雇入れを行う経営者の皆さま 助成金をお忘れなく!

雇入れを行う経営者の皆さま 助成金をお忘れなく!
●助成金とは
国等が労働政策(雇用対策等)に寄与してくれた企業に対し、雇用保険料等を財源に支給するもの
です。返済のいらないお金です。(資金繰り改善に多少なりとも改善するのではないでしょうか)
●助成金の支給を受けるには
雇入れに関連する助成金の受給条件には、どんな労働者を、どんな労働条件で、どのくらいの
期間雇い入れるのか等、細かな条件があります。更に、「ハローワークの紹介」や「計画表」の
事前提出等、
『雇入れ以前にしておくべきこと』を条件とするものが多くあります。従いまして、
助成金をお考えであれば、事前且つ早期に条件等をご確認頂く必要があります。
以下に主な雇入れに関する助成金概要を掲載致しますのでご確認頂き ピンとくるものがあれば、
思い込みや誤解により、受給要件を一部満たさず受給できないケースもありますので、必ずハロー
ワークや専門家(社会保険労務士)等に相談してみて下さい。
●注意
ハローワークで求職者が紹介状をもらうには、
①求人企業がハローワークに求人票を提出する必要があります。
②応募の受付をハローワーク経由でもらう必要があります。
(求人企業が求職者から直接応募を受付け、選考をした場合には紹介になりません)
又、助成金は複数ありますので、いくつかの助成金の条件に該当する場合には、より有利な申請
しましょう。
次表の補足
補足1:
『雇用保険の一般被保険者』とは
目安として、65 歳未満、週の所定労働時間 20 時間以上、1年以上の継続雇用が見込まれる者
但し、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く
補足 2:
『奨励金対象求人』とは
ハローワークに求人票を提出する際、
「奨励金対象求人」として提出する。
補足2:
『トライアル雇用求人』
ハローワークに求人票を提出する際、トライアル雇用求人関係資料を合わせて提出する。
補足3:
『改善計画の認定』とは
中小企業労働力確保法に基づき労働時間等の設定の改善、男女雇用機会均等及び職業生活と
家庭生活との両立、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善、教育訓練の充実
など雇用管理の改善について取り組むこととした計画を作成し、都知事の認定を受けた計画
労働者の雇入れに関連する主な助成金の概要
No. 助
成 金 名
概
称
ハローワーク紹介
要 ( 支 給 要 件
助
等 )
成 額 (例 示)
1.特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)
紹介要
高齢者(60~64 歳)
、障害者、母子家庭の母等の就職が特に困難なものを、雇用保険の一般被保険者
(補足 1)として雇入れ、1年(対象者により 2 年)を超えて相当期間継続雇用することが確実な場合
中小企業が 60 歳~64 歳の高年齢者を週 30 時間で雇用した場合:
90 万円/人・対象期間 (対象期間:1 年)
2.特定求職者雇用開発助成金(高年齢者雇用開発特別奨励金)
紹介要
65 歳以上の高年齢者を、週の労働時間が 20 時間以上の条件で雇入れ、1年以上継続雇用することが
確実な場合
中小企業が週 30 時間で雇入れた場合:90 万円/人・対象期間 (対象期間:1 年)
3.若年者等正規雇用化特別奨励金 (H24.3.31 まで)
紹介要
「奨励金対象求人」(補足 2)として求人票を提出した事業主が、25 歳以上 40 歳未満の長年フリーター、
採用内定を取り消され就職先が未定の学生等を、正規従業員として 6 ヵ月以上継続雇用した場合
中小企業が該当者を雇い入れた場合:100 万円/人・対象期間 (対象期間:2 年半)
4.建設業離職者雇用開発助成金
紹介要
建設業以外の事業主が、45 歳以上 60 歳未満の建設業離職者を、週の労働時間が 30 時間以上の雇用
保険の一般被保険者(補足1)として雇入れ、1年を超えて継続雇用することが確実な場合
中小企業が該当者を雇い入れた場合:90 万円/人・対象期間 (対象期間:1 年)
5.派遣労働者雇用安定化特別奨励金 (H24.3.31 まで)
紹介不要
6 ヵ月以上当該事業所に派遣されていた派遣労働者を、同一業務に引き続き従事させるため無期又は
6ヵ月以上の有期契約で直接雇い入れた場合
中小企業が期間の定めのない雇入れをした場合:100 万円/人・対象期間 (対象期間:2 年半)
6.試行雇用奨励金(トライアル雇用奨励金)
紹介要
ハローワークにトライアル雇用求人(補足 3)を行った事業主が、40 歳未満又は 45 歳以上の者、母子家
庭の母、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、障害者、日雇労働者・ホームレスの求職者を、原則
3ヶ月間のトライアル雇用を行った場合
4 万円/人・月 (対象期間:最大3ヵ月)
7.人材確保等支援助成金(中小企業基盤人材確保助成金)
紹介不要
「改善計画」の認定(補足 4)を受けた中小事業企業が、新分野進出(創業・異業種進出)又は生産性向
上に必要な人材を、雇用保険の一般被保険者(補足1)として雇い入れ、1年を超えて継続雇用すること
が見込まれる場合
注意:新分野進出は 250 万円以上、生産性向上の場合は 300 万円以上の設備の設置又は整備が
必要です。
新分野進出のために人材を雇い入れた場合:140 万円/人・年 (対象期間:1 年、最大 5 名)
生産性向上のために人材を雇い入れた場合:170 万円/人・年 (対象期間:1 年、最大 5 名)
以
上
雇入れに際する主な留意点
雇入れ(採用)は、事業の発展に大変重要な人材の確保の入口です。(言うまでもありませんが)
そんな、重要な採用業務の主な留意点を纏めましたので、ご確認のためにも一度ご覧頂ければと思います。
項目
確認ポイント及び解説
①ハローワークへも求人票は提出されていますか?
労働者の雇入れに関係する助成金の受給には、「ハローワークの紹介」を条件とする助成金が
多く存在します。助成金の受給をお考えなら、多少の手間は掛かりますが、是非ハローワークへ
の求人票提出をお勧め致します。
又、助成金の受給をお考えなら、応募者からの連絡で直接受け付けることは避け、ハローワー
クで紹介状を交付してもらうよう指示して下さい。
ハローワークに求人票を提出すると、労働条件が程度開示さ他社と比較されやすくなる、応募
募
者が紹介状をもらうのに時間がかかる、月に3通までしか発行されない等のデメリット(?)もあ
ります。
②同じ媒体、同じ内容の広告を繰り返し出していませんか?
集
同じ媒体、同じ内容の広告を繰り返し出していると、その求人広告を見た応募者は、
『この会
社応募が少ない』
、
『採用してもすぐ退職してしまう会社なのでは』と警戒心や疑惑を待ちますの
で、広告会社の担当者とよく話をしてみて下さい。
③本当に雇入れが必要ですか?
欠員が出たので募集しよう。ごく自然かもしれませんが、労働時間や作業手段等を見直すこと
により、実は『雇入れの必要がなかった』『正規社員でなくパート社員で十分』ということもあ
ります。
又、より良い人材を確保し維持するためにも、職場環境の改善は必要不可欠です。
①欲しい人材像は明確ですか?
雇入れをする理由、雇入れを通して解決すべき課題などから、必要とする人材像を明確にし、
それにあった業務経験、知識、スキル、資格、その人材に適した労働条件を検討した上で、選考
を実施して下さい。人材像が不明確・漠然としたまま選考すると、採用後に『こんなはずではな
かった』と後悔することになります。
②面談で業務内容などのすり合わせはできていますか?
同じ職種であっても企業毎にその業務内容(範囲)は独自なものであります。例えば、会社とし
選
ては募集した業務には○○や□□といった付随業務も含まれると考えますが、応募者はこれまで
の経験や自分のイメージで考えます。面談時に業務内容に関し、募集企業側と応募者側のイメー
ジの差異をできる限り埋めておかないと、実際に業務を行わせると労働者が約束と違うので「や
考
りません」
、場合によっては「退職します」とトラブルの原因になりかねません。(面談はお見合
いと同じです!)
③不採用の連絡に際しては、十分配慮していますか?
稀に、不採用を逆恨みする者もいます。逆恨みするまで行かなくても、会社に対するイメージ
を悪く持つ者もいます。不採用者もお客様の1人と考え、敵に回さず、むしろファンになっても
らえるように、不採用理由を明確にし、不採用者の今後の活躍を応援するコメントを添える等十
分な配慮が必要です。
又、個人情報保護の観点からも、応募時の書類はすべて早期に返却しましょう。
項目
確認ポイント及び解説
①労働条件の明示(書類による提示)をしていますか?
労働基準法等では労働条件を明示すること、更に、書面で明示することを義務付けています。
又、労働条件を明示するだけでなくトラブルの未然防止のためにも労働契約書という形で相互の
入
記名・押印をしておくこともお忘れなく。
特に、有期労働契約で雇入れる場合には、①契約更新をするか否か、②契約更新をするとした
場合にはその判断基準を契約時に明示する必要があります。
社
②労働社会保険手続き、賃金手続きは確実に実施していますか?
・
『パートタイムは社会保険の加入は必要なし』など勝手な判断はせず、加入条件に該当する
労働者は必ず加入手続きを行って下さい。トラブルのもとです!
・賃金を銀行振り込みとする場合には、各人ごとに自分名義の口座への振り込み承諾書を提出
させましょう。
①試用期間の規定はありますか?
採用面接等の選考だけでは分からない、勤務態度、能力、性格から正社員としての適格性を判
断するための制度です。換言すると、社風や仕事に求められる能力等の面で不適格な人材を会社
が抱え込むリスクを回避するための制度です。
不適格者に対し、雇入れ後 14 日以内の即時解雇や、解雇理由をより広い範囲で認めてもらう
ためには、本規定が必要です。
②試用期間中も社会保険や雇用保険に加入させていますか?
期間の定めのない従業員なら試用期間中でも社会保険等への加入が必要です。
③試用期間の長さは適切ですか?
試
用
期
間
通常3~6ヵ月です。あまりにも長い期間を定めても無効とされるケースがあります。
④試用期間の延長の規定はありますか?
怪我等で試用期間のほとんどを休んでしまった場合等、適格性を判断できないケースに対応す
るには、延長の規定が必要です。会社が自由に期間を延長できるわけではありません。
⑤試用期間を適用しない社員の規定はありませんか?
特に専門性の高い者や能力の高い者を即本採用とするケースもあるようですが、他従業員との
不均衡感排除のため当該規定はない方がよいでしょう。このような者に対しては期間の短縮等の
措置(規定が必要)で対応する方が不均衡感は軽減できるでしょう。
⑥試用期間中の賃金に差をつける場合、就業規則に規定していますか?
他従業員との不均衡感排除のため当該規定はあった方が良いでしょう。実態として試用期間中
の賃金を低くしているのであれば必ず規定して下さい。
⑦試用期間中の解雇事由を規定していますか?
本採用以降の解雇より事由が広く認められますが、就業規則で試用期間中の解雇事由を規定す
る必要があります。又、解雇をするには規定だけでなく指導・注意・管理を十分に行うことも重
要です。
以
上