●はなせ診療所そよ風だより No26 2012年9月号 内科 吉澤泰介 ●野菜で元気! 今回は、栄養と健康について世界調査を始めて 25 年、25 カ国 60 地域以上を巡り、世界の長寿研 究の第一人者のおひとりで、独創的な発表を次々されてる京大名誉教授、家森幸男(やもりゆきお) 先生のお話です。美人の多い、お肌のきれいな女性が多いほど健康長寿と直感で思った。それは「人 は血管とともに老いる」いわれているが、女性は男性よりも長生きなのは、女性ホルモン(エスト ロゲン)が血管障害(心筋梗塞や脳梗塞など)を守ってくれるからであり、日本の女性が、平均寿 命世界一を続けているのも、日本食のおかげだからである。その日本食の特色とも言える大豆、魚、 野菜、海藻など食べ続けているのが、日本の女性が高齢になっても肌がきれいな理由である。大豆 には女性ホルモン作用をもつイソフラボンが多い。更年期になっても大豆を食べる地域では、血圧 やコレステロールが上がらないことに 20 年も前に気づき、実際大豆を食べてもらう栄養改善研究 を世界中ではじめた。まずブラジルの大豆生産地の日系人が沖縄出身だったにもかかわらず、世界 一長寿の沖縄県人に比べ 17 年も短命だったので、大豆を食べてもらったら、たった3週間で血圧、 コレステロールが下がった。世界調査でみても、大豆とともに、野菜を同時に食べている地域は、 沖縄である。沖縄女性はゴーヤチャンプルを、家庭で働きながら、裏庭でゴーヤを育て食べている。 男性は外で働くのでファーストフードで昼食、これが沖縄県人の、寿命の著しい男女差を生んだ理 由である。もうひとつの長寿地域は中国の貴陽で、貧しい地域だが、大豆を主食とし高地に住んで る為、山菜を日常的に食べている。山菜は、「しそ」のように抗酸化力が強く、野菜と違いミネラ ルが多い。野菜は食べるが大豆が取れない長寿地域は、コーカサス、シルクロードで、これらの地 域は、実は女性ホルモンを、ブドウから取っている。要するに世界の長寿地域は、地中海のシシリ ー海、ギリシャ、コーカサス、シルクロード、貴陽、広州、沖縄、ハワイ、南米アンデスの長寿村 ビルカバンバと、いずれも大豆かブドウと野菜が十分食べられる土地である。今日本人は野菜の摂 取量が少ない。一日350gの摂取目標とはほど遠いのが現状であり、とりわけ若い世代、たとえ ば、男女の大学生の一日野菜摂取量はたったの130gである。これでは日本人の世界一の長寿も 危ない。食育で野菜をとる習慣を身につけることが長寿社会の発展には不可欠と考えられる。(以 上臨床高血圧 vol,18 No1 メディカルレビュー社より抜粋改編)ただ一方で大豆も食べ過ぎは、乳 がん子宮がんの危険性があるとも言われており、貝原益軒の養生訓にみられるように何事もほどほ どであることが大切のようです。その点、ご当地花背、広河原などには山菜が多く、長寿をめざす のに十分な条件がそろっているといえます。 ●今月の東洋医学 最近の漢方が著効した例。ネフローゼという腎臓からタンパク質がじゃじゃ漏れになる病気。50 代の女性で、今回3回目の発病。いつもは、お薬の副作用で、顔がむくみ身体も、しんどくてしょ うがなくなるのに、今回はいつもの西洋薬に、初めて漢方薬(柴苓湯さいれいとう、桂枝茯苓丸け いしぶくりょうがん)を併用したところ、むくみも冷えもなく大変身体が楽だとのこと。西洋医に は、漢方をまやかしの如くとらえている方も多いが、患者さんの苦痛をとるためなら、いいといわ れ明らかに実証されてるものは、なんでも利用したいと私は考えています。
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