飯島邦夫 - 株式会社イーウィルジャパン

地方創生が 課 題 と な る 中、地 域 活 性 化 の た め に は、地 域 外 か ら い か に 人
を 呼 び 込 め る か が 重 要 だ 。特 に 近 年 で は 訪 日 外 国 人 観 光 客 が 地 方 経 済 を 潤
年以 上 前 か ら 浅 草 の 情 報 を ネ ッ ト で 発 信 し 続 け て い る、浅 草
す大きな要因とな っ て い る。い ま 地 域 に 人 を 呼 び 込 む た め に は 何 が 必 要 な
のか︱︱。
かを事前に知らせる手段はほ
どこで、どのように行われる
うか︱︱。そこでIT業界で
情報を伝える手段はないだろ
行事を楽しむために、事前に
地域外の方が浅草の様々な
光連盟﹂のホームページを立
ルタイムで発信するなど画
は、神輿の位置情報をリア
︱︱三社祭の公式サイトで
観光客に
聞かれる質問を
ネットに載せる
伝達手段となります。
でもどこからでもいつでも簡
とんどありませんでした。町
マーケティングの仕事をして
単に見られるネットは重要な
にはこうした情報が書かれた
いた私は、浅草の四季折々の
りこぼしているのではないか
ポスターなどが貼ってありま
イベントを紹介する﹁浅草観
と感じていました。
︱︱なぜ浅草でインターネ
すが、浅草に来ない限り、見
しかし浅草の行事がいつ、
行事が行われているのです。
ットを中心とした広報活動
ることはできません。これで
は遠方から来る人にとっては
ち上げ、行事情報が事前にど
わって驚いたのは行事の多さ
年前頃からです。活動に携
動を手伝うようになったのは
れます。紹介してくれること
その模様を事後に紹介してく
があれば取材に来てくれて、
情報を伝えているので、行事
メディア関係者には事前に
てはもらえません。パンフレ
情報を載せていなければ、来
たとしても、ネットに詳細な
源や楽しめるイベントがあっ
地域にせっかく良い観光資
お神輿が町を練り歩きます。
れました。三社祭では3基の
えばいいという発想から生ま
る質問をネットに載せてしま
飯島
浅草生まれの浅草育ち
飯島
不便です。
です。こんなにも様々な行事
は浅草のPRにとってありが
ットやポスターといった紙で
期的な取組みもされていま
をしているんだなということ
た い こ と で す が、﹁事 前 に そ
掲示するものだけでなく、誰
すが、なぜこのような面白
にまず驚きました。地域外の
んなイベントがあるなら行き
こからでもチェックできるよ
方なら浅草の行事といえば三
たかったのに﹂という人を取
観光客からよく聞かれ
ですか。
いアイデアを思いついたの
社祭はご存知だと思います
うにしたのです。
である私が浅草観光連盟の活
でしょうか。
に取り組むようになったの
ありそうで
なかった
行事の詳細情報
観光連盟事務局次長の飯島邦夫氏に話を伺った。
1
0
が、それ以外にも毎月様々な
2016・ 2月15日号
71
10
さん
飯島邦夫
浅草観光連盟事務局次長/株式会社イーウィルジャパン代表取締役CEO
聞き手・構成=笠原崇寛
観光客から聞かれるのは﹁今
行事運営に関わっていてよく
問などに注目してみることも
ているもの、よく聞かれる質
情報発信ができるソーシャル
そこで、私はリアルタイムで
続的な情報発信が大切です。
重な情報源になります。
レストラン一覧にもなり、貴
ば、地元目線で紹介する地域
︱︱見慣れた風景やランチ
大切だと思います。
メディアを使えばいいのでは
ることを重視されているの
など、日常の情報を発信す
例えば現在続けていること
ないかと考えたのです。
どこでお神輿が見られるの
か?﹂ということでした。
神社や商店街ではお神輿の
順路を書いた﹁朱引図﹂を配
フェイスブックなどによる
︱︱現在は、ツイッタ︱や
﹁今日は東京は晴れてるんだ
が、地 域 外 の 人 か ら 見 れ ば
にとっては見慣れた風景です
朝、発信することです。自分
カイツリーが見える景色を毎
るのではないかと感じるよう
が求めているものとズレてい
信を続ける中で、地域外の人
ていました。しかし、情報発
クにあるような情報を投稿し
飯島
はなぜですか。
てしまいます。多くの観光客
情報発信にも取り組まれて
な﹂といったことが分かりま
の一つが、浅草の町並みとス
はお神輿が見たい。でもどこ
いますが、なぜこうしたソ
になったのです。
特別な行事
だけでなく
日常を毎日発信
を何時に通るか分からない。
ーシャルメディアを活用さ
そのきっかけの一つが、観
布していますが、天候や人出
進行時間が遅れたら地域の人
すし、季節によって景色が微
光客が浅草に行ってどんな文
思いついたのが、お神輿にG
ズを叶えるための方法として
るのかを知りたいというニー
います。しかし、それではな
しまうところが多いように思
報を発信するだけで終わって
と、名所やイベントなどの情
飯島
を投稿するだけでも、浅草の
私が日々食べているランチ
情報だと思います。
るからこそできる、定点観測
で違っていました。観光名所
が想定していたものとはまる
ことでした。その内容は、私
るのかネットでチェックした
章や写真や動画を発信してい
私も始めはガイドブッ
ですらそれを把握する方法が
れるようになったのでしょ
妙に変わることなども楽しめ
などにより渡御時間が変わっ
なかったのです。
るでしょう。地元に住んでい
PSを付けてリアルタイムの
お店の紹介になります。そう
ではない普通の町の風景や動
地域の情報発信という
うか。
位置情報をネットで発信する
かなか地域に興味を持っても
した情報が積み重なっていけ
そこで、お神輿がどこにい
ことだったのです。これなら
らえません。地域PRには継
︱︱ソーシャルメディアで
発信だけでなく
ファンをつなぎ
とめるツールに
名所や旧跡だけでなく
何気ない風景や日常を発信
多くの観光客が今どこにお神
輿があるのか分かりますし、
神社や商店街でも一人ひとり
に聞かれて調べて答える手間
が省けます。
ネットで情報発信をするな
ら、地域外の人から求められ
画だったのです。そのとき、
外国人の方は、私たちが当た
り前だと思っている日本の日
常に興味があるのだなと感じ
ソーシャルメディアは無料
ました。
は一方的に発信するだけで
飯島
で気軽に情報発信できる非常
ッタ︱やフェイスブックなど
なく、双方向でコミュニケ
のを発信してみてください。
に質問やコメントがあればす
に便利なツールです。活用し
半年も続ければどんな情報を
ぐに返していますし、浅草の
ーションが取れることも良
投稿すると喜ばれるのかがだ
情報を発信している人がいれ
い点ですね。
んだんと分かってきます。私
ば、こちらから積極的にフォ
ない手はありません。構えず
の例でいうと、観光名所でも
ローもしています。
何でもいいので、いろんなも
ない裏通りの写真をアップし
情報は世の中にあふれていま
ガイドブックにあるような
一度ファンになってくれた人
かりが強調されがちですが、
ィアというと発信の利点性ば
ることです。ソーシャルメデ
は、ファンをつなぎとめられ
ソーシャルメディアの良さ
ます。メディアに取り上げら
しかし、ここで問題が起き
れることになりました。
多くのメディアに取り上げら
した結果、雑誌やテレビなど
活かし、積極的に情報発信を
報の発信で培ったノウハウを
雑 し て い る﹂﹁今 な ら 空 い て
報 を ま め に 発 信 し、﹁今 は 混
大変になってしまいます。
ブームが終わった後、経営が
離れていけば、メディアでの
そうですね。私もツイ
たら、それが意外と評判が良
すが、観光客が知りたいのは
と関係性を維持できることも
いる﹂といった情報をファン
かったということもありまし
何気ないその土地の日常やリ
れると、大勢の方が来客し、
トランの立上げに携わりまし
私は2012年にあるレス
しまったのです。常連さんが
た人が店に入りにくくなって
これまでファンになってくれ
たという不満を減らすことが
れば、行ったけど入れなかっ
になってくれた方に伝えられ
メディアの出番です。混雑情
シャルメディアならではの価
た。そのときも浅草の観光情
た。
アルタイムの情報。そうした
メリットだと思います。
そんなときこそソーシャル
情報を発信できるのは、ソー
値なのかと思っています。
さん
飯島邦夫
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2016・ 2月15日号
2016・ 2月15日号
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いいじま・くにお●浅草観光連盟事務局次長。浅草生まれ浅草育ちの江戸
っ子。ソーシャルメディアとリアルを組み合わせたマーケティング手法
で、様々な分野で事業の立上げを経験。浅草観光連盟では、各行事の企画
運営とともにソーシャルメディアなどを通じた情報発信に取り組む。個人
的な活動では、ボランティアとして浅草神社奉賛会事務局次長を務め、三
社祭の準備や運営を行う。
係性を構築するうえでも、ソ
ァンでいてもらえるような関
になってくれた方にずっとフ
つなげられます。一度ファン
間ができた方の集客などにも
できますし、たまたま空き時
を片手に、町歩き気分で日常
ありません。スマートフォン
る動画を毎回投稿する必要は
で大掛かりなセットで撮影す
動画といっても、プロに頼ん
さを伝えることができます。
からなくても雰囲気で町の良
ょう。
地域外の人が
何を求めているか
常に考える
︱︱写真や動画に限らず、
きました。それに応えるサー
っている可能性があると気づ
て知ったのです。きっと彼ら
飯島
ビスがないため、ビジネスチ
よりよい情報発信をするた
している情報は何かを常に考
ャンスを失っていたのです。
めに気をつけるべきことは
撮影も編集も投稿も以前に比
えること、そして生の声に耳
今ではこうした外国人の生
の風景を撮影し、その場で編
べたら実に簡単になりまし
を傾けることです。
の声を吸い上げ、浅草には何
集し、YouTubeにアッ
ーシャルメディアでの発信は
重要だと思います。
た。むしろ作られた観光PR
以前に日本好きのユーザー
だけでなく多くの方がそう思
動画より、こうした観光客目
を多く抱えるブログサイトを
どんなことでしょうか。
線に近い動画のほうが評判が
プすればよいのです。動画の
︱︱最近では動画の発信に
良かったりもするのです。
トでの無料翻訳機能の精度も
きまといます。最近ではネッ
発信の場合、言葉の問題がつ
きることです。文章での情報
気や臨場感を伝えることがで
飯島
YouTubeなどで調べる
現在はちょっとしたことでも
分かりやすかったりします。
のは簡単ですし、見るほうも
が、動画を撮ってアップする
葉で説明するのは大変です
日本の風習や文化を写真と言
人の方に、着物の着付けなど
日本文化に興味を持つ外国
着物を着て浅草を歩きたいと
そのとき、外国人観光客は
でした。
きるお店は一軒もありません
し、当時は着物をレンタルで
という声がありました。しか
ガーからも﹁着物を着たい﹂
した。その後、タイ人のブロ
い﹂と言われたことがありま
﹁着 物 を 着 て 浅 草 を 歩 き た
運営している中国の方から
出てきません。外部の人にど
ても良いアイデアはなかなか
象が起きているのです。
文化の逆輸入ともいうべき現
利用者も増えています。日本
も、最近では日本人観光客の
前のようになりました。しか
で記念写真を撮る姿は当たり
ます。外国人が着物姿で浅草
軒ものレンタル着物店があり
地域外の人が本当に欲
も注力されていますが、動
言葉いらずの
動画発信は
外国人にも効果
画で発信する良さは何でし
かなり上がっているとはい
時代です。動画の発信にも力
ょうか。
え、外国人に情報発信をする
を入れていくことが、これか
んな情報やサービスが欲しい
言葉がいらず町の雰囲
場合、多言語対応が必要にな
いうニーズがあることを初め
地域内の人だけで話し合っ
ります。
らの地域振興の鍵となるでし
しかし、動画なら言葉が分
のか直接聞いてみることも重
要なことだと思います。
組む自治体や企業には、ど
︱︱いま地域活性化に取り
していくことです。そのため
ントなどを積極的に情報発信
そこにある日常の風景やイベ
モノを作ることではなく、今
ィア・多言語で発信できるア
情報を最低限の労力で多メデ
経営している会社では、地域
力がかかります。そこで私が
分けて投稿するには相当な労
組んでみるようアドバイスす
にネットでの情報発信に取り
とが大切だと思います。
報を積極的に活用していくこ
治体や企業と連携し、その情
地域外の人の声に耳を傾け
真摯に答えていけばいい
んなことが必要だとお考え
には専任担当者をおき、毎日
プリの開発を行っています。
地域情報を
多言語化できる
アプリを開発中
ですか。
必ず発信してもらうことが大
ただ、ネットでの情報発信
携させることで、そこに投稿
クやYouTubeなどと連
このアプリはフェイスブッ
で広がっていけば、地域全体
ったとしても、取組みが地域
企業にとっては自社のPRだ
になるかもしれません。その
ることも地域活性化の第一歩
例えば、地域の企業の皆様
飯島
事だと思います。
した情報が一つのホーム︱ペ
日本には素晴らしい観
光資源が数多く眠っていま
といってもいろいろなメディ
ージにストックされていき、
す。ただ、その魅力を伝えき
れていないと感じています。
アがあるため、それぞれ使い
くの人に知られていないとい
自分たちの地域の情報は多
のPRとなるからです。
仕組みになっています。こう
う自覚を持ち、積極的に情報
多言語でも表示できるような
したツールを通して私も地域
そうすれば、地域の魅力に気
活性化をサポートしていけれ
づいてもらえ、国内外から多
発信をしていってください。
︱︱最後に、地域金融機関
ばと考えています。
の読者の方へのアドバイス
のではないでしょうか。それ
くの観光客が来るようになる
が地域活性化にもつながって
をお願いします。
飯島
いくと思います。
金融機関は地域企業を
知っている、地域の情報ポー
●
タル的存在ともいえます。自
さん
飯島邦夫
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2016・ 2月15日号
2016・ 2月15日号
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必要なのはお金をかけてハコ
自ら撮影した浅草の写真を毎日SNSに投稿
『浅草を広報してわかったイン
バウンドマーケティングに足り
ないこと』
金風舎