読書運動通信 21 号 2005年1月24日 発行 ★特集→ポーラーエクスプレス感想文★ はじめに あっというまに冬休みも過ぎ、後期試験も終盤になって来ました。12月中旬頃までの暖かさはど こへやら、冬らしい気候の今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか。 さて、今回の特集は昨年 12 月に実施した、絵本『急行 「北極号」』と、映画「ポーラーエクスプレ ス」鑑賞の感想文です。 さぁ、はじまりはじまり∼∼♪ …………絵本『急行 「北極号」』の感想 ………映画「ポーラーエクスプレス」の感想 国際 2 年 他人にこの事を話すと、驚かれますが、私は 18 才までサンタが本当にいると 思っていました。なぜなら、クリスマスの朝、必ず部屋のどこかにプレゼントが置いてあり、両親に 尋ねても、自分たちが置いたのではない、と言い張ったからです。私は、両親がサンタではない かと、疑っていたけれど、19 才のクリスマスの朝、部屋にプレゼントが置いてなかったことから、 その時家にいなかった両親がサンタだと分かりました。この絵本を読んで、信じることの大切さと、 失ったときの小さな痛みを再び感じさせられました。 絵本がとても楽しかったので、映画の方も楽しめるかどうかが少し不安でした。 しかし「楽しさ」という点では断然、映画の方が勝っていました。絵本では表現されて いなかった北極点に行くまでの過程が、スピード感のある映像や音響効果によって、よ りよく表現されていました。そして主人公と鈴の場面では、主人公の気持ちが、私の心 にストレートに伝わってきました。主人公が鈴の音を聞けた時、私は泣いていました。 温かいものが体中に行き渡って、あふれ出たような涙だったと思います。その暖かいも のというのは感動というよりむしろ 幸福感 だと思います。映画を見て 幸福感 で 涙が止まらなかったのは初めてでした。 座談会にも出席しましたが、私の所属学部が国際交流ということもあり、絵本や映画 について細かく語り合うという経験が今までなかったので、とても新鮮で楽しかったで す。またこのような機会があったらぜひ参加したいです。ありがとうございました。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 1 英文 2 年 私は、今回この絵本を読む前に原作の絵本を小説化したものを読み、そし て映画もすでに見ていました。今回は原作の絵本を翻訳したものを読みましたが、小説とも映画 とも違っていて、読みくらべをしてみて良かったです。しかし、内容が小説や映画よりも薄く、良 い印像を持てませんでした。が、この本の一番大切な、「心から信じる者だけに、サンタのソリの 鈴の音が聞こえる」という部分は、変わらずに表現されていて良かったです。このシーンが、読者 である私にとってベストだと思います。この部分を読んだときに、今の自分がサンタを信じている のか信じていないのか考えさせられました。この本に出会う前まではサンタのことなど子供達だ けが信じているものだと思っていましたが、今では大人でも信じることができるし、信じることで何 か良いことが起こりそうだと思いました。そして、大人たちが信じていないという事実に対してショ ックも受けました。 トム・ハンクスらしさが非常に出た映画だと感じました。エンターテイメント化 されていたので、絵本と全く雰囲気が違っていて面白かったです。見ている人に子供 の頃の思い出をよみがえらせてくれたり、懐かしさと共に楽しさをあたえてくれたり する点が良かったです。映像も綺麗で大人でも楽しめると思います。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 国際 4 年 幼い頃に夢見ていたクリスマスの夜だが、大人になると、その夢やワクワクし た気持ちは薄らいでいった。しかし、この本を読むと、なつかしさだけでなく、心があったかくなる 灯 にもにた、やさしさがあった。もう一度、夢見る心の大切さを考えてみようと思わせる絵本だ った。 絵本ならではの あたたかみ を、映画でどの様に演出するのか? という疑問を もって映画を見た。雪がチラチラと舞う感じや、汽車のスピード感などが、私がイメー ジしていた以上に具現化されていて、とても満足できる内容になっていた。絵本には登 場していなかった汽車の上の男やメガネの少年などが話により深みを持たせていた。又、 トム・ハンクスの1人 12 役という点も、注目できるポイントであった。サンタクロース のやさしい声や車掌の声など、声の出し方のちがいをチェックしてみると、さらに映画 を楽しむことができるのではないだろうか。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 英文 2 年 なんだか自分が小学生くらいに戻ったような気持ちになりました。これからも、 こんな風にずっと夢を持っていたいと思いました。もし、自分に子どもが出来たら、クリスマスにこ 2 の本をプレゼントしたいです。 映画「ポーラーエクスプレス」は、原作の世界を更に深めたものだった。原作と映 画との大きな違いは、主人公の少年の性格です。私が思うに、きっと現代の子ども達に 主人公を似せたのだと思います。全ての素晴らしい作品には、必ずどこかに自分と重な ってしまう部分があり、それだからこそ、人はより大きな感動を覚えるのだと思います。 作品全体を通して、いかに人に共感してもらえるか、非常によく考えられていると思い ました。そして特に素晴らしいと思ったのは、音楽です。様々なクリスマスソングが互 いに邪魔をせず、1つのきれいな曲を作りだしているかのようでした。この作品のテー マでもあると思うのですが、信じることは大切だとあらためて思いました。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 国際 3 年 小島麻由子さん 初めて読みました。ストーリーはとても短かったので すが、夢は信じていれば叶うということを伝えたいのだと感じました。このクリスマスシーズンに、 子供にとっては最適な本となるでしょう。素敵な絵にも引き込まれました。 圧巻のひとこと! 本の挿絵そのままの美しい色と、人物のやわらかさが臨場感た っぷりに伝わってきました。前半は一難去ってまた一難というスリル満点の展開で、ま るで遊園地のアトラクションを体験しているようでとっても楽しいです。そして後半は 涙が止まらない。見終わった後に、誰もが優しい気持ちになれる作品です。特に子供に 見て欲しいと思いました。全偏通して音楽が非常に素晴らしく、涙を誘います。車内で は給仕が踊り、トム・ハンクスが歌うところはミュージカルの様でとても面白いです。 こんなに美しい絵を作れるCG技術に脱帽です。一見の価値あり! ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 国際 4 年 人が成長するに従って失うものがある、ということを新ためて気付かされまし た。思い返せば自分が絵本を何冊も読んでいた幼い頃は純粋そのものでした。しかし、もしも今、 銀の鈴を振ってみても私には聞こえないような気がします。成長したことを少し後悔しつつ、自 分の心に純粋になりたいなと感じました。 できることなら自分が子供のときにこの映画に出会いたかったです。絵本を読んで いたのでストーリーは知っていました。ですから正直なところ、映画を見て楽しめるか どうか不安でした。が、本編が始まると、すぐにその不安は吹き飛びました。最近の映 像技術に驚かされるのはもちろんのこと、常にドキドキ・ワクワクの連続でやりすぎな 3 のではないかと思うほどに息つく間がありませんでした。大人の自分ですらこれほどま でに楽しめるのですから、子供たちはこの映画を見て一体どんな感想を持つでしょう! 子供、大人関係なく、多くの人々にこの映画を見てもらい、人間には 無限の可能性があ ることを、改めて感じてもらいたいと思いました。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 日文 3 年 久しぶりに、絵本を読んでワクワクしました。北極点の光や、町の様子など、 絵で描かれている以上に想像力をめぐらせて楽しみました。そこには、子供の頃、思い描いて いたクリスマスの風景がありました。絵も文章も、暖かさを感じさせるもので、『サンタクロースって いるんでしょうか?』をふと思い出しました。小説家・村上春樹とは、また別の姿が見られたような 気がします。 しんしんと降る雪、もうすぐ真夜中。原作を読んだとき、やわらかいタッチの絵 だったので静かな印象を受けました。「この静かな感じのする絵本がどうしたら約二時 間の映画になるのだろうか。しかもCGで」と頭の中は疑問でいっぱいになりました。 「絵本の雰囲気が壊されていたら嫌だな。でもトム・ハンクスがやっているって事は興 味深い」と不安と期待が半々の状態で映画館に向かいました。見てびっくり! 絵本で は想像しなかった大音響。確かにエンターテインメント色は強くなっていたけれど、中 心に一本芯が通っていて、伝えるべき事を見失ってはいませんでした。原作に上手に手 を加えていて、こういうストーリーを大事にしたCGアニメーションなら、もう一度見 たいと思いました。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 国際博前 子供の頃、クリスマスにサンタクロースを心待ちにしていたことを思い出しまし た。今では、純粋な気持ちでサンタクロースを待つことなどなくなってしまいましたが、その頃の ワクワクした気持ちをなつかしく思い出しました。みんないつか大人になって、鈴の音が聞こえな くなるのは、少しさみしいような気もしました。 映画、 「ポーラーエクスプレス」には、絵本『急行「北極号」』にはないスリルがあ りました。絵本で呼んでいる時はゆったりとした北極号のイメージでしたが、映画では 波乱の連続で、まるでジェットコースターに乗っているような気分でした。幻想的な雪 や北極のクリスマスの映像に、クリスマスソングがプラスされクリスマスの雰囲気が溢 れていました。私は字幕で見たのですが、吹替え版では、車掌さんの切ったキップの文 字―Learn,Lead,Believe などが、どのように表現されていたのか、気になりました。 4 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 修士声楽 岡田 彩さん 小学生の頃サンタについて語り合い下校した事、サンタに 手紙を書いた事、この絵本から素直だったころの自分を思い出してしまいました。これからも村 上春樹さんの、素敵な絵本の翻訳活動に期待したいです。 5分で読み終えてしまう絵本をどうやって長編映画に? チをどうCGで? ものだった!! やわらかな絵本のタッ 期待と不安を持って見に行きました。実際、映画を観て、絵本その といううれしさが正直な感想でしょうか? 登場人物の表情が CG で怖 いほど表現され、絵本にはないジェットコースターの様なスピード感が映画「ポーラー エクスプレス」の魅力ですが、それ以上にもう一度絵本を読み直したい気持ちにさせて くれる映画であったと思います。クリスマスシーズンにまた観たいです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 日文1年 誰もが子供の頃に信じていたサンタクロース。私たちは大人になるにつれて、サ ンタクロースのような存在を忘れていってしまうけれど、それが本当はいけないように思った。こ の絵本を読んでいて感じたのは、子供の頃に誰もが持っていた純真さを持ち続けることは、難し いけれども、大切だということです。いつまでも持ち続けられたらいいと思いました。 友人2人と一緒に見に行きました。主人公の男の子がサンタを待つ最初のシーンで は、自分もサンタに会いたかったなと思いました。今でも叶うことならポーラーエクス プレスに乗りたいです。でも主人公のように何も知らされていないでポーラーエクスプ レスを目にしたら、戸惑ってしまうかもしれませんが。映画を見終わった後に友人たち と、ホーボーが主人公にコーヒーを出すシーンでは、「子供にコーヒーを出すならせめて 砂糖とミルクを渡さなきゃ飲みにくいんじゃないか」とか、ジェットコースターのよう なシーンでは、「さすがディズニー映画だね」とか、スモーキーのひげがひっぱられるシ ーンでは、「すごく痛そうな叫び声だったね」とか、「あの甲高い声が汽笛にがわりにな るなんて便利だね」などと大変盛り上がりました。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 楽理 2 年 恩田真理子さん 主人公の男の子の名前が出てこないので、読む人 が自分をそのままあてはめて読むことが出来ます。子供の頃に戻った気持ちで、美しい冬の銀 世界への旅を汽車に乗ってしていく、ワクワクする話です。銀の鈴の音は、大人になって失して 5 しまったり、忘れてしまっている 信じる心 を表すのでしょう。失われた時を取り戻すための行程 は、雪景色を見ながらの素敵な旅です。大切なものは何かを考えられる、クリスマスにピッタリな 絵本だと思いました。 私は3D映像の「ポーラーエクスプレス」を鑑賞しました。スリルあふれる映画で、 遊園地でジェットコースターに5回位乗った気分を体験しました。実際、あまりの臨場 感に泣きだす子ども、車酔い状態に陥る大人もいました。美しい雪景色に、北極に行っ た気持ちになりました。汽車での爽快な旅は、とても楽しく感動的でした。「サンタを信 じるか」というテーマから友情の大切さ、勇気を学びました。また、何度も出て来る「百 聞は一見に如かず」ということわざを実践するかのように、サンタと小人たちのいる国 を、汽車に乗って北極圏まで見に行くところが面白かったです。絵本には登場していな かった、汽車に住む謎の人物も魅力的でした。彼は影のように登場して、主人公を助け たりします。物語は、少年から大人になりつつある主人公の心の葛藤を描いています。 「本 当に信じている人には、サンタクロースは存在する」というのが、この作品を通しての テーマです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ * 今回の通信に載せきれなかった感想文は、次号に掲載いたします。 * 子どもの純粋な心と、大人の理性と判断力を合わせ持った、魅力的な人間になるのは難しいこ とかもしれません。大学生はもう子供ではありませんが、まだ社会を経験しておらず、完全な大人 と言い切るのも難しい時期です。実り多い大学時代を送ることは、心豊かな大人への道に続くと 信じ、これからも努力していきましょう! 2005 年がいい年になりますように! (図書館) お 勧 め の 本 タイトル 請求記号 配架場所 急行「北極号」 E¦¦A 緑園2F 展示 急行「北極号」 726.5¦¦A41 山手 B2 読書運動プロジェクト 2005 年のテーマは フ ァ ン タ ジ ー に決定しました!アンケートご協力ありがとうございました。 アンケート結果は次号に掲載いたします。 次号もお楽しみに! 発行 : フェリス女学院大学附属図書館 読書運動プロジェクトチーム 6
© Copyright 2024 Paperzz