ピレネーを挟む南西フランスとバスク地方を 巡礼の道を辿りながら要塞

ピレネーを挟む南西フランスとバスク地方を
巡礼の道を辿りながら要塞都市と郷土料理を楽しむ旅
伊夫伎欽子(世田谷区)
日 程:2012 年 5 月 24 日より 6 月 6 日 14 日間
リーダー:鈴木康之
光し、再びフランスに入り、18 世紀にワイン貿易で黄
金時代を築いたボルドーの街から帰国する。
巡礼の道沿いの美しいコンクでは徒歩で散策、天候
参加者:29 名
費用概算:現地費用 30 万円弱(最終送金レート 106
円/€)+航空機代 13 万円~16 万円
この旅の企画理由と行程:
が良ければピレネーでハイキングを見込む。
コース沿いは超有名ワイン、トリュフ、チーズ、フ
ォアグラ、生ハム、サラミ、果樹などの食材の宝庫で、
ローカル料理を楽しみ、かつ農家訪問やワインテイス
今回の訪問先は、在仏 30 数年の日本語ガイド協会
会長が勧める場所で、
「南西フランスは時代に取り残さ
れた感もあるがロマネスク建築が多くフランスで最も
美しいと思うし日本人客がほとんど
いないので、仕事のない時にガイド
仲間と回っている」と言っている。
ティング、村民との交流などを予定する。
サンセバスチャンでは本場のピンチョスにも挑戦
すべくバールも覗きたい。
古代ローマ時代からの数々の戦い
の舞台となった堅牢な要塞都市群が
位置し、サンティアゴに通う巡礼の
道には壮麗な教会を持つ町や村が点
在し中世そのままの美しい景色を保
っている。
巡礼の道をたどってピレネーを越
えイスラムの侵入の最前線となった
旧アラゴン王国からバスク地方を観
行程表
日
1
2
3
月日
5/24
25
26
曜
木
金
土
訪問都市名
成田発、関空発、中部発
トゥールーズ滞在
アルビ、コンク
日程内容
成田発 11:20(AF-275)パリ発 18:30 トゥールーズ着 20:05
町並みがバラ色に輝く巡礼の道中継地 市内観光
世界遺産のアルビ、ロートレックの生誕の家
昔そのままの巡礼の村コンクに有名な美しい聖堂
11 世紀の大聖堂と巡礼の道を辿る。中世からの要塞都市ルル
ドはマリア奇跡で多くの巡礼者が訪問
宿泊
トゥールーズ
〃
コンク
ブルボン王朝の始祖アンリー4 世の生誕地ポー
ピレネー懐の美しい村々の散策、ワイナリー
世界遺産聖堂と農村そしてアラゴン王国揺籃の地
対イスラム戦最後の砦、世界遺産のロアレ城など
牛追い祭り時期以外は静かな町の散策。ヘミングウエイの
「日はまた昇る」の舞台。リオハの赤ワイナリーなど訪問
ポー
〃
ハカ
パンプロナ
〃
サンセバスチ
ャン
4
27
日
S・B・D・コマンジュと
5
6
7
8
9
28
29
30
31
6/ 1
月
火
水
木
金
ルルド
ルルド、ポー
ポー滞在
ソンボルト峠からハカへ
ロアレ城など
パンプロナ滞在
10
2
土
パンプロナから
イゲルド山、市内観光
サンセバスチャン
11
3
日
リューズ、エスプレット
12
13
14
4
5
6
月
火
水
ビアリッツ
ボルドー滞在
ボルドー発パリ経由成田
成田、関空、中部
夕食後バール散策でワインとピンチョスを
国境を越えフランスに戻る。フランスバスクの町をめぐりな
がらワインのボルドーへ
過っての繁栄をとどめる市内観光など
ボルドー発 20:50 パリ発 23:35(AF278) 帰国の途に
成田着 18:00
1
ルルド
ボルドー
〃
機上泊
あふれていた。円高で円に換算するとお得感が募り、
ついつい日本の 3 分の 1 の値段のチーズ、生ハムを
買ってしまう。
ピレネーの集合写真
ユーロ安でつい財布の紐が緩む
四国のお遍路さんにも行っていないのに口幅った
いが、南西フランス、ルルドを含むピレネー越えの
巡礼路は辿ってみたいとかねがね願っていた。この
思いにピッタリの内容と日程が合う企画が会報に載
ったので早くから参加を決めていた。
申し込み開始日、1 月 10 日は北京旅行中だったの
で帰国翌日 12 日に電話したら既に定員オーバーで
キャンセル待ちとのこと、結局、枠を広げて 29 名
五
①
感
聞く
ガイド:地方色が強い各地を得意ガイドが担当す
るよう 4 名の現地在住既婚女性が担当した。森元首
相の担当予定がキャンセルになり我々の担当になっ
たガイド賞受賞の有能ガイドは、複雑に入り組んだ
歴史をわかりやすく説明してくれた。
の参加者となり、人気のほどがわかった。大きなグ
ループなので食事、
トイレ、
移動などに手間取るか?
と懸念したが、さすが経験を積んだ WSC の面々、4
~5 名ずつのグループ編成をし、ソフト、ハード両
もう 1 人は昨秋 WSC 地中海クルーズに参加した
折、マルセーユを案内してくれたガイドで奇遇、2
日間のガイドのためにはるばる 400km の道のりを
やって来たという。おかしい個性豊かなガイドもい
面ともスムーズにトラブルなく 14 日間の旅を終え
た。
てバス旅に変化をつけた。
バールの騒音:夕食に入ったバールは折しも半額
デーとあって店内は立錐の余地なし。賑やかなシャ
ベリ声で私達は隣との会話もままならず。早々に引
旅の醍醐味は何といっても五感をくすぐる心地よ
い刺激。今回の旅もそれを余すことなく満たしてく
れた。内容が盛り沢山でとても紙面には書ききれな
いが、その一部でもお伝えできたらと思う。
き揚げる。
② 見る
建造物:今回見学した歴史建造物の数の多さ、さ
すが巡礼路とびっくり!教会、修道院 12、聖堂 6、
ルート
4 つある巡礼路の 1 つ、<フランス>南西部ツー
ルーズ→アルビ→コンク→ロデーヌ→<ピレネー山
脈入り>S.B.コマンジュ→ルルド→ポー→オロロ
ン・サントマリー→ソンボルト峠越え→<スペイン
>ハカ→パンプローナ→サン・セバスティアン→<
フランス>サンジャン・ド・リュス→ビアリッツ→
ボルドーの 12 泊、このうち大半が巡礼路の小さな
村、また、5 カ所がピレネー山脈内に位置する。
城 2、ロマネスク→ネオロマネスク→ゴシックと建
築様式の変化に伴い、壁の厚さ、天井の高さ、窓、
ステンドグラスの有無などの違いを理解。世界遺産
都市アルビの 13 世紀.完成に 200 年かかったサン
ト・セシル要塞大聖堂は圧巻。
経済不況・円高
スペインの経済不況を目の当りにした。ハカのヨ
ーロッパ圏からのスキー、避暑客目当てに建てられ
たコンドミニアム群もゴーストタウン化、パンプロ
ーナでは緊縮財政反対のデモ、バールでは客激減対
策に半額デーを設け、その日は客でひしめ路上まで
サント・セシル大聖堂
2
またピレネーの山合いの小さな教会では祈りが生
活に密着している肌のぬくもりを感じた。日光東照
宮にある三猿が柱頭に彫られた教会遺跡もあって興
味津々。
⑤
匂い
牧草のむせぶ匂い、畜産農家の飼育小屋の匂い、
肉をローストする匂い、ワインの芳醇な香り、どれ
も私達の日常生活ではあまり感じられない。農業だ
ルルド:病を癒すという奇跡の聖水を求めて世界
各地からの参拝客であふれていた。カトリック信者
の証としてのローソク行列に参加してみた。4 ユー
ロのローソクを買ってアベマリアを唄いながら世界
けでは生活できないとチーズ造り、農家レストラン
の経営に乗り出す彼等を助けるたくましい女性パワ
ーの匂いもした。イメージに持つパリの華奢なエレ
ガントな女性とは程遠い太腕だ。
平和を祈願。きれいな水をたたえるポー川を挟んで
片や聖地、片や土産物で溢れる門前町。
農家の副業レストランで鴨のロースト中
最後に
今回の移動は詳細がガイドブックにも載っていな
マリア教会のローソク行列
③
食べる
ボリュームたっぷりの郷土料理を堪能。牧畜農業
が主体なので鴨肉、生ハム、チーズ、ワインと昼食
から前菜、メイン、デザートのコース。ワイナリー
い巡礼路が多く、古い狭い道でバスにとっては苦難
の連続で曲がり切れずに後部を石塀に擦る音もした。
干し草を梳く農婦、庭の手入れをする主婦も手を休
め“なんでこんな大きな車が来たの?”といぶかし
ではたっぷりワインを試飲、チョコレート工場にも
行ったので、もう、体重が 2~3kg 増えた人も?市
場で買った白アスパラガスをホテルのポットで茹で
た味は忘れられない。
気に見上げていた。
このような濃い内容を要領よくまとめたという自
画自賛の現地プランナーと、鈴木リーダーの事前折
衝はご苦労だったと思う。
今回の旅をより充実させようとガイドに補足説明
を加えたり、チェックを入れたりと鈴木リーダーの
細かいご配慮に改めて感謝し、お礼を申し上げます。
④
触れる
気候:たった 1 日短時間雨が降っただけで全行程
燦々と太陽の照り輝く晴天続き、気温が 30℃を越え
る日もあったが湿気がなく快適。
ピレネーの山合い、
美しい村を一層引き立てる青い空、白い雲、雪解け
水をたたえる川と絵そのものの風景と一緒に、新鮮
な空気に触れ、胸一杯吸いながらのハイキングは二
度と味わえない喜び。お散歩中のピレネー犬をなで
たのも土産話の一つ。
リーダーからの一言
旅を楽しもうとする WSC 会員ならではの和気
藹々としたグループであり計画以上に楽しい旅とな
ったのではと思います。晴れ女と自称する人が数名
いたのでは雨の神も出番がないし、経済危機により
ユーロ安が進み、2 回に分けて送金した費用もレー
トが平均 106 円で済んだため、食事込み現地費用が
28 万円程度で済んだことも幸いした。このルートは
フランス観光有名コースではないが食材の宝庫コー
ス(フォアグラ、トリフ、ワイン、チーズ、生ハム、
などの農産物)として知られ、また巡礼の道、祈り
の道として中世の雰囲気を多分に残しており、11 世
紀からのロマネスク建造物が多いことが、近代化に
遅れを取った地方とされる理由でしょうか。
ピレネー犬に触れる
3