フラッシュレポート ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 2007年5月23日 世界のリート市場について~セクター紹介編~ 北米・欧州・アジア/オセアニア地域の各国リート市場の特徴をご紹介した前回までのシリーズに続き、 今回よりリート市場の各セクターの特徴について、ご紹介します。シリーズ第一回として、今回はオフィス /産業用施設セクターのご紹介です。世界リート市場への投資の一助になれば幸いです。 ¾世界リート市場のセクター構成 各国証券取引所に上場しているリートは、それぞれのリートが主に投資・保有する物件のタイプに応じ、オフィス、産 業用施設、小売・商業施設、多業種投資型、住宅、その他(ホテル・リゾート、医療・介護施設、倉庫など)のセクター に分類されています。それぞれのセクター間においては、投資物件(または投資不動産の入居者)の違いによるファ ンダメンタルズの相違、またそれに応じた株価の動きなどの特徴が見られます。今回のレポートでは、小売・商業施 設セクターとともに主要なウェイトを占めるオフィス・セクター及び産業用施設セクター(合計約25%)について、ご説明 いたします。 オフィス/産業用施設セクター オフィス/産業用施設セクターの投資先不動産は、オフィス・セクターにつ いては主に都市部のオフィス・ビル、また産業用施設セクターについては主 にハイウェイや飛行場など輸送交通の便の良い立地にある倉庫や物流セ ンターなどです。国別でみると、ベルギー、日本、シンガポール市場で、大 きなウェイトを占めています。 【世界リートのセクター別構成比】 出所:S&P/Citigroup (2007年4月末現在) 住宅 10.7% その他 小売・商 業施設 11.7% オフィス・ビルのテナント需要は、オフィス・ビルの集中する都市部の雇用者 数の推移により最も影響を受けます。その背景として、人口動態及びその 地理的分布の推移(都市化の進行等)、そして雇用を左右する景気サイク ルなどが中長期的な需要動向を見通す上で重要です。一方、オフィス・ビ ルの供給動向も重要なファクターです。新規建設投資などが注目される指 標になります。 34.1% 多業種投 資型 18.0% オフィス 産業用施 設 8.2% 以上のような需要と供給のバランスの結果、オフィス・ビルの入居率が決定 し、賃料が上昇あるいは下落します。これがファンダメンタルズと呼ばれる ものです。空室率が下がり賃料が上昇すれば、リートの収益は拡大します。 では、現在のファンダメンタルズはどのような状況にあるのでしょうか。 米国においては、低水準に留まる新規オフィスビルの建設、継続的に伸び る雇用、また建て替えコストの高騰等が、オフィス・セクターの需給バランス を大幅に改善させてきています。また、特筆すべきはシンガポールです。 2007年に廃棄されるビルが完成するビルを上回ることから供給がマイナス になると予想されるなか、金融サービス・セクターを中心に需要が高水準に あるため、2006年末時点で賃料が前期比で21%も上昇しました。 産業用施設セクターについては、テナント顧客となる製造・小売業等の投 資動向や企業活動に伴う物流量が需要を決定するため、企業景況感が需 要を測る目安となります。一方、供給側としては、特に米国では、企業のグ ローバリゼーションに伴い、質の高い近代的な流通倉庫を供給が各リート の競争力の源泉の一つとなっています。そのため、リートの選別投資が重 要となります。 英国 8.2% 17.4% その他 8.5% 日本 15.2% 米国 52.3% オースト ラリア 15.7% 【セクター内の国別配分】 本資料は情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。 本資料に記載された過去の運用実績に関する数値・データは将来の結果を保証するものではありません。本資料に記載された市場やポートフォリオの見通し 等は、本資料作成時点でのゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無 しに変更する場合もあります。本資料は情報の提供を目的とするものであり、個別銘柄の売却、購入等の行為を勧誘するものではありません。 フラッシュレポート ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 なお、オフィス及び産業用施設セクターは、いずれも賃貸契約期間が他セクターと比較すると長期(平均5年以上) に亘るため、比較的安定的な賃料収入が見込めるセクターと考えられています。 【産業用施設セクターの時価総額上位5銘柄】 【オフィス・セクターの時価総額上位5銘柄】 (単位:百万円) 1 2 3 4 5 銘柄名 ボストン・プロパティーズ SLグリーン・リアルティ 日本ビルファンド投資法人 デューク・リアルティ ジャパンリアルエステイト投資法人 国名 米国 米国 日本 米国 日本 時価総額 1,650,815 996,320 842,422 689,942 566,168 (単位:百万円) 銘柄名 1 2 3 4 5 プロロジス マッコーリー・グッドマン・グループ スラウ・エステート AMBプロパティ ブリクソン 国名 米国 オーストラリア 英国 米国 英国 時価総額 1,916,211 1,047,313 871,989 719,927 246,045 出所:S&P/Citigroup (2007年4月末現在) 代表銘柄の紹介 ~ボストン・プロパティーズ~ (米国オフィス・リート) ボストン・プロパティーズは、1970年設立、1997年にニューヨーク証券取引所 に上場した世界最大級のオフィス・リートです。主にボストン、ワシントン、 ニューヨーク・マンハッタン、サンフランシスコ、プリンストンなどを中心に127 のオフィス物件を保有しております(その内、109物件がクラスAの高級物件。 それ以外にも、2つのホテル等を所有)。 連邦政府をはじめとする信用度の高いテナントと賃貸契約していることが安 定的なキャッシュフローを生み出しており、また積極的な買収等も取り組ん でいることから、2006年までの過去5年平均の売上成長率は6%、FFO*成長 率も5%となっています。 *Fund From Operation:不動産売却損益を除いた純利益に減価償却費を加算した金額。リートの代表的投資 尺度 サンフランシスコ連銀ビル (サンフランシスコ) *出所:ボストン・プロパティーズ アニュアル・レポート2006 <保有物件の一例> 399 Park Avenue(ニューヨーク・ミッドタウン)ビル 入居テナント 賃料支払い 40階、約156,720平方メートル シティ・バンク シティ・バンク (金融) (金融) リーマン・ブラザーズ リーマン・ブラザーズ (金融) (金融) ビンガム・マクカチェン ビンガム・マクカチェン (法律事務所) (法律事務所) アーノルド&ポーター アーノルド&ポーター (法律事務所) (法律事務所) 年間賃料収入(2006年第4四半期実績) 年換算-約1億,2890万ドル(約154億円*) ボストン・プロパティーズが、2002年に 10億6,000万ドル(約1,267億円*)で購入 *2007年4月末1ドル=119.505円で換算 出所: ボストン・プロパティーズ2006年第4四半期報告書 など z テナントに入っている企業には、信用力の高い銀行や証券会社、法律事務所が多い。 上記は例示をもって理解を深めていただくことを目的としたものです。特定の銘柄を推奨するものではありません。 本資料は情報提供を目的としてゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが作成した資料であり、有価証券の取得の勧誘を目的とするものではありません。 本資料に記載された過去の運用実績に関する数値・データは将来の結果を保証するものではありません。本資料に記載された市場やポートフォリオの見通し 等は、本資料作成時点でのゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの見解であり、将来の動向や結果を保証するものではありません。また、将来予告無 しに変更する場合もあります。本資料は情報の提供を目的とするものであり、個別銘柄の売却、購入等の行為を勧誘するものではありません。
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