当院における胎児超音波精査のご案内

当院における胎児超音波精査のご案内
妊婦健診のなかでお腹の中の赤ちゃんを観察する方法として胎児超音波検査があります。
どこの産科でも胎児超音波はされていますが、お腹のなかの赤ちゃんをどれくらい詳しく診ているか
については、残念ながら均一でなく施設間の差がかなりあるのが現状です。
当院では流産を何度も繰り返したり、死産を経験された方が多く受診されていますので、お腹のな
かの赤ちゃんに対する不安はとても強いです。自分の赤ちゃんが「元気かどうか?」
「五体満足かどう
か?」「ダウン症でないか?」などいろいろ思いが駆け巡ります。
これらの不安をできるかぎり解消するために、当院では世界最高レベルの超音波機器を 2 台導入し、
胎児超音波のスペシャリスト 2 名が胎児超音波に従事しています。
当院での胎児超音波の特徴を以下に述べます。
当院における胎児超音波検査の考え方と時期について
当院での胎児超音波検査は、一般的な産科の妊婦健診で行われる胎児スクリーニングとは大きく異
なり、子宮内にある胎児、胎盤、臍帯、羊水などを詳細に観察する胎児の精密検査と考えています。
とくに他施設と大きく異なるのは妊娠初期(妊娠 11 週−13 週)より詳細な胎児の精密検査をしている点
と妊娠中期(妊娠 22 週~25 週)において胎児心臓の精密精査を施行している点です。
もちろん上記以外の週数においても胎児の精密検査は行っており、胎児が元気であるか、五体満足
であるかなどを隈無くチェックします。妊婦健診を受けている産科病院で胎児について少し不安な点
があるなどといった場合にも当院で胎児の精密精査させて頂き対応させて頂きます。その場合にはか
かりつけの産科病院の紹介状を持参ください。
① 妊娠初期(妊娠 11 週−13 週)の胎児超音波精密検査
妊娠11週~13週頃に赤ちゃんの首の後ろのむくみがあり、英語ではNuchal Translucencyといい、頭
文字をとってNTと呼ばれています。これはほとんどの場合、生理現象で出てくるむくみで、すべての
赤ちゃんにNTは存在しています。NTそのものは病気を表すものではなく、生理的なものか病的なもの
かはNTを見るだけでは分かりません。
当院では、イギリスのFetal Medicine Foundation という団体のライセンスを取得したNTのエキス
パートがNTの測定を正確に行い、かつNT以外に鼻骨・顎の骨・臍帯血管の数・心臓内の血流・心臓に
流れる静脈管内の血流・臍帯血流・手足の位置などで胎児のチェックを行った上で、胎児の染色体異
常の確率計算を行います。染色体異常の確率計算なので染色体異常を診断するものではありません。
染色体異常の可能性が比較的高い症例を抽出するための検査と考えてください。染色体異常の確定診
断には絨毛検査や羊水検査が必要です。検査の結果で染色体異常のリスクなどを十分説明をさせて頂
き、ご希望の患者様には絨毛検査や羊水検査を施行している施設をご紹介します。
②
妊娠中期 (妊娠 18-20 週、妊娠 24-28 週) の胎児心臓精密検査
当院での妊娠中期の胎児の精密検査は、胎児の全身を隈無く診ることはもとより、胎児の心臓に異
常がないかを厳しくみるようにしています。なぜかと言うと赤ちゃんの先天異常のなかで心臓の病気
がもっとも頻度が高いからです。小さな異常のものまで含めると、出生児の約 100 人に 1 人にみられ
ます。このうち、出生後早期に治療が必要となるものが、出生児 1000 人に4人程度(250 人に 1 人)
みられます。心臓の部屋(心房・心室)の異常、弁の異常、心臓に出入りする血管の異常、これらの
組み合わさったものなどさまざまです。
お腹のなかの赤ちゃんが出生後すぐに急変するような心臓の異常が見つかった場合は、出生前に赤
ちゃんの心臓の病気を管理することができる病院に転院して妊婦健診を受けて頂く必要があります。
出生後に急変して救急車で運ばれるような赤ちゃんをできるだけ減らしたいと考えています。赤ちゃ
んの心臓が見えやすい妊娠 18-20 週もしくは 24 週~28 週頃に検査を行うのが最もよいです。この時
期以外でも検査は行えますが、診断が難しくなることがあります。ただし、非常に診断の難しい疾患
や出生後の変化によってできる病気もあり、診断率は 100%ではないことをご了承下さい。