ザクセン州への投資のために

INVEST IN SAXONY
ザクセン州への投資のために
WIRTSCHAFTSFÖRDERUNG SACHSEN GMBH
ドイツ連邦共和国・ザクセン州経済振興公社
2005年1月
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
目
1
次
ドイツ・ザクセン州.....................................................................................3
1.1 地理と経済............................................................................................ 3
1.2 インフラストラクチャー ...................................................................... 5
1.3 基本経済部門 ........................................................................................ 7
1.4 研究開発 ............................................................................................... 8
1.5 教育 ...................................................................................................... 9
1.6 雇用と労働市場 .................................................................................... 10
1.7 生活の質 ............................................................................................... 14
2.
連邦政府の法律 ...........................................................................................16
2.1 在住許可と就労許可 ............................................................................. 16
2.2 商業行為および企業設立の自由 ........................................................... 16
2.3 事業への課税 ........................................................................................ 18
2.4 労働法および社会保障.......................................................................... 20
2.5 輸入規則と通関 .................................................................................... 23
2.6 不動産の問題 ........................................................................................ 24
3.
ザクセン州の投資奨励策.............................................................................25
3.1 奨励金................................................................................................... 25
3.2 労働関連の投資奨励金.......................................................................... 27
3.3 研究開発奨励金 .................................................................................... 28
連絡先並びに担当者/Contact Address........................................................ 29
2
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1. ドイツ・ザクセン州
地理と経済
1.1
1.1.1 人口
約 435 万の人口を擁するザクセン州は、旧東ドイツ地域で最も人口が多く、面積は 18,413
平方キロメートル、人口密度は 236 人(ドイツ全土では 230 人)となっています。主要都
市の人口はドレスデン 481,308 人、ライプツィヒ 495,609 人、ケムニッツが 251,829 人で
す。2003 年ザクセン州の 1 人当たりの購買力は、13,101 ユーロ、ドイツ全土では 16,606
ユーロとなっています。(1)
1.1.2 実質国内総生産の推移
下記のグラフは、ザクセン州(緑字)とドイツ(赤字)の対前年比実質国内総生産の推移を
示しています。(2)
11.7%
12.0%
5.7%
2.9%
2.3%
2.0%
0.8%
-0.1%
-1.1%
1993
2.9%
2.0%
1994
1.7%
0.8%
1.4%
1995
1996
1997
-0.1%
2.0%
0.7%
0.0%
1998
1999
2000
2001
1.5%
0.3%
-0.1%
0.2%
2002
2003
統合による発展過程直後発生した過剰設備を削減すべく縮小していた建設部門を除くと、ザ
クセン州における産業の年間売上の拡大は、より一層印象的です。(3)
前年比
(百万ユーロ)
40000
35000
30000
25000
20000
15000
10000
5000
0
15.0%
売上高
16.0%
12.6%
9.1%
9.5%
1993
1994
1995
1996
8.9%
4.3%
5.1%
3.7%
1997
1998
1999
2.3%
2000
2001
2002
2003
1 出典:GfK Marktforschung GmbH Nürnberg.
2 出典:Arbeitskreis Volkswirtschaftliche Gesamtrechnung der Länder Statistisches Landesamt
Baden-Württemberg.
3 出典:Statistical Office of the Free State of Saxony, Saxony State Ministry for Economic Affairs and Labour
(Wirtschaftstelegramm 03/2003)
3
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.1.3 経済活動全般の生産性
下記のグラフは、ザクセン州(緑字)とドイツ(赤字)の従業員 1 人当たりの対前年比実
質国内総生産の推移を示しています。(4)
15.0%
9.1%
3.0%
2.9%
3.2%
1.6%
1.3%
1.3%
0.1%
0.8%
1.1%
1998
1999
0.9%
2.5%
1.5%
1.1%
1.2%
1994
1995
1996
1997
2.0%
0.8%
0.4%
0.3%
1993
1.0%
1.8%
2000
2001
2002
2003
1.1.4 輸出
EU でいう輸出入とは、EU 域外との貿易のみを指しますが、国ごとのあるいは地域ごとの
輸出入額が重要な経済指標となるのは事実です。しかし、国ごとの、とくに地域ごとの輸出
入額がきちんと記録されていないため、正確な数字が把握できていません。ザクセン州に本
社を置くフォルクスワーゲン社のモーゼル工場の正確な輸出出荷額を算入すれば、過去の輸
出額が修正される場合も出てくるでしょう。
ザクセン州の輸入取引額については、修正の必要がなく金額も少ないため、輸出額と輸入額
の比較はしていません。下記のグラフは、輸出額(特別貿易、単位:10 億ユーロ、青の棒
グラフ)と、輸出率(産業生産高に占める対外貿易取引高の割合、赤い折線グラフ)の変化
を表しています。(5)
31,1%
29,1%
28,1%
24,4%
25,6%
22,3%
17,7%
14,2%
12,8%
12,9%
15,0
13,2%
7,9
13,2
13,4
2001
2002
10,4
8,9
5,4
2,7
3,1
3,7
3,8
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
4 出典:Arbeitskreis Volkswirtschaftliche Gesamtrechnung der Länder
Baden-Württemberg.
5 出典:Statistical Office of the Free State Saxony
2003
Statistisches Landesamt
4
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
ザクセン州の主要な貿易相手国は次のグラフの通りです。(6)
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
フランス
1.2
イタリア
オランダ
英国
ポーランド
チェコ
ロシア
米国
中国・香港
日本
その他
インフラストラクチャー
200 年前のザクセンは、ドイツ工業化を牽引する役割を担っていました。起業家精神が古く
から育まれ、機械工業や 20 世紀初頭には自動車産業が開花しました。その結果第2次世界
大戦前には、ザクセンの 1 人当たりの所得は欧州大陸で最高額に達していました。
社会主義政権の時代でさえも、ザクセンの起業家精神はくじかれることはありませんでした。
その証しに 1990 年の東西統一後、ザクセンでは新たな起業家精神が息づき始めたのです。
地理上の特徴からザクセン州は、自州のみならず欧州全土で EU 拡大の推進役として活躍す
る運命にあったのです。2012 年には、欧州経済史上最大のインフラ整備計画が完了する予
定になっています。この計画の一番の目的は、州内の交通通信ネットワークの拡大にありま
す。交通インフラの効率性向上のため計上された予算は、40 億 3 千万ユーロにも達してい
ます。
この他にも、州内の既存の工業生産ネットワークもインフラとしてあげられます。社会主義
から市場経済への移行が近隣諸国とはまったく異なった形で完了し、
ザクセン州では多数の
中小企業があらゆる種類の生産財とサービスを提供するようになりました。州内では 500
社ほどの中小企業が、自動車業界に様々な部品とサービスを供給しています。
6 出典:Statistical Office of the Free State Saxony
5
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.2.1 交通輸送
高速道路は拡張整備され、国内のみならず国際的な道路網が完成しつつあります。ザクセン
州内に広がる高速道路網は、高水準といわれるドイツの高速道路として恥ずかしくないもの
になっています。ドレスデンとドイツ−ポーランド国境沿いにあるゲルリッツ間を結ぶ A4
アウトバーンや、チェコにつながるアウトバーン建設をみれば、東西交易の重要な中継地と
してザクセン州が見事にその役目を果たしていることが改めておわかりいただけるでしょ
う。
また、ザクセン州には州内最大河川のエルベ川に沿って、177 キロメートルにも及ぶ輸送用
水路が整備されています。ドレスデン市内にある近代化されたリーザ港やトルガウ港の取り
扱い貨物量は、2002 年には 1,690,850 トンにのぼっています。(7)
ザクセン州では古くから、鉄道網も整備されてきました。1839 年にドレスデン−ライプツ
ィヒ間に鉄道が開通して以来、ザクセン州の鉄道網は国内で最も発達したものになりました。
欧州のインフラ・ネットワークの一部として機能させるべく、既存の鉄道網の近代化が進行
中です。
州内には、ドレスデン空港やライプツィヒ・ハレ国際空港、その他 17 の小規模飛行場があ
ります。ライプツィヒ・ハレ空港はライプツィヒの物流センターと接続し、将来の可能性を
秘めた交通の拠点となっています。同空港では 2000 年春に、国際線新滑走路の使用が開始
され、貨物や航続距離、夜間飛行などに関する規制適用が緩和されました。また、シュコイ
ディッツ・テレポートには、A9/A14 高速道路へつながる道路網をはじめ、ICE(インター・
シティ・エクスプレス)などとの乗換駅となる新中央駅を現在建設中です。同じくドレスデ
ン空港でも新ターミナルが 2002 年からスタートしており、市の中心部へ直接通じる鉄道の
駅も設置され、A4/A13 高速道路との交差ポイントになっています。
1.2.2 通信
シュコイディッツ・テレポートは欧州最大の通信ネットワークの一つで、1997 年に創設さ
れました。歴史が培った技術力のおかげで、ザクセン州には、世界水準に引けを取らない最
先端の通信網があります。投資に関しては、ドイツ・テレコムだけでも、現在までに 73 億
ユーロの投資を行っています。また、ISDN や処理スピードがその 12 倍というデータハイ
ウェイ、DSL が広く普及しており利用が可能です。デジタル携帯電話の世界標準 GSM 携帯
電話の利用も州内全域で可能です。また、2002 年末からは、第 3 世代移動通信システムの
UMTS の利用をスタートさせるべく、現在工事が進行中です。
2000 年 7 月ライプツィヒに開局したテレビ局は、欧州でも随一の先端設備を有し、デジタ
ル映像と高音質の番組を放送しています。以前の 64 倍もの高速でデータ送信を行なう 700
ものアクセスラインが、新たにスタートした 2.5 ギガビットの科学ネットワーク「インター
ネット 2」を通じて、州内の大学と各研究所をつないでいます。
7 出典:Sächsische Binnenhäfen Oberelbe GmbH, Dresden.
6
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
ザクセン州では、ネットワーク・アクセスや電子データ処理のプロバイダー、コミュニケー
ション・サービス業者が、つねに市場に新製品を導入し、プロバイダー数も急速に増加して
います。
世界的に知られたプロバイダーも数社が、ザクセン州でアクセスポイントを運営しています。
こういったことからも、ザクセンから世界にアクセスすることがいかに容易であるか、おわ
かりいただけるでしょう。
1.2.3 成長
第 2 次世界大戦終結時、日本と旧西ドイツは、破綻状態にあった経済に苦しんでいました。
しかし、両国はその後数十年で、史上まれに見る早さの経済成長を実現しました。この奇跡
の高度成長の陰には、株式資本が少なく、償却よりも多くの投資が行われていたという背景
があったのです。この原理は、ザクセン州にもあてはまります。
1.3
基本経済部門
ザクセン州がドイツの機械工業技術発祥の地となって以来、約 170 年が過ぎようとしてい
ます。エレクトロニクスや自動車産業といった伝統的な部門のみならず、マイクロエレクト
ロニクスやテレマティックス、バイオテクノロジー、新素材、加工技術などの新しい技術部
門で、ザクセン州の卓越した創造的能力が改めて明らかになっています。金融、サービス、
通商、ホテルやレストラン、運輸などの第 3 次産業は、公共、民間を問わずその重要性を
増し、ザクセン州経済の中心となっています。
1.3.1 製造業
製造業部門の基幹産業である加工産業の生産量は、ドイツ全土では国民総生産の 4 分の 1、
ザクセン州では 6 分の1を占め、その差は 1991 年以降 13%ポイントから 7%ポイントへ減
少しています。建設業の国民総生産に対する割合は、以前に比べ全国平均よりも 2 倍高く
なっています。建設業以外では、製造業が年 2 桁の割合で成長しています。その他に規模
としては小さいものの鉱業やエネルギー、給水量などが全国平均よりも 1%ポイント上回る
実績を出しています。ザクセン州の製造業部門は全般にわたり、1998 年以降全国平均を着
実に上回っています。
1.3.2 サービス部門
ザクセン州のサービス部門のトップは金融とビジネス・サービスで、国内総生産に占める割
合が倍増しました。1992 年以降、ザクセン州のサービス部門の実質成長率は、州の同実質
成長率をつねに上回っています。一方で、貿易、ホテル、レストランおよび輸送部門は、
1991 年以降下降を続け全国レベルを下回っています。公共のサービス部門はその先導的役
割を失い、総生産に占める割合も 1991 年から減少しています。ザクセン州のサービス部門
は全国レベルを維持していますが、総生産に占める割合は全国平均の 68.9%よりわずかに
少ない 67.9%となっています。
7
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.4
研究開発
教育や研究の果たす役割は、とても重要です。州内には 5 つの州立大学、ライプチヒにあ
る私立大学、5 つの工科大学があり、幅広い内容の教育体制は国内最高の水準を誇っていま
す。さらに、州内の技術大学は産業界と緊密な協力体制にあり、特に IT および半導体産業
に若い専門家たちを送り込んでいます。
州内には、大学に付属していない各種の研究所があります。フラウンホーファー協会
(Fraunhofer Society)が 11 ヵ所、マックス・プランク協会(Max Planck Society)6 ヶ所、
ライプニッツ協会( Leibniz Science Society)7ヵ所、など 50 を越えるトップクラスの非
大学系の機関が研究開発を行っています。
1.4.1 バイオテクノロジー
ザクセン州では成長するバイオテクノロジー市場への取組みを行っています。ドレスデン工
科大学には、16 のバイオテクノロジー関連研究室があり、食品から医学までさまざまな分
野の研究活動を行っています。州内には他にも、環境バイオテクノロジーの研究所が 20 ヶ
所、医学バイオテクノロジー研究所が 18 ヶ所あります。
2000 年 7 月州議会は、ライプツィヒ・バイオテクノロジカル‐バイオメディカル・センタ
ー(BBZ)建設にあたり、向こう 5 年間で約 189 億ユーロを投入することを承認しました。
この資金は総建設面積 14,000 平方メートルの同センターに、ライプツィヒ大学が管轄する
人員および設備管理のために使用されます。同センターの 75%は産業用に利用され、残り
がライプツィヒ大学の管轄となります。
同センターのライプツィヒ大学内では、新しいバイオテクノロジーやバイオメディカルの分
野を中心に研究がおこなわれる予定です。現在、関連する研究室では、すでにそれらの分野
の基礎研究が進行中です。この新しい分野は、市場性のある新製品の開発を実現するだけで
はなく、科学者らが新たなバイオテクノロジー企業を誕生させる可能性も秘めています。同
センターに移転したバイオテクノロジーやバイオ薬品の企業は、創造能力を刺激する魅力あ
る環境を手に入れたことになるのです。
1.4.2 新素材
電磁力を利用した、流体力学と素材研究を一つにした研究はドイツ独自のものです。この研
究は、ドレスデン工科大学に 1995 年に設立されたイノバツィオンスコレーク・マグネット
フルディナミック(Innovationskolleg Magnetfluiddynamik
リニアモーターの革新的講義)
で 行 わ れ て い ま す 。 ド イ チ ェ ・ フ ォ ル シ ュ ン グ ゲ マ イ ン シ ャ フ ト ( Deutsche
Forschungsgemeinschaft ‒ DFG ドイツ共同研究)の専門家によれば、この研究は学会で
は初めての試みということです。
1.4.3 マイクロエレクトロニクス産業
ドレスデン工科大学とケムニッツ工科大学の両大学は、高水準の訓練研究施設を設置し優秀
な人材を輩出してきました。産業界との協力体制により、両大学は純粋な研究目的のものか
8
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
ら実際的な応用研究までを網羅する研究開発を、産業界のために大学内で実施しています。
州内の 20 の研究所が製品加工研究と素材研究に力を入れています。
1.4.4 生産技術
工業地域として発展してきた歴史を持つザクセン州では、その具体的な技術と知識を、生産
現場で活用することが実践されています。ドレスデン工科大学では 1828 年の創立以来、機
械技術の教育が行われており、なかでも加工技術が重要視されてきました。
1.4.5 テレマティックス
ドレスデン工科大学は、IT スペシャリストを訓練する場として、国内でもトップクラスの
研究施設として知られています。州内では他にも 7 つの施設が、コンピュータを専門分野
として研究しています。州内各所の商工会議所との連携で、公共および民間の訓練センター
がテレマティックスのさまざまな訓練を実施しています。
1.5
教育
教育の基本は義務教育で、州立校以外に 43 の認可私立校と、ドレスデンおよびライプツィ
ヒにインターナショナル・スクールがあります。
小学校(Grundschule)で 4 年間の教育を受けた後は、生徒本人の希望により、小学校
(Hauptschule)でさらに 5 年間勉強を続けるか、中学校 (Realschule)に 6 年間通学するか、
または 中等教育を受けるため高校 (Gymnasium)に 8 年間通学するかいずれかを選択でき
るようになっています。
1.5.1 中等教育のための高校
高等学校では生徒に対し、大学や専門学校に進学するための教育が実施されます。国内のほ
とんどの地域では、大学進学に必要な義務教育は 13 年間ですが、ザクセン州では 12 年間
となっています。
1.5.2 小学校と中学校
4 年間小学校で教育を受けた後、生徒はさらに小学校で 5
年間勉強を続けるか、中学校で 6 年間教育を受けること
になります。どちらも、卒業後はすぐに職業につくこと
ができます。
1.5.3 職業教育と訓練
ドイツの職業教育訓練は、中世に欧州全土で実施されて
いた、ギルドの職業訓練の伝統を受け継いでいます。こ
の実務と理論が一つになった制度は、19 世紀に、産業界
が必要とする人材を育成できるように整備されました。
「今までザクセン州を知ら
ずにいたが、ザクセン州でな
ければ、当社の将来性ある生
産拠点に必要な、優秀で熱意
ある人材を探すことはでき
なかっただろう。現在、この
生産拠点こそが、当社の成功
の基礎になっている。」
高田 重一郎
タカタ株式会社社長
20 世紀になると、様々な業種で実施されていた職業訓練
9
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
が、一つの近代的な制度としてまとめられ、1969 年には職業訓練法 (Berufsbildungsgesetz)
および職業教育訓練のための教育法として成文化されました。二元訓練制度とも呼ばれるこ
の制度の基本となっているのは、官民の訓練機関の協力体制であり、また、その実施にあた
っては、制定法と団体協約、公共訓練方針と民間の訓練投資などが支援をしています。
この制度の大きな特徴として、以下の点があげられます。
•
企業の参加は任意。
•
2∼3 年におよぶ訓練の水準と内容は、雇用主と労働組合双方の合意で決められた後、
成文化される。
•
この制度の独立性は企業体(商工会議所)全体が遵守する。
•
この制度の主たる費用負担は企業が行い、政府の負担は一部とする。
•
さらに高度の教育実施にあたっては、プログラムの内容に一般教養と職業に関連し
た理論の学習を盛り込む。
•
就労しながら学ぶ者には、雇用する企業が訓練報奨金を付与する。職業訓練校への
出席は必須であり、費用は無料とする。
二元職業訓練制度におけるベル―フスシューレ(Berufsschule)
1.5.4
この制度のもとでは、ベル―フスシューレ(Berufsschule
職業学校)が企業と連携して、
若者を対象に 3 年間の職業教育訓練プログラムを実施します。企業での訓練は州の管轄で、
職業学校での訓練は文部大臣の管轄で実施されます。
1.6
雇用と労働市場
次のグラフは、ザクセン州の被雇用者人数(単位:1,000 人、青い棒グラフ)とその変化(赤
字の折線グラフ)を対前年比で表しています。(8)
2.6%
2240.5
-14.9%
1950.5
-2.9%
1895.3
1991
0.1%
2.5%
1992
1993
1945.7
1994
0.1%
0.6%
-1.0%
-1.0%
-1.1%
-1.4%
1996.5 1997.6 1970.7 1971.8 1983.3 1963.8
1946.8 1925.1
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2002 年には就労可能人口(18 才∼65 才)が約 280 万を数え、その 49%が女性でした。(9)
2002 年には失業率が約 17.8%に達しました(ドイツ全土では 9.8%)。(10)
8 出典:Statistical Office of the Free State of Saxony.
9 出典:Arbeitskreis “Erwerbstätigenrechnung des Bundes und der Länder”, Statistical Office of the Free
State of Saxony.
10 出典:Federal Statistical Office Germany, Wiesbaden.
10
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.6.1
優秀な労働力
以下の数字が労働の質についての国際比較を示しています。(11)
23
30
25
13
49
60
50
56
16
20
19
ドイツ
日本
英国
21
40
38
39
ハンガリー
オランダ
高等教育:
専門学校、大学、
大学院レベル
中等教育:
中学・高校レベル
初等教育:
小学校レベル
他の国に比べて、ドイツ人は中等乃至高等教育を受けている比率が相対的に高くなっていま
す。
またドイツ国内においても、東部地域は熟練労働者の比率が西部地域よりかなり高くなって
います。すなわち非熟練労働者の比率が東で 11%であるのに対し、西では 23%になってい
ます。(12)
ザクセン州では、働くものの 28%が職業学校、職業専門学校ないし工科大学の卒業証を持
っているか、それぞれの分野でのマイスターとしてのトレーニングを修めています。約 61%
が学校教育、実務教育を受けており、資格を持たない労働者は僅か 11%にすぎません。(13)
1.6.2 年間労働時間
次のグラフにあるようにザクセン州の就労者の労働時間は、1 年で約 1 割旧西ドイツ地域に
比べ長くなっています。
旧西ドイツ地域
1573
ザクセン州
1720
1771
フランス
1774
英国
1782
スペイン
1802
アイルランド
11 出典:Federal Ministry of Education and Research Germany, 2002.
12 出典:IAB (08/2001).
13 出典:Microcensus, 2002.
11
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.6.3 ストライキ
ドイツでは、ストライキが原因で就労不可能になった日数(1992-2001 年にかけて労働者
1000 人当たりの年平均日数)は 9 日だけです。これは、世界の主要競争相手国に比べ優位
な状況にあります。
282
ドイツ
フランス
米国
英国
スペイン
アイルランド
22
48
87
98
9
1.6.4 平均月収
人材の優秀さにもかかわらず、ザクセン州の平均月収は旧西ドイツ地域を 3 割ほど下回っ
ています。旧西ドイツ地域の月収と比較すると、ザクセン州の男性産業労働者は 70%、管
理職は 74%の月収となっています。同じく女性の産業労働者の月収は 76%、管理職は 81%
で、男性より高い割合になっています。絶対値にすると、女性の月収は男性を下回っていま
す。(1.6.6 の表を参照)
1.6.5 労働者生産性
ザクセン州では、被雇用者 1 人当たりの実質国内総生産は、1995 年から 2003 年の間に平
均 12.3%の割合で増加しました。90 年代中頃から景気が後退し建設業が不振になるととも
に生産性は減少しましたが、平均成長率はドイツ全土の水準を上回っています。
(4 頁 1.1.3
項のグラフを参照)
「旧東ドイツ地域の労働者が、これほどの
ザクセン州の労働者の高い生産性の理
生産性や適応力、自発性を備えていなけ
由は、労働者の意欲にあります。男女と
れば、当社はこの地で成功をおさめる
もに就労意欲が盛んで、新しい仕事に必
ことはできなかっただろう。」
要な技能習得や、訓練を受けることに積
極的です。毎日の通勤が長距離でも苦に
せず、シフト勤務や休祭日出勤も進んで
実践しています。
ニール・ブルー、
--General Atomic Electronics社長
最高経営責任者
パーソナル・タイム・アカウント制度(個
人の休暇時間を貯蓄する制度) により、労働力の供給が雇用主のニーズに応じて柔軟に行
われるようになりました。
12
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.6.6 製造業の 1 時間当たりの労働コスト
労働コストは、賃金と生産性で決まります。経済学の観点からすれば、旧東ドイツ地域の生
産性は依然として、旧西ドイツ地域よりも劣っているとされています。しかし、ビジネスの
観点からすれば、これは間違った見方といえます。前項で述べたように労働者の就労意欲と
最新の経営方法があいまって、旧西ドイツ地域よりも高い生産性を実現しています。
産業労働者
男
性
管理職
女
性
男
性
女
性
ザクセン州
1,900
1,429
3,098
2,238
旧西独地域
2,601
1,924
4,056
2,903
上の表(14) で示された平均額はユーロ払いのもので通常 12 倍で年収換算してください。
ザクセン州の賃金水準は、旧西ドイツ地域より 25%から 30%低くなっています。
下の表(15) は、旧西ドイツ、スイス、アメリカ、日本、英国及びフランスと比較したザクセ
ン州における時間当たり直接・間接労働コストを示しています。
直接費 ユーロ/時間
11.72
8.59
14.44
16.37
旧西独地域
スイス
間接費 ユーロ/時間
6.42
16.57
米国
9.09
5.82
13.13
13.41
日本
英国
9.04
6.79
9.89
10.09
フランス
ザクセン州
ザクセン州の労働賃金は、近隣のポーランドやチェコといった旧東欧諸国に比べ高水準にあ
りますが、労働力で一番重要なのは質と能力でしょう。
ザクセン州の企業の中には、すでにチェコ内の労働コストの安い企業と提携を始めたところ
もあります。しかし、その対象となっているのは、労働集約的な生産工程の一部のみになっ
ています。労働コストが 20%以下に抑えられ、さらに技術を必要とする生産現場を選ぶな
ら、ザクセン州をおいて他にありません。
14 出典:Federal Statistical Office Germany, Wiesbaden.
15 出典:Institut der deutschen Wirtschaft, Cologne.
13
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
1.7
生活の質
1.7.1 ザクセン州のエンターテイメント
ザクセン州には 15 の劇場があり、観客動員数は年 190 万人に達します。2001 年から 2002
年のシーズン中には州内の 6 つのクルトゥアオーケストラ(Kulturorchester) がコンサー
トを約 1,530 回開催し 507,500 人の観客を魅了しました。(16) ドレスデン国立歌劇場は 350
年の伝統があり、リヒャルト・シュトラウスやウェーバー、ワーグナーらの作品が多数初演
されました。毎年、5 月初旬には国際ディキシーランド・フェスティバルが、5 月、6 月には
ミュージック・フェスティバルが開催され、夏にエルベ川で催される映画祭(Filmnächte) と
あわせて、これらのコンサートはドレスデンの年中行事になっています。州内にある 103
の映画館はスクリーン数 264、座席数は 51,433 に達します。(17) ドイツでは外国映画は、ド
イツ語に吹替えて上映するのが一般的です。この他に、ドイツ料理や各国の料理を出すレス
トランやパブ、カフェなども無数あり、人々の憩いの場となっています。
1.7.2 文化
州内に 699 ある公共の図書館では、750 万に及ぶ蔵書の閲覧が可能で、一年の貸出図書数
の合計は 170 万冊に達します。(18) ライプツィヒのドイツ図書館 とフランクフルトにある
その姉妹図書館は、最大のドイツ語蔵書数を有する図書館です。また、州内には 370 の美
術館とギャラリーがあり、1 年の入館者は 710 万人に達します。(19) ドレスデンのツウィン
ガー宮殿には5つの美術館があり、最大規模のドレスデン国立絵画館は、 ラファエロの「サ
ン・シストの聖母」や都市景観図で有名なイタリア人画家カナレットの作品を所蔵していま
す。そのほか、歴史博物館には儀式用の武具の見事なコレクションが収められています。バ
ロック様式のライプツィヒ市庁舎の内部は特に圧巻で、国内に数ある市庁舎の中でも最高の
美しさを誇っています。
1.7.3 ショッピング
州全域に設備の整ったショッピング施設がありますが、なかでも、26 のプラットホームを
持ち、欧州最大の利用客数を誇るライプツィヒ駅には、150 の店舗を擁する 3 階建ての一大
ショッピング・モールがあります。食材売り場や特選食品コーナーでは、世界中の食べ物を
手に入れることができます。
1.7.4 医療、スポーツそして自然
現在州内の病院数は 88、ベッド数は 29,300 床で、住民 10 万人あたりのベッド数は 671 床
となっています。(20) 医療水準は他の州や旧西欧諸国に引けをとりません。
16
17
18
19
20
出典:Statistical Office of the Free State of Saxony, 2004
出典:Statistical Office of the Free State of Saxony, 2004
出典:Deutsches Bibliotheksinstitut, Berlin, since 1999 Deutsche Bibliotheksstatistik (DBS).
出典:Institut für Museumskunde der Staatlichen Museen, Preußischer Kulturbesitz Berlin.
出典:Statistical Office of the Free State of Saxony.
14
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
スポーツ・クラブは 3,956 ヶ所あり、503,536 名がメンバー登録しています。そのうちの
50%が、27 才以下の若い人たちとなっています。(21) 各スポーツ・クラブでは、ゴルフやテ
ニス、乗馬、水泳、ヨット、スキーなどができます。エルベ川沿いにバイク・ツーリングも
楽しめます。ドレスデン市内から 50 キロ南下したチェコとの国境沿いにあるザクセン・ス
イス国立公園は、見事な岩々が織りなす自然と、エルベ川に沿って点在する複数の城や小さ
な村々が印象的です。ところどころで思いがけない変化を見せる、景色を楽しむことができ
ます。公園内に点在する森は熱帯林のように豊かに茂り、切り立った断崖や岩肌は、ニュー
メキシコやスペイン中央部の自然を彷彿とさせます。眺望のすばらしいバスタイや、国境沿
いのリゾート地、バード・シャンダウなどはぜひ、訪ねてみたい場所です。
1.7.5 安全性
ザクセン州の治安当局は、欧州先進国と同様に信頼のおける水準を誇り、州内の犯罪発生率
はわずかです。
21 出典:Landessportbund Sachsen e.V., Leipzig.
15
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
2. 連邦政府の法律
2.1
在住許可と就労許可
ドイツに住み、働くことを希望する外国人は、在住許可と就労許可を申請しなければなりま
せん。EU 加盟国の国民については、これらの許可を得る権利があるため、他国の国民とは
別の規則が適用されます。
雇用者が、必要な就労許可証を持たない外国人を雇用することは、刑法上の罪になります。
建設業界はこの点で特別な監視を受けています。
2.1.1 EU 加盟国の国民
EU 加盟国の国民は在住許可を申請しなければなりませんが、許可を得る権利があるため、
申請手続きは形式的なものです。最初は5年間の在住許可が与えられ、その後は、一定の条
件を満たしていると当局が認めれば、EU 加盟国の国民は期間無制限の在住許可を申請でき
ます。条件を満たしている場合、在住許可は5年間延長されます。
EU 加盟国の国民は就労許可を得る必要がありません。就労許可が必要なのは、特別な資格
を要する専門職に就くことを希望する場合だけです。別の加盟国で取得した免許が認められ
ないなどの問題は、EU の法律によりなくなっています。
2.1.2 EU 加盟国以外の国民
EU 加盟国以外の国の国民は、在住許可と就労許可の両方を取得する必要があります。これ
らについては通常、ドイツへ入国する前に許可を申請しなければならず、すでにドイツでの
就職先が確定している場合にのみ許可証が交付されます。外国の投資機関に任命された、特
別資格を持つ経営管理者は、ザクセン州では優遇措置を受けます。
特別規則が適用される国もあり、そのほとんどが、二国間協定に基づいて手続きを行ないま
す。米国、カナダ、日本、オーストラリアなどの国民は、ビザがなくてもドイツに入国でき、
ドイツ到着後に在住許可と就労許可を申請できます。スイス国民は EU 加盟国の国民と同様
に扱われます。
2.2
商業行為および企業設立の自由
ドイツで事業活動の実施を計画している個人および法人は、行政法、民法、税法が定める数
多くの方式要件に対処しなければなりません。
2.2.1 事業(Gewerbe)とは何か
「事業」という言葉には通常、利益を生むことを目的とし、偶発的に行なわれるのでなく、
単に財産管理の範囲を超えて行なわれる、商業行為および事業へのあらゆる取り組みが含ま
れます。
16
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
2.2.2 営業許可証(Gewerbeschein)
事業に従事する前に、外国人もドイツ人も、営業許可証を取得する必要があります。この営
業許可証は、少額の手数料で、申請により地方の事業担当局(Gewerbeamt)が発行します。
2.2.3 商業登記簿(Handelsregister)
ドイツで事業活動を行なう企業は、商業登記所に登記しなければなりません。この登記は担
当の区裁判所(Amtsgericht)により、各自治体ごとに保管されます。
2.2.4 会社名称あるいは商号(Firma)
ドイツの商法(Handelsgesetzbuch - HGB)では、会社名称の選択を制限しています。会社
名称は会社の実体と一致し、他の会社と区別可能な名称であるべきで、誤解を与えるような
ものであってはいけません。たとえば、ドイツ国内だけで営業している会社の名称を
「European(欧州)」とすることはできません。また、登記されている既存の会社の名称と
同じ、もしくは紛らわしく似た名称であってはいけません。また、ドイツの登記制度は全国
レベルで運用されているのではなく、地方ごとに運用されています。
2.2.5 事業形態(Unternehmensformen)
投資家は、様々な組織形態の中から事業形態を選択できます。最も一般的な形態について以
下に概略を述べています。外国人投資家は通常、有限会社か株式会社を選びます(2.2.5.3
を参照)。
2.2.5.1 個人事業主(Einzelunternehmer)
個人事業主は、個人で事業を営むか、商業活動を行ないます。個人事業主は事業の債務につ
いて全責任を負い、事業主個人の事業資産および個人資産の全てを、決済や事業の負債を支
払うために請求されます。
2.2.5.2 共同経営
商業行為や事業に関して、ドイツの民法では合名会社(Offene Handelsgesellschaft - OHG)
と合資会社(Kommanditgesellschaft - KG)という、2つの異なる共同経営の形態を提案し
ています。合名会社は、無限責任の共同経営者2人以上で設立する事業を目的とする会社で
す。こうした共同経営者はドイツ人もしくは外国人、あるいは国内もしくは外国の法人の場
合があります。合資会社は最低、無限責任の共同経営者が1人(1社)と有限責任の共同経
営者1人(1社)で設立されます。無限責任の共同経営者は、事業財産および個人財産の全
てを拠出して個人的に責務を負います。こうした種類の共同経営の多くは、職人や中小規模
の家族企業が利用する事業形態です。
2.2.5.3 会社
ド イ ツ の 有 限 会 社 ( Gesellschaft mit beschränkter Haftung - GmbH ) と 株 式 会 社
( Aktiengesellschaft - AG ) は 最 も 重 要 な 事 業 法 人 で す 。 GmbH の 最 小 名 目 資 本 金
(Stammkapital)は 25,000 ユーロで、そのうち 12,500 ユーロは登記の際に支払います。
17
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
また、標準的な AG の株式総額(Grundkapital)は、最低 50,000 ユーロになっています。
GmbH は、柔軟性が高くかなり略式の法人形態であるため、ドイツ国内で事業を行なう際
の最も一般的な形態です。株式割り当てや約款条項の修正などを行なうためには、公証人が
作成する文書が必要ですが、これは容易に作成できます。また経営本体としても持株会社と
しても GmbH の形態が多く利用されており、通常 GmbH の形態では、外国人の投資家の税
負担は最低限のものになっています。
2.3
事業への課税
本項では、法律上の地位にかかわらず全ての事業に影響のある、課税の問題について簡単に
概略のみを述べます。2.3.2 項では、税制改革と、税制改革が企業に及ぼす影響の一部につ
いて述べています。
2.3.1 一般情報
収入と利益を生み出すための商業行為や事業に従事する納税者は、事業所得を得ています。
商業行為や事業により、控除費用を超えて発生した収入については、経常ベースで以下の通
り課税されます。
1.
個人については所得税(Einkommensteuer)、あるいは
2.
事業法人については法人所得税(Körperschaftsteuer)
3.
連帯付加税(Solidaritätszuschalag)
4.
営業税(Gewerbesteuer)
また、該当する場合は以下が課税されます。
5.
資本収益税(Kapitalertragsteuer)
6.
教会税(Kirchensteuer)は、承認された教会に属する個人についてのみ課税さ
れます。
他の重要な税金には以下が含まれます。
7.
付加価値税(Umsatzsteuer)
8.
不動産譲渡税(Grunderwerbssteuer)
9.
固定資産税(Grundsteuer)
2.3.2 税制改革
現在行なわれている大規模な税制改革により、数多くの変更が行なわれます。以下のような
変更がすでに行われました。
1.留保利益に課税される法人税率は、40%から 25%に減率
2.配当利益に課税される法人税率は、30%から 25%に減率
18
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
配当金への課税については、完全
50
40
30
20
10
0
な
40
帰
属
課
税
方
式
( Körperschaftsteueranrechnung
30
25
sverfahren)の適用は 2001 年が最
25
後になる予定です。2002 年からは、
税制改革前
税制改革後
い わ ゆ る 半 額 課 税 方 式
(Halbeinkünfteverfahren)が適用
留保利益にかかる法人税
されるため、欧州内での国境を越
配当利益にかかる法人税
えた投資がさらに魅力あるものに
なるでしょう。
この新しい税制の下では、法人の配当利益の半分だけが、株主個人の所得税の課税対象にな
ります。代わりに、株主個人の配当受取り税に相当する、法人の配当受取りについては非課
税扱いになります。
法人間の株の売却によるキャピタルゲインは通常、課税対象にはなりません。これが濫用さ
れるのを防ぐため、例えば、最低1年間は株を保有していなければならないなど、様々な規
制が課せられることになります。新しい税制は 2002 営業年度から実施されます。
2.3.3 国際比較
ドイツ政府は既に 2002 年に法人税率を引き下げました。2005 年 1 月に計画されていた更
なる引き下げを 2004 年 1 月 1 日に前倒し実施しました。新しい税率により、ドイツは先進
諸国中で税金の点からみて最も魅力ある国となっています。
下の図は法人税率の変化を示すものです。(22)
ドイツ (2000)
51.8%
日本
40.9%
米国(ニューヨーク州)
39.9%
ドイツ (2004)
38.7%
フランス
35.4%
スペイン
35.0%
イタリア
34.0%
ベルギー
34.0%
英国
スウェーデン
30.0%
28.0%
2.3.4 源泉課税(Lohnsteuerabzugsverfahren)
ドイツでは、法律により雇用者は総賃金から税金を控除し、税務署(Finanzamt)へ支払う
義務があります。したがって、雇用者は雇用関係の開始あるいは終了の全てを Finanzamt
に通知しなければなりません。
22 出典:Federal Ministry of Finance Germany
19
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
2.4
労働法および社会保障
2.4.1 労働法
ドイツには、雇用条件を個別に、あるいは包括的に監督する法律はありません。以下に述べ
るのはドイツの労働法の最も重要な側面で、ドイツ内での雇用全てに適用されます。
2.4.1.1 雇用主と被雇用者の義務
雇用関係の当事者の基本的な義務は、被雇用者側は自分の労働を提供し、労働時間中は勤勉
に職務に励むことです。雇用主側の義務は、安全かつ健全な労働条件を提供し、給与や他に
合意した報酬を支払うことです。
2.4.1.2 雇用関係の終了
当事者の一方から他方へ渡される雇用関係の終了通知は、
ある日付から雇用関係を解消した
いという意向を一方的に表明するものです。法律で定める通知期間は幅広く、毎月の 15 日
あるいは月末より 4 週間前(通常の通知期間)に雇用主と被雇用者の何れもが通知できる
場合から、20 年間雇用関係が続いた後では、雇用関係が終了する 7 カ月前に雇用主から渡
される雇用関係終了通知(常に月末に通知される)まであります。最長 6 カ月間の試用期
間中は、2 週間前に通知すれば雇用関係を終了できます。
不当解雇からの保護に関する法律(Kündigungsschutzgesetz - KschG)は正社員数 6 名以
上の事業所に適用されます。基本的な規則は、同一の事業所で 6 カ月以上勤務した被雇用
者に対する解雇通知は、社会的に不当な場合は、法的に無効であるというものです。
母性保護法(Mutterschutzgesetz - MuSchG)と教育財政支援に関する連邦法(Bundes
erziehungsgeldgesetz - BerzGG)は、妊婦および新しく母親となった女性を保護するもの
です。雇用者が被雇用者の妊娠あるいは出産を知っているか、あるいは、雇用関係の終了よ
り 2 週間以内に知らされた場合、妊娠期間中および出産後 4 カ月までの間に渡される雇用
関係終了の通知は無効となります。
2.4.1.3 障害と平等
障害者に関する法律(Schwerbehindertengesetz - SchwbG)では、2つの保護手段を提供
しています。第一に、16 名以上の従業員を抱える雇用主は、全従業員の最低 6%に相当す
る人数の障害者を雇用しなければなりません。これを守らない場合、少額の税金が課税され
ます。第二に、障害者の解雇には、事前に第1福祉事務所(Hauptfürsorgestelle)の同意が
必要であることです。雇用主は、特に採用、解雇、労働条件、昇進の点で、男性と女性を平
等に処遇しなければなりません。
2.4.1.4 報酬
被雇用者の報酬は、現金あるいは現物支給により、業務が完了した後に支払義務が生じます。
雇用主は法律により、所得税および社会保障分担金を賃金や給与から控除し、純賃金
20
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
(Netto-Lohn)あるいは正味給与(Netto-Gehalt)を被雇用者に支払わなければなりません。
税と社会保障分担金を給与から控除しないと明確に規定されていない限りは、雇用合意の当
事者双方が総報酬(Brutto-Vergütung)を支払うことに合意している場合、法律で定める上
記の税及び社会保障分担金が総額から控除されると承知していることになります。
2.4.1.5 習慣と慣例(Betriebliche Übung)
たとえ雇用主が意図しなくても、会社内部での習慣や慣例が、被雇用者に有利な権利を与え
ることもあります。例えば、3年以上にわたり雇用主がクリスマス特別手当は任意だと告げ
ずに何度も支給していると、被雇用者が今後もクリスマス特別手当の支払いを要求できる権
利を得る可能性が出てきます。処遇平等の要件があるため、新入社員を対象からはずすこと
はできません。
2.4.1.6 病気
疾病手当給付法(Entgeltfortzahlungsgesetz)の下では、病気の最初の 6 週間は、通常の給
与あるいは賃金に相当する額を雇用主に支払ってもらう権利が被雇用者全員にあります。そ
の後は、資格のある被雇用者は、州の健康保険プログラムから給付金を受けます。
2.4.1.7 労働時間
労働時間法(Arbeitszeitgesetz - ArbZG)には最長労働時間に関する条項があります。この
条項は、ほとんどの被雇用者に適用されますが、管理職や他の「指導的職位にある従業員」
(Leitende Angestellte)の労働時間は、法定労働時間よりかなり長くなっているのが現実
です。旧西ドイツ地域では、労働時間は1週間あたり 35 時間程度にしか達しませんが、ザ
クセン州では1週間あたり 40 時間が普通と考えられています。
2.4.1.8 休暇
休暇法(Bundesurlaubsgesetz - BurlG)により、全ての被雇用者には、週休1日制の場合、
年間最低 24 労働日分の有給休暇が権利として付与されます。これは、週休2日制では 20
労働日に相当します。有給休暇を全日使う権利は、就労 6 カ月後より開始しますが、6 ヶ月
以内に雇用関係が終了する場合は、有給休暇の日数は雇用期間に比例して配分されます。
2.4.1.9 事業所委員会(Betriebsrat)
18 歳以上の従業員を最低 5 名常時雇用し、そのうちの 3 名が最低 6 ヶ月間雇用されている
事業所であれば、被雇用者の要望により事業所委員会を設置するこができます。事業所委員
会は、社会問題、人事問題、経済問題の 3 つの分野で権利を有しています。社会問題と人
事問題の分野に関しての事業所委員会の権利は幅広く、共同で意思決定を行なう場合もあれ
ば、拒否権を行使できることもあります。これに対し経済問題では、事業所委員会は通常、
情報を入手する権利が限られています。特に重要なのは、解雇が行なわれる前に通知を受け
る権利です。事業所委員会への通知がなければ、その解雇は無効になります。雇用主と事業
所委員会の間の協定(Betriebsvereinbarung 事業所協定)により、委員会当局が取り扱う
問題を定めることができます。
21
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
ドイツは社会が安定していることで有名ですが、事業所委員会は社会の安定を保つために大
きく貢献してきました。経営者が適切に利用すれば、事業所委員会は事業方針を労働者に伝
えるための、非常に優れた仲介機関になります。
2.4.1.10 労働協約(Tarifverträge)
労働組合権はドイツ憲法で認められています。労働協約が定める問題は多種多様であり、通
常は、賃金、休暇、付加給付金、職場での安全、免責条項などが含まれます。労働協約の多
くが地域的な規則です。雇用主団体の結成と同様、労働組合の結成は任意のものです。建設
業界に見られる一部の特別なケースを除けば、
ドイツでは法律で最低賃金を定めていません。
ザクセン州では労働組合が弱く、多くの企業は雇用主団体に加盟していません。ですから、
賃金は自由に設定されるか、被雇用者との交渉で決められます。
2.4.2
社会保障
原則として、ドイツで働く賃金労働者および給与取得者の全員と、一時的に外国勤務になっ
ているドイツ人被雇用者が、強制加入の社会保障制度の対象になります。給与が一定レベル
を超える管理職や従業員については、一部例外があります。外国の雇用主から一時的にドイ
ツ駐在を命じられた者は、社会保障の対象には含まれません。
被雇用者と雇用主は通常、社会保障分担金を半額ずつ負担します。被雇用者の分担金は雇用
主が控除し、雇用主の分担金と合わせて担当当局へ支払われます。分担金は、総賃金あるい
は総給与と大部分の追加給付金を合わせた金額の一部分です。社会保障の分担金は以下の4
つの主要分野について支払わなければなりません。
2.4.2.1 健康保険
健康保険プログラムの分担金は、保険主体によりますが約 13.5%であり、雇用主と被雇用
者が半額ずつ負担し、ある所得レベルまでは支払わなければなりません。
2.4.2.2 失業保険
雇用主は失業保険の分担金も控除し、分担金額の 5 割を負担します。分担金は総報酬の約
6.5%になります。
2.4.2.3 社会保障年金保険
雇用主と被雇用者は、年金保険の分担金も半額ずつ負担します。分担金は総収入の約 19.5%
に相当します。
2.4.2.4 労災保険
各被雇用者に対する公的労災保険の分担金を支払うのは、雇用主だけです。産業別労災保険
組合(Berufsgenossenschaft)が、分担金を徴収します。この分担金額は年金保険の分担金
22
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
ほど高くなく、業務上の危険に応じて金額は異なります。公的労災保険の規則では、事故が
起こった場合、被雇用者は雇用主を訴えることはできず、事故保険に頼らなければなりませ
ん。
2.5
輸入規則と通関
欧州連合(EU)の通関法規は、二、三の些細な事務処理規則を除けば完全に一致しており、
通関法の形で EU の全加盟国に対して拘束力を持っています。この点では、ザクセン州の輸
入規則は緩やかなものになっています。
2.5.1 コミュニティ商品
コミュニティ商品とは、EU で生産される商品、あるいは EU 加盟国のひとつが定期的に輸
入する商品をいいます。こうした商品は欧州共同体内では、EU 加盟国の通関当局による通
関手続きなしに取引できます(ドイツ語では、Zollverwaltung、Bundesministerium der
Finanzen)。商品のこうした自由な流通は、もはや輸出や輸入としてではなく、欧州共同体
内部の供給や需要として分類されます。
2.5.2
非 EU 加盟国からの輸入
ノン・コミュニティ商品とは、EU 諸国以外から EU の関税地域内に輸入される商品をいい
ますが、これは税関で通関されなければなりません。
課税される輸入関税は、EU の関税表あるいは、関税、輸入売上げ税、一定の消費税などを
定めた国内消費税法に基づきます。EU の共通関税率表にある関税率の多くは、従価税率で
す。
とりわけ農産物には、主として商品の正味重量に基づく関税率が適用されます。関税の代わ
りに、あるいは関税に加えて、賦課金が課される場合もあります。
パン、ケーキ、ペストリー、肉、ビールなどの調理済み食品には複合関税が課されます。輸
入する加盟国で実施されている税率に応じて、
付加価値税に相当する輸入売上げ税が課税さ
れます。これは共同体内部での取引についても適用されます。
ドイツでは農産物の税率は関税評価額の 7%に設定されていますが、大半の工業製品の関税
率は 16%です。
営業用のサンプルや模型、広告材料、見本市の展示品のように一時的に輸入される商品は、
輸入売上げ税の課税対象外です。
消費税(Verbrauchsteuern)は鉱物油、アルコール、アルコール飲料、タバコ製品、焙煎コ
ーヒーに課税されます。
23
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
2.6
不動産の問題
2.6.1 売買約定、財産所有権移転、公正証書
不動産の購入は、売買約定の締結によって有効となります。さらに、法的所有権の移譲、つ
まり不動産譲渡(Auflassung)に関する約定も締結されなければなりません。不動産の譲渡
は土地登記簿(Grundbuch)に記載される必要があります。所有権は土地登記簿に記載され
た後に移譲されます。所有権の移転が登記される前に、税務署は、不動産譲渡税の支払を確
認する納税証明書(Unbedenklichkeitsbescheinigung)を発行しなければなりません。たと
え一連の事業資産が買収される場合でも、2 つの約定と、これに法的に関係する付随の約定
全てについて、公正証書を作成しなければなりません。公正証書作成の手数料は、購入価格
に基づきます。ザクセン州では公証事務所は公的機関ですが、特別免許を得た弁護士や代理
人が公正証書に関するサービスを行っている州もあります。
2.6.2 建築免許(Baugenehmigung)
ドイツでは建物の建築を開始する前に、前もって必要な許可を得なければなりません。建築
計画の許可に関して適用される規則を以下に簡単に記載します。
建物の建築には、建築許可を自治体当局から事前に取得する必要があります。建築計画が公
法の条項を遵守していれば、建築許可が交付されます。時間を節約するため、建築許可
(Bauvoranfrage)の予備申請を行ない、疑問を具体的に明確にし、疑問がある場合は交渉
を重ねるというプロセスが一般的にとられています。
ザクセン州当局はビジネスに前向きに取り組んでおり、できるかぎり短期間で許可証を交付
するために最善を尽くしています。小規模の建築計画の場合は 1 ヶ月以内で許可がおりま
すし、大規模の計画についても 3 ヶ月以上はかかりません。
24
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
3. ザクセン州の投資奨励策
3つのカテゴリーに
分けられる
投資インセンティブ
投資支援
研究・開発プログラム
教育・訓練プログラム
様々な投資支援プログラムがあり、以下の各プログラムの実施資格を充たす投資家は、こう
したプログラムを利用できます。
3.1
奨励金
欧州連合(EU)は、奨励金の全てを監督します。ザクセン州は奨励金の優先順位が最も高
い地域に属します。しかし、奨励金の適用はザクセン州政府の裁量によりますので、法的権
利として、こうした奨励金を受け取ることができるわけではありません。
データ・プロセシング、研究開発、技術設計、コール・センターなど特定の産業に関連する
企業や、製造企業の大半は、奨励金を受ける資格があります。
財源に限りがあり、奨励金の分配が経済や政治上の優先項目に左右されるため、奨励金の割
り当て先が「自動的に」決まることはありません。
奨励金の率は、地域や経済政策に対してザクセン州政府がどのような優先順位を付けている
かによって決まります。奨励金率は以下の通りです。
・
優先度 1 については 35%を上限とする
・
優先度 2 については 28%を上限とする
・
優先度 3 については 20%を上限とする
奨励金の率は、補助金の支給対象となる、以下に関する投資支出に基づいて計算されます。
・
建築物
・
新しい産業機器
・
ソフトウェア・ライセンスのような無形商品
考慮される投資支出の最高額は、雇用創出 1 件につき 50 万ユーロです。
奨励金は、所得申告後に支払われる特別手当と、支出後に支払われる助成金からなっていま
す。特別手当では、減価償却の対象となる新しい機器や新しい建物の 15%を上限としてカ
25
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
バーできます。助成金では、35%から交付された特別手当の割合を引いたパーセンテージ
を上限としてカバーできます。
下図を見れば、ザクセン州の各地域の優先度が分かるでしょう。
TorgauOschatz
Delitzsch
Hoyerswerda
Leipzig
Niederschles.
Oberlausitz
Riesa- Großenhain
Kamenz
Muldental
County
Leipzig
County
Bautzen
Döbeln
Mittweida
Zwickau,
County
County
Zwickau
Plauen
LöbauZittau
Dresden
Chemnitz,
Chemnitz Freiberg
City
Stollberg
Görlitz
Meißen
Weißeritz
Sächsische
Schweiz
County
Mittleres
Erzgebirge
Annaberg
AueSchwarzenberg
優先度1(35%)
優先度2(28%)
Vogtland County
優先度3(20%)
被雇用者数が 250 名未満、年間売上高が 40 百万ユーロ以下(2005 年からは 50 百万ユーロ
以下)、貸借対照表合計額が 27 百万ユーロ以下(2005 年からは 43 百万ユーロ以下)の中
小企業(SME)は、上述よりも高率の奨励金を獲得できる場合があります。
このスキームは、EU 当局で常に議論されており、制限される傾向にあります。
26
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
大型投資には特別なルールがあります。大型投資のための地域助成に関する段階的枠組み
(23)
で計算すると、最大補助率は以下の通りです。
奨励金減額率(24)
適格な投資費用
50百万ユーロ未満
地域別奨励率満額
50百万ユーロから100百万ユーロまで
地域別奨励率の50%
100百万ユーロ超
地域別奨励率の34%
50 百万ユーロ以上の投資費用の場合、許容される支援額は、適格投資費用を上の表で示さ
れた部分に分けて計算されます。投資費用の各部分は、上の表で示されたパーセンテージの
ように減じられた地域補助率で支援されます。
3.2
労働関連の投資奨励金
ドイツ労働局は、被雇用者の資格と職業適性で分類(プロファイリング)
し補助を与えます。
これをふまえて、投資家は地域の雇用事務所に雇用支援プログラムを申請することができま
す。雇用者のニーズに応じて、失業者の訓練やスキルアップをするための特別なプログラム
があります。さらに雇用者は、現在失業中であるが資格ある労働者の採用をとりまとめるの
を支援する雇用補助金を受け取ることもできます。補助金の額や期間は、被雇用者の失業期
間や個人のスキル、職務内容などによります。少なくとも 3 ヶ月失業していたものの新規
雇用に対する補助金は、平均して、通常賃金の 30%を 6 ヵ月支給というものです。
ドイツ労働局の給付にしたがって、欧州社会基金(ESF)は EU に人材開発および労働市場
政策推進をサポートするアクションのための資金を提供します。EFS によって資金提供さ
れる主たる施策は(雇用前後の)訓練プログラムです。適正訓練費用に対する資金支援の最
高料率は企業の規模と、企業のニーズにあった形で組み立てられた訓練期間によります。
大企業(Non-SME)
中小企業(SME)
特別訓練形式
60%
80%
一般的な訓練方式
35%
45%
23 Official Journal of the European Communities Nr. C 70 of 19th March 2002, p. 8
24 現在 35% (中小企業の投資の場合はおそらく 15% の付加金が支給されます)。 個々のケースにもより
ますが、公的支援にはEU委員会の特別承認を要します。
27
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
訓練実施に係わる補助金に加えて、中小企業は ESF からの雇用補助金を申請することがで
きます。
雇用補助金
給付金額
補助金支給期間
月650 ユーロまで
12ヶ月まで
- 25歳以下の若年層
- 障害者
- 養育子弟を持つ離婚者
- 生活補助受給者
- 婦人(職業上不等な処遇にある)
3.3
研究開発奨励金
ザクセン州は、研究開発(R&D)に係わる多様な奨励金を企業のために用意しています。
すべての技術奨励金のための前提条件は次の通りです。
•
申請者は、ザクセン州内に永続的な事業所を持たなければならない。
•
研究開発プロジェクトはザクセン州内で実施されなければならない。
•
プロジェクトの成果は、EU 基準に照らして革新的でなければならない。
•
プロジェクトから生まれた成果はザクセン州ないでの新しい革新的な製品の生産に用い
られなければならない。
ザクセン州経済労働省は、個別のあるいは共同の研究開発プロジェクトに奨励金を提供しま
す。研究開発企業に対する補助金は、常に、新しい製品や技術の発展に焦点を当てた特別な
プロジェクトに根ざしていなければなりません。
プロジェクトのタイプにしたがって、ザクセン州は、大企業に対して、工業用研究開発(25)
の適正費用の 65%(中小企業は 75%)まで、また、競争力のつく前段階の開発活動プロジ
ェクトにかかる適正費用(26)の 40%(中小企業は 50%)までカバーする技術助成金を提供
できます(中小規模企業に対してはそれぞれ 65%、45%)。補助金としては、例えば、(プ
ロジェクトの実現に不可欠な投資に結びついた)人件費、消耗品、減価償却、それと(中小
企業にのみ適用される)特許・ライセンス調査に要する費用が与えられます。
補助金プログラムの正確な金額は、ザクセン州と投資企業との相互協議にもよります。
25 工業用研究の意味するところは、新しい知識、製品、加工、サービスの開発対象、や既存製品の革新
的な改良をもたらす知識・・・の獲得をめざす重要な研究です。(Community Framework for state aid for
research and development Office Journal of the European Communities No. C45p.5)。
26 競争力のつく前段階の開発活動で意味するところは、研究の結果を、商業的にはいまだ使えない原型
のままの創作を含め、これから販売・使用しようとする新製品や改良品、加工、サービスのデザインを計
画し整備していくことです。(・・・)それには、たとえ改良を表す変化であっても、製品、製造ライン、
製造過程、既存のサービスやその他オペレーションで、日常的かつ周期的なレベルの物は含まれません。
(出
典:脚注 3 を参照)
28
ザクセン州への投資のために Invest in Saxony 2004
連絡先並びに担当者/Contact Address
<ドレスデン>
カリン・ハイデンライヒ 外国課課長
Karin Heidenreich, Area Manager
Saxony Economic Development Corporation
Bertolt-Brecht-Allee 22, D-01309, Dresden, Germany
Tel: +49-351-2138-235 Fax: +49-351-2138-219
e-mail: [email protected] http://www.wfs.sachsen.de
http://www.business-in-saxony.jp
<東京>
岡野曠二 主席代表 Koji Okano, Representative in Japan
ザクセン州経済振興公社 日本代表部
〒100-0005 東京都千代田区丸の内 1-8-2 第二鉄鋼ビルディング 9 階
㈱東京リサーチインターナショナル内
Tel: 03-5224-6175 Fax: 03-5224-6212 e-mail: [email protected]
Invest in Saxony Japanese Version: RHJ2002
ⓒ Wirtschaftsförderung Sachsen GmbH., Dresden Germany 2004
本書類に日本語で表記されている内容は参考として記載されています。
実際の内容についてはザクセン州経済振興公社までお問合せ下さい。
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