コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究

平成 16 年度
コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究
成 果 報 告 書
平成 17 年 3 月
財団法人
日本規格協会
情報技術標準化研究センター
本報告書に記載されている会社名、団体名、製品名、サービス名、ロゴ等は
一般的に各社または各団体の商標または登録商標です。
平成16年度コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究報告書
目次
はじめに
1
2
3
4
5
調査研究の概要………………………………………………………………………1
1.1 委員会構成とテーマ …………………………………………………………1
1.2 委員会名簿 ……………………………………………………………………1
1.3 委員会実施状況 ………………………………………………………………2
1.4 成果一覧 ………………………………………………………………………2
コンテンツ流通市場の現状と課題…………………………………………………3
2.1 音楽配信サービスの分析 ……………………………………………………4
2.2 映像配信ビジネス ……………………………………………………………6
2.3 インディーズと音楽配信ビジネス …………………………………………8
2.4 写真業界におけるコンテンツ流通の動向…………………………………13
2.5 ブロードバンドとコンテンツ・ビジネス …………………………………17
2.6 携帯端末における DRM サービス……………………………………………22
標準化/共通化における新しい動き ……………………………………………26
3.1 Coral Consortium……………………………………………………………27
3.2 AACS……………………………………………………………………………30
3.3 DLNA……………………………………………………………………………33
3.4 DTCP-IP ………………………………………………………………………35
3.5 TV-Anytime RMPI ……………………………………………………………38
コンテンツ流通システムでの対応 ………………………………………………41
4.1 コンテンツ流通市場形成に求められる標準化へのアプローチ…………41
4.2 市場への適応…………………………………………………………………43
4.3 ビジネスチェイン構築に向けて……………………………………………47
まとめ ………………………………………………………………………………52
はじめに
コンテンツの流通基盤は、大衆文化の形成において本質的に重要な役割を果たすと共に、教育・
文化レベルの高さを保つために不可欠なものであり、この基盤の質は、それを用いているコミュニ
ティの文化の質に直結する。しかし従来のコンテンツ流通基盤では、提供されているコンテンツの
多くが不正にコピー・2次配布されているという問題をもっている。この状況を改善し得る新たな
コンテンツ流通基盤を模索するために、本委員会では次のような調査研究活動を実施した。まず、
現在および今後利用可能なコンテンツ保護技術と標準化動向を調査すると共に、適切な対価でコン
テンツを流通させるために求められる基盤の要件を調査・検討した。ついで、これらの結果を踏ま
え、コンテンツ利用者、提供者、仲介業者ならびに機器メーカに受け入れられる標準仕様のあるべ
き姿を検討した。利用者端末としては、パソコンだけで無く、今後家庭での普及が見込まれる情報
家電をも想定した。また、コンテンツ利用履歴など個人情報の保護についても考慮した。
本委員会の調査研究は平成 15 及び 16 年度の 2 年度にわたって行われた。以下にその概要を年度
毎にまとめておく。
平成 15 年度は、
現在および今後利用可能なコンテンツ保護技術と標準化動向を調査すると共に、
コンテンツ流通市場を形成するための要件や考え方に関する検討を行った。検討項目は、コンテン
ツ流通市場形成に関連する技術・仕様、コンテンツの各配布形態(パッケージメディア、放送、ネ
ットワーク)の特徴および動向、電子透かし、個人情報の保護に関連して個人情報保護法とそのセ
キュリティ対策に対する考え方を含めた。また新たなコンテンツ流通基盤が市場に受け入れられる
ための要件や考え方に関して、コンテンツ配信ビジネスモデル、放送業界の動向、医療への応用、
音楽配信における権利者の意識などについて調査し検討を行った。これらについての詳細は昨年度
の報告書に記載されている。
平成 16 年度は、標準化動向を引き続き調査するとともに、コンテンツ流通基盤を利用するライ
ツホルダ、エンドユーザの観点から、現在の利用形態や要件をまとめた。それらの結果からコンテ
ンツ流通基盤の要件および考え方を整理した。技術動向・標準化動向については、昨年度の調査検
討からの進展を議論した。これらを合わせ、望ましいコンテンツ流通基盤について総合的に検討し
た。業界の方々へのヒアリングで、コンテンツ保護方式についても、ただ強い暗号化方式利用だけ
では無く、利用者の利便性・権利者の利益を守るビジネス方式などを考慮したDRM方式の検討が
重要であることも分かった。本報告書は、これらの検討結果を詳述したものである。
本研究会報告が、コンテンツ利用者、提供者、仲介業者ならびに機器メーカに受け入れられる今
後のコンテンツ流通基盤の仕様策定のために有効に利用され、国際標準、業界標準へ繋がっていく
ことを期待したい。
1.調査研究の概要
1.1 委員会構成とテーマ
当調査研究委員会は、コンテンツ・プロバイダ、通信事業者、放送事業
者、メーカ、学識経験者によって構成される。本年度はコンテンツ権利保
有者がもっているディジタル権利管理システムに対する要件について調査
する。
1.2 委員会名簿
委員会構成を表1に名簿を表2に示す。
表1.委員会構成
コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究委員会
表2.コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究委員会 名簿
委員長
今井
秀樹
幹事
五十嵐
委員
朝倉
敬喜
日本電気(株) システム基盤ソフトウェア開発本部
委員
江口
貴巳
キヤノン(株) PF技術開発センター
委員
遠藤
直樹
東芝ソリューション㈱ SI 技術開発センター
委員
大塚
玲
(独)情報処理推進機構 セキュリティセンター
委員
小川
一人
日本放送協会 放送技術研究所
委員
河原
正治
筑波技術短期大学 情報処理学科
委員
川森
雅仁
日本電信電話(株) NTT サービスソリューション
委員
古原
和邦
東京大学 生産技術研究所
委員
三瓶
徹
(株)スーパーコンテンツ流通
委員
杉山
和弘
委員
鶴川
達也
三菱電機(株) 情報技術総合研究所
委員
中西
康浩
(株)メロディーズアンドメモリーズグローバル
委員
満保
雅浩
筑波大学 システム情報工学研究科
委員
盛合
志帆
(株)ソニー・コンピュータエンタテイメント 開発研究本部
委員
柳
委員
山本
秀樹
沖電気工業(株) ブロードメディアカンパニー
経済省
堀坂
和秀
経済産業省 産業技術環境局
事務局
木村
高久
(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター
事務局
前多
志保
(財)日本規格協会 情報技術標準化研究センター
達治
邦宏
東京大学 生産技術研究所
富士通(株) ソフトウェア事業本部
NTTソフトウェア(株) モバイル&セキュリティソリュ
ーション事業部
(株)日立製作所 情報・通信グループ
1
1.3 委員会実施状況
平成16年5月11日より平成17年2月24日まで、委員会を13回
開催した。
表3.委員会実施状況
第 1 回委員会
2004 年 5 月 11 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 2 回委員会
2004 年 6 月 1 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 3 回委員会
2004 年 6 月 24 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 4 回委員会
2004 年 7 月 20 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 5 回委員会
2004 年 7 月 29 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 6 回委員会
2004 年 8 月 31 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 7 回委員会
2004 年 9 月 21 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 8 回委員会
2004 年 10 月 21 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 9 回委員会
2004 年 11 月 18 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 801 会議室
第 10 回委員会
2004 年 12 月 21 日
赤坂エイトワンビル8階
日本規格協会 802 会議室
第 11 回委員会
2005 年 1 月 17 日
東京大学生産技術研究所
E 棟5階セミナーA
第 12 回委員会
2005 年 1 月 21 日
赤坂豊産ビル 7 階
第 13 回委員会
2005 年 2 月 24 日
虎屋ビル5階
日本規格協会 701 会議室
日本規格協会 303 会議室
1.4 成果一覧
ディジタル権利管理技術と標準化の現状に関する動向追加調査と検討と
を行った。コンテンツ権利保有者ほかに対するヒアリングを行い、その結
果を分析・考察して、ディジタル権利管理システムに関する要件を検討し
た。詳細を2章以下に記載する。
2
2.コンテンツ流通市場の現状と課題
本年度は、コンテンツ流通市場の現状分析とコンテンツ保護に関する課題を明確化
するために、コンテンツ流通市場に関連する企業や団体からヒアリングを行った。
コンテンツ流通市場を構成するプレーヤを図2(1)に模式的に図示する。
著作権等管理
等
使用許諾
コンテンツ配信
団体/会社
コンテンツ提供
費
著作権者
消
著作権等
信託的譲渡
事業者
者
対価
著作権等
使用料
著作権等
使用料
図2(1)
コンテンツ流通市場を構成するプレーヤ
ヒアリング先は、流通するコンテンツ種別(音楽、写真、映像)における、上記コン
テンツ流通市場におけるプレーヤの中から選定した。
また、コンテンツ流通のインフラ提供者として、音楽の世界で大きなビジネス(着メ
ロ、着うた等)を実現し、今後映像系も取り込む動きのある携帯電話関連のヒアリン
グも行った。
表2(1)に、ヒアリング対象団体/会社及び提供サービスと記述する節との対応を
示す。
表2(1)
コンテンツ種別
ヒアリング対象分類表
音楽
写真
映像
プレイヤ
コンテンツ配信事業者
iTunes
2 . 1
-
Music Store
著作権等管理団体/会社
インフラ提供者
(株 )デ ジ
タルアドベンチャ
2.3
2.4
(株)ICAgency
著作権協会
2.6
2.2
日本写真
(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ
3
2.5
バット
(株 )ビ ー
2.1 音楽配信サービスの分析
2.1.1 iTunes/ iPod の概要
音楽配信ビジネスも配信方式・課金形態など大きく変化してきている。ここでは、新たな
市場を築きつつある iTunes を例に分析をしていく。
2001 年 1 月に MAC ユーザ向けに開始された iTunes は、同 11 月に iPod の販売開始、2002
年 9 月 iPOD for Windows と利用環境を整え、2003 年 4 月に iTunes Music Store(以下 iTMS)
を 5 大メジャー楽曲 20 万曲からスタートした。
当時 Windows 上で爆発的に普及していた PtoP ソフトはほとんど Mac 版が存在しなかった
ので、Mac ユーザはネットから音楽を手に入れる術がなかった。そこで「iTunes」上で手軽
に音楽を買える iTMS は熱狂的に歓迎された。サービス開始後、1 週間で 100 万曲、約 2 週
間で 200 万曲、年末まで 2500 万曲を販売し、大ブレイクとなった。
iTunes のサービスは、プロバイダからプレーヤーまで一貫したサービスであったためユー
ザに受け入れられた。コンテンツダウンロードの認証はクライアントマシンで管理してお
り、利用者の手間はない。
CD-R に焼きこむ枚数には7枚の制限があり、1ユーザに登録可能なマシン数も 5 台と制
限があるが、個人ユースでは十分な数である。この制限内であれば、自由に CD-R の作成が
可能であり、ユーザの利便性にマッチしたと考えられる。
一方、アップルを信用したレコード会社、レーベルも事業に乗った。Napster で金が入ら
ないより、このほうがよい、というレコード会社の判断もあった。
また、iPod ブランドも確立してきたので、米国アーティストにも受け入れられ、積極的に
CMに出演する者も出ている。
ビジネス的に見ると、Apple 社はコンテンツ配信のみでは赤字であるが、MAC以上の売
り上げを iPod であげており、トータルシステムとして収益を上げていると言われている。
ただ、日本では、社会システムが異なり、なかなか受け入れられていない。コンテンツホ
ルダとしてレコード会社が複雑にからんでいる。また、CD-R への焼きこみや低価格(99セ
ント)に対する反対もある。しかし、外圧に弱い日本でもあり、ビジネスとして成り立つと
一社でも判断すれば、急激に延びることが予想される。
コンテンツ保護の観点から見ると、Apple 社独自の Fairplay と言う簡単な保護方式を利用
している。Fairplay で保護された Protected AAC ファイルは認証を受けたコンピュータのみ
でしか再生が許可されない。認証はそのコンピュータに iTunes をインストールして iTunes
Music Store でアカウントを登録した時点で行われる。ユーザネームとパスワードをコンピ
ュータに入力することによってセンターサーバに連絡がいき、認証が記録される。登録を
することで音楽が購入できるようになるだけでなく、 iTunes では保護された音楽ファイル
の認証情報と合致した音楽のみを再生する仕組みになっているので、ファイルの認証情報
と合致しないコンピュータではファイルは再生できない。
4
2.1.2 まとめ
この例でも見られるように、コンテンツの保護のためにいつでも強い DRM が必要な訳で
は無い。コンテンツや利用形態に応じた保護方式を考えるべきであり、ユーザのニーズ・
利便性などを考えて DRM も適用すべきである。
5
2.2
映像配信ビジネス
2.2.1
映像配信ビジネス紹介 1
映像配信において成功を収めているビジネス方法について紹介する。ビジネスの成
功の鍵は、低コスト、低労力、汎用性を考慮したシステム構築にある。システムをゼ
ロから構築するにあたり、すべて、アライアンスを組む会社と協力した自社開発とし
て低コスト化に努めている。構築にあたり、特に注意している点はユーザの利便性で
ある。ビジネスのターゲットとなるユーザの大半は30代から40代であり、PC の
初心者も多く含まれている。これらのユーザの方に、マニュアルを読んでいただくわ
けにはいかず、ユーザの手間が掛からないシステムであることを大前提として、シス
テム設計を行っている。また、システムの管理、維持面では、システム管理者を置か
ずにすべて自動で管理可能なシステムとし、低労力化を実現している。
コンテンツの価格にも考慮している。映像コンテンツとして、レンタルビデオより
も安い価格を設定し、ユーザの確保を試みた。また、従来のレンタルビデオの利便性
は保持しなければならず、レンタルビデオのダビングを配慮したシステムとして、配
信されたコンテンツを DVD へダウンロード可能な形態としている。さらに、ユーザ
を増やすために、課金方法を考慮している。基本的には、自社で課金を行うが、ユー
ザによっては、クレジットカード番号を知られることを嫌がる場合がある。この場合、
ユーザが加入している ISP に、課金代行を依頼する。大手の ISP であれば、ユーザは
クレジットカード番号を知られることを拒まない傾向があるためである。この傾向を
利用し、顧客数を増やしている。また、現在配信している動画コンテンツはアダルト
コンテンツ中心に3000本程度と豊富なラインナップを誇っている。この数に甘え
ず、さらに、コンテンツ数、種類を増加させている。また、PC 向けのコンテンツだ
けではなく、携帯端末向けのコンテンツも揃え、ユーザの多様な要望に応えようとし
ている。
2.2.2
DRMの現状
DRM についても種々の配慮を行っている。コンテンツ配信におけるセキュリティ
システムもゼロから構築を始めた。この構築においても、低コスト、低労力、汎用性、
ユーザの利便性を考慮した。低コスト、低労力としては、アライアンスを組む会社が
システム構築を行うことで実現した。また、ユーザの利便性については、ワンログイ
ンシステムを導入することで実現している。登録時に、ActiveX の専用ドライバを使
用して、共通鍵暗号ベースの秘密鍵を保管する構成とし、この専用ドライバにより、
ログインの手間を削除する構造となっている。また、保存された秘密鍵は各ユーザ固
有のものであり、ユーザユニークな暗号化が可能となっている。この秘密鍵によりラ
イセンスが暗号化されて配信されるが、プレーヤに復号化機能が内蔵されているため、
ユーザに DRM を意識させることはない。DRM としては軽いタイプの処理であるが、
これまで現実的な被害は起きていない。これは、コンテンツがアダルトコンテンツ中
心であるということが一つの要因になっている。アダルトコンテンツを使用するユー
1
資料提供
株式会社デジタルアドベンチャー殿
6
ザは、個々に楽しまれる方が多く、他のユーザとの交流が少なくなっている。このた
め、不正にコンテンツが流通する被害がないと考えられる。また、万が一のことを考
え、コンテンツが不正にネットワーク上に流されないように、電子透かしをコンテン
ツに埋め込み、関連会社によりネットワーク上のコンテンツの監視を委託している。
ユーザの利便性を考えると、DVD への録画もターゲットに入れている。但し、この
DVD を再生するためには、同じ端末である必要がある。これは、ダウンロードした秘
密鍵をプレーヤの中に保存するためである。他の端末で使用する場合は、その端末に
より再度ライセンスを取得することで可能となる。また、期限付きのレンタルの場合
も利便性を考慮している。期限が切れたコンテンツを保管しておくことは可能である。
これを使用する場合は、ライセンスのみを再取得する形態とし、コンテンツを再ダウ
ンロードするような手間は省いている。
さらに、プライバシーの保護方法も重要である。登録されたユーザデータには、細
心の注意を払い、アクセス権限を持つ管理者のみがアクセス可能な形態としている。
今後の展開として、より多くのユーザの獲得、効率運用のための方策を考えている。
より効率的なコンテンツ配信のためには、効率的なコンテンツ製作も重要な要素にな
る。そこで、ワンソースマルチユースの考え方を導入し、何回も同じ素材を使用する
ことで、コストダウンを図っている。また、現行では Windows Media Player 用のコ
ンテンツ配信のみであるが、さらなるユーザの獲得のために、マルチプラットフォー
ム対応のシステムにすることを考えている。
より遠い将来においては、P2P の流通形態まで行けばよいと考えている。コンテ
ンツ自身はセキュアに保護されており、ライセンスを的確に管理することにより課金
を行い、分配金を回収可能なシステムができれば、よりユーザの利便性が向上し、結
果としてユーザ数の増加することを考えている。
2.2.3
まとめと考察
現在、映像配信ビジネス成功の主たる理由は、コンテンツの性質に依存する部分と、
徹底した低コスト化に依存している部分があると考えられる。紹介した例では、前者
の影響により、強い DRM を設定する必要がなくなっている。結果として、低コスト
な DRM システムとなり、後者の低コスト化と適合している。DRM に多くの投資を
し、強固な DRM を構築し、コンテンツを強固に保護する場合は、ユーザの利便性を
損ない、ユーザが離れてしまうことが懸念される。強固な DRM による利益低下とい
う、逆効果があることを端的に示しているのではないだろうか。
7
2.3 インディーズと音楽配信ビジネス1
2.3.1 インディーズと音楽配信ビジネスの現状と動向
インターネット等様々なメディアの出現に伴い、ユーザニーズも多様化していることか
ら、近年のメジャーレーベル2)の売り上げ減少とは対照的にインディーズが活性化しつつあ
る。このようなユーザニーズの多様化を、企業中心からアーティスト中心へのパラダイム
シフトと捉え、上から与えるのではなく、ユーザが求める“鮮度の高い”音楽を供給する
ニーズが高まっていると分析した上で、著作権者であるインディーズ系事務所・アーティ
ストと権利使用者との間の権利使用許諾と著作料の請求を代行するエージェントビジネス
に事業機会を見いだしている。
実際、米国ではインディーズが実力派ミュージシャンの登竜門になっており、米国にお
ける 7000 億円の売上げのうち 50%はインディーズ系が占めるに至っており、日本での状況
とは全く異なる。欧米ではもともとアーティスト中心であったが、日本はレコード会社が
家電メーカの子会社として発足した歴史的経緯も大きいのではないかと考えられる。しか
し、メジャーの役割は資本、流通網、A&R (Artists & Relation)であったが、新しいスキー
ムが作られつつあり、インディーズとメジャーの差を議論するのはナンセンスになりつつ
ある。
インディーズ系アーティストを中心にして、地域におけるイベントやコミュニケーショ
ン紙を通じて、ファッション/ライフスタイルを展開することにより、音楽ビジネスから
さらに広げて様々な市場を開拓する、いわゆるインディーズ産業化も起こりつつある。
このようなパラダイムシフトを音楽配信における権利処理の観点から言い換えると、ま
ず権利者は分散する方向に向かうと言える。すなわち、従来はプロダクションが権利者だ
ったものが、プロデューサへ、さらにはプロデューサからアーティスト個人へ分散が進ん
で行くと捉えられる。エージェントが入れば、インディーズ系事務所・アーティストの音
楽配信ビジネスは進展しそうに見えるが、実際にはメジャーレーベルが圧倒的な力を持っ
ており、いわゆる業界のしがらみがある種の妨げになっているかも知れない。
今後の展開については、CD からネットワークダウンロードに進むのは間違いなく、アッ
プル社の iPod や、携帯電話における「着うた」の成功などを考えれば、2003 年が音楽配
信ビジネス元年といえるのではないかと考えている。日本においては、携帯電話「着うた」
から PC、車載機へと展開していくのではないだろうか。メディアや圧縮技術は様々なもの
1)
資料提供:株式会社 ICAgency 殿
2)一般には資本規模が大きく、独自の流通網を持つレコード会社をメジャーレーベルと呼び、資本規模が比較的小さく、
流通網を持たないレコード会社をインディペンデントレーベル(通称:インディーズ)と呼ぶ。世界では Sony BMG、
Warner EMI Music、 Universal Music Group をメジャーレーベルと呼ぶが、日本では大手レコード流通会社を通して
配送するエイベックス、日本コロムビア、キングレコード、ポニーキャニオン、ビクターも含めてメジャーレーベルと
呼ぶことが多い。
8
があるが、メタデータフォーマットと ID 体系(データベース)がきちんと管理されていれ
ば十分に対応できるのではないかとの展望が示された。
2.3.2 まとめと考察
音楽などの著作物を CD やレコードの”パッケージ”にして大量生産し、独自の流通網を使
って効率よく消費者に送り届けるモデルと、少額の費用で多品種の商品を消費者に送り届
けられるネットワークダウンロード・モデルの間には大きな違いがあり、もともと多品種
のインディーズ系著作物を例に考えることによって、この差異を際だたせることができた
のではないかと思われる。今後、ネットワークダウンロードによる音楽配信が進展するた
めには、業界のしがらみから自由になることが課題だとの指摘もあり、本格的な音楽配信
の普及は、やはりメジャーレーベルの保有する楽曲がネットワークに流れるかが鍵となる。
9
インディーズ市場のカバー状況
上位10%の事務所
がインディーズ市場
80%以上をカバー
上位事務所の70%
以上をカバー
残り90%のレーベル・事務所
が20%の市場をカバー
Topクラス200アーティスト以上の
楽曲を配信事務所とのネットワー
クにより継続して有力アーティスト
および、楽曲ラインアップが可能
「質」「量」「多彩さ」
で利用者ニーズに
対応
ストリート系600アーティスト
のインタラクティブ配信権を
確保
・Topクラスで活躍するアーティストおよび多彩なストリート系アーティストをラインアップ。
・上位アーティスト事務所の約70%をネットワーク
ICAgencyの事業体制により、ユーザーニーズ、アーティストニーズに応える「質」「量」「多彩」なイ
ンディーズ音楽コンテンツを提供中
1
Confidential
特徴1 「質」 有力アーティストの生音、ビジュアル素材配信権を確保
Topクラスアーティスト: 200アーティスト、1,200曲の配信数を誇ります。
(CDセールス1万枚以上、メジャーライブハウスでの単独ライブ開催可能)
上記有力アーティスト中:
・最上位Topクラスアーティスト:
77アーティスト
(CDセールス10万枚以上を記録など、Oricon/HMV/Tower/新星堂チャートイン)
・優先配信中アーティスト: 17アーティスト
(他社CP様より約2-3週間前からの配信スタート)
・タイアップアーティスト: 17アーティスト
(ライブツアーへの協賛、アーティストによりコメント、生声、オリジナリ写真などの配信)
(数値は12月現在、資料13.1, 13.3をご参照ください)
ブルーハーツ
スネイルランプ
ケツメイシ
バロック
2
Confidential
10
特徴2 「量」
600アーティスト以上のストリート・ローカルミュージシャンをフィーチャー
します。
・独自ネットワークによりインディーズ音楽の原点であるストリート・ローカルミュ
ージシャン楽曲をラインアップします。
・楽曲数にして10,000曲以上のインタラクティブ配信権を獲得済みであり多様な
ニーズに応える圧倒的な量を誇ります。
・アーティスト毎に楽曲セレクションを行い、2,000曲規模から配信を開始します。
(資料13.2をご参照ください)
3
Confidential
基本コンセプト
はじめに
【Scene of music】 新しいミュージック・シーンの誕生
---USでは、メジャーとインディーズの差がなくなり、インディーズこそ実力派たるミュージシャンの
登竜門となりつつあります。
---既に、インディーズ自体が産業として確立しています。例)各種ロックイベント
【Street Culture】 インディーズはストリートへ
---インディーズがStreetに展開したことで、若者文化の中心におどりでることとなりました。
ファッション
ライフスタイル
ホビー
---マーケットとしても既に無視できない規模となっています。今こそStreetに注目したマーケティン
グが重要となっています。
独立したアーティスト、新しいcultureを応援し、そこにマーケットを見出すためにでき
たコンセプト作りをしております。
4
Confidential
11
全体像
ファッション・アパレル
ファッションブランド
お店、街中
クリエイター
アパレルのユーザネット
ワークやアーティストとの
連携を活用。
・ファッションとの連動
・常に新しい情報を吸収
雑誌・フリーペーパー・TV番組
•若者イメージの構築に
よって、マーケットを創
造する。
認知度アップ
雑誌にブランドを露出
することによって、認
知度を高める。
現地にしかない地
域密着型媒体で
のエリアドメスティッ
ク戦略のご提案
スポーツ
レコード販売店
イベント・ライブ
一年間を通じた機種ごとの
イベントのプログラム作成。
ニーズに合ったご提案
アーティスト
Scene
音楽業界
•キャラクター・楽
曲を含めたマーチャ
ンダイジング戦略。 コミュニティ
•若者層への支持の取り付け
•ローカルに根ざした盛り上がり
イベント
•アーティストのツアーイベント
•新しい情報元
として定着。
•サマー・ウィンター大型イベント
•地域の情報収集ネットワー
クをもたないメーカーへの情
報をベースにした業務提携
新しい音楽が生まれる場所
•従来のメジャーレーベル主導ではな
い、アーティスト尊重の制作活動
•ローカルに根ざしたアーティストを発
掘できる。
5
Confidential
12
2.4 写真業界におけるコンテンツ流通の動向 1
2.4.1 業界の特徴
写真業界は、音楽・映像業界に比べ、小規模な個人企業が殆どを占めている。また、
写真コンテンツの著作権もほぼ個人に帰属するという特徴を持つ。
当業界においても、デジタルカメラ、PC、インターネットの普及によりビジネス
の状況に変化が生じており、情報化社会への対応の必要性に迫られている。
個人企業が主な構成要素であるが故、業界の意思統一が容易には進まない面がある
が、その中でも日本写真著作権協会(JPCA)を始めとする業界団体が、写真著作
権の普及啓発や著作権管理事業などを通じて、写真コンテンツの流通促進に取り組ん
でいる。
2.4.2 写真コンテンツの流通動向
写真コンテンツのデジタル化が進むにつれ、ネット上で写真を利用して欲しいコン
テンツホルダのニーズと、ホルダの許可を得た上で写真を正当に利用したい利用者の
ニーズは高まっており、そのための流通基盤整備が求められている。
このような背景の下、まず第1ステップとして、著作権者IDの発行・普及ととも
に、ネット上の写真保護のためのサーバ提供、写真コンテンツへのID割り当てとD
B化を目的とした基礎システムを構築し、インターネット上でコンテンツホルダと利
用者を結び付ける実績を上げてきた。
次に、第2ステップとして、以下の3点を狙った活動を展開しようとしている。
(1) 携帯電話向けの画像流通実験
(2) 携帯電話ユーザに向けた著作権ID、コンテンツIDの普及促進
(3) 不正利用の制限
携帯電話の待受け画像の配信ビジネスを想定した画像流通実験を進めていく予定
でいる。携帯電話は終端端末であり、そこからコンテンツが外部に流れ難い性質を利
用し、まずは携帯で流通の様子を見る。また、携帯とつながりの深い若年層に焦点を
当てたエンドユーザのコンテンツ利用方法も調査していく予定でいる。
不正利用に対しては、DRMなどによる技術的な制限を強化するよりも、ダウンロ
ードした時に何らかのコメントを出すなど、利用者に対して著作権に関する意識を促
すことが有効と考えている。
2.4.3 コンテンツの保護技術と評価
写真コンテンツは、PCブラウザでの利用が殆どであることから、コンテンツの保
護技術もブラウザでの二次操作(キャプチャ/PrintScreen/コピー/編集/保存/
印刷など)を制限するブラウザ用プラグインなどに重点が置かれている。また、写真
家の半数以上がMacを利用しており、WindowsのみならずMacサポートが
必須であることも、保護技術に求められる特徴の一つである。
このように一定の保護技術を導入し始めているものの、これだけで十分な保護がで
1
資料提供:日本写真著作権協会殿
13
きるとは認識しておらず、電子透かしなども含め、コンテンツ保護技術の強化のみで
コンテンツの流通促進が図れるとは、今のところ考えられていない。
2.4.4 今後の課題
コンテンツの流通促進に対し、以下の2つの課題が上げられている。
(1) 著作権に関する一般の意識が低い。
これは技術的に解決できる問題ではなく、学校教育における著作権教育などが必要
であると考えられている。DRM技術においても、コンテンツの不正利用を制限する
のみならず、教育効果のあるものが求められている。
(2) コンテンツの識別・検索が難しい。
一例として、”富士山”というキーワードで写真コンテンツを検索すると、ヒットし
過ぎて検索にならなくなる。権利者の主観的な評価、感覚的なキーワードによる検索
技術が求められている。
2.4.5 まとめと考察
写真コンテンツは、デジタルカメラ、PC、インターネットの普及に伴い、その流
通データ量は確実に増えているが、コンテンツ流通市場規模は依然小さく、不正利用
対策よりも流通規模の拡大が今日の業界の主な関心事である。このような背景から、
携帯電話の待受け画像の配信を突破口として流通促進を図る動きもあり、これが着メ
ロや着うたのようにヒットするか否かが、今後の流通を左右する一つの試金石になる
と考えられる。
写真家のみならず一般個人もコンテンツホルダになれることから、音楽・映像の場
合に比べ、流通環境に小規模なコンテンツホルダが無数に存在する点が一つの特徴で
ある。したがって流通基盤によるコンテンツアグリゲーションの充実化も、今後の流
通を左右する鍵を握るものと考えられる。
DRMに代表される不正利用対策技術は、現状さほど関心を集めていないが、流通
規模の拡大に伴い重要度が増すことは明らかである。コンテンツの暗号化を基本とす
る保護方法は音楽・映像とさほど変わらないと予想されるが、不正利用の視点から敬
遠されるPCプラットフォームに流通基盤が依存せざるを得ない、また、コンテンツ
の利用定義が音楽・映像とは異なるなど、写真固有の流通基盤要件も求められてくる
ものと考えられる。
14
ID登録と画像保護サービス
利用者のニーズ
写真
真
写
利用
用者
者
利
写真
真家
家
写
写真家のニーズ
写真を公開して誰か使って欲しい・・
HPで写真を公開したいけど不正
コピーされて勝手に使われるのは
防ぎたい・・
この写真を使いたいけど、
カメラマンが誰で、どこに連絡して
いいかわからない・・
「この作品の権利は誰が持っているのか」が不明確なために利用が限られたり、不正利用を防ぐ手段がありませんでした。
【 JPCA設立の目的 】
写真著作権者の問い合わせ
作品管理用マイページの提供
その他の作品の閲覧・問合わせ
写真著作権者
デ−タベ−ス
画像保護サービスの提供
写真
真利
利用
用者
者
写
プロ
ロ
カメ
メ
ラマ
マ
ン
プ
カ
ラ
ン
アマ
マ
チ
ュ
アカ
カメ
メ
ラマ
マ
ン
ア
チ
ュ
ア
ラ
ン
写真
真愛
愛好
好家
家
写
写真著作権者IDの取得
JPCAは、写真の権利者が誰なのかを明確にし、作品を公開する場を提供することで、利用者が著作物を積極的に利用できる
ような流通システムの構築を目的としています。今後もより作品の流通を促すようなサービスを構築していきます。
マーケットプレイスシステムについて
リピーターを増やす工夫が必要
■新事業■
ブラウズ
マーケットプレイス
利用者
画像
・新しいコンテンツの開発
ただのギャラリーではなく楽しめる
サイト
課金
ブラウズ
ダウンロード
写真
TSS
JPCA
サイト
(個人)
画像
VFZ
【目的】
・画像保護
・画像販売
各社
ID登録
USER
課金
当初はダミーで実証実験の
ものを流用
15
・複写権センターへの
提案(モデル)
・2005年度文化庁実験
への提案
・ギャラリーのストック
(古い写真)を増やす
⇒流通
画像登録
クレジット
・携帯用コンテンツ
⇒試作
携帯配信システム詳細図
センター
Viewer for PC
プロパティ
表示
配信
サーバ
端末に応じた
ユーセージ
コントロール
エンコーダ
U
暗号化
VFZ他
エンジン
I
クリエタ
コンテンツ作成ツール
♪
メタ
Viewer for BREW2.0
for Java
ID認証
ツール
JPG VFZ
MID・WAV
20K
PC・モバイル両方に対応したコンテンツフォーマットを
音楽・写真の復号コンテンツ流通を行う
16
2.5
ブロードバンドとコンテンツ・ビジネス
2.5.1
ブロードバンドコンテンツ流通の展望1
コンテンツ流通には大別してコンテンツ製作と流通という2つの工程がある。従来こ
れらの工程はテレビ局や出版社などのごく限られたエンティティのみにより行われて
いた。これに対して、近年のインターネットや IT 技術の普及はこの状況を大きく変え
ようとしている。デジタルビデオカメラやノンリニア編集ソフトの低価格化は、コンテ
ンツ製作の敷居を大きく下げており、また、個人 Web サイト、P2P、ブロードバンド環
境などの普及はコンテンツ流通の場を大きく広げている。
ブロードバンドコンテンツ流通の目指すところも、このようなコンテンツ流通環境の
変化に伴って生じる新たにニーズを捉えるところにある。実際、インターネット・サー
ビス・プロバイダには、配信リソースの有効活用と顧客サービス向上のためにリッチ・
コンテンツを配信したいというニーズがあり、コンテンツホルダにも、保有コンテンツ
を有効利用したいというニーズがある。しかしながら、プロバイダやコンテンツホルダ
が、以下のような業務
(1)コンテンツのエンコードやデジタル化
(2)エンティティ間の折衝・調整
(3)配信ページの作成および配信サイトの運用
(4)著作権処理
を単独で行うには限界があり、ここに新たなビジネスチャンスがあると思われる。特に、
著作権処理業務に関しては、権利利用報告、利用料支払事務や権利者団体等との利用許
諾交渉など複雑な処理が必要であり、そのニーズは高いと思われる。
2.5.2
現状の課題 1
ブロードバンド環境においてコンテンツ流通を促進させる際の留意点としては、以下
のような項目がある。
1)放送と通信の違い。ブロードバンド環境ではコンテンツがリッチであればあるほ
ど視聴数やトラヒックが増大し、それに応じてネットワーク回線やサーバの増強が必要
となる。事業計画を立てる際には、このコストを考慮する必要がある。
2)利用者の意識。利用者の意識として、「インターネットはより少ないお金で情報
を共有し合うためのツール」という意識があり、お金を払ってまでコンテンツを視聴す
る価値をいかにして付加するかが課題となる。
3)コンテンツホルダの意識。インターネットは既存のコンテンツビジネスの理論が
通用しにくい世界であり、コンテンツホルダがコンテンツの提供をためらう面があるこ
とが挙げられる。ただし、最近では着メロや着うたなどの成功例もあり、ブロードバン
ド配信をビジネスチャンスととらえられる気運は高まっていると言える。
4)著作権処理ルールの整備。既存メディアと異なりインターネットでは著作権処理
1資料提供
株式会社ビーバット殿
17
ルールが(徐々に整備されつつあるものの)完全には確立していない。著作権処理ルー
ルの整備は、コンテンツビジネスを行う際に必要不可欠な項目である。その整備を行う
ため、例えば、以下のような対策
・著作権情報の集中管理
・各権利がどのエンティティにより所有されているかなどの情報を容易に入手できる
環境の整備
・関連プレイヤー、権利者団体へのEDIの導入
が提唱されている。
2.5.3
まとめと考察
インターネットや IT 技術の普及はコンテンツ流通に対して追い風ではあるが、コン
テンツ配信のみでビジネスを成立させるのは容易でないように思われる。現状では、コ
ンテンツ配信業務そのものというより、むしろコンテンツのエンコード、エンティティ
間の折衝・調整、著作権処理など、コンテンツ流通に付随する総合的なサービスを提供
することでビジネスが成立している面がある。コンテンツ流通ビジネスを今後さらに発
展させるためには、著作権処理ルールの整備や、お金を払ってコンテンツを視聴したく
なる仕組みの付加などが必要となると思われる。
18
現在
現在のコンテンツ流通
複雑な 流 通 経 路
インターネット
サービス
プロバイダ
家庭や学校の
ご利用者
コンテンツ
ホルダ
映画
音楽
ゲーム
スポーツ
ニュース
今後
ブロードバンド時代のコンテンツ流通市場
インターネット
サービス
プロバイダ
家庭や学校の
ご利用者
ブブ ロードバンド・インターネット
コンテンツ
流通市場
コンテンツ
ホルダ
映画
音楽
B-BAT
BAT
ゲーム
スポーツ
著作権保護・
CATV局
CATV局
管理システム
19
ニュース
基本ビジネスモデル
著作権等管理事業者
コンテンツアグリゲータではなく、コンテンツ
コンテンツアグリゲータではなく、コンテンツ
流通市場に集まるコンテンツの
流通市場に集まるコンテンツの
著作権情報とと視聴情報
視聴情報をを管理
管理し、
し、
著作権情報
利用
コンテンツホルダに代わって権利者に
コンテンツホルダに代わって権利者に利用
その他権利者
¥利用許諾料
¥利用許諾料
¥利用料
¥利用料
支払を行う。
許諾料のの支払
を行う。
許諾料
¥手数料
¥手数料
¥情報料
¥情報料
¥視聴料
¥視聴料
¥視聴料
¥配信手数料
¥配信手数料
●市
市場機能の提供
●
場機能の提供
●
著作権保護・管理
● 著作権保護・管理
●配信準備サポート
配信準備サポート
●
認証・課金
配信
●権利利用料支払代行
権利利用料支払代行
●
コンテンツホルダ
視聴者
視聴ログ
コンテンツ流通市場
配信事業者(ISP等)
権利処理の流れ
【ASP系事業者】
権利利用料
ASP》》
Web、
《《Web、Stream
Web、Stream --ASP
●Web、Streamサービス提供
Web、
●
Web、Streamサービス提供
Streamサービス提供
DRM−
《《DRM−ASP
DRM−ASP 》》
●DRMサービス提供
DRMサービス提供
●
DRMサービス提供
●アクセスログ提供
●アクセスログ提供
●キー発行ログ提供
●キー発行ログ提供
ー発行ログ提供
●キ
《権利者団体》
●権利許諾
Web環境、アクセスログ
Web環境、アクセスログ
ストリーミング
環境、ログ
権利利用許諾
サービス利用料
DRMサービス、
キー発行ログ
DRMサービス、キー発行ログ
権利利用許諾
【コンテンツ系事業者】
《コンテンツホルダ》
《コンテンツホルダ》
●コンテンツ提供
●コンテンツ提供
ンテンツ提供
●コ
●プロモーション
●プロモーション
●権利許諾情報提供
●権利許諾情報提供
コンテンツ
利用料、
売上報告
●コンテンツ調達
●プロモーション
●著作権処理
視聴料
視聴料
《ISP等ディストリビュータ》
《ISP等ディストリビュータ》
●コンテンツ配信環境提供
●コンテンツ配信環境提供
●課金決済
●課金決済
●各種会員サービス提供
●各種会員サービス提供
HP制作
HP制作
エンコー
ド
エンコード料
HP制作費
コンテンツ
権利許諾情報 ●全体企画・調整
【配信系事業者】
《エンコード事業者》
《エンコード事業者》
●エンコードサービス提供
●エンコードサービス提供
《HP制作事業者》
《HP制作事業者》
●HP制作サービス提供
●HP制作サービス提供
【コンテンツファクトリ系事業者】
20
《各メディアによるコンテンツ視聴形態の比較》
TV
携帯
・ユビキタス
・外出先、寝室などどこ
でも
視聴形態
腰を落ちつけて「じっくり」 思いついた時に「手早く」
・娯楽型
・時間つぶし型
コンテンツ消費
・自分の興味に気がつく ・コミュニケーション(メー
形態
・流れを楽しむ
ル)
・能動的
・受動的
メディア接触
・好みに関わらず、良いも ・興味のある情報を探して
見る
のが見つかれば見る
表現力
動画
◎
×
静止画
×
△
テキスト
×
○
音声
○
×
×
△
インタラクティブ
視聴場所
・自宅
・居間がメイン
PC
・自宅
・居間、書斎など
・職場
腰を落ちつけて「じっくり」
・情報収集型
・自分の興味を深める
・能動的
・興味のある情報を探して
見る
○
○
○
○
◎
コンテンツ流通の促進にむけて (提言)
1.コンテンツホルダのビジネスチャンス
● コンテンツホルダがブロードバンド配信をビジネスチャンスととらえること。
● 現状では困難。DVDにビジネスチャンスを見出している状況。
2.権利処理ルールの明確化
● 特定のプレイヤーだけがもうかる仕組み ⇒ 誰もがもうかる仕組みへ。
● 権利者にも公正に利用料が支払われなければならない。
3.権利情報の共有
● コンテンツ流通促進のためには著作権情報を容易に入手できる環境が必要。
● 著作権情報の集中的な管理。
4.業界のEDI
化の促進
4.業界のEDI化の促進
● コンテンツ業界はEDI化最後の関門。
● コンテンツ流通促進のために関連プレイヤー、権利者団体のEDIは必須。
21
2.6
携帯端末における DRM サービス
携帯電話コンテンツ流通の考え方と概況1)
2.6.1
(1) 携帯電話会社のコンテンツ流通サービス展開に関する取組み
携帯電話によるコンテンツ利用は、サーバー型サービスモデルへの展開について、以下
のスタンスがある。
①
携帯電話は、ネットワークにつながる生活鍵リモコンと捉えている。
②
地上波デジタル、サーバー型1セグメント放送を対象としている。
③
バースト的なトラフィックの上昇を伴うリッチコンテンツの配信は携帯では難し
い。
④
リッチコンテンツは迂回させるべきとの考えから、サーバー型放送の利用を検討
している。
⑤
コンテンツは放送から入手、携帯でメタデータを入手するモデルが適している。
ただ放送の直接受信は電波状況などにより不安定であり、家庭での放送受信後携
帯へ持ち込みとする。
⑥
サーバー型では Type1、Type2 の2通りのモデルが想定されるが、Type1のモデ
ルを想定した場合は課金なしの無料鍵を送るか、ドメイン管理のスキームを利用
する。放送局などによるメタデータの販売がビジネスモデルとなる。
これらを前提に、図に示すような、デジタル放送と連動した番組流通サービス形態が考
えられる。
(2) 携帯電話における DRM の適用状況
①
携帯電話および移動体網が閉環境であること、高額なコンテンツ等を扱わないこ
とから、本格的な DRM は適用されていない。
・ 利用期限、利用期間、利用回数の指定
・ 携帯電話からの書き出し可否指定
・ 特殊な暗号化等は使用せず(伝送路上の暗号化を除く)
②
一部、PHS 端末などを用いて DRM 適用サービスを過去に提供した事例がある。
・ ドコモの音楽配信サービス(M-Stage Music)
:EMMS/OpenMG、EMDLB
・ DDI ポケットの音楽配信サービス(SoundMarket)
:ケータイ de ミュージック
方式(UDAC-MB に統合)
(3) 携帯電話向けコンテンツ流通サービスに関する今後の動向
① 画像送信機能、外部メモリの標準サポートが実現
② コンテンツの二次流通プラットフォームの整備
③ 外部からメモリ経由でコンテンツを携帯電話へ格納
④ 課金、コンテンツ保護、権利の移転や共有などを含む総合的な権利流通サービスの
1)
資料提供:株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ殿
22
実現
⑤ 携帯電話はブリッジメディア(携帯網での帯域保証は不可能)
(4) 携帯電話に特有なコンテンツ流通の環境条件
① CPU、メモリなどのリソースが限られる
・ 複数種 DRM 方式の実装が困難
・ 処理の負荷が重いアルゴリズムは実装が困難
② アプリケーション的には閉環境
・ 外部メモリ、USB などハード的には開環境
・ ブラウザやメーラなどの携帯電話上のネイティブアプリケーションはコントロール
下(ネイティブアプリケーションはユーザ・アプリとの連携が可能であるが、ユーザ
またはユーザ・アプリによるコンテンツのコピーは不可能)
③ ユーザ認証が容易
・ 電話番号、クライアント証明書、生体認証などによって、ユーザ特定が可能
・ 課金など権利の管理が単純
④ 通信を使ったリボケーションが容易
・ マスター鍵の交換や暗号アルゴリズムの交換も可能
(5) コンテンツの著作権管理に関する課題及び標準化の必要性
① 汎用性の高い DRM 方式であること
・ クローズな世界でのコンテンツ流通を前提
・ プロバイダやコンテンツ種別等に依存しない汎用的な DRM 方式が必要
・ 特定の DRM にはこだわりなし(処理の負荷が大きい DRM は不可)
② 映像・音楽など暗号化ストリームのランダムアクセスができること
③ 共通部品・共通ツールとすべき項目(スクランブル方式は、携帯では重い)
・ 暗号化アルゴリズム(コンテンツ用、鍵交換用、認証用)
・ 暗号化コンテンツパッケージング
・ Hash 関数
・ コンテンツ権利記述
・ クライアント認証(PKI)
④ Rights Issuer 機能
・ 携帯電話で生成される静止画、動画やメール・アドレス帳のバックアップなどにも
DRM が必要となる。この場合、Rights Issuer としての機能が必要となる。
2.6.2 まとめと分析
今後は、携帯電話とポータブル・オーディオ・ビジュアル端末との融合がますます加速さ
れ、地上デジタル放送の開始・普及に伴って、携帯電話による映像・音楽・放送コンテン
ツ閲覧が主流になりうる可能性を大いに秘めている。
23
このような状況の中で、特定の携帯電話会社内だけに閉じるのではなく、複数の携帯電話
会社間、複数の PC やポータブル・プレーヤ向け音楽/映像配信サービス間にまたがった、
業界横断的なデジタル著作権管理メカニズムを確立しないと、次の理由により、放送・映
像・音楽コンテンツの流通がうまく促進できないのではないかと懸念している。
(1) 個人から見ると、あるときは携帯電話で見たり聞いたりするし、あるときにはカーオー
ディオで見たり聞いたりするし、あるときには PC で見たり、あるときには家庭内のオ
ーディオ装置で聞いたり、TV で見たりするが、それぞれのシーンで、同一の音楽・映像
コンテンツのダウンロード契約をすることはありえない。あくまでも、コンテンツに対
して課金されるべきであり、端末種別毎に課金されるような状況は避けなければならな
い。
(2) セットトップボックスでダウンロードするのであれば、その先、どの端末にダウンロー
ド/インストールするかが選択できるようにする必要がある。
(3) 一般ユーザの立場から見ると、セットトップボックスにダウンロードしたコンテンツは、
ネットワーク経由で個人が所有する各種の端末にダウンロード(配信)できると、もっ
とサービス性が良くなる。
以上の観点から、当面は、携帯電話会社毎、インターネット配信業者毎に個別の音楽・映
像配信サービスが立ち上がっていくとしても、最終的には1ストップ・サービスとして統
合化していくための著作権管理方式、ユーザ管理方式、不正コピー防止方式、1つのユー
ザが所有する複数の端末間でのコンテンツ流通方式等を加味した総合的な DRM 管理プラ
ットフォームの構築について、業界横断的な検討が求められている。
24
携帯端末による超流通サービスモデル案
①ハードディスクレコーダー連動型 − 1
暗号
ファ 化番組
イル
(固
定
移動体通信網
視聴権利
/メタデータ
受信
)
予め携帯向けにエンコードした番組ファイルを固定受信伝送路から
HDR経由で携帯にMove
②ハードディスクレコーダー連動型 − 2
移動体通信網
固定
放送 受信
番組
視聴権利
/メタデータ
家庭向けの放送番組をHDRで携帯向けにエンコードし直し(トランスコード)
て携帯にMove
携帯端末による超流通サービスモデル案
③クレードル連動型 移動体通信網
1セ
グ放
送番
組
メタデータ
クレードル
1セグからの放送番組をクレードルに蓄積し、携帯にMove
携帯端末には1セグ放送番組に対応するデコーダが登載
されていることが前提
④携帯受信型
移動体通信網
暗号
ファ 化番組
イル
(1セ
グ)
視聴権利
/メタデータ
予め携帯向けにエンコードした番組ファイルを1セグ伝送路から
携帯端末に直接ダウンロード
25
3
標準化/共通化における新しい動き
この章では、コンテンツ流通を促進する新しい基盤の標準化/共通化に関する動向
を紹介する。新しい標準化/共通化の動きは、記憶媒体、通信・ネットワーク、放送
など各種伝送メディアにおいて見ることができる。また、技術的には、DRM 技術そ
のものを標準化/共通化の対象としたものばかりではなく、DRM 技術間の互換性、
機器の相互接続性などを目的としたものもある。
26
3.1
Coral Consortium [1]
3.1.1
概要
様々な音楽配信、コンテンツ配信サービスの開始に伴って、様々な著作権管理
(DRM)技術が利用される状況になり、異なるサービスが利用する DRM 技術の互換
性を取る動きが活発になってきた。
2004 年 10 月に発足した Coral Consortium は、Hewlett-Packard Co., Intertrust
Technologies Corp., 松下電器産業、Royal Philips Electronics, Samsung Electronics
Co., Ltd, ソニー、Twentieth Century Fox Film Corp. が立ち上げたコンソーシアム
で、DRM 技術自体の標準化ではなく、DRM 技術の相互運用性を確保する標準仕様を
作ることを目的としている。
Coral Consortium は 2005 年前半に標準のインターフェース仕様を公開する計画で
あるが、その仕様は Intertrust Technologies Corp.が開発した NEMO (Networked
Environment for Media Orchestration) という DRM 互換技術をベースに策定される
のではと予想されている。
また、DRM 技術を開発する米 Intertrust Technologies Corp.と,松下電器産業,オ
ランダ Royal Philips Electronics 社,韓国 Samsung Electronics Co., Ltd.,ソニー
は,DRM 技術の共通仕様「Marlin」を策定する団体「Marlin Joint Development
Association」(Marlin JDA)を結成した。「Marlin JDA の目的は,相互に運用でき
る DRM システムを実現するために, DRM 技術の中核部分を定めた規格を開発する
こと」
(Intertrust 社)。Marlin に準拠した DRM 技術が相互に互換性を保つことを目
指すという。
Coral Consortium では、異なる DRM に互換性を持たせる仕様を開発しており、
Marlin では、Coral の成果を活用するとしている。
3.1.2
NEMO の概要
図3.1(1)に NEMO による、異なる DRM 技術を利用する複数の機器で同一
のコンテンツを楽しむシナリオを示す。
【前提】ユーザは携帯電話とホーム・ゲートウェイ及びホーム・ゲートウェイに家
庭内 LAN 等で接続されたコンテンツ再生装置を持っている。 携帯電話向けコンテ
ンツ事業者は DRM 技術 A を採用している。ブロードバンド向けコンテンツ事業者
は DRM 技術 B を採用しており、コンテンツをホーム・ゲートウェイに送信するサ
ービスを行っている。
① ユーザは携帯電話でコンテンツを購入し、DRM 技術 A で保護されたコンテン
ツをダウンロードする。この時、ホーム・ゲートウェイに同じコンテンツをダ
ウンロードする権利も購入する。これらの権利はメタデータに記述されている。
② ユーザはホーム・ゲートウェイでこのコンテンツを利用するために、コンテン
ツそのものではなく、メタデータのみを携帯電話からホーム・ゲートウェイに
送信。
27
③ ホーム・ゲートウェイがメタデータをブロードバンド向けコンテンツ事業者に
送る。
④ ブロードバンド向けコンテンツ事業者はライセンス条件を確認した上でコンテ
ンツダウンロードを許可。この時、コンテンツは DRM 技術 B で保護されてい
る。
⑤ ユーザはホーム・ゲートウェイと接続されたステレオなどのコンテンツ再生装
置でこのコンテンツを楽しむことができる。
コンテンツ提供者
DRM技術Aで
コンテンツ保護
DRM技術Bで
コンテンツ保護
携帯電話機向け
コンテンツ事業者
DRM技術Cで
コンテンツ保護
ブロードバンド向け
コンテンツ事業者
…
コンテンツ事業者
メタデータ
①コンテンツを
ダウンロード
③メタデータにもとづいて
コンテンツのダウンロード
を要求
メタデータ
④コンテンツを
ダウンロード
メタデータ
メタデータ
②ダウンロードしたコンテンツや
ライセンスに関するメタデータを
ホームゲートウェイに伝達
携帯電話
⑤ホーム・ゲートウェイが
コンテンツをストリーム送信
ホーム・ゲートウェイ
再生装置
図3.1(1):NEMO による DRM 技術の互換性確保
3.1.3
まとめと考察
このように、NEMO を用いれば、異なる DRM 技術の間でコンテンツのメタデータや
ライセンス情報をやりとりすることで、DRM 技術の違いをユーザに意識させなくす
ることができる。これらの異なる DRM 技術が NEMO の仕様に応じた機能を実装す
ることが前提となるが、基本的にはほとんど変更なしに、現存する、あるいは将来の
DRM 技術間の互換性を実現できる。Intertrust 社は NEMO の技術自体には課金せず
にライセンスする計画。同社は、Coral Consortium がどの技術を採用しようと、特許
のライセンスで収入を確保できると見られている。
ただ、異なるサービス間で用いられているライセンス条件の概念や意味(セマンテ
ィクス)をどう解釈するかという技術的課題のほかに、現在、有力なコンテンツサー
ビス事業者の多くは DRM 相互互換に積極的でないという実情もあり、消費者の「購
28
入したコンテンツをいつでもどこでも楽しみたい」というニーズに応える DRM 技術
互換サービス確立への道は容易ではないようである。
参考文献
[1]
http://www.coral-interop.org/
29
3.2 AACS [1]
3.2.1
概要
AACS (Advanced Access Content System) は、Blu-RayやHD-DVD
などの次世代光メディアの保護規格で、AACS LA (Licensing Administrator)で
策定が進められている。AACS LAの現在の Founder メンバは IBM、Intel、
Microsoft、Panasonic、SONY、TOSHIBA、The Walt Disney Company、Warner
Brothers Studio であり、IT系メーカ、家電系メーカ、コンテンツホルダから構成
されている。
AACSはデジタルハイビジョンなどの次世代コンテンツを安全に、シームレスに
配信して利用するための保護規格であるが、次世代光メディアとその再生プレーヤに
対する規格だけにとどまらず、ホームネットワークやポータブルデバイスにおけるコ
ンテンツの保護までターゲットに入っている(図3.2(1)参照)。そのため、AA
CSは光メディアなどのフォーマットに依存しない形で規格化が進められており、現
在のところ、以下の 3 カテゴリでまとめられる予定である。
・Introduction and Common Cryptographic Elements
:
共通基盤仕様
・Prerecorded Video Book (format-independent)
:
録画済媒体向け仕様
・Recordable Video Book (format-independent)
:
追記型媒体向け仕様
Legacy Format
Advanced Format
Standard
Definition
High Definition
CSS
DVD-9
AACS
HD DVD
Blu-Ray Disc
Other formats
図 3.2 (1):AACS Framework[2]
また、次世代光メディアに関しても、単純なDVDメディアによる配信だけでなく、
ネットワーク経由の配信についても検討が進められている。
現段階で明らかになっているネットワーク経由配信のユースケースは以下の通り
である。
・AACS Network Download Content
サーバからコンテンツをダウンロードしてAACS対応メディアに記録、視聴する
ことを前提としたコンテンツ配信形態
・AACS Online Enabled Content
30
DVDメディアに記録されたコンテンツを視聴するときに、オンライン処理 (課金
など)を必要とするコンテンツ配信形態。あらかじめコンテンツが記録されたDVDメ
ディアと、Network Download Content で配信されたコンテンツを記録したDVDメ
ディアが対象。
・AACS Streamed Content
メディアなどへの保存を前提としないストリーミングでのコンテンツ配信形態。
Online Enabled Content と同様に、視聴のためにはオンライン処理を必要とする。
3.2.2
AACSの動作概要
AACSにおけるコンテンツの暗号化、復号について図3.2(2)を用いて簡単
に説明する。
Content Owner
Title(s)
Title(s)
Usage
Usage
Rules
Rules
Usage
Usage
Rules
Rules
Prerecorded Video
Licensed Replicator
Title(s)
Encrypted
Title(s)
Encrypt
Encrypt
Licensed Player
Decrypt
Decrypt
Title(s)
Title Key(s)
Encrypt
Encrypt
(authorized use)
Decrypt
Decrypt
Encrypted Title Key(s)
Title Key(s)
Hash
Hash
Usage
Usage
Rules
Rules
Hash
Hash
Volume
Volume
Identifier
Identifier
MKB
Usage
Usage
Rules
Rules
Hash
Hash
Volume
Volume
Identifier
Identifier
Hash
Hash
Media Key
Process
Process
MKB
MKB
MKB
Media Key
Device Keys
Licensing Entity
MKB
MKB
Media Key
(provided to manufacturer)
Device Keys
図 3.2 (2):AACS Encryption and Decryption Overview [3]
Content Owner か ら コ ン テ ン ツ (Title)、 Usage Rules を 受 け 取 っ た Licensed
Replicator は、コンテンツを暗号化するための Title Key を生成して、その鍵でコン
テンツを暗号化する。Title Key は、Usage Rules、Volume Identifier、Media Key
を用いて暗号化され、コンテンツとともにメディアへ記録される。メディアにはこの
ほかに Usage Rules、Volume Identifier、Media Key Block (MKB)が記録される。
Media Key と Media Key Block は Licensing Entity から契約により供給されるもの
である。
再生時には、再生機器に保持されている Device Key とメディアに記録されている
31
MKB を利用して Media Key を生成して、メディアに記録されている暗号化された
Title Key を復号し、その Title Key を用いて暗号化コンテンツを復号する。Device Key
は Licensing Entity から契約によって Player 製造会社に供給されるものである。あ
る Device Key をもった不正機器が発見された場合、MKB を更新することにより不正
機器の Device Key から Media Key を生成することができなくなり、不正機器を排除
できることができるようになっている。
3.2.3
今後の予定と課題
2005 年 3 月までにAACSの仕様が決定される見込みであるが、実際には、その
後HD-DVD、Blu-Rayなどのメディア毎に詳細な実装規約が決定される。
また、次世代DVDの規格とともに今後はホームネットワークやポータブルデバイス
へのAACS適用についての検討が進められていくと考えられる。次世代 DVD はハ
リウッドにも認められたことから、2005 年末からハードウェア、ソフトウェアのリリ
ースが始まり、徐々に普及していくと思われる。
参考文献
[1] http://www.aacsla.com/
[2] Advanced Access Control System (AACS) Industry Briefing, July 14, 2004
[3] Advanced Access Control System (AACS) Technical Overview Preliminary
Draft, July 21, 2004
32
3.3
DLNA [1]
3.3.1
DLNA とは
DLNA(Digital Living Network Alliance)は、2003年6月に Hewlett-Packard、
Intel、Microsoft、Nokia、松下電器産業、Philips、Samsung、ソニーなど17社が、
「音楽、写真、動画といったデジタル・コンテンツが家電、PC、モバイル機器間でシ
ームレスに共用される、相互互換性の高い家庭内外のネットワーク(有線・無線を問
わずに)の世界の実現」を目的に設立した DHWG(Digital Home Working Group)
が、2004年6月に「Home Network Device Interoperability Guideline V1.0」を
リリースするにあたって改名した非営利団体である。2004年9月現在、Promoter
Member 17社、Contributor Member 161社が参加している。
また、2004 年 10 月に開催された CEATEC2004 の DLNA ブースにおいて、24 社
の商品が展示され、相互接続のデモンストレーションが行われた。
3.3.2
DLNA のアプローチ.
1) 製品製造ベンダー各社間における相互接続性を確保するために、既存の業界標
準規格を基に設計ガイドラインを開発する。新しいプロトコルの開発は行わな
い。
2) DLNA 適合検証を実施することにより、市場での信頼性を確保し、安定したマ
ーケットの拡大を目指す
① conformance test:ガイドラインを満たしていることの確認
② Interoperability test:DLNA 機器同士がつながることの確認
3.3.3
ガイドライン1.0概要
ガイドライン 1.0 は、全 202 ページ、73 項目の基準項目と参照項目から構成される。
ユースケースを分析し、技術的要求を洗い出した結果、アーキテクチャのフレームワ
ークとして、ネットワークアーキテクチャと DLNA 機器クラスを定義している。
1) ネットワークアーキテクチャ
コンテンツ共有のための必須プロトコル群であり、5 階層で定義される
① Media
Format
:
相互接続性と機器共生のためのコンテンツフォーマッ
トの定義
② Media Transport
:
③ Media Management
コンテンツの伝送と再生制御方法の定義
:
コンテンツの検索と選択、管理方法の定義
④ Device Discovery & Control : ネットワーク上の機器発見と制御方法の定
義
⑤ Networking & Connectivity
:
機器間の物理的な接続手段と基本的な
TCP/IP プロトコル群の定義
V1.0 では、広く利用されており、コスト面での優位性が高い、各種ネットワー
ク上でアプリケーションの利用が可能等の観点から表3.3(1)に示す技術、
フォーマットを採用している。
33
表3.3(1)
Media
V1.0 で採用した技術/フォーマット
JPEG(画像),LPCM(オーディオ),MPEG2(ビデオ)
Format
Media Transport
HTTP 1.0/1.1
Media Management
UpnP AV 1.0
Device Discovery & Control
UpnP
Device
Networking & Connectivity
Ipv4
Protocol
Architecture
1.0
Suite
802.3i,802.3u(有線)、802.11a/b/g(無線)
2) DLNA 機器クラス
物理的な属性に関係なく、機器上に搭載した特定の役割を果たす機能のことで、
表3.3(2)に示すような、その役割に必要な技術要素群を保有する。
表3.3(2)
DLNA 機器クラス
DLNA Device
UpnP AV
Media Transport
Class
Components
Components
Digital Media
Media Server
HTTP Server
Servers up Media content
Server(DMS)
Device
Digital Media
Media Server
HTTP Client
Selects , controls, and renders
Player(DMP)
Control Point
3.3.4
Functional Description
Selected media content
今後の展開
1) インターオペラビリティ・ガイドラインの維持・発展
確立された標準技術や将来性の高い技術を随時取り込んでいく。このために、
他の業界組織やコンソーシアムとの連携を取っていく。
2) ガイドライン準拠製品同士の相互接続性を立証するインフラを整備し、適合製
品に対する認定ロゴを 2005 年中盤には発行する予定。
3) コンテンツ保護、著作権管理に関しては、ガイドライン V.2 に向けて、検討を
開始している。
参考文献
[1]
www.dlna.org
34
3.4
DTCP-IP
3.4.1
DTCPの概要
家庭へのコンテンツ流入の主な経路は、デジタル放送(BS/CS/地上)、インターネ
ット、パッケージメディア(DVD/SD)などである。流入したコンテンツが家庭内の
情報家電機器等の上で妥当に利用される環境を作る活動の一つとして、デジタル伝送
コンテンツ保護規格である DTCP(Digital Transmission Content Protection)[1]が
策定されてきた。この規格は、現在、本体スペックである Volume 1 Revision 1.3 と、
様々なインターフェースへの拡張としての Supplement、高度機密情報である Volume
2 から構成されている。Supplement に含まれるインターフェースは、現在のところ、
USB、MOST、Bluetooth、IEEE1394 Similar Transports、IP(インターネットプ
ロトコル)である。本節では、上記インターネットプロトコルに対応した DTCP 規格
である DTCP-IP について概要を整理する。
3.4.2
DTCP本体スペックの概要
まず、DTCP 本体スペックの基本技術を整理しておく。DTCP を構成する基本技術
は、認証および鍵交換、コピー制御情報(CCI: Copy Control Information)の設定、
コンテンツ暗号化、リニューアビリティ(不正機器の排除)、である。認証および鍵交
換では、公開鍵暗号に基づく完全認証と共通鍵暗号に基づく制限認証が、コンテンツ
のコピー制御情報に応じて使い分けられている。コピー制御情報は 4 つの状態、すな
わち、Copy-free/Copy-one-generation/No-more-copies/Copy-never を表す。この情報
は デ ー タ ス ト リ ー ム 内 に 埋 め 込 ま れ て 伝 送 さ れ る が 、 EMI ( Encryption Mode
Indicator)によって安全かつ簡単にコンテンツのコピー保護の状態が指定される。コ
ン テ ン ツ暗 号 化 に 用 い ら れ る ベー ス ラ イ ン 暗 号 は M6 暗号 の C-CBC(Converted
Cipher-Block-Chaining)モードである。オプショナル暗号として、AES-128 暗号の
CBC(Cipher-Block-Chaining)モードを利用できる。リニューアビリティは、個々
の機器がハックされ不正な振る舞いをした場合にその不正機器をシステムから排除す
る仕組みである。すべての DTCP 搭載機器はユニークな ID(機器証明書に含まれる)
を持っており、その ID に従って機器が無効化される。なお、DTCP の実装に必要な
鍵や証明書は、DTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)[1]から所定
の手続きを経て配布される。
3.4.3
DTCP-IPの概要
次に、DTCP を IP に対応させる規格である DTCP-IP[2]の概念を説明する。
家庭内 AV ネットワークにおける IP の利用は将来普及が見込まれると共に、主流と
なるという観測もある。従って IP に対応した DTCP 規格の策定が重要と判断されて
いる。
IP が本来広がりのあるネットワークで利用されることを考慮して、DTCP-IP では、
暗号技術の強度化を中心として DTCP 本体スペックが改善されている。すなわち、ベ
ースライン暗号は AES-128 とし、認証は公開鍵暗号に基づく完全認証だけを利用す
る。また、AV データの転送プロトコルは RTP(Real-time Transport Protocol)と
35
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)をサポートする。両プロトコルの上に、共通
のパケットフォーマットである PCP(Protected Content Packet)を定義している。
EMI は7つのモードに拡張(E-EMI)され、DTCP で定義されている No-more-copies
コ ン テ ン ツ の MOVE 機 能 や Copy-Free コ ン テ ン ツ の EPN ( Encryption Plus
Non-Assertion)モードにも対応可能である。
3.4.4
DTCP-IPの主な特徴と技術的課題
DTCP-IP の特徴としては、無線インターフェース利用条件とコンテンツの宅外流出
防止とが追加されたことである。
前者については、無線インターフェース(802.11)の場合、WEP(Wired Equivalent
Privacy)もしくは DTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)が指定
する後継のセキュリティ機能が働いていることの確認が必要としている。
後者については、まず、IP ヘッダの TTL(Time To Live)値を制限することとし
ている。送信機器では、TTL 値を3以下に設定して送信する。また、受信機器は受信
した IP データグラムの TTL 値が3以下であることを確認する。しかしこれだけでは
不十分であって、コンテンツの宅内制限を実現する為にはより進んだ解決策が必要で
ある。すなわち、コンテンツを DTCP で暗号化したまま遠隔地に転送する手段が他に
考えられることが問題である。DTCP 機器を使って複数人の間でコンテンツの送受信
をすることは実際可能であり、特にインターフェースが IP の場合、VPN(Virtual
Private Network)等既存の技術の上でカプセル化をすることができる。したがって、
DTCP 送受信機器が、通信相手であり宅外においてある DTCP 送受信機器とコンテン
ツの送受信をできないようにするため、RTT(Round Trip Time、往復応答時間)計
測という概念が検討されている。この検討はワークプラン[3]として関係組織間で合意
されている。
検討の主な内容は、下記の通りである。
(1)
認証・鍵交換時に送信機器が受信機器との間の RTT を計測する。RTT の閾値は
7msec とする。
(2)
RTT の計測が成功した場合、すなわち RTT が 7msec 以下の場合にのみ送信機器
は受信機器に鍵を送信することができる。
(3)
送信機器は RTT の計測が成功した受信機器の ID を登録することができる。
(4)
受信機器の ID が登録されている場合、送信機器は認証・鍵交換時に RTT を計測
する必要はない。
(5)
ただし、送信機器は40時間分のコンテンツを転送した後、登録されている受信
機器の ID を破棄しなければならない。
(6)
送信機器は受信機器との RTT の計測を行って閾値以下であった場合、受信機器
の ID を再登録し、40時間のカウンターをリセットすることができる。
下記の表3.4(1)は、3.4.2と3.4.3において述べた IEEE1394 対応
DTCP と DTCP-IP の主要スペックを比較整理した表である。
36
1394DTCP
DTCP-IP
ベースライン暗号
M6
AES
認証方式の種類
完全/制限/拡張制限
完全認証のみ
認証鍵交換用コマンド
1394AV/C
TCP 上に定義
コンテンツ転送方法
Broadcast、
Multicast(RTP)、
Point-To-Point
Uni-cast(HTTP、RTP)
C-CBC モード
コ ン テ ン ツ 転 送 プ ロ ト コ Isochronous、
RTP、
ル
Asynchronous
HTTP
DTCP 専用ヘッダ
なし(IEEE1394 ヘッダ中
あり
CBC モード
に定義)
表3.4(1)
1394DTCP と DTCP-IP の主要スペック比較
参照文献
[1]www.dtcp.com 掲載ドキュメント一式
[2]www.dtcp.com/data/info_20031124_dtcp_VISE_1p0.pdf 、 DTCP
Volume
1
Supplement E Mapping DTCP to IP (Informational Version) Revision 1.0, Nov.24,
2003
[3]www.dtcp.com/data/Work_Plan_09092003.pdf 、 Work
Transmissions, Sept.9, 2003
37
Plan
for
Localizing
3.5. TV-Anytime RMPI
3.5.1 TV-Anytime とは
TV-Anytime Forum とは、1999 年9月に、EBU(ヨーロッパ放送連合),BBC や日本の各
放送局や Disney などのコンテンツホルダー、ソニー、松下、Philips などの家電メーカ、
Microsoft、France Telecom などの IT、通信企業など幅広い業種から構成された、通信と
放送の連携と蓄積型 TV を特徴とした新しい TV 放送サービスのための標準化を行っている
国際的業界標準化団体である。蓄積利用とインターネット利用をベースに放送と通信にお
けるマルチメディアコンテンツの相互流通システムを目標とし、ストレージシステムだけ
でなく、コンテンツ制作から伝送・流通ネットワーク、統合型受信端末までを含むトータ
ルなモデルを提案している。
3.5.2 TV-Anytime におけるコンテンツ管理保護
TV-Anytime の コ ン テ ン ツ 管 理 保 護 に 関 す る 規 格 は 、 権 利 管 理 保 護 技 術 ( Rights
Management and Protection; RMP)と呼ばれる。現在、RMP のコンテンツ利用条件を記
述する権利管理保護情報(RMPI)の仕様のうち、放送用の基本情報の部分の規格化が終了
している。
3.5.2.1. RMP
TV-Anytime Forum では、特に重要な技術として権利管理保護技術の標準化を進めている。
RMP は、コンテンツの制作、流通、利用に関与する正当な当事者の権利保護方式、あらか
じめ規定された許諾条件に基づく、コンテンツの適切な利用に関する管理機構、コンテン
ツ流通のビジネスモデル、サービスのためのインフラ供給、等を目標とした包括的なシス
テムである。 TV-Anytime では、既存の放送との相互運用性も重視されるため、RMP は、
放送における限定受信システム(Conditional Access System)の運用を妨げないことが求
められている。また、TV-Anytime が想定する使用場面で用いられる様々な機器間の相互運
用性と安全性は、現行の TV-Anytime 規格の所掌外とされ、実際の運用主体が責任を持つ
こととなっている。
3.5.2.2. RMPI
TV-Anytime の RMPI は、RMP のうち、コンテンツ利用に関する条件や、利用が許諾され
た行為、などを規定する情報である。RMP の相互運用面で重要な働きをする。 現在、特
に放送を基点とした、コンテンツ配信の権利管理保護のための基本プロファイル
(RMPI-MicroBroadcast と呼ばれる)の規 格化が終了し、ヨーロッパ通信標準機 構
(European Telecommunication Standards Institute;ETSI)の技術標準(ETSI TS 102
822-5)となっている。
38
RMPI-MB の基本となる概念的枠組みは、
MPEG-21 の REL の考え方を取り入れており、
重要概念として以下のようなものがある。
z
条件(Conditions)
:権利行使に関する制限。
z
許可(Grant)
:ひとつの主体(プリンシパル)、一個以上の条件、および複数(0
個の場合も含む)の条件からなる。
z
主体(Principal)
:ある行為を行う存在をさす。
z
権利(Right)
: 所与のコンテンツに対して可能とされる行為をさす。
z
RMP-ドメイン(RMP-domain): 保護されたコンテンツを交換することを目的とし
て、互いに安全に結び付けられた TV-Anytime の RMP に準拠した機器の集合を
さす。ドメインは主体(プリンシパル)のひとつ。上で述べたように、何がドメイ
ンであるかや、その管理に関しては、規格外。
このうち、ドメインという概念は、TV-Anytime の RMP にとって特徴的なものである。
以下に、RMPI-MB で基本とされる権利を挙げる。
権利(Right)
定義
RMP ドメイン内で、コンテンツの、一過的かつ直接的な知覚可能表現を行う権利。
Play
もし、知覚可能な表現が TVA の RMP 準拠機器でない(例えば、アナログ TV)場
合、この権利は適用できない。
Analog Export
利用者が利用可能なアナログ信号表現を出力(これは TVA-RMP 外の機器を意味
する)として生成する権利。例:S-Video で VCR や TV へ出力すること。
Digital
Export
SD コンテンツを TVA-RMP システム外へのデジタル信号出力として生成する権
Standard
利。例:既存のディジタル機器の出力部から SD ディジタル入力を使って表示機や
Definition (SD)
録画機にコンテンツを送信すること。
Digital
Export
HD コンテンツを TVA-RMP システム外へのデジタル信号出力として生成する権
High Definition
利。 注1:Digital Export SD と Digital Export HD の両方の権利が許諾され
(HD)
た場合、Digital Export Any Definition の権利と呼ばれる。 注2:何が HD であ
るかは、運用にゆだねられる。
上の権利に対して、以下のような範疇の条件を規定することが可能である。
„
Geographical Control: 地域による制限
„
Single Point of Control : TVA-RMP ドメイン内で RMPI に従った適正な利用
判断を行う機器が一意であることを示す
39
„
Physical Proximity: 最初にコンテンツを取得する受信機と物理的に近接した機
器だけがこのコンテンツを利用可能であることをしめす。物理的に近接した機器と
は、家庭ネットワーク内の機器などを指す。
„
Buffer Duration:放送されたコンテンツ(のフレーム)が指定された時間内に利用
されることを規定。例えば午後8:00から8:30までの番組が Buffer Duration
が10分に指定された場合、午後8:00に送られたフレームは、午後8:10ま
で視聴可能、午後8:30に送られたフレームは午後8:40まで視聴可能となる。
„
Time Window Start Date & Time Window End Date:ウィンドー制御用の時間の
開始と終了を示す条件。
„
Standard Definition Digital Export Control:SD コンテンツの外部機器への持ち出
し条件。Immediate-Viewing という値の場合は、持ち出し不可能。
Bound_to_device_or_media_for_future_viewing の場合は、持ち出した機器でのみ
利用可能。この条件は、CCI などを使って表現可能。
„
High Definition Digital Export Control:HD コンテンツに関する条件。
„
Analog Export Signalling:アナログコンテンツに関する条件。値は、SD の場合を
参照。
„
Analog Standard Definition (SD) control:アナログコンテンツの解像度制御。
„
Security Level:コンテンツ利用に関連する機器のセキュリティの頑強性に関する
条件。
„
Simultaneous Rendering Count:Plays、Analog Exports、 Digital Exports の各
権利が同時に何回許諾されるかの条件。
RMPI-MB の符号化については、
現在バイナリ表現により放送波に多重化することが規定さ
れている。また補助的な方法として XML 形式化しメタデータに含めて伝送することも規格
には盛り込まれることになっている。ただし後者は、権利保護用という意味ではなく利用
者の利便性を考えた表示・検索用とされている。
3.5.3.今後の展開
TV-Anytime の RMP は、
まだ基本的な許諾情報である RMPI-MB が規定されたばかりだが、
次のステップとして以下の予定があげられている。
„
RMPI-Rich への拡張:現状の放送用の RMPI-MB を、より一般的なコンテンツ流通を
想定した RMPI-Rich に拡張する。
„
暗号などのセキュリティー・ツールの整理:すでに提案されている、暗号
(AES,Camellia、3DES,等)を含む様々なセキュリティー・ツールの整理。
„
RMPI-MB の実際への応用(例:BBC モデル、日本のサーバー型と CAS との連携など)
40
4. コンテンツ流通システムでの対応
4.1 コンテンツ流通市場形成に求められる標準化へのアプローチ
4.1.1 標準化形態とコンテンツ流通の現状
コンテンツが円滑に流通する仕組みの構築には、対極となる2つのケースが考えられる。
一つは、新しい技術が出現することによる、コンテンツ市場に介在している関係者の淘汰
をも伴う、全く新しい流通市場の形成であり、もう一つは、コンテンツ市場に現在介在し
ている関係者が移行もしくは導入しやすい仕組みが構成されることを通しての流通市場の
形成である。新しい技術の出現については、常に可能性が存在するものの、量子計算機な
どを含めて、今後十数年の期間で身近に利用できるレベルに到達するものが、どの程度出
現するかは不明である。このため、現存の技術をもとに、コンテンツ市場に現在介在して
いる関係者が移行や導入を行いやすい調和型の仕組みを検討していくことが求められる。
もちろん、これらの中間に位置する、一部の組織が推し進める仕組みがデファクトとして
浸透し、他の組織がデファクトを採用していくというケースも考えられる。この場合、コ
ンテンツ市場に介在している関係者の間に、利益もしくは利便性に不均衡が生じることに
なるが、結果として、円滑なコンテンツの流通が促進されることにつながる。このような
形成過程の問題点は、ビデオのβ方式と VHS 方式に代表される、個別方式の乱立による混
乱であり、標準化の必要性が認識される例ともなっている。
以上の議論は、一般の技術の標準化にも通じる内容であるが、コンテンツの流通技術に
関する標準化においては、コピーが容易に作成できるというコンテンツ(データ)の性質
が、他の技術における標準化と大きな差異をもたらしている。コピーの容易なコンテンツ
においては、例えば、コンテンツの所有者やコンテンツの権利の所有者が、コンテンツの
流出を過剰に気にするがあまり、閉鎖性の高いシステムを採用してしまい、コンテンツの
円滑な流通が実現しない状況となっている。
コンテンツの流通には、コンテンツの所有者、コンテンツの権利の所有者、配信・流通
業者、利用者が少なくとも関係者として現存している。コピーの容易さは、本来は利用者
の利便性につながる性質であるが、コンテンツの所有者や権利所有者の利益を考慮する必
要があるため、必ずしも、その性質を生かすように、コンテンツが取り扱われていない。
コンテンツ流通の関係者が納得し、かつ、移行もしくは導入しやすい仕組みの構築が求め
られているといえる。
4.1.2 標準化へのアプローチ
コンテンツ流通市場形成のための標準化としては、更に2つのアプローチがありえる。
つまり、強い DRM を導入していくアプローチと緩い DRM を導入していくアプローチであ
る。強い DRM は利用者の利便性が高くないものがほとんどであるため、普及の速度に限り
があることが欠点であるが、安全性は、緩い DRM よりも高く保たれている。一方、緩い
DRM の安全性は低いものの、利用者の利便性が高いため、広く普及することが期待される。
41
アップル社の iTunes はその例といえる。
標準化されたコンテンツ流通形態の普及を最優先するならば、この2つの標準化のアプ
ローチの中で、緩い DRM が有効である。装置やソフトウェアさらには利用場所などの各種
の制約を受けないように取り扱うことが本質的に可能なコンテンツにおいては、前述のよ
うに、利用者の利便性を重視した緩い DRM の方が普及しやすいからである。また逆に、標
準化と対極をなすデファクト型のアプローチにおいても、普及を最優先するのならば、緩
い DRM を採用するであろう。つまり、コンテンツ流通市場の形成においては、緩い DRM
を導入していく標準化のアプローチが、標準化と対極をなすデファクト型のアプローチと
共通の特徴を持つことになる。
このように、緩い DRM が一種のデファクト型のアプローチとしても理解できるのならば、
緩い DRM については、標準化を行わずに市場の動向をみるべきなのではないかとの疑問が
残る。コンテンツには、装置やソフトウェアさらには利用場所などの制約を受けずとも利
用可能なものがあり、このようなコンテンツにおいては、本来、正規の利用者は何の制約
も受けずに利用できるべきであるが、現状では、装置やソフトウェアさらには利用場所な
どの制約が生じていることがある。デファクト型のアプローチを通して、このような制約
の解消を期待するには、時間が掛かると予想されるため、緩い DRM においても、コンテン
ツ利用のためのシステム同士を横断した形の標準化を行うことにより、利用者の利便性を
高めた形で、コンテンツの所有者や権利の所有者、配信・流通業者の個々の要求を満たし
ていくことができると考えられる。
以上のように、コンテンツ流通においては、普及を優先した、よりデファクト型に近い、
緩い DRM を用いた標準化のアプローチを採用することになるであろう。一方で、コピーが
容易であるという性質を懸念するがあまり、強い DRM を求める組織は、引き続き存在する
と考えられる。よって、標準化といっても、強い DRM と緩い DRM の混在は避けられない
と予想され、このため、強い DRM と緩い DRM のそれぞれにおいて、個別に標準化を行い、
将来的に、技術の進歩ならびに利用環境の整備に伴い、強い DRM は、より緩い DRM へと、
また、緩い DRM は、より強い DRM へと発展する形式が望ましいと考えられる。つまり、
現段階では、競争原理を生かすように、ある程度の幅を持った、強い DRM と緩い DRM の
それぞれにおける標準化を実施し、かつ、同時に、それぞれの DRM 形態において、もう一
方の DRM 形態へ発展することを事前に十分に考慮しておくことが現実的なアプローチで
あると考えられる。
42
4.2
4.2.1
市場への適応
コンテンツ流通に関わる環境の変化
コンテンツ流通に関わるサービスならびに技術の展開について概観すると、サービスイ
ンフラの環境としての放送、通信ともに大きく変わって行こうとしている。CS デジタル放
送から始まったデジタル化は、BS デジタル、110 度 CS デジタル、地上デジタル、衛星モバ
イルと続き、そして現行の地上波が UHF 帯の 470∼770MHz 帯へ"引っ越し"を終える予定の
2011 年には空いた VHF 帯で地上デジタルラジオの本サービスも開始される。しかも多くの
放送は多チャンネル化によって、家庭向けだけでなく移動中の電車やバス、自動車、携帯
電話などへの放送が可能で、音声・映像だけでなくデータ放送など多彩なサービスが提供
できるとしている。さらには電波で送る映像・音声・データ放送に加え、ブロードバンド
上の番組関連映像を利用したり、メタデータを活用して、放送、通信、ホームサーバ、そ
れぞれのコンテンツをシームレスに組み合わせたり、携帯電話と連携した情報提供サービ
スなど放送と通信が連携したクロスメディア型のサービスの比重が高まるとしている。ブ
ロードバンドも既存の光ファイバー回線、ADSL 回線、CATV 回線に加え、高速無線、電力線
通信も加わる。しかも通信料金は定額が主流になる動きがある。
IT 技術に関しても今まで同様の競争が続く限り進歩は速く、10 年後(2015 年)には CPU
が 100GIPS、HDD も2年後には 3.5 インチタイプで1TB(1000GB)を超え、10 年後(2015 年)
には 100TB を越え、DVD 並みの映像で
映画2万本(4万時間)が蓄えられる。メモリカ
ードも 10 年後は 16GB で映画3本(6時間)又は 4000 曲の音楽が入る。2015 年には通信
速度も
固定向け:100Gbps
移動通信:
(基地局→端末)100Mbps∼が予想され、P2P 技術
も普及するとしている。ネットワークが太くなると、只でさえ持て余した個人の CPU の能
力や、記憶容量を共有してペタ領域の超大なデータベースを作ることも可能になる。当然
ながら行き交うデータは暗号化されている。いずれにしても、蓄積という環境、コピーと
いう環境は肥大化し、止まることはないと予想される。
4.2.2
消費者ニーズ
消費者の側から見れば、良質のコンテンツを継続的に入手可能であればよく、余計な手
間が増える DRM システムを望んでいるわけではない。それもコスト的にも引き合う DRM シ
ステムでなければならない。また、決済の手間も消費者にとっての障壁の1つである。原
則的にはコンテンツ毎に決済可能な仕組みも必要だが、実際にはコンテンツ単位での従量
課金では決済の都度、利用者の確認を求めるので繁雑である。一ヶ月に数回程度の決済回
数でしかないペイ・パー・ビューテレビ放送でさえ、利用者は増えず、多くは月決め定額
制を選択している。一方、通信料金やプロバイダー利用料金も定額制に急速に移行しつつ
ある。コンテンツも単純な従量課金だけでは受入れられないかもしれない。定額制、上限
を設けた従量課金、広告付きなどの方法を適宜組み合わせて行く必要があるかもしれない。
ただ、定額制で何時でも好きなコンテンツが見ることができるのならばコンテンツを端末
に蓄積しないので複雑な DRM が不要になるのでは、という意見もある。
また、個人から見ると、あるシーンでは屋外の携帯電話や車の端末で、あるシーンでは
43
書斎の PC やオーディオ装置、あるシーンでは居間の TV で聴いたり見たりするが、それぞ
れのシーンで利用するコンテンツが同一の場合、それぞれに契約してコンテンツ料金を払
うことは望まないであろう。しかし現実はメディアごとに料金を支払っている。1人の個
人が、自分だけの利用のために同一パッケージを何枚も買うことが有り得ないと同様、同
一データに対しても多重に支払うことは有り得ない筈である。インターネットを通じて販
売された楽曲は、AV 機器で鑑賞されるだけでなく、携帯電話やその他の IT 機器で利用さ
れうることも視野にいれたプラットホームが求められている。
本来、コンテンツデータ
ではなくコンテンツ利用に対して課金されるべきであり、端末種別毎に課金されるような
状況は個人としては望まない筈である。
4.2.3
コンテンツ業界
コンテンツ保護に関しての業界の考え方は、コンテンツの種類(映画、テレビ映像、書
籍、音楽)と、プラットホームの違い(PC 系、テレビ系、携帯電話系、DVD パッケージ系)
で異なり、消費者の声の大きさも違う。また業界の考え方にしても、経営者側と現場では
異なっている。
音楽を例にとると、若者の間での携帯電話・メールの普及による CD 購入費、音楽を聴
く時間の圧迫や、レンタル CD を MD へコピーすることが問題なしとされている中で、ファ
イル交換だけを取上げて CCCD などを採用したものの、CD 売上の減少に歯止めがかかって
いない、というのが日本の音楽事業の実体で、レコード会社としては早く CD から DVD-Video
や SACD(SuperAudio CD)など、きちんと著作権管理ができる媒体やセキュアな音楽配信
に移行してほしいと考えている。
一方、アーティスト側の意見としては、著作隣接権しか持っていないレコード会社が、
いかにも自分たちがアーティストであるかのように振る舞って音楽振興をうたいつつ、肝
心のクリエイターの意向を無視しているという不満や、その著作隣接権ですら今ではレコ
ード会社が持たずに音楽事務所が持つ場合も多く、音楽事務所もレコード会社主導に不満
を持っている。DRM についても、自身がレンタルレコードや友達との貸し借りで育ったこ
ともあって、コピーについて寛容である。
音楽業界の悲鳴は、直接的には現行の CD の販売低迷に起因するもので、米国で緩いコ
ンテンツ管理の i-Pod が受け入れられ始めると、日本でも儲かるのならば強いコンテンツ
保護は必要ない、不正利用が、ちょっと困難になるくらいのレベルでいい、という議論が
出始めており、楽曲を強く守ることよりも、ビジネスモデル及び収益分配に観点が移って
おり、従来レコード販売ビジネスの慣習からいかに抜け出るかが当面の課題になっている。
4.2.4
流通インフラとしてのライセンス管理技術
このような状況の中で、特定のサービスやプラットホームだけに閉じるのではなく、複
数のサービスやプラットホーム、例えば複数の PC やポータブル・プレーヤ向け音楽/映像
配信サービス間や携帯電話会社間に跨った、業界横断的な DRM メカニズムを確立しないと、
放送・映像・音楽コンテンツの流通がうまく促進できないのではないかという意見がある。
44
技術的には異なる DRM 技術の間でコンテンツのメタデータやライセンス情報をやりとり
することで、DRM 技術の違いをユーザに意識させなくすることもできる。しかし、異なる
サービス間で用いられているライセンス条件の概念や意味をどう解釈するかという課題
(例えば一方ではペイパービュー、別のサービスでは定額だと、ブリッジが難しい)のほ
か、既にサービスを提供し始めているコンテンツサービス事業者の中には、顧客を囲い込
みたいので DRM 相互互換に積極的でない事業者が多い。
映像にしても音楽にしても全くライセンス管理をしないという選択はなく、技術の進歩
を繰り込んだうえで、消費者を含む全ての利害関係者のバランスを実現する、ある程度の
柔軟な技術を求めなければならない。
消費者が求めているものは利便性である。家庭内の複数の録再機やサーバ間のコピーや
移動、再生に消費者が窮屈さを感じてしまうようでは技術の発展の意味は無い。やはり、
本当はコンテンツに対して対価を支払っているはずなのに、物流手段である CD や DVD パッ
ケージ、そしてデータにお金を払うビジネスモデルでは如何ともし難い。例えば見る権利
さえあれば、何時でも何処ででもコンテンツを見ることができるためには、コンテンツの
実体と利用する権利が分離でき、おのおのを管理する仕組みが構築されてなければ抜本的
な解決は難しいという意見もある。
4.2.5
法律面の支援
今後の技術進化のトレンドに耐える技術コンセプトとしては、公開鍵暗号基盤と、コン
テンツの実体と権利の分離(超流通概念)と考えられるが、現行の著作権法では暗号化さ
れたコンテンツでも元と同じ権利があるものと考えられており、暗号化データの配布とラ
イセンス取得の考え方とは合わなくなってきている。法律面での議論と支援が必要なテー
マである。
4.2.6
市場形成対応の結論
海賊版やファイル交換などで不正な流通が行われ、業界からは強いコンテンツ保護を求
める悲鳴に近い声は上がったことから、不正利用の防止、多様なコンテンツの利用を管理
可能とする技術インフラを標準化することで、コンテンツを提供する側にも、サービスを
受ける消費者にも喜ばれる魅力的なサービスが提供でき、それに伴ってコンテンツ流通も
拡大するとして議論してきた。
コンテンツ流通市場は日本国内単独で作れるものではない。日本では世界共通言語とし
ての音楽、世界をリードしているアニメ、生産大国としてのゲーム、世界第2の市場を作
っている本などが重要なコンテンツで、日本自ら価値を高め、著作権侵害から守っていか
ねばならない。
特にこれから大きな市場となる中国や東南アジアでは、パッケージのコピーが氾濫し、
一朝一夕には直らない。全く物理的にも内容的にもコピーが出来ない新しいパッケージに
移行するか、セキュアな放送やネット配信に移行するしかない。
米国では従来のレコードメーカ主導の音楽配信は破綻し、入れ替わってサービス主体は
45
アップルやリアルネットワークス、ロキシオ、マイクロソフトなどのIT企業に移ってい
る。サービス内容も消費者のニーズに応えるサービスへと移行し、世界的にも事業的にも
成功の芽が見え始めた。
高い地代と人件費が反映した結果、日本のレコードや映画の価格が高いと言われている
が、ネットではグローバルに流通することを前提としたソリューションが求められている。
しかも日本のコンテンツビジネスも日本国内での流通だけで原価を回収できなくなりつつ
あり、アニメーションや映画などは、グローバルな流通を前提に制作されている。グロー
バルに流通するための技術的方法を用意しておくことは極めて重要である。
しかし、日本のコンテンツ業界は、利害関係の混沌とした状況で議論が遅々として進ま
ない。このまま整備できないでいると、日本のコンテンツ流通市場は、欧米IT企業やハ
リウッドの草刈場になってしまう。日本の権利者や利用者、消費者の生活の向上は図れな
い。
当面は、インターネット配信業者毎、携帯電話会社毎に個別の音楽・映像配信サービス
が立ち上がっていくとしても、最終的には1ストップ・サービスとして統合化していくた
めの著作権管理方式、ユーザ管理方式、不正コピー防止方式、1つのユーザが所有する複
数の端末間でのコンテンツ流通方式等を加味した総合的な DRM 管理プラットホームの構築
について、今から業界横断的に検討を進めていく必要がある。
既に世界中で多くの議論がある。消費者にとっての利益、消費者ニーズへの対応と言う
視点を常に持ち続けながら、議論を集約し、システムを検証していくことで、オープンで
公正なライセンス管理方式のガイドラインならば日本から発信していくことが可能だと思
われる。
46
4.3 ビジネスチェイン構築に向けて
4.3.1 はじめに
本稿において、DRMシステムが機能して実際のビジネスの中で浸透していくためのポイント
について解説する。デジタルコンテンツが、誰にとっても安心・安全・確実に流通するには、デ
ジタル化によってコンテンツ流通時にコンテンツホルダに発生する様々なリスクを回避でき、コ
ンテンツホルダがデジタルコンテンツ流通市場に求める基盤的な機能の中で、許諾された範
囲のコンテンツ流通が必要最低限のDRMシステムの機能によって実現されることである。また、
コンテンツホルダ、サービス事業者、端末メーカ、消費者などがよりよいビジネスチェインを作る
ためにもDRMシステムは、中核の機能として役割を果たすべきものではないかと考える。以下
では、ビジネスチェインの構築という視点も踏まえて来るべきデジタルコンテンツ流通基盤の中
核になるDRMシステムに求められる要件とはどのようなものかについてご紹介する。
4.3.2 成功事例から学ぶもの
アップル社 iPod、iTunes ミュージックストアが、欧米において商業的な成功を治めている。
同時に新しい音楽流通のスタイルを世の中に広め、音楽マーケットの新しい可能性を示しつ
つある。それ以前は、米国レコード協会、ヨーロッパのレコード協会、などの音楽の権利団体と
端末メーカ、サービス事業者が集まり、標準化団体SDMIにおいて、ネットの音楽マーケットの
可能性や技術規格策定などに時間を費やしていた。その結果、世に音楽のシリコンプレイヤ
なるものが登場するにつながった。
アップルのマーケットができる上でも、その下地がいろいろなところで貢献していると思われ
るが、FairPlay という彼らのDRM規格がSDMIになんら準拠していないことを見ると、直接的
には、アップルの経営者自らが、iPod、iTunes ミュージックストアの魅力を熱く米国レコード会
社などの権利者に説明し、その結果、その魅力が彼らを納得させ合意形成ができたのだと思
われる。DRMの保護制限の視点から見る(もう少し限定した言い方をする)と、チェックインチ
ェックアウトの制限の視点から見れば FairPlay のほうがSDMI規格よりも甘い。FairPlay のそれ
は、SDMIの議論から見ると、コンテンツホルダの許すものではなかったが、権利闘争よりも新
しいものをクリエイトしたいという本質をもつ彼らは、そのプレゼンを聞いてアップルだけならい
いかなとか、これはおもしろいからこれに限定すれば部分的なマーケットで影響が少ないから
いいかなと実験的に取り組んだのが爆発的に成功したのだと思われる。今となっては、真相は
闇の中だが、ユーザ志向から、どんどん離れて、がちがちの闘争になりつつあったSDMIの議
論に疲れていたのかもしれない。
そのチャンスをアップルはうまくキャッチアップし、現在のコンテンツホルダ、サービス事業者、
端末メーカ、消費者すべてに利益が享受されるレベニューチェインができていることは事実で
ある。アップルのコメントによると、音楽配信のプラットフォーム事業だけでみると赤字だそうだ。
しかし一方で、関連機器の販売も入れると全体として黒字だそうだ。その結果、全体としてアッ
プルの株価は上昇し、ビジネス的にも大成功を収めている。
47
また米国のレコード会社各社も積極的にネット音楽配信市場に参入する意向を強めている。
このことからもこのチェインはビジネスチェインとしてうまく構築されたといえる。その視点からみ
ると、アップルの経営者は、自らの利益追求にこだわらず、このビジネスチェインをうまく作るた
めのプロデューサ的動きを行ったといえるだろう。
DRMシステムの機能という点から見ると、このプロデューサは権利者のアッパーな要求を受
けコンテンツ保護を強めるよりも、ユーザの利便性を高めることを強調したと思われる。もう少し
噛み砕くとコンテンツ保護を強めて、ユーザが根付かず、その結果失う事業損失よりも、弱めた
からこそ獲得するユーザおよびマーケット拡大、その得られる利益を権利者に説明したに違い
ない。今後、マーケットが拡大するとその無視していた損出が膨大になるかもしれないリスクを
軽減化することを求められる可能はある。しかしまずマーケットの立ち上がりを優先した判断が
そこにはあったと思われる。
4.3.3 想定要件
デジタルコンテンツ流通がうまく立ち上がったアップルの例を述べたが、ここでは、デジタル
コンテンツ流通のビジネスチェインがうまく立ち上がるための要件についてもうすこし噛み砕い
て軽く触れてみたいと思う。その中で、DRMシステムの要件になりそうな箇所を洗い出した
い。
まず、マーケットプレイヤのニーズについて、一例をあげながら、消費者の視点から記述し
て見よう。その後、サービス事業者、コンテンツホルダ、端末メーカというように順を追って述べ
る。
(1) マーケットプレイヤのニーズから
マーケットを作るためには、既存のコンテンツ流通では実現しなかったサービスや手に入り
にくかったコンテンツなどがデジタルコンテンツ流通だからこそ安価購入できるなどの消費者
の潜在ニーズや新たなニーズを発掘しなくてはならない。潜在ニーズとは、たとえば、映画の
ネット配信とかよく議論されるが、あるブロードバンドコンテンツのユーザ意向調査によると、放
送直後のテレビ番組や音楽のライブ中継などのブロードバンドサービスを有料で手に入れた
いという声が、映画のそれよりも大きく上回っている。これは、洋画邦画のDVDが安価で流通
している中で、同じコンテンツをわざわざネットを活用して利用したいというニーズは少ないとい
うことだ。しかし、放送で見られなかった番組あるいは録画し損ねた番組を、その直後にネット
を使ってお金を払ってでも見たいという消費者ニーズはある。DVD発売までは、待てないとい
う潜在的な欲求があるのだろう。
このサービスについて、提供者側つまり放送事業者側の意向を聞いてみると、民間放送局
の場合、既存の広告収入モデルとの調整の壁が大きく困難というのが大方の意見である。また
現在ネットでの番組配信のための権利処理スキームが未確定のためすべて個別処理になり、
大変手間がかかるためそのためのコスト要因も大きいようである。一部の人気番組とかは、DV
48
D市場を当初から睨んで番組制作をさせているため、番組コンテンツの一次固定時より二次
利用も含めて権利処理しているようだが、すべての放送番組を、放送直後にすべからく番組ネ
ットで提供するのは中々大変のようである。しかしながら、サービス提供者が国営放送のような
非広告モデルで且つ簡単な権利処理スキームもしくはシステムが確立すればサービスが実現
する可能性はありそうだ。
コンテンツホルダ側は、自身の許諾にそって自身の権利が含まれるコンテンツが安全に運
用され、現在得ている利益が損なわれない、あるいは増加するのであれば問題ないだろう。コ
ンテンツホルダは、デジタルコンテンツに関して当初から不正コピー問題などで自分たちの現
状の利益確保に多大なる悪影響を与えるということで警戒しているが、一方でその新しいイン
フラに対して売り上げ増の視点からは、現在も期待していることは事実である。
端末メーカは、この新しいサービスを実現する商品を製作するための投資、例えばコンテン
ツホルダが求める許諾の制御(局所的なDRM)ができる機能が、回収が見込める範囲で実装
できるようであれば、そのようなサービスを具現化する商品を世の中に登場させるだろう。
まだ、忘れている障害要因もあるかもしれないが、マーケットプレイヤのニーズだけで見ると
大筋このビジネスチェインは成立しそうである。あるサービスを基点にすべてのプレイヤのニー
ズがあるということが一つの大きな要件である。
(2) 法的検討
上記のビジネスチェインに関わる法的検討について簡単に述べる。まず国営放送がネット
でコンテンツビジネスを行ってよいのかという議論があるが、ここではそのことには触れない。現
在の放送法あるいは、関係省庁の見解では教育向けのB2Bの取引を認めるに留まっている
かと思われる。
このビジネスチェインに関わる法律という点では、コンテンツに大きくかかわる著作権法を忘
れてはいけない。現在の事例で言えば、番組コンテンツは、元来放送による一時的固定したも
のにすぎない。放送事業者が著作物を録音・録画する場合、本来なら録音・録画の許諾を得
たうえで、次に放送の許諾を受けるという二段階の手続きが必要になる。しかし、現実的にはこ
のような方法は極めて困難であることから、放送の許諾を得ている場合や著作権法の中の制
限規定によって放送可能な場合には、第一段階の録音・録画の許諾を得る必要がないように
なっている。これは、ある種法律上では著作権法の中の制限規定とされているが、放送事業者
にとっては自身の事業運営を円滑に行うための重要な基盤となっている。この結果、放送事業
者は、音楽を事前の許諾を得なくても放送でき、事後に放送実績のサンプルデータ(3 ヶ月に
一週間の報告データ)で利用料を指定権利団体経由で権利者に清算するという運用を行って
いる。
著作物が広く利用されるためには、著作物と利用者(ここでは放送事業者)の間で、著作物
の円滑な流通や管理を行う団体が必要になる。著作者が自分で著作権を管理することも可能
だが、一人の作曲家が多数の利用者を相手に交渉することは現実的では無い。そこで管理団
49
体が著作者からある許諾を預かり、代理人として使用者との間で機能する。番組にかかわる著
作物としては、原作の文芸作品、脚本、歌詞、楽曲などがあるが、原作については日本文芸
著作権協会、脚本は日本脚本家連盟と日本シナリオ作家協会、音楽では日本音楽著作権協
会(JASRAC)などがあげられる。その他にもさまざま権利を管理する団体が存在する。
放送で音楽を流す場合には、二次使用料請求の対象になるだけで事前の許諾は必要無い。
同様のルールをネット配信において、さまざまな権利処理に関して確立したいとの声は放送事
業者に多いようだ。この声だけ聞くと、放送のような有利な法律的基盤や運用基盤が、ネット配
信の場合にはないため放送事業者が事業性を確保できる権利処理スキームができていないと
も見えるが、一方で、現状の放送におけるブランケット方式といわれているサンプルデータによ
る抽出法だけではきっちりした分配ができないので全曲データによる清算に切り替えたいとの
声が権利団体側からも上がっている。この点に関しては、法律の解釈変更や改訂などが必要
というより、互いに納得のいく権利処理スキームの確立、それを実現するための環境整備を行
う必要が大きな要件になりそうだ。
(3) 技術的な視点
上記の二つの要件を成立させるためには、その課題の中に技術的な進化が求められるもの
が何点かある。一つは、権利者の許諾を柔軟に実行するためのアクセスコントロール技術。こ
れは、当初から権利者のわがままを聞き過ぎて機能過多なものを要求した結果、コストに跳ね
返り、その結果商品が売れなくなるという状況になっては、本末転倒である。ただ、コンテンツ
マーケットが立ち上がって行くと、その過程のなかでサービスの多様性が求められるがゆえ、
柔軟な許諾制御が求められて行く可能性はある。当初は、ダウンロードの不可や再生期間制
限くらいであろうが、期間によるダウンロード数の制限や特定メディアでの外部への取り出しの
不可、さらには、ある制限されたネットワークエリア内での再生不可・共有不可など多様な許諾
管理機能が必要になるのは間違いないであろう。そのためには、マーケットの成長に合わせて
許諾管理機能を拡張させる技術を当初より想定する必要がある。
また、サービス事業者、権利者側でも新しい時代に対応するための権利処理スキームの確
立、言い換えると許諾管理スキームが必要となる。今後このデジタルコンテンツマーケットが成
長していくことは間違いない。そのような状況の未来を想定すると、そこを行き交うコンテンツ、
それにまつわる権利、それらに付随する許諾は膨大なデータ量になるでしょう。これらの権利
処理を現状のように一件、一件をFAXや電話などで行っていたのでは事務作業量も膨大に
なるし、現実的でないことは明らかである。たとえブランケット方式的に一括処理できる窓口が
できたとしても、そこでは、コンテンツごとに、きっちり許諾の管理が求められ、またその許諾に
基づくコンテンツごとの正確な利用の報告が必要とされる。その膨大なデータ量をさばくため
にも、許諾管理スキーム(大局的なDRMスキーム)を実現するためのデータフォーマットの技
術的な検討は急務かと思われる。
このような流れを受けて、現在、文化庁傘下のデジタル時代の著作権協議会(CCD)にお
50
いて、権利団体の合意の下、権利団体および権利者のIDおよびコンテンツIDの整備の検討
が行われている。また同時に電子情報技術産業協会(JEITA)においても、IECでDRMの国
際標準化を進めるにあたり、権利者・コンテンツホルダーサイドと連携した許諾技術の標準化
の必要性について言及している。今後、このコンテンツ制作・権利者サイドのCCDの動きと機
器製造技術標準化団体であるJEITAの動きが連携し、その間の共通インタフェイスが構築さ
れることが期待される。
4.3.4 まとめ
あるべきコンテンツ流通市場は、マーケットプレイヤのニーズと法的検討と技術の進化がバラ
ンスよく融合することではじめて実現されるものである。したがってこれらの視点の中で覗き見
えた局所的なDRMと大局的なDRMスキームを十分踏まえたコンテンツ流通社会の基盤シス
テムとしてのDRMシステムの設計を行う必要が求められている。このようなDRMシステムが、
現在のデジタルコンテンツ流通市場の立ち上がりの中でスムーズに設計・構築・実現できるの
か、利害関係の混沌とした状況のまま整備できないのかは、日本のコンテンツ流通市場の発
展の大きな岐路となると思われる。ふたを開けてみれば、ワンショット方式(最初の契約時にコ
ンテンツ制作側がすべての権利を買い取ってしまう方式)で制作されたハリウッドの映画だけ
が無形化したコンテンツとして、ばらばらのDRMシステムあるいは不完全なDRMシステムを
介して流通しているだけでは、一時的な成功物語はあったとしても、中長期の観点からは、日
本の権利者や利用者、消費者の生活の向上は図れないと思われる。
日本のコンテンツ流通基盤を強化するためにも、理想的なDRMシステムを軸にした、コンテ
ンツホルダ、サービス事業者、端末メーカ、消費者などが織り成すレベニューチェインをミニマ
ムでもいいので立ち上げることが今求められている。
51
5.まとめ
コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究委員会の研究も二年目を終えた。
初年度は、コンテンツ保護技術と標準化動向を調査すると共に、コンテンツ流通市場を
形成するための要件や考え方に関する検討を行った。本年度は、技術動向・標準化動向を
引き続き調査するとともに、コンテンツ流通基盤を利用するライツホルダ、エンドユーザ
の観点から、現在の利用形態や要件をまとめた。
我々のコンテンツ保護への思い入れとは異なり、現状音楽配信等の実状として強いコンテ
ンツ保護は必要とはなっておらず、i-Pod のようにかなり自由に CD-R に焼く事ができるよ
うな利用者の使い勝手を考慮したシステムが受け入れられている。
元々、コンテンツ保護は、海賊版やファイル交換などで不正な流通が行われ、ビジネスが
落ち込んでいるということから議論されているのであり、ビジネスが回れば、コンテンツ
保護など煩わしいだけとなる。楽曲を強く守ることよりも、ビジネスモデル及び収益分配
の観点が重要であり、ネットワークでのコンテンツ配信やサーバー型放送では、従来レコ
ード販売などのビジネスの慣習からいかに抜け出るかが当面の課題になっている。
最近の音楽配信ビジネスのようにユーザの利便性を考え、通常の利用範囲であれば不便
を感じない程度の柔軟性のあるコンテンツ保護が用いられる事も出てきた。これに対して
MPAA(Motion Picture Association of America)など映像関係者を筆頭に、不正な映像流通を防
ぐためにより強い保護方式と法の改訂を求める動きもある。
このような権利者・団体の考え方、サービス分野などによる違いが分かってきた。これ
を来年度以降の研究に繋げて行きたい。
来年度は、コンテンツ保護の対象を広げ、放送やブロードバンド配信等のエンタメ系だ
けでなく、医療・教育など多くの分野でのコンテンツ保護も検討したい。各分野でのコン
テンツ・データ保護の利用特性を明確にし、必要機能・強度等をマトリックス化するなど、
各分野での要求条件を整理する。
更に放送・通信・携帯などの伝送メディアによる違い、また、日米欧では利用形態も異
なるので、全体を調査する。
現行の著作権法では暗号化されたコンテンツでも元と同じ権利があるものと考えられて
おり、暗号化データの配付とライセンス取得の考え方(例えば超流通概念)とは合わなくなっ
てきている。徐々に改められつつあるが、法律の観点からの整理も行う。
これらを、時系列的に整理し、将来の標準化ロードマップ作成なども成果として出せれ
ばと考える。
最後に、ヒアリングなどの調査にご協力頂いた方々に感謝をすると共に、これらの研究・
考察を元に、DRM等の個別技術に止まらず、広く標準化を進めて行きたい。
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この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
平成 16 年度
コンテンツ流通市場形成に関する標準化調査研究
成 果 報 告 書
平成 17 年 3 月
発行
財団法人 日 本 規 格 協 会
〒107-8440 東京都港区赤坂 4-1-24
電話(03)3592-1408
印刷
スタンダード・メンテナンス 株式会社
〒107-8440 東京都港区赤坂 4-1-24
日本規格協会ビル内
電話(03)3585-4558
-禁無断転載―