一般社団法人日本在外企業協会に聞く

2013 April People
東京海上日動 WINクラブ
http://www.tmn-win.com/
一般社団法人日本在外企業協会に聞く
中小企業の海外安全
広報部長
海外安全アドバイザー
海外安全センター長
『月刊グローバル経営』 編集長
萩 隆之介氏
中村 保氏
西川裕治氏
1992年が日本企業の「海外安全対策元年」
- 日本企業の海外安全問題について貴協会はさまざまな活動を行われていますが、初めにその概要をお教えください。
西川 私ども日外協(一般社団法人日本在外企業協会)は 1974 年に設立された団体ですが、そのきっかけとなったのは、当
時の田中角栄首相が同年1月にタイやインドネシアなどを訪問された際に発生した反日暴動でした。1970 年代の初めごろ
は東南アジアへの日本企業の進出ラッシュだったのですが、その進出の仕方があまり上品なものでなかったためか、東南ア
ジア各地で対日批判が巻き起こったのです。そこで、そのような反日暴動を抑えるためには日本企業が秩序立った、もっと
きちんとした投資行動をとらなければいけないということで、経団連や日経連、同友会、日商、日本貿易会といった日本の
主要な経済団体が「発展途上国に対する投資行動の指針」というものをつくり、その普及啓発
を目的として産業界の総意に基づいてつくられたのが私どもの団体という次第です。
その後、日本企業のより一層の国際化を受けて 1987 年に、主要な経済団体と共同して新た
に「海外投資行動指針」
(http://www.joea.or.jp/summary/investment)が作成されました。日外協が
その普及啓発を推進する団体であることは今も変わらないのですが、最近は海外事業展開に際
して克服しなければならない問題がずいぶんと広く複雑になっています。各国・地域の投資環
境やビジネスリスク、グローバル人材の育成、海外安全対策、海外進出企業の人事・労務管理、
健康・医療などさまざまな問題について、当協会の会員企業のなかで昔から海外に出ていた先
進企業が蓄積してきた知見やノウハウ、情報を会員企業間でシェアしたり、当協会内に委員会
や研究会を作って調査・研究を積み重ねたりしながら、日本企業の海外進出をサポートする活
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動を続けて参りました。また、そうした活動を広報するため、
『月刊グローバル経営』という刊
行物を年 10 回発行しています(http://www.joea.or.jp/publication/globalmanagement)
。そのほか、各
種の海外派遣者向けハンドブックや海外安全・危機管理マニュアルなども出版しています
(http://www.joea.or.jp/publication/publishing)
。
中村 過去に起きた重大事件としては、1986 年 11 月のフィリピンでの総合商社のマニラ支
店長誘拐事件、1996 年 12 月のペルー日本大使公邸襲撃・占拠事件、最近では 2012 年8~
9月に領土問題をめぐって中国で大規模な反日デモが起きたり、2013 年 1 月にアルジェリア
の天然ガス精製プラントを武装集団が襲撃して多数の日本人が犠牲になるなどいろいろな事件
が海外で発生しており、海外進出企業の安全対策が非常に重要なテーマとなっています。
私がセンター長を務める海外安全センターが発足したのは今からおよそ 20 年前の 1992 年ですが、そのきっかけとなっ
たのは 1991 年に勃発した湾岸戦争でした。1990 年8月にクウェートに侵攻したイラクは、外国人を強制連行して自国内
の軍事施設や政府施設などに「人間の盾」として多国籍軍との開戦直前の 12 月まで監禁しましたが、そのなかには日本人も
多数含まれていました。あの出来事がきっかけとなって、日外協としても安全対策の面で海外進出企業の役に立っていこうと
いうことになりまして、1992 年の4月に海外安全センターは設立されました。
この 1992 年は日本の「海外安全対策元年」と言われておりまして、この年に外務省と民間のメーカーや商社、航空会社、
旅行会社、日外協などの関係団体によって「海外邦人安全対策官民協力会議」(現「海外安全官民協力会議」
http://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/kanminkyo.html)が発足していますが、これも湾岸戦争によって日本国内で海外進出企業の
安全問題がクローズアップされた結果といえます。
- 海外安全センターでは、どのような活動が行われていますか。
中村 海外安全対策に関するセミナーや講演会を年 10 回ほど開催しているほか(http://www.joea.or.jp/event)
、当協会の会員企
業のうち約 60 社をメンバーに、その時々のホットなテーマについてお互いに情報や意見を交換したり、外部から講師をお招
きして勉強会をするといった研究会を持っています。東京2チーム、中部・関西各1チームの計4チームあり、それぞれ年5
回開催しています。この研究会は業種を超えた横のつながりができるだけでなく、何かあった時にすぐ電話やメールでやりと
りできるので、安全担当者間のネットワークづくりに大いに役立っているとメンバーから高い評価を受けています。それから、
海外赴任者・出張者向けの安全対策、健康・医療、メンタルヘルスに関する3種類のマニュアルを出版しており、赴任者向け
研修にご活用いただいています(http://www.joea.or.jp/publication/publishing#anchor03)
。
また、企業の海外赴任者とそのご家族向けに「海外赴任前セミナー」を年 10 回開催しているほか、
「海外安全・危機管理
認定試験」を4年ほど前から始めています。これには「海外安全・危機管理者」と「海外安全・危機管理責任者」の2つのコ
ースがありまして、管理者コースは企業の総務や人事などの部署の方に海外安全対策の大切さと基本的な知識を学んでいただ
くことを、責任者コースは本格的な海外安全の専任担当者、専門部署のリーダーの養成をそれぞれ目的にしています。
アルジェリア人質事件が明らかにしたこと
- 「水と安全はタダ」と言われる日本では安全問題に対する意識の低さが事
件や事故が起こる度に問題になりますが、海外安全に対する日本企業の意識はや
はり低いと感じられますか。
萩 さすがに私どものセミナーや講演会などに来られる企業の方々の意識は、
かなり高いと感じます。ただ、その意識が実際に会社のなかで活かされないと
意味がありません。海外赴任前セミナーに海外赴任者とそのご家族をどんどん
送り込んで来られるような企業では、海外安全に対する意識がリスクマネジメ
ントや危機管理としてある程度、会社のオペレーションのなかにきちんと組み
込まれているといえます。その一方で、海外安全のパンフレットを社内で配
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ってそれで終わり、それすらやらないという企業もいまだに多いと聞いています。
日外協で2年に1度、会員企業に対して「海外安全対策」に関するアンケート調査を行っています。2年前の 2011 年に
行った調査の結果を見ますと、海外安全対策の専任組織があるか、専任の担当者を配置している企業はまだ 35%しかありま
せん。当協会の会員はほとんどが大手企業で、非会員の中堅・中小企業は調査していませんから、実態はもっと厳しい数字
になると思います(http://www.joea.or.jp/wp-content/uploads/pdf/activity_research_safetycontrol_2011.pdf)
。
- アルジェリア人質事件では日本人が多数犠牲となりました。あの事件の影響で日本企業の海外安全に対する意識はかなり高
まっているでしょうから、これからは海外安全対策に取り組む企業が増えるのではないでしょうか。
萩 今回のアルジェリアの事件は、かなり特異な事件だったと思います。アルジェリアはもともと治安状況のあまり良くな
い国だったのですが、ああいった危険国で事業展開する場合、国によって異なりますが、企業はその国の軍や警察などの治
安機関にプラントの外周部分のセキュリティを任せる。なおかつプラント内の警備や外出時の護衛は民間警備会社に託すの
が一般的なパターンで、アルジェリアのガスプラントもそのパターンだったわけですが、一番の問題は軍による警備の限界
が露呈してしまったことです。ここしばらくの間、ああいう燃料施設に対するテロは起こっていませんでしたから、軍に多
少の油断があったのかな、というのが私の印象です。
- 日本人の犠牲者が特に多かった点については、どのようにお考えですか。
萩 プラント外周はアルジェリア政府が軍に警備させていましたし、プラント内はイギリスとノルウェーの企業の主導によ
る警備でしたから、日本側としては主体的な警備はできなかった状況にあったと思います。やはり軍の警備に油断があった
のが最大の原因ではないでしょうか。
中村 全般的に日本企業には確かに甘い楽観主義みたいなものがありますが、何か月も前から計画が組まれていたら、実際
問題としてテロを防ぐのは難しいでしょうね。例えば中南米では誘拐や強盗の被害が多発していますが、2か月も3か月も
ターゲットの行動パターンを観察して、
「ここだ!」という瞬間を狙って襲ってくるわけです。今回のテロも、おそらく同じ
ような手口で行動パターンの観察や内通者からの情報を基に狙いを定めて襲ってきたのではないかと思います。
萩 今回のテロでは「日本人がターゲットになった」という報道があるようですが、そうした見方はまだ早計だと思います。
これまで日本人は中東・北アフリカのイスラム圏では比較的安全圏内にいるとされてきましたが、
「イスラム圏で日本人だか
ら安全だという期待はもう持てなくなった」
「テロのターゲットとなる点では日本人も除外されなくなった」ということが今
回のテロで明らかになり、日本企業にとって大きな教訓になったのではないかと思います。
日本では海外安全対策に担当者も予算もなかなかつかない
萩 海外進出している日本の中堅・中小企業のなかにも、今回のアルジェリアの事件でショックを受けた経営トップの方が
「うちの海外安全はどうなっているんだ」と人事や総務に尋ねて、担当者が慌てて日外協やコンサルティング会社に問い合
わせてくる、という現象は確かに見
られるのですが、ただ、それが永続
するかどうか懸念されます。
- アンケート調査では専任組織
や専従者を置いている企業が 35%
しかなかったということでしたが、
海外の企業の場合、安全対策の専任
組織、専従者を置いている企業は多
いのでしょうか。
萩 欧米企業の場合、大手ですと必
ずリスクマネージャーがいます。そ
の人が相当な権限と予算、スタッフ
を抱えて、マニュアルに基づいて、
平素から
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平素から全社的なリスクマネジメント・危機管理の活動を行っています。だから海外企業の場合、
有事の際に物事がサッと動くわけです。それに比べて日本企業はかなり先進的な企業でも、そこ
までいっていません。専任組織や専従者を置いていても、予算が全然つかないとか、人事や総務
の予算の一部を頂戴しているから自分たちでお金をマネージできないというところがほとんど
なのです。恐らく海外安全対策に独自の予算をつけている会社は 5 社にも満たないのではない
でしょうか。
日本の会社の場合、
「ろくに稼いでもいない部署が金を遣うな!」という締め付けがきついん
ですよね。人事や総務の人間はそういう締め付けに対して何となく負い目を感じてしまうから、
環境対策や防災対策、海外安全といったことについては予算を要求しにくいのです。さすがに
東日本大震災後は、防災対策やBCPと言えば予算がつくようになりましたが、テロ対策や誘拐対策と言うと財布の紐が固く
なる。大企業がそういった状態ですから、中堅・中小企業の場合、海外安全どころか環境にも防災にもなかなか目が向いてい
ない、というのが実情なのだと思います。
西川 環境汚染も大規模災害もテロや誘拐も、実際に起こった時にはものすごいお金と人手がかかるのですが、人は実際に起
こってみるまでなかなか実感できないようです。自分自身、テロ事件の多い国に駐在しましたが、自分なりに注意はしました
が、結構危ない橋も渡っていたようで、本社はとても心配していたようです。ところが、日本に帰国した年に発生したペルー
人質事件に本社の立場で対応し、
「こんなに大勢の人が注ぎ込まれ、多額の費用がかかるのか」と呆然とした経験があります。
だったら平時から少しずつお金を使っても、着実に対策を講じていく方が安上がりで確実なのですが、そういうことは後で大
騒ぎになってから「あの時やっておけば」ということになるのです。
中村 進出先が先進国ならいいですが、新興国や発展途上国は社会インフラが未整備で安全や治安、医療、環境などの面の不
安が非常に大きい。今では中小企業もそうした国・地域に出ていかざるを得ない状況ですから、ある程度の対策はきちんと講
じておかなければなりません。大企業だと社員数も多く人材面で余裕がありますが、中小企業の場合、限られた人材のなかか
ら優秀な人材、重要度の高い人材を外に出さざるを得ない。そういう貴重な人材を守る仕組みを持っていないと、万一の時に
会社として非常に大きなダメージを受けることになると思います。
中小企業の経営トップの方が「社員を守れないと会社も守れない」くらいの意識で取り組まないと、中小企業の海外安全対
策は難しいと思います。
海外安全対策の「元請・下請」問題
萩 アルジェリア人質事件の場合もそうでしたが、今は元請が下請けの人間を海外派遣する例が結構多いようです。今、中
国や東南アジアに出ている中小企業は、ほとんどが下請けで出ています。日本にいたらビジネスが成り立たないから止むを
得ず元請を頼って海外進出しています。そういう企業は概して受け身で、なおかつ背水の陣を敷いて出ているわけです。そ
ういう状況のなかでリスクマネジメントや危機管理に取り組もうとしても、人的にも資金的にも余裕がありません。
そういう人たちのセキュリティは、基本的には元請の責任になるのでしょうが、元請が自社の従業員に行っているのと同
じ対策やトレーニングを下請けの従業員にも行えるかどうか難しいところです。
- ある種、労災問題と同じ構図のように感じられますね。下請けが事件に巻き込まれた時、
その国・地域に派遣した元請の責任は問えるのかどうか。
中村 特に危険度の高い国・地域に元請と下請けが一緒に進出する場合には、元請企業の責
任を少し重くして、下請けの安全について管理や指導を行わせるといったことが仕組みとし
て必要かも知れませんね。
萩 元請と下請けの間に資本関係があれば、元請は下請けの安全に全責任を負わなければな
らなくなる。いわゆるグループ企業、
「親会社と子会社」ということですね。たとえ資本関
係がなくても 100%下請けならグループ企業のネットワークに入れてもらえて、元請の責
任でしっかり安全対策や危機管理のトレーニングを行ってもらえるかも知れない。しかし、
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特に深い関係もない単なる下請けとなると、そこのところはとても難しい問題になる。
そういう風に元請を頼れない下請けの中小企業は、人手も予算もないなか、どうやって
自分の身を守ればいいのか。専任組織や専従者を置けなんて、そこまで無茶なことは言い
ませんが、少なくともリスクマネジメントや危機管理の仕組みを出来るだけ経営のなかに
取り入れて、後は余所を頼ればいいと思うのです。
例えば日外協に相談してセミナーを受講してみたり、同業者間でネットワークづくりを
してみたり、元請に相談して情報提供を受けたり、あるいは外務省のホームページから情
報を集めてみたりする方策もあります。
こうしたことは海外安全対策のなかでは比較的コストをかけずに行える部分なのです
が、それすらやる余裕がない企業は、海外進出してもすぐにトラブルに巻き込まれたり事
故・災害に遭ったりするリスクが高まります。
中小企業でも実行可能な海外安全対策のポイントとは?
- 実際に中小企業が海外安全対策に取り組む際に、特に押さえるべき大事なポイントがあればお教えください。
萩 まずは海外安全対策の責任者、セキュリティマネージャーを、専従でも兼任でもいいですから 1 人必ず任命すること。
それが第一歩だと思います。そして第二歩目は、海外安全対策のマニュアルかそれに類するものを、安全管理についての社
内規定でも何でもいいですから、必ずつくることです。
中村 やはり経営トップの方の意識が一番大事じゃないでしょうか。会社によってかなりの差はあると思いますが、安全問
題に関しては大企業も中小企業も関係なく、トップダウンの意思決定が重要になると思います。必ず経営トップが指揮を執
る必要があります。
西川 海外安全については、経験のない人たちが集まって何かやろうとしても難しいと思うのです。これは海外安全に限っ
たことではありませんが、いろいろな分野で専門家や先進企業、経験者の事例に学ぶのが一番手っ取り早いと思います。当
協会の宣伝をするわけではありませんが、例えば日外協の会員になれば専門家の講演会もあれば会員同士の情報共有もある
し担当者のネットワークもできる。こうしたことは、安全対策ではものすごく大きな効果を発揮するのです。
萩 自社だけでは出来ないこともネットワークでなら解決することができる。先ほど、1992 年が日本の「海外安全対策元
年」だったという話が出ましたが、この年には日外協の海外安全センターや海外安全官民協力会議のほかにも、企業の安全
管理責任者のネットワークが研究会や勉強会などさまざまな形で出来ました。これは何かというと、大企業が横の連絡を取
り合って、情報交換することによって組織の強化、情報力の強化をお互いに図っていたわけです。
こうした動きが中小企業の間に広がっていけば多分効果的なのでしょうが、誰かが旗振りをしないとこうした動きを広げ
るのは難しいものです。ですから例えば、中小企業庁や商工会議所といったところが中小企業の横の連携や組織づくりをも
っと積極的にサポートすればいいと思うのです。
- 貴協会の「海外赴任前セミナー」や「海
外安全・危機管理認定試験」を非会員企業が
受けることは可能でしょうか。
中村 どちらも非会員企業が参加できます。
「海外赴任前セミナー」は年 10 回行ってお
ります。企業の海外赴任者とそのご家族を対
象に、安全対策について2時間、医療と健康
について 2 時間、
計4時間の講義を行います。
費用は会員企業が1人 5,000 円(税別)
、非
会員企業が1人 15,000 円(税別)となりま
す。それから「海外安全・危機管理認定試験」
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ですが、先に述べた通り、これには2つのコースがありまして、
「海外安全・危機管理者」コースの場合、企業・団体で海外
安全・危機管理の業務に携わる方を対象に、原則年 2 回、1日の講義を行った後に試験を行います。
「海外安全・危機管理責任者」コースの場合、企業・団体で海外安全・危機管理の実務経験のあるマネジメントクラスの方
を対象に、原則年1回、4日かけて試験を行います。1日目は管理者コースと同じ講義と試験を行い、2日目と3日目は専門
講師による事例研究と緊急時対応の演習を行い、与えられたテーマでレポートを作成します。そして4日目に総合演習として
提出したレポートに基づいた口頭試問を行います。
それぞれの試験の合格者には当協会から認定証を付与します。受験料は管理者コースが 30,000 円(税別)
、責任者コース
が 90,000 円(税別)です。詳しくは当協会の Web サイトをご覧いただければと思います(http://www.joea.or.jp/activity)
。
当協会の会員には中小企業はまだ少ないのですが、これからは我々も中小企業の会員を増やして、何とか中小企業の海外進
出のお役に立ちたいと考えているところです。
※このインタビューは2013年3月26日に行われました。
広報部長兼『月刊グローバル経営』 編集長 西川裕冶 (にしかわ・ゆうじ)
1976年日商岩井㈱(現・双日㈱)入社。電力プラント、通信機器、産業機械、建設機械の海外営業、ODA(政
府開発援助)案件などを20年間担当。その間、インドネシア、スリランカに各4年駐在。1996年以降、広報・人
事・総務、日本貿易会への出向(『日本貿易会月報』編集長)などを経験し、2012年4月より現職。8年間の海外
駐在時代には何度かテロ事件を間近で体験。広報時代にはペルー人質事件、インドネシア暴動、9.11米国同
時多発テロなど、さまざまな事件・事故で危機対応も担当。
海外安全センター長 中村保 (なかむら・たもつ)
1984年キヤノン株式会社入社。電子事務機事業本部・事業企画部門での予算・事業計画立案、生産・販売
計画立案等の業務を経て、メキシコ、カナダ、米国の販売現地法人にて通算15年間責任者を務めた。2010年
1月に帰国し、同年2月から日外協に出向し、2012年1月から現職。
海外安全アドバイザー 萩隆之介 (はぎ・りゅうのすけ)
1965年住友商事㈱入社。ベイルート、バグダッド、サウジアラビア、クアラルンプール駐在。1997年から人事
部門で7年にわたり海外安全専任担当として勤務。この間のノウハウの積み上げを活かし、社内における海外
安全対策システム・関連マニュアルを整備。2004年1月に同社を退職後、3月より㈱オオコシ セキュリティ コ
ンサルタンツ シニア・コンサルタント。5月より日外協・海外安全アドバイザー。2005年6月より㈳海外邦人安
全協会理事。2010年9月より㈱オオコシ セキュリティ コンサルタンツ 副社長 シニア・コンサルタント。
一般社団法人日本在外企業協会 (日外協、JOEA) http://www.joea.or.jp/
1970年代初頭に東南アジアでの日本企業の進出ラッシュに対する対日批判が巻き起こったため、秩序ある海外進出を促進するため
の「海外投資行動指針」の普及を目的とし、1974年に経団連、日経連など主要経済団体の総意に基づき民間団体として設立。以来39
年間にわたり、日本企業の海外進出のあるべき姿を調査・研究し、進出企業のサポートに努めてきた。1990年の湾岸戦争をきっかけ
に、1992年4月、海外進出企業の安全対策の調査・研究やサポートを行う海外安全センターを設置。
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