3月8日 J リーグ浦和レッズ対サガン鳥栖における サポーターによるコンコース入場ゲートでの横断幕掲出について J リーグ第 2 節「浦和レッズ vs サガン鳥栖」 ( キックオフ 16:04/前半終了 16:52/後半開始 17:07 /試合終了 17:56)において、浦和レッズ側ゴール裏である北サイドスタンドのコンコース入 場ゲートにサポーターによる差別的と考えられる横断幕が掲出されました。また、浦和レッズ が横断幕の掲出を認知後、撤去までの間1時間余を要する等浦和レッズが差別を容認したと受 け止められるような対応がありました。 Jリーグの会員であることはもとより、日本サッカー協会(JFA)、国際サッカー連盟(FI FA)を含めたサッカーファミリーの一員として、浦和レッズは差別の根絶を行う立場にあり ながら、深刻な事態を引き起こしましたことを、関係される全ての方々に心から深くお詫び申 し上げます。 1.横断幕掲出行為の事実関係 (1)14:00~15:00 の間 ・浦和レッズのサポーターグループの3名(X、Y、Z)が試合当日スタジアム敷地内で作製し た横断幕「JAPANESE ONLY」を浦和レッズ側ゴール裏スタンドの「209ゲート」の入口に、ピ ッチとは反対側に向けて掲出しました。 (2)15:30 頃 ・ 現 場 を 担当 す る警 備 員( A ) が普 段 の試 合 では 掲 出 され て いな い 横断 幕 の 存在 に 気づ き 、 警 備 責 任者 ( B) に 連絡 。 警 備責 任 者( B )は 「 2 09 ゲ ート 」 にお い て 、当 該 横断 幕 を 確認しました。 ・ こ の 際 、サ ポ ータ ー グル ー プ のメ ン バー ( Z) か ら 警備 責 任者 ( B) に 「 この 横 断幕 は 問 題ないでしょう?」「何かあれば俺に言ってくれ」との話がありました。警備責 任者(B) は肯定も否定もせずその場は終了しました。警備会社の本部には連絡をしませんでした。 (3)16:58 頃 ・ 当該横断幕の掲出について、「209ゲート」付近にいた警備員(C)が、ファンの方から 「こ の 幕は 良 くな い 。差別 と 捉 えら れ かね な い」と の 指 摘を 受 けた た め、 警 備 責任 者 (B ) を 通 じ て警 備 会社 の 本部 に 連 絡を し まし た 。ほ ぼ 同 時に ソ ーシ ャ ルメ デ ィ ア上 で 情報 を 取 得したクラブスタッフ(ア)がクラブ運営本部に連絡をしました。 (4)17:09 頃 ・ ク ラ ブ 運営 本 部は 当 該横 断 幕 を画 像 とと も に確 認 し まし た 。問 題 があ る 掲 示物 と の判 断 の も と 、 警備 会 社に 対 し、 当 該 横断 幕 を速 や かに 撤 去 する よ う指 示 しま し た 。ほ ぼ 同時 に 別 のクラブスタッフ(イ)も当該横断幕を現場で確認しました。 (5)17:10~17:15 頃 ・ 警備責任者(B)は、15:30 頃にすでにメンバー(Z)と応対していたことから、北ゴール 裏 ス タ ンド に 入り 、 スタ ン ド にい た メン バ ー( Z ) を呼 び 、ス タ ンド 外 の ペデ ス トリ ア ン デッキ上で「今すぐ剥がして欲しい。クラブからの指示である」「ソーシャルメディアにも 出 て い て大 き な事 案 とな る 」 と撤 去 を求 め まし た 。 メン バ ー( Z )は 「 試 合中 の ため 厳 し 1 い 」「 無理 」 とい う 趣旨の 回 答 をし た 後ス タ ンド に 戻 って し まい ま した 。( 当該 グ ルー プ は 浦 和 レ ッズ に よる ヒ アリ ン グ に対 し 「差 別 や政 治 問 題化 さ せる 意 図は な か った が 、結 果 的 にそのように受け止められる行為だったと反省している」と話しています) (6)17:15 頃 ・ 警 備 責 任者 ( B) は メン バ ー (Z ) との や り取 り に つい て 、合 意 が得 ら れ なか っ た旨 、 警 備会社本部を通じてクラブ運営本部に連絡しました。 ・ 横 断 幕 につ い ては 従 来、 サ ポ ータ ー 当事 者 との 合 意 の上 撤 去す る 手順 と な って お り、 ク ラ ブ運営本部は「試合後、速やかに対応する」よう警備会 社に指示をしました。 ・ こ の 状 況に 対 して 、 クラ ブ は 、現 場 への ス タッ フ 派 遣、 緊 急対 策 本部 設 置 等の 対 応を 行 い ませんでした。 (7)17:35 頃 ・ 警 備 会 社ス タ ッフ ( D) は 観 戦し て いた フ ァン か ら 「撤 去 する べ きで は な いか 」 との 指 摘 に対し「試合終了後に対応させて頂きます」と答えました。また「写真を撮らせて欲しい」 と の 申 し出 に は、 通 常は ト ラ ブル 回 避の た め撮 影 を 控え て 頂い て いる た め 「ご 遠 慮頂 き た い」と答えました。 (8)18:04 頃 ・ 試 合 終 了後 、 当該 サ ポー タ ー グル ー プが 当 該横 断 幕 の撤 去 を行 わ ない ま ま であ っ たこ と か ら、警備員(C)はメンバー(Z)に取り外す旨声を掛けた上で、横断幕を撤去しました。 この間、当該横断幕の掲出撤去の事実を知るクラブスタッフは計6名でした。 (9)22:00 頃 ・ ソ ー シ ャル メ ディ ア 等で 本 事 案が 大 きな 波 紋と な っ てい る こと を 受け 、 広 報部 を 中心 に 本 事案についての公式メッセージ発信に向けた作業を開始しました。 (10)23:00 頃 ・ 本事案に関する公式メッセージ案を共有するため、社長を含む幹部に対して本事案に関す る情報が伝えられました。 (11)23:50 頃 ・ オフィシャルサイトにて第1報を発信しました。 浦和レッズは、当該横断幕について、掲出に至った背景や掲出の場所等を含め総合的にみて差 別的行為と判断しております。 2.当日までの経緯及び体制等について <全般について> ・ 浦和レッズでは 2010 年から「スポーツはルールある闘い」を訴えながら安全で快適なスタ ジアムづくりを目指す国連プログラム「 SPORTS FOR PEACE!プロジェクト」(SfP)を国連関 連機関とともに行ってきました。このプロジェクトは同年の「ベガルタ仙台 vs 浦和レッズ」 で の サ ポー タ ーに よ るト ラ ブ ルを 受 けて ス ター ト さ せた も ので 、 新た に 設 定し た 「重 点 禁 止6項目」の中に「差別的発言」も含まれています。 ・ 2013 年のリーグ戦「清水エスパルス vs 浦和レッズ」におけるサポータートラブルを受け、 2 再発防止策を強化することを決定しました。 ・ 2014 シーズンのリーグ戦開幕前( 2 月 28 日)にはオフィシャルサイトにて、「 SPORTS FOR PEACE!プロジェクトの取り組み強化について」とするメッセージを発信し、ファン・サポ ーターの皆様に「安全なスタジアムづくり」への理解と参画をお願いしました。 <差別的発言について> ・ 開幕となるJリーグ第1節「ガンバ大阪 vs 浦和レッズ」において、サポーターからの一部 選 手 に 対す る 指笛 が 聞か れ ま した 。 指笛 に は差 別 的 な意 図 があ る 可能 性 が あり 得 るこ と か ら 、 次 節以 降 はス タ ンド か ら ピッ チ に向 け た差 別 的 発言 の 有無 の 確認 を 行 うべ く 、ピ ッ チ 上やスタンドにスタッフを配置する等の体制を整えました。 ・ 差 別 的 行為 に あた る 当該 横 断 幕の 取 り扱 い を適 切 に 行え な かっ た のは 、 ク ラブ ス タッ フ の 差 別 に 対す る 感度 の 低さ が 最 大の 原 因と 考 えて お り ます 。 この ほ か、 警 備 ・管 理 体制 の 不 備 、 警 備会 社 内部 、 クラ ブ と 警備 会 社、 ク ラブ 内 部 での 情 報 共 有 がで き な かっ た こと も 要 因 で す 。さ ら には 、 横断 幕 の 取り 扱 いに 関 する 長 年 にわ た るク ラ ブと サ ポ ータ ー の間 の 取 り 決 め 等で 主 管者 と して 主 体 的な 運 営管 理 がし に く い体 制 にな っ てい た こ とも 根 底に あ り ま し た 。当 日 、セ キ ュリ テ ィ 体制 が 禁煙 の 徹底 や ス タン ド 内か ら ピッ チ に 向け た 差別 的 発 言の確認を重点的に警備していたことも反省点です。 ・ ど の よ うな 理 由が あ ろう と も 、当 該 横断 幕 は掲 出 さ れて は なら ず 、仮 に 掲 出さ れ た場 合 は 即 時 に 撤去 さ れる べ きも の で す。 掲 出後 に 長時 間 放 置さ れ たこ と は重 大 な 過失 で ある と 受 け止めております。 ・ な お 、 試合 当 日の ス タン ド に おい て 、警 備 体制 を 強 化し 、 ピッ チ 等か ら 差 別的 発 言の 有 無 を 注 視 しま し た。 ピ ッチ 等 か ら発 言 を確 認 でき な か った も のの 、 ゴー ル 裏 スタ ン ド内 に 配 置 し て いた 警 備会 社 スタ ッ フ より 、 試合 後 、差 別 と みら れ る発 言 があ っ た との 報 告を 受 け ま し た 。こ の ため 、 スタ ン ド にて 応 援し て いた サ ポ ータ ー の皆 様 に広 く 情 報の 提 供を 呼 び 掛 け ま した 。 その 結 果、 ス タ ンド で は一 部 選手 の ゲ ート フ ラッ グ を掲 げ て いた サ ポー タ ー に 対 し 、数 人 の男 性 がゲ ー ト フラ ッ グを お ろす よ う に強 制 した り 、差 別 的 発言 を して い た 者 が い た等 の 情報 も 入っ て お りま す 。こ れ らの 情 報 に 対 し て詳 細 を調 査 し 、 今 後 の対 応 に つなげていきます。 3.処分について (1)サポーター等 ・掲出行為を行った者が所属する当該サポーターグループに対して、無期限の活動停止処分と しました。 ・当該グループに所属するメンバー全員に対して、浦和レッズが出場するすべての試合につい て、無期限入場禁止の処分としました。 (2)クラブスタッフ ・当該横断幕を試合終了まで撤去することが出来なかった主たる原因はクラブのマネジメント にあると考えております。本人からの申し入れにより、淵田敬三社長の役員報酬の自主返納 (20%、3 か月間)を受け入れることと致しました。 ・関係社員につきましても、社内規定に従って処分を検討します。 3 4.今後について これまでの度重なるサポータートラブルに加え、「差別的行為」という重大事案の発生により、 浦和レッズはJリーグの一員、スポーツクラブのひとつとしての存在意義を失うという深刻な 危機に直面していると認識しております。 浦和レッズは今回の事案を機会に生まれ変わることを宣言します。スポーツはどうあるべきか を抜本的に見つめ直し、本当の意味でのプロサッカークラブとなるための取り組みを新たに展 開します。老若男女すべての人々が楽しむことが出来、すべての人が差別なく公平に扱われる スタジアム、スポーツがあることの幸せを感じられるホームタウンになることが、 「安全で快適 なスタジアム」であり「Jリーグ百年構想」の具現化であります。実現に向けて不退転の決意 で全力で取り組みます。 差別に関しては、FIFA 規程の趣旨に基づき「人種、肌の色、性別、言語、宗教、又は出自等に 関する差別的あるいは侮辱的な発言又は行為」を撲滅し、 「個人あるいは団体の尊厳」を徹底的 に守ることを目指します。 「スポーツは闘いです。しかしそこにはルールが あります」という精神をもとに実施する国連 プログラム「SPORTS FOR PEACE!」プロジェクトを通じて、スポーツの素晴らしさを浦和レッ ズが実践することはもちろんのこと、サポーターをはじめ、わたしたちに関わる全ての人がス ポーツの素晴らしさを感じたり発信できる環境を強力に整えます。もちろん、スタジアムに「政 治と宗教」は持ち込みません。 困難で長い道のりであろうとスポーツクラブとしてのあるべき姿を純粋に徹底的に追求して参 ります。 そのようなクラブとなるために、当面下記の対応策を実施致します。これ以外につきま しても、 上記の宣言に合致する施策につきましては、順次検討・実施して参ります。 <当面の施策> (1) 警 備 体 制に つ いて 、 警備 員 の 増員 等 強化 し ます 。 連 絡・ 情 報共 有 体制 か ら 現場 で の配 置 、 対 応 に 至る ま で抜 本 的に 見 直 し実 施 しま す 。ア ウ ェ イゲ ー ムに お いて 、 多 くの ク ラブ ス タ ッフを派遣し、スタンド内においてトラブル防止に努めます。 (2) 3 月 15 日に行われるJリーグ vs サンフレッチェ広島以降、リーグ戦、カップ戦とも、ホー ム 、 ア ウェ イ を問 わ ず、 浦 和 レッ ズ のフ ァ ン・ サ ポ ータ ー 全員 に 対し 、 す べて の 横断 幕 、 ゲートフラッグ、旗類、装飾幕等の掲出を禁止とします。 <その他施策> 年齢や性別、国籍にかかわらずだれもが安心して観戦できるサッカースタジアムづくりに向け 重点的に取り組んで参ります。 (1) ス タ ジ アム に おけ る クラ ブ と サポ ー ター 間 にあ る ル ール や 慣習 等 につ い て 、ク ラ ブが 主 管 者として責任ある管理を実施できるよう、ルールを新たに作っていきます。 (2) サポーターによる差別行為・発言については、差別撲滅に取り組む FIFA のコンセプト、日 本 サ ッ カー 協 会の 規 程を 参 考 にす る とと も に、 実 行 者に 対 して は 「最 低 2 年間 、 スタ ジ ア 4 ムへの入場を禁止」等の処分を行います。 (3) 「 SPORTS FOR PEACE!プ ロ ジ ェ ク ト 」 を ファン ・ サ ポ ー タ ー の 皆様も 含 め た 活 動 へ と 拡大 させ、「ルールあるサポート」の徹底に向けた啓発等の取り組みを加速させます。 (4) 席 割 り の変 更 等を は じめ だ れ もが 安 心し て 観戦 で き るよ う な取 り 組み を 実 施す る ため 、 フ ァン・サポーターの皆様を含む外部の方からの意見を聴取する仕組みを構築します。 (5) 人 権 や 差別 に 関す る 専門 家 の 方々 の 協力 を 得て 、 ク ラブ ス タッ フ に対 し 、 反差 別 につ い て の教育を行い、人権意識の水準を高めていきます。 5
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