事業名 : 首都圏における低炭素化を目標とした 水循環システム実証モデル事

資料 5-2
事業名 : 首都圏における低炭素化を目標とした
水循環システム実証モデル事業
3.2 代替水資源の活用
3. 将来対策案
3.1 水道システムによる対策
【活動量の削減項目】
実施主体 : (社)日本水道工業団体連合会 他
【水道システムにおける対策案】
■人口減少(配水量の減少)
1. 事業概要
1.1 事業の目的
首都圏 ※ を対象モデルにして水道システム、水循環システムの輸送・加工工程の効率
化の観点から、客観的に現行の水道システム、水循環システムを見直すシミュレーション
水道以外のさまざまな水資源(地下水・雨水・下水再生水・工業用水)をさらに拡大活用し
■取水・浄水場位置の変更(上流化)
□位置エネルギーの活用
□取水原水清浄化による浄水処理方式の簡素化
■高効率機器の採用
■再生可能エネルギーの活用
(太陽光発電・小水力発電)
■中小水道事業体の広域化
た場合のエネルギー量を市区町村単位で試算し、前項の「水道システムによる対策」と比較
することでエネルギー量の削減の可能性について検討した。検討結果を以下に示す。
位置エネルギーの活用が比較
的困難な地域(茨城、千葉房
総・外房)では効果的である
【総電力使用量削減結果】
を実施し、環境負荷低減につなげ、低炭素社会構築に向けた基礎資料を作成することを
【人口減少による削減率;19%減】
目的とする
■現況(2005 年)首都圏電力使用量合計
■将来(2050 年)首都圏電力使用量合計
(現況水道システム)
(人口減少+現況水道システム継続)
約 27 億 2 千万 kwh/年
約 22 億 kwh/年
1.2 事業の目標
現況の水道システム
においても位置エネ
ルギーが他地域に比
べ活用できており、水
道水源も清浄な地域
については効果が小
さい
効果なし
首都圏における水道システムのCO2 総排出量削減 60~80% を目標とする
水道システムによる削減率;64%減
※ 削減目標は基準年を 2005 年、目標年を 2050 年とし、対象とするエネルギーは継
続的な活動(ランニング)による電力使用量のみとする
2005 年からの削減率;71%減
■将来(2050 年)首都圏電力使用量合計
Total
Activity
change
=
総排出量の削減
活動量の削減
Carbon content
effect
Energy intensity
effect
effect
×
(人口減少に伴う
配水量削減)
水道システムに
よる削減
×
(本事業の主要対策)
炭素含有量の削減
(電力あたりの
炭素含有量削減)
1.3 事業実施に際しての基本的方針
■低炭素化社会の構築を目指した視点での事業(調査・研究)である
(人口減少+将来対策案)
電力使用量の削減率のみで約 70%の試算結
果となった。さらに 2050 年の電力排出係数
が 2005 年に比べ仮に 30%削減されると二酸
化炭素排出量は 80%の削減となる。
約 7 億 9 千万 kwh/年
※ランニングエネルギー(電力使用量)
のみでの算出結果
¾
削減効果が大きい対策は「取水・浄水場位置の上流化・統合」、「高効率機器の採用」、「中小
水道事業体の広域化」の順となった
¾
大規模水道事業体を対象に、現況の水道システムを 2050 年まで継続し全ての水道施設を1回
更新したと仮定した場合と今回対策案を新築した場合との概算事業費を算出し比較するとほ
ぼ同額(約 12.4 兆円)の結果となった。但し、年間電力使用料金は、対策案の方が現況を継続
した場合に比べ約 1/3 の費用(79 億円/年)に削減され経済的メリットもあることが検証された
■本事業は、現行の行政区域に捉われず、広範的な条件で行うものである
■現行の水道システム、水循環システムはこれまでの社会条件のもとで最適かつ効率的
水道水源の水質が比較的良
くない地域では代替水資源
の活用が効果的である。
図 3-2
¾
4. ロードマップ
将来対策案の実現に向けたロードマップの一例(取水地点・浄水場位置の上流化および
統合)を以下に示す。
2010 年
ベンチマーク
(現在)
既設浄水場数 34 箇所
ーに加えた委員会を設置し実証性を検討する等、CO 2 削減方策を調査研究した(委
国
(河川・環境・工水・農水
・下水・エネルギーなど)
設置し検討を行った。各分科会の視点は下表のとおりである。
表 2-1
分科会
分科会
①
分科会
②
分科会
③
水道システム
による対策
代替水資源
の活用
水道産業界
低炭素化に向けた視点
(民間企業)
視 点
1)
2)
3)
1)
2)
水源ダムの相互融通 容量調整
取水地点の変更(水源からの視点)
農業用水の利用
浄水場位置の変更(浄水場の統廃合含む)
浄水場の効率的管理
(新技術:高効率機器など、再生可能エネルギー含む)
1) 雨水、下水道の処理水、工業用水の利用
2) 地下水の利用
3) 漏水対策、節水
首都圏:1都6県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、群馬県、栃木県)
0
6
●整備事業の実施
更なる取水位置等の上
流化の推進に向けた法
制度・財政支援制度等
の見直し
更なる各省庁間の連携
による水循環・水環境
の活性化
更なる取水位置等の上
流化の推進
(計画立案 ⇒ 関係機関との協議 ⇒ 事業認可取得 ⇒ 事業実施)
●PPPへの積極的参入
●公からの業務受託による技術・ノウハウの蓄積・継承
●エネルギー損失の少ない管路の開発・低コスト化等
上流での位置エネルギーを有効に活用するための技術革新
更なる水道システムの
最適化・低炭素化
PPP推進
水道利用者の理解と支持
(水道利用者等)
図 4-1
●各省庁間の連携による水循環・水環境システムの最適化
●現行水利権の調整・見直し
●取水位置等の上流化の推進に向けた財政支援制度
の整備・拡充
将 来
情
報公開
情報公開
ステークホルダー
取水地点・浄水場位置の上流化および統合(ロードマップの一例)
5. 今後の予定
今後は実現に向けての実効性を更に高めるため、今回の研究成果を基礎資料とし、低
炭素化以外の他の視点(リスク・水質・食物など)も組み込んだ広域的・総合的な水
図 3-1
※
既設浄水場数
新設浄水場数
●取水位置等の上流化の推進に向けた財政支援制度
の整備・拡充
●広域化の推進
●都道府県・水道事業者への通知・通達
国
(水 道)
大規模9水道事業体等
(事業実施主体)
員会は全4回開催)。また、事業の推進に際しては、委員会の下に3つの分科会を
半減
3
上流化推進支援
事業は平成21年6月から開始し、学識経験者に関係行政機関担当者をオブザーバ
既設浄水場数
新設浄水場数
連携・
調整
2. 委員会・分科会の設置と水道システムの低炭素化に向けた視点
2050 年 ・ ・ ・ ・ ・
2030 年
改築更新時期に合わせ順次、6浄水場に統合
●マスタープランの策定
●取水位置等上流化協議機関の設置
(対策案の一例)【取水・浄水場位置の変更(上流化)】
大規模9水道事業体を対象に、「位置エネルギー
の活用」と「取水原水清浄化による浄水処理方式
の簡素化」によるエネルギー削減を目的に取水・
浄水場位置の上流化および統合化を提案。
エネルギー算出に際しては、導水・送水・配水シ
ステムのシミュレーションモデルを構築。
代替水資源によるエネルギー削減効果
代替水資源の活用のような分散型水資源の場合リスクが少ないため、バックアップ効果(地震・
水質事故・管路事故・渇水時など)も期待される。
関係主体
に実施されてきており、本事業は既往のシステムの是非を問うものではない
効果あり
¾
取水地点・浄水場位置の上流化および統合(対策案の一例)
上記対策案については、緊急時のリスク対応や管網内での水質劣化などの課題が残る。
管理の研究の深度化・精緻化が望まれる。また、ステークホルダーを巻き込んでの推
進が重要であるため、そのための啓発活動を積極的に実施していくことが必要である。
3