低所からの転落災害 ③ タラップ

建設労務安全
20・8 より
低所からの転落災害③
タラップ
H20.9.20
本社安全管理室
タラップは日本語で、オランダ語の「trap(階段)」からきているようです。英語で、はしごは
「ladder」です。タラップは、一般的に「金属製の短い垂直はしご」を指します。建設現場では、タラ
ップは地中梁組立て時など高さ2m以下の個所への垂直に近い昇降に、はしごの代わりに使われています。
安衛法では、「はしご道」、または「移動はしご」の規定が準用すると考えられます。
① タラップを降りる途中、脚部が動き慌てて飛び降り骨折
被災者(鉄筋工36歳、経験15年)は、基礎
地中梁配筋作業を行うため作業場所へタラップ
(高さ1.7m)で降りようとしたところ、
タラップの脚部が動いたため慌てて飛び
降り、右足首を骨折した。
原因
中央部が番線で単管に結束されていたが、
脚部が浮いていた。上部を手摺に結束するか脚部
の滑動防止措置を取っていれば防げた災害。
「はしご道」規定では、転移防止措置が必要
です。
② 法面のタラップを昇る際に足を踏み外し踵を骨折
被災者(普通作業員64歳、経験30年)は、
掘削部の床付作業中に道具が不足したため詰所
に取りに行こうとしてタラップを昇っていた。
その時、足を踏み外して1m転落、右足踵を
強打し骨折した。
原因
タラップを法面に寝かせて設置したため、
踏桟の足がかりの不足と靴底の摩耗、或いは
泥などで滑ったと思われる。
また安全靴ではなく、長靴を着用していたこ
とも、骨折の一因。
③ 移動式室内足場に掛けたタラップから転落し頭蓋骨を骨折
被災者(配管工70歳、経験30年)は、一人で
移動式室内足場(高さ1.85m、別名:セーフ
ティベース)で天井の配管に保温テープを巻いて
いた。作業終了後、タラップを降りる途中、3段
目の踏み桟を踏外し、仰向けに転落。頭部をコン
クリート床面に強打し、頭蓋骨を骨折した。
原因
タラップを固定していなかったので、滑った
か、移動式足場の脚輪が動いたと考えられる。
保護帽のあご紐を完全に締めていなかった
ので転落した際に脱げてしまった。
④ タラップ最下段から降りる際に転倒し足首を負傷
被災者(普通作業員56歳、経験4年)は、部屋上部の
ファンルームでの清掃片付け作業を終え、点検口の壁際の
既設点検用タラップを降りていた。最下段の踏みさん(高
さ95cm)から着地する際に右足を滑らせ、左足をタラッ
プに引っ掛けた状態で後方に転倒、左足首を骨折した。
原因
既設点検用タラップの床面から1番目の位置が高いため、
被災者は飛び降りる状態だったと推測される。
踏み台を設置する等の対策が、考えられる。
⑤ 昇降タラップの3段目から転落し足と手首を骨折
被災者(普通作業員51歳、経験3年)は、地中
梁底部の作業を終えて枠組足場上に架設した通路
へ移動しようとして、昇降タラップを昇り始めた。
3段目(高さ80cm)で足を踏外し、底版コンク
リートに転落、左足大腿部と左手首を骨折した。
原因
午前の作業終了間際に発生した災害です。
被災者は昼食を取るため急いでいたと考え
られます。
10時、昼休み、15時と作業終了前後の時間帯は
災害発生の多い時間帯です。
タ ラ ッ プ の 災 害 防 止 の た め の 注 意 点
はしご道(固定)の点検表をタラップによる災害防止の参考にして下さい。
区分
共
通
点検項目
丈夫な構造か
則556
踏さんは等間隔か(25∼30cm以内、巾30cm以上)
則556
踏さんと壁との間は適当な間隔が保たれているか
則556
はしごの転移防止のための措置は講じているか
則556
はしごの上端は60cm以上突出しているか
則556
長さ4m以上で昇降時にぶれを生じる恐れのあるときは、
中間に支材、控材等を設けているか
鉄
骨
柱
条文
昇降用タラップの固定箇所に脱落欠陥はないか
ロリップ取付用垂直親綱を設け、昇降時にはロリップを
使用するか、安全ブロックを設けているか
次回は、はしごの予定です。
点検