公的住みかえ支援制度登場と 住宅ビジネスの新潮流

住宅ローンアドバイザー会報3月号
●特集●
公的住みかえ支援制度登場と
住宅ビジネスの新潮流
住宅ローンアドバイザーが担うべき役割は、
「住まい」をめぐる金融機能が中心ですが、これは借り
手側の意識として、マイホームの保有こそ人生の一大事業という意識が極めて強かったため、主とし
て新築時の住宅ローンを連想します。これは国の政策が後押ししたこともあって、住宅ローンを借り
て、マイホームを持つという行動自体がいわばゴール地点のような感覚を醸成していたからにほかな
りません。しかしこれからは、住むこと、売ること、貸すこと等を視野に入れたマイホームの購買行
動、住宅ローンの借入行動が増加するものとみられます。すでにマイホーム数は世帯数を上回るほど
に立ち並び、団塊世代をはじめとする多くの家では、子供が独立して出ていき、シニア夫婦だけで広
い家に住むという現象も増えつつあります。
以上のような時代変化の中で、住宅ローン実務に携わる実務家は、従来にない借り手行動を念頭に
置き、住宅ローンの貸し手として、借り手の生涯設計に関わるという重大な責務を果たしていく必要
性に迫られています。
特定非営利活動法人 金融検定協会常任理事
HLPセンター代表
坂本 修二
公的移住・住みかえ支援制度とは、移住・住みかえを希望する50歳以上の国民が保有するマイホーム
を、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(以下JTI)が終身で借り上げ一定の家賃を保証する一方、
これを主として子育て世代に転貸することによって社会資本として有効活用しようとする制度です。
1、公的移住・住みかえ支援制度のしくみ
マイホームの借上げを行う「一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)」は、厚生労働省と国
土交通省が管轄する公益法人「財団法人高齢者住宅財団」における住替支援保証業務の事業実施主体と
して認可を受けています。平成18年4月に、主に住みかえを希望するシニアのマイホームを借り上げて
賃料保証を行う非営利の法人として設立されました。
同機構は、民間では事業リスクが高く、取り組みが困難であった中古一戸建ての借上げを、公的な機
関からの保証を得ることで安定した家賃保証に変えることを実現しました。財団法人高齢者住宅財団で
は、同機構が家賃の支払いを行えない場合に備えて当面5億円の基金を準備しています。
同機構はシニアに変わってマイホームの貸主となるのですが、大家業務を代行するというわけではな
く、具体的な日常業務は、機構に協賛する民間事業者等に委託しています。民間事業者の収益事業に公
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的な仕組みを最小限に取り入れ、公共目的の実現をはかる共益型のビジネスモデルをとっているからで
す。
同機構は、制度の枠組みを作ることで、良質なストックの循環・再利用を促進し、ライフステージに
応じた適切な住まいの提供をすることで、少子高齢社会を支える居住環境の整備を公的に支援していま
す。これにより、これまで一般には敷居が高かった賃貸経営というものが、同機構を通じて誰にでも手
の届くマイホームの一つの活用手段となりました。
2、移住・住みかえ支援制度を活用によるビジネス展開
新しい移住・住みかえ支援制度では、様々な事業者に対して非常に大きな役割が期待されています。
もともと移住・住みかえ支援機構はこれまでの公益法人とは異なり、営利を目的とする一般の事業者
が業務を行うにあたって、公的な共通の仕組みが必要な場合に、これを共同の非営利機関に受け持っ
てもらうことによって、この非営利機関を設立した事業者のビジネスが可能になるという共存共栄の
ビジネスモデルを狙ったものです。非営利機関自身はあくまでも公的な目的を追求するのですが、こ
の公的な役割があることによって成り立つといえます。
このような例としては、たとえば自動車のリサイクル事業があげられます。自動車のリサイクル事
業そのものは、どの自動車メーカーにとっても儲かるものではないのですが、リサイクルができなけ
れば自動車産業そのものが成り立たない時代になっています。このため、大手の自動車メーカー等が
協賛して、移住・住みかえ支援機構同様の法人を設立して、リサイクル事業を営んでいます。
また電力取引を行う卸電力取引所も中間法人で作られています。卸電力取引そのものは営利を目的
として行われるものですが、これを行う市場そのものは営利を目的としたものではないことから、電
力取引でビジネスをしたい事業者が共同で設立をしたわけです。
移住・住みかえ支援機構も、様々な営利を目的とした事業者が移住・住みかえが可能になることに
よって、新しいビジネスモデル構築していく、この結果、移住・住みかえ制度の利用者が増えて、財
務基盤が充実することによって、家賃保証の能力がより高まりリスク分散も図られると考えられてい
るのです。
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したがって、各事業者にはまず、この移住・住みかえ支援制度を活用することでどのようなビジネ
ス展開があるかについて新しい様々な創意工夫が求められています。
一方で移住・住みかえ支援機構そのものは法的な目的によるものですから、一定のコンプライアン
ス、法令順守を確保するということが欠かせません。高いモラルをもった事業者が国民のセカンドラ
イフを豊かにするという公的な目標に協賛をして自らの新しいビジネスモデルを開拓していくという
ような方向に向かえば、初期の目的が果たされたといえるでしょう。
今後どのようなビジネスモデルが出てくるかについては、まったく予想ができるものではありませ
んが、典型的な活用事例について業態別にいくつか事例を述べてみることにしましょう。
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3、事業者の種類
(1)
住宅生産業者(ハウスメーカー等)<大手のハウスメーカー>
まず、移住・住みかえ支援機構には、最初に大手のハウスメーカーが協賛事業者として参画
をしました。
これは、もともと大手のハウスメーカー特にプレハブや工場加工を行っている業者について
は、もともと耐久性の高い優良な住宅を作ってきているという自負を持っていますし、この住
宅の資産価値を維持するために充実したメンテナンス制度ももたれています。
しかしながら、これがその他の住宅と同様に 20 年たつと、二束三文になってしまうというこ
とにかねてから問題意識を持っていました。
移住・住みかえ支援制度が導入されたことによって、もともと良質な大手ハウスメーカーの
オーナーに対して、移住・住みかえ支援制度を利用した住み替えを提案することによって、顧
客満足度の向上がはかられると同時にこの資産価値を使って次の老後のための家を提案して
いくということが可能になります。
また、現在、新築住宅を販売している人たちの視点からしますと、既に移住・住みかえ支援
制度が公的な制度として導入されているわけですから、これから新しく家を買う人たちはこの
制度を前提にした家の取得を考えなければいけないわけです。
これまでのように、30 年持つ家も 75 年持つ家も 20 年たつと同じということではなくて、30
年しか持たない家は、20 年たったとところでは 10 年しか賃料の保証がない、75 年もつ家は 20
年たったあと 55 年間賃料保証があるというこの差は少なくないということは簡単にお分かり
いただけると思います。
たとえば、月々8万 5,000 円の賃料だったとすると1年間で約 100 万円の賃料になります。
10 年では 1,000 万円ですが、55 年であれば、5,500 万円の賃料収入になります。これは購入し
た家の金額よりもはるかに大きなお金であることがわかります。この差を新築の販売の中で明
確にお客様に伝えることによって、少し高価な住宅でもそれだけの価値があることを訴求でき
れば、これまでのような値引き競争から脱却した販売戦略の構築も可能になるのではないでし
ょうか。
(2)
住宅生産業者(ハウスメーカー等)<中小の工務店>
一方で、中小の工務店にとっても、様々なビジネスチャンスが考えられます。
特に、住み替えの需要がこれから高まる中では、平屋の木造の家とか、田舎にログハウスを
建てるといった動きが強まることが十分考えられますし、現在住んでいる家をそのための資金
源に利用したり、そのためのローンも利用可能だということになれば、お金の観点から二の足
を踏んでいたアクティブシニアが新しく家を建築する可能性が高まると考えられます。
このセクターはこれまで全く顧客としては対象外であったセクターですから、多くの工務店
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にとっては新しい顧客層でなります。
すでに、始まっているプロジェクトとして東北地方で郊外に住まれている高齢者の方々は雪
下ろしが大変なので、雪下ろしの必要のない小さめの家に移り住むために移住・住みかえ支援
制度を活用するという動きも出てきています。今後、様々な工夫の中でアクティブシニアに向
けたビジネスの工夫が出てくると考えられます。
また、有料老人ホームや介護付き施設のような老建施設の開発者にとっても移住・住みかえ
支援制度があれば、利用者にとっては賃貸収入が発生することによって入居負担が軽減される
とともに、施設入居後も自宅を利用してもらうことによって家が痛んでしまうという懸念に対
して応えることができます。移住・住みかえ支援制度を前提にした老建施設の提供といった新
しいビジネスモデルも考えられます。
(3)
住宅仲介業者
住宅仲介業者にとっては、そもそも移住・住みかえ支援制度の活動をサポートすること自体
がビジネスチャンスにつながります。
JTIの仕組みでは、マイホーム借り上げ制度によって借り上げた家の転借の仲介を行った
場合は、宅地建物取引業法の枠の中で 1 ヶ月までの賃料を仲介報酬として取得していただくほ
か、物件管理をしていただくことで、賃料の5%を支払うことになっていますので、これがこ
れまでになかった新しい収益源に育っていくことが考えられます。
既に賃貸不動産管理業協会を通じて全国の宅地建物取引業者の方にこのような協賛事業者と
なる仲介業者さんの参加を呼びかけているところです。
(4)
街づくり関連業者
地方に目をうつしますと、現在、人口減や急速な高齢化に悩んでいる地方公共団体は東京を
除けばほぼすべてと思われます。
それぞれの地方公共団体は様々な移住・誘致の政策を考えていると思われます。また、田舎
暮らしをしたい人に向けて空き家情報を提供する空き家バンクの動きも活発になってきていま
す。
JTIもそうした動きをHPで紹介することでご協力をし出していますが、実際問題として
地方移住を行う場合には、現在住んでいる家をどうするのかということが最大の問題となりま
す。
一部には、JTIと同様に地方公共団体やその傘下の公社公団等を通じて借り上げを行うと
ころもあるようですが、大変リスクが大きいことから大きな動きとなっていないのが現状です。
今後、地方経済の活性化を考える上で、人口増のために人の動きを作ることは欠かせません
ので、移住・住みかえ支援制度を上手に活用することによって移住のハードルが下がるという
ことが期待されています。
また、同じ地方公共団体内でも駅前等の中心市街地の活性化を行う上で、郊外に一旦ドーナ
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ツ化した方々で高齢化した方々をこの移住・住みかえ支援制度を利用して中心市街地へ改めて
呼び込んで街づくりをしていくという動きも期待されるところです。
(5)
家賃保証(サブリース)業者
このような借上げ転貸制度が大きくなっていきますと、家賃をどのように徴収するかという
ことが非常に大きな問題となってきます。また、転借人の方々からすると保証人なしにこうし
た制度を利用できるということが大きなメリットとなります。
移住・住みかえ支援制度では、既に大手の家賃保証会社と提携をして転借人に対して家賃保
証をお願いするとともに、効率的な家賃の徴収を実現しようとしています。高齢者住宅財団の
基金も転借人については業者保証を要件としているところです。
今後こうした一戸建ての転貸業務が拡大していけば家賃保証業者にとっても大きなビジネス
チャンスになるものと思われます。
(6)
住宅診断等の付加価値業者
公的借り上げ制度は、公的機関が家を借り上げて貸し付けを行うというものですから、この
住宅が貸した後に地震等で倒壊したことになりますと大きな責任の問題が生じます。
そのため、移住・住みかえ支援機構の対象となる住宅のうち耐震基準が建築基準法の中に盛
り込まれた昭和 56 年より前の住宅に関しては、全件耐震診断を行うことが義務付けられていま
す。
また、すべての住宅について大きな問題がないかという建物診断を行って安全であると確認
した上で貸し付けを行うということになっています。
この結果、これまで耐震診断その他の住宅性能評価にかかわってきた事業者については、こ
れまでとは異なるルートでビジネスが拡大していくということが期待をされます。
またこの耐震診断で問題が指摘された場合には、必ず耐震改修を行うことが借り上げをする
ための前提条件となりますので、リフォーム等のビジネスチャンスにもつながることも期待さ
れています。
この点については既に制度説明のところで述べたように、診断業務とリフォームとが利益相
反関係となることにかんがみ、両方を一業者が営む場合は、十分なコンプライアンスに留意す
る必要があるというのは既にご説明をしたとおりです。
(7)
銀行・信用金庫等
公的借り上げ制度が出来上がったことによって、公的機関が高齢者の住宅の家賃を保証する
という制度ができました。したがって、この家賃は非常に信用力が高いものになりますので、
この信用力を活用すれば、所得がないシニアの方々でも比較的大きな金額のお金を長期間にわ
たって借りるということが可能となります。
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既に移住・住みかえ支援機構では、提携金融機関を通じて 50 歳以下には貸さない、所得はゼ
ロでいい、移住・住みかえ支援機構からの支払われる正味賃料から支払われる金額まで貸付を
行うという新しい提携ローン(移住・住みかえ型リバースモーゲージ)を提供しています。
今後もこうした移住・住みかえ制度を前提にした様々な金融商品が開発されることが期待さ
れています。このほか耐震診断のリフォームに対するリフォームローン等を組んで賃料返済に
することによってオーナーの負担を軽減することが考えられます。
(8)
生命保険会社
日本では生命保険の保有率が91.8%と極めて高いという特徴がありますが、団塊の世代
もおそらくその 9 割以上がなんらかの形で生命保険を保有しています。こうした顧客基盤とい
うのは生命保険会社にとって大変強大なものでありますが、残念ながらこの 60 歳を超えた方々
が保険を購入するというのは非常に低いというのが現実であり、なかなかビジネスチャンスが
見出せないという状況にあります。
こうした中で既存顧客に対して移住・住みかえ支援を前提にしたハウジングライフプランニ
ングを提供していく中では、賃料等を活用した変額年金保険の購入や終身医療保険の購入とい
った新しいビジネスチャンスが生まれてくる可能性があります。
(9)
損害保険会社
一方で、自宅を貸したオーナーからしますと、最大のリスクは貸した家が家事などで毀損し
てしまうというリスクです。これに備えるためには、ローンを借りていたときと同様に火災保
険を購入することが必要になりますが、そのための費用を支払うことは必ずしも容易ではあり
ません。
そのような場合に、移住・住みかえ支援機構の賃料を活用してこれを支払ったり、あるいは
移住・住みかえ支援機構、そのものが借主として火事等について一定の賠償責任を保険会社等
と賠償責任について保険会社から保険を購入することによってオーナーの負担を緩和するこ
とも考えられるかもしれません。こうしたことについて、今後様々な仕組みが登場するのでは
ないかと考えられます。
(10)
証券会社・投資信託
人によっては移住・住みかえをした後も十分な資金があるので借り入れを行わなくてもいい
という考え方もあるかもしれません。こうした方々にとってはもらった賃料をただ貯金してお
くだけではなくて、無かったものというふうに考えて、むしろ株式や投資信託といったリスク
の高い資産の購入にあてるというのもひとつかもしれません。
アメリカ人は3割が安全な金融資産、3割が株式や投資信託といったリスクのある金融資産、
そして残りの3割が自宅と述べましたが、もし今 6 割の自宅からでる賃料で株式を買っていっ
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て、その積み上がりが一定の金額になればまさに家を株式に転換したとも言えるかもしれませ
ん。
こうすることによって、売らないとお金にならなかった家が、貸すことでお金にかわる金融
資産にかわるということもできます。
現在 60 歳の方で、まだ 70 歳までは働いたり副収入があるというような方で移住を考えられ
ている人がいるとすれば、この 10 年間賃料を積み立て型の投資信託に振り向けていけば、70
歳になったところで、10 年分の賃料が比較的大きな金額の金融資産として転換できているとい
うことになります。
こうした形で資産のアセットアロケーションの適正化を行っていくというサービスが証券や
投信業界から提供されるという可能性もあるかもしれません。先に述べた生命保険業界も変額
年金等を活用して同様の提案を行うことが考えられます
(11)
その他金融機関(遺言信託)
こうしたハウジングプランニングの中で常に問題になるのが、死亡後の財産をどうするのか
といったアドバイスです。
こうした業務は従来遺言信託業務として信託銀行が扱ってきました。今回信託業法の改正や
運用の改正を通じて、この遺言関連の業務はこれまでの信託銀行以外にも幅広く開放されよう
としています。既に銀行や生命保険業界に投資業務を認めていくという金融庁の方針も発表さ
れているところです。
一方で信託法の改正によって、これまでの遺言による信託や信託会社による遺言執行の受託
以外に、遺言にかわる生前信託と呼ばれる制度が幅広く認められるようになったことも注目さ
れます。
移住・住みかえ支援の制度を利用すると同時に、この賃料の活用方法をあらかじめ遺言にか
わる生前信託等で細かく決めることによって、遺言によらずに事実上相続人等の生活の確保を
はかるということも考えられるかもしれません。
また、跡継ぎ遺贈にかわる生前信託というものが認められたことも特筆されることです。こ
れは自分が亡くなった後、相続人に対する財産分与に加えてその相続人がなくなった後の財産
の分割についても、最初の信託契約行為の中で決めていくという制度です。
たとえば、がん等であと余命があまりなくなった夫が、まず妻のために財産の利用を移住・
住みかえ支援制度の利用等も含めて、指示をした上でその妻がなくなった後に子供に対してど
のように遺産を相続させるのかといった指定をできるというのがこの制度の特徴です。
こうしたことは、遺言の制度ではできないというふうに解されているので、今後信託を活用
してきめ細やかな財産の分与を行っていくというのも増えるのではないでしょうか。
こうしてみると新しい遺言信託関連を行う信託銀行やその他の金融機関等が、移住・住みか
えをひとつのビジネスチャンスとして付帯業務としてサービスを提供していくこも増えていく
のではと考えられます。
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(12)
司法書士・弁護士その他(遺言信託)
また、現在の保有者が要後見状態であるような場合も少なくないのではないかと思います。
移住・住みかえ支援制度を利用するには、意思能力の存在が前提とされていますので、この制
度の利用を機に法定後見人や任意後見人を活用して、たとえば認知症になったお父さんを子供
が自宅に引き取り、お父さんの自宅を移住・住みかえ支援制度を活用することで、介護資金を
まかなっていくことを法定後見人制度を活用して自ら行っていくということも考えられると
思いますし、またそうした関連の司法書士や弁護士、信託銀行等の付帯サービスも充実されて
いくことが期待されています。
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FP
ライフプランニングを主として行っているFPにとって、公的移住・住みかえ支援制度の創
設は、大きなビジネス機会です。アクティブシニア層に対してはマイホーム年金設計、住みか
え先の選択におけるアドバイス、さらに若年層には移住・住みかえ支援適合住宅制度の活用に
よる住みかえ・老後生活設計アドバイス等、FP提案がより一層充実するものと考えられます。
特に、住みかえ、建て替え、賃料資料づくり、資産運用対策・相続対策等シニア層への取り
組みがより強化できる可能性がたかまります。
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旅行業者
移住・住みかえ支援制度に伴い、国内・海外問わず、人の移動が増加すれば自ずと旅行業者
にもビジネス機会が拡大するものと期待されます。海外の移住・住みかえ先案内も提案メニュ
ーのひとつに加えれば、顧客にとっても役立ちます。
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葬儀業
HLPPの資格は葬儀業の方々にとって関係ないように思われますが、故人が所有していた
家の状況によっては、お客様に対してとても有益な情報提供が可能となります。例えば、
「配偶
者が亡くなり一人住まいでは家が広すぎるので住みかえようと思っている」、「父の家を相続し
たが当面住む予定はない」等…。このように、当面空き家にしておく予定のご家族に対して、
国が支援している『マイホーム借上げ制度』の利用を一つの選択肢として提案できます。
つまり、葬儀業の方がHLPP資格を取得することにより、ご家族に対して家の活用方法の
提案や、マイホーム借上げ制度利用希望者のカウンセリング等を行い、本業プラスHLPPの
手数料収入の拡大にもつながる最適なビジネスバスポートとなるわけです。
家族(遺族)
、葬儀業それぞれの具体的なメリットは、以下のとおりです。
●家族(遺族)のメリット
①マイホームの有効活用ができます。
②マイホーム賃貸により、毎月賃料が入り施設賃料の支払いまたは年金として確実な収入が
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確保できます。
③家を相続したいときにも、いつでも戻れるので安心(3年定期借家契約)。
●葬儀業のメリット
①HLPP資格者を置くことで、ご家族のマイホーム活用カウンセリングができ、総合的ア
ドバイザーとして家族(遺族)の信頼性が増します。
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