常設展示室平成27年度 第3期 深沢幸雄 ― 書画でめぐる世界展 ― 2015.10.31 Sat. - 12.20 Sun. 10 14 11 15 チンタラ一世 9 8 12 13 お願いします。 (安全のため、展示中はスイッチを押して も動作しないように設定しています。 ) ※ 7 ※チンタラ一世にはお手を触れないように 6 5 1 2 3 番号 タイトル 制作年 技法・素材 4 作品解説 ※解説はすべて作家による。 1 メキシコの夜 1963年 2 マヤ・ウスマルのピラミッド 1974年 3 グワテマラの樹海にて 1976年 夜、飛行機がメキシコに着き、TAXIは暗 ユカタン半島はマヤ文 明の本 拠 地で メキシコ隣の小国グワテマラにも大樹海 黒の中を走った。 「メキシコの夜は、 まだ ある。 華麗で精確なピラミッドが林立して が多い。 夕暮無数の蛍がジャングルに群 亡霊がいるよな。 」などと、共に行った友 いる。 そこには、柔らかで深い詩情がみご れ、中米の闇の深さを助長する。 人と話した。夜は深々と神秘的だが、人口 とに流れている。 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル は世界一だ。 4 メリダの黄昏 1976年 5 黒漆の夜気深まりて 1963年 6 黒い犬笛 1979年 メキシコ・ユカタン半島メリダの夕刻。暑 黒い漆か滑らかな夜 おみやげ用の土で作った、 そして焼かれ い陽光の世界が去って夕刻が来ようとし 通り雨散るシンコ・デ・マーヨ た民芸品なのだが、不思議な魅力があ ていた。 鳥の叫びか琥珀の吐息 る。黒くて可憐な犬笛。買いもとめ街頭で 背景に古い鉄の唐草格子がある。平凡だ 赤く光った精霊の歌 低く鳴らしてみる。 が、なんと詩的な風景だろう。僕は酩酊し 心引き裂く調べが流る (本文) 和紙、墨、パステル た。 和紙、墨 和紙、墨、パステル 7 ニューヨークの上空にて 1990年 8 パンチョ・ビーヤの孫と 1991年 9 スペインのマドリッドにて 1990年 ニューヨーク上空の機内、眼前にオリオ 1991年、 とある夜、 メキシコの小酒場で スペインの大都市に行くと漂泊のジプシ ン星雲がみえた。胸ぐらをつかまえられ 呑んでいた。友人の奥さんが、貴方の前 ーの女達が働いている。風貌、話し声に る程緊張した。俺は今、米国上空でこの の女性がパンチョビーヤのお孫さんよ、 も異風が沁みている。漂泊の歴史が僕の 大星雲を手にしたのだ。短歌が唇にわき と言った。僕は仰天した。大盗の親分が 心にも沁みてくるようだ。 上がって来た。 革命に乗じて、 初代大統領になったのだ。 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 僕は彼のファンなのだ。 10 モントリオールにて 1990年 11 冬のバロセロナ 1990年 12 セザンヌのオレンジ 1990年 メキシコから直行出来ないので、 カナダ バルセローナはスペインの見事な街で 何もしないでボンヤリしていても、ホテル の五大湖近くを飛んで、 ヨーロッパに行く。 ある。 そして古い詩情がそこここに流れて の部屋にだって主役がいる。単なるオレ 大陸の大都市の夜景だ。美しかった。 し いる。僕はバルセローナの詩情に酩酊す ンジだったりするのだが、セザンヌが生 かし各地をいろいろ っても、一番明る る。 涯オレンジをかいていたのが見えてくる。 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 物が存在する、その存在をかいてみたか いのは東京である。 ったのですね。 13 光る道で 1994年 14 船に思う 1985年 15 陽炎の道で 1986年 明るい月夜、1人散歩を少々。むこうから この歌は佐渡ヶ島で作った。黒く固い感 夏の盛期、陽炎の路で前を行く男の背に 若いパパらしい男と小さな男の子。いい じの日本海。 そこを行き交うような舟。白 一瞬青磁の壺のような青さが感じられた。 ものだなあ。年をとるとそういう思いが一 い姿の舟が少年の目に浮かび上がって いやこれは僕の後ろからなら僕の青い陽 段と深まる。 くる。船には夢がある。 炎のようにゆれてみえるのだろう。 自然で 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 和紙、墨、パステル 何といいものだろう。 その瞬間、陽炎は消 え去ったが。 『深沢幸雄 市原市収蔵作品集』 当館ショップにて販売中 価格¥2,500(税込) 239ページ 発行2014年1月 図版:458点(433点の銅版画をカラーで掲載)
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