2015 — CONTENTS — ごあいさつ…………………………………………………………………………………………………… 1 光産業動向調査 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 2 2.光産業の全出荷額および国内生産額……………………………………………………………… 2 3.情報通信分野………………………………………………………………………………………… 10 4.情報記録分野………………………………………………………………………………………… 11 5.入出力分野…………………………………………………………………………………………… 12 6.ディスプレイ・固体照明分野……………………………………………………………………… 13 7.太陽光発電分野……………………………………………………………………………………… 14 8.レーザ・光加工分野………………………………………………………………………………… 15 9.センシング・計測分野……………………………………………………………………………… 17 10.光産業リソース……………………………………………………………………………………… 18 11.海外における光産業の動向………………………………………………………………………… 18 光技術動向調査 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 22 2.光無機材料・デバイス……………………………………………………………………………… 22 3.光情報通信…………………………………………………………………………………………… 23 4.情報処理フォトニクス……………………………………………………………………………… 24 5.光加工・計測………………………………………………………………………………………… 25 6.光エネルギー………………………………………………………………………………………… 26 7.光有機材料・デバイス……………………………………………………………………………… 28 8.光ユーザインタフェース…………………………………………………………………………… 29 9.特許動向調査………………………………………………………………………………………… 31 技術戦略策定 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 33 2.光テクノロジーロードマップ……………………………………………………………………… 33 新規事業創造 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 35 2.技術指導制度………………………………………………………………………………………… 35 3.新規事業創造支援…………………………………………………………………………………… 35 研究開発推進 1.光電子集積技術ロードマップの策定……………………………………………………………… 36 研究会 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 38 2.フォトニックデバイス・応用技術研究会………………………………………………………… 38 3.光材料・応用技術研究会…………………………………………………………………………… 39 4.光ネットワーク産業・技術研究会………………………………………………………………… 40 5.多元技術融合光プロセス研究会…………………………………………………………………… 41 標準化 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 42 2.ファイバオプティクス標準化部会………………………………………………………………… 51 3.光ファイバ標準化部会……………………………………………………………………………… 54 4.光コネクタ標準化部会……………………………………………………………………………… 56 5.光受動部品標準化部会……………………………………………………………………………… 57 6.光能動部品標準化部会……………………………………………………………………………… 58 7.光増幅器標準化部会………………………………………………………………………………… 59 8.光サブシステム標準化部会………………………………………………………………………… 61 9.光測定器標準化部会………………………………………………………………………………… 61 10.TC 76/レーザ安全性標準化部会………………………………………………………………… 62 11.ISO/TC 172/SC 9国内対策部会………………………………………………………………… 62 12.光ディスク標準化部会………………………………………………………………………………… 63 13.大口径マルチモード光ファイバ・コネクタ及びその通信性能に関する 国際標準化・普及基盤構築…………………………………………………………………… 65 14.光ファイバ相互接続用コネクタの光学互換に関する国際標準化………………………………… 66 15.高耐性レーザガードの評価方法に関する国際標準化…………………………………………… 67 16.新光源プロジェクタ及びファイバレーザの安全に関する国際標準化………………………… 67 17.光ディスクにおけるデジタルデータの長期保存を可能とする 高品質アーカイブグレード評価基準に関するJIS………………………………………… 69 人材育成・普及啓発 1.はじめに……………………………………………………………………………………………… 71 2.レーザ安全スクール………………………………………………………………………………… 71 3.レーザ機器取扱技術者試験………………………………………………………………………… 71 4.シンポジウム………………………………………………………………………………………… 72 5.光産業技術マンスリーセミナー…………………………………………………………………… 74 6.インターオプト……………………………………………………………………………………… 74 7.第31回櫻井健二郎氏記念賞………………………………………………………………………… 76 8.普及啓発活動………………………………………………………………………………………… 76 ◆◆◆◆◆ 2015(平成27)年度の委員会・部会等…………………………………………………………………… 79 賛助会員名簿……………………………………………………………………………………………… 80 賛助会員ご入会のおすすめ……………………………………………………………………………… 81 光産業技術標準化会ご入会のおすすめ………………………………………………………………… 81 研究会 会員募集…………………………………………………………………………………………… 82 一般財団法人光産業技術振興協会 専務理事 小谷 泰久 光産業技術振興協会が2015(平成27)年度に実施した調査・研究開発活動の概要をまとめ、ここに 技術情報レポートとして皆様方にお届けいたします。 さて、当協会で毎年実施している光産業動向調査によれば、光産業の全出荷額については2014年度 の4.0%のプラス成長から2015年度は3.8%マイナスの17兆4,377億円となり、国内生産額は2014年度の 3.9%のプラス成長から2015年度は3.7%マイナスの8兆4,177億円となりました。その内訳を見てみると、 太陽光発電分野の大幅な減(全出荷額20.2%マイナス、国内生産額15.4%マイナス)の影響が大きく、 他の光産業だけを集計すると全出荷額で1.8%プラスと微増となっています。特に、LED照明器具(全 出荷額+15.0%)、光伝送用部品(同+12.6%)、ディスプレイ素子(同+12.4%)、レーザ・光加工(同 +11.4%)、光センシング・計測(同+6.7%)、イメージセンサ(同+5.2%)は大きく伸ばしています。 これらの分野が増加しているのは、政府が推進中の成長戦略で取り上げられているIoT、ロボット技 術に不可欠な各種センサや光情報通信システム、インダストリ4.0など新製造技術で活用される光加工・ 計測・通信システム、自動運転の基盤技術である高速カメラや次世代ディスプレイ、医療・健康技術 に資するバイオセンサや高速画像処理システム、エネルギー政策の柱である太陽光発電、LED照明な ど、光技術に産業上の重要なキーテクノロジーが多く含まれていることが反映されているものと思わ れます。光産業としてはこのような新たな成長市場を発展させていくため、技術開発戦略、事業化戦略、 標準化戦略などが現在ますます必要となっています。 当協会は、産業として発展していく可能性のある光技術を選び出し、こうした可能性を着実に現実 のものとするため、①光産業技術に係る調査・研究 ②技術開発の推進 ③標準化の推進 ④新規事業創 造・人材育成を重点課題とし、これらの課題に対応して事業を展開しています。2015年度もこれらの 事業に力を注ぐとともに、その成果をもとに光産業技術に係る普及・啓発、国際交流・協力及び情報・ 資料の提供活動を実施してまいりました。 個別事業の活動内容や成果については本レポートをご覧いただくとして、ここでは2015年度の特筆 すべき事項についてご紹介したいと思います。まず、光産業の発展に資する指針として活用されるこ とを期待し、 「光電子集積技術」と「光加工・計測」の2分野についてロードマップを作成し、2月3日 に開催された光産業技術シンポジウムの場で発表されました。これらのロードマップは既存あるいは 新規の国家プロジェクトにおいて有効に活用されることが期待されます。また、今後の新たな技術開 発プロジェクトとして進展していくことを期待し、「データセンタ向け低消費電力・超多ポート高速光 スイッチシステム」について先導研究が開始されました。次に標準化に関しては経済産業省の再委託 事業で、アーカイブ用高品質光ディスクのグレード評価基準を規定するJIS制定原案とレーザプロジェ クタの光安全性を規定するIEC規格を作成いたしました。 当協会といたしましては、光産業技術の発展のため、経済産業省をはじめとした政府関係諸機関の ご指導の下、賛助会員を始めとする産業界、重要なパートナーである学界等多くの方々のご理解、ご 協力を得て、ニーズに合致した事業活動のさらなる充実強化を図ってまいりたいと考えております。 皆様方にはどうぞ一層のご指導、ご支援、ご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。 技術情報レポート 2015年度OITDA 1 光産業動向調査 含む)、カメラ付き携帯電話、タブレット端末 など 1. はじめに 我が国の産業・経済は、世界的な経済の低迷、円高、長引く クスによる円安・株高の進展に伴って企業・一般消費者のマイ 4.ディスプレイ・固体照明: ディスプレイ装置・素子、プロジェクタ、固体 照明器具・装置、発光ダイオード (照明用、 表示用)など ンドが上向き、2015年末まで、設備投資・消費動向も上昇して 5.太陽光発電 : 太 陽 光 発 電 システム 、太 陽 電 池 セ ル・モ ジュール 6.レーザ加工 : レーザ・光 応用生 産装置、ランプ・LD露光 機、アディティブ・マニュファクチャリング (AM;3Dプリンタ)、レーザ発振器 デフレーションという厳しい環境にさらされてきたが、アベノミ 景気が回復に向かいつつあった。しかし、世界経済の不透明感 が強まる中、日本経済も依然として次の成長に向けた力強さが 見られない状況にある。このような状況を打開する上で、これま で新たなイノベーションを先導、先端技術を産業化して我が国 7.センシング・計 測 : 光測定器、光センシング機器 の成長に大きく貢献してきた光産業分野には、更に飛躍して産 8.その他の光部品 : 複合光素子など 業界の牽引役を担うことが求められている。 注) 点線下線:2009(平成21)年度調査から、光製品に加えた項目 一重下線:2010(平成22)年度調査から、光製品に加えた項目 鎖線下線:2013(平成25)年度調査から、光製品に加えた項目 波 線:2014(平成26)年度調査から、光製品に加えた項目 二重下線:2015(平成27)年度調査から、光製品に加えた項目 当協会では、1980年の設立以来毎年度、関係企業の多大な るご協力と関係委員の精力的な活動の基に「光産業動向に関 する調査」を行っており、30年以上に及ぶ継続的なデータの蓄 積は光産業の動向を示す基礎資料として高い評価を受けてき た。 2.2 全出荷額の調査結果概要 本調査は、光産業の現状分析を通して今後の進むべき方向 2014年度全出荷額実績、2015年度全出荷額見込み、2016年 を示唆することを狙いとしたもので、今年度は、前年度と同様、 度全出荷額定性予測の調査結果を表1に示す。 光産業動向調査委員会(親委員会)の下に情報通信、情報記 各分野の青色の項目が光機器・装置を表し、黄色が光部品 録、入出力、ディスプレイ・固体照明、太陽光発電、レーザ・光 を表している。 加工、センシング・計測の7つの専門委員会を設置し、分野毎 および光産業全体の動向調査と分析を行った。 ●2014年度(実績)は18兆1,192億円、成長率4.0%増 2. 光産業の全出荷額および国内生産額 2014年度の光産業全出荷額(実績)は18兆1,192億円(成長 2.1 光産業全出荷額および国内生産額調査 率4.0%増)であった。内、光機器・装置は12兆8,361億円(成 光産業の全出荷額および国内生産額調査は、次のようにして 長率2.5%増、構成比70.8%)、光部品は5兆2,831億円(7.9% 増、同29.2%)であった。 取り組んだ。 日本国内の光製品(光機器・装置、光部品)関連生産企業 分野別に見ると、情報通信分野5,185億円(成長率▲9.3% に対して、海 外 生産を含む全出荷額と国内生産額に関する 減、構成比2.9%)、情報記録分野1兆1,267億円(▲5.2%減、同 2014年度実績額、2015年度見込額および2016年度定性的予 6.2%)、入出力分野4兆4,895億円(▲0.7%減、同24.8%)、 測のアンケート調査(アンケート調査票発送時期:2015年10 ディスプレイ・固体照明分 野6兆 5 , 19 9 億円(5 .7 % 増、同 月、回収時期:2015年12月~2016年2月、対象企業313社)を 3 6 . 0 %)、太 陽 光 発 電 分 野4兆 6 , 4 1 8 億 円(9 . 8 % 増 、同 行った。また、太陽光発電分野および固体照明分野のデータに 25.6%)、レーザ・光加工分野5,115億円(14.1%増、同2.8%)、 ついては、それぞれ太陽光発電協会(JPEA)および日本照明 センシング・計測分野2,311億円(5.1%増、同1.3%)であった。 工業会のご協力を得た。その結果を基に、光産業動向調査委 ●2015年度(見込み)は17兆4,377億円、成長率▲3.8%減 員会の下に設置されている製品分野別の各専門委員会におい 2015年度の光産業全出荷額(見込み)は17兆4,377億円(▲ てデータの妥当性検討および産業動向分析を行い、さらに光 3.8%減)とやや減少の傾向が見込まれている。内、光機器・装 産業動向調査委員会においてデータおよび分析結果の妥当性 置は12兆2,937億円(成長率▲4.2%減、構成比70.5%)、光部 を再確認することで、日本全体の光産業の全出荷額および国 品は5兆1,439億円(▲2.6%減、同29.5%)が見込まれている。 内生産額としてとりまとめた。 分野別に見ると、情報通信分野5,368億円(成長率3.5%増、 本調査では、光産業を次の7分野とその他に分類し、さら 構成 比 3 . 1%)、情 報 記 録 分 野 9 , 6 61億円(▲14 . 3 % 減、同 に、各分野を光機器・装置と光部品に分類して調査している。 5.5%)、入出力分野4兆4,170億円(▲1.6%減、同25.3%)、ディ 1.情報通信 スプレイ・固体照明分野6兆9,140億円(6.0%増、同39.6%)、 : 光伝送機器・装置、光ファイバ融着接続機、 発光素子、受光素子、光受動部品、光ファ イバ、光コネクタなど 太陽光発電分野3兆7,056億円(▲20.2%減、同21.3%)、レー 2.情報記録 : 光ディスク装置(再生専用装置、記録・再生 装置)、光ディスク媒体、半導体レーザなど 測分野2,466億円(6.7%増、同1.4%)が見込まれている。 3.入出力 : 光学式プリンタ、M FP (複合機:光学式 MFP、インクジェット式MFP)、デジタルカメ ラ(レンズ交換式:一眼レフ、ミラーレスタイプ (両者ともレンズを除く本体のみ)、コンパク トタイプ)、デジタルビデオカメラ(業務用を ザ・光加工分野5,700億円(11.4%増、同3.3%)、センシング・計 ●2016年度(予測)は横ばい 2016年度の光産業全出荷額は、光機器・装置、光部品とも に横ばいと予測している。 分野別に見ると、情報通信分野は横ばい、情報記録分野は やや減少、入出力分野は横ばい、ディスプレイ・固体照明分野 2 技術情報レポート 2015年度OITDA 表1 光産業の全出荷額(総括表) (各分野の集計値は :光機器・装置と :光部品とを単純合計したもの) 2013 年度実績 2014 年度実績 2015 年度見込 2016 年度予測 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 情報通信分野 571,585 7.1 518,477 ▲ 9.3 536,790 3.5 横ばい 光伝送機器・装置 264,476 7.6 202,492 ▲ 23.4 180,226 ▲ 11.0 横ばい 幹線・メトロ系 164,960 17.0 104,084 ▲ 36.9 101,579 ▲ 2.4 横ばい 加入者系 55,574 ▲ 12.8 50,064 ▲ 9.9 38,328 ▲ 23.4 増加 光インタフェースが装着できるル-タ/スイッチ 27,830 6.5 31,161 12.0 27,230 ▲ 12.6 やや増加 映像伝送(CATV,CCTV 等) 3,785 13.7 3,180 ▲ 16.0 3,533 11.1 やや増加 光ファイバ増幅器 12,327 5.5 14,003 13.6 9,556 ▲ 31.8 横ばい 光伝送用部品 288,782 7.1 294,670 2.0 331,751 12.6 やや増加 光伝送リンク 69,445 23.0 66,166 ▲ 4.7 76,358 15.4 増加 発光素子 37,576 9.2 42,004 11.8 54,326 29.3 やや増加 受光素子 10,232 ▲ 6.5 12,594 23.1 16,806 33.4 やや増加 光受動部品 23,499 ▲ 15.4 22,157 ▲ 5.7 25,997 17.3 横ばい 光回路部品 19,152 9.3 23,469 22.5 24,927 6.2 増加 光ファイバ 98,594 2.4 97,058 ▲ 1.6 102,471 5.6 やや増加 光コネクタ 25,798 3.2 25,952 0.6 25,432 ▲ 2.0 横ばい その他(通信用発光ダイオード, リモコン受光ユニット等) 4,486 286.7 5,270 17.5 5,434 3.1 横ばい 光ファイバ融着接続機 18,327 ▲ 0.1 21,315 16.3 24,813 16.4 やや増加 情報記録分野 1,188,946 ▲ 7.8 1,126,724 ▲ 5.2 966,100 ▲ 14.3 やや減少 光ディスク 1,160,595 ▲ 7.9 1,100,010 ▲ 5.2 944,197 ▲ 14.2 減少 光ディスク装置 1,055,349 ▲ 7.6 1,007,038 ▲ 4.6 857,334 ▲ 14.9 減少 再生専用装置(CD(音楽用),CD-ROM ユニット ,DVD-ROM,BD) 652,851 ▲ 10.2 668,848 2.5 575,496 ▲ 14.0 減少 記録・再生装置 402,498 ▲ 3.1 338,190 ▲ 16.0 281,838 ▲ 16.7 やや減少 光ディスク媒体 41,605 ▲ 16.7 31,727 ▲ 23.7 30,605 ▲ 3.5 横ばい その他(光ヘッド) 63,641 ▲ 7.0 61,245 ▲ 3.8 56,258 ▲ 8.1 やや減少 半導体レーザ 28,351 ▲ 2.4 26,714 ▲ 5.8 21,903 ▲ 18.0 横ばい 入出力分野 4,521,718 1.3 4,489,471 ▲ 0.7 4,416,986 ▲ 1.6 横ばい 入出力装置 4,048,194 ▲ 0.7 3,962,088 ▲ 2.1 3,862,340 ▲ 2.5 横ばい 光学式プリンタ 134,834 ▲ 2.8 153,523 13.9 162,534 5.9 やや増加 MFP(複合機) 582,067 5.6 623,592 7.1 639,059 2.5 横ばい バーコードリーダ 14,585 ▲ 20.3 14,768 1.3 14,893 0.8 やや減少 イメージスキャナ 41,985 ▲ 32.5 29,638 ▲ 29.4 32,113 8.4 やや増加 デジタルカメラ 1,300,232 ▲ 20.1 1,053,584 ▲ 19.0 952,462 ▲ 9.6 やや減少 デジタルビデオカメラ[注] 155,084 ▲ 12.9 268,843 - 268,824 ▲ 0.0 横ばい カメラ付き携帯電話 1,726,001 16.4 1,725,098 ▲ 0.1 1,700,119 ▲ 1.4 やや減少 タブレット端末 93,406 415.9 93,042 ▲ 0.4 92,336 ▲ 0.8 やや減少 イメージセンサ(アレイ型受光素子) 473,524 21.7 527,383 11.4 554,646 5.2 横ばい ディスプレイ・固体照明分野 6,169,694 ▲ 0.2 6,519,878 5.7 6,913,951 6.0 やや増加 ディスプレイ装置 3,318,388 ▲ 5.7 3,250,649 ▲ 2.0 3,315,077 2.0 横ばい フラットディスプレイ 3,032,746 ▲ 6.9 2,927,874 ▲ 3.5 2,978,832 1.7 横ばい プロジェクタ 232,541 9.1 272,170 17.0 296,419 8.9 増加 LED ディスプレイ装置 53,101 10.7 50,605 ▲ 4.7 39,826 ▲ 21.3 増加 ディスプレイ素子 1,938,991 3.1 2,311,067 19.2 2,597,989 12.4 やや増加 発光ダイオード 403,269 7.5 377,277 ▲ 6.4 356,904 ▲ 5.4 やや増加 固体照明器具・ランプ 509,046 24.5 580,885 14.1 643,981 10.9 やや増加 LED 照明器具 411,171 3491.3 474,828 15.5 545,862 15.0 やや増加 LED ランプ(直管 LED ランプ等を含む) 97,875 74.4 106,057 8.4 98,119 ▲ 7.5 横ばい 太陽光発電分野 4,229,268 88.3 4,641,830 9.8 3,705,631 ▲ 20.2 減少 太陽光発電システム 2,693,247 113.7 3,151,081 17.0 2,673,366 ▲ 15.2 減少 太陽電池セル・モジュール 1,536,021 55.9 1,490,749 ▲ 2.9 1,032,265 ▲ 30.8 減少 レーザ・光加工分野 448,444 16.8 511,530 14.1 569,985 11.4 やや増加 レーザ・光応用生産装置 390,091 19.1 442,515 13.4 501,231 13.3 やや増加 炭酸ガスレーザ 63,945 7.1 70,544 10.3 65,896 ▲ 6.6 横ばい 固体レーザ 31,735 11.1 33,338 5.1 44,699 34.1 やや増加 エキシマレーザ 125,338 22.1 114,819 ▲ 8.4 114,769 ▲ 0.0 やや減少 半導体レーザ直接加工機 2,427 2.2 2,625 8.2 3,790 44.4 増加 ファイバレーザ応用生産装置 14,778 87.6 35,103 137.5 55,206 57.3 増加 ランプ・LD 露光機 151,300 19.6 183,376 21.2 213,999 16.7 やや増加 アディティブ・マニュファクチャリング(3D プリンタ) 568 - 2,710 377.1 2,872 6.0 増加 レーザ発振器 58,353 3.6 69,015 18.3 68,754 ▲ 0.4 横ばい センシング・計測分野 219,839 4.4 231,092 5.1 246,622 6.7 横ばい 光測定器 14,074 22.9 14,715 4.6 15,540 5.6 やや増加 光センシング機器 205,765 3.3 216,377 5.2 231,082 6.8 横ばい その他の光部品分野 71,486 ▲ 14.0 80,151 12.1 81,617 1.8 横ばい 項 目 項 目 光機器・装置 小計 光部品 小計 合計 2013 年度実績 2014 年度実績 2015 年度見込 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 12,524,328 11.6 12,836,070 2.5 12,293,734 ▲ 4.2 4,896,652 17.4 5,283,083 7.9 5,143,948 ▲ 2.6 17,420,980 13.2 18,119,153 4.0 17,437,682 ▲ 3.8 2016 年度予測 横ばい 横ばい 横ばい [注]デジタルビデオカメラは、2014年度より業務用ビデオカメラを含めている。 太陽光発電分野において、システムに部品として含まれる太陽電池モジュールの生産額が重複しないよう合計した生産額は次の通りである 2013 年度実績 2014 年度実績 2015 年度見込 項 目 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 太陽光発電分野 2,722,371 102.9 3,182,160 16.9 2,762,720 ▲ 13.2 技術情報レポート 2015年度OITDA 3 2016 年度予測 減少 光産業動向調査 表2 光産業の国内生産額(総括表) (各分野の集計値は :光機器・装置と :光部品とを単純合計したもの) 2013 年度実績 2014 年度実績 2015 年度見込 2016 年度予測 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 情報通信分野 514,850 ▲ 26.9 441,281 ▲ 14.3 456,338 3.4 横ばい 光伝送機器・装置 254,327 9.5 182,514 ▲ 28.2 165,706 ▲ 9.2 横ばい 幹線・メトロ系 164,263 18.7 101,807 ▲ 38.0 99,594 ▲ 2.2 横ばい 加入者系 52,386 ▲ 4.7 47,918 ▲ 8.5 36,721 ▲ 23.4 増加 光インタフェースが装着できるル-タ/スイッチ 24,928 ▲ 4.6 18,949 ▲ 24.0 18,410 ▲ 2.8 横ばい 映像伝送(CATV,CCTV 等) 3,433 10.6 2,905 ▲ 15.4 3,316 14.1 やや増加 光ファイバ増幅器 9,317 ▲ 3.2 10,935 17.4 7,665 ▲ 29.9 横ばい 光伝送用部品 242,196 6.6 237,452 ▲ 2.0 265,819 11.9 やや増加 光伝送リンク 50,537 36.2 39,991 ▲ 20.9 49,884 24.7 やや増加 発光素子 32,518 12.7 30,401 ▲ 6.5 36,404 19.7 横ばい 受光素子 8,871 9.8 8,313 ▲ 6.3 13,149 58.2 やや増加 光受動部品 22,336 ▲ 12.6 21,024 ▲ 5.9 25,119 19.5 横ばい 光回路部品 18,282 9.3 22,692 24.1 24,145 6.4 増加 光ファイバ 87,694 0.9 90,552 3.3 93,492 3.2 やや増加 光コネクタ 20,102 ▲ 7.6 20,954 4.2 19,848 ▲ 5.3 横ばい その他(通信用発光ダイオード, リモコン受光ユニット等) 1,856 ▲ 17.8 3,525 89.9 3,778 7.2 減少 光ファイバ融着接続機 18,327 3.9 21,315 16.3 24,813 16.4 やや増加 情報記録分野 257,593 17.1 232,064 ▲ 9.9 208,150 ▲ 10.3 やや増加 光ディスク 257,593 17.1 232,064 ▲ 9.9 208,150 ▲ 10.3 やや増加 光ディスク装置 240,702 20.1 214,639 ▲ 10.8 191,685 ▲ 10.7 やや増加 再生専用装置(CD(音楽用),CD-ROM ユニット ,DVD-ROM,BD) 202,925 23.2 180,936 ▲ 10.8 183,729 1.5 やや増加 記録・再生装置 37,777 5.9 33,703 ▲ 10.8 7,956 ▲ 76.4 やや減少 光ディスク媒体 16,891 ▲ 14.1 17,425 3.2 16,465 ▲ 5.5 やや減少 入出力分野 1,096,616 ▲ 24.8 1,127,752 2.8 1,139,639 1.1 横ばい 入出力装置 750,110 ▲ 36.2 740,822 ▲ 1.2 718,756 ▲ 3.0 横ばい 光学式プリンタ 28,451 ▲ 25.7 26,214 ▲ 7.9 26,960 2.8 やや増加 MFP(複合機) 80,935 ▲ 5.3 77,559 ▲ 4.2 80,693 4.0 やや減少 バーコードリーダ 13,224 ▲ 29.8 12,818 ▲ 3.1 12,905 0.7 やや減少 イメージスキャナ 9,812 6.1 11,173 13.9 11,201 0.3 横ばい デジタルカメラ 306,845 ▲ 39.9 219,108 ▲ 28.6 206,217 ▲ 5.9 やや減少 デジタルビデオカメラ[注 1] 40,032 ▲ 14.0 131,769 - 132,581 0.6 やや減少 カメラ付き携帯電話 250,074 ▲ 46.4 222,566 ▲ 11.0 221,453 ▲ 0.5 やや減少 タブレット端末 20,737 - 39,615 91.0 26,746 ▲ 32.5 やや減少 イメージセンサ(アレイ型受光素子) 346,506 22.5 386,930 11.7 420,883 8.8 横ばい ディスプレイ・固体照明分野 2,538,593 3.7 2,708,162 6.7 2,851,242 5.3 やや増加 ディスプレイ装置 274,096 ▲ 8.4 262,466 ▲ 4.2 252,797 ▲ 3.7 横ばい フラットディスプレイ 241,001 ▲ 4.2 234,053 ▲ 2.9 221,967 ▲ 5.2 横ばい プロジェクタ 29,079 ▲ 34.4 25,054 ▲ 13.8 27,864 11.2 増加 LED ディスプレイ装置 4,016 27.3 3,359 ▲ 16.4 2,966 ▲ 11.7 増加 ディスプレイ素子 1,608,126 8.2 1,783,445 10.9 1,886,636 5.8 横ばい 発光ダイオード 362,861 5.6 330,306 ▲ 9.0 332,618 0.7 やや増加 固体照明器具・ランプ 293,510 - 331,945 13.1 379,191 14.2 やや増加 LED 照明器具[注 2] 276,300 - 318,203 15.2 365,742 14.9 やや増加 LED ランプ(直管 LED ランプ等を含む) 17,210 23.1 13,742 ▲ 20.2 13,449 ▲ 2.1 やや減少 太陽光発電分野 3,342,846 71.4 3,488,824 4.4 2,950,807 ▲ 15.4 減少 太陽光発電システム 2,673,858 104.1 2,980,648 11.5 2,573,148 ▲ 13.7 減少 太陽電池セル・モジュール 668,988 4.4 508,176 ▲ 24.0 377,659 ▲ 25.7 減少 レーザ・光加工分野 430,149 14.6 497,024 15.5 551,404 10.9 やや増加 レーザ・光応用生産装置 372,148 90.9 428,787 15.2 483,330 12.7 やや増加 炭酸ガスレーザ 63,317 15.4 68,599 8.3 64,294 ▲ 6.3 やや減少 固体レーザ 28,527 8.9 29,405 3.1 39,782 35.3 やや増加 エキシマレーザ 112,742 7.6 109,396 ▲ 3.0 107,446 ▲ 1.8 やや減少 ファイバレーザ応用生産装置 13,292 95.7 32,753 146.4 51,063 55.9 増加 半導体レーザ直接加工機 2,409 2.2 2,548 5.8 3,769 47.9 増加 ランプ・LD 露光機 151,300 19.6 183,376 21.2 213,999 16.7 やや増加 アディティブ・マニュファクチャリング(3D プリンタ) 561 - 2,710 383.1 2,977 9.9 増加 レーザ発振器 58,001 7.5 68,237 17.6 68,074 ▲ 0.2 横ばい センシング・計測分野 162,748 3.5 171,763 5.5 184,158 7.2 横ばい 光測定器 13,021 4.1 13,606 4.5 14,168 4.1 横ばい 光センシング機器 149,727 3.4 158,157 5.6 169,990 7.5 横ばい その他の光部品分野 69,301 ▲ 7.0 75,678 9.2 76,002 0.4 横ばい 項 目 項 目 光機器・装置 小計 光部品 小計 合計 2013 年度実績 2014 年度実績 2015 年度見込 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 5,039,507 24.8 5,338,582 5.9 4,976,600 ▲ 6.8 3,373,189 8.0 3,403,966 0.9 3,441,140 1.1 8,412,696 17.5 8,742,548 3.9 8,417,740 ▲ 3.7 2016 年度予測 横ばい 横ばい 横ばい [注1]2014年度から業務用ビデオカメラを追加した。 [注2]2013年度のLED照明器具の国内生産額は、集計処理方法が変更になったため、対前年度の成長率を計算できない。全出荷額についての変更はなし。 太陽光発電分野において、システムに部品として含まれる太陽電池モジュールの生産額が重複しないよう合計した生産額は次の通りである 2013 年度実績 2014 年度実績 2015 年度見込 項 目 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 生産額(百万円) 成長率(%) 太陽光発電分野 2,688,566 105.3 3,011,727 12.0 2,662,503 ▲ 11.6 4 2016 年度予測 横ばい 技術情報レポート 2015年度OITDA はやや増加、太陽光発電分野は減少、レーザ・光加工分野は 分野1,842億円(7.2%増、同2.2%)が見込まれている。 やや増加、センシング・計測分野は横ばいと予測している。 ●2016年度(予測)は横ばい 2.3 国内生産額の調査結果概要 部品ともに横ばいと予測している。 2016年度の光産業国内生産額(予測)は、光機器・装置、光 2014年度国内生産額実績、2015年度国内生産額見込み、 分野別に見ると、情報通信分野は横ばい、情報記録分野は 2016年度国内生産額定性予測の調査結果を表2に示す。 やや増加、入出力分野は横ばい、ディスプレイ・固体照明分野 はやや増加、太陽光発電分野は減少、レーザ・光加工分野は ● 2014年度(実績)は8兆7,425億円、成長率3.9%増 やや増加、センシング・計測分野は横ばいと予測している。 2014年度の光産業国内生産額(実績)は8兆7,425億円(成 2.4 光産業全出荷額の動向 長率3.9%増)とプラス成長になった。内、光機器・装置は5兆 ⑴ 光産業全出荷額の推移 3,386億円(成長率5.9%増、構成比61.1%)、光部品は3兆 2009年度〜2015年度の6年間の国内全出荷額の推移を対 4,040億円(0.9%増、同38.9%)であった。 分野別に見ると、情報通信分野4,413億円(成長率▲14.3% 前年度成長率とともに図1に示す。なお、光産業の全出荷額規 減、構成比5.0%)、情報記録分野2,321億円(▲9.9%減、同 模の推移を日本経済、他業種の規模の推移と比較するため 2.7%)、入出力分野1兆1,278億円(2.8%増、同12.9%)、ディ に、名目GDP(実際の額の1/10)と電子工業の国内生産額+海 スプレイ・固体照明分野2兆7,082億円(6.7%増、同31.0%)、 外生産額も参考のために載せてある。 太陽光発電分野3兆4,888億円(4.4%増、同39.9%)、レーザ・ 光産業全体では、2013年度に13.2%増と大きく成長し、引き 光加工分野4,970億円(15.5%増、同5.7%)、センシング・計測 続き2014年度も4.0%増となったが、2015年度については、3年 分野1,718億円(5.5%増、同2.0%)であった。 ぶりに▲3.8%のやや減少と見込まれている。 ●2015年度(見込み)は8兆4,177億円、成長率▲3.7%減 分野別の推移を図2に示す。分野別では、2014年度は、太 2015年度の光産業国内生産額(見込み)は8兆4,177億円 陽光発電分野が、固定価格買取制度(Feed in Tariff:FIT) (成長率▲3.7%減)とやや減少と見込まれている。内、光機 の買取価格低下の影響を受けて成長率に急ブレーキが掛かっ 器・装置は4兆9,766億円(成長率▲6.8%減、構成比59.1%)、 た(113.7%増→17.0%増)。一方、スマートフォン・タブレット端 光部品は3兆4,411億円(1.1%増、同40.9%)が見込まれてい 末市場の拡大に伴うディスプレイ素子および省エネ意識の向上 る。 によるLED照明器具の増加により、ディスプレイ・固体照明分 分野別に見ると、情報通信分野4,563億円(成長率3.4%増、 野はやや増加した。また、自動車を中心とする設備投資の増加 構成 比 5 .4%)、情報 記 録 分 野2 , 0 8 2 億円(▲10 . 3 % 減、同 を反映して、レーザ・光加工分野が大幅に増加し、セキュリティ 2.5%)、入出力分野1兆1,396億円(1.1%増、同13.5%)、ディス 機器や車載カメラなどが好調なセンシング・計測分野もやや増 プレイ・固体照明分野2兆8,512億円(5.3%増、同33.9%)、太 加した。入出力分野では、MFPと光学式プリンタおよびイメー 陽光発電分野2兆9,508億円(▲15.4%減、同35.1%)、レーザ・ ジセンサが好調で、デジタルカメラの減少を補い、全出荷額で 光加工分野5,514億円(10.9%増、同6.6%)、センシング・計測 ほぼ横ばいとなった。一方、前年度までの幹線・メトロ系の光伝 全出荷額(兆円) 60 50 1.8 40 9.4 1.0 0.8 ▲ 11.3 20 3.1 15.3 ▲ 0.8 6.6 7.8 ▲ 8.9 5.8 10 2.8 ▲ 2.3 5.2 30 2.0 4.0 ▲ 3.8 ▲ 5.7 名目GDP(1/10)#1 電子工業国内生産額+海外生産額 #2 0 光産業全出荷額 2009 2010 2011 2012 2013 年度 2014 2015 見込 #1 内閣府発表資料より(27経済見通し及び財政運営2015/12/22) #2 電子情報産業の世界生産見通し、JEITA、2015/12/15 図1 光産業全出荷額、名目GDP、電子工業国内生産額+海外生産額の推移 技術情報レポート 2015年度OITDA 5 2016 予測 光産業動向調査 9.0 ディスプレイ・固体照明 分野 入出力分野 8.0 情報記録分野 生産金額(兆円) 7.0 太陽光発電分野 6.0 情報通信分野 5.0 レーザ・光加工分野 4.0 センシング・計測分野 3.0 2.0 1.0 0.0 10 11 12 13 14 15 見込 09 年度 図2 光産業全出荷額の分野別推移 送機器増加の反動で、情報通信分野が大きく減少した。また、 加の反動と買取価格の下落により、大きく減少する見込であ 情報記録分野は、継続的な価格下落と需要の減少の影響によ る。情報記録分野は、市場縮小の影響を受け、大幅な減少を見 りやや減少となった。2015年度も、ディスプレイ・固体照明分野 込んでいる。 では、スマートフォン・タブレット端末市場の拡大に伴うディス ⑵ 光産業全出荷額の分野別構成比率と寄与度推移 プレイ素子および省エネ意識の向上によるLED照明器具の増 2012年度~2015年度の4年間について、光製品全出荷額の 加により、増加が見込まれている。自動車を中心とする設備投 分野別構成比率の推移を図3に、光製品全出荷増減額の分野 資の増加に伴い、レーザ・光加工分野が、またセキュリティ機 別寄与度推移を図4に示す。 器や車載カメラなどが好調でセンシング・計測分野が順調に増 分野別構成比率(図3)に示すように、2013年度は太陽光発 加すると見込まれている。情報通信分野では、幹線・メトロ系お 電分野のシェアが伸び、ディスプレイ・固体照明分野が低下し よび加入者系の光伝送機器が大きく減少するものの、発光・受 ている。2014年度には太陽光発電分野と入出力分野のシェア 光素子などの光伝送用部品が大幅に伸びて、やや増加が見込 が入れ替わり、太陽光発電分野が第2位になっている。しかし まれる。また、入出力分野については、全体として、横ばいを見 2015年度には、太陽光発電分野のシェアが縮小したため、入 込んでいる。一方、太陽光発電分野は、前年度までの大きな増 出力分野が第2位に返り咲く見込みである。 100% 90% 80% 0.5% 3.6% 8.7% 0.5% 1.4% 2.7% 14.9% 70% 60% 50% 3.3% 6.8% 0.5% 1.4% 2.5% 24.3% 2.9% 6.2% 0.5% 1.3% 3.1% 5.5% 1.4% 3.1% 2.6% 21.3% 25.6% その他分野 26.9% 26.0% 25.3% 24.8% 40% 情報通信分野 41.5% 35.4% 39.6% 36.0% 10% 0% レーザ・光加工分野 情報記録分野 30% 20% センシング・計測分野 太陽光発電分野 入出力分野 ディスプレイ・固体照明分野 2012年度実績 15兆3,936億円 2013年度実績 17兆4,210億円 2014年度実績 18兆1,192億円 2015年度見込 17兆4,377億円 図3 光産業全出荷額の分野別構成比率推移 6 技術情報レポート 2015年度OITDA 24,000 22,000 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 金額(億円) 10,000 ディスプレイ・固体照明分野 入出力分野 太陽光発電分野 情報通信分野 情報記録分野 レ-ザ・光加工分野 センシング・計測分野 その他分野 光製品 合計 2 3 ,059億 円 6 ,9 82億円 8,000 6,000 4,000 2,000 0 - 2,000 - 4,000 2 0 1 1 年 度 実績 ▲ 1 ,2 9 1億円 2 0 1 3 年 度実績 2 0 1 2 年 度 実績 2 0 1 4 年 度実績 2 0 1 5年度見込 - 6,000 - 8,000 ▲ 6,815億円 - 10,000 ▲ 9 ,0 6 7億円 - 12,000 図4 全出荷増減額の分野別寄与度推移 2.5 光産業国内生産額の動向 分野別寄与度(図4)では、2013年度は太陽光発電分野が ⑴ 光産業国内生産額の推移 大きくプラスを計上し、ディスプレイ・固体照明、レーザ加工、セ ンシング計測および情報通信分野もプラスに転じたが、他の2 図5に、1980年度〜2015年度の、光産業国内生産額の推移 分野はマイナスとなった。2014年度は、太陽光発電、ディスプレ を名目GDP(実際の額の1/20)と電子工業国産生産額と共に イ・固体照明、レーザ・光加工およびセンシング・計測分野が引 示す。 き続きプラスとなるが、他の3分野はマイナスになった。特に、 光産業は、本調査の開始年度である1980年度には約800億 太陽光発電分野の成長が大きく抑制されたことが分かる。 円の規模で、1980年代は日本経済とともに成長した。1991年に 2015年度は、ディスプレイ・固体照明、レーザ・光加工およびセ は国内生産額で電子工業全体の1/10となり、一貫してプラス成 ンシング・計測分野に加え、情報通信分野がプラスとなると見 長を持続したまま、2000年度には7兆円の大台に乗った。IT 込まれる。太陽光発電分野は、大きくマイナスとなり、情報記録 不況の影響で2001年度は調査開始以来、初めてのマイナス成 および入出力分野も引き続きマイナスになると見込まれる。 長を記録したが、急回復して2003年度に10兆円の大台に近付 30 0.8 0.8 0.2 0.5 0.7 1.0 生産金額(兆円) 25 ▲1.8 ▲0.7 7.0 20 ▲18.2 ▲12.0 15 10 ▲3.5 ▲4.6 ▲3.2 6.5 29.2 1.1 0.1 光産業国内生産額 名目GDP(×1/20)#1 11.2 2.7 2.7 3.1 ▲2.3 ▲0.8 ▲7.9 14.0 5.3 0.6 ▲26.9 ▲15.0 ▲10.7 7.3 2.4 6.8 2.9 ▲2.0 17.2 3.9 ▲16.7 ▲9.5 ▲10.5 ▲1.5 5 ▲3.7 ▲15.1 #2 電子情報産業の世界生産見通し、JEITA、2015/12/15 図5 光産業国内生産額、名目GDP及び電子工業国内生産額の推移 7 予測 #1 内閣府発表資料より(27経済見通し及び財政運営2015/12/22) 見込 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 年度 技術情報レポート 2015年度OITDA 2.0 0.8 1.0 数字:対前年度成長率 電子工業国内生産額 #2 0 2.3 1.8 光産業動向調査 4.50 ディスプレイ・固体照明分野 4.00 入出力分野 情報記録分野 生産金額(兆円) 3.50 太陽光発電分野 情報通信分野 3.00 レ-ザ・光加工分野 センシング・計測分野 2.50 2.00 1.50 1.00 0.50 0.00 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 年度 13 14 15 見込 91 92 図6 国内生産額の分野別推移 くと、以降はマクロ経済の影響を大きく受け、GDPや電子産業 野において固体照明は2011年度3桁および2012年度2桁の成 と連動した動向を示すようになっている。2007年度までは緩や 長を果たしている。2013年度については、集計方法を変更した かに成長したが、2008年度~2009年度は世界金融不況の影響 ため、単純に前年度と比較できないものの、生産自体は2015年 を受けて2年連続のマイナス成長となり、2010年度には一端回 度まで順調に成長していると思われる。太陽光発電分野も昨 復傾向を示したものの勢いは弱く、2011年度~2012年度は再 今の光産業分野の成長頭になっており、2008年度以降急勾配 びマイナス成長となった。しかし、2013年度には、アベノミクス の上昇が見られる。特に、2012年7月に固定価格買取制度が導 により、名目GDP1.8%の成長見通しが示すように景気が回復 入されて以降、発電事業用が大幅に伸びて、2013年度には国 し、設備投資、一般消費も増えて、光産業全体の国内生産額は 内生産額では第1位になった(従来は、ディスプレイ・固体照明 久し振りに17.5%の大幅増大となった。2014年度は、好調と不 分野が第1位)。しかし、2014年度には成長率が急激に落ち込 調の分野が相半ばし、2013年度比で3.9%増とやや増加となっ み、2015年度には大幅な減少が見込まれている。情報記録分 た。2015年度は、太陽光発電分野の大幅な減少の影響を受 野は長期低落を継続しており、2012年度には2,500億円を割り け、3年ぶりに▲3.7%のやや減少と見込まれている。 込んだが(▲40.4%減)、その反動で2013年度は17.1%の大幅 1991年度〜2015年度の24年間の分野別光製品国内生産額 増加となった。しかし、2014年度は再び▲9.9%とマイナス成長 の推移(その他を除く7分野)を図6に示す。 となり、2015年度も▲10.3%の減少が見込まれている。一方、 1990年代は、ディスプレイ、入出力、情報通信と情報記録分 情報通信、レーザ・光加工およびセンシング・計測分野は国内 野が順調に伸び、いずれも2000年には1兆円超の国内生産額 市場がメインであり、国内景気や設備投資の影響を比較的受 に成長した。また、レーザ・光加工、センシング・計測および太 け易く、景気動向に似た様相が見受けられ、2013年度は大きく 陽光発電分野においても、生産額は2000年において5千億円 増加した。レーザ・光加工分野は、2014年度も15.5%増と大きく 未満と規模は小さかったが、1990年代は順調に推移した。しか 成長し、センシング・計測分野も5.5%増とやや増加した。両分 し、2001年のITバブル崩壊以降の展開は、分野毎に大きく異 野については、2015年度も同様の傾向を示すと見込まれてい なる様相になった。 る。情報通信分野は、幹線・メトロ系などの不調の影 響を受 入出力分野は2001年度に余り落ち込まずに2002年度以降も け、2014年度は▲14.3%とマイナス成長となったが、2015年度 順調に成長したが、2008年度以降はマイナス成長に転落し、 は、光伝送機器・装置はマイナスであったが、部品が好調であ 2011年度に漸く下げ止まりの様相が見えたが、2012年度そして り、全体では3.4%増と予測されている。 2013年度と再びマイナス成長軌道に入ってしまった。しかし、 ⑵ 光産業国内生産額の分野別構成比率と寄与度の推移 2014年度以降は、ほぼ横ばいの傾向となっている。ディスプレ 2012年度~2015年度の4年間について、光製品国内生産額 イ・固体照明分野は多少の波はあるものの順調に成長し続け の分野別構成比率の推移を図7に、光製品国内生産増減額の ていたが、2010年度をピークに急降下し始めた。特に、フラット 分野別寄与度推移を図8に示す。 パネルディスプレイは2011年度からの2年間で国内生産額が凡 図7の分野別構成比率を見ると、ディスプレイ・固体照明、入 そ80%も減少したが、2013年度には漸くプラス成長に入り、そ 出力および太陽光発電の3分野で全体の80%以上を占めてい れ以降はプラス成長を維持すると見込んでいる。一方、この分 るが、2009年度の世界金融不況後の回復度合いの違いにより 8 技術情報レポート 2015年度OITDA 100% 90% 80% 70% 5.2% 3.2% 2.2% 5.1% 3.1% 6.1% 6.7% 1.9% 27.2% 2.0% 2.2% 6.6% 2.5% 5.4% 35.1% 39.9% 39.7% 60% 5.7% 2.7% 5.0% その他分野 センシング・計測分野 レーザ・光加工分野 50% 40% 情報記録分野 20.3% 13.5% 12.9% 13.0% 情報通信分野 太陽光発電分野 30% 20% 入出力分野 ディスプレイ・固体照明分野 34.2% 30.2% 31.0% 33.9% 2013年度実績 8兆4,127億円 2014年度実績 8兆7,425億円 2015年度見込 8兆4,177億円 10% 0% 2012年度実績 7兆1,782億円 図7 国内生産額の分野別構成比率推移 その後の構成比率は大きく変化している。太陽光発電分野は れている。 FIT、余剰電力買取制度と補助金などにより飛躍的に続伸し、 次に、国内生産増減額の分野別寄与度(図8)については、 2013年度には第1位に躍り出た。ディスプレイ・固体照明分野 2013年度は太陽光発電分野がプラス成長に大きく牽引し、入 は、フラットディスプレイの国内生産額が2011年の地上デジタ 出力分野のみマイナスとなっている。分野別では、ディスプレ ル放送(地デジ化)への完全移行終了後、移行前の旺盛な需 イ・固体照明分野は2013年度以降にプラスに転じ、2015年度も 要に対する反動並びに円高と継続的な価格低下による海外生 プラスと見込まれているが、入出力分野は2014年度になって、 産シフトにより、この2年間で80%近く減少している。一方、固 漸く回復の兆しが認められ、2015年度もわずかにプラスになる 体照明は省エネ意識の高まりにより大幅に続伸しているが、 と見込まれている。情報通信分野は、2013年度にプラスに転じ ディスプレイ分野の落ち込みをカバーするまでには至らず、結 たが、2014年度は再びマイナスとなった。2015年度について 果、構成比率は2012年度から2013年度までに4%の減少と は、わずかにプラスと見込まれる。情報記録分野は、2013年度 なったが、太陽光発電分野の減少に伴い、2015年度には2012 にわずかにプラスへ転じたが、2014年度は再びマイナスにな 年度とほぼ同レベルまで構成比率が回復すると見込まれてい り、2015年度もマイナスと見込まれている。額は小さいものの、 る。入出力分野はデジタルカメラ、カメラ付き携帯電話などの レーザ・光加工およびセンシング・計測分野は、2015年度も堅 低調により2012年度から2015年度までに6.8%の減少が見込ま 調な推移を示すと見込まれている。 ディスプレイ・固体照明分野 14,000 入出力分野 12,344 12,344億 億円 12,000 太陽光発電分野 情報通信分野 10,000 情報記録分野 レーザ・光加工分野 金額(億円) 8,000 6,000 センシング・計測分野 その他分野 5,552億 5,552 億円 光製品 合計 4,000 3,299 億 円 3,299億 2,000 0 - 2,000 2010年度実績 2 011年度実績 2 012年度実績 2013年度実績 2014年度実績 億円 ▲ 1,079 1,079億 - 4,000 - 6,000 - 8,000 ▲ 8,534億 8,534 億 円 - 10,000 図8 国内生産増減額の分野別寄与度推移 技術情報レポート 2015年度OITDA 9 2015年見込 3,248億 ▲ 3,248 億円 光産業動向調査 各分野の詳細な分析結果については、以降の2章から8章 産額・出荷額となる見 込 みである。全出荷額を伝 送レート で述べる。 100 Gb/s未満と100 Gb/s以上に分計した場合、2014年度成長 率は2013年度比それぞれ22.8%減、26.9%増と明暗が分かれ 3. 情報通信分野 ている。2015年度見込み成長率も23.2%減、57.1%増である。 情報通信分野の2014年度の国内生産額は約4,410億円、国 100 Gb/s以上の光伝送リンクは、2013年度から市場が形成さ 外での生産も含めた光産業全出荷額は約5,180億円であり、 れ、主に基幹系ネットワークやメトロ系ネットワークの構築に利 2013年度比でそれぞれ14.3%減、9.3%減の成長率と非常に厳 用されている他、データセンタ用のLAN機器でも採用が始まっ しい結果となった(図9)。一方で、2015年度のそれぞれの成 ている。特に後者の伸びが今後大きくなると予想される。 長率は3.4%増、3.5%増と若干持ち直すものと予想されている。 3.2.2 情報通信用発光素子・受光素子 2010年度〜2014年度で見ると、2013年度に一時的に増加して いるものの、長期的にはゆるやかに右肩下がりに推移している 発光素子の2014年度国内生産額成長率は前年度比6.5%減 が、全世界のネットワークインフラは10 Gb/sから100 Gb/sへ移 であったが、全出荷額では11.8%増の成長率となった。2015年 行する途上にあるため、2015年度以降全出荷額は緩やかに回 度は、国内生産額成長率19.7%増、全出荷額成長率29.3%増が 復していくことが期待される。 見込まれている。この高い成長率は1.3 µm帯LDの伸びによる 部分が大きい。クラウドサービスやビッグデータ利活用の進展 3.1 光伝送機器・装置 により拡大するデータセンタ向けや、動画コンテンツ等のデータ 情報通信分野全体では、国内市場においてIoT、ビッグデー 大容量化等に伴う携帯基地局向けに、伝送可能距離は短い タ、AIなど新規、先端領域市場は堅調に伸長すると予測されて が、1.5 µm帯LDに比べて安価な1.3 µm帯LDの需要が増えて いるものの、国内主要キャリアはネットワークインフラへの投資 いるためと考えられる。 を抑制し、サービスへの投資の比重を高める方針であり、光機 受光素子の2014年度国内生産額は前年度比6.3%減と微減 器・装置の2014年度実績、2015年度見込みの全出荷額はそれ となった。全出荷額の成長率が23.1%であることから、受光素 ぞれ前年度比23.4%減、11.0%減と2年連続して縮小する見込 子全体でみると海外シフトが進んでいるように見える。2015年 みである。2016年度も幹線・メトロ系の光伝送機器・装置は引 度は国内生産額の成長率が前年度比58.2%増と大幅な増加が き続き厳しい状況となることが予想されるが、加入者系機器・ 見込まれている。これは、100 Gb/sを超すデジタルコヒーレント 装置に関しては、伝送速度10倍のPON装置が立ち上がる期待 システムのコヒーレント受信器として使われる単価の高い集積 感から増加が予測されている。 受信モジュール(ICR;Integrated Coherent Receiver)の国内 生産額の増加が寄与していると推定される。 3.2 光伝送用部品 3.2.1 光伝送リンク 3.2.3 光受動部品および光回路部品 光伝送機器・装置を光ファイバに接続するトランシーバ・モ 光アイソレータ、光減衰器、光分波合波器、分散補償ファイ ジュールである光伝送リンクの市場は、伝送機器・装置の市場 バ、光フィルタおよび微小光学部品等の光受動部品の2014年 の落ち込みに呼応して2014年度の国内生産額、全出荷額とも 度国内生産額の成長率は5.9%減であった。しかしながら、 に減少したものの、2015年度には回復し、2013年度以上の生 2015年度成長率は19.5%と大幅な増加が見込まれている。LD 図9 情報通信分野における全出荷額の推移 10 技術情報レポート 2015年度OITDA からの出射光を光ファイバに集光するためのレンズ等が含まれ 待に反して、成長が停滞していることも影響している。また、再 る微小光学部品が光受動部品の成長に寄与しており、データセ 生専用装置の全出荷額は、2014年度実績は前年度と比べて横 ンタ用途等での1.3 µm帯LDの生産額の増加に連動しているの ばいであったが、2015年度は前年度比14%と減少の見込みで ではないかと考えられる。 ある。これはCD再生装置が2013年から2014年にかけて、前年 一方、光可変減衰器、光変調器などの光回路部品では、 比13.4%の増加から2015年度12.9%の減少に転じたことと、 2014年度国内生産額成長率は24.1%の大幅増となった。また、 DVD再生装置、特にDVDプレイヤ、ゲーム機に搭載される 2015年度成長率は6.4%増と、引き続き堅調な増加が見込まれ DVDドライブの減産が加速していることが主要因である。 ている。光回路部品の生産額の約8割を占める光変調器は、デ 4.2 記録・再生装置 ジタルコヒーレントシステムに使用されており、同分野の伸展と 記録・再生装置のカテゴリでは、パーソナルコンピュータ ともに成長してきたものと推定される。 (PC)向けの記録形DVD・BDドライブおよびBDレコーダが 3.2.4 光ファイバ 調査の対象であり、この分野の全出荷額のうちBD関連機器が 光ファイバの2014年度国内生産額成長率は3.3%増であり、 約70%を占めている。全出荷額の2014年度実績は3,382億円、 2015年度の成長率は3.2%増の予測である。また、全出荷額の 2015年度は前年度比16.7%減の2,818億円の見込みであり、国 2014年度成長率は1.6%減、2015年度成長率は5.6%増と、国 内生産額の2014年度実績は337億円、2015年度は前年度比 内生産額と同様の傾向にある。国内においては、FTTHサービ 76.4%減の80億円の見込みである。PC用のDVD記録・再生装 スの提供エリアがほぼ全国展開されていることや、LTE携帯基 置については、BDにシフトが進んでいる傾向となっている。光 地局のエリア拡大が一段落して、光ファイバの国内需要が停滞 ディスクドライブについてはPCのスリム化、ネットワークの高速 しているのに対し、アジアや南米などではブロードバンド環境 化、クラウドサービス拡大などで、光ディスクドライブ非搭載の の整備が進んでおり、その需要を取り込むことで、国内生産 傾向は続くものと予想される。一方、業務用としてデジタルデー 額、全出荷額はともに堅調になっている。 タの長期保存用やデータセンタ用にブルーレイディスクの採用 が進んできており、業務用光ディスク記録・再生装置の全出荷 3.2.5 光コネクタ 額は2014年度実績に対し2015年度は約70%の増加を見込んで 光コネクタの全出荷額の成長率は、2014年度は0.6%増、 いる。 2015年度は2.0%減であり、横ばいに推移している。一方、国内 4.3 光ディスク媒体 生産額は、2014年度は4.2%であったが、2015年度は5.3%減で ある。光ファイバと同様に国内需要の停滞が考えられる。ただ 光ディスク媒体のカテゴリでは、追記型光ディスク媒体であ し、世界的なデータセンタの増加などに伴い、データコム市場 るCD-R、DVD-R、DVD+RおよびBD-Rは、2014年度の国内生 で需要のある多心コネクタが大きな伸びを示しており、今後期 産額は前年度比7.6%増の94億円となった。2015年度は、BD-R 待される。 が減少に転じるため、同6.6%減の88億円が見込まれ、2016年 度は引き続き減少が予想されている。一方、これら媒体の2014 3.3 光ファイバ融着接続機 年度の全出荷額は、前年度比30.8%減の211億円であった。こ 光ファイバ融着接続機の2014年度の全出荷額および国内生 れは同年度の国内生産額の約2.2倍に相当し、委託生産を含ん 産額の成長率は16.3%増と、前年に引き続き増加となり、2015 で海外生産への移行が進んでいることが伺える。2015年度の 年度成長率も16.4%の増加が見込まれている。需要の大きな中 全出荷額も同5.3%減の200億円が見込まれており、2016年度 国を中心とするアジア市場において、中国製や韓国製の光ファ は、ややバラツキがあるものの、全体としてやや減少傾向が予 イバ融着接続機が販売を伸ばしつつあるが、高品質・高信頼 測されている。 性の日本メーカ製の需要も大きく、ここ数年、全出荷額および国 書換型光ディスクでは、書換型DVD(DVD-RAM、DVD- 内生産額が増加している傾向にある。 RW、DVD+RW、含むCD-RW)の2014年度の国内生産額は、 前年度比25.3%減の5.9億円であった。2015年度は前年度比 4. 情報記録分野 29.7%減の4.1億円が見込まれ、2016年度も引き続きやや減少 4.1 再生専用装置 傾向が予想されている。国内メーカは一時、追記型DVDよりも 再生専用装置のカテゴリでは、CD再生装置(音楽CDプレイ 製品価格の高い書換型DVDの製造を増加させたが、製品価 ヤ、CD-ROMユニット)、DVD再生装置(映像、ゲーム、パソコ 格の低下が止まらないこともあって、記録型DVDの国内生産を ン、カーナビ)、BDプレイヤが対象である。再生専用装置の国 減らし、技術的にも製造が難しく製品価格の高いBDの製造に 内生産額においては、2013年度は2,029億円(前年比23.2%増 移行してきた。CD-Rや追記型DVDと同様に、書換型DVDも 加)、2014年度は1,809億円(前年比10.8%減少)、2015年度見 生産の大半が海外で実施されており、国内メーカもその多くを 込みは1,837億円(1.5%やや増)と、少し乱高下の傾向も伺え 海外メーカに製造委託している。書換型DVDの2014年度の全 る。これは音楽用CDおよびCD-ROMユニットの国内生産額の 出荷額は、前年度比10.8%減の19億円であった。これは2014年 傾向とよく合致しており、このCD再生装置の変化が主要因と考 度の国内生産額の約3.2倍に相当する。2015年度は前年度比 えられる。加えてCD、DVDに代わるBD再生装置も業界の期 12.1%減の16億円が見込まれており、2016年度は大きな減少は 技術情報レポート 2015年度OITDA 11 光産業動向調査 ないと予想されている。書換型DVDの場合も追記型DVDの場 一方、全出荷額の直近5年間の傾向は、ほぼ横ばいである。 合と同様に、世界需要(枚数)が2007年付近をピークに減少し 2011年度~2013年度ではわずかにプラスであった成長率が、 続けているので、今後も国内生産額および全出荷額の減少傾 2014年度にわずかにマイナスとなり、2015年度も同様の見込み 向は継続すると予想される。 である。 業務用追記型光ディスクの需要は、数年前から予測されたた なお、海外生産比率は、2013年度まで一貫して上昇傾向で、 め、個人用途とは分離して統計を取っている。業務用追記型光 2014年度より横ばい、ないし若干下降傾向と推測される。アベ ディスクの2014年度の国内生産額は前年度比46.2%減の1.4億 ノミクスの下で円安が進行したため、生産の海外移転の流れ 円となり、大幅な減少となった。一方、2015年度の国内生産額 に歯止めがかかってきたのではないかと考えられるが、引き続 は、前年度比223%増の4.6億円が見込まれており、2016年度の き推移を注視する必要がある。 需要も増加傾向が予想されている。現在はまだ小さな市場しか 5.2 主要製品の動向 形成できていないが、書替えの出来ない業務用追記型光ディス ⑴ 光学式プリンタおよびMFP(複合機) クの市場は、アーカイブ用光ディスクの市場拡大に伴って、急速 光学式プリンタおよびMFP(複合機)の国内生産額は、ここ に拡大していくことが期待されている。 数年続いた減少傾向が止まり、2013年度頃よりほぼ横ばいと 4.4 注目すべき動向 なっている。2015年度はわずかではあるが、プラスに転じるこ 今年度の注目すべき動向としては、業務用光ディスクおよび とが見込まれる。全出荷額についても同様に、ほぼ横ばいか 熱アシスト磁気記録の動向を取り上げた。 ら、光学式プリンタにおいては2014年度より、MFPにおいては 業務用途の光ディスクは、光ディスクの高信頼性・保存環境 2013年度より、若干のプラスに転じている。 を意識させない強靭な保存安定性は認識されつつも、HDDや また、これらの製品分野におけるトレンドとして、単機能のプ LTO(Linear Tape-Open)に対し、アクセススピード・記録容 リンタに対して、MFP(複合機)の比率の相対的上昇、インク 量・コストにおいて明確な優位性を提示できなかったが、最近 ジェット式のビジネス用途への進出、ペーパーレス化によるペー では、BDディスクよりも大容量のAD(Archival Disc)に代表さ ジボリュームの減少、MPS(Managed Print System)による れるような新規ディスクフォーマットが提案されている。ディスク 一括管理やトータルサービス化の進展が挙げられる。 1枚あたりの記録容量の大容量化に加え、アクセススピードを ⑵ デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラ 複数の光ドライブによる同時アクセスで高速化し、大型ライブ デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラについては、国内 ラリに多くの枚数のディスクを一括収納することでTCO(Total 生産額、全出荷額とも、概して減少傾向が続いている。これに Cost of Ownership)も格段に改善する試みである。データセン は、スマートフォンの登場により、低価格帯のデジタルカメラや タのデータストレージ需要の増加で消費電力削減への要望が デジタルビデオカメラの需要が大きく後退したことが影響して 大きく、光ディスクの本格採用を期待したい。 いる。なお、今年度、デジタルビデオカメラの調査対象として民 熱アシスト磁気記録は、光と磁気を融合して高密度化を実現 生用途向けに加え、放送用や映像制作用の業務用途向けも含 する磁気記録技術である。磁気記録国際会議の一つである めたため、直近の傾向が測り難いが、2015年度はほぼ横ばい 2015年8月に開催されたThe Magnetic Recording Conference と見込まれる。また本製品群の中には、アクションカメラ(ウェ (TMRC)2015で、多くの参加者がここ数年内にこの技術が アラブルカメラ)のように伸長しているものや、4K撮影が可能 磁気記録に応用された製品が市場に出ると予測していた。ま なビデオカメラなど、今後成長が期待される製品もある。 た、2016年1月に米国サンディエゴで開催された磁気関連の国 ⑶ カメラ付き携帯電話およびタブレット端末 際会議Joint MMM/Intermag 2016おける熱アシスト磁気記 カメラ付き携帯電話は、ここ数年、国内生産額が急激に減少 録関連の発表では、製品化が近いと予想される内容が多く、今 してきたが、2014年度にようやく収まってきたように見える。全 後期待される技術である。 出荷額については、2012、2013年度は増加したものの、2014年 度よりほぼ横ばいとなっている。国内ではスマートフォンへの 5. 入出力分野 移行が一巡し、市場はすでに飽和状態に達しているものと思 5.1 光入出力機器全体の産業動向 われる。一方で、搭載カメラの高画素化が進み、各種カメラ機 入出力機器全体の国内生産額は、リーマンショックに端を発 能の強化や、それに基づく新たなサービスの出現なども予想さ する景気後退の影響により、2008年度と2009年度は25%程度 れる。 以上の大幅な対前年度比減となり、その後も減少傾向が続い タブレット端末は、2013年度より国内メーカ製品の本格的な て来た。2013年度の国内生産額は約1兆1000億円であり、リー 普及が始まったが、その後伸び悩んでいるように見える。今後 マンショック前に対して30%程度にまで縮小した。要因として は、未だ利用が進んでいない法人分野や教育分野における、 は、景気の後退以外にも、円高による生産の海外移転、競争 新たな用途開拓が期待される。 激化による製品の価格低下、スマートフォンの登場によるデジ ⑷ イメージセンサ(アレイ型受光素子) タルカメラやデジタルビデオカメラといった従来の入力機器の イメージセンサは、今回新たに分析対象に加えたものである 役割の代替等が挙げられる。なお、2013年度以降の国内生産 が、ここ数年、国内生産額、全出荷額共に順調に伸長してい 額は、ほぼ横ばいの状態となっている。 る。また、2014年度の全出荷額に対する国内生産額の比率は 12 技術情報レポート 2015年度OITDA 73.4%であり、他の入出力機器と比べて非常に高い国内生産比 体の国内メーカの全出荷額は、テレビの価格競争激化や国内 率を有している。今後も、モバイル端末や車載カメラ用途を中心 需要の一巡などにより、前年に対して2013年度、2014年度と連 に、更なる市場の拡大が期待される。 続して減少した。2015年度はテレビの大画面化や高解像度(4 K)化が進み、2014年度実績に対して微増を見込んでいるが、 5.3 本年度の注目すべき動向 4K解像度の出荷額は2015年度には大きく伸びると見込んで 光学式プリンタ、MFPでは、印刷ボリュームが減少傾向に いる。2020年の東京オリンピックにはスーパーハイビジョン規 向っている。スマートフォン、タブレット等のモバイル端末の普 格に対応した8K放送も予定されており、テレビ用のディスプレ 及、世界的な景気の低迷やMPS(Managed Print System)と イの解像度は4Kから8Kへ高解像度化することが期待されて 呼ばれるプリント管理システムによる消耗品コスト抑制が働い いる。液晶ディスプレイ装置は画面サイズの大型化および4K ていることなどが要因として考えられる。各社、マシン本体や消 高解像度化に加え、画質向上(ハイダイナミックレンジ、色再現 耗品中心の収 益だけでは成長が見込めないため、クラウド 性向上など)の技術開発が進んでいる。ビデオオンデマンドに サービスやバーティカルマーケット向けのソリューションなど、 対応したスマートテレビなどの機能の進化によって、テレビ市 トータルサービスの収益化を進めている。 場が新たな成長に繋がる可能性もある。液晶モニタの2015年 4K撮影が可能なビデオカメラが登場してきている。特にプ 度の見込みについては、全出荷額および国内生産額とも減少す ロ用途の映画制作用カムコーダにおいて4K化が進んでいる ると予測している。液晶モニタは従来のパソコン向け市場では が、家庭用のビデオカメラやスマートフォンにおいても4K撮影 需要の一巡によって大きな成長は見込めないが、駅・店舗・商 に対応したモデルが登場し、誰もが簡単に高画質映像の撮影 業施設などでのデジタルサイネージとして導入が進んでおり、 ができるようになってきた。 今後の進展が期待される。 スマートフォンやタブレット端末は、メインとサブの2つのカ LEDディスプレイは、高輝度表示が可能であるという利点が メラの搭載が標準仕様となってきている。特に、自分撮りニー あり、明るい照明や外光が差し込む環境下であっても、鮮明な ズの高まりなどから、サブカメラ(インカメラ)の高画素化が進 映像を提示することができる。屋内はもちろん、競馬場、スタ んでいる。また、メインカメラでは2眼カメラ搭載による3D撮 ジアム、ビル壁面など屋外に設置され、映像や情報を表示する 影、リフォーカス、距離の測定などといった新たな利用方法も デジタルサイネージとして広告や案内板などの用途で用いられ 考えられている。 ている。解像度として4K、8Kといった高精細化への流れも進 ここ数年のイメージセンサ技術は、画像の高精細化・高色域 んでおり、デジタルサイネージ市場の拡大も期待される。 化のニーズの高まりに後押しされ、各社の技術開発が加速化し プロジェクタについては、業務用途が照度の高いオフィスな ている。特に市場拡大の期待が大きい車載用やモバイル端末 どでの使用を想定して高輝度を特徴とする一方で、家庭向けの 向けのイメージセンサの高機能化が目立つ。また、今後の市場 ホームシアターなど映画鑑賞などの用途が想定され、輝度は低 成長を見据え、各社の投資戦略も活発化の兆しが見える。 いものの高画質(高コントラスト比など)に重点が置かれてい る。ディスプレイ素子としては、透過型の液晶方式、微小なミ 6. ディスプレイ・固体照明分野 ラーの駆動によって光を制御するDLP方式、液晶を用いた反 ディスプレイ・固体照明分野全体において国内メーカの国内 射型デバイスであるLCOS方式などがある。グローバル市場で 生産額は、2012年度までの減少から2013年度は増加に転じ、 も国内メーカが高いシェアを誇っている。 さらに2014年度は2兆7,082億円(前年度比6.7%増)となり増 ⑵ ディスプレイ素子 加を続けた。2015年度見込みも2兆8,512億円(同5.3%増)と ディスプレイ素子全体の出荷額は、2 014 年度実績が2兆 増加を維持している。2013年度からの増加傾向には、スマート 3,111億円(前年度比19.2%増)と増加して、さらに2015年度の フォンなどの端末用の中小型高精細パネルの市場拡大やテレ 見込みでも国内メーカが強みとする中小型液晶高精細パネル ビの大画面・高精細化に伴う単価上昇などの要因がある。 を搭載するスマートフォンなどの市場拡大などにより、2兆 その一方、国内メーカの全出荷額も、2014年度より増加に転 5,980億円(同12.4%増)と引き続き増加することが予測され じている。2014年度の6兆5,199億円(前年度比5.7%増)に対 る。昨今、原油安・中国経済減速に伴う世界経済の後退が指 して2015年度も増加して6兆9,140億円(同6.0%増)を見込ん 摘されているが、国内の景気好転への期待感が依然として でいる。全出荷額は国内生産額に比べて昨今2倍以上に達 残っている。 し、海外で生産された部材を用いて多くの製品を出荷している 液晶ディスプレイ素子は、大型のテレビやサイネージ用途が 産業構造が浮き彫りになっている。 海外メーカ製にシフトしているものの、スマートフォン、タブレッ ト、産業用ディスプレイ、車載ディスプレイなどの付加価値の高 6.1 ディスプレイ分野 い中小型ディスプレイが旺盛な需要に支えられ成長を続けてい ディスプレイ分野の調査は従来通り、消費者に近い製品レベ る。スマートフォンの需要は若干鈍化しているものの世界全体 ルであるディスプレイ装置と産業基盤としてのディスプレイ素子 では依然として強い。スマートフォン用途では高精細、高画質、 とに分けて行っている。 薄型、低消費電力といった技術的要求が厳しいが、国内メーカ ⑴ ディスプレイ装置 の技術的強みが活きるため成長が期待される。車載用の液晶 液晶テレビ、液晶モニタを合わせた液晶ディスプレイ装置全 技術情報レポート 2015年度OITDA ディスプレイの搭載も進んでおり、現在ではドライバに対して運 13 光産業動向調査 転情報を表示するメータパネルへの採用が高級車を中心に進 有機EL照明は、薄くて軽い、太陽光に近いスペクトルを持つ んでいる。また、今後の有力な応用製品としてウェアラブルデバ ため高い演色性がある、面発光であるため目に優しい、発熱が イスがある。コンピュータがさらに小さくなり、より使用頻度が 少ない、水銀や鉛を使わない等のメリットがあるため、次世代 増加すれば、コンピューティングのプラットフォームがモバイル の照明用光源として期待されている。しかし、コストが高い、寿 からウェアラブルに進む可能性がある。 命が短いなどデメリット面の改善が遅れている間に、照明用光 有機ELディスプレイパネルの国内生産高は、液晶パネルに比 源市場はLEDに席捲されている。有機EL照明は単なる既存照 べてはるかに小さく、国内生産品の用途は、ビューファインダや 明の置き換えではなく、LEDとは異なるメリットを訴求する必 業務用モニタなどに限定されている。国内はもとより世界の有 要に迫られている。 機ELディスプレイ市場は、2015年度時点で大画面テレビ、タブ 7. 太陽光発電分野 レット、スマートフォン用ディスプレイいずれの分野でも韓国 7.1 2014年度出荷状況 メーカが大きく先行している。大型有機ELテレビの市場では、 4K高解像度化が進んでいる。しかし、単純に解像度だけの競 2014年度におけるわが国の太陽電池総出荷量は表3に示す 争をしていると、低価格の液晶テレビに対して訴求力が弱まる ように、対前年比14.5%増の9,872 MWとなった。これまでの記 可能性がある。スマートフォンなどが中心となる中小型ディスプ 録を更新し、10 GW規模に迫っている。これは2012年7月より レイでも、韓国勢が市場を席巻している。有機ELは大小パネ スタートした固定価格買取制度が3年目を迎え、国内市場が安 ルとも湾曲表示が可能となることを1つの特徴としている。近 定的に成長・拡大したからである。これまでの政府による太陽 年の国内状況として、フレキシブルや中型のディスプレイを中心 光発電システムの普及支援事業が10 kW未満の住宅市場中心 とした有機EL専門メーカとして、株式会社JOLEDが2015年1 であったものが、再生可能エネルギー特措法の成立により、固 月に設立された。同社には有機ELディスプレイパネルの量産技 定価格買取制度へ移行したことで、10 kW以上の公共・産業用 術確立と早期事業化が期待される。タブレット・サイネージ分 および電気事業用にも広がり、さらに、海外からの低価格の太 野でのJOLED、モバイル分野での株式会社ジャパンディスプレ 陽電池の輸入が増えたことで太陽光発電システム価格の低下 イなど国内企業の巻き返しに期待したい。 も進み、国内市場は短期間のうちに目を見張る急成長を遂げ た。 6.2 固体照明分野 国内市場を用途分野別にみると、住宅用分野は1,973 MW 急速な増加を示してきた固体照明器具・ランプ全体の全出 で、前年に比べて16.6%減少した。発電事業用分野は3,780 MW、 荷額は2014年度実績が5,809億円(前年度比14.1%増)と大幅 対前年比30.5%増となり4 GW規模目前である。産業施設や公 な伸びであるが、2015年度見込みは6,440億円(同10.9%増)と 共施設向け等の一般事業用は、対前年比5.5%増の3,461 MW 増加率の伸びは鈍化する見込みである。両分野を合わせた国 で、発電事業用に次ぐ市場規模となっている。その他は、照明 内生産額のうち固体照明分野の割合は、急激な伸びの後、こ 標識、換気扇、計測機器等の独立電源用の太陽電池応用商品 こ数年は微増を続けている。 が主体で、市場規模も1.3 MWと小さい。 電球形LEDランプは2007年ごろから本格的に市場に登場し 材料別にみると、表4に示すように、単結晶Si、多結晶Si、 始め、直管LEDランプは震災以降の電力不足を契機に普及が a-Si・その他すべての材料にわたって大幅に伸びている。2011 始まったが、LEDランプの全出荷額は2014年度に続き2015年 年度は多結晶Siと単結晶Siは拮抗したが、2012年度以降は多 度も前年比で減少が予測されている。LED照明器具の国内市 結晶Si型が単結晶Si型を大きく上回ってきている。多結晶Si型 場における出荷台数、金額の伸長が顕著になってきたのは は対前年比17.9%増の5,588 MWとなり、5 GWを突破した。 2009年度からで、2011年度以降、現在も順調に伸びている。今 多結晶Si型の変換効率は単結晶Si型に劣るものの低価格性か 後は、LED照明器具の特徴である調光・調色などの制御技術 ら、公共・産業用および電気事業用における中心的な太陽電池 の進展とともに、大規模スポーツ施設に使用される大光束器具 となっており、市場シェアは56.6%を握っている。単結晶Si型は への展開が期待される。 対前年比10.0%増の3,284 MWとなり、多結晶Si型を追いかけ 表3 2012年度〜2014年度における用途別太陽電池出荷量 用途 住宅用 2012年度 出荷量 (MW) 2013年度 シェア (%) 出荷量 (MW) 2014年度 シェア (%) 出荷量 (MW) シェア (%) 対前年 増加量 (MW) 対前年 伸び率 (%) 1,869.0 42.8 2,367.0 27.4 1,973.2 20.0 ▲393.9 ▲16.6 発電事業用 724.2 16.6 2,896.7 33.6 3,780.2 38.3 883.6 30.5 一般事業用 1,213.5 27.8 3,280.0 38.0 3,461.6 35.1 181.7 5.5 2.8 0.1 2.1 0.0 1.3 0.0 ▲0.8 ▲39.0 561.8 12.9 79.6 0.9 655.7 6.6 576.1 ─ 4,371.3 100.0 8,625.4 100.0 9,872.0 100.0 1,246.7 14.5 その他 海外出荷 計 出典:一般社団法人太陽光発電協会資料 14 技術情報レポート 2015年度OITDA 表4 2012年度〜2014年度における材料別太陽電池出荷量 材料 2012年度 出荷量 (MW) 2013年度 シェア (%) 出荷量 (MW) 2014年度 シェア (%) 出荷量 (MW) シェア (%) 対前年 増加量 (MW) 対前年 伸び率 (%) 単結晶Si 1,555.3 35.6 2,986.3 34.6 3,284.0 33.3 297.7 10.0 多結晶Si 2,013.3 46.1 4,741.0 55.0 5,588.3 56.6 847.3 17.9 a-Si・その他 計 802.6 18.4 898.0 10.4 999.7 10.1 101.7 11.3 4,371.3 100.0 8,625.4 100.0 9,872.0 100.0 1,246.7 14.5 出典:一般社団法人太陽光発電協会資料 る伸びとなった。単結晶Si型のうち国内生産分はa-Si/単結晶Si 年度以降は太陽光発電システム価格の更なる低下と非住宅市 というヘテロ接合タイプの単結晶Si型太陽電池と、バックコンタ 場での導入の本格化により、産業規模は飛躍的な発展を遂げ クト型の単結晶Si太陽電池が中心となっており、このタイプの ている。2015年度は2014年度の流れを引き継ぎ、設備認定を 太陽電池は変換効率が高いことから、住宅市場を中心に上昇 受けた太陽光発電設備の導入が進んだものの単価が下がった 基調を持続している。輸入分は発電事業用および一般事業用 ため、11.6%減の26,625億円が見込まれている。 にも採用され、多結晶Si型と競争している。一方、a-Si型および 8. レーザ・光加工分野 その他は、CIS薄膜型太陽電池が中心で、毎年着実に伸びてい 8.1 レーザ・光加工分野全体の産業動向 る。2014年度の出荷量は999.7 MW、対前年比11.3%増とな り、ほぼ 1 GWレベルを達成している。CIS型太陽電池は、日本 レーザ・光加工分野は、自動車、造船産業等における厚鋼板 のみが大規模商業生産に成功しており、GWレベルの生産に向 の溶接・切断といったマクロ加工用途から、エレクトロニクス、 けて世界的な注目を受けている。 オプトエレクトロニクス産業等における微細穴あけ、スクライビ ング、マーキング、リソグラフィといったマイクロ加工用途まで広 7.2 太陽光発電産業規模の実績、見込みおよび予測 範囲な領域を扱っている。調査において産業動向を把握しや 太陽光発電をめぐるこれまでの産業規模は図10に示すよう すくするため、レーザ・光応用生産装置は炭酸ガスレーザ、固 に、2011年までは政府による新エネルギーに対する各種の導 体レーザ、エキシマレーザ、ファイバレーザ、半導体レーザと 入支援事業や導入環境整備の実施により、住宅用太陽光発電 レーザの種類別に分類して分析している。また昨年度より、ラ システムを中心に、1兆円目前の9,647億円へと伸びていった。 ンプ・LD露光機ならびにアディティブ・マニュファクチャリン さらに、2012年度には固定価格買取制度が開始され、住宅市 グ:AM(3Dプリンティング)を新たに調査対象に加えた。 場に加えて電気事業用や産業・公共施設等の非住宅市場も加 1990年度以降、長期経済低迷によりレーザ・光応用生産装 わり、13,098億円となり、初めて1兆円規模に成長した。2013 置の生産は厳しい状況にあったが、1995年度頃からIT産業に 出典:一般財団法人光産業技術振興協会及び一般社団法人太陽光発電協会資料 図10 日本における太陽光発電産業規模推移 技術情報レポート 2015年度OITDA 15 光産業動向調査 支えられ、急上昇してきた。これにはエキシマレーザによるリソ 景況に連動した増減はあったものの、レーザ・光応用生産装置 グラフィの実用化が大きく貢献している。その後2000年をピー 全体が伸長しているにも関わらず、炭酸ガスレーザの生産額が クとしてIT産業の落ち込みにより2001、2002年度には大きく後 減少に転じるのは、統計を取り始めて以来初めてのことではな 退したものの、2003年度からは明確な回復基調になり堅調に いだろうか。理由は言うまでもなくファイバレーザへの置換えで 生産額は伸びてきた。しかし、2008年度後半に米国に端を発 ある。ファイバレーザ応用生産装置は、本格的な市場投入が開 した世界同時経済不況により、20 08年度は大きな減少に転 始された2010年以来、低ランニングコストやメンテナンスフリー じ、さらに2009年度はその影響が拡大し、さらに大幅な落ち込 を特徴に急速にシェアを伸ばしてきた。生産額で比較すれば、 みを示した。一方、2009年度後半から半導体業界、液晶業界 現時点では炭酸ガスレーザ応用生産装置がエキシマレーザに では景気回復の兆しが見られ、2010年度は前年度比53.3%増 続いて2位を維持しているものの、技術の潮流は抑えようもな のV字回復を果たすも、2011年度は3.9%のマイナス成長になっ く、ファイバレーザに追い抜かれる日が早晩訪れることは想像 た。これには円高に伴う輸出環境悪化、欧州経済低迷等が影 に難くない。今年度の炭酸ガスレーザ応用生産装置の生産額 響している。2 01 2 年度はこの状況に拍車がかかり、さらに の減少は、産業用レーザの主役交代を予感させる象徴的な出 25.9%もの大幅な減少という結果になったが、2013年度はアベ 来事とも捉えることができる。 ノミクス効果に伴う金融緩和ならびに超円高の是正により日本 ⑵ 固体レーザ 経済が回復に向かい、14.6%の増加となった。2014年度も引き 固体レーザ応用生産装置全体の2014年度の実績は国内生 続き好調を維持し、前年度のほぼ見込みどおり15.5%増が得ら 産高で前年度比3.1%増、出荷額が5.1%増となり、堅調な増加 れた。2015年度はその成長が鈍っているものの、10.9%増の見 が確認されたが、レーザ・光加工分野全体の国内生産額増加 込みであり、2016年度もやや増の予測である。 率15.5%と比べると低調である。例年通りの傾向であるが、固 ランプ・LD露光機は2012年度以降生産額の調査を行ってい 体レーザ応用生産設備は炭酸ガスレーザやファイバレーザ応 るが、常に十数%以上の成長を遂げている。AMは生産額の絶 用生産設備と比べて応用用途が専門的なため、一般的な市場 対値は伸びているが、全体と比較してのシェアはまだ0.6%であ 動向の影響を受けにくい傾向に有る一方、引き続き需要の牽引 る。なお、ランプ・LD露光機の生産額が加わったこともあり、 役である自動車やスマートフォンに使用されるディスプレイや電 今年度レーザ・光加工分野は全7分野の中で4番目の生産額と 子部品の生産設備への活用は進んでいることが推測される。 なっている。 さらに、2015年度の国内生産高の見込み額は397.8億円と前年 比35.3%増と大幅な伸びが期待されており、2010年度を最後に 8.2 本年度の注目すべき動向 割り込んだ400億円の市場規模を回復する可能性が見込まれ 2015年度見込み値によるレーザ・光加工装置の分野別シェ ている。 ⑶ エキシマレーザ アについては、ランプ・LD露光機が最も大きい44.3%のシェア を誇り、かつ昨年より微増している。これはi線露光装置が最 エキシマレーザ応用生産装置の生産額は2007年度に過去最 先端以外の用途では未だ広く使われていることと、1台あたり 高を記録したが、サブプライムローン問題に始まる世界同時不 の設備費が非常に高額であること、LD露光機が半導体デバイ 況の影響で2008年度から減少に転じ、2009年度は前年度比 ス、センサ、MEMS、発光素子、バイオ素子等の開発・製造に 39.7%の大幅減となった。2010年度はアジア経済の成長や日米 需要があることに起因する。一方、レーザ・光応用生産装置で の景気回復に伴って前年度比52.8%増とV字回復を果たしたの は、炭酸ガスレーザが昨年度の16.1%から13.3%、エキシマレー も束の間2011年度は半導体メーカの設備投資抑制の影響など ザも25.7%から22.2%とシェアを減らした。それでもエキシマ で同7.3%減となった。 レーザはレーザ応用生産装置の中では約40%のシェアを占め 2012年度はスマートフォン、タブレット端末市場は拡大を続 ている。これはエキシマレーザリソグラフィ装置の1台当たりの けアニール装置は堅調に推移したが、半導体分野は前年投資 設備費が桁違いに大きいためである。また、今年からファイバ の反動やリソグラフィの国内主要メーカのシェアの低下により、 レーザと半導体レーザは分離してそれぞれ単体のシェアを示し 前年度比29.1%減と生産額は減少した。2013年度は半導体向 ている。特にファイバレーザは7.7%から10.6%とシェアを拡大し け投資が回復し、高精細の中・小型液晶パネル用投資は堅調 たが、半導体レーザのシェアは、まだ0. 8%とさほど大きくな に推移し、大型パネル向けも年度後半から緩やかに回復を見 い。 せ前年度比7.6%増となった。 8.3 主要製品の動向 日本、欧米各国、中国、韓国、台湾などで市場は堅調で、半導 2014年度は一部の新興国での成長鈍化がみられるものの、 ⑴ 炭酸ガスレーザ 体向けの投資は継続している。しかし、中・小型液晶パネル用 2015年は炭酸ガスレーザ応用生産装置にとってエポックとな 投資が一段落した影響やシェアの低下が継続し前年度比3.0% る1年になりそうだ。レーザ・光応用生産装置全体の生産額に 減となった。2015年度はクラウドサーバの需要増を背景とした ついては、相対的に低調な輸出を横目に、政府補助金、優遇税 メモリや監視カメラなどのイメージセンサ、家電・自動車、発電 制の継続が国内製造業の設備投資意欲を押し上げ、差し引き 用インバータ用途などが拡大しているパワー半導体関連の投 12.7%の成長が見込まれている。一方、炭酸ガスレーザ応用生 資が好調だが、生産額に影響が大きい最先端の半導体露光装 産装置の生産額は、6.3%の減少が予想されている。これまでも 置の生産が伸び悩み前年度比1.8%減となる見込みである。 16 技術情報レポート 2015年度OITDA 2016年度はローエンドの半導体、通信関連デバイスや弾性表 押出、材料噴射、粉末床溶融結合、指向性エネルギー堆積の7 面波(SAW:Surface Acoustic Wave)デバイスなどへの投資 つの技術がある。このうちレーザを用いるのは、液槽光重合、 が継続するが、生産額のやや減少を予測している。 粉末床溶融結合、指向性エネルギー堆積の3つである。AM ⑷ ファイバレーザ応用生産装置 は、2013年の米国オバマ大統領の「3Dプリンタによるモノづく ファイバレーザ応用生産装置はこれまで毎年30%以上の成 り大国復権宣言」により、一躍注目を集めるようになった。AM 長率を示しており、2014年実績は150%程度の大幅な増加と は、まだその生産額こそ小さいものの、2014実績で前年度比 なった。これは、国内の景気回復によるレーザ応用加工装置市 383%と驚異的な増加を示し、2015年度見込みは10%増と伸び 場の伸長に加え、主として炭酸ガスレーザが使用されてきた金 の純化傾向は見えるが、依然成長基調を維持している。ただ最 属加工分野において、ファイバレーザへの置き換えが加速して 近は最終部品を製造する金属造形マシンが主力となっており、 きたことによる。ファイバレーザ応用生産装置の生産額の2015 今後も大きな成長が期待される。 年度見込みは、引き続き大幅増加が見込まれており、炭酸ガス 9. センシング・計測分野 レーザからの置き換えは今後も進むと考えられる。ファイバ 9.1 光測定器 レーザ発振器の国内生産額は、2013年度に48%の伸びを示 し、2014年実績も13%成長した。他のレーザ発振器と比べて大 光測定器は、可視領域から近赤外領域の波長帯を利用する きな伸びを示しているが、ファイバレーザ応用生産装置と比べ 光デバイス、光モジュール、光通信システム等の研究、開発、製 るとその伸びは小さく、ファイバレーザ発振器の輸入が増加し 造および光ファイバの敷設・保守に使用される光学特性を測定 ていることが伺える。 する際、使用される基本的な機器で、光スペクトラムアナライザ ⑸ 半導体レーザ直接加工装置 (波長計を含む)、測定器用光源、OTDR、パワー測定システ ム、光ファイバ心線対照器、医療用光測定器等を調査対象とし 半導体レーザ直接加工装置は、主にレーザ焼入れ、レーザ ている。 アニール、レーザ溶接、レーザろう付け、レーザはんだ付け、 レーザマーキング(樹脂)に使用されている。また、高輝度半導 光測定器の出荷額実績を見ると、2013年度は、測定用光源 体レーザ装置が開発され、従来炭酸ガスレーザやファイバレー は12.8%増、OTDRは14.0%増、光パワー測定システムは2.1% ザが使用されてきた用途への適用が開始された。2013年度1 減であり、総じて前年度から増加もしくは同等の実績となって 〜2%程度の小幅な成長であったが、2014年度実績は5.8%の いる。このことより、光測定器市場は若干ではあるが回復傾向 伸びを示した。2015年度見込みは、47.9%の大幅増加が予想さ にあるが、製品の海外生産が進み国内生産が縮小したことが れ、高輝度半導体レーザによる直接加工装置が大きく伸びる 見て取れる。2014年度は前年度比4.6%増の147億円とほぼ国 可能性がある。 内生産実績と同等の推移となっており、前年度のような海外生 ⑹ ランプ・LD露光機 産による大幅な国内生産の縮小は見られない。このことから、 2015年度も、5.6%増の155億円を見込んでいる。 ランプ光源のi線リソグラフィ装置は、半導体製造ラインでは 用途に応じて最先端のリソグラフィ装置と使い分けされ、更に 一方、国内生産額実績をみると、2013と2014年度は、ぞれぞ イメージセンサやLED素子等のメモリ、ロジックLSI以外のロー れ前年度から4.1%増の130億円と4.5%増の136億円と若干の エンドの半導体デバイス用途など最終製品が多様化しており、 増加であった。2014年度を項目別に見ると、光スペクトラムアナ 半導体市況に大きく左右されることなく一定の需要がある。こ ライザは32.1%増、測定用光源は36.8%増、光パワー測定シス のため、近年は年間50台以上の生産を安定して維持しており、 テムは47.4%増の一方、OTDRは3.6%減、心線対照器が9.9% 2015年度は前年度比16.7%増加する見通しとなっている。ラン 減、医療用光測定器は2.5%減となった。心線対照器や医療用 プ光源を利用した液晶用途向けのリソグラフィ装置は国内メー 光測定器は、2013年度に大幅増であったが、2014年度は一転 カがシェアをほぼ独占しており、生産額が大きい。液晶パネル して減少に転じた。2015年度は、全体として前年度比4.1%増 の大画面化・高精細化に伴い投資が堅調に推移しており、 の142億円と引き続き増加が見込まれている。項目別では、光 2014年度は大型案件の納期ずれの影響で台数が前年度比 伝送装置や光デバイス製造用の測定器は増加するものの、医 27.0%減と大幅に落ち込んだものの、2015年度は同74.1%増の 療用光測定器が大幅に減少することが見込まれる。 見込みとなっている。紫外ランプ光源の代替としてLEDの利用 光測定器市場全体の傾向としては、2012年度から増加傾向 も提案されているが、出力が低く用途が限定されている。ま にあり、背景として光通信分野におけるモバイルアクセス型の た、近年LDを使った直描露光機など、光源の進化に伴って新 無線ネットワークの普及による情報通信トラフィックの急増があ たな生産装置も提案されている。EB直描露光機に比べれば大 る。データセンタやバックボーン回線の高速化と大容量化等の 気中露光が可能で装置も安価で使い勝手は良いが、解像度が インフラ増強が急務であり、それらを支える伝送装置や光デバ 低く大量生産向きではないため紫外ランプ光源の露光装置に イス製造向けに光測定器の需要は継続すると考えられる。一 比べると生産額はわずかである。 方、低価格の現場向け光測定器においては、海外メーカ製品 ⑺ アディティブ・マニファクチャリング:AM(3Dプリンタ) が市場を拡大しつつあり、国内生産額の大幅な増加につなが AMは、1980年の小玉秀男氏による光造形に関する特許出 るのは難しいと考えられる。2016年度についても、総じてやや 増加傾向もしくは横ばいと予想される。 願から始まった日本発祥の技術である。そこから発展し、現在 では大別して、液槽光重合、シート積層法、結合剤噴射、材料 技術情報レポート 2015年度OITDA 17 光産業動向調査 9.2 光センシング機器 企業が含まれているが、中央値は、研究開発者数40人~49人の 光センシング機器は、主に可視領域から赤外領域の波長帯 企業である。同じ累積社数同士で比較すると常時雇用従業員 の光を利用したセンサであり、その多くが産業分野で用いられ のうち概略1/5~1/2が研究開発者であると考えられる。 ているため、その需要は、生産設備投資に大きく左右されると ⑵ 研究開発投資額および国内生産額(参考) 考えられる。大局的に見ると、生産設備投資を行なう日本の製 資金のリソースとして、54社中には、研究開発投資額50万円 造業では、新興国を中心とする海外の旺盛な需要と、それに相 未満から1,000億円未満の企業が含まれているが、中央値は、 反して国内需要が伸びない中で、海外生産を強化する姿勢が 研究開発投資額2億円以上5億円未満の企業である。また、国 続いている。しかしながら、景気が回復傾向にあることや、近 内生産額は500万円から2兆円未満の企業が含まれているが、 年の大幅な円安の影響を受け、一部では製造の国内回帰の動 中央値は、国内生産額20億円以上50億円未満の企業である。 向が見られる。 同じ累積社数同士で比較すると国内生産額に対して概略1/25 光センシング機器の全出荷額は、2013年度実績は3.3%増の ~1/10が研究開発投資額であると考えられる。 2,058億円、2014年度実績は5.2%増の2,164億円、2015年度見 10.3 前年度からの増減(2015年度見込み、2016年度 予測) 込みは6.8%増の2,311億円である。2014年度全出荷額の内訳を みると、光電スイッチは14.5%増、ロータリエンコーダ・リニアス ⑴ 常時雇用従業員数 ケールは9.0%増、変位・測長センサは24.4%増と、メーカの生 2015年度は、前(2014)年度より増加した企業が12社、同等 産設備投資の増加傾向が見て取れる。 一方、光センシング機器の国内生産額は、2013年度実績は が35社、減少が7社であった。2016年度は、今(2015)年度よ 3.4%増の1,497億円、2014年度実績は5.6%増の1,582億円、 り増加させる企業が17社、同等が2 9 社、減少が8社であっ 2015年度見込みは7.5%増の1,700億円である。セキュリティ機 た。 器では、2013年度の国内生産額は33.1%増の83億円と大幅に 回答社数の多い上位3つの増減の傾向(2015年度→2016年 増加し、2014年度実績で37.6%減と大幅に減少するが、2015 度)は、⑴同等→同等(25社)、⑵増加→増加(12社)、⑶同 年度は39.5%の72億円と回復することを予想している。このよ 等→増加及び同等→減少(各5社)であった。 うな大きな増減は、回答したメーカの数が少なく、特定のメーカ ⑵ 研究開発者数 の動向が反映される傾向にあることも一因であるが、当該分野 2015年度は、前(2014)年度より増加した企業が10社、同等 においては、企業と個人のセキュリティシステムの契約件数が、 が40社、減少が4社であった。2016年度は、今(2015)年度よ ここ5年間でそれぞれ17%増と135%増となっているように、セ り増加させる企業が14 社、同等が30 社、減少が10 社であっ キュリティ意識の社会的な高まりを背景にして今後も市場の拡 た。 回答社数の多い上位3つの増減の傾向(2015年度→2016年 大傾向は継続するものと考えられる。 度)は、⑴同等→同等(28社)、⑵同等→増加(7社)、⑵増加 総じて、 「光測定器」と「光センシング機器」においては、前 者については、日本と新興国との間に生産品目の棲み分けが進 →増加(7社)、⑶同等→減少(5社)であった。 行するものの堅調な増加を見込んでおり、後者については、回 ⑶ 研究開発投資額 復傾向にある経済状況による市場規模の拡大と、国民の「安 2015年度は、前(2014)年度より増加した企業が13社、同等 心と安全」の意識の向上に起因する新しいセンシング技術の が33社、減少が8社であった。2016年度は、今(2015)年度よ 市場が開拓されると予想している。 り増加させる企業が14 社、同等が29社、減少が11社であっ た。 10. 光産業リソース 回答社数の多い上位3つの増減の傾向(2015年度→2016年 10.1 はじめに 度)は、⑴同等→同等(23社)、⑵増加→増加、同等→増加、 光関連の企業に対し、常時雇用従業員数、研究開発者数、 減少→減少(各7社)、⑶増加→同等(5社)であった。 ⑷ 国内生産額(参考) 研究開発投資額についての調査を行った。 調査内容は昨年度と同様であり、2015年度見込みについて 2015年度は、前(2014)年度より増加した企業が24社、同等 の数字を求める定量的アンケート調査と、前年度より「増加」し が23社、減少が7社であった。2016年度は、今(2015)年度よ たのか、 「減少」したのか、あるいは「同等」なのかという定性 り増加させる企業が29社、同等が12社、減少が13社であっ 的アンケート調査を2015年度見込み、2016年度予測について た。 実施した。尚、参考のために光産業国内生産額の総額も調査 回答社数の多い上位3つの増減の傾向(2015年度→2016年 項目に加えている。以下に結果を報告する。 度)は、⑴増加→増加(18社)、⑵同等→増加(10社)、⑶同 等→減少(6社)、減少→減少(6社)であった。 10.2 2015年度の光産業リソース(見込み) 11. 海外における光産業の動向 ⑴ 常時雇用従業員数および研究開発者数 11.1 はじめに 人的ソースとして、54社中には、従業員数5人から20,000人 未満の企業が含まれているが、中央値は、従業員数100人~149 1980年に、新しい光技術に基づく光製品を対象とする産業 人の企業である。また、研究開発者数2人から3,000人未満の の振興を目的として、世界に先駆けて我が国に光産業技術振 18 技術情報レポート 2015年度OITDA 興協会(OITDA)が設立された。その後90年代に入って世界 州)、OITDA(日本)、OIDA(米国))が参加した(OIDAは 各地で類似の組織が設立されるようになったことを踏まえ、 Web参加)。ここでは、この会議での発表資料をベースに世界 1996年7月、OITDAがホスト団体となり、主催する国際展示会 および主要国の光産業の動向について概説する。なお、光産業 InterOpto(インターオプト)に合わせて、その時点で設立され のカテゴリの定義は各団体ともOITDAの分類をベースにして ていたOIDA(米国)、PIDA(台湾)、SOA(スコットランド)に いるが、団体による独自性もあるため、我が国との厳密な意味 働きかけ、光産業技術に関する情報交換の場として、4団体に での相互比較はできない。また、毎年光産業国内生産額を定 よる光関連団体国際会議が開催された。その後、2000年代に 点観測しているのはOITDA(日本)とPIDA(台湾)のみであ 入り参加団体が増え続け、現在は9団体になっている。図11に る。 参加団体の名称と所在地を示す。名称も、2007年度からIOA 11.2 世界の光産業の動向 11.2.1 世界全体の光産業の動向(PIDAの発表より) (International Optoelectronics Association)と称しており、 参加団体の持ち回りで毎年1回開催されている。 今 年度は、IOAとなってから9回目(通算第2 0回)の会議 毎年定期的に世界および台湾の光産業の動向をレポートし が、PIDAがホスト団体となり6月に台湾の台北で開催され、5 ているPIDA(台湾)は、今回の報告では世界市場規模の2012 団体(PIDA(台湾)、スイスフォトニクス(スイス)、EPIC(欧 〜2017年までの実績および予測を図12のように示した。2013 図11 IOA参加組織(2015年度末現在) Unit:Billion USD 800 10% 700 8% 600 6% 500 4% 400 2% 300 0% 200 -2% 100 -4% 0 2012 2013 2014(E) 2015(F) 2016(F) 2017(F) Biophotonics 92.2 94.9 94.8 95.8 96.8 97.9 Precision Optical Lens & Module 14.4 13.2 12.8 13.1 13.7 14.3 Laser Light Sources 7.7 8.8 9.4 9.9 10.6 11.3 Optical Fiber Communication 30.0 33.0 34.9 37.9 41.8 46.0 Optical Storage 8.5 7.6 7.3 6.9 6.6 6.2 Image Sensor & Optical I/O Devices 48.7 19.0 18.5 18.4 18.2 18.5 Flat Panel Display 167.4 178.1 185.1 194.6 202.7 211.0 Photovoltaic 146.7 149.7 168.7 199.4 223.4 244.6 LED & Lighting Application 30.9 37.3 45.1 53.5 62.8 74.2 Total Value 546 542 577 629 677 724 Growth Rate -5% -1% 6% 9% 7% 7% 図12 世界の光産業市場の動向(PIDA資料より) 技術情報レポート 2015年度OITDA 19 -6% 光産業動向調査 年に1%減少したが、2014年以降の世界市場は順調に回復し、 長になったが、2015年には6%の増加を見込んでいる。市場を 2014年は6%、2015年も9%の増加を見込んでいる。更に、 牽引しているのはFPD(Flat Panel Display)であるが、ほぼ横 2016年・17年も7%程度の増加を予想しており、世界の光産業 ばいの状態である。また光記録分野が減少傾向にあることが は確実に成長していくと言える。 示された。 11.2.2 台湾の光産業の動向(PIDAの発表より) 11.2.3 米国の光産業の動向(OIDAの発表より) アジア地域において毎年自国の光産業の動向を報告してい 2015年における米国での光産業の分野別生産額シェアを図 るのは、OITDAの他ではPIDAのみである。PIDAによる、台 14に示す。太陽電池分野が大きなシェアを占めており、通信分 湾における光 産 業 生産額の2 01 2〜2 017年(予想)の推移 野・LEDおよびイメージング分野などがこれに続いていること (USDベース)を図13に示す。2012年〜2014年までマイナス成 が分かる。 Unit:Billion USD 90 8% 80 6% 70 4% 60 2% 50 0% 40 -2% 30 -4% 20 -6% 10 -8% 0 -10% 2012 2013 2014(E) 2015(F) 2016(F) 2017(F) Biophotonics 1.3 1.4 1.5 1.7 1.8 1.9 7% Precision Lens 2.7 2.7 3.3 3.8 4.2 4.6 11% Laser Application 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 0.9 12% OFC 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.6 4% Optical Storage 3.7 3.3 3.2 3.2 3.1 3.0 -4% -7% Sensor & I/O Devices 4.5 2.8 2.6 2.3 2.3 3.1 FPD 51.5 48.6 44.9 46.4 47.7 47.9 -1% Photovoltaic 5.0 5.0 5.6 6.6 7.5 8.0 10% LED & SSL 4.8 4.9 5.4 6.2 6.9 7.5 9% Total Value 75 70 67 71 75 78 Groth Rate -8% -6% -3% 6% 5% 3% 1% CAGR 図13 台湾の光産業生産額の推移(PIDA資料より) 図14 米国での光産業の分野別生産額シェア(2015年) (OIDA資料より) 20 技術情報レポート 2015年度OITDA 11.2.4 スイスの光産業の動向(スイスフォトニクスの発 表より) 11.2.5 レーザ部品およびレーザシステムの世界動向 (EPICの発表より) 急減してから徐々に回復して来たが、2012年は20%近くの減少 年)の発表があった。参考までに、図16に部品関連の分野別 となった。この原因は、太陽電池分野の急減である。また、 生産額シェアを、図17にシステム関連の分野別生産額シェアを レーザ加工分野と画像処理分野が牽引している。太陽電池分 示す。 図15に、スイスでの光産業の収入の推移を示す。2009年に 今回EPICからは、レーザ分野に限定した世界動向(2014 野は、10%のシェアを占めているが、今後は、ほぼ横ばいであ レーザ部品の生産額が98億ドルに対して、レーザシステム分 り、光産業全体としても横ばいもしくは微増と予想されてい 野は、270億ドルの生産規模であり、部品分野の3倍近い市場 る。 がある。 Milliarden Schweizer Franken 5 4 Photovoltaics 3 Laser Material Processing 2 1 Photonics 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 (e) 図15 スイスでの光産業の収入の推移(スイスフォトニクス資料より) 図16 レーザ部品分野の分野別生産額シェア(世界) (EPIC資料より) 図17 レーザシステム分野の分野別生産額シェア(世界) (EPIC資料より) 技術情報レポート 2015年度OITDA 21 光技術動向調査 1. はじめに 層を用いて活性層の歪量を緩和させたり、InGaAsSb井戸層を 術の動向を的確に把握し、将来への指針とすべく継続的に調 技術を用いた高性能化が進んでいる。 当協会では、光技術動向調査事業として、毎年、最新光技 用いて長波長発振が実現されている。InPの成熟したプロセス 査研究を行っている。今年度は、光無機材料・デバイス、光情 2.2 近赤外域(光通信用の波長域) 報通信、情報処理フォトニクス、光加工・計測、光エネルギー、 光有機材料・デバイス、光ユーザインタフェースの7つの技術 電子デバイスでは広く普及している間接遷移型半導体である 分野を調査対象とした。調査結果は、最新の技術動向として、 SiやGeのレーザ発振は、電子デバイスとの親和性から特に注目 Web機関紙オプトニューズのテクノロジートレンドで、それぞれ されてきた。近年は、Geに高歪を導入したり、Snを添加しGeSn の分野のトピックスを18件の記事として掲載した。また、2016年 とした利得媒質化による高発光効率化が検討されている。 9月14日~16日に開催されるインターオプト2016の光技術動向 GeSn発光素子においては、低温・光励起でのレーザ発振が確 セミナーで紹介される予定である。 認されており、今後の飛躍的進展による室温発振が期待されて いる。光インターコネクトの実現に向けて、従来の面発光レーザ 2. 光無機材料・デバイス (VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を用い 光無機材料・デバイス分野では、波長域が100 µm付近のテ た並列配置方式だけではなく波長分割多重方式も検討されて ラヘルツ域から200 nm付近の紫外域における、デバイス、材 おり、そのための波長光源として精密な波長制御性を有する 料、アプリケーションを調査した。テラヘルツ域では、テラヘル VCSELが望まれている。カンチレバー型マイクロマシン反射鏡 ツ発生光源、バイオセンシングなどの最新応用技術を中心に、 を有するVCSELによって、波長可変動作とアサーマル動作が 光通信用の近赤外域では、Ge系発光素子、グラフェン、メタマ 可能となり、WDM光インターコネクト用光源として期待されて テリアルなどの材料技術およびアサーマル面発光レーザなどの いる。 応用デバイス、産総研のコンソーシアムなどに関して調査した。 端面出射 型レーザを改 良したレンズ集 積 型面出射DF B また、可視・紫外域では、省エネの観点でLED技術に関して毎 (Distributed Feedback)レーザが開発されている。位置ずれ 年継続的に調査しており、GaN系デバイス、UV-LEDの応用動 トレランスも向上し、95℃での25 Gb/s動作や55℃における40 向と技術開発などに関して調査した。 Gb/s動作、95℃での10 Gb/s×4ch動作を達成し、低コスト100 Gb/sモジュール用光源として有望である。 2.1 テラヘルツ・中赤外域 グラフェンは、単層薄膜化が困難なことからデバイス応用へ テラヘルツフォトニック結晶は、シリコン基 板にM E M S の様々な作製方法および評価方法が検討され、電子デバイス (Micro Electro Mechanical System)加工技術を応用して作 応用だけでなく、光デバイスとして、透明電極、フォトディテク 製することができ、試作した導波路構造で0.3 THzにおいて伝 タ、THz波発生、バイオセンサ応用などへの展開が図られてい 播損失0.04 dB/cmと平面金属線路の伝播損失よりも2~3桁 る。 も小さい値が得られた。フォトニック結晶導波路を用いて合分 高速動作に課題はあるもののMEMS技術を用いたデバイス 波器、グレーティングカプラ、送信・受信を行う共鳴トンネルダ やInP系マッハツェンダー光変調器をベースに特殊メタマテリア イオードなどの機能素子を集積し、送受信に関する基本特性 ルを実装し、従来サイズの1/100以下のデバイスが実現されて も確認され、新たな通信分野への応用が期待されている。 いる。近年は、特異な光学的性質を利用した透明マント実現の テラヘルツ波ケミカル顕微鏡は、センシングプレートと呼ば 可能性が示唆されている。 れる半導体プレート上の微少量溶液が化学反応によって引き 光デバイス基盤技術イノベーション研究会(PHOENICS) 起こされる電気ポテンシャルをテラヘルツ波強度変化に変換す は、国産光デバイスメーカの国際競争力強化のため、産業技術 ることによって微少量溶液を計測するもので、溶液量16 nLま 総合研究所を中心にNTTフォトニクス研究所およびNTTエレ での計測が確認されており、従来の測定では困難であった計 クトロニクスが発端となり、光デバイス共通設計開発プラット 測が可能となっている。分光計測用の中赤外領域では、単色性 フォーム形成のために設 立されたコンソーシアムである。 と高ビーム品質でのレーザ発振が求められており、回折周期構 PHOENICSでは、光デバイスのバーチャルファブを構築し、共 造とリッジ導波路構造によって実現され、自己発熱などの温度 通プラットフォーム(C-POT)を提案して試作を進めている。 制御により10 nmの波長可変も実現されている。また、外部共 2015年4月設立以来、さまざまな課題に取り組み、日本の技術 振器 構造によって9.3~11.3 µmの波長可変も実現されてい 優位性を生かした低コスト・低消費電力化に向けた技術改革 る。 の実現が期待されている。 波長10 0 µm前後のテラヘルツ領域では、量子カスケード 2.3 可視・紫外域 レーザの室温CW駆動実現が困難であることから、中赤外領 域の2波長発振を利用した差周波発生を用いてテラヘルツ波 UV-LEDの波長域の中でも現在実用化されている波長は、 を得る方法が注目されており、10.7 µmと9.7 µmの差周波を用 UVA(315~400 nm)の中の可視光に近い365~405 nm域 いて2.9 THz(103 µm)の発振を室温パルス駆動で得ている。 で、エネルギー変換効率40~50%が達成されている。今後、 一方、直接、バンドギャップを制御して2 µm以上で発振させ UVC、UVB域での効率向上を進め、さまざまな応用分野への る半導体レーザとして、InP基板上にメタモルフィックバッファ 普及、環境影響を考慮した水銀レス社会の実現への貢献が期 22 技術情報レポート 2015年度OITDA 待されている。また、可視域光源GaN系面発光レーザは、数 データコムでは、次世代インタフェース規格として400 GbEの標 mA程度の閾値電流が実現しているが、最大出力は1 mW程度 準化に向けた議論が展開されている。光ファイバ技術では、空 で、特性改善のため、各構成要素技術開発が展開されており、 間多重伝送用光ファイバが盛り上がりを見せ、微細構造ファイ 近い将来の実用化が期待されている。超短パルスレーザでは、 バなどの新たなファイバの報告も見られた。 GaN系半導体を用いたモード同期レーザと光増幅器を組み合 以上のような背景の下、第2分科会(光情報通信)では、今 わせてピークパワー630 W、パルスエネルギー2.2 nJのピコ秒パ 年度(2015年度)の技術動向を以下のように6つの分野ごとに ルスが実現されており、パルス光源への可能性が期待されてい まとめた。 る。酸化ガリウム(Ga 2O3)は、導電性を電流拡散性向上のため 3.1 基幹光伝送システム 利用したフリップ型1 mm角素子において、駆動電圧3.5 V時 に、電流4 Aで3.75 Wの光出力が得られており、高性能で安価 2012年に打ち立てられた伝送容量の世界レコードであった1 なLEDを実現する透明・導電性基板として期待されている。白 Pb/sが3年ぶりに更新された。これは空間分割多重技術およ 色LEDでは、高色再現性実現のため、狭線幅の赤色蛍光体で び多値変復調技術の急激な進展によって実現されたものであ あるKSF蛍光体を用い、実用化のための安定性向上が実現さ り、これまでのレコードの約2倍に相当する2 Pb/s伝送の実験 れた。 結果が2つのグループから同時に報告された。100 Gb/s超の 光伝送技術に向けては、スーパーチャネル信号のスペクトル最 3. 光情報通信 適化による非線形効果抑圧などの新たな伝送技術に関する検 近年のトラヒックの増加を象徴するものは、クラウド型のネッ 討が数多く報告され、400 Gb/s級の伝送技術確立に向けた検 トワークサービスの増加に加えてスマートフォンやタブレット端 討が着実に進展してきている。また、新たな兆候として、時間軸 末の急速な普及によるモバイルトラヒックの急増であろう。 や偏波軸を活用して最小符号間距離を拡大することによって LTE (Long Term Evolution)の普及も後押しする形でモバ 雑音や非線形効果による伝送特性劣化を抑制することを目指 イルでも動画等の大容量コンテンツの利用が増えていることが した多次元変調などの研究も報告されてきている。 急激なトラヒックの増加をもたらしていると推測され、今後もこ 3.2 フォトニックノード の傾向は続くものと想定される。更には、2020年のサービス開 始を目指した第5世代移動通信システム(5G)の研究開発も活 エラスティック光ネットワークに関する報告が引き続き多く、 発になってきており、これはシステム容量で2010年比1000倍の 帯域可変トランスポンダやWSSを用いたノード構成による周波 大容量化を目標としており、今後もしばらくトラフィックの増加 数利用効率向上などが報告されている。ノードを構成するキー は継続していくものと予想される。 コンポーネントであるWSS自体も小型化、低電力化といった検 1980年代以降の日本は、世界に先駆けて光ファイバ通信技 討が進んでいる。次世代のBeyond 100G OTNに向けた標準 術の研究開発・実用化を進め、1980年代の長距離基幹網の光 化では、光信号の様々な革新技術(多値変調、スーパーチャネ 化、1990年代のメトロ網への10 Gb/s光リングシステム導入、 ル、ナイキストWDM等)に対応可能なインタフェースの実現を目 2000年代のアクセス網の光化を経て、今日の光通信ネットワー 的に勧告化に向けた議論が大詰めを迎えている。 ク構成へと発展を遂げた。コア網には光増幅中継を繰り返して 3.3 光ネットワーキング 全国の拠点を結ぶ高密度波長多重(DWDM)システム、メトロ 網には光分岐挿入と増幅を行うノードで構成されるリング網の エラスティック光ネットワーク、S D N / N F V( N et wo rk ROA DM (R e c o n f ig u r able O pt ic a l Add / D rop Function Virtualization)、データセンタネットワークの制御管 Multiplexer)システム、アクセス網には光分岐(下り)と光時分 理技術に関して注目度が高い。エラスティック光ネットワークで 割多重(上り)を行うPON(Passive Optical Network)システ は適応変調制御や波長デフラグメンテーションによるNWリ ムがそれぞれ導入されている。 ソース利用効率の向上、SDN/NFVではアプリケーションレイ 昨年度(2014年度)を振り返ってみると、基幹光伝送では、 ヤから光レイヤまでNWを一元管理するNWオーケストレーショ 空間分割多重(SDM:Space Division Multiplexing)技術が ン技術の報告が高い関心を集めており、データセンタネット 注目を集め、マルチコア対応EDFA (Erbium Doped Fiber ワークではスイッチング部分の光化による消費電力削減やレイ Amplifier)や、マルチコアとマルチモードを併用した超高密度 テンシ低減を図ったものが報告され光技術への期待が大きく 空間多重伝送などの技術的進展が見られた。また、フォトニック なってきている。また、新たなトレンドの一つとして、光伝送シス ノードでは、波長選択スイッチ(WSS:Wavelength Selective テムのオープン化が 挙げられる。近年、OT T(O ver The Switch)に代表される光スイッチの大規模化・小型化が進展 Top)が汎用ハードウェアを用いた自社によるネットワーク構築 し、光ネットワーキングでは、Software Defined Networking を進めてきたが、その流れは光伝送システムのオープン化にま (SDN)制御によるエラスティック光ネットワークのテストベッ で波及しつつある。 ド実験など実証レベルの報告が増加した。アクセスネットワー 3.4 光アクセスネットワーク クでは、40 Gb/s級の大容量化を目指したNG-PON2(Next Generation PON phase 2)標準化の議論が進み、試作機デモ 現在導入が進んでいる1~10 Gb/s級PONシステムに続き、 ンストレーションの報告など実用化に向けた進展が伺えた。 2015年度は40 Gb/s級の次世代アクセスシステムを目指した 技術情報レポート 2015年度OITDA 23 光技術動向調査 NG -PON2の国際標準化が完了した。標準化完了を受けて る。 NG-PON2は実用化に近いレベルの報告が多く、次世代PON 今 年度の光メモリの主なトピックスとしては、4KとH DR 技術としては25 Gb/s級PONシステムが新たに提案され、現在 (High Dynamic Range)に対応したBD-ROMの規格である の10 Gb/s級の商用化デバイスをDuobinaryやPAM4(4-level UHD BDが策定されたことが挙げられる。また、記憶容量の大 Pulse Amplitude Modulation)に適用することで早期実用化 容量化に向けた技術では、ホログラフィックメモリにおいて、記 を目指した取り組みが主流となっている。また、5 G移動体通信 録密度2.4 Tb/in 2と記録・再生速度4.9 Gb/sが得られる成果 システムの実現に向け、MFH(Mobile Front Haul)および が発表されたことが挙げられる。また、NEDOプロジェクトに MBF (Mobile Back Haul)向け光アクセスネットワークに関 おいては2 TBのホログラフィックメモリシステムの技術開発が する研究開発、標準化に向けた取り組みも本格的に開始され 新聞等で発表されている。その他にも、2018年に試験放送が た。 予定されている8K映像(7680×4320画素)をホログラフィック メモリからリアルタイム再生するシステムの報告があった。この 3.5 光LAN/インターコネクト ように記録容量やシステム化において着実な進歩が見受けら データコム分野では、400 Gb/s Ethernet規格(IEEE 802.3 れる。また、アーカイブシステムに向けては日本を含めた数社か bs)の標準化の概要がほぼ確定した。400 GbE規格の主な特 ら市販・提案されている。今後の大容量データ社会における 徴として、RS-FECの搭載が必須となり、SMF(Single Mode データ保存の将来を見据えて、大容量データの低コスト保存と Fiber)向けの光変調方式に初めて多値変調(PAM4)が採択 高い信頼性を両立できる光メモリ技術の役割は大きく、革新的 された。2017年12月の標準化完了を目指して詳細仕様の検討 な要素技術とそれをシステム化する技術開発の両面が望まれ が進められている。また、市場需要の変化により、特にデータセ る。 ンタ用途に向けて25 Gb/s、50 Gb/s、200 Gb/sなど段階的速 4.2 光インターコネクション 度の標準化策定が開始された。光インターコネクト分野では、 大容量化するデータセンタ内の装置内・装置間伝送を実現する コンピューティングの世界では、人工知能が囲碁で人間に勝 手段として期待され、従来のケーブル伝送、ボード伝送では電 利するなど、スーパーコンピュータなどの計算技術の進展が著 気処理の限界が近づいていることから、光伝送への移行が検 しい。2020年には人工知能が人間の知能を凌駕し、2045年に 討されている。また、抜本的なモジュール小型化の実現に向け は技術進歩の特異点が現れるシングラリティが起こると指摘さ てSiフォトニクスへの期待が高まっている。 れている。一方、スーパーコンピュータ、ルータ、サーバを初めと したIT機器の高度化の進展に伴い、各装置間を結ぶ従来の電 3.6 光ファイバ 気配線による制約がいよいよボトルネックになりつつある。既 近年、MCF(Multi- Core Fiber)やFM F(Few-Mode にユニット間配線は光配線の採用が進み、今後、特にデータセ Fiber)の研究開発が非常に活発に行われており、今年も多く ンターなどにおける短・中距離配線については、100 Gb/s(4 ch の報告がなされた。31のコア数を有するMCFや、FMFにおい ×25 Gb/s)のAOC(Active Optical Cable)等がメーカ各社か ても偏波モードを含む30モードを利用した伝送実験が実証さ ら製品ラインナップされ、これを機に光配線の本格普及が進む れるなど、空間多重数の増大に関する報告が目立った。各コア と目されている。また、ボード内配線においても、伝送容量増に をFMFにしたFM-MCFでは36コア×3LPモードの108の多重 伴う伝送レート向上により、ボード端からLSI近傍までの数十 度を実現したものも報告された。また、陸上長距離用光ファイ cm程度の距離でも特性を保持したまま伝送することが難し バや海底用の超低損失光ファイバの開発に関する報告もあり、 い。こうした状況下において、光ファイバや通信モジュール、 特に注目すべきこととして、光ファイバの最低伝送損失も2年 サーバ開発を行うメーカ各社よりLSI近傍まで光配線を引き込 ぶりに更新され、レコードとなる0.146 dB/kmを達成した報告 んだ光モジュールに関する開発報告事例が近年増えてきてい がなされた。 る。 4. 情報処理フォトニクス 4.3 光演算 情報処理フォトニクスの技術動向調査では、昨年に引き続 光演算では、将来的には大容量データの高速演算を光で行 き、光メモリ、光インターコネクション、光演算の3分野を取り上 なう情報処理技術に向けた技術動向調査を行っている。その げた。 代表例としては、ナノフォトニクスや光相関演算が挙げられる。 また、光技術と計算機技術を融合させることで、多次元情報処 4.1 光メモリ 理や高速情報処理、高性能情報処理を実現するコンピュテー 2020年の全世界の情報量は40 ZBに到達すると言われてお ショナルイメージグやディジタルオプティクスの分野が盛んに研 り、その大容量データを低消費電力で、長期保存可能なアーカ 究されている。光演算の拡がりは大きく、光演算器としての単 イブシステムの開発が期待されている。光メモリには、その2つ 独というよりも、様々な技術に融合されながら計測機器、情報 の特徴を実現し、かつ災害にも強い記録メディアとしての優位 処理機器や光通信機器等に組み込まれ、発展してきていると 性を生かしつつ、他の既存のアーカイブシステムに対して弱点 考えられる。 である記憶情報の大容量化について技術開発が期待されてい 光演算の特徴の一つに、光のアナログ特性を利用した並列 24 技術情報レポート 2015年度OITDA 処理が挙げられるが、この光の持つ並列処理と近年の飛躍的 る。また、高出力化にコヒーレント結合技術が活用されている。 に発達したデジタル処理技術を融合した新しい分野としてコン 計測技術は、加工における形状精度を保証するために重要で、 ピューテーショナルイメージングやデジタルオプティクスなどが 白色干渉顕微鏡やスキャナの性能向上により、高速に形状を 生まれている。コンピューテーショナルイメージングでは、撮影 測定する技術が身近なものになってきた。システム化技術は、 後の新たな視点画像の作成や合焦点位置の変更が可能になる 材料供給技術やビームデリバリ技術などで装置化・システム化 ライトフィールドの取得において、画像処理中に学習機能を組 に必要となる。例えば、除去、付着、成形加工を組み合わせた み込むことで空間分解能と角度分解能のトレードオフを解消す 複合生産システムの構築には、装置間の材料の移動の技術が るアプローチが活発になっている。 重要となる。 光を情報処理に応用する際、並列処理と高速処理だけでな 5.2 3Dプリンタ技術 く、低消費電力化も注目に値する。従来のシリコンプロセッ サーにおいて、エクサスケールレベルの処理到達の障壁要因の 3Dプリンタ技術領域では、レーザ加工技術、光源技術、計 1つに消費電力の課題がある。光学的フーリエ変換技術に基 測技術、システム化技術について調査した。3Dプリンタは、 づく光 コンピュー ティング 技 術 は オプ ティカル な H i g h CADデータからパーツ分割なしで造形可能、立体構造を形成 Performance Computer(HPC)として近年注目されつつあり、 可能などの特長を備え、三次元積層技術としては、粉末床焼結 2015年4月には、処理速度320ギガflop/sで低消費電力化を実 法、指向性エネルギー堆積法などがあり、材料の種類などで適 現したレンズレス光プロセッサのプロトタイプが公開された。さ 用する積層技術が異なる。最近は複数の材料を組み合わせた らに、遺伝子解析のためのシークエンス検索システムへの応 異種材料混合造形が着目されており、例えば、銅と鉄系材料を 用、世界最大規模の数値気象予測のためのHPC開発が進めら 組み合わせることで熱伝導性と強度とを両立できる。光源技術 れている。 としては、樹 脂 造 形 用に量 子カスケードレーザ(Q C L: Quantum Cascade Lasers)、金属造形用にフォトニック結晶 5. 光加工・計測 面発光レーザ(PCSEL:Photonic Crystal Surface-Emitting 2015年度の光加工・計測に関する光技術動向調査は、光技 Semiconductor Laser)の高出力化が進められている。PCSEL 術動向調査委員会と技術戦略策定委員会の下に光加工・計測 は、従来においては実現が難しかった高出力と高ビーム品質を 技術合同専門委員会を設置し、2030年代に向けた光加工・計 兼ね備えた半導体レーザであり、高効率でコンパクトな特長を 測テクノロジーロードマップ策定の一環として実施した。光計 活かすことで幅広い応用が期待できる。計測技術は、計測手 測技術は、光加工技術を高度化するための技術と位置付けて 法、内部構造計測技術などを調査した。例えば、3D-FAXを考 いる。調査対象領域は、デジタル光マニファクチャリング技術と えると、入力装置としての三次元計測技術が必要で、三次元計 して、高付加価値で少量多品種生産を可能とする“加工技術 測法として光学的な手法を用いれば、測定時間の大幅な短縮 (除去、接合、成形)”と、近年注目を集めている“3Dプリンタ が可能で、かつ非接触であることから対象物の破損を気にす 技術”を取り上げた。また、低侵襲医療に向けた取り組みとし ることなく、大きな物体、遠方の物体の測定も可能となる。ま て、光加工・計測技術の“医療応用”についての技術動向も調査 た、今後発展が見込まれる計測技術として3D-TOF(Time of した。 Flight)カメラがあげられる。物体の内部構造を計測する光学 的手法としては、光コヒーレンストモグラフィー(OCT:Optical 5.1 加工技術(除去、接合、成形) Coherence Tomography)があり、光の干渉を利用して物体内 加工技術(除去、接合、成形)領域では、レーザ加工技術、 部の様子を観察する。 光源技術、計測技術、システム化技術について調査した。レー システム化技術は、デリバリ技術、モニタリングと品質保証な ザ加工技術は、加工対象の大きさ、種類、加工方法によって適 どを調査した。レーザのデリバリ技術としては、ガルバノメータ 用される技術は異なるが、 マクロ加工とミクロ加工で分類した。 ミラースキャナシステムが用いられているが、長時間造形では マクロ加工の代表格であるレーザ切断加工は、薄板ではCO 2 温度ドリフトで造形物精度に問題が出ることがあった。現在で レーザからファイバレーザなどへの置き換えが進みつつある。 は、高分解能の光学式エンコーダを搭載したデジタル制御方 加工において位置精度に起因する形状精度は、0.01 mm程度 式で問題を解決している。また、3Dプリンタを少量多品種の が現在のターゲットであるが、熱反応を活用しない無酸素切断 製品へ適用するため、サーモカメラによる温度分布リアルタイム による高速化が形状精度の向上の一つの方向性である。ミク 測定や、造形断面形状の1層ごとのイメージ比較などのインプ ロ加工では、加工量を制御する手法が、短波長化と短パルス化 ロセスモニタリング機構を装置へ組み込むことで、造形時の品 および干渉や化学処理との併用などで進化していく。光源技術 質への影響などを分析し、フィードバックすることで品質向上と は、ナノ秒パルス、フェムト秒超短パルス、連続発振(半導体 安定性とを高める取り組みが始まっている。 レーザ、ファイバレーザ、ディスクレーザ)で、高出力化、高輝度 5.3 医療応用技術 化、短波長化、小型化が進められている。例えば、半導体レー ザは、パッケージ化が容易だが、出力と集光性との両立が困難 光加工・計測技術の医療への応用として、診断技術および治 なため用途が限定されていたが、近年では金属切断への適用 療技術を調査した。診断技術としては、内視鏡、拡散光イメー が可能なものも出現し、LD直接光源への期待が高まってい ジング、共焦点内視鏡、分子イメージングなどがある。組織レ 技術情報レポート 2015年度OITDA 25 光技術動向調査 ベルの診断として、内視鏡による直接観察がある。消化管など は、2012年度頃から顕減少傾向が著しく、昨年度は約6.7 GW を対象とする比較的径の大きな内視鏡では、高精細な画像を と2011年度の約3分の1までに減少しているが、一方、日本と中 観測できるハイビジョン内視鏡や病変部を拡大して観察できる 国の導入量は増加しており、ヨーロッパの太陽光発電システム 拡大内視鏡が開発されている。血管内視鏡は、血管内に挿入 導入の減少分を支えている構図となっている。日本において するために径を細くする必要があるが、血管内壁を直接目視で は、2013年度は約8.5 GW、昨年度は約9.2 GW、中国において きるため有用性は大きい。脳機能計測分野では、近赤外光を は2013年度は約11.8 GW、昨年度は約10.4 GWの太陽光発電 用いた拡散光イメージングで臨床応用が進んでおり、大型装置 システムが導入された。つまり、ここ2年間は、世界の太陽光発 やシールドルームなどの特殊な環境を必要としないため、ベッ 電システムの約半分が日本および中国に導入されていることに ドサイドに装置を移動して測定できる長所がある。細胞レベル なる。また、アメリカにおいても太陽光発電システムの導入は着 では共焦点顕微鏡が開発されている。観測可能なのは組織表 実に進んでおり、2011年度約2.2 GWであったものが昨年度は 面の極めて浅い部位に限定されるが、組織片を採取せずにそ 約7.7 GWと約3倍に伸びてきている。国の政策によるところが のままの状態で細胞レベルの病理検査を可能とする光バイオ 大きいが、太陽光発電システムの導入地域が、ヨーロッパから プシーを実現する有力なツールと考えられている。分子レベル 日本および中国、そして米国へと移行したことを示している。 では、特定のタンパク質やDNAなど、組織内における分子の存 太陽電池の材料開発におけるトピックとしては、①Si系太陽 在や動態を可視化する分子イメージングがある。光分子イメー 電池において、25%を超える変換効率をカネカとFraunhoferが ジングは、蛍光色素を用いて蛍光によって特定分子の分布を測 発表、②化合物薄膜太陽電池において、多結晶Si、単結晶Si並 定するため、陽電子断層撮影(PE T:Positron Emission みの変換効率である22.3%を日本のSolar Frontierが発表、③ Tomography)に比べ被爆がない点が長所である。 ペロブスカイトでは、ローザンヌ工科大学が21.0%、韓国科学 治療技術としては、レーザ手術・光熱治療、光線力学治療な 研究所グループが20.11%の変換効率達成を発表し、また、そ どを調査した。レーザを用いて組織の切開、切削、蒸散、凝固 の他数多くの論文が各国各機関より報告された、④東京大学 などを行うレーザ手術や光熱治療のための機器は、紫外から と宮崎大学のグループから、III-V系集光型太陽電池と水電気 中赤外の幅広い波長域のものが、眼科、循環器科などの領域 分解セルとを組み合わせ、太陽光から水素への世界最高変換 で応用されている。眼科領域では、用途に応じて紫外から近赤 効率24.4%を達したことが報告された。今後、太陽エネルギー 外の広い波長域のレーザを用いた治療器が実用化されてい の新規利用技術および太陽光発電の平準化等、重要な要素技 る。近視等の視力矯正を行うレーザ角膜内切削形成術で用い 術となる可能性がある。 るレーザ治療器では、紫外波長(193 nm)のArFエキシマレー 6.1 結晶系シリコン太陽電池 ザが使用されている。フェムト秒レーザは白内障手術機器に応 用されており、3次元光コヒーレンストモグラフィー(3D-OCT) 2015年度は、Fraunhofer(25.1%)およびカネカ(25.1%)が で計測した角膜、水晶体などの情報に基づいて手術計画を立 25%を超える変換効率を報告し、昨年度、結晶系シリコン太陽 て、コンピュータ制御によるレーザ照射で、正確な切開や水晶 電池の最高変換効率25%を超えた年(パナソニック,シャープ, 体核破砕が可能となっている。循環器科領域では、心筋に血 Sunpower)に引き続き、今年度も記録が更新された。昨年度、 液を送る冠動脈に動脈硬化が生じることで発生する虚血性心 最高変換効率を達成した3機関のセル構造はバックコンタクト 疾患に対し、XeClエキシマレーザによる紫外光(308 nm)を 型Si太陽電池であったのに対し、2015年度の2機関のセルは表 カテーテルで病変部に導き、プラーク組織をレーザによって蒸 面にも電極を有する両面電極型であることが特徴的である。 散させるエキシマレーザ冠動脈形成術が行われている。また、 6.2 化合物薄膜太陽電池 光線力学治療(PDT:Photodynamic Therapy)は、腫瘍組織 に特異的に集積する光感受性薬剤を血液中に投与し、投与さ 化合物薄膜系太陽電池は、昨年度ドイツのZSW(ドイツの太 れた薬剤が腫瘍に最も集積する時間に腫瘍部分にレーザを照 陽光と水素の有効利用に関する研究センター)が達成した変 射する治療法で、患者への侵襲が少ない。光感受性物質の蛍 換効率21.7%を上回る22.3%を日本のSolar Frontierが達成 光を利用して、腫瘍部位を目視または撮像して観察することで し、22%の壁を越えた。これにより、セル効率23%以上を目指 診 断を行うものが光 線 力学 診 断(P DD:Phot o dy n a m ic す研究開発段階に移行し、小面積セルでの高効率化競争がこ Diagnosis)であり、脳腫瘍などの手術時の残存腫瘍を視認す れまで以上に顕著になった。国内外の研究開発体制として、日 るために用いられている。 本では産学連携体制の研究体制で国立研究開発法人新エネ ルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が「7円/kWhを達 6. 光エネルギー 成できる技術の開発」を目的としたプロジェクトを開始してお 光エネルギーでは、国内外の各種太陽電池の技術開発、標 り、また、ドイツでは、ZSWが中心となって変換効率25%を目 準化および蓄積分野の技術動向調査を行っている。 指す“Sharc25”(Super high efficiency Cu(In, Ga)Se2 thin- 全世界の太陽光発電システムの導入量は、近年、足踏み傾 film solar cells approaching 25%)プロジェクトが開始されて 向が見られたが、一昨年度から再び増加傾向に転じ、昨年度 いる。しかし、米国ではDOE(米国エネルギー省)の意向で は約40 GWの太陽光発電システムが全世界で導入された。国・ NREL(国立再生可能エネルギー研究所)における薄膜太陽 地域別では、ヨーロッパにおける太陽光発電システムの導入量 電池の研究が縮小され、高効率化に優位とみなされるCIGSグ 26 技術情報レポート 2015年度OITDA ル―プからの研究成果の反映が期待できなくなり、小面積セ 能性がある。 ルでの高効率化競争が日欧の研究者を中心として始まってい 6.7 超高効率・第三世代太陽電池 る。 近年、InAs/GaAs量子ドット等の化合物太陽電池の低コス 6.3 ペロブスカイト太陽電池 ト化の検討が始まっている。現在のGaAs基板上に作製したセ 我が国発の技術である有機・無機ハイブリッド材料を用い ルコストは1,000円/Wを超え、また、基板のコストは、全体のコ たペロブスカイト太陽電池では、小面積セルにおける変換効率 ストに占める割合が最も高い。そこで、エピタキシャル・リフトオ が21.0%に達し、Si薄膜ないしは化合物薄膜太陽電池に比肩す フ(ELO)法を利用してセルを基板からはく離し、また基板を るレベルに達した。また、発表された論文数は2012年度4報か 再利用していく方法が低コスト化に向けて有望視されている。 ら、2015年度には1,000報に達し、太陽電池の材料開発、変換 また、ELO法を用いることにより、セルコストの低減だけでな 効率競争において、今年も引き続ペロブスカイト太陽電池の研 く、裏面反射ミラーを効果的に利用することで、入射フォトンの 究が活発になったことがうかがえる。一方、品質評価に関し、 光路長を増大できることや、ファブリ・ペロー光共振器を形成 各種条件下での耐久性を検討したデータも報告されるように させ光吸収効率の増大が可能であるといった効果が生じる。 なったが、実使用環境下での耐久性は依然として課題である。 6.8 国際標準と信頼性技術 また、鉛の毒性や環境負荷等の議論も継続が必要である。ペ ロブスカイト太陽電池の構成材料の鉛を低減や全く使用しな PVセル、 モジュールの標準化は主にIECのIEC/TC 82/WG 2 い材料の検討は今後も必要である。ペロブスカイト太陽電池 において議論されている。今年度は2015年4月に英国ラフバラ は、日本でもNEDOによるプロジェクトも推進されているが世 で、10月~11月に南アフリカのケープタウンで会議が開催さ 界中が研究開発にしのぎを削っており、今後も動向に目が離せ れ、多くの新規規格、改訂規格の審議が実施され、コネクタ、 ない状況となっている。 接続箱等に関する多くの規格と共に、型式認証に関する61215 シリーズ、安全性に関する61730シリーズ、性能評価に関する 6.4 色素増感太陽電池 60904シリーズでの議論が活発に行われている。 色素増感太陽電池セルの公的機関測定の最高効率は、近 ペロブスカイト太陽電池は、電流電圧測定においてヒステリ 年、これまでの11.9%から更新はなかったが、自社測定である シスが大きく、時定数が数十秒~数分と長い等、性能評価の ものの、ローザンヌ大学から新規色素を用いて14%を超えるセ 技術的課題が多い。9月にドイツ、ハンブルグで開催された ル効率の報告があった。また、新材料の出現で、新規正孔輸 EUPVSEC 2015(The European Photovoltaic Solar Energy 送材料を用いた固体色素増感太陽電池セルの報告など新たな Conference and Exhibition)会議では、オーストラリアの 展開が進んでいる。さらに、低照度で高い出力を生かした屋外 CSIRO(Commonwealth Scientific and Industrial Research 低照度向けデバイスの実証試験や屋内向けデバイス用のモ Organisation)からペロブスカイト太陽電池の測定方法に関す ジュール試作の検討も進んでいる。 る講演があったが、未だサンプルと測定条件が限定された検 討に留まっており、今後のデバイス開発の基礎となる統一され 6.5 有機薄膜太陽電池 た測定方法の迅速な確立が求められている。 本年度は、ペロブスカイトの勢いに押されたのか、顕著な成 6.9 モジュール部材 果発表は見られなかった。現在OPV(有機薄膜太陽電池)の 研究開発は企業によって牽引されている感があるが、近年、大 大規模太陽光発電所の稼働にともない顕在化してきた問題 学、公的機関から高効率化のためのメカニズム、劣化機構の に電圧誘起劣化(以下、PID)が挙げられる。一般的に太陽電 解析などの発表が増加傾向にある。また、バルクへテロ接合構 池モジュールは20年の屋外曝露を経ても、初期の8割~9割 造の内部構造の解析などの研究も多く行われており、分子配向 程度の出力性能は維持されるが、運転開始後、数年程度、場 や層分離構造の議論も盛んである。これは、新しい材料を合成 合によっては数か月程度でPIDが発現することがあり、出力も しセルを作製するだけではなく、配向構造や相分離構造の解 初期の数割程度まで低減したり、ほとんど出力が得られなくな 析や制御まで行わなければ、より一層の高効率化は難しくなっ ることもある。PID現象が広く知られるようになったのは、ここ てきていることを示している。 5年程度のことであり、現在、現象自体が充分に解明されてい ない状況である。太陽電池システムの更なる普及のためにも、 6.6 Ⅲ-V系集光型太陽電池 PID現象の根幹に関わるメカニズムの解明と普遍的な対策が 多接合型太陽電池は、すべての太陽電池のなかで最も高い 急務であり、適正な加速試験法の開発も含め、研究すべきこと 変換効率を実現しており、現状、Wafer Bondingの四接合型太 は数多く残されている。 陽電池において集光時46.0%が報告された。また、東京大学と 6.10 広域連系推進技術 宮崎大学のグループは、太陽電池の効率ではないが、III-V系 集光型太陽電池と水電気分解セルとを組み合わせ、太陽光か 近 年 、天候や時間によって出力が 変 動 する太 陽 光 発 電 ら水素への世界最高変換効率24.4%の達成に成功し、今後、 (PV)や風力発電などの大量導入による電力システムの需給 太陽エネルギーの新規利用において重要な要素技術となる可 運用の困難化が顕在化しつつある。PVや風力発電を持続的に 技術情報レポート 2015年度OITDA 27 光技術動向調査 7. 光有機材料・デバイス 導入するためには、それらの電源の出力の変動性と不確定性の 本年度も、光有機材料・デバイスの技術動向として、有機発 ため、電力システム全体の需給調整力の向上が大きな課題で ある。需給調整力の安定確保の対策として連系線の活用が検 光材料、有機半導体材料、透明導電性材料、光機能性材料・ 討されており、これにより、全国規模の広域での高度化された デバイス、人工光合成や光有機デバイスの共通課題などについ 電力系統の運用を可能とし、経済性、安定供給の向上も期待さ て調査した。 れる。このような需給調整力評価のための有用なツールとして、 7.1 有機発光材料 長期電力需給解析・計画手法が開発され、これにより需要、 PVと風力発電の出力変動特性と、これに対する需要の能動化 熱活 性化 遅延 蛍光(Ther ma l ly Act ivated Delayed を含めた負荷平準化や需給調整力評価が可能となった。現 Fluorescence:TADF)材料は、蛍光、リン光発光分子に続く 在、全国の電力需給の詳細モデルの作成、将来の電力需給の 「第三世代」の有機発光材料として注目されている。TADF材 料の課題は、小さなエネルギーギャップ(∆E ST)と高い蛍光発 特性分析、最適設備計画策定の検討などを実施している。 光効率を両立させることである。フロンティア軌道理論におけ 6.11 O&M(Operation & Maintenance) る有機分子の最高占有分子軌道(HOMO)は、分子内の相対 太陽光発電システムが本格的に導入されるためには、構築し 的な電子供与性(ドナー性)部位に、最低非占有分 子軌道 たシステムの安全性、信頼性に加え、適正な保守による維持・ (LUMO)は、同様に電子受容性(アクセプタ性)部位に局在 運用が重要な要素である。法的な保守点検に加え、常時、発電 化する傾向がある。∆E STを小さくするためには、HOMO軌道と システムの出力低下を監 視し、故 障発生時、早 期に故 障モ LUMO軌道の空間的な重なりを分離させる必要があるが、蛍 ジュールを発見、対処する遠隔監視システムを低コストで実現 光発光効率を向上させるためには、逆に、これらの軌道の空間 し、広く普及させるためのO&Mビジネスの拡大が期待され 的な重なりを大きくすることが重要となる。この問題を解決する る。 ため、キャリア移動(電流)材料と、再結合材料、発光材料の3 種類を巧みに使い分け、TADF材料をアシストドーパントとする 6.12 台湾の動向 蛍光発光有機ELが開発された。TADF材料は、有機ELで蛍 台湾の太陽電池ウェーハメーカーは、各社が高効率ウェーハ 光材料を超高効率に発光させるアシストドーパントとしても、ま の生産を増加している。中美シリコン社が発表した高効率多結 た、TADF材料そのものを発光させ超高効率有機ELを達成で 晶ウェーハは平均変換効率が19.2%、高効率単結晶ウェーハは きる材料としても進化しており、今後の有機ELの中心的な材料 平均変換効率が20.5%に到達している。技術としては、小サイ になっていくものと考えられる。 ズの結晶をシードとした低欠陥密度の多結晶インゴット製造プ 7.2 有機半導体材料 ロセスや、ストラクチャワイヤを使用したウェーハ切断技術など が主流になりつつある。また、PERCセル(Passivated Emitter 電子回路や各種素子を印刷で作製する、いわゆるプリン and Rear Cell)の量産が拡大し、今年度は台湾で2 GWほど ティッドデバイス技術は、非常に簡便なプロセスで電極配線や のセルを生産している。変換効率は新日光(Neosolar)社が 半導体のパターンを形成できるため、将来のエレクトロニクス 21.1%(平均効率)、昱晶(Gintech)社は21.4%(最高効率)で を担う重要な製造技術となることが期待される。印刷回路とし ある。 て期待される応用例の一つにR F I D(R ad io Frequency Identification)タグがある。これまでに、有機蒸着膜を用いた 6.13 エネルギー蓄積 有機トランジスタを利用したRFIDタグに関する技術の報告が 太陽光エネルギーを真のエネルギー源とするためには、光エ なされているが、その整流動作速度は最大でも125 kHz程度と ネルギーを電気等の利用可能なエネルギーに変換するだけで なっており、接触式のRFIDタグとして一般的に用いられている はなく、曇天、雨天および夜間でも使用可能なエネルギー源と 13.56 MHzでの動作の実現には至っていない。しかし最近、20 して蓄積することが重要である。このエネルギー蓄積の技術と MHz近くの動作速度をもつ塗布型高速有機トランジスタが開 して、①水を分解し、水素に変換して蓄積する方法、②二酸化 発され、この技術を用いて13.56 MHzを超える周波数の交流 炭素を還元し、炭化水素系の結合を作りエネルギー蓄積する 信号でも整流可能な、世界初となる塗布型有機整流素子が作 方法、③光エネルギーを熱エネルギーに変化させて蓄積するの 製された。 3つの技術分野がある。前半の2つの化学エネルギー蓄積の 7.3 透明導電性材料 分野は、毎年非常に大きな変化が見られていたが、この一年は さほど大きな技術的な進展は見られなかった。一方、熱を使う 透明導電性材料として、グラフェンを化学修飾することなく、 光エネルギーの蓄積方法は既存の発電技術が多く使える分野 直接グラフェンのまま溶媒に分散させたグラフェンインクが、大 として注目されているが、発電装置自体が大型となるため、熱 きな期待を集めている。Cambridge大学のA. C. Ferrari教授 を蓄積する技術開発とコストダウンが大きな課題となってい のグループは、グラファイトフレークをN-メチルピロリドン中で、 る。このため、通常効率よく熱蓄積を行う溶融塩を用いる2タン 9時間ほど超音波処理を行い、遠心分離と1 µm孔径のフィル ク方式から1タンク方式への技術開発などが行われている他、 ター濾過によって大きなサイズのフレークを取り除くことによっ 固体蓄熱や廃棄材料を利用した蓄熱も試みられている。 てグラフェンインク原料を調製した。本インクを用い、インク 28 技術情報レポート 2015年度OITDA ジェット印刷法によって、シート抵抗約30 kΩ/□、透過率約 ことが鍵である。この粒子間の電子移動を担う電子伝達剤とし 80%のグラフェン透明導電膜が得られている。今後は、よりサイ [Co(bpy)3]3+/2+や て、IO 3 –/I –やFe 3+/Fe 2+などのイオン対、 ズの大きなグラフェンの分散によって、シート抵抗の低減や透 [Co(phen)3]3+/2+などの錯体が用いられている。電子伝達剤 過率の向上が 期待される。本インクは、グラフェンプラット を用いないZスキーム型光触媒も開発されている。Ru担持Rh フォーム株式会社によって販売されている。また、インクとして ドープSrTiO3水素生成光触媒(Ru/SrTiO3:Rh)粒子をBiVO 4 用いるための濃度や粘度、表面張力の制御も可能となりつつあ 酸素生成光触媒粒子とともに酸性の水溶液中に懸濁させ光を り、印刷技術に合わせたインクの開発が可能な時代に入って来 照射すると、電子伝達剤が無くても水素と酸素が化学量論比 た。 で生成する。 7.4 光機能性材料・デバイス 構造を合わせ持つメソポーラス有機シリカ(PMO)の特長を活 物質変換系人工光合成では、光吸収機能と規則的なメソ孔 プラスチック光ファイバ(POF)は、1990年台終盤から自動 かし、様々な光機能を有する金属錯体/触媒の反応特性との 車内通信規格の一つであるMOST(Media Oriented Systems 複合化が図られている。Ru-Re 5 -Bp-PMO複合体では、植物が Transport)システムの伝送媒体として欧州車を中心に搭載さ 行っている2段階の光エネルギー捕集・集約系を人工的な系で れており、より高速な車載光通信システムの検討も進められて 初めて再現することに成功した。また、Ru-Re-Acd-PMOでは、 いる。また、1本のPOFの中に複数のコアを配するマルチコアSI PMOの光捕集機能により、CO2還元光触媒機能を強化した。 (ステップインデックス)形POFについては、曲げ損失が非常 さらに、IrOx/Ru-Acd-PMOにより、光捕集プロセスを経由し に小さい特徴を活かした機器内配線などへの用途展開が図ら た水の酸化反応に成功した。しかし現状では、水の酸化およ れている。さらに、中空形など新規な形状の開発も進められ、 びCO2還元のために、それぞれ犠牲酸化剤および犠牲還元剤 センサや光部品への適用可能性が探られている。また近年、 の使用が必要であり、人工光合成が目指している反応の一部 SI形POFを用いたギガビットイーサネット(GEPOF)の製品開 にしか成功していない。真の意味での人工光合系を構築するに 発および規格化活動が、日本および欧州のメンバを中心として は、光捕集・水の酸化・CO2還元という一連の現象・反応が高 活発に進められている。イーサネット規格を策定するIEEEにお 度に連携して進行する反応系を創りだす必要がある。 いて、2014年3月の全体会合でGEPOFの規格化が提案され、 7.6 光有機デバイスの共通課題 Study Group設立の承認を得て規格素案の作成に着手、2015 年1月にTask Forceへと昇格して規格化に向けた作業が進め 近年、有機半導体などの高分子や分子組織体・結晶・集合 られている。ターゲット市場としては、ホームネットワーク用途、 体構造の伝導特性評価技術として、時間分解マイクロ波吸収 工業配線用途、自動車内通信用途の3つを挙げている。 測定法(Time-Resolved Microwave Conductivity:TRMC 高効率な発光体として多孔性金属錯体(MOF)が注目され 法)が注目されている。光電荷分離によりキャリア注入を行い、 ている。発光寿命を左右する三重項励起子の拡散速度という そのキャリア絶対量と運動特性を、紫外パルスレーザ(電荷注 観点では、分子が高秩序に配列した結晶系が最も優れてい 入)、マイクロ波(局所伝導特性)、連続可視光(キャリア全体 る。そこで、アクセプター部位を有する配位子を用いてMOFを 量評価とキャリア種弁別)という3種の電磁波(光)で見積もる 構築し、その結晶表面にドナー分子を修飾するという新しいア TRMC法は、非接触かつ非破壊で物質の伝導特性の本質を イデアが創出された。その結果、結晶表面に修飾されたドナー 知るという点で、高度に複合化した光応用分析技術と言える。 からの効率的なエネルギー移動と、溶液中の分子拡散よりも速 8. 光ユーザインタフェース いMOF中での三重項エネルギー拡散が確認され、量子収率が インターネットのインフラ整備が進み、無限ともいえる情報 太陽光程度の励起光強度で最大化されることが明らかになっ が、いつでもどこでも簡単に入手できるようになった。ビッグ た。今後の進展を注視する必要がある。 データの処理方法も確立されつつある中、玉石混交の大量の 7.5 人工光合成 情報の重要度や関連性を判断し、処理するためのユーザインタ 水素生成触媒系および物質変換系人工光合成の動向につい フェースはますます重要な技術となってきている。本分科会で て調査した。 は昨年度に続き、今年度もディスプレイ、センサデバイスや画像 水素生成触媒には、単一粒子型とZスキーム型の2種類があ 処理などの基盤技術と、それらを活用するアプリケーションの る。単一粒子型については、2000年代になって、ようやく可視 両面から技術動向を調査した。 光照射下で水の完全分解反応に活性な光触媒系がいくつか見 8.1 医療・ヘルスケア いだされた。金属オキシナイトライドと呼ばれる化合物である GaN:ZnOやLaMg1/3Ta 2/3O2Nが開発されており、この材料は約 健康寿命の延伸には、日常生活での健康モニタリング、診 600 nmまでの光に応答することが特徴である。一方、Zスキー 断・治療の各段階での医療の高度化が求められ、医師と患者 ム型光触媒とは、水素生成(SrTiO3:Rh、TaONなど)もしくは とをつなぐインタフェース技術が重要となる。 酸素生成(WO3、BiVO 4など)に活性な2種類の光触媒を組み 医療分野では、患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の 合わせた系のことである。Zスキーム型光触媒では、酸素生成 向上に向けて、低侵襲治療と早期診断に対するニーズが一層高 光触媒側の励起電子が水素生成光触媒側の粒子へ移動する まっている。また、iPS細胞等のヒト幹細胞の研究の進展に伴 技術情報レポート 2015年度OITDA 29 光技術動向調査 い、再生医療への注目が高まっており、体外から機能性細胞を 展している。 「高画質化」への取り組みとしては、従来から続く 大量に取り込むための生産プロセスの確立が課題となってい 高精細化、大画面化、広色域化が更に進展し、よりリアリティ る。ヘルスケア分野では、スマートフォンやその付属のウェアラ の高い映像を目指す研究が進んでいる。「多機能化」では、ス ブル機器等を用いた健康状態モニタリングや健康管理サービ マートウォッチに代表されるウェアラブルデバイスの進化によ スが広く提供されてきた。更に、携帯機器に搭載されたセンシ り、装着性、デザイン性を考慮したデバイス用のディスプレイも ング機能を用いて取得した情報を医療情報として活用し、不整 開発されている。「拡張現実」では、映像と実体の重畳による 脈や脳梗塞といった病気の早期発見の可能性を検討する研究 作業性の向上や、より効果的な情報提供が期待され、その実 も始まっている。 現のための新ディスプレイデバイスの提案や、技術の進展が見 られる。 8.2 高臨場空間再現・高臨場コミュニケーション 8.5 3Dディスプレイ これまで、臨場感の高いコンテンツ配信/配給としては、高 精細プロジェクタと高度なサラウンドを用いた4Kデジタルシネ これまでの映像ディスプレイとは異なり、映像を実世界と同 マ、メガネ式3D映像を用いた3Dデジタルシネマがかなり一 様に三次元的に見ることができれば、3Dテレビへの応用だけ 般的になってきている。近年では、これまでの映像と音響によ でなく、教育や医療、広告、デザインなどの産業分野への波及 る視覚/聴覚だけでなく、その他の感覚を積極的に活用してい 効果は大きいと考えられる。 3Dディスプレイの立体表示方式には、視点の移動に応じた くアトラクション型4Dシアターが始まりつつある。 また、次世代映像圧縮技術H.265/HEVCや可逆符号化音 3D映像を観視者に提示する「多眼方式」、再現する空間にそ 響 技 術 M P E G 4 - A L S 、次 世 代 メディア伝 送 技 術 M M T の形状に応じた光の点群を三次元的に表示することにより、3D (MPEG Media Transport)を発展させた高臨場感メディア 映像を再現する「体積方式」、撮影時と表示時の双方に、多数 同期技術Advanced MMTによって、あたかもその場にいるか の小さなレンズが平面状に並んだレンズアレイを用いて、被写 のような超高臨場感をリアルタイムに世界へ配信するイマーシ 体からの光線群を取得および再現する「インテグラル方式」、 ブテレプレゼンス技術「Kirari!」のようなリアルタイム配信に向 光の波面を干渉縞として記録し、理想的な3D映像を光学像と けた技術開発も始まった。2020年東京オリンピック・パラリン して再現することができるとされている「ホログラフィ」などが ピック競技大会を想定したスポーツ競技の高臨場パブリック ある。 3D映像は多方向からの見え方を有するため、3D映像を表 ビューイングや遠隔コミュニケーションツールとして検討が進 現するための情報量は、2D映像よりも格段に多くなる。実用 み始めている。 化に向けては、それぞれ応用に合った3D方式を選定し、再現 8.3 ウェアラブルコンピューティング する3D映像の特性(画素数や視域、奥行きなど)を明確にし ウェアラブルコンピューティングは、学術的には10年以上前 た上で、デバイス開発やシステム構築を進めることが重要とな から研究されてきた技術分野であるが、小型コンピュータの高 る。 性能化、社会的なインフラとしての無線通信網の普及といった 8.6 VR・AR技術 技術的な背景に留まらず、 「常に情報機器を用いる」ことに対す る社会的な受容性が高まったことから、ここ数年、ウェアラブル 仮想現実感(VR:Virtual Reality)技術とは、コンピュータ コンピューティングに新たな商機を見出したIT関連企業等によ によって「合成」された感覚情報を通して提示される人工的な り次々と新しいデバイスが発表されてきた。2015年度はApple 世界で、様々な疑似体験を可能にする技術である。これに対し WatchやAndroid Wear搭載の腕時計型デバイスが多数発売 て拡張現実感(AR:Augmented Reality)技術とは、現実世 され、ウェアラブルコンピュータのビジネス元年とも言える年で 界から本来得られるはずの感覚情報をコンピュータにより「変 あった。一方で、学術分野においてはウェアルブルコンピュータ 調(付加、削除、強調、減衰)」することによって拡張された現 に関する国際シンポジウムInternational Symposium on 実世界で、様々な情報支援を可能にする技術である。各産業分 Wearable Computer 2015 (ISWC2015)が大阪で開催され、 野における応用システムにおいて、様々な要素技術を組み合わ 最先端の研究成果が日本で発表された年でもあった。 せてユーザインタフェースを設計する際の指針となる概念的な 基盤技術と位置づけられる。 8.4 ディスプレイデバイス VR・AR基盤技術は医療、観光、教育、保守、建築、芸術、 スマートフォン、ノートPC、テレビが身の周りに当たり前のよ エンターテインメント、軍事など、様々な分野への応用による発 うに存在し、我々に絶え間なく映像情報を与え続ける時代とな 展普及の段階に差しかかりつつあり、現在の技術レベルで実 り、もはや映像情報に触れない生活は考えられなくなってい 現可能な環境表現を用いてどのようなビジネスモデルを展開す る。ディスプレイデバイス自体はコモディティ化し、技術的側面 るか注目を集めている。その一方で計測精度や頑健性、提示 からは、高精細化、大画面化、低コスト化の進展は鈍化傾向に 品質の高さといった技術への要求もますます高まりつつあり、 あるように見えるが、現在では表示品質の向上に留まらず、ディ 今後も発展が見込まれる分野である。 スプレイデバイス自体の新たな価値の創出、そしてディスプレイ が映し出す映像情報の価値を一層高めるための研究開発が進 30 技術情報レポート 2015年度OITDA 8.7 コンピュータビジョン 述する。 ⑴ 光通信ネットワーク産業 カメラで撮影した映像を計算機に入力して処理することよ り、シーンの幾何情報を取得したり、事前に学習した物体が 本調査では、光通信ネットワーク技術に関する日米欧3極に シーン中に存在することを検出したりするように、撮影された 出願された公開特許の特許動向について、①基幹光伝送シス シーンを「理解」するコンピュータビジョン技術は、人間との光 テム、②フォトニックノード、③光ネットワーキング、④アクセス ユーザインタフェースを実現するにあたり極めて重要な要素技 ネットワーク、⑤光LAN/インターコネクト、⑥光ファイバ技術 術となる。 の6つの観点から公開特許件数の年度推移(2006年〜2015 コンピュータビジョン技術の分類については多くの考え方が 年)、出願人の国籍別比較、技術分類毎の動向調査を実施し あり、画像中の幾何構造を理解する技術と、画像中に写ってい た。 る対象が何であるかを理解する技術に大きく分類することが 本特許調査の結果から、前年に引き続き、⑴日本公開特許 できるが、Deep Learningの登場により「シーンの幾何構造の 件数は減少傾向であること、⑵米国公開特許件数は増加傾向 認識」、 「シーン内に写っている対象の認識」の境界も曖昧に にあること、⑶欧州公開特許件数は穏やかな増加傾向を示し なってきており、人間の脳と同様に画像からシーンを理解する ていることが分かった。国籍別にみた場合では米国公開特許 技術へと大きく近づきつつある印象を受ける。光インタフェース および欧州公開特許について米国国籍の件数が増加傾向にあ の動向において、今後もコンピュータビジョン分野の進化が重 るのに対し、日本公開特許については、いずれの国籍の件数も 要な鍵を握ると思われる。 減少傾向にある。 8.8 光センシング サブグループの上位技術分類を用いた技術分類調査では、日 2015年に日米欧の3極で公開された特許を対象とし、IPCの CMOS/CCDイメージセンサの画素ピッチは微細加工技術 米欧の3極いずれにおいても上位10位にランクインした技術 の進展によって年々縮小されて既にサブミクロンレベルに至 は、 「ライトガイドと光電素子との結合」、 「ファイバの機械的構 り、回折限界に近づいているが、高い臨場感を与える高精細画 造」、 「ファイバとファイバを突き合わせる手段」に関する3つ 像への要望は依然強く、これを支えるイメージセンサの高感度 の技術であった。これ以外の技術については、日本ではハード 化、低ノイズ化等、技術進化の流れは今後も継続すると予想さ ウェア関連技術が主流であるのに対して、米欧の場合はハード れる。 ウェア関連以外の技術も多いという傾向の違いがみられた。こ 近年では画像情報以外の物理情報を取得するセンシングカ れは、日本が部品提供主体のビジネスを対象とするのに対し メラとしてのカメラ技術の活用が広まっている。中でも距離画 て、米欧では製品/システムに関する技術の囲い込みを狙うと 像センシングは2000年頃より産業用途への応用が始まり、2010 いう、各国/各企業のビジネス及び特許の戦略を反映している 年にMicrosoftの家庭用ゲーム機Xbox360の入力コントローラ ものと考えられる。 「Kinect」による低廉化で爆発的に普及が進んだ。距離情報 ⑵ ディスプレイ産業 により人体の三次元姿勢を推定することで、人のジェスチャー ディスプレイ産業分野における特許調査は、日本公開特許、 によりゲーム等を操作することが一般的になった他、車載用途 米国公開特許、米国登 録特許、欧州公開特許、中国公開特 では、2008年にステレオカメラによる三角測量方式で前方の車 許、PCT出願特許を対象に、その年度推移(20 06年〜2015 両 や 歩 行 者 ま で の 距 離 情 報 を 獲 得 する富 士 重 工 業 の 年)、出願人の国籍別比較等の調査を行うとともに、ディスプレ 「EyeSight」が登場し、今後の自動運転に繋がる技術として期 イの種類別(プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL 待されている。今後はビッグデータ解析との連携によって、さま ディスプレイ)年次推移も調査した。 ざまな分野への応用展開が進み、我々の身近な生活空間にお 日欧の公開特許が減少傾向にあるのに対して、米国登録特 けるユーザインタフェースの入力手段として爆発的な普及拡大 許、中国公開特許は引き続き増加傾向を維持している。また、 が見込まれる。 2015年には米国公開特許件数が、昨年までの減少から増加に 転じている。また、公開件数のみの比較では、中国が1位を 9. 特許動向調査 保ったことに加え、米国が日本を上回り2位となっている。 9.1 光産業技術に関する特許動向調査 ⑶ 太陽光エネルギー産業 光産業分野の特許動向調査については、今年度はワーキン 太陽光エネルギー産業分野では、日米欧中の特許出願につ グ・グループ別に、光通信ネットワーク、ディスプレイ、太陽光エ いて、公開件数の年度推移(2006年〜2015年)および出願人 ネルギーの3分野について、過去10年間の特許出願動向の定 の国籍別比較等の調査を実施した。 点観測調査および分析を行った。昨年度まで調査を実施して 日本、米国、欧州および中国の公開特許件数の推移を見る いた光メモリ分野については、特許出願数の減少が続き回復 と、米国公開特許件数は2010年に、欧州および中国公開特許 の見込みも薄いことから、今年度の調査は実施しないこととし 件数は2012年に、日本公開特許件数は2013年に公開件数の た。また、光技術のトピックスとして、今年度は「光ファイバ」、 極大を示したが、いずれの国も2015年は前年よりも減少してい 「SDN」、「テラヘルツ」、「レーザ加工」、「LED照明」の5 る。日本公開特許件数と、米国、欧州および中国公開特許件 テーマを取り上げ、技術キーワード別の調査を含めた詳細な特 数とを比較すると、2013年における日本公開特許件数は米国、 許動向分析を実施した。以下、定点観測調査結果について、概 欧州および中国公開特許件数の約4.2倍から約10.9倍であった 技術情報レポート 2015年度OITDA 31 光技術動向調査 が、2015年では約1.0倍から約2.5倍となり、件数の差は縮まる 業技術振興協会 特許フォーラムを学士会館(東京都千代田 傾向がみられる。 区)で開催し、賛助会員、一般参加、合わせて10 0名以上の 方々に出席いただいた。 企業別の動向では、日本企業による出願は多く、日本におけ る累計公開特許件数の上位20社すべてが日本企業(日本出願 委員会の調査結果報告は「光通信ネットワーク産業」、 「ディ 人)、米国では上位10社中4社、欧州では上位10社中6社、中 スプレイ産業」、 「太陽光エネルギー産業」の3産業分野別の 国では上位10社中6社と、日本企業の占有率は依然として高 調査結果を報告した。 報告では、光通信ネットワーク産業分野では、特許出願から く、この傾向は今後も続くものと予測される。 みた日米欧の技術動向比較や、日米の民間情報化投資と特許 9.2 特許庁との懇談会(2015年12月2日) 件数の推移比較など、技術に踏み込んだ分析や特許出願と市 特許庁から特許審査第一部 光デバイス 井上博之 審査監 場の動向の相関を探る取り組みの一端を紹介した。また、技術 理官はじめ6名の方々にご出席いただき、特許庁との懇談会を トピックス調査報告としては、今年も「レーザ加工」を取り上げ、 実施した。 レーザ加工とレーザ光源についての要素技術別・地域別の特 特許動向調査委員会からは、児玉議長はじめ12名が出席 許動向分析結果など、技術にフォーカスを当てた分析結果を報 し、 「光産業技術の特許出願動向と特許庁への要望」と題し 告した。 て、児玉議長から特許動向調査委員会の活動紹介および調査 特別講演は、内田・鮫島法律事務所の鮫島正洋弁護士をお 結果概要報告を行なった。 招きして実施した。講演は「知財戦略のススメ-知財マネジメ また、特許庁より、“特許行政の最近の動向”と題して、井上審 ントのあるべき姿を探る-」と題し、事業競争力を向上させるた 査監理官に講演いただいた。その後、これら講演内容をふまえ めの知財戦略の4つのセオリについて、具体例を交えながらご て、出席者間で熱心な意見交換が行なわれた。 紹介いただいた。参加者からは、実践的でかつ説得力のある 講演内容に対する感謝の声が多く寄せられた。 9.3 特許フォーラム(2016年3月11日) 今年度の特許動向調査結果の報告と特別講演からなる光産 32 技術情報レポート 2015年度OITDA 技術戦略策定 1. はじめに 標に、光加工・計測技術に求められるニーズを“利便性”、“経済 当協会では、今後の光産業の発展を見定め、光技術の研究 性”、“環境性”の3軸から捉え、それらが三位一体化したモノづ 開発を方向づけることを目的に、1996年度より光テクノロジー くりを実現することを目指した。また、光加工・計測技術の応用 ロードマップ策定活動を実施している。この活動は、情報通 として光医療技術を取り上げ、将来を“安心・健康・長寿社会” 信、情報記録、ディスプレイ、光エネルギー、光加工の分野にお とするために求められる低侵襲・高度医療のための“診断”と いて、多くの国家プロジェクトの発足の基盤の一つとして、光産 “治療”のニーズを明確化した。 業技術の発展に幅広く貢献してきた。2011年度からは、新たに これらのニーズについて、実現に必要な光加工・計測技術へ “2030年代に向けた光テクノロジーロードマップ”の策定を開始 ブレイクダウンした後、それらの中から光産業の発展に寄与で した。光技術分野として、今後の発展が期待される、情報処理 き、かつ、研究開発が必要な技術を選択し、ニーズとテクノロ フォトニクス、安全・安心フォトニクス、光ユーザインタフェー ジーとを関連付けることで、研究開発を完了すべき時期を提示 ス、光情報通信、光加工・計測の5分野を選定し、5か年計画 してロードマップを完成させた。なお、これらの光加工・計測 で、年度ごとに各分野のロードマップを策定してきた。単に技 技術の適用分野に対応して、ロードマップの対象領域を、加工 術を羅列するのではなく、社会像をまず描いて課題を想定した 技術(除去、接合、成形)および3Dプリンタ技術から成るデジ うえで、解決に必要となる技術に展開していく手法を採用して タル光マニュファクチャリングと医療応用の2領域とした。 おり、社会ニーズを出発点としていることが特長としてあげられ 5か年計画の最終年である2015年度は、光加工・計測テクノ 2.1 デジタル光マニュファクチャリング:加工技術(除 去、接合、成形)分野 ロジーロードマップを策定した。技術戦略策定委員会と光技 加工技術(除去、接合、成形)分野のニーズとしては、利便 術動向調査委員会の下に、この技術領域の産業界・大学の専 性では加工の高速化・高分解能化、材料に影響されないこと 門家が10名参加する光加工・計測技術合同専門委員会を設置 や加工システムの統合など、環境性では表面加工による低摩 して、ロードマップの策定作業を進めた。今後、顕在化してくる 擦化、解体作業への応用や宇宙など場所を選ばない作業がで 少子高齢化、環境・エネルギー問題などの社会問題や、“インダ きることなど、経済性では形彫り放電加工技術の置き換えなど ストリー4.0”など製造業をはじめとするデジタル化の波に光加 がある。これらのニーズを実現するために、次に示す技術の研 工・計測技術の技術革新で対応することで、豊かで、サステイナ 究開発の推進や適用領域の拡大が求められる。 る。 マクロ加工技術では、切断は厚板への対応と切断効率の向 ブルな社会を構築していくことを目指した。 上で適用領域が広がり、ミクロ加工技術では、高速化・高時間 2. 光テクノロジーロードマップ 分 解能化によって加工除去量の精密制御が可能になること これまで、レーザは高付加価値、少量多品種生産を可能とす で、表面加工を主体とする形彫り放電加工領域においてレーザ る加工ツールとして日本のモノづくりを支えてきたが、生産が新 加工への置き換えが期待できる。 興国へシフトしていくなかで新たなコンセプトに基づく光加工・ 光源技術では、半導体レーザ、ファイバレーザなどのCW(連 計測技術を研究開発していくことが重要となってきている。同 続波)レーザ、ナノ秒パルスレーザなどの高出力化・高輝度化・ 時に、技術革新により、環境・エネルギー問題を克服しサステイ 短波長化が進むと予想される。半導体レーザは、電気-光変 ナブルな社会を実現していくことが求められている。例えば、 換効率が高い一方で、集光性と出力との両立に課題があった 近年注目を集めている3Dプリンタ技術は、“削って作る”から が、ビーム合波技術の進展で高輝度化が進んでいる。ファイバ “積み上げて作る”ムダのないモノづくりを可能とし、省資源効果 レーザは、小型化が容易、振動・衝撃に強いなどの特長があ が期待されると共に、高機能な複雑形状を一体成形する技術 り、さらなる小型化や省電力化によって可搬性が向上すれば適 として重要性が高まっている。また、指向性が高いエネルギー 用領域が大幅に拡大することが期待できる。また、ナノ秒パル ビームを用いた光加工は、モノづくりにおける省エネにも寄与す スレーザでは、材料に対する光吸収率を向上させるための短 る。さらに、ICTや計測技術と連携することで、デジタルデータ 波長化が進む。 に基づくモノづくりが可能となり、光加工技術は“つながる工 システム化技術としては、加工システムの自由度と汎用性に 場”において重要な役割を果たすものと期待されている。光加 重要となる材料供給技術における形状差分や増分処理への対 工技術を高度化するための技術として光計測技術を活用し、ナ 応、材料ハンドリング技術の高精度化などが進展し、除去・接 ノからメートルサイズまでを診ながら造ることにより、製造現場 合・成形加工システムの統合へとつながっていく。ビームデリバ においてミクロレベルからマクロレベルまでの品質管理が可能 リ技術も可搬式システムや三次元加工システムの実現に重要 となる。製品レベルへ微細化と大規模立体化を適用すること で、また、様々な場所での加工作業を容易に行うために、電源 で、身の回りの文房具から航空機、建築物に至るまでを高機能 供給機能としての無線光給電技術も重要になる。 な構造体にすることができ、使いやすさ、コスト、環境性能など 2.2 デジタル光マニュファクチャリング:3Dプリンタ 技術分野 を最適化できるようになる。また、高度な光加工・計測技術を 医療分野へ展開すれば、低侵襲・高度医療も期待できる。 光加工・計測テクノロジーロードマップの策定にあたっては、 3Dプリンタ技 術分 野のニーズとしては、利便性では3D 2030年代を“想いを価値に換える光ファブ社会”とすることを目 ファックスの高機能化や、いつでもどこでも何でも3Dプリン 技術情報レポート 2015年度OITDA 33 技術戦略策定 ティングができることなど、環境性では低温や常温で造形でき 蛍光色素などの外因性物質による抗原抗体反応などを利用 ることなど、また、経済性では造形の品質安定性と生産性の向 して特定分子を標識する分子イメージングは、内視鏡に活用す 上などがある。 るためにリアルタイム性を実現することで、高度なコンピュータ これらのニーズに対応するため、光源技術では、プラスチッ 支援手術へと発展する。また、蛍光色素などを体外から注入せ ク用のQCL(量子カスケードレーザ)と金属用のPCSEL(フォ ず無染色で行う分子イメージングは、患者負担が低減できるた トニック結晶面 発 光レーザ )の高出 力 化 が 要求され る。 め、ラマン散乱を用いる方法の開発が期待される。 PCSELは、広い発光面積で単一モード発振可能な高コヒーレ レーザ手術では、光と組織間の相互作用などに応じて、光源 ンスなレーザで、アレイ化や合波技術などの周辺技術の研究も に対して紫外から中赤外の広い範囲での波長選択、適切な強 進んでおり、高出力化と同時に低コスト化も進展が期待され 度やパルス幅の制御が必要となる。低侵襲で安全なレーザ手 る。 術を行うには、光コヒーレンストモグラフィーなどの組織の深さ 計測技術では、3Dファックスの入力装置として、CMOSイ 方向の断層像を取得できる計測装置をレーザ手術装置と融合 メージセンサを用いた3D-TOF(Time of Frame)カメラによ し、治療部位の情報をリアルタイムでフィードバックすることが る三次元計測技術が、小型化、軽量化、短時間計測などから 求められる。 有望な技術で、3Dプリンタへの応用を想定した内部構造計測 光線力学治療(PDT:Photodynamic Therapy)は、光感受 技術としてはOCT(Optical Coherence Tomography)があ 性薬剤と光との相互作用による治療法であり、内視鏡で活用 る。 すれば開腹などを行わないため極めて低侵襲な治療が可能 デリバリ技術としては、生産性を向上するためのマルチビー で、高齢者など外科的治療のリスクが高い患者に対しても適用 ム高速スキャナや、金属粉末造形や樹脂粉末造形に対応する できる。使用する光源の波長は光感受性薬剤の吸収波長に依 ための重畳レーザや多波長造形システムが進展する。さらに、 存するため、光線力学治療の光源開発は薬剤開発と並行して 3Dプリンタとプリンティドエレクトロニクスとの融合や、3Dプ 進 め る 必 要 が あ る 。さ ら に 、光 線 免 疫 治 療( P I T: リンタの造形中にプロセスをモニタリングし不具合箇所を修正 Photoimmunotherapy)は、薬剤によって分子レベルで腫瘍組 する技術や造形シミュレーション技術が構築され、造形品質の 織を標識して、そこに光を照射することで薬剤と光の相互作用 向上が進むことが期待される。 によって選択的に腫瘍細胞を治療するとともに、その前後にお いて蛍光による腫瘍部位の診断を行うという診断と治療を融合 2.3 医療応用分野 した方法で、今後の発展が期待される。 医療応用分野は、超早期診断・予防医療、低侵襲診断・治 生体内で生体機能の修復・代替やセンシングをおこなうデバ 療、生体材料・再生医療などがニーズとしてあげられる。 イスは、その役割に応じた適切な形状、弾性・塑性や、周囲の 自覚症状がない段階で疾患を発見する超早期診断や、未病 生体組織との親和性が重要で、医用人工材料にはミクロ・ナノ 段階で将来の疾病リスクを検査する予防医療への関心が高 レベルの加工が必要とされる。また、再生医療では、生体外に まっている。例えば、がん疾患などでは、血液検査でターゲット おいて再生細胞を集合させて組織を形成する際に、組織構造 とする抗原に特異的に結合する蛍光標識抗体を用いて、抗原 をミクロ・ナノスケールで制御することが必要で、光加工・計測 の有無を判定しているが、蛍光標識を必要としないバイオセン 技術の特長が生かせる対象である。 サによる新たな検査方法が実現すれば、健康診断で広く検査 が実施されるようになる。 2030年代の社会を豊かでサステイナブルなものとしていくた 生体内の診断方法である拡散光分光・分光イメージングに めには、さらに進化した情報化社会とそれを最大限に活用し新 おいて、数ピコ秒オーダのパルスレーザを照射光源に用いて受 たな価値を生み出すモノづくりが不可欠で、そのためには光加 光量の時間変化を検出する時間分解能計測は、空間分解能を 工・計測技術の高度化が必要となってくることは誰も否定しな 向上させるキー技術の一つで、安定したパルス発振が可能な小 いであろう。将来社会を支えるモノづくりの基盤となる光加工・ 型半導体レーザ、波長を切り換えるため光スイッチ、高ダイナ 計測技術を発展させ、さらに光医療技術に応用していくこと ミックレンジで低ジッタの受信器の開発が必要となる。内視鏡 は、光産業の発展に寄与するものであり、今回、光加工・計測テ 関連では、カプセル内視鏡などの適用臓器の拡大に加え、共 クノロジーロードマップとして提示できたことは、大きな意義を 焦点内視鏡やOCT内視鏡などで組織構造を細胞レベルで観 持つものである。本ロードマップが2030年に向けた光技術の 察したり、組織の内部構造を断層像として取得したりする多機 研究開発の方向性の指針となることを期待する。 能化が進む。 34 技術情報レポート 2015年度OITDA 新規事業創造 1. はじめに 表1 技術相談例 当協会では光産業分野における新規事業の創業・育成を支 1 レーザ安全性規格についての質問 援・促進するため、2015年度は以下の二つの活動を実施した。 2 レーザ安全性クラス分けと評価方法について ・技術指導制度 3 レーザ安全基準クラス分けについて 光産業技術関連の企業等からの相談・質問に応じて技術 4 計測機器の具体的な安全対策について 指導を行う技術指導制度を設けている。2015年度は、レー 5 JIS C 6802 におけるレーザクラス毎の要求仕様 ザ安全関連を中心に23件のアドバイス活動を実施した。 6 IEC のレーザーシステム全体のクラス分けの方法について ◦ 新規事業創造支援 光分野のベンチャー・中小企業等に対する支援策として、 7 レーザ安全クラス分け 本年度は「インターオプト2015」への出展支援を6社、 「注目 8 可視光レーザ光源のクラス分けについて される光技術セミナー」への講演支援を4社に実施した。 9 繰り返しパルスレーザのクラス分けについて 10 CW 線状レーザのクラス分けについて 2. 技術指導制度 11 ラインビームのクラス分け 本制度は、光技術に関わる新規事業創造を支援する目的で 12 従来型ランプとして機能するように設計されたレーザ製品 運営しており、広く光産業技術関連の企業からの相談・質問に 応じて、技術指導員を紹介し、回答を行うものである。相談の 13 「レーザ光線による障害防止対策要綱」について 内容は新規事業創造に関するものだけでなく、新商品開発や 14 AEL 値の計算 販売等で必要となる技術相談も行っている。 15 レンズを取り付けた場合の分散光源の考え方 本制度による相談・質問を受託する場合は、内容が本制度 の趣旨に合致するかどうかを判断し、相談内容に応じ最適と思 16 従来形ランプとして機能するように設計されたレーザ製品 について(その2) われる技術指導員を選定し、相談に応じている。 17 クラス1レーザ機器の認証について 2015年度の相談総数は表1に示した23件で、相談内容は、 18 レーザ切断加工機のレーザ安全評価 レーザ安全にかかわる相談、レーザポインタ等の汎用品の輸 19 レーザポインタのクラス分け 入販売時の注意事項、加工装置へのレーザ機器組み込み時の 20 クラス1レーザ機器の認証について クラス分け、安全設計に対するものが多かった。さらに海外製 21 レーザ安全規格(JIS6802(2014)および JISC6803(2013)) について 品を輸入する際の機器の安全性、輸出先の標準規格に関する 相談も見受けられた。回答は、レーザ安全の国内規格である 22 JIS C 6802 分散光源における αmax の最大値について 「JIS C 6802:2014 レーザ製品の安全基準」をベースに、アド 23 レーザ安全性規格の時間基準に関する質問 バイザが懇切丁寧に行っている。 当協会では、本制度により、レーザ機器の安全対策、クラス 3. 新規事業創造支援 分けの基準、方法を指導することでレーザ安全規格の普及を 光技術を応用した光機器、光装置あるいはシステムの研究、 目指すとともに、レーザ安全スクールへの参加を促進すること 開発、製造、販売にかかわる中小企業、ベンチャー企業(大学 でレーザ安全のレベル向上を図っている。 発ベンチャー等を含む)に対し、 「インターオプト2015」への出 展支援および「注目される光技術セミナー」への講演支援を実 施した。実施概要を表2に示す。 表2 インターオプト2015および注目される光技術セミナーへの支援社一覧 出展企業 展示内容 セミナー テーマ 株式会社QDレーザ 高機能産業・通信用半導体レーザ 通信・産業・民生用の新しい半導体レーザとその応用 シナジーオプトシステムズ 株式会社 赤外光ビームNFP計測装置 光インタコネクション分野の光デバイス光学測定・評 価技術の最新動向 株式会社ダイナセンス 携帯型近赤外線組織酸素モニタ装置 株式会社タキオン 応用LED照明機器 株式会社トクヤマ 深紫外LEDチップ技術、単結晶AlN基板技術 HVPE法窒化アルミニウム基板上深紫外線LED 日本電子精機株式会社 自動リペア装置 ファインニードルプリンター 自動リペア装置 ファインニードルプリンター 技術情報レポート 2015年度OITDA 35 研究開発推進 1. 光電子集積技術ロードマップの策定 ①2 030年までの社会動向を描き、その実現に必要なシステ ネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託により、株 ②これらのシステム/インフラに求められる性能・特徴を抽 2015年2月20日~8月28日にわたり、国立研究開発法人新エ ム/インフラを抽出 式会社富士キメラ総研と共同で「光電子集積技術の開発動向 出 及び技術ロードマップ2015の策定に関する検討」を実施した。 ③これらのシステム/インフラの性能・特徴の実現に向けて 本委託事業は、将来の高度情報化社会を支えるキーテクノロジ 必要となる技術開発課題と時期を検討 として注目される光電子集積技術の分野において、我が国が ①および②については、社会動向の変遷を踏まえ、実現技術 今後も継続して優位性を確保するために必要な戦略を明らか にこだわること無く“何が求められるのか”を「社会動向と要求 にすることを目的に、国内外の技術開発動向、関連各社の状 性能」としてマッピングした。③では、①および②を実現するた 況および 市場動向等の調査結果、有識者の知見等を取り入 めに必要となる技術課題を「光電子集積基盤技術/基盤製造 れ、2030年に向けた技術ロードマップを策定するものである。 技術」に分類してマッピングした。 技術ロードマップ策定にあたっては、委員会と原案策定会議 具体的には、2030年までの市場ニーズ、光電子集積技術の からなる2階層の会議を設置した。委員会は産学の有識者に 製品展開、必要とされる要素技術と研究開発項目等について よって構成され、将来の社会および技術動向を踏まえてロード 分析し、光電子集積技術の適用が想定・検討されるスパコン・ マップ策定方針を決定した。一方、高密度光配線、光リンク、ス サーバ、光トランシーバ等の注目市場に対してまとめることで、 イッチ・ルータ、センサ、ファブ等の各分野の専門家から構成さ 成長戦略に沿った新たな産業・市場の創出を含めた社会と技 れる原案策定会議では、各専門家が作成した担当分野の技術 術の中長期的な展開を俯瞰できるような技術ロードマップとし ロードマップについて討議を行い、上記委員会方針に沿って ている。 ロードマップ原案を策定した。原案策定会議で策定されたロー 本調査により、図1に示すように、今後電気配線を採用して ドマップ原案は委員会での討議を踏まえて修正を行うことで、 いる様々なアプリケーションに光インターコネクトが搭載され、 技術ロードマップとして確定した。 2030年には、シリコンフォトニクスを含む光電子集積技術が光 また、ロードマップ原案の検討と並行して、文献調査および インターコネクト市場全体の5割以上に拡大、光インターコネク ヒアリング等により、国内外の企業、研究開発機関の技術開発 トの主力技術に成長すると見込まれるとの結果が得られた。 状況、開発戦略、技術開発のアライアンス状況および光電子集 本成果については、10月14日(水)~16日(金)にパシフィコ 積技術関連機器の最新の市場動向等に関する調査を実施し 横浜で開催されたInterOpto2015の産業動向セミナーにおい た。これらの調査結果は、委員会および原案策定会議での議 て、NEDO 電子・材料・ナノテクノロジー部 山崎知巳 部長よ 論に反映させることにより、本調査の最終目的である技術ロー り、また、2016年2月3日(水)に当協会主催の光産業技術シン ドマップに盛り込んでいる。 ポジウムにおいて、同部の吉木政行 統括研究員より、 「光電子 今回の技術ロードマップ策定では、社会の将来像から技術 集積技術に関する開発動向及び技術ロードマップ2015」と題し 開発の方向性を明らかにするために、以下のようなバックキャス て講演をいただいた。 ティング的手順を採用した。 また、11月30日(月)~12月2日(水)に東京大学で開催され 光インターコネクト搭載(2030 年頃) シリコンフォトニクス搭載 高密度光配線 スパコン/サーバ /ルータ/スイッチ (ボード上・チップ間 人工知能ロボット 自動車 《情報処理系》 (LSI 各種) ゲーム機器 《TV ゲーム機》 (統合 GPU-メモリ間) の高密度光配線) イメージセンサ 《ハイエンド 撮像機器》 《硬性内視鏡》 (センサパッケージ 外部 I/F) 各種センサ 《バイオセンサ》 《ガスセンサ》 InP-PIC テクノロジ搭載 光リンク テレコム・ネットワーク (ライン側光リンク) 光スイッチ シリコンフォトニクス搭載 光リンク スパコン/データセンタ /サーバ (ボード間、フロア間~ラック間 の光リンク) テレコム・ネットワーク (クライアント側光リンク) ハイエンド撮像機器 (業務用・機器間光リンク) 小型 ONU モジュール 《PON 用、IoT 用》 ディスプレイ (機器内光リンク) 自動車 (安全系、インフォテインメント系光リンク) 計測機器 (機器間・内光リンク) ロボット (機器間・内光リンク) 航空機(インフォテインメント系光リンク) (FBL、SHM 向け光リンク) バイオ・医療機器 (機器間光リンク) ゲーム機器《アーケードゲーム》 (機器間光リンク) 図1 2030年頃の光電子集積技術搭載ポテンシャル (*)この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務の結果得られたものです。 36 技術情報レポート 2015年度OITDA た光電子技術に関する国際会議であるISPEC 2015 (International し発表した。将来の社会像や光電子融合技術の市場動向、技 Symposium on Photonics and Electronics Convergence – 術動向を踏まえて今後の開発戦略を包括的に検討した成果に Advanced Nanophotonics and Silicon Device Systems–)に 対して、本分野における日本の戦略的活動の一端が発信され おいて、当協会の小谷専務理事が招待講演を行い、”Roadmap た。 of Photonics and Electronics Integration Technologies”と題 技術情報レポート 2015年度OITDA 37 研 究 会 1. はじめに この間、当初のOEIC技術に加えて、光インターコネクション 光技術開発の促進と光産業の発展に貢献するため、当協会 技術、光デバイス技術およびその関連技術・応用技術に関する では、産学官の会員による「研究会・懇談会」を設置し、時代 テーマをタイムリーに取り入れながら、技術の現状および動向・ の先端を行く最新の光技術の収集および意見・情報交換を 展望について産学官会員相互の情報交換と討論を行うことで 行っている。2015年度は、 「フォトニックデバイス・応用技術研 本技術の育成と振興を図っている。本年度は、下村和彦教授 究会」、 「光材料・応用技術研究会」、 「光ネットワーク産業・ (上智大学 理工学部 機能創造理工学科)を代表とする13名 技術研究会」、 「多元技術融合光プロセス研究会」の4つの研 の幹事により運営され、会員数は57名(幹事含む)であった。 究会を設置し、講演会やパネル討論、交流会等、各技術分野 本年度の活動内容を表に示す。例年と同様、会員以外も参 に応じた活動を展開した。 加できる一般公開方式のワークショップ1回を含む計6回の研 究会を開催し、毎回活発な討議・情報交換が行われた。本年 2. フォトニックデバイス・応用技術研究会 度も、公開ワークショップ以外は毎回、講演会後にポスター 当研究会は1986年の設立後、名称を「OEIC技術懇談会」 セッション&懇談会を行い、講師の方と会員間でのより深い議 (1986~1992年)、 「OEIC・光インターコネクション技術懇談 論ができる貴重かつ有用な場として会員の方には大変ご好評を 会」 (1993~2004年)、 「フォトニックデバイス・応用技術研究 いただいた。来年度も公開ワークショップ1回を含む計6回の 会」 (2005~)と改称しながら継続的に活動している伝統ある 研究会を計画している。 研究会である。 開催回数/日 講演テーマ 講師(敬称略) 通信用デバイス 第1回 (2015/5/27) 100GbE/400GbE向け光デバイスの最新動向 白尾 瑞基(三菱電機) メタマテリアルからメタデバイスへ 〜メタマテリアルは実用デバイスに耐えうるのか?〜 雨宮 智宏(東京工業大学) OFC2015学会報告 谷澤 健(産業技術総合研究所) 新しい光技術(バイオ・医療) 第2回 (2015/7/22) 医用画像処理と3Dプリンタによる臓器実体モデル 〜仮想空間と現実空間との間のあらたなコラボレーション〜 森 健策(名古屋大学) ナノオプティクスを基盤としたバイオセンシング 斎木 敏治(慶應義塾大学) 光電子デバイスのバイオメディカル分野への応用 太田 淳(奈良先端科学技術大学院大学) シリコンフォトニクス 第3回 (2015/10/7) 2030年を見据えた光デバイス技術の展望 〜ハードウエア技術競争への回帰とシリコンフォトニクスへの期待〜 並木 周(産業技術総合研究所) 大容量インターコネクトに向けたシリコンフォトニクス技術開発 森戸 健(PETRA) 次世代光通信に向けたSiフォトニクス波長可変レーザ 小林 直樹(山梨日本電気) GFP2015報告 高林 和雅(富士通研究所) 光インターコネクト・光電子実装技術 ポリマー光導波路を用いた広帯域・高密度オンボードインターコネクトの技術動向 第4回 産総研における革新的シリコンフォトニクス技術 (2015/11/26) 光I/Oコアのチップ・スケール・パッケージング技術 ECOC2015報告 石榑 崇明(慶應義塾大学) 榊原 陽一(産業技術総合研究所) 竹村 浩一(PETRA) 西 英隆(日本電信電話) 国際光年の向こう側〜ビッグデータ時代の光技術〜 OTTがもたらす環境変化と将来の光ネットワーク 佐藤 健一(名古屋大学) 自動運転を代表例とするクルマのスマート化の進展とICTの役割・課題 ワークショップ 「京」からポスト「京」へ -スパコンが未来を変える- (2016/1/13) 400GbE受信モジュール/デバイス技術の展望と標準化動向 野辺 継男(インテル) 平尾 公彦(理化学研究所) 大野 哲一郎(日本電信電話) シリコンフォトニクスによるデジタルコヒーレント光デバイス 山崎 裕幸(日本電気) 空間多重伝送を支える光ファイバと光デバイス 松尾 昌一郎(フジクラ) 新しい光技術(エネルギー) 第5回 (2016/3/1) 分子の自己組織化に基づくフォトン・アップコンバージョンの化学 君塚 信夫(九州大学) エネルギーハーベスティング電源への色素増感型太陽電池利用 岡田 顕一(フジクラ) 宇宙太陽光発電 〜宇宙環境を利用した近未来のエネルギーシステム〜 田中 孝治(宇宙航空研究開発機構) 38 技術情報レポート 2015年度OITDA 3. 光材料・応用技術研究会 の企業紹介を実施。第2回研究会では「最新の光通信技術と この研究会は1989年度に発足した「OEIC用LN結晶評価委 今後の展望」をテーマに講演4件、国際会議報告1件を行っ 員会」に起源をもち、1990年度以降「LN結晶研究会」、 「光学 た。第3回研究会では「光材料・薄膜“ビジネスになるのは、ハ 結晶研究会」、 「光学材料・デバイス研究会」と改称して、その イパワー? 高効率? 新機能?”」をメインテーマに、講演5件と 時々の主要テーマに活動・運営を適合させ活動してきた。1998 「事業化成功への奥義はあるのか」をテーマにした講演1件お 年度から現在の「光材料・応用技術研究会」となり、2015年度 よび総合討論を実施した。宿泊開催の利点を活かして夜遅く はその第6次3か年事業の最終年として活動した。本研究会 まで活発な討議・交流が行われ、貴重な情報交換の場となっ は、光材料の産業応用への積極的な展開を図るため、光学結 た。第4回研究会では、東京大学 山上会館を利用して「レー 晶・光材料から関連デバイス、応用技術までの幅広い分野につ ザーが拓く新たな地平~量子計算から先端医療まで~」をテー いて産学官の会員相互の交流・情報交換の場を提供すること マに特別講演2件とパネルディスカッションおよび非線形・ を目的としている。 レーザーに関する講演2件を行なった。多くの会員、大学教職 今年度の研究会の講演題目を表に示す。研究会では先端技 員、一般聴講者の来場があり、パネルディスカッションでは会 術・研究について紹介し、これを元に毎回活発な討議が行われ 場も交えた活発な討議が行われた。 た。第1回研究会では「レーザーと新領域」をテーマに講演4 本年度の会員は幹事・顧問を合わせて36名で、皆方代表幹 件、国際会議報告1件、企業コーナーにて今後会員となる予定 開催回数/日 事初め12名の幹事により運営した。 講演テーマ 講師(敬称略) レーザーと新領域 ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実現 (超小型XFELおよびパルスレーザーの開発)内閣府ImPACTプログラム) 第1回 (2015/6/19) 佐野 雄二 (ImPACTプログラムマネージャー) ファイバー出力50W青色レーザー 坂本 隼規(島津製作所) RGB面発光レーザーとシネマ応用 畑中 秀和(ウシオ電機) 網膜走査型レーザアイウェア 菅原 充(QDレーザー) 国際会議OFC報告 土居 芳行(日本電信電話) 企業コーナー 芳川 満男(日本レーザー) 最新の光通信技術と今後の展望 第2回 (2015/9/4) シリコンフォトニクス ー汎用光電子融合プラットフォームー 山田 浩治(産業技術総合研究所) マルチコア光増幅技術 杉崎 隆一(古河電気工業) 5G移動体網収容に向けた光アクセスシステムの課題 寺田 純(日本電信電話) 新原理に基づく量子暗号 ー微弱レーザー光の量子的性質と盗聴困難性ー 佐々木 寿彦(東京大学) 国際会議CLEO2015報告 遊部 雅生(東海大学) 光材料・薄膜 “ビジネスになるのハイパワー?、高効率?、新機能?” 常温接合を用いた高機能固体レーザおよび波長変換デバイスの開発 庄司 一郎(中央大学) 電気光学変調器の広帯域化・低電圧化 LN?それともEOポリマ? 市川 潤一郎(住友大阪セメント) 第3回 ここまできた有機材料・導波型光デバイス-現状と将来展望 (2015/11/13) 新規シンチレータ結晶の開発と世界の動向 ドイツにおける光産業動向 ASSL国際会議から 杉原 興浩(宇都宮大学) 吉川 彰(東北大) 平等 拓範(分子科学研究所) 「事業化成功への奥義はあるのか」CLBO結晶の誕生から20年を経て ー産業応用への貢献 吉村 政志(大阪大学) レーザーが拓く新たな地平 〜量子計算から先端医療まで〜 【特別講演】コヒーレントイジングマシンによる組合せ最適化計算 【特別講演】日本の将来、科学技術の処方箋、物理学者の目 第4回 (2016/3/4) 山本 喜久 (Stanford Univ.、内閣府ImPACT 総括) 山口 栄一(京都大学) パネルディスカッション 導入トーク:光・レーザー先端研究における世界の潮流・国際 戦略分析 ー Photonic Westを中心としてー 平等 拓範(分子科学研究所) パネルディスカッション ニッポンの向かう先はいずこか? 山本 喜久、山口 栄一、平等 拓範 高分解能光コヒーレンストモグラフィーによる生体イメージング 大澤 賢太郎(日立製作所) 量子カスケードレーザーによる呼気および汎用ガス内微量物質分析装置 前川 陽(東芝) 技術情報レポート 2015年度OITDA 39 研 究 会 4. 光ネットワーク産業・技術研究会 化30年、挑戦者からの提言」をテーマとした記念講演が3件、 「光ネットワーク産業・技術研究会」は、 「フォトニックネット 午後に一般講演「グローバル化やセンサー化が進む光ファイ ワーク新時代における産業・技術懇談会」を引き継ぐ形で2011 バーの最新動向」として4件が実施され、活発な質疑応答がな 年4月に発足した。本研究会では、幹線系~FTTHの光ネット された。記念イベントに相応しいワークショップとなった。第4 ワークと光ノード、光ファイバ、光インタコネクション等の光デ 回では「社会に革新をもたらす最先端光技術を探る」をテーマ バイスに関する市場動向や技術動向の情報収集と意見交換を に4講演を実施し、将来技術についての議論がなされた。第5 行っている。また、それらの将来展望等について産業界の関係 回は、 「変貌するモバイル・アクセスネットワークとそれを支え 者を中心に学官を交えて討論することで、光ネットワーク分野 る技術の動向」をテーマに4講演を実施し、注目されるネット の産業の育成と振興を図っている。 ワーク動向についての活発な議論がなされた。 2015年度は、山林代表幹事(千歳科学技術大学)の下、16名 世の中は、IoT(Internet of Things)およびビッグデータ利 の幹事と60名の会員(幹事を含む)で運営され、表に示す光 活用、クラウドサービス、スマートフォン、高精細映像などの発 ネットワーク業界の最新テーマを選定し、第1回〜第5回の討 展により、トラヒック量は激増し質が多様化している。これに対 論会を開催した。第1回は、「将来の光ネットワーク動向を探 応するネットワークの仮想化やデータセンターの大規模化によ る」で3講演に引続き、講師全員による活発なパネル討論が行 り、光ネットワーク基盤は大きな社会変動の渦中にある。2016 われた。第2回は、 「次世代光ネットワークを支える集積光デ 年度以降も、光ネットワーク産業・技術について大いに討論を バイスの動向」で4講演と質疑応答がなされた。第3回は公開 進めていく予定である。 ワークショップとし、午前に「光ファイバー生誕50年、通信自由 開催回数/日 講演テーマ 講師(敬称略) 公開討論会「将来の光ネットワーク動向を探る」 会場:東京大学工学部(本郷)2号館 多次元変復調技術およびディジタルコヒーレント方式の最新動向 第1回 (2015/5/28) Alcatel-Lucentの考える次世代光ネットワークシステム 菊池 和朗(東京大学) 渡辺 孝(日本アルカテル・ルーセント) Flexible Grid対応な多ポート波長選択スイッチの開発 小栗 淳司(古河電気工業) パネル討論:将来の光ネットワーク動向 講師全員 公開討論会「次世代光ネットワークを支える集積光デバイスの動向」 会場:産業技術総合研究所 臨海副都心センター 別館11階 フォトニックスイッチングの技術動向とその応用 第2回 (2015/7/29) 集積化シリコン光変調器の動向と展望 金子 明正(日本電信電話) 小川 憲介(フジクラ) シリコンフォトニクス多ポート光パス・スイッチ 谷澤 健(産業技術総合研究所) 光I/Oコアの開発状況〜低消費電力・超高速の小型チップサイズ光トランシーバ~ 中村 隆宏(PETRA) 公開ワークショップ 記念講演「光ファイバー生誕50年、通信自由化30年、挑戦者からの提言」 一般講演「グローバル化やセンサー化が進む光ファイバーの最新動向」 会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 第3回 (2015/11/4) 記念講演:IEEEマイルストーン認定記念-VAD法40年を振返って 山内 良三(フジクラ) 記念講演:情報通信技術のこれまでとこれから 三木 哲也(電気通信大学) 記念講演:日本の将来を決めるICTの国際競争力の強化 ~過去の経験を踏まえての現在、近未来への提言 内海 善雄 (海外通信・放送コンサルティング協力) 途上国遠隔地への光ケーブルによるブロードバンドの浸透 岡村 治男(グローバルプラン) 光海底ケーブルシステムの技術動向 稲田 喜久(日本電気) 海底ケーブルを用いた海底地震・津波観測網について 川口 勝義(海洋研究開発機構) 減災センサと光給電カメラ 小川 雅英(古河電気工業) 公開討論会「社会に革新をもたらす最先端光技術を探る」 会場:情報通信研究機構(小金井市) レーザーネットワークを用いた非ノイマン型コンピューティング(イジングマシン) 第4回 量子鍵配送ネットワークの進展 -量子鍵配送規格提案- (2016/1/22) 宇都宮 聖子(国立情報学研究所) 藤原 幹生(情報通信研究機構) PPLN導波路を用いた位相感応型光増幅技術 遊部 雅生(東海大学) 梅木 毅伺、竹ノ内 弘和(日本電信電話) 自動運転を実現する光技術 ~LiDARと高度化地図への応用~ 村松 英治(パイオニア) 公開討論会「変貌するモバイル・アクセスネットワークとそれを支える技術の動向」 会場:住友電気工業 東京本社(赤坂センタービルディング) 第5回 (2016/3/2) 第5世代移動通信システムの展望 ―オペレータのチャレンジ― 松永 彰(KDDI) 5Gを支える次世代アクセスネットワークと光デバイス技術の最新動向 浅香 航太(日本電信電話) サービス適用を迎えたSDN/NFVの動向とハードウェア技術 片桐 徹(富士通/富士通研究所) 将来ネットワークへの取組み ~NetroSphere構想~ 安川 正祥(日本電信電話) 40 技術情報レポート 2015年度OITDA 5. 多元技術融合光プロセス研究会 産官学のエキスパートが一堂に会し、議論するための場を提供 ファイバレーザや超短パルスレーザなどの光プロセス技術 することが本研究会の目的である。慶應義塾大学の小原 實 を、従来の枠を超えた幅広い産業分野に導入するためには、今 名誉教授を代表幹事とする19名の幹事の下、59名の会員(幹 までの光源や光学系に関する技術分野だけでは不十分であ 事含む)により、今年度も、下表のように時代の最先端を行く り、加工する材料や構造、製品の種類や用途に応じて、物理化 テーマで計5回の研究交流会を開催した。また、第3回研究交 学現象、前後工程、制御系や計測・分析技術など、多元的な技 流会では、研究交流会の会場となった理化学研究所の光量子 術を効果的に融合する必要がある。こうした多様な技術を持つ 工学研究領域部門の見学会を併催し好評であった。 開催回数/日 講演テーマ 講師(敬称略) 光応用プロセスの基礎と先端技術 第1回 (2015/7/2) LAMP/LPM 2015報告 新納 弘之(産業技術総合研究所) LAMP/HPL 2015報告 渡辺 俊哉(三菱重工業) 固体表面レーザ励起現象計測における高次高調波分光の可能性 小栗 克弥(日本電信電話) レーザ転写による微細パターン形成技術 奈良崎 愛子(産業技術総合研究所) 炭酸ガスレーザによるTGV(ガラス貫通穴)形成 小島 哲夫(三菱電機) LPP-EUVリソグラフィの現状と展望 藤本 准一(ギガフォトン) 加工用レーザ、ビームデリバリ光学系、光部品等の最新技術動向 国際会議参加報告:各種加工用レーザ及びビームデリバリ光学系開発の最新動向 “Progress on Femtosecond Laser Sources for Material Processing” 第2回 (2015/8/19) 鷲尾 邦彦(パラダイムレーザーリサーチ) Linas Giniûnas (Light Conversion Ltd., Lithuania) kW級ファイバレーザと高速変調加工 瀬下 勇一(古河電気工業) ガルバノスキャナ製品とスキャン光学系での加工事例の紹介 久米 政治(キヤノン) 高品質プリンタ用40ch VCSELアレイ素子と高出力化動向 軸谷 直人(リコー) フェムト秒レーザと多軸ガルバノヘッドを用いた高品質穴あけ加工について 蛭田 達郎(伯東) 【話題提供】全固体レーザ励起用狭スペクトル幅・高出力レーザダイオードスタック 鄭 宇進(浜松ホトニクス) 電機業界におけるレーザ溶接及び接合プロセス技術とその解析技術 第3回 (2015/11/5) 板金加工の溶接課題に対するレーザ溶接提案 浅野 浩(アマダ) レーザ溶接の流体シミュレーション 窪田 英佑(フローサイエンスジャパン) レーザコーティングプロセスと計算科学シミュレーションおよびSPring-8放射光X線によ る評価 村松 壽晴(日本原子力研究開発機構) 3次元光メタマテリアルの加工技術 田中 拓男(理化学研究所) 【光量子工学研究領域紹介】 緑川 克美(理化学研究所) 自動車等産業向け高出力レーザ加工技術の最新動向 第4回 (2015/12/9) 自動車産業におけるレーザ加工技術の応用 樽井 大志(日産自動車) 高出力半導体レーザおよびホットワイヤを用いた溶接技術の開発 山本 元道(広島大学) タンデムアークを用いた厚鋼板のレーザ・アークハイブリッド溶接 小野 昇造(三井造船) 高出力ダイオードレーザーの応用および20kWレーザーの活用 木野本 亮(レーザーライン) 高輝度高出力ダイレクトダイオードレーザ搭載リモート溶接ロボットシステムと加工応用 西村 仁志(パナソニック溶接システム) 超短パルスレーザによる工具先端へのマイクロテクスチャリング事例と効果について 照井 正人(リプス・ワークス) 光が拓く豊かな未来(光計測・感覚センシングからエネルギーまで 光波応用の新展開) 第5回 (2016/3/2) プラズモン新機能発現:高効率光エネルギー変換システム構築へ向けた挑戦 三澤 弘明(北海道大学) レーザ超音波可視化検査装置の開発 高坪 純治(つくばテクノロジー) テラヘルツ光源と検出技術の最前線 南出 泰亜(理化学研究所) ワンショット紫外 ー可視分光OCTで診る断層画像 中村 崇市郎(富士フイルム) 匂い・香り・ガス成分の光バイオセンシングと可視化計測(探嗅カメラ) 三林 浩二(東京医科歯科大学) 【話題提供】フジクラのファイバレーザ 技術情報レポート 2015年度OITDA 島 研介(フジクラ) 41 標 準 化 1. はじめに 国際幹事等輩出分野に係る国際標準化活動:光ファイバ相互 当協会設立以来、標準化事業は協会の活動の重要な一翼を 接続用コネクタの光学互換に関する国際標準化」および「政府 担っており、広くオプトエレクトロニクスの標準化を推進して来 戦略分野に係る国際標準化活動:高耐性レーザガードの評価 た。その範疇は光伝送分野を中心に、数々のファイバオプティ 方法に関する国際標準化」を、また日本規格協会(JSA)から クス応用分野、レーザ分野での国内のみならずIEC、ISO等の は高機能JIS等整備事業として「高機能JIS開発:光ディスクに 国際標準化活動も対象として、変革する産業構造にも迅速に おいてデジタルデータの長期保存を可能とする高品質アーカイ 対応すべく、政策的な標準化を各分野別部会で検討を重ねて ブグレード評価基準に関するJIS開発」と、多数のプロジェクト いる。図1に今年度の光産業技術標準化会組織図を示す。 を受託した他、例年通り、多数のJIS案件についてはJSA公募を 今年度は、昨年度に引き続き、経済産業省(METI)から省 中心に作成した。 エネルギー等国際標準共同研究開発・普及基盤構築事業とし 当協会が作成したJIS原案は、部会メンバーは元より関係諸 て「大口径マルチモード光ファイバ・コネクタ及びその通信性能 機関の多大な御尽力により、今年度も15件の制定・改正がなさ に関する国際標準化・普及基盤構築」を受託した。更に、三菱 れるに至った。今年度までに当協会各分野別標準化部会で素 総合研究所(MRI)からは、エネルギー使用合理化国際標準 案作成を行い制定されたJISを表1に、またOITDA規格および 化推進事業として「省エネルギー等国際標準開発:新光源プロ 技術資料(TP)を表2に示し、以下各部会および委員会の活 ジェクタ及びファイバレーザの安全に関する国際標準化」、戦 動について報告する。 略的国際標準化加速事業として「社会ニーズ(安全・安心)・ ファイバオプティクス標準化部会 企画調整専門部会 総 会 ダイナミックモジュール専門部会 建物内光配線システム専門部会 光ファイバセンサ専門部会 光ファイバ標準化部会 光コネクタ標準化部会 光受動部品標準化部会 光能動部品標準化部会 光増幅器標準化部会 光サブシステム標準化部会 光測定器標準化部会 TC 76/レーザ安全性標準化部会 ISO/TC 172/SC 9 国内対策部会 ISO/TC 172/SC 9/WG 7国内対策専門部会 光ディスク標準化部会 メディア専門部会 フォーマット専門部会 アプリケーション専門部会 委託・補助事業 大口径マルチモード光ファイバ・コネクタ及 びその通信性能に関する国際標準化・普及基 盤構築提案委員会 光ファイバ相互接続用コネクタの光学互換に 関する国際標準化提案委員会 レーザ安全性標準化委員会 新光源プロジェクタ専門委員会 ビームデリバリ専門委員会 高耐性レーザガード国際標準化提案委員会 光ディスクアーカイブグレード標準化委員会 図1 光産業技術標準化会組織図(2015年度) 42 技術情報レポート 2015年度OITDA 表1 オプトエレクトロニクス日本工業規格(JIS)リスト (2016年3月31日現在) 標準化部会 光ファイバ 光コネクタ 規 格 名 称 番 号 制定改正日 1 光ファイバ通則 JIS C 6820 改 2009.12.21 2 光ファイバ機械特性試験方法 JIS C 6821 改 1999.07.20 3 光ファイバ構造パラメータ試験方法-寸法特性 JIS C 6822 改 2009.12.21 4 光ファイバ損失試験方法 JIS C 6823 改 2010.03.23 5 マルチモード光ファイバ帯域試験方法 JIS C 6824 改 2009.12.21 6 光ファイバ構造パラメータ試験方法-光学的特性 JIS C 6825 改 2009.12.21 7 光ファイバ波長分散試験方法 JIS C 6827 改 2015.03.20 8 光ファイバコード JIS C 6830 改 1998.02.20 9 光ファイバ心線 JIS C 6831 改 2001.08.20 10 石英系マルチモード光ファイバ素線 JIS C 6832 改 2009.03.20 11 多成分系マルチモード光ファイバ素線 JIS C 6833 改 1999.02.20 12 プラスチッククラッドマルチモード光ファイバ素線 JIS C 6834 改 1999.02.20 13 石英系シングルモード光ファイバ素線 JIS C 6835 改 2012.01.20 14 全プラスチックマルチモード光ファイバコード JIS C 6836 改 1999.04.20 15 全プラスチックマルチモード光ファイバ素線 JIS C 6837 改 2015.03.20 16 テープ形光ファイバ心線 JIS C 6838 改 2001.03.20 17 屋内用テープ形光ファイバコード JIS C 6839 改 2008.01.20 18 光ファイバ偏波クロストーク試験方法 JIS C 6840 制 2006.03.25 19 光ファイバ心線融着接続方法 JIS C 6841 改 1999.07.20 20 光ファイバ偏波モード分散試験方法 JIS C 6842 制 2012.05.21 21 光ファイバケーブル通則 JIS C 6850 改 2006.01.20 22 光ファイバケーブル特性試験方法 JIS C 6851 改 2006.01.20 23 全プラスチックマルチモード光ファイバ機械特性試験方法 JIS C 6861 改 1999.04.20 24 マルチモード光ファイバモード遅延時間差試験方法 JIS C 6864 制 2008.01.20 25 光ファイバケーブル-第2部:屋内ケーブル-品種別通則 JIS C 6870-2 制 2006.11.20 26 光ファイバケーブル-第2-10部:屋内ケーブル- 1心及び2心光ファイバケーブル品種別通則 JIS C 6870-2-10 制 2008.01.20 27 光ファイバケーブル-第2-11部:屋内ケーブル- 構内配線用1心及び2心光ファイバケーブル細則 JIS C 6870-2-11 制 2009.12.21 28 光ファイバケーブル-第2-20部:屋内ケーブル- 屋内配線用多心光ファイバケーブル品種別通則 JIS C 6870-2-20 制 2008.01.20 29 光ファイバケーブル-第2-21部:屋内ケーブル- 構内配線用多心光ファイバケーブル細則 JIS C 6870-2-21 制 2009.12.21 30 光ファイバケーブル-第2-31部:屋内ケーブル- 構内配線用テープ形光ファイバコード細則 JIS C 6870-2-31 制 2009.12.21 31 光ファイバケーブル-第3部:屋外ケーブル- 品種別通則 JIS C 6870-3 制 2006.11.20 32 光ファイバケーブル-第3-10部:屋外ケーブル- ダクト・直埋用及びラッシング形架空用光ファイバケーブル品種別通則 JIS C 6870-3-10 制 2011.01.20 33 光ファイバケーブル-第3-20部:屋外ケーブル- 自己支持形架空用光ファイバケーブル品種別通則 JIS C 6870-3-20 制 2011.01.20 34 偏波面保存光ファイバ構造パラメータ試験方法 JIS C 6871 制 2008.10.20 35 偏波面保存光ファイバビート長試験方法 JIS C 6872 制 2008.10.20 36 偏波面保存光ファイバ素線 JIS C 6873 制 2009.12.21 1 光ファイバコネクタ通則 JIS C 5962 改 2001.03.20 2 光ファイバコネクタ試験方法 JIS C 5961 改 2005.02.20 光ファイバコネクタ試験方法(追補1) JIS C 5961 改 2009.07.20 3 光ファイバコード付き光コネクタ通則 JIS C 5963 制 2001.03.20 4 光ファイバコネクタかん合標準-第4部:SC形光ファイバコネクタ類(F04形) JIS C 5964-4 制 2014.03.20 5 光ファイバコネクタかん合標準-第4-1部:SC形光ファイバコネクタ類-SC-PC簡易レセプタ JIS C 5964-4-1 クル(F16形) 制 2014.06.20 6 光ファイバコネクタかん合標準-第5部:MTコネクタ類(F12形) JIS C 5964-5 制 2012.05.21 7 光ファイバコネクタかん合標準-第6部:MU形光ファイバコネクタ類(F14形) JIS C 5964-6 制 2014.03.20 技術情報レポート 2015年度OITDA 43 標 準 化 標準化部会 光コネクタ 規 格 名 称 番 号 制定改正日 8 光ファイバコネクタかん合標準-第6-1部:MU形光ファイバコネクタ類-MU-PC簡易レセプ タクル(F17形) JIS C 5964-6-1 制 2014.03.20 9 光ファイバコネクタかん合標準-第7部:MPOコネクタ類(F13) JIS C 5964-7 制 2010.03.23 10 光ファイバコネクタかん合標準-第13部:FC-PC形光ファイバコネクタ類(F01形) JIS C 5964-13 制 2015.03.20 11 光ファイバコネクタかん合標準-第18部:MT-RJコネクタ類(F19形) JIS C 5964-18 制 2014.06.20 12 光ファイバコネクタかん合標準-第20部:LC形光ファイバコネクタ類 JIS C 5964-20 改 2015.03.20 13 光ファイバコネクタ光学互換-第1部:シングルモード(1 310 nmゼロ分散形) 光ファイバ用光学互換標準の通則 JIS C 5965-1 制 2009.07.20 14 光ファイバコネクタ光学互換-第2-1部:シングルモード直角PC端面 光ファイバ光学互換標準の指針 JIS C 5965-2-1 制 2011.10.20 15 光ファイバコネクタ光学互換-第2-2部:シングルモード斜めPC端面 光ファイバ光学互換標準の指針 JIS C 5965-2-2 制 2011.10.20 16 光ファイバコネクタ光学互換-第3-1部:シングルモード光ファイバ用直径2.5 mm及び 1.25 mm円筒形全ジルコニア直角PC端面フェルール光学互換標準 JIS C 5965-3-1 制 2011.10.20 17 光ファイバコネクタ光学互換-第3-2部:シングルモード光ファイバ用直径2.5 mm及び 1.25 mm円筒形全ジルコニア8度斜めPC端面フェルール光学互換標準 JIS C 5965-3-2 制 2011.10.20 18 F01形単心光ファイバコネクタ(FCコネクタ) JIS C 5970 改 2015.03.20 19 F02形単心光ファイバコネクタ JIS C 5971 改 1998.05.20 20 F03形単心光ファイバコネクタ JIS C 5972 改 1998.05.20 21 F04形光ファイバコネクタ(SCコネクタ) JIS C 5973 改 2014.03.20 22 F05形単心光ファイバコネクタ JIS C 5974 改 1998.05.20 23 F06形単心光ファイバコネクタ JIS C 5975 改 1998.05.20 24 F07形2心光ファイバコネクタ JIS C 5976 改 2001.03.20 25 F08形2心光ファイバコネクタ JIS C 5977 改 1998.05.20 26 F09形単心光ファイバコネクタ JIS C 5978 改 1998.05.20 27 F10形単心光ファイバコネクタ JIS C 5979 改 1998.05.20 28 F11形光ファイバコネクタ JIS C 5980 改 1998.05.20 29 F12形多心光ファイバコネクタ(MTコネクタ) JIS C 5981 改 2012.05.21 30 F13形多心光ファイバコネクタ(MPOコネクタ) JIS C 5982 改 2010.03.23 31 F14形光ファイバコネクタ(MUコネクタ) JIS C 5983 改 2014.03.20 32 F15形光ファイバコネクタ JIS C 5984 制 2001.03.20 33 F16形光ファイバコネクタ(SC-SRコネクタ) JIS C 5985 改 2014.06.20 34 F17形光ファイバコネクタ(MU-SRコネクタ) JIS C 5986 改 2014.03.20 35 F18形光ファイバコネクタ JIS C 5987 制 2005.12.20 36 F19形光ファイバコネクタ(MT-RJコネクタ) JIS C 5988 改 2014.06.20 37 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-2部:繰返しかん合試験 JIS C 61300-2-2 制 2011.03.22 38 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-4部:光ファイバクランプ強度試験(軸方向引張り) JIS C 61300-2-4 制 2015.03.20 39 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-5部:光ファイバクランプ強度試験(ねじり) JIS C 61300-2-5 制 2013.03.21 40 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-6部:かん合部締結強度試験(軸方向引張り) JIS C 61300-2-6 制 2014.03.20 41 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-7部:かん合部締結強度試験(曲げモーメント) JIS C 61300-2-7 制 2015.03.20 42 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-11部:光ファイバクランプ強度試験(軸方向圧縮) JIS C 61300-2-11 制 2015.03.20 43 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-15部:結合部ねじり試験 JIS C 61300-2-15 制 2012.05.21 44 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-24部:応力印加によるセラミック割りスリーブのスクリーニング試験 JIS C 61300-2-24 制 2016.03.22 45 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-27部:ダスト試験(層流) JIS C 61300-2-27 制 2014.03.20 46 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-40部:SM調心円筒形斜めPC端面光ファイバコネクタプラグの挿入損失スクリーニング 試験 JIS C 61300-2-40 制 2015.11.20 47 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-41部:SM調心円筒形直角PC端面光ファイバコネクタプラグの挿入損失スクリーニング 試験 JIS C 61300-2-41 制 2015.11.20 44 技術情報レポート 2015年度OITDA 標準化部会 光コネクタ 光受動部品 規 格 名 称 番 号 制定改正日 48 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-44部:光ファイバクランプ強度試験-繰返し曲げ JIS C 61300-2-44 制 2015.11.20 49 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-1部:外観検査及び機械的検査 JIS C 61300-3-1 制 2013.11.20 50 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-4部:損失測定 JIS C 61300-3-4 制 2011.03.22 51 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-11部:結合力及び離脱力測定 JIS C 61300-3-11 制 2013.03.21 52 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-15部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の頂点偏心量測定 JIS C 61300-3-15 制 2012.05.21 53 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-16部:球面研磨光ファイバコネクタのフェルール端面の曲率半径測定 JIS C 61300-3-16 制 2012.05.21 54 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-17部:斜め研磨光ファイバコネクタのフェルールの端面角度測定 JIS C 61300-3-17 制 2013.11.20 55 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-22部:フェルール押圧力測定 JIS C 61300-3-22 制 2014.03.20 56 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-23部:フェルール端面からの光ファイバ引込み量測定 JIS C 61300-3-23 制 2013.11.20 57 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-24部:偏波面保存光ファイバ付き光ファイバコネクタのキー位置精度測定 JIS C 61300-3-24 制 2012.11.20 58 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-25部:フェルール及び光ファイバ取付け直角PC端面フェルールの同心度測定 JIS C 61300-3-25 制 2014.12.22 59 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-26部:光ファイバとフェルール軸との角度ずれの測定 JIS C 61300-3-26 制 2011.03.22 60 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-27部:多心光ファイバコネクタプラグの穴位置測定 JIS C 61300-3-27 制 2012.05.21 61 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-30部:多心光ファイバコネクタ用フェルールの研磨角度及び光ファイバ位置測定 JIS C 61300-3-30 制 2010.05.20 62 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-33部:ピンゲージを用いた割りスリーブのフェルール引抜力測定 JIS C 61300-3-33 制 2014.12.22 63 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-34部:ランダム接続時の挿入損失 JIS C 61300-3-34 制 2012.11.20 64 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-36部:光ファイバコネクタフェルールの内径及び外径の測定 JIS C 61300-3-36 制 2012.05.21 65 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-40部:偏波面保存光ファイバ付き光ファイバコネクタプラグの偏波消光比測定 JIS C 61300-3-40 制 2014.12.22 1 空間ビーム光用受動部品通則 JIS C 5860 改 1997.11.20 2 干渉フィルタ通則 JIS C 5870 改 2009.03.20 3 干渉フィルタ試験方法 JIS C 5871 改 2011.01.20 4 位相子通則 JIS C 5876-1 制 2009.03.20 5 偏光子-第1部:通則 JIS C 5877-1 改 2015.03.20 6 偏光子試験方法 JIS C 5877-2 制 2012.01.20 7 光伝送用受動部品通則 JIS C 5900 改 2013.03.21 8 光伝送用受動部品試験方法 JIS C 5901 改 2001.03.20 光伝送用受動部品試験方法(追補1) JIS C 5901 改 2009.07.20 9 波長選択性のない光ブランチングデバイス-第1部:通則 JIS C 5910-1 制 2014.03.20 10 波長選択性のない光ブランチングデバイス-第3部: シングルモード光ファイバピッグテール形1×N及び2×N光ブランチングデバイス JIS C 5910-3 制 2015.03.20 11 波長スイッチ通則 JIS C 5912 制 2006.03.25 12 光サーキュレータ通則 JIS C 5914 改 2013.03.21 13 シングルモード光ファイバピッグテール型光サーキュレータ JIS C 5915 制 2009.12.21 14 光伝送用分散補償器通則 JIS C 5916 改 2012.05.21 15 光ファイバ形分散補償器 JIS C 5916-3 制 2013.11.20 16 光伝送用パワー制御受動部品-第1部:通則 JIS C 5920-1 制 2015.11.20 17 シングルモード光ファイバピッグテール型固定光減衰器 JIS C 5921 制 2009.12.21 18 光伝送用WDMデバイス-第1部:通則 JIS C 5925-1 改 2016.03.22 19 シングルモード光ファイバピッグテール形C/LバンドWDMデバイス JIS C 5925-3 制 2011.01.20 20 シングルモード光ファイバピッグテール形980/1 550 nm WWDMデバイス JIS C 5925-4 制 2011.01.20 21 シングルモード光ファイバピッグテール形中規模1×N DWDMデバイス JIS C 5925-5 制 2013.11.20 22 光伝送用光フィルタ-第1部:通則 JIS C 5926-1 制 2014.03.20 技術情報レポート 2015年度OITDA 45 標 準 化 標準化部会 光受動部品 光能動部品 規 格 名 称 番 号 制定改正日 23 光伝送用スイッチ-第1部:通則 JIS C 5930-1 制 2016.03.22 24 光スイッチ試験方法 JIS C 5931 制 1988.11.01 25 光アイソレータ通則 JIS C 5932 改 2012.05.21 26 光アイソレータ試験方法 JIS C 5933 改 2012.11.20 27 光伝送用レンズ通則 JIS C 5934 制 1999.07.20 28 光伝送用レンズ試験方法 JIS C 5935 制 2005.01.20 29 シングルモード光ファイバピッグテール形光アイソレータ JIS C 5936-3 制 2011.01.20 30 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第1部:通則 JIS C 61300-1 改 2015.03.20 31 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-1部:正弦波振動試験 JIS C 61300-2-1 制 2012.11.20 32 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-9部:衝撃試験 JIS C 61300-2-9 制 2012.11.20 33 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-12部:落下衝撃試験 JIS C 61300-2-12 制 2011.01.20 34 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-14部:光パワー損傷のしきい値試験 JIS C 61300-2-14 制 2011.01.20 35 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-17部:低温試験 JIS C 61300-2-17 制 2009.07.20 36 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-18部:高温試験 JIS C 61300-2-18 制 2009.07.20 37 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-19部:高温高湿試験(定常状態) JIS C 61300-2-19 制 2009.07.20 38 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-21部:混合温湿度サイクル試験 JIS C 61300-2-21 制 2012.11.20 39 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-22部:温度サイクル試験 JIS C 61300-2-22 制 2012.01.20 40 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-26部:塩水噴霧試験 JIS C 61300-2-26 制 2013.03.21 41 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-45部:浸水試験 JIS C 61300-2-45 制 2009.07.20 42 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-46部:湿熱サイクル試験 JIS C 61300-2-46 制 2011.03.22 43 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-47部:熱衝撃試験 JIS C 61300-2-47 制 2012.01.20 44 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第2-48部:温湿度サイクル試験 JIS C 61300-2-48 制 2010.03.23 45 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-2部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性 JIS C 61300-3-2 制 2012.01.20 46 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-3部:挿入損失及び反射減衰量変化のモニタ方法 JIS C 61300-3-3 制 2009.07.20 47 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-6部:反射減衰量測定 JIS C 61300-3-6 制 2011.01.20 48 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-7部:シングルモード光部品の光損失及び反射減衰量の波長依存性測定 JIS C 61300-3-7 制 2012.11.20 49 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-20部:波長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティビティ測定 JIS C 61300-3-20 制 2009.07.20 50 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-21部:切替時間測定 JIS C 61300-3-21 制 2016.03.22 51 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-28部:過渡損失測定 JIS C 61300-3-28 制 2009.07.20 52 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-31部:光ファイバ光源の結合パワー比測定 JIS C 61300-3-31 制 2009.07.20 53 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-32部:光受動部品の偏波モード分散測定 JIS C 61300-3-32 制 2013.03.21 54 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-38部:群遅延、波長分散及び位相リップルの測定 JIS C 61300-3-38 制 2015.11.20 55 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-43部:光ファイバ光源のモードトランスファファンクション測定 JIS C 61300-3-43 制 2012.11.20 56 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び測定手順- 第3-50部:光スイッチのクロストーク測定 JIS C 61300-3-50 制 2016.03.22 1 光伝送用半導体レーザ通則 JIS C 5940 改 1997.08.20 2 光伝送用半導体レーザ測定方法 JIS C 5941 改 1997.08.20 46 技術情報レポート 2015年度OITDA 標準化部会 光能動部品 光増幅器 規 格 名 称 番 号 制定改正日 3 再生及び記録用半導体レーザ通則 JIS C 5942 改 2010.05.20 4 再生及び記録用半導体レーザ測定方法 JIS C 5943 改 2010.05.20 5 光伝送用半導体レーザモジュール通則 JIS C 5944 改 2005.04.20 6 光伝送用半導体レーザモジュール測定方法 JIS C 5945 改 2005.04.20 7 光ファイバ増幅器用半導体レーザモジュール通則 JIS C 5946 制 2005.01.20 8 光ファイバ増幅器用半導体レーザモジュール測定方法 JIS C 5947 制 2005.01.20 9 光伝送用半導体レーザモジュールの信頼性評価方法 JIS C 5948 制 2007.03.20 10 光伝送用発光ダイオード通則 JIS C 5950 改 1997.08.20 11 光伝送用発光ダイオード測定方法 JIS C 5951 改 1997.08.20 12 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第1部:総則 JIS C 5952-1 制 2008.09.20 13 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第2部:MT-RJ(F19形)コネクタ付10ピンSFF形光トランシーバ JIS C 5952-2 制 2008.09.20 14 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第3部:MT-RJ(F19形)コネクタ付20ピンSFF形光トランシーバ JIS C 5952-3 制 2008.09.20 15 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第4部:PNコネクタ付1×9ピンプラスチック光ファイバ光トランシーバ JIS C 5952-4 制 2008.09.20 16 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第5部:SC(F04形)コネクタ付1×9ピン光送信・受信モジュール及び光トランシーバ JIS C 5952-5 制 2008.09.20 17 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第6部:ATM-PON用光トランシーバ JIS C 5952-6 制 2008.09.20 18 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第7部:LCコネクタ付10ピンSFF形光トランシーバ JIS C 5952-7 制 2008.09.20 19 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第8部:LCコネクタ付20ピンSFF形光トランシーバ JIS C 5952-8 制 2008.09.20 20 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第9部:MU(F14形)コネクタ付10ピンSFF形光トランシーバ JIS C 5952-9 制 2008.09.20 21 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第10部:MU(F14形)コネクタ付20ピンSFF形光トランシーバ JIS C 5952-10 制 2008.09.20 22 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第11部:14ピン変調器集積形半導体レーザ送信モジュール JIS C 5952-11 制 2008.09.20 23 光伝送用能動部品-パッケージ及びインタフェース標準- 第12部:同軸形高周波コネクタ付半導体レーザ送信モジュール JIS C 5952-12 制 2008.09.20 24 光伝送用能動部品-性能標準-第1部:総則 JIS C 5953-1 制 2007.03.20 25 光伝送用能動部品-性能標準- 第3部:2.5 Gbit/s変調器集積形半導体レーザモジュール JIS C 5953-3 制 2007.03.20 26 光伝送用能動部品-性能標準- 第4部:1 300 nmギガビットイーサネット用光トランシーバ JIS C 5953-4 制 2008.09.20 27 光伝送用能動部品-性能標準- JIS C 5953-5 第5部:半導体レーザ駆動回路及びクロックデータ再生回路内蔵ATM-PON用光トランシーバ 制 2008.10.20 28 光伝送用能動部品-性能標準- 第6部:650 nm、250 Mbit/sプラスチック光ファイバ伝送用光トランシーバ JIS C 5953-6 制 2009.03.20 29 光伝送用能動部品-試験及び測定方法-第1部:総則 JIS C 5954-1 制 2008.10.20 30 光伝送用能動部品-試験及び測定方法- 第2部:ATM-PON用光トランシーバ JIS C 5954-2 制 2008.10.20 31 光伝送用能動部品-試験及び測定方法- 第3部:単心直列伝送リンク用光送・受信モジュール JIS C 5954-3 制 2013.03.21 32 光伝送用フォトダイオード通則 JIS C 5990 改 1997.08.20 33 光伝送用フォトダイオード測定方法 JIS C 5991 改 1997.08.20 34 低速光伝送リンク用送・受信モジュール通則 JIS C 6110 改 1997.11.20 35 低速光伝送リンク用送・受信モジュール測定方法 JIS C 6111 改 1997.11.20 36 光変調器モジュール通則 JIS C 6114-1 制 2006.01.20 37 光変調器モジュール測定方法 JIS C 6114-2 制 2006.01.20 38 pin-FETモジュール通則 JIS C 6115-1 制 2006.01.20 39 pin-FETモジュール測定方法 JIS C 6115-2 制 2006.01.20 1 光増幅器-通則 JIS C 6121 改 2010.03.23 2 光増幅器-第5-2部:品質評価規格-光ファイバ増幅器の信頼性評価 JIS C 6121-5-2 制 2007.03.20 3 光増幅器-第6-1部:インタフェース-コマンドセット JIS C 6121-6-1 制 2013.11.20 4 光増幅器-測定方法-第1-1部:パワーパラメータ及び利得パラメータ-光スペクトラムアナ ライザ法 JIS C 6122-1-1 制 2011.03.22 技術情報レポート 2015年度OITDA 47 標 準 化 標準化部会 光増幅器 光サブシステム 光測定器 規 格 名 称 番 号 制定改正日 5 光増幅器-測定方法-第1-2部:パワーパラメータ及び利得パラメータ- 電気スペクトラムアナライザ法 JIS C 6122-1-2 制 2011.03.22 6 光増幅器-測定方法-第1-3部:パワーパラメータ及び利得パラメータ- 光パワーメータ法 JIS C 6122-1-3 制 2011.03.22 7 光増幅器-測定方法-第3部:雑音指数パラメータ JIS C 6122-3 改 2011.03.22 8 光増幅器-測定方法-第3-1部:雑音指数パラメータ-光スペクトラムアナライザ法 JIS C 6122-3-1 制 2011.10.20 9 光増幅器-測定方法-第3-2部:雑音指数パラメータ-電気スペクトラムアナライザ試験方法 JIS C 6122-3-2 制 2006.01.20 10 光増幅器-測定方法-第4-1部:過渡パラメータ-二波長法を用いた利得パラメータ測定 JIS C 6122-4-1 制 2013.11.20 11 光増幅器-測定方法-第4-2部:過渡パラメータ-広帯域光源法を用いた利得パラメータ測定 JIS C 6122-4-2 制 2013.11.20 12 光ファイバ増幅器-測定方法-第5-1部:反射率パラメータ測定方法- 光スペクトラムアナライザを用いた測定方法 JIS C 6122-5-1 制 2001.08.20 13 光ファイバ増幅器-測定方法-第6部:漏れ励起光パラメータ測定方法 JIS C 6122-6 制 1998.02.20 14 光ファイバ増幅器-測定方法-第7部:波長帯域外挿入損失測定方法 JIS C 6122-7 制 1998.02.20 15 光増幅器-測定方法-第10-1部:マルチチャネルパラメータ- 光スイッチ及び光スペクトラムアナライザを用いたパルス法 JIS C 6122-10-1 制 2007.03.20 16 光増幅器-測定方法-第10-2部:マルチチャネルパラメータ- ゲート付き光スペクトラムアナライザを用いたパルス法 JIS C 6122-10-2 制 2010.03.23 17 光増幅器-測定方法-第10-3部:マルチチャネルパラメータ- プローブ法 JIS C 6122-10-3 制 2012.01.20 18 光増幅器-測定方法-第10-4部:マルチチャネルパラメータ- 光スペクトラムアナライザを用いた補間法 JIS C 6122-10-4 制 2012.11.20 19 光増幅器-測定方法-第11-1部:偏波モード分散パラメータ- ジョーンズマトリクス固有値解析(JME)法 JIS C 6122-11-1 制 2010.05.20 20 光増幅器-性能仕様テンプレート-第1部:単一チャネル用光増幅器 JIS C 6123-1 改 2015.03.20 21 光増幅器-性能仕様テンプレート-第4部:マルチチャネル用光増幅器 JIS C 6123-4 改 2015.03.20 22 光増幅器-光増幅器における光損傷及び安全に関する光パワーの許容限界 TR C 0047 公 2007.10.01 (継 2018.02.28) 公 2010.07.01 (限 2020.10.31) 公 2014.08.01 23 光増幅器-一般情報-偏波モード分散パラメータ TR C 0048 24 光増幅器-分布ラマン増幅 TR C 0057 (限 2019.07.31) 1 光ファイバ通信サブシステム試験方法-中心波長及びスペクトル幅測定 JIS C 61280-1-3 制 2010.05.20 2 光ファイバ通信サブシステム試験方法-受信感度及びオーバロード測定 JIS C 61280-2-1 制 2010.05.20 3 光ファイバ通信サブシステム試験方法-光アイパターン,光波形及び消光比測定 JIS C 61280-2-2 制 2010.05.20 4 光ファイバ通信サブシステム試験方法-第2-3部:ジッタ及びワンダ測定 JIS C 61280-2-3 制 2013.11.20 5 光ファイバ通信サブシステム試験方法-Q値測定を用いた低ビット誤り率の決定法 JIS C 61280-2-8 制 2010.05.20 6 光ファイバ通信サブシステム試験方法-高密度波長分割多重システムの光信号対雑音比測定 JIS C 61280-2-9 制 2010.05.20 7 光ファイバ通信サブシステム試験方法- 第2-10部:レーザ送信器の時間分解チャープ及びアルファファクタ測定 JIS C 61280-2-10 制 2012.01.20 8 光ファイバ通信サブシステム試験方法- 光信号品質評価のための強度ヒストグラム評価を用いた平均化Q値測定 JIS C 61280-2-11 制 2010.05.20 9 光ファイバ通信サブシステム試験方法- 第4-4部:ケーブル設備及びリンク-既設リンクの偏波モード分散測定 JIS C 61280-4-4 制 2015.11.20 10 光ファイバ通信サブシステム通則 JIS C 61281-1 制 2010.05.20 11 光ファイバ通信システム設計ガイド- TR C 0046 多モード及び単一モード光ファイバを用いたGbit/s伝送応用(ギガビットイーサネットモデル) 公 2007.10.01 (継 2018.02.28) 12 光ファイバ通信システム設計ガイド-時間分解チャープ測定による分散ペナルティの計算法 TR C 0046-2 公 2012.01.01 (限 2016.12.31) 1 レーザ出力測定方法 JIS C 6180 制 1991.08.01 2 レーザ放射パワー及びエネルギー測定用検出器,測定器及び測定装置 JIS C 6181 制 1995.01.01 3 レーザビーム用光パワーメータ試験方法 JIS C 6182 制 1991.08.01 4 光スペクトラムアナライザ試験方法 JIS C 6183 制 1992.09.01 5 光ファイバ用光パワーメータ試験方法 JIS C 6184 制 1993.10.01 6 オプティカルタイムドメインリフレクトメータ(OTDR)試験方法 JIS C 6185 改 2008.01.20 48 技術情報レポート 2015年度OITDA 標準化部会 光測定器 レーザ安全性 光ディスク 規 格 名 称 番 号 制定改正日 7 オプティカルタイムドメインリフレクトメータ(OTDR)-第2部:校正方法- シングルモード光ファイバ用OTDR JIS C 6185-2 改 2014.03.20 8 オプティカルタイムドメインリフレクトメータ(OTDR)-第3部:校正方法- マルチモード光ファイバ用OTDR JIS C 6185-3 制 2014.03.20 2008.01.20 9 光ファイバ用光パワーメータ校正方法 JIS C 6186 改 10 光波長計試験方法 JIS C 6187 制 1999.07.20 11 光波長計-第2部:校正方法 JIS C 6187-2 制 2014.03.20 12 測定用光減衰器試験方法 JIS C 6188 制 1999.07.20 13 光反射減衰量測定器試験方法 JIS C 6189 制 2004.03.20 14 光ファイバ用光源試験方法 JIS C 6190 制 1993.10.01 15 波長可変光源試験方法 JIS C 6191 制 2005.04.20 16 光スペクトラムアナライザ校正方法 JIS C 6192 制 2008.01.20 17 光ファイバ構造パラメータ測定器校正方法 JIS C 6828 制 2004.03.20 18 光ファイバ波長分散測定器校正方法 JIS C 6829 制 2005.01.20 1 レーザ製品の安全基準 JIS C 6802 改 2014.09.22 2 レーザ製品の安全-光ファイバ通信システムの安全 JIS C 6803 改 2013.09.20 3 レーザ製品の安全-情報伝送のための光無線通信システムの安全 JIS C 6804 制 2008.10.20 1 情報交換用CD-ROMのボリューム構造及びファイル構造 JIS X 0606 改 1998.10.20 非逐次記録を用いる追記形及び書換形の情報交換用媒体のボリューム及びファイルの構造 [要約] JIS X 0607 制 1996.03.01 非逐次記録を用いる追記形及び書換形の情報交換用媒体のボリューム及びファイルの構造 [要約] (追補1) JIS X 0607 改 2001.03.20 情報交換用非逐次記録高密度光ディスクのボリューム構造及びファイル構造 JIS X 0609 制 1998.02.20 2 3 情報交換用非逐次記録高密度光ディスクのボリューム構造及びファイル構造(追補1) JIS X 0609 改 2012.11.20 4 DVD-再生専用ディスクのボリューム構造及びファイル構造 JIS X 0610 制 2006.03.25 5 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)2.01 JIS X 0611 制 2012.02.20 6 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)1.50 JIS X 0612 制 2015.11.20 7 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)2.50 JIS X 0613 制 2015.02.20 8 ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)2.60 JIS X 0614 制 2015.02.20 9 DVD-レコーダブルディスク(DVD-R)のボリューム構造及びファイル構造 JIS X 6235 改 2015.11.20 10 DVD-書換形ディスク(DVD-RAM)のボリューム構造及びファイル構造 JIS X 6236 改 2015.11.20 11 DVD-リレコーダブルディスク(DVD-RW)のボリューム構造及びファイル構造 JIS X 6237 改 2015.11.20 12 120 mm DVD-再生専用ディスク JIS X 6241 改 2004.12.20 13 80 mm DVD-再生専用ディスク JIS X 6242 改 2004.12.20 14 120 mm DVD-書換形ディスク(DVD-RAM) JIS X 6243 制 1998.01.20 15 120 mm DVD-RAMディスク用ケース JIS X 6244 制 1998.01.20 16 80 mm(1.23 GB/面)及び120 mm(3.95 GB/面)DVD-レコーダブルディスク(DVD-R) JIS X 6245 制 1999.03.20 17 120 mm(4.7 GB/面)及び80 mm(1.46 GB/面)DVD-書換形ディスク(DVD-RAM) JIS X 6246 制 2005.08.20 18 120 mm及び80 mm DVD-RAMディスク用ケース JIS X 6247 制 2005.08.20 19 80 mm (1.46 GB/面)及び120 mm (4.70 GB/面)DVDリレコーダブルディスク (DVD-RW) JIS X 6248 制 2007.01.20 20 80 mm(1.46 GB/面)及び120 mm(4.70 GB/面)DVDレコーダブルディスク(DVD-R) JIS X 6249 制 2009.04.20 21 120 mm(4.7 GB/面)及び80 mm(1.46 GB/面)+RWフォーマット光ディスク(4倍速まで) JIS X 6250 制 2009.04.20 22 120 mm(4.7 GB/面)及び80 mm(1.46 GB/面)+Rフォーマット光ディスク(16倍速まで) JIS X 6251 制 2009.04.20 23 120 mm(8.754 Gbytes/面)及び80 mm(2.66 Gbytes/面)2層DVDレコーダブルディ スク(DVD-R for DL) JIS X 6252 制 2011.09.20 24 DVD-R, DVD-RW, DVD-RAM, +R及び+RWディスクのためのデータ移行方法 JIS X 6255 改 2015.03.20 25 情報技術-情報交換及び保存用のデジタル記録媒体- 長期データ保存用光ディスク媒体の寿命推定のための試験方法 JIS X 6256 制 2014.05.20 26 130 mm追記形光ディスクカートリッジ JIS X 6261 制 1991.01.01 27 情報交換用90 mm/2.3 GB光ディスクカートリッジ JIS X 6270 制 2011.01.20 情報交換用90 mm/2.3 GB光ディスクカートリッジ(追補1) JIS X 6270 改 2012.11.20 28 130 mm書換形光ディスクカートリッジ JIS X 6271 制 1991.08.01 29 90 mm書換形及び再生専用形光ディスクカートリッジ JIS X 6272 制 1992.09.01 90 mm書換形及び再生専用形光ディスクカートリッジ(追補1) JIS X 6272 改 2012.11.20 90 mm/230 MB光ディスクカートリッジ[要約] JIS X 6275 制 1997.10.20 30 技術情報レポート 2015年度OITDA 49 標 準 化 標準化部会 光ディスク 規 格 名 称 番 号 制定改正日 31 90 mm/640 MB光ディスクカートリッジ[要約] JIS X 6277 制 1998.07.20 32 情報交換用90 mm/1.3 GB光ディスクカートリッジ JIS X 6279 制 2011.01.20 情報交換用90 mm/1.3 GB光ディスクカートリッジ(追補1) JIS X 6279 改 2012.11.20 33 情報交換用130 mm/9.1 GB光ディスクカートリッジ JIS X 6280 制 2011.01.20 34 120 mm再生専用形光ディスク(CD-ROM) JIS X 6281 改 2006.01.20 120 mm再生専用形光ディスク(CD-ROM) (追補1) JIS X 6281 改 2012.03.21 情報交換用120 mm追記形光ディスク(CD-R) JIS X 6282 制 2009.10.20 情報交換用120 mm追記形光ディスク(CD-R) (追補1) JIS X 6282 改 2012.03.21 35 36 情報交換用120 mmリライタブル光ディスク(CD-RW) JIS X 6283 制 2009.10.20 情報交換用120 mmリライタブル光ディスク(CD-RW) (追補1) JIS X 6283 改 2012.03.21 37 90 mm/1.3 GB光ディスクカートリッジ(相変化光記録) [要約] JIS X 6291 制 1998.07.20 38 120 mm/650 MB光ディスクカートリッジ(相変化光記録,PDフォーマット) [要約] JIS X 6292 制 1998.07.20 (注)制定改正日について、制:制定年月日、改:改定年月日を示す。 TRにいては、公:公表年月日、限:有限期限年月日、継:継続年月日を示す。 規格名称について、[要約]は要約TISであることを示す。 表2 光産業技術振興協会規格(OITDA規格)およびOITDA技術資料(TP)リスト 委 員 会/部 会 光受動部品標準化 規 格 名 称 (2016年3月31日現在) 番 号 制定改正年月日 1 Polarization mode dispersion measurement using polarization phase shift method for passive optical components (日本語訳題名:偏波位相シフト法による光受動部品の偏波モード分散測定 方法) OITDA-PD01 2004 (Ed.1) 制 2004.8.27 2 光ディスクエミュレーションシステム (Emulation System for Optical Disk) OITDA-DC01 2005 (Ed.1) 制 2005.7.25 光受動部品標準化 3 Chromatic dispersion measurement using polarization phase shift OITDA-PD02 (PPS) method for passive optical components 2006 (Ed.1) (日本語訳題名:偏波位相シフト法による光受動部品の波長分散測定方法) 制 2006.8.29 新型太陽電池標準化 4 色素増感太陽電池の性能評価方法 (Evaluation method of performance for dye-sensitized solar devices) OITDA-PV01 2009 (Ed.1) 制 2009.3.30 光ディスク標準化 (フォーマット) 5 再配置を少なくするファイル配置方策 (File allocation system with minimized reallocation) OITDA DC 02 2013 (Ed.1) 制 2013.3.7 光増幅器標準化 6 利得過渡パラメータに関する測定方法-利得制御単一チャネル光増幅器 (Test methods for gain transient parameters-Single channel optical amplifiers in gain control) OITDA AM 01 2016 (Ed.1) 制 2016.3.8 ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 7 1×N 固定グリッド波長選択スイッチの動的クロストーク測定方法 (Measurement methods of dynamic crosstalk for 1xN fixed-grid wavelength selective switches) OITDA DM 01 2016 (Ed.1) 制 2016.3.8 ファイバオプティクス標準化 (建物内光配線システム) 8 FTTH対応 戸建住宅用光配線システム (Optical fiber distribution system for detached houses in FTTH) TP01/BW (=TP-BW01) 2011 (Ed.3) 改 2011.8.3 ファイバオプティクス標準化 (建物内光配線システム) 9 FTTH対応 集合住宅用光配線システム (Optical fiber distribution system for apartment houses in FTTH) TP02/BW (=TP-BW02) 2011 (Ed.3) 改 2011.8.3 ファイバオプティクス標準化 (建物内光配線システム) 10 プラスチック光ファイバ(POF)建物内光配線システム (Plastic optical fiber distribution system for customer premises) OITDA/TP 03/BW (=TP-BW03) 2012 (Ed.3) 改 2012.6.28 光部品・モジュール安全 信頼性国際標準提案及び 光受動部品標準化 11 通信用光受動部品のハイパワー信頼性に関する調査 (Technical paper of investigation of high-power reliability for passive optical components for optical communication application) TP04/SP·PD 2008 (Ed.1) 公 2008.8.28 光部品・モジュール安全 信頼性国際標準提案及び ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 12 通信用光部品・モジュールの動作中の振動衝撃試験法に関する調査 (Investigation on operational vibration and mechanical impact test conditions for optical modules for telecom use) TP05/SP·DM 2008 (Ed.1) 公 2008.8.28 光部品・モジュール安全 信頼性国際標準提案及び ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 13 可変波長分散補償器のGDR測定法に関する検討 (Group delay ripple measurement method for tunable dispersion compensators-Technical paper) TP06/SP·DM 2008 (Ed.1) 公 2008.10.9 光増幅器標準化 14 光増幅器-光増幅器における四光波混合効果のための応用ガイド (Application guide for four-wave mixing effect in optical amplifiers) TP07/AM 2009 (Ed.1) 公 2009.5.21 光増幅器標準化 15 光増幅器-光ファイバヒューズに関する一般情報 (General information for optical fiber fuse) TP08/AM 2010 (Ed.1) 公 2010.3.1 Sプロジェクト 重点フォローアップ及び 光受動部品標準化 16 プラグ形固定光減衰器のハイパワー信頼性に関する調査 (Technical paper of investigation of high-power reliability for plugstyle fixed optical attenuators) TP09/SP·PD 2010 (Ed.1) 公 2010.3.25 光能動部品標準化 17 光増幅器励起用及びファイバレーザ励起用半導体レーザモジュールの信頼 性評価方法に関するガイド (Laser modules used for optical amplifiers and fiber lasers-Reliability assessment guide) OITDA/TP 10/AD 2012 (Ed.1) 公 2012.7.10 18 ビルディング内光配線システム (Optical fiber distribution system for customer premises) OITDA/TP 11/BW 2012 (Ed.1) 公 2012.8.22 光ディスク標準化 (フォーマット) ファイバオプティクス標準化 (建物内光配線システム) 50 技術情報レポート 2015年度OITDA 委 員 会/部 会 光通信システムのスマート化 に適用した光部品の国際標 準化提案 19 レセプタクル形光トランシーバの光コネクタ端面清掃に関するガイドライン (Guideline of optical connector endface cleaning method for receptacle style optical transceivers) 規 格 名 称 OITDA/TP 12/TP 2012 (Ed.1) 公 2012.11.1 光能動部品標準化 20 光伝送用能動部品-性能標準-GEPON用光トランシーバ (Fiber optic active components and devices-Performance standardsGEPON transceivers) OITDA/TP 13/AD 2013 (Ed.1) 公 2013.3.22 光能動部品標準化 21 光伝送用能動部品-試験及び測定方法-GEPON用光トランシーバ (Fiber optic active components and devices-Test and measurement procedures-GEPON transceivers) OITDA/TP 14/AD 2013 (Ed.1) 公 2013.3.22 ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 22 波長選択スイッチの動的クロストーク測定に関する検討 (Dynamic Crosstalk Measurement for Wavelength Selective Switch) OITDA/TP 15/DM 2013 (Ed.1) 公 2013.10.15 ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 23 通信用ダイナミックモジュールの動作環境条件に関する調査 (Investigation on Operating Conditions for Dynamic Modules for Telecom Use) OITDA/TP 16/DM 2013 (Ed.1) 公 2013.10.15 光能動部品標準化 24 光伝送用能動部品-性能標準テンプレート-DWDM伝送用波長可変レーザ OITDA/TP 17/AD モジュール 2014 (Ed.1) (Fiber optic active components and devices-Performance standard template-Wavelength tunable laser diode module for Dense WDM transmission) 公 2014.3.31 光能動部品標準化 25 光伝送用能動部品-試験及び測定方法-DWDM伝送用波長可変レーザモ ジュール (Fiber optic active components and devices-Test and measurement procedures-Wavelength tunable laser diode module for Dense WDM transmission) OITDA/TP 18/AD 2014 (Ed.1) 公 2014.3.31 光コネクタ標準化 26 シャッタ付き光アダプタの遮光特性測定に関する調査 (Investigation of examinations and measurements-Light–blocking performance of optical adaptor with shutter) OITDA/TP 19/CN 2014 (Ed.1) 公 2014.3.31 光能動部品標準化 27 光伝送用能動部品-性能標準-GPON用光トランシーバ (Fiber optic active components and devices-Performance standards -GPON transceivers) OITDA/TP 20/AD 2015 (Ed.1) 公 2015.2.6 光能動部品標準化 28 光伝送用能動部品-試験及び測定方法-GPON用光トランシーバ (Fiber optic active components and devices-Test and measurement procedures-GPON transceivers) OITDA/TP 21/AD 2015 (Ed.1) 公 2015.2.6 ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 29 波長選択スイッチのインタフェース仕様の標準化検討経緯 (Discussion process of the standardization of wavelength selective switch interface specification) OITDA/TP 22/DM 2016 (Ed.2) 改 2016.3.24 ファイバオプティクス標準化 (企画調整) 30 プラスチック光ファイバ(POF)を用いた非接触形光コネクタ用ボールペン 形光ファイバコリメータの検討 (Study of Ball-point pen optical fiber collimator as a part of optical connector using plastic optical fiber) OITDA/TP 23/AA 2015 (Ed.1) 公 2015.12.28 ファイバオプティクス標準化 (ダイナミックモジュール) 31 光ファイバ通信用ダイナミックモジュールの動作温度条件における,ケース 温度(Tc )及び雰囲気温度(Ta )議論 (Discussion on case temperature (Tc ) and ambient temperature (Ta ) when specifying the operating conditions of dynamic modules for telecom use) OITDA/TP 24/DM 2016 (Ed.1) 公 2016.3.17 2. ファイバオプティクス標準化部会 番 号 制定改正年月日 今年度も昨年度同様、翼下に、企画調整専門部会、ダイナ 本部会は、ファイバオプティクス標準化活動を常に先行けん ミックモジュール専門部会、建物内光配線システム専門部会お 引することを目的に、光産業技術標準化会傘下にあって企画 よび光ファイバセンサ専門部会の四つの専門部会をもち活動し 推進的な役割を担っている。 た。 インターネットの急激な拡大をはじめとする情報通信の進 2.1 企画調整専門部会 2.1.1 目的・活動内容 展、光技術をベースとしてIoTと結びつき始めた情報家電の普 及に伴い、光技術は、その産業における重要性を増すととも に、応用範囲が格段に広がりつつある。従って、ファイバオプ 効率的なJIS化および国際標準化活動に向けて、国際標準 ティクスの標準化も重要性を増すとともに、多様な応用分野へ 化をバックアップする視点からのJIS標準化戦略の策定、効率 の適用を考慮したものに広がっていきつつある。このような時 的な標準化原案作成のための問題点抽出と改善案の検討、 代にあって、ファイバオプティクスの標準化の目的および対象を OITDA規格および技術資料(TP)の推進およびアフターケア もう一度見直し、標準化すべき項目の洗い出しと、標準化のあ を継続して進める。また、専門分野ごとの各標準化部会に共通 るべき姿を求めるビジョンの策定が重要である。 する課題の検討、他機関との調整等も行う。 本部会は、今年度、このような問題意識に立脚し、ファイバオ 2.1.2 今年度の活動 プティクス全般に関する調査研究を推進するとともに、JIS化お ⑴ IEC状況紹介 よび国際標準化における問題点の改善・戦略の策定について 重点的に取り組んだ。また、JISおよび国際標準を補完するた IECの標準管理評議会(SMB)傘下にあったACTELが昨 め に 本 部 会 で 検 討 し 、導 入し た 団 体 規 格・技 術 資 料 年度解散したが、新たにIECのICTを統括する新しい組織とし ((OITDA規格・OITDA/TP)については、標準化の推進の てSG9(通信技術に関する戦略グループ)が設立され、取り組 ためにより一層発展させていく。 みの対象領域等が審議されたとの情報を共有した。 技術情報レポート 2015年度OITDA 51 標 準 化 2.2.1 検討状況 ⑵ 申請JIS・TRの状況確認 METI、JSA関係者の尽力もあり、申請しているJIS原案の多 今年度は、一般条件に関する性能標準(IEC 62343-1)、波 くのJIS化が進んでいる。2015年度末の段階で各標準化部会 長分散補償器性能標準(IEC 62343-1-2)、信頼性品質標準2 において原案作成中のJIS案件は5件、原案作成後JSAに提出 版(IEC 62343-2)、故障モード解析(FMEA)テクニカルレ されJSAで原案審議中の案件は14件、METIに申出されJISC ポート(IEC/TR 62343 - 6 - 6)、DCE(Dynamic Channel で審議中の案件は12件である。今年度中に発行に至ったJISは E qua l i zer)性能テンプレート(I E C 6 2 3 4 3 - 3 -1)、O CM 15件であった。また、METIに申出されJISCで審議中のTRは (Optical Channel Monitor)性能テンプレート(IEC 62343- 1件であった。JISCでの審議において標準化プロジェクトおよ 3-2)、WSS(Wavelength Selective Switch)性能テンプレート びISO/IECのTC/SC進捗のフォローアップを行った影響によ (IEC 62343-3-3)、MCOS(MultiCast Optical Switch)性能 り、上期はJISの審議に遅れが生じていたが年度末に取り戻し テンプレート(IEC 62343-3-4)、WSS過渡クロストーク測定法 た。申請中のJIS提案数もまだ多いので、引き続き状況をフォ (I E C 62 3 4 3 - 5 -2)、ROA DMデザインガイド(I E C/TR ローしていく。 62343-6-4)、WSSインタフェース標準(IEC 62343-4-1)、複数 ⑶ JIS原案作成の課題 ダイナミックモジュールから構成される通信システムの制御イン タフェースのデザインガイド(IEC/TR 62343-6-10)などのIEC 用語および表記方法に関して、JISCの技術専門委員会の審 規格審議文書を検討した。 議およびJSA規格調整分科会からの指摘に対応した。 対応国際規格の正誤票のJISへの記載方法について、JSAに また、OITDA規格として、1×N固定グリッド波長選択スイッ 「対応国際規格の正誤票の内容をJISに反映した場合、2012 チの動的クロストーク測定方法(OITDA DM 01)を制定し、 年以降発行の正誤票は記載する。」との方針を提案し受け入れ 環境条件における雰囲気温度(Ta)とケース温度(Tc)に関す られた。 る審議内容(OITDA/TP 24/DM)およびアンケート調査方 JIS題名中の括弧もJIS本文と同様に、括弧の中は補足・注釈 法の改善検討(OITDA/TP 22/DM Ed.2)をOITD技術資料 と解釈されることがJSAへの問い合わせで判明した。原案作 として公表した。なお、調査活動として、ダイナミックモジュール 成中の案件は即時この確認結果を反映し、すでにJISになって の信頼性試験実施状況に関するアンケート、MCOSのインタ いる案件は改正時に反映する。 フェースに関するアンケートを実施した。 JISグラフの縦軸タイトルの記載方法について、①単位が短 2.2.2 国際標準化動向 ければ、縦書きにしてもよい。②単位が長ければ横書きの90° IECサンルイスオビスポ会合(2015年3月)において、性能テ 回転にせざるを得ない。③同一規格内では統一する。との見解 がJSAから得られたので、今後JISはこのように統一する。 ンプレート、テクニカルレポートなど7件の審議が行われた。ま ⑷ OITDA規格およびOITDA技術資料(TP)推進 た、日本から複数ダイナミックモジュールから構成される通信シ ステムの制御インタフェース、MCOS性能テンプレートに関する 本年度は2件のOITDA規格が新規制定された。また、2件 検討結果、JIS活動状況などを報告した。 のOITDA技術資料(TP)が公表され、1件が改正された。 OITDA規格の審議システム細則を改訂し、WTO/TBT協 IEC光州会合(2015年10月)では、4件のコメント審議が行 定に基づく規格作成作業計画および制定規格の公表を、日本 われた。日本から、MCOS性能テンプレートの検討状況、複数 規格協会を通じて行うこととした。また、ファイバオプティクス ダイナミックモジュールから構成される通信システムの制御イン 標準化部会承認はWTO公開前の原案で行い、発行を終えてか タフェースに関するデザインガイドの素案(WD)、信頼性試験 ら光産業技術標準化会への報告を行うこととした。 /ハイパワー試験の日本国内アンケート実施結果、JIS活動状 況について報告を行った。 2.2 ダイナミックモジュール専門部会 2.2.3 今後の活動予定 通信トラフィックの増大に対応するため、伝送速度100 Gbit/ sの大容量光伝送システムが着々と商用導入されている。一方 本部会は、IEC規格文書検討および新規提案などのIEC国 で、光ネットワークシステムには伝送容量を確保するだけでな 内委員会へのサポートを積極的に行うことを通じて、日本の意 く、トラフィックの動的な変化や、予期せぬ自然災害による伝送 見が国際規格に十分に反映されるよう活発に活動を行ってゆく 路の寸断等に柔軟に対応できる機能が必要とされている。こ 予定である。また、IECでの標準化動向を監視し、必要に応じ のようなネットワークには、多方路に光パスを切り替えられる て遅滞なくJISの制定検討を行うこととする。 R O A D M( R e c o n f i g u r a b l e O p t i c a l A d d / D r o p 2.3 建物内光配線システム専門部会 Multiplexing)システムが必要不可欠であり、それを構成する 光モジュールにはトラフィック環境が変化しても信号品質を安 総務省の発表によると、2016年3月においてブロードバンド 定的に保つための自律的な制御が求められる。それを可能とす サービス契約者数が1億5,442万となった。このうち光ファイバ るのが本 専門部会で審議されるダイナミックモジュールであ を用いるFTTH(Fiber To The Home)契約者数は2,758万に る。IECにおいてもTC 86/SC 86C/WG 5 Dynamic module なり、前年度比4.7%増と増加が続いている。しかし、ブロード グループにおいて標準化活動が行われている。以下、本専門 バンド契約者数に占める割合は17.9%と低下している。これ 部会の活動状況について報告する。 は、LTEとWiMAXのモバイルブロードバンドアクセスの増加 52 技術情報レポート 2015年度OITDA が著しいためであり、近年その傾向はより顕著になっている状 要な目標とされており、2015年7月の総務省を中心とした第二 況である。 次中間報告では、それに向けた4K・8K推進のためのロード 本専門部会では、建物内において、居住者または住宅・建物 マップが提示された。2016年度より4K・8KのBSによる試験放 提供者(住宅メーカ/設計者等)らが高速広帯域なデータ・映 送が開始される予定であり、早期実現のための技術仕様の検 像サービスを受けられるように光配線技術動向などの情報を 討、検証、評価が各方面で急がれている。その一環として、衛 発信し、また、これらを纏めた技術資料を作成している。今年 星デジタル放送のための受信装置や宅内(ビル内)配信方式に 度は、OITDA規格技術資料(TP 01)の改正に着手した。 ついても基本仕様が公開された。特に、宅内(ビル内)配信方 式については、光配線システムが適用される可能性が高い。 2.3.1 建物内光配線に関する技術情報収集 ⑸ POF技術 ⑴ 光ケーブル技術 昨年IEEE802.3会合に提案し、802.3bvの名前でTask Force 美観向上を意識した建物内での配線用として、昨年度露出 (TF)設立が承認された、赤色LEDと大口径SI形POFとによ 配線用光インドアケーブルが製品化されたが、 「目立たなくし るGigabit Ethernet物理・リンク層規格1000BASE-RHの作成 て」更なる美観向上を図るコンセプトで、透明インドア光ファイ に関し、隔月に開催される会合で素案の作成およびコメント対 バが開発、製品化された。構造としては、その名の通り外被色 処と改定作業を実施した。本規格案で想定する用途はホーム が透明化され、従来のインドアケーブルよりも細径の∅0.9 mm ネットワーク、工業用構内配線および車両内LAN配線であり、 円形状になっている。透明インドア光ファイバを固定する部材 これらのうちホームネットワーク用途では最大配線長50 mを想 も透明化が図られ、その点においても「目立たない」というコン 定している。2016年1月会合での802.3 Working Group(WG) セプトが徹底されている。さらに、透明インドア光ファイバに使 投票の結果、規格素案第1.5版から2.0版への移行が承認され 用されている光ファイバは、ドア隙間への配線を可能にするた た。規格発行の時期は、当初の計画より2か月ほど遅れ、2017 め曲げに強い空孔アシスト光ファイバ(HAF)が使用されてい 年春となる見通しである。 る。 International Conference on Plastic Optical Fibers 2015 ⑵ 接続技術 が、2015年9月22日(火)〜24日(木)の3日間、ドイツ・ニュル 光コネクタ端面に付着したゴミや汚れは通信エラーを引き起 ンベルグ市のニュルンベルグ工科大学において標記国際会議 こす可能性があるため、接続する前に端面をきちんと清掃し、 が開催された。2 4回目となる今回のプログラムは、Plenary 観察することが重要である。現状では清掃用のクリーナと観察 talk3件、招待講演8件、一般講演47件およびポスター29件の 用の端面スコープをそれぞれ持ち替えて作業するため、煩雑で 計87件で構成された。これらのうち23件が、センサに関する発 時間がかかっていた。そこで、クリーナと端面スコープが一体 表であった。また会議に併設された展示には、8社の出展が 化されたツールが開発された。スコープで捉えた画像はタブ あった。光配線システムに適用されるPOFの動向を調査するこ レットやPCに映し出される。端面観察用にリングレンズを採用 とができた。 し、中央の穴部を清掃チップが貫通して光コネクタ端面を清掃 ⑹ 市場・業界 する。リングレンズは一般的にコントラストが低いため、光コネ 市場・業界の最新動向の調査を継続して行い、より生きた技 クタ端面とレンズ間の距離やレンズサイズ等の光学設計を最適 術資料作りに反映させることを目的に調査を行った。具体的に 化することで穴なしの通常レンズとほぼ同等の光学特性を実 は、通信白書、学会、コンソーシアム等の通信関連の動向調査 現した。 を実施した。ここでは、光配線システムが関係する総務省の動 ⑶ 施工技術 きを紹介するため、通信白書の内容について概説する。 建物内配線に関連する最新の施工技術について調査した。 平成27年度版の情報通信白書は、7月に総務省よりオープン 今回は、 「透明光ファイバ配線用部材」および「引込線仮固定 された。構成は、テーマとして「ICTの過去・現在・未来」と題 具」について紹介した。 して3部構成で成り立っている。第1部では、 「ICTの進化を振 ⑷ 光システム り返る」として通信の自由化からICT産業の発展について、過 今年度は、4K・8Kの放送実現に向けた市場動向について 去~現在にかけてのまとめを行っている。第2部では、 「ICTが 調査した。 拓く未来社会」として未来に向けた各地方やメディア等の動き 2014年の4K試験放送開始を経て、2015年より様々な媒体で をまとめ、第3部では、 「基本データと政策動向」としてICT分 4K実用放送が開始された。3月にスカパープレミアムサービス 野の基本データや総務省の政策をまとめている。 (124/128度CS)、12月にひかりTV(IPTV)、さらに、ジュピ 2.4 光ファイバセンサ専門部会 ターテレコムを始めとするケーブルテレビ各社で4Kサービスの 提供が開始されている。4Kテレビは2014年には約998万台 光ファイバセンサの国際標準化は、IEC/TC 86/SC 86C/ (WW実績、うち国内31万台)販売され、2019年には約7800万 WG 2(ファイバオプティクス/光ファイバセンサ)で審議が進め 台に達する急速な普及が予測されている。さらに、東京オリン られ、1998年にIEC 61757-1として光ファイバセンサの「総則」 ピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年までには (61757-1)がまとめられた。しかし、その後WG 2は休眠状態 4K・8K放送が広く普及し、数多くの競技の中継が4K・8Kで となっていたが、2012年秋のTC 86ケレタロ会合においてWG 2 放送され、我が国の優れたICTを世界に発信できることが重 が復活、審議が再開された。他方、国内にあってはTC 86は電 技術情報レポート 2015年度OITDA 53 標 準 化 子情報通信学会(IEICE)が担当しているが、WG 2に関して ブルの温度監視、プラントの火災検知等の分野で数多く採用 は、その設立のためのフィジビリティースタディを実施した当協 されており、標準化への期待も高まってきている。2012年11月 会(OITDA)が、TC 86合同委員会の承認を得て担当してお にNP(案)が提案された以降、NP、1stCD、2ndCDに対し、米 り、2013(平成25)年度から、OITDAファイバオプティクス標 国、ロシア、フランス、独、スイス、日本から多くのコメントが出 準化委員会傘下の委員会として、光ファイバセンサ標準化専門 された。CDV文書に対する投票結果は、FBG歪センサ(61757- 委員会が設置された。IEC/TC 86/SC 86C/WG 2の国内委員 2)と同様、光州会合にて報告され、賛成18、反対0、棄権3で 会(ミラーコミティ)としての活動を目的とし、我が国の意見を 承認された。今までに、日本は数多くのコメントを提出してお 国際規格作成に反映させるとともに、我が国の技術を積極的 り、その多くがCDV文書に反映されているため、今年度、賛成 に国際標準として発信するための活動を実施している。 で投票している。なお、本文書は、来年度にはFDIS段階に移 今年度は、2年前から審議されているCDV段階のFBG歪セ 行する予定である。 ンサ(61757-2-1)と温度分布センサ(61757-3-1)の2文書が 2.4.3 日本発の新規プロジェクトの活動状況 承認され、来年度にはFDIS段階に移行する予定。また、この2 つの文書のIS化の見通しがたったことから、1998年に文書化 今年度は、昨年度の予備調査を踏まえ、来年度末のOITDA されて以降、一度も改訂されていなかった総則(61757-1)の審 規格制定を目指して、光ファイバ電流センサに関わる既存の技 議が開始された。一方、日本から、国内外の電力市場に導入実 術・規格の調査、分析、スコープの明確化を行い、文書体系も 績のある光ファイバ電流センサの提案を実施し、IS化する方向 含めた上で目次の審議を実施した。また、光州会合でのリエゾ で進めることとなった。また、他国からも音響および歪の分布 ン報告では、本専門部会の体制、活動概要、光ファイバ電流セ センサの提案が示され 、今後、今まで以上に本 専門部会、 ンサのシステム概要と文書策定スケジュールを示した。WG 2の IEC/TC 86/SC 86C/WG 2の活動が活発になると思われる メンバから、日本がPL(プロジェクトリーダー)となって本文書 (表3)。 を策定することの内諾を得ることができたため、OITDA規格 が制定された後、本格的にIEC文書の策定に着手する予定で ある。 表3 2015年度のIEC会合における活動(TC 86/SC 86C/WG 2) 開催日 開催場所 審議文書 2015年 10月1日 ・Strain measurement - Part2-1:Fiber Bragg Gratings(61757-2) ・Temperature measurement - Part3-1:Distributed 光州 (韓国) temperature sensing(61757-3-1) ・Fibre optic sensors - Part 1: Generic specification(61757-1) 3. 光ファイバ標準化部会 光ファイバ標準化部会では、IECおよび ITU-Tにおける光 ファイバ関連国際規格の各種試験方法および各種製品規格の 制改定状況に合わせて、対応JISの見直しを進める。光ファイバ ケーブルのIEC製品規格の動きが活発化していることから、 なお、次回のIEC会合は、リムリック(アイルランド)にて2016年5月30日~31 日に開催される予定。 JIS制定に向けた準備も進めることとする。また、国内規格を国 際標準へ積極的に提案し、規格制定活動に協力する。新技術 2.4.1 FBG歪センサ(61757-2)の標準化活動状況 に対応するための調査も引き続き進めるとともに、国内外の状 1998年に光ファイバセンサの総則が制定された後、新文書と 況を的確に捉え、必要に応じて時機を失することなく、JISの素 して初めてFBG歪センサ(61757-2)が文書化される見通しが 案検討や改定が可能となるように調査研究を進めて行く。 たった。 3.1 偏波面保存光ファイバに関する検討 歪測定は、多点と分布計測に分けられるが、本規定は、FBG の多点計測に関する文書であり、光学、環境特性および耐久性 今年度の偏波面保存光ファイバに関する標準化活動は、引 などの定義、評価方法が規定されている。多点計測に限定して き続き制定済みJISのIEC標準化への取り組みを行った。具体 いるため、OFDR用の長尺FBG、FBG歪センサを利用したシス 的には、JIS C 6873「偏波面保存光ファイバ素線」、JIS C テムやFBG測定器等は規定対象外である。今年度実施された 6840「光ファイバ偏波クロストーク試験方法」、JIS C 6872 CDV文書に対する投票結果は、光州会合にて報告され、賛成 「偏波面保存光ファイバビート長試験方法」に対応したIEC標 18、反対0、棄権3で承認された。今回、日本のコメントは、昨 準化活動のサポートを行っている。本部会で作成したこれら3 年度の東京会合までに提出し尽くしており、ほとんど文章に反 つのJIS素案に対応するIEC文書は、IEC 60793-2-70、IEC 映されていることから、賛成で投票している。なお、本文書は、 60793-1-60、IEC 60793-1-61であり、2015年10月に行われた光 来年度にはFDIS段階に移行する予定である。 州会合において、CDの文書とすることが合意された。 2.4.2 分布型温度センサ(61757-3-1)の標準化活動 状況 3.2 光ファイバの標準化に関する検討 今年度の光ファイバに関する標準化活動として、既制定JIS 分布型温度センサの文書は、ラマン散乱光を利用したセンサ の見直しについて検討を行った。 以外にも、ブリルアン散乱光やレーリー散乱光を利用した分布 まず、2009年に制定されたJIS C 6820「光ファイバ通則」に 型センサも含まれており、これらの性能、試験方法について規 おいて、対応国際規格IEC 60793-1-1:2008、Optical fibres - 定している。近年、分布型温度センサは、油井開発、電力ケー Part1-1: Measurement methods and test procedures - 54 技術情報レポート 2015年度OITDA General and guidanceおよびIEC 60793-2 Optical fibres - の纏めを行った。今年度の審議の結果、JIS C6851ではなく Part2: Product specificationのうち、IEC 60793-2が改正され IEC 60794-1-2系を対応国際規格として整備すべくJIS C 6870 たことを受け、JIS C 6820を改正することを目的として活動を 規格群として表4のように新たに分割、採番する案を取りまと 行った。 めた。まず来年度は「機械試験方法」をJIS C 6870-1-21として 本規格は、光伝送用の光ファイバ素線、光ファイバ心線およ H28区分Bへ応募する方向でJSA、経済産業省(METI)と協 び光ファイバコードの用語や定義、形名等の一般事項について 議しながら進めていく。 規定したものである。主な改正内容としてはマルチモード光 ファイバ、石英系シングルモード光ファイバおよびイントラコネ 表4 光ファイバケーブル特性試験方法改正案 クション光ファイバのMFD、クラッド径等で分類されるサブカ 2 クロスリファレンス テゴリを追加して規定した。IECに新たに盛り込まれたサブカ 20 総則及び定義 21 機械試験方法 22 環境試験方法 23 ケーブルエレメント試験方法 24 電気試験方法 テゴリをJIS C 6820に追加することによりJISと国際規格との JIIS C6870 間の整合性が得られる。新たに盛り込まれたサブカテゴリは、 1 今後JIS個別規格への追加が検討される見込み。予め光ファイ バ通則にサブカテゴリを規定することにより、将来、新規制定・ 改正によりサブカテゴリの項目が追加されるJISと整合性を保 つことができる。また、素案作成に際しては、JIS C 6835「石 3.4 光ファイバ敷設技術の国内の動き 英系シングルモード光ファイバ素線」の改正内容との整合性を 考慮した上で原案の作成をおこなった。今後はIEC 60793-1-1 無電柱化低コスト手法技術検討委員会は、平成26年9月に のEd.4CDおよびIEC 60793-2のEd.8を基礎としてJIS C 6820 無電柱化の更なる整備促進、低コスト化が期待できる直接埋 の原案作成を完了し、JIS原案作成公募制度の平成28年度A 設方式や小型ボックス活用埋設方式等につき、導入にあたって 区分で申請。来年度はJSAによる中間チェックへと進めていく の技術的検証を目的として設置された。国土交通省を主管とし 予定である。 て、総務省、METI等関係省庁、通信事業者、電力事業者等関 連機関と連携して検討を進めてきた。当協会の光ファイバ標準 2012年に制定されたJIS C 6835「石英系シングルモード光 化部会からも委員として参画している。 ファイバ素線」において、引用規格のIEC 60793-2-50が改正さ れたことを受け、JIS C 6835も改正することを目的として昨年 3.5 国際標準化動向 度に引き続き活動を行った。今年度は平成27年度のB区分で JIS原案作成概要調査書を作成し、申請済み、さらに解説文お 光ファイバに関連する国際標準化 機関であるI E Cおよび よび本文の原案作成を完了し、JSAによる中間チェックに対す ITU-Tでは、技術の進展に伴い標準化作業も着々と進められて る修正を行った。来年度は早々にJIS原案等成果物一式を提出 おり、タイムリーなJISの制改定を行うため、当部会においては し、改正版発行に向けて適宜対応を行う予定である。 各機関における審議状況について適宜報告を行っている。IEC 2009年に制定されたJIS C 6832「石英系マルチモード光 の光ファイバ関連標準化組織は、TC 86/SC 86Aでその下に ファイバ素線」において、引用規格のIEC 60793-2-10が改正さ WG 1(光ファイバ)、WG 3(光ファイバケーブル)という構成で れたことを受け、JIS C 6832も改正することを目的として今年度 ある。ITU-Tの光ファイバ関連標準化組織は、SG15(光伝送 より活動を開始した。 網およびアクセス網整備)で、その下のWP 2(伝送網技術およ び物理層整備)に課題5(光ファイバとケーブルの特性と試験 JIS C 6832:2009は国際規格のIEC 60793-2-10のEd.3.0を 方法)と課題16(光基盤設備とケーブル)が入っている。 対応国際規格としていたが、今年度の11月に最新版として発行 されたEd.5.0を対応国際規格と位置づけ、原案作成を進めた。 IEC SC 86AとITU-T SG 15の国内委員のジョイント会合で 改正内容として特筆すべき点は、光ファイバの種類に帯域の広 は、ITU-Tの屋外ケーブル勧告(L.10、26、43)の改訂に関し いファイバ、曲げ損失低減形光ファイバが追加されること、並 て、情報共有が行われ、新たな構造の光ファイバリボンの記述 びに寸法特性につき、コア径の公差および光学特性の伝送特 について意見交換を行い、協調して日本提案を規格化する方 性が変更されることである。新たに附属書を追加し、帯域に関 向で合意した。 する用語体系の説明をするように、改正素案作成作業を進めて 3.5.1 光ファイバに関する標準化動向 いる。一方で、 平成28年度のA区分でJIS原案作成概要調査 2015年10月に開催されたIEC SC 86A/WG 1の光州(韓国) 書を作成し、申請した。 会合結果について報告する。 3.3 光ファイバケーブルの標準化に関する検討 ⑴ 新規文書の制定 光ファイバケーブルの標準化では、これまでの活動に引き続 新規文書の制定に向けた取り組みとして、偏波面保存ファイ きJIS C 6851「光ファイバケーブル特性試験方法」を改正する バに関する製品規格と測定方法の規格の提案状況を報告す ことを目的に活動を行った。具体的にはIEC 60794-1-2の改訂 る。プロジェクトリーダ(PL)の日本から、製品規格(I E C 途中のドラフトをもとに、新規追加項目の中で国内でも使用す 60793-2-70)、ビート長測定方法(IEC 60793-1-60)および偏 ると判断された項目に関する和訳、また、これまでの作業進捗 波クロストーク測定方法(IEC 60793-1-61)に関し、CG議論の 技術情報レポート 2015年度OITDA 55 標 準 化 4.1 部会調査方針 結果に基づくCD文書草案の提示がなされ、審議を行った。 ビート長測定方法のRTMの記述の明確化等の修正が施され 光コネクタに関わる経済・社会活動の利便性、効率、公正、 たのちに3文書のCD文書草案が基本合意され、2016年2月時 進歩の確保、あるいは製造・使用における安全・衛生の保持、 点3文書ともCD回覧中である。 環境の保護のために、光コネクタの規格制定を行う。 ⑵ 既存文書の改訂 日本で開発された光コネクタ(技術)で、世界的に普及し国 ⒜ 光ファイバ製品規格 際標準化の動きがあるものに関しては、先行してOITDA規格 ⒤ シングルモード光ファイバ製品規格(IEC 60793-2- を策定し、IEC規格化後にJIS化を行う。JISにありIECには無 い規格およびIECにありJISには無い規格については、必要性 50) ⒝ 光ファイバ測定法規格 を精査し、それぞれIECへの提案、JIS化を推進する。また、規 ⒤ 光ファイバ測定通則(IEC 60793-1-1 Ed.4) 格の廃版、IECへ提案する前段階等の際には、必要に応じて ⅱ 応力腐食感受性(疲労係数)測定方法(IEC 60793- OITDA規格を策定する。さらに、IEC/TC 86/SC 86B国内委 員会と連携し、IEC規格の審議動向に注目して、IEC審議文書 1-33 Ed.2) へのコメント対応等を積極的に行う。 ⅲ 伝送損失測定方法(IEC 60793-1-40 Ed.2) ⅳ 波長分散測定方法(IEC 60793-1-42 Ed.3) 4.2 部会活動概要 ⒱ モードフィールド径(MFD)測定方法(IEC 60793-1- 光コネクタ標準化部会では、文書案作成、調査研究等に係 45 Ed.2) る多数の検討事項を効率的かつ円滑に処理するために、部会 ⅵ マクロベンド損失測定方法(IEC 60793-1-47 Ed.4) 全体を、WG 1(多心系光コネクタ、試験・測定法)、WG 2(単 3.5.2 光ファイバケーブルに関する標準化動向 心系光コネクタ)の2つのワーキンググループに分割し、各々の 2015年10月に開催されIEC SC 86A/WG 1の光州(韓国)会 WGにおいて、担当する作成文書や調査研究等に関する重点的 合で、光ファイバケーブルについて検討された項目は次のとお かつ詳細な検討を実施した後、部会全体で審議を行っている。 りである。 今年度のWG構成と分担内容を表5に示す。 ⑴ 新規文書の制定 光ファイバケーブル製品規格として、ケーブルエレメント通則 表5 ワーキンググループ(WG)の構成と分担 および光ファイバリボン規格、コネクタ付け用屋内ブレイクアウ WG トケーブル製品規格、応急布設・回収用屋外光ケーブルファミ リスペックについて審議された。また、ガイドラインとして、ド ロップケーブルセレクションガイドライン、ケーブル内ファイバ色 識別について審議された。 光ファイバケーブルについては、光ファイバケーブル通則、光 ファイバケーブル試験手順(クロスリファレンス・通則/定義、機 械試験)、また、光ファイバケーブル製品規格として、光ファイバ ケーブル試験手順 − 環境試験、ケーブルエレメント試験につ 構成メンバ WG 1 多心系かん合標準、 性能標準、 光学互換 渋谷(リーダ)、与板、 標準の素案化、 試験・測定法標準、 国際 高 橋、 鎌 田、 末 松、 標準との整合、強度試験に関する調査研究 嶋津、中村 WG 2 単心系かん合標準、性能標準、信頼性、光 学互換標準の素案化、国際標準との整合 フェルール穴角度測定、端面清掃に関する 調査研究 大久保(リーダ)、 北條、平、吉田、山内、 中水流、浅川、 磯野(オブザーバ) IEC/TC86/SC86B 他 委 員 会、 部会とのリエ 光受動部品標準化部会 ゾン活動 Tプロジェクト2 渋谷 リエゾン ⑵ 既存文書の改訂 調 査 分 担 渋谷 渋谷 今年度も、昨年度から審議を引き継いだ案件および必要性 いて審議された。 を精査して今年度応募した案件についてJISの改正および策定 3.6 今後の課題 に向けた原案作成を行うとともに、当部会との関連が深い組織 光ファイバ関連国際規格との整合化については、IECおよび (IEC、JIS光受動部品標準化部会、Tプロジェクト2)におけ ITU-Tにおける各種試験方法および各種製品規格の制改定の るリエゾン活動を行った。今年度に実施した主な標準化検討 状況に合わせて、JISの見直しを進める。また、光ファイバケー 内容について以下に示す。 ブルの製品規格についても、IECでの動きが活発化しているこ 4.3 光コネクタ標準化の検討内容 とから、JIS制定に向けた準備を進めることとする。 ⑴ 光ファイバコネクタ通則の標準化検討 4. 光コネクタ標準化部会 光ファイバコネクタ通則(JIS C 5962)の改正については、 WTO・TBT協定に基づき、対応するIEC規格に整合させる IEC 60874-1(光コネクタ総則)およびIEC 61274-1(光アダプ ことを前提として、JIS改正および制定を行っている。ただし、 タ総則)を対応国際規格として、既存JISの内容を精査しなが 両規格間では規格体系が異なっているため、JIS体系を見直し ら、IEC規格との整合を図る。文書作成とともに、2つの対応 た上で、IEC規格との整合を進めている。JIS独自の光コネクタ 国際規格と既存JISとの対比表の作成を進めた。 個別規格を中心にIEC規格との整合化を図ると共に、次世代 ⑵ 光学互換標準の標準化検討 の新規光コネクタの技術動向を調査し、技術的検証を適宜実 昨年度に引き続き、IEC 61755規格群の第2部に新たに制定 施しながらIEC標準化への提案およびJIS化を進めていく。 された基準接続用の光学互換標準に対応するJIS(基準接続 56 技術情報レポート 2015年度OITDA 用シングルモード直角PC端面光ファイバの接続パラメータ ⑷ 光コネクタのOITDA規格化およびJIS廃止の検討 (JIS C 5965-2-4)、基準接続用シングルモード斜めPC端面光 平成21年に実施した「単心系光コネクタ使用に関するアン ファイバの接続パラメータ(JIS C 5965-2-5))の原案検討を進 ケート調査」において、F03形(JIS C 5972)、F09形(JIS C めた。同時に、JIS C 5965規格群の規格名称の変更方針の検 5978)、F10形(JIS C 5979)の3規格は、供給者が1社以下 討も行った。今後制定または改正するJIS C 5965規格群は新 で、技術的バックアップが得られにくい光コネクタであることが たな方針に従い整合性を保つ予定である。 わかったことから廃止の結論を出していたが、今年度は、これ さらに、角形フェルールを用いたシングルモード斜めPC光 ら3規格の廃止の申出を経済産業省に行った。なお、コネクタ ファイバの光学互換標準(IEC 61755-3-31)に対応するJISの が搭載されている機器が継続的に使用されていることや、規格 試案検討も進めた。本規格はポリフェニレンスルフィド(PPS) の参 照などが 行われていることから、OI T DA規 格および 材料から成る角形フェルールを用いた光ファイバ接続部パラ OITDA/TPへ移行すべく準備を進めた。 メータを規定するものであり、対象製品としては今後需要の増 5. 光受動部品標準化部会 大が見込まれる多心MPOコネクタなどが該当する。当該品は 光受動部品標準化部会では、新規光受動部品の標準化原 日本発の技術であり、国内光通信装置、光トランシーバなどの メーカおよびユーザが多く、JIS化の必要性は極めて高いため、 案および既制定JIS改正案の作成、光受動部品の試験法・測 試案の検討に着手した。 定法およびJIS性能標準に関する調査・検討、国際的な標準化 ⑶ 試験・測定方法の標準化検討 の動向調査などを行っている。今年度は、部会の中に3つの ワーキンググループ(WG)を編成し、部会を9回開催して標準 光ファイバコネクタなどの光ファイバ接続デバイスおよび光 化活動を推進した。 受動部品の試験測定方法を規定するIEC 61300規格群に関し て、最新動向の調査、IEC/JIS C 61300規格群対比一覧表の 5.1 通 則・総則、光学素子、信頼性およびハイパワー 評価に関する標準化(WG 1) 見直し、およびJIS化を進めている。今年度、審議を行った主な 内容を以下に示す。 SM調心円筒形斜めPC端面光ファイバコネクタプラグの挿入 JIS通則案の作成、IEC総則文書へのコメント対応などを 損失スクリーニング試験(JIS C 61300-2-40)、SM調心円筒 行っている。JIS C 5920-1(光伝送用パワー制御受動部品-第 形直角PC端面光ファイバコネクタプラグの挿入損失スクリーニ 1部:通則)の原案が電子技術専門委員会の審議を受け、JISと ング試験(JIS C 61300-2-41)、光ファイバクランプ強度試験 して制定された。JIS C 5925-1(光伝送用WDMデバイス-第1 -繰返し曲げ(JIS C 61300-2-44)の3件のJIS原案に対し、電 部:通則)およびJIS C 5930-1(光伝送用スイッチ-第1部:通 子技術専門委員会のコメント対応を行った。これら3件は、 則)の原案が規格調整 分 科 会の審議を受け日本規格協会 2015年11月20日に公示された。 (JSA)より申出され、電子技術専門委員会の審議を受け、JIS ストレス印加によるセラミック割りスリーブのスクリーニング として改正および制定された。IEC総則審議文書対応として、 試験(JIS C 61300-2-24)、取付け済み光コネクタプラグ付き 光伝送用パワー制御受動部品総則および光アイソレータ総則 光ファイバコードの曲げ試験(JIS C 61300-2-49)の2件のJIS の改版提案、光受動部品の共通用語の定義の規格案作成とコ 素案に対し、規格調整分科会対応を行った。JIS C 61300-2- メントへの対応を行いドラフトが回覧された。回覧文書の審議 24は電子技術専門委員会対応も行った。 などに対応し、波長選択性のない光ブランチングデバイス総 則、光フィルタ総則および光サーキュレータ総則が発行され 光ファイバクランプ強度試験-通光左右曲げ引張り(JIS C た。 61300-2-50)、光ファイバクランプ強度試験-非通光左右曲げ 引張り(JIS C 61300-2-51)の2件のJIS素案に対し、規格調整 5.2 試験・測定方法に関する標準化(WG 2) 分科会対応を行った。 干渉法による直角PC及び斜めPC端面単心円筒形フェルー 光受動部品の試験・測定方法に関して、IEC 61300規格群 ルの端面形状測定(JIS C 61300-3-47)の素案検討を行い、 の試験・測定方法のJIS文書化を継続して進め、JIS C 61300- 2015年10月に日本規格協会へ提出した。その後、規格調整分 3-38(光ファイバ接続デバイス及び光受動部品-基本試験及び 科会対応も行った。 測定手順-第3-38部:群遅延、波長分散及び位相リップル測 損失測定(JIS C 61300-3-4)に関しては、対応国際規格の 定)が電子技術専門委員会の審議を受け、JISとして制定され 和訳作成、光受動部品標準化部会への照会を行い、光受動部 た。JIS C 61300-3-21(光ファイバ接続デバイス及び光受動部 品標準化部会からのコメントに基づいて原稿を修正した。 品-基本試験及び測定手順-第3-21部:切替時間測定)、およ また、単心円筒形フェルールの光ファイバ挿入穴角度測定方 びJIS C 61300-3-50(光ファイバ接続デバイス及び光受動部品 法をIECに提案するために、昨年度から、国内フェルールメー -基本試験及び測定手順-第3-50部:光スイッチのクロストー カ間でラウンドロビン試験を実施しており、詳細測定方法およ ク測定)が規格調整分科会および電子技術専門委員会の審議 び測定不確かさについて検証を行っている。今年度は、各測定 を受け、JISとして制定された。光ファイバ接続デバイス及び光 方法により測定値に差異が生じる要因の把握および測定再現 受動部品-基本試験及び測定手順-第3-14部:可変光減衰器 性の確認を進め、測定再現性に比べて各測定方法間での測定 の減衰量の設定の誤差及び再現性測定の制定案をJSAに提出 値の差が大きいことが判明した。 し、規格調整分科会の審議を受け、JSAより申出を行った。ま 技術情報レポート 2015年度OITDA 57 標 準 化 た、IEC回覧文書へのコメント対応およびIEC 61300規格群の い光受動部品について、IECと整合をとりながら滞りなくJIS化 文書の改版・作成に対応し、日本IEC委員をサポートした。 を進める。さらに、JISの通則、試験・測定法および個別規格案 を作成する際に見出されたIEC規格の問題点の修正提案およ 5.3 JIS個別規格・IEC性能標準に関する標準化 (WG 3) びIECへの新規提案などを積極的に行い、この部会の活動の JIS個別規格案の作成、IEC性能標準案の提案および回覧 成果を国際標準化に反映させることも重要であるため、引き続 文書コメント対応を行っている。JIS C 5914-3(光伝送用サー きIEC国内委員会と連携を保ちながら、IECへの提案、日本の キュレータ-第3部:シングルモード光ファイバピッグテール形 意見表明を行っていく。 光サーキュレータ)およびJIS C 5920-3(光伝送用パワー制御 6. 光能動部品標準化部会 受動部品-第3部:シングルモード光ファイバピッグテール形電 現在、種々の光能動部品が映像やオーディオなどの民生機 気制御式可変光減衰器)の制定案を作成し、JSAに提出した。 また、JIS C 5932-3(光伝送用アイソレータ-第3部:シングル 器をはじめ情報処理・光伝送システムなどの産業用機器に基 モード光ファイバピッグテール形光アイソレータ)の制定案作成 幹部品として幅広く使用されている。このような状況において、 に着手した。IECの性能標準案(固定減衰器、WDM-PON用 光能動部品に関する標準化の推進は、機器の低コスト化ととも AWG、NGA用WDMフィルタ)に関して、文書規定内容の妥当 に光能動部品技術を通して世界的技術競争に勝ち残りつつ産 性検証、コメント対応、IEC国内委員のサポートを行った。 業の一層の発展を図り、技術の効率的利用の拡大を図るため に必要不可欠である。 5.4 海外における標準化動向(IECにおける審議動向) 光能動部品関連のJISは、1981年度から当協会において実施 IEC/TC 86/SC 86Bでは、光ファイバ接続デバイス(光コネ された光伝送用光能動部品のJIS素案作成を中心とした調査 クタ、ファイバマネジメントシステム、クロージャ、スプライスな 研究の成果を基として制定され、随時見直し・改正等が行われ ど)および光受動部品に関する標準化を進めており、今年度は た結果、現在は表1に示す39種類のJISが制定・改正されてい 2015年4月にアヌシー(フランス)、10月に光州(韓国)にて会 る。これらのJISのうち、JIS C 5952規格群(パッケージ及びイ 合が開催された。 ンタフェース標準)、JIS C 5953規格群(性能標準)、JIS C ⑴ 光受動部品(WG 7)関連 5954規格群(試験及び測定方法)は、IECにおける光ファイバ 総則、性能標準、信頼性文書、技術仕様および技術レポート 伝送用光能動部品の規格体系に沿ったものとして制定された。 を審議している。今年度は、総則では、波長選択性のない光ブ すなわち、 「通則」と「測定方法」を規定する伝統的な体系と ランチングデバイス総則(第6版)、光フィルタ総則(第3版)お は考え方が異なり、具体的な個々のアプリケーションに沿って よび光サーキュレータ総則(第3版)が発行された。性能標準 部品の性能、パッケージ形状及びインタフェース、試験及び測 では、ピッグテール形G-PON-NGA WWDMデバイス(カテゴ 定方法などを規定するという考え方に立脚したものとなってい リC)、周回性AWG(カテゴリC)および同(カテゴリO)が発行 る。光ファイバ伝送用光部品では、国際規格であるIEC規格の された。信頼性では、光受動部品の信頼性品質基準が発行さ 多くがこの考え方に沿って制定されており、そのほとんどがJIS れ、技術仕様では、日本から光受動部品の共通用語を提案しド としても必要であると考えられることから、IECの考え方に整 ラフトが回覧されている。2016年2月現在、メンテナンス文書を 合した規格体系を採用することを原則としたものである。 含め、7件の回覧信頼性文書がある(総則2件、性能標準3 現在、IECにおける光能動部品関連規格策定では、WDM- 件、信頼性1件、技術仕様1件)。 PONやデジタルコヒーレントシステム等の新しい光伝送システ ⑵ 試験・測定方法(WG 4)関連 ムの導入を視野に入れて、新たな部品に対する要求に沿った規 試験・測定方法は、61300シリーズで規格化され、光コネクタ 格を策定する作業が進みつつあり、それらも必要に応じてJIS およびクロージャを中心とした光ファイバ接続部品および光受 化の必要が生じるものと考える。当部会では、標準化ニーズに 動部品の試験・測定方法が規定されている。61300-2シリーズ 沿ったJIS素案の検討を行うことを基本姿勢とし、アンケート調 は試験方法、61300-3シリーズは測定方法で、光受動部品測定 査等によって明らかとなった市場の要求に適応した標準の作 法関連では、今年度新規に発行された文書はない。2016年2月 成を目指して活動を行っている。今年度は、このような情勢とこ 現在、1件の改正文書が審議待ちの状態である。 れまでの検討結果を踏まえ活動を行った。以下に今年度の当 部会での審議経緯と結果について報告する。 5.5 今後の課題 6.1 審議経過概要 6.1.1 JIS素案作成に向けた検討 JIS通則については、IECで改版済み、もしくは審議中のIEC 総則に対応し、遅滞なくJIS通則の改正を進める。光コネクタ 標準化部会と共同で進めているIEC 61300規格群の試験・測 今年度は、昨年度の成果および今年度の課題を基に、検討 定法のJIS化については、JIS C 5901(光伝送用受動部品試験 を深めて具体的標準化案の作成を進め、必要ならばアンケー 方法)およびJIS C 5961(光ファイバコネクタ試験方法)で規 ト調査等を再度行うなど、国際標準化の動向とも歩調を合わ 定する試験および測定項目のうち、JISとして規定を残す必要 せてJIS化ができるよう活動を行うことを基本方針とした。この がある項目についてはJIS C 61300規格群として早期の制定を 方針に基づき、今年度の活動を以下の各項目について検討を 目指す。また、JIS個別規格についても、日本国内で必要性の高 進めることとした。なお、必要に応じてアンケート調査を実施 58 技術情報レポート 2015年度OITDA し、標準化ニーズの的確な把握と素案への反映を図る。 能標準-第1部:総則」について、対応国際規格IEC 61249-1 ⑴ 今後の標準化項目の策定(新しい光伝送システムに必要 が2011年に改正されたことから、整合を取るために昨年度策定 とされる光能動部品の標準化ニーズの検討) した改正JIS素案について、JSAでの審議結果をフォローし、 2020年までの光ネットワークの動向と規格化の関連を示した JIS改正作業の支援を行った。 マップをもとに、各種標準化組織の動きなども勘案し、今後の 6.1.2 国際標準化動向 標準化項目(性能標準および測定標準)に関するアンケート等 を実施してJISとして必要な項目の具体化を図り原案作成の準 光能動部品標準化部会の扱うテーマに最も関連のある国際 備を行った。その結果、性能標準に関するJIS化の要望は低い 標準化組織は、IECのSC 86CおよびSC 47Eである。SC 86C 一方で、測定標準に関してはJIS化の要望が高いことが判明し は、光サブシステム及び能動部品を扱うSCで、具体的には光伝 た。IEEEや各種MSAで作成される性能標準には詳細な測定 送用サブシステム、光ファイバ増幅器、光伝送用半導体デバイ 方法の記述は少なく曖昧さが残っており、測定に困難さが伴う ス・モジュールを包含している。SC 86Cは、光ファイバおよび光 ことが背景にあると思われる。このため今後の標準化項目とし ファイバケーブル、光コネクタ、光受動デバイスなども含めて ては性能標準に関しては状況監視、必要に応じてテンプレート Fiber Optics全体を扱う技術委員会(Technical Committee) 対応とし、測定標準をJIS化することが望ましいと思われる。 であるTC 86の傘下にある。また、SC 47Eは、ディスクリート半 ⑵ 半導体光増幅器 導体デバイスの標準化を担当するグループで、IC・LSIなどの 光増幅器標準化部会およびIEC/SC 86C/WG 4並びにWG 半導体デバイス全般を扱うTC 47の傘下にある。なお、SC 3国内委員会と連携して作成し、IEC SC 86C/WG 3-WG 4合 47Eの所掌範囲には光半導体のみならず通常の電子デバイス 同会議に昨年提案した「半導体光増幅器の性能仕様テンプ も含まれている。 レート」について、IECで審議が行われ関係者間で何回か見直 6.2 今後の課題 しを行った結果、IEC国際規格(IEC 61292-2 Ed.4)として発 行されることが2015年12月に決定した。引き続きSOA特有のゲ 先端的技術分野の一つである光伝送用光能動部品について インリップル等の測定方法について検討を進めた。今後も関係 は、国際規格と整合したJISが速やかに制定されるよう、国際 者と連携して国際規格への提案を行う必要がある。 的な規格策定作業とJISが歩調を合わせて活動を進めること ⑶ 光インターコネクション用E/O・O/Eデバイス が望ましいと考えられる。その意味からも、現在、光能動部品 昨年度JIS素案として上程した「単心直列伝送リンク用光 標準化部会で検討を進めているデバイスについては、形が整っ 送・受信モジュールの性能標準テンプレート」 (JIS C 5955-1) たものからOITDA規格として関係者にオープンにして使ってい について、審議等のフォローを行って完成させ、日本規格協会 ただくことが重要であると考えている。また、必要ならばアン (JSA)へ提出した。今後は、測定方法の規格体系として、単 ケート調査等を再度行うなどして着実に内容の充実を図りつ 心波長多重伝送(WDM)リンク用光送・受信モジュール、複心 つ、国際標準化への提案も含め国際的な動きと整合した形で 並列伝送リンク用光送・受信モジュール等の規格を検討するこ JISとして規格化を図る必要があると考えている。 IECにおいては、新たに40 Gbit/s超高速光伝送用小型光ト ととする。 ⑷ GPON/GEPON-OLT/ONU用光トランシーバ ランシーバ用パッケージ、面発光レーザ、半導体光増幅器、波 昨年度提出したJIS原案作成概要調査書に基づき、 「GPON 長可変レーザモジュール、光集積回路用パッケージなどの規格 用光トランシーバ性能標準」、 「GPON用光トランシーバ試験及 案が提案されたり、その必要性が議論されたりしている。これ び測定方法」に関して、OITDA技術資料(OITDA/TP 20/ らの新しい光能動部品に関する動きおよび標準化ニーズにつ ADおよびTP 21/AD)をもとにJIS素案である「光伝送用能動 いても、国際規格との整合を念頭に適切な時機にJIS化が図れ 部品-性能標準-第7部:GPON用光トランシーバ」(JIS C るよう活動を進める必要がある。 5953-7)、および「光伝送用能動部品-試験及び測定方法-第 また、現行の光能動部品関連JISの中には10年以上前に制 4部:GPON用光トランシーバ」 (JIS C 5954-4)を作成しJSA 定されたものも含まれており、その後の技術進展に伴い見直し へ提出した。 が必要なものも出てきつつある。これらについても順次見直し ⑸ 「光伝送用半導体レーザモジュール信頼性評価方法」 を図る必要がある。 (JIS C 5948)についてのJIS改正支援 7. 光増幅器標準化部会 JIS C 5948「光伝送用半導体レーザモジュール信頼性評価 1990年代前半から、エルビウム添加光ファイバ増幅技術の 方法」について、IECで進められている該当国際規格(IEC 62572-3 Ed.2)の改正作業が終了しIEC規格の改正版(IEC 研究開発が急速に進められ、IECとCCITT(現在ITU-T)に 61572-3 Ed.3)が2015年2月に発行されたことから、FDISの改 おける国際標準化活動が、それぞれ、1991年9月および1992年 正内容を反映した形で並行して規格調整分科会を終えていた 2月から開始された。国内では、1994年度に、光ファイバ増幅 JIS C 5948の改正作業の支援を行った。 器標準化委員会が発足し、2001年度には、IECにおける審議 ⑹ 「光能動部品性能標準-第1部:総則」 (JIS C 5953-1) 対象が、ラマンファイバ増幅器、半導体光増幅器などへ拡張さ れていることを受け、ファイバの名称を削除して今日に至ってい についてのJIS改正支援 る。 2007年に制定されたJIS C 5953-1「光伝送用能動部品-性 技術情報レポート 2015年度OITDA 59 標 準 化 当委員会は、⑴IECの規格化審議状況と国情を考慮しなが ◦光ファイバ増幅器の信頼性品質基準文書(IEC 61291-5- らJIS案を翻訳作成する、⑵国際標準化動向を把握し国内委員 2)改正に関連した信頼性規格の記載内容: 会経由で適宜提案する、という二つの活動を柱としている。 信頼性品質基準文書の改正に関連した各種信頼性規 格・記載内容の比較検討結果をIEC会合で報告した。 7.1 JIS等の原案作成活動 7.1.1 JIS化検討 7.1.3 その他の活動 これまでに提案を行ったJIS制定、標準報告書(TR)案に対 JIS C 6121-5-2:2007、JIS C 6122-3-1:2011、JIS C 6122-10- するフォローアップ(日本工業標準調査会の電子技術専門委員 1:2007、JIS C 6122-10-3:2012の見直し調査を実施した。また、 会・規格調整分科会、経済産業省からの問い合わせなどに対 昨年度作成した訳語表に、訳語の追加と日本工業標準調査会 する対応)を実施した。以下に現在の申請状況を示す。 の電子技術専門委員会、日本規格協会の規格調整分科会など ◦J IS C 6122-3-3:光増幅器-測定方法-第3-3部:雑音指 からの指示に従った修正と新規訳語を追加した。 数パラメータ-信号対総ASEパワー比 7.2 IEC動向調査とIEC活動への協力 [制定] (2016年度公示予定) ◦J IS C 6122-10-5:光増幅器-測定方法-第10-5部:マル IEC/SC 86C/WG 3を中心に、光増幅器関連の国際標準化 チチャネルパラメータ―分布ラマン増幅器の利得及び雑 状況の調査を行うと共に、IEC/TC 86国内委員会と協力を 音指数[制定] (2016年度公示予定) 行った。IECの主な動向およびIEC活動への提案・協力は以下 の通りである。 ◦TR C 0060:光増幅器-半導体光増幅器(SOA) (2016 年度公表予定) 7.2.1 既存文書の動向 また、JSAのJIS原案作成公募制度(平成27年度・区分C)を 以下に今年度の会合で審議された主な改正文書及び改正内 活用して、次のIEC規格に対応したJIS原案1件の作成を進め 容等を示す。 ている。 ◦I EC 61290-1シリーズ(対応JIS C 6122-1-1~-3) ◦IEC 61290-4-3 Ed.1.0:Optical amplifiers - Test methods アンブレラ文書制定に伴い、一昨年より審議がなされて - Part 4-3: Power transient parameters in single 以下に示す2文書(日本がプロジェクトリーダ)が発行さ channel optical amplifiers for receivers[JIS制定] れた。 7.1.2 I EC文 書原案・技 術 報 告 書( T R )原案および OITDA規格案・技術資料(TP)報告案の検討 IEC 61290-1-1 Ed.2.0(対応JIS C 6122-1-1)光スペクト ラムアナライザを用いた利得パラメータ測定方法 以下の検討を実施した。 IEC 61290-1-3 Ed.2.0(対応JIS C 6122-1-3)光パワー ◦半導体光増幅器に関する性能テンプレート原案: メータを用いた利得パラメータ測定方法 CDV回覧、RVC回覧が実施され、 2016年中の文書発 ◦I EC 61290-4-1 Ed.2.0(JIS C 6122-4-1)過渡パラメータ 行の予定である。また、SC 86Cで規定する各種性能テン ―二波長法 プレートの記載内容の比較検討に関してIEC会合での報 日本から修正点を反映した改正案の審議。CDV回覧 告を行った。 済。 ◦ハ イパワー光 増幅 器に関するI E C 技 術 報 告 書(TR) ◦I EC 61291-2 Ed.4.0(対応 JIS C 6123-1)性能仕様テンプ (IEC/TR 61292-8)原案および新規OITDA規格技術資 レート-単一チャネル用光増幅器 料(TP)案: 光ファイバ増幅器と半導体 増幅器の性能仕様テンプ OITDA規格TP案骨子が決まり、次年度発行の予定で レートの統合を図った改正案を審議。CDV回覧、RVC回 ある。 覧が実施され、2016年中の文書発行の予定である。 (日 ◦利 得過渡パラメータに関する測定方法-利得制御単一 本担当) チャネル光増幅器法に関する新規IEC文書原案および新 本文書の改正審議において、日本からSC 86Cで規定す 規OITDA規格案: る各種性能テンプレートの記載内容の比較検討結果を 新規OITDA規格が完成し、発行された。その後、本規 IEC会合での報告を実施した。 格案を基にした新規IEC文書原案を提案することになっ ◦I EC 60291-5-2 Ed.2.0(対応JIS C 6121-5-2)品質評価規 た。 格-光ファイバ増幅器の信頼性評価 ◦光増幅器の分類、特性及び適用先に関するIEC技術報告 光増幅器の小型化の流れを考慮し、重量に応じた試験 書(TR) (IEC/TR 61292-3)改正案: 条件の分類化を記述している。セカンドCD回覧済。改正 文書構成の大幅な変更を行うと共に、アレイ増幅器、空 審議において、日本から、光ファイバ増幅器の信頼性品質 間多重増幅器、遠隔励起光増幅器の追記等を行った改正 基準文書の改正に関連した信頼性規格の記載内容の比 を行うことになり、本改正に関する目次案をIEC会合で提 較検討結果を報告した。 案することになった。 60 技術情報レポート 2015年度OITDA 7.2.2 新規文書化についての動向 極的に協力していく。 新規文書として制定が進められている文書および進行状況 ③I EC/TC 86/SC 86C/WG 1での標準化審議にメンバーを を以下に示す。 派遣し、国際標準作成に協力している。今年度はサンルイ ①I EC 61290-4-3 Optical amplifiers − Test methods − スオビスポ(3月)と光州(10月)で開催された2回の会合 Part 4 -3: Power transient parameters in single に参加した。日本が貢献した主な成果は以下の通りであ channel optical amplifiers with output power control: る。 IS発行済 ◦光 サブシステム通則(IEC 61281-1):コメントを盛り込 ②I EC/TR 61292-8:High power optical amplifiers :NP んだ改正ドラフトを日本がPLとして作成し、次会合で審 回覧予定(日本担当) 議することとなった。 ③利得制御単一波長増幅器の利得パラメータ測定方法:NP ◦光アイパターン、光波形及び消光比測定法(IEC 61280- 回覧予定(日本担当) 2-2):日本より、図面の不備について報告・説明した。 また、 発行前の中央事務局での編集中に生じたミスとみられ ROPA(Remote optically pumped amplifier)、空間多重光 る。セクレタリの方で状況を確認して対処した結果、正 ファイバ伝送用光増幅器等の新規光増幅技術について、新 誤表が発行された。 規文書化の検討が行われている。 ◦既設伝送路の偏波モード分散測定(IEC 61280-4-4): 上記新規文書に関して、本部会でも積極的に議論を実施 現行版のJIS翻訳時に発見した、図の抜けなどの不備に し、同議論結果をIEC会合においてJISリエゾン報告を行うと ついての日本からの指摘も了承され、修正版をCDV回 共に、IEC会合において主導的立場に立ち積極的に議論を 覧することとなった。 行った。 9. 光測定器標準化部会 8. 光サブシステム標準化部会 本部会は、光測定器の試験/校正に関わるJISについて検討 国際標準化機関のワーキンググループであるIEC/TC 86/ を行っており、昨年度に引き続き、国際規格に整合するJISを制 SC 86C/WG 1は、光通信システムおよび光サブシステムの物 定すべく、関係するJIS原案の制定/改正に関する検討を行っ 理層に関する標準化を扱っており、光システムの設計ガイドライ た。 ンの制定および光システム(システム一般、デジタルシステム、 9.1 国際標準化(IEC/TC 86/WG 4)動向 光ケーブル設備や光リンク)の試験法の規格化を進めている。 本部会は、SC 86C/WG 1での標準化を支援すると共に、発行 2015年10月に開催された光州会合(韓国)においては、日本 済みのIEC規格の中で国内ニーズの高いものから順次JIS化を がプロジェクトリーダ(PL)を担当している光スペクトラムアナ 進めてきた。また、日本が進んでいる技術のより積極的なIEC ライザ校正方法(IEC 62129 -1 Ed.1.0)について、CDV文書と への提案を促進するため、新技術の調査と貢献文書作成の支 して今年実施された各国からの投票の結果を踏まえて審議を 援を行ってきた。今年度は、光サブシステムのJIS化および国際 行った。投票結果とIEC事務局のコメントに対する対処方針に 標準化への提案・支援において活発に活動を行った。 ついて、光測定器標準化部会にて審議を行い、IEC/TC 86国 今年度に得られた成果を要約すると以下の通りである。 内委員会にて了承された後、会合に提出した。光州会合では日 ①光 サブシステムに関するIEC規格を翻訳したJIS原案の作 本が提出した、CDV文書の軽微な修正と投票結果が承認さ れ、FDISなしで2016年2月にIS化することで合意された。 成を進めた。 ◦I EC 61280-4-4 既設リンクの偏波モード分散測定法: WG 4全体会合では、日本から光周波数計校正法の技術仕 2015年9月の経済産業省での審議を経て、2015年11 様書をIS化する提案を行い、IS化検討開始で合意された。ま た、その他既存文書の改訂状況報告、各サブWGの活動報告 月に公示された。 が行われた。光周波数計校正法のIS化をはじめとしたいくつ ◦J ISの見直し: かの文書の改訂に関して、次回2016年10月のフランクフルト会 制定後5年経った下記2件の改正作業を進め、2016 合で議論が開始される予定である。 年2月にJIS原案をJSAに提出した。 ◦中心波長及びスペクトル幅測定(WG4) 9.2 「OTDR‐第1部:試験方法」のJIS改正の検討 ◦光アイパターン、光波形及び消光比測定(WG6) ②J ISでの技術用語統一のためにこれまでに作成した専門用 今年度は、昨年度の素案に修正を加えた上、WG 2メンバー 語の訳語対照リストの更新を継続して進めた。その結果、 による検討結果のコメントおよび日本規格協会(JSA)による 2016年2月までに翻訳したIEC規格から抽出した用語は 中間チェックの結果を踏まえてJIS原案(本体および解説)を作 323であり、2015年2月以降は1件の修正を行い、日本語 成し、2016年2月にJSAへの納品を完了した。昨年度の素案か 訳を確定させた。 らの修正の主なポイントは以下の通りである。 ファイバオプティクス標準化部会の企画調整専門部会 ①WG 2メンバーのコメントに基づいて、各試験の記述内容、 に対して当標準化部会の訳語リストの改定 版を提供し 記述形式を、JIS C 6187-1「光波長計‐第1部:試験方法」 た。今後も、Web公開に向けた光技術用語表の作成に積 の内容と整合するように修正した。 (「固有試験、個別試 技術情報レポート 2015年度OITDA 61 標 準 化 験」の記述を「標準試験、動作条件」に変更、被試験器ご その他、エディトリアルな指摘事項の修正も済ませ、2015年 との偏差のばらつきから製品群としての確度を決定する方 11月、経済産業省にJIS原案の申出を行った。 法の記載、等) 9.6 「波長可変光源校正方法」の翻訳JIS化の検討 ②反 射率試験の方法に見直しを加えた。具体的には、昨年 度の素案に従った試験方法では、被試験器のダイナミック 日本提案のIEC規格であるIEC 62522 Ed. 1.0“Calibration レンジ不足によって信頼性が低下するおそれがあるため、 of tunable laser sources”が2014年2月にIS化された。同IEC この問題を回避する試験方法に改めた。 規格はJIS C 6191波長可変光源試験方法をベースにしつつ また、JSAによる中間チェックの結果に従い、箇条のタイトル も、IEC/TC 86/WG 4が取り扱う「光測定器校正」に即した の変更、語句や数式およびそれらの書体の変更等の修正を 規格となるよう、校正の不確かさ評価をGUMに基づいた形に 行っている。 内 容 修正したものである。光 測定 器 標 準 化部会では I E C 62522 Ed. 1.0の翻訳JIS化について、平成26年度より検討を開 9.3 「光スペクトラムアナライザ校正方法」の改正の 検討 始した。 光測定器のJISでは従来、「試験方法」が先行して制定さ IEC 62129-1の改正作業の進捗に伴って、その翻訳JISとな れ、のちに「校正方法」のIEC規格が発行される都度、必要に るJIS C 6192「光スペクトラムアナライザ校正方法」の改正作業 応じて各IEC規格が翻訳JIS化されてきた。しかし、JIS C 6191 を進めてきた。今年度はCDV文書に基づく翻訳JISの改正素 波長可変光源試験方法については、校正・不確かさ評価に関 案を作成した。今後、IEC規格のIS発行に基づき翻訳JISの改 してIEC 62522と整合性を確保しつつ、その他の試験に相当す 正素案の見直しを進めるとともに、JIS原案作成公募(平成28 る部分をIEC 62522に合わせて附属書に移すなどすることで、 年度区分B)に応募する予定である。 JIS C 6191の改正を通じて、IEC 62522の翻訳JIS化とすること も可能と考えらえる。 9.4 「光スペクトラムアナライザ試験方法」の改正の 検討 10. TC 76/レーザ安全性標準化部会 10.1 概要 今年度は、昨年度の改正素案の完成度を高めるべく、改正さ れたIEC 62129-1の内容、あるいは「確度」から「不確かさ」へ 今年度はIEC/TC 76対応の国際標準化は委託プロジェクト の精度表記の変更を進めている他のJIS(JIS C 6187-1、JIS C で行っており、その内容は16章に譲る。この章ではレーザ安全 6185-1)の内容との不整合の修正に努めた。昨年度に作成した 性に関するJIS化審議に絞って述べる。 素案に対する主な改正点は以下の通りである。 10.2 JIS化審議 ①波長不確かさ(確度)試験の際の被測定器の設定分解能 の規定を、改正されたIEC 62129-1の規定(波長サンプリ IEC 60825-1のEd.3およびこれを対応国際規格としたJIS C ング間隔を分解能の1/10以下とする。)と整合するように 6802「レーザ製品の安全基準」の改正は昨年度発行された 改めた。 が、IEC 60825 -1のEd.3は発行を急いだため、少なからずエ ラーが存在しており、残念ながらJIS C 6802:2014でもこれが ②各試験の記述内容、記述形式を、JIS C 6187-1あるいは 修正しきれていなかった。 JIS C 6185-1と整合するように改めた。 (「固有試験、個別 試験」の記述を「標準試験、動作条件」に変更、被試験器 今年度はこのエラーを正誤表として発行するための原稿を作 ごとの偏差のばらつきから製品群としての確度を決定する 成し、経済産業省に提出した。IEC 60825-1のEd.3についても 方法の記載、等) 正誤表を発行するようIEC/TC 76に申し入れている。 9.5 「光波長計‐第1部:試験方法」のJIS改正の検討 10.3 今後の課題 今年度はJSA規格調整分科会での審議を踏まえ、原案の修 IEC 60825-1のEd.3には説明不十分な箇所が複数存在する 正を行った。主な修正点は以下の通り。 が、発行を急ぐため、後にI-SH(Interpretation SHeet)を発行 ①基 準光源の例に関する記述の、 「波長及びその不確かさ して補うという合意がTC 76ではなされていた。2015年度末の が 勧 告によって与えられている光 源 」について、勧 告 時点でこのI-SHは議論の途上であるが、IECでI-SHが発行さ (Mise en pratique: Recommended values of standard れる折には、わが国でもこれをJIS C 6802:2014の附属書とし frequenciesなど)が何を指すのかを明らかにした。 て追補改正する必要がある。JIS C 6802:2014には正誤表が ②過 負荷試験および強度試験において、試験前後に確度の 発行されるが、IEC 60825-1 Ed.3についても正誤表発行の必 安定性(確度の変化の有無)を調べる、としていたのを、よ 要性を議論していく。 り明確にするため、 「7.2の標準試験条件における波長確 11. ISO/TC 172/SC 9国内対策部会 度(不確かさ)試験を実施する。波長確度試験で得られ た偏りDt0の、過負荷試験および強度試験前後の変化が、 当部会ではレーザの国際標準を作成しているISO/TC 172/ 拡張不確かさk ・u t0以内かどうかで合否判断することが望 SC 9(WG 1:レーザの試験方法、試験装置、用語、WG 2: ましい。」と修正した。 レーザのインタフェース、システム、WG 3:安全性、WG 4:医 62 技術情報レポート 2015年度OITDA 用応用レーザシステム、WG 5:一般応用のレーザシステム、WG requirements 6:光学部品とその試験方法、WG 7:レーザ以外のレーザオプ I S O/CD115 5 3 -2:S a fet y of mach i ner y - - Laser ティカルシステム、JWG 1:レーザ特性に関するIEC標準化活 processing machines -- Part 2: Safety requirements for 動の整合から構成される)における国際規格案に対し、国内 hand-held laser processing devices 意見を取り纏め審議等の諸活動を行っている。 11.1.3 WG 4:医用応用レーザシステム 今 年度は2 015 年6月17日~19日の3日間に亘りベルリン (独)のDIN(ドイツ規格協会)に於いて国際会議が開催さ ◦I SO 11990-1、-2:Lasers and laser-related equipment -- れ、JP(6名)、DE(8名)、US(4名)、GB(1名)の4か国19 Determination of laser resistance of tracheal tubesの規 名が出席した。また、国内対策部会は2回開催した他、e-mail 格を一つの規格に統合する改訂作業を行ない、CD段階を ベースで文書審議を行った。 省略してDIS投票をすることとした。また、専門家が減少して いるためPメンバ専門家登録が要求された。 11.1 主なWGの今年度活動報告 11.1.1 WG 1+WG 6:エレクトロオプティカルシステム の用語及び試験方法 ◦ISO 11810(Ed2):Lasers and laser-related equipment -- ◦今 年度は、WG 1およびWG 6が統合され、WG 1として活動 Prima ry ig nition , penetration , f la me spread a nd を行なった。名称は、 「エレクトロオプティカルシステムの用 secondary ignitionの最終国際規格案(FDIS)の投票が行 語及び試験方法」と改めた。また、統合前のコンビーナは、 われ承認された。 Test method and classification for the laser resistance of surgical drapes and/or patient protective covers - - WG 1:Dr.Giesen、WG 6:Dr.R istauだったが、統合後 11.1.4 WG 7:レーザ以外のレーザオプティカルシステム Dr.Ristauがコンビーナとして就任した。 ◦I SO 11145 Optics and photonics -- Lasers and laser- ◦ISO 14880-1 Optics and photonics -- Microlens arrays -- related equipment -- Vocabulary and symbols最終国際規 Part 1: Vocabulary and general propertiesがFDIS段階を 格原案(FDIS)の投票を行ったが技術的なコメントが多く、 スキップして発行された。 ◦ISO 11807-1、-2、およびISO 14881の改訂を行なうことが決 再度投票を行なうことになった。結果、技術的な修正なしで まった。Liaison officerがIEC/TC 86/JWG 9に改訂作業の ISとして発行された。 協力依頼を行った。 ◦I SO 13694 Optics and photonics -- Lasers and laserrelated equipment -- Test methods for laser beam power についての技術的なコメントについては、次回の改訂時に反 11.1.5 JWG 1:半導体レーザ(ISO/TC 172/SC 9と IEC/SC 47Eとのジョイント) 映する予定。 ◦中央事務局(CS)よりJWGの活動が確認されないためJWG (energy) density distributionとISO 11145との定義統一 ◦I SO 19986:Lasers and laser-related equipment -- Test は解散となったが、この半導体レーザ分野の標準化におけ method for angle resolved scatteringの新規提案(NP)に るISO-IEC間の協力は必要なため、引き続きSC 9のLiason ついて投票が行われ、承認された。 としてDr.Dorschが着任し、WG 1で審議をすることとなっ た。 ◦I SO 2 0 811:Qualification of laser optics for space ◦定 期見直し作業で議題に上がっていたISO 11554 Optics applicationsの技術報告書原案(DTR)について投票が行わ and photonics -- Lasers and laser-related equipment れ、承認された。 -Test methods for laser beam power, energy and ◦以下、3件の定期見直し(SR)投票が行われ、承認された。 temporal characteristics については、日本が相対雑音強度 ISO 21254-3:2011:Lasers and laser-related equipment の項を中心に見直しと修正を行った。 -- Test methods for laser-induced damage threshold -Part 1:Definitions and general principles 11.2 その他 ISO 21254-2:2011:Lasers and laser-related equipment 議長のHits(米)が来年(2016年12月末)議長を辞任すると -- Test methods for laser-induced damage threshold -- の表明があったので次期議長がだれになるかを注意したい。 Part 2:Threshold determination 来年度は、日本での開催となり、岡山県で11月に開催を予定 ISO 21254-3:2011:Lasers and laser-related equipment している。 -- Test methods for laser-induced damage threshold -Part 1: Definitions and general principles11.1.2 12. 光ディスク標準化部会 11.1.2 WG 3:安全性 光ディスク標準化部会は、光ディスク関連技術の標準化を専 ◦以下、2件の委員会原案(CD)について投票が行われ承認さ 門とする標準化グループであり、国内規格の原案作成、関連技 れた。 術動向の調査研究等を主な活動目的としている。 I S O/C D11 5 5 3 -1 S a fet y of m a c h i ner y - - L a s er 部会は光ディスク標準化部会を親部会とし、その下に機能別 processi ng mach i nes - - Pa r t 1: G enera l sa fet y の3専門部会を置き活動している。親部会は、各専門部会の活 技術情報レポート 2015年度OITDA 63 標 準 化 動方針の決定、活動の統括、作成したJIS素案の審議・承認を ル記録媒体-120 mm3層(100.0ギガバイト片面ディスク 行い、具体的な作業は専門部会が行うことで推進している。 及び200.0ギガバイト両面ディスク)並びに4層(128.0ギガ 専門部会は、光磁気形/相変化形/追記形/再生専用形の各 バイト片面ディスク)BDレコーダブルディスク 媒体に関するメディア専門部会、光ディスク応用や信頼性評価 ③J IS X 6232情報技術-情報の交換及び蓄積用のデジタル 等に関するアプリケーション専門部会、論理フォ-マットに関す 記録媒体-120 mm単層(25.0ギガバイト/ディスク)及び るフォーマット専門部会からなり、これに加えて、規格のメンテ 2層(50.0ギガバイト/ディスク)BD書換形ディスク ナンスを推進するメンテナンスエキスパートグループを設置して ④JIS X 6233 情報技術-情報の交換及び蓄積用のデジタ いる。 ル記録媒体-120 mm3層(100.0ギガバイト/ディスク) JIS化案件では、メディア専門部会においては、2015年3月に BD書換形ディスク 日本規格協会(JSA)に提出した、BDの物理規格に対応する 12.2 アプリケーション専門部会 4件の全訳JIS原案について、原規格であるISO/IEC規格の改 定に対応するための修正を行った。アプリケーション専門部会 アプリケーション専門部会では、メディア専門部会および では1件のJIS改正作業を実施、フォーマット専門部会では4件 フォーマット専門部会では扱わない規格、例えば、光ディスクの のJIS制定までのフォローを実施した他、1件のJIS追補原案作 寿命推定のための試験方法などの標準化を扱っている。今年 成を実施した。 度は、上記活動を行うために、4回の部会を開催した。具体的 専門部会でのJIS原案作成以降は、メンテナンスエキスパー な活動として、JIS X 6256「情報技術―情報交換及び保存用 トグループにおいて図2に示すJIS出版までの状況をモニタ のデジタル記録媒体―長期データ保存用光ディスク媒体の寿 し、当協会のホームページ(http://www.oitda.or.jp/)で公開し 命推定のための試験方法」改正に取り組んだ。ただし、原規 ている。また、当協会で作成したJISについて、原規格となる対 格のISO/IEC 16963:2015に対する改正審議がSC 23専門委 応国際規格の更新状況等を半年に一度確認し、メンテナンス 員会で行われており、現行のままJIS X 6256改正を行うと既に 表を更新している。今年度はメンテナンス対象となっているJIS ISO/IEC 16963は次の3rd editionになってしまい、二度手間 に関するメンテナンス表の更新はなかった。 となるため、3rd edition対応のJIS改正原案を作成することに 調査研究では、メディア専門部会とアプリケーション専門部 なった。ISO/IEC 16963 2nd editionはminor enhancement 会で将来技術動向調査を実施したのに加え、専門部会活動と として改正することが1月に承認された。今後,エディタから は独立で国際標準化動向調査を実施し、光ディスクユーザに Committee Draft(CD)が提出された後,CD投票が行われ、 対する最新情報の提供を行った。 ISO/IEC 16963 3rd editionとして2016年内の正式発行が見 込まれる。本専門部会で作成したJIS X 6256改正原案は,既 12.1 メディア専門部会 に光ディスク標準化部会で承認され、JSAに中間チェックとして メディア専門委員会では、光ディスク全般(光磁気形光ディ 提出された。また関連将来技術動向に関しては、ISOM’15での スク、相変化形光ディスク、追記(レコーダブル)形光ディスク、 発表から、日本における光ディスク製品認証制度に関する講演 および再生専用(ROM)形光ディスク)の物理規格標準化の について紹介した。 標準化活動を担当している。 12.3 フォーマット専門部会 今年度は2015年3月にJSAに提出した、以下に示す記録形 フォーマット専門委員会では、光ディスクのボリュームおよび BDディスクの物理規格4種類の全訳JIS原案について、対応国 ファイルフォーマットに関する調査研究として昨年度からの継 際規格改定作業進捗に対応し、原案修正を行った。 続課題をも含め、以下の項目について活動を行った。 ①JIS X 6230 情報技術-情報の交換及び蓄積用のデジタ ⑴ JIS X 6235, 6236, 6237の改正に向けたフォロー ル記録媒体-120 mm単層(25.0ギガバイト/ディスク)及 2015年8月に書面審議にて開催されたJISC情報技術専門委 び2層(50.0ギガバイト/ディスク)BDレコーダブルディス 員会からの指示に基づく修正対応を行い、原案を修正した。 ク JIS X 6235、 6236、 6237は2015年11月20付で改正が公示された。 ②J IS X 6231 情報技術-情報の交換及び蓄積用のデジタ 光産業技術振興協会 日本規格協会 (文章精査) 専門部会(原案作成) ① 光ディスク標準化部会(承認) ② (出版) 申出 ③ 経済産業省 大臣 (国際電気 標準課) ⑥ 付議 ④ JISC情報技術 専門委員会 (承認) ⑤ 答申 ⑦ 図2 JIS原案策定から出版までの流れ 64 技術情報レポート 2015年度OITDA ⑵ UDF1.50のJIS(X 0612)の制定に向けたフォロー 開発、車載光デバイスの試作および検証を、普及基盤構築とし 2015年8月に書面審議にて開催されたJISC情報技術専門委 て、IEEE等における普及活動、光システム設計ツールの開発、 員会からの指示に基づく修正対応を行い、原案を修正した。 車載光システム・認証基盤の構築を実施する。国際標準化に JIS X 0612は2015年11月20付で制定が公示された。 関する具体的な計画を以下に示す。 ⑶ 再配置を少なくするファイル配置方策の国際規格開発支援 13.2.1 ISO、IEC規格の開発 2015年5月末において、IEC 62842が出版準備中(APUB) 国際標準化・普及基盤構築委員会を設置し、IEC、ISOの各 であることを確認した。7月16日にI EC中央 事務局からTC 100/TA 8のTS経由で出版前の最終校正要求が届き、校正作 国内審議団体と連携しつつ、次の標準化対応を行う。 業を行った。IEC 62842は、9月9日に発行された。 ⑴ IEC規格 ①光 部品の損失測定方法(損失測定用EAF(Encircled 13. 大口径マルチモード光ファイバ・コネクタ 及びその通信性能に関する国際標準化・ 普及基盤構築(Vプロ2) Angular Flux)規格) ②1~10 Gbps伝送を実現する送信機に関する規定(送信機 出射EAF規格) 13.1 目的 ⑵ ISO規格 本事業では、車載用光部品の汎用化、低コスト化を目指し、 ③車 載光ネットワーク文書体系に関する規定(車載光通信 主に短距離用の光ファイバを使った情報伝達配線に関する国 総則) 際標準化および普及基盤構築を行う。 ④車載光部品に関する規定(車載光部品規格) 具体的には、今後主流となる大口径マルチモード光ファイバ ⑤車載光部品測定方法に関する規定(車載測定方法規格) を用いた高速車載LANを対象の主として、IECでは光信号に ⑥車載光部品環境および機械試験方法に関する規定(車載 関する試験・評 価方法等の国際 規格の開発、ISOでは車載 試験方法規格) LAN用コネクタ、ケーブル等に関する国際規格の開発を行う。 13.2.2 IEEE等における普及活動 また、国際規格の開発と共に、その普及の一環として、IEEEで 進められている車載Ethernetに関する活動を通じて、大口径マ 国際標準化・普及基盤構築委員会は、他の委員会と連携し ルチモード光ファイバを使った車載LANのIEEE規格とIEC、 て、IEC、ISO規格の開発や普及基盤構築に必要となる国際コ ISO規格との整合性を図るとともに、関連する住宅や産業機械 ンセンサスの形成のため、IEEEにおける標準化活動、シンポ 分野への汎用化も検討する。さらに、国際規格やIEEE規格の ジウムの開催などを行う。 有効性を示し、デバイスを含む実証システムやその評価ツール 13.3 国際標準化に関する成果 を開発し、次世代自動車への普及を促す。車載LANにおける 光ファイバ使用は、軽量化、省電力化により二酸化炭素の排出 IEC、ISO、IEEEにおいて、国際標準を関連付けながら、か を抑え、燃費向上を促し、自動車の省エネルギー化に貢献す つ、体系的に構築することを狙って活動している。活動主体は る。 国際標準化・普及基盤構築委員会であり、各委員が分担して 標準化にあたっている。当初の計画に対し、表6にその最終目 13.2 実施計画 標と今年度の目標と実績、今後の課題を簡単にまとめる。 本事業では、国際標準化活動として、ISOおよびIEC規格の 表6 国際標準化の進捗概略 国際標準 IEC ISO IEEE 提案の場 TC 86/SC 86B/WG 4 TC 22/SC 31、TC 22/SC 32 P802.3bv 国内委員会 最終目標 今年度目標 今年度実績 今後の課題 電子情報通信学会 86B光部品小委員会 自動車技術会 光通信小委員会 JasPar /次世代高速LAN-WG OPEN Alliance SIG/TC7 ①損失測定用EAF規格 (2017年度) ②送信機出射EAF規格 (2017年度) ③車載光通信総則(2018年度) ④車載光部品規格(2018年度) ⑤車載測定方法規格(2018年度) ⑥車載試験方法規格(2018年度) ⑦車載Ethernet (1 Gbps) (2016年度) ⑧車載Ethernet (10 Gbps) (2018年度) ①今年度IS完了 ②規格文書提案先の確定 新規規格提案を行い、プロジェクトを先導 ③ISO/TC 22/SC 31に提案 ④~⑥ISO/TC 22/SC 32に纏めて提案 ⑦WG活動を通して規格文書を作成し、委 員会投票を経てDraft 2.0へ昇格 ⑧10Gbps動作実証 ①実 験とラウンドロビンを重ねて得られた EAFテンプレートを、現行文書に追記す ることが承認された。2016年7月発行予 定。 ②IEEEに提案済み。IECでも提案していく 必要があるか検討中。 ③ISO/TC 22に新規規格提案を行い承認 された。3年後のIS発行を目指してドラ フト文書作成中。 ④~⑥ 1件に纏めてISO/TC 22に新規規格提案 を行い承認された。3年後のIS発行を目 指してドラフト文書作成中。文書を分割 して規格化するかは、各国エキスパート 間で審議を行い決定する。 ⑦会 合に参加し、審議・投票の結果、ドラ フト文書がD2.0に昇格し、発行の目途を 得た。2017年1月頃発行予定。 ⑧2 .5Gbpsおよび10Gbps実 証システムを HPCFによる一心双方向通信で構築し、 IEEE国際学会にてデモンストレーション を実施。 ・送 信機出射EAF規格に関して、IEC等に 提案していく必要があるかを関係機関と 相談して決定する。 ・3年間で多くの規格発行を目指すため、 今後、各国連携と議論の効率化を図る。 ・次の規格として、10Gbps、あるいは、2.5 ~5.0Gbpsが良いのか、 光ファイバを含 めて議論を開始する。 技術情報レポート 2015年度OITDA 65 標 準 化 14. 光ファイバ相互接続用コネクタの光学互 換に関する国際標準化(Tプロ2) 光学互換に関する国際標準化」をテーマとし、ファイバPCコネ スマートフォン等を用いたモバイルサービスや情報処理を のプロジェクト(3年間)の目標は、平成28年度までにファイバ データセンタに集約したクラウドコンピュータサービス等をベー PCコネクタの光学互換文書のFDISを回覧することであり、昨 スとした多様なICTサービスの普及に伴い、通信ネットワークの 年度は、「光ファイバ相互接続用コネクタの光学互換に関する トラフィックは急激に増加している。これに対応するために、光 国際標準化提案委員会」を設置、調査研究を開始した。光ファ 通信ネットワークでは、アクセス系やデータセンタ系をはじめと イバコネクタは、IEC/TC 86(ファイバオプティクス)/SC 86B して、伝送ルートや通信システムの構築によるネットワーク規模 (光ファイバ接続デバイス・光受動部品)で標準化が審議され の拡大が進められるとともに、基幹系やメトロ系での100 Gb/s ている。2014年5月のSC 86B Ixtapa会合のWG 6(光ファイバ 級デジタルコヒーレント伝送の導入に代表されるように高速大 接続デバイス)にて、ファイバPCコネクタの光学互換標準の提 容量化が進展している。これに伴い、現在に至るまで、光通信 案を行い、NP登録となった。 クタの光学互換標準の確立に向けて、光学互換標準の策定に 14.1 背景 係る調査研究および標準化文書案の作成を行うこととする。こ 装置や光部品の開発は、主に高性能化や大規模化(量産化) 14.2 調査結果 を志向して進められ、これに対応した国際標準化が推進されて きた。しかしながら近年になり、通信設備・装置の大型化(建 平成27年度は、CDV回覧することを目標とした。2015年4月 物費用や空調費用の増加)、消費電力の著しい増加、鉛等の のAnnecy会合で、実サンプルのランダム接続損失測定結果 有害物質を用いた部品の使用等による環境負荷の増大、ある と、これに採用されたボア径とファイバ径によるモンテカルロシ いは、通信光の高パワー化による保守作業者の危険性等が問 ミュレーション結果の整合性と、Grade Cを達成できることを 題になっている。そこで、小型化、低消費電力化、有害物質の 報告、RVN審議後CD回覧された。 無使用化、または廃棄時の分別の容易さ、取扱時の作業効率 データの精度を上げCDV文書の提案を行うために、ボア径、 や安全性を志向した、すなわち人と環境に優しい通信装置・部 ボア長さ、光ファイバ先端のテーパ加工形状を考慮しモンテカ 品の開発が求められている。また、通信ネットワークは、生活や ルロシミュレーションと実験検証を行うこととした。10月の光州 経済活動に不可欠な社会インフラであり、高信頼性で災害等 会合でのCC文書審議を経て、CDVが承認された。なお、光州 の障害に強いことの重要性が高まっている。以上のように、光 会合でスイス委員からの指摘もあり、検証中にB1ファイバを採 通信システムにおいても「安全」、「安心」、「グリーン」、「インテリ 用した際にはGrade Dとなる可能性が判明したため、この点を ジェンス」といった新しい視点からの事業検討が最重要項目と 検証するために再度シミュレーションと実験を行った上でCDV なるとともに、これらに対応した国際標準化の整備は不可欠な 文書案を改訂し、2016年4月のSC 86B Locarno会合で各国の ものとなってきている。 了解を取ったうえでCDV回覧を行う計画に変更した。そのため 今年度は、以下に述べるモンテカルロシミュレーションと実験 SFコネクタに代表されるファイバPC(Physical Contact)コ による検証を実施した。 ネクタは、非常に小型でありながら安定な多心PC接続を実現 できる特 性を有している。通信ネットワークやクラウドコン モンテカルロシミュレーションの結果、IEC 60793-2-50に規 ピューティングサービスの要となるハイエンドルータやサーバ等 定されたB1ファイバを前提とすると、ファイバPCコネクタにおけ においては、信号処理の高速化、低消費電力化を図るために るランダム接続損失はIEC 61755-1 Grade D相当とみなすこと 装置内の光インタコネクションの導入が進んでおり、また通信 ができる。一方、市場に流通しているSMFの製品仕様にはより ルートの冗長性が高く耐障害性の優れたメッシュ型光通信ネッ 公差が小さいものがあるため、これらを使用することを前提と トワークの実現に向けて、多方路(リンクが3つ以上)の光ノー すると、選択によってGrade Cを満足できることが明らかとなっ ドの開発が進められている。ファイバPCコネクタは、これらの た。昨年度のランダム接続実験は外径公差が小さい製品を使 情報処理装置や光通信装置において、ボード内/間の高密度 用したため、Grade Cを満足したことがわかる。 光インタコネクション用光ファイバ配線を接続する多心光コネク シミュレーションを検証する実験として、規定の全範囲をカ タとして好適であり、大規模かつ複雑な同光ファイバ配線の実 バーするようにボア径、ファイバ径を変化させた光ファイバPC 装工程の効率化および余長を不要とする高密度化を図り、装 コネクタの実サンプル(SF光コネクタ)の製造は現実的に困難 置の低コスト化、小型化に寄与することが期待されている。 なので、ある外径の光ファイバと、複数のボア径の異なるマイク ファイバPCコネクタは、日本において先行して開発され、SFコ ロホールを用意して生じ得るクリアランスを模擬し、単心の接 ネクタとしてのかん 合 構造は 2 01 2 年にI E Cにおいて I E C 続を繰り返すことでランダム接続を模擬した。光ファイバPCコ 61754-26(Fibre optic interconnecting devices and passive ネクタで は 、シミュレ ーション で 示され た B 1ファイバ で components − Fibre optic connector interfaces − Part 26: Grade-D、SMF+でGrade-Cを実現できることを実験的にも示 Type SF connector family)として国際標準化された。今後、 すことができた。以上の結果を基に、提案文書の内容を改訂し 超高速超高密度光インタコネクション用に光ファイバPCコネク た上でLocarno会合に臨むこととした。 平成2 8 年度は、L oca rno会合後CDV回覧対応を行い、 タが広く使われるようになるには、かん合標準のみでなく、光学 FDIS回覧することを目標とする。 互換の標準化が必須である。 本事業では具体的には、「光ファイバ相互接続用コネクタの 66 技術情報レポート 2015年度OITDA 15. 高耐性レーザガードの評価方法に関する 国際標準化(Cプロ) 15.3 今後の取組み 経済産業省委託「平成27年度政府戦略分野に係る国際標 おいて、IEC 60825-4の附属書にCFRPレーザガード材特有の 準化活動」の一環として、三菱総合研究所からの委託により、 性能評価方法を追加する改正提案を行う予定である。今後、 「高耐性レーザガードの評価方法に関する国際標準化」につ 国際学会への事前発表も視野に入れつつ、IEC会合での提案 いて、調査研究を実施した。 内容を確定させるための追加試験と規格素案の文書作成を並 2016年10月に開催が予定されているIEC/TC 76北京会合に 行して進めて行く。レーザ加工機の高出力化が海外メーカを中 15.1 背景および目的 心に活発に進められているが、現在までの調査では、CFRPを レーザガードは、加工エリアやレーザ装置を囲い、レーザ光 用いた高耐性レーザガードに着目しているメーカは未だ無い。 を安全に遮蔽する防御手段(レーザ遮蔽板・装置)で、一般的 今年度の調査から明らかとなった課題をクリアし、本事業を加 にはアルミ合金などの金属によって実現されているが、高出力 速することで、国内レーザ関連産業の国際競争力強化を図れ レーザ技術の発展に伴い、より安全な防御手段が望まれてい ると考える。 る。レーザガードに関して国際規格IEC 60825-4があるが、高 16. 新 光源プロジェクタ及びファイバレーザ の安全に関する国際標準化(Jプロ) 出力レーザ光に十分な耐性があるガード材料、および、その評 価方法が提案されていないという問題がある。本事業では、日 16.1 背景 本企業が高い競争力を有している炭素繊維強化プラスチック (CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)の優れた特性 本プロジェクトは新光源プロジェクタの安全及びファイバ を生かしたレーザガードの試作および評価試験を行うことで、 レーザなどを搭載するシステムにおけるファイバビームデリバリ レーザ光に対する高い防御性能を検証すると共に、これまで考 の安全に関する国際標準化を推進することを最終目的としてお 慮されていないレーザガードとしての性能特性(軽量性、高耐 り、具体的には、次の二つの目標がある。 熱性など)の有用性を検討し、これらを正当に評価できる評価 ◦IEC 62471(一般照明システム安全規格)の子規格として、 方法を確立して国際標準の新規提案を行うことを目的としてい レーザ照射光を包含するプロジェクタシステムのための安 全規格を新規提案する。 る。具体的には、高耐性レーザガードの評価方法に関するIEC ◦I SO 11553-1(レーザ加工機の安全性に関する一般要求 規格制定、または、IEC 60825-4への附属書追加による追補改 事項)を改正する。 正に向けた提案1件(平成28年度)を目標とする。 この最終目標に向けて、今年度はIEC 62471子規格の新規 15.2 今年度の主な成果と課題 制定のためのFDIS文書およびISO/IEC 11553-1の改正のため 3年計画の2年目に当たる今年度は、CFRPレーザガードの の2CD文書の回覧対応を行い、IEC/TC 76(レーザ機器の安 性能評価、CFRPレーザガードの性能評価方法の検討、国際 全性)国際会議に出席してコメント審議を行った。両規格とも 標準化状況の調査を実施し、以下の成果を得た。 TC 76での議論全体に密接に関連しており、この章では2015 ◦CFRPレーザガード材では、レーザ照射時に発生する火炎 年10月開催のTC 76 Didcot会合(英国)を中心にTC 76対応 (光)をフォトディテクタが感知し、これがノイズとなって の国際標準化全体について述べる。 レーザ光防御時間の正確な測定ができないという問題が 16.2 TC 76各WGの活動状況 あった。今年度は、レーザ貫通光以外の回り込み光を遮断 ⑴ TC 76/WG 1(光放射の安全性) し、かつ供試材端面からの火炎発生を抑制する機構を設 けた暗箱を用い、出力5~10 kWの範囲でレーザ照射試験 昨年度発行されたIEC 60825−1「レーザ製品のクラス分け を実施し、ノイズの影響を問題ないレベルまで低減できる と要求事項」のEd.3は、CDV段階の技術的コメントを反映せ ことを確認した。 ず、Ed.3発行後にI-SH(Interpretation SHeet)により対応す ◦レーザ照射試験の結果を基に、CFRPレーザガード材特 る前提で審議が進められたため、昨年度の東京会合からI-SH 有の性能評価方法について検討し、IEC提案の骨子を作 の審議が進められている。8件のI-SH提案は整理・統合を経 成した。今回検討した暗箱を用いる方法と従来試験方法 て、I-SH 1(形状、波長または時間的に複雑な光源:4.3関連) との差異の明確化、従来レーザガード材の比較データ取得 およびI-SH 2(従来形ランプ機能として設計したレーザ放射: などが今後の課題である。 4.4関連)の二つに集約された。WG 1事務局にて回覧用の最終 ドラフトを作成中である。 ◦I EC/TC 76ディドコット会合(2015年10月)へ参加し、 IEC 60825-4改正案(CD)の審議状況を調査した。今後、 TC 108が作成しているIEC 62368-1「AV・IT機器の安全に CDVへ進む見込みであり、日本意見が反映できるよう、引 関する要求事項」について、TC 76からの要請により、光エネル き続き着実にフォローして行く。また、ドイツにおけるレー ギー源のクラス分けを、E d . 3では、レーザについてはI E C ザガード関連国家プロジェクトの状況調査と意見交換を目 6 0 825規格群に準拠、ランプ及びランプシステムについては 的として、ミュンヘン工科大学の訪問調査を実施した。アル IEC 62471規格群に準拠するとの改正提案を含むDC回覧が2 ミ合金製レーザガードの評価で試験結果が大きくばらつく問 回行われた。Ed.3のCDは2016年度回覧される予定である。 題などがあることがかわり、本プロジェクトの参考とした。 技術情報レポート 2015年度OITDA 67 標 準 化 ⑵ TC 76/WG 3(レーザ放射の測定方法) 国から“光通信業界から1 310 nm帯のパワーの上限を引き上げ IEC/TR 60825-13 Ed.2「レーザ製品のクラス分け測定」の る要請は出ておらず、IEC 60825-2 Ed.4においてもC7の上限値 2018年改正を目指して、引き続きアクションアイテムを議論中で を8とすべきである”旨の発言があり、協議の結果、当面C 7の上 ある。 限値は8とすることとした。 ⑸ TC 76/WG 7(高出力レーザ) 新しく確認されたことは、①クラス1CはWG 3とは基本的に 関係がない、②現行IEC 60825-13では廃止されたIEC 61040 IEC 60825-4「レーザガードの試験方法」Ed.3のCD回覧が を引用しているため必要な記述をIEC 60825-13に追記する必 行われた。日本からはIEC 60825-4のうち、ファイバビームデリ 要がある、③IEC 60825-1Ed.3のI-SHに提案したが採用され バリシステムに関する附属書Gの規定をISO/ I EC 11553 -1 なかった項目をIEC 60825-13に追加する、④故障状態の解析 「レーザ加工装置のレーザ安全に関する要求事項」の附属書 および測定に関する記述を追加する、であり、各担当はコン に移動すべきとの提案を行ったが、レーザ加工以外の用途にも ビーナ宛てに原案を集約している。 ファイバビームデリバリシステムの用途が存在し、今後の発展 ⑶ TC 76/WG 4(医用レーザ装置の安全性) が見込めることから、附属書Gの規定はIEC 60825規格群の IEC 60601-2-22「医用レーザ機器に対する安全要求事項」 ファイバビームデリバリシステムに関する新規格とすることと へクラス1Cの要求事項を追記するEd.4プロジェクトのCD回覧 し、新規格が発行された時点において、IEC 60825-4の附属書 において日本コメントは全て了承された。2016年度にCDV回覧 Gを削除することとなった。IEC 60825-4 Ed.3は次回CDV回覧 予定である。 となる。 ⑹ TC 76/WG 8(基本規格の制定と改正) IEC/TR 60825-8「レーザビーム光の人体に対する安全使用 キャンセルされていたIEC/TR 60825-14「レーザ製品の安 の指針」のEd.3改正は2016年度にDTR回覧できるよう準備を 全性-使用者への指針」Ed.2改正を再開するに当たり、次の方 進めている。 日本から提案しIEC/TC 62/SC 62D/WG 33で審議してい 針が確認された。①現行Ed.1の例題B.9には問題があるので るIEC 60601-2-75「PDT(光線力学療法)及びPDD(光線力 改正する、②IEC 60825-1 Ed.3 I-SHから除外された内容の包 学診断)の安全要求事項」のCD文書について、IEC 60601-2- 含を検討する。今後、RRを回覧し、4名の著者を定め、ドラフ 22のスコープとの重複について調整した。SC 62D/WG 33は トを作成する。 IEC/TR 60825-3「レーザディスプレイ及びレーザショーの 2017年第1四半期の発行を目指している。 レーザ又は高輝度ランプ(IPL)を用いて瞼上部を治療する ための指針」Ed.3の改正方針を次のとおり定めた。①スコープ 場合の眼障害の危険性について、IEC/TR 62471-3「非レーザ はこれまでどおりクラス4、クラス3B、非可視光クラス3Rとし、 光の安全性に関係する製造上の要求事項の指針」およびIEC/ IEC 60825-1 Ed.3において除外が許された照射形映像プロ TR 60825-8に深く関係するので、ISO/TC 94/SC 6/WG 4と ジェクタは含まない、②IEC 60825-1に詳しくないユーザにも十 連携して検討している。米国から、IPLによる目の障害事例、目 分な情報を与えるため、内容を拡充させ、生体障害リスク、クラ の保護具が高温になることによる熱傷事例、目の保護具のOD ス分け概要、用語、管理手法、補充すべき評価および要求事項 値スペクトルなどについて報告があり、IEC/TR 62471-3では を含める。③ショーにおける複雑なレーザ設備について被ばく 限界があるとして、新たな規格開発の提案があり、IEC/TC 保護のための制御やリスクアセスメントを考慮に入れる。 CD回覧されたIEC/TR 60825-5 Ed.3に関してPLとWG 8コ 76/JWG 12およびISO/TC 94/SC 6/JWG 1に対し、JWGのス ンビーナとでコメント対応を行う予定。 コープおよびタイトルを変更して新たなプロジェクトを立ち上げ 2014年2月に発布された欧州指令「民生用レーザ機器が準 る提案を行った(⑽参照)。 ⑷ TC 76/WG 5(光通信システムの安全性) 拠すべき安全性」の中で、欧州委員会はCENELECに対して、 IEC/TR 60825-17「高パワー通信システムにおける光ケーブ 新欧州規格を2017年12月までに採択することを求めている。 ル、受動部品使用に関するガイドライン文書」Ed.2が発行され CENELECはこの「民生用レーザ機器安全規格」に、欧州外 た。 の意見を盛り込み、IEC 60825規格群との整合を保つため、 IEC 60825-12「情報伝送のための光無線通信システムの安 IEC/TC 76に参画を要請してきた。次の3点①「toy」はIEC 全」Ed.2のCDV投票が行われ、次ステップへの移行が承認さ 6 2115でクラス1と定められている、②「Ch i ld appea l i ng れた。 products」はクラス2制限が適切だが、クラス1Mおよびクラス IEC/TC 86とは開催場所が異なるためDidcot会合ではTC 2Mについて不明確、③クラス3R、クラス1Mおよびクラス2Mに 8 6+T C 76のジョイント会合は行われなかったので、I E C ついて民生用機器として適切かどうか不明確、を再確認し、 60825-2「光ファイバ通信システムの安全」Ed.4改正における次 「一般的にはクラス2まで、一定の制約つきでクラス3Rまで」 の点を再確認した。①箇条構成の変更は行わない、②IEC/ が民生用レーザ機器の境界として受け入れられることを期待し TR 60825-17から要求事項を抜出し、IEC 60825-2に移行する て提案することとした。WG 8コンビーナがドラフトを作成し、 件について、コレンポンデンスグループコンビーナを通じIEC/ 回覧する。 TC 86に問い合わせる。また、C 7問題について、日本から、“皮 ⑺ TC 76/WG 9(非コヒーレント光源) 膚のMPEを考慮すると1 310 nmのClass 1 AELはIEC 60825- IEC 62471-1は次項⑻に譲り、その他のIEC 62471規格群に 1 Ed.3において約100 mWとなる”旨のプレゼンを行ったが、米 関して記載する。 68 技術情報レポート 2015年度OITDA IEC 62471-2(TRから一般照明用光源(GLS)に関する垂直 (⑶参照)。その結果、JWG 12のタイトルおよびスコープに 安全規格に移行予定)について、ドラフトがWG 9エキスパート IPLを追加し、ISO 19818以外に二つのプロジェクトを立ち上げ に回覧された。GLS移行に伴い500 lx条件をIEC 62471から る方向でISO/TC 94/SC 6と調整することにした。 IEC 62471-2に移行すべきとの議論がなされており、また、GLS 16.3 今後の課題 を移行するならばIEC 62471-2もCIE/IECのダブルロゴにす IEC 60825−1(Ed.3)のI-SH審議が優先課題である。IEC べきとの意見が出されている。 IEC/TR 62471-4「ランプ及びランプシステムの光生物学的 60825-2(Ed.4)、IEC 62471-1(Ed.1)およびISO/IEC 19818 安全性のための測定方法」Ed.1のCD回覧について各国から膨 (Ed.1)はCD回覧が、I EC 6 0 82 5 - 4(Ed. 3)、I SO/ I EC 大なコメントが提出され、2ndCD回覧を行うことになった。 11553-1(Ed.2)およびISO/IEC 11553-2(Ed.2)はCDV回覧 が急がれる。欧州指令に端を発するIEC 60825-1-1「民生用 IEC 62471-5「映像プロジェクタ光源の光生物学的安全性」 レーザ機器の安全規格」もTC 76内の合意形成が課題であ が制定された。 る。その他のプロジェクトにおいても、進捗管理を行いつつ、 IEC 62471-6「UVランプ製品の光生物学的安全性」のNP 2016年10月のTC 76北京会合に臨む。 提案はエキスパート不足により否認された。 照明器具の青色光傷害評価を目的としてIEC/TC 34が作成 17. 光ディスクにおけるデジタルデータの長期 保存を可能とする高品質アーカイブグレー ド評価基準に関するJIS(Oプロ) したIEC/TR 62887を、IEC 62471規格群を参照しないISとす る計画があり、IEC/TC 76で進めているIEC 62471規格群の 改正により、ダブルスタンダードとなる懸念が示されている。 ⑻ JTC 5(IEC 62471-1特別ジョイントTC) 光ディスク分野においては、CD, DVD等の製品別の物理、 CIE S009/IEC 62471「ランプ及びランプシステムの光生物 論理規格に加え、光ディスクの寿命推定規格やデータ移行(マ 学的安全性」の改正作業は、2013年4月からCIEのDiv.2およ イグレーション)規格等、デジタルデータの信頼性に関するJIS びDiv.6並びにIEC/TC 34およびTC 76のjoint( JTC 5)で取 策定を行い、幅広い市場の開拓を行ってきた。特に、近年の情 り組んでいる。今年度は、2015年7月にManchester会合、10月 報爆発の急速な進展により光ディスクはデジタルデータの戦略 にDidcot会合がいずれも英国で行われ、各会合で準備された 的な保存媒体としてアーカイブ市場の創造を促すことが期待さ ドラフトについて審議された。 れている。 Didcot会合では、評価距離について、水平規格であるIEC 本事業では、これまでに策定された製品別(DVD-R、BD-R 62471-1でデフォルト条件を規定し、垂直規格で個々の製品の 等)の物理規格や寿命推定規格にもとづき光ディスクメディア 条件を定める基本方針が合意された。距離条件の変換を安易 (以下「メディア」と記載)自身の初期性能を指標とするメディ に逆二乗則によって仮定することについて日本および英国から アのグレード分けと、デジタルデータの記録品質を担保するた 懸念が表明され、逆二乗則の成立範囲は限定的であることが めの光ディスクドライブ(以下「ドライブ」と記載)との整合性 コメントされた。その他の詳細項目が議論され、これを踏まえ を含めた光ディスクアーカイブシステムとしての評価基準を策 た修正ドラフトがCD回覧される予定である。 定し、それに基づく、光ディスクアーカイブシステムのグレード 判別基準を規定するJISの開発を目的とする。 次年度JTC 5会合として、CD回覧のコメント検討のための また、本事業終了後には、本事業で開発するJISを基礎とし WebEx会議を2016年前半に予定し、対面会合をIEC/TC 76 北京会議に併設する予定とした。 て、ISO/IEC JTC 1/SC 23への提案を通じた国際標準への ⑼ TC 76/JWG 10(レーザ加工用のレーザ及びレーザ装置 展開が可能となるのに加え、デジタル文書管理を行う業界団体 の安全性) 等との連携によるアーカイブ製品認証システムの構築を目指す ことも可能となる。 ISO/IEC 11553-1およびISO/IEC 11553-2の改正に関して 2CD回覧が行われ、Didcot会合でコメントが審議された。次回 17.1 事業の内容 CDV(又はFDIS)回覧とする合意が得られている。 ⑽ TC 76/JWG 12(レーザからの目の保護) 光ディスクは、CD、DVD等の製品別の物理、論理規格に加 え、信頼性評価として寿命推定規格やデータ移行規格に関す 昨年度からISO/TC 94/SC 6とのJWGとして活動してい るJIS策定を行ない、幅広い市場の開拓を行ってきた。 る。 ISO/IEC 19818「レーザ放射からの眼及び顔の保護に関す 本 事 業では、これまでに策 定された製 品別(DV D - R、 る要求事項」Ed.1において、光学濃度(OD)とレーザ耐性クラ BD-R)の物理規格や寿命推定規格を踏まえて新たに光ディス ス(RC)とのリンクをどのようにはかればよいのかについて議 ク自身の初期性能を指標とするメディアのグレード分けと評価 論があり、コンビーナから示された妥協案で、基本的な合意を 方法(図3-①)およびデジタルデータの記録品質を担保するた 得た。その他の審議事項の反映も含めたドラフトをCD回覧す めのドライブとの整合性を含めた光ディスクアーカイブシステム る予定である。 の運用・評価指針の規定に関する新たな評価基準(図3-②) を策定し、それに基づくJIS素案を開発する。 レーザやIPLによる目の近傍の治療の際に目の障害が生じた 事例が多数報告されており、JWG 12のスコープに患者の目の 保護を含めるかどうかをIEC/TC 76/WG 4も交えて議論した 技術情報レポート 2015年度OITDA 69 標 準 化 17.2 平成27年度事業の成果 するためのドライブとの整合性を含めた光ディスクアーカイブシ 平成27年度は、委員会の審議を通じて、光ディスクアーカイ ステムとしての評価基準を規定している。 ブシステムのグレード判別基準を規定する高機能JIS「長期 メディアの品質判別基準、アーカイブシステムの運用基準等 データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システム は、平成26年度および平成27年度に実施した、メディア寿命推 の運用方法」原案を作成した。 定試験、ドライブ/メディア互換性評価試験、最適/非最適記 本JIS原案では、追記形光ディスクの製品別の物理規格や寿 録ディスクの寿命推定比較試験等の結果に基づく検証を行う 命推定規格にもとづき、光ディスク自身の初期性能を指標とす ことにより、標準規格としての有効性を確認した。 るメディアのグレード分けとデジタルデータの記録品質を担保 図3 光ディスクにおけるデジタルデータの長期保存のためのアーカイブシステムの標準化の構成 70 技術情報レポート 2015年度OITDA 人材育成・普及啓発 1. はじめに 表1 第30回レーザ安全スクールコース別受講者数(単位:名) 当協会は、光技術を支える人材の育成、光技術関連情報の コ ー ス 名 広報・啓発・普及、さらには国際交流等多くの事業を実施し、 第1期 第2期 合計 Iコース:光・レーザ入門 61 - 61 S1コース:レーザ工学の基礎 38 71 109 必要なレーザ技術の研修事業および試験事業として、レーザ S2コース:レーザ安全の基礎 80 120 200 安全スクールおよびレーザ機器取扱技術者試験をそれぞれ実 S3コース:レーザ応用機器の安全 22 57 79 施した。 S4コース:大出力レーザ機器の安全 32 63 95 M1コース:レーザ安全管理者 57 - 57 M2コース:レーザ安全技術者 - 30 30 290 341 631 光産業技術の発展に寄与してきている。 本年度も、人材育成では、技術開発・製造・販売等の現場で 広報・啓発・普及では、光産業技術に関する各種シンポジウ ム、定期的なセミナーやインターオプト2015の開催、櫻井健二 郎氏記念賞の授与等の多彩な活動を展開し、さらに、ホーム 合 計 ページやオプトニューズ、国際会議速報等を通じ、光産業技術 の啓発・普及活動を継続的に実施した。 ※Iコースは二日間コース、その他は一日コース 2. レーザ安全スクール 3. レーザ機器取扱技術者試験 当協会では、レーザ機器の普及に伴う機器取扱者の障害事 この試験の趣旨は、レーザ機器の取扱いに起因する危険お 故の発生を未然に防止するため、レーザ機器の設計開発、製 造、加工、販売、運用、メンテナンス等に携わる方々を対象に よび障害を防止するため、レーザ機器の取扱者や安全管理者 「レーザ安全スクール」を実施している。この「レーザ安全ス および安全技術者に必要とされる知識水準を審査し、試験合 クール」は、昭和58年(1983年)に「レーザ機器導入・安全取扱 格者を当協会に登録することにより、レーザ機器の取扱いの安 い講習会」としてスタートし、本年度30周年を迎えている。この 全化を促進するとともに、レーザをはじめとする光産業の健全 間、光技術、レーザ光の人体への影響、レーザ安全等の各テー な発展を支援することにある。 マについて現在ご活躍中の専門家を講師に招くとともに、講義 第26回レーザ機器取扱技術者試験を2015年12月9日に、東 内容も実務に即役立つものとするよう、安全基準の見直し等に 京・芝公園の機械振興会館で実施した。同日は全国からの受 対応して継続的に充実化を図っている。プログラムは、入門 験者127名を集めて3会場に分かれ、午前10時~正午まで、ま コースの光・レーザ入門(Iコース)から始まり、基礎知識のS た午後1時~3時までそれぞれ2時間ずつの試験が行われ コース[レーザ工学の基礎(S1コース)、レーザ安全の基礎(S2 た。受験者の内訳は、レーザに関する総合的な知識、レーザ光 コース)、レーザ応用機器の安全(S3コース)、大出力レーザ の危険性と安全法規の知識をもっているかどうかをテストする 機器の安全(S4コース)]、専門知識のMコース[レーザ安全管 レーザ安全管理専門の第1種選択1が7名、同じく第1種で 理者向けコース(M1コース)、レーザ安全技術者向けコース 安全技術専門の選択2が8名、またレーザの基礎的な安全規 (M2コース)]と進むことで、体系的なレーザ安全教育が可能 格および知識をもっているかどうかをテストする第2種が112名 である。また、各コースの講義終了後には理解度を確認するた であった。実施結果の概要を表2に示す。 めの演習問題を解く時間も設けられている。内容は日本工業規 表2 第25回レーザ機器取扱技術者試験結果 格であるJIS C 6802「レーザ製品の安全基準」、関連規格およ び厚生労働省基発第0325002号「レーザー光線による障害の 種 別 防止対策について」等を網羅し、光加工、光通信、レーザ医療 等の各分野に従事するレーザ機器取扱者等、社会の要請に応 えたものとしている。 第30回レーザ安全スクールは、2015年10月26日~10月30日 および11月16日~20日の2期に分けて東京・芝公園の機械振 受験者数 合格者数 合格率 第1種 選 択1 7名 4名 57.1% 第1種 選 択2 8名 5名 62.5% 第 2 種 112名 57名 50.9% 合 127名 66名 52.0% 計 興会館で実施した。実施概要を表1に示す。 受講者数は631名、参加企業・団体数は141社であった。近 レーザ機器取扱技術者試験委員会の厳正な採点の結果、合 年、ポインタや光通信、光ディスク等、レーザ製品がより身近 格と判定されたのは第1種選択1が4名、同選択2が5名、第 な、また、広範囲な分野に展開されており、レーザの安全管理 2種が57名であった。今回の合格者を含めた既合格登録有効 が益々重要になってきていることから、今後、レーザ製品の取 者数は、 「第1種選択1」が92名、 「第1種選択2」が242名、 扱いに従事する方も増加していくものと考えられる。 「第2種」が1,867名、合計2,201名となる。 なお、2016年度の第31回レーザ安全スクールは、第1期が10 なお、第27回レーザ機器取扱技術者試験は2016年12月7日 月3日(月)~7日(金)、第2期が11月7日(月)~11日(金)、 (水)に東京・芝公園の機械振興会 館で実施を予定してい いずれも東京・芝公園の機械振興会館での実施を予定してい る。 る。 技術情報レポート 2015年度OITDA 71 人材育成・普及啓発 4. シンポジウム 光I/Oコアの成果も出ており、順次速やかに事業化が進められ 4.1 平成27年度光産業技術シンポジウム ることを強く期待する。 今年度の光産業技術シンポジウムは、当協会および技術研 本日のシンポジウムでは、光産業技術の最新動向の講演が 究組合光電子融合基盤技術研究所(PETRA)が共催し、 「光 なされ、テーマにあるように新たな社会と産業イノベーションを 加工・計測が創る新たな社会と産業イノベーション」をテーマ 創出する有効な機会になることを期待し、光産業技術の益々の に、経済産業省の後援を受けて平成28年2月3日(水)、リー 成長・イノベーションを祈念すると挨拶をしめくくられた。 ガロイヤルホテル東京にて、230名を超える参加者の下、開催さ 続いて、午前に2件、午後に4件、合計6件の講演がなされ れた。 た。最初に基調講演として、室蘭工業大学 理事・副学長(北 海道大学 名誉教授)の馬場直志氏が、 『太陽系外惑星直接検 出のための技術開発』と題して講演された。 太陽は宇宙にある数多くの恒星の一つであり、太陽同様に 恒星の周りには惑星が存在すると思われていたが、太陽以外 の恒星に惑星(系外惑星)を検出するには多難を極めることを 説明された。現在までに2000有余の系外惑星が検出されてい るが、直接撮像されたのはそのうちの60程度である。しかし、 撮像出来た系外惑星はいずれも恒星から遠く離れた木星のよ うな巨大な惑星である。人類が地球に居住可能なような範囲内 に位置する、第2の地球のような惑星を直接検出できていな い。恒星近傍に存在する地球の様な系外惑星を直接検出する ことを阻んでいる最大の要因は、恒星と惑星との極端な光強度 比である。このことは、強烈な光を放つ灯台の近くを飛んでい 当協会専務理事 小谷泰久の開会挨拶に始まり、経済産業省 る蛍の光を見つけるようなものだと譬えられている。 商務情報政策局 デバイス産業戦略室 田中邦典室長より来賓 馬場氏の研究室では、2000年頃から系外惑星の直接検出 のご挨拶を頂いた。田中氏は、足元の経済情勢では、中国の景 に向けた技術開発を行ってきている。第2の地球探しに向けた 気減速、株価低落、原油安と懸念材料もあるが、総じてみると 系外惑星の直接検出・撮像のための技術開発の歩みと動向に アベノミクスと企業努力により、企業利益・雇用・賃金で経済 ついて講演された。太陽系を外から観測すると、地球と太陽の の好循環が回り始めており、これを揺るぎないものとするため、 -10 光強度比は可視域で10 にもなる。このため、望遠鏡で観測す 官民合わせて改革に取り組み、攻めの経営姿勢により未来投 ると地球は太陽の回折光に埋もれてしまい、地球を見つけるこ 資を拡大することが重要と述べられ、さらに、次のように続けら とが出来ない。このような極端な強度比を克服する撮像法をハ れた。 イコントラストイメージング法という。恒星からの回折光を大幅 IoT(Internet of Things)、ビッグデータ、AI(Artificial に抑えて恒星近傍の惑星撮像を可能とする方法や、恒星光を Intelligence)といった技術革新により、経済社会の変革を積 打ち消しあう干渉状態として微弱な惑星光を捉える方法などが 極的に進めて行く対応が求められている。IoTの推進について ある。地球型惑星の直接観測に向けた今後の展望を述べられ は、昨年10月に具体的なビジネスを創出する観点から、産学官 講演を締めくくられた。 の新たな枠組みである「IoT推進コンソーシアム」が設立され 2番目は、株式会社アスペクト 代表取締役社長の早野誠治 た。経済産業省はその下でビジネスマッチング、規制改革、新 氏が、 『3Dプリンターとその最新動向』と題して講演された。 たなルールの形成、新しいプロジェクトの立ち上げをサポートし まず、3Dプリンター技術の概説をいただき、ユーザーの応用事 ている。また横断的な基盤技術の研究開発、新たなビジネスの 例、3Dプリンターを取り巻く環境や市場、課題についても紹介 実証事業にも積極的に取り組んでいく。 され、最後に日本での3Dプリンター技術の歴史や海外の動向 に関しても解説された。 光産業技術は、現在の社会において様々な局面で世の中を 支える重要な技術であり、今後のIoT時代においても高速情報 1980年に小玉秀男氏によって世界で最初に特許出願された 通信システム、自動走行、ロボット、3Dプリンティングなどの光 AM(Additive Manufacturing)技術は、当初日本では光造 加工・計測システム、ヘルスケア、バイオチップなど幅広い分野 形法、米国ではRapid Prototypeと呼ばれる技術として発展し でイノベーションを支える重要な技術である。本シンポジウムの てきた。その後、1990年までに各種のAM技術が発明ないし開 主催者である光産業技術振興協会では、様々な技術戦略、ロー 発されたが、当時は非常に高価な装置であることや、AM装置 ドマップ作成と標準化活動にも積極的に取り組み多大な貢献 に出力出来るまともなCADデータが存在しないことから、AM をされている。同じく主催のPETRAは、経済産業省、国立研 技術の普及は期待するべくもない時期であった。まさに黎明期 究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) と呼ぶにふさわしい10年が過ぎたのである。このAM技術の最 のプロジェクト「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システ 初 の 大きな 変 革 期は、1 9 9 0 年からの3 D C A D( S o l i d ム技術開発」で主体的に貢献をされている。10年間のハイリス Modeler)の登場と普及であり、初めてCADとAM装置が繋 ク・ハイリターンの長期目標があるが、同時に世界をリードする がった時期である。次の変革期は、1997年以降の廉価版装置 72 技術情報レポート 2015年度OITDA の登場の頃であろう。数千万円もしたAM装置が数百万円で購 く光加工の技術開発を展開することが求められてきている。特 入できるようになり、一般産業分野への普及が始まったのであ に3Dプリンタ技術は高機能な複雑形状を一体成形する技術と る。そして、直近の変革期は2009年以降の各種主要特許が失 して光加工分野において重要性が高まっている。今後、光加工 効した時期である。主要特許が失効したことにより、数万円〜 技術を発展させるためには、ICTや計測技術との連携が不可欠 数十万円の普及機が登場した。これにより、一般の人々でも購 となってきている。これからの光加工はデジタルデータに基づ 入できるようになり、AM技術の更なる発展期を迎えた。 くモノづくりを目指しており、グローバルなネットワークを駆使し 最後にグローバルな視点での解説を加えられた。米国オバマ て世界中いつでもどこでも最適なモノを供給できる仕組みを構 大統領の2013年の一般教書演説で3Dプリンターとして紹介さ 築していく必要がある。さらには、モノづくりを越えて社会イン れたAM技術は、米国でのものづくり再生の根幹技術として位 フラへ貢献する光加工技術を実現していくことも重要と考えら 置づけられている。そして、NAMIIと呼ばれる研究機関が創 れる。また、高齢化が進む社会においては低侵襲の医療技術 立され、技術と応用開発の担い手として機能し始めている。一 の発展が求められており、光が果たす役割への期待が高まっ 方、欧州では「Industry 4.0」の中でマス・カスタマイゼーション ている。 を担う技術の1つとして位置づけられ、金属部品を直接製造す 今年度は、光加工・計測分野ならびに光医療分野において、 るAM技術の開発に力が注がれていると述べられた。 「経済性」、 「利便性」および「環境性」の向上や「診断」およ 午後の最初の講演は、内閣府 革新的研究開発推進プログラ び「治療」に対するニーズを抽出し、それらを達成するための ム(ImPACT)プログラム・マネージャーの佐野雄二氏から、 「光加工/医療技術」、 「光源技術」、 「計測技術」および「シ 『超 小型パワーレーザーの開発と産業への応用』と題して ステム化技術」に関するテクノロジーの動向を予測することで、 2014年度から5か年の計画でスタートしたImPACTにおける “想いを価値に換える光ファブ社会”、“安心・安全・長寿社会” 「ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会の実 を実現するための2030年までの技術ロードマップを策定した。 現」についてご紹介いただいた。X線自由電子レーザーを超小 本ロードマップが社会を豊かにする光技術の研究開発の方向 型化するための基盤技術の確立と高出力のパルスレーザーの 性の現実的な指針となることを望むと締めくくられた。 超小型化開発・実用化を達成し、我が国の研究開発および産 午後の3番目は、NEDO統括研究員の吉木政行氏が、 『光 業競争力の飛躍的な向上を図るものである。講演では、以下の 電子 集 積 技 術に関する開 発 動 向および 技 術ロードマップ ようにImPACTプログラムについて紹介された。 2015』と題して講演された。本調査は、NEDOが、当協会と株 本プログラムは、「レーザー加速XFEL実証」、「超小型パ 式会社富士キメラ総研に委託し、光電子集積技術の分野にお ワーレーザー」、 「システム化評価」のプロジェクトで構成され いて、我が国が今後も継続して優位性を確保するために必要な ている。 「レーザー加速XFEL実証」では、レーザープラズマ加 戦略を明らかにすることを目的に、国内外の技術開発動向、関 速により数mの超小型装置でGeV級の電子ビームを実現すると 連各社の状況および市場動向等の調査結果に、有識者の知見 ともに、X線ビームに変換するための超小型アンジュレーター 等を取り入れ、2030年に向けた技術ロードマップを策定したも (マイクロアンジュレーター)を開発する。プログラム後半では ので、活動内容について次のように紹介された。 開発した装置を、1か所(拠点)に結集し、技術を統合すること 技術ロードマップ策定にあたっては、委員会と原案策定会議 によって電子を数GeVまで安定に加速し、マイクロアンジュレー からなる2階層の会議を設置した。委員会は産学の有識者に ターに入射して1 keVのX線ビームを発生させる予定である。 よって構成され、将来の社会および技術動向を踏まえてロード 「超小型パワーレーザー」では、1 kg以下の重量で20 mJ超の マップ策定方針を決定した。一方、高密度光配線、光リンク、ス パルスエネルギーを持つマイクロチップレーザーや、1 Jのパル イッチ・ルータ、センサ、ファブ等の各分野の専門家で構成され スエネルギーで300 Hz発振する小型のパワーレーザーを開発 る原案策定会議においては、各専門家が作成した担当分野の し、非破壊検査、インフラ設備診断・補修などの産業応用へと 技術ロードマップについて討議を行い、上記委員会方針に沿っ 展開する。「システム化評価」では、「レーザー加速XFEL実 てロードマップ原案を策定した。原案策定会議で策定された 証」と「超小型パワーレーザー」で開発した技術およびシステム ロードマップ原案は、委員会での討議を踏まえて修正を行うこ について、ユーザーの立場からその有用性を評価し市場ニーズ とで、技術ロードマップとして確定した。また、ロードマップ原 を探ることによって研究開発にフィードバックする。 案の検討と併行して、文献調査およびヒアリングにより、国内 午後の2番目は、公益財団法人レーザー技術総合研究所 主 外の企業、研究開発機関の技術開発状況、開発戦略、技術開 席研究員 藤田雅之氏が、 『平成27年度 光テクノロジーロー 発のアライアンス状況および光電子集積技術関連機器の最新 ドマップ-光加工・計測技術-』と題して講演された。光産業 の市場動向等に関する調査を実施した。これらの調査結果は、 技術振興協会が2011年度から5か年計画で進めている「光テ 委員会および原案策定会議での議論に反映させることにより、 クノロジーロードマップ策定事業」の最終年度として、光加工・ 本調査事業の最終目的である技術ロードマップに盛り込んで 計測技術合同専門委員会にて策定を行った光加工・計測およ いる。具体的には、2030年までの市場ニーズ、光電子集積技術 び光医療テクノロジーロードマップの概要が紹介された。 の製品展開、必要とされる要素技術と研究開発項目を分析し、 これまで、光加工は高付加価値、少量多品種生産を可能と 光電子集積技術の適用が想定・検討されるスパコン・サーバ、 する技術として我が国のモノづくりを支えてきたが、製造業が 光トランシーバ等の注目市場に対してまとめることで、成長戦 新興国へシフトしていく環境において新たなコンセプトに基づ 略に沿った新たな産業・市場の創出を含めた社会と技術の中 技術情報レポート 2015年度OITDA 73 人材育成・普及啓発 長期的な展開を俯瞰できるような技術ロードマップとしてい た。続いて、産総研電子光技術研究部門から「新奇超伝導材 る。 料」 (永崎洋氏)、 「鉛フリー圧電センサ技術」 (王瑞平氏)と 最後は、PETRAの佐々木浩紀氏により、 『超低消費電力型 題して、鉄系高温超伝導材料および鉛フリーセラミックスに関 光エレクトロニクス実装システム技術開発〜アクセスネットワー する研究成果が報告された。さらに、 「有機発光材料の新展開 ク向けシリコンフォトニクス』の講演がなされた。 「超低消費電 -熱活性化遅延蛍光材料からレーザーまで-」 (九州大学 中 力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」は、経済産業 野谷一 准教授)、 「有機固体発光材料」 (産総研電子光技術 省の未来開拓研究プロジェクトの一つとして平成24年9月に開 研究部門 園田与理子氏)の2件の講演では、高効率有機発光 始、平成25年度からはNEDO委託により実施されており、情報 材料に関するデバイス応用や構造解析等の最新の研究成果が 通信機器の省電力化と高速化を目的に、電子機器の電気配線 報告された。最後に、 「化合物半導体を用いた未開拓波長光デ を光化する光配線技術と電子回路技術を融合させた光エレク バイス-深紫外LEDおよびTHz-QCLの開発-」 (理化学研究 トロニクス実装システムを実現する基盤技術を確立し事業化す 所 平山秀樹氏)、 「指向性LED」 (産総研電子光技術研究部 ることを目指している。光電子集積技術を軸に、データセンタ等 門 王学論氏)と題して、半導体デバイスの未開拓波長である におけるサーバシステム、光通信システム向けIT機器の省電力 深紫外およびTHz領域におけるデバイス開発状況、および高 化技術の開発を推進している。 い指向性を有するLED構造の提案に関する報告があった。各 佐々木氏は、来るべきIoT時代を支えるアクセスネットワーク 講演の終了後には当該分野に関心を寄せる多くの参加者との の構築には、無線通信と光通信の融合が不可欠であることを 有意義な議論が展開され、大盛況のうちにシンポジウムは閉幕 まず解説された。光インタフェースの端末装置への組み込み、 した。 モバイルネットワークにおける無線基地局の細分化に伴うフロ 5. 光産業技術マンスリーセミナー ントホールの光回線収容などが求められ、いずれに関しても、 当協会では光産業・技術の普及事業の一環としてマンスリー 光インタフェースの小型化が必須である。シリコンフォトニクス は、光回路を超小型に低コストで製造できる技術であり、光ア セミナーを毎月1回開催している。このセミナーは光産業技術 クセスネットワーク向けの光トランシーバにこれを適用すること に関連する幅広い専門家を講師に迎えて、内外のトピックスや 最新の情報をわかりやすく解説していただくものである。表3 で桁違いの小型化が期待できる。 に2015年度の開催概要を示す。 講演では、 「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システ ム技術開発」における光アクセスネットワーク向け超小型光トラ 6. インターオプト ンシーバの開発について詳細に紹介され、シリコンフォトニク インターオプト 2 015(International Optoelectronics ス技術をアクセスネットワーク向け光トランシーバに適用するた めの課題および技術開発の最新成果と今後の見通しについて Exhibition 2015)は、 「All about photonics - Utilities & 述べられた。 key Devices -」をテーマとして 2015年10月14日(水)~16日 (金)までの3日間にわたり、横浜市みなとみらい地区のパシ 4.2 第5回電子光技術シンポジウム フィコ横浜展示ホールにおいて開催された。 2016年2月19日(金)、秋葉原UDXカンファレンスにおいて、 BioOpto JAPAN 2015、LED JAPAN Strategies in Light 国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)電子光技術 2015、LaserTech 2015(いずれも主催:株式会社ICSコンベン 研究部門主催、当協会共催の第5回電子光技術シンポジウム ションデザイン)の3展示会と共に同時開催され、インターオプ が開催された。当日は産業界並びに関係研究機関等から、昨 トは当協会が主催、ICSコンベンションデザインが企画・推進 年度を大きく上回る172名の参加があり、この分野に対する関 し、経済産業省ほか多数の団体の後援・協賛を受けて開催し 心の高さを感じさせた。今年度は「電子・光デバイスの未来技 た。 術-革新的材料技術が拓くイノベーション-」をテーマとして、 出展分野はレーザ/光源、光素子/部品、材料、光機器/装 5件の招待講演を含む10件の口頭発表が行われた。 置、光産業関連、サービス/ソフトウエアと広範囲にわたり、出 午前は、 「Far beyond CMOS:トポロジカルエレクトロニク 展品目も光関連材料から光応用システムまで幅広い技術が展 スの可能性」 (東京大学 川崎雅司 教授)、 「カルコゲン材料 ~DVD-RAM、PCRAM、そしてトポロジカル不揮発性メモリ へ~」 (産総研ナノエレクトロニクス研究部門 富永淳二氏)、 「FETチャネルの負の静電容量と不均質電荷分布」 (産総研 電子光技術研究部門 井上公氏)の3件の講演が行われ、次世 代低消費電力・大容量メモリ材料として期待されているトポロ ジカル絶縁体やモット絶縁体に関する最先端の研究成果が報 告された。 午後はまず、パナソニックの四橋聡史氏より「無機半導体に よる人工光合成と二酸化炭素還元の系統分析」と題して、窒化 物半導体を用いた人工光合成に関する取り組みが紹介され 74 技術情報レポート 2015年度OITDA 表3 2015年度 光産業技術マンスリーセミナー 開催概要 回 開催日 講演テーマ 講師(敬称略) 383 4/21 高出力レーザと加工プロセス技術の最新動向 ~スキャナー、DOE(回折光学素子)による入熱コントロール~ 384 5/19 コールドストレージにおける光ディスクの可能性 株式会社ふじわらロスチャイルドリミテッド エグゼクティブディレクター 松本 郁夫 385 6/16 放送用先端イメージング技術とその医学応用 ~超高精細8Kテレビと超高感度HARP撮像管の技術を中心に~ 一般社団法人メディカル・イメージング・コンソーシアム 副理事長 谷岡 健吉 386 7/21 デジタルコヒーレント光通信用波長可変光源の現状と将来動向 住友電気工業株式会社 伝送デバイス研究所 金子 俊光 387 8/18 AM(3Dプリンター)技術とその市場 株式会社アスペクト 代表取締役社長 早野 誠治 388 9/15 POFを用いた車載用ギガビット光通信技術とその標準化活動 矢崎総業株式会社 チームリーダー 芹澤 直嗣 389 10/20 ペロブスカイト光発電素子の特徴と応用 桐蔭横浜大学大学院 工学研究科 教授 宮坂 力 390 11/17 レーザ溶接・接合法の発展と異材接合への応用展開 大阪大学 接合科学研究所 教授 片山 聖二 391 12/15 光ネットワークに適用されるSDN技術の動向 株式会社KDDI研究所 研究マネージャー 吉兼 昇 392 1/19 Si基板上ハイブリッドレーザに向けた異種基板接合技術 東京工業大学 大学院理工学研究科 准教授 西山 伸彦 393 2/16 人工光合成:二酸化炭素の太陽光を用いた資源化の重要性と現状 東京工業大学 大学院理工学研究科 教授 石谷 治 394 3/15 大容量光伝送技術の最新動向 日本電信電話株式会社 NTT未来ねっと研究所 平野 章 示された。 前田工業株式会社 取締役 三瓶 和久 る光技術セミナー」がそれぞれ開催され、ともに活況を呈して 開催規模は、国内外の光関連メーカー、商社など94社、149 いた。 小間の出展があった。また、会期3日間の来場登録者(同時開 一方、会議センター503会場では、10月14日に、産業タイムズ 催展示会含む)は9,281名(前回8,467名)であった。国内の企 社・電子デバイス産業新聞 編集局長 津村明宏氏による『ウェ 業・団体等はもとより、海外の商社を含め、北米、欧州、アジア アラブル端末の産業動向と展望』と題した特別講演と、光産業 等の海外企業の出展があり、光に関する幅広い範囲にわたる 動向全体および7分野の光産業動向セミナー、国立研究開発 技術・情報の交流とともに、光の最先端の製品・開発状況を総 法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 電子・材料・ナノテ 合的に眺めることができた。 クノロジー部長 山崎知巳氏による『光電子集積技術に関する また、同じ会場内に、恒例の「注目される光技術・特別展示 開発動向及び技術ロードマップ2015』の紹介を、10月15日に ゾーン」を設け、光技術動向調査委員会の各分科会が推薦す は、金沢大学 新学術創成研究機構 未来社会創造コア 責任 る企業3社が推薦の技術を、当協会が光産業関連の新規事業 者 自動運転ユニット ユニットリーダー 准教授 菅沼直樹氏に に対して実施している出展支援を受けた中小・中堅企業3社 よる『自動車の自動運転のための光センシング技術』と題した が光技術の展示紹介を行った。一方、当協会のブースでは光産 特別講演および光技術7分野の光技術動向セミナーを開催し 業・技術の概要を写真・パネルにて展示する他、光産業・技術 た。 に関する各種調査報告書を展示紹介した。また、技術情報レ なお、来年のインターオプト2016は、9月14日(水)~16日 ポート(和文・英文)等を無料配布し、当協会の紹介、光産業 (金)の3日間、会場は同じくパシフィコ横浜にて、次世代マイ および光技術の最新情報の紹介を行うなど広報活動を行っ クロマシンの総合展と同時に、 「All about photonics 2016 - た。 開幕直前に、梶田隆章・東京大学宇宙線研究所長の2015年 ノーベル物理学賞受賞の発表があり、光技術が注目される中 での開催であったが、展示ブースでは、深紫外で注目されてい るLED関係のブースはもとより、注目を集めつつあるバイオオ プト・メディカルフォトニクス(医療応用)、レーザ加工技術、見 えないものが見える可視化技術、自動車応用関連等の新しい 光技術のブースも多数の来場者の質問等を受け、盛況を呈して いた。また、各ブースでは商談を行っている光景も多数見うけら れ、市場拡大につながる技術を求めて参加している来場者の 真剣な姿が目立っていた。 また、展示会場内では、10月15日~16日の2日間「注目され 技術情報レポート 2015年度OITDA 75 人材育成・普及啓発 Utilities & key Devices -」とのタイトルで開催予定である。 向上に大きく貢献した。 受賞者らが開発した長距離・大容量伝送に適した極低損失 7. 第31回櫻井健二郎氏記念賞(櫻井賞) 光ファイバの実現技術は、指数関数的に増大するインターネッ 駆的役割を果たした2005年度以降の業績を対象に、応募8件 産業発展に大きく貢献する優れた業績である。」ことによる。 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先 ト通信需要を満たす上で不可欠なものとなっており、今後の光 の中から選考された。受賞題目「レーザプリンタ用面発光レー 以上の2グループに対する表彰は、2016年2月3日に開催さ ザアレイの開発および実用化」に対し、株式会社リコーの佐藤 れた平成27年度光産業技術シンポジウムの終了後に行われ 俊一氏、軸谷直人氏、原坂和宏氏、伊藤彰浩氏に、また、受賞 た。 題目「海底ケーブル用極低損失光ファイバの開発と実用化」に 櫻井健二郎氏記念賞委員会 小林功郎氏(東京工業大学名 対し、住友電気工業株式会社の平野正晃氏、山本義典氏、田 誉教授)による選考経過報告の後、賞状、メダル、副賞が各受 村欣章氏、川口雄揮氏に授与された。 賞者に手渡され、引き続き各受賞グループを代表し佐藤氏、平 野氏より謝辞が述べられ、表彰式を終了した。 8. 普及啓発活動 光産業技術および当協会の活動成果の普及を目的に、オプ トニューズ、技術情報レポート、Annual Technical Report (英文誌)を定期的に発行している。また、1996年から開設し ているホームページやメールによる情報提供を継続的に実施し ている。 8.1 オプトニューズ(賛助会員向け) 当協会の事業活動の他、光技術および光産業に関する動 向・トピックスをテクノロジートレンドおよびリサーチ&アナリシ (後列左から)川口氏、田村氏、原坂氏、伊藤氏 スとして隔月で紹介。2015年度の主要な内容は下記の通り。 (前列左から)山本氏、平野氏、佐藤氏、軸谷氏 ①Vol.10,No.1(2015) (2015年5月26日Web掲載) :テクノロジートレンド、リサーチ&アナリシス 他 ②Vol.10,No.2(2015) (2015年7月27日Web掲載) 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二 郎氏が光産業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業 :インターオプト2015予告、光関連団体国際会議 および光技術の振興と啓発を目的として創設したもので、過去 (IOA)報告、テクノロジートレンド、リサーチ& 30回で23名の個人、34グループ、延べ134名が受賞している。 アナリシス他 ③Vol.10,No.3(2015) (2015年9月25日Web掲載) 受賞の栄に輝いた株式会社リコーの佐藤俊一氏らの受賞理 :インターオプト2015 特集、光産業技術標準化総会報 由は、 「レーザプリンタ用書込み光源の開発に取り組み、高利 告、テクノロジートレンド、リサーチ&アナリシス他 得のGaInPAs/AlGaInP歪量子井戸構造活性層、AlAs主体の 高熱伝導率反射 鏡、安定なモード・偏光特性のための高次 ④Vol.10,No.4(2015) (2015年11月25日Web掲載) モード抑制フィルター、均一な素子特性のための面発光レーザ :インターオプト2015報告、ISOM'15報告、テクノロジー トレンド、リサーチ&アナリシス他 素子レイアウトなど、独創的な技術の開発により、世界最高出 力および高信頼の面発光レーザアレイの実現とその実用化に ⑤Vol.10,No.5(2015) (2016年1月25日Web掲載) 成功した。この面発光レーザアレイは、プロダクションプリンタ :年頭所感、ISPEC2015報告、レーザ安全スクール・試 験実施報告 他 に搭載され、高速かつ4800 dpiという世界最高の解像度を達 ⑥Vol.10,No.6(2015) (2016年3月25日Web掲載) 成することにより、新しい印刷市場を切り拓いた。 :光産業全出荷額・国内生産額調査結果、光産業技術 受賞者らによる高出力・高信頼の面発光レーザアレイの開 シンポジウム報告、櫻井健二郎氏記念賞表彰 他 発・実用化と、それによる高速・高解像度プリンタの実現、新規 市場の開拓・拡大は、光産業の発展に大きく貢献する優れた 8.2 技術情報レポート 2014年度(冊子/年1回刊) 業績である。」ことによる。 また、同じく受賞の栄に輝いた住友電気工業株式会社の平 当協会が2014年度に実施した光産業動向調査、光技術動向 野正晃氏らの受賞理由は、 「世界に先駆けて純シリカコアファ 調査、技術戦略策定、新規事業の創造支援、研究会、標準化、 イバを開発し、さらにそのレイリー散乱を低減することにより、 人材育成・普及啓発等の各活動概要と成果を技術情報レポー 伝送損失が最小0.149 dB/km、平均0.154 dB/kmと、研究、製 ト2014年度として発刊。 品それぞれのレベルで世界記録を更新した。本技術により製 品化された極低損失光ファイバは、複数の国際大洋横断光ファ イバ通信プロジェクトに採用され、海底光通信システムの性能 76 技術情報レポート 2015年度OITDA 8.3 Annual Technical Report 2014 (海外向け英文誌/年1回刊) ◦ 技 術情報レポート2014年度、Annual Technical Report 2014 活 動 の 国 際 化 に 対 応して、技 術 情 報レ ポ ート英 語 版 ◦ 標 準化活動(JISリスト、JIS原案進捗状況、OITDA規 (Annual Technical Report 2014)を作成し、IOAメンバーを 格、技術資料(TP)リスト) 含む海外の光関連93機関に送付するとともに、インターオプト ◦ 賛助会員用のページ更新(オプトニューズ、報告書、国際 等の展示会にて希望者に配布。 会議速報、プレスリリース) 8.4 ホームページ・メールによる情報配信 (http://www.oitda.or.jp) 8.5 国際会議速報(賛助会員向け) 国際会議速報は、光技術関連の主要国際会議における研究 事業報告をはじめ、マンスリーセミナー、光産業技術シンポ 開発の先端動向を、執筆者の意見を交えて報告してもらい、会 ジウム、レーザ安全スクール、各種研究会やフォーラムの開催 議終了後にEメール配信する情報提供サービスである。本年度 案内等の各種情報をホームページに掲載するとともに、メール は47件の速報を発行した。速報対象会議(略称)、速報テー 配信により、光技術関係者への情報提供を行っている。 マ、会議時期(開始日)、技術分野を表4に示す。 2015度の主要なホームページ掲載情報: ◦ 光産業全出荷額・国内生産額調査結果 技術情報レポート 2015年度OITDA 77 人材育成・普及啓発 表4 2015(平成27)年度 国際会議速報発行リスト No. 速報対象会議(略称) 速報テーマ 会議開始日 技術分野 1 SolarFuel15 太陽光-化学エネルギー変換 2015.3.10 光エネルギー 2 2015MRS Spring 化合物薄膜太陽電池 2015.4.06 光エネルギー 3 CPV-11 集光型太陽光発電 2015.4.13 光エネルギー 4 CLEO2015 光デバイス・材料 2015.5.11 光無機材料・デバイス 5 E-MRS2015 Spring 化合物薄膜太陽電池 2015.5.11 光エネルギー 6 DH2015 ホログラフィ 2015.5.24 情報処理フォトニクス 7 LAMP2015 微細加工及びマクロ加工 2015.5.26 光加工・計測 8 SID2015 ユーザインタフェース 2015.5.31 光ユーザインタフェース 9 CLEO/Europe2015 最新ファイバレーザ技術 2015.6.21 光加工・計測 10 SID2015 3D&ディスプレイシステム 2015.5.31 光ユーザインタフェース 11 HOPV15 ハイブリッド有機太陽電池 2015.5.10 光エネルギー 12 IISW2015 イメージセンサ 2015.6.08 光ユーザインタフェース 13 IEEE PVSC42 結晶シリコン太陽電池 2015.6.14 光エネルギー 14 CSW2015 化合物半導体デバイス技術 2015.6.28 光無機材料・デバイス 15 OECC2015 光通信用デバイス 2015.6.28 光無機材料・デバイス 16 ISFOE15 フレキシブルエレクトロニクス 2015.7.06 光有機材料・デバイス 17 SFFS2015 3Dプリンタ 2015.8.10 光加工・計測 18 ODS2015 光メモリ 2015.8.09 情報処理フォトニクス 19 SIGGRAPH2015 画像系デバイス 2015.8.09 光ユーザインタフェース 20 ICNS-11 窒化物半導体 2015.8.31 光無機材料・デバイス 21 12thGFP SiおよびIV族系フォトニクス 2015.8.26 光無機材料・デバイス 22 40th IRMMW-THz テラヘルツ 2015.8.24 光無機材料・デバイス 23 EPCOS2015 相変化材料・デバイス 2015.9.07 情報処理フォトニクス 24 EUPVSEC2015 評価技術 2015.9.14 光エネルギー 25 ECOC2015 光ファイバ 2015.9.27 光情報通信 26 ECOC2015 光ネットワーク 2015.9.27 光情報通信 27 ECOC2015 光アクセス 2015.9.27 光情報通信 28 ECOC2015 基幹伝送 2015.9.27 光情報通信 29 ECOC2015 光インターコネクト 2015.9.27 情報処理フォトニクス 30 ECOC2015 光デバイス 2015.9.27 光無機材料・デバイス 31 ISMAR2015 プラクティカルユース 2015.9.29 光ユーザインタフェース 32 2015ICFPE フレキシブルエレクトロニクス 2015.10.21 光有機材料・デバイス 33 ICALEO2015 レーザ加工 2015.10.18 光加工・計測 34 PCOS2015 相変化材料・デバイス 2015.11.26 情報処理フォトニクス 35 IDW'15 3D 2015.12.09 光ユーザインタフェース 36 IDW'15 OLED 2015.12.09 光ユーザインタフェース 37 TSensors センサ社会 2015.12.09 光有機材料・デバイス 38 IDW'15 AMD 2015.12.09 光ユーザインタフェース 39 PW2016 半導体発光デバイス 2016.2.13 光無機材料・デバイス 40 PW2016 ポリマー材料 2016.2.13 光有機材料・デバイス 41 PW2016 光インターコネクション 2016.2.13 情報処理フォトニクス 42 PW2016 BiOS イメージング技術 2016.2.13 光ユーザインタフェース 43 OFC2016 光ファイバ 2016.3.20 光情報通信 44 OFC2016 光ネットワーク 2016.3.20 光情報通信 45 OFC2016 光アクセス 2016.3.20 光情報通信 46 OFC2016 シリコンフォトニクス 2016.3.20 光無機材料・デバイス 47 OFC2016 基幹伝送 2016.3.20 光情報通信 78 技術情報レポート 2015年度OITDA 2015(平成27)年度の委員会・部会等 名 称 技術戦略策定委員会 光加工・計測技術合同専門委員会 光技術動向調査委員会 (データは年度末時点・敬称略) 開催回数 人数 2 13 荒川 泰彦(東京大学) 委員長・議長等(所属) ○井口、吉川 事務局(○印は主担当) 6 11 藤田 雅之(レーザー技術総合研究所) ○井口、山田(隆) 、潮田、 吉川 2 54 中野 義昭(東京大学) ○綿貫、吉川、大熊、平島 光無機材料・デバイス分科会 3 8 中村 幸治(沖電気) ○山田(朋) 光情報通信分科会 3 7 乾 哲郎(NTT) ○中野 情報処理フォトニクス分科会 3 9 的場 修(神戸大学) ○潮田 光エネルギー分科会 3 9 山田 明(東京工業大学) ○山下 光有機材料・デバイス分科会 3 7 山本 典孝(産業技術総合研究所) ○石森 光ユーザインタフェース分科会 4 7 長谷川 雅樹(メルク) ○高橋 特許動向調査委員会 5 11 児玉 泰治(産業技術総合研究所) ○高橋 光産業動向調査委員会 2 11 小林 直人(早稲田大学) ○石森、吉川 情報通信調査専門委員会 3 6 片岡 智由(NEL) ○山田(隆)、吉川 情報記録調査専門委員会 3 6 中川 活二(日本大学) ○井口、吉川 入出力調査専門委員会 3 7 奥富 正敏(東京工業大学) ○綿貫、吉川 ディスプレイ・固体照明調査専門委員会 2 5 藤掛 英夫(東北大学) ○高橋、吉川 太陽光発電調査専門委員会 4 15 黒川 浩助(東京工業大学) ○潮田、吉川 レーザ加工調査専門委員会 3 8 杉岡 幸次(理化学研究所) ○須﨑、吉川 センシング・計測調査専門委員会 3 5 岩井 俊昭(東京農工大学) ○山田(朋)、吉川 櫻井健二郎氏記念賞委員会 1 9 荒川 泰彦(東京大学) ○須﨑、數本 光電子集積技術の開発動向及び技術ロードマップの 策定に関する調査委員会 3 6 中島 啓幾(早稲田大学) ○中野、數本、井口、鈴木、 山田(朋)、吉川、綿貫 6 6 岩本 敏(東京大学) 光産業技術標準化会総会 光電子集積技術ロードマップ原案策定会議 1 37 近藤 賢二(三菱電機) ○村田、増田、小林 ファイバオプティクス標準化部会 3 18 川瀬 正明(千歳科学技術大学) ○村田、潮田 企画調整専門部会 3 6 川瀬 正明(千歳科学技術大学) ○村田 ダイナミックモジュール専門部会 6 18 坂巻 陽平(NTT) ○綿貫、中野 建物内光配線システム専門部会 5 12 家田 浩司(NTT) ○石森 光ファイバセンサ専門部会 5 26 山田 誠(大阪府立大学) ○山下、山田(隆) 光ファイバ標準化部会 5 17 泉田 史(NTT) ○須﨑、山下 光コネクタ標準化部会 8 19 浅川修一郎(NTT) ○山田(隆)、村田 光受動部品標準化部会 9 17 水本 哲弥(東京工業大学) ○井口、村田 光能動部品標準化部会 7 13 吉田 淳一(千歳科学技術大学) ○須﨑、山田(隆) 光増幅器標準化部会 5 18 山田 誠(大阪府立大学) ○中野、綿貫 光サブシステム標準化部会 5 16 佐野 明秀(NTT) ○潮田、高橋 光測定器標準化部会 5 16 野口 一博(東北工業大学) ○山田(朋)、石森 TC 76レーザ安全性標準化部会 0 30 橋新 裕一(近畿大学) ○村田、小林 ISO/TC 172/SC 9国内対策部会 2 18 波多腰玄一(早稲田大学) ○増田、小林 光ディスク標準化部会 3 20 入江 満(大阪産業大学) ○高橋、石森 メディア専門部会 4 11 谷口 昭史(パイオニア) ○高橋、石森 フォーマット専門部会 7 12 小町 祐史(国士舘大学) ○高橋 アプリケーション専門部会 4 13 大澤 英昭(東芝) ○石森、高橋 大口径マルチモード光ファイバ・コネクタ及びその 通信性能に関する国際標準化・普及基盤構築提案委 員会 3 54 各務 学(豊田中央研究所) ○山田(隆)、石森、増田、 村田、小林 光ファイバ相互接続用コネクタの光学互換に関する 国際標準化提案委員会 4 12 長瀬 亮(千葉工業大学) ○中野、増田、村田、小林 レーザ安全性標準化委員会 4 32 橋新 裕一(近畿大学) ○村田、須﨑 新光源プロジェクタ専門委員会 2 4 三橋 正示(ソニー) ○村田 ビームデリバリ専 門委員会 4 8 鷲尾 邦彦(パラダイムレーザーリサーチ) ○須﨑、村田 光ディスクアーカイブグレード標準化委員会 6 15 13 鷲尾 邦彦(パラダイムレーザーリサーチ) ○綿貫、村田、増田、小林 入江 満(大阪産業大学) ○高橋、増田、村田、小林 レーザ安全スクール実行委員会 2 8 新井 武二(中央大学) ○大熊、平島 レーザ機器取扱技術者試験委員会 2 8 入江 宏定(日本溶接技術センター) ○大熊、平島 高耐性レーザガード国際標準化提案委員会 研究会名称 3 開催回数 会員数 フォトニックデバイス・応用技術研究会 6 57 下村 和彦(上智大学) ○山田(隆)、綿貫 光材料・応用技術研究会 4 36 皆方 誠(静岡大学) ○山下、山田(朋) 光ネットワーク産業・技術研究会 5 61 山林 由明(千歳科学技術大学) ○中野、井口 多元技術融合光プロセス研究会 5 59 小原 實(慶應義塾大学) ○潮田、石森 技術情報レポート 2015年度OITDA 79 代表幹事(所属) 事務局(○印は主担当) 賛助会員名簿 [2016(平成28) 年3月31日現在] [繊維・紙パルプ] [電子・電気機器] [精密機器] 東レ株式会社 アンリツ株式会社 オリンパス株式会社 三菱レイヨン株式会社 ウシオ電機株式会社 キヤノン株式会社 NTTエレクトロニクス株式会社 コニカミノルタ株式会社 [化 学] 沖電気工業株式会社 シグマ光機株式会社 信越化学工業株式会社 京セラ株式会社 駿河精機株式会社 住友ベークライト株式会社 santec株式会社 セイコーインスツル株式会社 日産化学工業株式会社 三和電気工業株式会社 株式会社精工技研 富士フイルム株式会社 シャープ株式会社 株式会社トプコン 山本光学株式会社 ソニー株式会社 株式会社ニコン タイコエレクトロニクスジャパン 合同会社 株式会社リコー [ガラス・窯業] 太陽誘電株式会社 旭硝子株式会社 株式会社東芝 [商業・広告] コーニングインターナショナル株式会社 日本オクラロ株式会社 株式会社ICSコンベンションデザイン 住友大阪セメント株式会社 日本航空電子工業株式会社 アドコム・メディア株式会社 株式会社テクニカル 日本電気株式会社 株式会社オプトロニクス社 東洋製罐グループホールディングス 株式会社 パイオニア株式会社 伯東株式会社 日本板硝子株式会社 パナソニック株式会社 丸文株式会社 浜松ホトニクス株式会社 [鉄鋼・非鉄金属] 株式会社日立製作所 [電 力] 日鐵住金溶接工業株式会社 ヒロセ電機株式会社 一般財団法人電力中央研究所 ファイベスト株式会社 [電線・ケーブル] 華為技術日本株式会社 [その他製造] 岡野電線株式会社 富士通株式会社 アダマンド株式会社 昭和電線ホールディングス株式会社 本多通信工業株式会社 岩崎電気株式会社 住友電気工業株式会社 三菱電機株式会社 株式会社オプトクエスト 株式会社フジクラ 株式会社村田製作所 大日本印刷株式会社 古河電気工業株式会社 山一電機株式会社 三菱電線工業株式会社 山村フォトニクス株式会社 [その他] 横河電機株式会社 NTTアドバンステクノロジ株式会社 ローム株式会社 株式会社グラノプト 株式会社KDDI研究所 一般社団法人 日本オプトメカトロニクス協会 日本電信電話株式会社 技術研究組合 光電子融合基盤技術研究所 公益財団法人レーザー技術総合研究所 80 技術情報レポート 2015年度OITDA 賛助会員ご入会のおすすめ 一般財団法人光産業技術振興協会は、1980年に設立されて以来、光産業技術の振興に寄与する各般の事業を遂行してお ります。 当協会では、時代を先取りする光技術分野のテーマに挑戦して積極的な活動を繰り広げていることが大きな特徴であり、 当協会の賛助会員の方々はいろいろな機会や情報を活用していただくことができます。 ~賛助会員の主な特典~ ⑴ 各種調査報告書、技術情報レポート等を入手することができます。 ⑵ 「オプトニューズ」 (年6回発行)、各種「国際会議速報」のメール・Web配信により、最新の情報を得ることができます。 ⑶ 技術指導制度により、光技術関連(例:レーザ安全、新技術関連等)の相談・質問を受け付け、専門の研究者・技術者に よる技術・情報指導を受けることができます。 ⑷ 当協会が主催するシンポジウム、セミナー、講演会・講習会などへ「ご招待又はご優待」にて参加することができます。 *⑴、⑵は基本的に賛助会員限定です。 ~賛助会費~ 1口1事業年度(4月~3月)につき、36万円(月平均3万円)です(税別)。 ~お問合せ~ 入会手続きなどの詳細は、当協会 総務部までお問い合わせください。 一般財団法人光産業技術振興協会 総務部 TEL:03-5225-6431,FAX:03-5225-6435 E-mail:[email protected] http://www.oitda.or.jp 光産業技術標準化会ご入会のおすすめ 当協会の光産業技術標準化会(略称、光標準化会)は、各界の多くのご賛同及びご支援を得て1988 年に設立されて以来、 光技術の各般の標準化事業を推進しております。 この間、標準化の対象は、通信関連に加え情報関連、さらに国際標準関連にも拡大しています。これまでに作成した工業標 準素案のうち約280件がJIS として制定される一方、国際標準関連では、IEC、ISOに対応するそれぞれの国内対策部会を設 け、国際規格への提案も積極的に行っています。光標準化会会員の方々はいろいろな機会や情報を活用していただけます。 ~光標準化会会員の主な特典~ ⑴ 光標準化会「総会」へ出席し、光標準化会の事業報告及び事業計画をうけることができます。 ⑵ 「光標準化ニュース」等により、光産業技術標準化各分野別部会の活動及びその他光産業技術の標準化に関する情報 をいち早く入手することができ、また、光産業技術標準化各分野別部会の議事録、議事資料の閲覧が可能です。 ⑶ 光標準化会が主催する光標準化シンポジウム等に優先的に無料で参加できます。 ⑷ 光産業技術標準化各分野別部会関係の報告書を入手できます。 (賛助会員のみの会員は入手できません。) ~標準化会会費~ 1口1事業年度(4月~3月)につき、13万円です(税別)。 ~お問合せ~ 入会手続きなどの詳細は、当協会 開発部標準化室までお問い合わせください。 一般財団法人光産業技術振興協会 標準化室 TEL:03-5225-6431,FAX:03-5225-6435 E-mail:[email protected] http://www.oitda.or.jp 技術情報レポート 2015年度OITDA 81 研究会 会員募集 当協会では、光技術各分野の最新情報を交換することにより各分野での研究開発を促進し、産学官連携強化を図 る場として4つの研究会を設けております。研究会は、個人会員で構成され、通常、講演と質疑応答を行っております。 また、時に応じて見学会、説明会、公開討論会も開催しております。それぞれの光技術テーマにご関心をお持ちの方の ご参加をお待ちしております。 お問い合せ、お申込等詳細は下記ホームページをご覧下さい。 1. フォトニックデバイス・応用技術研究会 フォトニックデバイス・応用技術研究会は、 「フォトニックデバイス」並びに「その応用技術」の現状および動向・展望 を話し合い、産官学会員相互の情報交換を通じて光技術の振興を図ることを目的として、毎回各種光デバイスから光 通信システムに至る幅広い最新の光技術に関する講演会を開催し、会員の皆様にご提供しています。 ◦年間講演回数:6回(内1回はワークショップとして、一般公開講演会) ◦年 会 費:36,000円/人(年度途中入会割引あり) ◦参 加 資 格:各講演会は会員のみご参加いただけます。 (特別聴講制度あり) 詳細はこちら→ http://www.oitda.or.jp/main/study/pd/pdstudy.html 2. 光材料・応用技術研究会 光学結晶・材料から光材料関連デバイス・システム応用に至る広範囲な分野において、専門講師をお招きして先端研 究/レビュー/国際会議報告・会員コーナーなどホットなテーマを提供しています。また年4回の内1回は宿泊開催(本 年度は湘南エリアを予定)とし、会員相互の活発な交流・情報交換の場を提供しています。 ◦年間講演回数:4回(内1回宿泊開催) ◦年 会 費:(企業)50,000円/人(年度途中入会割引あり)、 (大学・公的機関)10,000円/人 ◦特 別 聴 講:一般 15,000円/人/回、会員と同一企業/大学等 3,000円/人/回 詳細はこちら→ http://www.oitda.or.jp/main/study/omat/omat.html 3. 光ネットワーク産業・技術研究会 光ネットワークにおける光ノード・光スイッチ、次世代光ファイバ、アクセス系、光インタコネクション等の産業動向、 技術動向に関する情報収集および意見交換を行うとともに、それらの将来展望について討論することにより、光ネット ワーク分野の産業育成と振興を図ります。 ◦年間講演回数:5回(内1回は公開ワークショップ) ◦年 会 費:50,000円/人(年度途中入会割引あり) ◦特 別 聴 講:(光協会賛助会員)15,000円/人/回、 (一般)20,000円/人/回 ※討論会への参加は、会員の代理出席も可能です。また、会員本人の紹介者に限り年間で3名分まで無料でご参加い ただけます。4名目以上は、3,000円/人でご参加いただけます。 詳細はこちら→ http://www.oitda.or.jp/main/study/pnstudy/pnstudy.html 4. 多元技術融合光プロセス研究会 レーザ光源から加工の基礎・周辺技術およびマイクロプロセスからマクロ加工まで、光プロセスに関する様々な話題 を提供しています。また、産学官の皆様が集い意見交換をする場を提供しています。これにより、グリーン部素材、次世 代自動車、蓄電池、ロボット、環境・エネルギー機器、健康医療機器など、日本経済の将来の持続的発展を支える戦略 的産業分野での革新に繋がることを期待します。 ◦年間講演回数:5回 ◦年 会 費:正会員(一般)50,000円/人、 (大学・公的機関)30,000円/人、準会員30,000円/人 ◦特 別 聴 講:15,000円/人/回 ※正会員には8枚、準会員には4枚の参加票をお送りします。1回ごとに1枚ずつの参加票をご持参下さい。また会員 以外の方に譲ってご紹介いただけます。 詳細はこちら→ http://www.oitda.or.jp/main/study/tp/tp.html 82 技術情報レポート 2015年度OITDA 技術情報レポート 2015年度 発 行 2016(平成28)年5月 編集・発行 一般財団法人光産業技術振興協会 OITDA Optoelectronics Industry and Technology Development Association 〒112-0014 東京都文京区関口一丁目20番10号 住友江戸川橋駅前ビル7階 電 話:03-5225-6431 FAX:03-5225-6435 U R L:http://www.oitda.or.jp 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