第5回授業資料

インターネット時代のセキュリティ管理 第5回
デジタルコミュニケーションにおける
コンテンツマネジメント
奈良先端科学技術大学院大学 山口英
慶應義塾大学 村井純
授業日程
第01回 (9/28) 授業概要
第02回 (10/5 ) 認証とプライバシ (1)
第03回 (10/12) 認証とプライバシ (2)
第04回 (10/19) 認証とプライバシ (3)
今日はこの回!
第05回 (10/26) デジタルコミュニケーションにおけるコンテンツマネジメント (1)
第06回 (11/2) デジタルコミュニケーションにおけるコンテンツマネジメント (2)
第07回 (11/9) デジタルコミュニケーションにおけるコンテンツマネジメント (3)
第08回 (11/16) 個人と社会のセキュリティ (1)
第09回 (11/30) 個人と社会のセキュリティ (2)
第10回 (12/7) 個人と社会のセキュリティ (3)
第11回 (12/14) インターネットの未来像:セキュリティアーキテクチャ (1)
第12回 (12/21) インターネットの未来像:セキュリティアーキテクチャ (2)
第13回 (1/11) インターネットの未来像:セキュリティアーキテクチャ (3)
2
今日の授業で取り上げるのは
„ コンテンツマネジメントとは何か?
„ 知的財産権とテクノロジ
„ クリエイティブコモンズ
„ 現状の課題と問題点
3
コンテンツマネジメントとは?
„ コンテンツとは
z 「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又
は音楽の範囲に属するもの」(著作物の定義 著作権法 2条1項1号)
„ コンテンツを作った人間の権利を守る
z コンテンツによって得られる利益の保証
z コンテンツを発信する権利
z 自分のコンテンツを改変されない権利
→ コンテンツマネジメント
„ コンテンツマネジメントのための法律・団体・技術
z 法律:著作権法、特許法、商標権
z 団体:JASRAC、日本文芸著作権保護同盟
z 技術:DRM、電子透かし、CAS
„ 利用者の利益も守るには?
z コンテンツの再生(回数制限、再生環境の限定)
z コンテンツの複製(バックアップ、複数デバイスでの利用)
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コンテンツ複製技術の推移 (1/3)
(古代〜) 写本
„ 複製のための負担が大きい
z 宗教の教義などを記した本など,重要な文書のみを複製
„ 複製時にコンテンツが変化する
z 誤読・誤字脱字
z 複製者による付け加え,解説など
z 装飾も複製者によって様々
出典: ウィキペディア「写本」より 彩色写本
5
コンテンツ複製技術の推移 (2/3)
(中世) 印刷技術の発展
„ 1450年代 ドイツのグーテンベルグが活版印刷を発明
z 活版(活字を組み合わせた板)による印刷
z コンテンツ マネジメントの必要性が発生
z 1710年 イギリスで版権保護の法律が制定
„ コンテンツの大量複製の実現
z 活版が作れれば複製のコストは低い
„ 内容が変化しない複製
z 印刷の仕上がりに差はあるが,複製物毎の内容は同じ
z 二次複製するためには,新たに活版を作る必要がある
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コンテンツ複製技術の推移 (3/3)
(現代) デジタル技術の出現
„ 計算機技術の発展
z コンピュータの高速化・大容量化 → コンテンツの取り扱いが可能に
z コンピュータネットワークによる通信技術の発展・普及
„ 複製のための装置・作業が安価
z 記録媒体やネットワークの利用によって,別の装置へのコピーが容易
z 個人が容易に複製できる
„ コンテンツの複製時に劣化しない
z コンテンツを数値化するため,全く同一のコンテンツが複製できる
z 無限にコピー可能
z 二次複製,三次複製も容易
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7
知的財産権(知的所有権)
知的財産権
„ 知的財産権とは
z 人間の知的創造活動における創作者の権利
z 無体財産 (無形財産)
„ 知的財産権保護の理念
z 創作者の権利を保護することで、創作活動を促す
z 産業育成に関連して国策としても推進
(知的財産基本法が平成14年に施行)
„ 知的財産権保護の弊害
z 過度の保護は技術発展や創作活動を阻害する
9
知的財産権の種類
„ 知的財産権の種類と法根拠
z 創作意欲の促進を目的とした権利
» 著作権・著作隣接権 (著作権法)
» 特許権 (特許法)
» 実用新案権 (実用新案法)
» 意匠権 (意匠法)
» 回路配置利用権 (半導体集積回路に関する法律)
» 育成者権 (種苗法)
» 営業秘密 (不正競争防止法)
z 信用の維持を目的とした権利
» 商標権 (商標法)
» 商号 (商法)
» 商品表示、形態(不正競争防止法)
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著作権について
著作物とその保護
„ 著作物
z 思想や感情を創作的に表現したもので、文芸、学術
、美術や音楽の範囲に属するもの
z 例として
» 本、小説、音楽、歌、舞踊、劇、絵画、彫刻、地図、建築
物、映画、写真
» コンピュータプログラム
• ただし、プログラム言語の体系、プロトコル規約、アル
ゴリズムなどは著作とはならない
„ 保護の意義
z 創作者の権利を認めることで著作物の創作を促す
12
著作権法(国内法)
„ 著作権法とは
z 昭和46年施行
(明治32年施行の旧著作権法の全部改正)
z 33回の改正
z 著作者は著作と同時に著作物に対する著作権を有
する(無方式主義)
z 著作物の保護期間は、
公表から50年、または著作者の死後50年
13
著作者が有する権利
„ 著作者人格権
z 著作者が有する、譲渡不能な権利
z 公表権、氏名表示権、同一性保持権
„ 著作者財産権
z 著作者が有する、譲渡可能な権利
z 複製権、出版権、上演権及び演奏権、上映権、公
衆送信権等、口述権、展示権、頒布権 、譲渡権、貸
与権 、翻訳権、二次的著作物の利用に関する原著
作者の権利
(著作権法 第18条~第28条)
14
著作隣接権
„ 著作隣接権 (第89条~第104条)
z 著作物を演じ、著作物を公に伝える者に与えられる
権利
z 実演家や放送事業者が有する権利
z 氏名表示権、同一性保持権、録音権、録画権 、放
送権 、有線放送権、送信可能化権、譲渡権、貸与
権
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著作権の制限
„ 著作権に対する制限事項 (第30条~第37条)
z 私的使用を目的とした複製
z 図書館における複製
z 引用
z 教育用途などへの利用
» 教科書用、教育番組用、試験問題、点字への複製、聴覚
障害者のための公衆送信
16
著作権法を取り巻く最近の事項
„ 著作権等管理事業法の制定
z 著作権管理業務への参入が規制緩和された
„ 信託業法の改正
z 著作権が信託財産として取り扱い可能になった
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著作権等管理事業法の制定
„ 著作権管理の仲介
z 「著作権に関する仲介業務に関する法律」(1939年施行)
z 著作管理の一元化に効果
z 著作権を著作者より委託されて管理を代行する認可事業
» かつては4団体
(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)
(社)日本文芸著作権保護同盟
(協)日本脚本家連盟
(協)日本シナリオ作家協会
„ 著作権等管理事業法が施行 (2001年10月)
z 著作権の管理事業が文化庁への届出制に
z 著作権管理事業での競争原理に期待
z 現在では36団体が文化庁に登録されている
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著作権信託の登場
„ 改正信託業法
z 2004年12月に信託業法が改正
z これまで金銭や動産、土地などに限定していた信託受託財
産を、財産権一般に拡大。著作権や特許権などの知的財産
の受託も可能になった
z 無形財産の信託
„ 新しい著作権の運用方法
z 既存の製作委員会方式よりも柔軟な運用が可能となった
z 映画やゲーム製作においての資金調達の手段として注目を
集めている
19
米国著作権法
„ 憲法内で言及
z 合衆国は合衆国憲法に規定された事項のみに権限を持つ(
その他の事項は各州が権限を持つ)
z Section 8. The Congress shall have power to lay and
collect taxes, duties, imposts and excises, to pay the
debts and provide for the common defense and general
welfare of the United States;
z To promote the progress of science and useful arts, by
securing for limited times to authors and inventors the
exclusive right to their respective writings and
discoveries;
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商標について
商標とその保護
„ 商標保護の歴史
z アメリカ、イギリスでの普通法による、詐欺に対しての保護が
起源とされ、明文法では1857年にフランスで「製造標及び商
業標に関する法律」が制定されたものが最初である
„ 商標とは
z 「商標」とは、商品やサービスに付与されるシンボルのことで
、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結
合又はこれらと色彩との結合で表されるもの
z 広義のブランド
„ 保護の意義
z 今日では商標は保持者にとっての財産となっている
z 商標が商品やサービスの購買者にとっての判断基準となっ
ている
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商標法(国内法)
„ 商標権とは
z 商標を使用する者の業務上の信用を維持し、需要者の利益
を保護するため、商標法に基づいて設定されるもの
z 指定商品又は指定役務についての登録商標の使用を独占
し、他人による類似範囲の使用を排除することができる権利
z 商標法によって保護されている
„ 商標法の目的 (商標法 第1条)
z 商標の保持者の業務上の信用維持
z 商品・サービス需要者の利益保護
„ 商標法の特徴
z 登録・審査制、先願主義
(欧州・日本では商標の優先は登録主義、米国では先使用
主義)
z 商標の独占使用と無断使用の排除を可能にする
z 保護期間は10年
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商標の一般化
„ 商標権の取り扱い
z 商標権の登録は防御的な意味合いが大きい
z 排他的利用を図るか否かは商標権の保持者次第
» TM表記の付記、適切な文脈での使用ならば制限されないことが多
い
z 自然に一般用語化することも多い
„ 例:
z エスカレータ(米オーチスエレベータ社が商標権を放棄)
z しゃぶしゃぶ(1955年に商標登録)
z ストロボ
z 着メロ
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商標に関する国際的な取り扱い
„ 各国への出願と保護
z 直接出願
» 外国へと直接出願を行う
» 国内で出願した商標は、パリ条約加盟国への出願に際して優先権を
主張できる
z 共同体商標出願
» EU加盟国への一括出願
z マドリッド・プロトコルに基づく国際登録出願
» マドリッド協定加盟国へのWIPOを通じた一括出願
» 67カ国が加盟
» 保護期間は10年、更新有り
„ 国別商標の取り扱いの違い
z 登録主義と使用主義
z 先願主義と先使用主義
z 審査主義と無審査主義
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知財権をめぐる問題
„ 保護と公共の利益の調停
z 過度な保護が公共の利益を損ねているとの指摘
„ 技術進歩への追従
z 技術進歩は知財権の内容を変えてきた
» 印刷技術→複製権、放送→放映権、
インターネットの整備→送信可能化権 など
z 知財権を守るために使える技術も登場している
„ グローバルな解決法の不在
z 国家間でのインターナショナルな取り組みで解決
z 国ごとに異なる基準が存在する
z インターネット上ではどうすればいい?
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知財権をどう守るか?
~ セキュリティの考え方
セキュリティの考え方
„ 社会のコミットメント、ポリシング、ペナルティ
„ 暗黙的なコンセンサスは危険
Resolution
Commitment
約束
Policing
ルールの執行
解決
Penalty
罰則
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コミットメント
„ 約束事に対する同意
z 一種の「社会契約」
„ 例: 本を丸ごとコピーしない
z 巻末には注意書きがしてあるが、それに同意しないと
本を読めないことはない
„ 何が OK で何が NG なのか
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ポリシング
„ 約束事を守っているかを調べる
z モニタリング
z 評価
z 結果の共有
„ 例:
z 論文では引用箇所を明らかにする
z 電子透かしでコンテンツの盗用をチェックする
z ルール(法律,規制)の適用
z ルールに反すること「も」できる
z (技術に欠陥がないと仮定すれば) コンピュータ上では、ルー
ルに逆らうことはできない
» “Code is Law” - Lawrence Lessig
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ペナルティ
„ 事前規制
z 問題が起きないように事前に規制を行う
z コピーワンス
» コピーの回数を制限
z SSLの証明書: 取得の際に審査
» 例: Verisignの証明書取得の際には企業の実在証明を必要とする
„ 事後調停
z 問題が起きてから事後に調停を行う
» ドメイン名と商標
» インターネットオークション
z 国の仕組みと法制度
» 現行の刑法: 実行処罰原則 (例外的に未遂犯処罰)
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知的財産権と保護する技術
DRM (Digital Rights Management)
„ デジタルデータの保護技術の総称
z 複製制限技術, 電子透かしなど
z 音楽や映像、文章などに適用される
„ コピーではなく再生の制限をする技術が多い
z ライセンスを持っていないと再生できない
z 再生回数、有効期限、CD焼き付けやデジタル音楽プレーヤ
ーへの転送を制限
„ ユーザの自由の制限
z 異なるDRM間で互換性がない
z バックアップや指定以外のデジタル音楽プレーヤーでの
利用ができない技術が多い
z “Digital Restriction Management” とも呼ばれる
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コンテンツ視聴者の特定
„ 認証
z コンテンツ再生,保存,複製などの際,ライセンスを持ってい
るユーザーかどうかを認証
„ 既存の認証方式
z 専用受信デバイス(セットトップボックス)の利用
» BBケーブルTV
» Plala.TV on 4th Media
» KDDI光プラスTV
z WEBを利用したパスワード認証+DRM
» can-d.com(gooプレミアムメンバー + OpenMGX)
z WEBを利用したパスワード認証+DRM+ストリーミング
» MORRICH(WMT)
• 購入したPC以外でのストリーミング受信不可
» One Day Vision(WMT)
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主要DRM
„ WMRM
z Microsoft
„ FairPlay
z Apple Computer
„ DNAS
z SONY
„ Helix DRM
z Real Networks
„ CPRM
z IBM, Intel, 東芝, 松下
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WMRM (Windows Media Rights Management)
„ Microsoft
„ WMTのDRM
z メディアファイルを鍵を使って暗号化
z 鍵は別個に配布される、暗号化されたライセンス内
に格納
z ライセンスサーバを利用して認証
z 再生回数、転送可能なデバイスの制限、有効期限
などが設定可能
„ ユーザはライセンスキーを再生時に取得
z このときに支払いなどが要求される
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http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/wm7/drm/architecture.aspx
FairPlay
„ Apple Computer の DRM 技術
z iTunes Music Storeで利用
z 比較的自由な利用を認めるのが特徴
„ Apple IDによるネットワーク経由での認証
z コンピュータ上で再生しないコンテンツの
認証を解除できる
„ 制限の例
z PCでの再生: 5台まで
z CD への焼き付け: 無制限
z デジタル音楽プレーヤーへの転送: 無制限
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DNAS (Dynamic Network Authentication)
„ SONY
„ Play Station2で用いられる認証方式
z PS2本体,メモリーカードなどには固有の機器IDが存在
z PS2対応のDVD,CD-ROMの固有IDと組み合わせ,DNAS
にアクセス,認証
„ 認証例
z パッケージを購入したユーザーがDNAS制御下でHDDにソ
フトをインストールすると,付加情報がHDD内に組み込まれ
る
» ソフトの期限付き利用やHDDへのインストール制御
» ユーザーの年齢等,試聴制限
38
Helix DRM
„ Real Networks
„ 2003年1月に発表
z MCS(Media Commerce Suite)に代わるもの
„ 対応フォーマットが多い
z Real Audio, Real Video, MP3, MPEG4, H.263,など
„ XMCL(eXtensible Media Commerce Language)に対応
„ RealSystem iQをベース
„ 5つのコンポーネント
z
z
z
z
z
Helix DRM Packager
Helix DRM License Server
Helix DRM Client
Helix Universal Server DRM Plug-in
Helix DRM Device Support
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CPRM (Content Protection for Recordable Media)
„ コピーワンスを実現する技術
z デジタル放送のコンテンツコピーは1度だけ
z CPRM対応のPC or DVD PlayerとDVDメディア
デバイスキー
DVD A
DVD B
MKB
MKB
メディアID・A
メディアキー
暗号化された
コンテンツ
復号化
デバイスキー
メディアID・B
違法コピー
暗号化された
コンテンツ
メディアキー
復号化
再生
再生不可
コンテンツ
コンテンツ
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DTCP (Digital Transmission Content Protection)
„ IEEE1394上で伝送を行うための暗号化技術
„ 機器ごとに公開鍵暗号/共通鍵暗号を利用してデバイスを
相互認証
„ データを暗号化して送信する
„ 日立、Intel、松下電器産業、ソニー、東芝が共同で開発
„ CCI (Copy Control Information)
z コピー制御情報を設定
z Copy Free
ライセンス組織
z Copy Once
z Copy No More
z Copy Never
機器証明書
1.認証要求
機器証明書
2.機器認証/鍵交換
再生
コンテンツ
送信側AV機器
3.コンテンツの暗号化・送信
受信側AV機器
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DTCP-IP
(Digital Transmission Contents Protection over Internet Protocol)
„ DTCPをIPネットワーク上へ展開
„ DRM間の非互換性に対処
„ 地上波デジタルの出力インタフェースとしての利用を
ARIBが承認(2005年9月29日)
z ただしクライアントは8台まで、同一サブネットに限定
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電子透かし(Digital Watermark)
„ 可視透かし
z ロゴや著作権をオリジナルの画像に埋め込む
z 適合するIDファイルと除去用プログラムで除去可能
z 画像の不正使用、加工の抑制に効果
この画像は電子透かし
が使われています
„ 不可視透かし
z 目に見えない形でデータを埋め込む
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著作権管理技術の対比(例)
BSデジタル:B-CAS
配信者
コンテンツ
番組情報
契約情報
暗号化
B-CAS
カード
コンテンツ
1.パッケージ化(暗号化含)
scrambler
License
Server
多重化
複合化
契約情報
WMT
WEB
Server
2.Request
3.Receive Media
分離
4.Request License
試聴
判定
Streaming
Media
Server
descambler
受信者
5. Download
License
Media Player with
Windows Media Rights Manager
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DRM vs CAS
„ DRM (Digital Rights Management)
z 著作権者の利益を守る技術の総称
z 複製の制限や検出
„ CAS (Conditional Access System)
z 有料放送サービスに用いられる限定視聴制御方式
z 視聴者の各々が契約に基づいて視聴するチャンネルの制御
„ 利用者の利益は守られるか
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Creative Commons
„ “Some Rights Reserved”を告知する仕組み
z DRE (Digital Rights Expression)
z 全面保護ではなく作者が保護したいものだけを保護
z 例:営利利用は禁止、教育目的利用は許可
„ 設定可能な項目
z 翻案・改変の許諾
» 作品を同じ条件で共有する場合のみか否か
z 営利目的の利用
z ライセンスの管理地
z 作品の形態(音楽・画像など)
„ ライセンスの施行を強制するわけではない
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著作権の保護における問題
現状の問題
„ 技術に完全性を求めていくと、使いにくくなる
z 例:
z WOWOW – 2台チューナーがある家庭では2倍の支払い
z コピーワンス – バックアップできない
z CCCD – iPod で聴けない
Î 使いやすさと、知的所有権の保護には
トレードオフの関係がある
48
SOI と JASRAC
„ 授業で歌詞を使うこと自体は OK
„ その授業をインターネットで配信した場合は?
„ 例えば
z 「十五十六十七と私の人生暗かった過去はどんなに暗くとも
夢は夜ひらく」
» 藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」
z “Being here, but my mind is far away. I say good bye to
my stupid friends and move on…”
» Bossa Nova Girls, “being here” (村井研究室の斉藤さんが
JASRAC に登録している曲です)
49
JASRAC との契約内容
„ 教育機関の場合、年間 30曲以上使用で2万円の著作
権料を支払う
„ SFC は Global Campus で契約
z 結構多量に楽曲を利用しているようです
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P2Pファイル交換アプリケーションの普及
„ WinMX
„ Gnutella
„ Winny
„ LimeWire
„ Share
„ BitTorrent
51
インターネットと放送の現状
大相撲中継(「放送50年史」より)
当時、
経営難に陥っていた大日本相撲協会は、野球のときと同様、
「もし相撲の中継放送を許したら、
国技館の観客はますます減るであろう」
と主張して東京中央放送局の申し入れに応じなかったが、
六代目出羽海親方の
「ラジオでおもしろそうな勝負を耳にすれば、相撲に関心の
薄い人もきっと国技館に来るようになる」
という意見で中継が決まったという。
はたして昭和三年一月、春場所大相撲の実況が
東京・両国の国技館から中継されると、
大鉄さん下のマス席はたちまち
超満員となった。
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インターネット放送の黎明
„ Internet Talk Radio(1993年)
z 世界初のインターネットラジオ局 (FTP 使用)
z Mbone (Multicast backbone) 使用も
„ Geek of the Week
z 世界初のインターネットラジオ番組
z 先進的なネットワーク研究者、エンジニア、およびその他のトラブルメー
カーにインタビュー
z http://town.hall.org/radio/Geek/092293_geek_ITR.html
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インターネット放送と権利
„ 権利問題の解消に向けて
z ASCAP (American Society of Composers, Authors and
Publishers)
» Internet License Agreement
• http://www.ascap.com/weblicense/
z BMI (Broadcast Music Incorporated)
» BMI Digital Licensing Center
• https://account.bmi.com/
z JASRAC
» 音楽利用の手引き
• http://www.jasrac.or.jp/network/jtakt/tebiki.pdf
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1 通信・放送融合・連携に係る動向
1995
通
信
の
動
向
★:主な制度的対応
2000
2005
97 交換機のデジタル化完了
DSLの普及
1,430万加入
突破(H17.9)
390万加入
突破(H17.9)
3,800万加入
突破(H17.9)
FTTHの普及
ブロードバンド化の
進展
第3世代携帯電話の普及
★電気通信事業法改正(規制緩和・公正競争の促進)
・97/接続ルール制度化
・98/料金届出制移行
・01/非対称規制拡充
紛争処理委員会設置
・03/参入許可の廃止(登録制・届出
料金・約款規制の原則廃止
★利用環境整備に係る法制度整備
・99/不正アクセス禁止法 ・01/プロバイダ責任制限法 ・02/特定電子メール法
インフラ共用進展
融
合
★89 放送法改正(受委託制度創設)
92 通信衛星によるTV放送開始
96 CATVを利用したインターネット接続事業開始
配信
映像・
音声コンテンツ
インターネット上の
・
連
携
放
送
の
動
向
CSデジタル放送
122社(H17.12)
デジタル化の進
展
<衛星放送のデジタル化>96 CSデジタル開始
<ケーブルテレビのデジタル化>
★01 電気通信役務利用放送法制定
02 電気通信役務利用放送開始
提供事業者
380社(H17.9)
登録事業者(H17.12)
衛星:47社、有線16社
03 TV、電話、ネットの「トリプルプレー」本格化
(12月:JCOM及びKDDIサービス開始)
05 民放が番組をインターネット配信開始
「GYAO」などブロードバンド動画
配信の本格化
05 ポッドキャスティングの本格化
06.04 ワンセグ
<地上放送のデジタル化> 03.12 東名阪で開始
開始
★99 放送法改正
06.12 全国県庁
(デジタル方式のテレビジョン放送等の導入関係)
所在地開始
★01 電波法改正
(地上デジタル放送導入関係)
00 BSデジタル開始
98 一部地域で開始
2
0
1
1
年
完
了
2 映像・音声コンテンツのネット配信の動向
①
① 主なブロードバンドネット映像配信事業の動向
主なブロードバンドネット映像配信事業の動向
名称
提供主体
開始時期
サービス概要
eo光ネット
ケイ・オプティコム
04/09
映画・ドラマ、音楽、アニメなど6ジャンル
GYAO
USEN
05/04
映画・音楽・ドラマ・アニメなど11ジャンル
(入会金、会費は不要)
通信系
TVバンク
OCNシアター
ソフトバンク,yahoo
NTTコミュニケーションズ
05/12
04/12
②
② ポッドキャスティングの動向
ポッドキャスティングの動向
受信端末
パソコン
ラジオ局等の
WEBサイト
無料を中心とした約10万本のコンテンツ・広告主から収
入を得るビジネスモデル導入
100タイトル見放題コース カラオケ・情報コンテンツ等
ポータルサイトのみならず、ラジオ放送局が自らの
サイトで放送中の番組の一部を提供。
STB
対応サイトの音声ファイル更新時に
自動的にダウンロード
ジャンル
役務利用放送系
おうち
deシアター
ビック東海
04/12
基本料金のみで毎月100タイトル見放題、映画・音楽・
スポーツ等最大1000タイトル
J:COM
オンディマンド
ジュピターテレコム
05/01
年間契約サービス・一日視聴サービス等を実施、無料番
組、映画、スポーツ等1500タイトル以上
BBTV
ビー・ビー・ケーブル
03/03
ベーシック34ch、無料4ch、アラカルト3ch
光プラスTV
KDDI
03/12
ベーシック25ch、オプション5ch
4th MEDIA
オンラインティービー
04/07
基本25ch、オプショナル18ch
オンデマンドTV
アイキャスト
05/06
ラジオ局系
STB
音楽レーベル
系
提供者
携帯音楽プレーヤーに音声
ファイルを転送
番組の概要
「TOKIO HOT 100」など放送中の3
番組を再編集
エフエム東京
月曜から金曜までの放送中の「
HONDA SWEET MISSION」の土曜版
エフエムインターウェーブ
Inter FMのDJ陣によるトークや日替わ
り英会話が中心
日経ラジオ社
株式情報や競馬情報など、数十分
間に及ぶ長い番組が多い
ニッポン放送
森永卓郎や田崎真也など有名人に
よる独自番組を8タイトル提供
abcdefg*record
インディーズレーベルによる所属アーティストの
楽曲配信
ビーイング(BEING GIZA
STUDIO)
B’zや倉木麻衣など所属アーティストの新
曲を紹介
ニフティ
1500タイトルのポッドキャストを紹介。落語
や英会話が人気。
ライブドア
音声コンテンツポータル「ねとらじ」上で
提供
ベーシック21ch
ポータルサイト
地上民放系
J-WAVE
フジテレビ
on Demand
フジテレビ
05/07
フジテレビ番組・映像コンテンツを有料配信
第2日本テレビ
日本テレビ
05/10
日本テレビの過去のテレビ番組を中心に有料配信、会
員制
TBS BooBo
BOX
TBS
05/11
TBSグループのテレビ番組や映像コンテンツを有料配信
パソコン
※各社HP等より総務省作成
※デジタルARENA(nkkeibp.jp)ホームページより
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3 諸外国における最近の取組状況
サービス開始
(実験含む)
事
業
者
の 動
向
SBCコミュニケーション(地域通信大手)
2004年11月
米
2004年11月、光ファイバによるIPネットワークの構築及びテレビ・データ・音声の統合サービスの提供を開始することを発表。2005年第4四半期にはIPテレビサービスを開始、2007年末には
1,800万世帯をカバーすること目指す。
CBS(放送事業者)
2005年7月
国
2005年9月
2005年7月、インターネットでニュース映像の無料配信を開始。
CNN、ABC(放送事業者)
2005年8月、同年9月からヤフーを通じネットで番組を無料配信することを発表。
ベライゾン(地域通信大手)
2005年9月
2005年9月
2005年1月、本年末よりテレビ番組配信サービスである「FiOS TVサービス」を提供開始することを発表。
2005年9月、テキサス州ケラーにおいてサービスを開始
スプリント(通信大手)
2005年9月、携帯電話を介して、テレビ番組を試聴できるサービス「スプリントTVライブ」提供を発表。
アップルコンピュータ(メーカー)
2005年10~
12月
2005年10月、ビデオやテレビ番組を再生できる携帯音楽プレーヤー「ipod」の新機種を発表。テレビ番組の配信では、米ウォルトディズニーと提携した。なお、iPodの累計販売台数は
4,200万台(2005年10~12月期は1,400万台販売)。
ティーボ(テレビ番組録画サービス事業者)
2005年11月、ヤフーと提携。両者の提携で、ティーボ加入者は自宅以外の場所でもヤフーのサイトからネット経由でテレビ番組を録画予約できる。ティーボは、10月末時点での全契約者数
が400万人を超えた。
ヤフー(インターネットサービス)
携帯端末やテレビ画面向け新事業「ヤフー・ゴー」を発表。携帯電話やテレビ画面上でも、ニュースや電子メール閲覧など、ヤフーの各種サービスをパソコン並に利用できるようにする
。(数ヶ月後にサービス開始予定)
2006年1月
グーグル(インターネットサービス)
インターネットを通じてテレビ番組などの映像を配信する新サービス「グーグル・ビデオ・ストア」を近く開始する。米3大ネットワークの1つCBSテレビの番組等を提供する。価格は1本1
~4ドル程度の予定。
英
国
仏
British Telecom(通信大手)
2006年春
2005年6月、BTの小売部門であるBT Retailは、英国内におけるTV番組配信にMicrosoft社のプラットフォームを用いることを発表。サービスの内容は、VOD/30チャンネルを超える地上波
デジタル放送/テレビ電話/80時間録が可能なSTB/ゲームや電子商取引など。試験サービスを2006年春ないし初夏に、商用サービスを2006年晩夏ないし秋に提供開始の予定。
BBC(放送事業者)
2005年10月
10月末にも「iMP(interactive Media Player)」サービスの実験を開始。すべての番組を対象に、見逃した番組を放送後1週間以内なら好きな時にパソコンにダウンロードして見られ、1
週間先まで予約も出来る。対象は5000人、3ヶ月の実験予定。問題が生じなければ無料の正式サービスに移行。
France Telecom(通信大手)
2004年7月
2004年7月、インターネット、IP電話、TVサービス(ADSL)、ネットゲームなどを1つのセントラルハブを通じて提供するLive Boxサービスを開始。2004年にはフランスで234,000件の契約を
達成。2004年末までにイギリス、オランダ、スペインでサービスを開始する予定。
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YouTube
„ 2005年2月にアメリカで設立
„ オンライン上で動画を共有、閲覧
„ 著作権問題
z 著作権侵害ファイルのアップロードは原則禁止
» テレビ放送、舞台映像など
z 2006年6月から削除作業の活発化
» それ以前は違法コンテンツも放置傾向にあった
» 日本の各テレビ局にはYouTubeに対する専任監視部隊が設けられ
ている
z 2006年8月からJASRACによる削除が開始
» 日本のアーティストのプロモーションビデオや音楽など
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今回のまとめ
„ コンテンツマネジメントとは?
z コンテンツ製作者・コンテンツ利用者の権利
z 権利を守るための法律・団体・技術
„ コンテンツをどう守るか?
z 基本的な考え方
» コミットメント、ポリシング、レゾリューション/ペナルティ
z 保護技術
„ 現状の問題点
z “完全性”と”利便性”のトレードオフ
z 新しいコンテンツ流通の形
» P2P、インターネット放送、YouTube…
z これからの社会に求められるコンテンツマネジメントとは何か?
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課題出題
„ 課題
z 現在インターネット上で発生している知的財産権に
関する問題を一つ取り上げ、技術的・制度的な視点
から考察し、その解決方法を提案してください。
„ 提出
z SOIを通じて提出をお願いします
z 11/1(水) 23:59まで
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