冨田隆史(2008)アタマジラミのピレスロイド系駆除

厚生労働科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)
分担研究報告書
アタマジラミのピレスロイド系駆除剤抵抗性
分担研究者 冨田隆史(国立感染症研究所昆虫医科学部)
協力研究者 葛西真治(国立感染症研究所昆虫医科学部)
協力研究者 駒形 修(国立感染症研究所昆虫医科学部)
日本,米国,英国のピレスロイド系殺虫剤抵抗性アタマジラミには,ナトリウムチャンネル遺伝子に四重アミノ酸
置換突然変異が共通に見出されている。これら 4 つの座位を対象にして,SNaPshot 法によりアタマジラミ罹患
者より採取したシラミがもつナトリウムチャンネル遺伝子のジェノタイピングを行った。2006 年から 2008 年の 3
年間に 29 都道府県より 407 コロニー分のシラミを収集して調査した結果,北海道と沖縄県を含む 13 都府県
に由来する 34 コロニー(8.4%)に,四重変異を共通に生じている遺伝子が含まれていた。試料収集年ごとの抵
抗性遺伝子を有するコロニーの検出率は,2006 年の 4.8%(試験コロニー数(N)=42),2007 年の 6.2%
(N=178),および 2008 年の 11.2% (N=187)であり,抵抗性コロニーの増加傾向が示された。特定の小学校に
抵抗性のシラミが蔓延しているケースも明らかになった。抵抗性遺伝子を保有していたアタマジラミに小児が罹
患していたケース 5 例について,保護者へ駆除の経過を聴取したところ,いずれのケースでも,使用書通りの
適用では駆除薬の有効性がないことが示された。
A.研究目的
細胞膜に存在する膜タンパク質であるナトリウムチャ
ここ数年,自治体に寄せられるアタマジラミ被害相
ンネルである。ピレスロイド系殺虫剤は,ナトリウムチ
談が増えているという報道がくり返されている。東京
ャンネルの閉鎖を阻害することで,細胞膜内外の再
都の調査によると,2005 年度の都内における被害
分極化(すなわち活動電位の終息)を遅延させ,興
相談件数は 720 件だったが,2006 年度には 1,125
奮の伝達を撹乱する。
件に,さらに 2007 年度には 1,864 件に達し,毎年
我々が国立感染症研究所昆虫医科学部で 2001
約 5 割増のペースで増加した。ほかにも,同様に被
年より 2006 年まで,首都圏(東京都,神奈川県,埼
害相談件数が急増していて問題になっている県(秋
玉県)より採取した生きたアタマジラミを使って,ろ紙
田県,福島県,埼玉県,大阪府)や市(札幌市,岐
接触法に基づく抵抗性の判別を調査してた。その結
阜市,岡山市,倉敷市)があると報じられている(週
果,27 コロニー中の 3 コロニーがフェノトリン抵抗性
刊 SPA!, 2007 年 10 月 30 日)。被害の急増が伝え
と判定された 。これらの抵抗性コロニーのナトリウム
られる原因は不明である。わが国でヒトジラミ用駆除
チャンネル遺伝子は,一致して,四重アミノ酸置換
剤の販売を唯一手がける製薬会社は,2007 年 10
変異(D11E, M850I, T952I, L955F;順に,N 末端近
月の報道取材に応えて,全国の年間のアタマジラミ
傍,DIIS1-2 細胞外ループ,DIIS5 膜貫通セグメント,
罹患者数を約 50 万人と推定した(朝日新聞,2007
同左)を生じていた。
年 10 月 9 日)。
わが国でヒトジラミ駆除用に認可されている薬剤は,
ピレスロイド系駆除剤の有効性の低下は,世界的
に見て,1990 年代後半から学術誌でも頻繁に掲載
一般用医薬品として販売されるスミスリン・パウダーと
されるようになっている。米国とデンマークでは,90%
同シャンプーで,これらの有効成分はいずれもピレ
以上のコロニーがピレスロイド抵抗性となっている
スロイド系殺虫剤のフェノトリンである。ピレスロイド系
(Yoon et al., 2004; Kristensen et al., 2006)。これらの
殺虫剤の作用点は,神経・筋などの興奮性細胞の
国で,殺虫試験によりピレスロイド抵抗性と判定した
コロニーに対して作用点遺伝子のアミノ酸置換変異
を行い,その中に抵抗性遺伝子が含まれていたかど
の同定を行うことで,まず,少なくとも T952I 置換変
うかについて解析した。詳細については昨年の報告
異と抵抗性との因果関係が明瞭に示された(Yoon et
書に記載済したとおりである。
al., 2003; Kristensen et al., 2006)。最近の神経生理
学的研究により,四重アミノ酸置換変異のうち E11
C.研究結果
を除く残りの 3 つの変異は,いずれもピレスロイド感
2006 年から 2008 年末までの 3 年間に採取されて
受性の低下に影響を及ぼすことが確かめられている
解析可能であったシラミの個体数とコロニー数を表 1
(Yoon et al., 2008)。
に示す。同一家族の複数名が寄生していて,それら
アタマジラミは吸血源から離すとその多くが一日以
のシラミが採取された場合は,一つのアタマジラミコ
内に死に始め,バイオアッセイに利用できなくなる。
ロニーから採取された試料と数えた。3 年間の調査
したがって,従来通りの試料収集ペースと試験方法
を通算して,407 コロニー分,1005 個体(複数の卵
では,抵抗性コロニー出現率の確度や分布の地域
をまとめて処理したケースも 1 個体として数に換算)
性について言及することが困難であった。そこで,本
を試験した。試料は 29 都道府県より寄せられ,この
研究開始に際し,まず,ピレスロイド抵抗性特異的で
うち,抵抗性遺伝子を含むコロニーは北海道と沖縄
共通な作用点遺伝子の突然変異を抵抗性の指標と
県を含む 13 都道県で見つかった(図 1)。抵抗性コ
して分子検出するために SNaPshot 法を確立した。
ロニーの出現率は,3 年間の通算で 8.4%であった。
この分子検出法に基づき,日本で現在用いられてい
各年別に見ると,2006 年の 4.8%(試験コロニー数
るピレスロイド系アタマジラミ駆除剤に対する抵抗性
(N)=42),2007 年の 6.2% (N=178),および 2008 年
の実態をより明らかにしようと試みた。
の 11.2% (N=187)であり,抵抗性コロニーが増加し
昨年度の研究成果報告では,SNaPshot 法による
た傾向も示された(表 1)。
抵抗性ナトリウムチャンネル遺伝子検出法の開発と
抵抗性遺伝子は全部で 34 のコロニーから検出さ
それを利用した 2006 年度末までに採取された試料
れた。その採集情報と抵抗性遺伝子の接合性につ
(N=54)についての解析結果を述べた。本報告書で
いては表 2 に示す。抵抗性遺伝子は,検査対象とし
はその結果も採録した上で,それ以降 2008 年 12
た 4 座位に関し,すべて四重アミノ酸置換変異
月末までに採取された試料(N=353)につき併せて解
(D11E, M850I, T952I, L955F)を有していた。また,
析した結果を述べる。
抵抗性遺伝子のヘテロ接合体しか見出されなかっ
た 4 コロニーを除く残りの 30 コロニーからは,ホモ
B.研究方法
アタマジラミ試料収集:2007 年度以降のアタマジラ
接合体の存在が確認された。アミノ酸置換を生じて
いる相同座位はアタマジラミの場合と異なるものの,
ミ試料は,国立感染症昆虫医科学部のホームペー
イエバエのピレスロイド低感受性変異をコードするナ
ジに掲載した要領
トリウムチャンネル遺伝子(抵抗性遺伝子)は遺伝学
(http://www.nih.go.jp/niid/entomology/headlice/head
的に完全劣性に近い。一方,アタマジラミの場合,
lice.html)で行った。おもに,医療機関,次いでアタ
四重アミノ酸置換を生じている突然変異遺伝子が示
マジラミ罹患者の保護者より試料が提供された。
す優性の度合いは不明である。アタマジラミの抵抗
分子ジェノタイピング:SNaPshot 法を適用し,ナトリ
性遺伝子がイエバエと同様な優性の度合いを示す
ウムチャンネルの D11E, M850I, T952I, L955F 置換
と仮定すると,ピレスロイド系駆除薬の利用以前に駆
変異を検出した。死亡し乾燥した状態で郵送される
除薬の効力が失われていると見なされるコロニーが
シラミを使い,個体ごとに DNA を抽出し,マルチプ
大半であったことがわかる。同じ医療機関で別家族
レックス PCR でナトリウムチャンネル遺伝子の 3 断
より採取された抵抗性遺伝子を含むシラミコロニー
片を同時に増幅し,増幅された DNA を鋳型にして
の例が,東京都江東区で 5 件,兵庫県赤穂市で 8
SNaPshot 反応を行い,最後に,対象とした 4 座位
件あった。採集情報によるといずれの医療機関の場
に関する遺伝子型を DNA シークエンサ上で解析し
合も,それぞれの地域で同じ小学校に通う小児たち
た。卵の場合は,コロニーごとにまとめて DNA 抽出
に見出された。
判断に委ねて選択させるものである。抵抗性コロニ
D.考察
われわれは,従来,四重アミノ酸置換変異を生じて
ーの出現率は約 1 割と推定されたことを考慮すると,
ほとんどのアタマジラミ罹患者にとっては,使用書通
いる抵抗性型ナトリウムチャンネル遺伝子をホモ接
りに使えば 10 日間の処理期間後に駆除が行える駆
合でもつアタマジラミがピレスロイド抵抗性の原因で
除薬の利用が,確実で楽な駆除方法といれるかもし
あることを,殺虫剤含浸ろ紙への継続接触法による
れない。しかしながら,抵抗性が蔓延していると疑わ
殺虫試験で示してきた(Kasai et al., 2003; Tomita et
れる施設においては,学校または保健所等がいち
al., 2003, 2005)。今回の研究を進める中で,アタマ
早くそれに気づき,櫛を使った物理的駆除方法に切
ジラミ駆除薬として販売されているシャンプー製剤を
り替えを行うよう,注意喚起または勧告が発せられる
実際に用いた場合の経過について,抵抗性遺伝子
べきである。そのためには,ふだんより抵抗性シラミ
が検出された試料を提供した保護者からコメントが
の存在と対策について適切な情報を自治体や学校
試料とともに送られてきた(資料 1)。いずれのケース
レベルでも保護者に向けて与えておくことが必要で
でも抵抗性遺伝子を保有するコロニーでは,使用書
ある。また,アタマジラミの発見方法や駆除方法をお
通りに駆除剤の効力は失われていたことが示されて
知らせするだけにとどまらず,駆除が確実になされ
いた。2 つの例では,1 クールの駆除剤適用で,そ
たかを確認することも必要である。保護者の側にお
の期間中の 2 回目以降の処理において,コーミング
いては,駆除薬を使用書通りに処理するだけでなく,
で補足されるシラミの数が期待通りに減らないことか
処理直後または入浴後のすき櫛を使ったコーミング
ら,駆除薬の効力がないことに気づいた(資料 1A,
により,捕まるシラミの数を入念にモニターし,駆除
B)。他の 3 例では,駆除薬の効力を疑いながらも結
効果を確認することが重要である。駆除薬として用
果的に 2 クール以上の駆除剤使用に至り,最終的
いられるスミスリン製剤をピレスロイド感受性シラミに
には,駆除薬の利用を自主的に止めるか,または感
対して使用書通りに処理すれば,1 回目の処理を終
染研からの抵抗性遺伝子検査結果に基づき利用を
えた後にほとんどの幼虫と成虫が取り除かれるはず
止めた(資料 1C, D, E)。資料 1B, E のケースでは,
であり,その後に中 2 日ずつ置いて 2~3 回繰り返
感染研昆虫医科学部発の抵抗性情報を紹介した新
す処理では,卵から孵化した 1 齢幼虫を取り除くこと
聞記事(または学校配付のプリント)を読んだことが
を主な目的としている。この点を念頭に置けば,抵
直接のきっかけとなり,駆除薬の効力に疑問をいだ
抗性ジラミに罹患していた場合,捕獲されるシラミ数
いたことがわかる。資料 1C のケースでは,駆除薬適
が処理の回を重ねても容易に減少しないことから,
用 1 クール後に保護者が駆除の失敗を駆除薬販売
抵抗性の疑いをもつことができる。
元に報告したが,その後も 3 クール目まで駆除薬を
これまでに,沖縄県で発生した 3 コロニー分のシラ
利用し続けた。このケースでは,保護者からのクレー
ミを試験したが,そのすべてが抵抗性遺伝子をもつ
ムに際して,駆除剤の販売元がピレスロイド抵抗性
コロニーであった(表 2)。調査例をさらに重ね,他県
情報を適切に与えなかったことが疑われる。
とは大きく異なる抵抗性シラミの蔓延がないか,注視
欧米の例から見ても明らかなように,今後,わが国
する必要がある。
でアタマジラミ駆除薬としてピレスロイド系の薬剤し
現在の SNaPshot 法による解析には,ほとんどの場
か利用できないとすると,抵抗性コロニーの発生率
合,2 日間を要していた。34 コロニーから検出された
が上昇し,駆除法をめぐってそうとうな混乱が予想さ
ナトリウムチャンネル抵抗性遺伝子は,一貫して四
れる。本研究では,ピレスロイド抵抗性アタマジラミ
重アミノ酸置換突然変異を有していたことから,解析
が蔓延していると疑われる施設が少なくとも 2 つの
の対象を DIIS5 膜貫通セグメント内で近接する
自治体にあったことが指摘された(表 1:東京都江東
T952I と L955F の 2 つの変異に絞り,より手順と所
区,兵庫県赤穂市)。現在,わが国におけるアタマジ
要時間をセーブする分子ジェノタイプ法に替えること
ラミ駆除は,ピレスロイド系駆除薬とシラミ駆除専用
も必要である。現在,新たな方法を開発し検討中で
すき櫛に頼るしかない。学校や保健所が保護者に
ある。地方自治体等の検査機関でも抵抗性の分子
向けて発する情報も,いずれかの手段を保護者の
検査が実施されるようになることが望ましい。分子検
査は,抜き取り調査であったにせよ,不適切な駆除
G. 研究発表
処理による駆除失敗の可能性を排して,抵抗性シラ
1.論文発表
ミの存在を客観的に示すことができる。アタマジラミ
Kasai S, Ishii N, Natsuaki M, Fukutomi H, Komagata
発生の事実は,ともすると,学校や地域の評判を気
O, Kobayashi M, Tomita T, Prevalence of kdr-like
にして,学校名や地域名を公にすることがはばから
mutations associated with pyrethroid resistance in
れたり,遅れたりしがちである。自治体の衛生研究所
human head kouse populations in Japan, Journal of
がこうした検査を行うことができれば,管轄域の教育
Medical Entomology, 16: 77-82 (2009).
委員会や保健所等との対策協議がより円滑に行わ
れるようになるものと期待される。
英国では,これまで化粧品成分として利用されてき
冨田隆史,アタマジラミ症の現状と対策,保育と保健
ニュース,第 42 号: 4.
冨田隆史,薬学の時間 2008 年 4 月 3 日放送「アタ
たジメチコンとミリスチン酸イソプロピルをそれぞれ有
マジラミの流行」,
効成分とする新しいアタマジラミ駆除薬が現在利用
http://medical.radionikkei.jp/premium/entry-
可能になっている。カナダ,米国,オーストラリア,お
157465.html?login
よび,ほかの欧州諸国でも同様に利用可能になりつ
2.学会発表
つある。これらの有効成分はいずれもシラミ気門また
Kasai S, Ishii N, Natsuaki M, Komagata O,
は皮膚による体内水分量調節を阻害する作用を示
Kobayashi M, Tomita T, Monitoring of kdr-
し,これらを使った駆除薬は,原理的に抵抗性発達
mediated pyrethroid resistance in Japanese
の恐れのないものと考えられている。わが国におい
colonies of head lice, 4th Pan Pacific Conference
ても,現駆除薬の効力低下が今後大きな社会問題
on Pesticide Science, June 2, 2008.
化する前に,新薬の開発や既開発品の登録が急が
れる。
葛西真治,石井則久,駒形修,小林睦生,冨田隆
史,福富裕之,夏秋優,ピレスロイド剤抵抗性アタ
マジラミの分子診断法,第 60 回日本衛生動物学
E.結論
会大会,2008 年 4 月 19 日.
1. 2006 年から 2008 年の 3 年間に 29 都道県から収
冨田隆史,石井則久,夏秋優,福富裕之,駒形修,
集した 407 コロニー分のアタマジラミを検査したとこ
小林睦生,葛西真治,アタマジラミのピレスロイド
ろ,抵抗性ナトリウムチャンネル遺伝子の保有率は
抵抗性遺伝子の保有率,第 60 回日本衛生動物
8.4%であった。
学会大会,2008 年 4 月 19 日.
2. 抵抗性遺伝子を保有するコロニーの出現率には
増加傾向がうかがえ,2008 年に収集した試料にお
H.知的財産の出願・登録状況
ける抵抗性遺伝子保有コロニーの率は 11.2% であ
1.特許取得
った。
なし
3. 抵抗性アタマジラミは全国に分布していると推測
2.実用新案登録
されるが,特定の施設に通う小児の間に抵抗性シラ
なし
ミが蔓延しているケースも認められた。
3.その他
なし
F.研究危険情報
なし
表 1.ピレスロイド抵抗性ナトリウムチャンネル遺伝子を含むアタマジラミコロニーと個体の割合
個体ベースの解析数
採集年
全個体
抵抗性遺伝
子をもつ個
体
コロニーベースの解析数
%
全コロニー
抵抗性遺伝
子をもつコ
ロニー
42
2
2.2
%
2006
92
2
4.8
2007
448
30
6.7
178
11
6.2
2008
465
62
13.3
187
21
11.2
総計
1005
94
9.4
407
34
8.4
コロニーとは,一人の患者もしくは一つの家族から採取されたアタマジラミの集団をさす。
表 2.抵抗性遺伝子が検出されたアタマジラミコロニーの採集情報と遺伝子型
試料受領日
採取地
性別
2006/08/26 神奈川県川崎市
女
2006/10/14 茨城県つくば市
不明
年齢 薬剤使用歴 個体数 遺伝子型
7
あり
1
ホモ
不明
不明
1
ホモ
2007/02/26 長野県長野市
女
7
なし
5
ホモ
2007/03/07 兵庫県川西市
女
6
なし
1
ヘテロ
2007/03/26 香川県三豊市
男
6
なし
2
ホモ
2007/10/18 東京都板橋区
女
10
あり
1
ホモ
2007/11/01 兵庫県赤穂市
女
8
なし
7
ホモ
2007/11/21 東京都中野区
女
8
あり
4
ヘテロ
2007/11/26 兵庫県赤穂市
女
8
あり
5
ホモ
2007/12/14 新潟県長岡市
女
8
なし
卵1
ホモ
2007/12/18 東京都江東区
男
9
なし
1
ホモ
2007/12/21 兵庫県赤穂市
女
9
なし
卵5
2007/12/25 兵庫県赤穂市
女
7
なし
2
ヘテロ
2008/01/23 兵庫県赤穂市
男
7
不明
1
ヘテロ
2008/01/28 愛知県大府市
女
6
不明
卵9
ホモ
2008/02/08 茨城県つくば市
女,女
8, 9
あり
8
ホモ
ホモ
2008/02/12 北海道浦河郡
女
6
なし
1
ホモ
2008/02/19 千葉県船橋市
女
49
なし
10
ホモ
2008/02/21 兵庫県赤穂市
男
8
不明
卵5
ホモ
2008/02/28 福岡県筑紫野市
女
6
あり
8
ホモ
2008/06/07 兵庫県加古川市
女
9
なし
4
ホモ
2008/06/20 兵庫県赤穂市
女
7
不明
卵5
ホモ
2008/06/20 兵庫県赤穂市
女
8
不明
卵 10
ホモ
2008/07/03 東京都江東区
女
6
なし
1
ホモ
ホモ
2008/07/18 沖縄県中城村
女
8
あり
1
2008/07/30 東京都江東区
女
6
なし
卵3
ホモ
2008/08/13 東京都江東区
女
6
なし
2
ホモ
2008/08/14 大分県大分市
女
11
なし
5
ホモ
2008/09/02 茨城県つくば市
女
10, 8
なし
9
ホモ
2008/08/21 沖縄県那覇市
女
8
あり
1
ホモ
2008/10/16 沖縄県浦添市
女
10, 5
あり
3
ホモ
2008/11/10 福岡県福岡市
女
12
不明
1
ホモ
2008/12/06 新潟県長岡市
女
6
なし
卵4
ホモ
2008/12/12 東京都江東区
女
6
あり
1
ホモ
試験した個体が保有する抵抗性遺伝子は,全て四重アミノ酸置換変異(E11-I850- I952-F955)をもつと推定された。
* ホモ,抵抗性遺伝子のホモ接合体が検出された;ヘテロ,抵抗性遺伝子のヘテロ接合体のみ検出された。
■感受性シラミのみ確認: 16都道府県
■抵抗性シラミも確認:
13都道県
図 1.アタマジラミ試料の提供を受けた都道府県
資料 1.アタマジラミ採集情報に添えられらた駆除薬の有効性に関する保護者からのコメント
A.
1. 2007 年 10 月 10 日,長女と次女の頭からシラミの卵を発見。その日のうちにスミスリンシャンプーを購入し,
使用。
2. 2007 年 10 月 13 日,スミスリン 2 回目使用。
3. 2007 年 10 月 14 日,ブラッシング中に長女の髪に動くものを発見。すき櫛で一頭捕獲。サイズと時期を考え
てもスミスリンの効果がないように思えて,このシラミを感染研に送付した。
4. テストしたシラミは抵抗性遺伝子のホモ接合体と判定された。
5. 感染研の報告によりスミスリン使用を中止し,洗髪リンス時のすき櫛と朝のブラッシングによる卵除去によりシ
ラミは徐々に減少。
●スミスリンシャンプーに付属してきたすき櫛では卵はおろか幼虫も除去することができない。
●ライスマイスターが簡単に入手できない。
●母親についた抵抗性のシラミを除去するのが大変だった。
B.
●6 歳女児と 4 歳男児。2 人とも,2006 年に保育園に入園して以来,3~4 回アタマジラミに感染。これまでは,
スミスリンで駆除できていた。
1. 今回の感染では,スミスリンシャンプーで処理した後,付属の櫛で梳くと,生きたシラミが捕れる状態が続い
ていた。
2. 2008 年 2 月 25 日の(アタマジラミの駆除剤抵抗性にふれた)西日本新聞の記事を読んで,感染研にシラミ
を送ることにした。
3. テストしたシラミ 8 頭は,全て抵抗性遺伝子のホモ接合体と判定された。
C.
1. 2007 年 7 月,8 歳女児と 9 歳女児にシラミを発見。使用書通りにスミスリンを使用したが,使用後に動く虫が
いたり,成虫が残るので,製薬会社に電話した。
2. 2007 年 11 月,再びシラミを発見したため,スミスリンを使用。ペット用櫛ですくと,姉からシャンプー中に 20
頭,シャンプー後に約 40 頭の虫が見つかる。
3. 2007 年 12 月 24 日,妹の頭に成虫を発見。スミスリンを使用したが駆除できないので,感染研にシラミを送
付。
4. テストした 8 頭は,全て抵抗性遺伝子のホモ接合体と判定された。
D.
1. 2007 年 8 月後半,8 歳女児と 6 歳女児にシラミ発見。使用書通りスミスリンを使用。
2. 2007 年 10 月後半,使用書通りスミスリンを使用。
3. 2007 年 11 月 20 日現在,また頭部にシラミ!
4. 送付された卵 7 個のうち,4 個は抵抗性遺伝子のヘテロ接合体と判定された。
E.
1. 当初、卵を発見して、早急にスミスリンにて2日おきに4回処理いた。 4回目の処理後、卵も発見できなかっ
たのでそのまま終了した。
2. その後、2週間後くらいに再び卵を発見し、スミスリンにて処理を開始した。
3. (2本目で)4回処理後、念のためもう1本(3本目)を購入し5回目の処理をしたところで,学校より「あたまジ
ラミ」に関するプリントが届き、 国立感染症研の(抵抗性シラミ分子検査)情報が添付してあり、サンプルを
送付した。
4. 校内の状況は把握していないが、資料がまわってきたことから推測すると(駆除剤抵抗性シラミが)流行して
いるのかもしれない。
5. 子女のその後については,丁寧に梳き櫛ですいた後、明るい電灯の下で目視で除去している。現在のとこ
ろ,目視では卵は発見できない状況。
6. テストしたシラミ1頭は,抵抗性遺伝子のホモ接合体と判定された。
図 4.ホームページによるアタマジラミ試料提供の依頼