我孫子市の事例:「新しい公共空間」提案型公共サービス民営化 特徴 他の自治体同様に、現業職場を中心に計画的に委託化を進め、一定の成果を上げてき た。ただ、それまでの委託化は、あくまでも行政側の発想で進めてきた委託に留まっ ており、これを真逆の視点として民間から市の事業を評価してもらって、委託化が可 能かどうか提案してもらおうという制度を実施した。 実施の理由 我孫子市の一般会計予算は310億円で、歳入では100億円近くが個人市民税。つまり、 歳入の3割はこういったサラリーマンの方々が担っていた。こういった方々が退職 し、年金生活に入れば、当然、税収にも大きく影響するというのが分かっていた。 これに対し、退職されて単にサービスの受け手となるのではなく、持っている経験、 能力を、是非この制度を通して、まちづくりに生かしてほしいという想いがあった。 市 の 実 施 内 仕組みは、まず全ての事業を公表し、提案を募集する。それが、もし市が実施するよ 容 りも市民にとってプラスと判断した場合は、積極的に委託化、民営化を進めていくと いうもの。 対象範囲 公表したのは市のすべての事業、一次募集の段階で1,131事業を公表。 この中には、当然法律で委託化できないもの、常識で考えて、これはどうやっても市 でやるべきだろうという事業も含まれていた。 対象団体 提案団体は、個人以外のすべての団体としている。これは、法人格の有無、市内市外 は問わないということ。 提案内容については、単に安くやりますよという提案ではなく、民間のアイデア、創 意工夫を盛り込んで市が実施するよりも市民にとってプラスになる提案を募集する ことにしていた。 審査基準 審査基準は、事業提案が様々なため、提案ごとに基準を設定している。 共通するものは「サービスの向上」 「地域の活性化」「適切な役割分担」 「効率性の向 上」の四つ。 応募件数と 審査結果ですが応募は85件、取り下げ等があったので、結局66件について審査を行 結果 い、採用は37件だった。 成果 参加しやすいように土曜コースを増やしましょうという内容など、市民の利便性が向 上したもの。 職員が行うより、国家資格などの所持者による専門性が高まった対応ができたものな どがある。 コスト面でも、直営に比べて3分の1など、比較では大きいものでは4分の1になっ たものもあった。 また、担当課の職員は民間の考え方に直接触れる機会を多く持てたことで、そうした 過程で職員が得たものや新たな気づきが結構多く、事業の見直しなどに役立った。 課題 採用から実施までのプロセスの整理がこれから必要。 また応募件数が年々減少することから、もっと民間提案しやすい仕組みにする必要が ある。 我孫子市 募集提案実績 提案数 採用件数 事業名 ファミリーサポートセンター事業の推 進・休日保育事業 平成24年 6 3 我孫子市が管理する37施設の包括管 理・ファシリティマネジメント 男女共同参画情報誌の発行 平成25年 3 1 市有建築物の保全指導・公共施設等包 括管理業務 子どもの居場所作り事業 学童保育室の運営 平成26年 景観形成情報発信・啓発事業 6 5 市民活動ステーションの管理、市民プ ラザの施設運営 他 平成27年 1 0 提案者 ワーカーズコープあびこ 大成サービスグループ ㈲マエダ印刷 大成有楽丌動産㈱ ㈱アンフィニ 我孫子の景観を育てる会 千葉県社会保険労務士会 保険給付事業、国保保険事業他 テンプスタッフ㈱ 公共施設等包括管理業務 他 大成有楽丌動産㈱千葉支社
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