クリック

International Symposium on Social Insect Biology
“Current Topics in the Study of Social Evolution”
10 月 15 日(土) 10:00~16:50
Organizer: Kenji Matsuura & Kazuki Tsuji
個体群生態学会で社会性研究をど真ん中に据えた大会というのは意外に新鮮である。この
10 年で、生物の社会進化についての研究は、目覚ましい発展を遂げた。かつて予想の域を
越えなかった仮説が、実際に検証され、あるいは、予想さえ出来なかった事実が次々と明
らかにされてきた。その最前線を存分に味わうべく、この大会シンポジウムは企画された。
プレナリー講演者として、誰もが認める社会性研究のスーパースター、Laurent Keller 氏
と William Hughes 氏をお招きし、世界の研究の最前線と未来について語るに相応しい布陣
で臨む。また、次代を担うべき若手による社会性研究の企画シンポジウムも併せて予定さ
れており、熱い議論と実り多い交流によって何かが生まれる予感である。乞うご期待。
*Plenary speakers
*Laurent Keller (University of Lausanne, Switzerland)
Evolution of a social chromosome in ants
*William O. H. Hughes (University of Leeds, UK)
Sex, size and parasites in insect societies
Alexander S. Mikheyev (Okinawa Inst Sci & Technol, Japan)
Post-invasion evolution of the little fire ant: an ecological and genome-level view
Evan P. Economo (Okinawa Inst Sci & Technol, Japan)
Revisiting the ants of Melanesia and the taxon cycle: Historical and
human-mediated invasions of island ecosystems
Kazuki Tsuji (University of Ryukyus, Japan)
The miocroevolutionary dynamics of "social cancers" in the ant, Pristomyrmex
punctatus.
Kenji Matsuura (Okayama University, Japan)
Long live the termite queen: Evolution of termite reproductive systems
企画シンポジウム(1)
「ここまでわかった昆虫の長距離移動」
企画者:松村正哉(九沖農研セ)
使用言語:日本語
10 月 14 日(金) 18:00~20:30
昆虫の中には風によって国をまたぐような長距離を移動する種がみられ,その代表的なものには
ウンカ類や渡りをするチョウがいる。ウンカ類については古くから長距離移動の研究が進められ
てきたが,ここ 5〜6 年以内の間に,シミュレーションモデルを使った飛来予測技術が格段に進
歩した。さらに,ウンカ以外の多くの害虫についても研究が精力的に進められ,これまで長距離
移動が知られていなかった昆虫も含め,多くの新知見が明らかになりつつある。この企画シンポ
ジウムでは,まず,ウンカ類で開発された移動予測技術についての概要と現在取り組んでいる他
の昆虫への適用事例を紹介いただいたあと,農業害虫のハスモンヨトウとナモグリバエ,衛生害
虫のコガタアカイエカについて,移動解析や生態研究,遺伝子多型解析などの多岐にわたるアプ
ローチから,長距離移動について現在どこまでわかっているのか,今後の研究の展開等について
紹介いただく。
大塚彰(九沖農研セ)イネウンカ類の長距離移動と予測技術
藤條純夫(佐賀大)多様な性状を示すハスモンヨトウの海外からの移動
岩崎暁生(北海道中央農試)気流に依存したナモグリバエの長距離移動
沢辺京子(国立感染研)日本脳炎ウイルス媒介蚊コガタアカイエカの長距離移動
公募シンポジウム(1)
「Multidisciplinary approaches to dissect the social insect biology
:多角的アプローチで斬る昆虫社会の多様性」
企画者
岡田泰和(岡山大),北條賢(琉球大)
,宮崎智史(富山大)
10 月 14 日(金) 18:00~20:30
社会性昆虫のコロニーは巧みな個体間相互作用と,カースト(階級)による分業によって支えら
れているが,相互作用と分業の実体は未解明の課題が多く残されている.社会性昆虫では繁殖様
式の多様化に加え,コロニーという強靭な社会システムに依存したユニークな寄生・共生系や遺
伝システムが次々と発見されており,特にアリ類ではその多様性と意外性は非常に顕著で,進化
の一つの極みに到達しているといえよう.近年,多くの技術革新と分子生物学・ゲノム科学の成
熟により,生態学と周辺分野の垣根は徐々にとり払われてきている.本シンポジウムでは,形態
学,組織学,発生学,化学生態学,分子遺伝学など,分野横断的な切り口からアリ社会の多様性
を捉え,異分野の研究者の交流から新たな視点を模索したい.
The most impressive characteristics of social insect is an inter-individual interaction and a division of
labor by diverse forms of castes. Although traditional ecological and behavioral studies have elucidated
surprising facts, there are still plenty of unresolved issues on the nature of social interaction and
division of labor. In addition, more and more novel social structures, reproductive genetics, and
host-symbiont relationships that have evolved under robust colony systems, are being discovered.
Among them, ants have evolved the amazing diversity in their social biology. Development of modern
techniques, especially that of molecular and genome biology, have lowered the study hurdles for
ecologist, and enabled us to apply multidisciplinary approaches. In this symposium, we challenge to
dissect the ant diversity by various approaches, including morphology, histology, development,
chemical ecology, molecular genetics and comparative biology, and try to find a synthesis by
multidisciplinary approaches.
伊藤文紀(香川大)/ Fuminori Ito (Kagawa Univ.)
東南アジア熱帯産ナミバラアリ属における兵アリの特異な行動
Novel behavioral characteristics of major workers in the Oriental
endemic genus Acanthomyrmex
宮崎智史(富山大)/ Satoshi Miyazaki (Univ. of Toyama)
カドフシアリにおいて二次的に進化したカーストのモジュラーで異時的な発生過程
Modular and heterochronic development of the caste secondarily evolved in Myrmecina nipponica
後藤彩子(基生研・琉球大)/ Ayako Gotoh (NIBB, Univ. of Ryukyus)
社会性膜翅目昆虫におけるメスの精子貯蔵器官「受精嚢」の形態進化
Evolution of spermatheca morphology in social Hymenoptera.
岡田泰和(岡山大)/ Yasukazu Okada (Okayama Univ.)
全能性を持つ個体間における分業の成立:分子基盤からのアプローチ
Making of a division of labor among totipotent individuals: insight from molecular approaches.
北條賢(琉球大)/ Masaru Hojo (Univ. of Ryukyus)
シジミチョウーアリ共生系におけるパートナー認識機構
Partner recognition in a lycaenid butterfly-ant mutualism
岡本美里(金沢大)/ Misato Okamoto (Kanazawa Univ.)
ウメマツアリにおける、雌雄間コンフリクトを内在する繁殖様式と性投資戦略について
The potential conflict between sexes over optimal sexual
ant, Vollenhovia emeryi
investment strategy in clonal reproductive
企画シンポジウム(2)
「The evolution of animal societies: generality and specificity of the systems」
企画者:植松圭吾(東大)
使用言語:英語
10 月 16 日(日) 10:00~12:00
生物における社会行動は、ヒトから微生物に至るまで様々な分類群で見られる。しかしながら、
脊椎動物と無脊椎動物といったような分類群を大きく跨いだ議論が為される機会は尐ない。扱う
生物の性質が大きく異なることはその理由の一つだが、同時に互いの研究の理解が乏しいことも
(特に若手では)議論を阻む大きな障壁となっているのではないだろうか。本シンポジウムでは、
霊長類を含む哺乳類と社会性昆虫の若手が自らの研究の魅力を紹介するとともに、それぞれの研
究に固有の問題・共有できる問題に関して整理・議論したい。
Social behavior is found in various taxa from microbes to humans. However, there are few
opportunities to have discussions among people who are studying distant taxa, particularly among
young researchers. This is not only because of difference in research interests but because of
insufficient understanding of one another’s studies. A breakthrough is often brought through the
efforts to the understanding of an unfamiliar field. This symposium will bring together young
researchers studying primates, carnivorans, and insects, make clear the commonalities and specialties
of the social systems, and provide insights into an understanding of the evolution of complex animal
societies.
的場知之 / Tomoyuki Matoba (Department of Life Sciences, University of Tokyo)
Understanding the diversity of social systems in Carnivores
下地博之 / Hiroyuki Shimoji (Kagoshima University)
Social enforcement depending on group size in eusocial Hymenoptera
山本真也 / Shinya Yamamoto (Primate Research Institute, Kyoto University)
Evolution of altruism, reciprocity, and cooperation: suggestions from chimpanzees and
bonobos
植松圭吾 / Keigo Uematsu (Department of General Systems Studies, University of Tokyo)
Post-reproductive altruism in social aphids: a new route of social evolution in insects
企画シンポジウム(3)
「遺伝的変異から見えてくる害虫管理」
企画者:世古智一
(近中四農研)
使用言語:日本語
10 月 16 日(日) 10:00~12:00
発生した害虫がどこからやってきて、今後どのような過程を経て被害を拡大していくのかを予測
するには、集団遺伝学的手法を用いた遺伝的変異の解析が有効である。特に近年、日進月歩の分
子生物学的手法が取り入れられたことによって、過去に起きた個体数の増減や集団の分化・融合
を知り、現在そして未来の個体群動態の振舞いを予測することが可能となってきた。遺伝的変異
の解析は、これまで問題にならなかった害虫の急速な分布拡大をもたらした要因や、薬剤抵抗性
の遺伝子が拡散する過程等の解明において、これまでの伝統的な生態学の手法では得られない情
報を提供する。また害虫だけでなく、放飼天敵が土着個体群と交流することによる生態リスクを
評価するにも、遺伝的変異の情報は役立つ。本企画シンポジウムでは、重要害虫や有望天敵を対
象に個体群の分化や遺伝的交流を理解し今後の個体群動態を予測するような研究を行っている
研究者に話をしてもらう。
世古智一(農研機構近畿中国四国農業研究センター)
イチモンジセセリの繁殖形質における個体群間変異:発生動態の地域間差異との関連性
小林徹也(農業生物資源研究所)遺伝的多様性からみた斑点米カメムシの被害拡大の過程と要因
上杉龍士 (農研機構野菜茶業研究所)
ナミハダニの遺伝的構造からみた個体の移動性と殺ダニ剤抵抗性拡大の関係
日本典秀(農研機構中央農業総合研究センター)害虫管理における天敵利用と個体群管理
公募シンポジウム(2)
「外来生物の侵入と拡大-植物保護の最前線-」
企画者
浦野知(ペコIPMパイロット)、守屋成一(中央農総研)
10月16日(日) 10:00~12:00
近年、日本と海外とのあいだの物流量の増加とともに、様々な有害動植物の侵入圧が大きくなっ
ており、厳しい監視の目をかいくぐって国内に侵入する種が増えつつある。農業作物と農地に有
害な侵入種については、発見後、生産者、行政機関、地方自治体、研究機関、農薬会社、農業資
材会社など、様々な関係者が協力して、その防除と分布拡大阻止に努めている。未侵入地への定
着・増殖・分布拡大メカニズムには未知の部分が多く、対策づくりの壁となる一方、これらは、
繁殖と分散、ニッチ獲得や 環境抵抗などダイナミックな生態学的問題として、基礎研究の格好
のテーマでもある。多くの関係者の情報ネットワークによって、全国レベルの長期データが得ら
れることも研究題材として魅力的である。本シンポジウムでは、侵入の危惧される未侵入種と、
ただいま拡大中の侵入害虫チャトゲコナジラミ、ミツユビナミハダニおよび外来雑草について最
新の応用研究を紹介する。
佐藤雅・時広五朗(横浜植防)
輸入検疫発見トレンドから見る侵入警戒害虫について
佐藤安志・上杉龍士(野茶研金谷)
チャトゲコナジラミの侵入の経過と対策
後藤哲雄(茨城大・農)
既存天敵が効かないミツユビナミハダニの侵入と拡大
浅井元朗(中央農総研)
外来雑草の非意図的導入と耕地への侵入・拡散
企画シンポジウム(4)
「寄生生物の進化と多様性~楽しい共生から怖い感染症まで~」
企画者:五箇公一(国立環境研究所)
使用言語:日本語
10月16日(日) 13:30~16:30
全ての動植物は何らかの微生物の寄生を受けている。これら微生物は、宿主と平和に共生するも
のもあれば、宿主に重大なインパクトを与える有害なものまで様々なかたちで生きている。その
背景には、寄生生物と宿主生物との間で繰り広げられてきた共進化の歴史がある。共生生物は「い
いやつ」で、寄生生物は「悪いやつ」という、人間的な価値観でレッテルを貼られることが多い
が、寄生生物とて、内なる捕食者・天敵として、生態系ピラミッドのバランスを保つという重要
な機能を担ってきた、立派な生物多様性のユニットとして捉えられる。
近年、様々な新興感染症・再興感染症が人間社会や野生生物で深刻な衛生問題とされるが、こ
うした感染症の蔓延は、病原体自身が問題なのではなく、自然界における宿主-寄生生物の共進
化の歴史をかく乱している人間活動に原因があると考えられる。自然環境が破壊され、宿主生物
が移送されることにより、寄生生物はその生息場所を失い、宿主転換を図り、人間を含む生態系
に対して重大な被害を及ぼさざるを得なくなっている。自然共生という言葉が唱われて久しいが、
寄生生物との共生をはかり、人間の安全で健康な生活を守るためにも、寄生生物の進化的重要単
位 ESU を重視するという視点も必要だと考えられる。
近年、Empirical なデータに加え、分子遺伝学や数理モデルの進歩により、寄生生物の進化に
関する新しい知見が次々と明らかにされている。本シンポジウムでは、講演者の皆様方に目に見
えない生物の多様性とその進化の妙を、様々なテーマと材料から掘り下げて紹介して頂き、寄生
生物と人間の関係のあり方について議論を展開できればと考えている。
五箇公一(国立環境研)今、なぜ、パラサイトか?
~イントロに代えて
岡部貴美子(森総研)楽しい共生~ハチとダニの不思議な関係
棚橋薫彦(産総研)楽しい共生~クワガタが運ぶ酵母
杉山誠(岐阜大)恐い寄生?共生?共進化と人獣共通感染症、そのリスク管理
大沼学(国立環境研)恐い?共生〜鳥インフルエンザウィルスモニタリングの最前線
佐々木顕(総研大)宿主−寄生生物の共進化におけるモデルの最前線
企画シンポジウム(5)
「森林害虫の長期広域調査データを個体群研究に応用する」
企画者:山中武彦(農環研)、加賀谷悦子(森総研)
使用言語:日本語
10月16日(日) 13:30~16:30
森林は、日本の国土の約 70%を占め、生態系の重要なコンポネントとなっている。ここには、
様々な昆虫が生活しており、中には突如として害虫化し、厖大な森林面積を枯死・壊滅させてし
まう種もある。森林は面積が広大で、様々な利害関係者によって管理されているため、戦略的な
広域防除が行われることはまれであり、被害が収束するのを待つしかないのが現状である。
このように一度、暴発してしまうと手が付けられない森林害虫ではあるが、逆に面的に広がる森
林で連続的に被害を拡大し、人間による防除などの干渉を低く見積もることができるため、生物
の移動拡散ダイナミクスを研究する上で、格好の材料を提供してきたといえる。本シンポジウム
では、国内外の大発生型森林害虫の長期広域調査データを概観し、最新の解析技術について紹介
する。
山中武彦(農環研)or 加賀谷悦子(森総研)
趣旨説明+森林害虫データの特徴と個体群解析の発展 General introduction
加賀谷悦子(森総研)松枯れ・ナラ枯れの被害拡大と遺伝解析
山北剛久(東大)松枯れ、感染動態が被害拡大に与える影響の解析
近藤洋(森林総研九州)ナラ枯れ、被害予測マップの構築
山中武彦(農環研)状態空間モデルを使ったナラ枯れ分布拡大様式の解明
コメンテータ
富樫一巳 (東大)
企画シンポジウム(6)
「個体ベースで考える集団の争い」
企画者
上原隆司(静岡大)・秋田鉄也(総研大)
10月16日(日) 13:30~16:30
使用言語:日本語
個体の集合である集団の振る舞いを見るにあたっては、各個体がどのように振る舞っているかを
見ることが重要である。しかしながら、その理論的なアプローチにおいては、数学的扱いやすさ
のために個体の振る舞いではなく集団平均や分布の振る舞いをモデル化する方法がしばしば用
いられる。本シンポジウムでは、個体の振る舞いを直接記述することによって、集団の振る舞い
を理解するアプローチしている方々にそれぞれの研究について紹介して頂く。個体間の争い、集
団間の争い、個体と集団をつなぐボトムアップ効果、およびトップダウン効果などに着目し、個
体レベルの振る舞いが集団構造や集団全体の振る舞いにどのように影響するのかについて考え
ていきたい。
上原隆司(静岡大学工学部)
タカハトゲームで考えるグループ内での協力とただ乗り
笠田実(東京大学総合文化研究科)2重のジレンマゲームからのアプローチ
瀧川裕貴(総合研究大学院大学先導科学研究科)
個体によるベイズ学習が順位制の成立に与える影響
高須夫悟(奈良女子大理学部)個体の視点から組み立てる個体群動態モデル
企画シンポジウム(7)
「形態測定学と生態学の融合:生物進化を考えるインターフェース」
企画者:高橋一男(岡山大)・立田晴記(琉球大) 使用言語:日本語
10月16日(日) 16:40~19:10
形態測定学は対象物の形状(シェイプ)とその変異を定量化する方法論を取り扱う研究分野を指
し,人類学や古生物学など様々な分野で活用されてきた.かつては任意の距離や角度といった形
態パラメータを用いてこれらの定量化が行われていたが,パソコンの普及と多変量統計学の成熟
により,この 20 年間で理論的・実用的に大きな発展を遂げた.近年では分類学的利用の他,発
生遺伝学との融合研究が実施されており,利用者のアイディア次第でその利用可能性は更に拡が
って行くと予想される.
本シンポジウムでは,多変量形態測定学、幾何学的形態測定学といった道具を活用し,とりわ
け生態学分野における諸問題の解決に取り組んでいる演者に方法論の紹介を交えながら成果を
発表いただく.ベテラン研究者はもとより,これまで形態測定学に触れたことのない聴衆にも分
かりやすい解説を心がけ,形態測定学的アプローチの適用可能性や将来性についても議論したい.
田辺力(熊本大教育)
・曽田貞滋(京大院理)ヤスデ類交尾器における複雑な雌雄間共進化
高橋鉄美(京大理)夫婦は似てる?似てない?ある一夫一妻魚のはなし
岩田洋佳(東大農) 生物の形を計る、遺伝子を探る、予測する
江田真毅(鳥取大医)
幾何学的形態測定法を用いた遺跡出土動物骨の生態学的研究‐アホウドリ科の事例研究-
企画シンポジウム(8)
「農業生態系における個体群生態学」
企画者:奥圭子(中央農研)
使用言語:日本語
10月16日(日) 16:40~19:10
農業生態系――近頃の個体群生態学会大会では、耳にすることがなくなった言葉ではないだろう
か。ウンカやヨコバイ、カメムシといった農業害虫に関する個体群生態学研究が盛んな時代がか
つてあったにもかかわらず。農業生態系における研究は廃れてしまったのか? いや、そんなこ
とはない。本シンポジウムでは、4名の方に話題提供していただき、農業生態系における研究の
「今」をお伝えする。農業生態系になじみのある方にもない方にもご参加いただき、交流の場と
したい。
奥圭子(中央農研)
趣旨説明
金子修治(静岡果樹研セ)
ニホンアブラバチの羽化個体数を左右する要因:随伴アリ、ギルド内捕食、種間差、季節性
高田まゆら(帯広畜産大)
・高木俊(東大院農)
・小林徹也(生物研)
・吉岡明良(東大院農)
・鷲
谷いづみ(東大院農)
環境保全型水田における広食性捕食者・雑草がイネ害虫に与える形質介在 間接効果の重要性
松倉啓一郎 (九州沖縄農研)
フタテンチビヨコバイの発生量に対する気候条件の解析と発生予測モデルの開発
上野高敏(九大院生防研)
農地における機能的生物多様性と指標種を用いた多様性と農法の評価
コメンテーター 中筋房夫
公募シンポジウム(3)
「食う・食われるにとどまらない捕食者と被食者の戦略」
企画者
平山 寛之(九大・理・生態)
10月16日(日) 16:40~19:10
自然界には被食-捕食の関係が無数に存在する。そうした中で見られる捕食回避戦略や捕食戦略
は実に多様であり、魅力的なテーマとして多くの分類群で研究されてきた。その多くは、ある戦
略がそれをとる個体自身の適応度に与える影響について議論してきた。しかし、その個体は捕食
者(あるいは被食者)や同種他個体、直接には被食-捕食の関係にない種とも相互作用をもち、
生息環境の物理的要因からも影響を受ける。こうした相互作用や物理的要因へ視野を広げること
は、戦略のさらなる理解に寄与する。加えて、この視野の拡張は被食-捕食の関係を個体の適応
度という小さなスケールから、集団の動態や群集構造といったより大きなスケールのテーマへと
発展させうる。本シンポジウムでは魅力的な捕食・捕食回避戦略をもつ動物を研究対象とし、広
い視点で研究を行われている(行おうとしている)方を講演者にお招きし、その重要性と今後の
発展について議論する。
平山寛之・粕谷英一(九大・理・生態)
親と子それぞれのリスクが影響するアメンボの卵寄生回避戦略
鶴井香織(弘前大・男女共同参画)
・本間淳(University of Jyväskylä)
・姫野孝彰(京大院農・
昆虫生態)
・西田隆義(滋賀県大・環境生態)
隠蔽にとどまらない隠蔽色~クラインに表れたトレードオフ ~
吉村友里(九大・シス生・生態)・豊田慎司(九大・生資環)
・粕谷英一(九大・理・生態)
蛇ににらまれた“くさい蛙” 〜ツチガエルの分泌物が捕食者と同種他個体に与える影響
岸田治(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)
両生類の可塑性戦略を多種系で理解する