全油販連NEWS - 全国油脂販売業者連合会

全油販連NEWS
平成27年第3号(H27-№3)
2015年12月18日(金)
全国油脂販売業者連合会
目
次
1.
会長ご挨拶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.
第62回全油販連定時総会開催 ・・・・・・・・・・・・・・・2
3.
賛助会員からひとことⅡ(6) (九鬼産業株式会社)
・・・・・・・・・4
「九鬼産業株式会社について ~ルーツと新しい取り組み~」
4.
記者の視点 (幸書房 田中取締役)
・ ・・・・・・・・・・・・・7
「2000 年以降の油脂需要の変化について」
5.
第39回日加菜種協議の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・12
6.
第31回米国大豆バイヤーズ・アウトルック・コンファレンス ・・・19
7.
各地区の活動状況&会員情報 ・・・・・・・・・・・・・・・20
8.
油価推移(東京・愛知) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
9.
全油販連いっぷくコーナー ・・・・・・・・・・・・・・・・23
ご
挨
拶
全国油脂販売業者連合会
会
長
金 田 雅 律
平成27年の全油販連 NEWS 第3号発行にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
皆様如何お過ごしでしょうか。
年の瀬も近づき、一年の過ぎるのが早く感じているこの頃です。
昨年の書き出しも同じ様だった気がします。昔から年末は同じ様に人々は感じていた
のではないかと思います。
本年も天候不順があり、それも猛暑日の連続記録を更新したかと思えば、次は冷夏
がやってきました。猛暑もあまりなく、夏の水不足もなく曖昧な季節が続いていた時、
強力な低気圧が日本を縦断し、関東では川の氾濫による水害となった上に強風による
被害もありました。これも地球温暖化にエルニーニョが重なった為かも知れません。
米国の大豆・カナダの菜種も当初不作と言われていましたが、いざ収穫してみると豊
作で有ったとのことでした。遺伝子組み換えを含む品種改良のお陰かと思われます。
その中でプレミアムオイルとなる綿実が豪州などで不作となり、健康に良いと言うこ
とでこめ油の需要が伸び、いずれも価格が値上がりしました。
健康志向と言えば、今年はオメガ3がブームとなり、ココナッツオイル、エゴマ油、
亜麻仁油などが注目されました。また、中鎖脂肪酸だけでなく、食物繊維が豊富なチ
アシード等ビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素を多く含む植物由来の食品で
10年ほど前から米国で広がり日本でもブームとなっている「スーパーフード」など
もあります。
新しい人気商品が出て来ることは、食品にとって良いことだと思いますが、
「機能性
表示食品制度」により簡単に消費者にアピールできると同時に不確実なものも流通す
る可能性があり、注意が必要になって来ると思います。
更に、TPPの大筋合意により何年か後には国際基準の規格で輸入品が出回る可能
性もあります。自分で判断することが出来るようにする自己責任の意識を持たなけれ
ばならないと思います。賞味期限表示基準の変更議論もある様ですので考慮が必要で
しょう。
いずれにしても、この様なブームや基準の変化などに油脂がどう関わって行くか、
また我々販売業者の役割を考えメーカーと消費者に対して情報発信をして行かなけれ
ばならないと思います。
最後に新しい年が、世界にとって、日本にとって、我々業界にとって、良い年と成
りますことを祈念いたしまして、ご挨拶とさせて頂きます。
-1-
第62回全油販連定時総会開催
日
時
平成27年10月16日(水) 14:30~18:30
場
所
ロイヤルパ-クホテル
春海の間・東雲の間
総会では決算、事業報告および予算、事業計画を原案通り承認した。
総会後は、TBSテレビ気象キャスター ㈱ウェザーマップの森朗様による『最新のお
天気事情』と題し、講演会が行なわれた。「平成27年9月関東・東北豪雨」によって
もたらされた災害の鬼怒川堤防決壊の解説や、地球温暖化による様々な現象、ゲリラ豪
雨のメカニズムや気象情報の伝達面での課題など、ユーモアを交えて解説した。
続いて、農林水産省食料産業局食品製造課 大友健裕係長による「食をめぐる情勢等に
ついて」講話会が行なわれた。近年の植物油生産状況や需要、TPP交渉における油脂
関連の大筋合意内容について言及された。
森朗様の講演
講演を聴く出席者
農水・大友係長の講話
かんぱい挨拶
かんぱい挨拶
かんぱい挨拶
その後の懇親パーティにおける金田雅律会長の挨拶は概ね次のとおりであった。
「安倍改造内閣が発足し、新しい三本の矢という事が言われているが、いずれにしても
経済対策をしっかりやってくれるという事だと思う。なんとか良い形で消費が増え、
我々の商売が繁盛できるようにしたいと思っている。また、TPPに関しては、油の関
税が6年でゼロになるという事で、従来のルートで仕入れができるのかという心配もあ
る。今後はメーカー、会員の方々と相談しながら商売に努めたい。シカゴ大豆も値が戻
っているようで、気を緩めず、製品を丁寧に説明して商売をし、メーカーと相談し協調
しながらやっていきたい。
」
-2-
また、来賓挨拶として、一般社団法人日本植物油協会 楳田純和会長(㈱J-オイルミ
ルズ相談役)より「今年も災害で多くの方が犠牲になったが、10月に入って非常に嬉
しい話しがあった。日本人お二人のノーベル賞受賞とラグビーW杯3勝、歴史的快挙で
あったと思う。TPPはすべてが詳らかになっている訳ではないが、輸入をメインとし
ているこの業界にとり、大変大きなアゲインストの風が吹くという事。このことについ
ては流通の皆様とも相談しながら、いい方向を見出していきたい。」更に「個人消費が
上向かない中で、油の需要が大きく減っているわけでなく、そういう事を大きな縁(よ
すが)として、今後のオペレーションを進めていきたい。また、油の栄養についても日
油協は広報活動に努めている。全油販連の皆様と製販一体となった動きで、双方が幸せ
になれるように是非していきたい。
」とご挨拶をいただいた。
懇親パーティは太田健介副会長の乾杯音頭で始まり、和やかな歓談の後、木村顕治副
会長の油締めで散会した。
金田会長の挨拶
日油協楳田会長の挨拶
杯挨拶
太田副会長の乾杯挨拶
木村副会長の中締め挨拶
木村副会長による油締め
かんぱい挨拶
かんぱい挨拶
杯挨拶
杯挨拶
-3-
かんぱい挨拶
かんぱい挨拶
賛助会員からひとことⅡ(6)
今シリーズは、各メーカー様より会社のアピールしたい商品・技術等について掲載しています。
今回は、九鬼産業株式会社様にご寄稿いただきました。
………………………………………………………………………………………………………………………
九鬼産業株式会社について
~ルーツと新しい取り組み~
九鬼産業株式会社 東京支店
支店長 三厨 幸治
九鬼産業㈱の創業は明治 19 年(西暦 1886 年)
、イギリスから搾油機(製油機)を手に入れ三重
県、四日市で胡麻油を搾り始めたのが始まり。それから 130 年の間、創業当時と全くといってよい
ほどの変わらぬ伝統製法にこだわり、安心できる製品を作り続けています。現在は四日市に本社を
置き、2 つの工場と全国4つの支店・営業所(東京、名古屋、大阪、福岡)を拠点としております。
【本社工場ボトリングプラント】
■九鬼家のルーツ
「九鬼」の名が歴史の大舞台に登場するのは、「九鬼嘉隆」という人物がいたからです。熊野の各
水軍を一つにまとめ、戦国時代に活躍しました。これが歴史に出てくる九鬼水軍です。
時代は天正 6 年(西暦 1579 年)
、世界史上初めての鉄張りの巨船7艘で当時最強の毛利水軍 600 隻
を撃破しました。その後、秀吉の時代には三重の鳥羽に城を構え、嘉隆の栄華は頂点になりました。
しかし、関ヶ原の合戦では一族の存続のために親子で二手にわかれ、嘉隆は西方の石田三成側につ
きます。そして戦で敗軍となった嘉隆は、鳥羽の答志島で 58 歳の生涯をとじました。
-4-
一方、嘉隆とともに西方についた守隆の末の弟は、関ヶ原の合戦で敗軍として逃れ四日市の地にた
どり着きます。その後四日市で住いを構え、水軍としての能力を活かして兵庫県・赤穂の塩を東京
に販売するなど回船商売を始め、江戸時代には武士を捨て商人となりました。これが四日市・九鬼
家の始まりです。その後、九鬼家は、四日市に菜種畑が広がり水が綺麗なところに目を付け、製油
業を始めました。明治十九年、八代・九鬼紋七氏が「油を搾るなら最高の油をより良い技術で」と
いうことから、日本で初めて連続式圧搾法により胡麻油の製造を始め、今日の九鬼産業に至ってい
ます。
そんな弊社が大切にしている国内外の生産者との取り組みの一端をご紹介いたします。
■国産ごまの普及について
日本に流通するごまのほとんどが輸入に頼るなかで、近年、国産ごまの需要が非常に高まってお
り、ごま原料が足りない状況となっています。この現状を受け、弊社では【三重県ごま栽培プロジ
ェクト】として自社栽培以外に福祉事業所(障がい者施設)との農福連携による栽培を 2014 年よ
り開始し、2015 年には 6 事業所(合計約 10 反)の畑地で栽培を行いました。さらに今後は三重県
で栽培面積の多い菜種の裏作として、ごま栽培面積を広げていく活動を続けていき、ごま栽培を福
祉事業所や農家の方々と継続することで、地元への社会貢献を行い、希少価値の高い国産ごまの栽
培を増やすことで、食料自給率向上に寄与して参ります。
こうした取り組みにより 2015 年 11 月「三重県ごま栽培プロジェクト」が『フ―ド・アクション・
ニッポン アワード 2015』食文化・普及啓発部門(地域の食文化の活用や保護・継承を図る活動、
国産農林水産物の消費拡大につながる普及啓発の活動)で三重県下初となる優秀賞を受賞しました。
※フード・アクション・ニッポンとは…
日本の食を次の世代に残し、創るために、食料自給率の向上を目指して、農林水産省と民間企業・
団体等が主体となって推進する国民運動の名称です。2009 年より開始し、その一環として、事業者・
団体等の優れた取組を表彰しています。
-5-
■ごまとフェアトレード
日本で消費されるごまの 99%以上が外国産であり、その生産者(ごま農家)は小規模な農家が多
く、生産者までトレースがとりにくいのが現状です。ごまの総合メーカーとして生産者、消費者、
社会へ出来ることはないかとの想いからたどり着いたのが“フェアトレード”でした。ニカラグア
共和国デルカンポ農協の品質の高いフェアトレード認証ごまを使用し、いりごまとごま油を商品化
しました。デルカンポ農協は約 950 のごま農家が参加し、より良いごま栽培を行うために、栽培方
法・トレース管理を指導するなど、品質の高いごまを生産しています。
2014 年日本国内の国際フェアトレード認証製品市場規模は推定で約 94 億円といわれています。
2012 年のロンドンオリンピック・パラリンピック組織委員会は調達基準にフェアトレードを採用し、
すべての開催地域で、認証されたバナナやコーヒーが提供されました。
2020 年東京においても、フェアトレードを広める契機になるのではと期待されています。
-6-
記 者 の 視 点
毎回、業界紙誌の皆様からのいろいろな視点でご寄稿いただいております。
今回は『2000 年以降の油脂需要の変化について』株式会社幸書房 取締役
月刊「油脂」編集長 田中直樹様からご寄稿を頂きました。
2000 年以降の油脂需要の変化について
1991 年のバブル景気の崩壊以降、わが国は失われた 20 年と言われた低成長時代を歩みました。その後
半および近年を含めて 2000 年以降の油脂需要の変化について触れてみたいと思います。
表-1は、可食油にパーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油などの植物油を加えた国内向け植物
油の容器容量別需要を示したものです。それ以前の 1990~99 年の 10 年間に家庭用・業務用・加工用の
小計は 18.5%増加し、日本経済が低迷した中で油脂需要は安定した成長を続けました。家庭用は 94 年
の 51 万 6,000 トンをピークにやや減少。業務用はミニタンクの普及により分類上加工用にシフトした部
分はありますが、一巡してみれば 60 万トン前後でほぼ横ばい。加工用はミニタンク移行効果に加えてマ
ーガリン類やマヨネーズ・ドレッシング類、冷凍食品への植物油使用が伸びた時期であり、77 万トンか
ら 115 万トンに躍進しました。少々大雑把ですが、こうした 90 年代の動きでした。
2000 年以降も加工用は概ね拡大傾向を保っていますが、90 年代に 1.5 倍近く拡大したペースに比べれ
ば、伸び率は緩やかになっています。減少傾向にあった家庭用は 40 万トン程度で今のところ下げ止まり
感が見られます。業務用は一時 65 万トンを上回る水準に拡大しましたが、2000 年と比較すれば 2014 年
は4万トン余り減少する結果となりました。
わが国は 2008 年を境に人口減少局面を迎えましたが、今のところ食用植物油需要は 230 万トン前後を
維持しています。胃袋の減少は長期的な構造問題として今後の消費に影響を及ぼすであろうから途中経
過に慢心してはならないでしょうが、過度に悲観する必要はなく、油脂業界はこれまでの活動や取り組
みに自信を持って仕事をして頂ければと思います。
-7-
表-1 植物油の容器容量別需要
(単位:千トン)
─────────────────────────────
家庭用 業務用 加工用 小計
非食用 合計
─────────────────────────────
2000
470
624
1,155 2,248 241
2,490
2001
446
628
1,177 2,251 252
2,503
2002
429
656
1,186 2,272 257
2,528
2003
412
637
1,215 2,263 270
2,533
2004
416
656
1,234 2,306 275
2,581
2005
416
663
1,246 2,325 293
2,618
2006
406
656
1,269 2,331 276
2,607
2007
391
635
1,296 2,322 287
2,609
2008
393
562
1,313 2,268 333
2,601
2009
406
500
1,268 2,174 314
2,488
2010
405
559
1,269 2,234 304
2,538
2011
406
569
1,260 2,236 288
2,524
2012
410
575
1,295 2,280 253
2,533
2013
410
575
1,322 2,307 267
2,574
2014
396
580
1,347 2,323 317
2,640
─────────────────────────────
資料:農水省「わが国の油脂事情」
家庭用=8kg 未満、業務用=8~16.5kg 未満、加工用=16.5kg 超
さて、この間、家庭用は、数量こそ減少したものの、金額は拡大しています。油糧・油脂原料の相場
の居所が高くなったことも一因ですが、
コストが高くなったから売値も高くなっただけではありません。
サラダ油からキャノーラ油への需要シフトが進みましたが、そこでは金額的な貢献はそう大きくありま
せん。むしろそれがこれまでの家庭用食用油市場の課題のひとつだったでしょう。近年の金額規模拡大
に貢献したもののひとつがオリーブ油やゴマ油です。キャノーラ油とサラダ油は 2000 年頃は 400 億円台
後半、現在は 400 億円台半ば程度で大きく変わりません。これに対して 100 億円強だったオリーブ油は
400 億円を目指そうかという規模に、またゴマ油も 100 億円強から 200 億円台に倍増しています。多彩
な使い方の提案が定着してきたことは、家庭における汎用油以外の新たな常備油として、それらの油種
の地位をしっかりと固めることに繋がっています。
また、2015 年には、ココナッツ油が 100 億円見当の市場を築いたのを筆頭に、アマニ油やシソ油・エ
ゴマ油といったα-リノレン酸を豊富に含む油種が大きく成長しています。トコトリエノールが豊富なコ
メ油も人気に火が付きました。新たな需要カテゴリーが突如として形成されたエポックメイキングな年
になったと言えるでしょう。油脂業界は、それらを一過性のブームに終わらせず、多様な油脂に目を向
けてもらい、おいしく健康な食生活に貢献できるように、ますます努力していかねばなりません。
業務用については、外食産業が 1997 年に 29 兆円まで成長しましたが、2000 年代はマイナス基調を辿
り、過去3年こそプラスに転じていますが、2014 年 24 兆円台と5兆円近く縮小しています。一方で、
いわゆる中食は一貫して伸長しています。外食の中でも、チェーン店は概ね堅調に推移しており、日本
フードサービス協会の統計を見ても、売上金額が前年を下回ったのは 03 年、09 年、11 年、14 年しかな
-8-
く、いずれも小幅なマイナスでしかありません。したがって、大手チェーン系はさておき、ザラ場は残
念ながら厳しい環境にありますが、持ち帰り弁当や惣菜店などの料理品小売業の中でも小回りを効かせ
て活躍できる場を如何に掴んでいくかが、ますます重要になっていると言えるでしょう。また、インバ
ウンド需要の拡大にともない、宿泊施設における外食は今後も堅調に推移することが期待されます。
外食における食材の調達方法は多様化しています。例えば、市場を通さず漁船単位で魚類を買い入れ
たり、農協を通さず契約栽培で野菜や穀物を調達するような仕組みを活用することが珍しくなくなって
います。独自性ある素材を仕入れられたり、流通工程を省くことによりコストを削減し、商品の競争力
を高めようとする狙いもあるでしょう。もちろん創意工夫でより良い商品を調達しているところもあり
ますが、本当に品質が高く優れた商品を消費者に提供することに繋がっているのか、疑問に思えるケー
スがないわけではありません。安値追いや効率化によって大事な何かが失われがちな現代です。御用聞
きとともに、商品の目利きといった商社機能を如何に評価してもらうかという視点が抜け落ち、結果的
に外食業者だけでなく消費者も損をすることがないように、油問屋の皆様には油のスペシャリストとし
ての叡智を存分に発揮して頂きたいと思います。
表-1の加工用の内訳を表-2に示しました。マーガリン類、ショートニング、ラード、その他加工
油脂の最終用途は、パンや菓子、即席めん、洋菓子など様々あります。植物油の使用量は全体的に増え
ていますが、動物油脂の減少とトレードオフの関係もあります。マヨネーズ・ドレッシング用における
植物油の使用量は 90 年代のような伸びはなくなっています。一方で、その他の用途は 2000 年に比べれ
ば拡大しており、加工食品で利用される植物油は堅調に推移していると言えるでしょう。
表-2 加工用の内訳
(単位:千トン)
──────────────────────────
マーガ ショー ラード 他加工 マヨド 他
──────────────────────────
2000
150
174
7
114
229
480
2001
151
173
7
114
238
494
2002
157
187
7
112
238
485
2003
152
196
7
111
237
512
2004
155
206
7
120
240
506
2005
164
208
7
118
244
505
2006
163
210
7
127
235
527
2007
163
212
5
139
239
538
2008
165
215
5
144
232
551
2009
171
212
6
147
226
505
2010
170
207
5
152
226
508
2011
171
207
5
154
228
496
2012
169
220
5
155
231
515
2013
169
241
5
151
231
525
2014
162
256
5
155
231
538
──────────────────────────
資料:農水省「わが国の油脂事情」
マーガ=マーガリン類用、ショー=ショートニング用、ラード=ラード用、
他加工=その他加工油脂用、マヨド=マヨネーズ・ドレッシング用、他=その他用
-9-
植物油の油種別の変化は表-3の通りです。
90 年代に続いてナタネ油とパーム油の増加が目立っています。大豆油は4割近く減少しました。家庭
用におけるサラダ油からキャノーラ油への需要シフト、業務用でも大豆白絞油一辺倒ではなく、キャノ
ーラ油の活用が広がりました。また、加工油脂ではトランス脂肪酸の低減を背景に、大豆硬化油の使用
が激減しました。そのシフト先の多くはパーム油です。業務用斗缶などでパーム油の機能性を活かして
パーム調合油の利用も増えたと推定されます。パーム核油も加工油脂用途で従来の大豆硬化油などに一
部置き換わる形で増加していますが、非食品用途における原料調達の安定化からヤシ油に置き換わって
いる部分もあります。コーン油は年ごとに需要の波がありますが、加工油脂における硬化油需要は大き
く減少しました。サフラワー油は、ギフトの花形だった 90 年代とは様相が一変しています。
250 万トン余りの植物油需要のうち、数量では約4割をナタネ油が占めているのが日本の現状です。
そしてパーム油が4分の1、大豆油が6分の1を占めています。実に8割以上をこの3種の油が支えて
います。一方、世界の油脂生産量では約 75%がこの3種の油になっていますが、その割合はパーム油が
3分の1、大豆油が4分の1、ナタネ油が6分の1です。日本の植物油脂需要は、ナタネ油への依存度
が極めて高いことが特徴です。そのナタネ油偏重がますます進んだ 2000 年以降と言えるでしょう。
表-3 2000 年と 2014 年との主要植物油の増減量比較
(単位:トン)
─────────────────────────────────────────────
生産量
輸入量-輸出量
供給量計
増減量
─────────────────────────────────────────────
2000
2014
2000
2014
2000
2014
(14-00)
大豆油
694,447 392,112
794
9,075
695,241 401,187
△294,054
ナタネ油
912,884 1,073,881 18,459
12,050
931,343 1,085,931
154,588
コーン油
100,547 82,256
△7,279 △4,333
93,268 77,923
△15,345
コメ油
65,352 63,873
10,115
24,146
75,467 88,019
12,552
綿実油
6,470
4,025
9,344
4,996
15,814 9,021
△6,793
サフラワー油
15,229 19,376
7,791
34,605 7,791
△26,814
ゴマ油
40,607 45,441
△1,902 △4,678
38,705 40,763
2,058
オリーブ油
27,274
56,905
27,274 56,905
29,631
ヒマワリ油
22,576
19,360
22,576 19,360
△3,216
パーム油
373,103 598,312
373,103 598,312
225,209
ヤシ油
25,094 32,295
48,824
57,389 48,824
△8,565
パーム核油
50,485
98,510
50,485 98,510
48,025
─────────────────────────────────────────────
資料:農水省「油糧生産実績」
、財務省「日本貿易統計」より作成。
※簡略化するため、期首・期末在庫は供給量計に考慮していません。
これだけ数量の増えたナタネ油が油脂業界の成長にどれだけ貢献をしたのかと問われると、これ以上
ない汎用性で市場を築き上げたということだけでなく、目に見えない財産が大きいことは確かですが、
実利としてはやや心もとない面が否めません。シェアの拡大にともなう価値の同質化が避けられなかっ
たことが最大の要因でしょう。一方で、大豆油がここまで減少した背景には、硬化油需要の減少だけで
-10-
なく、大豆油の価格競争力がミールに大きく依存すること、そのミールは海外からの輸入品との競争に
晒されてきたことがあります。また、大豆油の良さや価値をしっかりと伝えきれないまま、需要減に甘
んじてきたことも一因ではないでしょうか。
日本の食文化は、海と山からの多彩な食材と四季に恵まれた中で独自の進化を続けてきました。油脂
の消費が増えたのは歴史的には近代以降、特に戦後になるわけですが、今後は人口減と高齢化による縮
小均衡に陥らないための方策に知恵をしぼっていかなければなりません。ひとつの策は、多様性のある
日本の食文化に合わせて、油の需要も多様化を図ることにあると考えています。家庭でも外食でも加工
食品でも、1種よりは2種でも3種でも用途に適した油を数多く上手に使ってもらうこと。消費のバリ
エーションが増えることは、胃袋の減少による数量減を緩和するとともに、価格面でも一番安い油の割
合が相対的に縮小することに繋がるからです。
おいしさや健康に関する情報の入手方法はネット社会で手軽になっており、個人の情報の発信は容易
で共感の拡散スピードも早い時代です。数量は少なくても高いロイヤリティを得ることで成立する商売
は今後ますます増加していくと思われます。OEM を活用したトイレタリー製品や化粧品はその典型に思
えます。
こうした社会の動きを敏感に察知し、御用聞きを兼ねて商品の目利きを活かした提案をこまめにでき
ることにこそ油問屋の皆さんの強みがあると思っています。
株式会社幸書房
取締役 月刊「油脂」編集長
田 中 直 樹
-11-
第39回日加菜種協議の概要
農 林 水 産 省
油糧輸出入協議会
日 本 植 物 油 協 会
一般社団法人日本植物油協会様より協議内容の概要資料を受領しましたので、以下一部を抜粋しそのま
ま掲載します。
1.日時及び開催地
日 時:平成 27 年 11 月 11 日(水) 9:30~16:55
開催地:如水会館「松風の間」
2.会議議題
(1) 日本の経済情勢等についての基調報告
(2) 2015 年産についての生産者の見解
(3) 日本市場の 2015 年概要と 2016 年の展望
(4) 2015/16 年度におけるカナダ産菜種の需給展望
(5) 2015 年に日本に輸入されたカナダ産菜種の品質
(6) 2015 年カナダ西部産菜種の品質
(7) カナダ作物の輸出物流システム
3.参加者
日本側
副団長 神井 弘之
小池 賢二
田仲 一伸
西阪 徹
カナダ側 団 長 Jeff Pleskach
Adrian Man
Steve Lavergne
Patti Miller
農林水産省 食品製造卸売課長
日本植物油協会 国際部長
日本植物油協会 技術部会会長
油糧輸出入協議会 菜種委員長代理
カーギル社 菜種マネージャー
リチャードインターナショナル社 副社長
カナダ農務省 穀物油糧種子課課長
カナダ菜種協会 会長
他7名
他6名
議事の概要
会議冒頭に、両国団長(Delegation Leader)より開会の挨拶及び団員の紹介が行われた。
カナダの Jeff Pleskach 団長は、カナダ菜種産業を代表して挨拶をするとした上で、このような協議プ
ロセスが存在していることに感謝している。また、貴重な時間を割いて、親交を深めて頂いたことにも感
謝申し上げる。今年夏にカナダのカルガリーで日加予備協議が開かれたときの生産見通しは極めて暗
く、干ばつが深刻であり、最終的には、供給の配給計画を策定せざる得ないことも危惧されていた。し
かし、夏の後半からの恵みの雨もあり、また、キャノーラの回復力の強さもあり、生産見通しは大幅に改
善された。この意味でも CCC の戦略が正しく、その有効性が確認された。また、昨年は、輸送問題が
発生したが、今年の輸送条件は大幅に改善した。日加菜種協議は、これまでも、多くの論点について
議論してきたが、両者の関係は、しっかりした土台の上に立っており、密接かつ深いパートナーシップ
に信頼を寄せている。この会議では、情報共有が出来、問題を解決し、両サイドの成功に向け、議論
することで、共に前進をとげることができる。今後とも、変化する課題に取り組んでいく所存である。
一方、神井副団長は、食生活に不可欠な食用油脂の原料の太宗を海外に依存せざるを得ない我
-12-
が国では、大量かつ高品質の油糧種子を毎年安定的に供給する国を確保することが重要となってい
るとし、予備協議の段階では、2015 年産の菜種生産量が播種後の降霜、生育期の乾燥の影響により
1,400 万tを下回ると予想されていたところが、その後の天候の回復により、最近のカナダ統計局の見
込みで、これを大きく上回る見込みとなっている状況を評価した。しかし、アジア新興国の堅調な需要
を背景に油糧種子の需要量も年々増加の一途をたどっており、世界の菜種供給国としてのカナダの
役割は極めて重要となっているとした。その上で、日本政府として、今後も菜種の生産量のさらなる拡
大を期待するとともに、両国の有益な関係を保ちつつ緊密な連携を行い、引き続き我が国に対し、菜
種の安定供給の確保を要望した。
(1)日本の経済情勢等についての基調報告
日本植物油協会齊藤専務理事が添付資料に基づき日本の経済情勢等に関する基調報告を行った。
(概要)
カナダを含めた国際的な経済成長の動向を踏まえ、我が国の経済ポジションを基調報告として概説。
我が国は、円安基調にも関わらず赤字脱出の困難な貿易収支の現状や物価上昇に伴う実質所得の
減少を背景にした鈍い個人消費の回復実態にある。全国消費者物価指数の「生鮮食品を除くコア
CPI」の上昇率が 2 年 4 ヵ月ぶりに前年同月比でマイナスとなった結果、日銀が掲げる「+2%のインフレ
目標」の達成が厳しくなっている最近の実情を紹介。こうした状況下、食品市場は、人口の減少と高齢
社会の進行という構造的問題の影響が徐々に顕在化しているが、小売業態の過当競争が依然として
続いており、川下からのバイイングパワー等を背景にした納入価格引き下げの強い圧力が継続してい
る現状を紹介。とりわけ植物油業界において、長らくデフレ経済状態が継続しており、国内商品市場の
活性は乏しく、消費者物価指数 (2010 年の消費者購入価格=100)の食用油は、100 を割り込む水準
となるなど、国内市場には、円安基調と国際市場の高騰といった変化を受け止めるだけの余力が十分
にない状況を説明。こうした中、近年の有職主婦の増加に伴い、限られた時間で無理なく行える家事ス
タイルが拡大、調理機会の減少の下で、簡便化や時間短縮志向という傾向がより顕著になっている一
方で、安全・安心志向はさらに高まっている現状など植物油を巡る経済環境を総合的に概括した。
(2) 2015 年産についての生産者の見解
カナダ菜種生産者協会会長の Brett Halstead 氏より 2015 年産菜種の作柄に関する生産農家の見解の
説明がなされた。
(概要)
冒頭、カナダ菜種生産者協会の会長としてカナダ国内 4 万 3 千戸のキャノーラ生産農場を代表して挨
拶することを光栄に思うとした上で、今年のキャノーラの生産状況を説明した。私の農場は、サチュカチワ
ン州の中心部にある。今年は、500 ㌈の農地のうち 280 ㌈の農場にキャノーラを割り当て、L140P のキャ
ノーラ種子(脱粒抵抗性の品種)を作付した。土壌温度が十分に上昇し作付条件が整った 5 月第 2 週目
に播種機にて種子と肥料を深さ 0.5 インチのところ播種し、春の雑草を除去するグリホサートのスプレー
散布を行った。作付から 21 日目に発芽確認、6 月の早い時期に降雨に恵まれ期待が高まった。7 月に
満開となり、対菌核病殺菌剤散布、8 月中旬に部分刈入れ時期が到来した。森林火災による霞がかかっ
たが熱波を防ぐ効果があった。水不足、開花時期における低温などいくつかの課題はあったが、生育状
況は比較的良好で、病害虫の発生は低く抑えられた。例年の平均収量は 35 ㌴/㌈だが、最終的な収量
は 40 ㌴/㌈で作柄は高品質であった。収穫後一部を販売、大半は貯蔵、年後半に販売予定としている。
カナダ全体を見渡すと、マニトバ・サスカチュワン州の一部の地域では発芽は非常に順調であったが、
生育期間の後半になって霜に見舞われ、100 万㌈以上の菜種が被害に合い再播種を行わなければな
らなかった。その一部は他の作物に切り替わった。
その後、地域によっては慢性的な水不足に見舞われた。特に顕著だったのはアルバータ州の一部の
地域で、収量低下が観察された。このように生育条件は理想的なものでは無かったが、今回の経験で、
-13-
キャノーラの作物品種には強い回復力があることが分かった。要因の一つは、新品種が環境のストレス
(水分量、熱)に強みを発揮したことであるが、今一つは、播種技術に関するイノベーションによるもので
あり、とりわけ「不耕起播種」を実戦することで下層土の水分保全が可能となり、収量の安定的維持が可
能となった。今年は、病害虫が突出した年では無かったが、収量に打撃的な影響を与える「根こぶ病」が
これまで確認されていなかった地域で新たに確認されたことから、業界として再重点課題として取り組ん
だ。根こぶ病に対する抵抗性品種の導入に加え、農場におけるバイオセキュリティの手順を徹底させた。
現在、カナダの菜種農家は、すでに、2016 年のキャノーラ生産に向けて、圃場整備を進めるとともに、
は種の準備等に着手し始めている。
(3)日本市場の 2015 年概要と 2016 年の展望
日本植物油協会島田事務局長が添付資料により報告。
(概要)
我が国植物油市場の現状を踏まえ、今後の需給予測等を行った。植物油全体の供給量については、
2008 年前後に最大水準に達したのち、2009 年からはそれを下回る水準での微増で推移。総量、油種
別の需要量も、変動の小さい安定した状況。油種別には、大豆油が減少してきたが現状は横ばい乃至
微増に転じている。菜種油は、増加が続いてきたが横ばいに転じ、増加してきたパーム油は横ばいで推
移。植物油の顧客である事業者、消費者と低価格志向が強い。
歴史的には、これまで大豆油がトップ油種であったが、1989 年に菜種油が上回り、2009 年には、パ
ーム油が大豆油を超え、2015 年現在、菜種油 109 万t、パーム油等熱帯油脂 75 万t、大豆油 40 万t。
日本の植物油の供給の安定のためには、大豆油、菜種油、パーム油等熱帯油脂のバランスが重要とな
っている。
2014 年実績及び 2015 年で利用可能な 1 月~9 月データに基づき、2015 年の最終需給を見通すと、
2015 年の植物油の総需要量は前年並みの 259 万t。供給面では、大豆油の生産は減少も底を打ち、
横ばい乃至微増だが堅調な動き。菜種油の生産は、2015 年は横ばいの 107 万t程度。
2015 年の搾油とミール
2015 年の植物油需給
Demand / Supply of Vegetable Oils in 2015
CY
Demand
Domestic Use
Export
Supply
2014
Jan/Sep
2014
(1,000mt)
2,587
1,910
2,573
14
1,900
10
2015
Jan/Sep
Change rate
over previous
year
Production
Soybean Oil
Canola Oil
The Others
CY
2015
Estimate
1,953
(1,000mt)
2,630
1,941
12
+2.2
+22.4
2,615
15
2,770
141
2014
Jan/Sep
2014
2015
Jan/Sep
(1,000mt)
(%)
+2.3
2,736
Carry in
Crushing and Meals in 2015
136
1,664
392
1,074
198
1,229
288
790
135
1,249
310
790
133
+1.7
+7.5
0.0
-1.2
1,690
420
1,070
200
Import
931
692
724
+4.7
945
Carry out
136
Crushing volume
Soybean
Change
rate
2015
Estimate
(%)
(1,000mt)
1,992
1,472
1,630
+10.7
2,200
2,451
1,797
1,819
+1.2
2,450
Meals supply
Soy-meal
Production
Import
3,413
1,501
1,753
2,586
1,109
1,476
2,489
1,235
1,389
+11.4
-5.9
3,355
1,623
1,588
Canola Meal
Production
Import
1,418
1,361
57
1,051
997
54
1,019
1,011
8
+1.4
-86.1
1,372
1,362
10
36
85
91
82
56
40
-38.6
-52.2
37
62
23,566
15,394
(Jan/Aug)
15,238
(Jan/Aug)
-1.0
23,500
Canola
End stock of meals
Soy-meal
Canola meal
Compound feed
production
140
7
大豆の圧搾量は 220 万tと、4 年ぶりに 200 万t水準を超える見通し。一方、2015 年の菜種の圧搾量
は、245 万t水準の見通し。
2016 年の大豆搾油量も大豆油需要が横ばいに転じ、また、大豆ミールの需要が底堅いことを織り込
み 220 万t水準。菜種搾油量は、245 万t水準と横ばいと予測。
植物油を巡る内外情勢のうち、国際市場の需給動向については、国際油糧種子市場の需給、価格に
大きな影響を与える中国の動きに注目。国際価格は、高い水準で推移、円安もあり、円建てによる国内
製油メーカーの原料調達価格は上昇。国内において(植物油、ミール)に適切な転嫁が求められている
が、食料消費はユーザーの需要は弱く、また、消費者の節約志向が定着して低価格志向が強いという
-14-
8
難しい状況に直面。
TPP の関係では、油糧原料種子の関税は既に無税であり、国内搾油業の生産コストに何ら影響を及
ぼすものではない。家庭用については、国内植物油メーカーのブランドが確立されており、業務用(外食
用)、食品加工用については、オーダーメイドとも言うべく国内植物油メーカーがきめ細かくユーザーの
ニーズに答えている。
一方、国内畜産は、飼料原料のミールの大きな販路となっている。重要な畜産物については、関税制
度が維持されている。また、セーフガードも設けられている。これにより、農林水産省は、例えば、豚肉へ
の影響は限定的という見方を示している。牛乳・乳製品についても、国家貿易制度が維持されている。
加えて、今回の TPP 合意に対応した国内畜産への支援策が策定され、実施される。現時点で、TPP の
国内畜産への影響を想定することは困難であるが、農林水産省は、影響は限定的と評価している。
(4)2015/16 年度におけるカナダ産菜種の需給展望
Louis Dreyfus Commodities の Mr. Tracy Lussier 氏が、 カナダの輸出業者等を代表して、2015/16
年におけるカナダ産菜種の需給展望を報告。
(概要)
今年はカナダ西部のキャノーラの生育では興味深いシナリオが展開された。7 月の事前協議の段階で
は悪条件に見舞われており、破滅的な状況になると見られていた。最終的な収穫状況を把握するため、
どういうプロセスを経たかを理解するのが重要なので、播種時期から 7 月までを振り返る。
当初、水分十分の非常にいいスタートを切ったが、直後の雨の状況が非常にまばらになった。4 月 1
日から 7 月 2 日まで、マニトバ南部、サスカチュワン南東部等を除く地域では低降雨となり、全体で降雨
量が 75 ミリとなる地域もあった。カナダのキャノーラの生育地域である西側の降雨量で平年の 4 割となっ
た地域もある。このため、当初、本年のキャノーラ生産は破滅的な大打撃を受けると想定された。だたし、
カナダ東部が乾燥した 5、6 月を迎えると 7、8 月は雨が多いという統計もあった。日加菜種予備協議で、
日本チームが帰国した直後、一番乾燥していた地域に、100~200 ミリの降雨があった。7 月 10 日から 9
月初めまでの間、生育地の大部分が平年の 150%で十分な降雨量となった。8 月 1 日から 9 月 15 日ま
での間、一部、霜が降りたが、作物が死滅するような霜はなく、キャノーラが十分成熟するチャンスとなっ
た。「植生健全性指数」を見ると 7 月の植生指数は非常に低かったが、その後、指数値は劇的に回復し
た。
カナダ統計局の予想では、カナダ菜種の収穫面積は、全体で昨年から 100 万㌈、前年比 5%減の
1,984 万㌈となった。
2015 年カナダ菜種の州別作付面積
カナダキャノーラの単収の推移
25
39.0
20
6.60
36.0
6.75
6.10
34.0
15
5.55
5.00
10
11.60
8.15
8.50
9.90
3.23
3.33
2.80
09/10
10/11
11/12
10.65
10.75
10.45
BUSHELS PER ACRE
Millions of Acres
6.20
6.07
CANADA
TREND
TREND+1SD
TREND+2SD
29.0
TREND-1SD
TREND-2SD
5
24.0
3.58
3.14
3.20
3.10
13/14
14/15 15/16E
0
00/01
01/02
02/03
03/04
04/05
05/06
06/07
07/08
MB
SK
08/09
AB
BC
12/13
19.0
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
カナダの農家は数多くのオプションの中から植える作物を選んでいるが、とりわけ意思決定に影響す
る要素は、収益性、輪作状況、需要状況である。
「キャノーラ/小麦の価格比」は、キャノーラの先物とミネアポリス小麦先物を比較したものだが、キャノー
-15-
ラと小麦の比率が 1.65 程度の場合、キャノーラの作付面積が安定する。これを上回ると、キャノーラの作
付面積が小麦に対して増える傾向にある。現在の比率は 1.7 水準、つまりキャノーラの先物はミネアポリ
ス小麦先物の 1.7 倍高く見られているわけだが、この水準であれば、来年にキャノーラの作付けが小麦
に対して大きく増えることにはならない。農家は、この時期、来年に何を植えるか、数字を見ながら意思
決定をしている。タイミングから言えば、今後、一月くらいの数字が翌年の作付けを決める上で大事にな
る。この後、もしかしたら作付けを切り替えるということも起こり得る。
作物年度
2013/14
2014/15
2015/16
(予測)
現状に鑑みて注意してみなければいけないこと
がいくつかある。まず、一つは EU の収穫が 300 万
収穫面積(千㌈)
20,160
20,618
19,360
40.6
35.1
36.0 tほど低下し 2,150 万tになると見通されること。さら
反収(bu/acre)
588
3,008
2,317 に、豪州も 70 万tほど下がって 270 万t。ウクライナ
期首在庫(千t)
18,801
16,173
15,775
生産量
も 45 万t下がって 170 万t。米国も 10 万t程度減。
89
61
83 こうした地域の生産減はカナダキャノーラ生産に大
輸入量
19,478
19,242
18,174
供給量合計
きな影響を与える。豪州の生産が少なくなったこと
6,979
7,357
7,475 で、中国向けの種子の輸出が困難となるが、中国
国内搾油量
395
408
273 の需要が横ばいで一定しているのであれば、カナ
種子及び飼料用数量
9,096
9,154
8,544
輸出量
ダから更に 100 万tほど買って 350 万tとなる可能
16,470
16,919
16,292
需要量合計
性がある。昨年はカナダ、豪州合わせて 460 万t買
3,008
2,323
1,882 っていたことからすれば、カナダから不足分を得よ
期末在庫量
18.3
13.7
11.6 うとする。豪州の状況がよくないことで、パキスタン
期末在庫率(%)
の数字も上がる可能性がある。EU の方でも、300 万t程度の低下があり、他で入手できなければカナダ
からの輸入でまかなうことになると考えられる。カナダの圧搾マージンが高くなれば、現在バランスシート
で示している圧搾量も跳ね上がる可能性がある。以上を総括すると、カナダのキャノーラに対する需要は
非常にロバストなものであって、現在のバランスシートのタイトな状況が続くと考えられる。
こうした状況ではあるが、日本は信頼できる形で付き合わせていただいているし、需要は一貫している
ことから、今後も協力しながらやっていきたいと考えている。我々としても一定量の安定した供給を日本
向けに供給していきたいと考える。
(5) 2015 年に日本に輸入されたカナダ産菜種の品質
日本植物油協会技術部会田中部会長が添付資料により報告。
(概要)
今年のカナダ菜種の品質について、まず、水分
含量は、2008 年から減少傾向にあったが、昨年の
2014 年から高水分含量に転じている。今年の 1 月
~5 月までの平均値は 8.16%、過去 10 年間の平均
値に対して 0.24%高かった。その後、7 月以降の原
料水分は 8%未満となり、9 月までの平均値は
8.01%まで低下した。ただ、ここ数年間では最も高
い水分含量。今年の油分含量は 4 月以降高いレベ
ルで安定。よう素価は 2012 年から低下傾向にある。
今年のよう素価は昨年より僅かに高くなっているが、
ここ数年は低下傾向にあり、今後の推移を注視。
油分の変化について
(6)2015 年カナダ西部産菜種の品質
カナダ穀物委員会の Veronique Barthet 氏より 2015 年カナダ西部産菜種の品質についての説明が行
-16-
われた。
(概要)
今年のカナダの気象状況を振り返ると、5 月に霜が降り、3 度の降雪があった。このため、5 月に 3 度
も播種を繰り返した生産者もいた。この結果、クロロフィルが高くなる可能性が生じることになった。その
後、気温が高い状況が続いた結果、油分量の減少可能性が生じた。一般に気温が高くなると収穫のと
きに遊離脂肪酸が増えることが知られている。9 月に雨がたくさん降ったので、刈った後に雨が降ると発
芽してしまい、結果として酸価が上がる可能性がある。今年は去年と比べて収穫の開始は早かったが、
雨が降ったので、収穫中断が頻繁に生じ、最終的な収穫の終了は去年より遅延した。調査の 10 月 13
日時点で、収穫量の 8 割のサンプルしか手元にないことからデータは 12 月末の段階で変わっている可
能性もある。調査の結果、1 等級のサンプルは全体の 93.5%となった。
これは去年の 80%と比べるとかなりいいレベルとなる。その意味では、かなり苦労した年だったが、最
終的には 1 等級については非常に良い年になったといえる。ただ、今日(11 月 11 日)の段階のデータ
によれば、1 等級が 92%となっている。理由は遅延していたアルバータのデータが入ってきたことによる。
アルバータのサンプルはマニトバやサスカチュワンほどいい状態ではなく、それが全体のデータに影響
を及ぼしている。調査結果によれば、まず、今年の油分平均は 44.2%となっている。
2015 年カナダ菜種の油分
2015
2015 年カナダ菜種のクロロフィルの含有量
2014
2015
Mean
Range
Mean
Range
Manitoba
43.7
39.1 – 49.0
43.3
39.3 – 48.1
Saskatchewan
44.7
39.2 – 49.7
44.5
39.2 – 49.4
Alberta
43.8
36.1 – 50.5
44.1
37.5 – 49.1
44.2
36.1 – 50.5
44.2
Western
Canada
2014
2013
2012
Manitoba
4.0 – 32.9 4.0 – 35.0 4.0 – 32.5 4.0 – 43.0
Saskatchewan
4.0 – 32.2 4.0 – 39.1 4.0 – 36.4 4.0 – 46.4
37.5 – 49.4
Alberta
4.0 – 32.9 4.0 – 46.0 4.0 – 44.1 4.0 – 54.9
5 year average
44.4
4.0 – 32.9 4.0 – 46.0 4.0 – 44.1 4.0 – 54.9
10 year average
44.3
Western
Canada
クロロフィルについては、輸出と収穫の比較値の予測は極めて困難である。これは夾雑物が質だけで
なく量も影響してくることによる。今年はないが、一旦冷凍されたキャノーラがあるとクロロフィルが高くなる
ので、輸出のときに高くなる。2004 年にように突出して高くなる状況になってしまう。いずれにせよ、収穫
のときに輸出時のクロロフィルを予測するのは難しい。
α リノレン酸は平均が去年とほぼ同程度の水準になっている。収穫と輸出の間には正の相関が見られ
る。ヨウ素価は、一部の地域で高い数字が出たため高めの水準となっている。ヨウ素価は、収穫と輸出に
強い正の相関が見られる。
オレイン酸については大体去年と同水準となっている。同じく、収穫と輸出の品質も似通った状態。
飽和脂肪酸は日本ではあまり問題にならないかもしれないが、当方としては、一定して 7%未満に維
持できているのを喜ばしく思っている。かつて、夏の気候が強く暑かった際、飽和脂肪酸が 7%を大きく
超えたことからすれば、今年は、成果だと考えている。エルカ酸も下がっている。輸出向けでもこのような
状況が続くとみている。遊離脂肪酸の数値を 2 倍にすると酸価の値が出てくる。ここで今年は若干問題
が生じると考えている。日本向けの輸出の数字を見ていると、通常の数字の半分ぐらい数値となっている。
最大値、最低値を見るとかなり大きな触れ幅があるのが分かる。大体この時期だと 0.18 程度だが、0.18
の数字もあるが、かなり高い数字も出ていることからすれば、今年問題があるとすればここかと思っている。
理由としては収穫の時期に雨が降ったことが挙げられる。それにより化学的な組成に違いが出たと考え
ている。雨のせいで発芽したキャノーラ種子もあった。それにより遊離脂肪酸が増えてしまった。出荷の
時期に遊離脂肪酸が高まっている。0.5 などの数字は、出荷で移動している間に高くなる可能性がある。
-17-
私の予測が当たってほしくないと強く願っている。
総括すると、油分については 10 年平均値水準。たんぱく分については平年以上。クロロフィルは通常
より低位。ヨウ素価については、ここ 3 年ぐらいと同水準。こうした調査結果は、生産者が任意のプログラ
ムに参加してくれることによるもので、協力してくれた生産者に大変感謝している。
(7) カナダ作物の輸出物流システム
カナダのバイテラ社のチャド・モレスキー氏よりカナダの物流に関する説明が行われた。
(概要)
カナダの穀物輸送には季節要因がある。冬は零下 40 度まで気温が落ち込むなど厳しい気象条件の
中で輸送手段が限定される。カナダナショナルの鉄道の冬の物流は例年大幅に落ち込んでいる。今年
の物流は、石油業界低迷に加え、暖冬が予測されることで、穀物物流は比較的楽観視されている。物流
にかかわる関係各社は、事業の効率化、輸出増への対応を進めている。現在、西海岸から全体で、2600
万tが輸出されているが、既存のキャパは 3000tを超えている。カナダでは、政権交代が行われた。前政
権はカナダのロジスティックの改善に取り組んだことから、新政権の動きが注目されている。カナダの物流
システム全体のレビューがなされ、間もなくその提言が公表されることになる。物流関係の法案は、間もな
く失効することになるが、鉄道は適切な対応をしている。鉄道事業者の観点で、カナダナショナルとカナ
ダパシフィックは、車両購入によって専属の穀物事業者が独自の車両を持つことになる。国内のロジステ
ィクスについては国内の事業者がよりコントロールが利くようになる。更に鉄道事業者は工夫して新たな商
品ラインアップを進めており、我々とも協力して商品の改善に努めている。最終的には、輸出市場へ遅延
なく届ける協力をする動きが進んでおり、鉄道事業者も自らのインフラに投資している。新型車両、要員
の増員をし、現在、投入車両が毎週 5,500 台加わっており、その全てが農業産品の物流に割り当てられ
ている。 背景として、原油価格市場が芳しくないことだけでなく、カナダの天然資源、石炭、硫黄、カリウ
ムにおいても採算性がとれなくなってしまった事情がある。
結論としては、穀物関係の見通しは明るいということで、このプレゼンテーションをまとめたい。鉄道会
社もようやく本腰を入れ、自らが農業セクターに活路を見出そうとしており、港湾におけるキャパが増設さ
れていることころである。
(最終コメント)
(Mr. Jeff Pleskach, Cargill Limited):今回、素晴らしいプレゼンと必要な議論が出来たことを感謝す
る。カナダサイドは、これまでも一貫して必要な量と高品質な菜種を日本の皆様に効率的に提供すること
にコミットメントしている。今回で 39 回目の会議となるが、このような貴重な関係は、他にない存在であり、
このように力強く、素晴らしい議論が出来たことが、我々のこれまでの信頼関係を証明することとなった。
本日、生産事情から需給事情、物流問題に関するまで、さまざまな論点を深く議論することが出来た。協
議会の重要性が改めて確認された。カナダ菜種産業とパートナーシップにコミットして頂いたことに対す
る改めて感謝申し上げる。
(小池賢二日本植物油協会国際部会長):カナダ菜種関係者のご努力もあり、今回の日加菜種協議も、
極めて有意義な会議となったことを感謝する。7 月の日加予備協議の段階では、今年の生産を心配して
いた。実際、私自身、秋の日加協議の段階で、よいニュースとなっていることを期待していると述べたの
を記憶しているが、その後、カナダ菜種は、すばらしい回復力を示し、今回の報告数値となったことに、
ひとまず安堵しており、関係者の皆様の努力に関して敬意と感謝の意を表する。一方、今回の報告で明
らかになったように、今年の菜種については、品質面に関しては若干懸念される部分もあるので、今後の
技術水準の向上等、品質向上のための一層の努力を期待する。新しい環境変化が進む中で、お互いに
必要な協議を通じて、共通の目標に向かって進んでいることを確認することが出来た。今後も、信頼関係
の上に立ち、互いの課題の解決を行うとともに、カナダ菜種に関連する業界の発展に向けて努力して参
りたい。
-18-
アメリカ大豆輸出協会(USSEC)主催
第31回米国大豆バイヤーズ・アウトルック・コンファレンス
平成 27 年 11 月 19 日(木)13:30~17:30
明治記念館「鳳凰の間」
コンファレンスの冒頭、西村允之日本代表より「日本の油脂業界、飼料業界は世界の急
激な環境変化に伴い大きく変わりつつある。今回のコンファレンスでは新穀大豆の品質
のみならず、幅広い情報提供、情報交換の場としている。引き続き米国大豆、大豆製品
をお買い求め頂けるものと信じている」とのご挨拶がありました。以下、2015 年コン
ファレンスのテーマと講師、概要を掲載します。
1.
「米国大豆生産者からの約束」
ローレンス・スカルスキ 氏(アメリカ大豆協会、ディレクター)
2.
「実際の飼料設計における代替タンパク質およびエネルギー原料の利用?
好機と落とし穴」
ヤニス・ドッペンバーグ 博士(スコットホースト飼料研究所)
3.
「中国の飼料業界の状況と概要」
ポール・バーク 氏(アメリカ大豆輸出協会、北アジア代表)
4.
「世界の油糧種子、油、油かす類のマーケット概要」
トーマス・ミルケ 氏(Oil World 社 専務理事)
5.
「2015 年度産米国大豆の品質報告(一般大豆)」
セス・ネイブ 博士(ミネソタ大学 作物学・植物遺伝学部 准教授)
2015 年度の収穫面積・収量・総生産量
米国農務省農業統計局(USDA/NASS)の 2015 年 10 月の生産報告によれば、米国産大
豆の総収穫面積は、昨年度から 1%減少の、3,340 万ヘクタールであった。
平均収量は、1ヘクタール当り 3.2 トンとわずかに減少した。米国農務省によると米国
大豆の推定総生産量は 10,590 万トンとなり、2015 年産は、2014 年産より 1%減少する
ことが見込まれている。
2015 年度産米国産大豆の品質
2015 年の米国産大豆の平均タンパク質含有率は 34.3%で、前年度より 0.1%減少し、平
均油分含有率は 19.8%で、前年度より 1.2%増加している。
-19-
各地区の活動状況&会員情報
<平成27年8月―11月>
8月4日(火)
正副会長会議を開催し、総会の運営要領および油脂未来研究会の今
後の活動や来期の予算などについて協議した。
8月6日(木)
東京油問屋市場では、定例役員会を開催し平成27年度行事日程お
よび各委員会の活動計画を策定した。
9月9日(水)
愛知県油脂卸協同組合では定例役員会を開催し、平成27年度の永
年勤続優良従業員表彰候補者、経営講演会の講師、工場見学会につ
いて協議した。
9月10日(木)
全油販連役員会を油商会館にて開催し、第62回定時総会議案の審
議を行なった。
9月10日(木)
油脂未来研究会は油商会館にて役員会を開催し、1月に愛知県の太
田油脂㈱本社にて勉強会を行なうことを決定した。また、今後の方
針や活動計画についても策定し、活発な意見交換をおこなった。
10月14日(水)
愛知県油脂卸協同組合では平成27年度工場見学会を開催。組合
員・賛助会員多数の参加を得、ヤマモリ㈱桑名工場にて本醸造しょ
うゆの製造現場を見学した。
10月16日(金)
全国油脂販売業者連合会は、第62回定時総会を東京・中央区のロ
イヤルパークホテルにて開催した。
(詳細は記事別掲)
11月11日(水)
第39回日加菜種協議に、オブザーバーとして館野浩一、島田孝克
両顧問、栗賀隆廣専務理事が出席した。(会議概要は別掲)
11月11日(水)
東京油問屋市場では、第32回YSG会を大洗ゴルフ倶楽部にて開
催。製販関係者多数の参加で盛会となった。
-20-
-16-
11月11日(水)
愛知県油脂卸協同組合では、定例役員会を開催。永年勤続優良従業
員表彰式並びに経営講演会の運営について協議した。
11月11日(水)
愛知県油脂卸協同組合では、第50回永年勤続優良従業員表彰式典
を開催。愛知県知事表彰3名、愛知県油脂卸協同組合理事長賞1名
の表彰を執り行なった。
11月11日(水)
愛知県油脂卸協同組合では、平成27年度経営講演会を開催。メー
カーより「今般の油脂事情」「オリーブオイルの不思議」と題し講
演を受け、組合員・賛助会員約40名が参加し盛会となった。
11月13日(金)
一般社団法人日本植物油協会主催の第23回 植物油栄養懇話会が
東京・千代田区の如水会館にて開催され、会員多数が受講した。
11月19日(木)
第31回米国大豆バイヤーズ・アウトルック・コンファレンスが・
東京港区の明治記念館「鳳凰の間」にて開催され、全油販連会員多
数が出席した。(会議概要は別掲)
<会員情報>
特になし
-21-
平成27年8~11月油価推移(東京・愛知)
◎東京
(単位 : 円)
(東京油問屋市場建値委員会)
大 豆 油
(大口50缶以上直送)
菜 種 油
(同 上)
菜種白絞油
(同 上)
胡 麻 油
純 正 椿 油
精製落花生油
サ ラ ダ 油
こ め 油
綿 実 油
ラ ー ド
荏 油
亜麻仁油
桐 油
ひま し油準局
や し 油
醤 油 油
精製魚油
調理用マーガリン
動物油脂
パーム油
オリーブ 油
8月休会
上 値
中 値
下 値
上 値
中 値
下 値
上 値
中 値
下 値
金 口
赤 口
調合60%
16.5㎏
16.5㎏
綿実上銘
綿実並銘
コーン上銘
コーン並銘
サフラワー
白絞油
白絞ドラム付
綿白絞油
輸 入
国 産
純16.5㎏
181.5㎏ドラム付
190.0㎏ドラム付
190.0㎏ドラム付
181.5㎏ドラム付
18 L
バラローリー
8㎏×2
国産豚脂
国産牛脂
精製16㎏
16.5㎏
9月24日
3,900
3,650
3,400
4,200
3,900
3,800
3,900
3,650
3,400
15,300
13,500
9,500
70,000
9,600
6,600
5,900
5,400
4,800
8,400
4,900
45,500
5,400
5,500
3,030
43,000
69,000
96,000
81,800
54,000
4,100
㎏/240
6,800
㎏/95
㎏/95
3,500
㎏/1,250
10月23日
3,900
3,650
3,400
4,200
3,900
3,800
3,900
3,650
3,400
15,300
13,500
9,500
70,000
9,600
6,600
5,900
5,400
4,800
8,400
4,900
47,500
5,400
5,500
3,030
43,000
69,000
96,000
81,800
54,000
4,100
㎏/240
6,800
㎏/95
㎏/95
3,500
㎏/1,250
◎愛知
(単位 : 円)
(愛知県油脂卸協同組合)
大豆白絞油
菜 種 油
菜種白絞油
ラ ー ド
11月24日
3,900
3,650
3,400
4,200
3,900
3,800
3,900
3,650
3,400
15,300
13,500
9,500
70,000
9,600
6,600
5,900
5,400
4,800
8,400
4,900
47,500
5,400
5,500
3,030
43,000
69,000
96,000
81,800
54,000
4,100
㎏/240
6,800
㎏/95
㎏/95
3,500
㎏/1,250
(上)
(並)
(上)
(並)
(上)
(並)
国 産
16.5㎏
〃
16.5㎏
〃
16.5㎏
〃
15.0㎏
8月分
4,100
3,950
4,200
4,100
4,100
3,950
2,990
-22-
9月分
4,100
3,950
4,200
4,100
4,100
3,950
2,990
10月分
4,100
3,950
4,200
4,100
4,100
3,950
2,990
11月分
4,100
3,950
4,200
4,100
4,100
3,950
2,990
全油販連いっぷくコーナー
10月24日余話
本誌事務局からマーガリンの日(10.24)に係る続編をとの話もあり、師走も近かったの
で、早目の忘年会をしてまたぞろ関係者から話を聞いた。叱責甘受で少し書く。
どうもマーガリンの日の企画?は、記念日の制定とパンフレット制作が先行し、予算確
定後にキャンペーンの具体化が進んだため、その告知手法が限られていたようである。売
り場に付けるスイング POP を関係小売店に配布したが、付けるのはお客様のご意向次第で
あり全店対応とはいかなかったとのこと。私も自宅近隣をはじめ数店舗回ったが、行った
日が悪かったのであろう、POP をついぞ見なかった。そしてプレゼントへの応募者数は2
千人を下回って終了したとのことである。例えば分かり易く 1,680 人の応募として、週に
210 人、一日に 30 人である。テレビや新聞、チラシ等での広告なしに2千弱とは多いのか
少ないのかの判断は難しいが、その応募数について聞くと、
「応募数の多寡はさておき、工
業会のホームページに毎日 30 人が訪れたのは確かで、掲載した新たなパンフレットや関係
記事を見てくれたろうし、少なくとも工業会の存在は認識されたと考えている」とのこと
だ。また、応募数のピークは、懸賞 Web サイトにプレゼントが載った週だけで応募総数の
三分の一を占めたとのことである。であればツイッターで呟くのも一つの方法か、SNS 恐
るべし等を私は改めて考えてしまった。その一方で彼は、10 月下旬にはハロウィンがあり
ハロウィン以上に目立つようにしないと呑み込まれてしまうことを懸念して、いっそのこ
とマーガリン君をハロウィン仕様にするかなどと苦笑いをしていた。皆さん!何か効果的
宣伝のヒントはないものでしょうか。いいお知恵が浮かびましたら、是非工業会に教えて
あげてください( [email protected] )
。
ヒントといえば昔から、アイデアが閃いた時の絵は白熱電球が頭の上あたりでピカッと
輝くのが専らであったと記憶している。ところが先月下旬に、“蛍光灯実質製造中止。白熱
灯も。20 年度めどに LED へ変更、政府決定か”と報道されたのには驚いた。そうだとす
れば各家庭でも器具や電灯の買い替えなど相当な需要になるだろう。新三本の矢 GDP600
兆円や環境問題、オリンピック観戦等に寄与する面もあるだろう。が、本当にそれでよい
のだろうか。偏見かもしれないが LED には冷たさを感じてしまうのである。国民は夏冬で
の節電協力によって節電行動が身に付いているだろうから、白熱灯、蛍光灯、LED の選択
肢はあってもよいのではないだろうか。きっと誰かがふと思い浮かべたのだ。GDP600 兆
円=「大きいことはいいことだ」=「大きいこと(ラージ、L)
」+「いいでえ」=LED と。
その程度であれば、白熱灯が醸す温かさ・ほんわかさなどを残していただきたい。そうで
ないとますます冷たい社会になってしまう……と思う年の瀬である。
麻賀 倫太郎
-23-
編集後記
平成27年第3号の「全油販連NEWS」をお届けいたします。
*
今年の秋は局地的に大雨が降り、鬼怒川の堤防決壊等による水害が見られ
ました。被災地の方々にはお見舞い申し上げます。
*
今年は外国人旅行客が円安の影響もあり急増しております。9月末までに
約 1500 万人が訪日しております、その経済効果も大きく7~9月の旅行者
の消費額は1兆円を突破したそうです。また、一方では中国経済の減速が
表面化し今後の世界経済に影響を及ぼしそうです。
* 『日加菜種協議』『米国大豆バイヤーズ・アウトルック・コンファレンス』
では農家の方より生産過程、品質管理、配送問題等の生の声を聴くことがで
き、アメリカ、カナダ両国にとって日本がいかに重要な輸出先であることを
改めて認識しました。今後も信頼関係の更なる構築ができればと思います。
また、TPP問題も「総合的なTPP関連政策大網」の決定を受け、正式合
意の6年後には関税撤廃になることで、今後の油脂業界がどのような影響を
受けるのかが懸念されます。
(編集係:栗賀・松山)
全油販連ニュ-ス(H27-No.3)
<非売品>
全国油脂販売業者連合会
発行人
金田 雅律
編集人
栗賀 隆廣
〒103-0014
東京都中央区日本橋蛎殻町1-38-12
油商会館ビル8F
TEL 03-3666-4356
FAX
03-3666-4399