注目されるイスラム金融 ~スクークについて

情報提供資料
2008年5月13日
注目されるイスラム金融 ~スクークについて~
はじめに
このレポートでは今注目を集めているイスラム金融、特にスクーク(イスラム債券)について取り上げたいと思い
ます。
イスラム金融とは?
そもそもイスラム金融とは、「シャリア(イスラム教における規範や法を意味する)に適った金融」です。イスラム
金融には、一般的に大きく2つの特徴があります。
①金利という概念を用いない
イスラム教の教典「コーラン」では利息(「リバー」)が禁じられています。その背景には、富を持つ者(資金供給
者)が自らの余剰資金を貸すことで(働かずして)利子収入を得ることは好ましくない、という「シャリア」の考えが
あります。イスラム金融では、一般的な債券の「利子」の代わりに、「利潤」や「配当」の概念を用います。
②イスラム教の教えに反する事業への投資の禁止
コーランの教えにより、豚肉やアルコール、賭博、武器、ポルノといった事業会社への融資、出資等は禁止され
ており、金利を扱う銀行株への投資や、豚肉を扱う食料会社の株などの保有もできません。
スクークとは?
スクークとは、イスラム債券のことで、「イスラム教の規範(シャリア)に適った債券」のことです。イスラム債券で
あるため、一般的な債券の金利は利払いとしてではなく、リース料や収益の配分として受け取ることになります。
またスクークは、ロンドン、ダブリン、ルクセンブルクといった世界各地の非イスラム諸国の証券取引所にも上場
されています。
<スクーク市場規模の推移>
世界最初のスクークは、総合エネルギー企業
シェルにより、マレーシアにて1990年に発行され
ました。2007年時点のスクークの発行額は、800
億ドルとなっており、2000年から7年間で、約15
倍もの規模に拡大しました。拡大の背景には、投
資家サイドとして中東諸国のオイルマネーの拡
大と、発行サイドとしてGCC(湾岸協力会議)諸
国が経済多様化を進めるための資金需要の増
加などがあげられます。スクークの市場規模は、
全体の約2/3を占める居住者が発行する「国内
債」と、非居住者の発行する「国際債」があります。
近年、オイルマネーの取り込みなどにより、「国
際債」の市場規模も急速に拡大しています。
(10億ドル)
国際債
国内債
出所:Bloomberg、ドイツ銀行
<スクーク市場の各国シェア>
世界最大のスクーク市場はマレーシアで、続い
て、アラブ首長国連邦などが続きます。中でも、
GCC諸国のスクーク市場は、2001年から2005
年にかけて年平均で45%の拡大しており、今後
5年で発行額は1,000億ドルに上る発行が予想さ
れています。(ドバイ国際金融取引所)
サウジアラビア,
2%
バーレーン , 3%
その他, 4%
パキスタン , 8%
アラブ首長国連邦,
16%
マレーシア, 67%
出所:Bloomberg、2007年1月25日時点
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