平成 26 年 9 月 25 日 版 手作り流水実験装置 野田和也 1 2 ねらい、目的 条件を制御したり、繰り返し実験したりすることができる安価な流水実験装置を作り、流水の 浸食・運搬・堆積の三作用のモデル実験ができるようにする。 5.5 ㎝ 教材の内容 (1) 準備物(個数) 4.5 ㎝ ・ 工具入れ 内寸 82 ㎝×36 ㎝×9 ㎝(1) ・ 三角の角材(2) ・ ピンチコック(2) ・ ゴム管 60 ㎝(2) ・ 鉄製スタンド(1) ・ ゴム栓(1) ・ PET ボトル 2L(1) ・ プラスチック製カップ(2) ・ コンパネ(工具入れの大きさに切る) ・ バケツなど(1) ・ ガラス管 15 ㎝(2) ・ 頭の大きな釘など(1) ・ 花崗土 ・ ガスバーナー(コンロ)(1) 穴 (2)作成手順 ① PET ボトルの底を切り取る。(写真 1) 切り口は危険なので、軽く火であぶって溶かすか、ビ ニールテープを張るなどしておく。 ② 熱した釘の頭で PET ボトルに 2 か所の穴をあける。 穴の直径は、鉄製スタンドのつり棒が通るようにする。 ③ ゴム栓に 2 か所穴をあけ、ガラス管を通す。 ④ ガラス管の先にゴム管を付け、ピンチコックを付ける。 ⑤ 工具入れの短辺の一か所に熱した釘の頭で穴をあける。 (写真 2) ⑥ 写真 3 のようにセットする。 写真 1 水タンク PET ボトル プラスチック製カップ (水を流したときに土に穴が開かないように、カ ップの中にゴム管の先を入れておく。カップの 水の出口の部分に切欠きを入れるとよい。) 土を入れない部分 写真 2 排水用の穴 (運搬・堆積された土砂の様子 と量が分かる) 三角の角材 丸型水槽 など コンパネ 排水用の穴の下に写真 3 のように丸 型水槽などを置くと実験装置の中に 水があふれることなく実験ができる。 写真 3 は排水用の穴に 5 ㎝の塩ビパイ プを付けている(なくても差し支えな い)。収納の際には PET ボトルなどを 入れて、フタをしておく。 写真 3 流水実験装置(完成) (3)工夫・コツ 築山による実験と本教材(流水実験装置)を用いた実験とでは、以下の表に掲げるような長 所・短所がそれぞれにあるので、使い分けをするとよい。川全体の様子を観察したり上流・中 平成 26 年 9 月 25 日 版 流・下流を比較したりするときには築山で、一部分をクローズアップして見せたいときや条件 を制御して実験したいときには、実験装置で実験・観察を行うとよい。 築山による実験 流水実験装置による実験 ▲ 繰り返しての実験ができない。 ▲ 大がかりになる。 ▲ そのため,一つの実験を 30 人以上が見るこ とになり,詳しい観察ができない。 →何をやっているのかわからない。 ▲ 受け身の実験観察になりやすい。 ▲ 全体が長いので,条件を制御した実験がで きにくい。特に流速を変える実験。 ▲ 天候,土の状態に左右される。 ○ モデルとしての川全体が見えるので,意識 の中で実際の川と結びつきやすい。 ○ 学級全体の意識が統一できる。 ○ 繰り返して実験ができる。 ○ 装置が小型。 ○ そのため,複数用意がしやすい。子どもた ち一人ひとりさわりながら間近に実験・観察 ができる。 ○ 主体的に活動をしやすい。 ○ 全体が短く,条件制御しやすい。流速・水 量ともに変えやすい。 ○ 天候・土の状態に左右されにくい。 ▲ コースが短く,川全体としてとらえにくい。 ▲ 個別に指導が必要。 ○:長所 3 ▲:短所 教材の使用方法、活用例 <変えられる条件> ・ 単位時間当たりの水量(開くゴム管の数) ・ 流水の速度(実験装置の傾きを角度や三角の角材で調整)(写真 4) ・ 総流水量(水タンクに入れる水の量などで調整) 写真 4 角度測定器 ※ どの条件も定量的に制御できる。 <実験・観察方法> ① 曲がっている水路(右)と直線的な ②浸食・堆積部分の断面の観察(写真 6) 水路(左)の浸食や流速の比較(写真 5) (デジタルカメラや書画カメラで拡大して 見せるとよい。) カーブの外側 直線的な流れ 中央が浸食 浸食されて、崖の ようになってい る。深い。 カーブの外側 浸食されている カーブの内側 堆積している 河口部の堆積量 直線的な方が多 い 4 カーブの内側 小さい粒の土 が堆積して河 原のようにな っている。 写真 6 写真 5 まとめ 1 台当たり 2500 円程度で作成できた。班に 1 台ずつ用意することで、児童は、主体的にまた意欲 的に活動することができた。2,3 回であれば繰り返して実験ができるので、納得できるまで実験の できたグループもあった。 条件制御をしやすいことも、実験結果を比較するには都合がよかった。 また、教科書にあるような実験をしたのちに、モデル装置の中にラミネートフィルムなどを使っ て川の岸を保護したり、砂防ダムを設置したりしてみた。実際に浸食運搬される土砂の量の違いが 河口付近で確認できた。
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