シンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワーク

東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 57 集・第 1 号(2008 年)
シンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワーク
―指導と評価に焦点をあてて―
小 川 佳 万* 石 森 広 美**
本論文は、シンガポールのジュニアカレッジで近年導入されたプロジェクトワークについて、シ
ンガポール教育省発行の関連文書とプロジェクトワーク担当教員に対して行った聞き取り調査か
ら、特に授業時の教員の指導と評価の方法に焦点を当て、その実態を明らかにすることを目的とす
る。分析の結果、このプロジェクトワークが有効に機能する要因は以下の 3 点であった。第一に、
プロジェクトワークは必修科目としてカリキュラムの中心に位置づけられているだけでなく、大学
進学に直接影響を与える A レベル試験科目の一部を構成していることである。第二に、教育省の
試験管轄機関である SEAB が指導のポイントと評価に関して詳細にガイドラインを設定し、教員は
全く自由な実践が保証されているわけではないことである。第三に、リサーチ活動であるプロジェ
クトワークを、教員はファシリテーターとして多方面から支援していることである。
キーワード:シンガポール、ジュニアカレッジ、プロジェクトワーク、知識スキル、自律的学習
はじめに
近年の教育改革にともない、シンガポールの学校にプロジェクトワーク(Project Work)が登場し
た。このプロジェクトワークは、問題解決や探究活動に主体的、創造的、協同的に取り組む態度の
育成を目標としている。特にシンガポールは、2004 年以降、‘Teach Less, Learn More’ を教育改革
のスローガンに掲げ、従来の知識詰め込み型の教育を見直し、生徒の自律的学びや知識の活用を重
視してきているため、
こうした教育改革のいわば核としてプロジェクトワークが登場したと言える。
そしてシンガポールの公文書でみる限り、現在までのところ比較的順調に学校現場に根付き始めて
いるようである。
ところで、その導入の経緯から明らかなとおり、プロジェクトワークは、日本の「総合的学習の時
間」にきわめて近い科目であると言える。そのため、その動向は日本の教育実践に貴重な示唆を与
えるものであると考えられるが、現在のところそのねらいが明白になっているのみで、学校現場で
特に必要となる実践方法や評価方法については明らかになっているとはいえない。もちろん、それ
は導入からまだ数年しか経過していないため、その実態や特徴について論じた先行研究が管見の限
*
**
東北大学大学院
東北大学大学院博士課程前期
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シンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワーク
り見当たらないことも想定されることである。そこで本稿では、実際にプロジェクトワークが学校
でどのように実施され、評価されているかを明らかにするために、「レビュー報告書」をはじめとす
る教育省発行の関連文書とシンガポールの教員に対して行ったインタビュー・データ 1 を分析資料
として、ジュニアカレッジ(Junior College)におけるプロジェクトワークの特徴、特にそれが有効
に機能していると考えられる点について論じていくことにしたい。
1. プロジェクトワークの導入
⑴ プロジェクトワーク導入の経緯
プロジェクトワークは、時代や社会の要請を受けて導入されたものである。その導入とほぼ同時
期 の「 ジ ュ ニ ア カ レ ッ ジ・後 期 中 等 教 育 レ ビ ュ ー 報 告 書(Report of the Junior College/Upper
Secondary Education Review Committee)
」によれば、シンガポールの教育は効率重視から多様性
の保障へ、内容の習得から学習スキルの獲得へ、知識量重視から思考力重視へと転換過程にあり、
そのため、
数学や歴史といった内容中心科目の学習量を軽減し、コミュニケーション力、探求の方法、
2
認知的思考力等の獲得を目的としてプロジェクトワークやジェネラルペーパー(General Paper)
等の総合的な学習をいっそう強化するよう提案している。すなわち、2002 年にジュニアカレッジに
正式に導入されたプロジェクトワークは、
こうした教育政策の中核的科目であることは間違いない。
その具体的なねらいについては、教育省の説明によれば、「さまざまな領域の知識を組み合わせ、批
判的かつ創造的にそれを現実生活に応用することを目的とした学習」3 となる。そして、その学びの
プロセスについては、
「生徒の知識を強化し、協働、コミュニケーション、自律的学習等のスキルの
獲得と、生涯学習および将来の種々の困難への準備を可能にするもの」4 と説明しているのである。
ところで、そのシンガポールの教育課程は、三重円構造で示される 5。コアとなる円が、課外活動
や道徳、体育、キャリア教育等のライフスキル(Life Skills)に関する領域である。それを包有する
真ん中の円が、プロジェクトワークによって担われる知識スキル(Knowledge Skills)の領域である。
そして外側の大きな円が言語系、人文系、理数系によって構成される内容中心科目(Content-Based
Subjects)の領域となっている。こうした構造の中で、プロジェクトワークは、外円の科目間の相関
性を意識させ、それらを統合させることによって、実際の生活におけるさまざまな問題を解決し、
コアの領域にあたる責任ある市民を育てることを意図した学習活動なのである。特に、2002 年に出
版された「ジュニアカレッジ・後期中等教育レビュー報告書」の提案に基づいて 2006 年から実施さ
れている、日本の高等学校に相当するジュニアカレッジの新カリキュラムでは、思考力とコミュニ
ケーションスキルを中心とした知識スキルが一層強調されており、そのスキルの獲得のために、主
としてプロジェクトワークが重要な役割を果たすと考えているのである 6。
⑵ プロジェクトワークの教育課程での位置づけ
当初プロジェクトワークは、2000 年の 1 月から 11 月までの期間、相互の人間関係の向上や各教科
の知識の連結が期待され、ジュニアカレッジの 1 年生および中央教育学院(Centralised Institute:
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CI)
の2年生全員を対象に試験的に導入された 8。そしてその一連の学習活動の重要性が認識されて、
2002 年に正式に導入されたものである。その後政府は、大学入学許可委員会で検討されたプロジェ
クトワークを 2004 年から試行的に国内の大学入学許可基準(University Admission Criteria: UAC)
に含めることも許可した 9。そして、その試行期間を経て、2005 年から正式に大学入学者選抜にお
いて総合点の 10%をプロジェクトワークの成績が占めるように変更したのである。これは、入学者
選抜と関連する科目において、単なる記憶再生型試験からの脱却を志向するシンガポール政府の姿
勢を表現したことにもなるのである。
また、ジュニアカレッジの科目は、そのレベル毎に H1(Higher1)、H2(Higher2)、H3(Higher3)
に分類されており、難易度でいえば、H2 は大学入試のための共通試験レベル(A レベル)10 とほぼ
同じ水準とされ、H1 の難易度は H2 のほぼ半分だとされている 11。これらの科目群から必修科目と
選択科目を組み合わせて履修するシステムになっている。例えば、H1 レベルであるプロジェクト
ワーク、ジェネラルペーパー、母語の 3 科目に加えて、H2 レベルである科目を 3 科目(文系ならば経
済、歴史、地理、中国語学と文学、フランス語等、理系ならば数学、化学、物理、コンピュータ計算等)、
そして自分の系列に属さない対照科目群(文系の学生は理数系、理数系の学生は文系)から少なくと
も H1 レベルの 1 科目(文系の生徒は生物、物理、数学、化学等の理系科目、理系の生徒は美術、経済、
地理、中国文学史、英文学等の文系科目)
を履修しなければならないことになっている 12。すなわち、
少なくとも H1 科目 4 つ、H2 科目 3 つの合計 7 科目を全員が履修することになる。プロジェクトワー
クは、ジェネラルペーパーや母語科目と同様、H1 の必修科目として位置づけられており、全員が学
習するのである。
このように、プロジェクトワークを正規課程に組み込むことによって、すべての生徒に自律的・
探究型学習の目的を達成させることを可能にしたと言える。さらにその取り組みを大学入学者選抜
とも関連させたことで、卒業後の進路に直接影響を及ぼす科目としてもプロジェクトワークの重要
性を生徒たちが認識することになったのである。たとえば、A ジュニアカレッジのプロジェクトワー
ク担当教員が「プロジェクトワークは地元の大学に入学するための成績として評価されるので、そ
の重要性は(生徒たちに)認識されています。
」13 と指摘しているように、実際、A レベル試験に関
係する科目であることが、生徒の意欲の低下を防ぐ大きな要因になっているようである。
⑶ プロジェクトワークの内容
ジュニアカレッジでは、プロジェクトワークは基本的に第一学年において毎週実施されている。
配当時間は学校によって異なるが、週 50 分~ 135 分間であるケースが多いようである。たとえば、
C ジュニアカレッジでは、1 時間ずつ週 2 回、週合計 120 分間がプロジェクトワークに割り当てられ
ており、4 月から 11 月の 8 ヶ月間取り組んでいるが 14、D ジュニアカレッジでは週 1 回 50 分間で通
年行われている 15。
このプロジェクトワークは、毎年二種類の「プロジェクトタスク(Project Task)」というテーマが
設 定 さ れ、教 育 省 の 試 験 管 轄 部 門 機 関 で あ る SEAB(Singapore Examination and Assessment
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Board)
からすべてのジュニアカレッジに周知される。生徒はタスク 1 かタスク 2 の二つの選択肢
からいずれかを選択することができる。これまでのテーマを一部挙げてみると、「見た目以上のも
の(More than Meets the Eye)
」
「あるべきかあらざるべきか(To Be Or Not To Be)」
(2002年)、
「運
動量・勢い(Momentum)
」
「開拓者・革新者(Groundbreaker)」
(2007 年)、「旅(Journeys)」
「現代化
(Modernisation)
」
(2008 年)等、抽象度の高いものになっている。
その趣旨に沿って、生徒たちは具体的な研究テーマを検討し、研究企画書を作成し、担当教員に
研 究 の ア ウ ト ラ イ ン を 提 出 す る こ と に な る。 こ の 最 初 の 段 階 で あ る 仮 説 予 備 的 ア イ デ ィ ア
(Preliminary Ideas: PI)は、テーマの選択理由やプロジェクトの実現可能性、情報収集の手段、研究
実践のステップなどを記載し、500 語以内で作成して提出する。その後、4 ~ 5 人から構成されるグ
ループでグループプロジェクト企画書を提出する 17。その両方が合格してはじめて、研究のスター
トラインに立つことができるのである。
では、生徒はこのような抽象的なテーマをどのように解釈し、研究を進めるのだろうか。B ジュ
ニアカレッジにおける例を取り上げながら、その活動について考察する。2007 年のプロジェクトタ
スクの一つは、
「開拓者・革新者(Groundbreaker)」であった。あるグループは、「チョコレート」に
注目しそれをグループの研究テーマに定めた。チョコレートの創始者や製作開始への道筋など、そ
の歴史や変遷についてまず調べた。それから、現代に視線を移し、商業的な視点も加えて世界各国
のチョコレート消費量などを比較した。そして次の段階として、「中国の人にチョコレートを売る」
というプロジェクトを考案し、より多くの中国人にチョコレートを気に入ってもらうにはどうした
らいいか試行錯誤を重ねた。たとえば、
チョコレートに漢方などの中国のハーブを加えてみるなど、
アイディアを出し合い、実際に自分たちでチョコレートを試作し、それを一般の人に食べてもらっ
た。そして試食した人から意見を収集し、その結果をまとめている 18。
ここでユニークなのは、
「どのようなチョコレートが中国人に好まれるのか」、という新たな課題
を自分たち自身で発見し、それに対して実際に製作、試食、調査、といったアクションを伴うプロセ
スを発展させていった点である。既存の情報を引用し、まとめあげていくことのみに終始せず、こ
れまでになかったものを創造し発信する段階まで到達しているのである。同様のことは、2004 年の
タスクの一つであった「自然の威力(Natural Forces)」における C ジュニアカレッジの取り組み例
からも確認できる。ここでは、生徒たちは自然の驚異や威力に関連する具体的事象について調べた
だけではなく、たとえば雨の日でも濡れずに歩ける靴やカモフラージュするための迷彩服などの開
発もおこなっている 19。
こうした活動の特徴は次の 3 点に集約できる。第一に、生徒は情報の受け手ではなく、その内容
やレベルがどうであれ、新しい知識の創造者であることが求められることである。つまり、ただ探
求することで終わらせずに、目に見える形でその成果を提示させ、そこに生徒たちが喜びを見出せ
るような内容を展開している。第二に、その成果が実際の生活と関連のあるものになっていること
が指摘できる。第三に、全員が共通の課題に基づいており、かつプロジェクトの結果が A レベル試
験にも反映されるため、士気の低下を防げていることである。2 つのタスクのみから 1 つを選択す
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るために、同じタスクからどんなユニークな課題をみつけるのか、どのグループの研究が進んでい
るのか、さらには発表ではどのグループが良いのかが周知の事実となる。そうしたなかで、文章や
口頭発表で相手にわかりやすく伝えることの重要性も同時に認識することになるのである。
2. プロジェクトワークの指導と評価
⑴ 指導の実態
上述したように、プロジェクトワークにおける中心は生徒たちの自律的な学びである。したがっ
て、教員はファシリテーターとして生徒たちをサポートするような指導が求められている 20。では、
実際にプロジェクトワークはどのように指導されているのだろうか。この点について、聞き取り調
査によって得られた結果をもとに、指導の方法や形態を以下で検討していくことにする。
ジュニアカレッジでは 1 クラス 25 人が標準であり、多くても 28 人である。プロジェクトワークで
はそれを 4、5 人のグループに分けるため、1 クラスおよそ 5 ~ 6 グループが構成されることになる。
グルーピングについては、
「好きな人同士」のような生徒の希望を尊重するのではなく、担当教員が
機械的に割り振るのが一般的なようである。このことについて、ある担当教師は「実社会に出た場
合、チームを組んで一緒に仕事をする相手は自らの意思で選べないことがほとんどです。誰とでも
協調し、協力してプロジェクトを完成させることが求められるのです」21 と説明している。一般に、
教員一人の担当は 1 クラス、すなわち 5、6 グループである。この際、担当教員の教科は特定されて
いるわけではないが、多くの学校ではジェネラルペーパー担当の教員がプロジェクトワークを担当
する傾向があるようである 22。
そして、その指導は基本的に以下の三段階を踏むことになる。指導の第一段階に当たるのが、具
体的テーマの設定である。具体的には、SEAB から A レベル試験の一環として通達された主題で
あるタスクから、
グループ研究の具体的テーマを設定し、研究計画を立案するまでである。そこでは、
生徒の主体性が重視されるものの、生徒の提出した計画書が、SEAB が規定するタスクのねらいと
要求条件を満たすものであるかが、一つ一つ担当教員によって厳しくチェックされる。ここには担
当教員の指導方針も反映されることになる。
「教育省(SEAB)からおりてくるタスクをどう消化していくのかを考えるときに、ひとつひ
とつのコミュニティに対して何かを提案したり、何らかの貢献ができることが望ましいという
スタンスに立って指導しています。そのようにして、生徒たちにはコミュニティに積極的に関
わって欲しいと考えているからです。たとえば、少子高齢化をどのように食い止めることがで
きるのか、出生率をどのように上げることができるのか、お年寄りが IT を使えるようにどの
ように支援できるかなど、教育の価値を(プロジェクトワークによって)社会に反映させるこ
とができればと考えています。
」23
こうして各グループのプロジェクト案が許可されると、クラス単位の全体指導に入る。これは、
各グループが具体的なグループ研究活動に入る前の下地作りとして、それぞれの学校で行っている
指導方法であり、指導の第二段階であるといえる。
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「最初はブレーンストーミングなどを行い、研究の基礎的方法について全体指導を行います。
それから、インタビューの仕方、調査の仕方などのリサーチスキルを教えます。」24
「調査の仕方を中心に、クラスでスキル指導を行います。それから、個別のグループ活動に対
して、助言や提言を行っていくのです。
」25
このように、担当教師はただ生徒の自主性・主体性に任せているのではなく、自律的学習の前提
条件ともいえる自分たちの研究を展開していくうえで必要不可欠なスキル、たとえば情報収集、イ
ンタビューの仕方や量的調査の方法など、調査方法の基礎を授業形式で指導しているのである。A
ジュニアカレッジでは、こうしたスキル指導にはレクチャー形式を、グループ活動には少人数ゼミ
のようなチュートリアル形式で行っている。
基礎的スキルの学習を経て、
生徒は実際のグループ活動が開始されることになる。文献レビュー、
データや情報の収集など、その都度ファイルに整理される。そうしたグループ研究の進行状況に対
応しながら、
教員は活動状況の観察やプロジェクトファイルのチェックをし、個別指導や助言を行っ
ていく。これが、自律的学習を促進する第三段階の指導となる。プロジェクトワークの趣旨からみ
ても、この第三段階の活動、換言すれば生徒主導のグループ研究活動がその中心部分に相当するこ
とは明らかであるが、ここでの教員の指導が難しいことは、以下の発言からもうかがい知ることが
できる。
「生徒の活動中、教師は生徒が提出するファイルの内容のみならず、グループが活発に活動し
ているか、チームワークが図られているか、など活動の様子を常にモニターしなければなりま
せん。各生徒の仕事量が平等に分担されているか、みなが協力しながら積極的に活動を展開し
ているかなどを観察し、問題があると判断したときは場面に応じて指導したり、その問題を解
決するよう働きかけたりします。
」26
「生徒は教師の助言が必要です。しかし教師はやり方や解をそのまま教えるべきではありま
せん。指導の基本姿勢としては、いつも生徒に問いかけ、考えさせ、改善点を探らせるように
工夫しています。生徒にはただ材料だけ与えても、それをどのように料理してよいかわからな
いので効果がありません。生徒には料理の仕方を教える必要があるのです。」27
このように、プロジェクトワークの指導には、ほかの教科と異なった指導方法と形態が求められ
るが。その成功の一つの鍵は、教員の指導力である。たとえば、B ジュニアカレッジでは、プロジェ
クトワークの指導力向上のために、定期的な担当者会議を週 1 回持つようにしている。こうするこ
とで、複数者で担当するプロジェクトワークにおいて、足並みの揃った効果的な指導を行うことが
できる。つまり、プロジェクトワークの指導には、生徒の主体性を尊重しつつも、その特性に即し
た適切なサポートや継続的で綿密なケアが必要不可欠となるのである。
⑵ 評価の観点
次に、プロジェクトワークの具体的な評価基準について、教育省によるガイドライン 28 を主な分
析材料とし、担当教員へのインタビューによって得られた資料を補足しながら検討する。その評価
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は次の3つの観点から行われる。一つは、
筆記レポート(Written Report)、もう一つは口頭発表(Oral
Presentation)
、そして、グループプロジェクトファイル(Group Project File)である。これをまと
めたものが、下記の表 1 である。
【表 1:成績評価基準】
成績評価の観点
個 人
筆記レポート
・2500 ~ 3000 語の解説
・情報源の明示
グループ
・アイディアの実証性
・生産的なアイディア
・アイディアの分析と自己評価
・アイディアの構造化
口頭発表
・各グループ 4 人の場合最大 25 分、5 人の場 ・主張の流暢さと明快さ
合 30 分
・聴衆の意識喚起
・各自最少で 5 分
・質問への対応
・5 分を超えないグループ発表を含む
・質疑応答
グループプロジェクトファイル
・各自提出:
・仮説的アイディア
・関連のある資料・材料の評価
・考察と振り返り
・効果的な口頭発表
・生産的なアイディアか
・アイディアの分析と自己評価
(出典)8809 H1 Project Work(2008),Ministry of Education, Singapore. をもとに作成
表 1 にみられるとおり、プロジェクト終了後、グループ毎に筆記レポートを提出しなければなら
ない。これは、各グループが獲得したスキルを活用しながら自分たちの研究成果や能力を共同で表
す最終作品となり、グループ活動の得点としてカウントされる。次に、口頭発表では、一人ひとり
が担当箇所を発表し、質問に応答することになる。これは個人成績ならびにグループ成績双方にカ
ウントされる。その際、主張の首尾一貫性や審査員を印象づけるプレゼンテーションかどうかとい
う点が特に重視される 29。さらに、グループプロジェクトファイルでは、生徒が初期のアイディア
を発展・統合させ、収集した情報を的確に分析したかが評価される。ここで生徒は、仮説的アイディ
ア、関連のある資料や材料の評価、洞察と振り返り、という一連のプロセスを明示することが求め
られるのである。
⑶ 評価の配点
では、それぞれの評価点の割合はどのようになっているのであろうか。評価は筆記レポート、口
頭発表、グループプロジェクトファイルの三点を対象とし、グループとしての評価および個人評価
の二つの側面から行われる。それぞれの割合を示すものが、下記の表 2 である。
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【表 2:評価点の割合】
評価の対象/観点
グループ
個人
合計
筆記レポート
40%
―
40%
口頭発表
10%
30%
40%
グループプロジェクトファイル
―
20%
20%
合計
50%
50%
100%
(出典)8809 H1 Project Work(2008),Ministry of Education, Singapore. をもとに作成
表 2 で示した成績評価基準にしたがって、各生徒は、それぞれ 3 つの観点においてグループとして
の成績、個人成績としての成績が表 2 に示す割合で判定される。最も高い配分となっているのが、
グループごとに 2500 ~ 3000 単語を使用して作成することが義務付けられているレポートであり、
これが全体の 40%を占める。これは、形として残る調査研究の集大成ともいえるものであり、また
内容や研究成果のみならず、デザインや構成、色使いなど、各グループの個性が表現されるところ
でもある。同じく 40%という高い配分となっているのが、口頭発表の成績である。これは、グルー
プ発表によるグループ全体としての評価点 10%と、グループ内における担当箇所の個人発表の評価
点 30%を合わせて計 40%を占めることになる。ここは、生徒一人ひとりにとってグループ内におけ
る自らの役割と研究への貢献をアピールする機会であり、これを通して発表内容の充実度や論理性
はもちろんのこと、発表能力や表現力、プレゼンテーションスキルも問われることになる。また質
疑応答への対応から研究した内容について十分な理解があるかなども、一人ひとり直接確認される
ことになる。口頭発表の具体的な状況については、次の発言が参考になる。
「約 25 分のオーラルプレゼンテーションは本格的で、リハーサルも行われます。生徒はみな
非常に緊張してその場を迎えます。他の生徒も発表を聞くのですが、審査をするのは教師二人
です。教師はプレゼンテーションを聞き、評価を行います。また、質疑応答も行うので、生徒
はそれぞれ予想される質問に対してきちんと説明できるように用意周到に準備しておく必要が
あります。質問後、5 分間それに対しての回答を考える時間を与え、生徒は質問に答えること
になります。
」30
各学校の教師が評価基準に基づいてランク付けを行う口頭発表は、やり直しがきかない試験であ
るため、生徒にとっては、学校生活上の一大イベントであることがわかる。教師にとっても A レベ
ル試験の一部の評価を下す場であり、その意味では、プロジェクトワークのハイライトともいえる
ものである。そして、残り 20%の評価はグループプロジェクトファイルが占めることになる。これ
は、プロジェクト企画の基盤となるアイディアを記載する仮説予備的アイディア(Preliminary
Ideas: PI)
、グループで選定したトピックに関する資料の有効性の評価や分析を綴る「関連資料の評
価(Evaluation of relevant print/non-print Material: EoM)」、プロジェクト終了後にプロジェクト
の考察と振り返りを行う「洞察と振り返り(Insight and Reflections: I&R)」の三部から形成される。
それぞれ、使用する単語数と提出時期が規定されている 31。
また、表 2 に示すとおり、グループとしての評価点と個人としての評価点の割合はそれぞれ 50%
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であり、プロジェクトワークの総合成績は、その総計として算出される仕組みになっている。した
がって、いくら個人で努力してもそこで獲得できる得点には上限があり、プロジェクトワークでは
共同作業やチームワークが欠かせないのである。そして、表 2 の「筆記レポート」
「口頭発表」
「グルー
ププロジェクトファイル」
のそれぞれの観点に対して、たとえば「筆記レポート」ならば、「アイディ
アは豊富か」
、
「アイディアは統合されているか」
、「アイディアの分析は適切か」、「アイディアは構
造化されているか」
、等の下位基準が定められており、それに照合させて「基準を十分に満たす」
「基
準を満たす」
「基準を満たすには不十分」などのように到達レベルの判断が下されるのである。そし
て、どういうものが「基準を十分に満たす」内容なのかについても明確な記載がある 32。
以上のように、評価については表 1、表 2 が示すとおり、すべて教育省によって明瞭で細部にわた
るガイドラインが定められ、すべてのジュニアカレッジが同一の評価基準に従って国家共通試験と
してのプロジェクトワークを実施し、成績を算出している。適切に成績処理されるための評価シス
テムが確立されていることがわかる。
3. プロジェクトワークの意義
⑴ 学習効果
本節では、上記のような指導と評価の方法に基づいて展開される、プロジェクトワークからの学
びや学習成果に着目することにする。教育省の説明によれば、プロジェクトワークの学習効果は、
以下の表 3 のように 4 つの学習領域を網羅しており、それに沿った次のような成果が期待される。
【表 3 学習領域と期待される学習効果】
学習領域
知識活用
コミュニケーション
協同作業
自律的学習
期待される学習成果
多様な情報源からの情報収集と新しい知識の創造及び課題解決への活用
発表能力と文章と口頭による表現力の向上
共通の目標にもとづくグループによる協同作業スキルの獲得
個別学習とその反省及び改善
(出典)8809 H1 Project Work(2008),Ministry of Education, Singapore. をもとに作成
まず、
「知識の活用」は、多様な情報源から必要な情報を収集、選別してそれを活用する力、そし
てさらに新たな知を創造し問題解決に役立てることが期待される。教員側は、学習成果としてのプ
ロジェクト内容やそれに付随するレポートや発表内容のみならず、活動の過程でどのような情報源
から何を引き出し、どのような知恵を出し合っているのかなどの点を適宜評価することになる。二
番目の「コミュニケーション」は、文章表現力やプレゼンテーション力の向上が期待でき、三番目の
「協同作業」は、グループ内で協力しながら活動を進めることが求められ、チームワーク力や協同作
業スキルの獲得が目指される。最後の「自律的学習」とは、協同が基本であっても、担当部分を一人
で探究することもある。そして何より、伝達された知識を記憶するタイプの学習ではなく、自分た
ちで課題を設定し、それを追究していくという能動的な自律的学習の促進につながるのである。こ
― ―
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シンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワーク
うした学習領域から明らかなように、教員は最終的なレポートや発表会の時などに、作業の成果の
みを評価するのではなく、長期間にわたってその途中経過でも適宜評価しなければならない。した
がって、調査研究のプロセスが重視されているといえる。そして、そのプロセスを観察、助言し、評
価を行う教員側の負担は極めて大きいことは、先述したとおりである。
プロジェクトワークが生徒にもたらす学びについて、C ジュニアカレッジのプロジェクトワーク
担当教師は次の8点を指摘している。すなわち、
それらは、リサーチを通しての「知識の活用」、コミュ
ニケーションの仕方やグループにおいて自分とは異なる個性や能力を持つ仲間との協働を通しての
「コミュニケーションスキル」
、ねらいに即した計画の立案、提出期限を考慮しての計画の履行、チー
ムメンバーとの役割の分担などを通しての「思考力」、プロジェクトを通して発生するさまざまな問
題の解決を通した「問題解決能力」
、レポートでの学術的な論文の書き方から学ぶ「ライティングス
キル」
、インタビューやアンケート調査などの調査、データの収集や処理の仕方から学ぶ「リサーチ
スキル」
、口頭発表を通しての「プレゼンテーションスキル」、そして、プロジェクト全体の実行を通
しての「自律的学習」
である。これらは、表 3 に示される 4 つの学習領域以外にも、プロジェクトワー
クには多くの学びがあることを示している。つまり、さまざまな領域の知識の活用や統合、そして
リサーチや調査結果の報告等で求められる表現力をはじめとする各種スキル、さらにはチームワー
ク・協同一致の精神、生徒主導の探究型自律的学習など、プロジェクトワークはほかの科目とは異
なる総合的、
横断的な学びと言えるのである。こうしたプロジェクトワークの果たす役割について、
担当教師たちは次のように自覚している。
「産業界から、学校教育において生徒に創造的かつ批判的な思考力を育成するよう要請され
たことが契機となり、プロジェクトワークがその中心的役割を果たすよう期待されました。」33
「A レベル試験の後、入学するであろう高等教育機関での研究活動に、プロジェクトワーク
型の学習が役立ちます。そして何よりも、大学に進学するにしろしないにしろ、このようなタ
イプの学習スタイルは後の実社会で必要なスキルであり、プロジェクトワークはその備えにな
るものなのです。
」34
こうした発言からわかるように、担当者側はプロジェクトワークの意義を産業社会や学校教育終
了後の実社会のニーズに連動させて認識している。これは、教育省が「今日の変化の激しい世の中
において、生徒たちは特定の領域に限定されず、オープンエンドな状況で提示される種々の情報を
適切に処理し、問題解決を図る方法を学ばなければならない。」と説明するプロジェクトワーク導入
の背景に関する内容と一致する主張である。
⑵ 受験型学力との関係
このように、シンガポールではプロジェクトワークの明確な存在意義を見出していることがわか
るが、ここで一つの疑問が浮かんでくる。日本では「総合的な学習の時間」に代表される横断的な学
習や体験的な学習と、学力向上問題という二者がしばしば対峙する問題として議論される。大学入
学準備期間としてのジュニアカレッジにおいて、リサーチ型のプロジェクトワークが、従来の学力、
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東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 57 集・第 1 号(2008 年)
いわゆる伝統的な受験型学力と対立関係にはならないのであろうか。この点に関して、ある教師は
次のように語っている。
「もともと全ての知識は統合されるべきものです。科学も数学も別のものではないのです。
知識はただ知っているだけで活用できなければ意味がありません。スキルを伴って応用された
ものが社会にとって重要なのです。プロジェクトワークでは情報活用能力を伸ばし、質問や疑
問点などを自ら考えることで思考力も養います。そのようなスキルを習得するためにプロジェ
クトワークは必要なのです。もちろん、従来のテストスコアも重視はしており、学力向上を目
指すことには変わりがありません。これまでの教育内容にスキル面を加えたのです。」35
また、学力との関連については複数の教員とのグループディスカッションにおいて、次のような
意見も寄せられている。
「プロジェクトワークのような学習を行うことで、あらたに他教科の学習意欲が向上する場
合もあります。何のために勉強するのかその意義を見出せなければ、学習意欲はわきません。
プロジェクトワークは生徒にとって、各教科の知識や学習の必要性を認識する場になりうるの
です。
」36
これらの発言はプロジェクトワークが学力向上と対立するものではなく、逆に学力向上にも効果
をもたらす可能性を示唆していると言える。2002 年の「レビュー報告書」、そして 2005 年導入の
‘Teach Less, Learn More’ など近年の教育改革にともない、シンガポールの学力観には変化とその
幅の拡大が認められる 37。ジュニアカレッジでは A レベル試験に対応できるアカデミックな学力
を伸ばすことに対する重要性の認識は以前と変わらないが、従来の学力を維持しつつ、個性とそれ
ぞれの能力や多様性を尊重し、生徒の自律的学習をより奨励してきているのである。そうして、学
校教育においては試験のための勉強という狭い枠を抜け出し、知識の統合、批判的な思考力、創造力、
応用力などを育成しようとしている動きがある。こうした状況の中で、プロジェクトワークという
学習形態の重要性は、確実に高まってきていることは明白なのである。
おわりに
以上、本論でシンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワークの現状と特質につい
て、教育省による資料、および聞き取り調査のデータに基づきながら、指導と評価を中心に検討し
てきた。その結果、この科目が有効に機能するための仕掛けとして指摘できることは、以下の 3 点
であることがわかった。
まず、ジュニアカレッジにおけるプロジェクトワークは必修科目としてカリキュラムの核の一つ
として位置づけられているだけではなく、大学入試に直結する A レベル試験の科目としても、その
重要性が教員と生徒双方に認識されているという点である。この成績が大学進学に直接影響を与え
ることで、生徒にとっても真剣に取り組まざるを得ない状況になっているのである。もちろん、教
員もその重要性を認識しているため、教育省の定めるねらいや目的について、彼らの間で基本的な
共通認識ができているようである。
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シンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワーク
次に、教育省の試験管轄機関である SEAB がガイドラインを詳細に設定し、プロジェクトワーク
の指導と評価が、それに基づきできるだけ綿密にそして多角的に行われているという点である。授
業内容及び実践方法を完全に自由にしてしまうと、教師ごとにその内容や質が大きく異なってくる
という問題が出てくる。それを避けるために、他の科目と同様に、ガイドラインを設定することで
共通の基準を満たすように求めているのである。もちろん日々の指導や実践は多様であって構わな
いが、テーマの妥当性の確認、研究方法の教授、活動の観察、ファイルの点検や数回にわたる提出物
の評価等、数多くの共通部分が求められることになる。
そして、プロジェクトワークは単に生徒の主体性に任せた調べ学習に終始するのではなく、アカ
デミックな研究スタイルに近いリサーチ活動であり、そうした活動を通して生徒は多様なスキルを
身につけることが意図されている。
その際、
教員は解を与えるのではなく、その導き方を助言し、ファ
シリテーターとしてきめ細かな指導を行いながら、教員同士で適宜チェックしているのである。彼
らの活動のすべてがうまくいっているとは考えられないにしても、実質的に何の取り決めもない日
本の「総合的な学習の時間」と比較した場合、それらは極めてシステマティックであり、構造化され
ていると言える。
最後に、本稿はプロジェクトワークが有効に機能する点について注目してきたが、このプロジェ
クトワークについても、もちろん検討されるべき課題が存在していることも確かである。そうした
点に着目することでも日本の「総合学習の時間」
の改善に寄与できると考えられるが、この点につい
ては別稿に譲ることにしたい。
【注】
1 主なデータは、2008 年 6 月と 7 月にジュニアカレッジ 4 校を訪問して行った教員への聞き取り調査および資料収
集に基づく。またその他に、同年 3 月と 4 月にも電話によるインタビューを行った。
2 英語の教員が担当する論文作成を目的とする科目。必修科目であり大学入試(GCE-A level)の試験科目の一つで
もある。社会学や文化人類学など幅広いテーマを扱う(ジュニアカレッジ教員へのインタビュー調査より)。
3 Ministry of Education, Singapore, Programmes, Project Work, 2008.〈http://www.moe.gov.sg〉
(2008 年 8 月 20
日アクセス)
4 Ibid.
5 Ministry of Education, Singapore, Nurturing Every Child, 2006.
6 Ministry of Education, Singapore, New ‘A’ Level Curriculum 2006, 2007.
7 三年制の中央教育学院は、二年制のジュニアカレッジと同様、後期中等教育機関であり、主として大学準備教育
を行っている。
8 Ministry of Education, Singapore, “PROJECT WORK TO BE INCLUDED FOR UNIVERSITY ADMISSION IN
2005”, Press Releases, 2001.
9 Ibid.
10 A レベルとは、大学進学を目指して受験する共通試験 GCE-A レベル試験(The Singapore Cambridge-General
Certificate of Education-Advanced)のことを指し、シンガポールでは大学入試レベルの水準を総称して A レベル呼
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東北大学大学院教育学研究科研究年報 第 57 集・第 1 号(2008 年)
ぶ。
11 Ministry of Education. Singapore. Junior College/Upper Secondary Education Review Committee. Report of the
Junior College/Upper Secondary Education Review 2002.
12 Ibid.
13 聞き取り調査より(2008 年 7 月実施)。
14 聞き取り調査より(2008 年 3 月実施)。
15 聞き取り調査より(2008 年 6 月実施)。
16 かつての教育省試験管轄部(Examinations Division of MOE)が統合され、2004 年に SEAB として設立された
(Ministry of Education, Singapore, “Formation of Singapore Examinations & Assessment Board”, Press Releases,
2004.)。
17 聞き取り調査より(2008 年 7 月実施)。
18 聞き取り調査より(2008 年 7 月実施)。
19 聞き取り調査より(2008 年 4 月実施)。
20 Ministry of Education, Singapore, Contact Issue13, July, 2005.
21 聞き取り調査より(2008 年 7 月実施)。
22 聞き取り調査より(2008 年 7 月実施)。
23 B ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当主任教員へのインタビューより(2008 年 7 月実施)。
24 A ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当主任教員へのインタビューより(2008 年 7 月実施)。
25 C ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当教員へのインタビューより(2008 年 5 月実施)。
26 同上。
27 B ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当主任教師へのインタビューより(2008 年 7 月実施)。
28 Ministry of Education, Singapore, PROJECT WORK Higher1 (Syllabus8809), 2008.
29 Ibid.
30 A ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当主任教師へのインタビューより(2008 年 7 月実施)。
31 学校訪問時の聞き取り調査において入手した SEAB による内部資料より。
32 Ministry of Education, Singapore, op.cip.,28.
33 A ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当主任教師へのインタビューより(2008 年 7 月実施)。
34 C ジュニアカレッジ・プロジェクトワーク担当教師へのインタビューより(2008 年 5 月実施)。
35 E セカンダリースクール教頭とのディスカッションより(2007 年 12 月実施)。
36 D ジュニアカレッジの教員 4 名とのディスカッションより(2008 年 6 月実施)。
37 小川佳万・石森広美「シンガポールにおける学力観の変容―ジュニアカレッジの教育課程に焦点をあて―」
『東北
大学教育学研究科研究年報』第 56 集第 2 号、2008 年。
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シンガポールのジュニアカレッジにおけるプロジェクトワーク
The Features of ‘Project Work’ in Singapore Junior Colleges
―Focus on Guidance and Evaluation―
Yoshikazu OGAWA
(Associate Professor, Tohoku University, Graduate School of Education)
Hiromi ISHIMORI
(Graduate Student, Tohoku University, Graduate School of Education)
This paper explores the characters of ‘Project Work’ at the junior college level in Singapore,
revealing how it is guided and evaluated at class, mainly based on the documents of local schools
and the interview data to junior college educators.
In Singapore, after the introduction of the education policy called “Teach Less, Learn More”,
student-centered instruction or students’ independent learning have come up to the key issue of
public discussion in education. Due to such an environment, ‘Project Work’ as one school subject
has been more expected to enhance independent learning and creative exploration. In fact, as
such documents as "Report of the Junior College/Upper Secondary Education Review Committee"
and the syllabus of the new ‘A’ Level Curriculum clearly show, a greater emphasis is placed on
knowledge skills such as communication and conceptual/critical thinking since ‘Project Work’
requires students to think across disciplines, engage in research, and learn communication skills.
At the junior college level, in particular, the ‘Project Work’ is the more important subject for
students, since it not only helps them to develop various skills across the curriculum, but also the
score is connected to university admission. In the class of ‘Project Work,’ students generate
feasible research topics among the two big themes given by the Singapore’s Ministry of
Education (MOE) as a part of National Examination. Teachers usually teach research skills in
class, and, then, guide them by giving useful comments or suggestions while they conduct their
work. The assessment criteria of the ‘Project Work’ has three main components, namely, ‘Written
Report’, ‘Oral Presentation’ and ‘Group Project File’, which are all clearly set in the MOE’s ‘Project
Guideline’. The whole process is highly structured and systematic as it is a part of the National
Examination.
Key words:Singapore, Junior College, Project Work, Knowledge Skills, Independent Learning
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