2009年6月26日(金) ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社 代表取締役社長 朝比奈 進 問い合わせ先:経営企画室 纐纈(こうけつ) 潤子 (TEL:03-5350-4624) スポーツシューズの市場動向 2009年のスポーツシューズ市場は、引き続きランニングが牽引 ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン株式会社(東京:中野区)は、スポーツシューズの市場動向を明らかにす るため、国内出荷の状況に関する調査を行った。 【調査概要】 ・二桁成長を記録したランニングシューズが、2008年のスポーツシューズ市場全体を牽引した。 ・一方、普段履き用途のカジュアルシューズはマイナス成長となり、2009年はさらに厳しい見通しにある。 ・さらに2008年は、野球、サッカー・フットサルなどチームスポーツ用シューズもマイナス成長下にあった。 ・2009年については、ランニングシューズが引き続き市場を牽引するものの、カジュアルシューズの市場縮小が加速 することから、スポーツシューズ国内出荷市場は全体としてマイナス成長で推移するものと見込まれる。 【調査実施要綱】 ・調査期間: 2009年1~4月 ・調査対象: スポーツシューズ <調査対象カテゴリー> ランニング、フィットネス、アウトドア、ウォーキング、野球・ソフトボール、サッカー・フットサル、 バスケットボール、バレーボール、テニス、バドミントン、カジュアル、ジュニア・キッズ・インファント <調査対象ブランド> 約70ブランド (ナイキ、アディダス、プーマ、アシックス、ミズノ、ニューバランスなどスポーツ用品店において取り扱い のあるスポーツシューズブランド) ・調査方法: 上記スポーツシューズ取り扱いメーカーに対するアンケート調査 上記スポーツシューズ取り扱いメーカーに対するヒアリング調査(主にアンケート未回答企業) ※またメーカーへのアンケートおよびヒアリング調査に対する裏付けとして、スポーツシューズ取り扱い 主要小売業200社に対しても販売動向、メーカーシェア等についてアンケートおよびヒアリング調査を 行った。 ・調査内容: カテゴリー別国内出荷市場規模(数量・金額) 流通業態別国内出荷構成比(金額) ・市場規模の算出方法: 各ブランド・メーカーのアンケート回答および、アンケート未回収ブランド・メーカーについてはヒアリング 結果等に基づき出荷規模を推定し、回収アンケートに加えることで全体の市場規模を算出した。 【2008年のカテゴリー別市場概要】 2008年におけるスポーツシューズの国内出荷市場規模は、数量で対前年比2.0%増の5,179万2,000足、金額で同 2.0%増の2,011億7,800万円になったものと推定される。 ランニングシューズ市場が数量、金額共に二桁成長を達成したことで、全体市場の牽引役となった。東京マラソンに代 表される市民マラソンへの参加が増加傾向にあるのと同時に、ライフスタイルとしてジョギングを始める人が増えているこ とで、都心部を中心にランニングのエントリー層が増加。それにより必需品であるシューズの販売が極めて好調に推移し ている。またアウトドアシューズも、富士登山など低山トレッキングや自然探索が身近なレジャーとして定着していることで 好調に推移しており、さらにはウォーキングシューズが、中高年などにおいて普段履きシューズとして普及し続けているこ とから、プラス成長を遂げている。 しかし一方で2008年については、野球・ソフトボール、サッカー・フットサルといったチームスポーツ専用シューズの販 売が鈍化した年でもあった。これらカテゴリーは、純競技需要が大半を占めており、同時に競技人口が大きく減少している 傾向が見られないことから、景気低迷による買い控えの影響をまともに受けたカテゴリーと捉えることが可能である。加え てこれらカテゴリーでは、商品完成度が高まり、耐久性が向上していることも買い替えサイクルの長期化をもたらすという 皮肉な結果を招いている。 そして、数量でスポーツシューズ市場の約46%を占めるカジュアルおよびキッズシューズ市場が縮小したことも、懸念 材料として挙げられる。特にカジュアルシューズにおいては、メンズ市場において、スポーツブランド以外の靴・履物メー カーが販売するスニーカーの販売力が高まっていること、またレディース市場においても、ムートンおよびラバーブーツの 販売力が高いことから、スポーツブランドのカジュアルシューズは苦戦を強いられている。 図 スポ ー ツ シ ュ ー ズ の カテゴリ ー 分類別出荷数量推移 (単位: 千足) 60,000 50,756 51,792 51,333 24,066 23,880 22,745 20,000 1,790 8,775 1,870 8,642 1,940 8,718 10,000 16,125 17,400 17,930 2007年 2008年 2 0 0 9 年 計画 50,000 40,000 30,000 カジュ アル ラケッ トスポ ー ツ チー ム スポ ー ツ パー ソナル スポ ー ツ 0 パーソナルスポーツ:ランニング、フィットネス、ウォーキング、アウトドア用途のシューズ チームスポーツ:野球・ソフトボール、サッカー・フットサル、バスケットボール、バレーボール用途のシューズ ラケットスポーツ:テニス、バドミントン用途のシューズ カジュアル:カジュアル用途のシューズ、ジュニア・キッズ・インファント専用シューズ 【2009年の市場見込み】 メーカー各社の計画値を基に出荷市場規模を推定すると、2009年のスポーツシューズ国内出荷市場は数量で対前年 比0.9%減の5,133万3,000足、金額で同0.7%減の1,998億3,500万円と、マイナス成長に陥る結果となっている。これは 最大規模であるカジュアルシューズが2008年以上に大きく落ち込むこと、またランニングシューズ市場の伸びが2008年 に比べれば鈍化することが大きく影響している。 小売市場ではWBC効果による野球・ソフトボールシューズの販売好転が見られ、また日本代表のワールドカップ出場 によるサッカー・フットサル市場の拡大が期待されるなど、好材料が幾つか存在する。しかしエナメル素材のハイカット シューズなど一部商品を除き、カジュアルシューズにはヒット商品が見出せず、特に女性向けカジュアルシューズにおいて は、ノンブランドやプライベートブランドなど低価格志向が強まっているという見解は、大手靴チェーンで一致したものと なっている。さらにジュニア・キッズシューズにおいても、スポーツブランド以外の靴・履物メーカーにおいてヒット商品が出 現・定着していることから、相対的に高額なスポーツブランドのジュニアおよびキッズシューズの販売は厳しい状況下にあ る。
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