む こ う 神戸をほんまの文化都市にする会 2015年4月20日発行 第 134 号 〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1-5-7 神戸情報文化ビル3F文化村 連絡先 TEL・FAX (078)361-5056 e-mail:[email protected] http://honmabunka.news.coocan.jp/ 『手をつなごう』 平澤ゆかこ 探 訪 記 出て来た時に元気になる芝居を ~劇団ぷらっと 代表 中川順平さん 制作 小森清太さん~ 劇団道化座ノイエスタジオで、5月の公演に向けての稽古があるというので、取材 にうかがいました。応じてくださったのは、代表の中川順平さんと制作部長の小森清 太さんです。 劇団の結成は、2013年12月。そして、旗上げ公演は、2014年5月の「ぼけつの里」 でした。 学生時代に道化座にいた中川さんは、その後、様々な経緯をたどって、劇団四紀会 や劇団神戸などからフリーになっていた人たちと「ぷらっと」を立ち上げたのでした。 メンバーが仕事を持っているので、公演は年1回、季節的に台風などの影響のない5 月と決めています。 そして、来日した演出家ピーター・ブルック が語った、「芝居は病院と同じだ。行く前より 出て来た時には元気になっていないといけない。」 という言葉をひいて、喜劇を中心にやっていく という方向性も決めました。 プロデュース公演を続けていくために、中川さ んと小森さんは、他劇団のいろいろな公演を観 にいきます。学生演劇にも目を向けて、「この 人」と思う人に声をかけるのです。今回は、昨 年の兵劇協の合同公演に初出演した自由人会の那須徹哉さんを主役級に抜擢、また、 大学演劇部から神崎真さんが出演しています。 「ら抜きの殺意」は永井愛の戯曲で、数多く上演されています。現代社会に蔓延す る乱れた言葉使いに挑んだ一人のオヤジ、正しい日本語を守るため、「ら抜き」言葉 を操る男との壮絶なワード・バトルが始まります。言葉の荒廃と心の荒廃について考 えさせられます。 稽古では、コギャル語を話す社長、男言葉の夫人、「ら抜き言葉」を乱発する社員、 3台の携帯電話の相手ごとに、過剰な敬語、男言葉、媚を売る女言葉を使い分ける女 ( 2 ) 子社員など、なかなかくせ者揃いの登場人物が入 り乱れて、おもしろい芝居が始まる予感がしてき ました。まだセリフがちゃんと入っていないので、 動きにゆとりがないようですが、あと1か月後の仕 上がりが楽しみです。 中川さんたちは、赤字を出さないこと、役者にギャ ラを払うことを活動の基本にしています。そうい えば、チラシには広告がありました。好きな 芝居ができればいいというだけでなく、劇団 の運営にも責任を持とうということでしょう。 今後の希望を聞きました。「もっと大きな舞台で演じて、もっと他の地域からの観 客を呼びたい」シーガルホールがなくなった後、神戸に500人規模のホールがないのが 残念だと言います。私たちの会も毎年神戸市に要望を出しているのですが、なかなか 実現しません。神戸の劇団が力をつけるためにも演劇ホールが必要ですね。 800人の観客を呼ぼうというこの喜劇は5月22日から始まります。ぜひ、足を運ん でください。 劇団ぷらっとプロデュース公演 「ら抜きの殺意」 (作・脚本/永井愛 演出/中川順平) 日時:5月22日(金)14:00/19:00 23日(土)13:00/17:00 24日(日)11:00/15:00 会場:神戸アートビレッジセンター 料金:3,000円 学生2,000円 「都市と文化をめぐる」講座 第42回「コッツウオルズの華バイブリーとケルムスコットマナー」 日 時:6月4日(木)18:30 会 場:ハーバーランド文化村 講 師:竹山清明(京都橘大学教授) 参加費:500円(資料代) 第26回総会について 日時:7月4日(土)15:00~ 会場:婦人会館 総会議案書・資料は、会員に別途送付します。 ( 3 ) 「第三帝国の恐怖と悲惨」(劇団どろ) 3月28日 どろのアトリエ ナチス政権の恐怖の中で、オムニバス的に民衆が権力に組み込まれていく弱さ、 どこにでもいる普通の人間が恐怖と権力により人間らしさを失っていく様を、いろ んな角度から描き、まさに今の社会の現実と重なってみえたのは果たして私だけで しょうか。 権力を持つと人間が変わってしまう恐ろしさや、その中に取り込まれてしまう変 な愛国心の愚かさ、メディアが恐怖とプロパガンダで民衆に真実を全く言っていい ほど知らさないという怖い事実。でも、もしかしたら第三帝国の民衆も(今の日本 の民衆も)わざとそれを知らないふりをして権力に擦り寄っているのかもしれませ ん。権力者の都合良い人にならないためにも、自分自身で考え学び動き活かしてい く、今回のどろの舞台は、文化の中で真実を発見する手助けをしてくれ、とても大 切なことを学ばせてくれたと思います。 (中野 眞理) アジト談義―松崎菊也 4月5日 フォアベルクホール 4月5日のアジト談義は、ゲストの松崎菊也さんのリンパ腫と闘う姿勢に参加者 が圧倒された中で始まった。 闘病中のこの1年間の政界をはじめ社会全体を見渡し、怒りを覚えた事柄を七七 七五の都々逸という形式で戯作されたのには驚かされたし、見事だった。松崎さん と参加者の自由な意見のやりとりも活発でおもしろく、個々の熱い思いが伝わった。 でも、怒りを大きな波にするにはどうしたらいい?松崎さん曰く、参加者に若い人 たちを増やすことだ!よね。確かに若者にはエネルギーがあるが、ネットでは手は 結べないと思う。あっという間の2時間半だった。アジト談義に相応しい時間が持 てた。病に打ち勝った松崎さんの神戸での本格公演を楽しみにしていま~す (赤沢) ( 4 ) 神戸の街スポット 日本真珠会館(その6) 中尾嘉孝(港まち神戸を愛する会) ここに一枚の写真が有る。日本真珠会館の建設が始まる直前の昭和24年頃に、東 遊園地越しに旧居留地を撮影したものだ。 京町筋を境に東の地域は、戦争が始まる ころに老いてなお明治期の元外国商館が比 較的多く残っていた。写真を見ると仮復旧 されている焼けビルの合間には、草の生い 出典:兼松回顧六十年(兼松商店刊、昭和二十五年) 茂った空地も多く見られる。 そうした中で、戦後の復興の槌音が早く響いたのは、この旧居留地の東側の地域 であった。 昭和24年に江戸町の旧居留地100番に、帽子の工場、材料の輸出入のための保税 倉庫として建設されたのが高砂ビルであった、物資が乏し い中、オーナーが材料の確保に奔走して建設した鉄筋コン クリート造5階建てのビルは、ひときわ高く、神戸の町の 人に映ったことだろう。 その2年後、戦後に組織を改めて再出発を図った神戸銀 行集会所が、江戸町91番地に新たな拠点となるビルを建 高砂ビル 設した。大理石貼の基壇部と付け 柱、タイル貼仕上げの上層部のコントラストに、低層のガ ラスブロック、上層部のガラスサッシ、側面の丸窓の開口 部が古典的な骨格に新しい感覚を添えていた。 設計は、戦前期に住友総本店から離れて独立した長谷部 竹腰建築事務所を率いた長谷部鋭吉をいただく日建設計工 銀行協会 務。この二つの1950年代前半の建築は、日本真珠会館とと もに年月を重ねてきたが、いずれも阪神淡路大震災の激震にも耐え抜き、修復を経 て、神戸銀行協会に至っては内外の大きな改修を経て、活用が続けられている。戦 前期の建築がややもすれば注目を集めがちな旧居留地にあってこうしたモダンクラ シックなビルディングの存在感はこれからも増していくことだろう。 建て替え方針が決まった日本真珠会館だが、具体的な改築計画のスケジュールは まだこれから決まるともいわれ、工事が始まるまでの間ではあるが、この稀有な建 物を記憶に焼き付ける取り組みもまだまだやらなくてはならないであろう。あまり 長い時間は残されていないにしても・・・。 (この項終わり) ( 5 ) ここでは、加盟団体・個人の文化情報をお伝えします。各行 事への参加については、前もって主催者にお問い合わせ下さい。 次回は、2015年6月中旬に発行の予定です。2015年7~8月 の予定をお知らせ下さい。6月初めまでにお願いします。 担当者:黒瀬晴世 (TEL.FAX/078-531-4903) 〒652-0058 神戸市兵庫区菊水町10丁目39-11-1-507 神戸演劇鑑賞会 TEL/222-8651 FAX/222-8653 6月例会「バカのカベ」 (加藤健一事務所公演) 作/フランシス・ヴェベール 訳・演出/鵜山仁 出演/加藤健一、風間杜夫 日時:6月28日(日)18:00 29日(月)13:30 会場:神戸文化ホール(中) NPO神戸100年映画祭 TEL/954-8044 FAX/954-8066 ☆KEN-Vi名画サロン 「イヴ・サンローラン」(14年フランス) 監督/ジャリル・レスペール 日時:6月13日(土) ①10:30 ②13:00 ③15:30 会場:県立美術館ミュージアムホール 料金:1,000円 ☆県美シネマクラシック 「天井桟敷の人々」 (45年フランス) 監督/マルセル・カルネ 日時:5月22日(金) ①10:30 ②14:30 会場:県立美術館ミュージアムホール 料金:800円 ☆ピフレ・シネマサロン 「ぼくたちの家族」 (13年日本) 監督/石井裕也 日時:5月14日(木) ①10:30 ②13:30 ③16:30 会場:ピフレホール 料金:1,000円 NPO法人兵庫県子ども文化振興協会 TEL.FAX/361-1152 ラブリーコンサート 0歳から行けるコンサート 「西宮きらきら母交響楽団コンサート」 日時:6月14日(日)時間は未定 会場:勤労会館多目的室 協力金:500円 神戸東おやこ劇場 TEL.FAX/441-0836 神戸中央おやこ劇場 341-8069 神戸垂水おやこ劇場 706-1810 神戸須磨北おやこ劇場 976-0023 「不思議ってステキ! 太田ひろしマジックショー」 (OHオフィス公演) 日時:6月7日(日)14:00 会場:神戸アートビレッジセンター 神戸映画サークル協議会 TEL/371-8550 FAX/371-8551 5月例会 「タンゴ・リブレー君を想う」 (12年ベルギー他) 監督/フレデリック・フォンテーヌ 日時:5月15日(金)16日(土) ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④19:00 ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④18:30 会場:神戸朝日ホール 6月例会 「マルタのことづけ」 (13年メキシコ) 監督/クラウディア・サント=リュス 日時:6月19日(金)20日(土) ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④19:00 ①11:00 ②13:30 ③16:00 ④18:30 会場:神戸朝日ホール ( 6 ) あいり・de・オペラ TEL.FAX/361-5056 映像で楽しむオペラ講座第55回 「トスカ」 作曲/ジャコモ・プッチーニ トスカ/キャサリン・マルフィター カヴァラドッシ/リチャード・マージソン 日時:5月14日(木)18:30 会場:サロン・ド・あいり 解説:竹山清明(オペラ大好き建築家) 料金:2,500円(食事・ワンドリンク付) ギャラリー島田 TEL.FAX/262-8058 B1F 5月2日~13日 上住雅恵展 5月16日~27日 小曾根環展 5月30日~6月10日 森井宏青展 6月13日~24日 伊津野雄二展 6月27日~7月8日 常設展 1Fdeux 5月2日~7日 野田朗子展 5月9日~14日 大塚温子展 5月16日~21日 川端祥夫展 5月23日~28日 榊原メグミ展 5月30日~6月10日 山縣寛子展 6月13日~17日 松井禾風展 6月20日~25日 硝子絵展 6月27日~7月2日 常設展 いちばぎゃらりぃ侑香 TEL.FAX/361-5055 4月18日~5月10日 鵜久森典妙写真展「ろくぶて」 5月18日~23日 絵はがき展 5月23日19:00 ひょうたんライブ 6月2日~6日 夏の装い展 6月27日19:00 ひょうたんライブ *ゆかりんシネマ 「祇園小唄」 監督/金村万象 弁士/井上陽一 唄/菱谷治代 日時:5月6日(水・祝)11:00/14:00 会場:いちばぎゃらりぃ侑香 木戸銭:1,000円(要・予約) 神戸芝居カーニバル実行委員会 TEL/090-1914-4907(中島) 河東けい ひとり語り「母」 原作/三浦綾子 脚色・演出/ふじたあさや 日時:5月31日(日)11:00/15:00 会場:灘区民ホール 料金:2,000円 ☆アジト談義 ゲスト/伊良子序(フリージャーナリスト) 日時:5月23日(土)14:00~16:30 会場:メガネの三城神戸三宮店 参加費:1,000円 劇団ぷらっと TEL/090-5254-6555(小森) 「ら抜きの殺意」 作・脚本/永井愛 演出/中川順平 日時:5月22日(金)14:00/19:00 23日(土)13:00/17:00 24日(日)11:00/15:00 会場:神戸アートビレッジセンター 料金:3,000円 学生2,000円 佐藤順子写真展 TEL.FAX/891-9211 震災20年「もう一つの軌跡」 日程:4月28日~5月3日 11:00~18:00 最終日17:00まで 会場:GALLERY北野坂 本会のお知らせ TEL/090-9716-7419(小林) ◎読書会 「今日は死ぬのにもってこいの日」 (ナンシー・ウッド著 金関寿夫翻訳) 日時:4月27日(月)18:45 会場:ハーバーランド文化村「会」事務所 会費:300円(茶菓子つき) ◎サロン・ド・ほんま 話題提供者:李敬司さん (KCスタジオ代表) 日時:5月22日(金)18:30 会場:ハーバーランド文化村「会」事務所 会費:500円+一品持ち寄り ( 7 ) いまどきの文化 シリーズNo.110 ら し 「 い ま ど き の 螺 子 -3 」 劇団四紀会 岸本 敏朗 切削でねじを切るとは軸をろくろのように回転させて、ナイフのようなバイトを当 てて、軸に沿って滑らせて、ねじ山を形成します。大変な手間です。これをそのネジ 山を鉄板に斜線にて刻み、その鉄板を2枚拝み合わせにして、寸切りにした鉄線を挟 んで揉むとその鉄線にねじ山が形成されます。これならその鉄板を前後に揉みさえす ればいくらでもねじがきれます。1950年代、この米製自動機が日本に入ってきました。 当時長屋の土間にその高価な機械をなけなしの金をはたいて買った下請けのおっさん が、その最初のねじを切って、横の木の柱に手でねじ込んで、「出来た!」と叫んだ 顔が忘れられません。 この鉄線ねじに炭素を吹き付けて焼きをいれると大変硬くなります。そのため、普 通の鉄に対して、下穴を開けてねじこみますと、その鉄へねじもきれます。そうする とナットはなくても2枚の鉄を結節できます。すなわち、今や木、鉄に対してこの螺 子でもってつなげます。スクリュウの誕生です。爆発的な数量の需要となりました。 1970年代です。 数量の増加は当然過当競争を呼びます。アメリカ市場は泥沼となりました。ここで、 私は第二の天才と巡り合いました。当時日本全国に約3000社はこのねじ商社があった といわれます。この時ドイツよりアドルフ・ブルツという男が欧州用ねじを求めて、 初めて日本にやってきました。飽和状態のアメリカに対して、日本の商社は殺到しま した。朝9時より夕方7時まで、30分単位で、三日間、彼は各社と会談したといいま すから大変な数です。私もそのひとつでした。結果を先にいいますと、現在勝ち残っ たのは私一人です。 彼はドイツ南部にて父親と二人でねじ屋を始めます。自動車修理工場にねじを収め る仕事が最初です。すなわち小売です。修理工場は修理の度に数本のねじがいります。 一本10円でも20円でもかまいません。必要な時にそこにあればいいのです。彼は何万 軒へのその配達システムを確立していき、購入は何百万本単位で、その値段は一本20 銭30銭です。十数年の内にドイツ一巨大会社になりました。大統領すら何度も会談、 面談するようになりました。看板はサッカーワールドカップ試合場でも見えます。 次回は、私がどうしてこの会社とそのように密接となったか、それは更なるスクリュ ウの進歩ともう一人、三人目の天才の話をせねばなりません。 ( 8 )
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