ニュースレター シリコーン・コンシェルジュ April 2007 3 No. 本ニュースレターでは、東レ・ダウコーニングのシリコーン製品に関する情報や技術解説、 企業情報、シリコーン素材業界全体の最新動向、などをお伝えしていきます。 CONTENTS 目次 TOPICS 特 集 業界動向 ひ と 新社長紹介 p.1 エアバッグのコーティングに使われるシリコーン 高温ガスからバックを保護、ガスの抜けも均質化 p.2 ヘアケア製品に活用されるシリコーン 現代女性の願望は「美しい黒髪？」 p.3 ライフサイエンス営業部 アジア全体のマーケティングのため上海へ赴任 p.4 ［本資料に関する問い合わせ先］ 東レ・ダウコーニング株式会社 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-1-3 広報担当 岡本美津子 Tel : 03-3287-8541 Web : www.dowcorning.co.jp AIGビル コンシェルジュとは： ホテルなどで、お客様の色々なリクエストや問題に対し、希望・事情をよく聴き、 豊富な知識や経験を基に最適のアドバイスや解決法を提供する人を意味します。 April 2007 TOPICS 3 No. 新社長ご挨拶 本年１月１日に社長に就任いたしました。引き続き会長を兼任い たします。本ニュースレターの読者の皆様には、常日頃、当社やシ リコーンについて関心を持っていただき、心より御礼申し上げます。 私は大学で化学工学を専攻し、当社では研究開発本部に10年ほど 在籍しておりました。その後、米国ダウコーニング本社でラバープ ロセス開発プロジェクトリーダーを経験し、帰国後もダウコーニン グ全社におけるラバービジネスのジェネラルマネージャーを担当す る機会を持ちました。グローバル企業において意思決定プロセスや 交渉術、企業文化の違いなどを体験したことは、現在国内外の両方 に目を向けて経営を行なっていく上で非常に役立っています。 本ニュースレターのタイトルにもなっている、 “Silicone Concierge：シリコーン・コンシェルジュ” は、私たちが単にお客様のパートナーであるだけではなく、世界中で自ら経験した豊富な知識と実 績を活かし、Glo-cal（Global＋Local）な視点を持ってお客様に最適・最善のソリューションをご提 供することをあらわしています。 昨年、中国で新工場を稼動させるお客様のために、日本国内から の材料供給に加え、中国のダウコーニング社のスタッフと当社のス タッフが共同して様々なサポートを行ないましたが、これもGlo-cal の一例です。 このように当社は、高機能素材シリコーンで世界をリードする米国 ダウコーニングのグローバル・ネットワークを活用し、国内だけでな く、世界中のお客様に貢献していきます。 社内では、このような意識を広めるため新たな活動を始めています。 例えば、最近スタートしたイントラネット上の私のブログ「Kobyの シリコーン・コンシェルジュの モデルNobyとともに コーヒーブレイク」では、日常の話題を通して、会社の方針やブラン ドなどについて、社員とメールで話ができるようにしています。さらに「コー ヒーブレイク・オフライン版」として、少人数の社員とのカジュアルな話し合 いの場を設ける企画をスタートしました。現状に甘んじず、更なる改善への話 し合いを重ね、お客様への貢献に全社員一丸となって寄与していく所存です。 世の中に何か新しい技術・変化が生まれる時、そこには必ずシリコーンの出 番があり、皆様のお役に立てるものと信じています。当社業務や取材に関する お問い合わせ、広報活動について等、どんなことでも気軽にご連絡頂ければ幸 いです。 社内ブログを通してコミュニケーション 今後とも末永くよろしくお願い申し上げます。 代表取締役会長兼社長 小林 愈 □ 1 □ April 2007 特 集 3 No. エアバッグのコーティングに使われるシリコーン 高温ガスからバックを保護、ガスの抜けも均質化 エアバッグは1980年代に登場し、現在では国内新車 のほぼ全ての車種に標準装備されるようになっている。 もっとも、実際には非常時にしか作動しないため、エア バッグの実物を見る機会は少ない。しかし、実はこのエ アバッグにもシリコーンが活用されているのだ。 高温ガスからバッグを保護するコーティング 必要となる事態は稀だが確実な動作が求められるエアバッグ エアバッグの構造は、衝撃を受けるとインフレーターと呼ばれる装置から、ガスが放出され、バ ッグを膨らませる、というものである。実際には約0.03秒という短時間で開くため、イメージとして は「爆発」に近い。高温のガスが噴出し、同時に高熱の微粒子も飛び出すことから、バッグを溶け ないよう保護するコーティングが必要となった。そこで注目されたのがシリコーン・コーティング である。 エアバッグは、製造から10年、15年経って初めて動作する可能性があり、なおかつ命に関わる装 置のため、その動作に確実性が求められる。自動車は過酷な温度環境にさらされることがあり、長 期間折りたたまれていたバッグが、溶着などせず確実に開くためには、温度変化による劣化が少な く、長期間安定した特性を発揮するシリコーン・コーティングが適しているのだ。近年では、ガス の熱を抑えたインフレーターも開発されているが、価格が高いため、まだ主流にはなっておらず、 シリコーン・コーティングの需要は高い。 コーティングによって「ガスの抜け」を均質化 カーテンエアバッグの普及で需要増を見込む 他にも、コーティングには重要な役割がある。 エアバッグは、衝突時に人体を適切に受け止めるために、左右バランスよく膨らむ必要がある。も ちろん設計時に計算はされているが、素材のナイロンは必ずしも均質ではないので、理論通りにガ スが抜けない可能性がある。そこで表面をコーティングすることで、ガスの抜けを均一化し、設計 時の計算に近い膨らみ方をさせるのだ。 近年の課題は、コーティングをより薄くすることだ。自動車では軽量コンパクトな設計を求めら れる傾向があるが、エアバッグも例外でない。コーティングの厚さなど影響はわずかなものと思い がちだが、実は幾重にも折り重ねるエアバッグでは、コーティング層の厚みも無視できないのだ。 現在、運転席・助手席への普及が進み、市場としては成熟しているように思われるが、まだ需要 増が見込まれている。それは、写真のような、車の側面に装備される（面積の大きな）カーテンエ アバッグの普及だ。まだ一部の高級（仕様）車がメイ ンだが、今後急速に普及が進むと考えられる。自動車 生産台数は中国市場の拡大とともに伸び、エアバッグ の需要もさらに増加していくと考えられる。 カーテンエアバッグ □ 2 □ April 2007 業界動向 3 No. ヘアケア製品に活用されるシリコーン 一般にシリコーンは、ある商品を高機能化する際、あるいは付加 価値を与える際に、採用されることが多い。その一例として、ヘア ケア製品を見てみよう。 近年、シャンプー、リンスなどヘアケア製品のシェア争いが激化し ており、各社ブランドがしのぎを削っている。資生堂の「TSUBAKI」 は昨年、プロモーションに約50億円を投入、大きな話題となった。 一説にはヘアケア製品の国内市場は4,000億円とも言われており、 各社の力の入れようは当然と考えられる。業界専門誌「国際商業」 AV09906 によると、2005年のシャンプーのシェアは、上位から花王、ユニリーバ、P&G、資生堂の順 だったが、2006年には資生堂とP&Gの順位が逆転している。 「ダメージケア」が必須の機能に 現代女性の願望は「美しい黒髪？」 一時期、「茶髪」という言葉が流行り、黒髪の女性の方が珍 しく感じられたが、最近では「日本や東洋の美」といったも のが見直される傾向にあり、浴衣が若者の間で流行したり、 「黒髪」がトレンドになったりしている。そこで様々なカラー リングやパーマなどで傷んだ髪を修復し、美しい黒髪を取り シリコーンによってまとめられた毛先 戻すためにも「ダメージケア」という機能があらためて注目されている。かつて「ダメージケア」 は特別な機能だったが、現在では一般的なシャンプー・リンスの機能として完全に取り込まれてい る。この中でシリコーンは、 ・傷んではがれたキューティクルを保護し、枝毛を修復するのを助ける ・髪をコーティングすることでブラッシング時の摩擦を減らして髪への負担を減らしドライヤー の熱から髪を守る など、多目的に働いている。 このため、近年のヘアケア製品の多くには、複数のシリコーンが配合されるようになってきてい る。たとえば、高重合シリコーンはキューティクルの保護や、サラサラとして美しいストレートの 黒髪の保持に使用され、アミノ変性シリコーンはしっとり感を与え、熱などから髪を保護するなど、 集中的なダメージケア用に使われている。当社が2004年に国内で行なった調査では、 店頭の主要ヘアケア製品のうち、シャンプーの74％、リンスの100％に何らかのシ リコーンが配合されていた。さらに２種類以上のシリコーンが配合されていた製品 もシャンプーで20％、リンスで80％あった（８社、25製品を調査）。 現在当社では従来のアミノ変性オイルに親水性を持たせるなど、更になめらかな 感触を与えコンディショニング効果も高い製品を開発したり、スキンケアに使われ 感触向上効果の高いシリコーンパウダーをヘアケア用途に展開し感触の差別化を図 るなど、様々な切り口からの検討・研究を行なっており、今後さらなるヘアケア製 品への寄与を目指している。 □ 3 □ April 2007 ひ と 3 No. ライフサイエンス営業部 アジアエリア マーケティング・マネージャー 加藤正彦 ■ アジア全体のマーケティングのため上海へ赴任 昨年末までは東京の大手町に勤務していましたが、この度、日本を含 むアジア全体のマーケティングを担当するため、上海に転勤となりまし た。ご存知の通り中国を筆頭とするアジア市場は世界から注目されてお り、私が担当するライフサイエンス分野のシリコーンも需要増が期待さ れています。例えばシャンプーやコンディショナー、スキンケア製品などは、日本では使い心地や 機能をUPするため多種・多様のシリコーンが配合されていますが、中国ではまだその使用量も種類 も多くありません。しかし経済の急速な発展と共に消費者の要求は高まっており、今後状況は大き く変わるでしょう。 ■ 中国ではNBAが大人気 「堀金」って何？ 赴任前から中国語の勉強を始めましたが、同じ漢字文化という こともあって、理解できる部分も結構あります。2008年の北京オ リンピックに続き、2010年に上海万博が決定しているためしきり にマナー向上が叫ばれています。「可愛い上海人になろう」という ような標語も街中に掲げられており、ちょっと楽しい感じがします。 街中の「可愛い上海人」の看板 また、中国はアメリカのプロバスケットボールリーグNBAに、姚明（ヨン・ミン）を輩出してい ることもあり、NBA人気は大変なものです。おかげで、メディアでNBAは随分大きく扱われるので すが、チーム名や選手名が中国語に翻訳？されており、元々のチーム名と漢字の両方が分かる日本 人としては、感心することしきりです。例えば日本の田臥勇太が最初に契約 したナゲッツ（Nuggets：「金塊」の意がある）は中国で「堀金」と表記さ れます。意味と音の両方から作られるようなのですが、下にクイズ形式でい くつか並べてみましたのでNBAに興味のある方は挑戦してみてください。 NBAチーム名クイズ 下の中国表記はNBAのどのチームでしょう？ （正解は欄外をご覧下さい） 森林狼、奇才、湖人、山猫、超音速、雄鹿、爵士 街頭で売っているNBAの情報紙 編集後記 今号よりこの「シリコーン・コンシェルジュ」編集を担当いたします高杉と申します。 先日、社長と千葉工場の社員少人数と、日常業務の疑問や質問、新しいアイディアの提案などを 話し合うためのカジュアルな会「コーヒーブレイク・オフライン版」を開催いたしました。私も同 席しましたが、現場で働く方々の率直な意見や、提案を聞くことができました。自分たちの製造し ているものに対する誇り、製品のクオリティにこだわりたいという熱い思いを感じ、とても有意義 な時間を持つことができました。 入社間もないため、製品知識が足りない部分もありますが、逆に今の視点も大切にして、日頃シ リコーンを意識されていない方にもわかりやすい情報をお届けしてまいりたいと存じます。今後と もよろしくお願いいたします。 総務部 編集担当 高杉記子 表紙使用画像No.：AV03062, AV04872, AV06080, AV07439 ［NBAチーム名クイズの回答］森林狼＝Timberwolves、奇才＝Wizards、湖人＝Lakers、山猫＝Bobcats、超音速＝Supersonics、雄鹿＝Bucks、爵士＝Jazz □ 4 □
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