2013 年度 P&Gアニュアル・リポート 抜粋 / 日本語訳 <P1> 株主の皆様 P&G は、最も重要な人たちである消費者、得意先、株主からの支持を得ることに重点を置いています。 2013 年度の業績は、この方向に一歩踏み出すもので、期初に設定した目標通りの実績をあげることがで きました。 ■事業買収や売却、為替の影響などを除いた本源的売上高成長率は 3%でした。 ■一株当たり中核利益は、ベネズエラの貨幣切り下げの影響や、大幅なドル高傾向にもかかわらず、5% 伸長しました。 ■運転資本および設備投資生産性の向上により、98%という調整後フリーキャッシュフロー生産性を達 成することができました。 ■65 億ドルの配当金と、60 億ドルの株式の買戻しにより、純利益の 110%に当たる 125 億ドルのキャッ シュを株主に還元しました。4 月には、7%の増配を行いました。 P&G の売上高の 3 分の 1 以上を占め、利益の半分近くを占める、核となる米国市場で、成長を回復しつ つあります。当社は、中核事業に重点を置き続けてまいりました。そのため、P&G の事業を4つのより 大きな業界グループごとに再編いたしました。ビューティーケア事業、ベビー・フェミニン・アンド・ ファミリーケア事業、ファブリック・アンド・ホームケア事業、ヘルスケア・アンド・パーソナル・グ ルーミング事業の4つです。これにより、それぞれの業界に共通した消費者便益、テクノロジー、競合 他社に集中でき、より確実に価値創造を実現することができます。開発途上市場においては、うまく勢 いを保つことができました。開発途上市場における当社の上位 10 カ国では、通年の本源的売上高成長率 は 8%、さらなる成長に向けて投資を増やしたにもかかわらず、利益も売上高を大きく上回りました。市 場シェアも上昇傾向で、昨年度を終了することができました。 <P2> 当社は正しい方向に進んでいます。業績も重要な指標において、改善しています。今後は、この勢いを さらに加速させます。事業計画は、より重点を明確にしています。当社の核となる強みと資産は、今後 も競争上の優位性を生み出す重要な源泉であり、 P&G の未来に対する私の自信の大きな柱でもあります。 しかし、なすべきことはまだあります。より多くのビジネス ユニットが、より高い業績を、より一貫し て出し続けなければなりません。さらに飛躍的な業績改善を目指して、必要な変革を実施しています。 P&G は価値創造を優先します まず最初に消費者および株主に向けた価値の創造を、明確な優先事項に定めました。この第一歩は、常 に私たちの“ボス”である消費者に大きな価値を感じていただける“価値の方程式”を実現することで す。消費者が店頭の棚から、当社の製品を選ぶ「第一の真実の瞬間」と、消費者が自宅で製品を使って、 もう一度同じものを買うかどうかを決める「第二の真実の瞬間」に、勝たねばなりません。また、消費 者が買い物の前に、当社ブランドや製品について情報を見つける「ゼロの真実の瞬間」にも、勝たねば なりません。P&G 製品が、消費者価値の方程式において競合品に勝れば、消費者はその価値への見返り として、当社および当社の株主に貴重な対価を支払ってくれます。 当社では今後、業績を、営業株主総利回りを指標にして測定します。これは、各ビジネス ユニットのレ ベルにおける価値創造の総合指標となる重要なゴールです。強固な営業株主総利回り達成のためには、 売上高成長、売上総利益と営業利益率の改善、強固なキャッシュフロー生産性が必要です。各ビジネス ユ ニットは、価値創造のために最も重要な選択肢に重点を置いた、規律正しい戦略と事業計画に従います。 また、ビジネスを牽引する、最も収益性の高いカテゴリーと国を含む、中核事業に重点を置いています。 当社の中核事業において優れた業績をあげることこそ、株主に向けた価値創造に最も大きく貢献します。 中核事業は、ビジネス成長に大きく貢献し、その結果、開発途上市場やイノベーションへの投資を可能 にします。 消費者および株主に向けた価値の創造を、明確に最優先事項と定めました P&G は、生産性とイノベーションを通して、価値創造を推進します 第二に、当社は、生産性向上およびコスト削減の努力を、大幅に強化しています。イノベーションと生 産性は、価値創造への最大の推進力です。イノベーションは、引き続き当社の成長の重要なエンジンで あり、今後、強力なイノベーションを数々準備しています。一方で、生産性にも今後さらに重点を置く 必要があります。生産性は、さらなる成長への投資の財源を提供するとともに、社員が持てる能力を最 大限に活かして、事業により大きな貢献ができる自由を与えます。 <P4> <P3> 当社は大きく前進を遂げています。2013 年度末までに、生産部門以外のポストを 7,000 人分削減しまし たが、これは当初の目標に対し 1,300 人分前倒しするものです。売上原価を 12 億ドル以上削減し、製造 関連の生産性を 7%改善しましたが、これは両方とも目標を上回っています。それでもまだ、事業のあら ゆる側面において、引き続き生産性を改善する大きな機会が残されています。 皆様とお約束した生産性改善を、予定通り、あるいは予定より早く達成する見込みですが、私たちの生 産性改善の道のりは、まだ終わるわけではありません。それは一つの節目に過ぎず、まだまだ改善の余 地があると考えています。生産性改善を一過性の活動ではなく、システマチックに業務に組み込んでい きます。 生産性関連およびコスト削減の努力を、大幅に強化しています 当社ではすでに、生産性改善について、現在の施策の完了を待たず、並行して、次のステップにも取り 組み始めています。この中には、広範囲にわたるコストやキャッシュ関連の改善も含んでいます。すで に削減を生み出しているものもありますが、本格的な実施までにあと数年を要するものもあります。 イノベーションの推進ならびに市場展開能力の強化に、戦略的な投資を行っています 開発途上市場においては、サプライネットワークを、当社の得意先や消費者により近い場所に構築する 大きな機会が存在します。これによって、コスト削減と、得意先へのより迅速なサービス提供が可能と なります。先進市場では、取引先へのサービスを向上させつつ、事業所の数の削減や、カテゴリーをま たぐスケールメリットの追求、さらなるコストと在庫の削減方法を検討しています。これには投資が必 要ですが、非常に魅力的な見返りが期待できます。 マーケティングにおける投資回収率を改善するため、メディアミックスの改善を進め、メッセージの明 確性を高め、広告以外のマーケティング費用効率をさらに向上させていきます。 生産性は、例えばブランド構築やイノベーションのように、価値創造と成長をもたらす P&G の核となる 強みの一つになるでしょう。 P&G は、業務執行の質を改善しています 三つ目の重点分野は、業務遂行における規律を大幅に強化することです。競合他社に比べ、より一貫性 と信頼性が高く、質の高い業務の遂行を行わなくてはなりません。日々、消費者および得意先の支持を 勝ちとり続けるためには、これが必要であり、当社の属する業界において、トップレベルのリターンを 獲得するためには、消費者および得意先の支持を勝ちとり続けることが必要であると理解しています。 <P4> 業務実行の質の高さは、長年にわたって P&G の成功の証でした。今後も、勝つために必要な卓越した水 準へと立ち戻る決意を固くしています。 P&G が再び、バランスがとれ、一貫性と信頼性があり、サステナブルな価値創造に立ち戻 るよう、必要なことをすべて行う決意をしています。 P&G は、成長に必要な能力強化に投資しています 最後の重点分野は、イノベーションならびに市場展開能力の強化に、戦略的かつ重点的な投資を行うこ とです。この二つは、当社の核となる強みであり、競争上の優位性と成長を生み出す重要な源泉です。 「第 一、第二の真実の瞬間」に勝つために、極めて重要です。 P&G は勝つために必要なことに専念します 昨年度を土台とする一方で、重点をより明確にしていきます。ブランドならびに製品関連のイノベーシ ョンを、卓越した形で市場展開します。生産性向上施策を実施し、仕事の進め方を大幅に簡素化し、削 減を実現します。トップクラスの業務遂行に重点を置き、勝つために必要な分野に、引き続き選択的に 投資します。 P&G には、消費者、得意先、株主の支持を勝ちとるために必要なものはそろっていると確信しています。 まず、強力なブランド ポートフォリオを持っています。10 億ドル以上の売上高を持つブランドが 25 ブ ランド、さらに、年商が 5 億ドルから 10 億ドルの間にあるブランドが約 15 ブランドあります。地域的 なポートフォリオもバランスがとれています。当社は、米国の非食品系消費財メーカーの中でトップの 地位にありますが、その米国自体が、先進市場の中で最大で、最も急速な成長を遂げています。一方、 開発途上市場において、当社はハウスホールドおよびパーソナルケア事業においてトップ メーカーです。 このどちらの市場においても、まだ大きな価値創造の機会があります。当社はさらに強くなるために本 当に必要なイノベーションのポートフォリオならびに計画中のプロジェクトを有しています。生産性向 上施策においても、広範囲なポートフォリオを有しています。 何よりも基本となるのは、素晴らしい組織であることです。P&G 社員は、消費者と P&G のビジネスに 対する情熱を持っています。当社事業のあらゆる側面で、実に豊富な経験と専門知識を生かしています。 そして、必ず勝つことに専念しています。P&G 社員こそ、当社の最も重要な資産であり、P&G の強さ と競争上の優位性の源です。 業績改善のためには何をすべきで、どのような変革が必要かを徹底的に検討してきました。消費者、得 意先、株主、社員に対して、P&G が再び、バランスがとれ、一貫性と信頼性があり、持続可能な価値創 造に立ち戻るよう、必要なことをすべて行う決意をしています。当社は未来にフォーカスし、必ず勝つ と決意しています。 <P5> P&G は、業績改善計画の一環として、最近グローバル ビジネス ユニットを、産業カテゴリーをベース に四つのセクターに分類しました。各セクターごとに、共通の消費者便益、共通のテクノロジー、共通 の競合他社に対して、重点をおいています。 グローバル ビューティー 2013 年度純売上高 200 億ドル* *概算。 当社の過去の財務データは、今後、2014 年度の新しい事業構造を反映した内容に再計算されます。 グローバル ビジネス ユニット ビューティーケア カテゴリー 制汗剤およびデオドラント剤、 化粧品、パーソナル ヘアケアおよびヘアカラー 主要ブランド カバーガール、マックス ファクター、 クレンジング、 オレイ、オールド スパイス、セーフガ スキンケア ード、シークレット ヘアケア、ヘアカラー ヘッド アンド ショルダー、ハーバル エッセンス、ナイスンイージー、パン テーン、リジョイス プレステージ 香水、高級スキンケア グッチ、ヒューゴ ボス、SK-Ⅱ サロン プロフェッショナル サロン プロフェッショナル ウエラ <P6> グローバル ベビー・フェミニン・アンド・ファミリーケア 2013 年度純売上高 220 億ドル* *概算。 当社の過去の財務データは、今後、2014 年度の新しい事業構造を反映した内容に再計算されます。 グローバル ビジネス ユニット ベビーケア カテゴリー 赤ちゃん用おしりふき、 主要ブランド ラブズ、パンパース おむつ、パンツ型おむつ ファミリーケア ペーパータオル、ティッシュ、 バウンティー、シャーミン、パフス トイレットペーパー フェミニンケア 生理用品、成人用おむつ オールウェイズ、ナチュレラ、 タンパックス <P7> グローバル ファブリック・アンド・ホームケア 2013 年度純売上高 260 億ドル* *概算。当社の過去の財務データは、今後、2014 年度の新しい事業構造を反映した内容に再計算されます。 グローバル ビジネス ユニット ファブリックケア カテゴリー 主要ブランド 漂白剤および洗濯補助剤 エース、アリエール、ボールド、 洗濯仕上げ剤、衣料用洗剤 バウンス、ダッシュ、ダウニー、 ゲイン、タイド ホームケア 消臭芳香剤、台所用洗剤、 カスケード、ドーン、ファブリーズ、ミス 清掃用品 ター クリーン、スウィッファー P&G プロフェッショナル P&G プロフェッショナル ― パーソナル パワー 電池 デュラセル <P8> グローバル ヘルス・アンド・グルーミング 2013 年度純売上高 170 億ドル* *概算。 当社の過去の財務データは、今後、2014 年度の新しい事業構造を反映した内容に再計算されます。 グローバル ビジネス ユニット カテゴリー 主要ブランド ブラウン アンド アプライアンス 美容家電機器 ブラウン オーラルケア 歯磨き、歯ブラシ、 クレスト、フィクソデント、 その他オーラルケア オーラル B 胃腸薬、その他 パーソナル ヘルスケ プリロセック、ヴイックス パーソナル ヘルスケア ア、診断用品、呼吸器薬ビタミン/ミネ ラル/サプリメント ペットケア ペットケア ユーカヌバ、アイムス シェーブケア かみそり・替刃、プレシェーブおよび フュージョン、ジレット、 アフターシェーブ用品 マッハスリー、プレストバルバ、 ヴィーナス <P9> P&G のマーケット・ディベロップメント・オーガニゼーション(MDO)は、各市場の消費者と小売業を理 解することに重点を置いています。MDO は、グローバル・ビジネス・ユニット(GBU)が生み出すイノベ ーションを、各市場によって異なる、販売、物流、店頭展開などに関するノウハウを駆使して、それぞ れの市場にあわせたビジネス成長プランとして統合します。 <先進市場> P&G 全体の売上高の 61% P&G 全体の売上数量の 55% マーケット・ディベロップメント・オーガニゼーション (MDO) 北米 西ヨーロッパ 日本 <P10> <開発途上市場> P&G 全体の売上高の 39% マーケット・ディベロップメント・オーガニゼーション (MDO) アジア(日本を除く) P&G 全体の売上数量の 45% 中央・東ヨーロッパ、中東およびアフリカ ラテンアメリカ
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