第2章 わが国における建設業のイメージアップ活動の事例

第2章
わが国における建設業のイメージアップ活動の事例
(1)建設業のイメージアップ活動の概観
建設業のイメージアップについては、行政・各建設業団体・各建設関連企業等において
これまでも実施されているところである。
(社)日本建設業団体連合会(日建連)加盟企業、( 社)全国建設業協会加盟の都道府県
建設業協会、及び( 社)建設産業専門団体連合会(建専連)加盟団体に対するアンケート(技
能教育の実態等に関するアンケート調査:平成14年11月~平成15年1月)の結果か
ら、建設業のイメージアップ活動として取り組まれている代表的なものとして以下のよう
なものがある。
<日建連の加盟企業>
・ 現場見学会の実施
・ 現場の美化活動(周囲の清掃の実施、仮囲いのデザイン化、フラワーポットの配
置等)
・ 建設業の理解促進のためのパンフレット・ビデオの作成と配布
<都道府県建設業協会>
・ 現場見学会の実施
・ 建設業をテーマとしたイベントの実施
・ 絵画・ポスター・写真のコンテストの実施
・ 優秀技能者の表彰
・ 建設業の理解促進のためのパンフレット・ビデオの作成と配布
<建専連の加盟団体>
・ 建設マスターの推薦・優秀技能者の表彰
・ 技能グランプリ・技能オリンピックへの協力
上記の活動のうち、現場見学会・イベント・コンテストの実施、現場の美化活動、パン
フレット・ビデオの作成については、第三者に対する建設業のイメージアップ・理解促進
のための活動で、優秀技能者の表彰については、建設技能労働者の意識改革・モチベーシ
ョン向上のための活動であると言える。また、現場の美化活動は、現場労働者の労働環境
改善と第三者へのイメージアップのための活動である。
このような、これまで行われてきた建設業のイメージアップ活動について、以下に詳し
く述べる。
①建設産業II(Industry Identity)戦略
平成元年3月に旧建設省は、「活力と魅力あふれた建設産業」を目指すため、「若年建設
従事者の確保」等を重点課題として設定し、平成元年度から3ヵ年度にわたって課題解決
- 14 -
のために着手すべき事業を「第一次構造改善推進プログラム」として取りまとめた。この
「第一次構造改善推進プログラム」で若年建設従事者の確保に対する事業の一つとして、
建設業全体のアイデンティティを確立するために「建設産業II戦略」を展開し、産業イ
メージの向上等についての事業を実施した。
また、平成4年度から6年度までの3ヵ年度において、「建設産業の健全な発展の促進」
を目的として、重点的に実施すべき行動計画を示した「第二次構造改善推進プログラム」
が策定された。
「第二次構造改善推進プログラム」では、新たに「建設産業に対する理解の
増進を図ること」が重点課題として掲げられ、
「第一次構造改善推進プログラム」に引き続
いて、
「建設産業II戦略」事業を展開した。
建設産業II戦略事業の内容等について以下に示す。
<第一次構造改善推進プログラム>
①ショーウィンドウとしての現場の改善
・良 く も 悪 し く も 建 設 業 の シ ョ ー ウ ィ ン ド ウ は「 現 場 」で あ る が 、現 状 は む し ろ こ こ で マ イ ナ ス イ
メージが築かれている。
・ 労 働 者 の 作 業 環 境 の 改 善 も 含 め 、 シ ョ ー ウ ィ ン ド ウと い う 目 で 現 場 を と ら え 改 善 を 図 る 。
②用語の総点検
・「 御 施 主 様 」、「 日 雇 い 」、「 準 直 用 」 等 々 建 設 業 の 用 語は 解 り づ ら い も の が 多 い 。
・ こ う し た 用 語 の 裏 に は 多 く の 場 合 、 建 設 業 の 問 題 点が 隠 さ れ て い る 。
・ 建 設 業 の 用 語 を 総 点 検 し 、 国 民 に と っ て 解 り や す い用 語 の 形 成 を 図 る 。
③マスメディアの活用
・ 不 特 定 多 数 を 顧 客 と し な い 建 設 業 で は マ ス メ デ ィ アを 通 じ た P R 活 動 は あ ま り 行 わ れ て い な い 。
・国 民 、特 に 若 者 、婦 人 層 、場 合 に よ っ て は 児 童 等 を 対 象 に マ ス メ デ ィ ア 、刊 行 物 等 に よ る P R を
組織的に行う。
<第二次構造改善推進プログラム>
①マスメディアの活用等による建設産業のPR
・自 ら の 創 意 工 夫 に よ り 、生 産 基 盤 ・産 業 基 盤 を 創 造 し て い く 建 設 産 業 本 来 の 使 命 ・魅 力 を 国 民 各
層に正しくPRする。
・ 新 聞、雑 誌 、テ レ ビ 等 マ ス メ デ ィ ア の 活 用、ビ デ オ 、ポ ス タ ー の 作 成、啓 発 映 画 の 制 作 等 に よ り 、
建 設 現 場 で 働 く こ と の 素 晴 ら し さ 、ク リ エ ー タ ー と し て の建 設 産 業 の 魅 力 を P R す る 。ま た 、ワ
ー キ ン グ ウ ェ ア フ ァ ッ シ ョ ン シ ョ ー 、若 手 建 設 経 営 者 に よ る デ ィ スカ ッ シ ョ ン 等 の イ ベ ン ト を 実
施する。
・「 こ れ は 私 が 作 っ た ん だ 」 運 動 ( シ ン ボ ル 的 な 建 設 生 産 物 の 建 設 に 参 画 し た 建 設 技 能 労 働 者 の 刻
名碑の整備)を実施する。
②建設産業構造改善推進週間の設置
・ 構 造改 善 事 業 を 一 層 推 進 す る た め 、建 設 業 法 が 公 布 さ れ た 5 月 2 4日 を 基 準 に 建 設 産 業 構 造 改 善
推 進 週 間 を 設 け 、国 、地 方 を 通 じ 、構 造 改 善 の 必 要 性 を 積 極 的 に P R し 、構 造 改 善 に 対 す る 正 し
い理解を得るよう努める。
また、建設産業II戦略において実施された活動の中から、子供や若年者に対して建設
業の魅力をアピールする取り組みを以下に紹介する。
- 15 -
○仮囲いの外から作業が見られる窓の設置
・ 現 場 の 作 業 過 程 を 見 て も ら い、 工 事 へ の 理 解 と 協
力を得る目的で実施。
・大人用、子供用で高さを変えて設置した。
・作 業 に つ い て 質 問 を 受 け る な ど 、コ ミ ュ ニ ケ ー シ
ョンのきっかけにもなった。
○父親が働く作業所で子供参観を実施
・父 親 の 仕 事 に 対 す る 理 解 を 深 め て も ら う た め に 実
施。
・原 子 力 発 電 所 の 工 事 作 業 所 に 作 業 員 の 家 族 を 招 待
し、見学してもらった。
○大型重機への試乗会・見学会を実施
・地元の小学生等の大型重機に対する関心が高く、
その要望に応えるために実施。
・大 型 ダ ン プ ト ラ ッ ク や 大 型 重 機 類 を 配 置 し 、見 学
者に運転席やキャビンに乗ってもらった。
・作 業 所 が 近 代 化・大 型 化 し て い る こ と を 実 感 し て
も ら っ た 。ま た 、
「機械オペレーターになりたい」
と作文に書く児童もいた。
○地元の工業高校で講演
・地元の工業高校からの要望に応えて実施。
・共同 企 業 体 工 事 事 務 所 長 が 、地 元 の 工 業 高 校 で 開
催された「土木の日」記念集会で講演をした。
・建設現場の実状について理解してもらえた。
○展望デッキの設置
・現 場 が よ く 見 え る 位 置 に 、展 望 デ ッ キ を 設 置 。工
事説明パネルや模型も展示。
・地 元 住 民 に 対 し て 建 設 工 事 の 理 解 と 興 味 を 深 め る
ことできた。
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○もみの木の電飾ツリー
・空 港 近 く の 現 場 出 入 口 に 高 さ 1 0 m の も み の 木 を
植え、電飾ツリーに仕立てる。
・地元 住 民 や 空 港 を 利 用 す る 人 々 等 、幅 広 く 観 賞 し
てもらった 。ラジ オの生 中継等で も取り 上げら
れ 、記 念 写 真 を 撮 る な ど 現 場 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ
ョンが増えた。
○建設廃材を近隣に提供
・建 設 廃 材 の 中 か ら 型 枠 材 の 木 端 材 を 近 隣 住 民 に 提
供。
・近 隣 住 民 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の き っ か け と な
り 、工 事 内 容 等 に つ い て 質 問 を 受 け た り す る よ う
になった。
○毎週土曜日の一斉清掃
・作 業 所 の 前 及 び 周 辺 道 路 の 一 斉 清 掃 を 毎 週 土 曜 日
に実施。
・清 掃 中 に 歩 行 者 か ら 声 を か け て も ら え る よ う に な
っ た 。ま た 、日 頃 か ら 作 業 所 内 外 の 整 理 整 頓 を 心
掛けるようになった。
建 設 現 場 イ メ ー ジ ア ッ プ 事 例 集 「 明 日 の 顔 は ど ん な カオ 」 及 び 現 場 環 境 改 善 の 手 引 「 明 日 の 顔 は ど ん な カ オ 2 」 よ り
②建設産業人材確保・育成推進協議会(若年建設従事者入職促進協議会)
建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協)は、各都道府県の建設業協会に設置され、
若年者の入職・定着活動を実施している。
建設業のイメージアップ・若年者の入職促進を目的に実施している活動内容(平成11
年~平成13年)についてレビューした。活動内容は、概ね、次のように分類できる。
a.教育機関との情報交換
b.現場実習の実施
c.現場見学会の実施
d.機関誌/関連図書/PRビデオの配布
e.イベント/フェスティバルの開催
f.テレビ/新聞/ラジオ等による広報活動
g.若年就業者からのメッセージ紹介
h.地域奉仕活動の実施
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a.教育機関との情報交換
新卒者の建設業への入職促進のため、教育機関の進路指導教諭等と情報交換を行う場を
設定しているところが多い。主な内容は、卒業生の進路決定状況、各建設業協会参加企業
の採用状況、意見交換等である。
高等学校を対象に実施しているところが多いが、中学校・専門学校・地元の大学も対象
にしているところもある。その他、特徴的な活動を次に示す。
・
高等学校土木学科のPRと入学促進のため、中学生向けのパンフレットを作成して
いる。
(高知)
・
入職促進パンフレット/リーフレットの作成(千葉・滋賀・広島・岡山・熊本など)
・
入職促進ビデオの作成(長野など)
・
求人情報誌の作成(大阪・香川など)
b.現場実習の実施
工業高校・農業高校の生徒を対象に、建設現場での技術・知識の習得と体験により、進
路意欲の啓発と健全な勤労感、
職業観の育成を図ることを目的に現場実習を実施している。
現場実習に参加する生徒は3年生であることが多いが、2年生を対象としているところも
ある。実習期間は、1日~14日と幅があるが、2日~5日の場合が多い。
授業の一環として現場実習を位置付け、実習経験者に感想文(報告書)を提出させてい
る学校も多い。
なお、現場実習の実施にあたっては、次のような課題が指摘されている。
・ 実習生の受け入れ企業の減少
・ 実習期間と時期(実習は夏休み期間が多いが、工事の少ない時期)
・ 費用負担
・ 万一の事故発生時の対処・責任
c.現場見学会の実施
bの現場実習とは別に、現場見学会を実施している協議会も多い。工業高校、農業高校
等の生徒が主であるが、小中学生、父兄等を対象に実施しているところもある。
d.機関誌/関連図書/PRビデオ等の配布
建設業協会の機関誌、建設業の関連図書を学校に配布し、建設業界のPRに活用してい
る。
栃木県、兵庫県、熊本県等の協議会は、独自にPR用資料を作成している。配布先は、
建設系学科を有する工業高校等が多い。また、青森県、長野県、富山県等の協議会では、
PRビデオを作成・配布・上映している。これらの活動については、生徒・児童に感想文
を提出させている学校も多い。
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e.イベント/フェスティバル等の実施
一般市民も参加できるイベント/フェスティバルを実施している。主な内容を以下に示
す。一部のイベント等において優秀者等への表彰を実施しているところもある。
・ 木工作
・ 作文/絵画コンクールとその表彰
・ パネル展示
・ 建設機械の試乗
・ 講演会
f.テレビ/新聞/ラジオ等による広報活動
宮城県、埼玉県、三重県、高知県、徳島県等では、マスメディアを利用して、建設業の
PR、上記⑤のイベント等の案内を実施している。
g.若年就業者からのメッセージ紹介
すでに建設業に入職して活躍している若年就業者のメッセージを取りまとめ、工業高校
等の生徒に配布し、入職促進の一助としている。また、メッセージに対し表彰していると
ころもある。
h.地域奉仕活動の実施
地域社会の一員として、周辺道路、河川、等の清掃活動を実施しているところが多い。
中には、献血に参加しているところもある。
i.その他
その他、特徴的な活動を次に示す。
青森
P R 用 ラ ジ オ 放 送( 平
建 設 現 場 見 学 会 を 実 施 し た 専 門 学 校 の 教 師、事 業 所 、建 設 業 協 会 青 年
成 11 ・1 2 年 )
部 の 三 者 を ゲ ス ト に 招 き 、「 つ く る っ て す ば ら し い ― 2 1 世 紀 へ の か
け橋―」をテーマに語った放送
茨城
ロ グ ハ ウ ス の 建 設( 平
平 成 6 年 よ り 、 茨 城 県 内 の 中 学 校 1 校 を 対 象 に ロ グ ハ ウ ス 1 棟 (9.9
成 1 1 年)
m2 ) を 寄 贈 し て い る 。 そ の 建 設 に あ た り 、 基 礎 工 事 か ら 組 立 ま で 、
寄 贈 校 の 生 徒 に 参 加 し て も ら い「 モ ノ 造 り の 喜 び 」を 体 験 し て も ら っ
ている
神奈川
静岡
ワ ー キ ン グ ウ ェ ア・ デ
建 設 業 の ワ ー キ ン グ ウ ェ ア( 作 業 服 )に 適 し た デ ザ イ ン 画 を 、安 全 性
ザインのコンテスト
も 考 慮 し て 自 由 に デ ザ イ ン し て も ら う。対 象 は 、高 校 1 ~ 3 年 生 及 び
( 平 成 11 ~1 3 年 )
専門学校生
土木技術の無料相談
清 水 み な と 祭 り に 協 賛 し 、 土 木 技 術 の 無 料 相 談 を 行 った
( 平 成 11 ・1 2 年 )
滋賀
交通遺児援護の育英
建設業協会会員の総意 により、交通遺 児援護のための 育英資金を贈
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資 金 贈 呈( 平 成 11 ~13
呈
年)
京都
女性労働者のネット
女 性 の 建 設 業 従 事 者( 若 年 女 性 労 働 者 を 含 む )の た め の ホ ー ム ペ ー ジ
ワーク作り
を 開 設 し 、女 性 労 働者 の ネ ッ ト ワ ー ク を つ く り 、情 報 交 換 に よ り 共 通
(平成 1 2 年)
の 問 題 を 協 議 し 、職場 環 境 の 改 善 等 、女 性 が 働 き や す い 職 場 づ く り を
目指す
島根
PR本の作成・配布
・高校生向けビデオ「ビッグチャレンジ21」
・小学生向け漫画「夢・まち
探検隊」
・幼児向け飛び出す絵本「きかい
山口
高 校 生 の 意 識 調 査( 平
は
力もち」
建 設 現 場 見 学 会 に 参 加 し た 高 校 生 を 対 象 に ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施
成 11 ~1 3 年 )
宮崎
高 校 生 の 意 識 調 査( 平
建 築 科 に 入 学 し た 高 校 生( 3 年 生 )の 建 設 業 に 対 す る 意 識 調 査 を 実 施
成 1 3 年)
上記のような活動は、第三者に対する建設業のイメージアップ・理解促進のため、また、
建設業従事者の社会的地位・評価の向上のため、継続していくことが必要である。特に、
建設業に対する理解を促進させるために、第三者を取り込んだ活動が重要になってくると
考えられる。
- 20 -
(2)建設業のイメージアップ活動の事例
本節では、建設業のイメージアップ活動の事例について、その実施主体別に実施したヒ
アリング調査等を基に述べる。
①東急建設株式会社
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
超高層ビル建設時の現場周辺・現場内に関するイメージアップとして、現場独自のキャラクター作
成 ・ 案 内 等 の 看 板 ・ ポ ス タ ー 等 、 ビ ジ ュ ア ル 面 か ら 取り 組 ん だ 。
・
現場のキャッチコピー「ただいま未来、制作中」を定め、現場紹介パンフレット・安全ネット・現
場仮囲い等に掲示した。
・
職 長 の た め に 現 場 オ リ ジ ナ ル 制 服 、 安 全 帽 を 作 成 し 着用 さ せ た 。
・
ワ ッ ペ ン 、 T シ ャ ツ 、 う ち わ 等 の オ リ ジ ナ ル グ ッ ズ を製 作 し 、 現 場 作 業 員 に 配 布 し た 。
・
現場での労働環境の改善のため、現場内施設(休憩所、事務所、食堂、職長の詰所等)を清潔なも
の と し た 。 ま た 、 女 性 専 用 の 食 堂 ・ ト イ レ を 別 途 に 設け た 。
・
現場の作業員の家族を招待したり、一緒にパトロールを実施した。また、歌手を呼んで家族慰安会
を開催した。
・
建設途中に地元の小学校の3年生を現場見学に招待し、竣工時、全学年を招待した。ある年は、途
中階で写生大会を実施した。
b.活動の推進体制/連携相手
・
キャラクター・案内等の看板等のデザインは、デザイン会社に依頼して作成してもらった。また、
デ ザ イ ン 化 に あ た っ て 、 発 注 者 の 企 業 カ ラ ー を 使 用 する こ と と し た 。
・
現場見学会は、地元の小学校の校長に直接申し出た。
c.活動に対する反響/効果
・
現場見学会後に、児童の感想文を書いてもらっていたが、その中に「おもしろかった。建設業をや
りたい」という内容のものが見受けられた。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
現 場 見 学 会 で は 、 児 童 の 安 全 確 保 に 特 に 留 意 を 有 す る。
e.その他の特記事項
・
上 記 の よ う な 活 動 の 費 用 は 全 体 で 約 1,00 0 万 円 で あ った 。
・
こうした活動を実施するためには、ある程度以上の規模の現場に限られてくる。現在の建設企業の
経 営 状 況 で は 、 規 模 の 小 さ な 現 場 で は 困 難 と 考 え ら れる 。
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図2-1.ビル建設現場のオリジナルキャラクターとキャッチコピー
図2-2.ビル建設現場のオリジナルグッズ
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②CCI東京
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
C C I 東 京 ( Charming Construction’s Identity ) は 、 建 設 業 の イ メ ー ジ ア ッ プ の た め に 、 行 政 ・
業団体・学識経験者等を構成員として活動している。現在、事務局は東京都建設局にあり、活動内
容の企画等はこちらが中心に行っている。
・
以下の活動を展開中
ⅰ )「 親 と 子 の ふ れ あ い 体 験 ツ ア ー 」
( 小 学 生 4 ~ 6 年 生 及 び そ の 保 護 者 を 対 象 に 、 建 設 現場 の 見 学 会 を 開 催 )
ⅱ )「 建 設 ス テ ー シ ョ ン 見 学 会 」
( 建 設 業 へ の 入 職 促 進 を 目 的 に 、 建 設 系 の 専 門 学 校 生を 対 象 に 、 建 設 現 場 の 見 学 会 を 開 催 )
ⅲ )「 建 設 ス テ ー シ ョ ン 優 秀 技 能 者 の 顕 彰 」
(優秀技能者に対する顕彰。約 2 0 人/年)
ⅳ)「 建 設 ス テ ー シ ョ ン 元 気 ア ッ プ コ ン テ ス ト 」
( 建 設 現 場 の 労 働 環 境 改 善 等 の 活 動 を コ ン テ ス ト 方 式で 審 査 ・ 表 彰 )
・
「 親 と 子 の ふ れ あ い 体 験 ツ ア ー」は 、年 1 回 1 0 月 頃 、バ ス 2 台 8 0 人 程 度の 規 模 で 実 施 し て い る 。
・
「 親 と 子 の ~ 」 の 参 加 者 応 募 者 は 、 毎 年 、 定 員 の 約 2倍 。 応 募 者 多 数 の 場 合 は 、 抽 選 を 行 う 。
・
「親と子の~」において、建設現場での説明は、発注者が事業の説明、施工者が工事・作業の説明
を す る こ と が 多 い 。 子 供 向 け の 資 料 を 作 る こ と は な い。
・
「親と子の~」では、安全上、現場が止まっている状態を見てもらっている。万一のために、保険
をかけている。
b.活動の推進体制/連携相手
・
年 度 当 初 に 、「 親 と 子 の ~ 」 に 適 し た 現 場 を 上 げ て も らい 、 1 箇 所 を 選 定 す る 。
・
「親と子の~」の実施に当たって、見学現場の近隣地域の小学校に対して案内を配布している。そ
の 他 、 東 京 都 の 広 報 紙 、 C C I 東 京 の H P 、 新 聞 等 への 投 げ 込 み で 参 加 者 を 募 集 し て い る 。
・
「 親 と 子 の ~ 」 の 実 施 に 当 た っ て 、 教 育 機 関 等 と の 連携 は 行 っ て い な い 。
c.活動に対する反響/効果
・
子供たちは、機械類に関心を示す傾向が強い。事後の感想でも、機械が動いているところをナマで
見 ら れ て よ か っ た 、 機 械 を 動 か し て み た い と す る も のは 多 い 。
・
ア ン ケ ー ト で 、 ど ん な 建 設 現 場 を 見 た い か を 調 べ る と、 地 下 鉄 ・ ト ン ネ ル 等 、 地 中 の 工 事 が 多 い 。
・
保 護 者 は 、 建 設 現 場 の 整 然 と し た 様 、 機 械 等 の 近 代 化さ れ た 面 に 、 感 心 し て い る 。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
「親と子の~」の実施に当たっては、バスの手配、保険料等の予算の関係、また、事務局業務の手
間等の関係から、1年に1箇所、80名が限界。
・
見学会を平日にして、現場が動いているところを見せるのは、安全上、難しい。また、施工者にと
っても現場を止めることは難しい。
・
子 供 た ち に 対 し て 、 難 し い 説 明 、 細 か い 説 明 の 部 分 は理 解 し て も ら え な い 。
・
近 年 、 8 0 人 程 度 の 見 学 者 を 受 け 入 れ ら れ る 建 設 現 場が 少 な く な っ て い る 。
・
建 設 機 械 の 作 業 は 、 遠 方 か ら も 見 学 で き る の で 、 安 全上 も 好 都 合 と い え る 。
・
P R 、 参 加 者 募 集 等 で 、 H P の 有 効 な 活 用 が 望 ま れ る。
e.その他の特記事項
・
「親と子の~」は、建設現場の中を見てもらうことを主目的としているので、建設技能に焦点を当
てた説明、見せ方はしていない。
・
技能を理解させるという点では、まず、子供たちに何かをやらせてみて、次に技能者がプロの技を
- 23 -
見 せ る よ う な イ ベ ン ト が よ い の で は な い か。こ れ で 、技 能 の 意 義・ 素 晴 ら しさ を 感 じ て も ら え れ ば 。
・
CCI東京という組織の性質上、
「 親 と 子 の ~ 」等 は 、事 務 局 が 一 手 に活 動 を 仕 切 っ て い る 。建 設 現
場の地元密着型の小さな活動の方が、幅広い活動、緻密な活動が可能であり、その方が効果も上が
ると考えられる。
図2-3.
「親と子のふれあい体験ツアー」の実施状況 ( C C I 東 京 H P よ り )
- 24 -
③CCI埼玉
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
C C I 埼 玉 ( Charming Construction’s Identity ) は 、 建 設 業 の イ メ ー ジ ア ッ プ の た め に 、 行 政 ・
業団体・学識経験者、県の教育関係機関、県の工業高校校長会等を構成員として活動している。現
在 、 事 務 局 は 埼 玉 県 県 土 整 備 部 に あ り 、 活 動 内 容 の 企画 等 は こ ち ら が 中 心 に 行 っ て い る 。
・
以下の活動を展開中
ⅰ )「 小 中 学 生 の 建 設 技 術 教 室 」
( 埼 玉 県 民 の 日 に 、 小 学 生 ・ 中 学 生 及 び そ の 保 護者 を 対 象 に 、 建 設 現 場 及 び 関 連 施 設 ( 科 学 館
等)の見学会を開催)
ⅱ )「 工 業 高 校 生 の 現 場 見 学 会 と 現 場 実 習 」
( 建 設 業 へ の 入 職 促 進 を 目 的 に 、 土 木 学 科 ・ 建 築 学 科等 の 2 年 生 を 対 象 に 実 施 )
ⅲ )「 若 手 建 設 技 術 者 ・ 女 性 の 建 設 業 就 業 者 と の 意 見 交 換 会 」
( 処 遇 改 善 ・ 労 働 環 境 改 善 等 の 課 題 、 そ れ ぞ れ の 考 えに つ い て 意 見 交 換 会 を 実 施 )
ⅳ)「 優 秀 技 能 者 の 顕 彰 」
(優秀技能者に対する顕彰。約 2 0 人/年)
ⅴ )「 建 設 ス ナ ッ プ 写 真 コ ン テ ス ト 」
( 建 設 現 場 に 関 す る ス ナ ッ プ 写 真 を コ ン テ ス ト 方 式 で審 査 ・ 表 彰 )
・
「 小 中 学 生 の 建 設 技 術 教 室 」 は 、 バ ス 2 台 8 0 名 程 度で 実 施 し て い る 。
・
「小中学生の~」において、建設現場での説明は、施工者が行うことが多い。現場に関連するパン
フ レ ッ ト 等 が あ る 場 合 は 配 布 す る が 、 子 供 向 け に 特 別に 資 料 を 作 る こ と は な い 。
・
「 小 中 学 生 の ~ 」 は 、 小 中 学 生 が 対 象 と い う こ と で 、安 全 面 に は 特 に 配 慮 し て い る 。
・
「工業高校生の現場見学会と現場実習」は、現場見学的な色彩が強い。建設現場での体験実習は、
最近、実施していない。
・
「 工 業 高 校 生 の ~ 」 に つ い て は 、 事 後 感 想 を 冊 子 と して 取 り ま と め て い る 。
b.活動の推進体制/連携相手
・
「小中学生の~」の実施に当たって、埼玉県の広報紙、CCI埼玉のHP、テレビ番組で参加者を
募 集 し て い る 。 小 学 校 ・ 中 学 校 に 対 し て 、 直 接 働 き かけ る よ う な こ と は し て い な い 。
・
「 小 中 学 生 の ~ 」 の 実 施 に 当 た っ て 、 教 育 機 関 等 と の連 携 は 行 っ て い な い 。
・
「工業高校生の~」では、民間企業の研修センターを利用して、重機の操作体験等をしている。こ
の実習は有料で、費用はCCI埼玉が負担している。
・
14年度には、若手の建設技術者を工業高校に派遣して、高校生との意見交換を実施することを企
画している。
c.活動に対する反響/効果
・
普 段 見 る こ と の で き な い 建 設 現 場 を 見 ら れ て よ か っ たと い う 感 想 が 多 い 。
・
「小中学生の~」
「 工 業 高 校 生 の ~ 」共 に 、授 業 中 の 学 習 と は 異 な り 、実 物 を 見 る ・体 験 す る と い う
意味で効果はある。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
「小中学生の~」では、安全上、実際に作業中の場所には連れて行けない。現場の担当の方には、
参 加 者 に 危 険 が 及 ば な い 範 囲 で 、 と い う こ と で お 願 いし て い る 。
・
「小中学生の~」について、近年、多くの見学者を受け入れられる建設現場が少なくなっている。
受け入れ現場の確保が課題である。
・
「小中学生の~」は埼玉県民の日に実施しているが、他のイベント等と競合して参加者が集まらな
い。PRの方法が課題である。
- 25 -
・
「工業高校生の~」では、体験実習ももっと実施したいが、参加者が限られること、受け入れ現場
が少ないことが課題である。
e.その他の特記事項
・
目新しい活動がなく、苦慮している。
・
CCI埼玉の活動は、埼玉県が主体的に行っているが、業界サイドがより積極的に取り組むことが
重要である。
・
建設業への女性参画の促進を目的として「彩の国建設ウーマンスタイルブック」という冊子を作成
した。
・
C C I 埼 玉 の 活 動 等 に つ い て 、 広 く 情 報 発 信 を す る ため に H P を 開 設 し た 。
図2-4.
「小中学生の建設技術教室」の実施状況 ( C C I 埼 玉 H P よ り )
図2-5.
「工業高校生の現場見学会と現場実習」の実施状況 ( C C I 埼 玉 H P より )
図2-6.
「彩の国建設ウーマンスタイルブック」の表紙
- 26 -
④社団法人
日本土木工業協会
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
以下の活動を展開中
ⅰ )「 1 0 0 万 人 の 現 場 見 学 会 」
( 会 員 企 業 の 建 設 現 場 に お い て 、 各 界 の オ ピ ニ オ ンリ ー ダ ー 、 建 設 現 場 近 隣 の 住 民 ・ 学 校 等 を
対象として現場見学会の実施)
ⅱ )「 P R ビ デ オ の 作 成 と 配 布 ( ゆ た か な 暮 ら し と 社 会 資 本 )」
( 土 木 業 界 の イ メ ー ジ ア ッ プ 、 入 職 促 進 を 目 的 と し たビ デ オ を 作 成 し 、 中 学 校 ・ 高 校 に 配 布 )
ⅲ )「 土 木 遺 産 の 写 真 パ ネ ル 展 / 写 真 集 の 刊 行 」
( 土 木 構 造 物 等 の 写 真 パ ネ ル 展 を 全 国 に て 実 施 。ま た 、そ の 写 真 集 の 刊 行 。こ れ が 契 機 と な り 、
文 化 庁 の 重 要 文 化 財 と し て 土 木 遺 産 が 指 定 さ れ る よ うに な っ た 。)
ⅳ)「 優 秀 技 能 者 の 顕 彰 」
(優秀技能者に対する顕彰。約 2 0 人/年)
ⅴ )「 子 供 を 対 象 と し た 社 会 資 本 の パ ン フ レ ッ ト の 作 成 」
(会員企業の現場見学会等の際に提供)
・
土工協では、子供たちを対象とした特別の広報活動は実施していない。一般人向けの現場見学会等
の 際 、 参 加 者 の 中 に 子 供 が 含 ま れ る よ う な こ と は あ る。
・
「 1 0 0 万 人 の 現 場 見 学 会」は 、① 土 工 協 本 部 が 中 心 と な る も の 、② 土 工 協支 部 が 中 心 と な る も の 、
③会員企業が各自に実施するもの、の3つに分けられる。このうち、学校の児童・生徒、地域住民
が対象となるのは②・③である。
b.活動の推進体制/連携相手
・
「 1 0 0 万 人 の ~ 」の 一環 と し て 、
「 晴 豊 1 号 橋 下 部 工 事 」に お い て 近 隣 の 小学 5 年 生 を 見 学 会 に 招
いた。
・
施 工 者 ( 下 請 業 者 ) と 小 学 校 サ イ ド が 以 前 か ら 知 り 合い で 、 個 人 的 な ル ー ト で 見 学 会 が 実 現 し た 。
c.活動に対する反響/効果
・
上 記 ( 2 ) の 「 晴 豊 1 号 橋 下 部 工 事 」 の 現 場 見 学 会 に関 し て 。
・
見 学 会 の 冒 頭 に 公 共 事 業 の 説 明 を し た が 、 子 供 た ち はよ く 分 か ら な か っ た よ う だ 。
・
発 注 者 が 事 業 の 説 明 を 、 施 工 者 が 工 事 ・ 作 業 の 説 明 をし た 。
・
ニ ュ ー マ チ ッ ク ケ ー ソ ン の 原 理 に つ い て 、 模 型 を 使 って 説 明 し た 。
・
ホ ス ピ タ ル ロ ッ ク を 見 せ た と こ ろ 、「 中 に 入 り た い 」 とい う 子 供 が い た 。
・
無人機の遠隔操作に関心を示す子供が多かった。モニターを見ながらレバーを使って操作するとい
う の が 、 子 供 た ち に は ゲ ー ム 感 覚 で 面 白 か っ た の だ ろ う 。「 や っ て み た い 」「 面 白 そ う 」 と 言 う 子 供
が多かった。
・
現場見学後、集会所にて、オペレータ、鉄筋工、型枠大工、鉄筋工、現場監督等、職種毎の代表者
に プ ラ カ ー ド を 付 け さ せ て 、 子 供 た ち と 質 疑 応 答 を 行っ た 。
・
オ ペ レ ー タ に は 、「 失 敗 す る こ と は な い の か ? 」 と い う質 問 が あ っ た 。
・
型枠大工には、
「 ど ん な 仕 事 を し て い る の か ? 」と い う 質 問 が あ っ た 。子 供 た ち は 、大 工 は「 家 を 建
てる人」という先入観があるらしい。
・
子 供 た ち の 感 想 は 、「 面 白 か っ た 」 と い う も の が 大 半 だっ た 。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
上 記 b の 「 晴 豊 1 号 橋 下 部 工 事 」 の 現 場 見 学 会 に 関 して 。
・
費用が相応にかかる。
・
安全上の配慮が特別に必要となる。今回は、通路から子供が転落しないように、安全ネットをわざ
- 27 -
わ ざ 取 り 付 け た 。 ま た 、 見 学 中 は 作 業 を 一 時 中 断 さ せた 。
e.その他の特記事項
・
発注者と土工協の意見交換会では、発注者サイドから、建設業のイメージアップのために「業界が
も っ と 発 言 し ろ 」「 協 調 し て 活 動 を 」 と い う 意 見 が あ る 一 方 で 、「 共 同 の 活 動 は 、 官 と 民 が 癒 着 し て
いる」と思われることを懸念する意見もある。
図2-7.パンフレットの表紙
図2-8.土木遺産の写真集 ( 土 工 協 H P よ り )
- 28 -
⑤社団法人
岩手県建設業協会青年部連絡協議会
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
青 年 部 連 絡 協 議 会 は 岩 手 県 内 に 1 3 の 支 部 を 有 し 、 会員 企 業 数 は 約 490 社 で あ る 。
・
県 下 の 小 中 学 校 を 対 象 に 「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 を 平成 2 年 か ら 実 施 。
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 で 実 施 さ れ る 主 な 内 容 は 次 の通 り
ⅰ )「 測 量 体 験 」
( ソ フ ト ボ ー ル 投 げ の 結 果 を 測 量 機 器 を 使 っ て 計 測 し、 ク イ ズ 形 式 で 実 施 )
ⅱ )「 建 設 機 械 乗 車 体 験 」
( 高 所 作 業 車 、 バ ッ ク ホ ウ 、 タ イ ヤ ロ ー ラ 等 の 建 設 機械 に 実 際 に 乗 車 )
ⅲ )「 綱 引 き 」
( 建 設 機 械 の 力 を 体 験 し て も ら う こ と を 目 的 に 、 子 供対 建 設 機 械 で 綱 引 き を 実 施 )
ⅳ)「 職 人 技 術 体 験 」
( 鉄 筋 工 や 大 工 の 仕 事 を 、 簡 単 な 図 面 を 見 な が ら 実 際に 体 験 )
ⅴ )「 講 演 」
( 地 域 の 整 備 計 画 や 公 共 事 業 の 役 割 等 、 子 供 た ち に とっ て 身 近 な 話 題 を 提 供 )
・
「建設業ふれあい事業」は、建設業のイメージ悪化に伴う若年者の建設業離れを打破するために、
建 設 業 の 顔 で あ る 現 場 の 状 況 を 何 ら か の 形 で 子 供 に 伝え ら れ な い か と い う こ と で 始 ま っ た 。
・
「建設業ふれあい事業」は、子供の体験学習、勤労奉仕活動、親子現場見学会等を通じて、建設業
の理解と関心を深めてもらうことを目的としている。
・
子 供 た ち が 主 な 対 象 だ が 、 子 供 の 保 護 者 や 学 校 の 先 生も 意 識 し て い る 。
・
平 成 2 ~ 1 4 年 ま で に 、 1 8 7 校 、23,551 人 の 児 童 ・ 生 徒 が 参 加 し て い る 。
・
「建設業ふれあい事業」は、基本的に、各支部当たり1年に1校の割合で実施している。ただし、
3 ~ 4 年 前 か ら 、 中 学 校 の 校 長 会 か ら の 要 請 で 、 年 に2 0 回 程 度 実 施 す る よ う に な っ て き た 。
・
あ る 支 部 で は 、「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 の 実 施 後 、 記 念植 樹 を さ せ て も ら っ て い る 。
b.活動の推進体制/連携相手
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 は 学 校 の 課 外 活 動 で は な く 、授 業 の 一 環 と し て 取 り 組 ん で も ら っ て い る 。
・
「建設業ふれあい事業」を始めるときに、学校、教育委員会、PTA等に活動の内容・趣旨を説明
し て 回 っ た が 、 当 初 、 な か な か 賛 同 を 得 ら れ な か っ た。
・
「建設業ふれあい事業」は、現場見学会以外は、測量機器、建設機械、鉄筋等の資材等を学校に持
ち込んでいる。
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」の 実 施 に 当 た っ て は 、青 年 部 連 絡 協 議 会 の メ ン バ ーが 中 心 に 行 っ て い る が 、
建 設 機 械 等 の 体 験 乗 車 で は 、オ ペ レ ー タ や 建 機 メ ー カ ー の 方 に も参 加 し て も ら う 場 合 が あ る 。ま た 、
講 演 で は 、 地 元 の 振 興 局 等 の 発 注 者 の 方 に も 参 加 し ても ら っ て い る 。
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」を 実 施 す る と き は 、地 元 の 報 道 機 関・ 記 者 ク ラ ブ に対 し て P R を し て い る 。
c.活動に対する反響/効果
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 に 参 加 す る 児 童 ・ 生 徒 は 、 非常 に い い 表 情 を し て い る 。
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 に 参 加 し た 児 童 ・ 生 徒 が 、 実際 に 建 設 業 に 入 職 す る よ う に な っ た 。
・
「 建 設 業 ふ れ あ い 事 業 」 を 実 施 し た 学 校 の 校 長 か ら 、お 礼 状 を い た だ く よ う に な っ た 。
・
「建設業ふれあい事業」の実施したある学校では進路指導に関して、建設業に興味を持った生徒が
い る の で 建 設 業 に つ い て の 講 演 依 頼 を 受 け る よ う に なっ た 。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
授業時間中に実施しているので、時間が足りない場合がある。また、CADの実演等では、学校の
施設上の制限からできない場合もある。
- 29 -
・
講 師 役 と な る 青 年 部 連 絡 協 議 会 の メ ン バ ー の 力 量 に バラ ツ キ が あ る 。
・
まだ、単発的な要素が強く、理解を示してくれる学校もあるが、そうでない学校もある。教育委員
会等を通じて、学習・教育の一環として体系的に実施されるようになれば効果が上がると考えられ
る。
e.その他の特記事項
・
「建設業ふれあい事業」を実施させてもらった返礼として、簡単な修繕や測量を実施する場合があ
る。
・
県 で 統 一 的 な 実 施 マ ニ ュ ア ル と い う も の は 作 成 し て いな い 。
・
東北6県の東北建設業協会青年会連絡協議会で、平成12年度から、ラジオ番組を利用した建設業
の啓蒙活動を実施している。
・
秋田県では、秋田県建設業協会が平成2年から、やはり建設業の理解促進を目的に、子供を対象と
した活動として「ランドアート」を実施している。
<測量体験>
< 建設 機 械 乗 車 体 験 >
<綱引き>
<職 人 技 術 体 験 >
図2-10.「建設業ふれあい事業」の実施状況
- 30 -
⑥コマツ(株式会社
小松製作所)
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
コマツは、コマツの事業活動に関係する人々(ステークホルダー)とよりよい関係を築くための広
報・宣伝活動をしており、将来のステークホルダーとなり得る子供・学生に対しても情報発信が必
要であると判断し、子供向けの活動を展開している。
・
子供たちを対象に以下の活動を展開中
ⅰ )「 は た ら く の り も の チ ビ ッ コ 見 学 会 」
( 中 伊 豆 の 自 社 施 設 を 利 用 し て 、 子 供 た ちと そ の 保 護 者 に 対 し て 建 設 機 械 の デ モ ン ス ト レ ー シ
ョ ン ・ 体 験 試 乗 等 を 実 施 。 2 歳 か ら 小 学 低 学 年 の 子 供が 多 い )
ⅱ )「 ケ ン ケ ン キ ッ キ ( ウ ェ ブ サ イ ト ) の 運 営 」
( 建 設 機 械 に 関 す る 情 報 発 信 、 理 解 促 進 の た め に 子 供向 け の ウ ェ ブ サ イ ト を 運 営 )
ⅲ )「 ゲ ー ム ソ フ ト 開 発 へ の 協 力 ・ 監 修 」
( 建 設 機 械 の 操 作 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ゲ ー ム の 開 発 に 対す る 協 力 と 監 修 )
ⅳ)「 建 設 機 械 の 玩 具 商 品 化 の 協 力 ・ 監 修 」
( 建 設 機 械 の 玩 具 化 に 当 た っ て 、玩 具 メ ー カ ー と ラ イ セ ン ス 契 約 を 結 び 、情 報 の 提 供 等 を 実 施 )
ⅴ )「 絵 本 ・ ビ デ オ の 作 成 協 力 ・ 監 修 」
(出版社等の要請を受け、情報の提供等を実施)
・
子供たちを対象とした活動では、①まず、建設機械を知ることで興味と親しみを持ってもらい、②
次に、建設機械の機能・使われ方を知ることで社会的役割を正しく理解してもらう、という段階に
分けて活動している。
・
子供たちを対象とした活動を展開する上で、①メーカーならではの正しい情報、わかりやすい表現
を使用すること、②エンターテイメント性を取り入れる場合でも、本来の機能・目的から外れるよ
う な 表 現 は 排 除 す る こ と 、を 心 掛 け て い る 。
( ク レ ー ン 機 能 を 使 っ た 人 間 U FO キ ャ ッ チ ャ ー 等 の 企
画 は 持 ち 掛 け ら れ て も 断 っ て い る 。)
・
インターネットの存在は非常に大きく、これを使って情報発信することで、多くの人々・子供たち
と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 可 能 と な り 、 活 動 が 加 速 した 。
b.活動の推進体制/連携相手
・
「 は た ら く の り も の チ ビ ッ コ 見 学 会 」 は 、 コ マ ツ 独 自の 活 動 で 連 携 相 手 は い な い 。
・
「ケンケンキッキ」は、社外のデザイナーと共同で製作している。基本的な企画はコマツで考え、
キャラクター・見せ方については共同で行っている。
・
「 テ レ ビ ゲ ー ム 開 発 の 協 力 ・ 監 修 」 は 、 ソ フ ト メ ー カー か ら の 申 し 込 み に よ り 協 力 し た 。
・
「玩具の商品化」は、玩具メーカーとライセンス契約を結ぶことにより、情報の提供等を行ってい
る。
・
「 絵 本 ・ ビ デ オ の 作 成 協 力 」 は 、 出 版 社 等 か ら の 要 請を 受 け 、 情 報 の 提 供 等 を 行 っ て い る 。
c.活動に対する反響/効果
・
「 は た ら く ~ 」 の よ う な 体 験 試 乗 は 、 数 多 く 行 わ れ てい る が 、 や は り 人 気 が 高 い よ う だ 。
・
「はたらく~」の体験試乗後に興奮状態になる子供が多い。生まれて初めて自分で動かしたという
実感からそうなるのではないか。
・
「はたらく~」は、保護者も興味があるようだ。体験試乗後、保護者の母親が非常に喜んでいるこ
と が 多 く 、 こ れ 以 降 、 街 で 建 設 機 械 が 気 に な る と い う話 を 聞 い た 。
・
「はたらく~」に、参加する子供は「ケンケンキッキ」等で建設機械の名前等の知識を既に持って
いることが多い。また、リピーターもかなりいる。
・
「はたらく~」では、祖父がオペレータで、孫に建設機械を見せたいということで参加される人も
- 31 -
いる。
・
「 ケ ン ケ ン キ ッ キ 」 で は 、「 け ん せ つ き か い だ い ず か ん」( 建 設 機 械 の 紹 介 ) が 最 も 人 気 が 高 い 。
・
昨年の企画の中に自由コメント欄を設けたところ、約3,000件の書き込みがあったが、そのう
ち 約 1 7 0 件 は 建 設 機 械 に 関 連 す る 職 業 に 就 い て い る人 か ら の 書 き 込 み で あ っ た 。
・
「ケンケンキッキ」に関して、香川県教育センターより、授業作りの支援のために活用できるウェ
ブサイトとしてリンクの申し込みがあった。
・
「ケンケンキッキ」はキャラクターもかわいいものを使用しており、そこからはまる子供もいるよ
う だ 。 キ ャ ラ ク タ ー か ら の ア プ ロ ー チ は 、 母 親 を 意 識し て い る 面 も あ る 。
・
「玩具の商品化」についてはトミーのトミカシリーズがあるが、最も売れているのはブルドーザー
ということだ。
・
建 設 機 械 は 意 外 と ハ イ テ ク で 、 そ う い う 部 分 を 見 せ ると 印 象 が 変 わ る よ う だ 。
・
子 供 が 建 機 に 興 味 を 持 つ の は 、形 、動 き が 特 異 だ か ら で は な い か 。ガ ーと い う 音 も 、好 き な よ う だ 。
・
リアルな方が、子供たちへの受けはいい。子供向けだからといって、デフォルメしたり、幼稚なデ
ザインにする方が、受けが悪い。
・
ア ニ メ を 見 せ る よ り も 、 実 物 の デ モ ・ 映 像 ・ 写 真 等 の方 に 興 味 を 示 す 。
・
イベント、インターネット、絵本、おもちゃ等、様々な手段で、情報を発信してやることが重要。
これにより、相乗効果が得られる。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
建 設 機 械 に は 、 破 壊 ・ 悪 者 と い う 先 行 イ メ ー ジ が あ るの で 、 こ れ を 払 拭 さ せ る 必 要 が あ る 。
・
男児であれば、建設機械に少なからず興味を持つと思われるが、大概が一過性のもので終わってし
まう。興味を継続させるために、情報発信の仕方も子供の成長過程に即した方法・内容が必要では
ないか。
e.その他の特記事項
・
学校教育の総合学習に関心がある。建設機械を取り上げるだけで、様々な分野の知識を与えること
が可能。例えば、生産工場は第2次産業の理解、海外の生産拠点は貿易・為替の理解、油圧はパス
カ ル の 原 理 の 理 解 、 環 境 配 慮 型 建 機 は 環 境 問 題 の 理 解、 等 、 色 々 な 切 り 口 が あ る 。
・
「ケンケンキッキ」のデザイナーによれば、海外の働く人は格好よく見える。ワークブーツ、作業
着 は 、 ま さ に ス ト リ ー ト フ ァ ッ シ ョ ン で 、 そ れ を 着 て働 く こ と は 格 好 よ く 見 え る の で は な い か と 。
図2-11.「はたらくのりものチビッコ見学会」の実施状況 ( コ マ ツ H P よ り )
- 32 -
図2-12.子供向けウェブサイト「ケンケンキッキ」
<KENKI い っ ぱ い ! >
<パワーショベルにのろう>
図2-13.操作シミュレーションゲーム
- 33 -
⑦愛知教育大学
寺本
潔助教授
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
地理学的な要素を利用した教育活動。
・
平 成 1 2 年 度 か ら 国 土 交 通 省 中 部 地 方 整 備 局 の 依 頼 によ り「 社 会 資 本( 建 造 環 境 )を 教 材 と し た 総 合
的 な 学 習 の 時 間 実 践 指 導 書 」 を 作 成 中 。 こ れ は 次 の よう な コ ン セ プ ト を 考 え て い る 。
ⅰ )「 発 案 ( 建 造 理 由 )」
( そ の 地 域 に そ の 建 造 物 が 造 ら れ た の か 、 そ の 理 由・ 発 想 。 こ れ に つ い て 考 え さ せ る こ と に よ
り、児童・生徒が建造物に対して共感を抱く)
ⅱ )「 建 設 ( 現 場 工 事 )」
( 建 造 物 は 建 設 と い う 具 体 的 な 行 為 に よ っ て な さ れ る 。そ こ に は 、技 術 と い う 工 夫 が 存 在 す る 。
ま た 、 設 計 か ら 施 工 ま で の 間 に こ そ ド ラ マ が あ る 。 設計 図 や 模 型 等 が 教 材 教 具 に な る 。)
ⅲ )「 デ ザ イ ン ( 匠 の 技 )」
( 工 業 デ ザ イ ン 、 建 造 物 の 形 ・ 色、 素 材 の 美 し さ 等 、 職 人 の 匠 の 技 に よ っ て 作 り 出 さ れ た も の
が教材となる)
ⅳ)「 貢 献 ( 社 会 資 本 化 )」
( 建 造 物 が 地 域 開 発 や 防 災 に 貢 献 し て い る こ と を 認 識さ せ る )
・
平成15年2月に、国土交通省中部地方整備局等が主催で「建造環境から学ぶ総合学習シンポジウ
ム 」を 開 催 し た 。こ の シ ン ポ ジ ウ ム で は 、5 つ の 小 学 校 で 実 施 さ れ た 総合 学 習 の 模 様 ・成 果 の 発 表 、
基調講演、パネルディスカッションが実施された。
b.活動の推進体制/連携相手
・
従 来 の 地 理 学 的 な 要 素 を 利 用 し た 活 動 は 、 小 学 校 ・ 中学 校 で 実 施 し て い る 。
・
「 社 会 資 本( 建 造 環 境 )を教 材 と し た 総 合 的 な 学 習 の 時 間 実 践 指 導 書 」の 作 成 は、国 土 交 通 省 中 部 地
方 整 備 局 、( 社 ) 中 部 建 設 協 会 、 名 古 屋 市 教 育 委 員 会 等と と も に 実 施 し て い る 。
c.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
総合学習では、題材が何であっても、学習成果が上がり、学校の現場でも実施しやすく、児童・生
徒が関心を持つプログラムが望まれるだろう。特に、学力が上がっていかないと学校には定着しな
い。
・
学校が、総合学習で建設関係のプログラムを取り入れたいと思っても、何らノウハウも知識も持ち
合 わ せ て い な い 。 従 っ て 、 建 設 関 係 の 専 門 家 に よ る ティ ー ム ・ テ ィ ー チ ン グ の 推 進 が 必 要 で あ る 。
・
当 面 、 建 造 物 の 模 型 が 主 要 な 教 材 と な る 可 能 性 が あ る。
・
パンフレット類は非常に大量に存在するが、教育現場で全てが活用されているわけではない。明確
な 指 針 ・ マ ニ ュ ア ル 等 が 求 め ら れ て い る 。 教 材 も 必 要だ が 、 指 導 方 法 の 確 立 も 重 要 で あ る 。
・
建設関係の総合学習を定着させるためには、建設業界サイドと教育現場サイドの条件整備をどのよ
うに調整していくかが課題であろう。
d.その他の特記事項
・
一部の工業高校の教師から、学力の低い生徒が工業高校に進学する傾向があり、将来、優秀な人材
を確保するためには、建設業のイメージアップを図り、学力の高い生徒が工業高校を志望するよう
になってもらいたいとの指摘がある。
・
総 合 学 習 に 関 し て 、 各 産 業 ・ 各 団 体 が 積 極 的 な 活 動 を実 施 し て い る 。
・
学校がクラス単位で現場見学会を実施したいと思っても、窓口が不明、安全上の問題、受入れ態勢
等から、積極的に動けないのが実態である。また、その建設現場で、児童・生徒に対して説明ので
きる人材がいないように思われる。
・
アメリカ・ボストンでは、高速道路ネットワークを中心とした大型の開発がなされており、科学博
- 34 -
物館に、これに関する展示がある。非常に臨場感にあふれた展示物で、興味深い。日本には、この
ように現在進行中の工事に関する展示物は少ない。建造物関係の展示物を企画して、主要都市の博
物館を巡回するようなことをやればよい。
図2-14.シンポジウムの案内
- 35 -
⑧社団法人
土木学会(土木教育委員会生涯学習小委員会)
a.建設業のイメージアップ等に資する活動の概要
・
土木学会の土木教育委員会では、大学・大学院・高専・工業高校等の土木学科系の学生・生徒の教
育をどうするかということを議論している。
・
生 涯 学 習 小 委 員 会 は 、 総 合 学 習 を や る グ ル ー プ と 、 教材 を 作 る グ ル ー プ に 分 か れ て い る 。
・
現在、目黒区の小学校にて総合学習の実施に関する活動を試行的に行っている。これの評価がよけ
れ ば 、 来 年 度 以 降 、 土 木 工 学 を 総 合 学 習 に 活 用 す る ため の 活 動 に 着 手 す る 予 定 が あ る 。
・
目 黒 区 の 小 学 校 で の 総 合 学 習 は 、 1 2 月 に 実 施 す る 予定 だ が 、 そ の 準 備 は 去 年 か ら 行 っ て い る 。
・
対象は5年生で、テーマは環境。水質、大気、騒音について計測し、自分達の町の環境と、他の町
の環境を比較する。
・
測 定 の 前 に 、 5 年 生 に 対 し て 環 境 の 話 を 早 稲 田 大 学 の先 生 が 実 施 し た 。
b.活動の推進体制/連携相手
・
上記の総合学習のテーマは環境であるが、土木工学の内容について事前に小学校の先生に対してレ
クチャーを実施した。
・
基 本 的 に 児 童 に 直 接 教 え る の は 小 学 校 の 先 生 と し て いる 。
・
土木の人間(建設コンサルタント)は、先生への事前のレクチャー、測定の手伝いという裏方の仕
事を担当する。
・
実 際 の 測 定 は 、児 童 の いく つ か の 班 に 分 け て 実 施 す る 。各 班 に 2 名 の 手 伝 い( 建 設 コ ン サ ル タ ン ト )
をつける。
c.活動に対する反響/効果
・
上 記 の 総 合 学 習 は 実 施 前 な の で 、 児 童 の 反 響 は ま だ ない 。
・
事前に実施した小学校の先生への土木工学に関するレクチャーは、好評であった。土木工学が生活
に密着している幅広い学問で、総合学習で何かをするときには、土木工学のどこかの分野がヒット
するということに驚いていた。
・
測定前の早稲田大学の先生の話では、子供たちにとって難しいと思われる箇所については、小学校
の 先 生 が そ の 都 度 、 子 供 た ち の 関 心 を つ な ぎ と め る よう に し て い た 。
d.活動の実施に当たっての課題/問題点
・
総合学習においても、基本的に児童に直接教えるのは小学校の先生で、業界の人間はあくまで手伝
い と い う ス タ ン ス が よ い 。 児 童 に 教 え る こ と は 、 小 学校 の 先 生 が 最 も 適 し て い る 。
・
業界の人間は、小学校の先生に対してレクチャーをし、小学校の先生が自分で総合学習の内容を組
み 立 て ら れ る よ う に 支 援 す る の が 望 ま し い が 、 そ の レベ ル に 到 達 す る に は 非 常 に 時 間 が か か る 。
・
小 学 校 の 先 生 に 対 し て 、 レ ク チ ャ ー の で き る 人 間 が 業界 に 少 な い 。
・
現 状 、 そ の よ う な 取 り 組 み を 効 率 的 に で き る 仕 組 み が業 界 に 存 在 し な い 。
e.その他の特記事項
・
現場見学を単独で実施しても一過性のイベントに過ぎない。効率的な現場見学のためには、総合学
習 の よ う な 一 連 の 流 れ の 中 で 、 子 供 た ち に 問 題 意 識 を持 た せ て か ら 実 施 す る こ と が 必 要 。
・
建設業界の人間が、総合学習等で貢献することにより、児童に対するイメージが変わり、将来的に
イメージアップにつながるだろう。
・
小学6年生くらいになると、自分の学力に漠然と気付くそうだ。建設業界の人間が、総合学習・地
域活動等で社会貢献をすることによって、
「 数 学 は で き な い け ど 、土 木 と い う分 野 で 立 派 に 活 躍 で き
る」というような意識を持ってもらい、将来の職業の選択肢として建設業を認識させることに意義
がある。
- 36 -
・
従来、業界・行政の方で、子供向けの教材・テキスト等を色々作成しているが、子供たちに考えさ
せるという点が不足しているようだ。
・
ハザードマップも小学生に作らせることができる。ハザードマップは、土地の高低という知識があ
れ ば 、あ る 程 度 の も の は作 れ る 。も ち ろ ん 、間 違 っ た も の を 作 ら な い よ う に指 導 す る 必 要 は あ る が 、
その指導は業界の人間がしてあげればいい。
・
バリアフリーのまちづくりというのも、子供たちに考えさせることができる。例えば、6年生にな
ると「勾配」という概念が出てくるそうだが、車椅子を押させて、どのくらいの勾配なら大変なの
かをわからせる。何%の勾配かは、測量すればすぐわかることだが、小学校の先生は、測量すれば
分かるということ、測量は土木工学の一分野であること、が分からない。測量の実施あるいは指導
を業界の人間がしてあげればいい。
・
小学生のすることは、保護者、特に母親の興味が高いそうで、総合学習等を通じて建設業界が貢献
を す れ ば 、 保 護 者 に 対 す る イ メ ー ジ ア ッ プ に も つ な がる 。
- 37 -
⑨その他
以下に、建設業のイメージアップ・理解促進に資すると思われる活動・事例について概
説する。
a.(社)島根県建設業協会
・ 幼児を対象とした絵本「きかいはちからもち」を作成した。これは、飛び出す絵本で、
建設機械の動きが楽しめる。
・ 小学生を対象としたマンガ「夢まち探検隊」を作成した。これは、小学生が主人公と
なり、自分達の町で作られるビルに自分達の親が、設計者、建設機械運転手、とび工、
電工として関わっている模様を見て、建設業への理解を深めるという内容である。
図2-15.小学生向けマンガ(左)と幼児向け絵本(右)
b.国土交通省関東地方整備局「建設技術展示館」
・ 「最新の建設技術に関する情報を発信し、新技術の活用を促進する」
「建設技術が市民
の暮らしと都市機能を支えていることについて理解していただく」
「建設技術を次世代
へ継承・発展する」ことを目的に開設された展示館。
・ 屋内展示場では、最先端技術を生活との係わりの中で分かりやすく説明した新技術コ
ーナー、来館者自らが体験できるふれあいコーナー等が設置されている。
・ 屋外展示場ではシールドマシンや多自然型護岸等の実物展示、44種類の舗装技術を
紹介した舗装新技術プロムナード、樋門・共同溝の施工プロセスの展示、車椅子の体
験ができるバリアフリー体験、歩行者ITSコーナー等が設置されている。
・ 「体験教室」と銘打って、小学生(中高学年)を対象に授業の一環として建設技術に
触れたり、自然や人間と建設技術との関わりを学ぶことにより、建設技術の楽しさや
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すばらしさ、市民生活とのかかわりを伝えられる活動を実施している。
・ 「体験教室」は約2時間の内容で、講師は国土交通省関係者である。実施に当たって、
学校サイドの費用負担はない。また、万一のために傷害保険をかけている。
図2-16.「建設技術展示館」の屋内展示場(左)と屋外展示場(右)
c.(財)日本科学技術振興財団「科学技術館―コンストリアム」
・ 建設関連技術の紹介。展示物の企画等は、(社)日本建設業団体連合会が行っ ている 。
・ コンストリアムには、
「ドリームトンネル」
「スーパー建機シミュレータ」
「建設おもし
ろBOX
Q&A」
「耐震実験わくわくプログラム」のコーナーがある。
・ 「ドリームトンネル」は、シールドトンネル、山岳トンネル、開削トンネルについて
紹介されている。
・ 「スーパー建機シミュレータ」は、シミュレータを操作することにより、未来都市の
建造物を積み上げていく。
・ 「建設おもしろBOX
Q&A」は、建設関連のテーマについて、ディスプレイから
ビデオ音声による質問に対して、2または3つの回答から正解を選択する。
・ 「耐震実験わくわくプログラム」は、講師が実物模型を使いながら実験を行い、解説
を加える形式で行なわれている。小学校 5、6 年生程度を対象にした説明で、一回 20
分程度で 1 日 5 回開催される。
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図2-17.「コンストリアム」の展示場
d.(社)土木学会関西支部「土木出張講座」
・ 小学校・中学校に対し、土木の専門家・有識者を派遣して講演・講義を開催している。
・ 平成14年までに小学校・中学校で5回の実績があり、講演・講義の内容は、地元の
城と石垣、上水・下水等の水環境、河川氾濫等の水害、等である。
e.塗り壁隊
・ 建築家の方が代表で、建築物の壁を土壁作りをボランティアで手伝う活動を、平成1
1年から展開している。
・ 塗り壁隊の代表の知人が都内の中学校の校長と知り合いで、この知人の紹介で中学校
において総合学習の一環として塗り壁隊の活動を平成14年10月に行った。
・ この総合学習では、塗り壁隊による土壁制作の指導の他に、大工による木工品の制作
も同時に行われた。また、その2週間前に、大学の教授から伝統工芸に関する講演が
開催された。
・ 事前に、学校の教師に対してレクチャーを行い、分刻みのスケジュールを作成した。
・ 課題は、授業での時間が足りないこと、そのため準備・後片付けを生徒にさせられな
いこと、材料等の費用がかかることである。
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