上野の山便り 平成29年 2月 2月3日は節分です。節分は立春の前日で、暦の上では春を迎える節目の日です。恵方巻、節分そばなど、食 卓でも春を呼び込む行事食を楽しみましょう。丸かぶりすると縁起が良いとされる太巻きの恵方巻は、その年の 恵方を向いていただきます。今年の恵方は「北北西」です。節分そばは、旧暦では節分を年越しと考え、そばを 食べていました。縁起のよいそばを食べ、幸せを願いましょう。 「鬼は外、福は内」と節分で使う福豆は、炒っ た豆が良いことをご存じでしたか?「炒る」が鬼を「射る」につながるということや、豆を炒る音や豆まきの音 が魔除けになるとも考えられていたようです。今年の節分は少し大きめの音を立てて、春を迎えてみませんか? 上野東照宮ぼたん苑で、色とりどりの冬ボタンが見頃を迎えています。雪よけと雪囲いを兼ねる「わらぼっち」 や、赤い和傘の下に並ぶボタンは 40 品種 200 株が楚々と咲いています。26 日まで開苑しています。花の少ない お正月の縁起花として、春夏に寒冷地で開花を抑制する等の技術を駆使し、開花させたものが「冬ぼたん」です。 新春を祝う大輪の花、その可憐な姿をご覧ください。 今月は気分が春めき活動的になる一方で、まだ厳しい寒い日が続きます。朝から積極的に体を温めて体調不良 を防ぎながら、春の訪れを楽しみにすることにいたしましょう。どうぞお体ご自愛下さい。 東京国立博物館平成館・特別展「春日大社 千年の至宝」展 ~3/12 奈良・春日大社に伝わる古神宝など。展示替えも 国立西洋美術館・ 「シャセリオー展―19 世紀 フランス・ロマン主義の異才」 2/28~5/28 駆け抜けた才能 香り立つエキゾチズム 国立科学博物館・特別展「世界遺産 ラスコー展」 ~2/19 洞窟壁画を再現し、クロマニヨン人の正体に迫る せっ そん 東京藝術大学大学美術館・特別展「雪村―奇想の誕生―」 3/28 ~5/21 東京都美術館・特別展「ティツィアーノとヴェネツィア派展」 ~4/2 絵画や壁画などを通してベネチア派の魅力を紹介 上野の森美術館・ 「アトリエ展」 2/7~2/12 東京文化会館・大ホール 2017 都民芸術フェスティバル参加公演 藤原歌劇団公演《カルメン》 2/3 18:30~ 2/4,5 14:00 ~ 特別展「春日大社 千年の至宝」展 かすがもうで 東京国立博物館平成館で「新春、上野に春日詣。 」と銘打って、3 月 12 日まで、開催中です。 しきねんぞう たい 春日大社では「式年造替」と呼ばれる社殿の建て替えや修繕が約 20 年に一度行われ、平成 28 年(2016)には 60 回目を迎えました。本展は、この大きな節目に、春日大社に伝来し、社外ではめったに拝観することのかなわ ない貴重な古神宝の数々とともに、春日の神々への祈りが込められた選りすぐりの名品を、かつてない規模で展 観するものです。 「平安の正倉院」と呼ばれる春日大社に伝来した王朝美の精華を伝える古紳宝類。祈りや願い かっちゅう を込め奉納された甲 冑 や刀剣。美しい自然に囲まれた聖地・春日野や神々の姿を表した絵画や彫刻。 「千年」 、す なわち「とこしえ」の祈りが今なお捧げられる春日大社の「至宝」が一堂に会する、大変貴重な機会です。 貴族や武家の権力者たちが奉納し、神殿に守られて今に伝わった神宝の魅力をお楽しみいただけます。 春日大社は、奈良時代の初めに国家の平安と国民の繁栄を祈願するため創建されました。春日大社第一殿の祭 たけ みかづちのみこと ひたちの くに みかさやま 神である武甕 槌 命 は、常陸国(現在の茨城県)から鹿に乗り、春日大社をいだく御蓋山山頂に降臨したと伝え み つ ぬしのみこと あめのこ や ね の みこと ひ め がみ じ ん ご け い うん しょうとく てんのう られ、その後、経津 主 命 、天児屋根 命 、比売神を迎え、神護景雲2 年(768)に 称 徳天皇の勅命により現在の 地に四棟の本殿を造営したのが始まりです。以後現在に至るまで、多くの人々の祈りが春日の神々に捧げられて きました。 上野の山 散歩人 平木巖
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