2009 WIシドニー会議 報告書

2009
WIシドニー会議
報告書
2009 年 9 月 4 日(金)~9 日(水)
ヒルトンホテル
シドニー
オーストラリア
目次
頁
会議概要
1
2009WI シドニー会議 プログラム
9 月 4 日(金)WI 第 2 回理事会
3
9 月 7 日(月)
開会全体会
4
同時進行全体会
5
同時進行分科会
5
全体会
6
9 月 8 日(火)
開会全体会
6
同時進行全体会
7
同時進行分科会
8
同時進行全体会
8
2009WI 年次総会の報告
9
WI アジア交流会報告
11
9 月 9 日(水)
全体会
12
同時進行分科会
12
全体会
14
会議最終結果と閉会
15
参加者
16
日時:2009 年 9 月 4 日(金)~9 日(水)
会場:ヒルトン・シドニー・ホテル
488 George Street, Sydney NSW 2000 (Car access via 255 Pitt St)
Tel:+612 9266 2000
2009
Fax: +612 9265 6065
WIシドニー会議
プログラム
9 月 4 日 (金) WI第 2 回理事会
9 月 6 日 (日)
12:00-17:00
登録受付
18:00-20:00
ウェルカム・カクテルパーテ
ィー
9 月 7 日(月)
8:30-9:30
登録受付 / アライバルティー&コーヒー
9:30-11:00
開会全体会
11:00-11:30
モーニングティー
11:30-13:00
同時進行全体会
一般雇用に関する全体会
13:00-14:00
昼食
14:00-15:15
同時進行分科会
一般雇用
①訓練機会の創出
②結果の改善
③成功を収める
15:15-15:45
アフタヌーンティー
15:45-16:45
全体会
話題提供者
19:00-23:30
ディナー
同時進行全体会
障害者サービス提供事業所に関する全体会
同時進行分科会
障害者サービス提供事業所
①困難時の関係づくり
②(労働への)移行
③政府調達の新しいガイダンス
2 日目:9 月 8 日(火)
8:00- 9:00
受付 / アライバルティー&コーヒー
9:00-10:15
開会全体会
10:15-10:45
モーニングティー
10:45-12:15
同時進行全体会
・一般雇用
12:15-13:15
昼食
13:15-14:30
同時進行分科会
・一般雇用
①他のサービスモデル
②リハビリテーション
③パートナーシップ
14:30-15:00
アフタヌーンティー
15:00-16:30
同時進行全体会
・一般雇用
16:30-18:00
WI 総会
18:00-19:30
会議中間のカクテルパーティー
19:30-20:30
アジアの交流会
同時進行全体会
障害者サービス提供事業所
国際動向
同時進行分科会
障害者サービス提供事業所
①マーケティング
②移行のマネージメント
同時進行全体会
障害者サービス提供事業所
3 日目:9 月 9 日(水)
8:00- 9:00
受付 / アライバルティー&コーヒー
9:00-10:30
開会全体会
10:30-11:00
モーニングティー
11:00-12:30
全体会
・パートナーシップの可能性
12:30-13:30
昼食
13:30-15:15
同時進行分科会
①効果的なパートナーシップ(WA からのレポート含)
②ビジネス開発
③職業訓練と技術開発
15:15-15:45
アフタヌーンティー
15:45-16:30
全体会
16:30-16:45
閉会
18:30-21:30
ブッシュバーベキュー
9 月 4 日(金)WI 第 2 回理事会
タイトル:WE の提案めぐって活発な論議
サ
ブ:WI09 年度第 2 回理事会報告
WI の 09 年度第 2 回理事会が、WI シドニー会議に先立って 9 月 4 日(金)に開催され
た。会場はシドニー市のほぼ中心にある NDS(ナショナル ディスアビリティ サービスセ
ンター)で、定刻の午前 9 時には全員が揃った。この日の理事会は、後半に「WI 戦略会
議」が控えていたために、本議題にあてがわれた時間は 2 時間半だった。
フラナリー会長の開会挨拶に続いて、早速予定されていた 10 号にのぼる議題の審議に入
った。冒頭に新たな加盟会員(事業所・団体)の審査が行われ、アジア地域からエントリ
ーしていたサイナムが、他地域からの一ヵ所と合わせて加盟が承認された(二ヶ所の新会
員を迎えて、WI の現況は 133 会員に)
。
この日の理事会の最大の論議の柱は、WE(ワーカビリティ・ヨーロッパ)の規約改正
と WI との関係をめぐる問題であった(第 6 号議題)。理事会に当てられていた時間の半分
近くをこの議題に費やし、活発な論議が展開された。
ポイントは、WE が EU から補助金を受ける際の条件として、EU が WE に対して求め
ている「WE の独立性を担保すること。とくに WI の承認が得られなければ WE の規約改
正が行なえないとする決まりを削除すること」をめぐってであった。WE の理事によると、
EU の主張は「EU の補助金はあくまでも EU 域内に貢献するもので、WI に補助金が流出
することがあってはならない。したがって WI の傘下ではなく独立組織となるように」と
いうもので、これに対する WE の見解は「補助金を受けるために EU の意向を受けざるを
得ないのでは」とするニュアンスが大勢になっている旨が述べられた。
これをめぐってさまざまな角度から論議が展開された。大きくは、EU からの補助金を
受けることと WI との規約上の一体性を両立できないかというものであったが、全体を支
配したのは、引き続き WI との一体性を重視すべきで、WE に対して慎重な対応を求める
ものであった。
ただし、本案件は WE にとっては財政基盤の根幹に関わる問題であり、同時に WI にと
っても組織の本質や将来像に関わる問題で、丁寧な論議が必要との方向で一致をみた。結
論としては、理事会の下に、本案件を検討するためのサブ委員会が設けられることになっ
た。その場で 4 つの地域組織(ワーカビリティ・アジアを含めて)から一名ずつの代表が
選ばれ、09 年内に理事会に対してサブ委員会としての結論を提出することになった。
このあと、財政の執行状況などの一般的な議題が原案通り承認され、予定通り 11 時半前
に終了した。
アジアからの出席者は、ワーカビリティ・アジア議長の鈴木清覚(日本)
、副議長の藤井
克徳(日本)で、またオブザーバーとしてロゥ・アイリーン(台湾)
、荒木薫(日本)
、日
英通訳の平野好子(日本)が参加した。
なお、理事会終了後、ただちに「WI 戦略会議」に移った。昼食の休憩を挟んで、11 時
半から 5 時まで続いた。
オーストラリアのリズ・フォーサイスがファシリテーターを努め、
自由な意見交換が繰りひろげられた。この結果については、近いうちにリズの考え方を織
り込んで報告書としてまとめられるとのことだった。
9 月 7 日(月)
<開会全体会>
開催地からの挨拶
①TONY LUND(President National Disability Services)
WI は 42 の国、地域、133 の団体で構成されている。
障害者の権利条約は 66 カ国(10 月 8 日(木)時点では 71 カ国)が批准している。こ
のことは障害者問題にとって大きな進展である。
今回の会議で様々な情報、アイデアを各国に持ち帰り、障害者問題を深めていただき
たい。
オーストラリア政府から、学校から就労へのプログラムが報告されますが、とても成
果を上げている。
②THE HON NATHAN REES
MP(ニューサウスウェールズ州首相)
誰でも働けるようになることは大切なこと。就労によって良い生活を送れるようにな
るよう政府は努力している。学校卒業時のための就労移行プログラムは教育関係も協力
し成果を上げている。雇用拡大の推進に繋がるので、成功事例を参考にして欲しい。
政府は障害者の雇用・就労については理解をしている。障害バリアをなくすために動
いている議員もたくさんいる。皆で障害者を囲む環境を改善しようと努力している。
③SENATOR THE HON MARK ARBIB(雇用大臣)ビデオメッセージ
行動をとることは重要である。障害者雇用サービスで、持続可能な仕事をしてもらう
には訓練が大切である。政府調達では競争入札で障害者に配慮を行なっているので、障
害者に仕事が入りやすくなっている。オーストラリアでは 10 年前に障害者雇用サービス
を導入した。現在は改善され使いやすいものになってきている。
<講演> 障害・貧困・就労
英国からの考察 GUY PALMER
イギリスでは、障害者の貧困の割合が高く、増加している。また、障害者の就職率は
低く、この 10 年ほぼ変わっていない。2008 年以降のイギリス政府の方針は、給付改革
(就労への道)=失業手当申請者数を 10 年間で 100 万人減らすもの。しかし、給付改革
だけでは不十分であり、
『雇用主の期待と態度を変える』
様な政策を整備する必要がある。
更に、障害者の多くは相変わらず仕事がないままでいるだろうことを認識しなければな
らない。
<同時進行全体会>障害者サービス提供事業所に関する全体会
・オーストラリア障害者サービス提供事業所の政策の方向性
THE HON BILL SHORTEN
MP(連邦議員・障害と児童サービス担当政務次官)
今までオーストラリアは、障害のある人達に雇用の機会を拡大することにあまり積極
的ではなかった。雇用の機会を与えると同時に給付を与えるということをしてきたが、
それは障害者を目の届かないところへ置いておこうという気持ちがあり、今は改善して
進めている。政府調達については状況を改善するための施策のひとつ。
・オーストラリア障害者サービス提供事業所優秀賞 2009
プレゼンター TRACEY FELLOWS(マイクロソフト・オーストラリア)
FRANCES
イノベーション大賞
DAVIES(FaHCIA
グループマネージャー)
サニーフィールド→日本の花王と提携
援助付雇用(従業員を雇用) アクティブキューブ
障害者の完全参加を進めた
ウィズリーインダストリー
<同時進行分科会>障害者サービス提供事業所
オーストラリア連邦政府の補助システム
・連邦政府の雇用・訓練施策:社会や地域のインフラ構築
MARK KING(DEEWR)
大恐慌以来、世界は大変だが、オーストラリアでは経済を活性化するため政府は 770
万ドルを放出し、2009 年からのインフラ整備に使われる予定である。また、経済支援と
して車両、コンピューターの購入に対して 50%の税金を引く税額控除なども進められて
いる。
就労困難な人や若い人に対して様々な雇用施策があり、地域の雇用計画を立てること
などが優先的に実施されている。
・連邦政府の調達機会を最大限活用するために
ANTHONY BARTOLO(FaHCSIA)
オーストラリア調達のガイドラインは大切なところに来ている。240 億ドルのサービ
ス(物品)の調達を行なっており、69%がオーストラリアでのサービスとして活用され
ている。昨年、調達ガイドラインが変更され、障害者事業所のサービス、考え方、企業
責任となるよう開発を行なっている。
調達コーディネーターの設置→オーストラリアにおける NISH を設立する役割がある。
このポジションは来年早々にも活動が始まることを期待している。
*Q&A 政府調達について
鈴木 WA 議長の質問に対する回答
調達については規制があるか?→ガイドラインがあるので従わなくてはならない。
JWOD のような法律ではないのか?→法律ではないが、ロビー活動で法律にして欲し
いとしている。
政府調達で施設への目標はあるか?→ない
8,000 ドル以上の事業は公開入札、ただし、障害者事業所は見積りで良い。
<全体会>記念講演
TOM O’TOOLE(The Baker from Beechworth)
オーストラリアの人口 3,000 人に満たない小さな町 Beechworth の Tom O’toole のパ
ン屋は、オーストラリアでも感動的な成功物語で知られている。
彼は小さな田舎町のパン屋をスタッフ 2 名から正規・パートタイム社員合わせて 78
名にし、年間売り上げも 10 万ドルから 300 万ドル以上にした。そして顧客数も年間 60
万人にまで増やすことが出来た。
Tom’s Beechworth Bakery はオーストラリア単独の小売りパン屋のなかで最高の売
り上げを手にした功績を認められ、全国・州から様々なマーケティング/ビジネスの賞
を受賞した。
彼のビジネスモデルは世界中で参考にされている。
<公式夕食会>ヒルトンホテル
歌ありダンスありの楽しい夕食会が開催された。
9 月 8 日(火)
<開会全体会>
・現在の方向性は?政策指針の解釈(オーストラリア)
ケン・ベーカー(NDS オーストラリア.)
「Shut Out 報告書」によると、障がいがある人の働く機会は、尐ない状況であること。
原因として、
雇用主が障害を理解していないことがあげられている。
社会福祉の領域から、
サービスへの移行へと変わってきている。
オーストラリアの現状は、世界的な経済不況を受けていること、行政省庁の再編、煩雑
な行政手続き等が原因で、
おもわしくない状況と言える。
改善する優先的な手立てとして、
障害者サービス提供事業所への政府調達を増やすこと、援助雇用サービスの近代化を進め
ていくこと、生活困窮者への生活完全に向けて一時金支援の拡大が求められている。
「仕事をしたいけど、仕事がない」状況を改善し、雇用サービスの権利を拡大すること
が重要な視点である。オーストラリアの政権が代わり、各省庁の理解は深められている。
財務省からの資金援助があるが、社会に対して、それがどのような価値があるのか示して
いく必要がある。
そして、障害のある人の雇用を進めるうえで、政府、経済界の連携の強化が必要なこと
である。
・障害者の雇用創出のための政府調達の活用:米国経験
ロバート・チャンバレン(NISH USA)
政府調達能力を活用して障害のある人の雇用確保を図っていく。そのカギとなるのは、
環境変化に対し、継続的に適用することが必要であり、挑戦することである。次の段階は、
政府の調達制度に働きかけ、重度障害者の雇用創出を図ることである。NISH が運営して
いる AbilityOne では、主にアメリカ連邦政府の一部の省庁が顧客となって障害者の雇用
を創出している。国税庁との契約では、文書の破棄を全体の半分を請け負っている。
連邦政府は、政府調達を規定に義務つけている。価格提案に関しては Nish への手数料
を明示して契約している。この手数料が活動費となっている。
連邦政府の契約に関して、小規模企業、女性経営事業、他の非営利機関との競争もあり、
AbilityOne は他社より安い価格を強調し競争している。
アメリカの経済状況は厳しく、非営利機関に対する国家の予算が削減されている。そう
した中、高品質、高基準を強調し、様々な団体と連携し契約を増やしている。
<同時進行全体会> 障害者サービス提供事業所 成功事例
・非営利地域団体と企業地域投資の持続的なパートナーシップ
Anne Irvine(The Centre for Corporate Public Affairs
オーストラリア)
企業が非営利団体と契約をむすぶ理由として、営利よりも、名声や宣伝活動を目的とし
ているという調査結果が出た。事業所が契約を結ぶ理由として、利益・収益の増額、作業能
力の形成、専門家との関係が作れることがあげられている。
パートナーシップを良好に保つには、時間、資金面等お互いの利益をしっかりと確認す
ること。そして、透明性、説明責任を確立し、相互理解を深めていくことが重要と言える。
事業所の運営は、厳しい状況にある。収入源がなければ、今までの蓄えを使うか、事業
の撤廃そして、犯罪に走る人も出てくる可能性がある。
対応策として、企業との連携に時間をかけて丁寧に行い、長期的な契約を結ぶ必要があ
る。企業の優先課題が変わってきており、新たな関係を作るケースが出てきている。
・精神障害者支援の成功事例
Ronald
Woods(Urbis オーストラリア)
オーストラリアの事業所 25 か所に①政府の情報に関するプログラム②事業所レ
ベルの調整プログラムの調査に入った。
中間まとめとして、リハビリテーション的な雇用から、生活への満足が得られる
就労に向けた支援事業が増えてきている。
難しい問題に関しては、専門家のコンサルタントが支援を行っている。関係スタ
ッフの連携、市、民間、開業医と必要に応じてサービスの提供をしている。
開業医と関係を結び、求職者への支援も行っている。一般の開業医がもっとも支
援が重要な位置にある。
事業所においては、長期的な就労支援に向けてのコンサルタントの必要性をあげ
ている。就労支援に向けての理解と時間をかけて説明くれる人が信頼を得ている。
<同時進行分科会> 障害者サービス提供事業所 マーケティング
・人、効果、戦略
Shane O’Connor(Workpower Inc オーストラリア)
経営危機からの生き残り成長戦略として、古いブランドにこだわらず、新しいブランド
つくりを行った。そこに、
「新しいビジョン」を含めた思いを込め、Workpower のロゴを
作った。
事業所を、
「クオリティーパック」という事業名に変更した。すると、働きに行っている
実感があると、当事者、家族も大変喜んでいる。
人の戦略では、教育、訓練を通して、理念を伝えてきた。スタッフは、理念を書いたも
のを首からかけて仕事をしている。今年は、理念の中に「環境の持続性」を新たに加えた。
仕事以外に楽しい日も設けている。
・企業のマーケティング
Shane Molly &Trevor Miller (McCallum Disability Services)
人口 8 万人ほどのビクトリア州に Mc Callum(マッカラン)がある。クライアントは 145
名、入所型 4 か所、自立ユニット 14 名の事業を行っている。2001 年の業績は良くなく、
事業計画の見直しが求められていた。そうした中、自分たちのコンセプトを含めた新しい
ロゴを作り、車、バスにロゴを張り付けた。企業や団体にもロゴマークを掲載してもらっ
た。事業報告書も、著名な人に協力を依頼し作成を行い、スポンサーの支援を得ることが
できた。
ネットワークを広げていこうと、キャンディーの販売を始めた。自分たちで小分け分封
し「Ollie’s」(オリーズ)というブランドで販売を始めた。品質、生産、最低基準の販売基
準を設定し販売を始めた。マーケットプランを作り広げることで、地域社会も受け入れて
くれ、Ollie’s を広げ、高い品質改善を行い、製造も始めた。品質管理のために現在、Haccp
(食品品質管理基準)取得に向けて努力している。
<同時進行全体会>難局を切り抜ける:内部からの働きかけ
・組織が生き残る(加えて発展する)ための戦略に関するプレゼンテーションとパネルデ
スカッション
Helen Carter (Thorndale Foundation)
1959 年設立した事業所。入所、通所事業を行っているが、事業収入の減で厳しい状況と
なっていた。原因は、ずさんな予算管理、品質管理が不十分、有給スタッフのスキルレベ
ルが低い、CEO の交代で方向性が不明確等であった。
具体的な手法として、自分たちの販売戦略を立て、スタッフの役割の明確化に努めた。
パソコンを活用し、システムの改善にも取り組んでいる。
現在の到達として、新工場に移転し、ISO9001 を取得。顧客も多様化してきている。収
支のバランスでは、赤字が続いているが、その差は、縮小されてきている。
今、何をしているのかを把握するスタッフを育てること。そして、戦略的な事業を行う
ことが大切である。
Phil Pitchers(Goodwill Engineering
西オーストラリア州)
脳性マヒセンター部門として設立。製造業を中心に行っており、26 名のスタッフがいる。
危機に備え、私たちが守っていることは、自分が提供している毎日のサービスを守る、
変化する時代においても生産性を維持する計画を確保しておくこと。それにより、資金提
供の条件が維持され、雇用のニーズに確実に応えるものになる。資金提供収入と事業運営
収入の割合を確保し、生産性を高める別の方法を考えることである。
事業の展開として、製品の多様化を図る、付加価値をつける、外部委託と不要な委託の
排除、技術やプロセスなどの所有権を持つ、顧客のニーズの理解、負債なしの健全な資金
を持つ、製品・サービスの品質の向上を図ることである。
将来にむけては、事業体の将来を見通して財政計画をたてることであり、成長と学習、
何ができるか資金維持し財政計画をたて予算をそれぞれに割りあてている。これらの準備
金はコストの一部と捕えていることが、当社の戦略である。
<2009WI 年次総会の報告>
WI 会議第二日目 9 月 8 日の午後 16 時 30 分から 18 時までの短時間で WI の年次総会が、
ヒルトンホテル会議室にて開催された。参加者は、40 名前後であり、オーストラリア・ニ
ージランドのオセアニアグループが半数を占めていた。主力であるスウェーデン等不参加
などのヨーロッパグループは尐なかった。
総会は、フラナリー会長挨拶から始まり、札幌の総会議事録の確認、理事及び役員に関
する規定の一部変更、役員・理事の改選、会計報告、2009 年度写真コンテストの結果発表、
四地域からの報告等予定されていた議題が報告され承認された。
アジア及び日本に関連して、理事の退任では、斎藤公生理事の退任がこれまでの WI へ
の功績も紹介され提案承認された。また、アジアからの新たな理事として鈴木清覚氏が提
案承認された。また、役員においては、規約の改正によって、新たなポストとして副会長
ポストが設けられ、オーストラリア NDS のパトリック・メイヤーの就任が承認された、
理事会からの提案の全体が承認・決議された。
役員の異動は下記のとおり。
辞任
ハンス・ブリンド(WI 会計)
ジョージ・マーシャル(ワーカビリティ・アメリカ)
斎藤 公生(ワーカビリティ・アジア)
シーズ・クルール(ワーカビリティ・ヨーロッパ)
ロビン・クロス(ワーカビリティ・オセアニア)
任命の承認
リチャード・セバスチャン(ワーカビリティ・アメリカ)
ジョージ・ケッシンジャー(無所属理事)
新任
パトリック・メイヤー(WI 副会長)
鈴木 清覚(ワーカビリティ・アジア)
ハンス・ブリンド(ワーカビリティ・ヨーロッパ)
役員(2009 年 9 月現在)
会長 フランク・フラナリー(リハブグループ、アイルランド)
副会長 パトリック・メイヤー(NDS、オーストラリア)
国際 ジョージ・ケッシンジャー(インディペンデント インダストリー インターナショナル、 アメリカ)
アメリカ
ジム・マッククレランド(中央インディアナグッドウィルインダストリー、アメリカ)
リック・セバスチャン(ヒューマン テクノロジーズ コーポレーション)
アジア
藤井 克徳(きょうされん、日本)
鈴木 清覚(セルプ協、日本)
ヨーロッパ ティム・パペ(ショウ トラスト、イギリス)
ハンス・ブリンド(アムフォーズ ホールディングス、オランダ)
オセアニア
トニー・ランド(ディスアビリティ
サービス
オーストラリア)
ラルフィー・ジョンズ(イデア・サービス ニージランド)
事務局長
アラン・リアランド(WI、フランス)
写真コンテストでは、アジアから第三位の入賞に台湾エデンの写真が表彰された。
地域代表による報告では、藤井理事から、アジアでの活動によって会員が拡大している
こと、ILO への提訴の WI の協力の感謝と結果の報告などがなされた。
来年の世界会議と総会について、アイルランドのリハブグループから来年 9 月にダブリ
ンにて開催したいとの招致報告がされた。
最後に、藤井理事提案として、台湾の台風被害への救援要請の訴えがなされ、台湾エデ
ンのチェンさんから被害の実情について訴えがなされた。WI としてとりくむことが確認
された。
<WI アジアの交流会の報告>
オーストラリア・シドニーで開催された、WI 世界会議の第二日目の 9 月 8 日の夜、カ
クテルパーティーを終えた後、午後 7 時 30 分から、日本の呼びかけで、WI アジアの交流
会が開催された。
この会議は、シドニー会議前から、WI アジアの事務局より、アジアの参加者に呼びか
けられ、準備されてきた。
会議の場の確保について、現地実行委員会の NDS のトニー委員長の配慮で、会場のヒ
ルトンホテル 4 階の会議室が確保できたのは、有難かった。
交流会には、アジアから参加していた関係者 7 カ国・地域から 21 名の参加があった。
参加メンバーと国・地域
・ 日本 7 名、香港 4 名、タイ 3 名、台湾 2 名、スリランカ 2 名、バングラデシュ 2 名、
インド 1 名 であった。
参加者では、新たなメンバーとしてバングラデシュから 2 名の参加者があった。この組
織は、
「Bangladesh Protibondhi Foudation(BPF)」からの参加で WI への関心を示してい
た。
シドニー会議には、この他にネパールのラム(Ram Prasad)とインドネシアからエバ
(EVA Rahmi)が参加していたが、会議への参加はなかった。ラムは、翌日体調崩して参加
できなかったと申し出があった。エバは、翌日昼食時に会うことができたが、政府(Ministry
Social Affairs)からの参加であり、車椅子の女性で、日本の佐藤久夫先生らをよく知って
いると話していた。WI アジアへの関心を示していた。
交流会では、各参加者の自己紹介と感想等の発表が行われた。
また、藤井 WI 理事から世界の理事会での議論の特徴点の報告、タイのスポンタムから
来年のアジア会議の呼びかけがなされた。鈴木 WA 議長から、マレーシア・クアラルンプ
ール理事会の予定等が報告された。
特徴的な感想として、香港のニューライフから精神障害者の当事者として参加 Wong さ
んやスリランカから参加した車椅子の Cyril さんから「この会議はいい会議だが、当事者
参加や発表が尐ない」との意見がだされた。
交流会は一時間と大変短いものであったが、大変友好的で有意義な交流の場となった。
9 月 9 日(水)
<全体会>
WI 会長フランク・フラナリーより、次期開催国「アイルランド」が紹介され、全員起
立し、アイルランド国家の斉唱でスタートした。
・輝かしい成功:不利な状況にある若い障害者のための雇用機会の創出
トゥリージョセフ・ナタイエ [ニュージーランド]
組織名:テワナンガ オ アオテアロア
ニュージーランド国内の職を得られない人々を支援する組織である。
・マオリ族出身の自分は、母親との貧しい生活から、いかに前向きに人生を歩いて行く
べきなのか発想を転換。
・会場全員を起立させて、
「I am alive. I am well, I feel great」と、ワンフレーズ事に、
拳を突き上げさせ、3 回繰り返し、テンションキープ、モチベーションの維持を説明し
た。
・自分は、幸せなのか?怒りを感じないのか?リスクを回避してばかりいないか?皆さ
んは、起立し、拳を突き上げ、声を出すというリスクを選んだ。リスクに挑むことに価
値を見出すことができる。
・人生を輝かせるためには、
「姿勢」が、大切であり、自分を変える・改善し、人生を変
えることができるのだと、強く信じることだ。
・かなたまで輝き続ける
ダン・カーンズ [クイーンズランド教育 AUS]
二流からもっと質の高いレベルをめざせ”ということである。つまり、従来の常識に
とらわれ、障害者に対して普通以下の目標を設定したがる関係者が多いので、そのよう
な人たちの意識を変えるために、とことん挑戦していこうと呼びかけていた。
<パートナーシップの可能性>
・ クリスチャン・ウオルトロン[オーストラリア障害者能力開発コンソーシアムについて]
・ ポウリン・クレインツ[CBM 組織におけるパートナ‐シップ構築について AUS]
・ マーガレッド・ギャッド[NDS におけるパートナーシップの構築]
ILO ディーセント・ワークについて、より深く考えていかねばならない。障害者自身の
「自由」
「平等」
「人権」の尊厳をどう護り発展させていくかについて、ILO⇔NBV⇔NDS
NGO 同士でのパートナーシップ構築を進めている。
<同時進行分科会>「効果的パートナーシップ」
・ ロバート・スタイロン [フェニックス協会]
フェニックス協会は、長年、南オーストラリアにおいて、人材教育を実施してきた。ロ
バートは、近年、マレーシアの識字障害者の支援団体組織「デイブレーク」
、とパートナー
シップをスタートさせた。フェニックス協会の持つ人材教育・能力開発プログラムを提供
し、マレーシア政府と、デイブレーク組織と共同し、パートナーシップの構築から、マレ
ーシアの人材教育の展開が、実現した。
・ シャミー [BPF]
マイクロクレジット CBM(AUS)の支援による、バングラデシュの主婦への自立支援
施策。バングラデシュは、人口1億5千万人、女性の 92.05%は、字が読めない。障害者
人口は、10%。失業者は、3,000 万人。ILO の予測では、5 年後には、失業者が、6,000 万
人に増加するとされている状況下である。依存することが、人生の普通となっている状態
の克服のため、CBM が、出資し、バングラデシュの主婦に対し、
「牛 1 頭分のお金を貸す」
その、
「牛」を買い、飼うことで、草を刈る仕事が始まり、乳を搾る仕事も生まれ、乳を売
ることで、
「収入」を得ることができるようになる、というプログラムである。
・ CBM ジェイソンさんのコメント
・シャミーさんの女性地位向上のために頑張っている姿を応援したいと感じた。
・重要なのは、長期的な関係づくりの維持継続。
・池を作って、魚を放流し、その魚を売れるように出来ないかについて、プラン造りに
入っている。
・文化的な課題、社会的な課題に大変注意を払いながら進めている。
・共通の理事会を設置して、スポンサーになり、互いのバリアを壊しながら、進めてい
きたい。
Q:貸した金は、返金されているのか?A:100%返金されている。貸す相手は、主人では
なく、貧困層の主婦に貸しているからなのである。
・ 鈴木清覚 WA 議長 [ワーカビリティ・アジア]
『アジアにおけるインクルーシブな障害者の就労をめざすパートナーシップ』
アジア地域において、障害者の就労支援に関する活動のスタートは 1993 年から。この背
景には、国連における「障害者の権利宣言」などの国際的な障害者問題への関心の高まり
があった。日本の呼びかけによって、民間 NGO 団体が中心となって交流が持たれるよう
になり、以降毎年、各国持ち回りで会議が開催されるようになった。
1997 年に WI の前進である IPWH の世界会議が京都で開催された折に、オセアニア地
域を含む 14 カ国の団体が参加するアジア太平洋ネットワーク会議(APWD)が結成され
ましたが、その活動の継続性や活性化は不十分でした。こうしたなか、日本の WI 加盟団
体は WI のアジア組織への参加をアジアの各国・団体に呼びかけ、新たな組織の結成と活
動を開始することになった。2006 年 2 月に第 1 回アジア会議(WA)を台湾・台北にて開
催し、2007 年韓国・ソウル会議、2008 年日本・札幌における世界会議に併せて開催され、
本年 4 月にはフィリピン・マニラで WA 会議がアジア 6 カ国 1 地域からの参加で開催され
ました。こうした交流を通して、アジア地域には、当事者リーダーをはじめ障害者就労支
援組織が着実に発展してきています。
アジア地域は、多くの国があり、その多くは貧困問題を抱えた途上国である。アジア地
域における WI ネットワークの形成と活動には、これまでの長い交流の経験をもとに、各
国地域の自主性と活動を基礎に、継続性が望まれていることを踏まえて以下のような課題
があります。
①新たに選出された理事及び事務局による、組織的で継続的な活動展開
②ニュースの定期発行等、IT 技術の活用による情報交流と共有化とネットワークの確立
③就労事業(仕事の起業等)の連携と共同化の推進
④組織と活動を支える資金と財政の確保と確立
⑤WI 及び地域グループの連携
今年 11 月、マレーシアにて WA の新しい理事のメンバーで理事会を開催する。また、
2010 年 6 月に、タイのパタヤで WA 会議及び総会を開催する予定。
<全体会>WI 各地域より取り組みの報告「危機の中での持続的な障害者就労の創造」
・ ワーカビリティ・アメリカ ジム・マックレランド会長からの報告
ADA 法は、生活改善の役には立っていないという認識が、広まりつつある。オバマ政権
となり、障害福祉分野への回復再投資の明るい話題は、出つつある。
NISH の進めているアビリティワンプロジェクトに注目している。アメリカでは、学歴
と所得が比例している結果を踏まえて、近年、高校を卒業していない人口が増大し、教育
問題が、最重要課題と考えている。
・ワーカビリティ・オセアニア トニー・ランド会長からの報告
障害者支援の労働者の高齢化が進んできている。半数以上が、40 歳以上となり、若手の
育成が課題である。作業所という場所から、仕事をする場所への転換として保護雇用施策
から、地域移行への施策への転換を迎えている。
・ワーカビリティ・アジア
鈴木清覚議長からの報告
アジア地域においても世界を覆っている経済危機による、多くの困難に直面している。
しかし、WA は、この 1 年で大きな活動の前進があった。
まず、WI の世界メンバーの参加を得て、2008 年 9 月に日本の札幌で世界会議を成功さ
せ、アジアのメンバーの交流が行なわれた。ふたつ目には、WA の会議と総会を本年 4 月
にフィリピン・マニラにおいて開催し、6 カ国 160 名が参加し、大きな成功を得たことで
ある。3 つ目は、これらの活動を通して、加盟団体と参加国・地域が大きく広がったこと
である。WI の加盟は、1 年前の 7 カ国・地域、15 団体から 11 カ国・地域、23 団体へと飛
躍的な前進を築いてきている。
アジアにおける今後の活動のトピックスは、まず、アジアにおける交流と WI 組織の確
立をすすめることである。本年 4 月のマニラ会議の総会において新たな理事と事務局長が
選出され体制をつくることができた。本年 11 月にはマレーシア・クアラルンプールにて、
WA の初めての理事会を開催し、活動方針を具体化することにしている。
ふたつ目は、障害者の働く権利の実質化を求めて、WI 理事会の協力のもと、日本政府
の障害者施策が ILO159 条約違反であるとの提訴を行った。本年 3 月に ILO から正式な報
告書が届き、全体としては違反とまで明記していないものの、我々の訴えを是認し、改善
を求めるものになっている。この活動は、アジアと世界の活動との前進に貢献するものと
確信している。
三つ目は、アジアからの意見として、この WI 会議は関係者の努力もあり、大きな成功
を収めたが、
今後、
障害当事者の参加と発表の機会を強めていただきたいことを提案する。
*この報告に会場から多くの賛成の拍手が送られた。
・ワーカビリティ・ヨーロッパ
ハンス・ブリンド会長より報告
金融危機の始まる前に、EU障害者権利委員会では保護雇用施策で大半が働いていたが、
この度の金融危機により、
70,000 人がプログラムに参加できなくなった。
EU40 団体では、
この危機により仕事がなくなり、障害者雇用も半数が失業している状況である。ブカレス
トの年次総会では、欧州議会への文書も提出した。
<会議最終結果と閉会>
フランク・フラナリーWI会長より報告
1999 年、シドニーで WI 会議を開催した時、保護雇用施策をどうやって維持できるかとい
う会議が中心であった。しかしながら、金融危機は全世界を危機に追い込み、皆さんのご
苦労がにじまれた 10 年であった。
[Mediocre]という キーワードがあったと感じている。Medius(middle)+ocris(a rugged
mountain 険しい山、peak 山頂) メディオゥクという言語には、
「輝く必然性」という意
味も含まれている。皆さんも この 輝きに 挑んでいきましょう!
<シドニー会議参加者一覧>
氏 名
団体・役職
1
鈴木 清覚
全国社会就労センター協議会副会長、WI理事、WAS議長
2
藤井 克徳
きょうされん常務理事、WI理事、WAS副議長
3
東馬場 良文
日本セルプセンター事業振興委員長
4
石本 悦二
きょうされん
5
荒木 薫
日本障害者協議会
6
平野 好子
通訳
7
阿由葉 寛
全国社会就労センター協議会副会長
ワーカビリティ・インターナショナル会議 in シドニー 報告書
2009 年 11 月
ワーカビリティ・インターナショナル・ジャパン
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