ダウンロード - 大阪市立大学 大学院理学研究科・理学部

物理学教室年次研究報告
2011 年度
大阪市立大学 大学院理学研究科・理学
部
物理学教室
目次
序 .................................................................................................. 1
2011 年度 物理学教室談話会 .................................................. 3
研究報告
物性物理学講座
超低温物理学研究室 .................................................................. 4
光物性物理学研究室 ..................................................................10
生体・構造物性研究室 ..............................................................13
素励起物理学研究室 ................................................................. 27
超伝導物理学研究室 ................................................................. 31
電子相関物理学研究室 ............................................................. 36
宇宙・高エネルギー講座
宇宙線物理学研究室 ................................................................. 39
高エネルギー物理学研究室....................................................... 43
重力波実験物理学研究室........................................................... 51
宇宙・素粒子実験物理学研究室................................................62
基礎物理学講座
素粒子論研究室 ......................................................................... 65
数理物理研究室 ......................................................................... 68
宇宙物理研究室 ......................................................................... 74
原子核理論研究室 ..................................................................... 78
序
2011 年度は,東日本大震災と,それによる福島第一原子力発電所の事故の直後で,未だ
日本社会全体が打ちのめされている状況の中でスタートしました.本学は,被災地視察・
医療班派遣・ボランティア派遣・被災地に位置する公立大学への支援・放射線に関する正
確な情報の提供等,さまざまな支援を行いましたが,震災・事故は決して終結したとは言
えません.今後も大学あるいは物理学教室として可能な支援を続けることが重要だと思い
ます.
大学内部に目を転じれば,より質の高い大学を目指すために,2012 年度(来年度)から
の 6 年間に対する第二期中期計画を策定しました.大学の普遍的使命である真理の探究は
もとより,シンクタンク機能・高度な専門性をもつグローバル人材の育成・国際化への取
り組み等のさらなる充実を重点項目として具体的な行動計画が掲げられています.
本学,また物理学教室として喜ばしい出来事は,2008 年にノーベル物理学賞を受賞され
た大阪市立大学名誉教授の南部陽一郎先生に,大阪市立大学特別栄誉教授の称号をお送り
させていただくことができたことでした.6 月の贈呈式には実際に大学にお越しいただき,
物理学科の学生とも懇談していただくことができました.
11 月下旬には,大阪市長選挙が行われ,橋下徹市長が誕生しました.これにより,大阪
府立大学との統合へ向けた動きが始まりました.今の段階では将来の不透明さがより増し
ている状況ですが,統合の是非はともかく,いずれにしてもこの統合は絶対に成功させな
ければなりません.そこでは,社会における大学の,その普遍的な存在意義に対する揺る
ぎない信念や哲学が重要であると思います.一方,時代に即して柔軟であるべきことは,
単に流行を追ったり,奇をてらったりするのではなく,ぶれない哲学に根差した戦略的側
面であると思います.選択と集中とよく言われますが,学問においてはむしろ多様性が極
めて重要であると考えます.理学を専門とする立場から感じることですが,概ね,我々の
希望通りに自然界は答えませんし,そのようにもできていません.そして,多くの人が感
じているように,この厳しい社会情勢を好転させる特効薬も存在しないと思います.閉塞
感からの一刻も早い解放を期待するあまり,足元を見失ってはいけない気がします.やは
り,地道な努力を続けるしかありませんし,大学としてはその重要性を自ら放棄すること
は絶対にあってはならないものと思います.
こうした中,2011 年度も物理学教室は活発な教育・研究活動を展開することができまし
た.それらの活動内容が本報告に収められております.また,本報告で露わには述べられ
ておりませんが,
「日本学生支援機構の留学生交流支援制度(ショートステイ,ショートビ
ジット)プログラム」に採択され,多くの大学院生が海外で研究し,また海外の大学院生
も物理学教室の研究室で学びました.さらに,理論系においては,
「頭脳循環を加速する若
手研究者戦略的海外派遣プログラム」にも採択されました.
1
2012 年 2 月の理学部一般選抜入試で,物理学科は 4.8 倍という高倍率でした.今後も,
より魅力ある学科になるために気を一層引き締め,引き続き日々の研鑽を重ねていかなけ
ればなりません.
本年度末(2012 年 3 月末)に,丸山稔准教授が早期退職されました.物理学教室や本学
における研究・教育活動に対して長年に亘って御貢献いただきましたことに深く敬意と感
謝の念を捧げますとともに,新しい環境でのますますのご活躍をお祈りいたします.
最後に,本年度の年次報告作成にご尽力いただきました小原顕氏と寺本吉輝氏に感謝致
します.
2012 年 11 月
2011 年度(平成 23 年度)物理学教室主任
清矢 良浩
2
2011年度 物理学教室 談話会 世話人:石原、荻尾、小原
第1回 日時 場所 講師 題目 新入生歓迎物理談話会
2011年4月7日 15:00〜
学術情報センター 10 F 大会議室
糸山 浩 氏 (数理物理学研究室・教授)
場の量子論のすすめ
第2回 日時 場所 講師 題目 物理教室談話会
2011年6月3日 14:30〜
理学部第2講義室
羽澄 昌史 氏(高エネルギー加速器研究機構・教授)
ビッグバン以前を探る—宇宙マイクロ波背景放射偏光観測の最前線
第3回 日時 場所 講師 題目 物理教室談話会
2011年12月7日 15:00〜
理学部会議室
宮原 ひろ子 氏 (東京大学宇宙線研究所 特任助教)
太陽活動と宇宙線変動が気候/気象に及ぼす影響
第4回 日時 場所 講師 題目 物理教室談話会
2011年12月14日 15:00〜
理学部会議室
山本一博(広島大学大学院理学研究科)
加速膨張宇宙の発見と修正重力理論の話題
第5回 年末研究発表会 日時 12月27日
場所 学術情報センター10F 大会議室
修士論文発表会
日時 2012年2月7日
場所 学術情報センター1F 文化交流室
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超低温物理学研究室
畑 徹 教 授
石川修六 教 授
矢野英雄 准教授
小原 顕 講 師
永合祐輔 特任助教
國松貴之 PD
(永合祐輔(D5))
加藤千秋(D4)
笹本征吾(M3)
木村 豊(M2)
西嶋 陽(M2)
小川翔輝(M2)
山口晃史(M2)
久保博史(M1)
福井敦史(M1)
研究概要 1.NMR法によるエアロジェル中での超流動ヘリウム3の新奇界面現象の研究(石川、畑、
小川、福井)
エアロジェルと呼ばれる物質中では、エアロジェルの構成物であるシリカの細い紐
が不純物として働くことが分かっており、液体ヘリウム3の超流動性が抑制される。圧
力と温度を調整すると、バルク液体は超流動だが、エアロジェル中はノーマル液体とす
ることが出来る。バルク液体とエアロジェルとの界面近傍に新しい超流動(“奇周波数
クーパー対”)が現れ,帯磁率が増大するという理論予想がある。接合界面での近接効
果の一つであり、バルクの凝縮状態(超伝導、超流動)がp波軌道対称性をもつときに
出現が予想されている普遍的な現象と考えられている。これを調べるためにポロシティ
97.5%の試料セルを作製し、圧力7bar、13bar、24barでの測定を行ったが,帯磁率の増
大を示す顕著なデータは得られていない。24barでは、エアロジェル中超流動転移温度よ
り十分低温であるにも拘わらず,界面近傍でノーマル状態のままであることを観測した
が原因は分かっていない。 2.第4音波法による平行平板中の超流動ヘリウム3(小原、石川、加藤) 超流動ヘリウム3の研究の新しい局面として、磁場下の狭い平行平板間に閉じ込め
られた液体の音波共鳴実験を行っている。目標はA相のテクスチャーを制御して、エネ
ルギーギャップの異方性を調べることである。3種類の平行平板間(間隔が12µm、25µm、
50µm)を作製し圧力 29barでの音速測定を行ったところ、すべての平板でAB転移に伴
う音速の「とび」を観測し、この「とび」がエネルギーギャップの空間変化に対応して
いることをつきとめた。また、50µmの平板中ではAB転移とは関係のない温度において、
テクスチャーの変形に起因するフレデリクシュ転移を観測した。AC流におけるフレデ
リクシュ転移の観測は世界的にも初めてである。今後はより多様な平板間隔と地場の強
さと方向依存性について詳しく調べる予定である。 3. 超流動ヘリウム4の量子渦と量子乱流のダイナミクス
超流動は、熱エネルギーが奪われた極限の温度で存在する、マクロな量子凝縮相で
ある。超流動の渦(量子渦)は、量子凝縮していない常流動を芯として、その周りを量
子化された回転流が流れる構造になる。したがって、量子渦は超流動中で途切れること
ができず、端がない渦環か、端が境界(壁)にある付着渦としてのみ存在する。また超流
動の乱流は、流れが量子化されているために、量子渦のみで構成される量子乱流となる。 3.1 超流動ヘリウム4の量子乱流から放出される量子渦環(矢野、畑、西嶋、久保)
量子渦が壁に付着する性質を利用して、壁を振動させることにより、絶対零度でも量
子乱流を生成することができる。我々の研究から、量子乱流から量子渦環が放出され
超流動中を伝播することがわかってきた。量子渦環を検出する新たな手段を開発し、
4
放出される量子渦環の観測によって、量子乱流を構成する渦のダイナミクスの研究を
進めている。 3.2 量子渦のケルビン波探索(矢野、畑、永合)
渦は振動によって、らせん状の波(ケルビン波)がたつ。ケルビン波を調べることで
渦の慣性質量やエネルギー状態を知ることができるが、量子渦のケルビン波はまだ調
べられていない。我々は量子渦が付着した壁を振動させることにより、ケルビン波の
研究を行っている。大きな振動によって量子渦の運動が不安定になり、量子乱流へと
遷移することを明らかにした。今後、小さな振動による渦運動の検出を進めていく。 4.回転する超流動ヘリウム3の研究(物性研,京大,福井大,岡山大との共同研究) (石川、國松) 超流動ヘリウム3―A相は異方的で、クーパー対は固有の軌道角運動量を持つ。異
方軸が揃った系での巨視的軌道角運動量の有無は未解決問題であり、その検出を目的と
して東京大学物性研究所にある超低温度回転クライオスタットを用いてNMR法による共
同利用研究を行っている。検出用の試料セルは、直径0.1mmの1本の細い円筒容器である。
容器形状の影響でいくつかの特異な織目構造(テクスチャー)の出現が期待されている。
A相の形成過程を変えると(冷却・昇温過程もしくは静止下・回転下での相転移過程)、
3種類のNMR共鳴信号を観測した。これらが異なるテクスチャーに起因するものと考え,
今年度は巨視的軌道角運動量の検出の前段階として、円筒容器内にできるテクスチャー
の同定を行なった。その結果、3種類のテクスチャーを同定でき、そのうちの1つは、
巨視的軌道角運動量の検出に適したテクスチャー(Mermin-Hoテクスチャー)であること
を突き止めた。
5.寒剤を用いない希釈冷凍機の開発(畑、矢野、小原、石川、山口) 4.5 mKと世界最低温度を実現したが、パルス管冷凍機一体型であるこのタイプ
のドライ希釈冷凍機は、微小な振動が完全には除去できないこと、サイズ的にも小さく
する限界があることなどの欠点を有することが判明した。そのため、振動レス、超小型
のドライ希釈冷凍機開発を開始した。分離型であるため、振動が一桁大きいがパルス管
冷凍機より冷凍能力の大きい値段的にも安いGM冷凍機を用い、三重管サイフォンでヘリ
ウムガスを循環させることにより希釈冷凍機の冷却をするテストを行った。しかし、三
重管タイプでは冷却ロスが大きいことが判明し、四重管サイフォンによる接続で試験を
したところ、希釈冷凍機側の温度として、30Kから11Kに大幅に改善された。今後
は、4Kまでの冷却が可能となるように熱ガードを改善する予定である。 6.熱音響冷凍機の開発(畑、森永、笹本) 熱音響冷凍機は、熱エネルギーと音波エネルギーの変換を利用した冷凍機をさす。廃熱
の再利用ができること、音波媒体は空気などの安全な気体であること、機械的な可動部がな
いことなどから、長寿命で環境にやさしい未来型の冷凍機(エアコン)として期待されてい
るが、エネルギー変換効率が低く、実際に利用できるレベルには来ていない。昨年度では最
大10Kの温度差しか実現しなかったが、蓄冷器の配置位置、および薄膜の位置の最適条件
を見出し、20Kの温度差を実現し、初めて0℃を切った。蓄冷器の熱交換率を上げれば理
論的にはさらなる冷却が可能となるので、作動気体の圧力を上げるために耐圧の高い金属製
のループ管冷凍機の制作を開始した。 7.液体ヘリウム4中の大振幅音波の研究(小原、木村)
液体ヘリウム4において大振幅の定在波を励起すると、異常な吸収が観測される。
この吸収率は100%近い巨大なものであるが、発生は間欠的であり発生条件を見積も
るのが大変困難であった。本年度は連続型1K冷凍機を完成させた。この冷凍機の最大
の特徴は、高精度の温度・圧力制御が長時間維持可能なことである。そのため、過去の
5
実験データに比べて桁違いに大きなデータを取得する事に成功し、間欠性の統計法則を
導く事に成功した。その結果、異常発生確率とその圧力依存性の観測から、異常吸収は
不均一核形成による泡の発生によるものであることを突き止めた。今後は、泡の発生箇
所の特定と、泡の発生に伴う圧力変動のリアルタイム観測を目指して、新たな装置を建
築する予定である。
教育・研究業績
学術論文
1. ‘Acoustic Resonance of Superfluid He-3 in Parallel Plates’, K. Obara, C. Kato, S. Sasamoto, H.
Yano, O. Ishikawa, T. Hata, J. Low Temp. Phys., 162, 190-195, (2011).
2. ‘Time-of-flight experiments of vortex rings propagating from turbulent region of superfluid 4He
at high temperature’, Y. Nago, T. Ogawa, K. Obara, H. Yano, O. Ishikawa and T. Hata, J. Low
Temp. Phys., 162, 322-328, (2011).
3. ‘Generation and detection of vortex rings in superfluid 4He at very low temperature’, H. Yano,
A. Nishijima, S. Yamamoto, T. Ogawa, Y. Nago, K. Obara, O. Ishikawa, M. Tsubota, and T.
Hata, J. Phys.: Conf. Series, in press.
4. ‘Anomalous sound absorption of finite amplitude sound in Liquid 4He’, K. Obara, Y. Kimura, H.
Yano, O. Ishikawa, M. Tsubota, and T. Hata, J. Phys.: Conf. Series, in press.
国際会議講演
1. H. Yano : “Generation and Detection of Vortex Rings in Superfluid 4He using the Transition to
Turbulence Generated by Vibrating Wires” (Invited), Workshop on Classical and Quantum
Turbulence, May 2−5, 2011, Abu Dhabi, UAE
2. O. Ishikawa : “The Proximity Effect at the Interface between Superfluid 3He-B and Aerogel of
97.5%” (Invited), 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17,
2011, Beijing, China
3. T. Hata : “Development of Dry Dilution Refrigerator and Temperature measurement with Quartz”
(Talk), 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
Beijing, China
4. K. Obara : “Anomalous Sound Absorption of Finite Amplitude Sound in Liquid 4He” (Poster),
26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011, Beijing,
China
5. H. Yano : “Generation and Detection of Vortex Rings in Superfluid 4He at Very Low
Temperature” (Poster), 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug.
10−17, 2011, Beijing, China
6. C. Kato : “Fourth Sound Resonance of Superfluid 3He in Slab Geometry” (Poster), 26th
International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011, Beijing, China
7. Y. Sasaki, R. Kado, O. Ishikawa : “NMR/MRI Study of Superfluid 3He in Aerogel” (Poster), 26th
International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011, Beijing, China
8. H. Yano : “Propagation of Vortex Rings Emitted from Turbulence in Superfluid 4He at Finite
Temperatures” (Poster), New Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22,
2011, KAIST, Daejeon, Korea
9. Y. Kimura : “Anomalous sound absorption of finite amplitude sound in liquid 4He” (Poster), New
Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22, 2011, KAIST, Daejeon, Korea
10. K. Obara, H. Yano, T. Hata : “Development of Dry Dilution refrigerator and Temperature
Measurement with Quartz Tuning Fork” (Poster), New Frontiers of Low Temperature Physics
ULT2011, Aug. 19−22, 2011, KAIST, Daejeon, Korea
11. K. Obara : “Aerogel and its Application to Ultra Low Temperature Physics” (Invited),
6
International Workshop for Young Researchers on Topological Quantum Phenomena in
Condensed Matter with Broken Symmetries, Nov. 1−5, 2011, Laforet Biwako, Shiga, Japan
12. T. Kunimatsu:“Investigation of Intrinsic Angular Momentum of Rotating Superfluid 3He in a
narrow cylinder ” (poster), International Workshop for Young Researchers on Topological
Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries, Nov. 1−5, 2011, Laforet
Biwako, Shiga, Japan
学会・研究会講演
1. 永合祐輔:「超流動3He-B相の振動流における量子渦生成機構」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
2. 矢野英雄:「超流動4He乱流から放出される量子渦環と常流体との相互摩擦」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
3. 西嶋 陽:「超流動4He中乱流から放出される渦環の伝播」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
4. 木村 豊:「液体4He中の大振幅音波II」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
5. 加藤千秋:「平行平板内に閉じ込めた超流動3He中の第4音波共鳴測定III」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
6. 小川翔輝:「超流動3He-Bに接するエアロジェル界面での新奇界面現象2」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
7. 山口晃史:「ドライ希釈冷凍機の開発と温度測定」
日本物理学会2011年秋季大会 2011年9月21日~24日 富山大学
8. 國松貴之:「細い円筒中の回転超流動ヘリウム3における固有角運動量の探索」(ポス
ター), 第5回物性科学領域横断研究会 2011年11月19日〜20日 東北大学
9. 永合祐輔:「超微細超伝導線振動子による超流動ヘリウム中の量子渦検出」
低温工学・超電導学会関西支部若手合同講演会 2011年12月2日 大阪市立大学
10. 國松貴之:「細い円筒容器中の回転超流動ヘリウム3のテクスチャーの安定化と固有角
運動量」(招待講演)「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」第2
回領域研究会 2011年12月17日〜19日 岡山大学
11. 石川修六:「エアロジェル中での超流動ヘリウム3の近接効果」(招待講演)
「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」第2回領域研究会
2011年12月17日〜19日 岡山大学
12. 矢野英雄:「量子乱流から放出される量子渦環と常流体との相互摩擦」(講演)
平成23年度物性研究所短期研究会「量子凝縮系におけるdefectsおよびtopology」
2012年1月5日~7日 東京大学物性研究所
13. 國松貴之:「細い円筒容器中の回転超流動ヘリウム3のテクスチャーの安定化とクーパ
ー対の固有角運動量」(講演) 平成23年度物性研究所短期研究会「量子凝縮系に
おけるdefectsおよびtopology」2012年1月5日~7日 東京大学物性研究所
14. 石川修六:「超流動ヘリウム3の新奇な界面現象」(講演)
平成23年度物性研究所短期研究会「量子凝縮系におけるdefectsおよびtopology」
2012年1月5日~7日 東京大学物性研究所
15. 永合祐輔:「量子乱流から放出される渦環の伝播」(ポスター)
平成23年度物性研究所短期研究会「量子凝縮系におけるdefectsおよびtopology」
2012年1月5日~7日 東京大学物性研究所
16. 小原 顕:「平行平板内に閉じ込めた超流動3He中の第4音波共鳴」(ポスター)
平成23年度物性研究所短期研究会「量子凝縮系におけるdefectsおよびtopology」
2012年1月5日~7日 東京大学物性研究所
17. 石川修六:「超流動ヘリウム3・エアロジェル系における実験の現状」(シンポジウム
7
18.
19.
20.
21.
22.
23.
24.
講演)日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
加藤千秋:「磁場による平行平板中超流動3He-Aの織目構造の変化」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
國松貴之:「細い円筒容器中の回転超流動ヘリウム3-A相のテクスチャーの安定化と
クーパー対の固有角運動量」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
福井敦史:「超流動3He-Bに接するエアロジェル界面での新奇界面現象3」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
木村 豊:「液体4He中の大振幅音波III」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
西嶋 陽:「超流動4He中乱流から放出された渦環と乱流生成エネルギーの関係」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
久保博史:「超流動4He乱流から放出される渦環の飛行」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
永合祐輔:「振動子が作る超流動4He乱流から放出される渦環」
日本物理学会67回年次大会 2012年3月24日~27日 関西学院大学
学位論文
博士論文
1. 永合祐輔:「振動物体による超流動ヘリウム3-B相の量子渦生成」
修士論文
1. 木村 豊:「液体He中における異常音響吸収」
2. 西嶋 陽:「超流動4He中乱流から放出される渦環の伝播」
3. 小川翔輝:「超流動3He-Bに接するエアロジェル界面での新奇界面現象」 4. 山口晃史:「ドライ希釈冷凍機の開発と新しい温度測定法の確立」 研究助成金取得状況
1. 石川修六:新学術領域研究「対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象」 計画研究「スピン三重項超流動体の新奇界面現象」 2011年度分 4,706万円 2. 畑 徹:日本学術振興会・科学研究費挑戦的萌芽研究 「冷凍機分離型無冷媒希釈冷凍機の開発」 2011年度分 65万円 3. 小原 顕:日本学術振興会・科学研究費若手研究(B)「量子音響タブレンスの観測に向
けた極低温ヘリウム中の気泡生成の研究」
2011年度分 78万円 4. 矢野 英雄:日本学術振興会・科学研究費基盤研究(B) 「超流動ヘリウム4量子渦の慣性質量と波動の研究」 2011年度分 806万円 海外出張および海外研修
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2.
3.
4.
矢野英雄: Workshop on Classical and Quantum Turbulence, May 2−5, 2011, New York
University Abu Dhabi, Abu Dhabi, UAE, 2011年5月2日~5日, 出席・発表
畑 徹: 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
Beijing, China, 2011年8月10日~17日, 出席・発表
石川修六: 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
Beijing, China, および New Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22,
2011, KAIST, Daejeon, Korea, 2011年8月10日~22日, 出席・発表
矢野英雄: 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
8
5.
6.
7.
8.
Beijing, China, および New Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22,
2011, KAIST, Daejeon, Korea, 2011年8月10日~22日, 出席・発表
小原 顕: 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
Beijing, China, および New Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22,
2011, KAIST, Daejeon, Korea, 2011年8月10日~22日, 出席・発表
國松貴之: 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
Beijing, China, および New Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22,
2011, KAIST, Daejeon, Korea, 2011年8月10日~22日, 出席・発表
加藤千秋: 26th International Conference on Low Temperature Physics LT26, Aug. 10−17, 2011,
Beijing, China, 2011年8月10日~17日, 出席・発表
木村 豊: New Frontiers of Low Temperature Physics ULT2011, Aug. 19−22, 2011, KAIST,
Daejeon, Korea, 2011年8月19日~22日, 出席・発表
その他 永合祐輔 低温工学・超伝導学会関西支部 若手奨励特別賞(信貴賞)受賞、2011年
12月2日、「超微細超伝導線振動子による超流動ヘリウム中の量子渦検出」 9
光物性物理学研究室
鐘本勝一 准教授
井上 展幸 (M2)
太田 往宏 (M1)
木村 圭吾 (B4)
上田 裕二郎 (M2)
小林 尚子 (M1)
堂本 真也 (B4)
金信 真理子 (M2)
竹本 圭佑 (M1)
研究概要
1. 光誘起吸収とインピーダンス計測を融合させた有機薄膜太陽電池の研究 (井上、鐘本)
π共役ポリマーとフラーレンの混合物は、光励起により高効率な電荷分離を起こし、
光伝導効果を示すことが知られており、太陽電池への応用を目指した研究が盛んである。
実際に、π共役ポリマーの一つである、regioregular型ポリチオフェンとフラーレン誘導
体PCBMの複合体を用いて光伝導素子を作成し、その挙動を、連続光励起下の光誘起吸収
測定及びインピーダンス分光から調べた。インピーダンス測定では、試料の劣化に伴っ
て抵抗成分と電気容量成分が顕著に変化することが確認され、それと同時に光誘起吸収
が変化することも確認できた。その結果により、素子劣化時の変化を、分光情報とイン
ピーダンス信号というミクロとマクロな視点から明らかにすることに成功した。
2. ポリマー半導体素子の光物性に対するスピンペアの役割の解明(上田、鐘本)
π共役ポリマーを中心とした有機半導体は、素子への応用研究が盛んであると同時に、
素子動作における新規物理現象の検証も進められている。中でも半導体素子動作と電子
スピン物性の関係に注目が集まっている。それら半導体およびスピン物性の関係を解明
する上で重要な役割を与えるのはスピンペアと考えられており、それを効果的に実験で
検出する手段の開発が求められてきた。本研究では、光励起下の発光並びに光電流の電
子スピン共鳴(ESR)時の応答を観測することにより、それぞれ、励起子とスピンペア、
並びにキャリアとスピンペアの相関について調べた。その結果、励起子とキャリアそれ
ぞれはスピンペア状態と強く相関しており、その相関が光励起下の物性に大きく寄与す
ることが明らかとなった。
3. ポリマーELデバイスに対する変調分光計測による三重項状態の計測(金信、鐘本)
π共役ポリマーは電圧印加により電界発光(EL)が生じ、その応用性が注目されてい
る。そのEL素子動作時においては、キャリアのみならずキャリア間の衝突により生成す
る励起子が発生する。MEH-PPVを用いてELデバイスを試作し、デバイス動作とともに発生
するキャリア及び三重項励起子を、変調分光により検出する実験を行った。その結果と
して、キャリア及び三重項励起子が、電圧強度とともに生成する様子の検出に成功した。
さらには、電圧印加によりEL発光が生成し、三重光励起子が成長するプロセスの観測に
成功した。これは世界でも初めての例である。
4. π共役ポリマー:フラーレン複合体太陽電池におけるキャリア注入効果の研究(太田、鐘
本)
これまで、π共役ポリマーとフラーレンの混合物は、太陽電池への応用を目指した研究
が盛んに行われてきた。太陽電池として動作する場合、光キャリアが生成すると同時に、
印加バイアスに応じてキャリアが外部から注入され、キャリアの振る舞いを正確に追跡す
ることが困難になる。本研究では、素子動作と分光技術を融合させたデバイス変調分光を
同太陽電池に適用し、注入キャリアの効果のみを独立に調べた。その結果、注入キャリア
の一部が光キャリアと再結合を起こし、それにより太陽電池の効率が低下していることを
明らかにすることができた。
10
5. π共役ポリマー:CdSe量子ドット複合体太陽電池に対する分光研究(小林、鐘本)
近年、π共役ポリマーとフラーレンの混合物からなる太陽電池が基礎・応用の両面にお
いて研究されているが、最近、フラーレンの移動度を高めることを目指して、π共役ポリ
マーと量子ドットからなる太陽電池にも関心が集まっている。この太陽電池はπ共役ポリ
マーからホール、量子ドットから電子が光励起により生成することで動作するが、光励起
後の電荷分離過程の機構は未だ不明な点が多い。本研究では、光励起吸収分光法(PIA)及
び、デバイス動作と分光を融合させたデバイス変調吸収分光法(DM)を用いて、π共役ポ
リマー/CdSe 量子ドット複合体太陽電池における光キャリア生成過程のメカニズムにつ
いて考察を行った。その結果、電極をつける前の薄膜では光励起後効率よく電荷分離が生
じるものの、電極をつけることでその電荷分離が効率よく生じなくなることがわかった。
6. ESRにより発生する分極電流の機構解明(竹本、鐘本)
最近、有機半導体のスピントロニクス素子への応用に期待が集まっているが、なかでも
電子スピン共鳴法(ESR)により、電子スピンを磁場と電磁波で操作し、強磁性体電極なし
でデバイスの電流量を制御する試みが報告され、注目を集めつつある。本研究では、ESR
による電流発生には、物質中のトラップ電子が影響しているのではないかと考え、トラッ
プ電子数が周りの環境に依存しやすい有機半導体を用いたデバイスに着目した。その結果、
ESRによる電流変化が比較的大きな系を発見し、その電流変化の起源を考察し、分極電流
と同定した。その場合、分極電流は物質の誘電率に関係するため、スピンにより誘電率が
変化したことによりESR誘起電流が発生したと考えられる。このように、ESR遷移を誘電率
と結び合わせた例は初めてのものであり、今後の展開が期待できる。
教育・研究業績
学術論文
1. Katsuichi Kanemoto, Motoaki Yasui, Tatsuya Higuchi, Daisuke Kosumi, Ichiro Akai, Tsutomu
Karasawa, and Hideki Hashimoto, “Spectroscopic investigation of excitons, photocarriers and
bias-induced carriers in regioregular poly(3-alkylthiophene).”
Physical Review B83, 205203-1-7 (2011).
2. Katsuichi Kanemoto, Motoaki Yasui, Daisuke Kosumi, Mitsuru Sugisaki, Tsutomu Karasawa and
Hideki Hashimoto, “Morphology dependent exciton formation in regioregular
poly(3-alkyl)thiophenes", Physica Status Solidi (c) 8, 88-91 (2011).
3. Daisuke Kosumi, Satoshi Maruta, Ritsuko Fujii, Katsuichi Kanemoto, Mitsuru Sugisaki, and
Hideki Hashimoto, “Ultrafast Excited State Dyanmics of Monomeric Bacteriochlorophyll a”,
Physica Status Solidi (c) 92-95 (2011).
国際会議講演
1. K. Kanemoto, “A Polarization Current Induced by ESR in an Organic Semiconductor Diode”,
The 5th Japanese-Russian Workshop on Open Shell Compounds and Molecular Spin Devices,
Awaji International Conference Center, Awaji Island, Japan. November 13-16, 2011. (Invited).
学会・研究会講演
1. 上田裕二郎, 鐘本勝一, 橋本秀樹「発光及び光電流検出ESRを用いたπ共役ポリマーにお
けるスピンペアの研究」日本物理学会2011年秋季大会、富山大学(2011.9.21-24)
2. 金信真理子, 鐘本勝一, 橋本秀樹「デバイス変調吸収分光法からみたポリマーELデバイス
の一重項と三重項励起子の関係」日本物理学会2011年秋季大会、富山大学(2011.9.21-2
4)
3. 鐘本勝一,松岡秀展,上田裕二郎,竹本圭佑「有機半導体ダイオードのESRによって誘起
11
4.
5.
6.
7.
8.
される分極電流」電子スピンサイエンス学会2011、仙台国際センター(2011.11.16-18)
太田往宏,鐘本勝一, 橋本秀樹「ポリマー/フラーレン太陽電池における動的キャリアの
再結合成分の分光観測」 日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学(2012.3.24-27)
小林尚子,鐘本勝一, 橋本秀樹「変調分光法を用いたπ共役ポリマー/CdSe複合体太陽電
池における光キャリア生成過程の研究」日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学(2
012.3.24-27)
竹本圭佑,上田裕二郎,松岡秀展,鐘本勝一「有機半導体デバイスにおけるESR誘起分極
電流の発現機構の解明」日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学(2012.3.24-27)
上田裕二郎,竹本圭佑,松岡秀展,鐘本勝一「π共役ポリマーを用いた有機ダイオードに
おけるスピンペアの役割の解明」日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学(2012.3.
24-27)
金信真理子,鐘本勝一, 橋本秀樹「素子動作との融合分光法を用いたポリマーEL素子にお
ける一重項と三重項励起子生成比の起源の解明」日本物理学会第67回年次大会,関西学院
大学(2012.3.24-27)
特許出願
1. 国際特許:鐘本勝一、松岡秀展、発明の名称「電流制御方法および電流制御装置」、出願
番号:PCT/ JP2011/ 64031、出願人:公立大学法人大阪市立大学、出願日:平成23年6
月20日、
2. 国内特許:鐘本勝一、発明の名称「磁気読取装置、磁気読取方法および磁気記録再生装置」、
出願番号:特願2011-286828、出願人:公立大学法人大阪市立大学、出願日:
平成23年12月27日
学位論文
修士論文
1. 井上展幸:「インピーダンス測定及び分光学的手法を用いたπ共役高分子/フラーレン有
機薄膜太陽電池に関する研究」
2. 上田裕二郎:「π共役ポリマーのデバイス物性におけるスピンペアの役割に関する研究」
3. 金信真理子:
「素子動作との融合分光技術を用いたポリマーELの動作ダイナミクスの研究」
研究助成金取得状況
1. 鐘本勝一(代表):科学研究費補助金 若手研究B 「分光・磁気共鳴技術の融合による有
機半導体デバイスのスピン物性発現機構の解明」270万円
2. 鐘本勝一(分担):科学研究費補助金 基盤研究(B)「一般光励起高スピンπラジカルの
複合機能化による分子素子への展開「(代表:手木芳男)80万円
3. 鐘本勝一(代表):研究成果最適展開支援事業(A-STEP): 探索タイプ「電子スピン共鳴現
象を利用した高感度磁気センサーの開発」154万円
12
生体・構造物性研究室
橋本
南後
杉﨑
丸山
藤井
小澄
須貝
秀樹
守
満
稔
律子
大輔
祐子
教授
特任教授
准教授
准教授
特任准教授
特任准教授
特任助教
塚原 侑平
(PD)
堀部
丸田
浦上
井上
千住
長岡
米田
重松
田宮
繁昌
智子
聡
千藍紗
和亮
直輝
悠也
一史
佑典
優大
航平
(D2)
(M2)
(M2)
(M1)
(M1)
(M1)
(B4)
(B4)
(B4)
(B4)
研究概要
1. 100フェムト秒時間分解分光による光合成励起エネルギー移動の観察(小澄,丸田,楠本,
浦上,藤井,杉﨑,橋本)
100フェムト秒ポンプ・プローブ分光計測を用いて,海藻類から光合成細菌に至るまで
の幅広い種について,その超高速励起エネルギー移動メカニズムを明らかにした.海藻類
の光合成アンテナ系については,結合するカルボニルカロテノイドにおいて発現する,分
子内電荷移動状態の存在が,効率的な光捕集及びエネルギー伝達を行うために必要不可欠
であることが明らかになった.光合成細菌に関しては,結合するカロテノイドを系統的に
変化させた菌体を用い,カロテノイドとバクテリオクロロフィル間の相互エネルギー移動
を詳細にわたり明らかにした.また,発現環境を制御し,特殊なアンテナ系であるLH3複
合体を用い,古くから盛んに研究されている光合成アンテナ系における2つのリング間に
おける励起エネルギー移動を調べた(図1).その結果,リング間におけるエネルギー移
動は,弱結合極限下で記述されるフェルスター速度式で定量的に説明できることを示した
(論文[1,2,7-8,20,23]).
図1 光合成細菌LH2アンテナ系の色素配列と励起エネルギー移動 2. デバイス動作と分光の融合技術の開発とデバイスへの適用(南後,橋本)
カロテノイド分子を中心とした光合成化合物群を太陽光発電に応用するに際しては,デ
バイス動作時におけるキャリアの振る舞いを明らかにする必要がある.そのためには,デ
バイス動作と分光技術を融合させた手法が有効であると着想し,実際に開発を行った.そ
の手法の有効性を確かめるために,カロテノイドの類似物かつ半導体デバイスとしての利
13
用が盛んなπ共役ポリマーのダイオードおよび太陽電池に対して,実際にその手法を適用
した.結果として,ダイオード動作で消費されるポリマー分子の電子構造並びに生成され
るキャリアの電子状態を解明し,さらには太陽電池動作に寄与する光キャリアの電子状態
を直接プローブすることに成功した.これらの結果を過渡吸収実験と組み合わせることで,
光励起及び素子動作で消費される電子状態の違いを明確にすることが出来た(論文[9]).
3. オキナワモズク盤状体からのFCPアンテナタンパク質の単離精製及び色素組成の決定(藤
井,橋本)
褐藻類であるオキナワモズクを単藻培養した盤状体より,フコキサンチン-クロロフィル
a/cタンパクを単離精製する手法を完成させ,論文発表した.これは,陸上植物型のアンテ
ナに比べるとクロロフィルbの代わりにクロロフィルcをアンテナクロロフィルとして含
むアンテナであり,海洋に広く分布するがあまり知られていない.また,クロロフィルc
がカルボキシル基を持つ有機酸であるため,その色素組成,特にクロロフィルa/c比を正確
に決める手法が確立されていなかったが,1H-NMRを利用する事により,この手法を確立
する事に成功した.これらの基礎的な手法の確立を経て,超高速時間分解分光を行い,フ
コキサンチン,クロロフィルcからクロロフィルaへのエネルギー伝達機構を解明する手が
かりを得た(論文[14,15]).
4. 光合成アンテナ系色素タンパク複合体に結合したカロテノイドのStark分光(堀部,小澄,
藤井,橋本)
紅色光合成細菌Phaeospirillum molischianum DSM120 由来の周辺アンテナ複合体LH3お
よびLH2に結合したカロテノイドにStark分光を適用した.これら二種類では,カロテノイ
ド分子周辺の環境の違いがあると考えられる.Stark分光により得られたスペクトルの解析
に際し,LH1に用いてきたような従来の方法を適用できなかった.そこで,得られたスペ
クトルを複数のガウス関数型の成分に分解した.分解に際し,二重結合及び単結合の伸縮
振動モードという二種類の成分を考慮した.この解析方法により,LH2及びLH3内でのカ
ロテノイドが示す非線型光学パラメータの値の違いが明確になった.また,2種類の伸縮
振動モードの示すStark効果の大きさに違いが見られるという興味深い結果を得た (論文
[24]).
5. カロテノイドとカロテノイド欠損型Rsp. rubrumサブユニットとの再会合によるLH1複合体
の調製,構造,機能:3,4-ジヒドロアンヒドロロドビブリンとカロテノイド欠損型Rsp.
rubrumサブユニットとの再会合(堀部,藤井,南後,橋本)
これまでに分子構造の異なる4種類のカロテノイド(スピロキサンンチン,アンヒドロ
ロドビブリン,ロドピン,スフィロイデン)を用いて,光合成細菌Rsp. rubrumのカロテノ
イド欠損型LH1サブユニットと会合させ,LH1複合体を再会合させる試みを報告した.使
用したカロテノイドは,由来する細菌の種類は異なるものの,いずれも天然のLH1複合体
から抽出単離されたものである.それによると,大部分のカロテノイド(スピロキサンン
チン,アンヒドロロドビブリン,スフィロイデン)では,LH1複合体のBChl aのQy吸収体
は通常883(4) nm に極大を有するが,水酸基をもつロドピンを用いた場合のみ,LH1複合
体のBChl aのQy吸収体は881 nmに極大をもつことが示された.この3 nm の極大吸収の短
波長シフトは,僅かではあるが,ロドピン水酸基とBChl aの特殊な相互作用によるものと
考察された.そのことについて,更なる知見を得るため,ロドピンの1位の水酸基がメト
キシ基である3,4-ジヒドロアンヒドロロドビブリンをグラムスケールで化学合成し,Rsp.
rubrumのカロテノイド欠損型LH1サブユニットと会合させ,LH1複合体を再会合させるこ
とを検討した.3,4-ジヒドロアンヒドロロドビブリンの純粋なall-trans体を用いて,LH1複
合体の再会合を検討した.分光器の精度の確認,再会合の条件検討等を精査し,3,4-ジヒ
ドロアンヒドロロドビブリンを用いるLH1複合体は883 nmに吸収極大をもつことを明らか
にした.このことは水酸基を保護することによりBChl aの相互作用がほぼ消失したことを
14
意味しており,ロドピン水酸基とBChl aが近傍にあることを裏付ける結果である.また,
3,4-ジヒドロアンヒドロロドビブリンのall-trans体と5-cis体(5-cis-5’-cis体と5-cis-5’-trans体
=2:1)の等量混合物を用いてRsp. rubrumのカロテノイド欠損型LH1サブユニットと会合さ
せると,興味深いことにall-trans体が80%の選択性で取り込まれることを確認した (論文
[22]).
6. Solar燃料生成のための触媒開発に向けて(橋本)
硫黄架橋三核ロジウム,イリジウム錯体は,二酸化炭素の電解還元触媒として知られて
いる.同様の骨格構造をもつ様々な金属錯体を合成し,その酸化還元電位をチューニング
したより効率的な触媒開発のため,N-ヘテロ環カルベン(NHC)を組み込んだ水硫化物配
位子をもつ単核白金錯体を合成した.さらに,この水硫化物錯体を用いて,硫化物三重架
橋三核錯体の合成を行い,その構造解析を明らかにした.この三核錯体のサイクリックボ
ルタモグラム(CV)を二酸化炭素存在下で測定したが,大きな触媒電流は観測されなかっ
た.その他,水を完全分解するための酸化触媒の開発に関しても種々検討した (論文
[12,13,17-19,30,31]).
7. 光電変換機能を持つ光合成蛋白質/色素ナノ構造の構築とその機能解析(南後,橋本)
以下の項目にポイントを置いて,光合成蛋白質色素複合体の2次元配列試料調製と配向
を制御した基板への組織化とその機能評価を行った.そして,光合成で認められている高
効率な太陽光エネルギー変換機能を持つアンテナ系蛋白質色素複合体の人工的な構築と
その機能原理を探索した.
① 光合成細菌の反応中心(RC)を含むアンテナ系蛋白質色素複合体(RC-LH1-His)の配向
を制御した基板上での組織化(論文[29])
N末端およびC末端にHis-tag基をもつRC-LH1-Hisを光合成細菌から分子生物学的手
法を用いて発現させて,金電極系への配向を制御した色素複合体の組織化に成功した.
その確認は光電流応答ならびに導電性AFMの整流特性から行った.
② 光合成細菌のアンテナ系蛋白質色素複合体(LH2,RC-LH1)の脂質二分子膜中での組
織化と光エネルギー移動能の検討(論文[9])
リポソーム膜中に導入した光合成蛋白質/色素複合体のLH2 およびRC-LH1 と予め
基板上に化学修飾して固定化した脂質二分子膜と膜融合を行い,基板上での光合成色
素複合体のLH2 からRC-LH1への光エネルギー移動の確認と単分子膜の形成をAFM観
察などから確認した.興味深いことに,基板と脂質二分子膜層間に空隙を作成するこ
とによって,効率の良い光エネルギー移動を示すLH2 およびRC-LH1 複合体の自己組
織化が認められた.
③ 光合成細菌のアンテナ系蛋白質モデルペプチドを用いた諸種の色素複合体の電極基板
上での2次元組織化とその光電変換機能評価(論文[10,16])
基板上で配向制御が可能な諸種のRCならびにLH2モデルペプチドを化学合成なら
びに遺伝子工学的手法で新たに合成し,金電極基板上でのモデルペプチド/光合成色素
複合体の脂質二分子膜を用いた2次元組織化を行った.その色素複合体の光電流応答
はモデルペプチド分子と色素分子の分子配向とそれらの分子複合体の組み合わせに大
きく依存することがわかった.
8. 共鳴フェムト秒誘導ラマン分光(FSRS)による光合成初期過程の研究(藤井,南後,橋本)
15
1152
1152 1216
Raman Signal
フェムト秒誘導ラマン分光により再会合LH1(Spx)お
よびスピリロキサンチン(Spx)溶液の振動状態を観測
した.特に,LH1中で明瞭に観測されるCar S*状態に着
目した.図2は,Car S2励起後の測定結果から,励起状
態それぞれのラマン信号を求めたものである.Hot S1
からS1への振動緩和によるν1モード(C=C伸縮, 1770cm-1
付近)の高周波数シフトは,LH1および溶液で共通に観
測された.しかし,S*に同定されている寿命約5 psの信
号には差があり,LH1中と溶液中では異なる状態にあ
ることが明らかとなった.LH1中のS*は,1274, 1350
cm-1にピークを持ち,三重項励起状態T1とほぼ同じで
ある.しかし,溶液中のS*solには対応する信号がない.
S*はLH1に特徴的な状態であり,光合成初期過程で重
要な役割をもつことを示している(論文[32]).
1136 1232
1506
1500
1740
1502
1140
1770
1491
1274 1350
1129
1500
1272 1356
1493
1142
S0
hot S1
S1
S*
T1
S* sol
1200 1400 1600 1800
-1
Raman shift (cm )
図2 各励起状態のラマン信号
9. 前駆励起光を用いた光合成初期過程における光障害保護機構の研究(南後,橋本)
光合成初期過程では光障害保護作用も重要である.これまでに明らかにされた保護作用
は,BChlの三重項状態からCar T1へのエネルギー移動である.我々は,LH1(Spx)において
BChlを前駆励起光で励起した場合に,Car中の緩和過程が変化してS*を通したT1生成効率
が高まることを見出した.この過程はCarからBChlへの余分なエネルギー移動を初期過程
において防ぐものであり,新たに発見された光障害保護作用である(論文[26]).
10. 波長可変励起光による再会合LH1のエネルギー移動効率の評価(南後,橋本)
波長可変励起光によりCar S2準位とBChl Qx準位を選択的に励起してエネルギー移動効
率を比較する手法を開発した.高い精度を得るため,励起光のスペクトル形状およびビー
ム形状から励起状態数を正確に見積もった.試料としては,カロテノイドとしてスフェロ
イデン(共役長n=10)を再会合した複合体LH1(Sph)と,バクテリオクロロフィルの中心金
属をMgからZnとした複合体(LH1(ZnSph))を用いている.特に,BChlからCarへの逆向き
のエネルギー移動と,効率が小さいCar S1→BChl Qyのエネルギー移動に着目して評価を進
めている(論文[27]).
11. 氷結晶の成長形と融解形の非対称(丸山)
結晶はミクロな構造異方性をもつために,特定の方位の結晶面がマクロな結晶外形を形
づくる.ゆっくりと成長または融解する結晶では一般的に,成長形は成長速度の遅い方位
の面によって,融解形は融解速度の速い面によって囲まれる.その結果,両者の形には顕
著な違いが表れる.ここでは,氷円盤結晶側面の二回対称系を用いて実験観察を行い,成
長形と融解形の間の非対称性を次の通り明らかにした.
氷円盤結晶は,c 軸方向から見ると丸い円状であるが,c 軸に垂直方向からは,2 枚の平行
な{0001}ファセットとそれらをつなぐ曲面(微斜面とラフ面)が見え,2 回対称になる.この
円盤結晶をアンビル・セル中の圧力下で成長・融解させた.圧力は約 500 気圧,温度は-4℃
~-5℃の範囲で行った.温度を一定にしておくと,アンビル・セル内は圧力も一定値に保
たれ,平衡形が実現される.成長・融解は温度を一定速度で下降・上昇させて起こす.小
さい駆動力のもとではファセットは不動であり,曲面のみが前進・後退する.成長過程で
は,微斜面が減衰しラフ面が大きくなる.ラフ方位は平均曲率が減少しながら成長する.
一方融解過程では,微斜面が大きく張り出し,ラフ面は小さくなる.ラフ面の曲率は時間
とともに増加する.成長と融解では,微斜面とラフ面の時間発展およびラフ面の曲率発展
が逆になることが分かった(論文[4]).
16
教育・研究業績
学術論文
1. D. Kosumi, T. Kusumoto, R. Fujii, M. Sugisaki, Y. Iinuma, N. Oka, Y. Takaesu, T. Taira, M. Iha, H.
A. Frank, and H. Hashimoto, “Ultrafast excited state dynamics of fucoxanthin: excitation energy
Dependent intramolecular Charge Transfer Dynamics”, Phys. Chem. Chem. Phys. 13, 10762-10770
(2011).
2. D. Kosumi, T. Kusumoto, R. Fujii, M. Sugisaki, Y. IInuma, N. Oka, Y. Takaesu, T. Taira, M. Iha, H.A.
Frank, and H. Hashimoto, “Ultrafast S1 and ICT state dynamics of a marine carotenoid probed by
femtosecond one- and two-photon pump-probe spectroscopy”, J. Lumin. 131, 515-518 (2011).
3. R. Nakamura, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Dark excited states of
carotenoids regulated by bacteriochlorophyll in photosynthetic light harvesting”, J. Phys. Chem. B 115,
3233 (2011).
4. M. Maruyama, “Relation between growth and melt shapes of ice crystals”, J. Crystal Growth 318,
36-39 (2011).
5. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Strongly coherent coupling of
vibronic oscillations in spheroidene”, Physics Procedia 13, 74-77 (2011).
6. S. Maruta, D. Kosumi, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “The
dependence of excitation energy transfer pathways on conjugation length of carotenoids in purple
bacterial photosynthetic antennae”, Phys. Stat. Sol. (b) 248, 403-407 (2011).
7. S. Maruta, D. Kosumi, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Unusual
enhancement of triplet carotenoid formation in pigment-protein complexes as revealed by
femtosecond pump-probe spectroscopy”, Physics Procedia 13, 58-61, (2011).
8. T. Kusumoto, D. Kosumi, C. Uragami, H.A. Frank, R.R. Birge, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto,
“Femtosecond transient absorption spectroscopic study on a carbonyl-containing carotenoid analogue
2-(all-trans-retinylidene)-indan-1,3-dione”, J. Phys. Chem. A 115, 2110-2119 (2011).
9. A. Sumino, T. Dewa, T. Takeuchi, R. Sugiura, N. Sasaki, N. Misawa, R. Tero, T. Urisu, A.T. Gardiner,
R.J. Cogdell, H. Hashimoto, and M. Nango, “Construction and structural analysis of tethered lipid
bilayer containing photosynthetic antenna proteins for functional analysis”, Biomacromolecules 12,
2850-2858 (2011).
10. S. Sakai, A. Hiro, A. Sumino, T. Mizuno, T. Tanaka, H. Hashimoto, T. Dewa, and M. Nango,
“Reconstitution and Organization of Photosynthetic Antenna Protein Complex Bearing Functional
Hydrophilic Domains”, Chem. Lett. 40, 1280-1282 (2011).
11. A.E. Jailaubekov, M. Vengris, S.-H. Song, T. Kusumoto, H. Hashimoto, and D.S. Larsen,
“Deconstructing the excited-state dynamics of β-carotene in solution”, J. Phys. Chem. A 115,
3905-3916 (2011).
12. T. Shibata, H. Hashimoto, I. Kinoshita, S. Yano, and T. Nishioka, “Unprecedented diastereoselective
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Carotenoid Sci. 16, 54-58 (2011).
T. Horibe, D. Kosumi, R. Fujii, P. Qian, C. N. Hunter and H. Hashimoto, “Stark spectroscopy of
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Phaeospirillum molischianum”, Carotenoid Sci. 16, 38-42 (2011).
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T. Yoshioka, R. Nakamura, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Excitation
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and R.J. Cogdell, “New insights into the structure of the reaction centre from Blastochloris viridis:
evolution in the laboratory”, Biochem. J. 442, 27-37 (2012).
M. Kondo, K. Iida, T. Dewa, H. Tanaka, T. Ogawa, S. Nagashima, K.V.P. Nagashima, K. Shimada, H.
Hashimoto, A.T. Gardiner, R.J. Cogdell, and M. Nango, “Photocurrent and electronic activities of
oriented-His-tagged photosynthetic light-karvesting/reaction centre core complexes assembled onto a
Gold Electrode”, Biomacromolecules 13, 432-438 (2012).
Y. Maeda, H. Hashimoto and T. Nishioka, “Synthesis and reactivity of a platinum(II) complex with
hydrosulfido ligands induced by a chelated N-heterocyclic carbene ligand”, Chem. Lett. 41, 145-147
(2012).
M. Hirotsu, Y. Shimizu, N. Kuwamura, R. Tanaka, I. Kinoshita, R. Takada, Y. Teki, and H.
Hashimoto, “Anion-Controlled Assembly of Four Manganese Ions: Structural, Magnetic, and
Electrochemical Properties of Tetramanganese Complexes Stabilized by Xanthene-Bridged Schiff
Base Ligands”, Inorg. Chem. 51, 766-768 (2012).
M. Yoshizawa, R. Nakamura, O. Yoshimatsu, K. Abe, S. Sakai, K. Nakagawa, R. Fujii, M. Nango and
H. Hashimoto, “Femtosecond stimulated Raman spectroscopy of the dark S1 excited state of
carotenoid in photosynthetic light harvesting complex”, Acta Biochim. Polon. 59 (2012) 49-52.
C. Uragami, E. Yamashita, A. Gall, B. Robert, and H. Hashimoto, “Application of resonance Raman
microscopy to in vivo carotenoid”, Acta Biochim. Polon. 59 (2012) 54-56.
T. Horibe, K. Nakagawa, T. Kusumoto, R. Fujii, R.J. Cogdell, M. Nango, H. Hashimoto, “Polarization
angle dependence of stark absorption spectra of spirilloxanthin bound to the reconstituted LH1
complexes usingLH1-subunits isolated from the purple photosynthetic bacterium Rhodospirillum
rubrum”, Acta Biochim. Polon. 59 (2012) 97-100.
C. Uragami, E. Yamashita, A. Gall, B. Robert, and H. Hashimoto, “Resonance Raman Microscopy of
Astaxanthin in the Rat Skin”, Carotenoid Sci. 16, 16-19 (2011).
18
国際会議講演
1. H. Hashimoto, D. Kosumi, S. Maruta, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, and R.J. Cogdell, “A new
ultrafast energy dissipation pathway found in a purple bacterial photosynthetic light-harvesting
system”, Int. workshop "mechanisms of non-photochemical quenching", Passau, Germany, 6-10 April,
2011 (invited).
2. H. Hashimoto, D. Kosumi, S. Maruta, T. Horibe, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Nango, and R.J. Cogdell,
“Energy-transfer dynamics between carotenoid and bacteriochlorophyll in the light-harvesting system
of purple photosynthetic bacteria as visualized by sub-picosecond pump-and probe and sub-20 fs
four-wave mixing spectroscopies”, Light-harvesting processes (LHP) 2011, Banz, Germany, 10-14
April, 2011 (invited).
3. Y. Sugai, A. Sumino, C. Uragami, R. Fujii, T. Nishioka, T. Dewa, I. Kinoshita, M. Nango, R.J.
Cogdell, and H. Hashimoto, “Atomic force microscopy observation of hybrid photosynthetic units
using peripheral and core antennae from two different species of photosynthetic bacteria”,
Light-harvesting processes (LHP) 2011, Banz, Germany, 10-14 April, 2011.
4. T. Dewa, A. Sumino, N. Watanabe, N. Sasaki, T. Morii, H. Hashimoto, and M. Nango,
“Reconstitution of supramolecular assembly of bacterial photosynthetic antenna/reaction center
complexes into lipid bilayers: AFM observation, energy transfer, and photocurrent generation of the
assembly”, Light-harvesting processes (LHP) 2011, Banz, Germany, 10-14 April, 2011.
5. O. Yoshimatsu, K. Abe, R. Nakamura, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M.
Yoshizawa, “Resonant stimulated Raman spectroscopy of the S1 and S* excited states of carotenoids
in light-harvesting complex”, The 15th int. conf. on time-resolved vibrational spectroscopy, Ascona,
Switzerland, 19-24 June, 2011.
6. R. Nakamura, N. Hamada, Y. Kanematsu, K. Abe, and M. Yoshizawa, “Stimulated Raman
spectroscopy of the electronic excited state of photoactive yellow protein”, The 15th int. conf. on
time-resolved vibrational spectroscopy, Ascona, Switzerland, 19-24 June, 2011.
7. H. Hashimoto, “Energy-transfer dynamics between carotenoid and (bacterio-)chlorophyll in the
light-harvesting system of purple photosynthetic bacteria and marine algae”, Int. symp. on activation
of dioxygen and homogeneous catalytic oxidation, Bankoku-Shinryokan, Okinawa, 3-8 July, 2011
(invited).
8. A. Sumino, T. Dewa, N. Watanabe, M. Kondo, T. Mizuno and M. Nango, “Reconstitution and
structural/functional analysis of photosynthetic membrane protein assembly in lipid bilayers”, The 5th
symp. molecular science for supra functional systems, Royton Sapporo, Hokkaido, 11-3 July, 2011.
9. S. Sakai, S. Yamaguchi, M. Kondo, T. Mizuno, K. Nagashima, T. Dewa, T. Tahara, and M. Nango,
“Immobilization of the photosynthetic protein complexes with a defined orientation onto solid
supports via specific interactions between yag-peptide-sequences and counterpart-ligands”, The 5th
symp. molecular science for supra functional systems, Royton Sapporo, Hokkaido, 11-13 July, 2011.
10. T. Horibe, D. Kousmi, R. Fujii, P. Qian, C.N. Hunter, and H. Hashimoto, “Stark spectroscopy of
carotenoids bound to LH3 antenna pigment-protein complexes from Rhodopseudomonas
molischianum”, The 16th int. symp. on carotenoids, Krakow, Poland, 17-22 July, 2011.
11. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Iha, H.A. Frank, and H. Hashimoto, “Excitation
energy dependence of intramolecular charge transfer dynamics of fucoxanthin”, The 16th int. symp. on
carotenoids, Krakow, Poland, 17-22 July, 2011.
12. C. Uragami, E. Yamashita, A. Gall, B. Robert, and H. Hashimoto, “Application of resonance Raman
microscopy to in vivo carotenoid”, The 16th int. symp. on carotenoids, Krakow, Poland, 17-22 July,
2011.
13. M. Yoshizawa, R. Nakamura, O. Yoshimatsu, K. Abe, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, and H.
Hashimoto, “Dark excited states of carotenoid in photosynthetic light harvesting complex studied by
multi-pump spectroscopy”, The 16th int. symp. on carotenoids, Krakow, Poland, 17-22 July, 2011.
14. M. Kondo, K. Harada, S. Nagashima, K.V.P. Nagashima, H. Hashimoto, T. Dewa, and M. Nango,
“Self-assembly of photosynthetic antenna core complex onto a with defined orientation and its
photocurrent activity”, Int. conf. on tetrapyrrole photoreceptors of photosynthetic organisms
(ICTPPO), Max-Plank-Institute Harnack House, Berlin, Germany, 24-28 July, 2011.
15. H. Hashimoto, “Stark absorption spectroscopy of photosynthetic pigments and pigment-protein
complexes”, 18th int. SPACC symp., Whistler, Canada, 3-6 August 2011 (Plenary Lecture).
16. Y. Sugai, A. Sumino, C. Uragami, R. Fujii, T. Dewa, M. Nango, and H. Hashimloto, “Arrangement of
pigment-protein complexes in artificial photosynthetic membranes visualized by high-resolution
atomic force microscopy”, 18th int. SPACC symp., Whistler, Canada, 3-6 August 2011 (invited).
19
17. T. Nishioka, M. Kato, Y. Maeda, T. Shibata, H. Hashimoto, I. Kinoshita, and S. Yano, “Dynamic
behavior of sugar-coated pincer type nickel complex attributed to coordination of sugar group”, 18th
int. SPACC symp., Whistler, Canada, 3-6 August 2011 (invited).
18. Y. Maeda, T. Nishioka, H. Hashimoto, and I. Kinoshita, “Synthesis of novel sulfur containing
platinum complexes with bidentate N-heterocyclic carbene ligand”, 18th int. SPACC symp., Whistler,
Canada, 3-6 August 2011.
19. Y. Sugai, A. Sumino, C. Uragami, R. Fujii, T. Nishioka, T. Dewa, I. Kinoshita, M. Nango, R.J.
Cogdell, and H. Hashimoto, “Atomic force microscopy observation of hybrid photosynthetic units
using peripheral and core antennae from two different species of photosynthetic bacteria”, 18th int.
SPACC symp., Whistler, Canada, 3-6 August 2011.
20. Y. Sugai, A. Sumino, C. Uragami, R. Fujii, T. Nishioka, T. Dewa, I. Kinoshita, M. Nango, R.J.
Cogdell and H. Hashimoto, “Atomic force microscopy observation of artificial photosynthetic
membranes and energy-transfer from the LH2 to LH1 antenna complexes”, 15th int. conf. of
bioinorganic chemistry (ICBIC15), Vancouver, Canada, 7-12 August 2011.
21. A. Sumino, T. Dewa, N. Watanabe, N. Sasaki, M. Kondo, and M. Nango, “Reconstitution of
photosynthetic antenna membrane protein assembly into lipid bilayer and its direct observation using
atomic force microscopy”, AFM BioMed conf., Fourth int. meeting on AFM in life science and
medicine, Paris, France, 23-27 August, 2011.
22. M. Nango, “Artificial photosynthetic antenna: self-assemblies of light-harvesting protein-pigment
complex and its model complex for construction of an artificial photoenergy conversion system”, 2011
Korean-Japan bilateral symp. on frontier photoscience (2011KJFP), Konkuk University, Seoul, Korea,
28-31 October, 2011 (Plenary Lecture).
23. R. Fujii, N. Senju, Y. Shigematsu, M. Iha and H. Hashimoto, “Thermotolerance of carbonyl
carotenoids bound to the photosynthetic antennae from oceanic algae”, JST-PRESTO int. symp. on
photo-science leading to a sustainable society: environment, energy, functional materials, Keio Univ.,
Hiyoshi campus, Yokohama, Japan, 26-27 March, 2012.
学会・研究会講演
1. 橋本 秀樹,「美容素材の肌への浸透性を評価する〜顕微ラマン分光測定法について」,ifia/HFE
Japan 2011,東京ビッグサイト,2011年5月18日~5月20日 (招待講演).
2. 天野瑞貴,近藤政晴,永田衞男,橋本秀樹,天尾豊,出羽毅久,南後守,「光合成のアンテナ
タンパク質/ポルフィリン関連色素複合体の電極基板上への組織化およびその光電流測定」,第
1 回ポルフィリン-ALA 学会,東京工業大学大岡山キャンパス,2011 年 5 月 7 日.
3. 二井知紀,李紅梅,出羽毅久,南後守,「ポルフィリン-脂質誘導体の合成と細胞内導入」,第
1 回ポルフィリン-ALA 学会,東京工業大学大岡山キャンパス,2011 年 5 月 7 日.
4. 角野歩,出羽毅久,佐々木伸明,渡部奈津子,橋本秀樹,南後 守,「光合成アンテナ膜タンパ
ク質集合体の脂質膜中への再構成と原子間力顕微鏡による直接観察」,第 60 回高分子学会
年会,大阪国際会議場,2011 年 5 月 25 日~5 月 27 日.
5. M. Kondo, K.Harada, S. Nagashima, K. V. P. Nagashima, H. Hashimoto, T. Dewa, M.
Nango, “Self-assembly of photosynthetic antenna membrane protein onto substrate
with a defined orientation and its photocurrent activity”,第 60 回高分子学会年会,大
阪国際会議場,2011 年 5 月 25 日~5 月 27 日.
6. 近藤政晴,原田香織,永島咲子,永島賢治,橋本秀樹,出羽毅久,南後守,「光合成アンテナ
膜タンパク質の電極基板上での分子配向制御とその光電流特性」,第2回日本光合成学会大
会,京都大学百周年時計台記念館,2011年 6 月 3 日~6 月 4 日.
7. 梶川敬之,奥村智,岩下孝,小澄大輔,橋本秀樹,勝村成雄,「有機合成が先導する海洋光合
成を担う多官能性カロテノイドの機能解明」,第 46 回天然物化学談話会,静岡,2011年 7 月 7
日~7 月 9 日.
8. 南後 守,「Self-assembly of light-harvesting protein-pigments complexes for artificial photosynthetic
antenna」,CREST有機太陽電池シンポジウム,京都大学,2011年7月15日~7月16日 (招待講演).
9. 角野歩,出羽毅久,渡部奈津子,近藤政晴,橋本秀樹,南後 守,「光合成アンテナ膜タンパク
質集合体の脂質膜中への再構成と原子間力顕微鏡による集合形態の観察」,第 21 回バイオ・
高分子シンポジウム,関西大学千里山キャンパス,2011 年 7 月 25 日~7 月 26 日.
20
10. 渡部奈津子,出羽毅久,角野歩,近藤政晴,橋本秀樹,南後守,「光合成アンテナ膜タンパク
質集合体の脂質膜中におけるエネルギー移動評価」,第 21 回バイオ・高分子シンポジウム,
関西大学千里山キャンパス,2011 年 7 月 25 日~7 月 26 日.
11. 酒井俊亮,石榑修一,葛谷廣太郎,中島彩乃,橋本秀樹,水野稔久,田中俊樹,出羽毅久,南
後守,「人工光合成タンパク質/色素複合体の基板上への組織化と光電変換能評価」,第 21 回
バイオ・高分子シンポジウム,関西大学千里山キャンパス,2011 年 7 月 25 日~7 月 26 日.
12. 小河原雅子,井野曜子,加藤毅,菱山隆,五十嵐友二,藤井律子,橋本秀樹,「アスタキサンチ
ンシス体吸光係数の決定」,食品科学工学会第58回大会,東北大学川内北キャンパス,2011
年 9 月 9 日~9 月 11 日.
13. 須貝祐子,角野歩,藤井律子,出羽毅久,南後守,橋本秀樹,「光合成再構成膜の高分解能
原子間力顕微鏡観察」,第 5 回バイオ関連化学シンポジウム,つくば国際会議場,2011 年 9 月
12 日~9 月 14 日.
14. 近藤政晴,原田香織,永島咲子,永島賢治,橋本秀樹,出羽毅久,南後 守,「光合成アンテ
ナ膜タンパク質の基板上への組織化とその光電流特性」,第 5 回バイオ関連化学シンポジウム,
つくば国際会議場,2011 年 9 月 12 日~9 月 14 日.
15. 出羽毅久,角野歩,渡部奈津子,佐々木伸明,近藤政晴,橋本秀樹,南後守,「光合成アンテ
ナタンパク質集合体の構造–機能評価」,第 5 回バイオ関連化学シンポジウム,つくば国際会議
場,2011 年 9 月 12 日~9 月 14 日.
16. 丸田聡,堀部智子,小澄大輔,須貝裕子,藤井律子,杉崎満,橋本秀樹,「紅色光合成細菌の
光捕集アンテナにおけるカロテノイドーバクテリオクロロフィル間のエネルギー移動メカニズム」,
第 25 回カロテノイド研究談話会,つくば国際会議場,2011 年 9 月 13 日~9 月 14 日.
17. 長岡悠也,堀部智子,斉藤圭亮,小澄大輔,杉崎満,P. Qian,C. N. Hunter,橋本秀樹,「発
現条件の異なる紅色光合成細菌アンテナ系 LH2, LH3 における色素間励起エネルギー移動」,
第 25 回カロテノイド研究談話会,つくば国際会議場,2011 年 9 月 13 日~9 月 14 日.
18. 堀部智子,小澄大輔,藤井律子,P. Qian,C.N. Hunter, 橋本秀樹,「Phaeospirillum
molischianum DSM-120 由来の周辺アンテナ色素蛋白複合体に結合するカロテノイドに対
する Stark 吸収分光」,第 25 回 カロテノイド研究談話会,つくば国際会議場,2011 年 9 月
13 日~9 月 14 日.
19. 岡直宏,平良寛進,伊波匡彦,藤井律子,橋本秀樹,「亜熱帯性緑藻の培養によるシフォナキ
サンチンの生産」,第 25 回 カロテノイド研究談話会,つくば国際会議場,2011 年 9 月 13 日~
9 月 14 日.
20. 小澄大輔,藤井律子,杉崎満,伊波匡彦,H.A. Frank,橋本秀樹,「フェムト秒時間分解分光
による褐藻類光合成エネルギー伝達の解明」,第 25 回カロテノイド研究談話会,つくば国際会
議場,2011 年 9 月 13 日~9 月 14 日.
21. 梶川敬之,奥村智,矢野亘記,岩下孝,小澄大輔,橋本秀樹,勝村成雄,「光合成エネルギー
伝達機構解明に向けた海洋性カロテノイドフコキサンンチン及びその類縁体の合成」,第 25 回
カロテノイド研究談話会,つくば国際会議場,2011 年 9 月 13 日~9 月 14 日.
22. 吉松織優,中村亮介,酒井俊亮,中川勝統,南後守,橋本秀樹,吉澤雅幸,
「共鳴フェム
ト秒誘導ラマン分光による光合成色素蛋白複合体内のカロテノイド励起状態の研究」,
第 25 回カロテノイド研究談話会,つくば国際会議場,2011 年 9 月 13 日~9 月 14 日.
23. N. Watanabe, T. Dewa, A. Sumino, M. Kondo, H. Hashimoto, M. Nango,
“Reconstitution of photosynthetic antenna protein assemblies into lipid bilayers and
their evaluation of energy transfer”,第 49 回日本生物物理学会年会, 兵庫県立大学姫路
書写キャンパス,2011 年 9 月 16 日~9 月 18 日.
24. 出羽毅久,角野歩,渡部奈津子,佐々木伸明,近藤政晴,橋本秀樹,南後守,「光合成アンテ
ナタンパク質集合体の再構成と構造-機能評価」,第 60 回高分子討論会,岡山大学,2011 年 9
月 28 日~9 月 30 日.
25. 長岡悠也,堀部智子,斉藤圭亮,小澄大輔,杉崎満,P. Qian,C. N. Hunter,橋本秀樹,「発
現条件の異なる紅色光合成細菌アンテナ系 LH2, LH3 におけるフェムト秒分光」,日本物理学
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会 2011 年秋季大会,富山大学五福キャンパス,2011 年 9 月 21 日~9 月 24 日.
小澄大輔,梶川敬之,奥村智,堀部智子,藤井律子,杉崎満,勝村成雄,橋本秀樹,「海洋カ
ロテノイドにおける分子内電荷移動の共役鎖長依存性」,日本物理学会 2011 年秋季大会,富
山大学五福キャンパス,2011 年 9 月 21 日~9 月 24 日.
長岡悠也,丸田聡,小澄大輔,藤井律子,杉崎満,橋本秀樹,「紅色細菌由来の集光アンテナ
におけるバクテリオクロロフィルの線形・非線形光学応答」,日本物理学会 2011 年秋季大会,
富山大学五福キャンパス,2011 年 9 月 21 日~9 月 24 日.
丸田聡,堀部智子,小澄大輔,須貝裕子,藤井律子,杉崎満,橋本秀樹,「紅色光合成細菌の
光防護作用から見るカロテノイドーバクテリオクロロフィル間のエネルギー移動メカニズム」,日
本物理学会 2011 年秋季大会,富山大学五福キャンパス,2011 年 9 月 21 日~9 月 24 日.
藤原正澄,須貝祐子,藤井律子,野田哲矢,桃原清太,趙洪泉,橋本秀樹,竹内繁樹,「ナノ
光ファイバによる単一分子分光とその光合成色素蛋白複合体への応用」,日本物理学会 2011
年秋季大会,富山大学五福キャンパス,2011 年 9 月 21 日~9 月 24 日.
小澄大輔,藤井律子,杉崎満,伊波匡彦,H. A. Frank,橋本秀樹,「褐藻類光合成アン
テナの異なるサイトに結合したフコキサンチンの励起状態ダイナミクス」,日本物理学
会 2011 年秋季大会,富山大学五福キャンパス,2011 年 9 月 21 日~9 月 24 日.
梶川敬之,奥村智,花ノ木祥平,矢野亘記,岩下孝,小澄大輔,堀部智子,橋本秀樹,勝村成
雄,「有機合成が先導する海洋光合成を担う多官能性カロテノイドの機能解明」,第 53 回天然
有機化合物討論会,大阪,2011 年 9 月 27 日~9 月 29 日.
橋本 秀樹,「光合成初期反応のナノ空間光機能制御」,第7回励起ナノプロセス研究会,大阪ビッ
グ・アイ国際障害者交流センター,2011年11月1日~11月2日 (招待講演).
橋本 秀樹,「光合成初期反応のナノ空間光機能制御」,2011年度後期物性研短期研究集会「エネ
ルギー変換の物性科学」,東京大学物性研究所,2011年11月14日~11月15日 (招待講演).
吉澤雅幸,阿部健太,吉松織優,中村亮介,酒井俊亮,南後守,橋本秀樹,「マルチパルス励
起フェムト秒分光による光合成初期過程の研究」,第 4 回東北大学光科学技術セミナー,東北
大学電気通信研究所,2011 年 11 月 16 日.
奥村智,梶川敬之,小澄大輔,橋本秀樹,勝村成雄,「フコキサンチンの光合成エネルギー伝
達機構解明に向けた類縁体の合成」,香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会,筑波
大学つくばキャンパス,2011 年 11 月 19 日~9 月 21 日.
矢野亘記,梶川敬之,小澄大輔,橋本秀樹,勝村成雄,「フコキサンチンにおけるアレンの効果
解明に向けた類縁体の合成」,香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会,筑波大学つく
ばキャンパス,2011 年 11 月 19 日~9 月 21 日.
角野歩,渡部奈津子,中野優希,野地智康,近藤政晴,出羽毅久,南後守,「光合成膜タンパ
ク質超分子集合体の脂質膜中への再構成と集合構造―機能相関解明」,日本化学会第 92 春
季年会,慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3 月 25 日~3 月 28 日.
酒井俊亮,水野稔久,中川勝統,田中俊樹,橋本秀樹,南後守,出羽毅久,「組み換え LH1 タ
ンパク質とバクテリオクロロフィル誘導体,カロテノイドを用いた LH1 複合体の再構成」,日本化
学会第 92 春季年会,慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3 月 25 日~3 月
28 日.
野地智康,天野瑞貴,近藤政晴,川上恵典,沈建人,南後守,出羽毅久,「酸素発生型光化学
系 I, II 色素-タンパク質複合体の脂質二重膜への再構成と光化学活性」,日本化学会第 92
春季年会,慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3 月 25 日~3 月 28 日.
近藤政晴,天野瑞貴,野地智康,永田衞男,橋本秀樹,天尾豊,出羽毅久,南後守,「高等植
物の膜タンパク質-色素複合体の基板上への固定化とその光電流特性」,日本化学会第 92
春季年会,慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3 月 25 日~3 月 28 日.
奥村智,梶川敬之,小澄大輔,橋本秀樹,勝村成雄,「β-エポキシケトンを持つアルデヒドの選
択的改良ジュリアカップリング反応によるフコキサンチン類縁体の合成」,日本化学会第 92 春季
年会,慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3 月 25 日~3 月 28 日.
上友淳弘,小嵜正敏,鈴木修一,小澄大輔,橋本秀樹,狩野佑介,太田英輔,池田浩,
22
43.
44.
45.
46.
47.
岡田惠次,
「光捕集機能を有したポルフィリン-ナフタルジイミド連結体における光電子
移動」,日本化学会第 92 春季年会,慶應義塾大学日吉キャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3
月 25 日~3 月 28 日. 矢野亘記,梶川敬之,小澄大輔,橋本秀樹,勝村成雄,
「フコキサンチンにおけるアレン
結合の役割解明に向けた類縁体の合成」,日本化学会第 92 春季年会,慶應義塾大学日吉キ
ャンパス・矢上キャンパス,2012 年 3 月 25 日~3 月 28 日.
阿部健太,吉松織優,中村亮介,橋本秀樹,吉澤雅幸,「共鳴フェムト秒誘導ラマン分光による
励起状態振動の研究」,日本物理学会第 67 回年次大会,関西学院大学上ヶ原キャンパス,
2012 年 3 月 24 日~3 月 27 日.
吉松織優,阿部健太,中村亮介,酒井俊亮,堀部智子,藤井律子,南後守,橋本秀樹,吉澤雅
幸,「共鳴フェムト秒誘導ラマン分光による光合成色素蛋白複合体内のカロテノイドの光学的禁
制励起状態の研究」,日本物理学会第 67 回年次大会,関西学院大学上ヶ原キャンパス,
2012 年 3 月 24 日~3 月 27 日.
小澄大輔,梶川敬之,矢野亘記,杉崎満,勝村成雄,橋本秀樹,
「有機合成を用いた海洋
カロテノイドにおける分子内電荷移動の機能制御」,日本物理学会第 67 回年次大会,関
西学院大学上ヶ原キャンパス,2012 年 3 月 24 日~3 月 27 日. 森田弘平,橋本秀樹,吉澤雅幸,「回折格子を用いた群速度分散補正による広帯域フェムト秒
白色光の最適化」,日本物理学会第 67 回年次大会,関西学院大学上ヶ原キャンパス,2012
年 3 月 24 日~3 月 27 日. 著書
1. D. Kosumi, S. Maruta, R. Fujii, M. Sugisaki, M. Iha, H.A. Frank, and H. Hashimoto, “Excitation
Energy Dependence of the S1 and ICT State Dynamics in Marine Carotenoid Studied by Femtosecond
One- and Two-Photon Pump-Probe Spectroscopy”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al.,
Oxford University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 526-564.
2. M. Sugisaki, D. Kosumi, K. Saito, R. Fujii, R.J. Cogdell, and H. Hashimoto, “Strongly coupled
vibronic modes investigated by means of four-wave mixing spectroscopy”, Ultrafast Phenomena XVII,
(ed. M. Chergui et al., Oxford University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 502-506.
3. K. Abe, R. Nakamura, H. Hashimoto, and M. Yoshizawa, “Coherent control of the selected excited
state by two-color multipulse excitation”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al., Oxford
University Press, Oxford, New York, Auckland, 2011) pp. 793-795.
4. R. Nakamura, T. Yoshioka, K. Abe, S. Sakai, K. Nakagawa, M. Nango, H. Hashimoto, and M.
Yoshizawa, “Energy flow in the light harvesting complex manipulated by pre-excitation of the energy
accepter”, Ultrafast Phenomena XVII, (ed. M. Chergui et al., Oxford University Press, Oxford, New
York, Auckland, 2011) pp. 598-600.
解説
1. 橋本 秀樹,「特集にあたって」,月刊 BIO INDUSTRY 特集「バイオ技術を用いた人工光
合成」,シーエムシー出版 (2012) pp.5-6.
2. 藤井 律子,小澄 大輔,橋本 秀樹,「光合成反応の動作機構の解明と制御」,月刊 BIO
INDUSTRY 特集「バイオ技術を用いた人工光合成」,シーエムシー出版 (2012) pp.7-17.
3. 須貝祐子,橋本 秀樹,
「光合成色素タンパク質の空間配列のその場観察」,月刊 BIO INDUSTRY 特集「バイオ技術を用いた人工光合成」,シーエムシー出版 (2012) pp.27-33.
学位論文
博士論文
1. 楠本利行:“Linear and Non-Linear Spectroscopic Studies on Carbonyl-Containing Carotenoids”.
修士論文
1. 浦上千藍紗:「共焦点顕微ラマン分光測定による生体組織内のカロテノイドの3次元動態
23
2.
分布解析」.
丸田聡:「紅色光合成細菌の光捕集アンテナにおけるカロテノイド-バクテリオクロロフ
ィル間のエネルギー移動メカニズム」.
研究助成金取得状況
1.
橋本秀樹:科学技術振興機構・CREST「光合成初期反応のナノ空間光機能制御」3,842万
円.
2. 橋本秀樹:経済産業省・NEDO「海洋性藻類を用いたカロテノイド及び色素結合型タンパ
ク質の大量生産の開発」475万円.
3. 橋本秀樹:Human Frontier Science Program, “Understanding supramolecular architectures in
photosynthesis by space and time resolved spectroscopy”, 795万円.
4. 橋本秀樹:共同研究・三星ダイヤモンド工業株式会社「新規太陽電池の要素技術に関す
る研究」570万円.
5. 橋本秀樹:共同研究・日立造船株式会社「人工光合成による次世代燃料合成に関する研
究」100万円.
6. 橋本秀樹:共同研究・村田製作所「人工光合成に関するエネルギー技術の調査」50万円.
7. 橋本秀樹:共同研究・JX日鉱日石エネルギー株式会社「生体組織内に浸透させたアスタ
キサンチンを主成分とするカロテノイド混合物の顕微鏡ラマン分光測定」126万円.
8. 橋本秀樹:共同研究・アジア電動車両学会学術事業部「小型ハイブリット船駆動システ
ムの調査研究」220万円
9. 杉﨑満:学術振興会・基盤研究B「可視二次元分光技術の確立と光合成励起エネルギーフ
ローの人為操作」310万円.
10. 杉﨑満:学術振興会・挑戦的萌芽研究「時間分解超解像度顕微分光法による光合成膜内
で指向性を持つ励起エネルギー流の可視化」220万円.
11. 丸山稔:受託研究・新電元工業株式会社「次世代モジュール接合用ナノ銀ペーストの開発お
よびナノ銀ペーストの物性評価と新規ナノ粒子の合成」300万円.
海外出張および海外研修
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
橋本秀樹:ドイツ,2011年4月5日~4月15日,International Workshop on “Mechanisms of Non-photochemical Quenching”, およびLight-Harvesting Processes 2010 における招待講
演とバイロイツ大学院(Juergen Koehler 博士所属)において光合成におけるカロテノイド
の機能と構造についての招待講義の為.
須 貝 祐 子 : ド イ ツ , 2011 年 4 月 9 日 ~ 4 月 18 日 , 光 捕 集 系 反 応 過 程 に 関 す る 国 際 会 議
(Light-Harvesting Processes 2011, LHP2011)での研究発表及び討論 ゴッチャルト博士 (フリードリッヒーシラー大、イエナ, ドイツ)との研究討論の為.
橋本秀樹:ポーランド,イギリス,カナダ,2011年7月16日~8月14日,16th International Symposium on Carotenoids(ISC2011)での成果発表,グラスゴー大学・及びシェフィールド大
学 在 籍 の 共 同 研 究 者 ( Cogdell 博 士 ・ Hunter 教 授 ) と の 打 ち 合 わ せ , SPACC2011 お よ び ICBIC2011への参加の為.
堀部智子:ポーランド,16th International Symposium on Carotenoids(ISC2011)での成果発
表の為.
浦上千藍紗:ポーランド,16th International Symposium on Carotenoids(ISC2011)での成果
発表の為.
須貝祐子:カナダ,2011年8月3日~8月15日,SPACC2011 および ICBIC2011への参加の為.
橋本秀樹:イタリア,2011年11月22日~11月27日,HFSP課題の一つである「人工光合成膜
内における励起エネルギー移動についての顕微時間分解分光計測の実験の為.
24
8.
須貝祐子:イタリア,2011年11月22日~11月27日,色素タンパク複合体を自在配列させた
人工光合成膜内における励起エネルギー移動の様相を顕微時間分解分光計測の実験の為. 9. 橋本秀樹:イギリス,2011年12月12日~12月18日,グラスゴー大学においてHFSP課題の一
つである「人工光合成膜内における励起エネルギー移動についての顕微時間分解分光計測」
結果について考察および検討を行う為.
10. 橋本秀樹:イタリア,2012年3月11日~3月17日,HFSP課題の一つである「人工光合成膜内
における励起エネルギー移動についての顕微時間分解分光計測の実験の為.
11. 須貝祐子:イタリア,2012年3月11日~3月17日,色素タンパク複合体を自在配列させた人
工光合成膜内における励起エネルギー移動の様相を顕微時間分解分光計測の実験の為.
新聞報道
1.
2.
3.
4.
5.
6.
橋本秀樹:人工光合成で燃料製造,産経新聞 2011 年 4 月 22 日
橋本秀樹:人工光合成で新エネルギー,大阪日日新聞 2011 年 4 月 22 日
橋本秀樹:光合成細菌 余分な光,熱で排出 大阪市立大学が解明,日経新聞 2011 年 5 月 9 日
橋本秀樹:クリーン人工光合成,読売新聞 2012 年 1 月 9 日
橋本秀樹:沖縄の発展 南国の力いかす産業を,朝日新聞 2012 年 1 月 11 日社説
橋本秀樹:新エネルギー時代 オキナワモズクが原料に,琉球新報 2012 年 2 月 2 日
受賞
1.
2.
須貝祐子:SPACC 国際会議優秀発表賞, 2011 年 8 月
小澄大輔:日本カロテノイド研究会・奨励賞, 2011 年 9 月
その他
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
「海洋藻類を用いたカロテノイド及び色素結合型タンパク質の大量生産技術の開発」が
NEDOのイノベーション推進事業(研究開発型ベンチャー技術開発助成事業)に採択され
た.
「The 3rd International Conference on the OCU Advanced Research Institute for Natural Science
and Technology ~Kakuno Memorial~」開催,2011年3月7日~3月9日,大阪市立大学 学術情
報総合センター10階大会議室.
「OCARINA談話会」開催,2011年11月21日,大阪市立大学・学術情報総合センター・文
化交流室.
「平成23年度複合先端研究機構年次総会,人工光合成研究に関するフォーラム」開催,
2012年3月5・6日,大阪市立大学・学術情報総合センター・大会議室
橋本秀樹:人工光合の基礎に関して講演,第131回ニューテクノ・フォーラム,京都商工
会議所第3会議室,2011年7月2日.
橋本秀樹:講演「植物が創る太陽電池」,第48回オープン・ラボラトリー,大阪産業創
造館6階会議室,2011年9月28日.
橋本秀樹:講演「光合成はどこまで分かったか?」,日本物理学会大阪支部H23年度公開
シンポジウム,大阪大学中之島センター10階佐治敬三メモリアルホール,2011年10月6日.
橋本秀樹:講演「太陽光燃料生成を実現する人工光合成」,関西サイエンス・フォーラ
ム主催 第27回「科学技術の新しい芽を考える異分野交流懇談会」,リーガロイヤルNCB,
大阪市,2011年11月29日.
橋本秀樹:講演「太陽光燃料生成を実現する人工光合成」,神奈川R&D 推進協議会技術
部会主催 第3回神奈川R&D推進協議会 光エネルギー応用研究部会技術討論会,旭硝子
25
10.
11.
12.
13.
AGCモノづくり研修センター,神奈川県横浜市,2011年12月20日.
橋本秀樹:人工光合の基礎に関して講演,大阪市立環境学習センター 生き生き地球館主
催 おおさか市民環境大学2012,大阪市立大学工学部,2012年3月2日.
橋本秀樹:日本カロテノイド研究会幹事役員,Carotenoid Science編集委員長.
橋本秀樹:国際カロテノイド学会 President.
橋本秀樹:Chemical Physics Letters誌 Advisory Board Member
26
素励起物理学研究室
坪田
鈴木
誠
教授
正人 講師
塚本
光昭(PD)
石野
藤本
山本
楠村
隼伍(M2)
和也(M2)
眞史(M2)
拓也(M1)
林
峯田
真佑(M1)
由計(M1)
研究概要
1. スピ ン− 1 ス ピノ ー ルB o se-Einstein 凝縮 体に おけ る スピ ン乱 流 (坪田、藤本)
多成分Bose-Einstein 凝縮体(BEC)は、そ
の多彩な位相欠陥や不安定性を有し、非
常に興味深い系である。多成分BECの興味
深い系として、スピン− 1 スピノール
BECの不安定生成とスピン乱流の理論的
研究を行った。まず一様系で、 Sz=1と-1
の成分の対向流を考え、それがスピン密
度ベクトルの配向が乱れたスピン乱流を実現する事を見いだした。とくにそのスピンエネル
ギーのスペクトルが-7/3の特徴的なべき則を示す事を発見した。次いで、捕獲系で初期条件
をスピンの螺旋構造とした場合も、やはり不安定性によりスピン乱流に発展し(上図)、そ
のエネルギースペクトルが-7/3のべき則を示す事を明らかにした。
2.2 成分 Bo s e- E in s te i n凝 縮 体の ゼロ 重 渦の 不安 定性 (坪田 、石 野 )
我々は前年度に、2成分BECの対向超流動不
安定性と乱流について明らかにしたが、その応
用として調和振動子ポテンシャルに捕獲され
た2成分BECが逆向きに回転する量子渦(ゼロ重
渦)の安定性を研究した。右図は、量子数2の
ゼロ重渦の2成分が、3個の量子数1の渦と、1
個の量子数-1の渦に分裂するダイナミクスを、
それぞれの成分で示したものである。このよう
な多重量子渦は、単なる分裂ではなく、渦の増
殖を伴う。
3.超 流動 4 He熱対 向 量子 乱流 の減 衰 (坪 田、 峯 田)
超流動4Heの量子乱流で、ここ半世紀、最も研究されてきたのは、熱対向流である。その統
計的定常状態の理解はおおよそ成功しているが、その減衰については研究はあまり行なわれ
ていない。一般に、乱流の減衰は、乱流の本質と、どのようなエネルギの流れや減衰機構を
内包するかに依存し、重要である。ここでは、有限温度の熱対向量子乱流の減衰を渦糸モデ
ルにより調べ、その量子渦密度が、時間tに対し、t-1で減衰する事を示した。これは半世紀前
に提示されたVinen方程式の挙動と一致する。また、その減衰係数は、量子渦の形状(曲率)
に関与することがわかった。
27
教育・研究業績
学術 論文
1. M. Tsubota, M. Kobayashi, H. Takeuchi, “Quantum hydrodynamics”, Physics Reports (2012),
doi:10.1016 /j.physrep.2012.09.007
2. H. Takeuchi, K. Kasamatsu, M. Tsubota, M. Nitta, “Tachyon condensation due to domain-wall
annihilation in Bose-Einstein condensates ”, Phys. Rev. Lett. (in press).
3.K. Fujimoto, M. Tsubota, “Counterflow instability and turbulence in a spin-1 spinor
Bose-Einstein condensate”, Phys. Rev. A 85, 033642 (2012).
4. K. Fujimoto, M. Tsubota, “Spin Turbulence in a Trapped Spin-1 Spinor Bose-Einstein
Condensate”, Phys. Rev. A85, 053641 (2012).
5. M. Nitta, K. Kasamatsu, M. Tsubota, H. Takeuchi, “Creating vortons and three-dimensional
skyrmions from domain wall annihilation with stretched vortices in Bose-Einstein condensates”,
Phys. Rev. A85, 053639 (2012).
6. M. Tsubota, “Hydrodynamic Instability and Turbulence in Quantum Fluids”, J. Low Temp. Phys.
DOI 10.1007/s10909-012-0831-0
7. T. Kusumura, H. Takeuchi, M. Tsubota, “Energy Spectrum of the Superfluid Velocity Made by
Quantized Vortices in Two-Dimensional Quantum Turbulence”, J. Low Temp. Phys. DOI
10.1007/s10909-012-0827-9
8. H. Takeuchi, K. Kasamatsu, M. Tsubota, M. Nitta, “Tachyon Condensation and Brane Annihilation
in Bose-Einstein Condensates: Spontaneous Symmetry Breaking in Restricted Lower-Dimensional
Subspace”, J. Low Temp. Phys. DOI 10.1007/s10909-012-0816-z
9. Y. Aoki, M. Tsubota, “SpinTurbulence Made by the Oscillating Magnetic Field in a Spin-1 Spinor
Bose-Einstien Condensate”, J. Low Temp. Phys. DOI 10.1007/s10909-012-0806-1
10. S. Hayashi, S. Ishino, M. Tsubota, H. Takeuchi, “Helical Shear-Flow Instability in
Phase-Separated Two-Component Bose-Einstein Condensates”, J. Low Temp. Phys. DOI
10.1007/s10909-012-0801-6
11. Y. Mineda, M. Tsubota, W. F. Vinen, “Decay of Counterflow Quantum Turbulence in
Superfluid 4He ”, J. Low Temp. Phys. DOI 10.1007/s10909-012-0800-7
12. S. Ishino, M. Tsubota, H. Takeuchi, “Instability of Overlapped Vortices Rotating in Opposite
Directions in Binary Bose-Einstein Condensates ”, J. Low Temp. Phys. DOI
10.1007/s10909-012-0798-x
13. A. Nakatsuji, M. Tsubota, H. Yano, “Propagation of Quantized Vortices Driven by an
Oscillating Sphere in Superfluid 4He ”, J. Low Temp. Phys. DOI 10.1007/s10909-012-0797-y
14. M. Tsubota, K. Fujimoto, “Spin Turbulence and the -7/3 Power Law in a Trapped Spin-1
Spinor Bose-Einstein Condensate ”, J. Low Temp. Phys. DOI 10.1007/s10909-012-0742-0
国際 会議 発 表
1. M. Tsubota, Quantum hydrodynamics and turbulence in Bose-Einstein Condensates(Invited)
Relaxation, Turbulence, and Non-Equilibrium Dynamics of Matter Fields -RETUNE 2012-,
Heidelberg, Germany, 6.21-24. 2012.
2. M. Tsubota, Quantum Hydrodynamics and Turbulence in Bose-Einstein Condensates(Invited),
SIAM Conference on Nonlinear Waves and Coherent Structures, The University of Washington,
Seattle, 6.13-16. 2012.
3. M. Tsubota, Decay of Vortex Tangle in Thermal Counterflow(Invited), Turbulence in Quantum
Two-Fluid Systems, Nyuad Downtown Campus, Abu Dhabi, 5.21-23. 2012.
4. M. Tsubota, Quantum hydrodynamics and turbulence(Invited), GCOE symposium, Kyoto
University, Kyoto, 2.13-15. 2012.
28
Maths-Physics Meeting around Bose Einstein condensates, France, 11.30-12.2. 2011.
5. M. Tsubota, Quantum Turbulence in Atomic Bose-Einstein Condensates (Invited)
6. K. Fujimoto, M. Tsubota, Counterflow instability and turbulent state for spin-1 spinor
Bose-Einstein condensates
7. M. Tsubota, Quantized vortices and quantum turbulence (Invited), Nonequilibrium Dynamics in
Astrophysics and Material Science, Kyoto University, Kyoto, 10.31-11.3.2011
ULT2011: International Conference on Ultra Low Temperature Physics, KAIST, Daejeon,
Republic of Korea, 19–22. 8. 2011.
8. S. Ishino, M. Tsubota and H. Takeuchi, Vortex nucleation and transition to binary quantum
turbulence in two-component Bose-Einstein condensates
9. T. Kusumura, H. Takeuchi and M. Tsubota, F
ormation of quantum turbulence from dark
solitons for Bose-Einstein condensate
10. M. Tsubota, Y. Mineda, Y. A. Sergeev, C. F. Barenghi, and W. F. Vinen, Coupled dynamics of
quantized vortices and particles
11. Y. Mineda, M. Tsubota, Y. A. Sergeev, C. F. Barenghi, and W. F. Vinen, The coupled
dynamics of micron-size particles and quantized vortices
26th International Conference on Low Temperature Physics, Beijing, China, 10–17. 8. 2011.
12. T. Kusumura, H. Takeuchi and M. Tsubota, Formation of quantum turbulence from dark
solitons for Bose-Einstein condensate
13. S. Ishino, M. Tsubota and H. Takeuchi, Vortex nucleation and transition to binary quantum
turbulence in two-component Bose-Einstein condensates
14. M. Tsubota, S. Yamamoto and W. F. Vinen, Time-development of energy spectra in the
simulation of quantum turbulence
15. Y. Mineda, M. Tsubota, Y. A. Sergeev, C. F. Barenghi, and W. F. Vinen, The coupled
dynamics of micron-size particles and quantized vortices
16. Makoto Tsubota, Quantum Turbulence (Invited), M orphology and dynamics of anisotropic
flows, Cargèse, Corsica, France, 18–30. 7. 2011.
学会 ・研 究 会講 演
日本物理学会、2011年秋季大会、富山大学五福キャンパス、2011.9.21-24
1.石野隼伍,坪田誠,竹内宏光, 対向超流動不安定性による量子渦輪生成と乱流遷移のパ
ラメータ依存性
2.藤本和也,坪田誠, スピン1スピノールBECの対向流不安定性
3.楠村拓也,竹内宏光、坪田誠, ボース・アインシュタイン凝縮体におけるダークソリトン
からの量子乱流生成
4.林真佑,竹内宏光、坪田誠, 2成分ボース・アインシュタイン凝縮体における螺旋せん断超
流動の不安定性
5.峯田由計,坪田誠,熱対向量子乱流中の固体微粒子の速度分布∼量子渦と固体微粒子の結
合ダイナミクス
6.安永昌司,坪田誠,スピノール・ダイポールBECにおける強磁性共鳴
日本物理学会、第67回年次大会、関西学院大学西宮上原キャンパス、2013.3.24-27
7. 藤本和也,坪田誠、スピン1スピノールBECの乱流とエネルギースペクトル
29
8. 坪田誠、
量子流体不安定性と量子乱流(Invited)
USS-2012 Ultracold Gases:
Superfluidity and Strong Correlations、東京理科大学神楽坂キャンパス、2012.1.11‐13
平成23年度物性短期研究会、東京大学物性研究所、2012.1.5‐7
9.
坪田誠、量子流体不安定性と量子乱流
10. 林真佑,坪田誠,竹内宏光、
H e lical shear-flow instability along a core- flo w
vortex
11.
藤本和也,坪田誠、スピン1スピノールBose-Einstein凝縮体の乱流とエネルギースペ
クトル
12. 塚本光昭,坪田誠、制限された空間に閉じ込められた4Heの超流動
学位論文
修士 論文
1. 石野 隼伍:「2成分Bose-Einstein凝縮体における対向超流動不安定性」
2. 藤本 和也:「原子気体Bose-Einstein凝縮体における振動ポテンシャルに誘起されるダ
イナミクス及びスピン乱流の性質」
3. 山本 眞史:「渦糸近似を用いた量子乱流の数値解析的研究」
研究助成金取得状況
1.
坪田誠:日本学術振興会・科研費基盤研究(B)「量子流体力学の展開」580万円
30
超伝導物理学研究室
村田惠三
教授
横川敬一(客員研究員)
Nuruzzaman(国費留学生、D2)
増田耕育(M2)
久世哲嗣(M2)
仲田春紀(M2)
林恭仁子 (M1)
研究概要
1. HMTSF-TCNQの磁場誘起新電子相の発見
最初の有機物超伝導体はTMTSF2PF6は擬1次元金属性を持ち、温度低下によりある温度
でフェルミ面のネスティングと強相関性により絶縁体化する。この絶縁相はスピン密度波
によるものであった。これを0.65 GPaの圧力下では超伝導が見られ、更なる高圧では全温
度領域で金属となる。概ね超伝導が現れる圧力域で、磁場誘起でスピン密度波が現れる。
これにはサブ相があり、磁場掃引で1次の相転移を次々と引き起こす。また、このサブ相
内で量子Hall効果を示す。
TMTSF2PF6に至る前駆物質にTTF-TCNQという物質があり、擬1次元金属性を持ち、温
度低下によりある温度でフェルミ面のネスティングと電子格子相互作用により絶縁体化
する。この絶縁相は電荷密度波によるものであった。TTF-TCNQの発展類縁物質に
HMTSF-TCNQという物質があり、これでTMTSF2PF6塩で見られたものと対照的な現象が
見えたら物理学の理解に大いに寄与する。本研究はそれを狙っている。
仙台(2010.11)および米国(National High Field Magnet Lab/ Florida State Univ. FL, USA)
での強磁場下で高圧力セルを回転しながら測定した磁気抵抗の測定からその実態が益々、
顕著になってきた。各種国際会議、および学術論文に発表した。
2. -[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2での1軸加圧によるDirac cone生成の可能性。
本物質に1軸加圧するとより半導体的になったり、金属的になったりする。バンド構造
が敏感に変化するためと思われる。その一つの方向では完全に温度依存しない電気抵抗が
観測され、Dirac coneバンドが形成されたものと考えている。
3. β-(BDA-TTP)2I3における1軸加圧方向依存するMott/電荷秩序相および超伝導の発現
本物質を1軸加圧する向きにより、絶縁相がMott絶縁体になったり、電荷秩序絶縁体に
なったりすることが予想され、実際、金属・非金属転移の温度が異なったり、超伝導の実
現圧力や転移温度が異なったりすることが発見された。
4. ポリマー超伝導の探索
有機物の超伝導は結晶に限られてきた。しかし、歴史的には高温超伝導はポリマーで起
こるとLittleにより予言されていたもので、我々は加圧により、超伝導が起こるものかど
うか調査している。
5. 次世代超高圧印加用圧力媒体油の研究
高圧力実験は閉じ込められた空間内に試料をおき、試料空間サイズをシリンダー状の軸
方向に押して加圧する。全ての媒体はある圧力で固化するので、固化したあと更に加圧す
ると、静水圧力でもなく、1軸圧力でもなくなり、物理的解析は困難になる。このため、
我々は固化圧力の高い圧力媒体の開発を行い、広く物性物理学の発展に寄与を目指してい
31
る。現在、導電ペーストを溶かさない媒体としては、室温で3.7 GPaという世界最高の値
を出して、多くの研究者に使われている。
教育・研究業績
著書
1. なし
学術論文
1. Transport Phenomenon of Multilayer Zero-Gap Conductor in the Quantum Limit Mitsuyuki SATO,
Katsuya MIURA, Satomi ENDO, Shigeharu SUGAWARA, Naoya TAJIMA, Keizo MURATA,
Yutaka NISHIO, and Koji KAJITA, J. Phys. Soc. Japan 80 (2011)023706
2. Uniaxial Strain Orientation Dependence of Superconducting Transition Temperature (Tc) and
Critical Superconducting Pressure (Pc) in β-(BDA-TTP)2I3,
Koichi Kikuchi, Takayuki Isono, Masayuki Kojima, Haruo Yoshimoto, Takeshi Kodama, Wataru
Fujita, Keiichi Yokogawa, Harukazu Yoshino, Keizo Murata, Takayuki Kaihatsu, Hiroki Akutsu,
and Jun-ichi Yamada, dx.doi.org/10.1021/ja207353x | J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 19590–1959
3. Phase diagram of pressure-induced superconductivity in EuFe2As2 probed by high-pressure
resistivity up to 3.2 GPa, Nobuyuki Kurita, Motoi Kimata, Kota Kodama, Atsushi Harada, Megumi
Tomita, Hiroyuki S. Suzuki, Takehiko Matsumoto, Keizo Murata, Shinya Uji, and Taichi
Terashima, Phys. Rev. B 83, 214513 (2011).
4. Upper critical field of the pressure-induced superconductor EuFe2As2
Nobuyuki Kurita, Motoi Kimata, Kota Kodama, Atsushi Harada, Megumi Tomita, Hiroyuki S.
Suzuki, Takehiko Matsumoto, Keizo Murata, Shinya Uji, and Taichi Terashima, Phys. Rev. B 83,
100501(R) (2011).
5. Transport Phenomenon of Multilayer Zero-Gap Conductor in the Quantum Limit,
Mitsuyuki SATO, Katsuya MIURA, Satomi ENDO, Shigeharu SUGAWARA, Naoya TAJIMA,
Keizo MURATA, Yutaka NISHIO, and Koji KAJITA, J. Phys. Soc. Japan 80 (2011) 023706.
国際会議講演
1. K Murata, W Kang, K Masuda, T Kuse, T Sasaki, H Yoshino, JS Brooks, R Kato, D Jérome, Field
Induced CDW in HMTSF-TCNQ, Ecrys (Int. Workshop on Electronic Crystals ). Aug. 15-27, 2011
Corsica France.
2. K. Murata, Crucial Role of High Pressure in the Past and Crucial Role of Refined Pressure
Nowadays, AIRAPT 2011 (International Association for the Advancement of High Pressure
Science and Technology (AIRAPT). Sep 25-30. Mumbai, India.
3. K. Murata, K. Masuda, T. Kuse, W. Kang, ES. Choi, A. Kiswandhi, JS. Brooks, K. Yokogawa, T.
Sasaki, H Yoshino, D Jérome, M Uruichi, K Yakushi,Y Nogami, R Kato
Hysteretic Successive Field-Induced CDW phases in HMTSF-TCNQ,
ISCOM (September 25-30, 2011 9th International Symposium on Crystalline Organic Metals,
Superconductors and Ferromagnets) Poland.
3. Md. Nuruzzaman, K.Yokogawa, H. Yoshino, H. Yoshimoto, K. Kikuchi, J. Yamada, K. Murata,
32
Uniaxial-Strain-Orientation Dependence of the Competition Between Superconductivity and
Mott/Charge Ordered Phases of β-(BDA-TTP)2I3
ISCOM (September 25-30, 2011 9th International Symposium on Crystalline Organic Metals,
Superconductors and Ferromagnets)Poland.
4. Y. Yokogawa, T. Kuse, H. Yoshino, S. Ichikawa, J. Yamada, H. Aizawa, K. Kuroki, K. Murata,
Temperature-independent resistivity in α-[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2 under uniaxial strain,
suggestive of Dirac cone,
ISCOM (September 25-30, 2011 9th International Symposium on Crystalline Organic Metals,
Superconductors and Ferromagnets)Poland,
5. その他 下記のようにWiPiMD journalによる統計で発行から18カ月での特定分野での引用
数top 20の中で最高位を獲得。
「WiPiMD journal www.wipimd.com
The Friday, July 13, 2012 issue of your exclusive "Who Is Publishing In My Domain" journal
(WiPiMD) is ready for view and use.
List 1 Top 20 Articles, in the Domain of Article 19044374, Since its Publication (2008)
1.
Pressure transmitting medium Daphne 7474 solidifying at 3.7 GPa at room temperature.
Murata K, Yokogawa K, Yoshino H, Klotz S, Munsch P, Irizawa A, Nishiyama M, Iizuka K, Nanba
T, Okada T, Shiraga Y, Aoyama S.
Rev Sci Instrum; 2008 Aug;79(8):085101.
2.
以下20まで続くうちの最高位。」
学会・研究会講演
1. 村田惠三
「高圧力、強磁場、低温の洗練技術で発見された物性物理の新事実」
低温工学協会関西支部2011年度総会ならびに第1回講演会,
:2011 年5 月13 日(金13 ・00~17 ・00, 講演会場:大阪市立大学大学院理学研究科会議室).
2. 村田惠三
HMTSF-TCNQの磁場誘起CDWの探索, 2011 年6月8 日 新学術領域研究会.
2.
Md. Nuruzzaman, Keiichi Yokogawa, Harukazu Yoshino, Haruo YoshimotoA, Koichi KikuchiA,
Jun-ichi YamadaB and Keizo Murata
Orientation Dependence of Uniaxial Strain on the Superconductivity and Competing Phases of
β-(BDA-TTP)2I3
日本物理学会、2011.富山 21aTQ-5.
3.
村田惠三、W. Kang、増田耕育、福本雄平、横川敬一、吉野治一, J.S. Brooks、佐々木孝彦、
藤原秀紀、加藤礼三
HMTSF-TCNQにおける磁場誘起相の研究の最近の発展
新学術領域研究「分子自由度が拓く新物質科学」第6回領域研究会 秋保温泉2012年 1月5
日~1月7日.
4.
Md. Nuruzzaman,村田恵三(大阪市立大)
β-(BDA-TTP)2I3 における一軸圧による絶縁相制御と超伝導
新学術領域研究「分子自由度が拓く新物質科学」第6回領域研究会 秋保温泉2012年 1月5
日~1月7日
33
5.
林田みなみ,荒木新吾,真鍋博紀,池田陽一,小林達生,稲田佳彦,村田惠三,P. WisniewskiC,
青木大,大貫惇睦,山本悦嗣,芳賀芳範,藤原賢二
U3P4の高圧下ホール効果
日本物理学会第67回年次大会,24pPSB-28,関西学院大
6.
遠藤里実、佐藤光幸、菅原滋晴、田嶋陽子、田嶋尚也、村田惠三、加藤礼三、西尾豊、
梶田晃示
分子性導体α-(BETS)2I3の伝導特性とゼロギャップ性II
日本物理学会第67回年次大会,25aBK-1,関西学院大
7.
8.
増田 耕育, 横川 敬一, 鴻池 貴子, 吉野 治一, 村田 惠三
8 GPa下の -(BEDT-TTF)2I3のDirac Cone状態
日本物理学会第67回年次大会,25aBK-5,関西学院大
9.
村田惠三,増田耕育,W. Kang,福本雄平,D. Graf,A. Kiswandhi,E. S. Choi,J. S. Brooks,
佐々木孝彦,横川敬一,吉野治一,藤原秀紀,加藤礼三
HMTSF-TCNQの1 GPa圧力下、磁場誘起相
日本物理学会第67回年次大会,27aBK-1,関西学院大
10. 増田耕育, W. Kang , 福本雄平, D. Graf , A. Kiswandhi , E. S. Choi , J. S. Brooks, 横川敬一,
吉野治一, 藤原秀紀, 加藤礼三, 村田惠三
HMTSF-TCNQの1 GPa圧力下、磁場誘起相でのHall効果
日本物理学会第67回年次大会,27aBK-2,関西学院大
その他
1. 村田惠三ほか: 2011.8.8 8.9 オープンキャンパス 物理教室の実験担当
2. 村田惠三ほか: 2011.8.29市大理科セミナー 物理教室の実験担当
3. 村田惠三ほか
JSTのSPP 清風高校対象。
4. 村田惠三ほか:JSTno「女子中高生の理系進路選択支援事業」(物性物理学へのいざな
い) 大谷女子高校
5. JR杉本町駅 東口開設、バリアフリー化実現:2012.3.11
学位論文
修士論文
1. 増田耕育:擬一次元導体HMTSF-TCNQの磁場誘起相と擬二次元導体-(BEDT-TTF)2I3のデ
ィラックコーンの高圧下における研究。
2. 久世哲嗣:一軸ひずみ下での有機伝導体-[(S,S)-DMDH-TTP]2AuI2の温度依存性のない電
気抵抗。
3. 仲田春紀:新規τ型有機伝導体の熱電性能指数と測定法の改良。
博士論文
1. なし
研究助成金取得状況
34
1.
2.
3.
4.
村田惠三:学術振興会・基盤研究(C)「ポリマー超伝導の探索」117万円
村田惠三:「次世代超高圧印加用圧力媒体油の研究」45万円
村田惠三:JST 「女子中高生の理系進路選択支援事業」(物性物理学へのいざない)
210万円
村田惠三:JST 「サイエンスパートナーシップ」(BD103055)
(電子計測と超伝導の観測)200 万円
海外出張および海外研修
1.
2.
3.
4.
村田惠三:2011.8.20 – 8.29 「International Workshop on Electronic Crystals(ECRYS-2011)」
の会議、招待講演と参加。
村田惠三:2011.9.23 – 10.7.
1.「高圧力国際会議(Association Internationale pour l’Avancement de la Recherche et de la
Technologie aux Hautes Pression(AIRAPT-2011))」の会議、招待講演と参加,
2.「有機金属、有機超伝導体、有機強磁性体の国際シンポジウム9th International Symposium
on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Ferromagnets. (ISCOM2011)」の会議、招
待講演と参加
3. 「National Research Council of Canada, Ottawa」の研究所訪問と講演
4. 「Saskatchewan 大学, Canada」訪問と講演村田惠三:
村田惠三:2011.10.19 - 2011.10.31、米国国立強磁場センター(Tallahassee, Florida, USA)、
強磁場 研究実験。
村田惠三:2011.12.19- 2011.12.26、2国間交流事業によりBharathidasan大学(主)、および
BARC(Bhabha Atomic Research Centre), JNCASR(Jawaharlal Nehru Centre for Advanced
Scientific Research), にて研究交流。
その他
1.
2.
3.
4.
村田惠三:東北大学金属材料研究所強磁場施設利用者委員
村田惠三:東京大学物性研究所利用者委員
村田惠三:日本物理学会 欧文編集誌 編集委員
村田惠三:文部科学省 科学技術専門調査員
35
電子相関物理学研究室
小栗 章 教授
西川 裕規 講師
島本将志(M2)
粟根美由紀(B4:物質)
佐藤泉(B4:物質)
中村唯子(B4:物質)
研究概要
我々の研究室では、主として、最近グラフェンやナノチューブなどのカーボン系や、単一
分子レベルのエレクトロニクスとも関連する広がりを見せている、量子ドットやナノ物質系
における電子相関の効果に関する理論研究を進めている。特に、多重量子ドットや複数の軌
道を持つ系の近藤効果と非平衡量子輸送現象、および超伝導体と接続された量子ドット系に
おけるクーパー対と磁性の競合の詳細について調べている。
2011年度は、(1) 量子ドット系の低エネルギー状態の性質、および非平衡定常状態におけ
るショットノイズ、完全計数統計、軌道縮退の効果、(2) 超伝導体と接合された量子ドット
系におけるAndreev・Josephson・近藤効果の競合、 (3) Hund結合のある量子不純物系におけ
る多体相関によるくりこみの効果、(4) 量子ドット上の磁性と近藤効果に関する研究を進め
た。それぞれの内容は以下の通り。
(1)
SU(N)対称性を持つAnderson模型にもとづき、軌道縮退のある量子ドット系の完全計数
統計の定式化を用いて調べた。特に、電子正孔対称性がある場合における、高次の電流相
関を含むキュムラント生成母関数の低エネルギ―極限で厳密な解析的表式をくりこまれ
た摂動論(RPT)を用い導出した。さらに、数値くりこみ群(NRG)を用い、生成母関数の係数
の電子間斥力Uに対する依存性を弱相関から強相関の極限まで明らかにした。
また、数値くりこみ群などが適用できない軌道縮退数Nが大きな場合からの解析的なア
プローチとして1/(N-1)を展開パラメータとする摂動が有効であることを明らかにした。
この方法は、従来の1/N展開やNon-crossing近似(NCA)とは異なる新しい展開法である。
我々は、電子正孔対称な場合のみならず非対称への拡張も行った。その結果、1/(N-1)の
2次までの展開が、N=4以上の場合には、電子間斥力Uの弱相関から中間的な相関領域まで、
有効であることを明らかにした。
(2) 超伝導体との接合系に関する研究では、2本の超伝導リードと1本の常伝道リードから
なる3端子に接続された単一量子ドット、および3角形3重量子ドットの研究を進めた。低
エネルギー状態はクーロン相互作用するBogoliubov粒子系の局所Fermi流体的振る舞いを
NRGを用いて詳細に調べた。
(3) フント結合を有するアンダーソン模型について研究を継続して進展させた。本年度は主
に、この模型の量子臨界点について研究した。量子臨界点の近傍で、この系の低エネルギ
ー有効模型を特徴づける繰りこまれたパラメータを計算する事により、この量子臨界点の
特徴を研究した。またこの量子臨界点は、系に対するさまざまな摂動に対して強固に存在
することを確認した。そしてこの性質について研究を継続中である。
(4) 量子ドット上(おもに4重ドット)の磁性的性質と近藤効果の研究を継続して行った。
教育・研究業績
36
学術論文
1. Y. Nishikawa, D. J. G. Crow, and A. C. Hewson, “Convergence of Energy Scales on the
Approach to a Local Quantum Critical Point”, Phys. Rev. Lett. 108, 056402 (2012), 4 pages.
2.
A. Oguri, “1/(N-1) expansion for a finite U Anderson model away from half-filling”,
Phys. Rev. B 85, 155404 (2012), 7 pages.
3.
A. Oguri, R. Sakano, and T. Fujii, “1/(N-1) expansion based on a perturbation theory in
U for the Anderson model with N-fold degeneracy”,
Phys. Rev. B 84, 113301 (2011), 4 pages.
4.
R. Sakano, A. Oguri, T. Kato, and S. Tarucha, “Full counting statistics for SU(N) impurit
y Anderson model”, Phys. Rev. B 83, 241301 (2011), 4 pages.
国際会議講演
1. A. Oguri and Yoichi Tanaka,: “Fermi Liquid Description for Andreev-Kondo Transport through
Quantum dot Coupled to Normal and Superconducting Leads”, International Conference on
Strongly Correlated Electron Systems 2011 (August 2011, Cambridge).
2.
R. Sakano, Y. Nishikawa, A. Oguri and A. C. Hewson, “Nonequilibrium current in
orbital-degenerate Anderson dot with a Hund rule's coupling”, The 26th Nishinomiya-Yukawa
Memorial International Workshop “Novel Quantum States in Condensed Matter: Correlation,
Frustration and Topology” (December 2011, Kyoto).
学会・研究会講演
1. 阪野塁,西川裕規,小栗章,A. C. Hewson,樽茶清悟,「Hund則を有する量子ドット系
の近藤効果による低バイアス非平衡電流II」,日本物理学会 (2012.3, 関西学院大学)
2.
小栗 章,阪野 塁,藤井 達也, 「軌道縮退Anderson模型の1/(N-1)展開: ゲート電圧依存
性および非平衡状態への拡張」, 日本物理学会 (2012.3, 関西学院大学).
3.
島本 将志,小栗 章,田中 洋一,「3角形3重量子ドット系の近藤領域におけるAndreev
散乱とJosephson電流」,日本物理学会 (2012.3, 関西学院大学).
4.
小栗 章,阪野 塁,藤井 達也,電子正孔対称・軌道縮退Anderson模型の1/(N-1)展開と非
平衡近藤効果」,日本物理学会 (2011.9, 富山大学).
5.
阪野塁,小栗章,「Hund則を有する量子ドット系の近藤効果による低バイアス非平衡電
流」,日本物理学会 (2011.9,富山大学).
6.
阪野塁,小栗章,加藤岳生,樽茶清悟,「多端子Anderson量子ドット系の完全計数統と
Hanbury・Brown-Twiss効果」,日本物理学会 (2011.9,富山大学).
7.
島本 将志,小栗 章,「3角形3重量子ドット系の近藤領域における近藤効果とAndreev散
乱」,日本物理学会 (2011.9, 富山大学).
その他
37
学位論文
修士論文
島本 将志,
「常伝導,および超伝導リードに接続した3角形3重量子ドット系の輸送特性」
博士論文
研究助成金取得状況
1.
小栗章:学術振興会・基盤研究(C)「量子ドット・ナノ物質系における強相関電子による
量子輸送の理論的研究」130万円
海外出張および海外研修
1.
西川 裕規:英国インペリアルカレッジ、2011年8月29日 ~ 2011年9月29日、研究打ち合
わせ
2.
西川 裕規:英国インペリアルカレッジ、2012年3月3日 ~ 2012年3月31日、研究打ち合
わせ
3.
小栗 章:英国、2012年8月23日~9月5日、強相関電子系国際会(Cambridge)出席・発表、
Imperial College で研究打ち合わせ
その他
38
宇宙線物理学研究室
林嘉夫 教授 荻尾彰一 准教授 櫻井信之 特任助教 小島浩司 客員教授 藤井俊博(D2) 倉本和幸(M2) 松宮大輔(M2) 山﨑勝也(M2) 米田泰久(M1) 山根涼(M1) 南平兵衛(B4) 森文香(B4) 小林翔悟(B4) 後藤昂司(B4) 研究概要
1. インド・ウーティーにおける空気シャワーアレイを用いた宇宙線・ガンマ線観測(林、小
島、松宮、森) 本研究室とインド・タタ基礎研究所による日印国際共同実験『GRAPES-3空気シャワ
ー実験』は2000年3月から現在まで安定した観測を行っている。本実験は10TeV以上の宇宙
線・ガンマ線観測による超高エネルギー天体現象の解明を目的として、一次宇宙線の化学
組成解析やガンマ線源探索等をおこなっている。2011年度は、2000 年3月から2008年12
月までの空気シャワーイベントのデータを使って月の影を観測し、アレイのシャワーサイ
ズごとの角度分解能を求めた。さらにこの結果を受けて、赤緯 -20°から40°までの範囲
を0.1°×0.1°の区切りで全天探査を行った結果、いくつかの既知の天体と未だ天体が発
見されていない箇所からの有意度の分布を得た。MGRO J1908+06からはシャワーサイズ 103.5以上で3.0σ、103.75以上で2.4σのexcessを得た。さらに、積分フラックスは Milagro の結果と誤差の範囲で一致した。標準的なVHEγ線源であるカニ星雲からは高い有意度を
得られなかったが、カニ星雲は電子の加速のみが行われていると考えると数10TeV以上で
はカットオフが存在すると考えられる。 2. インド・ウーティーにおける大面積ミューオン検出器を用いた宇宙線観測(小島、林、松
宮、森) インド・Ootyに設置したGRAPS-3多方向ミューオン望遠鏡により多方向から入射する宇宙線強度
の変動を、従来の約10倍以上の検出面積で同時観測を行っている。そして,これらの観測によっ
て得られる宇宙線強度変動と、衛星観測による太陽風速度変動等の惑星間空間プラズマの物理量
の変動とを比較して、それらを関連付けるパラメータを決定する。さらに、多方向ミューオン望
遠鏡によって得られる宇宙線強度の2次元地図と複数の人工衛星観測で得られる太陽風の空間的
構造とを比較することにより、宇宙線の異方性と太陽風の空間構造との関連を明らかにして磁気
雲の3次元構造の解明を図る。今年度の研究成果として、宇宙線強度変動と太陽風速度の間に負
相関の関係(太陽風効果)があり、その回帰係数は-0.0010%/(km/s)である事がGRAPES3のミュオ
ンテレスコープによる9年間の観測で確認されたことを挙げておく。また、年毎の解析からその
効果の太陽活動依存性が示唆される。 3. テレスコープアレイ実験における最高エネルギー宇宙線の観測と装置の較正、データ解析
プログラムの開発、データ解析(荻尾、櫻井、藤井、山﨑、南平、米田、山根、後藤) 最高エネルギー宇宙線の日米韓露による国際共同観測プロジェクト、『テレスコープ
アレイ実験』は2008年3月から定常観測を開始した。本研究室は実験装置の設計・開発か
ら現在まで研究グループの主力として本実験に参加している。2011年度は、装置の運用と
観測実施を継続しつつ、大阪市立大学グループは以下の研究/開発に取り組んだ。 ① 大気蛍光望遠鏡単眼解析プログラムの開発とその性能評価 ② 旧HiRes実験望遠鏡を移設したMiddle Drumステーション望遠鏡のための解析プログ
ラム群の開発の継続 ③ 地表検出器アレイのための解析プログラムの独自開発 ④ 低エネルギー拡張計画(TALE計画)のためのエレクトロニクスの開発に着手した。 ⑤ 大気蛍光望遠鏡較正用可搬UVレーザーの運用試験と性能評価を実施した。ポインテ
39
ィング精度は0.1°、レーザーのエネルギーの測定精度± 4.7 %、GPS の位置測定精
度が5 mであった。エネルギーの推定に与える影響をシミュレーションによって評価
した結果,ポインティング精度から±0.2%、GPSの位置測定精度から±10%の誤差が生
じることがわかった。 4. 大気中の荷電粒子カスケードシャワーからの分子制動放射の特性測定(荻尾、倉本) 全く新しいシャワー観測法の基礎研究を2009年から継続している。その観測法とは、
シャワー中の電子成分粒子からの分子制動放射(Molecular Bremsstrahlung Radiation、 MBR)を、特に4GHzマイクロ波帯(Cバンド、Kuバンド)で検出する方法である。この方法
の特徴は現在までに提案されている電波検出法の中で唯一、空気シャワーの縦方向発達を
測定できるほどの空間分解能を有することである。大気をターゲットとし、カロリメトリ
ックなエネルギー推定と粒子種判別を実現でき、duty factor=100%となる可能性を持った
新しい空気シャワー検出法である。大阪市立大学で運用されている空気シャワーアレイと の同期観測を実施した。2 基のマイクロ波望遠鏡を用い、アレイとの同時観測を実施した
その結果、1 例のみではあるが、宇宙線空気シャワー由来である可能性をもつ非常に大き
なパルス状波形を含む波形データが記録されていた。また、観測された電波信号の最高波
高の出現頻度を天頂方向アンテナ (ch1) と水平方向アンテナ (ch2) とで比較したところ、
空気シャワーアレイによる外部トリガー後の10μs以内では、5σ以上の信号がch1の方で
多く検出された。これらの信号の原因や空気シャワーとの関連については、今後の解析課
題である。また、TA 実験の大気蛍光望遠鏡サイトの1つであるBlack Rock Mesaサイトに
おいて、現行の大気蛍光望遠鏡と連動した試験観測を実施した。 5. 次世代超大型地表検出器アレイの検討(荻尾、小林) TA実験の100倍に達する有効面積を持つ次世代地表検出器アレイについて、その検出器間
隔と配置形状を定量的に評価するため、簡易空気シャワーモンテカルロシミュレーション
プログラムを開発し、形状と間隔の最適解を得た。新型地表検出器のGEANT4による設計に
着手した。 教育・研究業績
著書
なし
学術論文
1. “Studies of the energy spectrum and composition of the primary cosmic rays at 100-1000 TeV from the GRAPES-3 experiment”, H. Tanaka,et al., J. Phys. G: Nucl. Part. Phys. 39 (2012) 025201 国際会議会議録
1. T. Fujii, et al., “An event reconstruction method for Telescope Array Fluores
cence Detectors”, AIP 1367, p. 149(2011) 2. S. Ogio, et al., “Future plans of Telescope Array”, AIP 1367, p. 132(2011) 3. Y. Tameda, et al., “Measurement of UHECR Mass Composition by TA FD Stereo”, Proc. of the 32nd ICRC, Vol. 2, pp. 246-249(2011) 4. S.R. Stratton, et al., “Using the Monte Carlo Technique in the Observation of
Fluorescence from UHECRs”, Proc. of the 32nd ICRC, Vol.2, pp. 262-264(2011) 5. D.R. Bergman, et al., “The Energy Spectrum of UHECRs using the TA FD in Monoc
ular Mode”, Proc. of the 32nd ICRC, Vol.2, pp. 265-268(2011) 6. J.N. Matthews, et al., “The Telescope Array Experiment”, Proc. of the 32nd I
CRC, Vol.2, pp. 273-276(2011) 7. S. Ogio, et al., “Performance of the Telescope Array Fluorescence Detectors”,
40
Proc. of the 32nd ICRC, Vol.2, pp. 277-280(2011) 国 際 会 議 講 演 1. S. Ogio, “Future Plan of the Telescope Array Experiment”, International Symposium on Future Directions in UHECR Physics, Feb. 13-16, 2012(CERN, Geneva), 他ポスタ
ー発表1件 2. T. Fujii, “Shower Reconstruction with the Telescope Array Fluorescence Detector”, 8th Air Fluorescence Workshop, Sep. 12-14, 2011(KIT, Karlsruhe) 3. 32nd International Cosmic Ray Conference, Aug. 11-18, 2011(Beijing, China)、 ポスター発表(倉本、荻尾他1件、藤井他1件、林他2件、小島他2件) 学会・研究会講演
1. 小島浩司ほか「大面積高精度 muon 望遠鏡による方位別宇宙線強度変動の研究(12)」日本
物理学会 2011 年秋季大会、弘前大学、2011 年 9 月 2. 藤井俊博ほか「TA 実験 191:大気蛍光望遠鏡の解析手法とエネルギースケール」日本物
理学会 2011 年秋季大会、弘前大学、2011 年 9 月 3. 荻尾彰一ほか「空気シャワーから放射されるマイクロ波の探索Ⅲ」日本物理学会 2011 年
秋季大会、弘前大学、2011 年 9 月 4. 小島浩司ほか「大面積高精度 muon 望遠鏡による方位別宇宙線強度変動の研究(13)」日本
物理学会第 67 回年次大会、関西学院大学、2012 年 3 月 5. 藤井俊博ほか「TA 実験 199:大気蛍光望遠鏡による単眼解析」日本物理学会第 67 回年次
大会、関西学院大学、2012 年 3 月 6. 山﨑勝也ほか「TA 実験 204:可搬型 UV レーザーシステムによる大気蛍光望遠鏡の較正」
日本物理学会第 67 回年次大会、関西学院大学、2012 年 3 月 7. 倉本和幸ほか「空気シャワーから放射されるマイクロ波の探索Ⅳ」日本物理学会第 67 回
年次大会、関西学院大学、2012 年 3 月 8. 松宮大輔ほか「Ooty 空気シャワー実験 30『VHEγ線点源探索』」日本物理学会第 67 回年
次大会、関西学院大学、2012 年 3 月 その他
なし
学位論文
修士論文
1. 倉本和幸「宇宙線空気シャワーからのGHz帯電波放射の探査」 2. 松宮大輔「GRAPES-3 による VHE γ線点源探索」 3. 山﨑勝也「可搬UVレーザーシステムによる大気蛍光望遠鏡の較正法の研究」 博士論文
なし
研究助成金取得状況
1. 荻尾彰一:科学研究費補助金・特別推進研究「最高エネルギー宇宙線で探る宇宙極高現
象」(H21~25年度) 研究分担者、H23年度分担金:14,000千円 2. 荻尾彰一:科学研究費補助金・挑戦的萌芽「大気中の荷電粒子カスケードシャワーから
の分子制動放射の特性測定」(H21~23年度)研究代表者、H23年度:350千円 3. 荻尾彰一、林嘉夫:東京大学宇宙線研究所共同利用研究費「電子加速器を使った大気マイ
クロ波の検出」研究代表者(荻尾)、研究分担者(林)、900千円 海外出張および海外研修
1. 藤井俊博:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年5月20日-2011年6月23日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 41
2. 藤井俊博:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年9月19日-2011年10月7日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 3. 藤井俊博:米国ユタ州ユタ大学、2012年3月30日-2012年4月3日、共同研究者会議に参加
し研究打ち合わせ。 4. 藤井俊博:CERN、2012年2月12日-2012年2月18日、国際シンポジウムに参加し、講演。 5. 荻尾彰一:米国ユタ州ユタ大学、2011年6月13日-2011年6月19日、国際共同研究「テレ
スコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 6. 荻尾彰一:CERN、2012年2月12日-2012年2月18日、国際シンポジウムに参加し、講演。 7. 荻尾彰一:米国ユタ州ユタ大学、2012年3月30日-2012年4月3日、国際共同研究「テレス
コープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 8. 櫻井信之:米国ユタ州ユタ大学、2010年6月25日-2010年6月30日、国際共同研究「テレ
スコープアレイ実験」の共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ 9. 櫻井信之: CERN、2012年2月12日-2012年2月18日、国際シンポジウムに参加。 10. 山﨑勝也:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年6月21日-2011年7月13日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 11. 山﨑勝也:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年7月28日-2011年9月14日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 12. 林嘉夫:インド(ムンバイ,ウーティー)Ooty宇宙線観測所、2011年8月21日-2011年9
月19日、宇宙線観測の実施、国際ワークショップに参加・講演、共同研究者と打合わせ。 13. 倉本和幸:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年10月28日-2011年11月28
日、最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 14. 米田泰久:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年7月28日-2011年9月28日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 15. 米田泰久:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年7月28日-2011年9月28日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 16. 山根涼:米国ユタ州テレスコープアレイ実験観測所、2011年10月15日-2011年11月29日、
最高エネルギー宇宙線観測の実施、共同研究者会議に参加し研究打ち合わせ。 その他
なし
42
高エネルギー物理学研究室
清矢
山本
濵口
大和
良浩
和弘
敦成
大祐
教授
准教授
(D3)
(D1)
中居 貴士
(M2)
中嶋 一八
(M2)
プラドウ スラキア (M2)
尾堂 深南
寺嶋 由佳
(B4)
(B4)
研究概要
1. 陽子・反陽子衝突型加速器を用いた素粒子実験(清矢,山本,濵口,大和,プラドウ)
日米科学技術協力事業の一環として
行われている米国フェルミ国立加速器研
究所の陽子・反陽子衝突型加速器テバト
ロンと汎用型素粒子検出器 CDF を用いた
実験を,昨年度に引き続き遂行した。テ
バトロン加速器と CDF 検出器の運転は安
定的に行われたが,CERN の大型ハドロ
ン衝突型加速器 LHC の本格運転開始に伴
い,テバトロン加速器は 2011 年 9 月末に
28 年間にわたった運転の終了を迎えた。
図 1 に示したように,運転期間を通して
CDF 検出器に届けられた陽子・反陽子ビ
ームの積分ルミノシティは 12fb−1 を超え
た。データ収集効率は約 83%で,これ考
慮すると最終的に解析に使用できる統計
は 10fb−1 となった。
図 1: CDF 検出器で得られた陽子・反陽子衝突の
積分ルミノシティ。2011 年 9 月末の運転終了時
には 12fb−1 に達した。
CDF グループでは,これらのデータを用いて新粒子や新現象の探索を続けているが,特
に今年度は標準模型ヒッグス粒子(H)の探索に精力が注がれた。LHC が運転を開始してから 1
年以上が経って ATLAS 実験と CMS 実験の結果が出始めたこともあり,テバトロンのデータ
解析も急ピッチで行われ,全統計を用いた結果を 2012 年 3 月には得ることができた。解析で
は,ヒッグス粒子が存在した場合に出来るだけ高い S/N で抽出できるように事象の選別条件
を最適化することが行われ,この目的のために Neural Network や Boosted Decision Tree などの
多変量解析が積極的に使われた。こうし
て最終的に条件に合致した事象のスペク
トルを,ヒッグス粒子が存在する場合,
または存在しない場合に予想されるスペ
クトルと比較を行い,その統計的有意性
を検討した。主に考慮したヒッグス粒子
の生成・崩壊チャンネルは,WH → ℓνbb̅,
VH → 𝜈𝜈̅ bb̅, ZH → ℓ+ℓ−bb̅, H → γγ, VH →
jjbb̅, H → W+W−, H → τ+τ−+2jets である。図
2 は,
CDF 実験で得られたデータをもとに
ヒッグス粒子生成断面積の上限値を計算
し,標準模型による予言値との比をとっ
たものをヒッグス粒子の質量 mH の関数と
して表したもので、この比が 1 より小さ
図 2: CDF 実験で得られた,標準模型ヒッグス粒
2
2
子の生成断面積の上限値と理論予想値との比。
い 149 GeV/c ~ 175 GeV/c の領域を
95%の信頼水準で棄却した。DØ 実験で得
43
られた結果と合わせたテバトロン全体としての結果を図 3 に示した。
147 GeV/c2 ~179 GeV/c2
2
および 106 GeV/c 以下の領域を 95%の信頼水準で棄却することができた。
また 115 GeV/c2 ~
135 GeV/c2 の領域で,2.2σ の統計的有意度でヒッグス粒子と説明できる可能性のある事象数
の超過を観測した。今後はこれらの事象をより詳細に調べ,最終結果を出す予定である。
図 3: CDF 実験と DØ 実験の両データを合わせて得られた,標準模型
ヒッグス粒子の生成断面積の上限値と理論予想値の比。147GeV/c2
~ 179GeV/c2,および 106 GeV/c2 以下の質量領域でのヒッグス粒子
の存在が 95%の信頼度で棄却された。また,115GeV/c2 ~ 135GeV/
c2 の領域で,2.2σ の事象の超過を観測した。
2. 長基線ニュートリノ振動実験(清矢,山本,中居,中嶋)
2011 年 3 月の東日本大震災により,茨城県東海村の J-PARC は施設の一部が損壊するな
ど大きな損害を受けたが,詳しい調査の結果,各種放射線施設からは放射線の問題は生じて
おらず,また加速器と測定器本体も大きな損壊を免れたことが判明した。J-PARC では直ちに
復旧作業に入り,同年 12 月には加速器の運転が再開された。T2K 実験のためのニュートリノ
ビームラインへの取り出しも順次始まり,翌年 1 月には物理データ取得のための本格運転が
再開された。
J-PARC で復旧作業が行われている間,震災以前の約 1 年にわたって取得された全データ
(1.43×1020 POT,POT: protons on target)を用いてデータ解析を行った。T2K 実験の目的の 1
つが,電子ニュートリノ出現現象の観測による νμ→νe 振動の発見と,それによるニュートリ
ノ混合角 θ13 の測定である。弱い相互作用の固有状態である 3 種類のニュートリノ νe, νμ, ντ は
質量固有状態である ν1, ν2, ν3 の線型結合となっており,θ13 は ν1 と ν3 の混合角である。 θ12 と
θ23 はすでに一定の精度で測定がなされており,θ13 だけが上限値のみを与えられた状態であっ
た。J-PARC ではほぼ純粋なミューニュートリノビームを生成するので、スーパーカミオカン
デにおいて電子ニュートリノ事象を予想されるバックグラウンドよりも多く観測すれば,
νμ→νe 振動が起こった信号となる。J-PARC の敷地内に置かれた前置検出器で測定されたニュ
ートリノ反応事象を詳しく調べ,ここで検出された事象数から計算機シミュレーションを使
って外掃し,スーパーカミオカンデで検出が予想される事象数の予測を行った。計算機シミ
ュレーションには実際のデータから得られる情報を出来る限り入力し,系統誤差の削減に努
44
めた。結果として,スーパーカミオカンデにおいて J-PARC から届いたニュートリノを 88 事
象検出し,その中で電子ニュートリノは 6 事象であった。これに対し,νμ→νe 振動以外の過
程により電子ニュートリノとして検出されると期待される事象数は 1.5±0.3 と見積もられた。
実際に観測された 6 事象が背景事象の統計揺らぎの偶然により観測される確率(p 値)は 0.7%
しか無く,今回の結果は 2.5σの統計的有意度で電子ニュートリノ出現現象の兆候を示す世界
初の成果となった。図 1 は再構成された電子ニュートリノのエネルギー分布で,誤差棒付き
の黒丸がデータ,ヒストグラムが計算機シミュレーションにより予想される分布を示す。赤
い斜線の分布は sin2(2θ13) = 0.1 を仮定したときに予想される電子ニュートリノ出現現象を表
し,データは電子ニュートリノ出現の存在を強く示唆している。また,ニュートリノ混合角
θ13 がゼロでないことは,レプトンセクターの CP 位相角 δCP が原理的に測定可能であること
を意味し,今回の結果は宇宙の物質・反物質の非対称性の解明に大きな寄与を与えたと言え
る。図 2 は今回の結果から得られた θ13 と δCP が取りうる領域を示す。90%の統計的信頼水準
で δCP = 0 かつニュートリノ質量が順(逆)階層の場合に,0.03(0.04) < sin2(2θ13) < 0.28(0.34)が得
られている。
図 1: 再構成された電子ニュートリノのエネ
ルギー分布。誤差棒付きの黒丸はデータ,ヒ
ストグラムは計算機シミュレーションによ
る予想を表す。赤い斜線の分布は sin2(2θ13)
= 0.1 を仮定したときに予想される電子ニュ
ートリノ出現事象の分布。
図 2: 実験結果から得られた sin2(2θ13)と δCP
が取りうる領域。薄い赤と濃い赤の領域は,
それぞれ信頼水準 68%と 90%の領域を示す。
電子ニュートリノ出現に加えて T2K 実験のもう 1 つの目的が,
νμ→ντ 振動の測定である。
これは J-PARC からスーパーカミオカンデへ送ったミューニュートリノが,予想よりも減少
する“ニュートリノ消失現象”の観測から得られる。ミューニュートリノの消失現象は,か
つてのスーパーカミオカンデによる大気ニュートリノ観測や,T2K の先駆的実験である K2K
実験により存在は確定しているが,
その振動パラメータの精密測定が T2K 実験の目的である。
図 3 は,スーパーカミオカンデで観測された J-PARC のビーム由来のミューニュートリノの
再構成エネルギー分布である。J-PARC においてニュートリノビームの中心軸をスーパーカミ
オカンデから 2.5°だけずらす Off-axis 法により,ニュートリノのエネルギーは 0.65GeV に鋭
いピークを持つ分布となるので,これらが振動を起こさずにスーパーカミオカンデに到達し
たとすると,青い破線の分布が予想される。ところが実際に観測されたニュートリノは黒丸
となり,大きく異なる分布が得られた。ニュートリノ振動が無いとすると 104 個のミューニ
45
ュートリノ事象の観測が期待されるのに対し,実際は 31 個しか観測されなかった。この差に
対応するミューニュートリノが消失して別のフレーバーに変わってしまったと考えられるが,
この数に対応する電子ニュートリノは観測されていないことから,これらの消失したミュー
ニュートリノはほとんどがタウニュートリノへ振動したと考えられる。この結果から ν2 と ν3
の混合角 θ23 と質量の 2 乗値の差 Δm223 に関して図 4 のような許容範囲が得られた。ベストフ
ィット値は sin2(2θ23) = 0.99, Δm223 = 2.6×10−3 eV2 となり,90%の信頼水準で sin2(2θ23) > 0.85,
2.1×10−3 < Δm223 (eV2) < 3.1×10−3 が得られている。図 4 には以前のスーパーカミオカンデの大
気ニュートリノ観測の結果と,米国で行われた MINOS 実験の結果も一緒に載せているが,
T2K 実験の結果がこれらと矛盾の無いものとなっている。図 3 には振動のベストフィット値
の場合の予想スペクトルを赤いヒストグラムで示したが,得られたデータと非常によく合っ
ている。
図 3: スーパーカミオカンデで観測されたミ
ューニュートリノの再構成エネルギー分布。
青い破線のヒストグラムが,ニュートリノ振
動が無かった場合の予想スペクトルで,誤差
棒付きの黒丸が実際に観測されたスペクト
ル。赤いヒストグラムは,ニュートリノ振動
パラメータのベストフィット値での予想ス
ペクトル。
図 4: T2K 実験で得られたニュートリノ振動
パラメータ θ23 と Δm223 の許容範囲(赤の実線
および点線)。MINOS 実験(青の実線)とス
ーパーカミオカンデの大気ニュートリノ観
測(マゼンタおよび茶色)の結果を重ねて描
いた。
以上に示した νμ→νe 振動,νμ→ντ 振動の測定は,2012 年度もデータの統計を増やして,
測定の精度をさらに上げていく予定である。
教育・研究業績
学術論文
1.
2.
3.
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for Heavy Bottomlike Quarks Decaying to an Electron or Muon and Jets in
𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 106, 141803 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the 𝑡𝑡̅ production cross section with an in situ calibration of b-jet
identification efficiency”, Phys. Rev. D 83, 071102(R) (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the Mass Difference between t and t̅ Quarks”, Phys. Rev. Lett. 106,
152001 (2011).
46
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.
12.
13.
14.
15.
16.
17.
18.
19.
20.
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the Forward-Backward Asymmetry in the B→K(*)μ+μ− Decay and
First Observation of the Bs0→μ+μ− Decay”, Phys. Rev. Lett. 106, 161801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Invariant Mass Distribution of Jet Pairs Produced in Association with a W Boson in
𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 106, 171801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurements of Direct CP Violating Asymmetries in Charmless Decays of Strange
Bottom Mesons and Bottom Baryons”, Phys. Rev. Lett. 106, 181802 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for Production of Heavy Particles Decaying to Top Quarks and Invisible
Particles in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 106, 191801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Top quark mass measurement using the template method at CDF”, Phys. Rev. D 83,
111101(R) (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Evidence for a mass dependent forward-backward asymmetry in top quark pair
production”, Phys. Rev. D 83, 112003 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “First Measurement of the Angular Coefficients of Drell-Yan e+e− Pairs in the Z Mass
Region from 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 106, 241801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of event shapes in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 83,
112007 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for new heavy particles decaying to ZZ→, jj in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 =
1.96 TeV”, Phys. Rev. D 83, 112008 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for a Very Light CP-Odd Higgs Boson in Top Quark Decays from 𝑝𝑝̅
Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 107, 031801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurements of the properties of Λc(2595), Λc(2625), Σc(2455), and Σc(2520)
baryons”, Phys. Rev. D 84, 012003 (2011).
K. Abe, C. Matsumura, T. Nakai, K. Nakajima, T. Okusawa, T. Ozaki, Y. Seiya, K. Tashiro, K.
Yamamoto et al. (T2K Collaboration): “Indication of Electron Neutrino Appearance from an
Accelerator-Produced Off-Axis Muon Neutrino Beam”, Phys. Rev. Lett. 107, 041801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “First Search for Multijet Resonances in √𝑠 = 1.96 TeV 𝑝𝑝̅ Collisions”, Phys. Rev.
Lett. 107, 042001 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Limits on Anomalous Trilinear Gauge Couplings in Zγ Events from 𝑝𝑝̅ Collisions at
√𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 107, 051802 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for New Dielectron Resonances and Randall-Sundrum Gravitons at the
Collider Detector at Fermilab”, Phys. Rev. Lett. 107, 051801 (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the top pair production cross section in the lepton+jets channel using
a jet flavor discriminant”, Phys. Rev. D 84, 031101(R) (2011).
T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the 𝑡𝑡̅ production cross section in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96
TeV using events with large missing transverse energy and jets”, Phys. Rev. D 84, 032003 (2011).
47
21. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Observation of the Ξb0 Baryon”, Phys. Rev. Lett. 107, 102001 (2011).
22. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Evidence for 𝑡𝑡̅γ production and measurement of 𝜎𝑡𝑡̅𝛾 / 𝜎𝑡𝑡̅ ”, Phys. Rev. D 84,
031104(R) (2011).
23. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the Cross Section for Prompt Isolated Diphoton Production in 𝑝𝑝̅
Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 107, 102003 (2011).
24. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the cross section for prompt isolated diphoton production in 𝑝𝑝̅
collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 84, 052006 (2011).
25. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for the Higgs boson in the all-hadronic final state using the CDF II detector”,
Phys. Rev. D 84, 052010 (2011).
26. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of branching ratio and Bs0 lifetime in the decay Bs0→J/ψ f0(980) at
CDF”, Phys. Rev. D 84, 052012 (2011).
27. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for resonant production of 𝑡𝑡̅ decaying to jets in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96
TeV”, Phys. Rev. D 84, 072003 (2011).
28. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the top-quark mass in the lepton+jets channel using a matrix element
technique with the CDF II detector”, Phys. Rev. D 84, 071105(R) (2011).
29. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for New Physics in High pT Like-Sign Dilepton Events at CDF II”, Phys. Rev.
Lett. 107, 181801 (2011).
30. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for New Tʹ Particles in Final States with Large Jet Multiplicities and Missing
Transverse Energy in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. Lett. 107, 191803 (2011).
31. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for Bs0→μ+μ− and B0→μ+μ− Decays with CDF II”, Phys. Rev. Lett. 107,
191801 (2011).
32. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Observation of the Baryonic Flavor-Changing Neutral Current Decay Λb0→Λμ+μ−”,
Phys. Rev. Lett. 107, 201802 (2011).
33. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Top-Quark Mass Measurement Using Events with Missing Transverse Energy and
Jets at CDF”, Phys. Rev. Lett. 107, 232002 (2011).
34. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurements of branching fraction ratios and CP-asymmetries in suppressed
B−→D(→K+π−)K− and B−→D(→K+π−)π− decays”, Phys. Rev. D 84, 091504(R) (2011).
35. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for a Higgs Boson in the Diphoton Final State in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96
TeV”, Phys. Rev. Lett. 108, 011801 (2012).
36. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for WZ+ZZ production with missing transverse energy+jets with b
enhancement at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 85, 012002 (2012).
37. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for high-mass resonances decaying into ZZ in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96
TeV”, Phys. Rev. D 85, 012008 (2012).
38. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for heavy metastable particles decaying to jet pairs in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 =
1.96 TeV”, Phys. Rev. D 85, 012007 (2012).
48
39. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for new phenomena in events with two Z bosons and missing transverse
momentum in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys. Rev. D 85, 011104(R) (2012).
40. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of CP-violating asymmetries in D0→π+π− and D0→K+K− decays at
CDF”, Phys. Rev. D 85, 012009 (2012).
41. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for the rare radiative decay W→πγ in 𝑝𝑝̅ collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys.
Rev. D 85, 032001 (2012).
42. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of the branching fraction B(Λb0→Λc+π−π+π−) at CDF”, Phys. Rev. D 85,
032003 (2012).
43. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Observation of Exclusive γγ Production in 𝑝𝑝̅ Collisions at √𝑠 = 1.96 TeV”, Phys.
Rev. Lett. 108, 081801 (2012).
44. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for Higgs bosons produced in association with b quarks”, Phys. Rev. D 85,
032005 (2012).
45. K. Abe, C. Matsumura, T. Nakai, K. Nakajima, T. Okusawa, T. Ozaki, Y. Seiya, K. Tashiro, K.
Yamamoto et al. (The T2K Collaboration): “First muon-neutrino disappearance study with an off-axis
beam”, Phys. Rev. D 85, 031103(R) (2012).
46. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurements of the Angular Distributions in the Decays B→K(*)μ+μ− at CDF”, Phys.
Rev. Lett. 108, 081807 (2012).
47. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Search for standard model Higgs boson production in association with a W boson at
CDF”, Phys. Rev. D 85, 052002 (2012).
48. T. Aaltonen, A. Hamaguchi, T. Okusawa, Y. Seiya, T. Wakisaka, K. Yamamoto et al. (CDF
Collaboration): “Measurement of ZZ Production in Leptonic Final States at √𝑠 of 1.96 TeV at CDF”,
Phys. Rev. Lett. 108, 101801 (2012).
国際会議講演
1. 大和 大祐:“Search for Higgs Boson Produced in Association with a Vector Boson Using Like-Sign
Dilepton Events at CDF”, New Perspectives 2011, 2011年5月31日,Fermilab, Illinois, USA
2. 大和 大祐:“Search for a Higgs Boson Produced in Association with a Vector Boson Using
Like-Sign Dilepton Events at CDF”, 2012年3月31日~4月3日,Atlanta, USA
学会・研究会講演
1. 山本 和弘:「Diamond detector as an intense particle monitor」,特定領域「フレーバー物理の
新展開」研究会 2011,2011 年 7 月 1 日~3 日,三重県三重郡菰野町 鹿の湯
2. 濵口 敦成:
「CDF 実験における 3γ 終状態によるフェルミオフォビックヒッグス粒子の探索」,
日本物理学会 2011 年秋季大会,2011 年 9 月 16 日~19 日,弘前大学
3. プラドウ スラキア:「CDF 実験における同符号 2 レプトン事象を用いたチャージーノ・ニ
ュートラリーノ対生成の探索」,日本物理学会 2011 年秋季大会,2011 年 9 月 16 日~19 日,
弘前大学
4. 濵口 敦成:
「CDF 実験における 3γ 終状態によるフェルミオフォビックヒッグス粒子の探索」,
日本物理学会第 67 回年次大会,2012 年 3 月 24 日~27 日,関西学院大学
5. プラドウ スラキア:「CDF 実験における同符号 2 レプトン事象を用いたチャージーノ・ニ
ュートラリーノ対生成の探索」,日本物理学会第 67 回年次大会,2012 年 3 月 24 日~27 日,
関西学院大学
49
その他
【教室談話会など】
1. 山本 和弘:「Latest Results from CDF and T2K Experiment」,数理物理研究室セミナー,
2011年6月28日,大阪市立大学
【国際共同研究グループ内口頭発表(英語)】
1. 濵口 敦成:CDF SUSY Group, Exotic Physics Group, Top BSM Group:2011年4月13日,
9月7日,11月9日,12月7日,2012年1月18日,1月25日,2月2日,2月16日
2. 大和 大祐:CDF Higgs Discovery Group:2011年4月29日,5月20日,8月5日,8月26日,
10月14日,11月11日,12月2日,12月9日,12月16日,2012年1月20日,3月16日,3月23日
3. 中嶋 一八:T2K INGRID Working Group:2011年5月31日,8月2日,8月9日,9月8日,
9月28日(T2K Collaboration Meeting)
学位論文
卒業論文
1. 尾堂 深南,寺嶋 由佳:「シミュレーションによる簡便な粒子判別装置のデザイン」
修士論文
1. 中居 貴士:「T2K 長基線ニュートリノ振動実験におけるダイヤモンド検出器の性能評価」
2. 中嶋 一八:「T2K 長基線ニュートリノ振動実験におけるニュートリノビームモニター
INGRID を用いたニュートリノビームの評価」
3. プラドウ スラキア:「Search for the Chargino-Neutralino Pair Production Using Like-Sign
Dilepton Events in 1.96-TeV Proton-Antiproton Collisions」
研究助成金取得状況
1. 日米科学協力事業費「陽子・反陽子衝突型加速器を用いる実験」124万円
2. 山本 和弘:特定領域研究「ダイヤモンド検出器を用いるルミノシティモニターの開発研究」70
万円
海外出張および海外研修
1.
大和 大祐:米国フェルミ国立加速器研究所,2011 年 4 月 27 日~2012 年 8 月 26 日,陽子・
反陽子衝突型加速器を用いる実験 CDF
2. 清矢 良浩:米国フェルミ国立加速器研究所,2011 年 12 月 22 日~2013 年 1 月 9 日,陽子・
反陽子衝突型加速器を用いる実験 CDF
50
重力波実験物理学研究室
神田 展行
教授
岡田 雄太
山本 尚弘
譲原 浩貴
(M2)
(M1)
(M1)
田中 一幸
(B4)
研究概要
本研究室では、重力波検出実験 KAGRA を中心に研究を進めている。また、同じく重力波検出
実験の将来計画の DECIGO 実験、アクシオン探索実験の基礎研究も進めている。
2011 年度は、KAGRA 計画の建設開始2年目として、本研究室がかかわるデータ収集系やデータ
解析についての研究が主軸となった。また、重力波と同時観測または相互フォローアップ観測とな
る天体観測との共同研究の策定もすすんだ。一方で、計算速度と高い対費用効果を目論む GPGPU
をもちいた解析計算についての研究も、科研費を獲得して開始した。
1. 大型低温レーザー干渉計型重力波望遠鏡 KAGRA (岡田、山本、譲原、田中、神田)
KAGRA(旧称 LCGT)は東大宇宙線研究所をホストとした共同研究である。低温サファイ
ア鏡による熱雑音抑制を特徴とし、神岡鉱山内に片腕の基線長 3km のレーザー干渉計を建
設中である。2010 年度に「最先端研究基盤事業」補助対象に選ばれ、装置(機器)に関わる
98億円の措置が決定した。このほかにトンネル等を含む総額は157億円の計画である。
©東京大学宇宙線研究所
図 1: KAGRA 実験
我々の主たる研究は、
・KAGRA データ取得系∼データ保管系および解析システム関連
・天体からの重力波検出を目的としたデータ解析
である。現在は、KAGRA のデータ取得系、キャリブレーション関連、データ転送/貯蔵系
についての必要な性能から仕様策定を進めている (図 2)。
KAGRA が検出を目指す主な重力波は以下である。
・コンパクト連星(連星中性子星や連星ブラックホール)の合体過程で放出する重力波
51
・超新星爆発からのバースト重力波(主なものはコア重力崩壊、そのほか対流など様々な過
程)
・パルサーからの連続波、パルサーグリッチに起因する突発的な波
・宇宙論的ないし多数の天体に起源をもつ背景重力波
KAGRA の建設が進むことにより、世界の複数台の検出器を用いた場合の見積もりなども再
評価が進んでいる。
Kashiwa
Kamioka
pre-process
server(s)
(calibration,
DetChar)
Main
storage server
mass
storage
ICRR’s
computers
(for analysis
queues)
data sharing
between LSC, Virgo
Tier 2 mirroring
spool
Primary Archive = Tier 1
NAOJ ?
for Multimessenger Astro.
Tier 1.5 Low
Tier 3 partial
latency distribution distribution
Osaka City U., Osaka U.
for GW searches
Tier 3 partial
distribution
?
Tier 3 partial
distribution
Tier 2? or 3?
Oversea KAGRA collaborater sites:
Korea, China, India etc.
図 2: KAGRA のデータ系概観
Site(s)
Purpose
(0?)
Kamioka
DAQ
1
Kashiwa
Main
Storage
○
○
1.5
Osaka City,
Osaka
Low
latency
NA
or small
amount
NAOJ?
Mirroring
Korea Site?
Develop
ment
2
3
End users
Raw
Detecter
Amount of
Calibrated Characteriz
data
ation
Tier
event
alarts
500TB
partial
○
5~30PB
(Not yet
discussed)
○
○
<1PB
○
○
○
○
5~30PB
○
NA
partial
partial
(Not yet
discussed)
NA
partial (spool) partial (spool) partial (spool)
図 3: KAGRA の Tier とデータ量
52
2. 乙女座銀河団からの天体起源背景重力波についての数値シミュレーションによる研究 ∼
LCGT と第二世代重力波検出器を用いたラジオメトリフィルタ∼(岡田)
本件は、岡田雄太の修士論文の主題である。
重力波は一般相対論が予想する時空の歪みの波である。その直接観測は未だなされていない
が、一般相対論の検証や天体・宇宙物理の成果が期待されている。日本の LCGT 計画など
の、新技術を加えた「第二世代」の検出器が世界の何カ所かで現在建設中である。
10
declination
8
7
6
-120º
-60º
0º
60º
120º
5
4
3
2
1
signal strength (arbitrary unit.)
重力波源には様々なものが考えられるが、本研究論文では乙女座銀河団からの背景重力波を
対象とした。岡田氏を含む共著論文 [1] は、銀河団が含む多数パルサーからの重力波の重ね
合わせが、長期的かつ天球上の異方性に有感な解析手法である「ラジオメトリ」によって検
出できる可能性を示した。これと平行して岡田氏は数値シミュレーションによって実際の観
測データ相当の状況でのラジオメトリフィルタ計算を構築した [2]。解析的な予想と数値シ
ミュレーションの結果は概ね一致し、検出器の組み合わせに依存するが1年∼3年の観測時
間があれば乙女座銀河団からの背景重力波を同定できることを示唆した。同様の計算は国際
的にみても1、2の先行研究があるだけであり、特に乙女座銀河団からの背景重力波を想定
したシミュレーションは本研究が世界初である。本研究の結果は現在学術雑誌への投稿を準
備中である。国際観測ネットワークを用いるラジオメトリ解析の可能性を具体的に示した事
は重要な成果である。
R.A.
図 4: 重力波ラジオメトリによる天球マップのシミュレーション
3. 重力波のラジオメトリ探査、複数台検出器のコヒーレント検出についての基礎研究(日印交
流)(岡田、神田)
インド IUCAA (Inter-University Centre for Astronomy and Astrophysics) との研究交流プ
ログラムでの研究である。日本学術振興会の二国間共同研究に採択されている。
この課題は、複数台の検出器を用いた場合の解析についての研究で、コヒーレント法とコイ
ンシデンス法の比較と、重力波のラジオメトリ探査が研究課題である。
今年度はラジオメトリ探査についてフレームワークおよび数値計算による研究が進んだ。特
に、おとめ座銀河団が hot spot として観測される可能性を指摘し (図 5)、論文 [1] に出版さ
れた。この成果は、重力波ラジオメトリ探索の可能性を示すものとして世界に先駆けた成果
だと考えている。
53
また、前項で説明したように数値計算(シミュレーション)が進んでおり、定量的な研究が
進んでいる。
LCGT
LIGO
Virgo
ET−B
1/2
−5
H eff(f)( =10 )
−19
10
LCGT
LIGO
H1/2
(f)( =10−6)
eff
−20
Strain noise spectrum [1/Hz1/2]
10
H1/2
(f)( =10−7)
eff
−21
10
Virgo
−22
10
ET
−23
10
−24
10
H1/2(f)( =10−5)
eff
−25
1/2
−7
H eff(f)( =10 )
10
H1/2(f)( =10−6)
eff
−26
10
0
10
1
2
10
10
3
10
4
10
Frequency [Hz]
図 5: 乙女座銀河団起源の背景重力波スペクトル予想(論文 [1])
4. KAGRA 検出器データのシミュレーション(山本)
検出器やそれで得られる信号を研究するのに、しばしばシミュレーションが用いられる。特
に、ランダムなプロセスや、実際のデータ処理についての評価において、Monte-Carlo シミュ
レーションによる疑似データは有効な手だてである。重力波検出の場合、雑音のなかの微小
信号探索であるから、シミュレーションの “でき” は、より本物らしい雑音を生成できるか
に強く依存している。原因のはっきりしている検出器の挙動にとどまらず、源のよくわから
ない非ガウス雑音や非定常雑音も再現しなくては、実際の解析の検証に耐えない。また、原
因がはっきりしていても、懸架系などの機械的励起や電源ラインの変動等、単純な乱数では
再現できないものも多く存在する。
さらに、実際のデータのように時系列で生成しようとすると、継ぎ目なく生成するには数値
計算に工夫が必要である。実験では検出器の性能は周波数スペクトルで得ることが多く、測
定計の伝達関数も周波数領域で得られる。それらを再現するように、前述の雑音源を組み込
みながら時間的に連続な疑似データを作成する。
従来、簡単なシミュレーションとして雑音スペクトルを種にした乱数と、逆 FFT を用いた
方法がおこなわれていた。しかしこの方法は、どうしても時系列に不連続な継ぎ目を生じて
しまう。このため、解析方法のチューニングにあわせて雑音生成もかえねばならない。継ぎ
目のある疑似データは、例えば時間区切りを変えての検証や、自在にパラメーターを変えて
の解析手法の開発に支障がある。よって、KAGRA の “時系列の継ぎ目のない疑似データ”
を試みることになった。
54
本研究では、ラプラス変換をもちいて伝達関数を複素周波数で定義し、インパルス応答を微
分演算子をつかって再現して行列・ベクトル演算化し、ホワイトな雑音をもとに周波数依存
性のある雑音スペクトルを生成した。図 6 に輻射圧雑音と散射雑音の例を示す。
またこれ以外にもワイヤの励起や電源ハム雑音、非定常スパイク雑音なども生成した。
ノイズ生成シミュレーション(ガウス雑音)
quantum noise
+hshot (t)
hq (t)
hrad (t)
radiation pressure
0
0
60 [sec]
FFT
|hradiation (f )|
|hshot (f )|
|hradiation (f )|
|hgenerate (f )|
average of 100 times
average of 100 times
h̃q (f )
h̃rad (f )
60 [sec]
FFT
|hgenerate (f )|
1
24
1
10000 [Hz]
10000 [Hz]
2012年2月18日土曜日
図 6: KAGRA 雑音シミュレーションの例
5. Cosmic String 起源の重力波について(譲原)
Cosmic String は宇宙初期に位相欠陥などから生じたと考えられているが、もし存在すれば
重力波源となりうる。すなわち、String の曲がり角となる部分の運動から、重力波を放出す
ると考えられている。この「角」には、“kink” と “cusp” の2種が考えられる(図 7)が、重
力波放射は cusp のほうが大きいと考えられる。Cosmic String は宇宙の進化とともに発展
し、その時の宇宙スケールに応じた長さの open loop string や、時間が経つにつれて string
がもつれて生じる loop string があると考えられる。loop string に生じた cusp が重力波源に
なり、その振幅や周波数の分布は、cosmic string の張力や loop size によってきまる。また振
幅が小さいが非常に多くの loop から放出される重力波は背景重力波となり、稀だが大振幅
のものはバースト的な重力波として検出の可能性が論じられてきた(Damour and Vilenkin,
2001 等)。
この研究では、Cosmic String からの重力波を時系列シミュレーションで生成し、その解析
方法を探ろうというものである。特に、背景重力波というには断続的だがバーストと認識で
きるような振幅や時間的局在性がない、いわば “中間振幅・中間頻度” の重力波について、解
析手法や検出の可能性を検討するのが目的である。
55
KAGRA や advanced LIGO などの重力波検出器の背景重力波についての感度は Ωh20 ∼ 10−8
であり(図 8)、いくつかの Cosmis String モデルの予想する重力波スペクトルに届く。し
たがって、数年後には実データでの検証が期待される。
Cosmic Stringとは
41 /44
・初期宇宙で作られた高エネルギーのひも
・(背景)重力波源のひとつ
・kinkとcuspから重力波が放出される
Cosmic stringからの重力波
主にループ上のkinkやcuspと呼ばれる構造から放出される
kink
cusp
一般的にcuspからの寄与のほうがdominant
2012/2/19 アインシュタイン冬のセミナー2012@長浜市サイクリングターミナル 譲原 浩貴
様々な方向からやってくる重力波が
の “kink” と “cusp”
図 7: Cosmic String
重なり合って背景重力波として見える
たまにやってくる大きな重力波は
単独でバーストとして観測される
→ 観測からcosmic stringの性質を探れるか?
6. GPGPU を用いた重力波ラジオメトリ計算の高速化(田中、神田)
2011年11月25日金曜日
本研究は、科学研究費補助金「GPGPU を用いた重力波ラジオメトリ計算の高速化」(基盤
(C)、代表:神田展行)として H23-25 年度に採択された。
日本でもレーザー干渉計型重力波検出器 KAGRA の建設が進み、天体からの重力波の直接
検出がもうじき実現すると期待されている。2 台の検出器に到来する重力波は波源の方向に
よって時間差が生じるが、天球上に連続的に重力波を発する天体がある場合、重力波源と 検
出器の相対配置は地球の自転・公転によって変化するので、その時間差は時々刻々と変化す
る。この時間差変化を考慮した積分フィ ルターで連続的な重力波を探索し、天球上にマッピ
ングが可能である。これが「重力波ラジオメトリ」であり、波形を仮定せずに連続 的な波源
を全天で探索できる優れた解析手法である。しかし、長いデータの積分を仮定する方向毎に
繰り返したり、シミュレーション を行うには多数の不定波形重力波源を天球上に分布させて
埋め込むといった、比較的冗長な計算が必要である。本研究では、この計算 を GPGPU(画
像処理演算装置による汎目的計算) を用いて高速化する事が目的である。
本年度は、実際に GPU を備えたワークステーションを導入し、GPGPU 環境でのプログラ
ム開発をおこなった。まず GPGPU で の高速フーリエ計算 (FFT) を行い、その基本的な
動作や速度の確認をおこなった。続いて、並列化に着手したところである。現在のところ、
GPU モジュールを 1 つのみ使用したとして、(1) CPU での計算にくらべて 2 ∼ 3 倍は高速化
できそうであること、(2) ラジオメトリ計算の時系列データ区間単位を変更しても、総デー
タ処理時間の増減を数 10%程度に抑えることが見積もれた。実装上の性能は引き続きの課題
である。
56
ここまでの制限のまとめ
地上検出器での観測帯域
2
gw (f )h0
39 /44
0.01
Inflation
BPSR
CMB
MSP
BBN
LIGO S3
LIGO S4
LIGO S5
L-H-V-J-A (3years)
aLIGO single
0.0001
1e-06
1e-08
1e-10
1e-12
1e-14
1e-16
1e-15
1e-10
1e-05
1
100000
1e+10
周波数 f[Hz]
2012/2/19 アインシュタイン冬のセミナー2012@長浜市サイクリングターミナル 譲原 浩貴
図 8: 背景重力波に対する検出器の感度
7. 学内重点研究「『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点」
H20 年度から5年間の計画で、上記のテーマで学内重点研究を申請、採択された。ただし、
大学執行部により継続課題についての扱いの方針が変更され、本年度が最後の年となった。
この計画は、近接する物理学の諸分野にまたがるトピックスをとりあげ、学外の物理研究者
とも連携して、分野をリンクした新しい研究を立ち上げることを目的としていた。
2011 年度は、2月に大学院生中心のセミナーをおこなった。
57
図 9: 開発用の GPGPU ワークステーション
CPU : Intel Xeon X5650 2.67GHz (6core)
GPU : nvidia Tesla C2075 1.15GHz (448core)
OS : Scientific Linux version 2.6.18-274.7.1.e15
教育・研究業績
学術論文
1. “Cross-correlation search for a hot spot of gravitational waves”,
Sanjeev Dhurandhar, Hideyuki Tagoshi, Yuta Okada, Nobuyuki Kanda, and Hirotaka
Takahashi,
Phys. Rev. D 84, 083007 (2011)
2. “First observational upper limit on gravitational wave backgrounds at 0.2 Hz with a
torsion-bar antenna”,
Koji Ishidoshiro, Masaki Ando, Akiteru Takamori, Hirotaka Takahashi, Kenshi Okada,
Nobuyuki Matsumoto, Wataru Kokuyama, Nobuyuki Kanda, Yoichi Aso, and Kimio Tsubono,
Phys Rev Letter 106, 161101 (2011)
3. “Prospects for true calorimetry on Kerr black holes in core-collapse supernovae and mergers”,
Maurice H.P.M. van Putten, Nobuyuki Kanda, Hideyuki Tagoshi, Daisuke Tatsumi, Fujimoto Masa-Katsu and Massimo Della Valle,
Phys Rev D 83, 044046 (2011)
58
以下は査読無し
4. “The cross-correlation search for a hot spot of gravitational waves : Numerical study for
point spread function”,
Yuta Okada, Nobuyuki Kanda, Sanjeev Dhurandhar, Hideyuki Tagoshi, Hirotaka Takahashi
Proceedings of 9th Amaldi and NRDA conference, arXiv:1112.3090
5. “LCGT and the global network of gravitational wave detectors”,
Nobuyuki Kanda and the LCGT collaboration,
Proceedings of 11th Asian-Pacific Regional IAU Meeting, arXiv:1112.3092
6. 「重力波とブラックホールの深い関係」,
神田展行
岩波書店・雑誌『科学』2011 年 4 月号
学会・研究会講演
1. 神田展行:Plenary session : “ The cross-correlation search for a hot spot of gravitational
waves ”,
9th Edoardo Amaldi Conference on Gravitational Waves, and the 2011 Numerical Relativity - Data Analysis meeting, July 10-15 2011, Cardiff (UK)
2. 神田展行:招待講演 Plenary session (invited) : “ LCGT and the Global Network of Gravitational Wave Detectors ”,
11th Asian-Pacific Regional IAU Meeting, July 26-29, 2011, Chiang Mai, Thailand,
3. 神田展行:招待講演 Lecture (invited) : “ Status of LCGT and the Prospect of Gravitational
Wave Observation ”,
Summer Institute 2011 (宇宙・素粒子論), 2011 年 8 月 3 日–12 日, 富士吉田
4. 神田展行:招待講演 Lecture (invited) : “ Frontier of Gravitational Wave Astronomy Opening New Window of Astrophysics and Cosmology ”,
JSPS-DST Asia Academic Seminar, 26 September - 1 October 2011, Hyogo, Japan
5. 神田展行:“Status of new Japanese interferometric gravitational wave detector : LCGT”,
Seminar at IISER-TVM (Indian Institute of Science Education and Research, Thiruvananthapuram) 12/7
6. 神田展行:“Data Acquisition, Storage and Analysis”,
1st Korea-Japan Workshop on LCGT: Large-scale Cryogenic Gravitational-wave Telescope
Jan. 12, 2012, Hana Square, Science Campus, Korea University, Seoul, Korea
7. 神田展行 “LCGT 特別セッション:
「LCGT のサイエンス」”,
日本天文学会 2011 年秋季年会, 鹿児島大学
8. 山本尚弘 “LCGT 感度スペクトルに従う任意長時系列ノイズ生成シミュレーション”
日本物理学会 2011 年秋季大会, 弘前大学
9. 譲原浩貴 “LCGT と他の検出器を用いた背景重力波探索の検討”
日本物理学会 2011 年秋季大会, 弘前大学
10. 岡田雄太 “LCGT を用いた重力波ラジオメトリ:波源探索の実現性”
日本物理学会 2011 年秋季大会, 弘前大学
11. 山本尚弘 “LCGT シミュレーションデータの生成”
日本物理学会 第 67 回年次大会, 2012 年3月, 関西学院大
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12. 譲原浩貴 “Cosmic String 起源 背景重力波の数値シミュレーション”
日本物理学会 第 67 回年次大会, 2012 年3月, 関西学院大
13. 岡田雄太 “LCGT を用いた重力波ラジオメトリ∼乙女座銀河団ホットスポットの数値シミュ
レーション∼”
日本物理学会 第 67 回年次大会, 2012 年3月, 関西学院大
14. 神田展行,田中一幸 “GPGPU による重力波ラジオメトリ計算の高速化”
日本物理学会 第 67 回年次大会, 2012 年3月, 関西学院大
註:上記は登壇者が当研究室のものに限る。
学位論文
1. 田中一幸 “GPGPU を用いた重力波データ解析の高速化の検討”
修士論文
1. 岡田雄太 “乙女座銀河団からの天体起源背景重力波についての数値シミュレーションによる
研究 ∼LCGT と第二世代重力波検出器を用いたラジオメトリフィルタ∼
(英語題 : Study of numerical simulation for astrophysical gravitational wave stochastic
background from the Virgo cluster with radiometry filter using LCGT and 2nd generation
gravitational wave detectors)”
研究助成金取得状況
1. 科学研究費補助金「GPGPU を用いた重力波ラジオメトリ計算の高速化」(基盤 (C)、代表:
神田展行、H23-25 年度)
2. 学内重点研究 H23 年度「『アインシュタインの物理』でリンクする研究・教育拠点」代表:
神田展行
海外出張および海外研修
1. 神田展行:9th Edoardo Amaldi Conference on Gravitational Waves, and the 2011 Numerical
Relativity - Data Analysis meeting, July 10-15 2011, Cardiff (UK),
2. 神田展行:11th Asian-Pacific Regional IAU Meeting, July 26-29, 2011, Chiang Mai, Thailand,
3. 岡田雄太、神田展行:二国間交流 IISER-TVM (Indian Institute of Science Education and
Research, Thiruvananthapuram) 12/6-11
4. 神田展行:1st Korea-Japan Workshop on LCGT: Large-scale Cryogenic Gravitational-wave
Telescope Jan. 12 ? Jan. 13, 2012 Hana Square, Science Campus, Korea University, Seoul,
Korea
その他
研究会主催
1. 学内重点研究主催: 冬のセミナー(第4回) 2011 期間:2012 年 2 月 18-20 日
60
公開活動
1. 「“ 宇宙 (天文) を学べる大学 ”合同進学説明会」於:大阪市立科学館 2012/6/12
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宇宙・素粒子実験物理学研究室
寺本 吉輝
中野 英一
准教授
准教授
松原大輔
山本健二
菊川実樹
吉田武史
(M2)
(M2)
(B4)
(B4)
研究概要
1. KEK Bファクトリー加速器による素粒子実験(Belle)(寺本,中野) 高エネルギー加速器研究機構の Belle 実験装置を用いた国際共同実験を行っている. Belle 実験装置は,Bファクトリー加速器を用いた電子・陽電子反応によってB 中間子対
を大量生産して,CPの破れの検証やB 中間子の崩壊の測定などを目的とした装置である. 建設に於いて,我々は高抵抗板素粒子検出器 (RPC) を用いた KL0・ミュー粒子検出器を
東北大学などと共同で担当した.データ解析に関しては,主に荷電粒子の飛跡解析とミ
ュー粒子の同定を担当している.Belle実験のデータ収集は2010年6月に終了したが、引
き続き物理解析を行っている. 2011年度の物理解析はCP非保存のパラメーターであるφ
1の精度を上げる測定を行うとともに、様々な崩壊様式での CP非保存の測定を行った.新
しい共鳴状態であるX(3872)の詳細な測定も行いつつ、それ以外の共鳴状態の探索を行っ
た。このような共鳴状態はこれまでは統計量が少なく観測することが困難だったが、B
中間子対事象の他、チャームクォーク対事象を大量に収集した結果可能となった. 2. 平行板型素粒子検出器の研究開発(寺本,中野,松原,菊川) 高抵抗板素粒子検出器(RPC)は平行な高抵抗板の間にガスを入れ,高抵抗板に8~10 kV
程度の電圧をかけることにより,荷電粒子がこれを通過した時,その位置と時間を測定
できる装置である.高圧供給用電極での信号伝播時間から荷電粒子の通過位置を測定す
る試みを進めているが,2011年度は,前年度に観測された,通過位置に依って信号波形
が変化する現象の原因解明を進めた.RPCを電子回路シミュレータを用いてモデル化して
シミュレートした結果,読み出し用に配置した銅ストリップ間の静電容量に依って信号
波形が変化することを突き止めた. 3. ネットワーク型宇宙線観測装置を使った宇宙線観測(寺本,中野) 都道府県にまたがって時間相関を持って到来する宇宙線を観測するために,宇宙線の
到来時間を GPS を用いてマイクロ秒の精度で決定でき,インターネットを用いてデータ
をリアルタイムに交換できる簡易型空気シャワー観測装置「宇宙線ステーション」を開
発し,高校や科学館などに配備し大規模な観測網を構築する計画を 1999年から始めてい
る.2011年度も前年に引き続き観測を行なった. 4. Micro Pattern Gas Detector の開発(中野,山本、吉田) 薄型で2次元読み出しを行えるガス測定器の1つであるGEMの他分野への応用を図る目
的で高エネルギー加速器研究機構,東北学院大学,東京農工大学,近畿大学と共同開発
を行っている.2011年度は医療分野への応用として硬X線検出器の開発を進めるとともに、
検出荷電粒子検出器としての基礎研究を近畿大学と共に進め,宇宙線を使った試験を行
い,基本的な性能を確認した.また、計算機シミュレーションによって検出効率の妥当
性を検証した. 5. Belle II CDC の準備研究(中野) 62
2015年に実験開始が計画されているSuperKEKB加速器を使ったBelle II実験の中央飛
跡検出器の開発を進めている.KEKB加速器からの大幅な増強に伴い、それに対応可能な
性能を持つ検出器に置き換えを行う.検出器本体の設計、試験はほぼ終了しており、2011
年度はSpring-8のLEPSビームラインに於いて、中央飛跡検出器と読み出し回路のプロト
タイプを用いて荷電粒子の飛跡を測定し、位置分解能の性能試験を行った。 教育・研究業績
学術論文
1. I. Adachi, E. Nakano et al., “First observation of the P-wave spin-singlet bottomonium states
hb(1P) and hb(2P)“, Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 032001.
2. A. Vossen, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of transverse polarization asymmetries of
charged pion pairs in e+ e- annihilation near √s=10.58 GeV”, Phys.Rev.Lett. 107 (2011)
072004.
3. H. Sahoo, Y. Teramoto et al., “First Observation of Radiative B0 → φK0 γ Decays and
Measurements of Their Time-Dependent CP Violation”, Phys.Rev. D84 (2011) 071101.
4. V. Bhardwaj, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of X(3872) → J/ψγ and search for
X(3872) → ψ'γ in B decays”, Phys.Rev.Lett. 107 (2011) 091803.
5. A. Vinokurova, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Study of B ± → K ± {KSKπ}0 Decay and
Determination of ηc and ηc(2S) Parameters”, Phys.Lett. B706 (2011) 139-149.
6. S.-K. Choi, S.L. Olsen, K. Trabelsi, I. Adachi, H. Aihara, K. Arinstein, D.M. Asner, T. Aushev, E.
Nakano, Y. Teramoto et al., “Bounds on the width, mass difference and other properties of
X(3872) → π+π-J/ψ decays”, Phys.Rev. D84 (2011) 052004.
7. O. Seon, Y.J. Kwon, T. Iijima, I. Adachi, H. Aihara, D.M. Asner, T. Aushev, A.M. Bakich, E.
Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for Lepton-number-violating B ± → D-l+l'+ Decays”,
Phys.Rev. D84 (2011) 071106.
8. E. Won, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of D+ → K+η(') and Search for CP
Violation in D+ → π+η(') Decays”, Phys.Rev.Lett. 107 (2011) 221801.
9. P. Chen, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Observation of B- → pΛD0 at Belle”, Phys.Rev. D84
(2011) 071501.
10. X.L. Wang, Y. Teramoto et al., “Search for charmonium and charmonium-like states in Υ(2S)
radiative decays”, Phys.Rev. D84 (2011) 071107.
11. M. Staric, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Search for CP Violation in D± Meson Decays to φ
π±”, Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 071801.
12. C.T. Hoi, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Evidence for Direct CP Violation in B± → ηh± and
Observation of B0 → ηK0”, Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 031801.
13. A. Bondar, Y. Teramoto et al., “Observation of two charged bottomonium-like resonances in Υ
(5S) decays
Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 122001.
14. Y. Sato, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “Measurement of the CP-violation Parameter sin2φ1 with
a New Tagging Method at the Υ(5S) Resonance”, Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 171801.
15. I. Adachi, H. Aihara, D.M. Asner, V. Aulchenko, T. Aushev, T. Aziz, A.M. Bakich, A. Bay, E.
Nakano, Y. Teramoto et al., “Precise measurement of the CP violation parameter sin2φ1 in B0
→ (cc )K0 decays”, Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 171802.
16. J. Li, E. Nakano, Y. Teramoto et al., “First observation of Bs0 → J/ψη and Bs0 → J/ψη'”,
Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 181808.
17. Z.Q. Liu, E. Nakano , Y. Teramoto et al., “Observation of new resonant structures in γγ → ω
φ, φφ and ωω”, Phys.Rev.Lett. 108 (2012) 232001.
18. M.C. Chang, Y.C. Duh, J.Y. Lin, I. Adachi, K. Adamczyk, H. Aihara, D.M. Asner, T. Aushev, E.
Nakano et al., “Measurement of B0 → J/ψη(') and Constraint on theη-η' Mixing Angle
63
Phys.Rev. D85 (2012) 091102.
19. T. Higuchi, K. Sumisawa, I. Adachi, H. Aihara, D.M. Asner, V. Aulchenko, T. Aushev, A.M.
Bakich, Y. Teramoto et al., “Search for Time-Dependent CPT Violation in Hadronic and
Semileptonic B Decays”, Phys.Rev. D85 (2012) 071105.
20. M. Rohrken, E. Nakano et al., “Measurements of Branching Fractions and Time-dependent CP
Violating Asymmetries in B0 →D(*)±D Decays”, Phys.Rev. D85 (2012) 091106.
21. T. Higuchi, M. Nakao, E. Nakano, “Radiation tolerance of readout electronics for Belle II”,
JINST 7 (2012) C02022.
22. B.R. Ko, E. Nakano et al., “Evidence for CP Violation in the Decay D+ →Ks0π+”,
Phys.Rev.Lett. 109 (2012) 021601, Erratum-ibid. 109 (2012) 119903.
23. N. Ishihara, Y. Kato, T. Inagaki, T. Ohama, S. Takeda, Y. Yamada, N. Ukishima, Y. Teramoto et
al.,”Neutrinoless double beta decay experiment DCBA using a magnetic momentum-analyzer”,
Nucl.Phys.Proc.Suppl. 221 (2011) 354.
学会・研究会講演
1. 中野英一ほか:「Belle KLM に対する中性子バックグラウンドの評価」 日本物理学会 2011年秋季大会 弘前大学
2. 山本健二ほか:「GEMを用いた硬X線検出器の開発」 日本物理学会 2011年秋季大会 弘
前大学
3. 山本健二ほか:「GEMを用いたガンマカメラの開発」 第8回MPGD研究会 近畿大学
4. 中野英一ほか:「Belle KLM RPCのAgingの研究」 日本物理学会 第67回年次大会 関西
学院大学
学位論文
修士論文
1. 山本健二:「GEMを用いた硬X線検出器の開発」
研究助成金取得状況
1. 中野英一:新学術領域研究「多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研
究」計画研究「Bファクトリー実験におけるエキゾチックハドロンの研究」2011年度分
75万円
64
素粒子論研究室
中尾憲一(教授)
阿部博之(D3)
寺川達哉(D2)
西川隆介(M2)
速水真裕(M2)
宇野竜也(M2)
根岸宏行(M1)
研究概要
我々をとりまく世界で起こるあらゆる事象は、クォークとレプトンそしてヒッグス粒子と
呼ばれる素粒子の相互作用として理解できると考えられています。相互作用には、重力相互
作用、電磁相互作用、弱い相互作用、強い相互作用の4つが知られており、これらの相互作
用はゲージ粒子とよばれる粒子が媒介すると考えられています。重力相互作用を除く3つの
相互作用に関しては、すでにその存在は実験的に確かめられていますが、重力相互作用を媒
介するゲージ粒子だけは、間接的にその存在は確かめられてはいますが未だに直接観測はな
されていません。また、重力相互作用だけが未だに量子論的な枠組みでの記述に成功してい
ません。その理由は、重力相互作用が他の相互作用と比べて極端に弱く、そのためにその量
子論的な性質を実験的に確認することが極めて困難だからです。一番身近な力でありながら、
実験的にも理論的にも未だに未知の部分が多い重力相互作用は、21世紀に残された物理学
における最大のテーマの一つといえます。この研究室では、この重力相互作用を中心に様々
な研究を行っています。2011年度に行った研究は以下の通りです.
1. 時空特異点(trans-Planckian domain)
強い重力場を記述する古典理論の最有力候補である一般相対論によれば、巨大質量の星は
その進化の最終段階で、自らが生み出す重力によって限りなく収縮していきます.この現象
は重力崩壊と呼ばれ、エネルギー密度や圧力、温度、そして時空の曲率といった物理量が無
限大になる 領域 が最終的に形成されます.この領域は時空の裂け目のような構造を持ち、
時空特異点と呼ばれています.時空特異点は、一般相対論を含めた既知の物理法則の適用範
囲外にあり、重力相互作用の量子論的な性質が現れる非常に興味深い領域(trans-Planckian
domain)である可能性があります.時空特異点は観測可能性という観点から二種類に大別す
ることができます.一つは、我々のような観測者がそこに行かない限り見ることのできない
タイプのものであり、ブラックホールはその一例です.そしてもう一つは、原理的に観測可
能なタイプであり、「裸の時空特異点」と呼ばれています.この裸の特異点は、もし我々の
宇宙に存在するならば、実験的・観測的に重要な意味を持ちます.
今年度は、裸の特異点周りで粒子衝突のエネルギーが、素粒子間の重力相互作用が無視で
きなくなるスケール(=重力の量子論的効果が重要になるエネルギースケール)以上になり
うるというPatil-Joshi効果と,すでに稼働しているLarge Hadron Collider (LHC)によって観測
可能なtrans-Planckian domainの生成可能性について研究を行いました.この研究は、さらに発
展し、現在も継続中です.
2. ダークエネルギー問題:非一様宇宙の可能性
我々の宇宙は現在、加速膨張しているように見えます.より厳密に言うと、宇宙の物質・
輻射分布や空間の幾何学的性質が一様等方とするならば、現在得られている観測結果は、宇
宙空間の膨張速度が加速していることを意味する、ということです。さらに、アインシュタ
インの一般相対性理論が正しい重力理論だと仮定すると、この観測事実は、宇宙空間に負の
圧力(正の張力)を持つダークエネルギーと名付けられた不可解なエネルギーが満ち満ちて
65
いるということを意味します.このダークエネルギーの起源はもちろん未だに分かっていま
せん。この問題をダークエネルギー問題と呼んでいます.上記の説明から分かるように、観
測事実からダークエネルギーの存在を演繹するために2つの仮定をしています.一つ目は「宇
宙は一様等方」、二つ目は「一般相対論が正しい」です.この二つの仮定のうち一つでも正
しくないということになれば、ダークエネルギーの存在を仮定せずに観測事実の説明ができ
る可能性があります. 我々のグループは、ダークエネルギー問題に対する一つのアプローチとして、「我々の宇
宙は非一様」と仮定し、ダークエネルギー問題が解決可能かどうかを研究しています.この
アプローチで取り組む研究者は、宇宙論の業界では少数派ですが、近未来に得られる様々な
観測事実を用いて理論モデルの正否を確認できる唯一のモデルであり、その意味で最も健全
なアプローチと言えます.一つは昨年度から引き続き、京都大学基礎物理学研究所の柳哲文
博士と共同で、物質優勢の宇宙における極めて大きなボイドの中心に我々が位置する宇宙モ
デルの研究を密度ゆらぎの進化に注目して進めました. 3.ブラックホール物理学 ブラックホールはこの研究室のライフワーク的な研究テーマの一つです.ブラックホール
は,強い重力場を伴う時空構造の典型的な例の一つであり,観測的にもその存在が強く示唆
されているだけでなく,現在計画中あるいは既に動き始めた観測プロジェクトによって,近
い将来にその詳細な性質がさらに明らかになると期待されています.その観測をにらみ,本
物理学科の宇宙物理研究室、及び大阪大学の田越秀行助教と共同で,ブラックホール磁気圏
などのブラックホール周りの物理現象,物理過程の研究を進めています. またブラックホールは、ダークマターの候補の一つです。しかしながら、素粒子的なダー
クマター候補と異なり、ブラックホールは自己重力が極めて強いので、その多体系が塵状物
質と同様に宇宙膨張を引き起こすのかどうかは自明ではなく、未だかつて満足のいく解析が
行なわれたことは有りません。それゆえ、私たちの研究室では、京都大学基礎物理学研究所
の柳哲文博士と協力し、数値相対論によるブラックホール宇宙の解析を行なっています。 教育・研究業績
学術論文
1. Mandar Patil, Pankaj Joshi, Ken-ichi Nakao, Masashi Kimura,
"Acceleration of particles and shells by Reisner-Nordstrom naked singularities", Physical Review D
(in press) arXiv:1105.3331.
2. Yasunari Kurita, Ken-ichi Nakao,,
“Dynamical instability in a relativistic cylindrical shell composed of counter rotating particles”,
Progress of Theoretical Physics, Vol. 128, (2012) 191.
3. Ryusuke Nishikawa, Chul-Moon Yoo, Ken-ichi Nakao,
“Evolution of density perturbations in large void universe”,
Physical Review D, Vol.85 (2012) 1035111.
国際会議,国際研究会発表
1. Ryusuke Nishikawa, “Evolution of density perturbations on the inhomogeneous cosmological
models”,International Workshop on Inhomogeneous Cosmologies, ユーバスキュラ大学(フ
ィンランド),2011年8月15日 19日.
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学会・研究会講演
1. 大川博督,中尾憲一,柴田大: 高次元ブラックホール散乱による超プランク領域の出
現 日本物理学会2011年度秋季大会,弘前大学文京町キャンパス,2011年9月. 2. 西川隆介,中尾憲一,柳哲文: ボイド宇宙における構造形成 日本物理学会2011年度秋季大会,弘前大学文京町キャンパス,2011年9月. 3. 阿部博之,孝森洋介,中尾憲一,柳哲文: ブラックホール宇宙の初期条件とその構造 日本物理学会2011年度秋季大会,弘前大学文京町キャンパス,2011年9月. 4. 栗田康成,中尾憲一: 円筒シェルの不安定性について 日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス,2012年3月. 5. 宇野竜也,中尾憲一,米澤信拓,原田知広,宮本雲平: (2+1)次元時空中の回転対称null dustの崩壊による粒子生成 日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス,2012年3月. 6. 西川隆介,中尾憲一,柳哲文: ヴォイド宇宙モデルにおける密度ゆらぎ相関関数 7. 日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス,2012年3月. 8. 柳哲文,阿部博之,中尾憲一: ブラックホール宇宙 日本物理学会第67回年次大会,関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス,2012年3月. 9. 宇野竜也: (2+1)次元時空中の回転対称null dustの崩壊による粒子生成 第13回特異点研究会,国立天文台三鷹キャンパス,2011年12月23日 25日. 10. 西川隆介: ヴォイド宇宙モデルにおける密度ゆらぎ相関関数 第13回特異点研究会,国立天文台三鷹キャンパス,2011年12月23日 25日. 学位論文
修士論文
1. 宇野竜矢:「(2+1)次元時空中のnull dust circleの崩壊による粒子生成」 海外出張および海外研修
1. 西川隆介:ユーバスキュラ大学(フィンランド)で開催された国際研究会に参加,研究成
果発表,2011年8月15日 19日.
2. 中尾憲一:タタ基礎科学研究所(インド)にてJoshi教授との共同研究打ち合わせ 2012
年2月21日 3月1日
外 部 資 金 1. 科学研究費補助金• 基盤研究(C) 相対論的非一様宇宙に関する理論的な研究 . そ の 他 1. 日本天文学会公開講演会/全国同時七夕講演会「宇宙探求への道」: 宇宙の始まり ,
つくば国際会議場エポカル多目的ホール,2011年7月3日. 2. 岸和田高校SSH出張授業: ブラックホールの物理学 , 大阪府立岸和田高等学校,2011年8月25日. 67
数理物理研究 室
糸山浩司 教 授
安井 幸則 准教 授
大田武志( 数学研究 所員 )
吉 岡 礼治( 数学研究 所員 )
樋ノ 上和貴( M2)
高部 遼一 ( M4)
米澤信拓( 数学研究 所員 )
宝利 剛( 数学研究 所員 )
出口 翔( D1)
矢野 航平( M1)
青柳 和仁( M1)
廣岡 隆考( B4)
研究 概要
1. β変形行列模型の 解析( 糸山・大田)
A(n)(1)型ア フ ィ ンリ ー 代数に 基づ く β変形行列模型の 解析を 行い 、有限の 行列サ イ ズ で の シ
ュ ヴィ ンガ ー ・ダ イ ソ ン方程式と そ の planar極限を 考察し た 。n=1の 場合, 3次の planarル ー
プ 方程式を 得た 。n=2の 場合に , レゾ ル ベ ント に 対す る 3種類の 拘束方程式を 決定し た 。これ
ら は 、 そ れ ぞ れ 2次・3次・4次の 方程式で ある 。
2. D-termに よ る 超対称性の 力学的破れ ( 糸山)
丸 氏と 協 力し て 、 D termを 持つ 次元5 の 項を 含 む 一 連の 超対称ゲ ー ジ 理論に お い て 超対称
性の 力学的破れ が 起 き て い る こと を Hartree-Fock近 似を 用い て 示し た 。
3. 超重力理論の ブ ラ ッ ク ホ ー ル 解の 対称性の 解析( 安井 ・宝利)
物質場の ない 真空 中の 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル 時空 の “ 隠 れ た 対称性” は 共 形キ リ ング ・矢野
テ ンソ ル と 呼ば れ る 特別なテ ンソ ル 場が 存在す る こと か ら 理解す る こと が で き る 。物質場が
存在す る と き この よ うな対称性は ど うなる の か ? 超弦理論・超重力理論の 舞台と なる 高次
元時空 に は 重力以外に ス カ ラ ー 場、反対称テ ンソ ル 場等々 い ろ い ろ な物質場が 存在す る 。我々
は 、超重力理論の 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル 時空 に も “ 隠 れ た 対称性” が 存在し 「 ね じ れ 」 を 持
つ 共 形キ リ ング ・矢野テ ンソ ル が そ の よ うな対称性を 記述す る こと を 明ら か に し た 。そ し て 、
この よ うな高次元時空 の 組織的な分類を 行っ た 。
4 .例外型ホ ロノ ミ ー を 持つ 超重力理論の イ ンス タ ント ン
( 安井 ・樋ノ 上)
超重力理論の 超対称性を 持つ 古典解は 時空 の G 構造と し て 捕え る こと が で き る 。こうし て 重
力場だ け で なく B 場や ス カ ラ ー 場など の 物質場に 対し て も 幾 何 学的な解釈が 可 能と なる 。
我々 は 、例外型の G 構造を 使っ て 超対称なイ ンス タ ント ン解を 構成す る 新し い 方法を 開発し
た 。
4.
2d-4d connectionの 更なる 進展( 吉 岡 ・米沢・糸山)
吉 岡 ・米沢は 戴氏と 協 力し 、SW曲線の 回転変換に よ り 異 なる ゲ ー ジ 理論間に 成り 立つ 対応 に
つ い て 考察し た 。ま た 、WZW模型と XYZス ピ ン鎖模型に つ い て 、Ward-Takahashi恒等式と Baxter
TQ方程式を 用い て 、両者の 間の 明確な対応 関 係を 構築し た 。糸山・米沢は β変形さ れ た 行列
模型の half-genus expansionを 生成し た 。
5 .Supergraph Feynman rule( 出口)
N=2超対称ゲ ー ジ 理論の 非く り こみ 定理を graphicalな方法を 用い 証明し た 。
68
6 . 1次元ボ ー ズ 気 体状態方程式の 研究 ( 米沢) :
米澤は 市川氏、筒井 氏と 協 力し 、一 次元ボ ー ス 気 体系の 弱引 力領域 の エ ネ ル ギ ー ス ペ ク ト ラ ム を
導出し 、van der Waals型の 気 体の 状態方程式を 得た 。さ ら に 、得ら れ た 状態方程式を 用い て 、一
次元冷却 原子系の 相転移 を 予言し た 。
7 .Knotの Colored HOMFLY polynomialに 関 す る 進展( 糸山) :
Knot不変量は Chern-Simons 理論の Observableで あり 、共 形blockの modular propertyと も 関 係し
て い る 。Mironov, Morozov, Morozovと 協 力し て 、任意 の 対称及 び 反対称表現に 対す る figure 8 knot
の HOMFLY多項式を 求 め た 。
教 育 ・研究 業 績
学術論文
1.
H. Itoyama and T. Oota: “ An(1) Affine Quiver Matrix Model,” Nucl. Phys. B 852: 336-351,
2011
2.H. Itoyama and N. Maru:“ D-term Dynamical Supersymmetry Breaking Generating Split N=2
Gaugino Masses of Mixed Majorana-Dirac Type” to appear in Int. J. Mod. Phys.
3. H. Itoyama, A. Mironov, A. Morozov, An. Morozov :“ HOMFLY and superpolynomials for figure
eight knot in all symmetric and antisymmetric representations” JHEP, 07, 131-1-14, 2012
4. H. Itoyama and N. Yonezawa:“ epsilon-Corrected Seiberg-Witten Prepotential Obtained
From Half Genus Expansion in beta-Deformed Matrix Model” Int. J. Mod. Phys. A, 26, 3439-3467,
2011.
5. H. Itoyama: “ Sine-Gordon Theory in the Repulsive Regime, Thermodynamic Bethe Ansatz
and Minimal Models” , Int. Journ. Mod. Phys. B26, (2012),1243011
6. Y. Yasui and T. Houri, : “ Hidden symmetry and Exact Solutions in Einstein Gravity ” ,
Prog. Theor. Phys. Suppl., 189 , Chaper 5 (2011) 126-164 (Invited review paper).
7. T. Houri, D. Kubiznak, C. M. Warnick and Y. Yasui, ''Local metrics admitting a principal
Killing-Yano tensor with torsion,'' Class. Quant. Grav. 29 (2012) 165001 (30pp).
8. K. Motegi, T. Tai, and R. Yoshioka: “ On non-stationary Lame equation from WZW model
and spin-1/2 XYZ chain.” JHEP 06 121, 2012
9. K. Muneyuki, T. Tai, N. Yonezawa and R. Yoshioka “ Baxter's T-Q equation,
SU(N)/SU(2)^{N-3} correspondence and Omega-deformed Seiberg-Witten prepotential” .
JHEP 09 125, 2011
10. T. Ichikawa, I. Tsutsui, N. Yonezawa, “ Equation of state for the one-dimensional
attractive δ-potential Bose gas in the weak-coupling regime,” Phys. Rev. A 86 (2012)
015602.
11. G. W. Gibbons, T. Houri, D. Kubiznak and C. M. Warnick, ''Some Spacetimes with Higher
Rank Killing-Stackel Tensors,'' Phys. Lett. B700 (2011) 68-74.
12. S. Deguchi, “ Proving the Absence of the Perturbative Corrections to the N=2 U(1) Kahler
69
Potential Using the N=1 Supergraph Techniques” arXiv:1111.3723.
著書
1.
安井 幸則: 特集“ 物理学と 多様体” -幾 何 構造が も た ら す 物理学の 理解- 数理科 学 2011年
4 月号
No.574.
国 際会議 講演
1.
H. Itoyama:“ Progress in the Gauge Theory with Spontaneously Broken N=2 Supersymmetry” ,
SUSY 2011, International Conference on Supersymmetry, Fermilab, Batavia, Illinois, USA,
2011年8月28日
2.
H. Itoyama:“ An(1) Affine Quiver Matrix Model” 4th Workshop on Geometric Methods in
Theoretical Physics, International School for Advanced Studies, Trieste, Italy, 2011
年7月12日(Invited)
3. T. Oota: “ An(1) Affine Quiver Matrix Model,” <<Synthesis of integrabilities in
context of duality between the string theory and gauge theories>> conference,
Steklov Mathematical Institute, Moscow, Russia, 2011年9月15日
学会・研究 会講演
1.
糸山浩司: “ 2d-4d Connection through 0d Matrices” ( 招待講演) 「 行列模型と そ の 周辺」
研究 会, 立教 大学, 2012年2月21日
2.
糸山浩司: “ D-term Dynamical Supersymmetry Breaking” ( 招待講演)
会, 2012年1月6日
3.
糸山浩司: “ D-term Dynamical Supersymmetry Breaking” 九 州大学素粒子論研究 室, 2011
年12月2日
4.
H. Itoyama: “ Method of Generating q-Expansion Coefficients from β-Deformed Matrix
Model” , U.
静岡 大学集中研究
Padova, Italy, July, 13, 2011
5.
糸山浩司: “ D-term Dynamical Supersymmetry Breaking” 大阪大学素粒子論研究 室, 2012
年2月7日
6.
安井 幸則:“ 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル の 対称性と 厳密可 解” 阪大京 大市大
同セ ミ ナ ー , 大阪市立大学文化 交流セ ンタ ー , 2011年4月19日
7.
安井 幸則: “ 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル の 対称性と 厳密可 解” 場の 理論と 弦理論
日, 京 都大学基礎物理学研究 所
8.
安井 幸則: “ 高次元時空 の 隠 れ た 対称性” 岡 山光量子研究 所セ ミ ナ ー , 2011年11月21日
9.
安井 幸則: “ 高次元時空 の 隠 れ た 対称性” 第6回阪大-阪市大-神戸大-九 大合同幾 何 セ ミ ナ ー ,
大阪市立大学, 2012年3月15日
相対論・宇 宙論合
2011年7月25
10. 大田武志: “ Beta-deformed matrix models, Selberg integrals and N=2 gauge theories,”
70
京 都大学大学院 理学研究 科 物理学第二教 室素粒子論研究 室セ ミ ナ ー , 2012年1月18日
11. 吉 岡 礼治: “ On the beta-deformed matrix model and its q-deformation” NTNUセ ミ ナ ー ,
台湾師範大学, 台湾, 2012年3月15日
12. 米澤信拓: “ Thermodynamical effects of quantum boundary conditions and point-like
interactions”
NTNUセ ミ ナ ー , 台湾師範大学, 台湾, 2012年2月23日
13. 竹 内 寛 , 安 井 幸 則 , 宝 利 剛 , '' 佐 々 木 Einstein 計 量 の 物 質 場 に よ る 変 形 と hidden
symmetry,'' 第67回年次大会, 関 西学院 大学 西宮 上ヶ原キ ャ ンパス , 2012年3月27日
14. 伊形尚久 , 宝利剛, 石原秀樹, 小池達彦, ''ブ ラ ッ ク リ ング 時空 の 対称性,'' 2011年秋季 大
会, 弘前大学, 2011年9月18日
15. 宝利剛, 安井 幸則, ''Hidden symmetry of supergravity black holes,'' 2011年秋季 大会, 弘
前大学, 2011年9月18日
16. 宝利剛, Geometrization of Hamiltonian Dynamics and Hidden Symmetry of Space-times, セ
ミ ナ ー , 高エ ネ ル ギ ー 加 速器研究 機構, 2011年11月1日
17. 宝利剛, Geometrization of Hamiltonian Dynamics and Hidden Symmetry of Space-times, 研
究 会「 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル と AdS/CFT対応 」 , 伊豆高原, 2012年1月7日
18. 宝利剛, Geometrization of Hamiltonian Dynamics and Hidden Symmetry of Space-times, 数
理物理研究 室セ ミ ナ ー , 大阪市立大学, 2012年1月17日
19. 宝利剛, Hidden symmetry of supergravity black holes, Summer Institute 2011 (合同セ
ッ シ ョ ン), 富士Calm, 静岡 , 2011年8月7日( 招待講演)
20. 宝利剛, On hidden symmetry of higher-dimensional black holes, 微分幾 何 学セ ミ ナ ー , 大
阪市立大学, 2011年4月27日
21. 宝利剛, On hidden symmetry of higher-dimensional black holes, 微分ト ポ ロジ ー セ ミ ナ
ー , 京 都大学, 2011年6月21日
22. 出口翔N, N=2超対称性U(1)ゲ ー ジ ケ ー ラ ー ポ テ ンシ ャ ル の 摂動的非繰り 込み 性の N=1超対称
グ ラ フ を 用い た 証明、2012年春季 大会、関 西学院 大学、2012年3月25日
23. 出口翔, N=2超対称U(1)ゲ ー ジ ケ ー ラ ー ポ テ ンシ ャ ル の 摂動的く り こみ 性の N=1超対称グ ラ フ
を 用い た 証明、「 ア イ ンシ ュ タ イ ンの 物理」 で リ ンク す る 研究 ・教 育 拠 点研究 会、2012年2
月
24. 樋ノ 上和貴, 4 次元重力イ ンス タ ント ン解の 構成、2011年度原子核三社若手夏 の 学校素粒子
論パー ト ポ ス タ ー セ ッ シ ョ ン、滋賀県 近 江白浜白浜荘、2011年8月18日
25. 樋ノ 上和貴, 安井 幸則、ヘ テ ロ型4 次元超重力理論に お け る イ ンス タ ント ン解、2011年秋季
大会、弘前大学、2011年9月16日
学位論文
71
修士論文 樋ノ 上和貴、`超重力理論に お け る イ ンス タ ント ン’
研究 助成金 取得状況
1.
糸山浩司: 日本学術振興 会・
基盤研究 (C)・
研究 代表者, No.23540316「 ゲ ー ジ 理論と 紐理論に
於 け る 可 積分性の 出現と 素粒子物理へ の 予言」 195万円
2.
糸山浩司: 日本学術振興 会・
二国 間交流事業 ロシ ア と の 共 同研究 ・代表者,「 ゲ ー ジ 理論と 弦理
論の 双対性に よ る 可 積分性の 統合と 進展」 250万円
3.
安井 幸則: 日本学術振興 会・
基盤研究 (C)・
研究 代表者, No.23540317「 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル
の 対称性」 120万円
4.
安井 幸則: 日本学術振興 会・
基盤研究 (A)・
研究 分担者, No.21244003「 AdS/CFT対応 と GIT安定
性」 30万円
海外出張お よ び 海外研修
1.
糸山浩司:共 同研究 の た め Institute for Theoretical and Experimentl Physics(ITEP),
Moscow, Russiaに 出張。 20012年1 月21日-28日
2.
糸山浩司:Math Department of Higher School Echonomics, Moscow, Russia, 2011年9月11
日-18日, <<Synthesis of integrabilities in the context of duality between the stri
ng theory and gauge theories>> conference に 出席。
3.
糸山浩司:SUSY 2011, International Conference on Supersymmetry, Fermilab, Batavia,
Illinois, USA, 2011年8月28日− 9月2日に 出席・講演。
4.
糸山浩司:International School for Advanced Studies, Trieste, Italy, 2009年7月16日,
4th Workshop on Geometric Methods in Theoretical Physicsに 出席・発表。
5.
安井 幸則:ケ ンブ リ ッ ジ 大学, 2012年2月20日-3月1日, 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル に 関 す る 共 同
研究 .
6.
大田武志:Math Department of Higher School Echonomics, Moscow, Russia, 2011年9月11
日-18日, <<Synthesis of integrabilities in the context of duality between the string
theory and gauge theories>> conference に 出席・発表
7.
吉 岡 礼治、台湾師範大学, 台北, 台湾, 2012年2月15日-3月20日, 台湾師範大学に お い て セ ミ
ナ ー 発表
8.
米澤信拓、台湾師範大学, 台北, 台湾, 2012年1月21日-3月21日, 台湾師範大学に お い て セ ミ
ナ ー 発表
9.
宝利剛、ケ ンブ リ ッ ジ 大学応 用数学・理論物理学研究 所、ケ ンブ リ ッ ジ 、英 国 、2012年2月13
日‐ 2012年3月17日、ケ ンブ リ ッ ジ 大学G .W .ギ ボ ンズ 教 授と の 共 同研究
72
そ の 他
1.
糸山浩司:大学執行部の 要請に よ り 、2008年ノ ー ベ ル 物理学賞受賞南部陽一 郎先生の 大阪市
立大学特別栄 誉教 授授与式( 於 :学術情報セ ンタ ー 、2011年6月20日) に 於 い て 、先生の 業 績
紹介を 行っ た 。
2.
糸山浩司:日本学術振興 会・
二国 間交流事業 ロシ ア と の 共 同研究 「 ゲ ー ジ 理論と 弦理論の 双対
性に よ る 可 積分性の 統合と 進展」 の 一 環と し て 、2回の 共 催WORKSHOPを MOSCOW( 2011年9月) 、
梅田(2012年3 月)に 実施し た 。
3.
糸山浩司:日本学術振興 会・
二国 間交流事業 ロシ ア と の 共 同研究 「 ゲ ー ジ 理論と 弦理論の 双対
性に よ る 可 積分性の 統合と 進展」 の 一 環と し て 、3回の 国 内WORKING
SEMINARを 梅田、名古屋
多元数理、大岡 山東工大で 実施し た 。
4.
安井 幸則:滞在型研究 会“ 高次元ブ ラ ッ ク ホ ー ル と AdS/CFT対応 ” を 開催, 伊豆ホ テ ル ロビ ィ
ング , 2012年1月5-7日.
5.
安井 幸則:日本学術振興 会特別研究 員 等審査会専門委 員 及 び 国 際事業 委 員 会書面審査員 を 務
め た 。2010年8月1 日-2011年7月31日
73
宇宙物理研究室
石原 秀樹
浜端 広充
教授
准教授
松野
孝森
伊形
龍岡
高田
研 (数学研究所研究員)
洋介(数学研究所研究員)
尚久(D3)
聖満(D2)
真聡(D1)
荒木 彩人(M2)
加納 有規(M2)
桝田 篤樹(M2)
研究概要
<重力理論分野>
宇宙物理(重力)グループは,アインシュタインの一般相対性理論を基礎として, 宇宙に
おける強い重力場を伴う物理的現象を重点的に研究している.素粒子論研究室とはコロキウ
ムを共同開催し,研究・教育も協力して行っている.また,数理物理研究室とも盛んな研究
交流がなされている.2011年度に行った研究を以下にまとめる.
1. 高次元ブラックホール(龍岡,伊形,孝森,木村(京大基研),松野,石原)
重力を含む統一理論では,高次元時空が示唆される.これを検証する鍵となるのが高次
元時空におけるブラックホールであると考えられている.今年度は以下の様な研究を行
った.
(i) Kaluza-Kleinブラックホールの厳密解:
(a) 4次元のリッチ平坦な空間である,ユークリッド化されたTaub-NUT空間を任意の
偶数次元に拡張し,それを基底空間とする奇数次元の最大荷電ブラックホール解
を構成した.ホライズン面は解析性がなく弱い曲率特異点になっているが,潮汐
力の力積は有限であり,測地線は通過可能であることが分かった.
(b) 5次元の時空モデルで,1つの空間次元が収縮し,3つの空間次元が膨張するよう
な時空にブラックホールが埋め込まれているものを厳密解として構成した.ホラ
イズンは滑らかであることが分かった.
(ii) ブラックリングの周りの光の安定束縛軌道の存在.
4次元ではブラックホールの周りに安定な束縛粒子軌道が存在するが,安定な光
の束縛軌道は存在しない.5次元以上のブラックホールについては質量のある粒
子軌道も安定な束縛軌道は存在しない.ところが,5次元のブラックリングの周
りには,安定な束縛粒子軌道だけでなく,光の安定な束縛軌道も存在することを
明らかにした.
2. 高次元時空におけるコスミックストリングの重力波放射(荒木,伊形,石原)
高次元の平坦な時空中において定常回転するストリングの古典解が解析的に求められて
いる.特に,閉じた定常ストリングの存在は5次元以上の高次元時空の特徴である.これ
らのストリングの検証を目指して,重力波放出を調べた.
3. Kerrブラックホール中の円偏光をもった光線束(桝田,伊形,孝森,中尾,石原)
Kerrブラックホール時空を伝播する光線の軌道を考えると,光が円偏光をもっていると
ヌル測地線からずれるという理論的報告がある.この理論を再定式化し,その結果を用
いて,光線束にねじれが生ずることを調べた.
4. ブラックホール・シャドウ(高田,伊形,石原)
ブラックホールの周りに球対称光源が連続的に分布していると仮定したとき,観測され
る明るさの分布の研究をした.ブラックホールの周りの光の不安定円軌道の存在により,
ブラックホール・シャドウの縁はLog発散するような明るさになる.Kerrブラックホール
74
の周りでの光の不安定円軌道の不安定さの度合いは円軌道がブラックホールの回転に対
して順方向か逆方向かによって異なる.この違いが,観測される明るさの非対称さをも
たらすことが分かった.
5. 最大回転ブラックホールのまわりでの粒子の衝突(伊形,木村,原田(立教大))
最大回転ブラックホールの最内安定円軌道で粒子の衝突が起こるとき,慣性中心系での
エネルギーは,プランクスケールを超える可能性があることが指摘されている.この現
象が電磁場を伴ったブラックホールでも起こるのかどうかについて研究した.
6. 定常パルサー磁気圏モデルの構築と解析(孝森,大川,諏訪(基研),高本(京大))
定常パルサー磁気圏を記述するパルサー方程式を解く新しい数値手法を開発し,具体的
にパルサー磁気圏モデルを構築した.この手法により,これまでのモデルとは異なり赤
道面に局在した電流面がないようなパルサー磁気圏モデルを構築した.
<流体・プラズマ物理分野>
1. HALL MHD方程式に対する非線形磁気流体波の厳密解(浜端)
理想および非理想の MHD 方程式に対する非線形磁気流体波について,これまで数多
く厳密解を見いだしてきた.昨年度に引き続き HALL 効果を考慮した MHD 方程式に対
する非線形磁気流体波の厳密解について研究し,2次元,並進対称および軸対称の非線形
磁気流体波のより一般的な厳密解を見いだした.また,helical 対称解についても検討中
である.
2. Firehose不安定の非線形発展(浜端)
温度異方性のあるプラズマ中で生じるマクロな不安定である firehose 不安定の非線形
発展について研究し,イオンの有限ラーマー半径効果を考慮した場合, 不安定はカオ
ス的になっていくことを明らかにしている.昨年度に引き続き、解析解がカオス解へ
移行するに当たり,乱れの磁気エネルギーの空間一様性が壊れていくことに着目し,
その効果を取り入れた基礎方程式系を導き,その方程式系を用いて,firehose 不安定の
非線形発展の数値解析を行いつつある.更に,波動・粒子共鳴相互作用等の運動論的
効果を考慮するため,Vlasov 方程式に基づく理論解析および数値シミュレーションに
ついても検討中である.
3. 大 振 幅 Alfvén波 の パ ラ メ ト リ ッ ク 不 安 定 ( 浜 端 )
昨年度に引き続き,Vlasov方程式に基づいた線形解析による大振幅のAlfvén波のパラメ
トリック不安定への運動論的効果についての研究を進行中である.また,大振幅Alfvén
波のスペクトルの広がりの効果についてもMHD方程式とともにVlasov方程式に基づいた
研究についても取りかかりつつある.
教育・研究業績
学術論文
1. Takahisa Igata, Hideki Ishihara, Keisuke Nishiwaki
Stationary Closed Strings in Five-dimensional Flat Spacetime.
Phys.Rev. D. in press.
2. Ken Matsuno, Hideki Ishihara, Masashi Kimura, Takamitsu Tatsuoka,
Kaluza-Klein vacuum multi-black holes in five-dimensions
Phys.Rev. D86 (2012) 044036.
75
3. Takahisa Igata, Tomohiro Harada, Masashi Kimura.
Effect of a Weak Electromagnetic Field on Particle Acceleration by a Rotating Black Hole
Phys.Rev. D85 (2012) 104028.
4. Takamitsu Tatsuoka, Hideki Ishihara, Masashi Kimura, Ken Matsuno.
Extremal Charged Black Holes with a Twisted Extra Dimension
Phys.Rev. D85 (2012) 044006.
5. Shinya Tomizawa, Hideki Ishihara.
Exact solutions of higher dimensional black holes
Prog.Theor.Phys.Suppl. 189 (2011) 7-51.
6. Takahisa Igata, Hideki Ishihara, Yohsuke Takamori.
Chaos in Geodesic Motion around a Black Ring
Phys.Rev. D83 (2011) 047501.
7. Nobuyuki Sakai, Hideki Ishihara, Ken-ichi Nakao.
Q-tubes and Q-crusts
Phys.Rev. D84 (2011) 105022.
国際会議発表
1. Igata Takahisa, H.Ishihara, K.Nishiwaki,
“Stationary Closed Strings in 5d Minkowski Spacetime”,
The 21th workshop on General Relativity and Gravitation in Japan (JGRG21) 2
6-29
Sept. 2011, Katahira Campus, Tohoku University.
学会・研究会講演
1. 石原秀樹
“4次元空間での3体,4体問題の厳密解”
竹原理論物理学研究会(竹原ステーション、ホテル大広苑、6月6日~8日)
2. 孝森洋介
“定常パルサー磁気圏の数値解法について”
竹原理論物理学研究会(竹原ステーション、ホテル大広苑、6月6日~8日)
3. 孝森洋介,大川博督,高本亮,諏訪雄大
“ポロイダル電流を固定した定常パルサー磁気圏の数値的解析”
日本物理学会2011年秋季大会 (弘前大学 2011年9月16日~19日)
4. 松野研,梅津光一郎
“Hawking radiation as tunneling from squashed Kaluza-Klein black hole”
日本物理学会2011年秋季大会 (弘前大学 2011年9月16日~19日)
5. 伊形尚久,宝利剛,石原秀樹,古池達彦
“ブラックリング時空の対称性”
日本物理学会2011年秋季大会 (弘前大学 2011年9月16日~19日)
6. 松野研,石原秀樹,木村匡志,龍岡聖満
“Kaluza-Klein multi-black holes as five-dimensional vacuum solution”
日本物理学会 第67回年次大会 (関西学院大学 2012年3月24日〜27日)
7. 伊形尚久,石原秀樹,西脇圭亮
“5次元平坦時空における閉じた定常ストリング”
日本物理学会 第67回年次大会 (関西学院大学 2012年3月24日〜27日)
8. 加納有規,石原秀樹,龍岡聖満
“5次元Kaluza-Klein宇宙モデル中の最大荷電ブラックホール”
日本物理学会 第67回年次大会 (関西学院大学 2012年3月24日〜27日)
いi
76
9. 木村匡志,石原秀樹,松野研,龍岡聖満
“Kaluza-Kleinブラックホール時空における地平面の解析性について”
日本物理学会 第67回年次大会 (関西学院大学 2012年3月24日〜27日)
10. 孝森洋介
“ブラックリング周りの光子の安定束縛軌道”
第13回特異点研究会 (国立天文台・三鷹キャンパス 2011年12月23日-25日)
11. 伊形尚久
“Stationary Closed Strings in 5D Minkowski Spacetime”
13回特異点研究会 (国立天文台・三鷹キャンパス 2011年12月23日-25日)
12. 加納有規
“5次元Kaluza-Klein宇宙中の最大荷電ブラックホール”
第13回特異点研究会 (国立天文台・三鷹キャンパス 2011年12月23日-25日)
13. 桝田篤樹
“偏光状態にある光子のカー時空での散乱”
第13回特異点研究会 (国立天文台・三鷹キャンパス 2011年12月23日-25日)
その他
1. 石原秀樹
平成 23 年度「サイエンスディ・大阪府スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」
講評 天王寺高校 2011 年 10 月 29 日
学位論文
修士論文
1. 荒木彩人
“高次元時空中で定常回転する閉じたストリングからの重力波”
(Gravitational Radiation from Stationary Rotating Closed Strings in a
Higher-Dimensional Spacetime)
2. 加納有規
“5次元Kaluza-Klein 宇宙中の最大荷電ブラックホール”
(Extremal Charged Black Holes in a Five-Dimensional Kaluza-Klein
Universe)
3. 桝田篤樹
“回転しているblack hole周りでの円偏光状態にあるビーム光の伝播”
(Propagation of circularly polarized beam of light around rotating black
Holes)
博士論文
1.伊形尚久
“Dynamics of Particles and Strings in Black Hole Spacetimes”
(ブラックホール時空における質点とストリングの力学)
海外出張および海外研修
1. 孝森洋介:日本学術振興会 組織的な若手研究者等派遣プログラム
レベデフ物理学研究所、モスクワ、ロシア、2012年2月5日~3月18日
77
原子核理論研究室
櫻木 弘之 教授
有馬 正樹 准教授
勝間 正彦 研究員※
鈴木 博之 (M2)
徐 裕貴 (M2)
中村 拓馬 (M2)
(※数学研究所専任研究所員)
桑原 功 (M1)
松浦 司 (M1)
鳥居田浩也(UG4)
木内 亮太 (UG4)
小川 雄輔 (UG4)
研究概要 1. スキルム模型によるπN相互作用の研究(中村、有馬)
スキルム模型を用いた従来のハドロン研究では、その古典解がもつアイソスピン空間
での回転対称性に基づくゼロモードを量子化することで核子やΔ粒子との関係を議論し
てきた。本研究ではゼロモードの考察に加え、いままで考慮されていなかった古典解の
fluctuationを完全に量子化することを目指している。これにより、スキルム模型の枠内で
π中間子と核子の相互作用を考察することができるようになり、それと関連したバリオン
の動的な性質が議論できる。Hedgehog仮説に基づく古典解の形状を考慮するため、
fluctuation を展開するための基底としてアイソスピンと空間角運動量を合成したベクト
ル球面調和関数の利用が有効である。これにより、微分方程式を見通しの良い形に持ち
込むことが出来る。そして、得られた微分方程式の数値計算を行い、量子化に必要な基
準モードを作成することができた。
2. スキルム模型によるハイペロン構造の研究(徐、有馬)
スキルム模型を用いた従来のハドロン研究では、ストレンジネスをもつバリオンへの
応用にあたり様々な工夫がなされている。しかし、Λハイペロンなどの基底状態の性質を
含めた系統的な説明の成功には至っていない。それは、SU(2)からSU(3)への拡張が見掛
けほどに単純ではなく、対称性の自発的破れに伴うソリトンの生成機構について議論の
余地が残っているためである。本研究ではSU(3)のあからさまな破れが大きいことを考慮
した議論に基づき、中間子場の非線形表現を従来とは異なるものを用いた。それは、ス
トレンジネスをもつスカラー中間子を考慮するもので、これまでの研究では考慮されて
いない。ここではSU(2)に関わる部分についてはHedgehog仮説にもとづく古典解を前提に
して、その周りに束縛されたストレンジスカラー中間子の存在を考える。得られた微分
方程式の数値計算を行い、束縛状態の有無を確かめることができた。
3. 重イオン散乱におけるチャネル結合効果のエネルギー依存性(古本 (理研)、櫻木)
複素G行列CEG07を用いた微視的光学ポテンシャルの成功
を受けて、この微視的相互作用模型を、弾性散乱チャネルの光
学ポテンシャルだけでなく、非弾性散乱などの反応を引き起こ
す結合ポテンシャルの微視的導出へと拡張し、これにもとづく
微視的チャネル結合法を用いた重イオンの弾性・非弾性散乱の
分析と、チャネル結合効果のエネルギー依存性の分析を行った。
入射エネルギーがE/A=200~300 MeV付近で、微視的光学ポテ
ンシャルの実部が引力(V<0)から斥力(V>0)に転移する傾向が、
結合ポテンシャルのエネルギー依存性にも反映し、その結果、
チャネル結合効果に重要な、「結合ポテンシャルの実部と虚部
の比率と符号」がエネルギーによって大きく変化し(右図)、
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その結果、原子核の励起による効果が大きくエネルギー変化することを発見し、これを動
的分極ポテンシャル(dynamical polarization potential) の形で確認した。また、この結合ポ
テンシャルのエネルギー依存性を反映して、非弾性散乱の断面積がエネルギーによって大
きく変化し、理論が予想する結合ポテンシャルのエネルギー依存性の検証に極めて有効で
あることを見出した。
4. 複素G行列CEG07に基づく重イオンglobal optical potential
(古本 (理研), 堀内 (北大), 高階 (阪大), 山本 (理研) , 櫻木)
昨年度に続き、複素G行列有効核
力CEG07を用いたdouble folding
model (DFM)に基づき、炭素、酸素、
ネオン、マグネシウム、ケイ素、硫黄、
アルゴン、カルシウムの proton drip
line から neutron drip line までの全
ての偶々核同位体 ( 8−22C, 12−24O,
16−38
Ne, 20−40Mg, 22−48Si, 26−52S, 30−62Ar,
34−70
Ca)を入射粒子とし、12C, 16O, 28Si,
40
Ca, 58Ni, 90Zr, 120Sn, 208Pbを標的核と
するすべての組み合わせの散乱系に
ついて、核子当たりの入射エネルギー
がE/A=50, 60, 70, 80, 100, 120, 140,
160, 180, 200, 250, 300, 350, and 400
MeV に対する「複素光学ポテンシャ
ル」を理論的に計算し、それらを使い
やす関数形の重ね合わせで表現した「重イオンglobal optical potential」を完成させ、論文
として公表した(論文[3])。すべての関数化パラメータと、それらから簡単にglobal optical
potentialを再現するためのfortran programを京都大学基礎物理学研究所のweb server上で一
般公開した ( http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/∼ furumoto/ )。
5. CDCC法を用いた陽子+6He 弾性散乱における6He→4He+2n分解効果の研究(鈴木、櫻木)
4He(α)+n+nの弱結合三体系である6He原子核は、余剰中性子(2n)が空間的に大きく広が
った中性子ハロー構造を持ち、6Heと原子核との散乱・反応過程においては、6He→α+(2n)
分解過程が重要な役割を演ずる事が予想される。本研究では、6Heと陽子との弾性散乱の
中間過程で 6He→4He+2n 分解過程が及ぼす影響を、三体反応過程を正確に扱うことので
きるCDCC法という反応理論を用いて分析し、最近、理研RIBF施設で行われた陽子+6He
弾性散乱の実験データとの比較検討を主なった。弾性散乱における6He→α+(2n)分解効果
については、2006年度に山本・櫻木による先行研究が行
われたが、その際には、CDCC法ではなく「断熱リコイ
ル近似」という近似法が用いられたが、今回の研究では、
より正確なCDCC法との比較により、この近似法やそれ
を用いる前提なる種々の仮定の是非の検証も併せて行
った。研究の結果、①6He→α+(2n)分解効果は相当に重要
であり、CDCC法による計算結果は実験データをよく再
現すること、②断熱近似はこのシステム・エネルギー領
域ではよい近似である、③断熱リコイル近似を使う前提
となっていた2n-p間の相互作用を無視する近似は極め
て悪いこと等が明らかになった。
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6. 比較的軽い原子核が関与する天体核反応 (勝間正彦)
近年、宇宙の起源の謎を解明する研究に関連して、我々の身近に存在する元素が如何
にして生まれたかを研究する天体核部門が急速に発展している。最もよく知られたとこ
ろでは、鉄からウランまでの多くの元素は超新星爆発時の高温・高密度の状況下で作ら
れると、理解されるようになった。一方、炭素から鉄は大質量星の内部で生まれると考
えられているが、基本的な原子核反応データや解析手段、核反応ネットワーク計算コー
ドの未確立などから、まだまだ未知な部分は多い。炭素、酸素、ネオン、マグネシウム
同位体元素合成も実験的に調べられつつあるが、複雑な低エネルギー原子核反応のため、
決定的な解を導くに至っていない。本研究課題では、
天体天文現象に関係する核反応(Big Bang 元素合成
反応と天体内部での核反応)を理論的に研究している。
本年度は、比較的軽い原子核が関与する天体核反応の
研究うち、ビッグバン元素合成反応と天体内部で起こ
る核反応の数例について、直接反応過程からの寄与を
検討した。直接反応過程を記述する模型として、最も
単純な歪曲波ボルン近似(DWBA)を用い、具体的に
は 、 3H(d,n)4He, 3He(d,p)4He, 3He(t,d)4He, 7Li(p,α)4He,
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F(p,α)16O 反応について解析を行った。一般的に複合
核模型が適用されることが多い極低エネルギー領域
だが、非共鳴成分やいくつかの共鳴に関しては、比較
的簡単な反応メカニズムが成立する直接核反応模型
での解析が可能であることを示した(論文[4])。
教育・研究業績 学術論文 1. T. Itoh and M. Arima
“Born Term of the pi N scattering amplitude in the Skyrme model”,
Phys. Rev. C 83, 045203 (2011).
2. T. Furumoto, Y. Sakuragi and Y. Yamamoto
“Role of Three-Body forces in Proton and Heavy-Ion Scattering”
J. Phys: Conf. Series, 312, 082022 (2011)
3. T. Furumoto, W. Horiuchi, M. Takashina, Y. Yamamoto, and Y. Sakuragi
“Global optical potential for nucleus-nucleus systems from 50 MeV/u to 400 MeV/u”
Phys. Rev. C 85, 044607 (2012) (11 pages), Phys. Rev. C 85, 069901(E) (2012)
4. M. Katsuma,
“Theoretical reaction rates of 12C(α , γ )16O below T9=3”
The Astrophysical Journal 745, 192 (2012) (8 pages)
5. T. Furumoto, Y. Sakuragi and Y. Yamamoto
“Dynamical evolution of heavy-ion scattering in the high-energy region”
Prog. Theor. Phys. Suppl. (2012), in press
6. T. Furumoto, Y. Sakuragi and Y. Yamamoto
“Prediction of repulsive potential for high-energy heavy-ion scatterings”
J. Phys.: Conf. Series, (2012), in press
7. 古本 猛憲、櫻木 千典、山本 安夫
“微視的模型を用いた原子核散乱反応におけるエネルギー依存性”
素粒子論研究(電子版)( Soryushiron Kenkyu), Vol. 10 (2011) No.2, 9 pages
8. 勝間正彦,
“天体核反応における直接核反応過程からの寄与”
素粒子論研究(電子版)( Soryushiron Kenkyu), Vol.10 (2011) No.2, p.163.
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国際会議会議録 1. T. Furumoto, Y. Sakuragi, Y. Yamamoto, “Prediction of repulsive potential for high-energy
heavy-ion scatterings”, Proceedings of The Rutherford Centennial Conference on Nuclear Physics,
(8-12 August, 2011, Manchester, UK), in press
2. T. Furumoto, Y. Sakuragi, Y. Yamamoto, “Dynamical evolution of heavy-ion scattering in the
high-energy region”, Proceeding of Yukawa International Seminar 2011, “Frontier Issues in
Physics of Exotic Nuclei” (YKIS2011), (Oct.11-15, 2011, YITP, Kyoto University, Japan, in press
国際会議講演 1. T. Furumoto, Y. Sakuragi and Y. Yamamoto
“Dynamical evolution of heavy-ion scattering in the high-energy region”
YKIS2011 Symposium, Frontier Issues in Physics of Exotic Nuclei (YKIS2011), (Oct.11-15,
2011, YITP, Kyoto University, Japan)
2. Y. Sakuragi “Microscopic interaction models for nuclear reactions with exotic beams:
‐present status and future perspective‐”, Dynamics and Correlations in Exotic Nuclei
(DCEN2011), (Oct.19, 2011, YITP, Kyoto University, Japan)
3. T. Furumoto, Y. Sakuragi and Y. Yamamoto, “Prediction of Repulsive Potential for High-e
nergy Heavy-ion Scatterings”, Rutherford Centennial Conference on Nuclear Physics, (Aug.
8-12, 2011, Univ. of Manchester, Manchester, UK)
学会・研究会講演 1. 古本猛憲、櫻木千典
「微視的模型を用いた原子核散乱反応におけるエネルギー依存性」
第2回「実証的原子核物理学」研究会, (2012年2月22-23日) , 阪大・核物理研究センター
2. 古本猛憲、櫻木千典
「重イオン弾性・非弾性散乱におけるエネルギー依存性の分析」
日本物理学会2011年秋季大会, (2011年9月16-19日) , 弘前大学
3. 古本猛憲、櫻木千典、山本安夫
「微視的模型を用いた原子核散乱反応におけるエネルギー依存性」
基研研究会「微視的核反応理論による物理」 (2011 年 8 月 1-3 日, 京大基研)
4. 勝間正彦
「天体核反応における直接核反応過程からの寄与」
基研研究会「微視的核反応理論による物理」(2011 年 8 月 1-3 日, 京大基研)
5. 櫻木弘之
「重イオン核反応のための微視的相互作用モデル-現状と今後の展望-」
理研・仁科加速器研究センター第60回月例コロキウム講演 (2012年2月14日、理化学研究
所・仁科加速器研究センター)
海外出張および海外研修
1. 勝間正彦:Lawrence Livermore National Laboratory ,USA, 2011年10月2日~12月31日,
(JSPS 組織的な若手研究者等海外派遣プログラム「数学研究所がリードする数学・数理
科学の国際的若手研究者の育成」による海外共同研究:研究課題名「比較的軽い原子核
が関与する天体核反応の理論的解析」)
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学位論文 修士論文 1. 中村拓馬:「スキルム模型におけるヘッジホッグ解の量子化について」
2. 徐 裕貴:「SU(3)スキルム模型によるκ中間子の研究」
3. 鈴木博之:「陽子と6Heの弾性散乱における6He→4He+2n分解効果のCDCC法による研究」
博士論文 なし
その他 (有馬正樹) 1. 「数学や理科の好きな高校生のための市大授業」講義(2011年4月29日)
(櫻木弘之) 1. 国際会議 「Yukawa International Seminar 2011, “Frontier Issues in Physics of Exotic Nuclei”
(YKIS2011), (Oct.11-15, 2011, YITP, Kyoto University, Japan), 国際助言委員会(IAC)委員
2. RIKEN RIBF Users Executive Committee (UEC) 委員(Oct.2009 – Sept.2012)
3. RCNP研究会「第2回実証的原子核物理学」(大阪大学、2012年2月)世話人
4. 高校化学グランドコンテスト実行委員会(副委員長)
5. 三国丘高校SSH運営指導委員会委員
6. 高校出張授業:大阪府立天王寺高校(2011年11月9日)
7. 研究科長・学部長(2010.4.1~2013.3.31)
8. 理化学研究所・客員主管研究員(仁科加速器研究センター・中務原子核理論研究室)
9. 大阪大学非常勤講師(大学教育実践センター)
10. 公立大学協会・理学部会の代表幹事
11. 財団法人 大阪科学技術センター参与
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