中学関数編 - 考える学習をすすめる会

目からウロコの
数学講座
中学関数編
ひ
で
ん
い っ き ょ
ウロコ流関数 秘伝のワザを一挙公開!!
<無料ダウンロード版>
考える学習をすすめる会
学陽舎塾長
城内 貴夫 -著
目からウロコの数学講座
中学関数編
=1時間目=
2点を通る直線の式をめぐって
-1-
は・じ・め・に
ぜつたい
かんすう
こくふく
たんげん
関数は中3生にとって絶対に克服しなければならない単元です。なぜ
そうごう
こうこうにゆう し
はいてん
なら、総合テストでも高校 入 試でも必ず出題され、しかも配点が20点
し
前後を占めるからです。
じゆうよう し
なぜこんなに 重 要視されるのか?
それは、関数には数学のいろい
よう そ
ろな要素がふんだんに含まれているからです。また、諸君がやがて学ぶ
2
ことになる高校数学では、なんらかの形で関数がからむものが
にの
3
ぼります。だから関数の単元を克服しないかぎり、諸君の数学に未来は
ありません。
たいはん
てっていてき
じつ
さて、諸君の大半がいやがる関数も、グラフを徹底的に利用すれば実
きら
はとても単純な単元なのです。「グラフがあるから関数は嫌い!」とい
う諸君、それではグラフ君がかわいそうですよ。
かんけい
グラフ君は、y = a x + b とか y = a x2 というわけのわからない関係
しき
すけ
と
式を目に見えるものにしてくれる強力な助っ人なのですから。グラフ君
がせっかく目に見えないものを目に見えるものに変えてくれたのに、諸
わる
君がそれをわかってあげられないだけなのです。「だから諸君が悪い。」
しぼ
と言っていてもはじまらないので、ここでは一次関数に絞って、グラフ
君が諸君にわからせようとしていることを私がグラフ君になりかわって
がん ば
説明することにします。グラフに弱い諸君、頑張ろう!
※
大切な注意点
「目からウロコ流」とは、 グラフを徹底的に利用する方法です。
い こう
中の注意を守り、ゆっくりと 進めてください。=2時間目=以 降 、その
はん い
おどろ
応用 範 囲の広さにきっと 驚 くはずです。
-2-
1.
2点を通る直線の式
いきなり問題。
( 1, 3 ),( 3, 7 )の 2 点を通る直線の式を求めなさい。
かいほう
この問題の解法は、3通りあります。
れ ん り つ ほ う て い し き りゆう
(1)【連立方程式 流 】
諸君が中学で一番なじんだ方法。
でも、 一番やってほしくない方法 。
直線の式を y = a x + b とおき、
x = 1, y = 3 と x = 3, y = 7
だいにゆう
を代 入 して
と
連立方程式を解き、a = 2, b = 1
答え.
を求めて
y=2x+1
うーん?!
もっと
すす
なぜこの方法が私から見て 最 もお勧めできないかといえば、関数を学
む えん
ぶ目的(=グラフを使いこなす)とまったく無 縁 だからです。高校数学
でも、この方法は使いません。
-3-
い ち じ ほ う て い し き りゆう
(2)【一次方程式 流 】
連立方程式流よりは良いが、どうせグラフを
せっぺん
使うなら切片までグラフから出して欲しいもの。
ふ てつ てい
「不徹底!」
y
かたむ
か
グラフを描いて 傾 きを求め、
(3, 7)
( a = 2 )、
切片は y = 2 x + b として、
+4
ざ ひよう
どちらかの点の座 標 を代入して
+2
(1, 3)
求める。
( 1, 3 )なら
傾き
3 = 2 × 1 + b,
∴b=1
答え.
+4
=2
+2
o
x
y=2x+1
(3)【目からウロコ流】
傾きも切片も共にグラフから求めてし
てってい
まう。これこそがグラフ君の望むところ。だから徹底コーチ。
かんたんりゆう
まず、簡単 流 グラフの描き方
じよう ぎ
だいがく
じく
定 規を使わずフリーハンドで x 軸と y 軸をかく。大きさは大学
1 てい ど
ノ―ト1ページの、
程度に大きく。 y
4
①
小さく描くと、あとから書き込み
した場合ゴチャゴチャしてろくなこ
てきせつ
とがないですよ。慣れたら、適切な
大きさに変えればよいのですから。
o
-4-
x
め
②
も
x 軸, y 軸に目盛りはふらないこと。
め ぶんりよう
おさ
描いた範囲内で収まるように目分 量
y
で 2 点の座標をかきこむ。
ふ せいかく
多少の不正確さは数字をかきこむ
ことでカバーできる。
(1, 3)
o
③ 2点を直線で結ぶ。
ま した
そして( 1, 3 )から( 3, 7 )の真下
x
y
(3, 7)
ま うえ
すいへいせん
まで水平線を引き、そこから真上に
すいちょくせん
(3, 7)まで垂 直 線を引く。
+4
ぞう か りよう
水平, 垂直の増加 量 を書き入れる。
+2
(1, 3)
この場合は +2 と+4 になりますね。
傾き
ここから傾きが出ます。
+4
= 2 です。
+2
+4
=2
+2
o
x
y
(3, 7)
④ 次に切片も出してしまいます。
こうてん
切片は直線と y 軸との交点の y 座
+4
標ですから( 1, 3 )から y 軸まで水平
もど
+2
線で戻ります。
(1, 3)
y 軸とぶつかったら、下に垂直線
お
o
で降りてきて切片でストップ。
-5-
x
さ ゆう
⑤ さて、( 1, 3 )をはさんで左右に 2
y
つの直角三角形ができましたね。
(3, 7)
そう じ
2つの三角形はもちろん相似です。
たいおう
へん
ひ
だから対応する辺の比は等しい。
+4
( 1, 3 )から横 y 軸までの長さは 1。
+2
(1, 3)
そこから切片までの長さは?
o
み くら
x
⑥ 2つの直角三角形を見比べればわか
るでしょう。
y
はんぶん
(3, 7)
左の横 1 は、右の横 2 の半分だから
たて
縦も半分のはずで 2。上の点の座標が
+4
( 0, 3 )なので、そこから下へ 2、
(0, 3) 1
したがって
切片は 3 より 2 下の点で ( 0, 1 )
+2
(1, 3)
になります。
o
x
⑦ 傾きと切片が出ました。
傾き 2,
切片 1 。
答え.
y=2x+1
じっくりコーチしてきました。こんな方法は初めてですね。そう、私の
う
コーチを受けた人しか知らない方法です。でも、だまされたと思って最初
か
し
て じゆん
はゆっくり噛み締めながらこの手 順 を練習していってごらんなさい。
ノート 5 ページくらい練習すると、【連立方程式流】の人と同じくらいの
速さか、それより速くなります。グラフも x 軸, y 軸に目盛りをふらなけれ
はや
ば、かなり速く描けるのです。
-6-
この【ウロコ流】の良いところ
な
①
慣れればおそろしく速くなる。
かんたん
そのうちに簡単なものは頭に描いたグラフで直線の式を出せる
ようになる。
そうごう
②
ふくごう もんだい
総合テストや入試では、複合問題になって、あらかじめグラフ
き にゆう
が描かれていて座標も記 入 されていることが多いので、それを
利用して、すすっとできてしまうようになる。
お
とことん慣れたら、横, 縦の増加量や横線, 縦線を目で追うだ
き にゆう
けになって、記 入 しなくなるので、あっというまにできるよう
になる。
しんゆう
③
なな
グラフをしょっちゅう描くことでグラフ君と親友になれ、斜め
ぶんかい
の変化をすべて横と縦の増加量に分解して考えるようになる。
お
だって、x 軸は「横に置いたものさし」、y 軸は「縦に置いた
ものさし」なんですよ。
だから横の長さと縦の長さしかわかるはずがないでしょう。
おうようはん い
④
ひろ
この方法の応用範囲がとても広い。やがて諸君はマスターして
よ
おも
ひ
おいて良かったと思う日がくる。
こんな、いいことだらけの【ウロコ流】なので、もう少し練習してみま
しょうね。
かいせつ
ぶ ぶん
かく
解説はグラフだけで。解説と答えの部分は紙で隠してからやりましょう。
-7-
2.
例題1
(1) 2 点(-4, 0)と(2, 3)を通る直線の式を求めなさい。
(2) 直線 y = 3 x に平行で, 点(1, 4)を通る直線の式。
かたむ
[ヒント](2)平行な直線は、すべて 傾 きが等しい。
ゆっくり
ゆっくり
y
1
(0, 4)
傾き 3
(1, 4)
y
+3
1
傾き
=
+6
2
3
(2, 3)
0より2 上
(-4, 0)
4
y=
2
2
+6
答え.
y=3x
切片
切片
1
2
o
4より3 下
+3
x
x+2
1
o
答え. y = 3 x + 1
-8-
x
3.
例題2
(1) 切片が 3 で, 点(1, -2)を通る直線。
(2) 2 点(-1, 2), (3, -2)を通る直線。
y
(0, 3)
y
+1
傾き
切片
-5
+1
傾き
= -5
(-1, 2)
-5
(0, 2)
1
+4
切片
-4
2より1 下
x
o
1
-4
= -1
+4
o
(3, -2)
(1, -2)
答え.
x
y =-5 x + 3
答え. y =- x + 1
-9-
4.
例題3
(1)2 点(-1, 3), (4, 3)を通る直線。
(2)傾き 45° で, 切片が 2 である直線。
[ヒント]
(1)水平線は傾き 0。
ちよつかく に とうへん
(2)傾き 45° とは、図に描けば 直 角二等辺三角形ができるね。
y
y
傾き
+0
+5
=0
+0
(-1, 3)
切片
+5
(4, 3)
傾き1
切片
45°
(0, 2)
x の増加量= y の増加量
x
o
答え.
y=3
o
答え. y = x + 2
- 10 -
x
ふく ごう
5.
例題4
複合問題にチャレンジ
下の図のような 2 直線 l, m がある。直線 l は, 2 点 A, B を通り
y 軸と点 E で交わる。また, 直線 m は, 傾き 2 で点 B を通り, x 軸
と点 C, y 軸と点 D で交わる。 このとき, 次の問いに答えよ。
(京都府)
(1)点 C の座標を求めよ。
めんせき
なんばい
(2)△ BED の面積は, △ OAE の面積の何倍か。
とうぶん
(3)点 B を通り, △ BED の面積を 2 等分する直線の式を求めよ。
y
m
D
l
(-2, 4)
B
E
A (2, 0)
C
O
解説・解答は次ページから。
- 11 -
x
例題4の解説・解答
このような複合グラフ問題のときは、それぞれの点の座標や
かぎ
さき
直線の式をわかる限り先に出しておいた方があとを考えやすい。
これは、問題できかれているかどうかと関係ありません。どうせ
問題を解くのに必要なはずですから。
やく だ
くんれん
このとき、諸君が訓練してきたことが大いに役立つのです。それ
ぞれの点の座標は横・縦の長さでほとんど出てしまいます。
※
2直線の交点の座標だけは連立方程式を使わなければだせません。
このことだけは要注意!
y m
傾き2
D (0, 8)
y=2x+8
4
l
(-2, 4)
B
2
+4
傾き-1
(0, 4)
2
2
4
C
E (0, 2)
2
(-4, 0)
-4
A (2, 0)
O
- 12 -
y=-x+2
x
(1)点 C の座標。
直線 m の傾きが 2 だから、グラフより(-4, 0)
(2)△ BED と△ OAE は、そ
ていへん
れぞれ DE, OE を底辺と見
たか
y
た場合、高さは 2 で同じ。
D (0, 8)
ひ
だから面積の比は底辺の
比になる。
DE = 6,
OE = 2 なので
(-2, 4)
底辺 6
B
2
DE = 3OE
E (0, 2)
∴
C
△ BED = 3 △ OAE
底辺 2
A (2, 0)
O 2
答え.
3倍
ば あい
※
このように、「面積が何倍か?」ときかれている場合、そのほ
く
あ
とんどが底辺と高さの比を組み合わせれば簡単に出てしまうも
のが多い。
ば か しようじき
ところが、ほとんどの解説書は馬鹿 正 直に面積を計算してか
く ふう
な
ら何倍かを出している。工夫が無いこと、このうえない。
- 13 -
x
とうぶん
(3)面積を 2 等分する直線の式を出させる問題は、グラフがからん
しゆつだい
かくりつ
たか
だ面積問題では 出 題の確率がとても高い。
ちようてん
たいへん
む
ちゆうてん
がわ
むす
1 つの 頂 点からの直線ならその対辺 (向かい側辺)の 中 点と結べば、
それが面積の 2 等分線になる。
(高さが変わらず、底辺が等しくなるから)
y
グラフで DE の中点は
D (0, 8)
+1
1
傾き
=
+2
2
(0,5)だから、
切片
(-2,4)との 2 点を通る直線は
y=
(-2, 4)
1
B
x+5
2
+2
+1
中点 (0, 5)
E (0, 2)
C
O
A(2, 0)
x
以上で=中学関数1時間目=は終了です。じっくりと目で考
え、手で考え、1つ1つの事柄が理解できましたか?
たんじゆん
ウロコメソッドでは、どんなことでも単 純 に考え、単純に
しよ り
処理します。ここで諸君が身につけた方法で、ほとんどの関
数問題が実にスピーディーに解けてしまうのです。これはす
ぶ
き
ごい「武器」です。
うでだめ
早く腕試しをしたいでしょう?
=2時間目=,=3時間目=,
=4時間目= で、たっぷりさせてあげます。
※
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- 14 -