解答編 ∼ 果たして脳は鍛えられたかな 解答 1.1 同じ。1 = 0.99999 · · · 解答 1.2 3分の1. 解答 2.1 一方に全部入れてから他方に移す方が冷めます。 281 − 1 解答 2.2 米粒の総数は 1 + 2 + · · · + 280 = ≈ 281 となるので、その重さは 2−1 20 ÷ 1000 ÷ 1000 トンとなります。 281 × 1000 ( ) 20 81 log10 2 × ÷ 1000 ÷ 1000 = log10 282 − 2 − 3 − 3 1000 ≈ 82 × 0.30103 − 8 ≈ 16.684. となるので、トンで表したときの桁数は 17 となります。 log10 4 = 2 × 0.30103 ≈ 0.60206, log10 5 = 1 − log10 2 = 0.69897 なので、5 × 1016 トン弱(実 際は約 4.8357 × 1016 )となります。地球の重さが約 6 × 1021 トンとのことですから、上の数字が如 何にとんでもないか分かりますね。 同じような計算をすると、19 路盤(マス目の数は 324)、15 路盤(マス目の数は 196)、13 路盤 (マス目の数は 144)、いずれの碁盤でも、地球の重さを超えてしまうことが分かります。 7 コラム:音階とべき乗 音律をちょこっと調べてみると、 32 ≈ 2 12 という式を見かけます。 1オクターブ上がると、周波数は2倍になります。この間を、指数関数の意味で(つまり、対数グ ラフをとると直線になるように)12等分したものを半音とするのが、平均律です。ドからスタート 7 して、半音ずつ7つ上がるとソになります。つまり、平均律では、ソの周波数はドの周波数の 2 12 倍 になります。一方、純正律では、ソの周波数はドの周波数の 3 2 倍です。この二つの差はごく僅かし かありません。 ( )12 ( 7 )12 7 3 3 さて、 ≈ 2 12 を認めると、 ≈ 2 12 = 27 = 128 となります。 2 2 このことから、1 年で1.5倍になる儲け話があるとすると、12年後にはおよそ 128 倍になる、 と見当がつきます。日本の人口の1パーセントの人がこの儲け話にのったら、12年後にどうなるか を考えれば、この儲け話がまっとうなものかどうか分かりますね。 問題 2.2 からも分かるように、指数関数は、とてもはやく大きくなるのです。 解答 2.3 BC を底辺にして固定すると、点 A は、 「|A′ B| + |A′ C| = 一定」を満たす点の軌跡の中の1 点です。この軌跡は問題文に述べてある事実から B, C を焦点とする楕円となります。底辺 BC は固定 されていますので、三角形の面積が最大になるのは、高さが最大になるとき、すなわち、|AB| = |AC| になるときです。 次に AC を底辺にして固定すると、同様な理由から、|BA| = |BC| となります。 以上の二つから、|AB| = |AC| = |BC|、すなわち正三角形になります。 大学で習うこと:さて、この問題 2.3 が解ければ、次の問題 周の長さ(三辺の長さの和)が 1 となる三角形のなかで、正三角形が面積最大となることを示せ。 は解けたことになるでしょうか? 実は解けたことにはならないのです。二つの問題のどこが違うのか、すぐには分からないと思いま す。問題 2.3 では、S の中で面積が最大となる三角形の存在を仮定していましたが、上の問題では、 1 仮定していません。したがって、問題 2.3 が解けただけでは、面積が最大となる三角形がもしも存在 するならば、それは正三角形であるということは、言えますが、面積が最大となる三角形があるかど うかは分かりません。そのため、解答 2.3 は上の問題の解答にはなりません。(最大、最小が常に存 在する訳ではありません。たとえば、S の中で面積が最小となる三角形は存在しません!) S の中で面積が最大となる三角形の存在は、大学2年で習う「位相空間論」からすぐでてきます。 微分を使えば、上の問題を高校の範囲内で解くことができます。各自チャレンジしてみてください。 m 解答 2.4 (1) 答え: . m+n m 求める確率を f (m, n) とおく。まず f (m, 1) = m+1 を m に関する数学的帰納法で示す。このこ 1 m とから、f (1, n) = 1+n になることに注意する。次に f (m, n) = m+n を m に関する数学的帰納法で 示す。 (2) 答え:mn. 求める期待値を g(m, n) とおく。m + n が偶数か奇数かに分けて考える。 g(p, q) = 1 1 g(p − 1, q + 1) + g(p + 1, q − 1) + 1 2 2 の形の式 (2 ≤ p, q ≤ m + n − 2) と g(1, m + n − 1) = 1 1 + (g(2, m + n − 2) + 1) 2 2 の形の式を連立させて解く。 解答 2.5 問題文の操作を無限回繰り返すと、結局ルチアーノの取り分は、 ( ) ( )2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 + × + × × + ··· = · 1 + + + ··· 2 12 2 12 12 2 2 12 12 = 1 1 6 · 1 = 11 2 1 − 12 となります。無限級数なんかを計算しなくても、 1 2 + 1 2 1 4 + 1 6 = 6 11 と求められます。 という訳で、ルチアーノが 6 頭、ミレッラが 3 頭、ホセが 2 頭となります。 ちなみに、登場人物のファーストネームは、みな有名な音楽家(オペラ関係)からとりました。そ れぞれ、ジュゼッペ・ヴェルディ(作曲家)、ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール歌手)、ミレッ ラ・フレーニ(ソプラノ歌手)、ホセ・カレーラス(テノール歌手)のこと。 (カレーラス (スペイン) 以外はイタリア人) 解答 3.1 解答例は図 1 の通り。(1) では 1 3 + 13 3 に注意。他の答えも探して下さい。 = 4 1 − 13 · 13 解答 3.2 図 2 参照。 1 (ア) は =1−2× 3 1 (イ) は =1−2× 3 1 より。 3 2 1 +2× より。 5 15 1 2 2 2 2 (ウ)、(エ)、(オ) は =1−2× × 34 + 2 × × −2× より。 3 3 3 4 12 解答 4.1 はずれた状態から絡んだ状態への変形は次のように考えればできます。 2 図 1: 解答例 㧔ࠕ㧕 ࠗ ࠙ ࠛ ࠝ 図 2: 折り紙の要領で 両手で、それぞれの親指と人差し指の先をくっつけて輪っかを二つ作ります。この二つの輪っかの 間が粘土のブリッジでつながっている、と思えば、はずれたハンドカフができます。さて、この間の 部分をどんどん短くしていくと、二つの輪っかがくっついた状態になります。そこで、片一方の輪っ か、を 90 度回します。(左手で作った輪っかが xz-平面内、右手で作った輪っかが xy-平面内という 感じになります。)さらに一方の輪っかを進めていくと、二つの輪っかは絡まった状態になります。 ここで、二つの輪っかはつながっているのですから、絡まった二つの輪っかを、粘土のブリッジでつ ないだものになります。このブリッジを下の方にのばしてやれば、絡んだハンドカフになります。 もしくは、図 3 のとおり。 大学で習うこと:愛のハンドカフをはずされてしまったブラットは、絡まった状態のハンドカフの 二つの輪っかに沿って、それぞれ青と赤で丸を描きました。そうすると、例え粘土のハンドカフがは ずれても、その上に描かれた青と赤の輪ははずれません。という訳で、愛の不変性が証明されたので ありました(?)。 解答 4.2 (1) 9 (2) 大学の3年で習う、オイラー数というものを計算すると簡単にわかります。 または、k, l, m の一つが1増えたときの穴の数の増え方を考えます。答えは、 1 + 2(k + 1)(l + 1)(m + 1) − (k + 1)(l + 1) − (k + 1)(m + 1) − (l + 1)(m + 1) ) ( 1 1 1 − − . = 1 + (k + 1)(l + 1)(m + 1) 2 − k+1 l+1 m+1 解答 5.1 雑誌「数学セミナー」11月号の「エレガントな解答をもとむ」の問題です。 解答 5.2 答え:100度にいくらでも近くすることができる。 本質的に、問題 5.1 の (2) と同じです。 3 図 3: 粘土製の絡んだハンドカフをはずす 解答 5.3 http://www.comp.tmu.ac.jp/knotNRG/texfiles/apollonius.pdf を見て下さい。これは、 雑誌「数学セミナー」2003 年8月号の「エレガントな解答をもとむ」の解答(同年11月号)を補 筆したものです。 解答 5.4 http://uk.arxiv.org/pdf/0709.0454.pdf を見て下さい(ただし英語です)。 証明に用いるもの:立体射影(球面に関する反転)の性質と初等幾何学(内心、垂心、方べきの定 理など) 4
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