[III-P-064] ポスター 術後合併症(感染症等) 術後遠隔期に乳歯の動揺が

Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
ポスター | 1-13 術後遠隔期・合併症・発達
ポスター
術後合併症(感染症等)
座長:高月 晋一 (東邦大学医学部附属大森病院)
Sat. Jul 18, 2015 11:14 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)
III-P-064~III-P-069
所属正式名称:高月晋一(東邦大学医学部附属大森病院 第一小児科)
[III-P-064]術後遠隔期に乳歯の動揺が原因と思われる脳膿瘍を生じた三尖
弁閉鎖のフォンタン術後の1例ー乳歯の動揺に抗生剤の予防投薬
は必要かー
○
1
小西 恭子 , 渡部 竜助2, 中野 威史2, 山本 英一2, 森谷 友造3, 千阪 俊行3, 太田 雅明3, 高田 秀実3, 檜垣 高史3 (1.松
山市民病院 小児科, 2.愛媛県立中央病院 小児科, 3.愛媛大学医学部 小児科)
Keywords: フォンタン術後, 脳膿瘍, 感染性心内膜炎
【症例】10歳男児。 【現病歴】2歳時に三尖弁閉鎖に対して Extracardiac TCPCを施行された男児。2014年
12月2日に嘔吐1回を認め、近医(一般内科の開業医)受診し、胃腸炎と診断され、整腸剤や制吐剤を処方され経
過観察となっていたが、その後も1日に1~2回程度の嘔吐が持続。12月5日夜から発熱し、12月6日当院救急外来
初診。診察時、意識は清明であるが、診察室でも嘔吐を認め、経口摂取不良もあり、輸液と血液検査を施行し
た。炎症反応は陰性であったが、輸液終了前にも嘔吐したため、頭部 CT検査を行ったところ、左後頭葉に広範囲
な膿瘍形成が疑われ、術後のフォローを受けていた病院に搬送。【経過】転院後、緊急頭部 MRI検査を施行
し、脳膿瘍の脳室内進展と診断。腰椎穿刺で膿の排泄を認めた。入院後 VCM投与を開始し、入院5日目に膿瘍穿
刺排膿術(ドレナージ術)を施行。入院後の経胸壁心エコー検査では、疣贅ははっきりせず。脳室ドレナージ術
施行時に行った経食道エコーで僧帽弁の一部に疣贅と思われる所見を認めた。後日腰椎穿刺で得られた膿から口
腔内の常在菌である Streptococcus intermediusが検出された。起炎菌判明後は、 PCGの静注に変更した。現在
四肢麻痺などの著明な神経学的後遺症はなく経過している。【まとめ】今回の発症前に歯科治療歴はなかった
が、約2週間前から乳歯の動揺が持続していた。抜歯などの歯科治療ではなく、乳歯の動揺であったため、保護者
も抗生剤内服はさせていなかった。後日検出された起炎菌は、口腔内常在菌であったことから、脳膿瘍の原因と
なったのは、乳歯の動揺が原因であると考えられた。今後感染性心内膜炎の発症予防のためには、抜歯などの歯
科治療時だけではなく、乳歯の動揺が続く際にも抗生剤の予防投与が必要ではないかと思われた。
©Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery
- III-P-064 -