EDIの時代的側面 −第1回:社会的側面から見たEDI− COMPUTER REPORT掲載記事 1994年10月号 藤野裕司 はじめに 「EDI」という言葉が、ようやくあちこちで聞かれるようになってきた。雑誌や新 聞の記事でも時々お目にかかることがある。ところが、その実態は?というとこれ がなかなか上手くつかめない。出版物も非常に少ない。人に聞いても、その答えは 十人十色。どうやら、未だその確たる定義は定まっていないようである。 ただ、その言葉の使われ方、検討のされ方を見てみると、どうも技術的側面ばか りから語られているような気がしてならない。確かにElectronic Data Interchange と言うと、技術先行のイメージになってもおかしくない。 ここでは、EDIの技術論は他書(もっとも、ほとんどは業界・各種団体発行の報告 書類になるだろうが)に譲るとして、その側面、つまり社会情勢や経済的な背景か ら眺めてみることにしてみたい。もちろん、これは筆者個人の見解から述べている わけで、当然それに異論も多々あるだろう。まあ、EDIに近い者が語るささやかな独 り言として読んでいただければ幸いである。 本編は3回連載で、次のような構成になっている。 第1回 「社会的側面から見たEDI」 第2回 「EDIの歴史的検証」 第3回 「EDIのあるべき姿と未来」 まず第1回は、日本が経済不況からはい上がろうとしている今、情報システムに問 われることは何か。また、それは情報システム部門だけの問題として良いのか。米 国の事情も踏まえて問題を提起してみたい。 第2回は、世界と日本のEDIの歴史を各国の情勢と重ね合わせて、その発展の経緯 をまとめてみる。 第3回は、日本の現状を分析しつつ、今後どのような方向に進んで行くのか。また、 EDIの未来はどのような形を目指すのかを考えてみたい。 さて、本題にはいる前にこのシリーズを通してのEDIの定義をしておきたい。ここ ではメインタイトルにある「時代的側面」という視点から、従来の商流・物流に加 え、新たな流通「情報流通」として位置付ける。もう少し具体的(というより固め) に表現すると、欄外の(注1)のようになるのでそれは別途ご参照いただきたい。 -1 - 今、時代の流れは 昨今、新聞ではようやく不況からの脱出を示す記事が見られるようになってきた。 といってもすべての業界ではなく、やはり一部の業界からといった方が正しいだろ う。それらの記事を見てみると、「流通コストの削減」とか「物流の統合」、「部 品の共用」等、企業間連携による効率化に起因するところが少なくない。 ここで、この「効率化」の特徴を考えてみよう。まず不況脱出のための企業側対 策として、従来は内部努力のみで処理してきた部分が多かった。しかし、長引く不 況の中自社内で処理できることには限界があり、次の一手として外部に目を向け始 めたことがわかる。つまり企業連携によるコスト圧縮である。もうひとつの特徴は、 いわゆる守りの効率化ではなく、きわめて戦略性の強い攻撃的な効率化が行われて いることだ。 今、盛んにBPRが叫ばれている。これを企業内BPRだとすると、この新しい効率化 の波は企業間のBPRと言えるだろう。もちろんそこに情報システムが大きく関与して いることは間違いない。情報システム部門からみると、アプリケーション・エンジ ニアリングの大きな一要素と考えてよい。しかし、これは一時期言われた「差別化」 や「戦略的情報システム(SIS)」と同列に並ぶものではなく、その対極に位置する ものである。 日本にとってこれは新しい動きではあるが、同じような例がすでに米国で行われて いる。 米国の事情 米国で戦略システムが唱えられたとき、その成功事例としてよく挙げられたのが 読者もよくご存じのアメリカン・エアライン(AA)とアメリカン・ホスピタル・サ プライのSISである。AAの例では、これにより高いシェアを得、業界における不動の 地位を確保した点についてはよく語られる。しかし、その裏でイースタンやパンナ ムなどに代表される老舗の航空会社が倒産に追い込まれたというのも事実である。 このときの主因は規制緩和だったのだが、SISの発想がこのようなPUSH型経済下にお いては有効な手段であったことをこの例では示している。 ところが、世の中がPULL型経済に変わると、個々の「イケイケ」が通用しない不 況となってきた。こうして生まれたのが「みんなでアメリカを強くしよう!」「バ イ、アメリカン」のかけ声である。 ここではEDIに関連の深い3つの業界について述べてみたい。 1.自動車業界 この業界は不況の最たるものとして挙げられたが、その主な要因は国内を日本車 が席巻したことにある。そこで「日本に負けるな、日本を追い越せ」と業界をあげ ての(もちろん政治的圧力もあったが)復興が始まった。製造工程の見直し、部品 の共通化、流通経路の多様化・効率化。そしてその結果、フォードのトーラス,ク ライスラーのネオンのような低価格車を世に送り出し成長に転じて今日に至る。 2.アパレル業界 1980年代初頭、それまでは限られた分野にしかなかったNIES製品が、アパレル全 分野を覆うようになった。そこで、単に安価な製品を作るのではなく、消費者の需 要動向を小売り段階で見きわめ直接製造に反映する、それにより製造ロスの削減と 流通の合理化を実現した。これがロジャー・ミリケン氏が提唱し、実施例としてウ ォルマート、JC.ペニーなどに代表されるQR(Quick Response)である。その効果 をあげると、製品開発から納品までの期間を66週間から21週間に短縮し、値切りロ ス・見切りロスを売上高の26%相当削減することができた。(図1) -2 - (原糸) 原糸メーカー 生地メーカー アパレルメーカー 66週間 製造 11 週 在庫 55 週 メーカー営業部門 メーカー DC 発 注 小売業 DC 小売業店舗 21週間 小売業本部 値下げロス 消費者 販売機会損失ロス 250億ドル (売上×26ドル) 120億ドル 図1 QRと期待効果 3.日用品・雑貨・食品業界 大型小売り店の形態には、百貨店、スーパーマーケット、ディスカウントショッ プがある。ディスカウントショップとスーパーマーケットは主に食品取扱いの有無 でその住み分けを行っていた。 しかし、1990年代に入るとディスカウントショップでも食品を扱うようになり、ス ーパーマーケットはその存在価値を問われるようになる。ここに危機感を感じたア メリカ・フードマーケティング協会は、KSA(カートアンドサイモンアソシエイト・ マネージメント・コンサルタント社)に依頼し、業界の競争力強化のため製販直結、 流通経路の見直しを行った。そしてそれを1993年にまとめあげ、発表したのがECR(E fficient Consumer Response)である。これによると、業界全体で300億ドルの経費 削減、41%の在庫圧縮が可能だという。(図2) 情報の流れ (4)新商品開発 Push (3)販促活動 (1)品揃え メーカー (2)補充活動 Pull 卸/物流 物の流れ 図2 ECRの4つの戦略 -3 - 小売 PULL型経済下における戦略的なネットワーク接続 米国の例でわかるように不況脱出、危機回避に情報システムは大きく貢献してき た。 これらの事例では、企業間・業際にわたるネットワークの整備が前提となっている。 このようにPULL型経済下では、お互いが低コストで対等に接続でき、得られた利 益を共有しようとする戦略的ネットワークが、非常に経営に有効性を発揮する。こ のようになって初めてEDIといえるのではないだろうか。 ところが、日本の大手企業では企業間ネットワークはすでにできあがっており、 「何も今さらEDI・・・」の感が強い。 しかし、その独自のネットワーク、独自のデータフォーマットであらゆる業態の 企業と幅広く接続できるだろうか。否である。加速度的に増えていく接続先と個々 のデータフォーマットの調整を行ったり個別システムを追加していくのは、それだ けでコスト増が重なり実施までのリードタイムが長引くばかりである。 差別化から標準化へ 以前、「差別化」という言葉が一世を風靡した。 確かにPUSH型経済下では企業独自のシステムが企業を発展に導いていたことは間違 いない。しかし、世の中はPULL型経済に転じている。もう後戻りはできないのだ。 ならば、その流れに見合った策を講じる必要があるだろう。 たとえば、前述のSISもさることながら、ここではPCを思い出して頂きたい。 日本では10指に余るPCの規格がお互いに互換性のないまま各々の特長を誇示し世の 中に現れた。それが、今ではDOS/VとPC98にほぼ収斂されつつある。そのPC98でさえ、 サーバー機はDOS/Vになると発表された。 未だに非互換といわれるUNIXにしても、一途に標準化の道を目指している。つま り世の中は「差別化」から「標準化」へと様変わりしている。差別化はとりもなお さず孤立化を意味するようになってきた。 ネットワーク戦略においてもしかり、独自ネットワークには限界がある。どうし ても企業間、業際での標準が必要となってくる。個別企業間データ交換からEDIへ移 行せざるを得ない背景がここにある。 それに追い打ちをかけるように戦後初めて経験する本格的なデフレ経済が訪れ、 規制緩和・価格破壊・系列破壊など世の中の流れが各企業に経営戦略の見直しを迫 ってきている。情報システムは否応もなく変貌を遂げざるを得ない状況へと追いつ められてきた。 米国では、差別化による一人勝ちの時代は終焉を迎え、「メーカ・サプライヤ・ リテーラ間の良好なパートナーシップが消費者への最大のメリットを生み出す」と いう考え方が定着してきている。 日本は色々な面で米国の後を追っている。EDIにおいてもしかりで、すでに同じ様 な普及の道をたどり始めた。 新聞記事よりEDIの流れを読む このような背景を頭の片隅にいれながら新聞を読むとEDIの流れが見えてくる。も ちろん「EDIを実施」と明記されていなくても、各企業がEDIを意識しているところ が見え隠れしていると、読んでいてもおもしろい。日経新聞94年8月第3週の記事を 見るだけでも、次のような例があげられる。 1.トラック4社が部品を新たに共通化(8/16) −− これは、コスト削減のための競合会社間での同盟である。系列化の権化たる -4 - 自動車業界も徐々に横の連携を探り始めている。部品の受発注を手がかりに他業界 へとEDIを進める可能性が見えてくる。 2.大手ガラスメーカーが、従来の値決め方式(製品を先に納入し、後で単価を決定する) を廃止し、先に単価を決めていないと契約できない方式に切り替えた(8/16、7/19)。 −− 同じ業界である住宅用厨房機器メーカーが、卸各社と納期情報や受発注に関 するEDIを実施中もしくは始めようとしている。ガラスメーカーもこれに負けじとED Iの準備、つまり商形態の標準化を始めた。 3.石油元売り2社が生産・物流で提携(8/16) −− これも同業者間での同盟である。コスト削減のためにはお互い協力しあえる ところで提携し、双方でメリットを享受し合う。 4.鉄鋼メーカーがバーコードで鋼材物流管理(8/18) −− 高炉5社はすでに厚板の受発注EDIを造船業界と実施中。今回の記事では系列 内とあるが、今後は物流業界とのEDIも念頭にあると考えられる。 5.問屋の小売事業進出が加速(8/19) −− 大手小売業社と大手メーカー間での「製販同盟」が浮上しつつある。これに より、問屋はまさしく中抜きの危機に瀕したことになる。メーカーと小売りの直結 は、問屋に業態転換まで強いることになった。これは、あわせて中小の商社にも影 響を与えることになる。 こういう見方をすると、毎日1件や2件は必ず関連記事が見つかるものである。も ちろんすべてがEDIにつながる訳ではないが、いずれも情報システムやネットワーク に関する要素が含まれている。これが社会現象の現実で、世の中の流れや海外の動 向に合わせると次に来るのはおのずと「標準化」である。 EDIで日本は定着するか ここまでは、EDIのバラ色の側面ばかりを追いかけてきた。しかし、世の中が一気 に染まっていくわけではない。そこには各企業ごとの事情や日本の商慣習に関わる 様々な、米国にはない困難さが存在する。そのあたりについて次回以降解明を進め ていきたい。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (注1) ここでの定義は次のように考えている。業界もしくは業際で定められた標準のデー タフォーマット、メッセージ、通信プロトコルを用いてデータ交換を行い、効率的な商流・ 物流を実現すること。 参考として、世間一般での定義も併せて述べておく。代表的なものとしては、平成元年度 に通産省[電子機械相互運用環境整備委員会]の定めた「異なる組織間で取引のためのメッ セージを、通信回線を介して標準的な規約(可能な限り広く合意された各種規約)を用いて、 コンピュータ(端末を含む)間で交換すること」がある。 -5 - EDIの時代的側面 −第2回:EDIの歴史的検証− COMPUTER REPORT掲載記事 1994年11月号 藤野裕司 前回は「社会的側面から見たEDI」と題して、経済情勢とEDI(Electronic Data In terchange)の関連を米国事情や新聞記事に照らし合わせて考えてみた。今回は、EDI の歴史を振り返り、海外と日本のEDI発展の経緯を検証してみたい。 まず、EDIの歴史をひもとくにあたり、海外および日本における大きなイベントを 年表形式にまとめてみたので、ご参照いただきたい。各地域のイベントごとの★を直 線で結ぶと、その地域の特徴が見えてくる。各々の線はほぼ直線になるが、その線の 傾きが緩やかな場合EDIの歴史が古く、きつくなるほど急な発展を遂げていることが わかる。また、年代ごとに縦の垂線を引くとその年代の各地域での動静がわかる。こ の一覧で、世界のEDIの動きがかなり具体的に見えてくるのではないだろうか。これ をもとに、世界の動きをまとめてみよう。 海外の歴史 1)アメリカのEDI まず、アメリカの国土を考えていただきたい。 広大な大陸のあちこちに大きな都市が分散している。ここでのビジネスでは、荷物を 運ぶにも当然複数の運送業者を経由することとなる。よって1975年、運輸(航空、海 運、トラック)に関わる可変長TDCC(Transportation Data Cordination Committee) 標準方式からEDIが始まった。その後、流通業界、自動車業界へと順次普及し、より 広い業界で使えるように整備され、ANSI(American National Standards Institute) X.12として定められた。 1980年代中ごろより、プッシュ型経済からプル型経済に移行し、QR(Quick Respon se)/ECR(Efficient Consumer Response)が登場した。これにより、コスト削減やJIT (Just In Time)の効果を企業の利益にとどめず消費者に還元できるよう世の中が動 き出したことは前回述べた。ここでも多くがANSI X.12で行われている。 アメリカでのEDI普及の理由としては、大きく3つ挙げられる。1つは業界の危機回 避(これについての詳細も前編をご覧頂きたい)。2つ目は雇用の流動性、従業員の 能力差に伴うオペレーションの簡素化、業務の継続性確保。3つ目はタイプライター 文化によるコンピュータ化に対する柔軟な対応といえるだろう。 国内のEDIは75%がANSI X.12、残りの20%強が業界標準である。つまり、ほとんど が何らかの標準で行われていることになる。UN/EDIFACT(United Nations / Elect ronic Data Interchange For Administration,Commerce and Transport) の比率は まだそれほど多くはないが、1997年をめどに移行すべく準備が進められている。 2)ヨーロッパのEDI ヨーロッパ大陸は、多くの国が地続きで連なっており、物を運ぶにも複数の国を経 -6 - 由することがある。この時、通関業務に手間取っていては商品・サービスの価値を下 げることになる。よって、通関業務に関わるドキュメントの簡易化からEDIが始まっ た。ヨーロッパでは、海運業界、自動車業界で普及が始まり、汎用標準としてTDI(T rade Data Interchange)が制定された。 現在、EU統合に向け国際取引はすべてEDIが前提となりつつある。 3)アジアのEDI これまでコンピュータ化が遅れていた分、急激な進展を見せている。シンガポール は国策プロジェクトをいくつも起こし、韓国はEDIを法制化(貿易自動化法)するな どして普及に努めている。しかし、標準化が追いつかずかなり独自性も強い。UN/ED IFACTも非標準で使われているところがあると聞く。また、回線設備も十分に普及し ていないところがあり、回線品質面でも問題を抱えている。この発展は経済成長に歩 調を合わせた普及の形態と言え、アメリカの不況脱出型EDIとは形が異なる。 アジアでこのような急激な発展を遂げることができた理由は何か。最大の要因は、 既存システムがあまり普汲していなかったので、 過去に縛られることがなかったこと であろう。今後も最新の技術を利用した発展は続くと思われるが、インフラの整備の 遅れ、運用技術の未発達による混乱などの不安要素も多分にみられる。 各国とも国内取引の円滑化に合わせて国際取引をも意識した普及を心がけている。 特にシンガポールはアジアのハブとして国際貿易拠点となるべく、国連に国際プロジ ェクト誘致などのアプローチをかけている。また、国内での取引に、電子メールを使 い始めたところも注目に値する。 4)国連での動き UN/EDIFACTの制定は、アメリカの協力のもとヨーロッパ主導で進められた。 現在取り組んでいるテーマの代表的なものには次のようなものがある。 ・標準メッセージ、データ項目の拡充。 ・シンタックスルールにユニコード(ISO10646)の文字セット追加。 ・法制面、セキュリティ問題に関する整備。 ・未来のEDI(Openedi)についての研究。 日本の歴史 1)日本におけるデータ交換普及の歴史 1970 年代中頃より力のある企業が系列ネットワークの展開を開始した。この時に はまだ標準と呼ばれるものはなく、プロトコルもメッセージもすべてプライベートな もので広められた。この流れは 1985 年に回線が解放がされた後も続き、JCA、全銀 手順が制定されても、メッセージフォーマットは相変わらず力のある企業が指定する こととなった。 ここでいち早く標準化を唱えたのは流通業界で、1980年にJCA手順を、続いて全銀 協が1983年に全銀手順を、固定長メッセージフォーマットで制定した。製造業は、力 のある企業が多かったことと、流通業界に比べてデータ量が少なかったため、全銀手 順のプライベート・メッセージで展開を続けた。 1986年よりEIAJ (日本電子機械工業会) が製造業の反省として標準化を検討したが、 EDIFACTがまだ未整備でかつ日本の商形態に適合しないことがわかり、やむなくCII (情報処理開発協会産業情報化推進センター)の協力のもと独自の可変長レングスタ グ方式でEIAJシンタックスルールの開発を行った。 1991年、CIIはEIAJシンタックスルールの上位互換となるCIIシンタックスルールを -7 - 日本の標準として開発、普及を開始する。 一方、流通業界は力の弱い中小企業が多いため既存の標準を崩せなく、従来のまま (JCA手順固定長フォーマット)独自路線を進む。また、データ量の増加・高速化の ニーズにともない、通信プロトコルにH手順を新たに加えた。 2)日本のネットワークの特徴 日本では通信回線が1985年になってやっと自由化されるなど、ネットワークの横 への広がりが欧米に比べて非常に遅れていた。よって、その分垂直型(系列型)ネ ットワークが発達することとなり、系列化による歪で多端末現象、指定伝票の強制 などの弊害が発生した。 これらの弊害解決のため業界共同型VANが生まれたのだが、欧米に比べVANの普及 も遅れている。その理由は、利用料(1件あたり1∼2円)の割高感と言われている。 しかし、誰もが何の疑問もなく使っている銀行の振込手数料は1件721円(他行へ3万 円以上送金の場合)する。利用の仕方によって異なるものの、これに比べると決し て割高とは思えないのだが。 日本では、通産省の「電子計算機の連携利用に関する指針(連携指針)」制度に より様々なネットワークが展開されてきた。最近になってようやく標準化が前提と されるようになってきたが、SIS全盛期には差別化を意識したものだった。それらの 影響もあり、日本ではなかなか標準化が進んでいない。 現在、日本ではEDIの普及において大きく2つの流れがある。ひとつはCIIを中心と した製造業の動きと、もうひとつは流通システム開発センター(略称、流開センタ ー)を中心とした流通業での動きである。 CIIでは、日本標準であるCIIシンタックスルールを使ったEDIを普及すべく各業界 にアプローチを進めており、いくつかの業界では運用が始まっている。流開センタ ーは、従来の固定長標準メッセージを継承し、かつUN/EDIFACTによる新たなEDIを目 指して研究を続けている。今、日本ではこの2つの団体がEDI推進役としての機能を 果たしている。 日本のEDI進展の度合いを見てみると、まだ緒についたばかりで急激な発展は見ら れていない。これは、様々な「普及の阻害要因」という壁に進路を阻まれているか らである。次回はこれらの壁について考え、日本でのEDIのあるべき姿は何か、そし て未来のEDIに話を進めて本シリーズの締めくくりとしたい。 【参考文献】 「EDI入門」∼ビジネスネットワーク・プロトコル∼ 北澤 博 著 「EDIFACTガイドブック」 財)日本貿易関係手続簡易化協会 発行 -8 - 【海外の歴史】 +++ │ │ 1970 1980 1990 │ +++ │ │★1968 アメリカ運輸協会(TAA)が、TDCCを結成、 │ │ │ 研究開始→固定長TDCCを開発するが普及せず。 │ │ │ │ │ア│ ★1975 可変長のTDCC標準方式を開発 │ │メ│ │ │リ│ ★1979 │ │カ│ ANSIがASC X.12制定委員会を発足 │ │の│ TDCCは中心メンバーとなり、ここに合流 │ │E│ │ │D│ ★1983 │ │I│ ANSI ASC X.12 発表 以降、逐次改定│ │ │ │ │ │ ★1992 │ │ │ 米国標準を X.12 よりUN/EDIFACT│ │ │ にする方向性を採択 │ +++ │ │ ★1974 イギリスSITPROがUNECE/WP4に標準化研究提案 │ │ │ │ │ヨ│ ★1981 │ │|│ TDI シンタックスルール・ガイドライン・データエレメント集を発表│ │ロ│ │ │ッ│ ★1986 │ │パ│ データエレメント集が改定され、ISO7372として制定される│ │の│ │ │E│ ヨーロッパでは、TDI の応用システムとして、 │ │D│ イギリスのDISH、 │ │I│ ベルギー・西ドイツ・イギリスのODETTE、 │ │ │ 西ドイツのDAKOSY、 │ │ │ EU統合を目指したTEDIS │ │ │ 等のプロジェクトが活動している │ +++ │ │ ★1990 │ │ │ JapanSingapore EDIFACT Board 設立 │ │ア│ │ │ジ│ ★1991 │ │ア│ 韓国、中国、台湾の参加により │ │の│ Asia EDIFACT Boradへ改組 │ │E│ │ │D│ ★1992 │ │I│ 日本でEDICOM’92開催 │ │ │ 韓国で貿易自動化法制定 │ │ │ │ │ │ ★1993│ │ │ 韓国でEDICOM’93開催 │ +++ │ │ ★1984 │ │国│ UNECEで、国際的相互交換性を提唱 │ │連│ │ -9 - │で│ ★1986 │ │の│ 米欧協力のもと、UNJEDI 設立│ │動│ │ │き│ ★1987 │ │ │ ISO 9735 UN/EDIFACT 発表 │ +++ 【日本の歴史】 +++ │ │ 1970 1980 1990 │ +++ │ │ ★1980 │ │ │ チェーンストア協会でJCA手順を制定 │ │ │ │ │ │ ★1983 │ │日│ 全国銀行業協会で全銀協手順を制定│ │ │ │ │本│ ★1984 │ │ │ 業界VANの構築が始まる→JCA手順の普及 │ │の│ │ │ │ ★1986 │ │E│ EIAJ標準の検討開始(1989より本格展開) │ │ │ │ │D│ ★1989 │ │ │ CII標準の開発│ │I│ │ │ │ ★1991 │ │ │ CIIシンタックスルール制定│ │ │ │ │ │ ★1992│ │ │ EDICOM ’92が日本で開催│ │ │ CII標準によるEDIが様々な業界で始まる│ │ │ 「EDI推進協議会」設立 │ +++ │ │★1963 │ │ │データ伝送サービス開始:専用線、本人使用のみ │ │ │ │ │ │ ★1971 │ │ │ 第1次回線解放:デ−タ通信制定、共同/他人使用解禁 │ │国│ │ │ │ ★1982 │ │の│ 第2次回線解放:デ−タ通信自由化、 │ │ │ 暫定措置として中小企業VAN制定 │ │ │ │ -10 - │ │ ★1985 │ │ │ 第3次回線解放:電気通信事業法制定 │ │政│ 通信回線の完全解放実現 │ │ │ │ │ │ 通産省「電子計算機の連携利用に関する指針(連携指針)」制度の創設 │ │策│ │ │ │ ・鉄鋼業、中古自動車販売業 ★1986 │ │ │ │ │ │ ・電気事業、家具業界 ★1987 │ │ │ │ │ │ ・電子出版業、電子機器製造業、紙流通業 ★1988 │ │ │ │ │ │ ・機械工具業界 ★1990 │ │ │ │ │ │ ・電線製造業、電子機器造業、電気機器製造業、 ★1991 │ │ │ 電気事業の4事業分野間、建設業 │ │ │ │ │ │ ・住宅設備機器等流通業 ★1992│ +++ -11 - EDIの時代的側面 −第3回:EDIのあるべき姿と未来− COMPUTER REPORT掲載記事 1994年12月号 藤野裕司 本シリーズも今回が最終回となる。ここで前2回を簡単に振り返ってみたい。 第1回目は「社会的側面から見たEDI」と題して、経済情勢からEDI(Electronic Da ta Interchange)をながめてみた。米国の事例では、デフレ・プル型経済下でもQR/E CR(Quick Response/Efficient Consumer Response)のような製販同盟(製造/小売) や製配販同盟(製造/卸/小売)が有効であることがわかる。日本でも戦後初めて経験 するこの本格的なデフレ経済においては参考になるだろう。 第2回目は「EDIの歴史的検証」として、世界のEDIの歴史を一覧性のある年表形式 で比較し、各地域ごとの歴史的特性を検証してみた。気になるのはアジア諸国の動向 である。関西新空港のコストの高さに対して他のアジア諸国のハブ空港化が議論され ているが、日本のEDIもこのままでは同じ道をたどる可能性をはらんでいる。 さて、いよいよ最終回となる第3回目は「EDIのあるべき姿と未来」と題して、まず 今の日本の現状を分析し理解してみる。そのうえで、今後EDIに対してどのように取 り組むべきか、特に情報システム部門の役割から考えてみた。また本来の姿はどうな のか、そしてどのような未来を迎えようとしているのかについても検討を重ねていき たい。 日本の現状 1)緩やかだが着実な普及が始まった ①CII標準で徐々に普及 電子機器業界、石油化学業界、鉄鋼業界、住宅産業ではCII[注1]標準を使ったト ライアルも終わり、普及・展開が始まっている。その後には、電気4団体、ガス業界、 建設業界が続いている。繊維業界も、CII標準を使ってQRの検討に踏み出した。 これらの動きを考えると、CII標準も地に足をつけた普及になったといえる。よっ て、中心となるこれらの業界から徐々に関連する他業界へと広まっていくことになる だろう。 ②H手順普及の準備が整う 流通業界は日本のEDIの草分けとしてJCA手順を広く普及してきた。また、1989年頃 より漢字対応、高速化で検討を始めたH手順も、今年入ってようやく低価格の製品が そろい始めた。ISDN回線を使った伝送テストでは、かなりよい伝送効率が得られたと 聞く。ダイエー、ニチイ、コープさっぽろなどが採用を表明し、一部ではすでに本番 運用がなされている。ただし、流通業界の大半を中小の企業が構成している点を考え ると、当面の普及は「限られた企業間から」というのも致し方ない。 -12 - 2)日本における普及の阻害要因 さて、このようにEDI普及の環境は整った。しかし、その速度は爆発的とはいいが たい。それには、一連の阻害要因があると思われる。これについて、是非取り上げた い意見があるので紹介したい。 IBMのユーザ会に日本GUIDE/SHAREという団体があり、その中のプロジェクトチ ームにEDI研究のグループがある。筆者もそのメンバーとして参画しているのだが、 そこではいわゆる評論家の見解ではなく、現場の人達の声で研究が進められている。 それだけに本音の議論がなされており、 ここではその場で出た意見を参考にまとめて みたい。 阻害要因としては大きく4つに分けられる。 ①システムへの影響 EDI実現のためには、既存システムに改修が入るため、新たな開発投資が必要とな る。これは企業規模の大小に関係なく直面する問題である。 ②EDI必要性への疑問 これには次のような声が聞こえてくる。 ・「現行業務で間に合っているので、今特に手をつけたくない。」 ・「自社の系列を崩したくない。」 ・「自社の情報を外部に出したくない。」 ③標準化の足並み不統一 まず、業界間の足並みがそろっていない。 EDI推進協議会(JEDIC)はあるが、ここは統一標準の作成および指導をできる立場にな い。次に、省庁間での進め方が異なる。通産省を中心に展開がはかられているが、他 にも建設省、運輸省、大蔵省が独自の動きを行っている。また、通産省の中でも機械 情報産業局、産業政策局、生活産業局とで動きが異なっている。規格面から見ると、 わが国独自のCII標準と国際標準のUN/EDIFACTの2つの標準がある。各業界・企業にと って、「今CIIをとるか、もう少しUN/EDIFACTの動きを見るか」の選択は難しい。 ④EDIに適合しない商慣習がある EDI実現のためには業務の標準化が重要なウェイトを占める。しかし、「製品を先 に納入し、後から単価を決める」などの商慣習はEDIに適合しない。 産業構造の変化とEDI このように様々な普及の阻害要因があるものの、現実には第1回でも述べたように 世の中は動き始めている。かつて経験したことがなかったこの大きなデフレ経済、各 企業は生き残りを賭けてこの事態に対処し始めた。それは産業構造をも変えようとし ている。そこで、この変化の過程をもう少し深く掘り下げてみよう。 そしてそのイメージは図1のようになる。その流れを具体的に追いかけてみたい。 -13 - デフレ経済 内外価格差 円高 消費者の目 行政 市場 ・過剰な保護行政 ・ に対する指摘 ・価格の妥当性の追求 ・輸入増加の妨げ PB カテゴリーキラー 輸入品の氾濫 規制緩和 価格破壊 企業の情報 企業の システム部門 従来の産業構造 どのようにして企業が生き残れるのか? 合従連衡 系列・商習慣の見直し 企業 企業 海外移転 企業 このままでは 情報システム 部門は単なる コスト圧縮部門 としてのみ期待 される リストラ 情報システム部門の変革 産業構造の変革 量 量 の管理から 質 質 の追求へ 新しい産業構造 EDI 企業 戦略同盟 企業 企業 図3 産業構造の変化と EDI -14 - 1)厳しくなった消費者の目 まず、それは行政に向けられた。その結果、たとえば「円高にも関わらずどうして ガソリンの値段が諸外国より高いのか」という消費者の声が反映され、1996年3月よ り特定石油製品輸入暫定措置法が撤廃される。それには「現在のまま保護政策を続け れば、石油精製業者の競争力が低下し、アジア市場での展開力に負けてしまう。」と いう行政の判断も加わった。食管制度も同様、食料の安定供給を目的としたものの、 農業の保護がかえって農家の競争力を失い輸入品がそれに取って代わるようになり 始めた。これら保護行政の限界により規制緩和の流れが加速される。 また、消費者の目は製品価格の妥当性にも注目するようになってきた。PB (Private Brand)やカテゴリーキラー、輸入製品の氾濫などはその現れである。 これらの要件が重なり合って、産業界では価格破壊が進んできている。 2)産業構造の変革 このような流れは企業の生死に係わるような問題にまで発展してきた。そこで、生 き残るためにリストラや製造部門の海外移転など固定費の削減、企業内の合理化を行 った。過去のデフレ、不況時には、ここまでの対処で脱出することができている。と ころが、今回の長引く不況では過去の経験だけでは脱出しきれていない現実がある。 そして、その次に打った手段は外部との合理化・効率化、つまり合従連衡や商慣習の 見直しである。しかし、従来の常識の枠のなかではその対応が難しく、新たな商形態 を考える必要が出てきた。それが、QR/ECRに示されるように、従来敵同士だった企業 も互いに手を組み利益を共有し合う、製販もしくは製配販同盟などによる新業態であ る。このようにして、デフレ経済下では不況脱出のため産業構造自体の変革まで求め られている。この変革を実現するため、情報流通としてのEDIがなくてはならない機 能となった。 EDIのあるべき姿 前章で述べたように、産業構造は変革を始めている。次にその情報流通(情報のイ ンフラを含む)、EDIのあるべき姿を考えてみたい。未来の話は次章にまわすとして、 今ここでは現時点でのEDIの捉え方とそれを実現するために何をなすべきかについて まとめてみる。 これまで情報インフラというとISDN,BISDN,ATM,フレームリレーなどの鉄道で いう線路の世界で語られてきた。しかし、これからのネットワークはその上の乗り物 や人、つまりアプリケーションを含んだ考え方となる。このアプリケーションを柔軟 に接続するために、標準化・オープン化が重要な意味を持つ。これはパソコン、LAN の普及が標準化・オープン化のもとで収斂されてきたのと同じことを示しているので はないだろうか。 一方、業務の上で語られているのは個別企業間データ交換であり、現実問題として まだこの非標準がどんどん拡大している。このまま非標準を放置するならば、アプリ ケーションの柔軟な接続ができないため、産業構造変革への追随は不可能であろうし、 すでに標準化の進んでいる海外各国からは完全に取り残されるだろう。標準化・オー プン化されたEDIでなければこの不況に対する有効性に欠ける。これは企業規模に関 係する問題ではない、大企業なら大企業の、中小企業ならその規模にあった対策が必 要である。 では、具体的に何をすべきかを考えてみたい。各企業、業界、国が互いに役割を持 ってこれに臨む必要がある。 ・企業は、従来の系列・囲い込みといったクローズ型経営からオープン型経営に転換 を図る。かつEDI普及のために業界・推進団体に人と資金を投入する。 -15 - ・業界は、業界内・業際の標準化を進める組織を作る。また、日本標準・世界標準制 定のために業界代表として人を送る。 ・国は、省庁間をまたがった情報流通促進に関わる組織を設置し、普及促進に関する 指針を提示する。また、国策として様々なプロジェクトを起こす。 ・国連は、世界標準の拡充をするとともに各国の利害を超えた未来のEDIを研究・開 発する。ここではマルチメディアとの連携も重要なポイントとなる。 これを実現するためには、企業の決断が必要である。まず、大前提として経営者に EDIの有効性を理解させる。情報システム部門はスタッフとしての役割が問われる。 海外におけるEDI普及は、経営者と現場が中心となって行われている。日本では情 報に関わる問題として情報システム部門が進んで両者を媒介する役目を担うことが 大切である。従来の「情報を処理する部門」から「企業戦略に参画する部門」に変わ っていくのだ。情報システム部門自らが業界の動向をつかみ、経営戦略を策定し提案 する部門となるのである。 未来のEDIへの動き 未来のEDIについては、すでにいろいろな方面で研究が進められている。一般によ く言われるのがEC(Electronic Commerce) で、EDIの目指すところはここだろう。こ こでは商流・物流・金流を含めたすべての取引がマルチメディアの世界で統一的に実 現される。それに向けた一番具体的なシステムがCALS(Continuas Acquisiyion and Lifecycle Saport)である。これは、1985年に米国防総省(DoD)が軍事物資の政府調 達のために開発したシステムであるが、 90年代に入って民間利用に向けての標準化が 進められている。日本では1992年より研究が始められ、本年9月のデータショウでは CALS EXPO JAPAN '94 が開催された。 さて、そのECの未来はどうなるのだろうか。実はこれについてもすでに研究・開発 が進められており、ISOの標準委員会「注2」で検討中の「Openedi」がそれである。 これは、グローバルな電子取引社会を想定し、地域・国境・文化・習慣を超えて、標 準とルールを守れば企業/個人を問わず誰でも自由に参加しうる開放型取引情報交換 の体系である。現在の応用業務の「EDI」と区別するため小文字で記される。現在は 参照モデル標準の開発とそれに引き続く項目の最終ドラフトを作成中とのこと。この 作業は1997年完了予定とのことであるが、現時点では参考となる文献もなく、どうも 哲学的色彩が強いように感じられる。具体的成果がわかりやすい形で発表される時が 楽しみである。 おわりに この3回を通して、現在の時代的側面から見たEDIなるものを少しばかりはご理解い ただけただろうか。かなりの部分に私見を交えて解説してみたが、最後にもう一度振 り返ってみてみたい。 EDIとは、企業が戦略的に商流・物流の効率化をねらう、業界・業際にわたる標準 のネットワークである。今後当分続くであろう本格的なデフレ社会においては、企業 間で相互に利益を共有し新たな企業同盟を構築することが、企業戦略として非常に有 効となってくる。 EDIや標準化は短期的に見るとコストがかかるが、実施しなければ自分たち(国ま で)が孤立してしまうことになる。世の中は様々な方面で標準化・オープン化に向か っている。EDIも同じ道をたどりつつある。そこまで考えた上で、自分と次の世代を 成功に導くための重要な案件として取り組んでいくテーマである。 -16 - 【参考文献】 日本GUIDE/SHAREプロジェクトチーム研究論文 BS−33 EDIの効果的な導入 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― [注1]CII: Center for the Informatization of Industry =情報処理開発協会産業情報化推進センター [注2]ISOの標準委員会: ISO/IECJTC1SC30 ISO/IECJTC:国際標準機構と国際電気諮問委の共通技術会議 SC:Sub Comittee -17 -
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