デシカント除湿空調システムの数値 解析手法 • 1ロータ+冷却装置

デシカント除湿空調システムの数値解析手法
2
除湿の方式
1.冷却式
湿り空気を露点温度以下の物体に接触させ(一般には冷却コイルを用いる),
除湿する。再熱が必要。露点温度が0℃以下では使えない。外気温湿度が高い
ほど高効率。
デシカント除湿空調システムの数値
解析手法
2.圧縮式
空気を等温加圧し凝縮水を除去した後に,減圧する。圧縮に要するエネル
ギーは冷却や加熱に要するものより大きい。
桃井 良尚
3.吸収式
湿り空気を塩化リチウム,臭化リチウム,塩化カリウム,トリエチレングリコール
などの吸収液に接触させることにより除湿する。吸収液の再生が必要。金属腐
食性があり,あまり用いられない。
(大阪大学)
4.吸着式
湿り空気をシリカゲル,ゼオライト,活性アルミナ,活性炭,高分子収着剤など
の固体吸着材に接触させることにより除湿するもの。吸着材の再生が必要。
2012.11.29 日本機械学会環境工学部門NEE研究会第16回講演討論会
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカント空調
従来方式:
冷却することによって水分を凝縮させ,水分を分離させる
デシカント方式: 吸湿材によって水分を除去し,分離する
3
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
4
代表的なデシカント空調システムの構成
• 1ロータ+冷却装置
「デジカント空調システム―究極の調湿システムを目指して」より
「デジカント空調システム 究極の調湿システムを目指して」より
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
5
代表的なデシカント空調システムの構成
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
6
代表的なデシカント空調システムの構成
• 1ロータ+間接気化冷却器
• 2ロータ
「デジカント空調システム―究極の調湿システムを目指して」より
「デジカント空調システム 究極の調湿システムを目指して」より
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカント方式のメリット
・従来方式のように過度に冷却して再加熱する必要がない。
・ロータ中の室分を脱着させる際の温度は,80℃程度であり,
高温を必要としない。
→再生熱に排熱等を用い、消費エネルギーの少ないアフター
クーラーを工夫すればCOP10以上も可能。
・湿度と温度を独立して制御することができる。
・かび、ダニ、細菌の温床とならない。
・フロンを使用しない。
■ 用途と導入目的
・食品スーパー:冷凍,冷蔵ショーケースのコールドアイルの解消
・病院,食品工場:湿度管理によるバクテリア・カビなどの繁殖抑制
・映画館:大量の外気導入による潜熱負荷の処理
・温水プール:快適性の向上,結露防止
7
「デジカント空調システム―究極の調湿システムを目指して」より
「デジカント空調システム 究極の調湿システムを目指して」より
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカント空調システムに関する参考書
■デジカント空調システム
―究極の調湿システムを目指して
究極の調湿システムを目指して
(初歩と実用シリーズ
初歩と実用シリーズ)
初歩と実用シリーズ
ヒートポンプ蓄熱センター低温排熱利用機器調査研
究会 (著
著)
出版社:
出版社 日本工業出版 (2006/12)
発売日: 2006/12
■空気調和・衛生工学 2008年
年8月号
月号 Vol.82 no.8
特集「調湿」
8
9
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
10
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
研究背景・目的
研究動向(国内)
児玉昭雄(熊本大学→金沢大学)
児玉昭雄(熊本大学 金沢大学)
広瀬勉先生。排熱利用デシカント空調システムの開発・高度化、低温度再生技術
デシカント空調システムの性能を決定するパラメータ
・デシカント材の吸放湿特性 ・寸法
・風量
・処理/再生部分割比
・回転数
・再生温度
・空隙率 ・デシカント材の予冷の程度 etc.
稲葉英男(岡山大学)
低温度再生型高分子収着剤、リキッドデシカント、圧縮式冷凍機との複合空調、堀部先生
濱本芳徳(東京農工大学→九州大学)
濱本芳徳(東京農工大学 九州大学)
柏木先生、秋澤先生とともにデシカントローターのモデル化による吸着挙動の解析、
除湿能力の評価
実験で適切な組み合わせを見出すには極めて多くの時間と労力を要する。
デシカントローターの回転を考慮した熱・水分移動の数値解析手法の開発
→デシカント空調機の最適設計
齋藤潔・山口誠一(早稲田大学)
多段階除湿ロータ、リキッドデシカント、ロータの高精度数理モデル
長野克則(北海道大学)
稚内珪質頁岩を用いたデシカント空調の開発
研究フェーズ
①デシカントエレメント内の熱・水分移動現象を定式化し、数値計算のアルゴリズムを検討
②その妥当性を確認するために、計算結果と既往の実験結果を比較
③システム最適化の予備検討として、いくつかのパラメータが除湿性能に及ぼす影響につい
て検討
④計算モデルから簡易に装置出口温湿度を予測する手法を検討
⑤全体システムシミュレーションに入力し、年間効果の予測及びシステムの最適化検討
加藤信介(東京大学)・小金井真(朝日工業社→山口大学)
加藤信介(東京大学)・小金井真(朝日工業社 山口大学)
住宅用バッチ式デシカント空調システムの開発
神戸正純・高塚威(新日本空調)
岡野浩志(西部技研)
11
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカントエレメントのモデル化
12
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカントエレメント内の熱・水蒸気輸送方程式
流路を流れる水蒸気の熱輸送方程式
ερa
u
u
∆z
流路
∂X a
∂X
∂  ∂X  ∂w
= −εuρa a + ε  λa' a  − γ
∂x 
∂t
∂ux
∂x 
∂t
εCa ρa
∆x
u
∆z
流路
デシカント
流路を流れる空気の熱輸送方程式
∂θa
∂θa
∂  ∂θxa 
デシカント
x
(kg/m3s)
∆y
∂t
= −εuρa Ca
∂x
+ε
 − αS (θa − θd )
 λa
∂x  ∂x 
3
(J/m s)
∆x
∆y
デシカント材(固体中)の熱輸送方程式
(1 − ε )Cd ρd ∂θd = (1 − ε ) ∂  λd ∂θd  + Lα' S ( X a − X b ) + αS (θa − θd )
∂t
∂x 
∂x 
脱着式
γ⋅
∂w
= α' S ( X a − X b )
∂t
(kg/m 3s)
w = f ( X a ,θa ) = f ( X b ,θd )
物質移動係数
(kg/kgd ) 平衡含水率曲線
(J/m 3s)
13
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
数値計算のアルゴリズム
• 5つの未知数
Xa
Xb
θa
θd
平衡含水率測定の概要
• 実験装置
・空間の離散化:コントロールボリューム法
・完全陰解法 TDMA(3重対角行列解法)
w
14
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
マスフロー
コントローラー
②制御ユニット
分流式精密湿度発生装置を用いたチャンバー法
(JIS A1475, AIJES-H001-2006)
・流路を流れる空気の水蒸気輸送方程式
ερa
∂X a
∂X
∂  ∂X  ∂w
= −εuρa a + ε  λa' a  − γ
∂x 
∂t
∂x
∂x  ∂t (1)
n+1
仮の X a を求める
③定温空気
供給装置
①恒温槽
・流路を流れる空気の熱輸送方程式
εCa ρa
∂θa
∂θ
∂  ∂θ 
= −εuρaCa a + ε  λa a 
∂x  ∂x 
∂t
∂x
− αS (θa − θd )
測定チャンバー
デシカントローター
n=n+1
仮の θa
(2)
n+1
ポンプ
を求める
ガウスザイデル法
による収束計算で
・デシカント材(固体中)の熱輸送方程式
(1 − ε )Cd ρd ∂θd = (1 − ε ) ∂  λd ∂θd  + Lα' S ( X a − X b )
∂t
∂x  ∂x 
+ αS (θa − θd )
仮の θd
(3)
P
温湿度計
時点を
進める
バブリングタンク
X a n+1 θa n+1 θd n+1
n+1
シリカゲルタンク
X b n+1 wn+1 を確定
を求める
入口側露点計
電子天秤 出口側露点計
・吸脱着式
∂w
= α' S ( X a − X b )
(4)
∂t
w = f ( X a ,θa ) = f ( X b ,θd ) (5)
• 実験条件
γ⋅
線形補間法で(4)、(5)両式を満たす
仮の wn+1 X bn+1 を求める
直径150mm, 厚さ100mm
シリカゲル系ローター
No
収束?
Yes
15
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
• 実験装置
• 質量含水率の定義
材料の質量 m - 乾燥材料の質量 m0
( kg / kgd )
乾燥材料の質量 m0
25 0C,
17.5g/kg’
35℃
25℃ 30℃
0.18
100
40℃
25℃
90%RH
45℃
50℃
80
放湿過程
60
吸湿過程
40
質量含水率 w (kg/kgd)
55℃
吸湿量W (g)
質量含水率 w (kg/kgd)
0.2
0.2
0.18
0.16
0.14
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
0.16 80%RH
0.14
70%RH
60℃
0.12
60%RH
0.1
0.0850%RH
65℃
0.06
70℃
40%RH
20
0.04
30%RH
70℃
0.02
20%RH
10%RH
0
0
0
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
相対湿度 φ (%)
w = f (ϕ ,θ a )
16
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
物質移動係数測定の概要
平衡含水率曲線(吸着等温線)
質量含水率 w =
恒温槽内設定温度:25℃, 70℃
相対湿度:10%~95%
0
0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.1
絶対湿度 X a (kg/kg')
w = f ( X a ,θ a )
25 0C,
5g/kg’
風量: 100 m3/h
17
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
ローター固定時の吸放湿実験と数値解析の比較
測定結果と物質移動係数の同定
0.12
2.10
吸湿量ΔW
0.08
2.08
0.04
2.06
3
α'S (kg/m s(kg/kg'))
吸湿過程
35
30
20
30
時間 (分)
40
γ⋅
50
60
∂w
= α' S ( X a − X b )
∂t
(kg/m3s)
35
θ1
θ2
30
Δθ
25
Δθ
20
θ1
吸湿過程
放湿過程
α’S を未知とし収束計算により同定
θ2
15
25
20
0
15
10
L=
∫C
0
10
20
30
0
時間 (分)
40
10
50
20
19
∂w
= α' S ( X a − X b )
∂t
(kg/m 3s)
ρ a Q∆θ d t
0
時間 (分)
10
20
吸着熱 2.75MJ/kg
水の蒸発潜熱 2.44MJ/kg
脱着熱 2.95MJ/kg >
(at 25℃)
20
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
ローター固定時の吸放湿実験と数値解析の比較
γ⋅
20
Ca:空気の比熱(J/kg℃), ρa:空気密度(kg/m3), Q:風量(m3/s)
60
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
a
10
ΔW
5
0
実験装置
放湿過程
40
2.04
10
25 0C 5.0g/kg’
風量: 100 m3/h
45
放湿過程
0
dw
dt
25 0C 17.5g/kg’
風量: 100 m3/h
空気温度θ a (℃)
2.12
0
dw
• 吸脱着熱
2.14
吸湿過程
0.16
ローター質量 W (kg)
質量含水率 w (kg/kgd)
0.2
dt
18
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
物質移動係数を実験から求める方法
物質移動係数
風量: 104.4 m3/h
25 0C,
9g/kg’
70 0C,
9g/kg’
脱着平衡
12分周期
6分周期
3分周期
2分周期
処理空気の流入条件
再生空気の流入条件
風量
ローターの回転数
150φ×
150φ×100t
100t
温度:
温度: 25 0C
絶対湿度:
絶対湿度: 9.0 g/kg’
温度:
温度: 70 0C
絶対湿度:
絶対湿度: 9.0 g/kg’
104.4m3/h
5, 10, 20, 30 RPH
20
3
ローターの大きさ
α'S (kg/sm (kg/kg'))
25
15
10
5
物質移動係数α' S (kg/m3 s(kg/kg'))
30
16
14
12
吸着
10
8
脱着
6
4
2
0
0
0
60
120
180
240
300
360
0
10
20
30
時間 (s)
回転数 (rph)
40
50
60
21
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
平衡到達率の導入
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
平衡到達率と見かけの湿気伝達率の関係
平衡到達率
(吸着時)
見かけの
見かけの
23
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
ローター固定時の吸放湿実験と数値解析の比較
24
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカントローターの数値解析方法
5・
・10・
・15・
・20・
・25・
・30・
・
35・
・40・
・50・
・60 RPH
計算方法
形状のモデル化
処理空気: 30 0C,
14.7g/kg’
リム
300mm
再生空気温度: 70 0C,
10.7g/kg’
ハブ
x
u
スポーク
デシカントエレメント
処理側
1
C (1)
100mm
2
・・・
i‐1
i
i+1
・・・
C (i − 1) C (i ) C (i + 1)
再生側
∆x
脱着部
風量: 100 m3/h
(風速1.16m/s)
20
C (20 )
脱着部
吸着部
脱着部
吸着部
吸着部
u
25
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
ローター固定時の吸放湿実験と数値解析の比較
26
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
ローター回転時の吸放湿実験と数値解析の比較
計算条件
• ローター通過後の温湿度
表 2.3.4 デシカントロータの数値計算に用いた値
70
デシカントの密度 ρ d =988 (kg/m3)
空気の密度 ρ a =101.3 / { 0.28706 ( θ a +273) (1+1.6078 X a ) } (kg/m3)
水の蒸発潜熱 L =2.85 (MJ/kg)
熱伝達率 α =60 (J/s・m2・K)
湿気伝導率 λ' =0.000032{kg/s・m・(kg/kg’)}
C = 583 + C w ⋅ w
デシカントの比熱 d
(J/kg・K)
空気の比熱 C a =1006 (J/kg・K)
空気の熱伝導率 λ a =0.022 (J/s・m・K)
EA
(RPH)
5
計算値 (kg/kg')
デシカント材の充填密度 γ =289 (kgd/m3)
60
EA
60
50
60
SA
40
0.016
5
0.014
5
0.012
(RPH)
30
30
27
ローター回転時の吸放湿実験と数値解析の比較
60
5
デシカントの熱伝導率 λ d =1.0 (J/s・m・K)
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
(RPH)
0.018
デシカント材表面積 S =2925 (m2/m3)
計算値 (℃)
空隙率 ε =0.71
40
50
60
実験値 (℃)
70
SA
60
0.01(RPH)
0.01 0.012 0.014 0.016 0.018
実験値 (kg/kg')
28
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
各種パラメータが除湿性能に及ぼす影響
• 吸着速度
MRC =ρa Q(X i-X o) (kg/h)
*
表 2.3.7 計算条件
は基本条件
熱伝達率 α(J/s・m ・K)
10*, 20, 40, 80
湿気伝達率 α’(kg/s・m ・ (kg/kg’))
0.0145,0.029*,0.058,0.116
分割比(処理側:再生側)(-)
3:1, 2:1, 1:1*, 1:2, 1:3
流速 u (m/s)
0.5, 1.0*, 2.0
回転速度 Rs (rph)
10, 20*, 30, 40
デシカントロータの厚さ d (m)
0.025, 0.05*, 0.1, 0.2
再生温度 Tdesorp (℃)
60, 70*, 80, 90
2
ρa:空気密度(kg/m3)、 Q:風量(m3/h)、 X i :流入絶対湿度(kg/kg’)、
X o :流出絶対湿度(kg/kg’)
見かけの
2
0.8
MRC (kg/hr)
実験
0.6
0.4
計算
0.2
0
0
10 20 30 40 50 60 70
ロータ回転数 (RPH)
29
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
各種パラメータが除湿性能に及ぼす影響
各種パラメータが除湿性能に及ぼす影響
回転速度(rph)
10
20
40
0
0.05
0.1
0.15
0.2
デシカントローターの厚さ (m)
流速 (m/s)
0.5
1
1.5
50
31
ローター最適回転数の検討
60
70
80
再生温度 (℃)
100
32
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
• 計算方法
R=0.6
0.7
90
デシカントローターの数値解析方法
0.8
30RPH
(2分毎に切り替え)
最適回転数
処理空気温度: 30 0C
処理空気RH:90%
R=0.4
R=0.3
0.6
300mm
実験結果
再生空気温度: 70 0C
再生空気RH:6.4%
0.5
R=0.2
x
0.4
u
0.3
0
最適回転数 (RPH)
0.2
0.18
0.16
0.14
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
0.25
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
吸着速度MRC (kg/h)
再生温度及び流速が除湿量に及ぼす影響
除湿量 (kg/h)
除湿量 (kg/h)
デシカントローターの厚さ及び回転速度が除湿量に及ぼす影響
0.2
0.18
0.16
0.14
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
30
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
10
20
30
40
ロータ回転数 (RPH)
50
60
処理側
1
C (1)
100mm
2
・・・
i‐1
i
i+1
・・・
C (i − 1) C (i ) C (i + 1)
再生側
60
50
40
30
20
10
0
R=0.2
∆x
R=0.3
R=0.4
脱着部
脱着部
吸着部
脱着部
吸着部
R=0.6
風量: 100 m3/h
(風速1.16m/s)
0
0.5
1
1.5
2
通過流速 u (m/s)
2.5
20
C (20 )
吸着部
3
u
33
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカント材料の状態変化
34
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
デシカント材料の状態変化
平衡含湿率曲線
w = f ( X a ,θ a ) = f ( X
0.2
,θ d
b
)
(kg/kg
d
Adsorption
process
)
Desorption
process
0.18
含湿率 [kg/kgd]
0.06
0.14
0.05
脱着部
吸着部
脱着部
0.12
0.04
吸着部
0.03
0.1
0.02
0.08
0.06
x=1
x = 20
0.01
0
120
吸着部
脱着部
0.04
0
5
x = 10
0.02
Moisture content [kg/kg d]
0.07
0.16
10
0
60
Time [s]
0
0 6.4%
0.1
0.2
0.3
0.4
0.5
0.6
相対湿度
0.7
Adsorption
Process
u
0.8
90%
0.9
1
・・・ i ‐1
C (1)
C (i - 1)
Depth x [mm]
1
i
i+1
C(i )
C (i +1)
・・・
20
u
u
Adsorption
Process
C (20)
Desorption
Process
1
C (1)
・・・ i ‐1
C (i - 1)
i
i+1
C(i )
C (i +1)
湿り空気の状態変化
36
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
出口空気の温湿度の予測方法
デシカントローターの性能として必要なのは
処理側出口(SA)の温湿度
Desiccant Wheel
脱着部
吸着部
OA
EA
SA
脱着部
RA
EA
Output
TEA , XEA
Input
TRA , XRA
RA
OA
Input
TOA , XOA
Output
TSA , XSA
SA
吸着部
Parameter
ε F1 , ε F2
脱着部
吸着部
u
Δx
35
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
SA
RA
20
C (20)
Desorption
Process
Δx
OA
EA
・・・
37
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
除湿係数の定義
38
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
除湿係数の定義
F1RA=-0.36
EA (Ideal)
エンタルピーに関する除湿係数
EA (Ideal)
相対湿度に関する除湿係数
F1SA
Actual process
6
8%
0.020
EA
F10 OA=-0.45
OA
50
0.015
40
6%
A
1O
ASA
1O
0.010
F
4%
-
Ideal process
20
F2 =
T 1.490
−1.127X 0.07969
6360
15%
10%
20
%
30
%
40
%
0.025
Ideal process
70
8%
0.020
Actual process
60
F2
SA -
F2
EA
OA
50
OA
F2
0.015
RA -
F2
40
RA
F
RA
F1
εF1 は、0に近いほど理想状態
は、 に近いほど理想状態30
80
OA
6%
RA
F2OA=-0.025
SA
εF2 は、1に近いほど理想状態
は、 に近いほど理想状態30
0.010
4%
Ideal process
A
S
F1
20
10
10
0.005
SA (Ideal)
2%
絶対湿度(kg/kg')
Absolute
humidity [kg/kg’]
Ideal process
70
90%
80
%
70%
60
%
50
%
10%
ε F2
F 2 SA − F 2 OA
=
F 2 RA − F 2 OA
Spe 比エ
ci fi ン タ
ce ル
nthピ
alー
py(k
[Jk/Jk
/gkDg
A’])
15%
20%
30
%
Relative humidity [%]
0.025
絶対湿度(kg/kg')
Absolute
humidity [kg/kg’]
2865
F1 = − 1.490 + 4.344X 0.8624
T
40
%
80
Spe 比エ
ci fi ン タ
ce ル
nthピ
alー
py(k
[Jk/Jk
/gkDg
A’])
ε F1
90%
80
%
70%
60
%
50
%
Relative humidity [%]
F 1SA − F 1OA
=
F 1RA − F 1OA
0.005
SA (Ideal)
2%
F2SA
F2RA=0.19
0
10
20
30
40
50
Temperature
[degC]
温度(℃)
60
0.000
80
70
0
39
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
実験及び数値計算法から算出した除湿係数
1
F1=1=-0.36
15%
10%
εε
F2
70
ε [-]
20%
%
30
%
0.8
0.025
8%
0.020
60
F1=1=-0.45
OA
EA
(60rph)
(5rph)
50
0.015
RA
(60rph)
40
6%
(5rph)
F2=
F2=-0.025
SA
30
0.010
4%
30
40
50
Temperature
[degC]
温度(℃)
60
70
0.000
80
40
全体システム概要
単板ガラス平板型、選択吸収膜集熱板
面積:30㎡(2㎡×15枚)
F2
シリカゲルロータ式+間接気化冷却機構
処理風量:600㎥/h
太陽熱利用デシカント
⇒夏期余剰熱利用
0.6
0.4
絶対湿度(kg/kg')
Absolute
humidity [kg/kg’]
Spe 比エ
ci fi ン タ
ce ル
nthピ
alp
ー(
y k[Jk
/Jk/k
g Dg’]
A)
40
90%
80%
70%
60
%
50
%
Relative humidity [%]
80
20
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
60 oC
70 oC
80 oC
実験
10
ε F1
0.2
60 oC
70 oC
80 oC
新構造の水集熱式
⇒集熱効率向上
εF1
温度成層型、容量:2000ℓ
(500ℓ×4本、直列)
0
0
10
20
30
40
50
60
Rotational
回転数speed
[rph ] [rph]
凍結防止水抜き対策
⇒水冷媒式の設置
適用性向上
20
1
10
0.005
2%
計算
F2=
F2=0.19
60 o C
70 oo C
80 C
ε F2
0
10
20
30
40
50
Temperature
[degC]
温度(℃)
60
70
0.000
80
ε [-]
0.8
0.6
60 o C
70 o C
80 o C
0.4
・低回転数: εF1 、εF2 ともに小さくなる
・高回転数: εF2 は大きいが、ε
は大きいが、 F1 も大きくなる
・再生温度による差異は非常に小さい
・実験と計算で算出される除湿係数は一致した
ε F1
延床面積:77.6㎡(床暖房45㎡)
0.2
電気温水器との連携
⇒補助熱源コスト低減
0
0
10
20
30
40
Rotational speed [rph]
50
60
ヒートポンプ式深夜電気温水器
定格COP:3.8、加熱能力:24.6[kW](平均)
低温集熱による床暖房
⇒集熱効率向上、熱ロス低減
41
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
開発システムの年間シミュレーション概要
42
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
年間シミュレーション結果
• 夏期運転挙動
使用計算ソフト:動的熱負荷計算ソフト TRNSYS16
気象データ:拡張アメダス標準年(東京)
助走計算期間:1ヶ月
計算時間間隔:1時間
100
90
集熱器還水温
HP熱量
80
70
60
集熱器送水温
40
60
集熱面日射量
50
集熱量
40
20
温度[℃]
熱量[MJ/hr]
日中追炊き
80
30
0
20
-20
10
デシカント熱量
0
-40
7/17
7/18
7/19
90
100
集熱器還水温
80
80
集熱器送水温
HP熱量
⑤デシカント空調
①集熱器
60
40
集熱量
集熱面日射量
50
40
20
温度[℃]
熱量[MJ/hr]
④床暖房
深夜焚上げ
70
60
30
0
20
-20
③エコキュート ②貯湯槽
10
デシカント熱量
0
-40
7/17
43
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
7/18
7/19
44
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
PCM・デシカントシステムの概要
年間シミュレーション結果
• 太陽熱依存率 =集熱量(GJ/month)/全取得熱量(GJ/month)×100 (%)
100
3月
4月
97.0
熱量[GJ]
太陽熱依存率
深夜焚上げ
■想定するシステム構成
太陽熱依存率[%]
床暖熱量
タンク熱損失
2月
100
75.9 90
80
65.2
70
60
51.5
53.2
43.4
50
40
42.9
39.6
30
20
デシカント熱量
10
熱消費
0
5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
熱生産
集熱量
1月
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
100
HP熱量
82.9 81.0 89.5
HP熱量
82.3
集熱量
100
90
66.3 80
70
61.5
51.5
60
42.1
50
46.7
40
39.0
30
35.6
20
デシカント熱量
10
熱消費
0
5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
熱生産
78.7
71.1
79.5
床暖熱量
タンク熱損失
1月
2月
3月
4月
太陽熱依存率[%]
熱量[GJ]
日中追炊き
太陽熱依存率
10
8
6
4
2
0
-2
-4
-6
-8
-10
■湿り空気線図上での状態変化
45
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
解析モデル
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
46
解析条件
1|空隙部の熱移動
ε
∂ ( uρa Caθ a )
∂ρa Caθ a
∂  ∂θ 
= −ε
+ ε  λa a  − αSd (θ a − θ b ) − αS p θ a − θ p
∂t
∂x
∂x  ∂x 
(
)
2|空隙部の水分移動
ε
∂ ( uρ a X a )
∂ρa X a
∂  ∂X 
= −ε
+ ε  λa′ a  − α ′Sd ( X a − X b )
∂t
∂x
∂x 
∂x 
3|除湿材表面の熱移動 ε d ∂ρ d C d θ d =αS d (θ a −θ d )+ Lα ′S d ( X a − X b )
∂t
4|PCM表面の熱移動
5|吸着速度式
γ
εp
∂ρd C p. pcmθ p
∂t
∂w
= α ′S X a − X b
∂t
(
(
6|平衡含水率の式
w = f X b,θ d
(実験式)
)
(
=α S p θ a −θ p
)
)
6つの式を
収支
連成して解く
未知数
[除湿材:PCM]混合比が与える影響
が求まる
47
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
解析結果
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
解析結果
流出空気の温度変化
温度上昇が大きくなる。
除湿性能を保つ。
PCMの融解完了
流出空気の温度変化
流出空気の温度変化
除湿材の混合比を増加
出口と入口の
絶対湿度差
出口と入口の絶対湿度差
出口と入口の
絶対湿度差
48
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
49
解析結果
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
50
解析結果
温度上昇
長時間
抑える
流出空気の温度変化
除湿性能
低下する
PCMの混合比を増加
出口と入口の
絶対湿度差
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
まとめ
• ローター固定時の等温吸放湿実験から物質移動係
数α’S を同定した。
• 吸脱着平衡状態から吸放湿させた時の物質移動係
数は、時間の経過に伴い減少した。
• デシカント空調機の数値解析モデルを構築した。
• 平衡含水率曲線及び物質移動係数を入力値として、
実際に回転しながら吸放湿を繰り返すデシカント
ローター の数値解析を行った。
• ローター通過後の温湿度及び吸着速度について、
実験結果と概ね一致する結果が得られた。
• 実験結果と比較して±5%の精度で予測が可能とな
り、各種パラメータの最適化が可能となった。
51
デシカント除湿空調システムの数値解析手法
まとめ
• デシカントローターの除湿特性を、「除湿係数」を定
義し、数値解析モデルから除湿係数を算出した。
• これにより、デシカント空調システムを組み込んだ複
雑な空調換気システムの年間性能予測が簡易に行
えるようになった。
今後の展開
• 新たな試みとして、PCMとデシカント材を併用したデ
シカントシステムを提案し、まずは、性能予測を行っ
たが、今後、PCM・デシカント材併用システムの実
証実験を行う。
• デシカント数値解析モデルについて、デシカント材
内部の物理現象について、より忠実な詳細モデル
を構築し、その物理挙動を把握する予定である。
52