された飛行で
の設定に従います。ここでは注意してほしいのは、Q キーはこ
図 1-14
サウンドに関する 3 つの選択肢
うした設定より優先されるということと、
[起動時]オプション ([オフ]、[オン]、[飛行の設定を使用])
でサウンドを[オフ]にしてもオープニングムービーの音は消え
ないということの2 点です。
17
は、[起動時]オプションの[一般]設定
タブにある。
chap01** 99.7.14 6:59 PM ページ 18
サウンドに関するアドバイス
メニューバーの[オプション]から[設定]を選び、そこで[サウンド]タブをクリックすると[サ
ウンド]設定ウィンドウが表示されます。
[サウンド]設定ウィンドウの左側には、コントロール可能な
サウンドのカテゴリが5 つ示してあります。各カテゴリのすぐ右にはスライダがあり、オフにしたいカテ
ゴリは左のチェックボックスをオフにします。それぞれのカテゴリのボリュームは、対応するスライダ
で調節します。おわかりかと思いますが、
[高]とは音量を上げることを意味し、[低]とは音量を下げ
ることを指します。
5 つのサウンドグループの内容は次のとおりです。
エンジン:エンジン音のみです。この音量を下げたりオフにすることができると、長時間のクロスカン
トリー型のフライトのときに便利ですが、このオプションをオンにしてあれば、エンジンの出力状態や
トラブルが即座にわかります。
操縦席:操縦席音とは失速警告音や、マルチプレイヤーモードでのメッセージビープのことを指します。
失速警告やメッセージビープはかなり重要な要素であるため、これはオンにしておく方が良いでしょう。
せいぜいボリュームを調節する程度にしておいてください。
環境:環境というグループに入るサウンド
としては、衝突音、着水音、着陸時のすべ
り音や衝撃音などがあります。こうしたサ
ウンドは歪んだ衝動を満足させるにすぎな
いと思われがちですが、ときには役に立つ
場合もあります。と言っても衝突音や着水
音は役に立たないかもしれませんが、着陸
時に(聴覚情報を通じて)車輪が地面に降
り立った瞬間を聞き取ることができれば、
現状を正しく把握するのに役立つでしょう。
航法計器:航法計器音とは、ILS 着陸用の
マーカービーコンといったような無線航法
計器の音に限られます。これは必ずオンに
しておいてください。
図 1-15 [サウンド]設定ウィンドウでは、Flight Simulator 98 のサウンドの
5 つのカテゴリが挙げてある。
アドベンチャー:これをオフにすると、こ
のゲームの肝心なところを楽しめなくなっ
てしまいます。このオプションでは、航空
交通管制無線命令と副操縦士の声をオンに
します。
18
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 19
Chapter 2
航空機
2.1
2.2
2.3
トレーナー機 ………………………………………………………20
輸送機 ………………………………………………………………25
そのほかの計器飛行航空機 ………………………………………31
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 20
Flight Simulator 98 では8 機の航空機を用意していますが、全部が計器飛行に向いているわけではあり
ません。これは認可計器が装備されていなかったり、機種特有の制限(たとえばセイルプレーンの推進
力は「ユーザ操作」では調整できないことなど)があるからです。Flight Simulator 98 でIFR 対応の航空
機でも、全部が初歩の計器飛行訓練に向いているとは限りません。これは2 つの要素によるもので、1 つ
は航空機の複雑さ、もう 1 つの要素は航空機によってある程度高速で飛行しなければならないというこ
とに起因しています。
計器だけに頼って操縦している場合、プレイヤーの操作負担量はかなり高くなります。速度の速い航
空機で飛行していると、同じだけの操作を短い時間内にこなさなければならず、負担はさらに増大しま
す。これは諸刃の剣で、航空機がより複雑であると操作量が増え、速度が速いためにこれらの操作を短
い時間で処理しなければならないのです。
この反面、Flight Simulator 98 に登場する複雑な航空機は洗練された自動操縦システムを持っており、
計器飛行の習得用にも十分使えると考える人もいます。確かに操縦技術は初歩の初歩といった人でも、
ボーイング 737 搭載の自動操縦装置を使えばおそらく宙返りもやってのけ、計器飛行に成功といったこ
とになりかねません。しかし、自動操縦装置はあくまで道具であり、操縦技術に代わるものではないの
です。これに異論のある方は、本書よりも「自動操縦飛行トレーニング」といったタイトルの本でも読
んだ方がよいでしょう。
さて、計器飛行の訓練は、従来トレーニング用に用いられてきたような航空機、特にセスナ182S やセ
スナ182RG(C-182RG は格納式着陸装置が付いているために、
「複雑」な飛行機の部類に入れられていま
すが)などで始められることを強くお勧めします。操縦技術が上達したら、Flight Simulator 98 の別の
航空機にも挑戦してみてください。
本章では、Flight Simulator 98 に登場する航空機の中で計器飛行に完全対応している機種の簡単な歴
史、仕様、および対気速度限界を紹介します。仕様の中には実際には無意味の数値(機内寸法など)も
ありますが、対気速度限界などはフライト計画やフライト構成を立てるにあたって非常に役に立ちます。
航空機の登場順は、計器飛行の初歩訓練に適した順番となっています。
2.1 トレーナー機
1 つの飛行特性だけを検証し、その飛行機がトレーナー機と分類されるかどうかを決定できるかは疑わ
しいものがありますが、トレーナー機では、パフォーマンスとスピードが操縦士がヒマにならない程度
に高いことが必要です。同時に、パフォーマンスとスピードが高すぎると、経験不足のパイロットは圧
倒されてしまいます。Flight Simulator 98 では、現実と同じくセスナ 182S スカイレーンとセスナ 182RG
スカイレーンがトレーナー機として最適です。この 2 機は比較的スピードが遅く、小回りがきき、パワ
ーがあり、少々のことも吸収してくれる性質を持っており、初歩の操縦トレーニングには理想的です。
メーカーが同じですから、ここでは一緒に解説します。
20
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 21
Chapter 2 航空機
セスナスカイレーン:歴史
クライド・セスナがセスナエアクラフト社を創設したのは1911 年で、1927 年にはカンザス州ウィチタ
にある工場で航空機製造を開始しました。182 型の製造が始まったのは 1956 年(この年、後に「スカイ
ホーク」と呼ばれる 172 型の製造も開始)で、1958 年には 182 型のデラックス版航空機に「スカイレー
ン」という名称が与えられました。
1962 年に 182 型の機体デザインが一新され、大型のキャビンに後部窓が追加されたスポーティーなデ
ザインになりました。それ以来、内部構造的な変更はありましたが、今日のスカイレーンは 1962 年製造
型とほとんど同じ外見を保っています。
スカイレーンは 1987 年末まで継続的に製造されていましたが、アメリカの複数の軽飛行機メーカーが
大量の賠償訴訟を起こしたことから、製造中止に追い込まれました。その後、法が改正され、軽飛行機
メーカーに対する保護措置がとられ、賠償訴訟の数も減りました。その結果、1996 年にスカイホークと
スカイレーンの製造が再開され、セスナの新型モデル 182S が導入されますが、これが Flight Simulator
98 に登場しているモデルです。
スカイレーンの特性と比較
182S と 182RG の一番明白な違いは
182RG の着陸装置が格納式である(RG は
格納式装置 Retractable Gear の略)こと
ですが、性能的にも非常に似通った飛行
機です。プレイヤーが気付くような性能
上の相違点としては(着陸装置を上げた
り 降 ろ し た り す る 手 間 を 除 い て は )、
182RG の方が巡航速度、最高速度、上
昇率が高いということです。このほかの
性能数値はほとんど同一ですが、コック
ピットの内部にはいくつか相違点があり
図 2-1 セスナ 182S スカイレーン
ます。
182RG 型のエンジンの動力は 182S 型に比べて 5 馬力多いのですが、着陸装置格納システムの重さのた
め、この程度の馬力の効果は無効になってしまいます。着陸装置を格納して空気の流れにあたらないよ
うにしても、空気抵抗の削減という観点からすると大した効果はありません。
182RG と182S には異なる計器パネルが装着されています。182S にはセスナ社製の最新単発機用パネル
が付けられており、182RG にはそれより古い型のパネルが装着されています。搭載されている計器や無
線装置はほとんど同じなのですが、182RG の方は VOR 受信器/指示器が 1 つしか装着されていません。
182RG にはシリンダーヘッド温度ゲージと EGT(排気ガス温度)ゲージも付いておらず、少々異なる燃
料ゲージとオイルゲージが装着されており、それから着陸装置指示器が追加されています。
21
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 22
セスナ 182S スカイレーン:仕様
エンジン
テクストロン社ライカミング
モデル番号
IO-540-AB1A5
最大パワー
230BHP 定格
プロペラ
McCauley 社製 2 翼定速プロペラ
着陸装置
固定型 3 脚、前輪操舵可能
表 2-1 セスナ 182S エンジン計器表示
計器
赤線
(最低)
緑の円弧
(通常の動作範囲)
赤線
(最大限界)
エンジン回転計
−
2,000 ∼ 2,400RPM
2,400RPM
吸気圧力計
−
15 ∼ 23" Hg
−
シリンダーヘッド温度計
−
200 ∼ 500 °F.
500 °F.
油温計
−
100 ∼ 245 °F.
245 °F.
油圧計
20PSI
50 ∼ 90PSI
115PSI
E
−
−
燃料タンク計
(各タンク残量 2.0 ガロン)
燃料流量計
−
0 ∼ 15GPH
−
真空計
−
4.5 ∼ 5.5" Hg
−
乗員数
1名
座席数
4席
全長
29 フィート
全高
9 フィート 3 インチ
翼幅
36 フィート
翼面積
175.5 平方フィート
最大ランプ重量
3,110 ポンド
最大離陸重量
3,100 ポンド
最大着陸重量
2,950 ポンド
空虚重量
1,882 ポンド
実用荷重
1,228 ポンド
翼面荷重
17.8 ポンド/平方フィート
馬力荷重
13.5 ポンド/平方フィート
最大燃料積載量
92 ガロン
最大実用燃料積載量
88 ガロン
最大上昇率(平均海面)
924 フィート/分
22
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 23
Chapter 2 航空機
実用上昇限度
18,100 フィート
最大速度(平均海面)
145 ノット
巡航速度(出力 75 %)
140 ノット
最良巡航高度
8,000 ∼ 10,000 フィート
機内
キャビン長
表 2-2
11 フィート 1 インチ
キャビン最大幅(中心線)
3 フィート 6 インチ
キャビン幅(床レベル)
3 フィート
キャビン高
4 フィート 0.5 インチ
セスナ 182S スカイレーン対気速度と対気速度限界
Vne
175 KIAS
超過禁止速度
Vno
140 KIAS
巡航速度
設計運動速度
Va
3,100 ポンド
110 KIAS
2,600 ポンド
101 KIAS
2,000 ポンド
88 KIAS
Vfe (1)
10 度以上 140 KIAS
Vfe (2)
20 度以上 120 KIAS
Vfe (3)
フル 100 KIAS
Vr
50 ∼ 60 KIAS
最大フラップ下げ速度
ローテーション速度
最良上昇角速度
Vx
平均海面
63 KIAS
10,000 フィート
66 KIAS
最良上昇率速度
Vy
平均海面
80 KIAS
10,000 フィート
72 KIAS
最良滑空速度(フラップ上げ)
3,100 ポンド
75 KIAS
2,600 ポンド
60 KIAS
2,000 ポンド
62 KIAS
最良滑空速度(フラップ下げ)
高度 3,100 フィート
70 KIAS
アプローチ速度
(エンジン停止、フラップ上げ)
70 KIAS
アプローチ速度(フラップ 10 度)
65 KIAS
Vs
54 KIAS
Vso
49 KIAS
失速速度(着陸状態)
Vref
約 60 KIAS
着陸速度
最大許容横風(離着陸時)
15 ノット
23
失速速度(クリーン)
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 24
セスナ 182RG スカイレーン:
仕様
エンジン
アブコ社ライカミング
モデル番号
O-540-J3C5D
最大パワー
235 馬力
着陸装置
格納式 3 脚、前輪操舵可能
図 2-2 セスナ 182RG スカイレーン
表 2-3 セスナ 182RG エンジン計器表示
計器
赤線
(最低)
緑の円弧
(通常の動作範囲)
赤線
(最大限界)
エンジン回転計
−
2,000 ∼ 2,400RPM
2,400RPM
吸気圧力計
−
15 ∼ 23" Hg
−
油温計
−
100 ∼ 245 °F.
245 °F.
油圧計
20PSI
60 ∼ 115PSI
15PSI
燃料タンク計
E
−
(各タンク残量 2.0 ガロン)
−
燃料流量計
−
0 ∼ 15GPH
−
真空計
−
4.5 ∼ 5.5" Hg
−
乗員数
1名
座席数
4席
全長
28 フィート 7.5 インチ
全高
8 フィート 11 インチ
翼幅
36 フィート
翼面積
174 平方フィート
最大ランプ重量
3,112 ポンド
最大離陸重量
3,100 ポンド
最大着陸重量
3,100 ポンド
空虚重量
1,782 ポンド
実用荷重
1,330 ポンド
翼面荷重
17.8 ポンド/平方フィート
馬力荷重
13.2 ポンド/平方フィート
最大燃料積載量
92 ガロン
24
chap02** 99.7.14 7:03 PM ページ 25
Chapter 2 航空機
最大実用燃料積載量
88 ガロン
最大上昇率(平均海面)
1,140 フィート/分
実用上昇限度
14,300 フィート
最大速度(平均海面)
160 ノット
巡航速度(出力 75 % 7,500 フィート) 156 ノット
表 2-4
セスナ 182RG 対気速度と対気速度限界
Vne
超過禁止速度
178 KIAS
Vno
157 KIAS
巡航速度
Va 3,100 ポンド
112 KIAS
設計運動速度
Vfe (1)
10 度以上 140 KIAS
最大フラップ下げ速度
Vfe (2)
20 度以上 120 KIAS
Vfe (3)
フル 95 KIAS
Vr
55 KIAS
ローテーション速度
Vy 平均海面
80 KIAS
最良上昇率速度
最良滑空速度(フラップ上げ)
3,100 ポンド
83 KIAS
アプローチ速度
(エンジン停止、フラップ上げ)
70 KIAS
アプローチ速度(フラップ 10 度)
65 KIAS
Vs
54 KIAS
失速速度(クリーン)
Vso
50 KIAS
失速速度(着陸状態)
Vref
最高 60 KIAS
着陸速度
最大許容横風(離着陸時)
15 ノット
2.2 輸送機
輸送機はトレーナー機よりも人員を多く運べるという点のほかに、両者の主な相違点としてサイズと
スピードが挙げられます。ただし、速度が速いからといって動作がすばやいとは限りません。ボーイン
グ737-400 はトレーナー機よりも速度こそ速いのですが、動きときたら昔話にでてくる乗り合い馬車のよ
うに純重です(737 はバスがたまたま飛んでいるようなものと考えれば、この飛行特性もさほど驚くに値
しません)。
25
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輸送機の特性と比較
Flight Simulator 98 に登場する航空機の中で、輸送機と分類できるのはリアジェット 45 と、前述のボ
ーイング 737-400 の 2 機です。スカイレーンと比較するとサイズが大きいということに加え、この 2 機は
タービン多発ジェット輸送機です。本物は予圧式キャビンを採用していますが、Flight Simulator 98 で
の仮想パイロットには生理学上の影響は出ないでしょう。が、タービン動力と与圧式キャビンは、単発
ピストン非与圧キャビンのスカイレーンと比べ、高々度飛行に適しています。
ゲームをプレイするとおわかりかと思いますが、輸送機クラスの航空機は離着陸時の速度が非常に速
く、本章の初めでも述べましたが、このために初歩の計器飛行訓練には向いていません。しかし自分の
技量を試してみたい方の場合、737 の方が扱いやすいということも覚えておいてください。サイズの関係
上、リアジェット 45 に比べて過剰操作への反応がゆるやかです。737 を空飛ぶバスにたとえましたが、
これに対してリアジェット45 はフェラーリのリムジンといったところでしょうか。
コックピット内部は、どちらの輸送機もグラスコックピットと呼ばれる電子表示を多用しています
(737-400 の方は電子計器と先進アナログ計器が混在していますが)。電子表示の方が情報認識が簡単で、
情報読み取りの労力が軽減されると感じるパイロットが多いようです。計器飛行トレーニングを輸送機
で行うことの難点を繰り返すようですが、こうした航空機は飛行速度が速いため、初心パイロットにと
っては計器認識上のメリットなど無効になってしまうのが一般的です。もちろんこれは先進の自動操縦
機能を使わなければの話ですが。
ボーイング 737-400 :歴史
ボーイング社は 1917 年にウィリアム・ボーイング
によって創設されました。創設当初から、ボーイン
グ社は軍用機の製造に興味を示しており、1930 年代
にモデル247 というすばらしい旅客機を世に送りだし
ましたが、ボーイングの民間輸送機の多くは同社の
軍用機をベースにしていました。第 2 次世界大戦で最
も有名な爆撃機は、「空飛ぶ要塞」と呼ばれたボーイ
ング社の B-17 なのです。ボーイング社は長い年月に
渡って大型機製造の伝統を守り、
「スーパーフォート
レス(超空の要塞)」B-29、「ストラトジェット(成
図 2-3 ボーイング 737-400
層圏ジェット機)
」B-47、そして畏敬すべき「ストラ
トフォートレス(成層圏の要塞)
」B-52 といった有名な爆撃機を開発しました。
高い評価を受けた「7」シリーズの 3 番目の作品であるボーイング 737 シリーズは、民間旅客機として
は過去最高のベストセラーとなりました(空には常時700 機以上の 737 シリーズが飛んでいます)
。1967
年に最初に導入されて以来、737 シリーズの短・中距離ジェット輸送機は何代かにわたって進化を遂げ、
ボーイング社顧客のニーズに対応してきました。現在製造されている737 シリーズは3 種類だけで、一番
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Chapter 2 航空機
小型なのは座席数 108 の 737-500 型、それより少し大きいのが座席数 128 の 737-300 型、そして最も大型
なのが座席数 146 の 737-400 型(Flight Simulator 98 に登場)となっており、すべて2 クラス構成です。
737-400 型機が最初に運行されたのは 1988 年 9 月 15 日のことでした。現在では標準型と長距離型の 2
種類があります。737 シリーズの「次世代」機(737-600 型、737-700 型、737-800 型)は、現行モデルに
比べてより速く、より高く、そしてより遠くまで飛ぶことになるでしょう。また運行費、騒音、燃費、
推力といった点でも改良されているはずです。
世界中で 3,000 機以上の 737 シリーズが運行されており、さらに何百機もの注文が入っています。こ
のため航空会社の新米パイロットが初めて操縦するジェット輸送機は、ボーイング 737 シリーズである
ことが多いのです。
ボーイング 737-400 :仕様
エンジン
CFM インターナショナル
モデル番号
CFM56-3B または CFM56-3C
高バイパス比ターボファン双発
最大パワー
それぞれ22,000 ポンド(97.86 kN)
または 23,500 ポンド(105 kN)
乗員数
2名
座席数
最高 188(米での標準構成は 146)席
全長
119.7 フィート
全高
36.6 フィート
尾翼高
36.5 フィート
翼幅
94.9 フィート
翼面積
1,135 平方フィート
アスペクト比
7.91
最大離陸重量
138,500 ポンド
(ハイグロス版は 150,000 ポンド)
有効貨物積載量
1,373 立方フィート
翼面荷重(183,500 ポンド)
132.2 ポンド/平方フィート
最大実用燃料積載量
36,114 ポンド(5,311 米ガロン)
最大予圧差
8.65 ポンド/平方インチ
最大速度
マッハ0.82
航続距離
2,390 スタチュートマイル(乗客 146 名の場合)
最大巡航速度(FL 370)
マッハ 0.74
標準巡航速度(FL 370)
マッハ 0.745(441 ノット)
離陸時滑走路距離(釣合滑走路長、
7,730 フィート(ハイグロス版 8,740 フィート)
平均海面、標準状態、最大重量)
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機内
キャビン幅
11 フィート 7 インチ
表 2-5 ボーイング 737-400 対気速度と対気速度限界
Vne
マッハ 0.82
超過禁止速度
巡航速度
Vno
設計運動速度
Va
Vfe (1)
1 ∼ 5 度 250 KIAS
Vfe (2)
10 度以上 215 KIAS
Vfe (3)
15 度以上 205 KIAS
最大フラップ下げ速度
Vfe (4)
25 度以上 190 KIAS
Vfe (5)
30 度以上 185 KIAS
Vfe (6)
40 度以上 162 KIAS
Vfs
175 KIAS
フラップ上げ速度
Vr
151 KIAS
ローテーション速度
最良上昇角速度
Vx
Vy
最良上昇率速度
280 KIAS
最良滑空速度
V13
最小操縦速度
Vmc
単エンジン
失速速度(クリーン)
Vs
失速速度(着陸状態)
Vso
Vref
∼ 140 KIAS
着陸速度
Vlo
270 KIAS
最大着陸装置操作速度
V1
150 KIAS
離陸決定速度
V2
160 KIAS
安全離陸速度
V2 + 30
190 KIAS
片発巡航
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Chapter 2 航空機
リアジェット 45 :歴史
1950 年代後半、ウィリアム・リア・シ
ニア(今でも人々に懐かしく思い出され
る8 トラックテーププレーヤーの発明者で
もある)は、民間ジェット機と同等の性
能を持つビジネス旅行者向けの個人用ジ
ェット機が必要になると予言しました。
基本概念は「ジェット戦闘機に近い性能」
を持つ小型輸送機を作る、ということで
した。
このゴールを達成するため、リアはス
イスでエンジニアのチームを結成し、P-16
というスイス製戦闘機にちょっとだけ範
図 2-4 リアジェット 45
をとった飛行機を設計させました。この
チームが設計した飛行機が 1962 年にカンザス州ウィチタで組み立てられましたが、これがリアジェット
23 です(英語では Learjet 45 に対して Lear Jet 23 と 2 語に離して綴ることに注意)。リアジェット 23 は
大量生産で市場に提供された最初の小型ジェット機であったことに加え、飛行速度や上昇速度で世界記
録をうち立て、究極のビジネス用ジェット機としての評判を手に入れました。
激しい市場競争のために利益が圧縮され、リアは 1967 年に会社をデンバーにあるゲーツラバー社に売
却し、社名もゲーツリアジェット社と変更されました。1982 年まで業績は好調でしたが、この年、航空
機業界全体が不況に陥りました。5 年後(1987 年)、ゲーツはゲーツリアジェット社の株式をインテグレ
ーテッドアクイジション社に売却しました。これはインテグレーテッドリソース社の子会社でしたが、後
に会社更正法の適用を申請、カナダ、モントリオールにあるボンバルディア社に売却され、この会社が
1990 年からリアジェット社の名で経営しています。
ボンバルディア社の下、リアジェット社は評判の高かった 35 型に代わってリアジェット 45 型を製造
し、軽ジェットの値段で中程度の乗り心地と性能を提供しました。この進んだ航空機は1996 年 10 月 7 日
に初めて運行され、1997 年 9 月に FAA 型式証明を受けました。
リアジェット 45 :仕様
エンジン
アライドシグナル/ギャレット
モデル番号
TFE731-20 ターボファン双発
最大パワー
それぞれ3,500 ポンド(15.6 kN)
離陸スラスト 88 °F(31 ℃) 3,650 ポンド(APR 級)
乗員数
2名
座席数
最高 9 席
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全長
58 フィート
全高
14.1 フィート
翼幅
47.75 フィート
翼面積
311.6 平方フィート
最大ランプ重量
20,450 ポンド
最大離陸重量
20,200 ポンド
最大着陸重量
19,200 ポンド
最大ゼロ燃料重量
15,500 ポンド
基本運用重量
12,850 ポンド
最大ペイロード
2,650 ポンド
ペイロードフル燃料
1,600 ポンド
フル燃料ペイロード
1,500 ポンド
最大ペイロード燃料
4,950 ポンド
翼面荷重(20,000 ポンド)
64.2 ポンド/平方フィート
最大実用燃料積載量
6,000 ポンド(882 米ガロン)
実用上昇限度
51,000 フィート
最大運用速度
マッハ 0.81
航続距離(NBAA IFR 予備、
1,710 海里
NMSMKMISA、乗客 4 名/乗員 2 名)
最大巡航速度
マッハ0.78(445 ノット)
標準巡航速度
マッハ 0.77(441 ノット)
経済巡航速度
マッハ 0.76(434 ノット)
巡航時の毎時燃料消費量
186 ガロン(1,265 ポンド)
離陸時滑走路距離(釣合滑走路長、
4,580 フィート
平均海面、標準状態、最大重量)
着陸時滑走路距離
2,990 フィート
(標準状態、最大重量)
通信機器
ハネウェル社プリマス1000 4 管 EICAS
(EFISEngine Instrument/Crew Advisory System)
ハネウェル社プリマス650 気象レーダー
デュアルプリマスII 航法/通信システム
機内
キャビン長(操縦席の仕切から
19 フィート 9 インチ
予圧区画の後端まで)
キャビン最大幅(中心線)
5 フィート 1 インチ
キャビン幅(床レベル)
3 フィート 4 インチ
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