SESSION 3 信念の実現 人間は「恐れること」以外に、恐れるものは

SESSION 3
信念の実現
人 間 は 「恐 れ ること」以 外 に 、恐 れ るもの は 何 一 つない 。
恐 れ る心 をシャットアウ トすれ ば 、信 念 へ の 扉 が たちまち開 く。
SESSION 3 信 念 の 実 現
信念の実現
ある人がロサンジェルスからパームスプリングスへ向けて車を走らせていたところ、突然、エンストしてし
まいました。何度もセルモーターを回しましたが、エンジンはまるでかかりません。
彼はビジネスマンであり、自動車のメカはさっぱりわからず、手のほどこしようもなく、ボンネットをあけて
みても機械の複雑さにただ驚くばかりです。
そこで仕方なく、彼はボンネットを閉めてドアをロックすると、修理工場を求めて歩き出しました。
彼は炎暑の砂漠を5kmも歩き続け、ようやく修理工場にたどり着き、修理工の車で、再び自分の自動車
のところへ戻って来ました。
彼は故障車を前にしたときの修理工を見て、さすがにプロはちがう、と感じました。修理工は、自分のなす
べきことを知っていました。彼はキャブレター(気化器)を開けると小さなスクリーンを取り出し、それを太陽
光線に当てて、素早く息を吹きかけました。そして2、3度振ってから元に戻すと、たちまちエンジンは始動し
ました。
修理工が言うには、故障の原因はキャブレターのスクリーンの目詰まりでした。ガソリンが一時的に遮断
されたことでエンジンが止まってしまったのです。さらに彼は、まるで哲学者のような顔をして、「人間も同じ
ようなものだ。時々心が目詰まりして世の中の様々なアイディアや恩恵を受け入れそこなっている」と語っ
たのです。
この一件はそのビジネスマンの心に一つのヒントを提供しました。
彼は“無 限 の 叡 智 ”か ら流 れ 込 む 生 命 の エネル ギーや インスピレーション を遮断することで、いかに
多くの不幸な人生がうまれているかを、突如として理解したのです。
疑いや恐怖や不安によって目詰まりを起こした心のスクリーンが、いかに私たちから生命のエネルギー
やインスピレーションを奪い去っているかを、以前にも増してはっきりと理解したのです。
この会話によって私たちは、信念の実現、いいかえれば、信念を現実化する問題に直面することになりま
す。
信念への接近
大自然が私たちに与えた偉大な力を活かす方法について語ることは、決して安易な気持ちではできませ
ん。
信 念 とは何か、その解明には最善を尽くす必要があります。
信念を貫くことの意味を正しく理解することによって、願望や目標の実現へ向けて、その第一歩を踏み出
すことができます。
ここでいう“信念”とは、あなたの人生において重要な願望や目標を、現実化するための信念のことです。
あなたは今まで、様々な“信念”について読んだり聞いたりしたことでしょう。世の中にはたくさんの“信念”
があります。
このプログラムの目的は、信念の正しい意味を伝えることであり、あなたの抱えている問題を解決するた
めに、信念を実際に応用する方法を提示することです。
宗教とは異なった次元で、実践的で、かつモティベ―ションものととなる信念を、あなたが出会う人間関係
の中で活かして行く方法を示していきましょう。
私たちは、ただ単に「信念を持て」とあなたに申し上げているわけではありません。
そうではなく、人生の諸問題を解決するために、どのように信念を活かしていくのか?その具体的な方法
についてお話しするのです。もちろん、問題の性格に応じて必要な信念も異なるわけですが、その際、問題
の解決に役立つ信念とは何であり、それをいかにして身につけるのか?ということも当然ながら考えなけれ
ばなりません。
つまり実際に役立つ信念の獲得とその適用方法について考えるのです。
この重要な主題を考えるにあたっては、常に自分自身の問題として考え、自分自身の結論へと到達する
ことが肝心です。
信念という課題について真剣に考え、沈思することによってのみ、あなたは偉大な価値を手に入れること
ができるのです。
信念を定義することの難しさは、それが心の状態であることに原因があります。ですから、信念の問題を
正しく理解するためには、人間の内面や心の働きを知ることが必要です。
信念という言葉は、抽象的かつ精神的な概念であり、そこに理解の難しさがあります。
単に納得する、などといった受身の状態ではなく、永遠の活力へと自己を結びつけようとする積極的な心
構えこそが本当の信念です。
信念を証明しようとするのであれば、大自然の中の、あるいはあなたの心という小宇宙の中に秘められ
た、その大いなる力を感じることが必要です。
信 念 とは 、体 系 的 な願 望 実 現 の ル ール に 沿 って進 んでい くうち、あ なたの 心 の 中 に 芽 生 え、そし
てたちまちあ な たの 心 の 中 枢 を占 め るに 至 る一 つの 確 信 で す。
そしてこの確信は、あなたに行動することを求めます。なぜならこの確信の源は、体系的な願望実現のル
ールを一つひとつ実行していくうちに生まれたものだからです。
願望実現のルールは、最終的には実際の行動がそのルールの大きな部分を占めます。同様に、確信、
すなわちここでいう信念も行動がその大部分を占めます。
しかし私たちにとって、より現実的なことは、信念をあれこれと定義するよりも、その性質について考えて
みることです。信念は、私たちに一体何をもたらすのか?いくつかの実例によって、それを明らかにいたし
ましょう。
信 念 を持 つ秘 訣
信念を持つには、まず願望や目標、それも極めて鮮明なものを持つことが絶対条件となります。そしてこ
のプログラムで述べる願望実現のルールを実践することです。そうすると信念は自然に芽生えてきます。
なぜならこの願望実現のルールは、願望の実現、あるいは目標の達成に、あなたを必然的に導くものだか
らです。いってみれば、出世コースにのったあなたに、“出世する”という確信が必然的に生まれるのと同じ
です。このプログラムのコース通りにあなたが事を進めれば、“成功する”という確信がわくのは当然のこと
なのです。
そしてひとたび信念が生まれれば、あなたの持つすべての脳力が引き出されることになります。そしてこ
のような状態のとき、あなたは、無限の叡智と交流しているかのような感覚を味わうことでしょう。というより、
実際に、無限の叡智と出会っているのです。
この無限の叡智というのは、つかみどころのないものですが、このように体験することで、その存在を知る
ことができます。また、人間の脳は素晴らしいもので、「何々の存在を認めよう」、とあなたが考えると、その
“何々”は存在するようになるのです。同じように無限の叡智の存在を認めようとすると、事実、あなたの心
の中にそれは存在し始めます。そして実際に、無限の叡智は、あなたに力を借してくれるようになるので
す。
この心のプロセスは、日常的な出来事の中であなたも体験していることです。
たとえば、夜中に墓地を通らなければならない必要が生じたとします。あなたは暗いところが大嫌いで、も
ちろん夜中の墓地など論外だとします。しかし、あなたの横に、あなたにパワーを与えてくれる存在がいて、
何かのときはその存在があなたを助けてくれる、と考えると、気が楽になるものです。
「お守り」というのも、あなたがその「お守り」を心の中でどう位置づけているかによって価値が変わってき
ます。たとえば大勢の人の前で話すとき、そのお守りを持っていると話しやすくなる、とあなたが信じている
のなら実際にあなたは話しやすくなるのです。
このような脳の働きがあることを知り、それを活用することは、あなたにとって決して損なことではありませ
ん。
目標や願望が高ければ高いほど、このプログラムで紹介する成功のノウハウは適用しやすくなります。
高い目標は熱意(エンス―ジアズム)がなければ達成できません。熱意(エンス―ジアズム)があればもっ
と集中するようになり、目標が「熱烈な願望」となります。また、目標を達成するためには犠牲を払うことも厭
わなくなるでしょう。その中で信念は最高のモティベーターであり、感情を揺さぶる力となります。
ナポレオン・ヒル財団のセミナーをあるところで開催したときのことです。3日目の晩、参加者の1人の経
理士が、つぎのような報告をしました。
「私が今朝出社しますと、やはりセミナーに参加している専務に呼ばれました。そして命令を受けました。
『積極的な心構え、PMAが君の場合活かされているかどうか調べてみよう。君も知っている通り、もう数ヶ
月も3,000ドルが未収になっているね。どうして集金しないのかね?先方の部長にかけ合ったらどうかね。
そのとき、PMAでやればいい。ストーン先生が言っている“セルフ・スターター”で始めようじゃないか。早速
とりかかってくれ』と、言われたのです」。
「誰でも会社を出ると、まっすぐ自宅に帰りました。そして静かな家の中で、どのようにして実行しようかと
考えました。私はセミナーで教わった信念の実現の話を、もう一度頭の中で思い浮かべました。そのうちに、
私は、期待通りの結果が得られるという信念を持ったのです。そして、その通りになりました。私は3,000
ドル集金した上に、4,000ドルを超す商談を成立させました。先方のオフィスを出るとき、客はこう言いまし
た。『驚いたね。君がここへ来たときには買う気など全くなかった。君がセールスマンだとは思ってもいなか
った。てっきり経理部長だと思っていたんだよ』客の言う通りでした。これは、私にとってはじめてのセール
スの仕事だったのです」。
この人は初めて信念を応用してその力を経験したのです。彼はできると信じて行動を起こしています。し
かも、熟慮する時間も取っている。彼は「大丈夫、私はできる」と信じ、信じたからこそ、得られたのです。
さて、無限の叡智との出会いを感じたら、あなたは、それが単に頭の中だけの感覚に過ぎない、と考える
ことの方が何かこじつけのように思えることでしょう。
そう思ったとき、以下の話に耳を傾けるのも悪くはありません。この話はあなたの思考の幅を拡げる役目
を果たします。そしてまた、あなたの心を豊かにします。
あなたの腕時計を見てごらんなさい。
あなたは、誰がそれを作ったか知っているし、その使い方も知っています。そしてやろうと思えば、その素
材となっている金属の分析だってできるでしょう。
あなたはまた、知識を体系立て、それを実用化する技術なしには時計は存在し得ないということも知って
います。
しかしその知識や知恵はもともと人間のものではなく、人間は単に、偉大なクリエイティブ・ヴィジョン、つ
まり、“無限の叡智”の偉大なる創造力を具象化するための手段とすぎない、と考えることもできます。
もしあ な たが 時 計 を分 解 し、その 部 品 を帽 子 の 中 に 入 れ て 振 り回 したとす れ ば 、100万 年 たって
もその 部 品 類 は 、時 計 とい う機 能 を備 え た機 械 に な ることは あ りませ ん 。
時 計 を、正 確 に 動 か してい るもの は 、時 計 の 背 後 に あ る体 系 的 知 識 と明 確 な目 標 です 。
そこから、宇 宙 を動 か してい るもの の 背 後 に は 、無 限 の 叡 智 が 働 い てい る 、という確信に至ることは
決して難しいことではありません。
生殖という奇跡の中で働く無限の叡智は、目で見ることはできませんが、誰もが感じていることです。2個
の小さな細胞が結合し、人間という素晴らしい生物となる過程は、人智を越えた偉大な力の存在を暗示し
ています。
また私たちは、1個のどんぐりと、ひと握りの土によって樫の木が育つという神秘の中に、同じ奇跡を見る
ことができます。
それは大自然の生み出した工学の成果であり、優れた設計の成果でもあります。小さなどんぐりの一つ
ひとつが、荒れ狂う嵐や風をものともせず、しっかりと大地に根を下し、地中から豊かな滋養を引き出す力
を秘めているのです。
私たちの生活を支える食べ物や衣服の素材となる植物は、太陽と水と空気が、大地に働きかけて生まれ
たものです。
植物の行う光合成からは、生物の育成に必要不可欠な酸素が生成されます。
この素晴らしい化学反応は、人間の力を越えた偉大な叡智の存在を物語ものと考えたらどうでしょう。こ
のような考え方は、あなたの心に安らぎをもたらすことでしょう。
信念を持つに至ると、あなたの心は無限の叡智に出会います。信念の実現とは、無限の叡智から授かっ
た力を明確な願望や目標のために活用することです。
信念は、発電機のようなものです。それが行動や実行のための、エネルギーや力を生み出します。さらに、
あなたの心を無限の叡智に対して開かせます。
人間が完全にコントロールできる唯一のものは、自分の心です。そしてこの権利は、大変尊いものです。
人生の願望や目標のためにその権利を行使できるということはなんと素晴らしいことでしょうか。
人間の心には、無限の叡智へと通ずる扉として、潜 在 意 識 と呼ばれる部分があります。
そして無 限 の 叡 智 → 潜 在 意 識 → 意 識 という方向で、人間の成長や発展に必要な知識や情報が流れ込
んでくる、と考えても間違いではありません。あなたが信念を持つに至ったとき、また信念が行動をうながし、
様々なアイディアが次々と浮かびはじめたとき、あなたは実際、そう感じるでしょう。
私たちが生きている限り、この流れは止まることがありません。
ですからその出入口である潜在意識の扉を開き、そこへ流れ込むエネルギーをすべて取り込んでしまい
ましょう。
一切の制限や限定は不要です。無限の叡智は、私たちが自らに課す以外には、限界はありません。
どんな考えであっても、それが大自然の法則に従い、その秩序と調和するものであるなら、人間はその考
えを実現することができます。
人間が生きることの意味は、宇宙や大自然の叡智を実現するためではないでしょうか?私たちは、自分
にできる範囲内でその叡智を現実化しようと努力してきました。
逆に利己的な行為は、その大いなる力をせき止めてしまうものです。
無限の英知は、生命の流れとなって私たちに流れ込み、肉体と精神の機能を維持してくれます。
このエネルギーをうまく用い、有効に利用すれば、人生の幸福が約束されるでしょう。
その力は無限です。私たち自身が、それぞれの個性と力量に応じたエネルギーを受け取り、活用すれば
いいのです。
生命のエネルギーは、積極的で感受性の強い心の中に、絶えざる流れとなって入り込んでいきます。
それは、潜在的で、混沌としたものですが、その中で、形を与えられたものだけが“考え”となって意識の世
界に現れるのです。
しかし人間が、その内面に抱きうるものはすべて、人生において実現し、達成することができるのも事実
です。
プリズム を通 過 する光 が 、スペ クトル に 分 解 され るように、私 たちの 意 識 を通 過 す る叡 智 も、
種 々 の 思 考 に 分 解 され ます 。
また私たちの心のプリズムは、不安や恐怖や失敗によって曇らされ、明るい幸福の光をさえぎってしまう
こともあります。
私たちの持つ不信や疑いは、生命のエネルギーを、病気や貧困、不和や苦悩に変えることができるので
す。
ですから最初に注意すべき点は、プリズムの質や素材を流し込む鋳型の出来栄えにあります。
造幣局の担当官が鋳型を見つめるような気持ちで、あなたの欲望や信念を注意深く見つめ、無限の叡智
の上に否定的な刻印を押さぬよう、十分注意すべきです。
「もし信念を持とうとするなら、あなたは自分の望むものだけに耳を傾けるべきです」。
自 分 は 何 を望 む の か ?
それをはっきりさせたら、その願望や目標を実現するために、一つひとつ願望実現のルールを踏んでい
きます。そうすると信念が涌き出てきます。
願望や目標が花のつぼみであるなら、信念はそれを咲かせる水と光の役割を果たします。
偉大なクリエイティブ・ヴィジョンもまた、あなたが明確な願望や目標を確立し、その達成過程で信念が生
じたときに目覚めます。というのも、信念はあなたの大脳を活性化させ、活性化された大脳は様々なホルモ
ンを分泌し出すからです。たとえばエンドル フィンというホルモンはヤル気をうながします。またこのとき、
おでこのあたりの大脳に向けて、ドーパ ミンというホルモンが放出されます。これこそ偉大な創造力(クリエ
イティブ・ヴィジョン)の基なのです。
凡人から偉人への道は、砂漠や孤島へ旅立つことではなく、願望や目標に向けて着実に進んでいくこと
です。
それはまた、利己的で自己中心的な生き方からの脱出でもあります。
無限の叡智を信じる信じないはもちろん個人的な問題です。
しかしすでに述べたように信念を持つと、巨大な秩序や調和を感じさせる現象と心の中で出会うことがあ
ります。それを充分に体験することで私たちは、無限の叡智の存在を信じるようになります。これをきっかけ
に、さまざまな証拠を分析し、思考し、またそれに想いをはせるとき、無限の叡智は、実在感を伴って私た
ちの意識の中に浮かび上がってくるのです。
静かに瞑想することは、非常に大切なことです。
この思考の集中は、潜在意識を活性化し、意識と無限の叡智との接触を活発にします。
心を完全にわがものとし、無尽蔵の力の源泉を得るには、瞑想は実に素晴らしい方法です。
1日 24時 間 の うち、最 低 で も、1時 間 以 上 は 潜 在 意 識 の 向 こうに あ る偉 大 な 叡 智 に つい て 考 え
てください 。
それだけの「時間の投資」をすれば、必ず、素晴らしい配当が得られるでしょう。
信念とは、心の状態であり、それはどんな人にも到達することのできる心境であることがおわかりいただ
けたと思います。
“信念”として知られる心の状態を作り出すために必要なノウハウをここで改めてまとめてみましょう。
1.願 望 や 目 標 を実 現 す るため の 手 段 を明 らか に し、また何 の ため に それ らを達 成 しようとす るの
か を明 確 に すること。
2.願 望 や 目 標 を実 現 す るため の 計 画 を立 て る。計 画 は 具 体 的 で あ ること。
3.計 画 に 従 って 行 動 を開 始 し、必 要 に して 可 能 な 努 力 を続 け ること。
そうすることで後は、「人事を尽くして天命を待つ」ことになります。あなたの潜在意識が、計画を論理的な
帰結へと押し上げていくのです。
無限の叡智は、潜在意識を通してのみ可能となるものですから、あなたの考えや計画に対する改良や代
案は、インスピレーションという形で、あなたに伝えられます。
このような方法についてあなたは疑問に思い、心配されるかもしれませんが、これは机上の空論ではあり
ません。成功者なら誰でも、意識的にせよ、無意識的にせよ、これらのことを実行してきたのです。
さてここで、無限の叡智との接触のために、一 時 的 に 意 識 を特 別 な状 態 に 置 くことに ついて述べましょ
う。
潜在意識とそれに続く偉大な叡智の恩恵に浴するためには、意識を一時的に後退させ、潜在意識に対し
て無条件に開放する必要があります。そのための一番簡単な方法は深くリラックスすることです。そして瞑
想に近い状態にまで持っていくと、インスピレーションが訪れます。何も考えずボンヤリしているときにも浮
かんでくることがあります。
しかしこうして正しい答えを得た時間を、一体どうやって知るのか?あなたは不思議に思うかもしれませ
ん。
しかしそれは、インスピレーションに伴う熱烈な熱意、つまりエンスージアズム を感じることで、あなたの
頭に浮かぶ計画の健全さと正当さを理解することでしょう。
こうして、ひとつの計画があなたの意識を通過するとき、感謝の気持ちと正しい評価をもってそのアイディ
アを受け入れ、ただちに行動を開始しましょう。そのとき、あなたは迷う必要はありません。
インスピレーションも含めた無限の叡智の性質とその作用の仕方については、それを変えることも、その
原因を突き止めることもできません。
私たちはただ、その指示に従えばよいのです。
あなたの願望や目標が正しくて価値あるものであるならば、あなたの信念に挫折はありません。
信念のメカニズムは、明確にしてかつ的確なものです。太陽や惑星が正確な軌道を進んでいくように、き
わめて厳密です。その力を信じて身を任せれば、失敗はありえません。
疑 い は 、裏 切 り者 であ る。
疑 い を抱 くことは 、手 に 入 るは ず の 幸 福 を失 うことであ る。と、シェークスピアも言っています。
まずあなたの役割を果たしなさい。つまり願望実現のための計画を立て、それを実行することです。
あなたが自分の役割を果たせば、無限の叡智もその役割を果たすでしょう。
あなたが自分の役割をはたすとき、代償なしに何かを期待してはいけません。また、自然は利己的なか
けひきが嫌いです。望むものに対しては、同じ額の代償、たとえば努力という代償を払わなければなりませ
ん。「悪 銭 身 に つか ず 」で、かけひきや汚い手段で手に入れたものは、継続的な価値は持ちません。
あなたの動機、つまりモティベーションや欲求は、公正なものでしょうか?
不正な動機や欲求は、必ずや大きな障害となるでしょう。それは大きな雪だるまのように、いつしか自分
でも手に負えない大きなものになってしまいます。
すべての種子は、種子の性質に応じた花を咲かせます。あなたの欲求という種子の中には、同胞に対す
る愛と人間としてのやさしさが含まれていなければなりません。
信念は、人間が知る中では最強の力です。マスターマインドの提携を思い出してください。協調の精神に
よって結ばれた心と心は、互いに強く刺激し合い、信念を生じさせます。したがって、他社との継続的な協
調がなければ、成功は不可能なのです。
実際の成功を、ひとたび信じるようになれば、あなたの力は増大します。
あなた自身の力を越える問題に直面した場合も、無限の叡智の導きを求めることで道は必ず開かれま
す。
不思議なことにたくさんの人が、このきわめて有効な奇跡の力を認めず、否定的なものでその心を満たし
ています。
人 類 の 最 悪 の 敵 は 、恐 怖 です 。
心の中に何らかの不安や恐怖がある限り、信念の力を行使することはできません。
信念を役立てるために必要なことは、まず初めに心の中から不安や恐怖を取り除くことです。
信念と恐怖は、心理学上も、大脳生理学上も、絶対に共存することはできません。
不 安 と恐 怖 の 克 服
すべての人々が、7つの 基 本 的 な 恐 怖 のうち、1つまたはそれ以上の恐怖に悩んでおり、時には、その
すべてに悩んでいる人さえいます。
あなたは、心に信念を住まわせるために、不安や恐怖を追い払わなければなりません。あなたが克服す
べき恐怖を次にあげましょう。
〈第 1の 恐 怖 〉
貧 困 の 恐 怖 は、7つの基本的な恐怖のうち、もっとも破壊的なものです。
そして貧困を経験したものだけが、その意味を真に理解することができます。
お金持ちで、自分がどうやって富を得たかわからない人は、ほとんどいません。彼は自分自身の成功の
法則を作り上げたのであり、政治の世界にも影響力を及ぼし、人々の敬意を受けることもまれではありませ
ん。
貧困の恐怖の背後には、人間に対する不信があります。
数々の苦い経験によって、人々は金銭のことになると、他人を信用しなくなってしまいました。
あなたが貧困に腹を立て、それをなくそうとするのであれば、貧困を招くような一切の原因を調べ、次には
否定的な考えや発想を肯定的なものへと転換しなければなりません。
貧困によってむしばまれた心が示す第1の症状は、大きな志の欠如です。
人生に挑戦することもなく、ただ与えられることを待つだけの人間になってしまいます。
もしあなたが今そうした状態にあるなら、このプログラムを普通の方法ではなく、まず一気に聴いてくださ
い。しかし、くれぐれも、今そうした状態にある場合に限ります。
そして次に、大きな願望を持ちなさい。思い浮かばなかったら、様々な書物や雑誌からヒントを得るのもよ
いでしょう。必ず、のめり込みそうな願望が見つかります。
あなたは決断や自己決定を回避してはいませんか?これは貧困が示す第2の徴候です。
大自然があなたに与えた天賦の才を、放棄してしまってはいけません。自分で決断し、自分で決めましょ
う。
与えられた自由を最大に活かし、自己決定する者となるのです。
貧しさの第3の特徴は、言い訳をすることです。
他人があなたを追い抜いてしまったとき、あなたは言い訳をならべ、他人の成功をねたんだり批評したり
はしませんか?もしそうなら、今すぐ、そのような考え方は捨て去りなさい。
大金持ちになりたい、といった分不相応な夢を描いている人は、統計的には無駄遣いや浪費癖のある人
が多く、落ち着きや克己心に欠けています。そして、他人のあら探しやスキャンダルが大好きです。
貧困の不安と恐怖は、成功を求めて専念する代わりに失敗を期待する習慣を、人々の心に育てます。
彼は常に否定的であり、失敗の原因ばかりを探しています。彼にとっては、哀れな敗北者こそが英雄なの
です。
貧困の恐怖と不安に悩む人々には、物事を引き延ばす、という共通の特徴があります。彼らには、責任を
取ることと、義務を果たすことを恐れているのです。明日まで延ばしておけることは、絶対に今日手をつけ
ようとはしません。
彼らは、豊かさを要求し受け取る代わりに、貧困を期待し、受け入れているのです。
貧困の恐怖もほかの恐怖と同様に心の状態であり、しかもあなたの心の状態を決めることができるのは、
あなただけです。
「背 後 に あ る恐 怖 の 扉 を閉 め れ ば 、目 の 前 に あ る信 念 の 扉 が ただちに 開 か れ るだろう」。という言
葉があります。
あなたはその恐怖に耐え、それを追い出さねばなりません。もし恐怖が心の中に住みつけば、エンスージ
アズム、イマジネーション、パースナル・イニシアティブといった人間にとって必要不可欠なものすべてが奪
われてしまいます。
しかしあなたは、望むときはいつでも恐怖を「積極的な心構え」で置き換えることができます。それは願望
や目標を明確化することです。
あなたは人生に何を望むのか?
常にそれを探し求め、人生に多くのものを求め、願望や目標を高く設定しましょう。そして無限の叡智の手
助けにより、その願望や目標に到達することを信じ、ただちに行動を起こすのです。
成功するものは、富を求めて人生と渡り合うのです。彼らは、自分の欲求を人生に承諾させるだけの力を
持っていますが、その力を友や仲間に分かち合うだけの気持ちはいつでも持っています。
運 命 を切 り拓 い てください 。
しかし、他人を押しのけて進むことはやめましょう。
〈第2の恐怖〉
第2の基本的な恐怖は、批 判 され ることの 恐 れ と不 安 です。
批判、ということについて考えたことがありますか?
それによって生じる恐怖と不安を、2つに分けて考えてみましょう。1つはささいな性質のものであり、もう
1つはいたって深刻な性質のものです。
批判されることの恐怖、つまり人からよく思われたい、という心理をもっともよく表しているのは、洋服のス
タイルです。
ファッションに流行やセンスという要素が加わったのも、そうした人間の心理があるからです。ファッション
メーカーなどがそうした心理を刺激することがなければ、人々はもっともっと地味な格好をしていたでしょう。
ファッションに限らず、自家用車や家電製品のような耐久消費財の売れ行きには、人間の心理が大きく作
用しています。
特に、1人だけ流行から取り残されたくない、という気持ちが購入の動機になることは少なくありません。
一方、批判のより深刻な面について考えてみると、自分の行動に対して世間や他人が何と言い、何と思う
だろうか?という思慮が度を越すと、人間の個性や独創性を破壊することになります。
それは自尊心を傷つけ、劣等感を植え付けるものです。
私たちの行動や計画に対する最も強い反対や批判は、身内から起こることが多いのです。
そこでもう一度、あなたに警告します。あなたの一番大切な目標は、秘密にすべきです。それを批判しさら
には妨害しようとするポテンシャルのある人の前では、本心を打ち明けることは危険です。
人間関係の理解に限界のある親の場合、善意ではあっても、子供たちを批判し、恥ずかしめ、その夢に
対し、そんなことできっこないよ、ということで、子供に取り返しのつかない傷をつけてしまうものです。
特に交際相手のことで思春期の少年・少女をからかうことは、感受性が豊かな子供の場合には、永久に
社会への適応脳力を奪い取ってしまう恐れがあります。
不思議なことに、ほとんどすべての人間は気前よく、タダで批判してくれます。
しかし批判と建設的な提言との間には、大変大きな違いがあります。
友人や同僚の非を正したり、子供の間違いを正すことは必要ですが、健全な精神の持ち主は、提言を謙
虚に受け止め、決して過去の過ちをくよくよと思い悩んだりはしないものです。
批判されることに対する恐怖や不安は、次のような徴候によって知ることができます。
1.近 所 の 人 に 負 け まい として見 栄 を張 ろうとする 。
そういう人は近所の人々との競争でトップを維持しようと、涙ぐましい努力を続けるが、そのためにサイフ
は常に寒さにふるえている。
2.自 分 の 業 績 を自 慢 する習 慣 が あ る。
それには想像上のもの、つまり嘘も含まれるが、要するに自己の業績を自慢したり、他人と張り合うこと
で、優越性を印象付け、それによって弱点をカバーしようとする。
3.す ぐに 困 惑 して しまう。
これは明確な決意を下す脳力の欠如、および対人恐怖や遠慮、自信のなさによって起こる。
それは権威を恐れることや責任の回避、パースナル・イニシアティブの欠如をもたらす。
〈第 3の 恐 怖 )
第3の基本的な恐怖は、病 気 や 健 康 を損 なうことに 対 する不 安 です。
不健康は、時として人間を死に追いやることがあります。そして遺伝や環境の問題が、この不安や恐怖を
増幅するのです。
この恐怖は、自己保存本能とも深く関係しています。
この恐怖にかられた人は、ワラにもすがる思いで人々の勧めに従います。特効薬や万能薬と称する医薬
品を売るために、この恐怖は利用されます。
不健康を楽しんでいる人は、たくさんいます。怠けるための口実であり、健康なときとは違って、やさしく扱
ってもらえるからです。
確かに、実際の治療や医学的処置が必要とされるケースはたくさんありますが、それでも、病院を訪れる
人の50%は、想像上の病を患っているに過ぎません。
そうした人々にとって病気の恐怖は、実際に病気を起こしてしまうくらい、強力なものです。
絶えず自分に対して無意識に暗示をかけていると、本当に病気になってしまう実例は、実際にいくらでも
あります。
多くの医師は、患者の心構えと肉体の症状との間には、明白な相関関係があることを認めています。人
間には病原菌を殺す免疫細胞がありますが、彼らをとりしきっているのは脳そのものなのです。したがって、
脳が暗い考えで満たされているときには、免疫細胞にも正しい指令が行き届きません。
反面、積極的な心構えのとき、脳は十分に活性化しているので免疫細胞も、生き生きと働くのです。
そこで大切なことは、積極的な心構えを維持し、食物や空気や光の恵みを得て、健全な意識と健全な肉
体を作り出すことです。
健康に対する不安や病気に対する恐れは、次のような徴候をもってあらわれます。
薬局通いの習慣
あなたはテレビのコマーシャルを見るたびに、「健康薬」を買いに薬屋さんへ行ったりはしませんか?しか
し健康は、ビンの中から出て来るものではなく、積極的な心構えと正しい生活管理によって得られるもので
す。
自 分 を憐 れ む 習 慣
これは自分で自分を可哀想だと思うことで、病気のふりをする習慣です。もちろん一種の甘えであり、怠
惰の口実であり、大志や大望を持たないことへのアリバイです。
飲み過ぎ
飲みすぎの原因は様々ですが、病気に対する不安や恐怖もそのひとつです。しかしいずれにしても、酒で
まぎらわす、というのは良いことではありません。肉体的、精神的を問わず、何かしら問題があるのなら、そ
の原因を明らかにして正面から取り組むべきでしょう。
〈第 4の 恐 怖 〉
愛 を失 う恐 怖
この恐怖と不安は、人間が愛を求め、愛を必要とする存在である、というところにその根拠があります。
また、いつまでも愛されたい、という欲求は、嫉妬や独占欲を生み出します。愛を失う恐怖は、すべての
恐怖や不安の中では最も危険な感情かもしれません。
男女の愛は、人が失うことを最も恐れる愛ですが、得ることよりも与えることを大切に考えるとき、愛を失
うことの不安や恐れはなくなります。
愛を失うことの恐怖と不安について、さらにつけ加えるとすれば、大きな代償を払ってはいけない、という
ことです。
愛を失うことで深く傷つき、自殺する人もいるほどですが、そんなときにもじっと耐えて、積極的に生きよう
とする姿勢が必要です。すべては時が解決してくれるのですから。人類の歴史の中で、時が解決してくれな
かったことは一度もないのです。
脱税によって服役した男がいます。彼は決して凶悪な犯罪者でもなければ、不正直者でもありません。
彼が脱税したのは、妻に与える金が欲しかったからです。
しかし、明らかにこの男性は、自分の問題を理性や分別によって前向きに解決しようとはしませんでし
た。
妻の愛を失いたくない、という恐怖に駆り立てられるままに、一生涯、その恐怖と不安に縛られる道を選
んでしまったのです。
彼は問題の根本を見ようとせず、ただ妻の歓心を買うためにのみ脱税をしました。
しかも一度そういうお金を使った後は、永遠に使い続けなければならないのです。
もし彼が妻にありのままを打ち明けていたら、きっと彼女は協力したでしょう。そうすれば彼は、妻の愛を
確かめることもできたのです。
しかし、恐怖にかられて間違った道を選んでしまったために、彼は妻の愛と自分自身の評価の両方を失
ってしまいました。
〈第 5の 恐 怖 〉
老いの恐怖
私たちは、年老いて行く不安と恐怖を笑い飛ばしてしまいましょう。嘆いたところでどうにもならないし、そ
れよりも誕生日になれば一つづつ若くなるのだと考えたほうがはるかに有益です。
老いに勝つための最高の手段は、自分の若さを信じることです。自分の実際の年齢が10歳も上だという
ことを知らされて、急に老け込んでしまった老人もいますが、そうであるならその逆も必ずあります。とはい
え、自分の若さを信じる、というのは若者のマネをするということではありません。それは危険で無茶なこと
です。この正しい意味は、常に社会に参加し、また自分に適した活動を行い、何ごとにも好奇心を失わない
ということです。
偉業を成し遂げた人の多くは、人生最大の仕事を55歳以降に行っており、60歳、70歳過ぎに行う人も結
構います。
人間は、若さを失う代わりに経験と知恵を得ることができます。知恵は経験から生まれ、そして経験は時
間と共に始まります。
確かに青春は素晴らしいものですが、その時代を過ぎて成熟が始まれば、青春をなつかしむ必要はあり
ません。未熟な若者から成熟した大人への移行があるからです。
老 い の 恐 怖 の 一 番 の 問 題 点 は、それが人間をのろまにし、劣等感を抱かせる点にあります。最も円熟
しているにもかかわらず!
年をとるにつれて大切になることは、年齢に応じた振る舞いや態度を身につけることです。
円熟期に達したあとで若い人と同じようなことをしても滑稽なだけです。
年齢と共に豊かになる知識や理解力に感謝し、あなたはそれを大いに活用すべきです。“理解”という言
葉は、私たちの言語の中で最も価値ある言葉で、世界が何よりも必要としていることです。
このプログラムを活用されている方の中にも、そろそろ円熟期に達した方もいらっしゃるでしょう。
そしてもし、老いの影があなたの周囲に忍び寄っているなら、その影に向かい、はっきりとこう言ってくださ
い。
「私はお前など必要としない、ここから出て行け!」
朝目覚めたとき、はっきりとそういうことが大切です。そうすれば、肉体のウォーミングアップと共に、精神
のウォーミングアップも万全です。もっとも同じ部屋に自分の夫なり妻がいる場合には、あらかじめ打ち合
わせておくひつようがあるでしょうが……。
〈第 6の 恐 怖 )
自 由 を失 う恐 怖
これは前に検討した10の基本的なモティベーションのひとつである、心身の自由に対する欲求とは、正反
対の感情です。
この恐怖は、今、世界中で大きな問題になっています。それは特定の政治勢力が計画的に自由をおびや
かしているからです。
私たちが今享受しているこの自由は、長い年月にわたる尊い犠牲の上に築かれたものです。それを軽視
することも、当たり前のここと考えることもできません。
自由を守り、発展させるためには、一時たりといえども、注意を怠ることはできないのです。
〈第 7の 恐 怖 )
死の恐怖
死の恐怖は、すべての恐怖の源泉であり、あらゆる種類の不安や恐怖も、突きつめて行けば、死の恐怖
に帰着するものです。
この恐怖には、複雑な背景があり、それを克服することは、決して簡単なことではありません。それは大
変に強く、普遍的な恐怖です。
天地が開けて以来、人類は次のような問答を繰り返してきました。
「私はどこから来たのか?」
「私はどこへ行こうとしているのか?」
私たち人間は、自分たちに理解できないものを常に恐れて来ました。
この恐怖を、一体どのようにして克服するのでしょうか?
ここで私、ナポレオン・ヒルが、その恐怖をいかにして自分の内部に閉じ込めたか、その方法と実例をお
話しましょう。
私は自然を観察することで、生と死について考えてきました。
認識して存在を明確化できるものは、この宇宙ではごくわずかです。
時間、空間、エネルギー、物質、およびその背景にある知性。それが宇宙のすべてです。しかも、この、5
つの要素は、決して単独で作用することはなく、常に有機的に連動します。
エネルギー保存の法則によれば、人間は物質やエネルギーを、新たに作り出すことはできません。そして
エネルギーと物質は互いに形態が変化することはあっても、絶対に破壊されることはありません。
思考は、あるいは生命と置き換えてもよいでしょうが、これはエネルギーです。
エネルギーを創造することも破壊することもできないのであれば、思考あるいは生命を破壊することもで
きません。私たちが生命と呼ぶものは、エネルギーの最も高度な形態であり、それ以上のエネルギーに至
る一つの過程なのです。
ならば死は一つの変化にすぎないではありませんか。
そこで私は、自分自身に言いました。
「死はおそらく、次の2つのもののどちらかである。永遠の眠りか、そうでなければ地球上よりももっといい
世界に移ることか。いずれにしても、いつかはやって来るのだから恐れることは何もない」。
このように理由を与えることで、死を自分の内部にとどめておくことができますが、それ以上の詮議は、無
駄です。
人 間 は い つか 死 ぬ 、すべ て死 ぬ 、しか し今 は 生 きてい る、これ 以 上 に 大 きくて重 たい 事 実 が あ る
でしょうか ?
私たちにできることは、この事実を進んで受け入れることだけです。
恐怖の克服
最後にあなたの人生をより豊かなものにするために、2,3提言をしましょう。
恐怖は、ペットの犬のように必ずあなたにつきまとい、わずらわせる、ということを忘れないで下さい。
貧困や病気、非難や中傷、愛情の喪失といったものが心に住みつく前に、それを追い出す工夫をしましょ
う。
自分の望むものだけを考え、それ以外のものを拒絶することが必要です。自分が本当に好きなものや求
めるものに焦点を合わせておくことは、人生の中で大変重要なことです。信念を現実に適用する、というの
はそのことです。
あなたが明確な願望や目標を持つこと、それは信念を持ち始めたことを意味します。あなたが信念を持つ
こと、それはあの無限の叡智との接触が可能なことを意味するのです。
人間は、最も進化した動物です。
空の鳥やジャングルの動物たちには、その生命を支える食物が天の恵みとして与えられますが、私たち
人間には、一体どんな恵みが与えられているでしょうか?
求めるものを手に入れるための知性や精神が、いわば天から与えられた恵みです。ですからそれを活用
することが何よりも大切なのです。
その特権は、あなた自身のものです。自由、健康、愛といった人生の宝物を手に入れることは、人間とし
ての当然の権利なのです。このプログラムの目的は、その方法をあなたに伝えることです。
信念を目覚めさせることは、人間の心が持つ大いなる力と、宇宙や大自然の中に流れる無限の叡智との
融合をもたらし、その力が明確な願望に向けられるようにすることです。
多くの人々は、信念の正体を知らず、それを活用することも知りません。
信 念 とは 、強 い 願 望 や 目 標 を持 つことに よって生 じ、それ らを達 成 させ ず に は お か ない エネル ギ
ー なの です。
行動、という言葉に注意してください。行動は信念によって、より明確なものになりますが、また行動によ
って信念が維持されるという関係でもあるのです。
たくましい筋肉も使わなければ衰えてしまうように、単に話したり考えたりするだけでは、信念も衰えてい
きます。
信念は、明確な目標を実行していく過程で生じるものであり、粘り強い行動によってますます強化される
ものです。
そして強力な願望と健全なモチベーションは、人々の心から疑惑や恐怖などの否定的要素を取り除いて
くれます。
いずれにせよ、何かを積極的に求めることで信念は自然に沸いてくるものです。
自分の庭で、木や花を育てたことがありますか?園芸を楽しんだことがある人は誰でも、雑草にはずいぶ
ん悩まされるようです。雑草は、花や野菜よりも成長が早いのです。雑草との戦いは毎日続きますが、それ
に心を奪われてしまえばもじどおり本末転倒、肝心の花や野菜の手入れができなくなってしまいます。
それと同じことが、あなたの心の中にも起こります。
あなたを豊かに大きく育てる願望や目標の種を植え、それが信念という幹を伸ばすように、願望や目標に
光を当てて鮮明にすべきです。そうすると行動は自然に発生します。そして、恐怖、疑惑、失望、「だめだ」
「できない」」などの自己制限、といった雑草を、こまめに取り除かねばなりません。
大自然の教え
すべての物体は、生物であれ無生物であれ、一つの核から生じるものです。
そしてそれは自然界の中にあっては、顕微鏡で見なければ見えないほどの小さな物質であっても、自分
の育成と発展のために必要なものは、すべて外界から吸収するだけの力を持っています。
どんぐりと一握りの土の話を思い出してください。
どんぐりの中には、栄養、水、空気、光を受けて1本の樫の木を創り出す生命の核が隠されているので
す。
麦やほかの穀物も同じです。一粒の種子は、周囲の環境から生育に必要な養分をバランスよく吸収し、
自らの成長だけではなく種の保存と発展さえ成し遂げてしまいます。
こうした植物の発芽と生育をイメージすることは、深層自己説得、すなわち自分の願望を繰り返し自分に
言い聞かせて潜在意識に定着させることの効果を大いに高めるものです。
感情の刺激や信念によってあたためられた種子は、無限の叡智というエネルギーに触れることで、一気
に花を咲かせるでしょう。
こうした性質は、種子―アイディアまたは願望―それ自体が初めから持っている成長のノウハウに基づく
ものです。
植 物 の 種 子 が 、将 来 花 や 大 木 に なる力 をその 中 に 秘 め てい るように 、価 値 あ るアイディアの 中 に
も願 望 を実 現 す る力 と可 能 性 が 隠 され て い ます 。
種子が発芽して、豊かな実りをもたらすことを望むなら、まずは畑をしっかりと耕し、そこへ種を蒔くべきで
す。
あなたの願望や目標を種子だとすれば、潜在意識は畑にたとえることができます。そしてもし、あなたの
願望が明確なものであるならそれは「良い種」ということになります。それは決して、理論の問題ではありま
せん。実証された事実です。必要なことは、その事実にあなた自身の目標を重ね合わせることです。
潜在意識に対する働きかけや無限の叡智との接触などについては、繰り返し説明してきましたが、生命
の誕生というドラマの全体像をイメージすることで、その力を知ることができるでしょう。
アメリカの偉大な心理学者、ウ イリアム・ジェームズ教 授 は次のように語っています。
「願望や目標を一つに絞って行動を起こせば、それは必ず実現されるでしょう。金持ちになりたい、と思え
ば金持ちになり、学者になりたい、と望めば学者になれます。
ですから、大切なことは、一つの目標、はっきりとした願望を持つことです。そして自分の目標に反するこ
と、矛盾することを同じくらいのエンスージアズムをもって遠ざけることです」。
全く何もないところから、何かを作り出すことはできません。
植物や麦の発芽や成育が、人間の夢の実現と共通するのは、一定の条件や環境のもとでそれが起こる
からです。
明確な目標を持ち、それを実現するためのしっかりとした計画を立て、潜在意識を刺激し、深層自己説得
を行いながら無限の叡智から巨大なエネルギーを引き出す……夢や希望が実現されるプロセスは、植物
の発芽や成育と同じです。
また別の見方をすれば、マスターマインドの活用によって耕作地の面積を増やし、それによって収穫を倍
増させる、と考えることも可能です。
他人の力を有効に活かし、自分の力を増強するのです。
一 時 的 な敗 北
ここで少し、失敗や敗北について考えてみましょう。
まず基本的な考え方として、
「失 敗 や 敗 北 は 、それ を失 敗 や 敗 北 として 認 め たときは じめ て 存 在 す るもの だ」ということです。
実際、こうした観点に立てば、失敗や敗北は実質的に否定されてしまいます。
つまり、自分の心や精神を、肯定的なものを生み出すように調整するということです。もしあなたが、貧困、
病気、不和を招いているとすれば、それはあなたが、潜在意識という畑の中に不幸の種子を蒔いたからで
す。
不幸の種子も、内包する法則とメカニズムに従い、やがて大きく成長して破局をもたらすのです。あなた
は、心の畑に雑草の種子を蒔いてしまってはいないでしょうか。
近所の空き地や休耕地を見てごらんなさい。そこは、雑草の天下です。雑草の種子はそこへ飛んできて、
光と水を得て芽を吹き、成長します。そして誰もその土地を耕し、除草して、美しい花や実のなる木々を植
えようとはしません。
自 分 は 何 を求 め てい るの か ?
それがわからないから、畑を耕して花や野菜の種子を蒔くことができないのです。目標もなしに人生を漂
う、多くの人々の生活は、そのようなものなのです。
そういう人々は、思考の種子が潜在意識の土壌の上に落ちたとき、その中から良いものと悪いものを選
り分け、明確な目標として定着させようとはしないのです。
かくして雑草のはびこる空き地では、美しい花を見ることは決してありません。
人間の心は常に動いており、決してとどまってはいません。
問題はその心を、勝手気ままな状態にしておくのではなく、あなたの目標に向かって動かすことです。
つまり人間の精神は「馬」のようなものだということができます。きちんと調教すれば、必ず、主人を目的
地まで運んでくれます。
何 か をや ろう、とあ なたが 決 心 したとき必 ず や ってくるの が 逆 境 です 。
しかし、逆境こそ、あなたの信念を試すには絶好のチャンスです。そして試練に耐えてこそ、信念はます
ます強固なものとなり、それがさらに大きな逆境をはね返す力になります。
大 切 なことは 、絶 対 に 成 功 する、必 ず 成 功 する、とい う意 思 と確 信 です 。価値ある人物との間にマ
スターマインドによる提携をうちたて、宇宙や大自然の摂理に従って行動すれば、成功は必ずあなたのも
のになるでしょう。
信念を、この現実の中で貫くことです。
「逆 境 は 、試 練 と共 に 幸 福 の 種 を運 ん で くる」
信念は、敗北や挫折を成功と勝利に転化する力をあなたに与えます。これまでの人生を振り返り、敗北と
思われるものすべてを分析してみましょう。
心に植えられた様々な種子は、それぞれの持つ使命に従い、素晴らしい実りをもたらします。
それゆえ、潜在意識の庭に蒔く種子は、慎重に選ばなければなりません。
そして、失敗や敗北の原因を学びとると共に、その時あなたが活かすことのできなかった成功や利益の
可能性、つまり蒔かれていたのはどんな種だったのか、そのことを十分に考えてみる必要があります。
なぜならば、それこそがあなたを前に向かって駆り立て、成功へと導くものだからです。
エイブラハ ム・リンカーンは、たくさんの屈辱的な敗北を経験しましたが、それゆえ彼の心はヒューマニ
ズムに目覚め、またその心はアメリカ中に広がりました。
リンカーンは、合衆国の歴史上、最も偉大な大統領、つまり「大解放者」となったのです。
チャー ル ズ ・デ ィケンズ は、愛に絶望し、その激しくうっ積した感情を小説にぶつけ、それを文学の傑作
へと転化しました。
リー ・アイアコッカは、イタリアからの移民というハンディキャップがあり、またフォード社では会長から嫌
われ、辛酸をなめましたが、ライバル会社のクライスラー社に移って、倒産に瀕した会社をみごとに再建さ
せました。
トーマス・エジソンは、若い頃、ささいなことから耳が不自由になってしまいましたが、そのハンディキャッ
プを逆に利用しました。
つまりエジソンは、外からの音が聞こえないかわりに、自分の心からの声を健常者の何倍もよく聞くことが
できました。
その“心の声”こそが、トーマス・エジソンを発明の王に変えたのです。
根気強い行動、目標に向かう行動、その行動を支える信念……私たちが学ぶべき点はたくさんありま
す。
エジソンは人間の生活や生産活動に革命をもたらす白熱灯を発明したことで有名です。彼はそれを発明
することは、絶対に可能だと信じていました。
実用に耐えるようなフィラメントを作り出すまでに、10,000回以上も失敗したにもかかわらずにです。
フランクリン・ル ー ズ ベ ル トは、苦しみと欠点を乗り越え、大統領にふさわしい名演説や豊かな人間関
係を築き上げました。
信 念 の 実 現 に よる偉 業
マル コーニは、無線通信は必ず実現できる、という信念に基づいて、数々の実験を重ねました。そして試
行錯誤や挫折の果てに、ついにラジオの前身ともいうべき無線通信機を開発しました。
それは、信念の勝利です。
クリス トファー ・コロンブス は、地球は丸いことを信じて、新大陸を発見しました。
それは、地図や航海図のない大冒険旅行でした。
マダム・シ ューマ ン,ハ インクは、偉大なオペラ歌手になることを信じていました。
彼女の最初の先生は、歌よりも裁縫の方に才能があると思い、彼女に裁縫家になるようすすめたのです
が、マダム・シューマンの信念は、裁縫ではなく、オペラを選びました。そして信念のとおり偉大なオペラ歌
手になりました。
ヘ レン・ケラーは、視力・聴力・会話力を奪われていたにもかかわらず、アニー・アン・サリバンという名教
師の不屈の愛に支えられ、努力の末、コミュニケーションの手段を得ることができました。またその努力の
結果として、不朽の名声をも勝ち得たのです。
目標を持つことは大切なことですが、それだけでは成功するとは限りません。信じる勇気や粘り強さも不
可欠の要因です。
私たちがそうした問題について語るとき、そこには必ず、ヘレン・ケラーの名があります。
ヘ ンリーフォードは、人間が鳥のように素早く移動できることを信じていました。その夢を実現してくれる
自動車の製造が可能であることも信じていました。
彼は友人たちの嘲笑に耐え、「風変わりな発明家」というあだ名を返上し、世界一の自動車王になりまし
た。
ヘンリー・フォードの自由なイマジネーションは、人類に対する至上の貢献となったのです。
このリストは、まだまだ続きます。ちょうどコロンブスの航海のように。
しかし、もうすでにあなたは、要点をしっかりとつかんだはずです。こうした実例を通して学ぶことで、信念
を貫くことの意味、その大切さを充分に理解することができます。
積 極 的 な心 構 えと信 念
信念は、心構えによって補強されます。また積極的な心構えは信念というタマゴの黄身をおおうカラのよ
うな役割を持っているのです。
積極的な心構えとは、信念を保ち続けることであり、また保ち続けることに常に心をくばることだからで
す。
積極的な心構えを作り出し、それを保つことは、健全な精神にとっては最高の食事です。毎日必ず食べま
しょう。
積 極 的 な心 構 えを生 み 出 す方 法
〈その 1〉
セッション1で示したように、まず、はっきりとした願望や目標を設定し、それに向かって進むことです。
何を望むかを知り、そのために必要な努力や労力を惜しまず、今すぐに、どんな些細なことからでも、でき
ることを始めましょう。
楽 をして成 功 した者 は い ない 、という真実をかみしめてください。
欲求や希望の対象は、あなたにふさわしいものでなくてはなりません。
もしそれが、現在のあなたには大きすぎる夢ならば、ただちにそれにふさわしい自分を作ることです。そう
すれば必ず、必要な高さにまで、あなたは成長するでしょう。その際、正義や道徳も大切にすべきです。
ところで、あなたにふさわしい、という言葉の意味についてもう少し詳しく説明しましょう。
もし現在のあなたが、毎日8時間一生懸命に働いてつき30万円稼いでいるとすれば、それをいきなり70万
円にすることはまず不可能です。脳力の裏づけもなしに、法外な期待を持つことは、愚かな夢です。
目標を高く掲げることは良いことですし、最終目標は当然、高いものでなくてはなりません。しかしそのた
めには、まず当面の目標を実現可能な範囲内に設定し、それを確実に達成することから始めるべきです。
“明確な願望”あるいは“明確な目標”とは、それが合理的で達成可能なものであることを意味します。
願望・目標は小さくてはいけません。しかし、自分に不釣合いなほど大きな目標を設定するのも間違いで
す。
〈その 2〉
自分の求めるものに対しては、常にイマジネーションを働かせることが大切です。
もしあなたが会社の経営者になりたいのでしたら、経営者になった自分自身を常にイメージすることで
す。
もしあなたが今、銀行に10億円持っていたとしたら、そのお金はあなたにとってどんな意味を持つでしょう
か?
それはあなたに、勇気を与えるでしょうか?何かの助けになるでしょうか?
もちろん、大きな力を与えてくれます。
またもし仮に、そのお金が老後のために貯えられたもので、手をつけることのできないものだとしましょう。
それでも役に立つでしょうか?
役に立ちます。
それは力の裏づけとなり、あなたに行動の意欲と自信を与えます。
ひとたび願望や目標を設定したら、完全にその結果を信じなければいけません。
次の仕事のことを考えたり、支払いの心配をしたり、あるいは何か悪いことが起こるのではないかと恐れ
ていたりしていては、良い結果を得ることはできません。
人間の心には、良 い もの は 良 い もの と引 き合 い 、悪 い もの は 悪 い もの と引 き合 うという法則があり
ます。建設的な思想と敗北の思想とを、同時に持つことはできないのです。どちらか一方を選ばなくてはな
りません。
もちろん、それを決めるのはあなたです。
ひとたび、明確な願望を持つようになれば、青写真ができるのは時間の問題でです。たゆまぬ努力は当
然のこととして。
ここで借家住まいの貧しい少女、アニー の話をしましょう。
彼女は5番街にある上流階級専門の仕立て屋に雇われ、使い走りや見本あわせ、仮縫いの糸を抜く仕事
をしていました。
それでもアニーは、自分の仕事を愛していました。
金枠のついた鏡の前で、貴婦人たちが美しく着飾っている姿を見ることに、彼女は胸をときめかせたもの
です。
やがて彼女の胸の中にも、希望の灯がともるようになりました。彼女自身が、店の主人になることです。
鏡の前を通るたびに、アニーは将来の自分を夢みて、うっとりとしたものです。
もちろん、夢はまだ、アニー1人のものです。
しかし彼女は、いつのまにか女主人を演じるようになっていました。間もなく店の主人は、アニーの優雅な
物腰と入念な細やかな心配りに気づくようになりました。
アニーは、徐々に有名になっていきました。使い走りのアニーから一個人としてのアネットになり、次にス
タイリストのアネットになり、そして最後には富豪や著名人を顧客とする有名なコスチューム・デザイナー、
マダム・アネットになりました。
有名なの『大きな石の顔』という物語にも、同じような教訓が含まれています。
偉人たちの像が刻まれた山々を見て育った少年は、町にやって来る人々の姿に偉人たちのイメージを重
ね合わせ、その現身(うつしみ)を求めてやみません。しかしどれほど待ち望んでも、生きた偉人は彼の住
む町にはやって来ないのです。
そんなある日、ふとしたきっかけで彼は、自分自身があの偉大な、“ストーン・フェイス”を持つ人間であるこ
とに気づきます。
長い間、心の中に刻みこなれた像は、決して幻影ではありません。それはやがて現実にその通りになる
種子なのです。
10の基本的なモティベーションのうち、できるだけたくさんのモティベーションをあなたの願望と関係付け
てください。
そして願望と結びつけられたモティベーションが、あなたを強く刺激するようなら、良い結果を期待すること
ができます。常に自分の願望とモティベーションを思い出してください。
もしあなたの目標が、素晴らしい家や素敵な自家用車を買うために貯金することであれば、その家や自
家用車を心の中で繰り返し思い描いてみることです。素敵な車を運転したり、真新しい自宅の居間でくつろ
いでいる自分をイメージし、時には、そんな将来の自分を演じてみるのも良いでしょう。
欲求が高まるにつれて、ますます人は意欲的になるものです。そのためにも、あなたのイマジネーション
は大いに活用すべきです。
ある聖職者が雨乞いのために人々を呼び集めました。そして集まった人々を見渡しながら、こう言いまし
た。
「あなた方は、大変素晴らしいキリスト教徒です。しかしあなた方の信念はどこにあるのでしょうか?私は
あなた方に雨乞いのために集まってもらいましたが、誰ひとりとして傘を準備してきてはいない、というのは
どういうことでしょうか」。
彼らは傘を忘れてきたのですが、本当は「信念」を置き忘れてきたのです。これではいつまでたっても確
固たる確信を持つことはできません。
〈その 3〉
あ なたの 願 望 や 目 標 、お よび それ に よって もたらされ る利 益 をす べ て 書 き出 し、繰 り返 し読 み 上
げ て 完 全 に 覚 え て ください 。
これは深層自己説得によって、あなたの意識を強化する方法です。成功を引き寄せるには大変効果的な
トレーニングの一つです。
現在、あなたの置かれている地位が不本意なものであったとしても、将来の自分を常に思い描き、それを
自分に語り続けることで現在とは異なる未来が訪れるのです。
〈その 4〉
あなたの目標に共感を寄せる人々との交際を、習慣にしましょう。
これはマスターマインドの活用の最も理想的な姿です。
ここに、1人の有名な保険外交員の話があります。彼の妻は、夫の営業成績が不振なとき、いつも励まし
てきました。つまり彼女は、夫にとっては勇気の源だったのです。
仕事の見通しが悪かったり、契約がなかなか取れないとき、セールスパースンである彼は妻に言います。
「アリス、どうも僕はセールスの仕方を間違えているようだな。今日も契約が取れそうになくてね……」。
そんなとき、古い記録を持ち出して夫に話しかけるのがアリスの役目です。彼女は記録を指さして、こう尋
ねるのです。
「あの1万ドルの保険を契約したのは誰だったかしら。かなりすごい人ね。その上、彼はその週に3万ドル
も売ったのよ。やれば必ずもう一度できるわ。元気を出して出かけていらっしゃい。もうじき次の赤ちゃんが
できるのよ!」。
自信を持たせること、背中をポンと叩いてやること、“あなたにはできる”と言ってあげること……それが何
よりです。
そうすれば夫はカバンを持って出かけて行き、契約を取るまでは妻のところへは戻らないでしょう。
私たちは皆、常に勇気づけられることを望んでいます。
〈その 5〉
願望や目標を実現するための努力は、たとえ1日でも欠かしてはいけません。根気が大切です。
職人がレンガで家を作るとき、まずはじめに砂と砂利で土台を築き、次にレンガ、モルタル、足場用の木
材を注意深く丹念に組み上げて行きます。
あなたの願望や目標を構成する要素が、レンガに相当します。一つひとつのレンガが、全体の出来、不
出来を左右します。
〈その 6)
す でに 成 功 を手 に した信 頼 で きる人 物 を、あ なたの ペ ー ス メーカー に 選 び ましょう。
そして彼に追い着くだけでなく、追い越すことを決意しましょう。
けれども、そうした内心の決意や決断は、人々に言いふらすような性質のものではありません。不言実行
が大切です。
何年か前、私、ナ ポレオン・ヒル がカリフォルニアのロングビーチへ講演に出かけたとき、ペースメーカ
ーの価値を思い知らされたことがあります。
それはひどく霧の深い夜のことでした。高速道路を走っている私の目には、車線を表示する白線以外は
何も見えず、ライトの届かぬ霧の中を這うように進んで進んでいきました。そして恐る恐る車を走らせていく
と、フォグランプと、かなり遠くまで照らし出すことのできる高性能のスポットライトを備えた1台の自家用車
を発見しました。その車は私と同じ方向に進んでいました。それが私にとってペースメーカーだったのです。
おかげで私は、ほぼ通常の速度で走ることができました。先導車と同じように走ることで、危険を避けること
ができたのです。
人生もそれと同じです。あなたが進んだ道を、もうすでに歩き始めている人がいれば、彼の歩いた道は大
変貴重な経験になります。
しかし、あなたは決して手ぶらでその道を歩くことはできません。荷物は自分で運ぶものです。
つまり、いつかは自分がペースメーカーになるつもりでいることです。
ペースメーカーを運ぶにあたっては、あなたと同じ速度か、あなた以上の速度で走れる人を選ぶべきで
す。
そしてもし彼が大幅にスピードダウンしたり、脇道へそれるようなら、別の車をペースメーカーにしなけれ
ばなりません。
〈その 7〉
他 人 の 成 功 や 、しっか りした内 容 の 願 望 実 現 の ため の 書 物 、写 真 ・標 語 などをあ なたの 身 の ま
わ りに お きましょう。成功や実現のムードを自分のまわりに作り出すことは、とても有意義なことです。
偉大な人物や指導者のまわりには、常にそうした雰囲気があります。
標 語 には、大変大きな力があります。それを示す実例としては、ジョージア州にあるR・G・ル トル ノウ の
会社で行われた組織の改造が有名です。
労務管理の上でとても大きな問題をかかえていたその会社では、社員の士気は低下し、さまざまな問題
が起きていました。
そこで社員は一丸となって、1年半の歳月を費やし、組織の活性化と生産性の向上に取り組みました。
そのとき会社が用いた戦術が、構内に一定の期間ひとつの標語を掲げ、それを次々に新しい標語と取り
替えることでした。
ルトルノウの会社で使われた標語は、このプログラムにもたびたび登場します。
たとえば、
「あ な たの 唯 一 の 限 界 は 、自 分 で 心 の 中 に 設 け てい る制 限 であ る」。
あるいは、
「あ な たの 真 の 上 司 は 、あ な たの 下 で 働 い て い る人 々 で あ る」。
何気なしに触れた新聞や雑誌、出版物や印刷物の気の効いた言い回しを書き留めることは、とてもよい
勉強になります。
〈その 8〉
不愉快な状況からは、決して逃げ出してはいけません。
それが劣等感やひけ目になる前に、真正面から問題に取り組み、それを克服すべきです。
不愉快な状況を充分に分析し、その原因を究明すると共に、自分自身を見つめ直すことが必要です。
それは、個性と創造性の啓発のもつながります。自己省察ができるようになるまでは、軽々しく他人を非
難してはなりません。
逆境は、目標をさらに壮大なものにしてくれる大きなチャンスです。
私 たちは 、自 分 が 考 えたとお りの 人 間 に なる ―この言葉を忘れてはいけません。
物事を引き延ばしてはいけません。10人のうち9人まで、その最大の欠点は“引き延ばすこと”です。
願望の実現を妨げているのも、それです。
しかし私たちの辞書には、“引き延ばし”という言葉はありません!
〈その 9〉
価値あるものを手に入れるためには、代償が必要です。楽して価値あるものを手に入れることはできませ
ん。
そしてあなたの標語は、「持続」であり、物事を引き延ばす傾向や怠惰と戦うことです。
明 確 な目 標 の 不 断 の 追 求 こそ、怠 惰 の 特 効 薬 であ る とエマースンも言っています。
SELF TEST
SESSION 3 信 念 の 実 現
〈part Ⅰ 〉
※このテストは、あなた自身のための自己テストです。
答えを○で囲むか、記入してください。
1.信念を定義づけることが困難である理由は、それが_______な精神状態であるからだ。
1.受動的
2.能動的
3.論理的
4.協調的
2.信念を持つということは、無限の叡智から授けられた力を____________に応用させることを言う。
1.哲学
2.優れた知性
3.明確な願望
4.習慣
3.信念は、無限の叡智と___________を接触させることによって身につく。
1.知覚
2.感情の力
3.潜在意識
4.信念の適用
4.瞑想することにより、潜在意識を活性化させ、_____________と無限の叡智とをより効率よく接触させることが
できる。
1.潜在意識
2.知覚
3.論理的な心
4.感情
5.否定的な精神態度は、成功を____________より、失敗を予期する習慣である。
1.欲する
2.夢みる
3.望む
4.凝る〈専念する)
6.心の中に_____________________________を持つと、信念が生まれる。また欲望を実現するために、無限の叡智と
の接触が始まる。
1.恐怖コンプレックス
2.明確な目標
3.燃えるような欲望
4.正しい態度
7.心の中に明確な目標が生まれれば、それを実現するための青写真ができるのは________と、たゆまぬ努
力の結果である。
1.欲望
2.行動
3.時間
4.信念
8.10人中9人までに見られる、最も気になる弱点とは?
1.固執
2.敗北
3.ごまかし
4.遅延
9.何をしても失敗し、後は祈るより方法がないという状態においても、_______________態度で祈るのでは、望み
を叶えることはできない。
1.厳しい
2.無関心な
3.否定的な
4.嘆願するような
〈part Ⅱ〉
※質問をよく読んでお答えください。質問の主旨に関することなら、好きなだけ回答していただいて結構で
す。
1.信念と“現実化された信念”の違いは何ですか?
2.現実化された信念が、「成功のノウハウにおける原動力」と呼ばれるのはなぜですか?
3.信念を持った心理状態になるために必要な3段階とは何ですか?
4.7つの基本的な恐怖をあげ、各々について簡単な説明をしてください。
5.「逆境や不運の中にも、利益の可能性が秘められている」とはどういうことでしょうか?
6.信念を表現するための方法をあげてください。
7.信念と恐怖の違いは何ですか?
8.無限の叡智とは何ですか?
9.貧困を恐れるときあらわれる症状をあげてください。
10.祈ると、なぜ、否定的な結果が出たり、肯定的な結果が出たりするのでしょうか?
11.このセッションを勉強してどのようなノウハウや発想を学びましたか?
(1)そのノウハウや発想は、あなたにとってどのような意味がありますか?
(2)そのノウハウや発想を、どのように活用するつもりですか?
(3)いつ活用するつもりですか?
12.このセッションを勉強したことで、あなたは何を決意しましたか?