オーストラリアのケアサービスは在宅奨励型 慣れ親しんだ環境でできるだけ自立した生活を営むことが本来の人間の尊厳にも合致すると の考え方から、在宅ケア(Home & Communityと呼ぶ)を中心に提供しています。 政府には施設ケアによる財政負担を減らすという目的もあります。 最初にファミリードクター(GP)相談すると、次のステップをアドバイスしてくれます。 それ以外に直接それぞれの窓口に相談することも可能です。 実際のケアはすべて民間のケアサービス会社が施します。内容によって連邦政府と州政府が 財政補助をしています。 詳しい解説はこちら:Help to stay at home – Community Care Photo:Perthnow.com.au 高齢者、病気介護主な公的、半公的サービス早見表 (自立度が高い順) 自 立 度 高 分類 基本 的に 在宅 窓口 州政府 認可後、地域のサ ービス提供会社に 連絡 プログラム 在宅ケア HACC (Home and Community Care) Tel: 1800-200-422 中 施設 → 自宅 連邦政府+州政府 Tel: 08-9222-4134 移行ケア Transition Care Program 受給資格判定 典型的な対象者および主なサービス内容 費用負担 など Commonwealth Respite and Carelink Centres 指定のサービス提 供会社によるアセ スメント 老齢、傷病などで生活に支障がある人およびその 介護者が申請できる。 自宅で生活が営めるよう訪問看護、配食、移送、 身の回りの世話などのサポート レスパイトケア:介護者の休息のための一時的な 施設ケアも利用できる。 詳しいサービス内容はこちら 最新の関連ウェブリンクはこちら 応能負担 ACAT によるアセ スメント 退院後在宅で療養生活ができるようになるよう 7 週―12 週間の期間限定のケアサービス。 個人の状況によってサポートが決定される。 最新の関連ウェブリンクはこちら 応能負担 ケアサー ビスの内 容による 中 中 ― 低 低 低 ACAT によるアセ スメント ホステル レベル(軽度)のケアを在宅で提供。 認知症患者への対応もある。(Extended Aged Care at Home Dementia) 最新の関連ウェブリンクはこちら 応能負担 ACAT によるアセ スメント ホステル (Hostel) 身の回りのことは自分自身で出来る軽度介護の高 齢者のための施設。部屋は個室で家具は自前で自 宅の生活環境に近い。 応能負担 基本 的に 在宅 連邦政府 Tel: 1800-500-853 Tel: 1800-052-222 ホームドクター 施設 連邦政府 Tel: 1800-500-853 Tel: 1800-052-222 ホームドクター 基本 的に 在宅 連邦政府 Tel: 1800-500-853 Tel: 1800-052-222 ホームドクター 重度在宅ケア EACH (Extended Aged Care at Home) 施設 連邦政府 Tel: 1800-500-853 Tel: 1800-052-222 ホームドクター 重度施設ケア Residential Aged Care Services At Nursing Homes ACAT によるアセ スメント その 他 西豪州政府 通訳 Translating and Interpreting Service (TIS) Tel: 13 14 50 在宅 非営利団体 Aged and Community Services Western Australia (ACSWA) 配食サービス Meals on Wheels 審査なく、必要に 応じて対応。特に HACC, CACP, EACH などの受給者なら OK 地域単位で活動 その 他 非営利団体 Tel: 08-9242-0242 ケアサービス Silver Chain WA 必要に応じて対 応。 軽度在宅ケア CACP(Community Aged Care Packages) 軽度施設ケア Residential Aged Care Services at Hostels ACAT によるアセ スメント ナーシングホームレベル(重度)のケアを在宅で 提供。 一時的に施設でレスパイトケアもあり。 認知症患者への対応もある。(Extended Aged Care at Home Dementia) ナーシングホーム (Nursing Home) 日本の特別養護老人ホームに匹敵 24 時間ケアを必要とする重度ケア高齢者のための 施設。看護婦が常駐して医師の往診を受けながら 生活する。 認知症患者への対応もある。 保健サービスに関する通訳サービス 上記の在宅ケアサービスの一環として暖かいお食 事の配食サービスを受けることができる。 当サービスは団体が必要と認めれば単独でも受け ることができる。 排泄、創傷ケアをはじめさまざまなケアに対応 応能負担 応能負担 有料 有料 有料 各種ケアサービス解説 HACC (Home and Community Care)で受けられるサービスの内容 名称 家事・社会補助 個人介護サービス デイケア 配食サービス 家屋維持 レスパイトケア 看護サービス その他 Domestic assistance、Social support Personal Care Day Care Meals Home Maintenance or Modification Respite Care Nursing Care 内容 掃除補助、買い物、支払い手続き、洗濯等の一般的な日常の家事・生活援助 入浴や食事、身支度等の援助 センターにおけるデイケアサービス 食事のデリバリーサービス 住宅の維持、管理、改造などのサービスによる安全な住居環境の提供 家庭における介護者への休息提供を目的とし、通常の介護提供の短期間代替 健康維持を目的とし看護婦により行われる医療サービス 教育およびトレーニングの提供、情報提供サービス等 ホステルとナーシングホーム 連邦政府の管理下で、民間団体が委託されて運営しています。運営団体は宗教団体、民間の会社、福祉団体など。地方では地方自治体の運営 が多くあります。これらは連邦政府の指導および財政補助を受けています。 入居方法など:入居資格および受けられるサービス内容は指定の ACAT の審査によって決まります。基本的に費用は自己負担ですが、資産や 収入などの状況によって負担を減らしてもらうこともありえます。 入居希望の場合、 費用などの見積もりを相談所にて事前に無料で算定してもらうことも可能です。 Financial Information Service (13 2300) 部屋の空き状況をインターネットで調べたい場合: http://www.agedcareguide.com.au/vacancies.asp?stateid=8 Photo: Trinity Village Hostel ホステルで受けられる主なサービス 名称 居住空間 Accommodation services 生活補助 Personal Care 治療補助 活動補助 健康管理 社会補助 Assistance with medication Recreational therapy and rehabilitation support Health and therapy services Support for people who have difficulty understanding 内容 事務、部屋の装飾、清掃、ベッド、洗濯、建物の維持管 理、食事の提供、スタッフによる定期的訪問、および緊急 時のアシスト 入浴、食事、身支度、移動、会話など、日常生活の簡単な 補助。排泄補助には別途費用がかかる。 服薬補助 センターにおけるリクリエーション活動やセラピーの補助 健康管理や治療を受ける際のアレンジの補助 説明補助 ナーシングホームで受けられる主なサービス 名称 居住空間 生活補助 治療補助 活動補助 健康管理 社会補助 介助器具 看護 内容 事務、介護ニーズに合わせた部屋の設営、清掃、ベッド、 洗濯、建物の維持管理、食事の補助、スタッフによる定期 的な訪問および緊急時のアシスト Personal Care 入浴、排泄、食事、身支度、移動、会話など、日常生活の 補助 Administration of medication 薬の投与 Oxygen and oxygen equipment on a short term or 短期、必要に応じた酸素の投与など Accommodation services episodic basis. Health and therapy services Support for people who have difficulty understanding. Assistance of mobility Nursing 健康管理や治療の補助 説明補助 歩行補助、車椅子、リフトなどの設置 必要な看護を24時間体制で提供 ACAT とは: Aged Care Assessment Team の略。審査チームは地域ごとに置かれ、看護師、老年科医、理学療法士、ソーシャル・ワーカーなど 数人のメンバーから成る。病院からの退院時や施設入所時などに、病院や施設へ出向いて要介護者の医学的・社会的ニーズを判定して要介護 度を決定し、施設入所や在宅ケアのメニューを具体的に処方する。最寄の ACAT を見つけるサイトはこちら 民間の高齢者向けサービス リタイアメント・ビレッジ 基本的に民間経営(公的サービスではない。)運営母体は宗教団体、慈善団体、民間会社など。 セキュリティーのある、集合住宅群で、Villa(一戸建て)もしくは Serviced Apartment が主流。 土地や建物をを保有するのではなく、大半が終身リースという長期の施設使用契約。 これ以外に毎月の管理費や維持費などもかかる。 シニアが生活しやすいようにバリアフリーの工夫がされている。 スポーツやゲームなどのリクリエーション活動が楽しめるようさまざまな設備が併設されている。 またビレッジ内の住人を対象としたさまざまなイベントが定期的に開催される。 ビレッジによって買い物や散髪の出張サービスや、ショッピングセンターへのシャトルサービスなどもある。 ビレッジによって多少の差はあるが、55 歳以上のシニアなら経済状況や身体状況にかかわらず入居可能 パーソナルケア、介護や看護などのサービスはない。必要に応じて別途民間契約をする必要がある。 ナーシングホームなどと併設されているところもあり、必要に応じてそちらに転居できる場合もある。 西豪州にも数多くのリタイアメント・ビレッジが建設されていて、選択肢は多い。 検索はこちらから:http://www.rva.com.au/finder 虹の会のリタイアメント・ビレッジ見学会の報告はこちら:http://members.iinet.net.au/~otsuki/200112/rougo.htm Photo: Courtesy of RSL Care WA 障がい者向けサービス 障がい者介護の公的サービスは西豪州政府の Disability Service Commission が取りまとめています。 障がい者の QOL (Quality of Life)をできるだけ向上させて、社会に参加できるようサポートすることを目的として います。自立補助を中心としたサービスが多くあります。 地域ごとに相談窓口になる担当者を配置しています。LAC (Local Area Coordinator)と呼ばれ、個人のニーズを見極 めてそれにあったサービスへの橋渡しをしてくれます。自分の地域の LAC の検索はこちら ホームドクター(GP)もさまざまな相談の窓口となります。 障がいの内容、度合いによって様々な団体がサービスを提供しています。定期的に相談して適切なサービスを受けられるようにしましょう。 Disability Service Commission を通して受けられる主なサービスは以下のとおり 施設 Accommodation Support 権利擁護 Advocacy 自立就職支援 排泄ケア 介助器具など Alternatives to Employment/Post School Options Continence Services Equipment and technology 家族支援 地域での支援 Intensive Family Support Local support in your area レクリエーション Recreation レスパイトケア Respite 休暇中のサポート 治療 School Holiday Support Program Therapy Services 障がいの度合いや家庭環境などのニーズに合わせて登録されている 施設に滞在できる。 意思決定能力に問題がある障がい者もしくはその介護者の権利擁 護。ニーズの表明の代弁など 自立支援。学校卒業後の就職進路相談。 排泄のサポート。 生活上必要な介助器具などの案内。GP の手紙が必要。 Community Aids and Equipment Program (CAEP) 介護をする家族が行き詰らないようサポート 近いところから障がい者のニーズを見極める。さらに権利擁護や自 立支援などに関わることで障がい者にとって社会との接点となる。 障がい者が少しでも社会と関わり、自立し、有意義な生活を送れる ようプログラムを提供する 介護者が休息をとれるよう、訪問介護、もしくは施設に短期滞在で きる。 就学中の障がい者の学校休暇の間のアクティビティを提供 機能の改善、回復のためのさまざまなセラピー、治療、トレーニン グの案内 遺言(Last will and Testament)について 「備えあれば憂いなし」 オーストラリアでは将来に備えて遺言書を用意しておくことは一般的なことです。事故にあったり病気で理解力やコミュニケーション能力が 著しく低下してからでは、不動産や株式などの遺産相続は無論、子供の養育、葬式や埋葬の方法など実務面で思うようにことが運ばず不本意 な思いをしかねません。相続人や相続執行人が誰なのかということがはっきりしないと、遺産分配や譲渡の際に無用な時間や費用や労力がか かり、親族に要らぬストレスがかかる可能性があります。したがって遺言状の存在は本人のみならず家族にとっても大切です。 また時間が経過するとともに親族関係や資産の内容も変わることがあります。遺言状の内容もそれに合わせて改めることも必要です。 西豪州における Public Trustee (遺言に関する公的アドバイス)はこちら 作成は弁護士を通して オーストラリアでは、遺言状に法律で定められた書式と形式があります。たとえば遺言状に立会人(Witness)のサインが必 要ですが、それも法的に有効とされる人のサインでなければその書類は無効とみなされます。また内容的にもオーストラリ アの制度や法律を考慮して作成しないと結果的に効力を発しないこともありえます。書式も含めて経験のある弁護士とよく 話し合って決めるのが得策です。 遺言状作成の手順 遺言状作成を専門とする弁護士に含むべき内容はなにか、また含みたい内容を相談するのがいいでしょう。費用は弁護士によって違いますが、 前もって見積もりを取ることが可能ですので事前に確認をしてください。 英語に不安がある場合で日本文から英文の遺言状を起こす場合は、作成時に NAATI(オーストラリアの翻訳および通訳の資格認定機関)に認 定された法律専門の通訳者および翻訳者を通したり、また、付帯書類として、原文(日本語)を付け加えるなどの対策が必要です。こちらも 有料です。 なお、本記事は遺言状に関する情報の提供が目的で、あくまでも参考資料であり、法的アドバイスではありません。 用語:Enduring Guardian (継続後見人) 年齢や障がいで判断、意思決定能力を失った場合に備えて代理人に意思決定を委任することができます。 不慮の事故などで万が一代理人が指定されていない場合は公的な判断の元に後見人を持つことも可能です。Guardianship (成年後見制度) これらの制度の解説をした日豪プレスの記事はこちら 介助器具などが自立に必要なものを揃えたいときには Independent Living Centres Australia – Western Australia 支部 Telephone: (08) 9381 0600 Fax: (08) 9381 0611 Email: [email protected] 器具の展示:The Niche, Suite A, 11 Aberdare Road, Nedlands WA 6009 営業時間: 8.30 am to 5.00 pm Monday to Friday 通称ILC (自立生活支援センター)は、障がいがある人が自立した生活を営めるよう、自立支援器具・装置・住環境の改造などに関する情報提 供や介護者の教育、トレーニング、また介護に関する啓蒙活動を行なっている機関です。 自立生活支援センターの主なサービス一覧 自立支援器具など Assistive Equipment Program あらゆる自立支援器具・装置・住環境の改造などに関する情報が集約 されていて、専門家(作業療法士、理学療法士、言語聴覚療法士、教 育アドバイザーなど)から個人のニーズあった指導を受けることがで きる。センターでは展示されているサンプルで実際の使い心地などを 確認できる。 僻地出張サービス Country Services 地方にも上記を出張サービスにて提供、都市部との格差がないように 配慮 介助器具レンタル ILC Hire Service 介助装置、IT など ILC Tech Service 短期間器具を自宅などに持ち帰って試用するシステム。高価な器具な どを買う前に使い勝手などを確認できる。 ハイテク介助機器や障がい者用に改造された情報機器などに特化した サービス。専門家が機器の選択から使い方の指導してくれる。 教育・トレーニング Education & Training 介護者養成のトレーニングなどを提供 補助金 ILC Disability Equipment Grants 重度障がいなどに対処するための高価な機器の購入の際に必要な政府 の補助金の窓口 運転能力審査 ILC Driver Assessment Service リハビリ後の車の運転適性を審査する 多文化高齢者ケア ILC Multicultural Aged Care Service (MACS) 高齢者ケアの現場で必要な多文化対応のサポートおよび指導 レスパイトケア ILC Commonwealth Respite and Carelink Centre 介護者の一時的な休息の確保のためのサポートの窓口
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