講演資料 (PDF 4.3MB) - SMA - スキルマネージメント協会

「モデルベース開発手法によるスマートハウス電源
制御システムの開発」
dSPACE Japan 株式会社
代表取締役社長
有馬 仁志
2010年8月3日
タイトル「第1回オープンクラス(公開講座)」
主催 東海大学専門職大学院組込み技術研究科
(共催:組込みスキルマネジメント協会)
日時 8月3日(火)13:00-17:00
場所 高輪キャンパス
目次
ƒ 環境指向時代の到来
ƒ 車載エレクトロニクス開発の現状
ƒ モデルベース開発の必要性
ƒ モデルベース開発:自動車業界20年の軌跡と実績
ƒ 開発フェーズとツール
ƒ ラピッドコントロールプロトタイプ
ƒ 量産コード自動生成
ƒ HILシミュレータ
ƒ 自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
ƒ 開発・適用事例
ƒ まとめ
2
環境指向時代の到来
環境指向時代の到来
∼世界市場動向∼
ƒ 世界のあらゆる地域で温室効果ガスの大幅削減に向け、再生可能エネルギーへの転換が加速
している
アメリカ
2012年までに電力供給量の
10%を賄い、2025年までに
25%を賄う
メキシコ
2012年までに電力供給量の
25%を賄う
EU
2020年までに全電力消費量
の20%を賄う
チリ
2010年までに電力供給量の
5%を賄う
新エネルギー市場は2005年頃から
急成長を続けている
„ 2008年 20兆円 規模
„ 2020年 76兆円 規模予想
„ 2030年 100兆円規模予想
アメリカではグリーン・ニューディール政策の一環として、2030年までに
ARRA(American Recovery and Reinvestment Act)をはじめ、電力関連へ
計 1.5兆 米ドル(約135兆円)の巨額投資を行う試算がある
米 Brattle Group試算
4
環境指向時代の到来
∼世界市場動向∼
ƒ このような世界動向は日本においても例外ではない
ƒ 2030年までに電力供給量の50%以上を再生可能エネルギーと原子力発電に
ƒ 太陽光発電量を2005年比で2020年までに約20倍、
2030年までに約40倍に
再生可能エネルギーの大量導入は必至
2次電池とセンサー制御を駆使した次世代電力網
の構築が鍵を握る
スマートグリッド
5
環境指向時代の到来
∼スマートグリッド∼
ƒ 再生可能エネルギーは気象条件により発電量が大きく変動するため、従来の発電に比べ扱い難く高率の再生可能エネルギーを
導入すると現在の電力系統に支障をきたす(周波数変動、逆潮流)
ƒ スマートグリッド を構築し、
発電側と負荷側を最適制御することで、電力品質の安定を維持する必要がある
<主要な具体策>
ƒ 集中型・分散型電源の出力を、大容量2次電池でバッファして安定化させる
ƒ 需要家側の要求をネットワークにより接続したセンサで監視・制御する
需要家
ƒ スマートメーターによる電力の見える化を促進する
電気・情報
集中型電源
送配電ネットワーク
分散型電源
6
環境指向時代の到来
∼日本の電力事情∼
スマートグリッドが描く将来像はまだしも、各国の電量事情から
実現へ向けたプロセスは異なる
日本では米国と異なり、既にスマートな電力系統を構築している
ƒ再生可能エネルギーの導入で比較した場合
ー日本は再生可能エネルギーの導入量が各国に比べ少ない
2007年における総エネルギー使用量にしめる割合
(日本:2% アメリカ:2.5% イギリス4% ドイツ10% スペイン10% デンマーク27%)程度
真にスマートな電力供給網は再生可能エネルギーを有効活用し
かつ電力の安定供給が可能なシステムのはず
日本既存の電力系統では再生可能エネルギーなどの不安定な電力を
1000万kW程度しか吸収出来ないと推定されている
日本版スマートグリットとそれに至るプロセスを早急に検討
する必要がある
7
環境指向時代の到来
∼日本版スマートグリッド∼
ƒ我が国日本では、
ƒ 電力を監視するセンサや通信ネットワークが配電網に導入済み
ƒ 小規模な太陽光発電のような分散型電源の導入が急速に進む見通し
であることから、電力事業者が需要家の負荷を制御するのではなく、蓄電池の配置に関して前向き
である
需要家毎に蓄電池を
配電網
変電所
設置し、建物内で負荷
制御を完結させエネル
ギーの最適化を図る
電力会社でなくとも
事業展開が可能
配電用の変電所に
蓄電池を配置することで、
需給バランスを最適化する
大容量
蓄電池
8
環境指向時代の到来
∼住宅内エネルギー最適化∼
電力供給に従来の交流だけではなく、直流も利用し高効率を
実現するいわゆる「直流ハウス」も話題を集めている
太陽電池
DC−DC
コンバータ
双方向AC−DC
コンバータ
スマートエナジー研究所 では双
方向AC/DC、DC/DCコンバータで
構成される機器を接続した住宅
内エネルギー最適化のグランドビ
ジョンを策定している
双方向DC−DC
コンバータ
負荷
通信
資料提供:スマートエナジー研究所
蓄電池
EV
AC
DC
9
環境指向時代の到来
∼環境ビジネスにおける主役∼
このような状況から、今後以下の分野が活性化すると考えられる
スマートグリッド
太陽電池
蓄電池
家電
セキュリティ
メーター
ICT
風力発電機
インフラ
建物
電気自動車
各ドメインは有機的に結合しており、総じて加速的に市場が拡大する可能性を秘めている
10
環境指向時代の到来
∼事例:長崎県五島プロジェクト∼
三菱自動車は長崎県五島列島と提携し、同社電気自動車i-MiEVのレンタカーを100台配置する
急速充電駐車場や次世代ITSビーコンを島内に配備することで、観光用途として
„ 公共交通手段とEVレンタカーの連携
„ ITSを用いたオプショナルツアーへの誘導
„ ITSを用いた自動代金決済
の実証試験を行う
EV・ITS
Google Map, SK M&C, ZENRIN
11
環境指向時代の到来
∼事例:浮体式洋上風力発電∼
佐世保重工業(株)、京都大学、戸田建設(株)、日本ヒューム(株)は
浮体式洋上風力発電施設用プラットフォームを共同で開発し、1/10モデルの実海域実験で
その有効性を確認したことを発表した
現在、日本の電力供給における風力発電の割合は少ないが、
„ 日本は世界第6位の排他的経済水域を保有する
„ 洋上は風況が陸上より好ましい
„ 設置に関して浮体式は着底式に比べ、水深の影響を受けにくい
2MW級 実物大イメージ
ことから、海洋資源を有効活用するための技術として注目を集めている
実海域実験
12
環境指向時代の到来
∼事例:環境省が洋上風力発電の実証実験を始める∼
環境省は「浮体式」洋上風力発電の実証実験を始める
「浮体式」を採用することで風車の土台を海底に固定する
「着床式」に比べて、深い海域を含む5倍以上の場所に
導入が可能となる。2000キロワット規模を想定し、環境省
は20億円を拠出する。
建設や性能を評価する企業・大学を募集し、地上への送電
に関する研究は、住友電気工業と日立電線が出資する
ジェイ・パワーシステムズと海上技術安全研究所が実施する。
出典:日本経済新聞
日本は国土が狭く、風力発電機設置の場所を確保することが難しい。洋上での設置場所を確
保するため、浮体式の技術開発は急務であり、注目されている。
13
環境指向時代の到来
∼事例:ニューメキシコ日米合同実証∼
NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)
„ ニューメキシコにおける日米共同実証研究プロジェクトの公募を募る
„ 事前調査委託先 31社
伊藤忠商事、NTTファシリティーズ、シャープ、清水建設、財団法人電力中央研究所、
東京ガス、東芝、日本電気、パナソニック、日立製作所、富士通、富士電機システムズ、
三菱重工、三菱電機、など
„ 各社の思惑
1.
国内とは異なる環境での各種装置の性能や、国内では規制等で実施困難な技術を評価することで日
本におけるスマートグリッド研究開発に知見をフィードバックする
2. 日本のエネルギー機器を実系統へ導入実証し、米国をはじめとする世界展開への足掛かりとする
3. 今後早急に進むと予測されるスマートグリッド標準化活動に資することが期待できる
„ 実証課題
„ ロスアラモス郡におけるマイクログリッド実証
„ ロスアラモス郡におけるNEDOスマートグリッドハウス実証
14
「スマートコミュニティ・アライアンス」設立
ƒ 電気や自動車、電力など287の企業・団体と経済産業省から成る
官民協議会「スマートコミュニティ・アライアンス」が設立された。事務局はNEDOが務める。
スマートコミュニティ関連市場に日本企業が積極的に参画出来るよう共通の課題に官民一体で取り組むことで
、日本の技術力を核としたスマートグリッドの早期実現に向け邁進する。
「スマートコミュニティ・アライアンス」設立総会の様子
出典:NEDO Webサイト
ƒ 同アライアンスは、米国でIBMやゼネラル・エレクトリック(GE)など民間企業が参画しスマートグリッドの普及を
模索するグリッドワイズアライアンスとの連携を決定した。
日米で技術開発や標準化活動を展開していく計画だ。積極的に日米合同セミナーを開催し、今秋には米国の「
グリッドウィーク」でワークショップを展開することが決まっている。
15
日本型スマートグリッドの構築と海外展開を
目指す国家プロジェクトが始動
ƒ 経済産業省はスマートグリッドの大規模な実証事業を行う
4箇所の「次世代エネルギー・社会システム実証地域」を選定・発表した
ƒ 横浜市
ƒ 愛知県豊田市
ƒ けいはんな学研都市
トヨタ自動車、新日鉄、アクセンチュア、
東芝、パナソニック、日産自動車、
電力会社、ガス会社をはじめ有力企業が
多数協力する
ƒ 北九州市
全国5000世帯で実証実験を行い、総事業費は5年で1000億円
• 大規模な再生エネルギーの導入
• エネルギーマネジメントシステムの確立
• 電力系統と地域システムとの相互補完
• 大幅な省エネ、CO2削減
• 2000台のEVを導入・実証
• 新しいライフスタイルの提案
等
„ 日本版スマートグリッドの構築
„ 確立した技術を世界へ売り込む
16
車載エレクトロニクス開発の現状
増大する制御ソフト
制御ソフト:
200万ステップ?
400万ステップ?
本体700万+ナビ1000万
出典:日経エレクトロニクス
=中規模銀行基幹システム
2004年11月号
出典:トヨタ自動社ホームページ
18
車載エレクトロニクスの現状
ハイブリッド/燃料電池
ディーゼル
ガソリン
4∼16気筒
MPI、GDI
ターボチャージャ
F1
4∼12気筒
ターボチャージャ
コモンレール
磁気インジェクタ
圧電インジェクタ
乗用車およびトラック
ガソリン&ディーゼルHEV
燃料電池コントローラ
配電
ACC
インストルメントクラスタ
車体制御ユニット
エアコンディショニング
エアバック ...
車両エレクトロニクス
エンジン
トランスミッション
ビークルダイナミクス
ブレーキシステム
ABS、ASR
ビークルダイナミクス制御 (ESP)
電子制御パーキングブレーキ
CDC、エアサスペンション
自動ステアリング
アクティブボディコントロール
電気油圧式ブレーキ
オートマチックトランスミッション
CVT
自動マニュアルトランスミッション
ダブルクラッチトランスミッション
4WDトランスファ
19
車載エレクトロニクス開発の問題点と対策
„車両作製コストにおける電気/電子機器割合
o
iti
n
ig
l
ro
t
n
co
l
d
n
s
n
ro
t
ll e
o
i
ke
tio
n
s
s
o
a
c
o
r
r
t
c
is
n
je
br
to
m
m
in
on tio ine
its
c
s
i
e
ca
t
c
l
n
t
i
c
n n s
c
g
u
u
e
d
e
ra
tra ctio sy
in
bl inj
ire
en
ol
d
r
a
d
c
c
t
t
c
i
e
ic
n
e
k ni
ni je on
hy
in
up ron tron
ni tro
ng
ro el in ati
co
ro
l
t
t
o
a
t
o
k
r
tr ec
w
o ec
ec s vig SP
ec
ec
as
st
lo
Je El
E
El DieNa
El
Lo El
G
El
a
G
c
D
re
Fo
60
Percentage of Manufacturing Costs
n
55
• 電子技術の貢献により15年でその価値が20%から40%も向上
50
45
• 電子技術の躍進により増え続ける機能
(商品の差別化)
• 40単体ECUで実現
35
• 複数ECUで統合的に実現
30
• 巨大化、複雑化するシステム
25
• 20レクサスLSのソフトウェアは車両制御で700万行、情報系も含めると1700万
Exhaust
行。ECUは100個使用されている。
legislation
15
42-V board net
10
Electronics
⇒ いかに効率良く高品質な物を作りあげるか?(時間、コスト、品質)
Electrics
5
0
1965
1970
1980
1990
2000
2010
http://www.cs.tu-bs.de/ips/mutz/papers/HDT_STEP-X.pdf
20
車載エレクトロニクス開発の問題点と対策
ƒ 市場における車両トラブルの種類 ⇒ 電子システムが55%を占める。
電気/電子システム
32.1%
14.0%
イグニッションシステム*
11.7%
エンジン
8.2%
ラジエータ/クーリングシステム
車輪またはタイヤ
7.0%
燃料システム
6.3%
インジェクションシステム*
6.1%
ギア/トランスミッション
シャーシ*
その他
5.5%
*
電子制御機能を含む
4.0%
5.1%
データ: German Automobile
Association (ADAC)
21
車載エレクトロニクス開発の問題点と対策
ƒ 個々のECUでは問題無いが、統合したときに問題が起きる
ƒ 電源電圧変動に伴う個々のECUのリセット、Wake−Up/Sleep
ƒ ネットワークマネージメントCANメッセージによるWake-Up/Sleep
ƒ 複数のECUにて実現される機能
ƒ 個々のECUの相互依存(閉ループでの機能)
ƒ 他のECUの情報(例えばCAN上の情報)によって影響をうける機能
ƒ センサー情報が他のECUより供給される場合
ƒ 個々のECUのダイアグノステックエラーによって機能を切り替える必要が有る場合
ƒ 個々のECU検証HILSと統合システムのHILSを効率良く実現したい。
ƒ 拡張性の有るHILSシステムが必要
22
モデルベース開発の必要性
自動車制御系開発への要求
社会から求められること
高効率、安全性、快適性、環境問題対策
システムの高機能化
プログラム数の増加・複雑化
システムの複雑化(ネットワーク)
数学モデルを使った
開発手法
MBD
開発期間は短縮傾向
Model Based Development
ソフトウェアの開発工程において、効率的な設計や検証が行わなければならない
システマティックなアプローチとそれに対応するツールが必要
24
Matlab/Simulinkによる制御設計の確立
制御器の
数学モデル
制御対象の
数学モデル
ma (t ) = dv(t ) + Cx (t )
t
ω
s
1
+ε
+λ
2
(s + τ ) s
s + ζ 1s + ω1
2
1
2
v(t ) = ∫ a(t )dt + v(t0 )
t0
t
x(t ) = ∫ v(t )dt + x(t 0 )
t0
コントローラ
制御対象(プラント)
実際に動作するモデルを仕様書として活用
25
モデルベース開発におけるVサイクル
Vサイクル全体にモデルをフル活用 ⇒ 工数の低減、開発期間の短縮を図る。
モデルを用いた設計に始まり、PC上でのシステム設計の検証を経て、プロトタイプハードウェアによる検証を実施する。更にモデルをベースとして量産
コードを生成し、システム検証におけるシミュレーションにモデルを継承する。
適合・車両確認
要求分析
動く仕様書
設計
システム
仕様設計
システム検証
検証
コンポーネント
検証
コンポーネント
機能設計
量産コード生成
26
モデルベース開発におけるモデルと実機の関係
システム設計
適合
&
計測
制御
設計
実ECU
モデル
モデル
RCP
HIL
実ECU
モデル
実機
モデル
実機
ACG
量産コード生成
モデル
量産ソフトウェア
27
モデルベース開発とVサイクルモデル
システム設計
最終目標
モデルを使った
机上検討
適合
計測
制御
設計
モデルベース開発をサポートするツール
ラピッドコントロール
プロトタイピング
HIL
RCP
HILシミュレータ
(Hardware-in-the-Loop Simulation)
ACG
量産コード自動生成
28
開発フェーズとツール
ラピッドコントロールプロトタイプ
モデルで実機を制御する
⇒Rapid Control Prototyping
システム設計
出発点=モデル
最終目標
適合
&
計測
制御
設計
RCP
HIL
ACG
30
ラピッドコントロールプロトタイピング
モデルベース制御ロジックをリアルタイム環境へスムースに実装
制御アルゴリズム
Regelalgorithmus
„ プロトタイプのハードウエアを用いて制御対象のプラントを、
リアルタイムに制御(例えばエンジン)
„ ラピッドプロトタイピング: 早期にモデルを稼動させ設計を検証すること
31
ラピッドコントロールプロトタイピングとは?
ƒ ラピッドコントロールプロトタイピング(試作ECU)
ƒ
ƒ
高速演算、浮動小数点
大容量メモリ、 多彩なI/O
ƒ Simulinkで作成した制御モデルを即座にプロトタイプコントローラへ自動実装
ƒ
ƒ
ハンドコード不要
制御モデルの入力、出力にRTI(リアルタイムインターフェース)接続
ƒ 制御モデルをリアルタイムで動作させ実プラントを制御し、評価可能
ƒ カーネルの自動生成
ƒ Simulinkブロックセットを用いたビジュアルなI/O構築
ƒ ECUモデルの機能評価を即座に実現 → コスト削減・期間短縮
ƒ
ƒ
回路試作の必要無し
プログラム作成必要無し(I/Oプログラミングも含め)
32
ラピッドコントロールプロトタイピング
プロトタイピング環境
モデリング・シミュレーション
制御設計・解析
I/Oライブラリ
リアルタイム試験
Build
Build
モニタリング、チューニング
RCP system
RTI実装
33
ControlDeskにおけるパラメータチューニング
すべてのSimulinkブロック
変数にアクセス可能
34
ハイエンドなラピッドコントロールプロトタイピングシステム
の実環境への接続
RapidPro
SC Unit
Signal Conditioning
センサ
RCP
システム
RapidPro Power Unit
アナログおよびデジタル信号
アクチュエータ
Power Stages
USB
ConfigurationDeskによ
るハードウェアの設定変更
ControlDeskまたはCalDesk
による計測および適合
35
ラピッドコントロールプロトタイピング適用事例:
日産自動車 エンジン制御
VQエンジンのセンサとアクチュエータの信号は、シグナルコンディショニングおよびパワーステージ
機能を持つRapidProプロトタイプを介し、MicroAuoBoxプロトタイピングシステムに適用
出典:dSPACE News 01/2005
36
適用事例:
GETRAG & BOSCH ∼ Hybrid車両用トランスミッション開発
ƒ トルク伝達、駆動方式などに様々なバリエーションがHV車両には求められている
ƒ GETRAGはクラッチ・ギアを全て電気駆動する6-speed PowerShift® DCT (dual clutch
transmission )を開発
ƒ パワーエレクトロニクス、電動モータコントローラはBOSCH社が担当
ƒ このトランスミッションシステムはdSPACE RCPシステムを用いて開発が進められている
出典: [dSPACE Magagine 1/2010]
37
適用事例:
GETRAG & BOSCH ∼ Hybrid車両用トランスミッション開発
MINIをベースとしたデモ車両を製作し、HEV駆動系評価のため5種類の駆動系に切り替え可能
1) 従来のエンジンのみの駆動系
2) 従来のエンジン駆動系 + 自動スタートストップ機能
3) HEV (GETRAG PowerShiftトランスミッション + 電気式リアアクスル)
4) HEV (GETRAGトルク分割トランスミッション)
.
5) HEV (GETRAGトルク分割トランスミッション + 電気式リアアクスル)
“dSPACEシステムはフレキシブルであり、Hybridの制御開発に必要な機能を提供してくれた。”
Tibor Niedermayer, GETRAG
出典: [dSPACE Magagine 1/2010]
38
ラピッドコントロールプロトタイピング適用事例:
BMWにおけるFlexRay量産開発
ƒ BMWグループは、2006年FlexRayバス搭載の車両を市場に導入した最初のOEM
ƒ 動的安定性のための新ダンパーコントロールシステム
ƒ セントラルECU (制御ストラテジ)
ƒ 車輪付近に4つのサテライトシステム
ƒ FlexRayによる通信
39
デンソー 運転支援システム
ƒ プリクラッシュ及びアダプティブクルーズコントロール(ACC)製品の開発のため、
デンソーは計測と適合の汎用ソフトウェアCalDeskを使用
ƒ CalDeskはECUおよびMicroAutoBoxへの並列アクセスが可能であり、またASAM-MCD 3
COMインタフェースによりレーダ/画像処理ソフトウェアとのデータ交換が可能
運転支援システムの開発構成
出典:dSPACE NEWS 2/2006
40
デンソー 運転支援システム
出典:dSPACE NEWS 2/2006
運転支援システムの機能
上記評価シナリオでは、車両の陰から歩行者が飛び出したという設定で、
レーザセンサにより歩行者を検知し、ブレーキとシートベルトテンショナを作動
CalDesk:計測と適合のためのソフトウェア
RTI Bypass Blockset:バイパスアプリケーションの設定、ECUアドレスへの割り当て
Calibration and Bypassing Service:ECUへの追加サービスコード
MicroAutoBox:リアルタイム計算のためのプロトタイピングシステム
DCI-GSI1:デバックインタフェースからECUにアクセスするためのシリアルインタフェース
41
モデルベース開発
量産コード自動生成
量産コードの自動生成
システム設計
適合
&
計測
制御
設計
モデル
モデル
RCP
HIL
Int16 x1, x2, y;
モデル
実機
実ECU
モデル
/* declaration */
Int32 dummy;
dummy = (Int32)x1 + (Int32)x2;
ACG
/* addition */
if (dummy > 32767)
/* saturation */
y = 32767;
else if (dummy < -32768)
y = -32768;
else
y = (Int16)dummy;
43
仕様書による工程間のやり取り
制御対象、制御ロジックのSimulinkモデルを作成
シミュレーションによるロジック検証
関数仕様書
関数名 Control
入力 a:Integer b:Float
出力 c:Integer
コントローラモデル
機能設計者
与えられた入力a、bに対し
以下の演算を行い、出力する
Int16 x1, x2, y;
/*
declaration */
Int32 dummy;
c = a×12.3+b/256
・・・・・・・
dummy = (Int32)x1 + (Int32)x2;
/* addition */
if (dummy > 32767)
y
else
y
else
y
/* saturation */
= 32767;
if (dummy < -32768)
= -32768;
制御ロジックの仕様書
= (Int16)dummy;
ソースコード
ソフトウエアエンジニア
仕様書を元にECUコードを作成
仕様通りに動作するかECUコードを検証
44
モデルを仕様書として活用
制御モデル
制御ロジック開発
=仕様書
自動変換
TargetLink
ラピッドプロトタイプ
コントローラ
ブロック
コード生成
量産Cコード
◇モデルが制御仕様書
Int16 x1, x2, y;
/*
◇制御モデルと同一の演算を行うプログラムの
作成という、明確なゴール設定
declaration */
Int32 dummy;
dummy = (Int32)x1 + (Int32)x2;
/* addition */
if (dummy > 32767)
開発時間の短縮とソフト品質の向上
の達成
y
else
y
else
y
/* saturation */
= 32767;
if (dummy < -32768)
= -32768;
= (Int16)dummy;
45
量産に適用可能なコードを生成
プロトタイプ用のコード
bool1 = (In >= 10);
bool2 = (In <= -10);
bool3 = bool1 || bool2;
tmp1 = table_lookup(Table, In);
tmp2 = In;
if (bool3)
out = tmp1;
else
out = tmp2;
TargetLinkによって生成されるコード
TargetLinkによる生成コードは・・・
−手書きのコードに匹敵するスピードとメモリー効率
−読みやすく、理解しやすい記述形式
if ((In >= UT) || (In <= LT))
out = table_lookup(Table, In);
else
out = In;
46
コードの効率性
ƒ Delphi, 2002
ROM
RAM
Stack
Speed
0.96 – 1.1
0.97 – 1.2
1.2 – 1.25
0,75 – 1.2
自動生成コードがハンドコードを上回る
Source: Lev Vitkin, Delphi, USA
ƒ German Tier One Supplier, February 2006:
Manual Code
100%
TargetLink
90%
Manual Code TargetLink
80%
ROM [bytes]
2182 (100%)
88,5%
70%
RAM [bytes]
104 (100%)
97,1%
60%
Run time [msec] 2,27 (100%)
100,4%
50%
ROM
RAM
Run time
47
コードの検証
Model-, Software- and Processor-in-the Loop Simulation
3種類のシミュレーションモードを持つ統合開発環境。
−浮動小数点
演算
−固定小数点
演算
モデルの検証
-アルゴリズムの有効性
-スケーリング (自動・手動)
-オーバーフロー検証
ソフトウエアの検証
-量子化誤差の影
-モデル動作の保証
-実装オプション決定
ターゲットの検証
-実行時間の実測
-スタックサイズの実測
-RAM/ROMの計測
48
各種モデリングガイドライン
ƒ MISRAガイドライン
ƒ MISRAでは、TargetLink向けに公式な
MISRAモデリングガイドラインを発行
ƒ 機能安全にフォーカスされた内容
ƒ MAAB Controller Guidelines
ƒ SimulinkおよびStateflowにおける命名規則、
モデルのアーキテクチャや設定の問題、および
設計パターンを網羅する汎用ガイドライン
ƒ TargetLink Modeling Guidelines
(Targetlinkモデリングガイドライン)
ƒ MISRA TargetLinkガイドラインおよび
MAABのガイドラインの内容を補完する
理想的な資料
ƒ コード効率やAUTOSARに関する記述
を追加
ƒ ここで示すガイドラインはすべてベース
ガイドラインとして使用でき、会社個別または
製品個別に改変および追加も可能
49
TargetLinkリファレンスワークフロー
ƒ Model-Based Reference Workflow for the development of safetyrelated software
安全関連ソフトウエアを開発するためのモデルベースの
リファレンスワークフロー
ƒ Based on best practices and experiences that are of particular
interest for the development of safety-related software
安全関連ソフトウエアの開発担当者にとって特に重要なベストプラクティ
スと経験がベース
ƒ Does not try to introduce a new development approach
新しい開発アプローチの導入は行わない
ƒ Does not question well established MBD processes and workflows
定評あるMBDプロセスおよびワークフローの有効性については議論しな
い
ƒ Many of the proposed methods are directly recommended by ISO
26262 and IEC 61508
提案手法の多くはISO 26262とIEC 61508によって直接的に推奨
ƒ Workflow has been approved
by TÜV (German certification
authority)
TÜV(ドイツの認証機関)がワークフローを認定
50
NISSAN:TargetLinkによるエミッションの低減
P-ZEV適合を達成したSentra用
日産Sentra CA
エンジンと触媒コンバータ
ƒƒ 2000年
2000年 日産Sentra
日産Sentra CA:世界初ゼロ排気車
CA:世界初ゼロ排気車
(カリフォルニア
(カリフォルニア ゼロ排気車用排気規定に対応)
ゼロ排気車用排気規定に対応)
ƒƒ 新しい空燃比コントローラ開発にTargetLinkを採用
新しい空燃比コントローラ開発にTargetLinkを採用
ƒƒ プロジェクトはわずか3ヶ月で完了、開発期間を40%短縮
プロジェクトはわずか3ヶ月で完了、開発期間を40%短縮
ƒƒ 日産ブルバードシルフィ:超低排出ガス車「日本U-LEV」
日産ブルバードシルフィ:超低排出ガス車「日本U-LEV」
ƒƒ 変更作業をわずか1ヶ月以内で完了
変更作業をわずか1ヶ月以内で完了
出典:dSPACE News 2000
51
AIRBUS:A380 Cabin Pressure Control
A380のCabin Pressure Control
装置をTargetLinkで開発
高い信頼性を要する分野も自動コード生成を適用
出典:dSPACE News 3/2006
出典:dSPACE MAGAZINE 1/2009
52
モデルベース開発
HILシミュレータ
シミュレータでの検証
システム設計
適合
&
計測
制御
設計
モデル
モデル
RCP
HIL
実ECU
モデル
実機
モデル
Int16 x1, x2, y;
/* declaration */
Int32 dummy;
dummy = (Int32)x1 + (Int32)x2;
ACG
/* addition */
if (dummy > 32767)
/* saturation */
y = 32767;
else if (dummy < -32768)
y = -32768;
else
y = (Int16)dummy;
54
HILS(Hardware In the Loop Simulator)とは?
リアルタイムシミュレーター
制御器
制御対象
制御アルゴリズム
プラントモデル
コントローラ
プラント
„ 制御対象(プラント)を実時間で実行する演算装置
„ ECUとのI/Oインタフェースとバスシステム
55
HILS構成要素
電気的
な値
物理的
な値
センサー
シミュレーション
モデル
アクチュエーター
テスト対象
ECU
プラントモデル &
プロセッサ
実験環境
I/Oライブラリ(RTI)
リアルタイムハードウエア
56
HILSによるテスト自動化
テストオートメーションの特長/利点
Î ECU機能および診断機能のテスト
Î テストは常時(24/7)実行可能
Î テストは再利用可能
Î テストカバレッジの向上 Æ 品質の向上
AutomationDesk
ホスト
PC
Î 時間とコストの削減
ビークルダイナミクスモデル
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
モデル変数の読み込み
/書き込み
Engine
Drivetrain
Vehicle dynamics
Environment
ƒターミナル30(バッテリ)
ƒギア
ƒその他
dSPACE ASMはHILシミュレータ上でシ
ミュレートするESPのテストを行なうため
の精密なモデル
(ASM = Automotive Simulation Model)
ECU
HILシミュレータ
57
HILSによるECUネットワークテスト
Vehicle Dynamics HIL
Host Interface
Engine HIL
Transmission HIL
Gigalink
CAN
58
HILS:モーターシミュレーションへの適用
ECU
current contoller
3 phase
voltages
vehicle
application
current signal
application
controller
position signal
Controller
Power Stages
transmission
sensor signals
Electric Motor
Mechanics
信号レベル
パワーレベル
メカニカルレベル
59
HILS:バッテリーシミュレーションへの適用
battery management
ECU
cell measurement
module
precharge
/ power
on
current
measure
ment
isolated
CAN
CAN bus
voltage signal
HV
relay control
current signal
コントローラ
計測部
バッテリー
信号レベル
高電圧レベル
60
HILSのメリット
9 実機レス
- 実機が無い状態でもテスト可能、テストコース、ドライバー確保の必要無し
9自動テスト
- OBDなど定型化されたテストを自動化、24時間テスト
9 再現性
- 複雑な不具合事象であってもパラメータ設定により確実に再現
9網羅性
- 環境条件、運転条件を自在に変更することで試験の網羅性を向上
9安全性
- テストドライバの安全に関わるテストシナリオでもHILSで実現
9再利用性
- 一度作成したテストシナリオ、評価関数は再利用が可能
61
ユーザ事例:三菱自動車工業株式会社様
ーバーチャル アウトランダー
ƒ 新型アウトランダーの開発にVirtual Vehicleを導入。車
両モデルにはdSPACEのASM (Automotive
Simulation Models)が使用された
ƒ 20 個のECUがネットワークシミュレータに接続
ƒ 2人のエンジニアが1週間かけて再現できなかった不具
合をHILSにて1晩の試験で再現
三菱 Outlander
リアルタイムのVirtual vehicle テストは
複雑なECUシステムの品質向上には欠
かせない
出典: [2007 dSPACE User Conference]
三菱自動車工業株式会社 酒井様
ラボに設置されたバーチャルビークルテストシステム
62
ユーザ事例 : C-Classバーチャルビークル
Mercedes-Benz 2007 C-Class
ボティとシャシ系ECU32個
ボティとシャシ系ECU32個
PT系ECU17個
PT系ECU17個
9 CAN
12 LIN
Source: [ATZ/MTZ Special Edition C-Class, 04/2007]
63
ユーザ事例:三菱自動車工業社
電気自動車「i-MiEV」のHILSテスト
ƒ dSPACE HILシミュレーションによる
電気自動車専用ECUのソフトウエア品質の確保
ƒ ECUへの入力を設計通りのタイミングで模擬操作
する手段として、dSPACE Mid-Sizeシミュレータを
採用、さらに試験パターンを迅速に作成する手段
としてテスト自動化ツールAutomationDeskを活用
。
テストすべき項目を忠実に試験パターンとして自
動的に実行する事ができ、また従来のテストで
は発見できないソフトウェアバグを発見する事が
出来るため、電気自動車の開発にはなくてはな
らないものでした。
開発本部 副本部長 早舩 一弥氏
64
ユーザ事例:三菱自動車工業社
Honda Aircraft 統合テストへHILSを利用
Honda Aircraft Company、dSPACE HILシミュレータを導
入、HondaJet向け統合テスト用シミュレータに採用
Honda Aircraft Companyは、航空機の電気系統お
よびアビオニクスサブシステムの自動統合テストの
ために、dSPACEシミュレータを使用します。ネット
ワー ク化されたdSPACE HILプラットフォームで実
行する高精度フライトダイナミクスモデル、エンジン
モデル、およびエンジニアリングプロトタイプを使用
して、量産航空機サブシ ステムと列線交換ユニット
(LRU)をテストします。
65
自動車の開発ツールを
エネルギーマネジメントの世界へ
自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
∼汎用電源の開発∼
グリッドシミュレーション用汎用電源をスマートエナジー研究所と共同で開発検討中
同汎用電源はパワーインタフェース・パワーユニットとdSPACEシミュレータより構成される制御可
能な電源である
汎用電源の状態計測、
パラメータチューニングは
リアルタイムで実行可能
汎用電源
パワーインタフェース
パワーユニット
CAN Bus
シミュレータへのモデルの
ダウンロードは全自動で行われる
Host PC
制御ロジックはThe Mathworks社
MATLAB / Simulinkを用いてモデリングする
67
自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
∼汎用電源のユースケース∼
汎用電源
パワーインタフェース
パワーユニット
系統シミュレーション
太陽電池
電源シミュレーション
DC−DC
コンバータ
双方向AC−DC
コンバータ
双方向DC−DC
コンバータ
汎用電源
パワーインタフェース
パワーユニット
負荷
通信
蓄電池
AC
DC
負荷シミュレーション
EV
蓄電池、EVの
シミュレーション
68
自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
∼汎用電源のメリット∼
気象条件により変動する風力発電や太陽光発電
において、実機を用いて起こり得る電力変動を全て
検証することは膨大な時間がかかり不可能に近い
風が吹く日を
待たなくてはならない
晴天・雨天の日を
待たなくてはならない
<メリット>
汎用電源を用いてシミュレーションすれば、
事前にインプットしておいたデータに沿って
短時間のうちにテストすることが可能となる
69
自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
∼グリッドシミュレータ∼
自動車、航空業界で培った技術・経験を生かし、次世代電力網市場でも貢献する
特にその有用性は既に確認済みのdSPACE シミュレータを用いることで、
ƒ 住宅内に接続されたEV等のデバイス
ƒ グリッドに接続された需要家
等の電力シミュレーションを実機レスで行うことが可能となる
スマートグリッド
太陽電池
蓄電池
家電
セキュリティ
dSPACE シミュレータ
シミュレータ
メーター
ICT
風力発電機
インフラ
建物
電気自動車
70
自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
∼グリッドシミュレータ∼
ƒ 住宅内に接続されたデバイス単位のシミュレーション
分散電源シミュレーション
EVシミュレーション
dSPACE シミュレータ
利点
ƒ グリッドに接続された需要家のシミュレーション
配電網
需要家シミュレーション
グリッドにシミュレータを接続
することで、実機レス24時間のテ
ストを行うことが可能
シミュレータの制御ロジックは
プログラマブルであり、負荷・電源
・需要家といった様々な用途への
活用が期待される
71
自動車の開発ツールをエネルギーマネジメントの世界へ
∼急速充電器の開発における、バッテリーシミュレータ活用のメリット∼
問題点
ƒ 急速充電器の開発や試験において、実際のEVによる
試験には膨大な時間を必要とする。
ƒ EVの充電状態を実車で作り出すのは困難である。
ƒ 世界各地の充電器メーカに実車を持ちこんでテストを
行うことは事実上不可能である。
EV実車なしで急速
バッテリーシミュレータを活用する
充電器充放電の試験が可能
メリット
自動車のバッテリーを模擬する充放電のシミュレーション
と実際の出力電源を用いて、急速充電器の開発を行う。
この方式を使えば、バッテリー試験の度に実車を使う
必要がなくなる。
72
モデルベース開発による
インバータ制御
開発事例
•事例 自立型DC/ACインバータ
•開発のステップ
•電源回路シミュレータ(スケール)によるインバータシミュレーション
•モデルベース開発によるインバータ制御開発事例
•量産開発
•コード自動生成
•DSPへのコード実装
74
Simulinkによりダイナミクスを容易に表記、計算
例) 機械系: バネマスダンパモデル
ma (t ) = dv(t ) + Cx (t )
t
v(t ) = ∫ a(t )dt + v(t0 )
積分ブロック
t0
t
x(t ) = ∫ v(t )dt + x(t0 )
t0
m
C
d
75
Simulinkによりダイナミクスを容易に
表記、計算
例) 電気系: RLC
積分ブロック
RLC回路図
R
u
L
C
x
76
ブリッジ型インバータ設計
電源回路シミュレータ(SCALE)による設計
SCALE:崇城大学中原教授開発のスイッチング電源シミュレータ
77
ブリッジ型インバータorPFC設計
モデルベース開発によるインバータ制御開発
Simulinkで記述
78
ブリッジ型インバータ設計
モデルベース設計によるプロトタイピング
入力
DC
出力
AC
ブリッジ回路
電圧
センサ
電流
センサ
A/D
電流
センサ
ドライバ
電圧
センサ
A/D
PWM
dSPACE インターフェイス (DS1104 Connector Panel)
dSPACE DS1104
R&D Controller
Board 内蔵
79
MATLAB/SimulinkからdSPACEへ
ドラッグアンドドロップで
実装
Simulinkの設計画面
DS1104用のファイル作成
出来上がったファイル
80
PC上のdSPACE操作画面
サインジェネレータのパラメータ表示
(このパネル上から可変)
プログラム実行時間
スタートストップボタン
サインジェネレータの出力波形や
出力の実測波形を表示
81
インバータ回路とdSPACEの接続
dSPACE DS1104 Connector Panel
ゲートドライブ回路
IGBTブリッジ回路
フィルタ、負荷
PWM入力
82
実験風景
モデルベース設計によ
るプロトタイピング
電源回路シミュ
レータ(SCALE)
による設計と
シミュレーション
インバータ動作実験風景
83
実験風景
オシロスコープで
実測波形を確認
インバータの
出力波形等を
設定
インバータ動作実験風景
84
全容
PC内
dSPACEによる
制御画面
インバータの出力波形を表示
dSPACEのハードウェア
DS1104
IGBTを用いたインバータ回路
インバータ動作実験風景
85
出力波形の確認
86
出力波形の確認:ソフトスタート
87
出力波形の確認:ソフトストップ
88
スマートミニハウスのご紹介
福岡スマートハウス・グランドビジョン
スマートグリッドグランドビジョン
2010/5/26
電力系統
風力発電
太陽光発電
MPPT
DC-DC
コンバータ
DC-DC
コンバータ
双方向
DC-AC
インバータ
双方向
DC-DC
ZigBee SE
コンバータ
HEMS
Home
Gateway
蓄電池
家電
電気自動車
直流(DC)
交流(AC)
Service Provider
Data Center
ITサービス
との融合
イン
ホーム
モニタ
遠隔管理/制御
90
モデルベース開発を全面的に採用
Step-1
回路と制御アルゴリズムの
連携シミュレーション
Step-3
dSPACE プロトタイパーによるRCP検証
SCALEによるシミュレーション
崇城大学 EE研究所 中原教授開発
Step-2
Simulinkモデル作成
91
スマートミニハウスによる先行検討
dSPACE
DS1103
太陽光パネル
操作パネル
DCバス電圧計
バッテリー
実測波形
(オシロスコープ)
低電圧/低電流ながら、実システムと同一の回路構成
92
スマートミニハウス・システム
ミニスマートハウス基板
dSPACE
DS1103ボード
40kHz
PWM出力
アナログ電圧入力
PowerPC 750GX 1GHz プロセッサ搭載
基板:アバール長崎製作
4個のコンポーネントを同時に制御
主要コンポーネントを1枚の基板に実装
太陽電池用
昇圧DC/DCコンバーター
系統連係
双方向AC/DCインバータ
風車などの発電機用
AC/DCインバーター
バッテリ充放電用
双方向DC/DCコンバーター
93
MATLAB/Simulinkを用いた制御開発
A/Dコンバータブロック
制御ロジック部
PWM出力ブロック
AC/DCコンバータ
双方向DC/DCコンバータ
昇圧DC/DCコンバータ
dSPACEのRTIブロックを使うことで
A/D入力やパルス出力を容易に実現
Bit出力ブロック
94
RTIブロックの設定例
3相PWM出力ブロック
RTIブロックにより割り込み等の知識
無しでも高速PWM出力可能
95
複雑なロジックも図形で見える化
96
dSPACEソフトで操作も見える化
メインパネル
dSPACE社 Control Desk で、リアルタイムに見える化
97
詳細データもリアルタイムで確認
プロセッサ実行時間
電流位相の確認
AC/DCコンバータ画面
DC/DCコンバーター画面
98
スマートミニハウス・システム
99
最新適用事例
Younicos AG社
再生可能エネルギーのみで島全体に電力供給
Younicos AG:再生可能エネルギーのみで島全体に電力供給
ƒ Younicos AG社は大西洋中部のアゾレス諸島のグラシオザ島で自立的な電力供給の実現に向
けてシステムを開発中
ƒ ディーゼル発電から、風力発電基地と太陽電池システムにおる再生可能エネルギーをベースに
したカーボンニュートラルなシステムへ
ƒ 必要なエネルギーの70 ∼ 90%は太陽と風から、残りの10 ∼ 30%は島のバイオ燃料から
ƒ 3メガワットのNAS(ナトリウム硫黄)電池を用いて電力の変動を吸収
出典:dSPACE MAGAZINE 01/2010
101
Younicos AG:再生可能エネルギーのみで島全体に電力供給
ƒ 島での施設設置に先立ちベルリンにてテスト環境を構築
ƒ 極限状態のシミュレーション、さまざま制御方式の確認、経済性を含めたコンセプトの確認を実施
ƒ テストシステムには完全な電力供給網を組み込んだ
ƒ バッテリーコンバーターの制御システムにdSPACEのシミュレータを使用
102
Younicos AG:再生可能エネルギーのみで島全体に電力供給
ƒ 風と太陽から得られるエネルギーは変動し、長期的な予測が不可能
ƒ 風力タービンとソーラーパワープラントをシミュレーションするために、独自のモデルを使用
ƒ モデルは複数のdSPACE DS1005PPC Board で実行
ƒ 利用可能な電力を確認するための入力パラメータは、グラシオザ島で測定された実際の風と太
陽のデータをベースとしている
ƒ 利用可能な電力が、一日を通した島民全体のエネルギーの必要量を表す消費プロファイルと比
較しコンバーターを制御
103
Younicos AG:再生可能エネルギーのみで島全体に電力供給
ƒ コンバータの最適な制御を見つけ出すために、ラピッドプロトタイピングを使用
ƒ さまざまな電圧と周波数の制御アルゴリズムのテストを実施
ƒ DS1005 Processor Board とDS5202 FPGA Base Boardから構成
ƒ アルゴリズムに何らかの変更が加えられた場合は、その変更内容を直ちにシステムに反映
104
Younicos AG:再生可能エネルギーのみで島全体に電力供給
ƒ テストにより、再生可能エネルギーに基づく安定したエネルギーが、技術的に実現可能であり、経済的にも魅
力があるということを証明する
ƒ 電力網に供給できる再生可能エネルギーの量は、供給網の安定性を損うため、これまでは制限されてきた
ƒ バッテリと高度なコンバータ制御システムを組み合わせて、島の電力供給網を安定させ、再生可能なエネル
ギー源から得られる電力供給量を次第に増やしていくことに問題ないことを示す
ƒ 2 年間のテスト段階が完了したら、そこから得られた結果を使用して、グラシオザ島の電力供給を完全に風力
と太陽エネルギーに変える予定
105
まとめ
シミュレータ技術を用いて可能なこと
„ 急速充電器開発のために電気自動車をシミュレートする
„ 仮想的電源環境を高速にシミュレーションすることにより、安定した電源制御システムを開発
„ 家庭内の電力負荷の状態を作りだして、制御、ネットワークの評価が可能
„ 太陽光発電、風力発電器の発電状態を作り出して、系統連携、家電ネットワーク制御の評価
„ 家庭内に電気自動車を接続した電力評価。蓄電池としての利用評価
„ 電力網上での発電モデル、負荷もモデル、変圧器モデル、遮断機モデルなどを用いてた
„ 電力網管理、制御システムの検証、品質の向上。
„ 24時間の自動テストによる試験時間の短縮、不具合状況の把握、テストの網羅性の向上、
„ 再現テスト、テストシナリオや評価関数の再利用
„ 家庭用スマートメータなどの機能評価、信頼性の向上
„ 電源環境のシミュレーションを行い制御盤の操作を行うオペレータの教育
„ etc.......
107
今後はエネルギー制御・環境分野への
モデルベース開発の適用が進む
Simulink によるシミュレー
ションモデルと制御モデル
評価試験例
スマートハウスエネルギー評価
エネルギーマネジメント系統解析シ
ミュレータ
スマート電力メータ評価
dSPACEリアルタイムハードウエア
シミュレーションと接続して各種環境を
生成して試験可能
108
ご清聴ありがとう
ございました
Thank you
© Copyright 2010 by dSPACE.
ブランド名および製品名は、各社または各組織の商標または登録商標です。
Proprietary ¦ 第1回オープンクラス(公開講座) ¦ August 3, 2010 ¦ dSPACE Japan ¦ Hitoshi Arima
本件に関するお問合せ
dSPACE Japan株式会社
営業部
TEL: 03-5798-5460
E-mail:[email protected]
109