安全対策基礎データ (2015-01)

<安全対策基礎データ>
トルコ
●犯罪発生状況、防犯対策
1.犯罪発生状況
2007 年以降、トルコ警察は犯罪統計を公表しておらず、直近の統計データは
2006 年中のものとなりますが、同年中に発生した一般犯罪は約 78 万 5,000 件
で、うち窃盗事件が約 35 万 1,000 件と最も多く、全体の 44.8%を占めていま
す。また、凶悪犯罪では、殺人が約 2,600 件及び強盗が約 8,900 件発生してい
ます。日本の人口 10 万人当たりの発生件数と比較すると、凶悪犯罪(殺人、強
盗)の発生率は日本の 3 倍以上となっており、十分注意する必要があります。
また,シリアやチュニジアにおいて日本人が殺害されるテロ事件をはじめ、
ISIL(イラク・レバントのイスラム国)等のイスラム過激派組織又はこれ
らの主張に影響を受けている者によるとみられるテロが世界各地で発生してい
ることを踏まえれば、日本人、日本権益がテロを含む様々な事件に巻き込まれ
る危険があります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等の
不測の事態に巻き込まれることがないよう、渡航情報及び報道等により最新の
治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとと
もに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
2.日本人の被害事例
(1)じゅうたん詐欺(強盗,強姦事例含む)
事例:スルタンアフメット地区(旧市街)で、日本語で話しかけられ、日
本の芸能人にたくさん友達がいると言われ、あるいは、芸能人と一
緒に撮影した写真を見せられて、信用してしまった。その後、食事
をおごられたり、無料で観光ガイドをしてもらったので、じゅうた
ん屋に誘われても断れなかった。最後は高額なじゅうたんを売りつ
けられた。
対策:一部の悪徳じゅうたん店の従業員が、日本人旅行者に日本語で話し
かけ、最初は「単なる親切心から」という風を装って食事をご馳走
したり、市内を案内したりして、恩を売っておき、最後にじゅうた
ん店に誘うことで、日本人が断りにくい状況を作り出しています。
また、まれに銃を見せつけられ、無言の圧力を加えられた例も発生
しています。
彼らの目的は高額なじゅうたんを買わせることなので、どんなに親
切にされても、買う気が無ければ毅然と断りましょう。
購入を考えておられる方は、購入後の返品は困難であることを念頭
において、信頼のおける店で十分納得してから購入することです。
インターネットで被害情報が掲載されている店でないかを、購入前
に確認することをお勧めします。
事例:イスタンブール市内スルタンアフメット地区の特定のじゅうたん屋に
おいて、店内に監禁されたうえ、暴力を振るわれ、強引にじゅうたん
の購入を迫られたり、性的暴行を受けたという被害報告が寄せられて
います。手口は、同地区付近を 1 人で歩いている、特に女性旅行客を
狙って悪質なじゅうたん屋関係者が日本語で声を掛け、多数の日本人
の名刺を見せたり、さも親切そうに観光地を案内したり、食事をごち
そうするなどして警戒心を解かせた上、「近くに良いじゅうたん屋が
ある(トルコで数少ないじゅうたん鑑定士がいる)から見るだけでも
いいから行こう。」などと、言葉巧みに誘い込んだうえ上述のような
行為に及ぶといったものです。
対策:観光地で、日本語等で親しげに話しかけてくる外国人がいても絶対に
気を許さず、相手の下心や自分が犯罪行為や危険に巻き込まれる可能
性を考え、十分警戒して対応しましょう。しつこく話しかけられても
無視して歩き去る、それでも付きまとわれる場合は、近くの人や商店、
レストラン等に助けを求めるなど、きっぱりと拒否する態度を示すこ
とが大事です。
2)じゅうたん詐欺(高額販売及びカード詐欺)
事例:イスタンブール市内スルタンアフメット地区では、じゅうたんの購入
に関する詐欺が発生しています。安いじゅうたんに非常に高い値段を
つけておき、大幅に割り引いたと思わせて売りつけるという手口で、
後日返品を要請しても絨毯は既に日本に送ってしまった、或いは高額
な返品手数料を要求し返品に応じないというものです。
また、クレジットカード払いの場合、支払いの際に読み込み機でカー
ド読み取りが出来ないとして、再度同じカード又は他のカードの提出
を求められ、帰国後にカード会社からの支払い明細書で二重払いが判
明するカード詐欺も発生しています。
対策:信頼のおける店において、十分納得してから購入することをお勧めし
ます。万が一、トラブルになった場合には、ファーティヒ区 ZABITA(市
役所の系列機関、電話 0212-517-0202、住所 Sultanahmet mah. Seyit
Hasan sok、No.3 Sultanahmet, Istanbul(英語可))に相談してくだ
さい。
(3)強姦
事例:夕刻、女性の日本人旅行者が、イスタンブール市内エジプシャン・バ
ザール付近のバス停で腰掛けていた際に外国人男性に話しかけられ、
ちょうど滞在中のホテルへの戻り方がわからなかったので場所を訪ね
たのに対し、案内してくれるとのことでついていったところ、旧市街
ギュルハネ公園沿いの城壁近辺(トルコ国鉄高架下)に連れて行かれ
強盗強姦被害に遭いました。
事例:アンカラ城付近を観光していた女性の日本人旅行者が道案内を申し出
たトルコ人の男2人に、人気のない場所まで連れて行かれ、強盗強姦
被害に遭いました。
対策:観光地で、日本語等で親しげに話しかけてくる外国人がいても、絶対
に気を許さず、相手の下心や自分が犯罪行為や危険に巻き込まれる可
能性を考え、十分に警戒して対応しましょう。しつこく話しかけられ
ても無視して歩き去る、それでも付きまとわれる場合は、近くの人や
商店、レストラン等に助けを求めるなど、きっぱり拒否する態度を示
すことが大事です。
(4)誘拐
事例:日中、在留邦人の女性がイスタンブール市内ルメリヒサール界隈を散
歩中、車を運転するトルコ人に声をかけられ、車内に引きずり込まれ
そうになりました。同女性は、白のバンを運転するトルコ人に追い抜
きざまに声を掛けられ無視していましたが、男は再度バンをバックさ
せて近づき、執拗に声を掛けた挙げ句、犯行に及びましたが、幸い、
他の車輌が通りかかったため男は逃走しました。
対策:人通りの少ない場所を散歩しない、やむを得ない場合でもなるべく単
独行動を避け、目立たない服装で外出されることを心掛けてください。
(5)置き引き・スリ・ひったくり
事例:レストランでトイレに立った際や長距離バスの途中休憩で降りた際
に座席や車内に置きっ放しにした荷物を取られた。写真を撮って欲
しいと頼まれ、カメラをのぞき込んで写真を撮ってあげた後、置い
ていた自分の荷物が無くなっていた。
混雑した人混みで、着衣のポケットやカバンから財布を抜き取られ
た。複数人で取り囲んで話しかけられ、または、物を売りつけられ
ている間に金品を抜き取られていた。あるいは、ケンカを装って故
意にぶつかられ、その間に貴重品を抜き取られた。
対策:犯人は目星をつけて、ターゲットの隙を狙っています。目的地を探
すため路上で地図を見たり、お店で買い物をする時は、身の回りへ
の警戒心がゆるんでしまいがちです。どのような場合でも、貴重品
は肌身から離さず、常に周囲に注意を払うようにしてください。
事例:車やオートバイに乗った人に、あるいは後ろから走ってきた人に追
い越される時に、ショルダーバッグやハンドバッグなどの手荷物を
ひったくられた。
対策:歩道では車道とは反対側の手で荷物を持つようにしてください。
車やオートバイに乗った犯人からひったくられそうになった時に、
荷物を取られまいとしっかり持ったりすると、そのまま引きずられ、
逆に大けが(実際に重傷を負ったケースが発生しています)をする
場合がありますので、ご注意ください。
(6)路上強盗
事例:日本のことが知りたいなどと言って親しく声を掛けられ、人気のな
い公園などに誘い込まれた。すると、待ち伏せていた相手の仲間と
共に暴行を加えられ、金品を強奪された。
対策:たとえ親切にされ、意気投合したとしても、初対面の人を全面的に
信頼し、相手の言うままに行動することは危険です。
また、現金がたくさんあることを周囲に知られると、犯罪の対象に
なるおそれがあります。買い物などでお金を支払う際には、財布の
中身が見えないよう注意してください。
なお、トルコでは許可があれば銃器の所持が認められており、相手
が銃器を所持している可能性もありますので、強盗に遭遇した場合
には決して抵抗しないでください。
事例:早朝、ホテル前でツアー会社のバスを待っていたところ、2人乗りの
乗用車が近づき、被害者が肩から下げていたリュックサックを奪おう
とし、被害者は取られまいとしがみついていたため、そのまま 50m引
きずられ、頭蓋骨陥没という重傷を負いました。
事例:夕刻、ホテルに戻る途中の人通りの少ない通りで、背後に人の気配を
感じた瞬間、鞄を取られそうになり、奪い合いになった際、犯人が
突然手を離したため、その反動で後頭部を強打する重傷を負いまし
た。
対策:ひったくりから強盗傷害に発展するケースが増えています。肩から掛
けるタイプの鞄は、従来は斜めがけが推奨されてましたが、ひったく
られた際、ひきずられて大怪我に発展する恐れがあるので斜めがけは
避け、貴重品は持ち歩かないよう心掛けてください。夜間や早朝の外
出は極力避け、外出する場合は近距離であってもタクシーなどの乗り
物を利用するといった対策が必要です。こうした犯罪は、凶器を持っ
ている可能性が高いので、不幸にして被害に遭った場合は生命を第一
に考え、抵抗しないことが大切です。
(7)タクシー料金の不法請求
事例:流しのタクシーに乗って、目的地の地図を見せたが、近距離にもかか
わらず、イスタンブールの道路事情を知らないために、ここは一方通
行だとか言われて遠回りをされ、最後に高額な料金を請求された。あ
るいは、目的地に着いたらメーターの料金表示が消えており、不当な
額を請求された。
仕方がないので、請求額である45リラを払おうとして、50リラを
渡したら、これは5リラだと言われて、更に40リラを払うように言
われて口論になった。
対策:流しのタクシー(特にドアの部分にタクシーの所属会社の名前が書か
れていないもの)は利用せず、必ずホテル前やタクシー乗り場にいる
タクシーを利用し、タクシーの車両番号を控え、その様子を運転手に
も分かるようにすることも有効です。また、50リラ紙幣と旧5リラ
紙幣は色が類似しているため言いがかりをつけられやすく、支払いの
際は注意が必要です。事例:時間的に5分、料金的には5リラとかからない
場所まで 50 分かけて連れて行かれた上に 45 リラという法外な料金を
請求され、更に、支払い時に差し出した 50 リラ札に対し、5リラ札し
かもらっていないとしてすり替えて突き返され結局、更に 45 リラを支
払わされたというような事案が発生しています。また、外国人だけを
乗車させた上、料金メーターを作動させずに法外な料金をユーロ通貨
のみで支払うよう強要したり、メーター機器に細工を施し、料金表示
の上がる度合いが不正に変更されているケースもあります。
対策:タクシー乗り場やホテルから乗るようにし、流しのタクシーには乗ら
ないように心がけてください。どうしても流しを利用する必要がある
時にはタクシーのドア部分に所属タクシー会社が表示されている車輌
は比較的安心できる目安の一つとなります。万が一、被害にあった場
合にはタクシー車輌ナンバーを書き留めたうえでひと気のあるところ
に駐車させ、警察に行こうと運転手に冷静に求めてください。警察に
よれば被害にあった場合には被害届を出すと共に、タクシーの車両ナ
ンバーを通報して欲しいとのことです。
(8)キャッシュカードのスリ
事例:イスタンブール市内スルタンアフメト地区所在のATMでクレジット
カードによるキャッシングをしようとした際、背後に人の気配を感じ
たので振り返ったところ、2人の男が居て話しかけてきた。自分がA
TMの操作がわからないので教えてあげようと思っているのだろうと
思い、そのまま操作を続けたところ、暗証番号を入れても画面が進ま
ず、結局カードも戻って来なかった。30 分後、カード会社に連絡した
ところ、既に限度額一杯まで数回に亘って引き下ろされていた。
対策:1人が話しかけて被害者の注意をそらしている隙にもう1人がカード
をATMから抜き取り、被害者が入力する暗証番号を暗記した上で他
のATMでキャッシングする方法ですので、ATM利用の際には、前
後左右に不審者がいないか確認したうえで行うよう心掛けるととも
に、ATM操作中は話しかけられても操作が終わるまでは相手にせず、
暗証番号は見られないように注意してください。
(9)ぼったくりバー
事例:夕方や夜間、スルタンアフメット地区やタクシム地区を一人で歩い
ていたら、日本が好きだという外国人旅行者(自称)に親しげに声
を掛けられて会話が弾んだ。すると、「自分の知っている店がある
から一緒に飲みにいこう」と誘われ、タクシーで連れて行かれた。
店に入ると女性が隣に座って接客に当たり、一緒に飲食をしたが不
安になって帰ろうと思った。いざ支払いになると、数十万円相当の
金額を要求され、外国人(当然、店の仲間)も仕方がないよと割り
勘での支払いを要求された。または、支払いを渋ったら別室に連れ
て行かれ、大柄で強面の男達に囲まれてしまい、支払わざるを得な
かった。あるいは、所持金が無いと言ったが、クレジットカードで
の支払いを強要された、店外のATMで現金を引き出させられた、
更には、ホテルの部屋まで監視が付いてきたので、仕方なく支払っ
た。
対策:一番の対策は、知らない外国人(トルコ人を含む)からの怪しい誘
いには絶対に乗らないことが重要です。被害者が後で警察に訴えた
としても、営業許可や料金表は監督機関から認められたものを用意
しているほか、被害者が実際に飲食をしている様子やクレジットカ
ードを使って自ら支払った様子を店側はビデオに撮影していますの
で、被害に遭ったとの説明が難しくなります。
また、いったん支払っておき、後でクレジットカードを勝手に使わ
れたとか、騙されて高額な引き落としをさせられたとカード会社に
申告すれば、請求は免除されるだろうと考える方もおられますが、
店側はビデオを証拠として用意しますので、それも困難です。
事例:欧州出身の旅行者などと名乗り、親しげに近寄り「一緒に飲みに行こ
う」と話しかけ、店に入るとホステスが来て頼んでもいないシャンペ
ンを開けたり、本人が殆ど飲食しない場合でも法外な料金を請求され、
抵抗すると大柄な男が出て来て脅されるといった事案が発生していま
す。手持ちの金がないと言うとクレジットカードでキャッシングする
よう強制され、大柄な男に最寄りのATMの場所まで連れて行かれる
という手口です。声を掛けてきて一緒に店に入った者も被害に遭った
ように見せかけていますが、実は店側とグルになっているのが実状で
あり、邦人渡航者がクレジットカードを取られ 80 万円相当額を引き出
された例もあります。
対策:2008 年 6 月、警察当局により違法業者が多数逮捕されましたが、それ
以降も被害報告があります。見知らぬ者や客引きを安易に信用せず、
毅然とした態度で断る勇気が必要です(片言の日本語と笑顔で近寄っ
て来ます)。イスタンブールのスルタンアフメット地区やタクシム地
区イスティクラール通りの他、シシリ地区の旧ガラタサライ・サッカ
ー場界隈でも頻発していますので注意してください。
(10)高額現地ツアー
事例:スルタンアフメット地区を散歩していると、カッパドキアやパムッカ
レなどの国内各地への格安ツアーはいかがですかと声を掛けられた。
話を聞いてみると、非常に安い値段で移動のバスやホテルを提供して
くれているので申し込んだが、実際にツアーに参加してみると、路線
バスに乗せられて、ホテルもとんでもなくひどいものだった。
対策:国内各地へのツアーに参加する場合は、事前に日本から信用のある業
者を通して予約するか、当地で申し込む場合でも、呼び込みや業者の
説明を鵜呑みにするのではなく、複数の業者をまわって比較し、その
内容に納得した上で参加することをお勧めします。ツアーに参加した
後に、その内容がひどかったと言って返金を求めても、業者はそれに
応じません。
また、あるツアーへの参加が既に決まっている場合でも、自社のツア
ーに振り替えようと、あなたの参加するツアーはいくらだ、うちはも
っと安い値段で同じものを提供できると言ってくる業者もおり、それ
を鵜呑みにしたところ、質の低い内容に不満を持ったという例もあり
ますので、注意が必要です。
事例:イスタンブール市内、特に観光客が多く集まるスルタン・アフメット
地区には、トルコ国内外へのツアーを提供する旅行会社が多数ありま
すが、それらの中には、路線バスのチケットや安ホテルの予約をした
だけで「観光ツアー」と称して高額な代金を請求する悪徳業者もあり
ます。支払いを済ませた後でツアーに参加し、内容の酷さから返金を
求めても業者は返金に応じません。
対策:現地催行ツアーに参加される場合は、事前に日本から信用のある業者
を通して予約されるか、一業者の説明をうのみにすることなく、複数
の業者をまわり、内容をよく確認し、納得した上で参加されることを
お勧めします。
(11)空き巣
事例:シシリ区、ベシクタシュ区等のアパート(ガードマンがいない建物)
において、出勤中、或いは、長期休暇で帰国中、空き巣被害が発生し
ています。手口は、玄関ドアの鍵を破壊(鍵の芯を折る)して侵入し、
犯行後は被害者宅の衣類等でドアノブ等の指紋を拭き取るというもの
です。長期休暇中に被害にあった方は、室内は全て荒らされ、電気は
点灯、窓は開放されたまま、被害者のスーツケースまでも利用し盗品
を運搬した形跡がありました。
対策:犯人はいきなり犯行に及ぶものではなく、犯行のし易い物件を探すべ
く建物の構造及び居住者の動向を注意深く探っています。夜間外出時
でも電気を付けておく、或いは、信頼できる近所の方に外出する旨声
を掛ける等日頃より防犯対策を意識してください。なお、鍵を破壊す
る手口は新手のものですので、ドアの鍵は折れにくい材質のものに替
えるようお勧めします。
(12)睡眠薬強盗
事例:街中の路上、カフェ、モスク等で英語や日本語で日本人旅行者に言葉
巧みに話しかけ、自身も旅行者を装いしばらく行動を共にして(2~
3日同行した例もあります)油断させた後、ジュース、ビールやその
他の酒、サンドイッチやクッキー、ヨーグルト等に強い睡眠薬を混ぜ
た飲み物や食べ物を勧め、眠らせた後で貴重品を盗むものです。
対策:たとえ目の前でクッキー等の包みを開封しても事前に注射針などで睡
眠薬が混入されている場合がありますので、決して安心してはいけま
せん。強力な薬が使用されている場合が多く、飲食した数分後には意
識を失ってしまい、病院で胃洗浄などの治療を要する上に回復までに
は2~3日かかります。2002 年には死亡事件にまで発展しており、
2004 年は山中に置き去りされるなど4件、2005 年は6件、2006 年は
13 件発生しています(殆ど単独旅行者が被害にあっています)。2006
年7月に容疑者が逮捕された以降の被害報告はありません。単独犯で
あったものと思われますが、今後、同様の手口を模倣した第2、第3
の睡眠薬強盗が現れる可能性も否めませんので、引き続き注意が必要
です。こうした被害に遭わないためには、ホテルやレストラン以外で
の飲食は行わないことを徹底し、見知らぬ人から飲食物を勧められて
も毅然とした態度で断る勇気が必要です。
●出入国に関する留意事項
(最新の情報については、駐日トルコ大使館(電話:03-6439-5700)やトルコ
観光局日本語ホームページ(http://www.tourismturkey.jp/index.html )等で
確認してください。)
1.査証(ビザ)
日本とトルコの間には査証免除取極があり、観光や会議への出席などを目的
とする3か月以内の短期滞在については査証不要です。また、2012 年2月か
ら滞在許可証(イカメット)の発給を受けない短期滞在者の 滞 在 期 間 は
「 180 日間内で合計 90 日間を超えないものとする」と改定されています。
90 日の滞在期限前に一旦トルコから出国し再入国しても、上記 180 日間内に
合計 90 日間を超えての滞在はできないので、上記期間を超過して滞在する
予定の方は、各県警外国人課にて滞在許可証の発給を受け るか、駐日トル
コ大使館にて査証を取得し、入国後1か月以内に各県警外国人課にて滞在
許可証を申請するよう留意してください。
渡航目的が就労、留学などの場合や3か月を超えて滞在する場合には、査証
が必要となります。査証は日本又は第三国にあるトルコ大使館、総領事館に申
請して取得することになりますが、通常、申請から取得まで時間を要しますの
で、あらかじめ時間的余裕をもって申請する必要があります。滞在期間も関係
省庁の審査により決定され、申請どおりに取得できない場合もあります。なお、
空港や国境で就労や留学に関する査証の取得はできません。
2.滞在許可
査証を取得して入国した場合、入国後1か月以内に滞在許可証を申請する必
要があります。申請は、各県警察本部外国人課に赴き、必要書類を提出して行
います。各県の滞在許可証発行事務には少なからず差異があり、許可取得まで
相当期間を要する場合もあります。また、子供も取得する必要があります。
滞在許可証を取得せずに滞在していた場合、不法滞在として扱われ、罰金等
の処罰が科され、場合によっては国外退去処分を受けることがあります。
3.外貨申告
外貨の持込みに関しては特に制限はありません。ただし、合計 5,000 米ドル
相当以上のトルコ通貨や外貨を持ち出すことは禁じられています。米ドル、ユ
ーロの両替は、銀行、主要ホテル、両替所にて容易に可能です。トラベラーズ
チェックによる両替が可能な場所は、トラベラーズチェック発行会社と提携し
た銀行の特定支店等、非常に限られるため一般的ではありません。イスタンブ
ールの観光客が多く訪れる地区では日本円の両替も容易ですが、その他の都市
では日本円の両替可能な両替所はごくわずかしかありません。
4.通関
持込み禁止品としては、銃器、火薬類、麻薬、覚醒剤、ポルノビデオ・雑誌
などが挙げられます。また、芸術・美術品(手製のじゅうたんを含む)等の持
出しには当局の許可が必要です。
長期滞在者は入国時にテレビ、ビデオデッキ、ラジカセ等の電気製品類、骨
董品、高級じゅうたん等を持ち込む場合、申告する必要があり、パスポートに
記録され、持ち出しが義務付けられます。
5.骨董品の国外持ち出し禁止
骨董品の国外持出しは禁止されており、罰金又は4年から 10 年の懲役刑が科
されます。一般の土産店等で骨董品らしき物品を購入する際には注意が必要で
す。
●滞在時の留意事項
1.身分証明書(パスポート又は滞在許可証)の携帯
滞在許可証を取得した場合は、身分と合法的滞在を証明するものとして常時
携帯することが義務づけられています。また、記載事項に変更が生じた場合に
は、同許可証に記載されている注意書きに従ってこれを届出する必要がありま
す。
3か月以内の短期滞在で滞在許可証を取得していない場合は、パスポートを
常に携行する必要があります。日本人旅行者が検問でパスポート不携帯が露見
し身柄を拘束され罰金が課された事例もあります。
2.写真撮影の制限
軍や警察関係施設での記念撮影等はあらかじめ許可を得る必要があります。
許可を得ないで撮影しているのを発見された場合は、逮捕・勾留されることも
あります。また、要人の滞在するホテルの周辺など特別な警備が施されている
場所では,警察官から撮影を禁止される場合もあります。博物館や美術館での
撮影は、あらかじめ施設管理者に確認してください。
3.各種取締法規
(1)薬物犯罪
トルコは、欧州や中東産油国への薬物密輸のルートとなっているため、薬物
犯罪のための厳しい取締りが行われています。薬物の不法所持には厳罰が科さ
れます。
薬物犯罪に巻き込まれないためには、誘いかけには絶対に興味を示さないこ
と、他人から日本や他国への荷物の運搬を頼まれても絶対に引き受けないこと
などの注意が必要です。
なお、鎮静剤等の医薬品で麻薬類の成分を含有するものを入国の際に持ち込
む場合には、嫌疑を避けるため、医師の診断書・使用許可証等を持参すること
をお勧めします。
(2)不法就労
就労査証を取得しない就労者は不法就労として扱われ、国外退去処分などを
受けます。
(3)外国人の政治活動
一般的に反国家的な政治関係出版物・活動,政治犯に対する取締りは厳しく、
過去、禁止された宗教団体のメンバーと接触した日本人留学生が当局から監視
されたケースや政治団体事務所を訪問した日本人旅行者が当局より質問を受け
た事例があります。
デモなど示威行動に対する警察の規制は厳しく、参加者が少しでも警察官に
手を出したりすると放水や催涙ガスを使用して鎮圧に当たることもありますの
で、デモ等には絶対に近づかないでください。
(4)不敬罪
トルコ共和国建国の父、ケマル・アタテュルク初代大統領を冒涜するような
行為(批判,悪口など)は処罰の対象となります。過去に邦人観光客が、小学
校の校庭に設置しているケマル・アタテュルクの胸像の頭部にトマトを載せて
写真撮影したところ、警察に一時身柄を拘束された事例もあります。
4.交通事情
警察の発表によると 2013 年の交通事故総件数は約 130 万件で、死亡者は
3,685 人、負傷者は 27 万 5,000 人となっています。
交通マナーも良いとは言えず、信号無視、一方通行の逆走、猛スピードで乱
暴な運転をする車両が多数見受けられます(特にタクシー、ドルムシュと呼ば
れるミニバス)。事故に巻き込まれないための自己防衛に細心の注意を払う必
要があります。
市街地でも信号機と横断歩道の位置関係がわかりにくい上、明らかに車両が
歩行者より優先しており、道路を横断しようとしている歩行者がいても停止す
る車はほとんどいないので、徒歩による移動の際も十分な注意が必要です。ま
た歩行者自身のマナーも決して良いとは言えず、車両の間を縫うようにして道
路を横断することから,運転の際は注意が必要です。
市街地の道路には、配管工事等の際に掘られた跡がそのまま放置され、凹凸
が散在しているなど状態があまり良くないことから、これらにタイヤを取られ
ないよう、運転には注意が必要です。郊外の道路は、特に照明設備が不十分で
すので、夜間の運転には特別の注意が必要です。
●風俗、習慣、健康等
1.風俗習慣
国民のほとんどがイスラム教徒ですので、イスラム教に対する批判はもちろ
んのこと、宗教論議は行わない方が無難といえます。
食事・服装については、主として農村部や南東部県等、宗教色の強い保守的
な地域では、肌を過度に露出するような服装は控えた方が無難です。また、モ
スク(寺院)など宗教的な施設を訪れる際には、女性は頭にスカーフの着用を
求められます。
飲酒は都市部や観光地では比較的自由で、酒類を提供するレストランもある
ほか、商店でも購入可能です。ただし、飲酒運転、泥酔・めいていするなどの
他人への迷惑行為は処罰の対象となります。
2.国民性
一般的に明るく陽気で、概して親日的と言われています。ただし、トルコで
は「日本人は金持ち」というイメージがあり、日本人が睡眠薬強盗や詐欺の被
害に遭うケースや、高価なじゅうたんの購入を巡ってトラブルになったりする
ケースも多数報告されています。すべての人が親切だとは限らないことに十分
留意する必要があります。
3.衛生事情
夏季には食中毒による腹痛や下痢を訴える人が多くいます。飲用には水道水
を避け、栓の開いていない市販のミネラルウォーターを利用するようお勧めし
ます。また、氷は水道水を使用する可能性がありますので、避けることをお勧
めします。さらに、生野菜は高級レストラン以外では口にしない方が無難です。
なお、客の少ないレストランでは、古い食材を使っている可能性もありますの
で注意してください。
4.病気
(1)市街地では、冬季に空気が乾燥することや、暖房を原因として空気が汚
染されることで、のどを痛めたり風邪をひいたりすることがありますので、注
意してください。
(2)近年、クリミア・コンゴ出血熱による死者が報告されています。クリミ
ア・コンゴ出血熱ウイルスは、マダニによって媒介されるため、主にマダニの
活動が活発となる春から初夏にかけ、又は「特に」黒海沿岸地域で発生してい
ます。観光地や都市部では定期的に薬剤散布をしていますが、草むらや公園の
芝生等を訪問した後は、ダニが体に付いていないか確認することをお勧めしま
す。ダニに咬まれているのを発見した場合は、自分で取り除かず、医師の診察
を受けてください(取り除き方を誤るとダニの一部が体内に残り、そこからウ
イルスが流入して感染するおそれがあるため)。
また、地域によっては野犬が多く、咬まれることで狂犬病にかかる危険性も
ありますので注意が必要です。狂犬病は犬に限らず、猫やキツネ等にも感染す
るので、不用意に動物に触れることは避けてください。
(3)トルコでは 2006 年1月に H5N1 型鳥インフルエンザのヒトへの感染が確
認されました(12 人感染、うち4人死亡)。同年2月以降、感染例は確認され
ていませんが、家きん類や野鳥などとの接触は避けるよう注意してください。
●緊急時の連絡先
◎警察(国内共通):TEL 155
◎交通警察(〃) :TEL 154
◎ジャンダルマ
:TEL 156
◎救急車(〃)
:TEL 112
◎火災(〃)
:TEL 110
◎沿岸警備隊(〃):TEL 158
◎在トルコ日本国大使館 :TEL 0312-446-0500
国外からは(国番号 90)312-446-0500
◎在イスタンブール日本国総領事館 :TEL(0212)317-4600
国外からは(国番号 90)212-317-4600
※在留邦人向け安全の手引き
現地の在外公館(日本大使館・総領事館等)が在留邦人向けに作成した「安
全の手引き」も参照してください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関 2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2306
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3680
○外務省海外安全ホームページ:http://www.anzen.mofa.go.jp/
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp(携帯版)
(現地大使館等連絡先)
○在トルコ日本国大使館
住所:Resit Galip Caddesi No.81, Gaziosmanpasa, Ankara, Turkey
電話:0312-446-0500
国外からは(国番号 90)312-446-0500
FAX:0312-437-1812
国外からは(国番号 90)312-437-1812
ホームページ:http://www.tr.emb-japan.go.jp/index_j.htm
○在イスタンブール総領事館
住所:Tekfen Tower 10th Floor, Buyukdere Caddesi No.209, 4. Levent 34394,
Istanbul, Turkey
電話:0212-317-4600
国外からは(国番号 90)0212-317-4600
FAX:0212-317-4604
国外からは(国番号 90)0212-317-4604
ホームページ:http://www.istanbul.tr.emb-japan.go.jp/index_j.html