認知症の病理学

2009/ 11/ 22
東北大学百周年記念会館
第28回日本認知症学会
専門医のための教育セミナー
認知症の病理学
東京都健康長寿医療センター
高齢者ブレインバンク
村山繁雄
本日のテーマ
• 本学会における討論をふまえ、ハンドアウトより
内容を大幅に変更しました。お手元のハンドア
ウトは認知症テキストに準拠しておりますので、
テキストを参照下さい。
• この発表の内容は高齢者ブレインバンクホーム
ページ(www.mci.gr.jp/BrainBank/)にアップロ
ードしますので、ご参照下さい。
• 本日は、アルツハイマー病、レビー小体型認知
症と、今学会でも一部話題となっている、高齢者
タウオパチー(神経原線維変化優位型認知症+
嗜銀顆粒性認知症)について、解説します。
認知症
• 認知機能障害により、本人が本来果たすべき社
会的役割を、年齢を考慮しても下方に逸脱した状
態。
• 客観的指標により、臨床的に上記が検証可能。
• 本人の日常生活がそれで障害(=介護が必要)。
• 死後脳を、形態病理学的検討をすれば、現在の
検索レベルでも異常が検出可能。
• 上記の病理学的変化を、適切なバイオマーカー
で正確に評価できれば、臨床診断可能。
病理学
• 生命体における正常状態からの逸脱を、生命現
象から独立して、物質レベルで、異常を明らかに
する学問体系。
• 形態病理学以外に、遺伝子発現レベルでの異常
は分子病理、本邦での臨床検査は臨床病理と
米国では呼ばれている。
• 神経放射線形態画像(CT/ MRI)は、形態病理
学での肉眼観察に対応するが、経時的変化が
終える点が異なる。また、機能画像(SPECT/
PET)は、生命現象を可視化し、正常からの逸脱
を検出する点で、パラダイムが異なる。
認知症の病理
• 認知症の大多数の背景は老化であり、連続的変
化がある域値を越えた時、症状が検出される。こ
れは、癌の病理が0か1であることとは異なる。
• 脳は依然ブラックボックスであり、正確な臨床記
載がないと、認知症の診断は不可能である。
• 認知症に関連する病理はひとつではなく、複数
関与することが加齢とともに顕著となる。
• 病理所見がない認知症剖検例は必ず存在する
が、身体症状、精神症状によるのか、現在の技
術では検出できないだけなのかは、分からない。
アルツハイマーによるパラダイムシフト
変性型老化 =異常物質(構造)蓄積
アミロイドβ蛋白 = アルツハイマー病 (老人斑)
二次的新皮質タウ沈着 (神経原線維変化)
遺伝性 - APP, PS1 & 2 遺伝子変異
孤発性 - apoE4
タウ
= タウオパチー
遺伝性 - FTDP17- タウ遺伝性変異
孤発性 - Pick病、皮質基底核変性症
αシヌクレイン = シヌクレイノパチー
- レビー小体病
遺伝性 - PD/ DLB - α-synuclein遺伝子
孤発性 - PD/ DLB
TDP43 = TDP 43 蛋白蓄積症
FTLD- TDP43
FUS/ TLS
FTLD- FUS/ TLS
脳血管障害性認知症の病理
• 部位、数、灰白質か白質か?
• 病変部位と認知症の発症の時間的関係が臨床
的に確認できないと、正確な診断は不可能
• 変性型老化とともに、認知障害の域値をあげる
のに、貢献する点は同等
• 冠動脈硬化、高血圧性腎障害等により、生命
予後が悪く、平均寿命が短いので、アルツハイ
マー病理は一般に軽い。
• 危険因子解析ではアルツハイマー病はブロック
される危険性がある。
正常圧水頭症の病理
• 髄液循環障害
• タップテストが診断の前提なので、病理のみ
の診断は不可能
• 脳室の拡大を含め、慢性脳室拡大との形態学
的鑑別は不可能
• 当施設の脳槽シンチの経験からは、高齢者の
場合、脳室拡大と、髄液循環障害は、程度の
差こそあれほぼ平行して存在する。
• NPHと鑑別上問題となるBinswanger型白質
脳症でも、シャント短期間有効例は存在する。
外傷と認知症
• 慢性硬膜下血腫が最も重要。
• 直下皮質の病変を一般に伴うことが、高磁場
MRIで検出されるようになった。
• 外傷歴がある場合、画像上所見がなくても、脳
損傷がないと判断する根拠はない。
• 逆に、脳損傷や慢性硬膜下血腫が死後脳の検
索で存在する時は、認知機能に何らかの影響
があったと考え、必ず記載することを前提にして
いる。
• 脳のみを検索している疫学研究の場合、硬膜
下血腫の記載は存在しない。
動的神経病理
dynamic neuropathology
• もともとCambridgeのPETのグループが使っ
た用語
• 臨床症状とそれに対応する病理を生検で確
認することは、臨床医学の王道
• 認知症においては、臨床症状、画像所見の
縦断的追跡と、最終病理学的評価を積み重
ねることで、目の前の患者様の背景病理所
見の確認を試みる方法しかない。
東京都健康長寿医療センター
高齢者ブレインバンク(2009.4.1-)
診療部門
臨床研究推進
センター
中央診療部門
病 院
臨床研究
部門
東京都健康長寿
医療センター
研究所
経営企画局
老年病理学
研究グループ
治験管理セン
ター
組織バンク
高齢者バイオ
リソ-スセン
ター
神経病理学
研究テーマ
バイオマー
カーリソース
高齢者ブレイ
ンバンク
高齢者ブレインバンクプロジェクト
連続開頭剖検例による研究
資源と、それを基盤とした
前方視的臨床縦断研究、
研究所
病院
(http://www.mci.gr.jp/BrainBank)
ブレインバンク
1.
臨床縦断研究
認知症パス
パーキンソン病パス
両者の結合
パラフィンブロック、ガラススライド
連続開頭剖検例 (1972.5-):7,032例
臨床・画像・病理所見はデータベース化
>2. 部分凍結脳資源 (1995.1-): 1,888例
DNA解析への資源
>3. 凍結半脳資源 (2001.7-):745例
神経科学全般への資源
高齢者ブレインバンクの背景集団
•高齢者総合救急病院連続剖検 最近の320例
(剖検率:30%、開頭率70%)
男性180例,女性140例,
平均年齢
81.5±8.5歳(52~104歳)
•臨床情報:後方視的検索
パーキンソン症状(PA)
Clinical Dementia Rating (CDR)
CDR
(四徴のうち2つ以上を陽性)
PAあり
47例
Not
available
70例
22%
Not
available
15%
評価
22%
不能
1
29%
2
CDR0 0
CDR
3
21%
PAなし
203例
63%
CDR≧1
13%
5%
10%
高齢者ブレインバンク 病理プロトコール
(www.mci.gr.jp/BrainBank)
アルツハイマー病
• 老人斑と神経原線維変化という、老化で出現
してくる病変が必須
• アルツハイマー時代には、平均寿命が45歳で
あり、進行麻痺が臨床の中心であったため、
特殊な認知症として記載された。アルツハイ
マー自身、50台前半に腎疾患で死亡
• アミロイドβ蛋白の蓄積が、タウの蓄積を誘発
するという、アミロイド仮説が提出されている
• しかし,アミロイドβ蛋白を免疫療法で減らしても、
臨床症状はかわらず、タウの蓄積前に治療を
はじめるか、タウを除かない限り、根治療法に
はつながらない
アミロイドβ蛋白の合成過程
Amyloid Cascading Hypothesis
SPECT
PIB
FDG Clinical Diagnosis
Cognitively normal
MCI
Dementia
(Alzheimer disease)
NFT
Neuronal loss
Senile
plaque
70Y
AD
83Y
アルツハイマー病 脳の外表所見
Alzheimer disease
Control
容量計測MRI(voxel based morphometry)
70代女性、物忘れ。MMSE28点
80代女性、認知症。MMSE18点
Z score 2.2
VSRAD 14 autopsy/ 2183 clinical cases
No.
Age
Gen
Clinical Dx
Z
Patho. Dx
1
87
F
AD, MultInf
2.21
AD/ AA/ fresh infarct
2
2
77
M
AD
3.59
IC occlusion
6
3
86
M
aMCI/AD
4,21
DG
7
4
88
F
AD
3.18
DG/early AD/SDH
5
5
75
F
ALS-D
0.53
AD/ LMND
7
6
72
M
PD
2.77
PDDT
7
7
90
M
Dementia NOS
2.64
Simple atrophy
8
72
M
AD/ DLB
3.44
AD/DLB
7
9
84
M
MSA/DLB
0.69
DLB/ small inf in CA1
8
10
79
F
DLB
4.44
DLB (PDDN)
8
11
80
F
PDD
0.43
PDD/ Mult. Inf.
2
12
91
F
AD
3.48
DG/ NFTD
5
13
101
F
AD
5.43
DG/ NFTD
14
14
81
F
aMCI/AD
2.41
AD
Course
?
5
Averaged FDG-PET Images in Alzheimer’s Disease
Normal
N=12
Mild AD
HDRS>20
N=6
Moderate AD
HDRS 10~20
N=7
Severe AD
HDRS<10
N=6
MRI、糖代謝ペット(FDG)、
アミロイドベータ蛋白(PIB)ペット所見
ブレインバンク生前同意登録者(アルツハイマー病疑い)
老人斑のステージ
(Braak)
神経原線維変化
のステージ
(Braak)
遺伝子発現解析可能検体: 1,628 例
0
I
II
III
IV
V
VI
total
0
29
309
97
47
14
2
0
498
A
13
282
82
53
15
0
0
445
B
8
160
90
66
16
3
1
344
C
3
48
48
73
58
81
30
341
total
53
799
317
239
103
86
31
1628
アルツハイマー病(病理): 169/ 1628
アルツハイマー型老年性変化による分類
Braak
神経原線維変化ステージ
0 I II III IV V VI
老 0
人
A
斑
B
C
MSC
(49.9%)
NFTC
(8.0%)
PSC
(21.9%)
ADC
(20.1%)
MSC:微小変化群: NFTC:神経原線維変化優位群;
PSC:老人斑優位群; ADC: アルツハイマー型変化群;
MCIにおけるアミロイド蓄積
アミロイド
蓄積
多い
少い
CS F Aβ 1-42 (p g /m l)
n = 57
19
4
11
23
S UVR 40-60
結果:各疾患におけるCSF tau, ptau, Aβ42(pg/ml)
n
tau
ptau
Aβ42
AD
6
648.2±397.1
62.4±23.2
236.5±115.3
PD
1
127.4
29.5
652.7
DLB
10
102.5±60.0
39.8±11.4
407.1±128.1
PSP
9
119.1±107.3
39.3±15.2
579.0±147.6
CBD
3
156.3±76.3
36.6±4.0
483.1±439.3
DG
2
338.0±357.4
50.8±27.5
858.8±197.8
MND
5
179.6±167.7
36.0±10.0
587.3±244.1
SCD
2
205.1±39.1
Pick
1
122.6
38.8
630.5
CJD
3
1990.4±2762.6
54.8±42.5
513.3±484.2
817.6±152.5
各疾患における CSF tau
tau
1400
(pg/ml)
1200
1000
800
600
400
200
0
各疾患における CSF ptau
ptau
(pg/ml)
90
80
70
60
50
40
30
20
各疾患における CSF Aβ42
Aβ42 1600
(pg/ml)
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
髄液バイオマーカー
τ
↑
Pτ
↑
Aβ
↓
HVA 5HIAA
→
→
パーキンソン病
→
レヴィー小体型痴呆 →
→
→
→
↓
↓
↓
↓
↓
進行性核上性麻痺 →
→
→
↓
↓
神経原線維変化
優位型痴呆
嗜銀顆粒性痴呆
↗
↗
→
→
→
↗
↗
→
→
→
皮質基底核変性症 →
→
→
→
→
クロイツフェルト
ヤコブ病
→
→
→
→
アルツハイマー病
↑
81F CJD - PIB (-)
3F4
Aβ
79F PDD PIB (-)
(DLB CG transitional, rCG: diffuse,
Braak Lewy Stage VI, BBAR Stage 4)
認知症を伴うパーキンソン病(PDD)/
レビー小体型認知症(DLB)
• αシヌクレイン沈着が一次性の原因と考えられる
• レビー小体が、神経病理学的ホールマーク
• DLBにおける、新皮質へのレビー小体病理の進展には
アミロイドβ蛋白が引き金を引いている
• DLBの場合、運動障害が鑑別上も治療の上でも重要
だが、古典的パーキンソン症状ではとらえられないこと
が多い。
• 末梢自律神経系を障害するので、治療上十分な配慮
が必要であると同時に、末梢自律神経の神経病理学
的検索で、外科病理診断できる可能性がある
レビー小体
レビー小体の電顕像
黒質の脱色素
PD
Control
PD
Control
Ser129 phosphorylated α-synuclein
Specific monoclonal antibody (#64)
129
P
1
140
LB509
A30P
E46K
A53T
124
129
134
AYEMPSEEGYQ
PO3H2
脳幹上行進展経路
Aβ
嗅球
辺縁
新皮質
(N)
τ
扁桃核(Limbic)(T)
前嗅核
迷走神経背側核 (B)
嗅球・扁桃核進展経路
Aβ
新皮質
(N)
τ
嗅球 (Ob)
辺縁
前嗅核
扁桃核 (Limbic)(A) (T)
迷走神経背側核
Lewy 小体病
前頭葉
頭頂葉
側頭葉
Lewy小体型
認知症
新皮質
Kosaka K 1980
前帯状回
びまん性 Lewy
小体病
辺縁系
海馬
Parkinson 病
脳幹
線条体
黒質
青斑核
脊髄
嗅内野
扁桃核
Meynert
嗅球
視床下部
迷走神経背側核
中間外側核
末梢自律神経系
交感神経節
心臓交感
神経系
皮膚
副腎
自律神経
不全症
Lewy小体スコア
(添付文献より引用、一部改変)
Consensus
Guideline
レヴィー小体の
数を数える
第二前頭回
0:
0点
1-5:
1点
6以上:2点
第二側頭回
縁上回
5箇所の合計
0-2: 脳幹型
3-6: 移行型
(DLBT)
7-10:新皮質型
(DLBN)
前帯状回
移行嗅内野
マイネルト基底核
は除外
高齢者ブレインバンク Lewy小体ステージ
レヴィー小体
黒質
脱色素
自律
節前
黒質・
線条体
辺縁系
新皮質
LB
スコア
0
-
-
-
-
0
0.5
-
+/-
+/-
+/-
0
I
-
+/-
+/-
+/-
0-10
II
+
+/-
+
+/-
0-10
III
+
+
+
+
0-2(10)
IV
+
+
+
+
+
+
+
+
3-6
Stage
V
7-10
Saito Y et al: J Neuropath Exp Neurol (2004)
認知症
PA
Incidental
-*
-
-*
Presymp.
+
PD w/o D
+
+
+/+/-
PDD/DLBL
PDD/DLBN
DLB consensus guideline 3rd
LB type
patho
Brainstem region
Basal forebrain / Limbic
Neocortical
IX-X
LC
SN
nbM
Amy
TrEnto
Cing
T
F
P
Brainstem
1~3
1~3
1~3
0~2
0~2
0~1
0~1
0
0
0
Limbic
1~3
1~3
1~3
2~3
2~3
1~3
1~3
0~2
0~1
0
Diffuse
1~3
1~3
1~3
2~3
3~4
2~4
2~4
2~3
1~3
0~2
Alzheimer type pathology
NIA-Reagan LOW
LB type
patho
CERAD 0,A
NIA-Reagan INTERMED NIA-Reagan HIGH
CERAD B
CERAD C
B
NFT: Braak stage 0-II
Braak stage III-IV
Braak stage V-VI
V
Brainstem
Low
Low
Low
Limbic
High
Intermediate
Low
Diffuse
High
High
Intermediate
DLB 18F- FDG SPM処理画像
中脳被蓋・橋 面積比
MIBG Cardiac Scintigraphy
Early phase
H/M=1.58
PD/ PDD/ DLB 5/6, PSP:0/1例, MSA:0/1
psyn #64 immunohistochemistry
Mitsui et al J Neurol Sci 2006
Dopamin PET superimposed on MRI
Topographical Distribution of Pre- and Post-synaptic
Dopaminergic Function in Striatum: Healthy Subject
Caudate
Ant Put
Post Put
cerebellum=1.0
5.0
11C-CFT
cerebellum=1.0
6.0
11C-RAC
2.5
Ratio
RAC / CFT
L
58F
Topographical Distribution of Pre- and Post-synaptic
Dopaminergic Function in Striatum: Parkinson’s Disease
Caudate
Ant Put
Post Put
cerebellum=1.0
5.0
11C-CFT
cerebellum=1.0
6.0
11C-RAC
2.5
Ratio
RAC / CFT
59F
Topographical Distribution of Pre- and Post-synaptic
Dopaminergic Function in Striatum: Dementia with Lewy Bodies
Caudate
Ant Put
Post Put
cerebellum=1.0
5.0
11C-CFT
cerebellum=1.0
6.0
11C-RAC
2.5
Ratio
RAC / CFT
L
74M
Dopamine PET (DAT/ D2 ligand)
Dopamine PET vs MIBG心筋シンチ
CSF: HVA, 5HIAA
AD
PD
PDD/DLB
PSP
CBD
DG
MND
SCD
Pick
Others
(ng/ml) (autopsy confirmed)
n
HVA
5HIAA
4
1
6
3
1
2
4
1
1
2
19.6±6.4
6.3
11.2±4.8
20.5±11.8
29.0
27.2±18.2
30.6±14.5
24.7
43.5
21.0±2.3
14.1±5.7
2.9
7.3±4.2
19.2±5.5
15.9
22.6±18.2
30.7±16.0
14.9
17.1
21.0±4.8
DAT PET vs CSF HVA
発汗試験 左
C7-40 Lt
Left
Psyn#64
PSer129
Ultrastructure of Dermal Lewy body pathology
嗜銀顆粒性認知症
• 嗜銀顆粒の沈着をプライマリーとする疾患
• 高齢者連続剖検例での認知症における頻度
は2位(Frankfurt, Basel, 健康長寿医療セン
ター)
• 記憶障害と性格変化が主体で、遂行機能能
力が保たれること、進行が遅いことより、もの
忘れ外来より、一般の疾患で受診し、認知症
の存在が明らかになることが多い
Selective Atrophy of Ambient Gyrus
(Saito et al J Neurol Sci 2002)
Histopathology of Argyrophilic Grains
(Saito et al J Neurol Sci 2002)
Ultrastructure
of Grains
嗜銀顆粒伸展ステージ
迂回回ステージ
I
II
側頭葉ステージ
前頭葉ステージ
III
Saito Y et al:
J Neuropath Exp Neurol
(2004)
Radiological Asymmetry matches Histopathological Asymmetry in Grain Disease
Asymmetry in 18F- FDG PET matches histopathological asymmetry
神経原線維変化優位疾患
(neurofibrillary tangle-predominant disease)
• 高齢になるほど増加
(DNAリゾース1346例中39例 = 2.9%
百寿例 48例中18例 = 37.5%)
• 3+4リピートタウオパチー
• 嗜銀顆粒疾患と合併することが多い
• Amnestic MCIで長期経過
• 高度の認知症状を出すには、嗜銀顆粒、脳
血管障害、高齢等の追加要因が必要
アルツハイマー型老年性変化による分類
Braak
神経原線維変化ステージ
0 I II III IV V VI
老 0
人
A
斑
B
C
MSC
(49.9%)
NFTC
(8.0%)
PSC
(21.9%)
ADC
(20.1%)
MSC:微小変化群: NFTC:神経原線維変化優位群;
PSC:老人斑優位群; ADC: アルツハイマー型変化群;
CSF Biomarker
AD
PD
DLB
PSP
NFTD
DG
CBD
CJD
τ
Pτ
↑
↑
→ →
→ →
→ →
↗? ↗?
↗
↗
→ →
↑
→
Aβ
↓
→
↓
→
→
→
→
→
HVA
→
↓
↓
↓
→
→
→
→
5HIAA
→
↓
↓
↓
→
→
→
→
百寿例 神経原線維変化優位型痴呆 AT8免疫染色
Serial MRI and 18F- FDG PET
from a patient with clinical diagnosis of NFTD
脳血管障害の評価
臨床情報
•脳卒中発作の有無
•放射線画像
0, 1, 2, 3
CT, MRI
SPECT, PET
大脳白質病変は、画像所見を重視、病理対応を図る
病理データベース
•塞栓(embolism):
E, e
•血栓(thrombosis):
T, t
•ラクナ梗塞(lacuna):
L, l
•脳内出血(hemorrhage)
H, h
•クモ膜下出血
SAH
臨床症状に寄与、あるいは二次変性を伴えば大文字、
死戦期のものは括弧内
L
認知症の病理
•
•
•
•
臨床症状の正確な評価
サロゲートバイオマーカーの検証
経時的形態・機能画像
解剖学的進展分類に基づく変性型老化変化
の網羅的検討、血管障害、脳室変化、外傷
病変等、形態的変化全ての正確な記載の蓄
積が重要
変性型病理の評価
A/S CDR PMI NFT SP Grain AA Lewy t-astro ubq apoE NPD
88M 0.5 2:39 3 1 0.5 1
0
2
1 33 NFTC
A/S:
年齢、性
CDR: 臨床認知症スケール
PMI:
死後時間
NFT:
神経原線維変化、ブラーク氏分類
SP:
老人斑、ブラーク氏分類
Grain: 嗜銀顆粒、東京都高齢者ブレインバンク分類
AA:
アミロイドアンギオパチー、同分類
Lewy: レヴィー小体病、同分類
τ-astro: タウ免疫染色陽性アストロサイト同分類
ubq:
抗ユビキチン抗体陽性顆粒 同分類
apoE:
遺伝子多型
NPD:
神経病理学的所見
0-3
0-6
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高齢者ブレインバンク構成員
高齢者ブレインバンク)
研究部長
村山繁雄
病院病理:
初田裕幸
固有常勤
非常勤
同
同
技師
非常勤
同
同
足立 正
鈴木衣子
舟辺さやか
杉山美紀子
木村有希
愛敬直雄
原田三枝子
直井信子
部長:
医長:
医員:
医長:
附属診療所(ポジトロン研究施設) 医長:
所長:
石井賢二
部長:
放射線科
徳丸阿耶
部長:
医長:
病院
神経内科
金丸和富
小宮 正
仁科裕史
椎名盟子
砂川昌子
広吉祐子
江口 桂
リハビリテーション
加藤貴行
精神科
古田 光
病理
沢辺元司
新井冨生
宣伝
• 西村書店より、「エスクロール基本神経病理学」
の翻訳を出版しました。
• 日本語で気軽に読め、国際的に通用する教科
書を、提供することが翻訳の趣旨です。
• 昨年の認知症学会でDickson教授に、書店展示
に神経病理の教科書がないと言われた時、来年
の認知症学会には参考にできる教科書を出すと
約束を果たすために、間に合わせました。どうぞ
皆様参考にして下さい。