へ ・ ほ

ホイール
ベンチ式ボデー修正装置
ジグによる計測を基本にしたボデー修
ベンチマーク
【Benchmark】
正装置。ヨーロッパ系の修正装置に多
経 営比較分析の指標。自社と業界標
い。ジグをセットする台がジグベンチ
準および最高水準にある他社を財務、
で、
引き装置や固定装置もベンチにセッ
生産、販売、製品開発、品質管理、組
トされる。ベンチはキャスターを付け
織など、経 営全般にわたって比較し、
て移動できる。しかし、利便性からリ
自社の問題点や改善の方向性を探っ
フトと組み合わせて使用される例が多
ていく手法。
い。
ジグベンチは、3 次 元で正しい寸
ベント
法位置を示してくれる。そのポイント
【Vent】
を目標に順に引き作業をするだけなの
通気口。穴。
で、ジグのセットに時間はかかるもの
の、あとの作業は速く、未熟練者でも
扱いやすい。
経緯 1936 年にシトロエンがモノコッ
ほ
クタイプの車体を修理するために最初
のベンチを作った。鉄のブロックの上
に何組かのジグがボルト止めされてい
保安基準
年にはプジョーもベンチを生産。1951
道路運送車両法で規定されている道
年、G・セレットが汎用型のベンチを
路運送車両の保安基準。安全性や環
生産、最初はシムカ・アロンド用で、次
境面から車についての基準が定められ
にルノー・フレガ用を作った。ルノー
ている。車体に関するものでは、形態
はそれを見て自社でのベンチ製造をや
などを基 準 外に改 造すると「不正改
めてセレットを勧めるようになった。セ
造」とされ、かかわった業者も処罰さ
レットは、1979 年までは引き装置に一
れる。衝突安全についても規定されて
般的なドーザーを使用し、油圧機器は
おり、歩行者保護では頭部の保護要
ブラックホーク製だった。
件があるが、さらに脚部保護について
へ・ほ
るものだった。1945 年にはルノー、翌
も追加される予定
(2011 年 1 月時点)。
このように随時追加・変更があるため、
製造業者をはじめ車体修理を含む整
備事業者も、常にその内容には注意を
払う必要がある。
ホイール
【Wheel】
タイヤを取り付ける車輪。鋳鉄製、ア
ルミ製などがある。ボデー修正装置に
移動式またはリフトに設置されたジグベンチ
載せれば、一旦取り外し、修理後に再
び取り付けることになる。取り付け時
はトルクを確認して締め付けすぎない
BSR-IK
323
ホイールアライメントテスター
ように注意する。また、走行のバランス
り、防火管理の推進役を果たす者をい
を維持するためには、外したホイール
う。防火管理者が管理すべきものは多
にマーキングしておき、必ず同じ箇所
数の者が出入り、勤務、居住している
に取り付ける。納車前には空気圧を点
場合。このなかで、デパートや地下街、
検 する。1990 年代に、高 価なアルミ
老人養護施設など不特定多数または
製ホイールの変形を修正するサービス
弱者のいるところを特定防火対象物と
が登場した。
いう。つまり店舗や展 示場で 30 人以
ホイールアライメントテスター
上の収容人員のところは防火管理者が
【Wheel Alignment Tester】
必要である。工場、作業場、事務所や
4輪アライメントテスター
倉庫などは、50 人以上が対象になる。
ホイールアライメントの各要素
(キャン
さらに面積では、甲種と乙種に分類さ
バ、キャスタ、トーなど)を個別に測定
れている。甲種:特定防火対象物で延
し、正しい値との差を表示する装置。
べ面積 300㎡以上または非特定で同
キャスタ
キャンバ
トー
ホイールベース
【Wheel Base】
500㎡以上。乙種:甲種の面積未満の
対象物。防火管理者講習があり、一般
的には甲種を受講する。開催日程など、
前輪・後輪のホイール中心間の距離を
消防に関する相談は地域の消防署に
いう。
「ホイールベースゲージ」
(トラム
まず問い合わせる。
ゲージのバーが長くなっているもの)で
方向性
測定する。測定結果が標準値と異なっ
フリップフロップ性
ている場合は、アンダーボデーにゆが
ほ
みが生じている可能性がある。
正面
防音シート
ロードノイズなどの騒音が車内に入り
込まないように、パネルの内側などに
貼り付けるシート。ゴム、ウレタンなど
斜め
様々な材質のものが用意されている。
防音だけでなく防振・防錆・遮熱を兼
ねていることがある。防振用は主にア
スファルトシートと呼ばれる。目的は
正面から見ると合っているが、
斜めから見ると違っている
様々であるが、フロアパネルに貼られ
324
ているシートの名称は、カーメーカーで
原色特性。調色時の比色で確認してお
異なり、次のような呼び名がある。日
くべきことの一つ。塗装面を正面から
産「ヒュージブルインシュレーター」
(防
見たときと、すかして見たときなど、見
音・防振・遮熱)、ホンダ「インシュレー
る方向を変えた場合の色の変化の有
タ」
、マツダ「ダンピング・シート」
(防水・
無をいう。調色作業では、どのような
防錆)
、トヨタおよびダイハツ
「サイレン
方向から塗装面を見た場合も、新車時
サーシート」、三菱「サイレンサー」
。
の塗装と同じ色合いになっていなけれ
防火管理者
ばならない。塗料メーカーの
「原色特
消防法に規定。管理権原者の専任によ
性表 」または「フリップフロップ一覧
BSR-IK
防錆鋼板
表」には、メタリックベースや一般原色
さらに 粒 子 捕 集 効 率 が 3 段 階
(1 =
の正面、スカシ面の発色が記載されて
80.0%、2 = 95.0%、3 = 99.9%以上)
いるので参考にする。英語のフリップ
に分けられ、この組み合わせで表記さ
フロップ
(Flip-Flap/Flip-Flop)は擬音
れている。それでいくと、
「DS1」合格品
語で、
「シーソー」
などを意味する。
がよく利用されている。国家検定品は、
マスクの表に分類記号や先の使用限
フラップ性の弱い顔料
光線
度時間などが記されているので、確認
できる。
光線
光線
防錆鋼板
どの方向から見ても
同じ色に見える
亜鉛メッキ鋼板
鉄80%以上+亜鉛
鉄10%+亜鉛90%
フラップ性の強い顔料
光線
光線
狭い
鋼板
光線
広い
光の反射したところに
よって光量の違いから
色が異なって見える
鉄10%+亜鉛90%
鉄80%以上+亜鉛
二層合金化溶融亜鉛メッキ鋼板
(両面仕様)
表面処理鋼板の一種。自動車には溶
融亜鉛中で浸漬メッキした
「溶融亜鉛
放射温度計
非接触型温度計
メッキ鋼板」が使われている。これに
は合金化処理の有無で GA鋼板と GI
鋼板がある。国内では前者の、表面に
軟らかくなり膨らむ。上塗りの溶剤分
亜鉛メッキを施した直後に加熱処理を
の浸透で旧塗膜や下地が膨潤すると、
施し、鋼板の表面に亜鉛−鉄 合金被
「チヂミ」
、
「ペーパー目」などが発生す
る。
ペーパー目
ほ
膨潤[ぼうじゅん]
膜を生成させた
「2 層合金化溶融亜鉛
メッキ鋼板」
が普及している。
防塵服
経緯 1970 年 代 後 半 か ら 1980 年 代
塗装時に塗装面にホコリなどの付着を
に急激に防錆 鋼板が増加した。当初
減らすために着用する作業服。非発塵
は、
「電気亜鉛メッキ鋼板」が使われた
性や耐久性、帯電防止
(制電)性を備え
ものの、そのうち溶接性や塗装性を改
ている。一般的にはツナギ服の上に着
善した「亜鉛−ニッケル合金メッキ鋼
用する。
板」、1990 年代にはメッキ層を厚くし
防塵マスク
た
「亜鉛−鉄合金化溶融メッキ鋼板」
板金塗装作業において、塗膜やパテの
が開発され広く普及。いまでは上層に
研磨粉塵、金属粉、溶接ヒュームなど
鉄が多く下層に亜鉛が多い 2 層型が
を吸い込まないために着用する。活性
使用されている。また、両面処理と片
炭入りもある。厚生労働省の試験に合
面処理があり、高張力鋼板の防錆鋼板
格した国家検 定品を使用し、使用限
もある。
度時間がすぎれば新品と交換する。国
補修 鋼板素地が露出した場合はメッ
家検定品は 12 種類に分類されており、
キが は がれていることもあり、防 錆
使い捨てタイプ
(D)か取替タイプ
(R)
力を高めるために表面処 理 剤または
か、試験粒子が固体か
(S)液体か
(L)、
ウォッシュプライマーを塗布する。亜鉛
BSR-IK
325
防錆鋼板用ポリパテ
は、塗料との密着性が悪いことも知っ
ラー塗りされることもある。
ておきたい。表面の層に鉄の比率が高
防錆剤
いのはそのためである。
防錆処理
亜鉛メッ
ほ
キ鋼板
新車時の防錆処理を第 1 次防錆とし、
防錆鋼板用ポリパテ
さらに防錆力を強化することを第 2 次
防錆鋼板に対応したパテ。いま市販さ
防錆という。加えてボデー修理に関す
れているものはほとんどが対応型と見
る防錆処理を第 3 次防錆という。第 2
てよい。
次防錆は、日本では 1970 年頃から輸
経緯 防 錆 鋼 板 が 急 速 に 増 加し た
入ブランドのフランチャイズ方式で展
1980 年代の終わりごろ、全国でブリ
開、のち機材それぞれが単品で流通す
スターの発生があり、防錆鋼板の外板
るようになり、カーメーカーも純正内部
への適用から亜鉛とパテの密着性を
防錆剤を供給するようになった。防錆
云々する声も出た。これに対して日産
処理とは、この第 2 次防錆を指してい
とトヨタが実験したところ、必ずしもそ
ることが多い。新車時での施工など車
れが原因とは特定できず、パテの性能
体修理工場でのメニュー化が図られた
差によるのではとの結果になった。そ
こともあるが、新車の防錆力の高まり
の後、関連メーカーからは
「防錆鋼板
もあっていまでは一部にとどまる。代
用」または
「防錆鋼板対応」と銘打った
わって
「ボデーコーティング」のほうがア
パテがたて続けに登場した。密着性と
ピールされているようだ。
硬化性のいい樹脂と硬化剤を使用。樹
ト
脂 が 硬くなったが、
ガラスビーズを使
防錆ワックス
い研磨性を良くしている。
内部防錆剤を指している。
防錆剤
防毒マスク
①内部防錆剤と、②外部防錆剤に分け
有機溶剤作業で使用する吸収缶付き
られる。内部防錆剤は、内板骨格部ま
マスクは防毒マスクの一種である。
たは、アウター・インナーの袋状パネ
ジーバー
塗装マスク
ルの内部に注入する。メンバーなどは、
防爆
先端の長い専用ガンなどでサービス
爆発を予防するための設備や構造。特
ホールなどから吹き付ける。粘度が低
に可燃性の高い有機溶剤蒸気が充満
く、浸透 性が良く、乾燥しない。反対
する塗装ブース、調色室、塗料庫など
にいえばマスキング等しっかりしていな
の比較的狭く閉じられた空間内で爆
いと、すき間から漏れて出てくる。カー
発限界に達したときに電気のスイッチ
メーカー純正品が用意されている。外
を入れて火花が飛べば、爆発する。調
部防錆剤は、アンダーボデー用やトラッ
色室では、換気でき、一気に窓を開け
クの 荷 台用がある。通常のシャシブ
られ、周囲に溝、蛍光灯やコンセント
ラックやアンダーコートと異なり、乾燥
など電気関連機器については火花や
しても弾力性を保つ。荷台用は薬品や
爆発を防止する構造とするなどの防爆
水産物、塩害など錆やすい場合に有
設備が必要になる。
益。外部防錆剤は密着、弾性、耐水性、
ホウレンソウ
耐薬品性に優れた塗料で、刷毛やロー
326
荷台
BSR-IK
爆発限界
「報告」、
「連絡」
、
「相談」。3 つの最初
ボカシ
の音をつなげたもので、たとえば現場
ワー」と呼ぶことが多い。エアまたはハ
担当から同僚や責任者へすべきことを
ンドでチューブを伸ばし、様々なアタッ
忘れないように伝えるための略語。
チメントとの組み合わせで引き押し作
飽和蒸気圧曲線
業をおこなう。
温度と水蒸気の関係を示した図。空気
ホームページ
中の水蒸気の量の把握は塗装作業に
【Homepage】
とっては大事。温度が高くなるにつれ
パソコンなどでインターネットに接続し
て空気中の水蒸気の圧力が高くなる。
たときに、コンピューターの画面に最
塗膜に水分が浸透しやすくなるという
初に表示されるページ。トップページと
ことでもある。
ブラッシングの原因にな
も呼ばれる。その住所は、URL と呼
る。
ぶ。ホームページを閲覧できるソフト
のバーに入力すればページを見ること
800
760
ができる。ホームページは広告宣伝の
700
飽和蒸気圧︵
媒体としても有効で、メーカー・商社
︶
mmHg
600
は 1990 年代後半にあいついで開設し
500
ている。車体修理工場も自前のホーム
400
ページで、あるいは工場検索サイトに
水
300
登録することで社名をアピールして、集
客につなげている。ほかにも電子メー
200
ルやブログなど、IT 機器を介した様々
100
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
温 度(℃)
水の沸点
(100℃)
ほ
0
な PR 手法がある。
ホールソー
スポット溶接箇所切断ドリル刃。
スポッ
トカッターや専用ドリルが登場する以
ポートパワー
【Porto-Power】
前に使われた。円筒状の刃でナゲット
の周囲のみを削り取り除くことができ
る。なかには、センターポンチを搭載し
刃ブレなどを防ぐものもある。
ボカシ
1929 年に開発されたブラックホーク
ぼかし
が発売している油圧機器の商品名。板
補修塗装作業で、旧塗膜と新しく調色
金修正には欠かせない必需品で、単体
して吹き付けた塗膜との境目を分から
またはボデー修正装置と組み合わせて
なくすること。調色した色が旧塗膜と
使用する。普及度合いが高いため、他
100%同じ色になることはない。溶剤を
社品を含めて同種のものを
「ポートパ
加えて希め、徐々に範囲を広げて塗装
BSR-IK
327
ボカシ際
していく。アンダークリヤーや、
ニゴシ
成金制度の情報は社会保険労務士な
塗装など、いろいろなテクニックが駆
どから得ると良い。③は自動車整備業
使される、いわば塗装技術者の腕の見
賠償共済保険
(自動車保険、PL 保険、
せ所の一つである。パネルの途中でボ
施設賠償保険)
など。
カす場合は、なるべく狭い箇所でおこ
保険代理店
なう。ブロック塗装においても、周囲を
保険会社から保険商品の販売を委託
ボカすことがある。一時、ボカシを英
されている事業所である。一般のプロ
語の
「グラデーション」
(Gradation)と
代理店のほか、整備工場や車体修理
表現しようとした動きもあったが、定着
工場も代理店になっているところがあ
していない。英語では
「フェードアウト」
る。整備工場の代理店組織で著名な
(Fade-Out)が 使われている。映画で
のは
「AIR ジャパン」であるが、他の損
徐々に暗くなったりぼんやりして見えな
保会社各社も整備業者の代理店を組
くなる効果をいうことばである。
織化している。
ボカシ際
入庫誘導 DRP が知られるようになる
ボカシをおこなった塗膜の境目。
と、プロ保険代理店向けに営業展開
黒ずみ
シルバーメタリック
ほ
ボカシ剤
れる。2000 年 7 月、ツシマホットライ
ボカシ際のなじみをよくするために塗
ンで旗揚げした
「DRP ネットワーク」。
装する。内容的にはシンナーに若干ク
2001 年、21 社で 構 成された 千 葉 県
リヤーが入っているようなイメージのも
「カーサポートクラブ」
。2001 年 3 月、
のといわれる。
単独で塗装するアンダー
「中国 DPS」は中国地区 5 県 42 社で
クリヤータイプと、塗料に添加するタイ
構成。DPS は代理店パートナーショッ
プがある。黒ずみ防止を目的にしてい
プの略。2001 年 12 月、
「岡山ボディー
るものもある。
ショップグループ」
(OBG)が 8 社で組
アンダークリヤー
保険
織。2002 年 5 月、
「Insurance Agent
車体修理工場でかかわる保険には、①
Support(IAS)-21 秋田」
、9 社で組織。
販売するもの、②経 営上必要なもの、
2002 年、
「IAS21・TOYAMA」、7 社
③経営上いざというときに助かるもの、
で発足。同年秋、
「オート・サポートあ
がある。①は自動車保険で、保険代理
いち」
、愛知県下 22 社で結成。2002
店であれば一時期ファミリー保険の取
年 10 月、宮 城 県で 9 社 により
「CRS
り扱いが盛んであったようにほかにも
ネットワーク」が 構 築。2003 年 3 月、
ある。②は企業運営上、加入しなけれ
三重県の 18 社で「オート・サポートみ
ばならないもので、雇用保険、労災保
え」を組織化。各地にこうしてできたグ
険、健康保険、厚生年金保険など、規
ループはたとえば、
「IAS21」
(石川県)、
模等によって異なるが雇用保険は規定
を満たす労働者が 1 人いれば加入が
328
する車体修理工場のグループが生ま
「SHINWA グループ」
(岐阜県)、
「JBC
大阪」
(大阪府)
「
、JBC 滋賀」
(滋賀県)
、
必要。雇用関係の助成金はいろいろな
「JBC 京都」
(京都府)
、
「HBG」
(兵庫
ものが設定されており、雇用保険に加
県)、
「DPS」
(徳島県)が集まり、
「自動
入していないと適用されない。教育研
車事故サービスネットワーク」として合
修、高齢者や若年雇用など、最新の助
同会議を持ったこともある。2002 年 6
BSR-IK
補修塗装マニュアル
月の第 3 回会議には、
「IAS21」
(富山
装指数として一部地域で運用を開始。
県)
、
「IAS21 秋田」
(秋田県)などが参
1987 年には、第 3 次塗装指数が発表
加した。なお、JBC 大阪は 2003 年 1
されたが、その後も定期的に改訂され
月に法人化している。このなかで先行
ている。2009 年 10 月には 水性 補 修
した DRP ネットワークは、北海道から
塗装指数が発 表された。他の指数と
沖縄までの全国をカバーする受け皿組
比べて構成や算出手順が細かく、改定
織に成長している。
も多いため、常に最新の
「指数テーブ
DRP
歩行者衝撃低減ボデー
ル」で確認したい。構成要素から指数
歩行者傷害軽減ボデー
値は、外板パネル補修塗装指数
(塗り
数値、加算基礎数値、付加数値)+樹
突を想定して傷害を軽減することに配
脂バンパー補修塗装指数+内板骨格
慮したもの。カウルトップ、ボンネット、
パネル補修塗装指数の合計となる。ま
バンパー、フェンダーの構造や材質に
た、塗装材料費は含まれていないため、
工夫がこらされ、頭部と脚部への衝撃
別途実額を計上するか、データの蓄積
を弱めるように対策している。
により工賃からの比率を想定して掛け
歩行者頭部保護試験
算する。
歩行者の死亡事故のうち頭部への衝
補修塗装マニュアル
撃による比率が高いため、自動車事故
補修塗装全体のテキストとなっている
対策機 構では 2003 年度から歩行 者
ものと、銘柄別のもの、その都度のト
頭部保護性能試験を実施。試験はヨー
ピックを説明したものがある。塗装全
ロッパが早く、1998 年に EuroNCAP
体のマニュアルについては、塗料メー
が初めて実施。自動車事故対策機構
カーは早くから何らかの形で発行して
では、頭部を模した測定機 器をボン
いたが、1974 年のロックペイント
「自
ネット上に 35km/h(実際の歩行者へ
動車補修塗装」
(B5 判、
116 ページ)
は、
の衝突速度は 44km/h に相当する)で
初期に大いに利用された。1984 年に
ぶつけて衝撃を測定する試 験。ボン
は関西ペイントが A4 判フルカラーで
ネットのぶつける位置は細分化されて
「カンペリフィニッシュマニュアル」を発
エリアごとの評価の平均になる。試験
行した。これをきっかけに、それ以前
に追加されて以来、毎年安全レベルが
から発行していたイサム塗料、ロック
向上している。
ペイントもカラー版となり、ビジュアル
自動車事故対策機
構
で見やすいものとなった。このころ日
補修
本ペイントは最初は上下巻、のちテー
直すこと。
「自動車補修塗装」など、塗
マ別の分冊方式で発行している。こう
装と合わせて使われることが多い。板
した国内の塗料メーカーのマニュアル
金分野では
「修理」
を使うことが多い。
(テキスト)は、版を改めながらも継続
補修塗装指数
して発行されている。外資系塗料メー
自研センターが策定した指数の種類。
カーも、ブックやバインダーノート方式
1980 年 11 月、長年の研究成果として
で揃えている。なお、カーメーカーは、
第 1 次 塗 装 指 数 が 発 表され、翌年、
1970 年代末に車体関連の資料類を充
運用面での修正をおこない、第 2 次塗
実させ始めたころから順次、塗装につ
BSR-IK
ほ
衝突安全ボデーで、特に歩行者との衝
329
保証書
いてのまとまったマニュアルを各社発
補助固定
行している。のち、資格試験のテキスト
ボデー修正技法。引き作業において、
として分冊にしたところもある。
力を有効に働かせるためや、不必要な
保証書
傷つきを防止するために、補助的に増
やした固定。①基本固定
(4 点固定)の
修理保証書
品質を保証する証明書。納車後に発注
補強:チェーンで固定している場合、
者にわたすもので、個人客など直接の
引き方向によっては緩むため反対方向
入庫や保険誘導によるものなどが対
の固定を加える、②モーメントの打ち
象になる。保険会社の指定 工場で発
消し:引き方向と反対方向に固定を追
行が義務付けられることが多くなり、
加する、③引きすぎの予防:修正した
グループや業界団体の日車協連でも共
いすぐ後ろに固定を追加して引き出し
通のものを作成している。日車協連は
やすくする、④開口部の保護:たとえ
2000 年 4 月に、
「車体修理記録簿」と
ばドアの内部のフロントピラー上部と
ともに保証期間 1 年の
「修理保証書」
ロッカーパネルをポートパワーやチェー
を作った。
ンで固定し、引き作業でのひずみを防
記載項目 保証書の記載項目は、① 発
止する、などのケースがある。
行する客に関するデータ
(氏名または
4 点固定
会社名、納車日、車名・年式・登録番
号・車台番号・塗色コード・走行距離
など必要に応じて)
、②保証期間
(1 年
からワンオーナー永久保証まで)
、③
ほ
保証内容
(どのような場合に保証し、
基本固定の補強
(例)
再修理するか)、④保証適用の除外項
目
(誤った使用、故意、事故、他人のい
たずら、火災、天災、第三者の修 理、
修理した箇所と因果関係のない箇所、
保守管理の間違いによるもの、限度を
超えた使用によるもの、消耗品や油脂
モーメントを打ち消す
類、保証書の改ざんなど)、⑤発行元
のデータ
(工場 名、住 所など連 絡 先、
担当車体 整 備士名または代表者名・
その捺印、所属団体などのマークや名
引きすぎ予防
前)
。
補色
色相環で正反対に位置する色。赤に対
しての青緑、黄に対しての青紫、青に
開口部の保護
対しての黄赤など。この補色関係にあ
る色同士
(たとえば赤と青緑)を混合す
ポスト
ると無彩色になる。調色のテクニック
【Post】
で利用される。
330
BSR-IK
色相環
タワー
ボデー
英語では
「柱」の意味。
❶タワー。
ホットスタンプ
【Hot Stamping】
❷ピラー。英米では A ポスト
(フロント
ホットプレス工法
ピラー)、BC ポスト
(センターピラー)、
ダイ・クエンチ
D ポスト
(リヤピラー)
の表現もある。
タワー
熱間プレス
強度が高くなると加工が難しい高張力
鋼板を約 900℃に加熱して、水冷金型
細目
で成形と同時に急冷却することで、強
コンパウンドの研磨粒子、アルミ顔料
度をさらに高める加工法。焼き入れの
の粒子などの大きさを表 現するため
一種。ドアインパクトピーム、バンパー
に、粗目、中目と対応した形で使われ
やピラーの補強材の生産で使われる。
る。細目は一番サイズが小さい。コンパ
ウンドではさらに小さい極細目、最も
小さい超微粒子もある。
ブランク
900℃
製品
成形・焼き入れ
ボックス
【Box】
❶パネルの加工法。箱型。ロッカーパ
ネル
(サイドシル)やピラーなど強度が
ポットライフ
【Pot Life】
可使時間
必要な骨格部分は、チャンネル加工に
ポッピング
平板を合わせて閉断面構造にしてい
【Popping】
る。
塗膜のトラブル。泡がふいたような状
態。いわゆるピンホール。
ほ
原因 ①塗装した後、セッティングタイ
ムをとらずに急加熱した、②乾燥機が
熱すぎたか、または近づけすぎた、③
フラッシュオフタイムが不充分、④シン
❷箱。ツールボックスなど。
ナーの選択誤り、⑤エア圧が低い、な
ボッシングハンマー
ど。
【Bossing Mallet】
補修 程度が低ければポリッシュ、あ
ハンマーの種類。特殊な半球形のヘッ
るいはサンディングして再塗装、深け
ドと円錐形のヘッドを組み合わせた
れば上塗りそのものを研ぎ落として再
木槌。パネルにゆるやかな凹凸面を作
塗装する。
るなどの用途に使用する。英語のボス
ポップアップエンジンフード
(Boss)
は
「打ち出し突起部」
の意味。
跳ね上げ式エンジンフード
ボディコンテープ
日東電工が 1995 年に発売したライン
用マスキングテープ。塩化ビニール製。
アールに沿って貼ることができるため
のネーミングで、知名度を上げた。
ボデー
【Body】
BSR-IK
331
ボデーアライニング
車体またはその外側の部分。
のシリカガラス膜
(SiO 2)になる。2000
ボデーアライニング
年代はさらに多くの製品が紹介されて
粗出し
ボデーカバー
ポレーションの
「G ZOX スピードコー
❶ボデー全体のマスキング材。一般的
ト 120」
はフッ素樹脂 PTFE(高分子 4
には上塗り前に塗装部分のマスキング
フッ化エチレン)を使用したもの。いま
を終えた後、残り全体をカバーするた
では、かなりの数のコーティングシステ
めに使用する。
ムが市場をにぎわしている。
❷ボデー全体を覆うカバー。修理待機
ボデーシェル
中の車などに、粉塵や塗装ミストなど
【Body Shell】
がボデーに付着するのを防ぐためのも
ホワイトボデー
の。
ボデー外殻
(直訳)。
ボデーコーティング
ボデー修正装置
ボデーにコーティング処理をして、ツヤ
ほ
332
いる。たとえば 2001 年のソフト 99 コー
車枠矯正装置
フレーム修正機
を長期にわたり持続させる、あるいは
損傷車両の内板骨格部分の修正のた
撥水性や防汚性などの機能を追加す
めに固定、計測、引くことのできる装
るシステム。古くから車体修理工場が
置。固定の形式によって、①床式、②
一般客を集めるためのメニューの一つ
台式、
③ベンチ式がある。初期には
「フ
にしてきた。いまでは、カーデーラー
レーム修正機」と呼ばれたが、乗用車
で新車購入時に施工するケースも見ら
のモノコックボデー構造に対応するに
れる。1970 年代は、
「ミング」や「パー
は、車両全体に目配りした修理が必要
フェクト」
、
「ミラクルポリッシュ」という
であるため、
「ボデーショップレポート」
ブランドが紹介されビジネスとして流
誌 上での一 般名称を
「ボデー修正装
行した。1980 年代にはテフロン・コー
置」に変更している。ボデー修正装置
ティングやポリマー・シーラントが登場
は、塗装分野での塗装ブースと並ぶ車
した。前者では前田機工の
「スーパー
体修理工場の大型設備機器である。
ミラクル」の知名度が高かった。磨きを
経緯 1950 年代半ば以降、米国から関
中心としたメンテナンスショップもこ
連機器が紹介され、1970 年代前半は
のころに生まれた。ポリマーシーク加
「コーレック」
(米国ブラックホーク製、
工の
「ダイワみなくるチェーン」や「カー
発売は東洋油圧機械)
、
「オートポール」
ビューティプロ」
は知名度が高いブラン
(発売は前田機工)、
「フラッパー」
(発
ドである。1990 年代終わりに登場し
売はスピーディ・ツール社)と、床式修
急激に施工店を増やしたのが「クォー
正装置が続けて紹介された。1970 年
ツガラスコーティング」
(発売はオアシ
代後半には整備機械工具商社の大手
ス、製造はクラリアントジャパン=スイ
バンザイとイヤサカがそれぞれ 欧 州
スのクラリアントの日本法人で 2 社の
製「データライナー」
(台式)、
「カロライ
共同開発)
。これは半導体などの絶縁
ナー」
(ベンチ式)を紹介、国際自動車
膜として使われているガラス素材ポリ
興業も北米製「フレクスライナー」
(台
シラザンという物質を利用した親水性
式)を投入。以降、カーメーカーの
「ボ
コーティング。炭素を含まず完全無機
デー寸 法 図 」の 普及 が 拍 車をか け、
BSR-IK
ボデー修理書
1980 年代は外国のボデー修正装置が
ど。特に切り継ぐ場合の位置や溶接箇
「セレット」、
「カーベンチ」、
「チーフ」、
所は、ボデー修理書を確認してから作
「グローバルジグ」、
「オートロボット」
業をすべきである。
と、多数紹介されることになる。
、国内
(マツダ)は、
経緯 1969 年、東洋工業
メーカーの新規参入もあって一挙に機
「板金工作法」と
「塗装技術」というマ
種が増加した。1985 年 1 月末時点の
ニュアルを発行。1973 年、マツダは
「ボ
自研センター調べで、全国には 17,900
デー修正マニュアル」を発行したが、内
基が普及していた。1990 年代初めに
容は溶接パネルの交換の作業指示と
は外国製品が乱立、取り扱い商社もか
ボデーチャートで構成され、いまの車
なりの数を占めた。また 1990 年代に
種別のボデー修理書のルーツといえる
はコンピューター計測装置で、
「カート
ものであった。本田技研工業も当時は
ロニック」と
「シャーク」が紹介された。
ホンダ SF で修理していた関係で、早
しかし、2000 年代以降は景気の低迷
くからボデー修理マニュアルを発行し
で、大損車の修理需要が減り、床式や
ていた。三菱自動車工業は 1978 年 7
簡易ベンチ型に目が向けられることに
月に、当時の現行乗用車車種別の
「整
なった。いまでは徐々に機器を買い足
備解説書ボデー編」を発行、構成部品
して増やしていける機種は、床式だけ
図、実測寸法と写真入りの測定点、塗
ではなくなっている。なお、特認工場
色配合データを盛り込んだ。このころ、
の設備基準にある車枠矯正装置とは、
車種別のボデー修理書は三菱、ホンダ、
ボデー修正装置を意味する。
スバルが発行していた。1980 年には
床式ボデー修正装置
ベンチ式ボデー修正装置
ボデー修理書
ボデーマニュアル
日産自動車、マツダが、1981 年にはト
ほ
修正装置
台式ボデー
ヨタ自動車がそれぞれ発行し、ほぼ全
社出揃った。トヨタは 1977 年にボデー
サービスに取り組むためにプロジェク
カーメーカーのボデー修理にかかわる
トチームを発足させ
(1982 年に課に昇
マニュアルは、板金、塗装、見積りとい
格)、1980 年ごろから
「ボデー修理書」
う分野別にまとめられたものと、新車
などの情報の整備に努めた。1991 年
が発売されるたびに発行になる車 種
2 月にはボデーサービス部に昇格。車
別のものがある。いずれも書名の詳細
種別以外のテキストとしてのボデー修
にはメーカーによって微妙な違いはあ
理書は、1979 年に初めて
「トヨタ ボ
る。
デー修理書 基礎編」を発行。トヨタは
内容 車種別版の内容は、各車種共通
1982 年 7 月のカムリ・ビスタからサイ
の注意事項、作業内容の説明があり、
ズをそれまでの B5 判から A4 変形判
そのあとに部品構成図と使用素材
(高
に拡大し内容の充実を図った。2000
張力鋼板、防錆鋼板、樹脂、鋼板は板
年代に入り、トヨタは RAV4 などから
厚も)、ボデー寸 法図、たてつけ基 準
高張力鋼板を明示、2007 年ホンダは
値、防錆関係
(シーリング位置、サイレ
クロスロードから鋼板についてさらに
ンサーパッド貼り付け箇所、耐チッピ
板厚と引っ張り強度を記載。板厚はマ
ング剤塗装箇所など)、内板の部位ご
ツダのマニュアルでも記載されている。
との交換手順
(一体および切り継ぎ)な
スズキは 2008 年 1 月発売のパレット
BSR-IK
333
ボデーショップ
(MK21 系)で初めてボデー修理書を
日ごろ訪問している塗料販売店が販
発行した。溶接パネルの交換では立体
売窓口になっていることも普及を早め
の画像イラストで図解している。スバル
た理由。業界の技 術から経 営、最 新
はレガシィ(BM・BR 系)のボデー修
情報を交えた総合 誌の立場で 編集。
理書に溶接条件を記載、続いてトヨタ
1970 年代は技術、1980 年代はショッ
も 2009 年 4 月のウィッシュ
(GE20 系)
プルポや経営、1990 年代には様々な
より 980MPa 級超高張力鋼板の溶接
情報が加わり、2000 年代以降はそれ
条件を記載し話題を呼んだ。
らのバランスの上で編集。これまで大
書名 各メーカーのボデー修理書のタ
きな反響を呼んだ特集には、エナメル
イトルは次の通り。トヨタ自動車・ダイ
全塗装や DRP がある。一時期、技術
ハツ工業・マツダ「ボデー修理書」
、日
情報を別に創刊した月刊誌「モノコッ
産自動車「車体修復要領書」
、本田技
ク」に掲載する形で、2 誌体制となった
研工業「サービスマニュアルボディ整
時期
(1983 年 4 月号∼ 1987 年 3 月号)
備編」、富士重工業「ボディ修理書」、
もあった。
スズキ
「サービスマニュアル」。
ボデー寸法図
供給形態 カーメーカーは最初は本で
【Body Dimension】
供給していたが、いまでは CD-ROM
ボデーチャート
ほ
を中心に、他の整備書を含めた形で発
ト
行していることが多い。なお、マツダ
車体の寸法を記した図面。事故 損傷
は 2005 年 4 月よりすべてインターネッ
車の修理では、不可欠なデータである。
トでの閲覧に変更している。
いまではカーメーカーが新車発表とほ
ボデーショップ
ぼ同時期に発行する車種別の
「ボデー
【Bodyshop】
フレームショップ
修理書」に掲載されている。アンダー
オートボデー
ボデーは平面投影寸法図と直線距離
ショップ
寸法図、アッパーボデーは直線距離寸
米 国、英 国 で の 車 体 修 理 工 場 の 呼
法図で、距離は実測値で掲載されてい
称。フランスとドイツは カロッセリ
る。生産段階でも多少のずれは生じる
(Carrosserie、Karosserie)
、イタリア
ため、あくまで参考値としての利用が
はカロッツェリア
(Carrozzeria)
、オー
いわれている。測定基準位置およびそ
ストラリア・ニュージーランドではパ
の表示の仕方もカーメーカーによって
ネルビーターズ
[アンド・ペインターズ]
異なるが、情報も増え、使いやすくなっ
(Panel Beaters & Painters)。
てきている。
ボデーショップレポート
経緯 それまでカーメーカーによっては
【BODYSHOP REPORT】
車種別のボデー修理書に掲載されて
BSR(略称)
334
フレームチャー
いたボデー寸法図であるが、トヨタ自
創刊は 1973 年 4 月号。発行はビーエ
動車は 1978 年 9 月に一括して
「ボデー
スアール
(当時)
。発行人・井上勲、編
寸 法図集」を発行。設計値ではなく、
集記者・弓場信幸でスタート。車体修
実車の実測値で測定することを前提に
理業界には共通の情報を得る媒体が
作られた。本田技研工業は 1979 年 8
なかったため、すくに受け入れられた。
月に
「サービスマニュアル・ボディ寸法
BSR-IK
ポリエステルウレタン
図集」
を、日産自動車は 1982 年 2 月
「車
ぶものであり、車体修理業界の技術の
体寸法図集」をそれぞれ発行。いずれ
近代化に寄与した。のち前田機工が各
もその時点での現行全車種を収 録し
支店等へと範囲を広げて主催。いまは
たものである。のち、車 種別編の
「ボ
明々工業が兵庫県の本社で定期開催
デー修理書」の発行に合わせて、その
している。
なかへ収録されるようになり、全車種
ボデーリペア技術研修所
一括発行はなくなった。
寸法
平面投影
直線距離寸法
ボデーフィラー
【Body Filler】
【BODY REPAIR TECHNICAL
CENTER】
BRTC(略称)
1994 年 3 月開所。車体修理技術者の
トレーニング、調査研究をおこなうため
期のころに輸入されたワックスタイプ
リペアテックが 1992 年、
「ボデーショッ
の板金パテを指す。主剤のポリエステ
プレポート」創刊 20 周年記念事業とし
ル樹脂が空気に触れると乾かない性
て構想。場所は滋賀県米原市。計画時
質があるため、表面にワックス分が浮
点での名称は
「コリジョンリペア技術
かぶ仕組みのもの。乾燥後表面のワッ
研修所」
。当初は、日車協連と一部の
クス分をサフォームで削り取ってから、
単組およびメーカー商社と職業訓練法
サンダー研磨する。最大 50mm 程 度
人車体修理技術振興会を組織して運
のへこみを埋める能力がある。作業性
営。2005 年 10 月の同会解散に伴い、
はやや悪く、キメも粗い。
所有者のリペアテックが単独で、必要
ボデーマウント
に応じてメーカー・商社の支援を受け
【Body Mount】
ながら運営。いまは BRTC 施設にお
フレーム構造の車種で、フレームとボ
ける研修活動は停止し、出張研修を中
デーキャビンを取り付ける箇所。ゴム
心に活動している。
など弾性部材を使用して衝撃や振 動
振興会
に対する対策も採られている。
ボナクリル
ボデーマン
【Bodyman】
車体修理技術
【BONACRYL】
リンシッドメーソンが 1979 年に発売し
板金技術者。前田機工が発行していた
たアクリルウレタン。配合比は 2:1。の
オートポールシステム・ユーザーの機
ち
「ボナクリル 2」に。
関紙名。
ポリアミド
スプレーマン
ボデーマンカレッジ
板金技術者向けの研修機関の草分け。
ほ
米国の車体修理技術が紹介された初
【Polyamide】
PA(略語)
明々工業の登 録商標。塗装技術者の
合成樹脂。ナイロンやケブラーなどさ
養成は塗料メーカーがおこなっていた
まざまな種類がある。軽量で高い強度
が、板金技術者についてはなかった。
を持つことからドリーとして製品化さ
1970 年代は神戸市の
「オートポールシ
れているものもある。
ステム」開発 元の
「オートボデー」が実
ポリエステルウレタン
施、近くに研修施設があった。初期の
外資系塗料メーカーの配合比 2:1 の
講座内容は、塗装や経 営分野にも及
本格ウレタン上塗りは、ポリエステル系
BSR-IK
335
ポリエステル
ウレタンが多い。わが国ではアクリル
ポリッシュ
系ウレタンがメインとなっており、両者
【Polish】
の特徴を併せ持つアクリルポリエステ
磨き
ルウレタン塗料が、両者から開発され
作業はポリッシング
(Polishing)
。上塗
たことがある。
り塗装後、塗膜が乾燥しコンパウンド
ポリエステル
可能時間になると、ゴミやホコリの付
【Polyester】
着を取り除き、光沢や塗り肌を調整す
合成樹脂。細かくは様々な種類がある
るためにおこなう作業。ポリッシャー、
が、パテや FRP で使用されている樹
バフ、コンパウンドを使用する。1965
脂。
年ごろまでは手磨きで 1 日はかかって
FRP
ボデーフィラー
ポリオート
いた。いまではウレタンが中心になり、
【Poly-Auto】
ブツ取りと旧塗膜との塗り肌調整が中
久保孝ペイントが 1976 年に発売した
心となっている。硬くて軟らかい耐ス
2 液型アクリルウレタン。配合比は 4:1。
リ傷性クリヤーは最もポリッシュを悩
ポリッシャー
ませる塗料である。ポリッシュの際、ポ
【Polishing Machine】
リッシャーの熱でバフ目が消えたよう
ほ
磨き作 業でコンパウンド、バフとの 組
に見えても冷えると元に戻るので注意
み合わせで能力を発 揮する。ポリッ
が必要。
シュ作業には欠かせないツール。パッ
手順 ゴミ・ブツ・タレの除 去、塗り
ドとそれにバフを取り付けて使 用す
肌を高番手ペーパーなどで調整、ペー
る。コンパウンドを付けた塗面を回転
パー傷を消し、バフ傷を消し、ツヤ出
力で磨く。電 動とエア動力があるが、
し仕上げをする。
ポリシャーに関しては、たいていは電
ポイント ①コンパウンドは粗いものか
動タイプが使用されている。重量と安
ら細かいものへ、②塗膜が硬い場合
定した回転力が得られるためである。
は、水研ぎによる肌合わせから、③黒
円運動のシングルアクションが一般的
など濃 彩色はバフ傷が目立ちやすい
であるが、ダブルアクションタイプやア
ので細かいコンパウンドで、④ボカシ
タッチメントで両者の回転が得られる
際は補修塗膜から旧塗膜への一方通
もの、ギアアクションタイプも開発され
行、⑤コンパウンドをつけすぎない、⑥
ている。
ポリッシャーの重さを利用する、⑦一
定の面積ずつ磨く、⑧コンパウンドが
乾かないうちに磨く。
コ ンパ ウ ンド
バフ
ポ リッ
シャー
ポリッシュクロス
ポリッシュ(磨き)作業後の、塗面の拭
き取り、ツヤ出しに使用する。素材に
は、メガネ拭き同様の超極細繊維など
がある。
336
BSR-IK
ポリプロピレン
ポリッシュサンダー
ポリッシュペーパー
塗り肌調整を目的としているサンダー。
磨き作業前の塗り肌調整などに使用す
ダブルアクションで回転数は多少早
る。軟らかくて手になじみの良い耐水
い。水研ぎタイプや空研ぎとの兼用タ
ペーパーやフィルム系ペーパーがある。
イプもある。特に鏡面仕上げが流行っ
ポリパテ
たときに、肌調整で最初に使用した。
鏡面肌
薄付けパテ
ポリエステルパテの略。厚付けから一
ポリッシュシステム
般、薄付けまで、各種タイプがある。作
ラッカーから速乾ウレタンに上塗りの
業箇所や上下の下地塗料の種類によっ
主流が移行したことを反映して、それ
て使い分ける。樹脂は空 気乾燥型ポ
に合うポリッシュ作業の標準化と製品
リエステル。能力的には 3 ∼ 10mm の
見直しがなされて、1987 年春ごろ石
厚みを埋める能力がある。板金パテの
原薬品と三彩化工がほぼ同時に上塗
役目をするものから仕上げ用のパテま
りの種類、対象塗色に合わせた工程と
で、様々である。キメは細かく、研磨性
製品を体系化した。さらに新車塗膜の
も良い。柔軟性、密着性、厚付け性は、
高級化という要素が加わり、まず鏡面
ボデーフィラーなど板金パテより劣る。
仕上げ、続いて耐スリ傷性クリヤーお
1955 年ごろにベース・硬化剤・促進剤
よびフッ素樹脂クリヤー対応というよ
の 3 液型が登場したもののクラックな
うに、ポリッシュのシステム化が進んで
どのトラブルもあり定着せず、1960 年
いった。ここで製品名にシステムという
代前半に今日のルーツとなる 2 液型ポ
ことばが加わり、1988 年 4 月イサムの
リエステルパテが開発された。
ポリプロピレン
11 月三共理化学「ハイピッチブリリア
【Polypropylene】
ントシステム」
、1989 年 4 月ゆたか磨
PP(略語)
ほ
「パックシステムⅢポリッシング編」
、同
材
「リッチ1システム」、同 5月住友スリー
合成樹脂。熱可塑性樹脂。比重が軽く、
エム
「ビューティフル・フィニッシング
強度、剛性、耐熱性、電気特性、耐水性、
システム」、同月スピーディ「ハイテク・
耐薬品性に優れる。諸特性に優れてい
ファイネス・ポリッシュ・システム」
、同
ることからバンパーやヘッドランプハ
月塗料メーカーも日本ペイント
「nax コ
ウジングに使用されている。日本での
ンパウンドシリーズ」を見直し、7 月ご
車への採用は、いすゞ自動車が 1960
ろソーラー
「鏡面仕上げ研磨システム」、
年ごろから小 物部品に、その後カー
太閤バフ製造所「鏡面仕上げセットス
メーカーは内装トリムを中心に使用し
カット」、1991 年三共理化学「グランド
てきたが、1979 年日産自動車がブルー
システム」
、1992 年石原薬品「ユニコ
バード
(910)のバンパーに採用したの
ン FNC バブシステム」、同 2 月日本研
が最初で、以降、グレードの高い車は
紙「NK トップコンパウンド・システム」
、
ウレタン、低い車は PP という時期を経
1992 年ゆたか磨材「なんのそのシステ
て、いまではバンパーフェイシアは PP
ム」、同年関西ペイント
「SD 磨きシステ
が主力となった。耐熱温度は低いもの
ム」とこの時期にはたて続けにシステム
で 80℃なので、強制乾燥での温度管
製品が発売されていた。
理に気をつけたい。
熱可塑性樹脂
BSR-IK
337
ポリマー
(0.003%以下)の添加で焼き入れ性が
ポリマー
【Polymer】
向上する元素。1470MPa 以上の強度
重合体。モノマー(単量体、Monomer)
が重合したもの。高分子の有機化合物、
をもつ超高張力鋼板が得られる。
ホットスタンプ
つまり樹脂など。
ホワイト系メタリック
ポリマーアロイ
白さに特徴があるアルミ顔料ないしは
【Polymer Alloy】
それを使用した塗色。一般的なアルミ
アロイは金属同士の合金を意味する
粒子より滑らかなものになっている。原
が、これの派生で別の樹脂同士を混合
色名ではホワイトやスノーが入っている
して、両者の特徴のいいところを伸ば
もの。
した樹脂素材。
アロイ
ホルダー
サンドペーパーを保持して手研ぎに使
用するツールの総称。
当て板 サンディングブロック
ハンドファ
イル
ボルト
【Bolt】
ホワイトボデー
ほ
❶ナットと刻まれた溝でつながり、締
プレスされたパーツを溶接して組み立
め付けなどに使用する部品。おねじ。
てられた車体の外殻。ディッピング塗
M は mm 単位を表し、M4 × 10 は柱
装をする前の状態。内板骨格パネルの
の直径 4mm ×長さ 10mm。車体修理
構造図で表現されているもの。
作業でボルト・ナットは、ボデー修正
装置のクランプ類のセッティングで、イ
ンパクトレンチで締め・緩めすること
が多い。傷ついたり、変形していると
ナット
新品と交換する。
❷電圧の単位。V(Volt)
ねじ
ボルト・オン・パネル
自動車のパネル部品で、ボルトで取り
箱型ブース
付けられているもの。バンパー、ボン
上下圧送プッシュプル型ないしは有機
ネット、フェンダー、ドア、トランクリッ
溶剤中毒予防規則で規定されている
ドなど。衝突安全ボデーでは、内板骨
性能を備えた塗装ブース。これに対し
格に類する衝撃吸収部位のパーツを
てビニールタイプを簡易型ブースという
溶接からボルト止めに変更することで
場合がある。
修理性を高める例もある。
ホンダ SF
ボロン鋼
【Boron Steel】
338
本格ブース
SF
二輪車でスタートした本田技研工業
ホットスタンプで使用される鋼板。ボ
が 1964 年から 4 輪車を発売したもの
ロン
( ほう素、元 素 記 号 B)は、微 量
の、当時は大 型デーラーがなく業販
BSR-IK
ボンバン
ネットであったため直営で設けたサー
た。2001 年 10 月の第 6 回では見積り
ビス工場。SF はサービス・ファクトリー
を正 式 競 技に、2002 年 10 月第 7 回
(Service Factory)の略。同年から全
は技術のみから学科競技が追加され
国展開し 1967 年には 131 拠点、1982
た。
年末には 214 拠点、うち 43 ヵ所に板
ボンバン
金塗装工場を擁し、全国で月間 6,000
ボンネットバン
台を処理していた。その後デーラー網
エンジンルーム
(ボンネット)付きのライ
が完備されて自社でサービス工場が
トバン。軽自動車では初代スズキ・ア
運営できるようになったため、1984 年
ルトの登場で一世を風靡した。
に姿を消した。ホンダのデーラーへの
サービス面での支援は、代わりに発足
したホンダサービスが受け継いだ。拠
点のいくつかはサービスセンターとして
残存。
ホンダ標準塗装工数表
本田技研工業サービス部は 1976 年 5
月に
「標準塗装料金表」を発行してい
たが、1980 年 8 月に
「ホンダ・アコード、
シビック標準塗装工数表」を発行した。
交換部品別、塗装種別
(塗料と塗色で
4 種 類)に、塗 装 工数、塗 料 費係 数、
ほ
消耗品費係数、光熱費係数を示し、こ
れらから料金を算出する方法で、当時
のホンダ SF を中心に導入された。
ホンダボディサービス岡山
本田技研工業がデーラーとの共同出資
によって設立した車体修理専門工場の
第 1 号。1992 年 6 月稼働。のち 1994
年 7 月ホンダボディサービス神奈川が
営業開始。同年 6 月宇都宮にホンダボ
ディサービス栃木設立。ホンダボディ
サービス岡山は、1995 年 10 月に 3 周
年を記念して工場内の社員を対象にし
て
「ボディサービスマン技能コンクール」
を実施した。1996 年 11 月には神奈川
で、全国各地のホンダボディサービス
とデポックスが参加して初の板金塗装
の技術大会を開催。以降毎年開催し、
2000 年 10 月の第 5 回では、初めて指
定工場の専業ボデーショップも参加し
BSR-IK
339